平成8年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(大沢広太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番大沢広太郎君。
 〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 ことしの二月議会でもこの件につき質問をさせていただきましたが、その後、梅農家より再度現地視察の要望があり、調査をさせていただきました。その結果は、次のとおりであります。
 田辺市の梅農家において被害がますます拡大し、平成八年の被害調査では、実面積百八ヘクタール、本数では約三万二千本、被害農家は六百八十七戸と、平成七年の調査より、本数では約一万二千本、戸数においては二百四十三戸の増加となっております。
 この急速に進む被害をどのようにして食いとめるか、一日も早く行政や大学の研究所等によるプロジェクトチームを結成し、大がかりな原因究明を願っておりましたが、ことしの春に西口知事のご英断により、御坊市にある和歌山県暖地園芸センター内に六名の梅対策チーム、すなわち梅生育不良の原因究明なるプロジェクトチームを設置していただいたのであります。まさに、サービス・スピード・シャープを行政目標に掲げ取り組んでいる西口県政ならこそであると関係者一同感謝し、一日も早い原因究明の成果に期待しているところであります。しかし、残念ながらこの被害はおさまるところを知らず、田辺市はもちろんのこと、西牟婁郡や日高郡にも被害が広がっているのであります。ことしに入り、田辺市、上富田町にあっては園地面積の約八%に達し、南部郷にあっては約三%となり、全体の総被害本数は約四万七千本にも達しており、今後もその被害が拡大していく感があります。
 地場産業も海外へ工場が移され、産業の空洞化が心配される中で、梅産業は、地元に根づき、県内では五百億円産業とも言われており、本県にとりましても大きな基幹産業であります。このような中で、梅の生育不良に対し、梅生産農家の方は、みずから寝食を忘れて取り組んでおり、あるときは農薬業者、肥料業者から何十万円もする農薬や肥料を購入して試験的に使用したがだめだったと肩を落とされた話をされているのであります。
 この原因として、水不足説、なり過ぎ説、土壌悪化説、病原性バクテリア説、大気汚染説など関係者の間で話が交わされておりますが、関西電力の火力発電の煙突から出る排気ガスが原因と多くの関係者の中でささやかれているのであります。私もその理由について伺ったことがありますが、この梅の生育不良は御坊火力発電所が操業を始めた昭和五十九年以降において被害が発生しているという統計からの説明であります。お年寄りの話では、昔も一本、二本の梅の木は枯れたことがあるが、このように多くの梅の木が枯れ、山桜が枯れ、植林している木が枯れる今のような状況は記憶にないと言っておりました。植物でありますから一本や二本の木が枯れるということは理解できますが、この状況は異常であると言わなければなりません。
 ここ田辺市に、秋津川のAさんが記録している農園の状況などの資料があります。これによりますと、昭和五十四年に近代化資金六百九十万円を借りて畑を開き、面積五十アールに南高梅百本と小梅六十本を植え、順調に生育していたということです。昭和五十九年から六十年にかけて、御坊火力発電所の火力発電一号機から三号機の運転が開始されました。昭和六十一年に、田辺市秋津川の山桜に障害が出てきたということであります。六十二年には当園の梅の木にも障害が出始め、平成元年五本、平成二年五本、平成三年十本、平成四年二十本、平成五年三十本、平成六年六十本、平成七年二十本、平成八年十本と、この農園は補植をしておりますものの、近代化資金を返済した平成八年には先に植えた梅の木はすべて枯れたという状況にあります。このような経緯から考えて、梅生産者の中には、御坊発電所の排煙、つまり硫黄分あるいは窒素分等が一因しているのではないかと疑う方もおるわけであります。
 去る九月二十八日、上秋津の会館にて、三重大学の生物資源学部の谷山教授を招いて、酸性雨など環境、公害問題に関する勉強会が開かれ、そのときの講演の中に、低濃度であっても酸性雨プラスオゾンというような複合的影響が問題であり、ガス、ばいじん、霧による光合成能力の低下が根の生育に障害となり立ち枯れを起こしている、その最大の発生源である火電の公害対策を要求すべきであるとの発表がありました。また、公的研究機関や学識経験者の先生方の中には、その原因が土壌、栽培管理面あるいはバクテリア説を唱える方もおられるようであります。関西電力も、疑惑払拭のため「大気環境と梅」なるパンフ類を作成し、因果関係がないことを主張しています。企業側の論理としてはこのこと自体わからないわけでもありませんが、公益企業である関西電力は、梅の生育不良の原因究明、あるいは樹勢回復がない限り疑惑は解消されず、問題は解決しないものと考えています。
 そして今、平成八年十月二十二日に御坊第二火力発電所建設の計画が明らかになりました。現在の発電規模が百八十万キロワットであり、今回の計画ではさらに四百万キロワットを増設するということで、オリマルジョンという、原油以上に高濃度の硫黄分を含有するものを燃料とすると聞いております。関電は、これに対しては、高性能脱硫装置、高性能脱硝装置及び集じん装置を採用し、万全な環境保全対策をとると発表しておりますが、関係者は不安を感じているのであります。
 このため、平成八年十一月十八日には西牟婁地方広域果樹営農対策委員会から、また平成八年十一月二十一日には紀南農業協同組合から関西電力株式会社社長あてに要望書が提出されております。その内容として、一、御坊第二発電所の建設は、梅生育障害との因果関係解明まで繰り延べされたい、一、現稼働中の御坊火力発電所に脱硫装置を設置、脱硝、集じん装置等についても高性能化を図られたい、一、梅生育障害の原因究明と対策の早期確立に積極的に取り組んでいただきたいとの内容でありました。
 そこで、知事初め関係部長に、五点についてお尋ねをいたします。
 一、平成七年二月二十一日に、梅の生育不良に対して適切な対応をしてほしい旨を県に対して要望しております。また先般は、関西電力株式会社に対して、西牟婁地方広域果樹営農対策委員会や紀南農業協同組合がさきに申し上げた内容の要望を行っているのであります。原因のわからないまま第二火力発電所の建設計画を進めることは、梅生産農家や関係者の不安を募らすものと危惧するものでありますが、県民の立場に立って県政を推進することをモットーにされている知事のご所見をお伺い申し上げます。
 二、この生育不良の発生は約十年前の昭和六十年ごろからとも言われておりますが、御坊火力発電所との因果関係などについて、またこうした現実と生産者の苦しみをどのように県当局はとらえ、対処されてきたのか、お尋ねをいたします。
 三、地域社会の公器として存在する関西電力は、公に対する妥当なコストを払っていくことも重要であり、このことが地域と企業の共生的な姿勢の今日的なあり方ではないかと考えますが、そういう視点に立てば、県当局は関西電力に対し、この梅問題に関してどのような公益的な役割を望み、今後指導していくのか、お尋ねをいたします。
 四、生産者の中には御坊火力発電所に脱硫装置を設置せよとの強い要望があるが、これに対して関西電力は極めて低硫黄原油の使用で環境濃度への影響も認められないと言っております。それが微量とはいえ全く一○○%でないならば、生産者の声を受ける行政当局としてどのように関西電力に対処していくのか、お尋ねをいたします。
 五、一日も早い原因究明を行っていくとともに、樹勢回復対策を実施していく中から原因を見出す方が事が賢明なのではないかと考えます。さらに、将来的地場産業発展のためにも専門機関の開設を大いに望んでいる中で、県としてはどのように考えているのか、お尋ねをいたします。
 次に、交通体系の整備についてお伺いをいたします。
 山の木々も色づき、紅葉し始めた先月の十一月六日、朝食をとりながら、西口知事のふるさとである上芳養方面に仕事で足を運ぼうと思いつつ、各朝刊に目を通しておりました。朝日新聞の社説、社会面、そして「論壇」と目を通すと、そこにはよく見かけたことのある顔写真が目に入りました。「西口知事や」と、一瞬はっといたしました。いつも見なれているお顔であり、また和歌山版なら驚きもしないのですが、なぜこんな面に載っているのか不思議に思い、見出しに目を通すと、「道路特定財源制度の堅持を」とありました。この記事は、「主張・解説」というコーナーに六段にわたって大きな記事で構成されておりました。数日後、この記事のことにつき、ある知人に聞いたところ、記者が取材をして書いたのではなく、西口知事本人より新聞社への投稿であり、みずから原稿を送ってきた記事だとのことでありました。
 この記事では、「最近、『道路はもうできているからいい』『旧国鉄の赤字解消のため、道路の特定財源を見直せ』といった議論が聞こえてくる。しかし、これは地方の実情を無視し、目先の狭い経済効率の尺度だけで物事を論じている」といった書き出しから始まっています。また最後の部分に、「我が県には全国で唯一、飛び地の村である北山村があるが、県境が入り組んでいること(中略)などから、北山村に通じる国道一六九号は、歩いてしか通れなかった。七月三十日、和歌山県側から直接アクセスできる二車線の『奥瀞道路』が開通した。その開通式は、村人総出で行われた。これまで『陸の孤島』的だった村にとって、いかに待望の道路であったか。都市の人々にとっては一時代前にタイムスリップしたかのような話だが、これが現実である。こうした素朴な、そして熱い願いと地方の現実をもっと分かっていただきたいと思う」と書いてありました。
 この道路特定財源は、道路を緊急かつ計画的に整備するため戦後に設けられた制度で、揮発油税や自動車重量税、石油ガス税など、国や地方自治体に納められる税を財源として使うもので、これによって我が国の高速道路や幹線道路の整備が推進され、日本の経済発展を支えてきたのだと思います。また、この記事の中で知事は、「道路特定財源を他の用途に転用するよりも、高速道路整備への公的助成を拡大するなどして、これからの高速道路や地域交流のための道路づくりの促進を図っていただきたい」と主張しているほか、最後の部分で、「道路特定財源制度は、我が国の高速道路などが欧米並みの水準に達すると予定される二十一世紀初頭までの間は、ぜひとも堅持することが必要である」と結んでいました。
 前知事の仮谷さんは、「道路の仮谷」と言われたほど、あらゆる知恵を絞って道路整備を推進されてきました。例えば、自治省のふるさとづくり事業で水上栃谷トンネルを通したり、農林水産省の関係ではスーパー林道を多く整備する等、建設省以外の予算で道路整備を進めるなど奮闘し、過疎対策や観光立県施策を推し進めてこられました。また西口知事も、県内どこからでも二時間で行ける交通体系の整備をと、県内二時間交通を選挙の公約に掲げ、和歌山県の浮上に取り組まれています。
 先月の二十九日には近畿自動車道紀勢線の海南・吉備間の四車線化と南部・白浜間の新たな建設に向け都市計画が決定されたことは、近く着工される御坊・南部間の延長とあわせて、紀南地方の浮上発展に大きなウエートを占めています。しかしながら、この白浜までのハイウエー構想で、二十一世紀初頭にオープンの予定では年月がかかるほか、低迷する我が国の経済情勢ではさらに遅くなる可能性も懸念されます。
 そこで、西口知事に、この道路特定財源制度の活用と県内二時間交通施策を含めた交通体系整備のさらなる取り組みについてお尋ねをいたします。
 また、ことしの春には湯浅御坊道路が御坊市まで延伸してオープンの運びとなり、京阪神からは紀南地方がぐっと近くなり、これまで以上に紀南への行楽が身近なものとなり、アウトドアブームや週休二日制の定着や長期休暇制度の普及によって、今後も数多くの景勝地や温泉地、それに文化施設を有する紀南地方に多くの人たちが訪れることが予想され、観光立県を推し進めている本県にとってはまことにありがたいことであります。しかし、ハイウエーの整備で、休日には国道四十二号を中心とした周辺道路では大きな交通渋滞が生じているのが現状であります。この大渋滞という厄介なことを解消させないと、紀南へ行ったら大渋滞に巻き込まれて大変だということが行楽客の頭の中にこびりついてしまうと紀南観光の将来に悪い影響を与えます。また田辺市においても、旧白浜有料道路入り口の新庄地区を初め、元町交差点から稲成周辺の交差点にかけて、平日、休日を問わず渋滞が生じているほか、最近では稲成地区に大型スーパーがオープンしたことでますます車両もふえ、大きな渋滞が生じていることも事実であります。
 一方、山間地を多く抱える本県では幹線道路整備がおくれていると言われてきましたが、国道三百十一号や国道三百七十一号など、西口知事の唱える県内二時間交通構想は着実に前進しているのか、現状をお伺いいたします。
 また次の問題点として、例えば乗用車で中辺路町から和歌山市まで、これまで二時間半から三時間ほどかかっていましたが、水上栃谷トンネル、白馬トンネルの開通、あわせてハイウエーの御坊南伸整備で、現在では和歌山市までこのハイウエーを使うなどして走ると二時間を切るといった時間短縮が図られております。
 一方、一番急いでいる朝夕の通勤時間では、和歌山インターから紀の川大橋を渡って松江地区方面に行くには一時間前後の所要時間を見込まないといけないのが現状であります。加えて、田辺市郊外のバイパス周辺においての休日やその前後に、京阪神からの観光客の車と市内への買い物客などの乗用車が入りまじって大変な渋滞へと巻き込まれるケースがあります。
 このように、和歌山市内や田辺市内、そして有田市から下津町、海南市にかけての国道四十二号等の渋滞解消もしくは緩和対策について、県当局の取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。
 以上をもちまして、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 大沢議員にお答えをいたします。
 まず第一に、梅問題に関連してであります。
 御坊第二発電所につきましては、本定例会冒頭の説明で申し上げたところでございますけれども、私といたしましては、適地性、安全性及び地元の同意という従来の基本的な考え方に基づきまして、さらに地域振興の立場から対応していくことを申し上げておるわけであります。現在、学識者による電源立地アドバイザーから専門的な立場で助言をいただくとともに、ご指摘の梅、大気汚染などの問題も含めて、関係部局において慎重に環境影響調査書の審査を行っているところでございます。
 特に、お話のございました梅の生育不良につきましては、私も出身地ということもございまして何度も現地を訪れ、同時にこの目で見、また農家の方々から切実な声をお聞きいたしてございます。
 紀南地域にとって梅は基幹産業であり、その生育不良の早期解明と一層の振興は県の重要課題であると認識いたしております。県といたしましては、暖地園芸センター内に梅対策チームを設置いたしまして試験研究体制の充実を図ってまいったところでありますが、先般十二月四日の政府要望においても、この生育不良の原因究明と樹勢回復対策等を農林水産省等、国に対して強く要望をいたしております。
 梅の一層の振興対策につきましては、当面の対応策として、さらに現地での試験を実施するとともに、指導強化のため職員の駐在も含め、前進基地の設置等を検討中でございます。将来の試験研究機関のあり方等についても、地元の市町村と協議をしてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、県の基幹産業としての梅産業の振興については、今後ともなお一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、道路整備についてのお話でございます。
 本県は、大変すばらしい自然、さらに豊かな歴史、文化に恵まれておるわけでありますが、一方、国土軸から離れた半島に位置するということもあって高速道路を初めとする幹線道路網の整備がおくれておることは事実でございまして、道路整備はまだまだこれから必要であろうと思っております。
 このためには、従来、道路整備の財源としてまいりました揮発油税、自動車重量税等の特定財源の確保は絶対欠かせない要件でございます。先般の九月議会におきましても、「道路特定財源の堅持等に関する意見書」を初日にご採択をいただいたわけでありますが、私といたしましても、できるだけ多くの方々にその意味を理解し賛同をいただくために、先日、新聞の「論壇」にも投稿したものでございます。今後とも、道路特定財源の堅持に向けて、国、関係機関等に強く要望を行ってまいります。同時に、先ほどお話もございましたように、関係省庁の各種施策、そういうふうなものも十分幅広く活用していきながら県内の交通体系の整備を進めていきたいと考えてございます。議員各位の一層のご支援をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 他の問題につきましては、関係部長から答弁をいたします。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 大沢議員の梅の生育不良と御坊火力発電所についてのうち、御坊火力発電所との因果関係と生産者に対する県当局の対応についてお答えいたします。
 梅の生育不良につきましては、これまで暖地園芸センターと果樹園芸試験場が中心となって、国の研究機関や大学の専門家のご指導をいただきながら、土壌関係を初め栽培面、病理面、環境面など総合的な視点から原因の解明に向けて積極的に取り組んできたところでございます。この間、その試験成績や技術対策につきましては、県うめ対策協議会等で検討、分析を行い、現地のうめ対策協議会等を通じ、樹勢回復対策などを盛り込んだ技術指針として提示するなど、その対応に努めてございます。しかしながら、関係者の懸命の努力にもかかわらず原因が明らかでない段階にあって、農家の不安には切実なものがあり、そのご労苦に胸が痛む思いがいたします。
 県といたしましては、この問題を県農業の最重点課題として位置づけ、今回、県議会農林水産委員会、ウルグアイ・ラウンド対策農林水産振興議員連盟の積極的なご協力をいただきながら、知事を先頭に政府、国会に対し現地の厳しい実情を訴えるとともに、平成九年度政府予算において原因究明のための研究予算が確保されるよう強く働きかけを行ったところでございます。
 いずれにいたしましても、梅産業は紀南経済を支える重要な柱であり、生育不良の早期解明は喫緊の課題と認識してございまして、今後とも、生産者はもちろんのこと、農業団体や関係機関と一体となって取り組む決意でございます。
 次に、公益企業としての関西電力に対する県の指導についてでございます。
 知事も申し上げましたように、梅は紀南地域の基幹産業であり、今後ますます重要な産業になると認識してございます。生育不良の原因が明らかになっていない現段階にあって、梅を核とした地域振興を図る上で、お話のように地域と企業の共生といいますか、共存共栄を図ることは企業の姿勢として大切なことであると考えてございます。こうした観点から、関西電力に対し、梅の生育不良の調査研究に関し積極的な協力を要請するとともに、今後とも県、市町村初め地元のうめ対策協議会等、関係機関と一体となって取り組むよう強く協力を求めてまいりたいと存じます。
 次に、原因究明のための専門機関の設置についてでございます。
 樹勢回復対策に関連してでございますが、原因究明の一環として、暖地園芸センター、果樹園芸試験場初め、農林水産技術会議果樹部会や県及び地元の対策協議会が連携を図りながら、これまで剪定による樹勢の維持、有機物の施用による土づくりなど、樹勢回復のための技術対策を実施してきたところでございます。こうした中で、これまで実証展示圃等において発育枝の発生やpHの改善が見られるなど、一部に樹勢回復の兆しも見受けられてございます。
 これらの成果をもとに、県といたしましては、土壌改良による樹勢回復対策や改植推進により一層力を注ぐとともに、関係機関の協力をいただきながら、大気環境調査についても継続実施してまいる所存でございます。
 また、本年四月、暖地園芸センターに専属の梅対策チームを設置して研究体制の充実を図るとともに、生産現場に密着した体制整備を図る観点から、地元市町村の協力もいただきながら、日高、田辺それぞれの地域に研究員や普及員が駐在し、現地試験の実施や農家との情報交換等が行えるよう現地前進基地を設置することを現在検討してございまして、今後、現地での対応に万全を期してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 大沢議員の梅の生育不良についてのご質問のうち、脱硫装置の設置要望に対する県の指導についてお答えをいたします。
 既設御坊発電所につきましては、燃料中の硫黄分が○・一%と特に低い燃料を使用しており、脱硫装置で対応している他の石油火力発電所と同等以上の公害防止効果となってございます。既設御坊発電所に係る公害防止につきましては、県、御坊市、美浜町と関西電力株式会社で公害防止協定を締結し、厳しい基準を設けて対応してまいったところでございまして、御坊市周辺地域での大気汚染常時監視の結果、現状では発電所の稼働前と比べ特段の変化も見られず、環境基準を下回っている状況でございます。しかし、田辺市等において梅生育不良の問題が生じておりまして、原因究明の地元要望があり、現地において関西電力株式会社は測定局を設け、また県においても移動測定車で大気汚染の測定を実施いたしておりますが、これまでの結果では、二酸化硫黄等、大気汚染物質の濃度は低い状況であり、当該地域でも環境基準を下回っているところでございます。
 なお、今後とも引き続き関係部局と連携をとりながら厳しく監視するとともに、必要があれば関西電力株式会社に対して強く指導を行ってまいりたいと考えてございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 大沢議員のご質問にお答えします。
 和歌山県の道路整備についてでございます。
 まず、県内の二時間交通圏構想の現状についてでございます。県内の主要都市間を二時間で結ぶ構想を実現するため、その根幹となる近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道を初めとし、南北三軸、東西五軸の考え方を基本として幹線道路網の整備を推進しているところでございます。その中で、湯浅御坊道路が本年三月末に御坊まで供用されたのを初め、国道四十二号日置川道路が本年度末に、さらに国道三百十一号については平成十年度を目途に、おおむね全区間の改良が完了できるよう努めているところでございます。引き続き、県内二時間交通圏構想をより確実なものとするため、道路整備に積極的に取り組んでまいります。
 次に、市街地域における交通渋滞の緩和策についてのご質問でございます。
 これにつきましては、和歌山県道路交通渋滞対策協議会という組織をつくっておりますけれども、ここで平成五年に新渋滞対策プログラムを作成しております。現在、このプログラムに基づいて、バイパス工事や交差点、信号機等の改良を行っております。一方、ピーク時の渋滞の平準化等を目指すなど、交通需要の調整を行う施策も検討しているところでございます。
 具体的には、田辺市内の渋滞対策といたしまして、田辺バイパスの北伸である田辺西バイパスを先般都市計画決定したところであり、今後、早期事業化に向け、国に強く働きかけてまいります。また、有田市から海南市にかけては、当面の対策として小南交差点の改良工事が行われているところでございます。さらに、和歌山市内につきましては、特に混雑が激しい紀の川渡河部での渋滞を緩和するため、和歌山北バイパスの事業が進められておりますが、今年度は一部工事に着手し、平成九年度には新南海橋の基礎工事に着手する予定と聞いております。今後とも、これらの施策の早期実現に向け、積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 1番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 ただいま、西口知事初め関係部長から答弁をいただきました。二点ばかり要望をさせていただきたいと思います。
 「とにもかく 梅におおきし かけし里」、これは南部町の元教育長で故人となられた中川長三郎氏の俳句であります。南部川流域初め田辺市、西牟婁郡にあっては、一粒でも多い梅の収穫に家族の生活がかかっている農家が多くあり、梅の生育不良が改善されることにわらをもつかむ思いで過ごしているのであります。
 このような梅生産者や関係者の心中を察し、本年の九月議会では農林水産委員会において長時間にわたって審議をしていただき、また十月には現地調査などしていただいております。しかし、先ほども述べさせていただきましたように、多くの梅の木が枯れ、山桜が枯れ、植林している木が枯れるこの現状は、植物だけの問題ではなく、いつかは我々にも何らかの影響が出るのではないだろうかと心配であります。一日も早い原因究明を、県はもちろんのこと、国の方でもやっていただかなくてはなりません。また、関西電力あてに出されている要望書につきましても、関電に対して早急に指導・協議をしていただくことを切にお願いを申し上げたいと思います。
 それから道路整備についてでありますが、湯浅御坊道路が開通し、紀南から和歌山まで時間的に近くなり、まことに便利になったことを痛感するものであります。県内二時間交通圏構想をより早く確実なものにしていただき、県下全体の渋滞解消に全面的に取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十分休憩
  ─────────────────────

このページの先頭へ