平成8年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成八年十二月十日(火曜日)
     午前十時開議
 第一 議案第百四十三号から議案第百七十号まで及び報第七号(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四十三号から議案第百七十号まで及び報第七号(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川   武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門   三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島   雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷   洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗   正 彦
 24 番 橋 本   進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 松 本 泰 造
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山   海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田   亘
 33 番 中 山   豊
 34 番 井 谷   勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 36 番 森   正 樹
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口   勇
 副知事 山 下   茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西   悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
    山 本   昭
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 中 尾 公 彦
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
    若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
    谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島   光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊   孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田   繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第百四十三号から議案第百七十号まで及び報第七号】
 【日程第二 一般質問】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第百四十三号から議案第百七十号まで、及び地方自治法第百七十九条による知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 38番新田和弘君。
 〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、少子化への対応と育児支援施策についてお尋ねをいたします。
 我が国の出生数は、昭和四十八年の第二次ベビーブーム時の二百九万人をピークとし、その後、継続的な減少傾向をたどり、平成七年には出生数が百十八万七千人と、百二十万人を割り込む過去最低となりました。このことは、合計特殊出生率が平成七年には過去最低の一・四三となり、人口維持に必要な数値である二・○八を大きく下回ったことを示しております。こうした状況は本県においても同様の動向を示し、平成五年の出生数は九千七百三十七人と過去最低を記録し、平成七年には九千八百八十人と一万人台を割り込み、合計特殊出生率も一・五一と全国平均を少し上回る程度で、少子化が進みつつあります。
 少子化の要因のまず第一は、我が国において近年、結婚年齢が上昇しているのみならず、結婚に対する意識の変化により未婚率が著しく上昇し、結婚しない男女が増加しています。特に、二十五歳から二十九歳までの女性について見ると、未婚率が昭和五十年に二○・九%であったものが平成六年には四六・○%と、飛躍的に増大しております。さらに、我が国の出生に関する大きな特徴として、婚外出生割合がほぼ一%前後と著しく低いことが挙げられます。出生率が二・○以上に回復しているスウェーデンの婚外出生割合は五○・四%、デンマークが四六・八%と、かなり高率に達しております。このことは、結婚した後に出産をするのが一般的な我が国と、同棲して出産し、その後結婚することが珍しくないヨーロッパとの出産・結婚観の違いが際立った対照を見せております。
 少子化の要因の第二は、女性の社会進出の増加が挙げられます。女性の高学歴化として、高校、大学の進学率を性別に見ると、高校進学率では昭和四十四年を境に女性の方が男性を上回り、平成六年では女性九六・八%、男性九四・六%となっています。また大学、短大への進学率を見ても、平成元年以降女性の進学率が男性を上回り、平成六年では女性四五・九%、男性四○・九%となっています。また女性の職場進出も増加しており、これを雇用者について見ると、昭和四十年から平成六年までの三十年間に女性の雇用者は千五百三万人ふえ、平成六年では雇用者として働く女性は二千三十四万人と、雇用者全体の三八・八%を占めるに至っております。しかし、女性の年齢別に見た労働力率をグラフにあらわすと、三十歳から三十四歳の部分が大きく減少する明確なM字型カーブを描いているのが特徴であります。このM字型カーブは、女性の就労を支援し、少子化に対応するためにも、女性が働きながら子供を生み育てることのできる環境づくりを進めていかなければならないことを物語っております。
 少子化要因の第三は、教育費等の子育てコストの増大が挙げられます。平成五年の「厚生白書」の試算によると、一人の子供が成人に達するまでに要する費用はおよそ二千万円を上回るとのことであります。加えて今日、子供のいじめ、不登校や、親の側にも育児不安、育児ノイローゼを初め、最近では幼児・児童虐待といった深刻な問題が起こっており、少子化が一段と進行する状況にあります。
 こうした状況を踏まえて厚生省は、平成六年三月に、二十一世紀福祉ビジョン少子・高齢社会に向けてとのビジョンを発表しました。同ビジョンでは、育児支援策に関し、安心して子供を生み育てられる社会的支援体制を整備するため、子育てを社会的に支援していくための総合的な計画、いわゆるエンゼルプランの策定の必要性が訴えられました。さらに、同年三月に児童手当法が改正され、四月には児童の権利に関する条約批准がなされてきました。同年十二月に、文部・厚生・労働・建設の四大臣合意による「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」と題するエンゼルプランが策定されました。同プランは、今後おおむね十年間を目途として、子育てに対する社会的支援を総合的かつ計画的に推進するため、保育、雇用、教育、住宅など各般にわたる施策が策定されました。また、エンゼルプランの施策の具体化の一環として、近年の保育ニーズの多様化に対応し、緊急に整備すべき保育対策として、平成六年十二月に、大蔵・厚生・自治の三大臣の合意により緊急保育対策等五カ年事業が策定されました。これにより、平成七年から十一年までの五年間に推進すべき保育対策の具体的目標が定められました。
 その項目を挙げてみると、ゼロ歳から二歳の低年齢保育六十万人の実施、延長保育七千カ所、一時的保育三千カ所、乳幼児健康支援デイサービス事業五百カ所、放課後児童クラブ九千カ所、保育所の多機能化のための整備千五百カ所、地域子育て支援センター三千カ所を実現するとしております。さらに、雇用保険法、健康保険法、国民年金法等の改正が行われ、平成七年四月より育児休業給付及び育児休業期間中の厚生年金保険料や健康保険料の本人負担額が免除されるようになりました。
 本年十二月三日、厚生省の中央児童福祉審議会基本問題部会が中間報告書をまとめました。同報告書は、少子社会にふさわしい保育システム、児童自立支援システムの確立、母子家庭の実態と施策の方向の三つの柱で取りまとめられており、保育システムでは子育てと就労の両立のため社会的支援の強化が必要とし、保育時間の延長や乳児保育の実施などサービスの多様化を図り、利用者が保育所や保育サービスを選択できるようにすべきと指摘しております。保育料については、サラリーマン世帯に不公平感の強かった所得税額にリンクした負担額から、保育コストや子供の年齢などで算出する均一保育料体系への変更を提案しております。さらに、全国に六千カ所ある放課後児童クラブを児童福祉法の体系の中に取り入れ、積極的に普及させるよう求めております。
 こうした国の施策等を受けて、本県においても県の少子化対策として、平成五年十一月に子育てに関する県民意識調査を実施し、平成七年三月には和歌山県子育て環境づくり推進協議会より子供が健やかに生まれ育つ環境づくりへの提言を受けて、平成八年度当初予算に五百万円を計上し、喜の国エンゼルプランの策定を目指しているところであります。
 そこで、西口知事にお尋ねをいたします。
 知事は、国のエンゼルプランや子育て環境づくり推進協議会の提言を受けてどのような喜の国エンゼルプランの策定を目指しているのか、さらに今後それらの施策をどう実施していくのか、お尋ねをいたします。
 次に、関係部長にお尋ねをいたします。
 一、緊急保育対策等五カ年事業の本県における実施状況と今後の施策をどう進めるのか。
 二、乳児や多子世帯の保育料の軽減や共働きの中間所得層の負担軽減や保育料の適正化を今後どう改善するのか。
 三、大阪府を初め兵庫県、滋賀県で実施されている保育所活動事業及び民間保育所運営費補助に対する県単事業を本県にも導入されてはどうか。
 四、平成七年四月よりすべての事業所で育児休業制度が導入されることになりましたが、本県での定着状況はどうか、また平成七年四月より開始された育児休業給付及び保険料負担の免除等の状況はどうか。
 以上、四点をお尋ねいたします。
 次に、第十五期中央教育審議会の答申を踏まえた文教施策についてお尋ねいたします。
 本年九月に、山口県のある大学附属中学校あてに学園祭の中止を求める手紙が届きました。その手紙には、「もし行事が行われるなら、自分は自殺をする」と書かれていました。学校側は、とりあえず学園祭を中止する決定をしました。これ以来、自殺を予告する手紙が全国的に広まる状況にあります。去る十一月二十九日の産経新聞にも、広島市西区の公立中学校に「二学期の期末試験を実施すれば自殺する」という内容の匿名の手紙が相次いで二通送付されてきたため、同校では期末試験の初日を通常授業に切りかえた旨の報道がありました。
 このように、ターゲットは学園祭だけではなく、体育祭、テストと拡大され、集団行動が求められる学校行事にねらいがつけられているのが特徴であります。今日、連鎖反応的に各地で起きているこの問題について私たちが注目しなければならないことは、学校の行事を中止させるのに自分の命を担保にしていることであります。私たちの子供時代では、せいぜい雨が降って行事が中止にならないかなと期待する程度でありましたが、四十年後の現在では子供の意識が大きく変わっていることを実感させられる次第であります。それは、自分の命を担保にできるほど今の子供たちにとっては命の重さが失われてきており、家族の存在が子供の命を引きとめておく力になっていないのではないかと危惧するからであります。
 また、いじめによる自殺事件においても、愛知県西尾市の中学二年生だった大河内君がみずから命を絶って二年が経過しました。この間に、文部省初め教育委員会、学校などで、いじめ問題の解決へのさまざまな取り組みや対策が推進されてきましたが、マスコミの報道によりますと、まことに残念なことに、平成八年においても小学生一人、中学生五人、高校生一人の七人がいじめを苦に自殺したと報じられております。子供たちは、学校や教育に必要以上にとらわれ、縛られている事態に陥り、生きる力を失い、家族にとって自分の生きていることが大きな要素であることが見えなくなってしまっているのではないかと心配するものであります。
 さらに先月、五十二歳の父親が中学三年生の息子を、家族に暴力を振るうという理由で金属バットで殴り殺してしまうという悲しい事件が起こりました。この男の子は、小学校一年から中学校一年まで七年間、学校を一日も休んだことがなかったそうです。それが、二年の夏休み明けから休み始め、登校拒否現象があらわれ、不登校状態の始まりと時を前後して家庭内暴力も始まりました。暴力が次第にひどくなるので、母親と姉は避難をし、家は父と子の二人暮らしとなりました。そして、息子にいきなり顔を殴られたことが引き金となり、父が息子を殺す悲劇が起こってしまいました。七年以上にわたる無欠席から息切れし、登校拒否に陥り、家庭内暴力へと進行する状況は典型的な事例と言って片づけられるものではありません。ここにも、学校あるいは教育が親子を縛ってしまう余り、本来安らぎの場であるはずの家庭が暴力の場に変わり、家族における親と子のいたわり合いの気持ちがどこかへ行ってしまったのかと、家庭が今まさに危機に瀕していることを実感しています。
 本年七月、文部省の第十五期中央教育審議会より、二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方についての第一次答申がありました。また同じ時期に、文部省のいじめ問題に関する専門家会議である児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議が「いじめ問題に関する総合的な取り組みについて 今こそ子供たちのために我々一人一人が行動するとき」と題する報告を取りまとめました。答申では、これから求められる資質や能力を、一、自分が課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する能力、二、みずからを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性とたくましく生きるための健康や体力、答申はこれらを「生きる力」と称し、今後の教育は、学校や家庭や地域社会が緊密に連携を図り、ゆとりの中で子供たちに生きる力をはぐくんでいくことが極めて重要であると述べております。さらに、これからの学校教育のあり方として、学校が「生きる力」の育成を基本として、知識を教え込む教育から、みずから学び、みずから考える教育への転換を目指すべきであり、特にボランティア活動、自然体験などの体験学習の充実を提言しております。
 本県においては、みずから学び、みずから考える教育への転換として、和歌山高校への総合学科の導入、さらに学校間連携の導入が行われてきております。平成九年度からは、吉備高校に総合学科が導入される運びと伺っております。ボランティア活動及び体験学習については、高校では平成五年から勤労体験学習総合推進事業が実施され、さらに平成八年から県立校十校で輝けハイスクール支援事業が行われています。小中学校における体験学習として、自然教室推進事業などが実施されてきております。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、吉備高校への総合学科の導入及び学校間連携の拡大にどう取り組まれるのか。
 二、生きる力を養う体験学習の実施を今後どう推進されるのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、答申では、いじめ、登校拒否の問題は、家庭、学校、地域社会が緊密に連携して取り組む重要性を強調しています。さらに報告においても、いじめの問題の解決に向けた具体的な取り組みとして、家庭、地域社会では家庭教育の重要性を再認識し、真に心の居場所となる家庭づくりなどが挙げられ、学校ではいじめる子供に対する適切な指導、及びいじめられる子供への弾力的な対応などが示されております。さらに教育委員会では、家庭教育に対する支援の充実や学校での取り組みに対する支援の充実などが示され、国においても一人一人を大切にして個性を生かす教育の充実や教員の資質・能力の向上などが示されております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、いじめ、登校拒否の本県の実態と、答申、報告を受けて今後の方策はどう進められるのか。
 二、今日、問題化している自殺予告等の問題を今後本県ではどう指導していくのか。
 三、家庭教育の充実と真の心の居場所となる家庭づくりをどう進めていくのか。
 四、急速に変化していく社会の中で、学校が諸課題に適切に対応していく上で、教員が社会の構成員としての視野をさらに広げるため、長期間にわたり学校以外の施設等において研修を行う長期社会体験研修が平成八年度から実施され、和歌山県初め七県一市で二百二十四人が参加することになりました。去る十月三十一日の新聞に、いじめ、不登校など教師の柔軟な対応が求められる中で、社会人としての視野を広げ、教育に還元させることを目的に、県内の学校から三十九人が民間企業に派遣される長期社会体験研修が実施された旨の報道がありました。教員の長期社会体験研修の実施状況と、今後どう進められるのか。
 五、子供たちにゆとりを確保するために、答申では、完全学校週五日制の実施を二十一世紀初頭を目途に進めることを提言しております。産業界におきましても、平成九年度から週法定労働時間四十時間制に全面移行する運びであります。ただし、二カ年間は行政指導期間とするとあるもので、来年、さらには西暦二○○○年までには産業界が週休二日制を達成する方途が示されております。そこで、完全学校週五日制の実施へ本県はどう取り組まれるのか。
 以上五点をお尋ねいたしまして、第一問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新田議員の、少子化等への対応についてのご質問でございます。
 我が国の少子化の進行の背景といたしましては、議員お話しのとおりでありますけれども、本県においても合計特殊出生率は平成五年の一・四六人を最低にいたしまして平成七年は一・五一人と、全国平均を若干上回る大変厳しい状況でございます。少子化対策は緊急な課題となっておるわけでございます。
 こうした中で、平成七年三月に、子育て環境づくり推進協議会から子供が健やかに生まれ育つ環境づくりへの提言をいただきまして、子育て環境づくりに積極的な取り組みがなされなければならないわけでございます。
 議員ご質問の喜の国エンゼルプランでございますけれども、協議会からいただきました提言に沿って、一つ目に社会的な啓発、二つ目に子育てと仕事の両立支援、三つ目に子育て家庭への支援、四つ目に子育てに優しい地域環境の整備、五つ目にゆとりある教育の推進、六つ目に推進体制の整備、この六項目について、平成九年度を初年度とする十八年度までの十カ年間に取り組むべき施策の基本的方向を示したいと考えてございます。計画の具体的施策の推進につきましては、二十一世紀を担う若い世代の育成のために、行政はもとより、家庭、地域社会、さらに企業等、社会全体で取り組み、子供を安心して生み健やかに育てられる環境づくりの推進に努めていきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 新田議員にお答えを申し上げます。
 まず、緊急保育対策等五カ年計画の本県における実施状況と今後の推進についてでございます。
 本県の緊急保育対策等五カ年事業の実施状況は、特別保育として乳児保育三十七カ所三百八人、障害児保育、国制度五十二カ所八十一人、県単独制度八十カ所百四十三人、延長保育は国制度、県単制度合わせて五十五カ所で実施しております。また、保育所地域活動事業三十六カ所、地域子育て支援センター一カ所、放課後児童クラブは十カ所で実施しております。
 今後、実施主体である市町村が積極的に地域のニーズを把握し、計画的に事業を実施するよう指導してまいります。特に、特別保育未実施の市町村に対しては、地域のニーズや社会的な要請にこたえられるよう強力に指導してまいりたいと考えてございます。
 本年度策定する喜の国エンゼルプランでは、特別保育推進のための具体的数値目標を設定し、未実施となっている一時的保育や開所時間延長、病後児保育を対象とした乳幼児健康支援デイサービス事業等の推進を図るとともに、国の法改正の動向を見ながら、育児と就労の両立支援のための利用しやすい保育所づくりを目指してまいりたいと考えてございます。
 次に、保育料の負担軽減、適正化についてでございます。
 保育料は、児童福祉法に基づき十階層区分の徴収基準が示されており、市町村長が各自治体の実情に応じて徴収金を定めることとされています。保育料の軽減について、国では平成七年度より乳児保育の加算については廃止されており、また多子世帯の三人目からの徴収基準が十分の一に軽減され、本年度さらに所得制限が撤廃されたところであります。
 議員ご指摘のとおり、共働き家庭の高負担感、サラリーマン世帯と自営業者間の負担の不公平感があると言われているのも事実であり、現在、中央児童福祉審議会でもこの問題が討議されており、ご指摘のような中間報告が出されたところであります。県といたしましては、子育ての経済的負担を軽減する観点から、同一世帯から保育所と児童福祉施設に措置されている場合についても軽減制度の適用を図れるよう国へ要望しているところであります。
 次に保育所地域活動事業は、保育所の有する専門的機能を幅広く住民に提供し、地域福祉の向上を図っていく事業で、老人福祉施設の訪問や育児講座の開設、地域の異年齢児との交流の場の提供などメニュー事業であり、本県では三十六カ所の保育所で実施されています。今後も、この国庫補助事業のさらなる充実とともに、県単独事業につきましては、地域の要望を見ながら検討してまいりたいと考えています。
 次に、民間運営費補助についてでございます。
 少子化による充足率の問題や労働時間短縮における職員の増員等、運営上の困難が言われているところでありますが、特別保育、地域活動事業などを積極的に進めていただく中で、措置費の上積みや補助金の増額により対処していただいているところであります。県といたしましては、県単独の運営費補助は現時点において考えてございませんが、今まで国に対し措置費の改善を強く要望しているところであり、検討されている法改正において措置費がどのように改善されていくか見守ってまいりたいと考えてございます。
 次に、育児休業制度に伴う保険料負担の免除の状況についてでございます。
 一歳未満の子を養育するため、育児・介護休業法により育児休業をしている健康保険及び厚生年金保険の被保険者については、本人の申し出により被保険者負担分の保険料が免除されることとなっております。本県における免除申請件数は、法施行時の平成七年度が二百六十二件、平成八年度は十月末現在で百四十六件で、月平均で約二十件となっております。事業主及び被保険者に対する周知に努めているところですが、育児・介護休業法を所管する商工労働部門とも連携をとりながら一層の周知を図りたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 本県における育児休業制度の定着状況についてでございます。
 県で実施している労働時間等実態調査によると、就業規則、労働協約等に育児休業制度を定めている事業所は平成六年十二月時点で三九・三%でありましたのが、本年九月時点の調査では四八・九%と、この間、二年間で約一○ポイントの伸びを示しております。
 次に育児休業給付の支給状況でございますが、平成七年四月一日に制度が創設されて以来、本年十月末現在までの受給者の実人員は四百七十九名となってございます。県といたしましては、指導監督機関である和歌山婦人少年室と連携を図りながら、啓発セミナーの開催やパンフレットの配布等により育児休業制度の定着に努めているところでございます。
 また育児休業給付につきましては、雇用保険適用事業所の事業主や各種団体等を対象に制度説明会を実施するとともに、被保険者に対しても冊子を配布するなど、幅広く周知に努めているところでございます。今後、より一層の周知啓発に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題七点についてお答えいたします。
 来年四月開設予定の吉備高校の総合学科につきましては、福祉や新しい農業を目指すグリーンテクノ等の特色ある六つの系列を設け、百二十余りの科目から生徒が主体的に選択して学べるようになっております。また、生徒全員に園芸の授業を通して、命の大切さや働くことの喜びなどを学ばせることとしております。
 学校間連携につきましては、現在、和歌山市内及び田辺・西牟婁地方で実施しておりますが、これまでの成果を踏まえ、来年度は伊都地方の六校間での実施を目指して準備を進めるとともに、県内各地域での多様な連携の実施についても研究を行っているところであります。
 次に、体験学習についてでございます。
 小中学校では、飼育、栽培、社会見学を初め、少年自然の家を利用した活動、また高校では課題研究やさまざまなボランティア活動への参加などを進めてございます。子供にとって、生きて働く学力を身につけ、豊かな感性、主体性をはぐくむ上で重要な教育的意義を持つものでございますので、今後はさらに家庭や地域社会など、学校外でのさまざまな体験活動を一層重視してまいりたいと考えます。
 次に、平成七年度、本県のいじめ発生件数は公立学校合わせて二百五十五件となっており、登校拒否については三十日以上欠席した児童生徒は小中学校で一千二名となっております。
 こうした状況を厳しく受けとめ、本年度は新たにいじめ防止ポスターの作成や県内八地方での登校拒否・いじめを考えるフォーラムの開催、学校等へのカウンセラー派遣事業などを実施してまいりました。とりわけ、文部省のいじめ対策地域連携モデル市町村の指定を受けた湯浅町では、地域ぐるみのいじめのない街づくり推進会議を設置して、あいさつ運動や啓発を進めてございます。今後とも、学校、家庭、地域社会が連携した取り組みを一層推進してまいりたいと存じます。
 なお、いじめを防止するための年度途中での学級編制がえや転校などにつきましては、弾力的な措置等について周知を図ってございます。
 次に、最近子供が学校行事やテストの中止を求めて自殺を予告する電話をかけるといったことが相次いでおり、このような風潮を憂慮しているところでございます。こうした予告に対しては、当該生徒の命を守るという観点と他の児童生徒全体に学習機会を確保するという両面から慎重に対応する必要があります。
 教育委員会といたしましては、こうした行為が決して悩みや問題の解決につながらないばかりか、多くの生徒を混乱させること、またとうとい命を軽視するという許されない行為であることを徹底するよう指導してございます。また、このような予告があったときは、学校は全教職員の一致協力のもとに児童生徒の状況を的確に把握するとともに、家庭やPTA及び関係機関とも十分連携を図りながら、万全を期した上で態度を決定することが大切であります。今後とも、子供の気持ちを受けとめる相談体制の充実を図るとともに、適切な対応について、県立学校並びに市町村教育委員会に対し指導してまいりたいと考えております。
 次に家庭教育の充実についてでありますが、近年、核家族化や少子化、地域における連帯感の希薄化などが一段と進む中、家庭環境も大きく変化してきてございます。こうした時代にあっては、子供の人間形成の基礎となる生活習慣や豊かな情操などを培う家庭教育の重要性をいま一度見直す必要があると考えます。
 教育委員会といたしましては、医師や専門家の協力を得て、家庭教育充実事業として子育てに関する情報提供をテレビ放送やパンフレットなどで行うとともに、親が気軽に利用できる巡回相談、電話相談の充実に努めているところであります。今後は、特に父親が積極的に家庭教育へ参加できる事業や親子の社会体験、交流等を取り入れた事業を実施するなどして、家庭の教育力を回復させるための環境づくりを支援してまいりたいと考えてございます。
 次に、教員の長期社会体験研修についてでございます。
 この研修は、教員の社会的視野を広げる観点から、文部省が今年度初めて全国七府県一市において取り組む事業であり、本県もこれを受けて実施しているものでございます。今年度は小・中・高校及び特殊教育諸学校から合計三十七名の教員を、七月末から最大限八カ月間、銀行、大規模小売店、製造業、特別養護老人ホームなど二十六カ所に派遣いたしております。
 先般、本県で開催した近畿の教育委員会議においても体験発表を行ったところですが、研修を修了した教員からは、仕事に対する強い自覚と厳しい姿勢を実感できた、組織内での連携の強さを学んだ、学校以外における子供の姿を通して家庭教育の実態をかいま見ることができたなどの報告を受けております。本研修での社会体験がこれからの学校教育のさまざまな場で生かされるものと、期待しているところでございます。今後とも、より充実した研修となるよう、期間、内容などに工夫を加えながら、引き続き実施してまいりたいと考えてございます。
 最後に学校週五日制につきましては、新しい学力観に立つ教育を推進するための重要な施策として、現在まで月二回実施し、研究してまいりました。特に平成七、八年度には、県内八地域において本県独自の学校外活動推進モデル事業を実施し、学校と社会教育関係団体が協力してさまざまなプログラムを提供し、五日制の完全実施を展望した基盤づくりを進めてまいりました。今後、こうした事業の成果を生かし、市町村等との連携を図りながら、地域社会の持つ教育機能の有効な活用に努めるとともに、公民館などの社会教育施設の活性化を図り、子供が仲間と楽しく学び合い、活動できる場の充実に一層努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 38番新田和弘君。
○新田和弘君 ただいま西口知事さん初め関係部長の皆さんからご答弁をいただきましたので、若干要望を申し上げさせていただきたいと思います。
 十一月二十五日の新聞の社説に、「国民生活白書」について、「結婚と子育ての夢広げよ」という記事がございました。その中で、子育ては楽しいとする母親が国際比較されておりまして、楽しいとする母親がアメリカでは七二%、韓国では五四%、それに比べて日本が二三%である。これについて新聞の方は、現役世代の負担をもっと軽くして、結婚とか子育てに夢を持てるようにすべきではないかと述べておりました。
 そういう意味からも、先ほど答弁がございました緊急保育対策等五カ年事業、並びに喜の国エンゼルプランの今後十年にわたる施策を強力に推進していただきたいと思う次第でございます。
 二点目に、教育の問題でございます。
 これも十二月二日の朝日新聞に「おやじの背中」というコラムがございまして、女優の中村メイコさんがこういう文章を載せております。「父は、寺子屋式マンツーマンで私を教育してくれました。自由人で『何もかも一律にそろいすぎる学校教育はきらいだ』という考えでしたから、私は小学校までで、中学校は行っていません。 『夕焼けはなぜ赤い』。小学校三年の時、理科の試験でそんな問題が出たことがあります。父にきいていた通り『空が恥ずかしがってるから』と書いたら、ペンペンッと乱暴にバツがついて返ってきました。『どうしてうそを教えたの』と言うと、父はとたんに不機嫌になって『どちらもうそじゃない。考えて出す答えはいくつもあっていい』」云々と、この文章を通じて中村メイ子さんは、お父さんから教わった一番大切なものとして、「『答えはひとつじゃない、それが人生』の発想だった」ということを知ったと述べております。
 そういった意味で、私は今回、この子育ての問題、教育の問題を通じて、改めて家庭教育の重要性ということを皆さんに申し上げたかった次第でございます。
 本県においては、昭和四十二年十月の第三日曜日から「家庭の日」というのが設置されて既に三十年を迎えようしているわけでございますが、現在の少子化の問題、また教育問題における家庭のあり方等を含めて、今後県におかれても、この「家庭の日」を十二分に活用して、各家庭がすばらしい心の居場所となれるような家庭づくりができるようご要望をさせていただき、質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番大沢広太郎君。
 〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 ことしの二月議会でもこの件につき質問をさせていただきましたが、その後、梅農家より再度現地視察の要望があり、調査をさせていただきました。その結果は、次のとおりであります。
 田辺市の梅農家において被害がますます拡大し、平成八年の被害調査では、実面積百八ヘクタール、本数では約三万二千本、被害農家は六百八十七戸と、平成七年の調査より、本数では約一万二千本、戸数においては二百四十三戸の増加となっております。
 この急速に進む被害をどのようにして食いとめるか、一日も早く行政や大学の研究所等によるプロジェクトチームを結成し、大がかりな原因究明を願っておりましたが、ことしの春に西口知事のご英断により、御坊市にある和歌山県暖地園芸センター内に六名の梅対策チーム、すなわち梅生育不良の原因究明なるプロジェクトチームを設置していただいたのであります。まさに、サービス・スピード・シャープを行政目標に掲げ取り組んでいる西口県政ならこそであると関係者一同感謝し、一日も早い原因究明の成果に期待しているところであります。しかし、残念ながらこの被害はおさまるところを知らず、田辺市はもちろんのこと、西牟婁郡や日高郡にも被害が広がっているのであります。ことしに入り、田辺市、上富田町にあっては園地面積の約八%に達し、南部郷にあっては約三%となり、全体の総被害本数は約四万七千本にも達しており、今後もその被害が拡大していく感があります。
 地場産業も海外へ工場が移され、産業の空洞化が心配される中で、梅産業は、地元に根づき、県内では五百億円産業とも言われており、本県にとりましても大きな基幹産業であります。このような中で、梅の生育不良に対し、梅生産農家の方は、みずから寝食を忘れて取り組んでおり、あるときは農薬業者、肥料業者から何十万円もする農薬や肥料を購入して試験的に使用したがだめだったと肩を落とされた話をされているのであります。
 この原因として、水不足説、なり過ぎ説、土壌悪化説、病原性バクテリア説、大気汚染説など関係者の間で話が交わされておりますが、関西電力の火力発電の煙突から出る排気ガスが原因と多くの関係者の中でささやかれているのであります。私もその理由について伺ったことがありますが、この梅の生育不良は御坊火力発電所が操業を始めた昭和五十九年以降において被害が発生しているという統計からの説明であります。お年寄りの話では、昔も一本、二本の梅の木は枯れたことがあるが、このように多くの梅の木が枯れ、山桜が枯れ、植林している木が枯れる今のような状況は記憶にないと言っておりました。植物でありますから一本や二本の木が枯れるということは理解できますが、この状況は異常であると言わなければなりません。
 ここ田辺市に、秋津川のAさんが記録している農園の状況などの資料があります。これによりますと、昭和五十四年に近代化資金六百九十万円を借りて畑を開き、面積五十アールに南高梅百本と小梅六十本を植え、順調に生育していたということです。昭和五十九年から六十年にかけて、御坊火力発電所の火力発電一号機から三号機の運転が開始されました。昭和六十一年に、田辺市秋津川の山桜に障害が出てきたということであります。六十二年には当園の梅の木にも障害が出始め、平成元年五本、平成二年五本、平成三年十本、平成四年二十本、平成五年三十本、平成六年六十本、平成七年二十本、平成八年十本と、この農園は補植をしておりますものの、近代化資金を返済した平成八年には先に植えた梅の木はすべて枯れたという状況にあります。このような経緯から考えて、梅生産者の中には、御坊発電所の排煙、つまり硫黄分あるいは窒素分等が一因しているのではないかと疑う方もおるわけであります。
 去る九月二十八日、上秋津の会館にて、三重大学の生物資源学部の谷山教授を招いて、酸性雨など環境、公害問題に関する勉強会が開かれ、そのときの講演の中に、低濃度であっても酸性雨プラスオゾンというような複合的影響が問題であり、ガス、ばいじん、霧による光合成能力の低下が根の生育に障害となり立ち枯れを起こしている、その最大の発生源である火電の公害対策を要求すべきであるとの発表がありました。また、公的研究機関や学識経験者の先生方の中には、その原因が土壌、栽培管理面あるいはバクテリア説を唱える方もおられるようであります。関西電力も、疑惑払拭のため「大気環境と梅」なるパンフ類を作成し、因果関係がないことを主張しています。企業側の論理としてはこのこと自体わからないわけでもありませんが、公益企業である関西電力は、梅の生育不良の原因究明、あるいは樹勢回復がない限り疑惑は解消されず、問題は解決しないものと考えています。
 そして今、平成八年十月二十二日に御坊第二火力発電所建設の計画が明らかになりました。現在の発電規模が百八十万キロワットであり、今回の計画ではさらに四百万キロワットを増設するということで、オリマルジョンという、原油以上に高濃度の硫黄分を含有するものを燃料とすると聞いております。関電は、これに対しては、高性能脱硫装置、高性能脱硝装置及び集じん装置を採用し、万全な環境保全対策をとると発表しておりますが、関係者は不安を感じているのであります。
 このため、平成八年十一月十八日には西牟婁地方広域果樹営農対策委員会から、また平成八年十一月二十一日には紀南農業協同組合から関西電力株式会社社長あてに要望書が提出されております。その内容として、一、御坊第二発電所の建設は、梅生育障害との因果関係解明まで繰り延べされたい、一、現稼働中の御坊火力発電所に脱硫装置を設置、脱硝、集じん装置等についても高性能化を図られたい、一、梅生育障害の原因究明と対策の早期確立に積極的に取り組んでいただきたいとの内容でありました。
 そこで、知事初め関係部長に、五点についてお尋ねをいたします。
 一、平成七年二月二十一日に、梅の生育不良に対して適切な対応をしてほしい旨を県に対して要望しております。また先般は、関西電力株式会社に対して、西牟婁地方広域果樹営農対策委員会や紀南農業協同組合がさきに申し上げた内容の要望を行っているのであります。原因のわからないまま第二火力発電所の建設計画を進めることは、梅生産農家や関係者の不安を募らすものと危惧するものでありますが、県民の立場に立って県政を推進することをモットーにされている知事のご所見をお伺い申し上げます。
 二、この生育不良の発生は約十年前の昭和六十年ごろからとも言われておりますが、御坊火力発電所との因果関係などについて、またこうした現実と生産者の苦しみをどのように県当局はとらえ、対処されてきたのか、お尋ねをいたします。
 三、地域社会の公器として存在する関西電力は、公に対する妥当なコストを払っていくことも重要であり、このことが地域と企業の共生的な姿勢の今日的なあり方ではないかと考えますが、そういう視点に立てば、県当局は関西電力に対し、この梅問題に関してどのような公益的な役割を望み、今後指導していくのか、お尋ねをいたします。
 四、生産者の中には御坊火力発電所に脱硫装置を設置せよとの強い要望があるが、これに対して関西電力は極めて低硫黄原油の使用で環境濃度への影響も認められないと言っております。それが微量とはいえ全く一○○%でないならば、生産者の声を受ける行政当局としてどのように関西電力に対処していくのか、お尋ねをいたします。
 五、一日も早い原因究明を行っていくとともに、樹勢回復対策を実施していく中から原因を見出す方が事が賢明なのではないかと考えます。さらに、将来的地場産業発展のためにも専門機関の開設を大いに望んでいる中で、県としてはどのように考えているのか、お尋ねをいたします。
 次に、交通体系の整備についてお伺いをいたします。
 山の木々も色づき、紅葉し始めた先月の十一月六日、朝食をとりながら、西口知事のふるさとである上芳養方面に仕事で足を運ぼうと思いつつ、各朝刊に目を通しておりました。朝日新聞の社説、社会面、そして「論壇」と目を通すと、そこにはよく見かけたことのある顔写真が目に入りました。「西口知事や」と、一瞬はっといたしました。いつも見なれているお顔であり、また和歌山版なら驚きもしないのですが、なぜこんな面に載っているのか不思議に思い、見出しに目を通すと、「道路特定財源制度の堅持を」とありました。この記事は、「主張・解説」というコーナーに六段にわたって大きな記事で構成されておりました。数日後、この記事のことにつき、ある知人に聞いたところ、記者が取材をして書いたのではなく、西口知事本人より新聞社への投稿であり、みずから原稿を送ってきた記事だとのことでありました。
 この記事では、「最近、『道路はもうできているからいい』『旧国鉄の赤字解消のため、道路の特定財源を見直せ』といった議論が聞こえてくる。しかし、これは地方の実情を無視し、目先の狭い経済効率の尺度だけで物事を論じている」といった書き出しから始まっています。また最後の部分に、「我が県には全国で唯一、飛び地の村である北山村があるが、県境が入り組んでいること(中略)などから、北山村に通じる国道一六九号は、歩いてしか通れなかった。七月三十日、和歌山県側から直接アクセスできる二車線の『奥瀞道路』が開通した。その開通式は、村人総出で行われた。これまで『陸の孤島』的だった村にとって、いかに待望の道路であったか。都市の人々にとっては一時代前にタイムスリップしたかのような話だが、これが現実である。こうした素朴な、そして熱い願いと地方の現実をもっと分かっていただきたいと思う」と書いてありました。
 この道路特定財源は、道路を緊急かつ計画的に整備するため戦後に設けられた制度で、揮発油税や自動車重量税、石油ガス税など、国や地方自治体に納められる税を財源として使うもので、これによって我が国の高速道路や幹線道路の整備が推進され、日本の経済発展を支えてきたのだと思います。また、この記事の中で知事は、「道路特定財源を他の用途に転用するよりも、高速道路整備への公的助成を拡大するなどして、これからの高速道路や地域交流のための道路づくりの促進を図っていただきたい」と主張しているほか、最後の部分で、「道路特定財源制度は、我が国の高速道路などが欧米並みの水準に達すると予定される二十一世紀初頭までの間は、ぜひとも堅持することが必要である」と結んでいました。
 前知事の仮谷さんは、「道路の仮谷」と言われたほど、あらゆる知恵を絞って道路整備を推進されてきました。例えば、自治省のふるさとづくり事業で水上栃谷トンネルを通したり、農林水産省の関係ではスーパー林道を多く整備する等、建設省以外の予算で道路整備を進めるなど奮闘し、過疎対策や観光立県施策を推し進めてこられました。また西口知事も、県内どこからでも二時間で行ける交通体系の整備をと、県内二時間交通を選挙の公約に掲げ、和歌山県の浮上に取り組まれています。
 先月の二十九日には近畿自動車道紀勢線の海南・吉備間の四車線化と南部・白浜間の新たな建設に向け都市計画が決定されたことは、近く着工される御坊・南部間の延長とあわせて、紀南地方の浮上発展に大きなウエートを占めています。しかしながら、この白浜までのハイウエー構想で、二十一世紀初頭にオープンの予定では年月がかかるほか、低迷する我が国の経済情勢ではさらに遅くなる可能性も懸念されます。
 そこで、西口知事に、この道路特定財源制度の活用と県内二時間交通施策を含めた交通体系整備のさらなる取り組みについてお尋ねをいたします。
 また、ことしの春には湯浅御坊道路が御坊市まで延伸してオープンの運びとなり、京阪神からは紀南地方がぐっと近くなり、これまで以上に紀南への行楽が身近なものとなり、アウトドアブームや週休二日制の定着や長期休暇制度の普及によって、今後も数多くの景勝地や温泉地、それに文化施設を有する紀南地方に多くの人たちが訪れることが予想され、観光立県を推し進めている本県にとってはまことにありがたいことであります。しかし、ハイウエーの整備で、休日には国道四十二号を中心とした周辺道路では大きな交通渋滞が生じているのが現状であります。この大渋滞という厄介なことを解消させないと、紀南へ行ったら大渋滞に巻き込まれて大変だということが行楽客の頭の中にこびりついてしまうと紀南観光の将来に悪い影響を与えます。また田辺市においても、旧白浜有料道路入り口の新庄地区を初め、元町交差点から稲成周辺の交差点にかけて、平日、休日を問わず渋滞が生じているほか、最近では稲成地区に大型スーパーがオープンしたことでますます車両もふえ、大きな渋滞が生じていることも事実であります。
 一方、山間地を多く抱える本県では幹線道路整備がおくれていると言われてきましたが、国道三百十一号や国道三百七十一号など、西口知事の唱える県内二時間交通構想は着実に前進しているのか、現状をお伺いいたします。
 また次の問題点として、例えば乗用車で中辺路町から和歌山市まで、これまで二時間半から三時間ほどかかっていましたが、水上栃谷トンネル、白馬トンネルの開通、あわせてハイウエーの御坊南伸整備で、現在では和歌山市までこのハイウエーを使うなどして走ると二時間を切るといった時間短縮が図られております。
 一方、一番急いでいる朝夕の通勤時間では、和歌山インターから紀の川大橋を渡って松江地区方面に行くには一時間前後の所要時間を見込まないといけないのが現状であります。加えて、田辺市郊外のバイパス周辺においての休日やその前後に、京阪神からの観光客の車と市内への買い物客などの乗用車が入りまじって大変な渋滞へと巻き込まれるケースがあります。
 このように、和歌山市内や田辺市内、そして有田市から下津町、海南市にかけての国道四十二号等の渋滞解消もしくは緩和対策について、県当局の取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。
 以上をもちまして、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 大沢議員にお答えをいたします。
 まず第一に、梅問題に関連してであります。
 御坊第二発電所につきましては、本定例会冒頭の説明で申し上げたところでございますけれども、私といたしましては、適地性、安全性及び地元の同意という従来の基本的な考え方に基づきまして、さらに地域振興の立場から対応していくことを申し上げておるわけであります。現在、学識者による電源立地アドバイザーから専門的な立場で助言をいただくとともに、ご指摘の梅、大気汚染などの問題も含めて、関係部局において慎重に環境影響調査書の審査を行っているところでございます。
 特に、お話のございました梅の生育不良につきましては、私も出身地ということもございまして何度も現地を訪れ、同時にこの目で見、また農家の方々から切実な声をお聞きいたしてございます。
 紀南地域にとって梅は基幹産業であり、その生育不良の早期解明と一層の振興は県の重要課題であると認識いたしております。県といたしましては、暖地園芸センター内に梅対策チームを設置いたしまして試験研究体制の充実を図ってまいったところでありますが、先般十二月四日の政府要望においても、この生育不良の原因究明と樹勢回復対策等を農林水産省等、国に対して強く要望をいたしております。
 梅の一層の振興対策につきましては、当面の対応策として、さらに現地での試験を実施するとともに、指導強化のため職員の駐在も含め、前進基地の設置等を検討中でございます。将来の試験研究機関のあり方等についても、地元の市町村と協議をしてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、県の基幹産業としての梅産業の振興については、今後ともなお一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、道路整備についてのお話でございます。
 本県は、大変すばらしい自然、さらに豊かな歴史、文化に恵まれておるわけでありますが、一方、国土軸から離れた半島に位置するということもあって高速道路を初めとする幹線道路網の整備がおくれておることは事実でございまして、道路整備はまだまだこれから必要であろうと思っております。
 このためには、従来、道路整備の財源としてまいりました揮発油税、自動車重量税等の特定財源の確保は絶対欠かせない要件でございます。先般の九月議会におきましても、「道路特定財源の堅持等に関する意見書」を初日にご採択をいただいたわけでありますが、私といたしましても、できるだけ多くの方々にその意味を理解し賛同をいただくために、先日、新聞の「論壇」にも投稿したものでございます。今後とも、道路特定財源の堅持に向けて、国、関係機関等に強く要望を行ってまいります。同時に、先ほどお話もございましたように、関係省庁の各種施策、そういうふうなものも十分幅広く活用していきながら県内の交通体系の整備を進めていきたいと考えてございます。議員各位の一層のご支援をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 他の問題につきましては、関係部長から答弁をいたします。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 大沢議員の梅の生育不良と御坊火力発電所についてのうち、御坊火力発電所との因果関係と生産者に対する県当局の対応についてお答えいたします。
 梅の生育不良につきましては、これまで暖地園芸センターと果樹園芸試験場が中心となって、国の研究機関や大学の専門家のご指導をいただきながら、土壌関係を初め栽培面、病理面、環境面など総合的な視点から原因の解明に向けて積極的に取り組んできたところでございます。この間、その試験成績や技術対策につきましては、県うめ対策協議会等で検討、分析を行い、現地のうめ対策協議会等を通じ、樹勢回復対策などを盛り込んだ技術指針として提示するなど、その対応に努めてございます。しかしながら、関係者の懸命の努力にもかかわらず原因が明らかでない段階にあって、農家の不安には切実なものがあり、そのご労苦に胸が痛む思いがいたします。
 県といたしましては、この問題を県農業の最重点課題として位置づけ、今回、県議会農林水産委員会、ウルグアイ・ラウンド対策農林水産振興議員連盟の積極的なご協力をいただきながら、知事を先頭に政府、国会に対し現地の厳しい実情を訴えるとともに、平成九年度政府予算において原因究明のための研究予算が確保されるよう強く働きかけを行ったところでございます。
 いずれにいたしましても、梅産業は紀南経済を支える重要な柱であり、生育不良の早期解明は喫緊の課題と認識してございまして、今後とも、生産者はもちろんのこと、農業団体や関係機関と一体となって取り組む決意でございます。
 次に、公益企業としての関西電力に対する県の指導についてでございます。
 知事も申し上げましたように、梅は紀南地域の基幹産業であり、今後ますます重要な産業になると認識してございます。生育不良の原因が明らかになっていない現段階にあって、梅を核とした地域振興を図る上で、お話のように地域と企業の共生といいますか、共存共栄を図ることは企業の姿勢として大切なことであると考えてございます。こうした観点から、関西電力に対し、梅の生育不良の調査研究に関し積極的な協力を要請するとともに、今後とも県、市町村初め地元のうめ対策協議会等、関係機関と一体となって取り組むよう強く協力を求めてまいりたいと存じます。
 次に、原因究明のための専門機関の設置についてでございます。
 樹勢回復対策に関連してでございますが、原因究明の一環として、暖地園芸センター、果樹園芸試験場初め、農林水産技術会議果樹部会や県及び地元の対策協議会が連携を図りながら、これまで剪定による樹勢の維持、有機物の施用による土づくりなど、樹勢回復のための技術対策を実施してきたところでございます。こうした中で、これまで実証展示圃等において発育枝の発生やpHの改善が見られるなど、一部に樹勢回復の兆しも見受けられてございます。
 これらの成果をもとに、県といたしましては、土壌改良による樹勢回復対策や改植推進により一層力を注ぐとともに、関係機関の協力をいただきながら、大気環境調査についても継続実施してまいる所存でございます。
 また、本年四月、暖地園芸センターに専属の梅対策チームを設置して研究体制の充実を図るとともに、生産現場に密着した体制整備を図る観点から、地元市町村の協力もいただきながら、日高、田辺それぞれの地域に研究員や普及員が駐在し、現地試験の実施や農家との情報交換等が行えるよう現地前進基地を設置することを現在検討してございまして、今後、現地での対応に万全を期してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 大沢議員の梅の生育不良についてのご質問のうち、脱硫装置の設置要望に対する県の指導についてお答えをいたします。
 既設御坊発電所につきましては、燃料中の硫黄分が○・一%と特に低い燃料を使用しており、脱硫装置で対応している他の石油火力発電所と同等以上の公害防止効果となってございます。既設御坊発電所に係る公害防止につきましては、県、御坊市、美浜町と関西電力株式会社で公害防止協定を締結し、厳しい基準を設けて対応してまいったところでございまして、御坊市周辺地域での大気汚染常時監視の結果、現状では発電所の稼働前と比べ特段の変化も見られず、環境基準を下回っている状況でございます。しかし、田辺市等において梅生育不良の問題が生じておりまして、原因究明の地元要望があり、現地において関西電力株式会社は測定局を設け、また県においても移動測定車で大気汚染の測定を実施いたしておりますが、これまでの結果では、二酸化硫黄等、大気汚染物質の濃度は低い状況であり、当該地域でも環境基準を下回っているところでございます。
 なお、今後とも引き続き関係部局と連携をとりながら厳しく監視するとともに、必要があれば関西電力株式会社に対して強く指導を行ってまいりたいと考えてございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 大沢議員のご質問にお答えします。
 和歌山県の道路整備についてでございます。
 まず、県内の二時間交通圏構想の現状についてでございます。県内の主要都市間を二時間で結ぶ構想を実現するため、その根幹となる近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道を初めとし、南北三軸、東西五軸の考え方を基本として幹線道路網の整備を推進しているところでございます。その中で、湯浅御坊道路が本年三月末に御坊まで供用されたのを初め、国道四十二号日置川道路が本年度末に、さらに国道三百十一号については平成十年度を目途に、おおむね全区間の改良が完了できるよう努めているところでございます。引き続き、県内二時間交通圏構想をより確実なものとするため、道路整備に積極的に取り組んでまいります。
 次に、市街地域における交通渋滞の緩和策についてのご質問でございます。
 これにつきましては、和歌山県道路交通渋滞対策協議会という組織をつくっておりますけれども、ここで平成五年に新渋滞対策プログラムを作成しております。現在、このプログラムに基づいて、バイパス工事や交差点、信号機等の改良を行っております。一方、ピーク時の渋滞の平準化等を目指すなど、交通需要の調整を行う施策も検討しているところでございます。
 具体的には、田辺市内の渋滞対策といたしまして、田辺バイパスの北伸である田辺西バイパスを先般都市計画決定したところであり、今後、早期事業化に向け、国に強く働きかけてまいります。また、有田市から海南市にかけては、当面の対策として小南交差点の改良工事が行われているところでございます。さらに、和歌山市内につきましては、特に混雑が激しい紀の川渡河部での渋滞を緩和するため、和歌山北バイパスの事業が進められておりますが、今年度は一部工事に着手し、平成九年度には新南海橋の基礎工事に着手する予定と聞いております。今後とも、これらの施策の早期実現に向け、積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 1番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 ただいま、西口知事初め関係部長から答弁をいただきました。二点ばかり要望をさせていただきたいと思います。
 「とにもかく 梅におおきし かけし里」、これは南部町の元教育長で故人となられた中川長三郎氏の俳句であります。南部川流域初め田辺市、西牟婁郡にあっては、一粒でも多い梅の収穫に家族の生活がかかっている農家が多くあり、梅の生育不良が改善されることにわらをもつかむ思いで過ごしているのであります。
 このような梅生産者や関係者の心中を察し、本年の九月議会では農林水産委員会において長時間にわたって審議をしていただき、また十月には現地調査などしていただいております。しかし、先ほども述べさせていただきましたように、多くの梅の木が枯れ、山桜が枯れ、植林している木が枯れるこの現状は、植物だけの問題ではなく、いつかは我々にも何らかの影響が出るのではないだろうかと心配であります。一日も早い原因究明を、県はもちろんのこと、国の方でもやっていただかなくてはなりません。また、関西電力あてに出されている要望書につきましても、関電に対して早急に指導・協議をしていただくことを切にお願いを申し上げたいと思います。
 それから道路整備についてでありますが、湯浅御坊道路が開通し、紀南から和歌山まで時間的に近くなり、まことに便利になったことを痛感するものであります。県内二時間交通圏構想をより早く確実なものにしていただき、県下全体の渋滞解消に全面的に取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十分休憩
  ─────────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番松本泰造君。
 〔松本泰造君、登壇〕(拍手)
○松本泰造君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。なお、一般質問も七番目ということになりますと重複する箇所もありますけれども、お許しをいただきまして質問を続けたいと思います。
 さて、十一月二十九日に召集をされた第百三十九臨時国会において、所信表明演説に立った橋本首相は、「我が国は高齢化の進展、財政の危機的状況、産業の空洞化など山積する課題に直面し、放置すれば世界の潮流から取り残されかねない。今こそ政治、行政、経済、社会の変革と創造を何としてもやり遂げねばならない」との強い決意と危機感を述べ、一人一人が将来に夢や目標を抱き、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できる社会を目指し、その実現のため五つの改革を最重要課題として掲げ、特に行政改革では中央省庁再編を中核として進め、同時に大幅な規制撤廃と緩和、地方や民間への業務や権限の移譲についても抜本的見直しを行う考えを示し、なかんずく行政改革には、いろんな抵抗や困難が予想されるが、火だるまになってでもやり抜く決意を表明し、行政改革会議で一年以内に成案を取りまとめ、一九九八年の通常国会に法案を提出して二〇〇一年一月一日までに新体制へ移行というスケジュールを提示して国民の協力を要請したところでありますけれども、果たして計画どおり改革が進むのかどうか、二十一世紀の我が国の浮沈がかかっているだけに、その実行に大きな期待を寄せるところであります。
 さて、和歌山県においては、一年前に西口知事が就任以来、「変革と信頼の県政」を旗印に掲げ、行政改革大綱に基づき重点項目である行政組織の見直しを行い、第一弾として本年四月に本庁組織の再編が実施されたところであります。
 そこで、まず最初に、本県における今後の行財政改革について質問をいたします。
 最近の新聞紙上では、国はもとより各地方自治体においても大幅なリストラの断行や行財政改革への取り組み等々の記事が連日掲載され、国、地方を問わず、行財政改革への取り組みが大きなうねりとなりつつあります。
 そこで、第一点として、こうした国の姿勢や各地方自治体の改革熱が高まる中で、本県では行政組織の改革第二弾として、来春の人事異動時期に向けて、出先機関や外郭団体等を含めた見直しや組織の簡素効率化等、どのような検討が加えられつつあるのか、取り組みと決意のほどを伺いたいと思います。
 第二点目としては、行財政改革を単に行政だけに背負わせるのではなく、僣越でありますけれども、私個人の考え方としては、県議会としても議会を聖域とすることなく、まず政治に携わる者として「隗より始めよ」の感覚と意識を持ち、平等に改革が進行できるよう可能な限り協力すべきであろうと考えております。
 第三点目は、県内五十の市町村がいずれも財政状況の悪化が顕著になってきているようでありますが、県として地方自治体の行革や体質改善並びに地方分権の受け皿づくり、すなわち県職員を含め市町村職員のレベルアップなど、どのような指導やアドバイスを行っているのか、伺いたいと思います。
 次に、先般、当局から説明のありました和歌山県長期総合計画中間報告案について質問をいたします。
 今から十五年先の西暦二〇一〇年を目標年次とする新しい長期総合計画は、本年二月に審議会に諮問以来、各専門委員会、総合計画委員会、圏域別意見交換会等々を経て中間報告案として取りまとめられたものでありまして、来年度に審議会から答申を得た後、正式計画を決定し、スタートするとのことであります。私自身も関心のあるテーマを中心にぱらぱらと斜め読みをしたのでありますが、まさに二十一世紀の和歌山はバラ色あふれる計画案であり、計画立案、取りまとめや調整、審議に参画をしていただいた多くの方々に心から感謝を申し上げる次第であります。我が国、我が県を取り巻く社会経済情勢が目まぐるしく変革し、国においても抜本的な行財政改革が焦眉の急と言われる昨今の暗たんたるムードの中で、こんなにバラ色の計画が果たして実現可能かどうか、大変心配するところであります。
 そこで、一、二点、感じたままを原稿にまとめ、質問をいたします。
 まず第一点は、基本構想に基づく基本計画、地域計画の各項目のどれをとっても必要不可欠のものばかりでありますけれども、現今、国も県も市町村も、厳しい財政難に直面している状況下、特に地方では事務事業量の増加が見られる中で財源確保が最大の課題であり、せっかくの計画が絵にかいたもちに終わらないかと案ずるところでありまして、計画とその財源等についてどうお考えか、企画部長にお伺いをいたしたいと思います。
 第二点目は、計画を進める上で県民の本音と建前の違いや、総論賛成・各論反対が顕著にあらわれてきて、例えば用地買収や補償問題、住民合意などの解決に大変な労力と期間を要し、計画や事業、施策のおくれ、中断等、さまざまな問題を克服せねばなりません。すなわち、西口知事がいつも言われる県民意識の改革や公共心の醸成等が大事であり、目標達成上、県民の参加と協力が必要不可欠の要素でなかろうかと考えます。そこで、本計画のまとめに当たってはどこかにそれを力説しておくべきと考えますが、企画部長の見解を賜っておきたいと存じます。
 次に、第三点目として、地域計画すなわち圏域の問題についてであります。
 私の住む有田市は有田圏域に属しておりますけれども、紀北、中紀、紀南のエリア分けをすると、あるときには紀北の一角であり、ある面では中紀北部とみなされ、選挙区では紀南と言われ、常に水に漂う浮き草のごとき立場にあり、県政の重点施策遂行上、軽視されやすい地域ではないのかとの、こんなひがみを感ずるところであります。すなわち、県の施設が紀北では和歌山市周辺に偏っていることは周知の事実であります。不特定多数の県民が利用する施設であれば、人口も多く交通機関の発達した町への立地が必要かもしれませんけれども、目的を持って特定の県民が利用する施設、例えばスポーツ施設、教育や研修施設等は有田圏域などにもっと配慮していただくよう位置づけを願うところであります。新しく長期総合計画を策定するに当たり、知事からご見解を賜りたいと存じます。
 次に、「阪和銀行の業務停止とその対応について」と題し、質問を予定しておったのでありますけれども、昨日来、何人もの議員さんから質問があり、知事並びに担当部長から答弁をいただいておりますので、私は質問というより要望を申し上げたいと存じます。
 民間の信用調査機関によりますと、阪和銀行営業停止に伴う連鎖倒産は十二月中旬から影響が出始め、ニシキファイナンスの連鎖倒産三十六件を上回る関連倒産が発生する危険性があると警告しているようであります。こうした中、関西相互住宅と系列金融会社カンサイファイナンスが関連倒産しましたが、関西相互住宅は県の免許を受けた積立式宅地建物販売業を逸脱して不特定多数の人から積立金名目の高額預金を集めていた出資法違反の疑いにより、和歌山県警は十二月七日、社長、専務ら三人を逮捕し、本社や支店など七カ所を家宅捜索し、帳簿や顧客リストなど多数を押収したと報じられております。
 関西相互住宅の支店のある有田市では被害は市内一円に広がっているようでありまして、聞くところによりますと市の年間予算に匹敵する約百億を超す被害があるのではないかと、こんな情報が流れております。「とらの子の年金をだまし取られてしまった」と悲嘆に暮れる老夫婦や、「マイホーム実現の夢が一瞬にしてつぶれた上に、生活費までつぎ込んでしまった」と憔悴し切った若夫婦、そして、銀行より利回りがいい、税金もかからない有利な条件と勧めにきた同社従業員の自宅へ連日債権者が押しかけるなど、さながら生き地獄のような話で持ち切りでありまして、事態は極めて深刻であります。先日の新聞によりますと、関西相互住宅はこうして集めた資金を活用して別会社を設立し、愛知県や岐阜県でパチンコ屋を経営するなど、新たな事実が浮かび上がってきているようであります。
 そこで、和歌山県警としては、関西相互住宅の金の流れや隠し資産等、徹底した事実解明を急がれますとともに、県としては破産管財人との連携を密にされ、県民被害が最小限にとどまるべく特に意を用いていただきますよう要望申し上げる次第であります。
 とにかく、年の瀬を控え、阪和銀行の業務停止とそれに伴う関連倒産など、県民生活の不安を除去し、暮らしの安定と安心確保の見地から、県におかれては国並びに県下各金融機関、各商工会議所、県信用保証協会や関係市町村との連携を密にされ、万全の体制で取り組まれ、被害や倒産を最小限に食いとめるべく適宜・適切かつスピーディーな取り組みを特に要望申し上げ、この項の質問を省略させていただきます。
 次に、県立医科大学移転整備事業について質問を行います。
 平成六年度より工事着手された県立医科大学移転整備事業については、和歌山市紀三井寺の元競馬場跡地に建設工事が進捗中であり、既に附属病院棟十三階の威容が輪郭をあらわしつつあります。当移転整備に係る事業費は、医療研究機器等備品費を除き約八百億円を投じる大事業とのことでありますが、平成十年度末の完工を目指して急ピッチの工事が進められており、高齢化社会を迎えた中で県民医療の中核として大きな期待が寄せられておるところであります。
 そこで、県立医大移転整備事業に関連し、建設工事等のハード面と完成後の附属病院におけるソフト面の充実についてお伺いをいたします。
 まず第一点は、現在、建設工事は平成六年度、七年度着工分に続き、本年度は管理棟、図書館や研修棟、進学・基礎講義棟、講堂、RI・動物実験棟、福利厚生棟等々が着工される予定と伺っております。多くのJVや業者、メーカーが入り組んでの工事となっているようでありますが、進捗状況についてお伺いをいたします。
 第二点目に、現在建設工事中の多目的ホールの工事現場で痛ましい死亡事故が発生しましたが、それよりもより大規模で多くの工事がふくそうしている医大現場では、労働災害の防止等、安全管理面でどのような対策が講じられているのか、伺いたいと思います。
 第三点目として、今回の建設工事には多くのゼネコンが参入しておりますが、県内業者の受注機会の確保や地元購買、地元雇用等についてどのような意を用いられているのか、伺いたいと思います。
 次に、四点目として、新しい施設の防災対策やライフラインの確保についてであります。
 昨年一月十七日に発生した阪神・淡路大震災では、最新の病院施設でも入院患者が建物の下敷きになるなど、多くの病院で被害が多発し、ライフラインの寸断等、深刻な事態が発生しましたが、現在、建設中の医大病院ではこうした教訓を踏まえ、防災対策やライフライン確保の面でどのような対策が講じられているのか、伺いたいと思います。
 第五点目として、ソフト面の充実について質問をいたします。完成後、診療部門の充実、高度医療や最新医療機器の導入、救急医療体制等がどう充実するのか、伺いたいと思います。
 六点目として、新病院は最新の設備とシステムが導入され、運営自体も大きく変化するはずであり、したがって医師、看護婦、技師や事務関係者等の研修や連携協力が欠かせない要素であろうと推察しますが、今後どう対処されるのか、伺っておきたいと思います。
 次に、県立医科大学の入試方針と地方への医師派遣についてであります。
 和歌山県立医科大学は、創立以来五十年以上の輝かしい歴史を有し、特に県内に点在する公立病院への医師派遣等を通じて県内の医療全般に大きな貢献をしてきたことは、万人が認めるところであります。前段申し上げましたとおり、現在、最新技術の粋を集めた建築工事が進行中でありますが、平成十年度末の完成移転に合わせ、地方の医科大学としてのあり方をより充実させていただきたく、質問をいたします。
 まず第一点は、先般の報道によると、東京大学医学部では、早ければ一九九九年度の入学試験から面接選考を全面的に導入する方針を決定したとのことであります。背景にはオウム真理教事件、薬害エイズ事件への医師のかかわり等を踏まえ、医師にふさわしい人間性かどうかを見抜くことにしたいとのことであり、国立大学四十二校中十七校で既に面接選考が実施されているようであります。そこで、県立医大においては、従来から入学試験時の面接選考等、どのような対応がなされ、重視されてきているのか伺いたいと存じます。
 二点目は、県内の公立病院はいずこも同じ経営難に見舞われており、病院会計健全化のため、県の指導もあって事務委託等思い切った施策を講じるなど、涙ぐましい経営努力が行われておるのでありますが、どこの公立病院とも派遣医師の問題に頭を悩ませているとのことであります。
 第三点目は、県内の医療をリードする県立医大からの派遣医師のあり方や派遣条件、派遣先での心構えや地域医療に対する心得など、どのような指導が行われているのか。また、大学移転後も地方公立病院との連携や県民の健康維持増進、地域医療の向上などにどう貢献されていくのか、お伺いをいたしたいと思います。
 最後に、国道四十二号の有田市から海南間の渋滞解消への取り組みについてであります。
 この問題につきましては、昨年六月、本年二月の県議会で実情を訴え、要望をさせていただきましたが、今回も質問項目の中に入れさせていただきました。午前中に田辺市選出の大沢議員さんからも応援演説をいただいたところでありますけれども、実は、この区間の渋滞解消のため、当面の対策として最大のネックである下津町の小南交差点で改修工事が始まり、この後、何カ所かで局部改修が実施される予定と聞かされているものの、抜本対策とはほど遠く、特に最近では上下線ともかなりの渋滞が続いております。
 こうした中、九月三日には県土木部長に有田までお越しいただき、早朝の渋滞実態をつぶさに視察をしていただきました。当日の朝は、有田市から県庁まで、わずか二十九キロのこの区間を一時間三十分を要したところであります。また、十一月二十八日には、小南交差点において朝六時から夜八時まで十四時間にわたり、はがき手渡しによるアンケート調査が実施をされました。以上のごとく、県土木部として、近畿地建との連携を密にされ、前向きに対処していただいておりますことに改めて感謝を申し上げる次第であります。
 なお、アンケート調査の当日、私も現地に駆けつけ、信号待ちのドライバーに対してはがきを手渡す作業に従事をしてくれておる若者たちに感想を聞きました。ある若者は「私たちの予想以上に車両が多く、全く驚いています」と答え、ある若者は「ドライバーの皆さんが非常に協力的で、渋滞解消への願いが伝わってくる」と語り、またある青年は「トラックやローリーなど、大型車両の多さが特に目立ちます」とのことでありました。まさに国道四十二号は、生活道路であると同時に産業と物流の動脈であり、有田市、下津町地方の住民にとっては一日も早く動脈硬化の切開手術をしてほしいというのが長年の悲願であります。
 こうした住民の願いを受けて、有田市と下津町で構成する有田周辺国道整備促進協議会がことしも県、そして近畿地建和歌山工事事務所、それに近畿地方建設局並びに建設大臣へ当該区間の抜本改修や拡幅について陳情活動を行いました。このうち、近畿地方建設局の道路部長は、十一月六日付の朝日新聞の「論壇」に掲載をされた「道路特定財源制度の堅持を」と題する西口知事主張のコピーを提示されながら、「和歌山の知事さんのおっしゃられるとおり、まだまだ地方の願いは深刻であり、とにかく財源がないと皆さんの願いを実現できないだけに、道路財源の確保には力強いバックアップを賜りたい」とのことでありました。知事さんの主張については、きのうの中山議員さん、午前中の大沢議員さんからも紹介がありましたが、西口知事の主張には全く同感であることを改めて強調する次第であります。
 さて、有田市と下津町で結成する整備促進協議会には、来年度から海南市、それに有田郡の町村会も加入していただくことになっており、より幅広く力強い運動を展開していく手はずになっていることも、あわせてこの機会に申し添えておきます。
 ところで、十一月二十八日実施のアンケートの結果はいつごろ集約され、それをどう活用されていくのか。さらに、平成九年度の改修見通し、県土木部としての考え方等について伺っておきたいと存じます。
 以上で演壇からの私の質問を終わりますが、知事初め当局の誠意ある答弁を求めます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの松本泰造君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 松本議員にお答えをいたします。
 まず行政改革についてでございますが、これまでもお答えをしておりますように、本県においては、昨年の十一月に策定をした行政改革大綱に基づきまして、行財政運営全般にわたる総点検を行っておるところでございます。行政組織については本年の四月に本庁組織の改編を実施したところでございまして、今後、より県民の身近なところにある地方機関あるいは外郭団体等についても積極的な見直しを行い、組織の簡素効率化、県民から信頼される役割を果たし得る体制づくりを目指してまいりたいと考えてございます。
 また、議員のお話にもございました議会における改革についても、行政改革大綱の趣旨をご理解いただきまして、主体的なお取り組みをお願いいたしたいと思います。いずれにしましても、行政改革の推進に当たっては県議会のご理解とご協力が不可欠と考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、県の長期総合計画を策定するに当たり、県施設の県内分散についてのご意見であります。
 県の施設につきましては、それぞれの行政目的に合わせて規模や場所の検討を行い、県内各地に設置できるよう努力を続けておるところでございます。しかしながら、議員ご指摘のように、確かに人口の多い和歌山市などには、集客を目指す、いわゆる多くの人にご利用いただくような大規模施設を設置することになっておるわけでありますが、県土の均衡ある発展のためには県施設の適切な分散が必要である、そのご意見については全く同感であると思います。
 現在策定を進めている新しい長期総合計画におきましては、生活圏域ごとに地域計画を策定する予定でありますので、圏域の整備に当たりましては、その地域の特性、個性というものを最大限に生かし、さらに交通や情報通信の基盤整備を図りながら、必要な施設をその目的あるいは内容に合わせた、県土の均衡ある発展のためにも考慮をいたしながら整備をしていきたい、そのように考えてございます。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 行政改革と医大整備についてお答えします。
 まず行政改革の中で、県職員を含め市町村職員のレベルアップ等についてでございますが、県職員の人材育成に関しましては、本年度から政策形成能力、業務遂行能力、目標による管理能力を兼ね備えた職員の養成に力点を置いた研修体制への見直し、異分野での体験をさせるための民間企業等への実務派遣研修の推進などを行ったところであり、今後とも職員の資質の向上に努めてまいります。
 次に、市町村における行政改革でございますが、地方分権の時代にふさわしい社会の変化に対応した簡素で効率的な行政体制を確立することは、市町村にとって極めて大切なことであると考えてございます。現在、全市町村において行政改革大綱が策定されまして、自主的、主体的に行政改革に取り組まれているところでございます。
 また、市町村がみずからの創意に基づいてさまざまな課題に的確に対応していくためには、市町村の政策形成能力の向上を図る必要がございます。このためには、議員ご指摘のように、地方分権の担い手としてふさわしい人材の育成・確保が重要な課題でございまして、市町村職員の研修体制の充実が必要であると考えてございます。
 そのため、県におきましても、各市町村に対して各研修機関への積極的な参加を指導してございますが、全市町村で構成する和歌山県市町村職員研修協議会におきましても、自主的な研修体制を確立し、より充実した研修内容とするため、平成九年度に向けて研修協議会の専任事務局の設置を含め、運営体制を強化すべく準備を進めているところでございます。
 次に、医科大学移転整備についての六点についてお答え申し上げます。
 まず工事の進捗状況についてでございますけれども、県立医科大学の移転整備については、平成十一年春の完成を目指し、現在、事業を進めているところでございます。
 平成六年度に着工した附属病院は、鉄骨組み立てがほぼ完了した段階でございます。昨年度発注した基礎・臨床研究棟、基礎実習棟、エネルギーセンターとあわせ、建築工事の進捗率は四〇%程度でございまして、事業はおおむね順調に進捗してございます。
 次に、建設現場での労働災害の防止等、安全管理面についてでございますが、医科大学の建設現場では請負業者により県立医科大学移転整備工事災害防止協議会が組織されておりまして、日ごろから安全対策施設の点検、作業員への安全教育等、安全対策の徹底を指導しているところでございます。今後一層、作業員の増加あるいは工事のふくそう化が進みますので、適正な工程監理とあわせ事故防止の十分な指導をしてまいりたいと考えてございます。
 第三点目の、県内業者の受注機会の確保等についてでございますが、大規模工事については、平成六年度、七年度は条件つき一般競争入札で、また今年度は公募型指名競争入札により共同企業体への発注を行いましたが、いずれも県内企業が参入できる条件を付したところでございます。また、比較的小規模な工事については指名競争入札により発注し、移転整備事業の請負業者には多くの県内業者が含まれてございます。また、発注後、元請業者に対しては、かねてより建設業法を踏まえつつ、県内企業への発注、地元雇用を指導しているところでございます。
 次に、防災対策についてでございますが、各施設とも建築基準法及び日本建築学会構造計算基準に準拠し、十分配慮してございます。極めてまれな大震災においても人命の安全確保を前提に、建物全体はもちろん、内装、設備機器等の落下・転倒防止、重要配管類の損傷防止等が図られるよう設計してございます。特に、高層建物である附属病院については、建物全体を軽くするため鉄骨構造とするとともに、鋼管で補強した基礎ぐいを使用するなど、耐震上十分な性能を持つ構造としてございます。また、非常時の重要な医療機器の稼働等のための非常用発電機の設置や医療用水等を確保するための非常用貯水槽の設置等、災害時のライフラインの確保にも十分配慮してございます。
 次にソフト面の充実でございますが、新病院では高度医療を提供する県内唯一の特定機能病院としてふさわしい施設とするため、最新の医療機器を導入するほか、救急部門については処置室を二室から五室に、病床数を四床から十五床に拡充するとともに、妊婦でリスクの大きな患者に適切な対応ができる周産期部門など、中央診療部門を充実いたしてございます。また、待ち時間の短縮等、患者サービスの向上を図るためのオーダーリングシステム等の導入も計画してございます。
 最後に、医師、看護婦等の研修についてでございますが、導入する予定の最新の医療機器や医療情報システムを移転当初からスムーズかつ効果的に活用していくためには、医師、看護婦、技師等、病院関係者に対して事前の十分な操作練習や実施訓練が欠かせないものと考えてございます。現病院の運営に支障がないよう考慮するとともに、新病院のスムーズな稼働を図れるよう綿密なスケジュールを立て、効率的な研修を実施してまいりたいと考えてございます。
 県内唯一の医学の教育研究機関として、また県民医療の中核施設として十分に機能する施設となるよう、今後も事業の推進に遺憾のないよう努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 松本議員にお答え申し上げます。
 県の長期総合計画の実施と財源の関係についてでございますが、新しい長期総合計画の策定については、本年二月に審議会に諮問しておりまして、本年度中に審議会で中間取りまとめをしていただく予定でございます。その後、施策の検討を行い、九年度に答申をいただき、計画決定したいと考えてございます。
 計画の策定に当たっては、税収等の財源の推計を行った上で、二十一世紀において多様な豊かさと活力が実現できる県づくりを目標に、リーディングプロジェクトや施策を位置づけてまいりたいと存じます。さらに、計画策定後に三カ年程度の短期的な事業実施計画を策定してまいりたいと存じます。
 次に、県民の参加と協力についてでございますが、新しい長計の目標に向けて、県では市町村や国と連携をとりながら施策を展開いたしますが、住民が郷土に誇りと愛着を持ち、幅広い分野でのボランティア活動や住民が主体となる交流活動を展開することが地域に活力をもたらすものと考えてございます。地域づくりにおいては、行政の取り組みとともに、議員ご指摘のとおり、県民の参加と協力が不可欠だと考えますので、事業の実施に当たっては県民の積極的な参画を求め、進めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 松本議員のご質問にお答えします。
 国道四十二号渋滞解消への取り組みでございますが、まず最初に、議員ご指摘のありました有田・海南間のアンケート調査については、有田・海南間の交通の実態を知るという目的で十一月二十八日に実施したところでございますが、この結果については年明けの一月末までに取りまとめる予定としております。その後、調査結果をもとにして、当地域からの交通とそれ以外の地域に関係する交通に区分するといったようなことをいたしまして、交通の特性を整理したいと考えております。このようにすることにより、渋滞対策を確立するための基礎的資料として活用できると考えております。
 次に、当面の渋滞対策については、先生のご質問の中にもありましたとおり、本年度、建設省において下津町小南交差点の改良工事に着手されており、引き続き、有田市初島町里交差点及び海南市の冷水交差点の工事に着手する予定と聞いております。また、抜本的な対策として、バイパスあるいは現道拡幅等についても国及び地元の市あるいは町とも協力しながら、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 医科大学学長駒井則彦君。
 〔駒井則彦君、登壇〕
○医科大学学長(駒井則彦君) 県立医科大学の入学試験における面接選考についてでありますが、本学は早くより入学試験に面接を加えております。特に、平成七年度から分離・分割方式になり、前期・後期日程ともに面接を重要視しております。
 合格者については、大学入試センター試験の成績、個別学力試験の成績、小論文及び面接等を総合的に判定して決定しております。特に面接においては、議員ご指摘のとおり、医師としてふさわしい人間性を有するかどうかを見抜くことが最も重要であると考えておりまして、医師としての適性の評価方法について絶えず検討しております。
 次に、地方への医師の派遣についてでありますが、本学は医学生の教育、高度医療の提供及び研究だけでなく、医師の派遣等、地域医療への貢献についても努力いたしておりますが、派遣先病院との十分な事前協議の必要性も認識しているところでございます。県下の公的病院の病院長・事務長会議においても本学の学長及び附属病院長が各公的病院のご意見をお聞きするなど、実情の把握に努めているところでございます。今後は、医師の派遣におきまして、さらに地域医療に貢献できるよう、派遣先病院の生の声を反映してまいりたいと考えております。
 統合移転後は、生涯研修センターを設置し、各関連病院との医療情報ネットワークを構築し、画像診断及び臨床検査等の支援を行うよう計画しております。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(下川俊樹君) 再質問がございませんので、以上で松本泰造君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時四十七分散会

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