平成8年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成八年十二月九日(月曜日)
     午前十時開議
 第一 議席の一部変更の件
 第二 議案第百六十七号から議案第百七十号まで(知事説明・質疑)
 第三 議案第百四十三号から議案第百六十六号まで及び報第七号(質疑)
 第四 一般質問
会議に付した事件
 一 議席の一部変更の件
 二 議案第百六十七号から議案第百七十号まで(知事説明・質疑)
 三 議案第百四十三号から議案第百六十六号まで及び報第七号(質疑)
 四 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川   武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門   三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島   雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷   洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗   正 彦
 24 番 橋 本   進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 松 本 泰 造
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山   海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田   亘
 33 番 中 山   豊
 34 番 井 谷   勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 36 番 森   正 樹
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口   勇
 副知事 山 下   茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西   悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
    山 本   昭
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 高 垣   宏
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
    若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
    谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島   光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊   孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田   繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時五分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議席の一部変更の件】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議席の一部変更の件を議題といたします。
 都合により、議席の一部を次のように変更いたしたいと思います。
 その議席番号及び氏名を職員に朗読させます。
 〔職員朗読〕
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 18 番 長 坂 隆 司 君 を 41 番 に
 20 番 堀 本 隆 男 君 を 21 番 に
 21 番 宇治田 栄 蔵 君 を 22 番 に
 22 番 宗 正 彦 君 を 23 番 に
 23 番 橋 本 進 君 を 24 番 に
 24 番 井 谷 勲 君 を 34 番 に
 25 番 玉 置 公 良 君 を 26 番 に
 26 番 上 野 哲 弘 君 を 20 番 に
 27 番 東 山 昭 久 君 を 28 番 に
 28 番 尾 崎 要 二 君 を 29 番 に
 29 番 野見山 海 君 を 30 番 に
 30 番 木 下 秀 男 君 を 31 番 に
 31 番 町 田 亘 君 を 32 番 に
 32 番 中 山 豊 君 を 33 番 に
 33 番 山 下 直 也 君 を 18 番 に
 34 番 鶴 田 至 弘 君 を 35 番 に
 35 番 森 正 樹 君 を 36 番 に
 36 番 村 岡 キミ子 君 を 37 番 に
 37 番 新 田 和 弘 君 を 38 番 に
 38 番 平 越 孝 哉 君 を 39 番 に
 39 番 森 本 明 雄 君 を 40 番 に
 40 番 神 出 政 巳 君 を 25 番 に
 41 番 松 本 泰 造 君 を 27 番 に
     そ れ ぞ れ 変 更
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○議長(町田 亘君) お諮りいたします。ただいま朗読したとおり議席の一部を変更することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、ただいま朗読したとおり議席の一部を変更することに決定いたしました。
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○議長(町田 亘君) 次に、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
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      財第194号
      平成8年12月9日
 和歌山県議会議長 町 田 亘 殿
    和歌山県知事 西 口 勇
 和歌山県議会平成8年12月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、下記のとおり議案を提出します。
     記
 議案第167号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第168号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第169号 市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第170号 警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
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 【日程第二 議案第百六十七号から議案第百七十号まで】
○議長(町田 亘君) 日程第二、ただいま報告の議案第百六十七号から議案第百七十号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明申し上げます。
 今回追加提案いたしましたのは、議案百六十七号から議案第百七十号までの職員等の給与改定に伴う関係条例の改正であり、去る十月十四日に出された職員の給与改定に関する県人事委員会勧告を受けて、本年四月一日から給与改定を実施するために所要の措置を講じるものであります。
 なお、給与改定に伴う所要の経費につきましては、既定の予算で対応することといたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(町田 亘君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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 【日程第三 議案第百四十三号から議案第百六十六号まで及び報第七号】
 【日程第四 一般質問】
○議長(町田 亘君) 次に日程第三、議案第百四十三号から議案第百六十六号まで、及び地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第七号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第四、一般質問を行います。
 22番宇治田栄蔵君。
 〔宇治田栄蔵君、登壇〕(拍手)
○宇治田栄蔵君 議長のお許しを得て、平成八年十二月県議会冒頭に一般質問の機会を与えていただきました先輩・同僚議員に感謝申し上げ、質問をさせていただきます。
 西口知事には、昨年十一月、県民の熱い期待を担って初登庁以来はや一年、「県民の声を県政に」の公約どおり、きのくにホットラインの開設や女性一〇〇人委員会の設置をされました。また、県庁内の機構改革、香港駐在員事務所の開設、湯浅御坊道路の開通など、その政治手腕を遺憾なく発揮してこられました。これからも、ますます県民の期待にこたえる県政を推し進めていかれることを念じております。
 それでは、まず阪和銀行問題についてお尋ねいたします。
 阪和銀行は、昭和十六年に「紀南無尽」と「福徳無尽」が合併して「興紀無尽」となり、戦後、昭和二十六年に相互銀行法に基づき「興紀相互銀行」として発足し、県内の中小企業の発展に資金面から貢献してきたところであります。平成元年の普通銀行転換で「阪和銀行」となり現在に至ったもので、ことし九月末現在、預金残高五千七十四億円、貸出金残高四千三百八十四億円、資本金五十六億円、従業員数八百四十一人で、県内はもとより大阪府南部を中心に五十三店舗を有する県内二番目の地方銀行として、県内経済の発展に大きく寄与してきました。
 同行が創立四十周年記念事業として刊行した「興紀相互銀行史」の「むすび」をかりて同行の沿革を紹介しますと、「当行の歴史は昭和十六年八月十六日興紀無尽株式会社の創立にはじまるが、その淵源をたずねると、大正十四年一月紀南無尽株式会社の創業にさかのぼる。同社の創始者故福田順次郎は卓越した識見と経営手腕を発揮し、また『信義を重んずる人づくり』を念願して社員教育に情熱を注ぎ、ゆるぎない社礎を築きあげた。しかし、創業五十六年の道程はけっして平坦なものではなかった。紀南無尽草創期において一社員の起こした不祥事は、経営の根幹をゆさぶる規模であった。また、迂余曲折を経てようやく福徳無尽との合同が成立し、興紀無尽創立にこぎつけるまでには、筆舌につくしがたい苦労がともなった。 新会社創立まもなく、わが国は大戦に突入した。戦時下の経営維持にはひとしおの困難をしいられ、最大店舗和歌山支店が戦火をこうむって全焼する不幸が重なった。さらに戦後、経済民情の混乱の中で、会社の再建整備にすべてを賭けた経営陣・社員ともどもの、日に夜をつぐ苦闘があった。 会社再建整備の大業を完了し、その後の相互銀行転換を機に、折からのすみやかな経済成長の波にも乗ってめざましい発展をとげた当行は、高度経済成長から安定経済成長へと移行する変革の中で、さらに着実な業容拡大の歩みをつづけた。 いまここに記念すべき創立四十周年(創業五十六周年)を迎えることとなったが、その歴史をかえりみて地域顧客の支持協力の恩恵とともに、歴代経営者・諸先輩の刻苦奮励の足跡に深い感銘をおぼえるのである」というものでありました。共存共栄を創業の精神とし、信義を重んずる人づくりを念願して社員教育に情熱を注ぎ、自主独立の健全経営を維持することが同行のモットーでありました。
 ところが、バブル期、系列ノンバンク二社による不動産融資を行い、特に住専借り手一位である富士住建とは密接な関係になり、巨額の資金を貸し込む一方、共同出資でノンバンク大阪ファイナンスを設立し、行員を派遣するなどしました。バブル崩壊とともに融資の大半が焦げつき、不良債権を抱えることとなったのであります。そこで同行は、ノンバンク二社再建のため、二社に融資している金融機関に対し金利減免などの支援を要請する一方、不良債権の回収に全力を挙げていました。そのノンバンク再建中の平成五年八月五日、債権回収担当の小山友三郎副頭取が射殺される事件が起きたのであります。このように不幸な事件に見舞われたとはいえ、再建の努力を積み重ね、大蔵省から頭取が派遣されていることでもあり、平静を取り戻すものと思っていました。
 十一月二十一日、新聞・テレビは、「阪和銀行に業務停止命令 銀行で戦後初」、「債務超過二百億円 再建は困難 頭取は引責辞任」との見出しで、本県第二位の金融機関である阪和銀行の経営破綻を報じました。
 大蔵省は、二十一日午前八時、経営不振から九月中間決算で大幅な赤字を計上する見通しとなった第二地方銀行の阪和銀行に業務停止を命令した。銀行に業務停止命令を出すのは戦後で初めて。同省が実施した検査の結果、二百億円以上の債務超過の状態であることが明らかになり、経営を継続することが困難と判断した。預金は全額保護される。同行の整理清算に当たっては、債権の受け皿となる新銀行を設置するとともに、預金保険による資金援助を要請すると発表。
 また三塚大蔵大臣は、同日午前十時、阪和銀行への業務停止命令について記者会見し、阪和銀行の財務状況が大幅な債務超過の状況にある点を指摘、「速やかに対処することが金融システムの早期の機能回復につながる」と、早期処理に踏み切った理由を説明しました。
 大蔵大臣の談話は、次のとおりでありました。
 「阪和銀行は、昭和五十年代後半から不動産関連向け融資を積極化させてきたが、バブル経済の崩壊とその後の不動産価格の低下等により資産内容の悪化が急速に進み、今般の大蔵省検査の実態把握などを通じ、償却を要する資産の額が同行の自己資本の額を大幅に上回り、自主再建が困難な状況であることが判明した。一昨年来、金融機関の破綻が相次いで発生していることはまことに残念であり、各金融機関は今後とも経営の健全性確保に向けて一層の努力を払うことを期待したい。いずれにしても、大蔵省としては、金融機関が破綻に陥った場合には、処理を先送りせず速やかに対処することが我が国金融システムの早期の機能回復につながるものと考えており、今回の阪和銀行の問題についてもこのような観点に立ち、今後、預金者保護及び信用秩序の維持を図ることを基本として早急に処理方法を取りまとめる所存である。具体的には、当行を整理・清算するための新銀行を設立した上で営業譲渡を行うこととし、その際、預金保険制度を活用して預金者を保護しつつ整理・清算を円滑に進めることを基本とした処理を行うこととしたいと考えている。なお、預金については、過去の金融機関の破綻時においていずれの場合にもすべての預金が保護されたのと同様に、今回もすべての預金が保護されることとなるので、預金者におかれては心配されることなく、良識ある行動をとられることを希望する」というものでありました。
 阪和銀行本店では、二十一日午前十時十五分、新居頭取ら幹部五人が報道陣約五十人の前に姿を見せた。新居頭取は、「このような事態に至り、深く深くおわびいたします」と切り出し、頭取を辞任することを明らかにしました。新居頭取の会見内容は、次のとおりであります。
 「弊行は、創業以来、地域金融機関としての役割を果たすべく、金融サービスの充実と経営の効率化に努めてまいりました。しかしながら、いわゆるバブル経済の崩壊に伴い、関連ノンバンク二社不良債権問題に端を発し、信用の低下、資金繰り悪化等、銀行経営にとって容易でない状況に直面いたしました。このため、関係先のご理解を得て平成七年三月には、弊行は関連ノンバンク二社に対する支援を打ち切り、二社は法的措置を講ずるとともに、平成七年七月には経営体制を一新し、信頼の回復と自主再建を目指し、役員報酬・従業員賞与等の大幅カット、人員の圧縮、諸経費の削減、所有不動産の売却等、経営の合理化を進める一方、不良債権の回収と預貸金の増強に鋭意取り組んでまいりました。しかしながら、関連ノンバンク二社への支援負担が多大であったことに加え、不動産市況の低迷と地価の下落による担保価値の毀損により資産内容の悪化を招来し、資産内容の抜本的改善には至りませんでした。弊行の不良債権の処理能力には限界があり、自主再建が困難であるとの認識から、これ以上通常の営業を続けることができないとの判断により、本日午前八時、大蔵大臣から銀行法第二十六条による業務の一部停止命令を受けるに至りました。こうしたことになりました上は、地域金融機関としての社会的責任を痛感し、業務の一部停止命令を受けて開催した取締役会において取締役頭取を辞任いたしました。なお、後の体制につきましては、頭取の代行に専務取締役の渡部善治が就任いたしました。大蔵大臣談話及び日銀総裁談話の中にもありますとおり、お客様のご預金は元金、利息とも全額保護されておりますので、預金者の皆様方におかれましてはくれぐれも冷静な対応をお願いしたいと存じます。お取引先の皆様、株主の皆様、並びに関係各位の皆様には、長年にわたり引き立てを賜りながら、このような多大のご迷惑をおかけすることとなりましたことはまことに申しわけなく、深くおわび申し上げますとともに、何とぞご理解を賜りたく、お願い申し上げる次第でございます」というものであります。
 阪和銀行本店では、午前九時にシャッターが開くと、預金の解約を求めて約百人が詰めかけました。また、同銀行の発祥地である田辺市の田辺支店では、営業開始前に預金者ら約四十人が列をつくりました。各支店では、行員が「預金、利息は保証されます」と書かれたチラシを配り、混乱防止に努めました。和歌山県警は、県内の同銀行本支店三十二カ所に警官六百五十人を動員し、警戒に当たりました。本店では、預金者の列は建物の外まであふれ、午後三時の閉店になっても百人以上が店内に残り、最後の客が店を出たのは午後六時過ぎでございました。この日一日の預金引き出し総額は二百十億円に上り、預金口座の解約も約一%の一万五千七百十三でありました。本店、支店とも大きな混乱はなかったけれども、定期預金の解約が認められなかった客が「自分の預金がなぜ。支払いに困る」と、銀行に不満をぶつける姿も見られました。
 和歌山商工会議所では、加盟事業所三千八百八十五社のうち一三%の五百十八社が阪和銀行と取引があり、三百十六社が主力銀行にしています。事務局はこの日、約百社に聞き取り調査をし、小林謙三会頭が中小企業金融公庫和歌山支店など三カ所と県信用保証協会を回って、「年末を控えて最も資金の必要な時期、資金の貸し出しなどに迅速かつ弾力的な対処をお願いしたい」と要請しました。
 市内のある工業会社の営業部長はこの日、別の銀行に当座預金の口座をつくるため四軒の金融機関を回ったが、目的を果たせなかった。阪和銀行に預けてある三百万円分の定期預金の証書を見せたが、担当者から「返事には二週間かかる。仮に口座をつくることができても時間が必要だ」と言われたと言います。
 このように、阪和銀行の業務停止命令は本県経済や県民生活に大きな影響を及ぼすものであり、県民に大変な衝撃を与えるものでありました。今回の処理のことが大蔵省からあらかじめ何らかの形で県知事に事前連絡があってしかるべきであると私は考えます。事実をお聞かせ願いたいと思います。
 県においては、二十一日に直ちに阪和銀行問題緊急連絡会議を設置し、取り組み体制を整え、影響調査、情報収集を行い、総額五十億円の県特別融資制度を創設、また二十二日には知事が上京され、三塚大蔵大臣、事務次官、銀行局長に直接会われ、信用秩序の維持や中小企業者の経済活動に支障のないよう万全の措置をとっていただくよう要請を行われました。さらに、二十七日に同緊急連絡会議を和歌山県阪和銀行問題対策本部に改組し、対策に万全を期していると聞いてございます。しかしながら、この問題は地域経済や県民生活にとって多くの課題を抱えているものと考えます。そこで、以下、質問をさせていただきます。
 阪和銀行は、再建のため大蔵省OBの新居氏が頭取に派遣されたのに破綻をいたしました。新居頭取が辞任して責任をとったと伝えられていますが、これだけでよいものでしょうか。また、大蔵省の阪和銀行に対する処理は、整理・清算するための新銀行を設立して営業を譲渡するという冷酷な処理方法をとっています。すなわち、新銀行は主に預金の払い戻しと債権の回収を実施し、新たな貸し出しなどはしない、存続期間は数年間の時限銀行となる見通しと言われております。さきに破綻した兵庫銀行(現在のみどり銀行)や太平洋銀行(現在のわかしお銀行)では、存続のための受け皿となる新銀行を設立し、行員も新銀行に引き継がれました。何ゆえに、このような差異の生じる処理を受けなければならないのでしょうか。阪和銀行の今後並びに県経済に与える影響の見通しについて、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、行員の雇用問題についてお伺いいたします。
 さきに破綻した兵庫銀行の行員は一部を除いて雇用が確保されたのに対し、阪和銀行では業務停止命令を受けたことで約八百四十人の行員が大量解雇されることになります。新設される受け皿銀行に移れても、清算業務が終わればその銀行自体が解体される運命が待っています。同様に破綻した銀行の処理について、余りにも差があり過ぎるのではないでしょうか。怒りを覚えるものであります。
 しかしながら、現実問題として今回、整理・清算方式が初めて適用された結果、阪和銀行八百余人の従業員の今後の雇用が問題となります。県内景気は依然として厳しく、特に雇用情勢は有効求人倍率が本年十月で〇・六八倍と厳しい状態が続いている中、なかなか難しい問題と考えますが、このことについて知事の見解をお聞かせ願います。
 次に、県は十一月二十七日、和歌山県阪和銀行問題対策本部を設置し、全庁的な対策を行っているとのことですが、この対策本部の設置の目的、内容、役割や今までの活動状況について、本部長である出納長にお尋ねいたします。
 特に、阪和銀行の口座で年金を引き落としているお年寄りから「年金は期日どおり受け取れるのか」という相談があり、生活の不安を感じておられます。阪和銀行を受け取り窓口としている人や家庭は、年金受給者は約一万一千人、生活保護が三百七件、児童福祉手当が五百六件あります。このような方々の不安を解消するためどのように対応されたか、対策本部長である出納長にお尋ねをいたします。
 県経済への影響を最小限にするためには、阪和銀行と取引関係にあった中小企業者の経営の安定化が重要であると考えます。県は金融の円滑化のため直ちに総額五十億円の県特別融資制度を創設し実施するなど、迅速な対応をとられましたが、現在までの利用件数等の実績はどのぐらいあるのか、五十億円で十分な融資ができるのか、また、その他既存の制度融資の弾力的な運用を行うなど周到な対策が望まれるところでありますが、これらのことについて商工労働部長にお伺いをいたします。また、連鎖倒産の防止についてどのような対策を考えているのか、お聞かせを願います。
 これに関連して、十二月二日、「関西相互住宅」と関連の商業金融会社「カンサイファイナンス」が和歌山地裁に自己破産を申請し、同社の代理人弁護士は「メーンバンクである阪和銀行の経営破綻で融資が滞り、自己破産に陥った」と説明しました。十二月五日、同社の債務総額は三百九十八億円、債権者は四千七百七十三人であることが破産管財人より明らかにされました。
 関西相互住宅は、一九七四年に県知事から積立式宅地建物販売業の許可を取得しており、県への報告では同社の積立金総額は六億九千万円で、その三分の一の二億三千万円は銀行に預けられているということです。県は、許可権者としてこの事件をどのように把握しているのか、また被害者対策をどのように考えているのか、お聞かせ願います。
 また、出資法違反などの法律違反があるとの報道がされており、十二月七日、社長の橋本英喜らが逮捕されましたが、警察としてどう対応するのか、お聞かせを願いたいと思います。
 以上で、阪和銀行に関する質問を終わらせていただきます。
 次に、小選挙区比例代表並立制の評価について質問をさせていただきます。
 去る十月二十日、第四十一回衆議院議員選挙が行われました。今回の選挙は、政治改革、選挙制度改革により改められた小選挙区比例代表並立制で実施された最初の選挙である点で、特に注目を集めました。この小選挙区比例代表並立制は、細川政権のとき政治改革の名のもとで導入された制度であり、次のような利点があると説明されました。
 中選挙区制度では、過半数を獲得するために政党は複数の候補者を当選させなければならない。すると、必ず同じ政党の候補者同士によるサービス合戦が始まり、それがために政党に派閥を生じさせる。派閥が金を集め、個人が金を集める。そこに汚職を生む土壌があり、派閥の弊害も生じる。小選挙区になれば派閥は解消されるし、金のかからない選挙が実現できる。小選挙区の導入によって政党対政党の争いとなって政策中心の選挙となり、結果として政権交代のある政治システムとなる。政権与党が失政を犯したり腐敗したりした場合、必然的に政権交代の可能性が高まるから緊張した与野党間の政争が可能となる。しかし、単純小選挙区制では大政党に有利に過ぎ、価値観の多様化した時代に少数意見を尊重し生かすことが難しくなる。そこで、比例制を取り入れ、小選挙区比例代表並立制という現行制度が採用されたのであります。
 しかしながら、結果を見ますと、派閥は解消されず、従来どおりであります。選挙は、選挙区が縮小したことにより、これまで以上に後援会などのかたい地盤が威力を増し、金もかかるようになったとの指摘が多いようであります。また、政策は行政改革と消費税で論争されましたが、政策により政党を選ぶというほどその相違は明らかにされませんでした。政党の基本理念も、共産党を除いて大きな差は見られませんでした。このように、選挙の結果を見れば、説明されたような効果は余り認められなかったと言わなければなりません。そればかりか、この制度にはさまざまな矛盾があることが明らかになりました。
 第一は、今回の衆議院議員選挙での当選者は、当選の仕方によって、一、小選挙区で当選した議員、二、比例選に単独立候補して当選した議員、三、小選挙区で落選したが、重複立候補した比例選で当選した議員の三種類に分けられます。同じ衆議院議員であるが、発言力などに微妙な違いが出てくることが予想されることであります。
 十月二十二日、朝日新聞「天声人語」では、「今度の新制度の当選者は金バッジ、銀バッジ、銅バッジの三種類に分けられる。金バッジは小選挙区での勝者、銀は比例区の選出、そして銅は、小選挙区で落選し、重複立候補によって復活した人だという そんな話を聞いたけれど」云々と記しております。
 小選挙区で当選した議員と、小選挙区で落選し重複立候補で復活した議員とでは、選挙で信任されたか否かで政治家としての実質的価値は異なります。衆議院を構成する議員にこのような差の出る選挙制度は、好ましくないものと考えます。
 第二は、供託金没収でも復活で当選という事例が生じたことであります。
 東京二十二区の選挙結果は、次のとおりでありました。伊藤達也、六万九千七百七票、当選、山花貞夫、六万三千九百七十四票、比例区当選、進藤勇治、四万九千八百三十七票、落選、松田佳子、三万五千七百六十二票、落選、保坂展人、一万三千九百四票、比例区当選、佐藤和友、二千五百二十六票、落選というものでありました。保坂氏の得票は有効投票のわずか五・九%であり、法定得票数にも達していないのに当選したのであります。小選挙区なら法定得票数(有効投票の六分の一)に届かず、当選資格がない、三百万円の供託金も没収される、その程度の得票数の候補者が比例選で当選する、議員の資格を得るというのです。これでは何のための選挙か。民主主義に反する結果となります。
 第三は、保坂氏は五位であるにもかかわらず、三位、四位の候補者を追い越して当選しているということであります。これは民意を反映したものとは言えず、選挙民にとって納得できない結果と言わなければなりません。このように、上位の候補者を追い越して当選した議員は二十三人に上りました。
 第四は、東京二十二区の例で見られるように、一つの小選挙区で三人の当選者が出るという結果が生じたことであります。これでは、何のための小選挙区かということになります。また、地域間のバランスも悪く、実質的に一票の価値が異なるという法のもとの平等の原理に反することにもなります。
 このように見ますと、今回の総選挙の実施によって、小選挙区比例代表並立制は矛盾に満ちた制度であり、欠陥の多い制度と言わなければなりません。従来の中選挙区制の方が、より民主的で公平な制度であると考えます。知事は、今回の総選挙を見てこの制度をどのように評価しておられるか、見解をお聞かせ願います。
 最後に、武道館の建設についてお尋ねをいたします。
 武道館の建設については、本年二月県議会において長坂議員がその必要性について質問されたところでありますが、武道関係者の一人として大変ありがたく感謝するとともに、強力な援軍を得た思いでございます。私からも再度、武道館の建設の必要性について質問をさせていただきます。
 我が国が世界に誇る伝統的な文化である武道は、単にわざを競い合うだけではなく、心身を鍛錬し、人間形成を本来的なねらいとしているものであり、今日の学校教育において大きな役割を果たしております。世界の国々においてもその文化的価値が高く評価され、国際的な競技として普及発展しているところであります。各都道府県においては、このような教育的、文化的意義を踏まえて武道館の建設に積極的に取り組み、すばらしい施設内容と設備を備えた公立武道館が次々と建設されている現状であります。
 本県の県立武道館は、昭和四十四年に和歌山市和歌浦に建設され、昭和四十六年の黒潮国体では柔道競技の練習場として使用され、以後、本県の武道振興の中核施設として重要な役割を果たしてまいりました。しかし、建設から二十七年を経過した現在、老朽化が激しく、また施設面積が狭いため公式大会の会場としてその機能を果たさないばかりか、講習会や平素のけいこにも十分に利用できない状況にあり、残念ながらこのような施設を有する県は本県をおいてほかにありません。
 知事も武道館建設の必要性については十分理解され、百三十六の選挙公約の八十二項で「スポーツ王国和歌山を目指して」と題し、「武道のメッカとなる国際試合の可能な県立武道館を建設します」と言われています。私も、国体の空手道競技の監督などを通し他府県の武道館で試合やけいこをしてまいりましたが、その施設の充実ぶりには驚くばかりであります。
 県下の幼少年から高齢者に至る武道愛好者が生涯を通じて武道に親しむとともに、全国的規模の大会や錬成会を開催し本県武道の競技力の向上を図る武道鍛錬の拠点として、新武道館が必要であります。県におかれては新武道館の建設についてどのように取り組まれておるのか、お聞かせ願います。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの宇治田栄蔵君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 宇治田議員にお答えをいたします。
 まず阪和銀行に関連してのご質問でありますけれども、阪和銀行の業務停止命令の事前連絡についてであります。
 阪和銀行が大蔵省の直接指導監督下にあるとはいいながら、私が連絡を受けましたのは、大変遺憾ながら、十一月二十一日、業務停止命令の出された当日でありますが、その未明、午前三時ごろでございました。
 また、阪和銀行の今後につきましては、十一月二十一日の大蔵大臣談話では整理・清算するための新銀行を設立した上で営業譲渡を行うことを基本とした処理を考えるということだけでございまして、まだ明確にされていない段階でございます。
 また、県経済への影響につきましては、同銀行が県内に三十二店舗を有し、中小企業者を中心に多くの取引や預金者を有するなど、県経済への及ぼす影響は大変大きいものと考えてございます。こうしたこともございまして、去る十一月二十二日、業務停止命令の出た翌日でありますけれども、上京をいたしまして、大蔵大臣初め関係幹部に対して信用秩序の維持等、万全の措置をとるように強く要請をしたところでございます。大臣を初め幹部の皆さんからは、積極的に努力する旨の回答を得たところでございます。また、十二月四日、東京で開催をした政府予算の要望の際に、本県選出の国会議員の先生方に対しまして実情を訴えたところでもございます。
 県といたしましては、年末を控えて同銀行と取引のある県内中小企業の資金需要が高まってくることも考え、資金繰り等に支障が生じないように他の金融機関への協力を要請するとともに、県としても五十億円の特別対策融資制度を創設いたしまして、その措置を講じたところでもございます。
 阪和銀行の行員の問題につきましては、県としても八百人余の今後の雇用の確保に大きな懸念を抱いてございまして、大蔵省に参りましたときにも、大臣初め銀行局長などにも雇用問題についても積極的に対応するよう強く要請をしたところでございます。また後日、商工労働部長が、このことを文書にまとめまして、大蔵省銀行局あるいは日銀、近畿財務局等へ要請文として派遣をしたところでございます。
 議員ご指摘のように、県内の雇用情勢も依然として極めて厳しい状況にございます。阪和銀行自身の努力はもちろんでございますけれども、県としても、先ほど申し上げましたように、大蔵省当局を初め関係方面の対応をしっかりと求めていくと同時に、県としてもできる限りの支援をしてまいりたいと考えております。
 このたびの阪和銀行の業務停止命令により、中小企業者に対する影響、雇用問題はもちろんでございますけれども、年金支給の遅延等、県民生活に与える影響も大きいわけでございますので、今後とも対策本部において積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、小選挙区比例代表並立制による衆議院議員の選挙制度についての評価というお尋ねでございます。
 この選挙制度につきましては、先般の総選挙の直後から、選挙結果の分析に基づき幾つかの疑問点等が報道機関などからも提起をされまして、国民の間にも、ただいま議員からご指摘がございましたような制度の是非を含め、種々のご意見があることはよく承知をしておるところでございます。
 しかしながら、事は国権の最高機関たる国会の構成にかかわる事柄でもございますので、私から意見を申し述べることはいかがかと思いますけれども、今後、国民の十分な理解が得られるように国政の場における議論に期待をいたしたい、そのように考えております。
 武道館の問題については、教育長から答弁をいたします。
○議長(町田 亘君) 出納長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○出納長(高瀬芳彦君) 阪和銀行の関係で、二点お答えいたします。
 阪和銀行問題対策本部の取り組みについてでございますが、十一月二十一日に阪和銀行への業務停止命令を受け、県としては即日、阪和銀行問題緊急連絡会議を設置、さらにその後、影響が広範に及んでいるため、十一月二十七日には県民生活の安定並びに中小企業者の円滑な経済活動に支障が生じないよう阪和銀行問題対策本部を設置し、全庁的な取り組みを行っているところでございます。
 対策本部におきましては、影響調査の実施、各種行政相談、福祉給付等の口座変更などについての県民への広報、また、中小企業者の経営安定のため特別融資制度の創設、和歌山銀行協会等、県内金融六団体に対して年金受給者のためのつなぎ融資等の協力依頼を行うなど、各部局間の調整及び大蔵省等の関係機関との連絡調整などを行ってまいったところでございます。これまで、連絡会議を三回、対策本部会議を二回開催して各部の取り組み状況報告を求めたところでございます。年金の相談件数が約八千件、融資相談が約五百件、特別融資のあっせん件数が六十二件、年金の口座変更済みの件数が一万件を超える状況となってございます。
 次に年金等生活者への問題でございますが、阪和銀行を利用して年金福祉給付、失業等給付などの受給口座を設けている県民の方々から口座変更等について多くの相談や問い合わせが関係部局に寄せられるなど、県民の生活に大きな影響が出ているところでございます。速やかに口座変更の手続をとるように関係各部並びに県事務所の窓口で周知徹底に努めるとともに、テレビ、ラジオ等で広報を行ってきたところでございます。その結果、現時点では口座の変更も大部分が完了し、ほぼこの問題については鎮静化を見たところでございます。
 なお、年金につきましては、口座振替の手続の関係上、十二月十三日の受給日が十二月二十五日になりますので、受給日までの生活対策として低利のつなぎ融資等、県内金融六団体により実施されることになってございます。
 今後とも、対策本部としては、県民生活の安定、県経済の安定、雇用問題などについて、できる限りの努力を行っていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 阪和銀行問題について、二点についてお答えをいたします。
 中小企業対策としての特別対策資金融資についてでございますが、十一月二十五日から融資の申し込みの受け付けを行ってございます。十二月五日現在の申し込み状況は、建設業、卸小売業、サービス業を中心に六十二件、十三億四千八百万円の申し込みとなってございます。また、このほか政府系金融機関においても四十数件、約十億円の申し込みがあると聞いておりまして、当初設定しております五十億円の融資枠で当面は対応できるものと考えてございます。今後、申し込み状況等を見ながら、増額についても検討してまいりたいと考えてございます。
 次に連鎖倒産の問題でございますが、阪和銀行と取引ができなくなったことによる資金繰り悪化が要因となって経営困難に至らないか、懸念されるところでございます。このため、特別対策資金以外にも県制度融資の一般振興資金の活用を図るとともに、政府系及び地元金融機関とも連携をとりながら中小企業者の資金需要に対応し、関連倒産に至らないよう最大限の努力をいたしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 宇治田栄蔵議員の、関西相互住宅株式会社に関するご質問にお答えします。
 関西相互住宅株式会社につきましては、積立式宅地建物販売業法に基づき県知事の許可を受けた業者であります。県といたしましては、これまで、この業法の規定に基づき、毎年度の事業報告について審査を行ってまいりましたが、特に問題点は見受けられませんでした。このため、関西相互住宅株式会社の経営の実態について疑いを持ち、法律で義務づけられている以上の検査等を行う必要性を感じることは困難でありました。
 また、被害状況につきましては、議員もご指摘されましたように、破産申し立てによる和歌山地方裁判所の宣告によりますと、債権者は約四千七百七十三名に対して合計約三百九十八億八千百万円の債務となってございます。債務の詳細等については、まだ十分には把握いたしておりません。
 県としては、積立式宅地建物販売業法に基づき販売契約とみなされる契約をされている方に対し、法律に基づき、確保している営業保証金の配当に向けて作業を行ってまいりたいと考えております。積立式宅地建物販売業法に基づけば、一定以上の期間に積立式宅地建物販売の契約をした方から債権の申し出をすべきことを公告し、請求のあった事項に対して権利の調査を実施した上、権利のある方に対し配当を行っていくこととなりますが、具体的な方法や日程等につきましては破産管財人と連絡をとりつつ進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 警察本部長青山幸恭君。
 〔青山幸恭君、登壇〕
○警察本部長(青山幸恭君) 宇治田議員のご質問にお答えいたします。
 関西相互住宅株式会社が去る十二月二日、和歌山地方裁判所に自己破産の申し立てを行い、破産宣告の言い渡しがなされ、警察の相談窓口等にも多数の顧客等からの相談が寄せられてきたところであります。
 県警察といたしましても、本件について重大な関心を持って鋭意事実の確認等をしてまいったところでございますが、同社がいわゆる出資法に違反して多数の顧客を募り、預かり金をしていた疑いで、去る十二月七日、生活安全部長を長とする約八十名体制によります関西相互住宅株式会社による出資法違反事件捜査本部を設置し、同日、約百名の体制をもって本社など七カ所の捜索を行うとともに、代表取締役橋本英喜など三名を逮捕し、鋭意捜査を進めているところであります。
 今後、事件の解明に向けて捜査に全力を尽くしてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 武道館の建設についてお答えいたします。
 現在の県立武道館は昭和四十四年に建設され、以来、本県の武道振興に大いに活用されてまいりました。しかし、建設後二十七年を経過した現在、老朽化が激しく、武道愛好家の活動の拠点となり、また武道の各種大会が開催できる総合武道館の必要性を強く認識しているところでございます。
 このため、教育委員会が所管するスポーツ施設の計画的な整備の中に武道館を含め、全県的な視野に立ったスポーツ施設の配置について、現在、関係部局と協議を進めているところでございます。
 以上です。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 22番宇治田栄蔵君。
○宇治田栄蔵君 今回、阪和銀行に大蔵省から業務停止命令が下されましたが、先ほどの知事の答弁にもございましたように、当日の午前三時ということで、私どもはもとより県民みんなが突然の命令に本当に驚いたわけでございます。
 これから、県民生活にもその影響がじわじわと及んでくることが予想されます。県におかれましても、県民生活に影響が最も少ないように、特に中小企業者等の資金繰り、そしてまた行員の雇用問題等について、できるだけの努力をされることをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で宇治田栄蔵君の質問が終了いたしました。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番森 正樹君。
 〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 ただいま議長からお許しをいただきましたので、あらかじめ通告をいたしております三点について、順次、ご質問を申し上げます。
 初めに、関西国際空港に関する諸問題についてであります。
 先ごろ、フィリピン・マニラにおきましてAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が開催されました。この会場の一つとなったのがスービックであります。かつて米軍のアジアにおける重要な基地として知られ、面積は、陸地百四十五平方キロメートル、水面百五平方キロメートル、合わせて二百五十平方キロメートルで、我が国の横須賀海軍基地の約二十四倍の広大さを誇ると言われておりました。首都マニラの西北西約八十キロメートルの近距離に位置し、絶好の立地条件であることも手伝いまして、九二年三月、当時のアキノ大統領が基地転用開発法を承認、同年九月、ラモス大統領がスービック自由港設定を国家の優先事業とする旨を宣言、スービックをフィリピンにおける国家経済立て直しの切り札として、総力を挙げてこの開発に取り組んでいると聞き及んでおります。
 開発といっても、本来、米軍基地として港湾、空港、道路、電力、上下水道、公園、運輸・通信といったインフラはすべて完備しており、加えてゴルフコース、サッカー場、プール、体育館、劇場などのスポーツ・観光施設からホテル、病院、教育施設、住宅などまで、すべてが整っていると言われているのであります。
 フィリピン政府は、落ち込みの激しい経済の巻き返しのために、このスービックに内外の企業の誘致を奨励し、国税、地方税などあらゆる税の原則免除、通関、外国為替管理などでも最大限の優遇措置を講じているのであります。信頼すべき筋の話によれば、フィリピン政府は特に関西などの先端技術を有する優良中小企業の進出を歓迎しており、スービックの元米空軍基地を国際空港として再開発し、我が国の全日空等に働きかけて関西国際空港との定期便の就航を目指すなど、フィリピンの新しい空の玄関口として大きな期待を寄せているとのことであります。
 私はこの話を聞いておりまして、台湾の新竹工業団地のことをとっさに頭に思い浮かべました。新竹工業団地は、台湾が国家の威信をかけてアメリカのシリコンバレーを模範に先端産業の一大基地にしようと取り組んできたものでありまして、今や台湾経済の心臓として機能しているところでございます。スービックはまさにフィリピンにおける新竹工業団地であり、将来、大きく発展していくことであろうと想像いたします。すなわち、アジアのハブ空港を目指す関西国際空港に好敵手がもう一人あらわれたということになるのであります。シンガポール・チャンギ空港、韓国の新ソウル国際空港、中国の上海浦東新国際空港、香港のチェク・ラップ・コック空港、タイの第二バンコク国際空港、マレーシアのセパン新空港、そしてスービック空港であります。
 さて、関西国際空港も二期工事に着手することになりました。そこで、関西国際空港に関する諸問題について、以下、数点お尋ねをいたします。
 第一に、二期工事の早期着手と完成についてであります。
 既にご承知のとおり、第一期工事は、当初、平成五年完成の予定が地盤沈下等を主な理由に一年完成がおくれたわけであります。熾烈なアジアのハブ空港争いにおくれをとることのないように、また金利の増加や関西経済全体に及ぼす影響などからして、二期工事はいささかもおくれが許されないと思いますけれども、西口知事、この点についていかがお考えであり、国等への働きかけなど、どう取り組んでいかれるおつもりでございましょうか、お答えを賜りたいと思います。
 第二に、国の一般会計からの空港整備特別会計への繰り入れ増加についてであります。
 この点に関しましては、過去何度となく大蔵・運輸両省等、申し入れをしてまいりましたし、訴えてまいったところであります。道路整備、下水道、治水、住宅対策、農業農村整備などの特別会計に比べて余りにも繰入額が少ないのであります。空の時代と言われ、二十一世紀にはますます空港の整備が不可欠となってまいることは火を見るよりも明らかであります。経済活動、観光、人的交流、文化交流等のさらなる進展に伴い、空港の整備充実が安定的、継続的に十分に行われますよう、一般会計から空港整備特別会計への繰り入れを増額すべきであると私は考えます。
 そこで、企画部長、大蔵・運輸両省など関係方面への働きかけなど、今後の対応についてどのように取り組んでいくおつもりでありますか、お答えを賜りたいと思います。
 第三に、国際便、国内便の乗り入れ便の充実についてであります。
 関西国際空港の開港当初は、国際便が二十一カ国・地域、四十四都市、四十三便、国内線が二十四都市、六十七便から、今年秋には、国際線が三十四カ国・地域、七十四都市、七十二便、国内線が三十三都市、八十四便へと、順調に実績を伸ばしてきたところであります。
 しかしながら、当初の計画と違い、大阪空港が存続となったことが主な理由となって、発着時間帯などの面で関西国際空港利用客の間に根強い不満の声があるのであります。今後、利用頻度の高い時間帯の増便を中心に、さらなる乗り入れ便の充実に取り組まなければなりませんが、駐機スポット、ターミナルビルの整備拡充などの問題も含めてどのような取り組みをしていくべきであると考えておられますか、企画部長にお尋ねをいたします。
 第四に、神戸沖空港問題と大阪空港の存廃についてであります。
 本年十一月、神戸市はポートアイランド沖に計画している神戸沖空港の設置許可を正式に運輸省に対し申請すると表明いたしました。もちろん、兵庫県や地元財界が全面的にこれをバックアップしていることは言うまでもございません。順調にいけば九八年には着工、二〇〇四年秋の開業を目指すとのことであります。
 そこで問題となるのが、大阪湾上空の過密化という問題であります。関西国際空港、大阪空港、神戸空港の三空港に離発着する飛行機が大阪湾上空で錯綜することも十分考えられるわけであります。したがって、神戸沖空港の建設は大阪空港の廃止を大前提としなければならないと私は考えますけれども、企画部長、いかがでありましょうか。
 第五に、先ごろ運輸省から和歌山県など関係方面に対しまして、関西国際空港離発着機の飛行ルートの変更について説明があり、本県と大阪、兵庫の三府県で共同の申し入れをされたと聞いておりますが、このことについてこれまでの経緯と今後の対応について企画部長に答弁を求めます。
 第六に、二期工事用土取り問題についてであります。
 二期工事のための必要土砂量は、一期工事の約一・五倍の二億五千万立方メートルと言われております。既に候補地として大阪府は泉南郡岬町、兵庫県は淡路島とされておると聞いておりますが、本県はいずれの地から土砂を搬出することになるのか。また、その方式や事業主体の問題等、幾つかの関門をクリアしなければなりません。このことについて既にマスコミの一部で、民間委託方式に決まったとか、第三セクター方式で実施するとかといった報道が行われており、あたかもそのとおり決定したかのような印象を県民に与えた向きがあります。まるで県当局か関空会社が記者発表でもしたかと思われるような内容もありました。しかし、現実にはまだ何も決定したわけではないと聞いております。事は極めて重大な問題であり、一期用土取り事業の経験と反省に立ちどう取り組んでいかれるのか、西口知事のご存念を承りたい。また、あわせて土砂単価の問題はどうなっているのか、お答えいただければ幸いであります。
 第七に、南ルートの問題であります。
 去る十一月十四日、県議会関西国際空港対策特別委員会の東京陳情の席上、南ルートの実現について運輸省の鈴木関空課長は、関空会社が主体でルート整備を行うことは困難であり、地元が検討されることは有意義だとの見解を述べておられました。要約すれば、国は知らない、地元で勝手にやれということに聞こえます。
 そもそも関西国際空港は、成田空港と並んで我が国の空の表玄関であり、国の基幹施設であります。本来は国の予算と責任において関西国際空港の整備に当たるのが当然であり、関空会社などという特殊会社をひねり出して地元に費用負担を過剰に押しつけること自体、間違っていると私は思います。このことは、きょう横に置いておきたいと思いますが、関西国際空港が国の重要な基幹施設であることはだれ人たりとも否定できない厳然たる事実であります。したがって、一日たりともその業務が停滞することは許されません。
 ところが、開港以来、道路部で平成六年九月二十九日、平成七年一月十七日、平成八年八月十四日の三度にわたり、台風や大震災の影響によって通行どめとなりました。鉄道部門に至っては、平成六年九月二十九日に台風二十六号の影響で五時間三十八分運転停止となったのを皮切りに、今月十二月一日の運転停止まで二十六回、実に合計五十九時間十二分にわたって列車がストップしたのであります。この間の利用者の不便や経済的マイナス、関空イメージの悪化などは申すに及ばず、阪神大震災の教訓に学ぶまでもなく代替ルートの必要性が焦眉の急であることは論をまちません。橋梁方式の弱点にかんがみ、沈埋トンネル方式等による南ルートの実現にぜひとも取り組むべきであると思いますが、いかがでありましょうか、企画部長からお答えをいただきたいと思います。
 次に、阪和銀行問題についてであります。
 去る十一月二十一日、和歌山市に本店を置く阪和銀行が大蔵大臣より業務停止命令を受けたことが報じられるや、瞬く間に衝撃が県内を駆けめぐりました。バブル崩壊以降、実に多くの企業倒産の報道がなされ、それこそ毎日のように報じられたかの印象があります。しかし、銀行だけはつぶれないというのが世間の常識であり、国民大多数もそう信じていたと思います。ところが、ここ数年、この神話が崩れ、金融機関の不祥事が相次いだのであります。
 バブル華やかなりしころ、土地やマンションといった不動産、株、ゴルフ会員権の売買が巨大な利益を生むというシステムができ上がり、不動産業者や証券会社、ゴルフ会員権ショップのみならず、一般企業や個人、果ては家庭の主婦までもが、砂糖に群がるアリのように、不動産、株、ゴルフ会員権の売買に血道を上げました。そして、バブル崩壊とともに、企業は倒産、個人は家庭崩壊という悲劇につながっていくのであります。
 本来、銀行は、銀行法第一条に記されておりますごとく、業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適正な運営を期し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とするものであります。特に地方銀行は、地域との密接な関係性からして地域経済の安定と発展のために不可欠の存在であり、まさに地域経済界の信用のシンボル的な立場にあるものとして、だれもが信用してまいりました。しかし、バブル御三家とも言うべき不動産、株、ゴルフ会員権の売買に関しましては、すべてとは言いませんけれども、銀行の一部がその売買の一翼を積極的に担い、マネーゲームの狂騒曲を奏で、企業や一部個人の投資をあおったのであります。固有名詞は申し上げませんが、これらのたぐいの話を私のみならず多くの人が耳にし、目の当たりにされたと思います。中には、これら不動産、株、ゴルフ会員権の入手や売買のノウハウを記したパンフレットを作成して積極的にばらまいていた銀行があったことを、この際申し上げておくにとどめておきたいと思います。
 以下、何点かにわたりお尋ねをいたしますが、先ほど同僚・宇治田議員が多岐にわたってご質問をされましたので、なるべく重複を避けて申し上げたいと思います。しかしながら、問題の重要性にかんがみ、一部重複することもあろうかと存じますけれども、どうか当局におかれましては懇切丁寧に真摯な答弁を賜りたいと存じます。
 阪和銀行の業務停止によって、同行と取引関係にありました中小企業や商店などを中心に、県経済全体に与える打撃は少なくないものと思われます。年末の資金需要の高まりを考えますと、親しく取引していた阪和銀行であれば可能であった融資も、面識のない他行との新しい取引関係では融資が実行されにくいことが十分予測されます。したがって、資金繰り悪化等に伴う連鎖倒産の心配も懸念されるところであります。ただいま、宇治田議員の質問に対する答弁にもありましたけれども、あえてお尋ねをいたします。
 この阪和銀行の業務停止によって、善良で健全な中小企業の皆さんに一人の犠牲者も出してはならない。そのためにも、県はその総力を挙げて支援のためのあらゆる方策を講じるべきであると思いますが、どうでしょう。対策本部長であり、ご苦労いただいておりますが、出納長の答弁をお願いするものであります。
 また、県民生活全般に及ぼす影響も深刻であります。一万一千人と言われる年金受給者はもちろんのこと、阪和銀行に口座を設け、ここを窓口として各種手当等を受けておられた人たち、特別障害者手当、児童扶養手当、在宅重度障害児福祉手当、原爆被爆者各種手当、母子寡婦福祉年金、福祉資金、それに生活保護費等の受給者たちが受ける不便、影響などについて、口座の変更がどの程度進んでいるのか。先ほど約一万件とおっしゃっておられましたけれども、これらの受給者全員が支障なく口座変更ができるようになるのか。例えば、地域によりましては、生活範囲の中に阪和銀行しかなく、他の金融機関への口座の移行が難しい人が出てくるおそれはないのか、きめ細かな対応が望まれるところであります。そこで、これも出納長から、これらの人々に対する支援策並びに現状についてお答えをいただきたいと思います。
 ところで、今月三日、阪和銀行と取引関係にあったとされる関西相互住宅が自己破産を申請し、事実上、倒産をしたことが報じられました。この会社は、県知事認可の積立式宅地建物販売業法に基づく宅建業者で、一部には高利率をえさに金融機関まがいの金集めをしていたとの情報もあり、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律、いわゆる出資法に抵触するのではないかというおそれも指摘されておりましたが、同法違反の容疑で、先ほど県警本部長からも答弁がありましたとおり、橋本社長、岩清水専務等を逮捕、関係先を家宅捜査することで新しい段階に入りました。本来の目的である宅地建物の契約もせず、金融機関がわりに金を預けていた者も多いといううわさでありますけれども、当局はこの実態についてどこまで掌握しておられるのか、また、正規の契約を交わし、マイホームの夢を託していたまじめな人たちの救済についてどう対処していくおつもりであるのか、土木部長の答弁を求めます。
 大蔵大臣の阪和銀行に対する業務停止命令が出されて以来、限られた範囲でありますけれども、私なりに聞き取り調査をしてまいりました。その結果、浮かんできた問題が一つあります。それは、業務停止命令が出る直前まで行員が動員され、新たな預金獲得をしていたことであります。一部の行員が自発的意思で動くならともかく、かなりの数の行員が募金に動員されていた節があります。これは経営陣の指示などがあったのではないかというのが、これら中小企業経営者らの率直な意見であります。銀行法第二十五条による立入検査を受け、その後、大蔵省の指導監督を受けていた経営陣は、このような事態に立ち至ることも十分予測できたはずであります。このことについて、大蔵省の立入検査以来の経過も含め、この際、ご答弁いただければ幸いであります。
 今、県民の間には、阪和銀行の業務停止以来、他行への影響を心配し、同様の事態に立ち至るおそれはないのかといった不安が広がっております。県民の皆さんの心配を払拭するために、県内の他の金融機関の中に阪和銀行の業務停止の影響を受けるおそれのあるところはないのか、商工労働部長にお尋ねをするものであります。
 さて、県当局におかれましては、業務停止命令後、直ちに対応をされ、対策本部が設置されたところであります。対策の一つとして、特別緊急融資を開始されたことはご承知のとおりでありますが、この措置によって救済される中小企業もかなりあると思われます。しかし、事業規模によりましては、この上限三千万円では不足を招くところもあるのではないかと思います。この際、融資限度額の大幅引き上げと、加えて利率の引き下げ、据置期間の延長など、事の重大性にかんがみ実施される考えはないのか、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 次に、数日前の新聞にこのような記事が掲載されておりました。恐らく、銀行員として入社以来、仕事一筋に打ち込んできた人であろうと思われますけれども、大多数のまじめな行員の苦悩と不安を如実にあらわすものとして読んだ次第であります。内容については省略をさせていただきます。まじめに銀行員として業務に取り組んできて、今、業務停止の命令を受けて、もう何もかも疲れてしまったという、そういう苦悩がありありと読み取れる文面でありました。
 ところで、関連会社を含めますと九百人になんなんとするこれら従業員の再雇用問題につきまして、家族を含めれば恐らく三千人前後になるのではないか、そのように私は思います。大多数の行員、従業員は、就職以来、まさにまじめに仕事一筋に打ち込んできた人たちであろうと思います。バブル時のマネーゲームに踊らされ、銀行本来の使命、目的を忘れたごく一部の首脳陣が引き起こした経営破綻のために、これらまじめな行員、従業員の中に一人も犠牲者を出してはならないと私は思います。この点に関しましても、先ほど宇治田議員の質問に対し、県としても今後の雇用の確保に大きな懸念を抱いており、大蔵大臣、銀行局長に雇用問題についても積極的に対応するよう強く要請したところであるとの知事答弁がございましたけれども、あえて再度お尋ねをいたします。再雇用問題について、大蔵大臣への、あるいは銀行局長への強い要請以外に何か方策はないのか、商工労働部長からお答えをいただきたいと思います。
 この問題の最後に、九百人近い行員、従業員はもちろん、取引関係にあった中小企業者の中の多くに、みずからの意思であるとないとにかかわらず、おつき合いや義理に絡んで阪和銀行株を持たされていた人たちが非常に多いと聞き及んでおります。今や紙切れ同然という声もありますが、この阪和銀行株の問題について県民の関心も非常に高いところから、今後どのような推移が考えられ、対策方法等があるのか、救済方法があるのか等、商工労働部長のお答えをいただければ幸いであります。
 第三の質問、福祉の町づくりに移らせていただきます。
 二十一世紀を目睫の間に控えて、障害者の皆さんが健常者と同じく自由に活発に社会生活活動を営めるよう、いわゆるバリアフリーの町づくりを目指して、和歌山県福祉のまちづくり条例が平成八年十月十一日に公布をされたところであります。私も当時、県議会厚生委員長として、県知事の諮問を受けて設けられました和歌山県福祉のまちづくり推進検討委員会の一員として、都合六回にわたる会議に出席をさせていただき、可能な限り意見を申し上げたところであります。あの委員会の席上で述べたことですべて尽きておるわけでありますが、あえてこの際、この席上で二、三点申し添えたいことがありますので、質問をいたすものであります。
 第一に、今回、この条例を制定するに当たり、西口知事としてはどういう方針に基づいてどのような理想を持って事に当たられてきたのか。私は検討委員会の席上でお聞きしておりますけれども、できればこの席で百八万県民に向かって再度、取り組む姿勢や決意を披瀝願えれば幸いでございます。全国的にも今、各都道府県におきまして同じく町づくり条例等が制定されつつありますけれども、本県は高齢先進県でもあり、知事選での西口知事の百三十六の公約の柱の一つにもあったと私は記憶しております。全国四十七都道府県の手本となり、先進県として障害者の皆さんのための福祉の町づくりのモデルケース実現に向かう知事の心意気を聞かせていただきたいと思います。
 第二に、今般の条例では、公共的施設などに対する整備基準が定められております。官公庁、病院、デパート、銀行、レストラン、ホテルなどの建築物から鉄道の駅舎、バスターミナル、プラットホームなどの交通機関、それに道路、公園など、多くのところで障害者のための施設整備が進められることとされております。しかし、一方、現実を眺めてみますと、ごく一部の施設以外、ほとんど障害者のための施設はないに等しく、いわゆるバリアだらけの現状であります。
 例えば、目の不自由な人のための点字案内板、点字ブロック、声の案内、聴覚障害者のための光の案内、体の不自由な人のためのエレベーターやスロープ、手すりなど、枚挙にいとまがありませんが、これら今挙げた幾つかをとっても、現在設置されているのは県民文化会館や市民会館、体育館、図書館、美術館などのごく一部の公共施設のみであります。まさに、県内どこに行きましても、障害者にとってはバリアだらけなのであります。
 そこで、お尋ねをいたします。これらの現状を踏まえ、それぞれバリアフリーの町づくりを目指してどう精力的に取り組んでいくのか。ハード面は土木部長から、ソフト面は福祉保健部長からお答えいただければ幸いであります。
 最後に、障害者のための設備の一つとして点字ブロックがございますが、これを例にお尋ねをいたします。
 過去に何度か、目の不自由な方が駅のホームから転落し、入ってきた電車にひかれて亡くなるという何とも痛ましい事故が報道されておりました。まことに悲しいことであります。目の不自由な人にとっては、一歩家を出れば点字ブロックは歩行のための案内標識であり、命綱ともなるものであります。ところが、この点字ブロックが設置されているところが非常に少ない上に、設置の仕方もまちまちであります。加えて、点字ブロックそのものが全体の大きさや突起の形状、色など、メーカーによってまちまちであり、同一メーカーでも異なっている場合もあるのであります。これでは、目の不自由な人たちに迷うなというのが無理であり、混乱の原因ともなっているのではないかと思われます。健常者の私たちには大した違いには見えない差異でありましても、目の不自由な人たちの繊細な感覚には大きな違いに感じられ、戸惑い、混乱のもとになっていると断ぜざるを得ません。目の不自由な人たちが、県内どこにあっても、また全国どこに行っても安心して頼れるような、そうしたきちっとした規格のもとに統一を図るべきであると思います。
 今、世の中は規制緩和へと大きな潮流で流れておりますけれども、こういうことこそ逆に、寸分違わない規制のもとに規格の統一を図るべきであると私は思います。このことについて、全国に先駆けて運動を起こすとともに、国に対しても強く働きかけをすべきであると思いますが、土木部長のお答えをいただきたいと思います。
 以上で、質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 森議員にお答えをいたします。
 まず、関西国際空港の二期事業についてでありますけれども、この二期事業については平成八年度政府予算において着工が認められたわけでありまして、現在、平成十年度末の現地着工、さらに平成十九年の滑走路供用を目標にいたしまして、事業主体である関西国際空港株式会社及び関西国際空港用地造成株式会社が実施設計調査を鋭意進めておるところでございます。
 二期事業では、地盤沈下の問題も含め、一期事業の経験や実績を十分に踏まえて計画の策定が進められてございまして、事業期間につきましても一期のときのようなおくれは生じないものと聞いてございます。県といたしましても、二期事業が平成十九年の供用開始に向けて円滑に推進されますように、地元として積極的な協力をいたしますとともに、議員のお話にございましたように、関西国際空港がアジアの各空港整備におくれをとらないように、関係府県と連携をしながら事業予算の確保等について国へ働きかけてまいりたい、そのように考えております。
 次に、関西国際空港二期事業に係る土砂供給につきましては、これまた一期の経験あるいは反省の上に立ち、さらに今日の社会経済状況などを踏まえまして、現在、関係部局におきまして、環境問題、住民のコンセンサス、事業の採算性等を十分に考えながら、事業主体や採取場所等の検討を進めておるところでございます。今後、関係機関とも協議をしながら、最終的な検討の詰めを急ぎたいと考えております。
 また、土砂の単価につきましては、事業主体が決定した後の問題になると存じますけれども、事業主体が事業としての採算性、あるいは環境保全対策等を十分考慮しながら、関西国際空港用地造成株式会社と交渉することになると思います。
 次に、福祉の町づくりについてであります。
 これは、私が県政を担当するに当たり申し上げていることでありますが、和歌山に住むすべての人々が、どの地域にあっても、どの立場にあっても、和歌山に住んでよかったというふるさとをつくることが県政終局の目的であろうということを申し上げてきたわけであります。そういった意味で、障害のある人もない人も、ともに住みなれた地域で生きがいのある自立した生活ができ、さらにみずからの意思で自由に行動し、主体的に社会参加ができる福祉社会を実現することが最も重要であろうと考えております。
 そのためには、議員お話しのように、障害者を取り巻くさまざまなバリアを取り除くとともに、町に住んでいる人々の温かい心が通い合う社会をつくること、さらにお互いの人格が尊重され、ともに生き、交流を深めることができる町づくりを進めることが必要であろうと思います。
 こうした趣旨を踏まえまして、さきの九月定例会でご承認をいただいた和歌山県福祉のまちづくり条例を制定したところでございます。議員お話しのように、障害者の視点に立って進める町づくりは、高齢者を初めとするすべての人々にとっても住みよい町づくりにつながるものであろうというふうに考えておるところであります。
 今後とも、障害者の方々のご意見をお聞きしながら、県、市町村並びに事業者や県民の幅広いご参画をいただきまして、福祉の町づくりの一層の推進のために先頭に立って頑張ってまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 出納長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○出納長(高瀬芳彦君) 阪和銀行問題についてお答えいたします。
 まず、中小企業者を初め県経済に与える影響についてでございますが、同銀行は県内に三十二店舗を有するなど、地域に密着した金融機関であり、また、年末を控え資金需要が高まってくることを考えますと、県経済に及ぼす影響が懸念されるところでございます。
 県といたしましては、阪和銀行と取引のあった県内中小企業者が資金繰り等に支障が生じないよう、政府系金融機関を初め、県内の金融機関へ協力を要請したところでございます。また、五十億円の特別対策融資制度を創設するなどの措置を講じたところであり、融資の実行に当たっても早急な対応ができるよう心がけるとともに、関係金融機関とも十分連携をとりながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、県民生活への影響についてでございますが、年金等の振り込み口座の変更については、速やかに関係各部並びに県事務所で県民の方々に周知徹底を行うとともに、テレビ、ラジオ等による広報に努めたところでございます。その結果、現在の時点では口座変更の手続も大部分が完了し、鎮静を見たところでございます。
 また、年金につきましては、最寄りの他の金融機関がない方々については郵便局を通じて支払いを行う措置を講じるとともに、十二月十三日の支給日が十二月二十五日になりますので、この間の生活対策としてつなぎ融資等の協力依頼を行った結果、和歌山銀行協会等、県内金融機関で実施されることとなってございます。
 また、生活保護費については口座変更が間に合わなくても受給日に福祉事務所、もしくは町村の窓口で受給できるよう対策を講じたほか、特別障害者手当、児童扶養手当、失業等給付などについても口座変更の手続をするよう周知徹底を図り、給付日に受給できるよう対策を講じているところでございます。
 今後とも、中小企業者を初め、県経済の安定並びに県民生活のため適切に対処し、できる限りの努力を行っていく所存でございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 森議員にお答え申し上げます。
 一般会計からの空港整備特別会計への繰り入れの増加についてのご質問でございますが、昨年八月に出されました航空審議会の第七次空港整備五カ年計画の基本的考え方、いわゆる中間取りまとめにおいて、増大する空港整備費について、これまでのような利用者負担を中心とした財源確保では対応できなくなっており、今後は一般財源の拡充を含めた所要の財源確保に取り組むことが必要であるという考え方が示されてございまして、運輸省におきましてもこうした考え方に沿って財政当局との折衝を行っていると聞いてございます。
 県議会におかれましては、平成五年十二月に空港整備財源の拡充に関する意見書を決議されるとともに、国に対し積極的に要望していただいているところでございます。また、県といたしましても今月初めの政府要望の際にも強く訴えたところでございますが、今後とも県議会のご協力を賜りながら、関係府県とともに働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、国際線、国内線の乗り入れ便の充実についてでございますが、関西国際空港への乗り入れ便をふやすためには、空港の処理能力を高める必要があることは議員ご指摘のとおりでございます。そのため、二期事業と並行して平成七年度から一期パートツー事業として既存施設の能力増強等を進められているところでございます。国の来年度概算要求においては、今年度に着手している北地区のエプロン及び旅客ターミナルビルの拡張を継続するとともに、今後の需要増に対応するため、南地区のエプロン及び旅客ターミナルビルの拡張に着手する経費等が盛り込まれてございます。
 県といたしましては、一期パートツーに係る事業費についても応分の負担を行うとともに、関西国際空港が国際ハブ空港としての機能を十分発揮できるよう、路線、便数のさらなる充実に向けて、国等関係機関に働きかけてまいりたいと存じます。
 次に、神戸沖空港の建設は大阪空港の廃止が条件であるとのご質問でございますが、国においては、関西国際空港は国際線、国内線の基幹空港、大阪国際空港は国内線の基幹空港として、神戸空港は神戸を中心とする都市圏の航空需要の一部を担う第三種の地方空港として、三空港の基本的な機能分担を位置づけているものと考えてございます。
 七月二十三日、運輸省からの関西国際空港における飛行経路の現状と問題点についての説明を受け、関係府県である大阪府、兵庫県とともに、運輸省の考え方を確認するための質問事項を去る十一月二十五日、三府県担当部長名で運輸省航空局飛行場部長あて文書照会したところでございます。この質問事項の中に、大阪国際空港の存続と関西国際空港の飛行経路の問題点の関連性、及び神戸空港の空域確保と関西国際空港の飛行経路の問題点との関連性について質問してございますので、これが回答内容を踏まえ、関西国際空港の機能が損なわれないよう適切に対処してまいりたいと考えてございます。
 次に、飛行経路についてのご質問でございますが、先ほど申し上げましたとおり、現状と問題点についての理解を深めるとともに、運輸省の考え方を確認するための質問事項を運輸省航空局飛行場部長あて文書照会をしたところでございます。本県としては、航空機による騒音問題が生じない空港づくりという従来からの基本的考え方が堅持されること、及び関西国際空港を国際ハブ空港として整備していくことが重要であると考えてございます。
 最後に、南ルートの実現についてでございますが、本県からの空港アクセスの利便性向上、あるいは太平洋新国土軸との連携、さらには阪神・淡路大震災の経験を踏まえての代替ルート確保等の観点から南ルートの必要性は認識しており、先般の国への要望の中にも盛り込んだところでございます。
 南ルートの具体化につきましては、技術面、採算面、事業主体、関係住民の意向等、さまざまな問題があろうかと存じますが、今後、大阪府及び関係市町村と連携を図りつつ、引き続き国に働きかけてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 森議員の関西相互住宅問題についてのご質問にお答えします。
 まず、債務の実態についてでございますが、これにつきましてはまだ把握いたしておりません。今後、業法に基づき積立金等保全措置を行っている営業保証金の配当権利の確認をしてまいることになりますが、その中で権利の調査を実施し、実態の把握を行うとともに、内容についても判断してまいりたいと考えております。具体的な考え方につきましては、今後、破産管財人と連絡をとりつつ進めたいと考えております。
 この件に関しましては、基本的に民事で解決されるべきものであり、県としては積立式宅地建物販売業法に基づき、定められた販売契約に係る債権者に対して配当することを行ってまいりたいと存じます。
 次に、福祉の町づくりについてのご質問にお答えします。
 まず、バリアフリーの町づくりにつきましては、現在、道路、建築物等における段差解消や歩道の拡幅、建築物出入り口におけるスロープ、エレベーター、障害者用トイレ等の整備を促進しているところであります。今後は、福祉のまちづくり条例の制定を受け、国や市町村とも連携を図りながら、障害者、高齢者等がみずからの意思で自由に行動し、安全かつ快適に利用できるよう施設の整備に一層努力してまいります。
 次に、点字ブロックの規格の統一についてでございますが、機能的には一貫性のあるように設置しているところでございます。ただ、同じ機能を持つブロックでも、設置する場所により、大きさ、点字等の形状、色などが異なっているところがあるのはご指摘のとおりであります。
 これらのブロックはそれぞれ特徴があり、すべて同一のものに統一するのは困難でありますが、視覚障害者の方々の立場に立って、より一層安心、信頼して歩行できるよう、設置場所、状況等に応じてできる限り標準化に努めてまいるとともに、国に対しても要望してまいります。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 阪和銀行問題について、お答えをいたします。
 業務停止直前まで預金獲得が行われていたことについてでございますが、ご承知のとおり、同行は大蔵省の指導監督のもとに銀行業務を行っているところでございますので、ご理解をいただきたいというふうに思います。
 次に、県内他行への影響はないかということでございますが、本年六月、ご承知のように金融三法が成立し、新たな金融システムの枠組みができたところでございますが、各金融機関においては、こうした制度を踏まえて、現在、経営の健全性確保に向けて最大限の努力がなされていると認識いたしてございます。
 金融機関のうち、銀行及び信用金庫については国が、また県信など県内四つの信用組合については県が、それぞれ検査、指導を行って経営状況を把握しております。今回の阪和銀行の影響でございますけれども、県内各信用組合については平常業務に混乱は見られませず、特に大きな影響はないものと判断してございます。
 次に、特別緊急融資の限度額の拡大、利率の引き下げ、据置期間の延長についてでございます。
 今回の特別融資制度は、中小企業者の緊急の運転資金、つなぎ融資等に対応する目的で創設したものでございます。融資限度額については、従来の一般振興資金の運転資金の平均利用実績が一件当たり九百万円程度であること、また年末を控えて短期の運転資金の需要が多くなるという見通しで、その限度額を三千万円としたところでございます。十二月五日現在、六十二件の申し込みがございましたが、一件当たり平均約二千百万円となってございまして、中小企業者の当面の資金需要に対応できているものと考えてございます。
 しかし、経営規模等により多額の運転資金を必要とする企業も考えられますので、この特別対策資金以外にも一般振興資金との併用や政府系及び地元金融機関との協調のもとに、これらに対応してまいりたいと考えてございます。
 また、利率の問題でありますが、短期運転資金として一般制度融資より低い二・五%に設定するとともに、県の保証協会の協力を得て、保証料を本年度、通常〇・七%を今回は〇・五一%と引き下げております。なお、据置期間についても、一般的な運転資金では設定しておりませんが、この特別対策資金では負担の軽減を図るため六カ月以内と設定し、償還期間については短期の運転資金という性格でございますけれども、五年間という、やや中期的な期間としたところでございます。県の保証協会、銀行等金融機関の協力もいただきながら、事務処理の迅速化を図り、早急な融資実行に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、関連会社を含め九百人を超える従業員の雇用問題についてでございますが、知事から大蔵大臣に強く要請しているところでございます。また、知事の指示を受けまして、後日、知事名の要望文書を持って再度大蔵省銀行局あるいは近畿財務局等に強く要請をしてまいったところでございます。
 この問題につきましては、阪和銀行みずからが従業員の雇用の確保に努めていただくことはもちろんのことながら、県としても、雇用失業情勢の厳しい折ではございますが、同行の従業員対策の動向を見きわめつつ、大蔵省を初め関係機関と連携を図り、雇用の確保にできる限りの支援をいたしてまいりたいと考えております。
 次に、阪和銀行株の問題につきましては、株主の方々にはもろもろの事情により株式を取得されたと思われますが、阪和銀行の株式は大阪証券取引所の発表によると来年二月に上場が廃止される予定と聞いてございます。今後は、商法等の規定により処理されるものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 福祉の町づくりについてお答えをいたします。
 議員ご指摘のとおり、現状においてはまだまだ障害のある方々にとって住みやすい社会環境が形成されているとは言えません。このため、本年十月十一日に施行した和歌山県福祉のまちづくり条例では、県、市町村、事業者、県民の責務を明確にし、それぞれの立場の中で町づくりについて積極的な取り組みをお願いしているところでございます。
 また、本条例では、歩道や点字ブロック上への自転車等の放置など、通行の妨げとなる行為の禁止規定を設けていますけれども、この規定を実効のあるものにするためには、県民一人一人のモラルを高めていく必要があり、県民の皆様にはご協力をいただきたいと思います。
 県といたしましては、すべての県民がお互いに思いやりに満ちた社会環境を築くため、今後とも県民の皆様に福祉に対する理解と認識を深めていただくための広報、啓発、教育活動を実施するとともに、相互扶助の精神をはぐくむ環境づくりを進めるためのボランティア活動の育成強化等に努めてまいります。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番森 正樹君。
○森 正樹君 二、三点、申し上げたいと思います。
 一つは、土取りについてであります。
 一期は、一立方メートル千二百二十五円、六千四百万立米ですから、ほぼ七百八十億円と聞いております。二期事業においてはさらに約五〇%増しの土砂が必要だと言われておりますが、例えば企業等であれば、これだけの収入があるとすれば、いかに支出を抑えて利益を上げるか。それによって従業員を賄い、会社を運営していくわけであります。ところが、一期土取り事業は、残念ながらそうした視点が欠落していたのではないか。したがって、今、五百十五億円と言われる赤字を残しているのであります。最終的にこれが全部、県民に負担転嫁されるということにつながるのではないか。
 そういう点で、我々はやはり、企業倫理といいますか、そうした経営手腕を発揮して、経営的感覚を持っていかに──大幅な利益を生む必要はございません──県民に負担をかぶせないか、そうした視点をもってこれに当たるべきだと。したがって、土砂単価も当然、関空会社に対して、造成会社に対して、この値上げを交渉すべきだし、かかる経費の支出の削減、軽減を図るべきだ、そうした経営感覚を持ってこれに当たるべきだということを厳しくこの際申し上げておきたいと思います。要望です。
 それから、南ルートについて。
 鉄道部門のストップが、先ほど申し上げましたように、実に約六十時間。ということは、三日間に近いわけであります。二十四時間空港と言いますが、夜間は清掃等のために閉鎖になりますから、そういう意味でいきますと四日にも五日にもなるわけであります。その間、ストップしたんです。国の基幹空港であります。日本の空の玄関であります。それが四日も五日もストップしたというこの現実。これでは、いかに日本のハブ空港だとか、アジアのハブ空港だとか、空の玄関だとか言っても、それは通りません。やはり、何としても至急に南ルートの実現が必要なのであります。
 あの阪神大震災の教訓に学ぶまでもなく──あのとき、神戸という日本の太平洋ベルト地帯を扼する神戸の町の震災によって、完全に日本が二つに分断されました。その影響はまさに多岐にわたり、日本経済に大きなダメージを与えたのであります。そうした意味で、この関西国際空港は日本の空の玄関であり基幹空港でありますから、一日も早い南ルートの実現が必要であると、私は声を大にして申し上げたい。
 これは大阪府が中心になって進めなければならない問題かもしれませんが、もし大阪の腰が重いのであれば、和歌山がリーダーシップをとって大阪を動かしていく。今、泉南市だけがこの問題についてかなり積極的に動いておられるようでありますけれども、大阪、和歌山一体となってこの南ルート実現に取り組んでいただきたいことを要望として申し上げておきます。
 それから、最近の日本経済新聞の報道によりますと、本年一月から九月の間の個人の自己破産件数が四万百八十六件と報道されておりました。実にすごい数であります。九月までですよ、これは。その内容は、バブルの崩壊による賃金収入の減少とか保有不動産の資産価値の目減りだとか、そうしたものが理由だと言われておりますが、要するにほとんどがローンの支払いに行き詰まっての自己破産であります。この個人向けローンに一番力を注いでいるのが金融機関であって、これが今、金融機関を襲っている不良債権問題となっているのであります。
 そうした意味で、この阪和銀行の業務停止、要するに事実上の倒産、これによって県民百八万の中にその犠牲をこうむることのないように真剣に取り組んでいただきたい。
 先ほど答弁の中で、一万一千件の年金者に対して約一万件の口座振替が済んだのでほぼ鎮静化したという答弁がありましたけれども、とんでもない。あと一千人残っているじゃないですか。この一千人の人たちは何か事情があるんじゃないですか。もう年末ですよ。もう年金を受ける日が近づいているんです。そして、一部の金融機関には、この年金者に対するつなぎ融資を渋っているところがあると聞いています。年金者はこれで生活しているんです。つめに火をともすような年金をもって毎日を生きているんです。その年金者の中から一人でも、絶対に犠牲者を出してはならない。
 そのために、あと一千件は至急調査をして、年金をスムーズに受けられない者が一人も出ないように取り組むべきじゃないですか。全体の九〇%を超えて、一万一千件のうちの一万人は口座振替が済んだからもうそれでいいって、そんなばかな話はありません。この一千人という人がまだできていないということに注目すべきであります。
 そうした意味で、どうか──一生懸命取り組んでおられることはよくわかります。しかし、こういう社会的弱者のために今こそ県が総力を挙げて、一人も犠牲者が出ないように救済に取り組むべきであることを強く訴えて、これも要望でございますが、以上で再質問を終わります。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 正午休憩
  ─────────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番東山昭久君。
 〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。
 ことしは、夏にO157対策、また年末には阪和銀行の業務停止に対する対策など、西口知事を先頭に懸命に頑張っておられる県職員の皆さんに敬意を表しながら、質問の通告に従い、一般質問を行いたいと思います。
 まず初めに、総選挙結果と行政改革について質問いたします。
 第四十一回衆議院総選挙は、小選挙区比例並立制、全国三百小選挙区(定数三百議席)、比例代表十一ブロック(定数二百議席)の新選挙制度で、去る十月二十日に行われました。結果は、自由民主党二百三十九議席、新進党百五十六議席、民主党五十二議席、共産党二十六議席、社会民主党十五議席、新党さきがけ二議席、民主改革連合一議席、無所属九議席、県内では自民二、新進三という新しい勢力分野が決まりました。投票率は、小選挙区の全国平均は五九・六五%で、過去最低であった前回を大きく下回り、戦後最低の記録となりました。県下でも六七・五四%で、前回九三年七月の七五・四一%より七・八七ポイント下回る結果になりました。年々低下しており、代議制民主政治の根底を揺るがしかねない深刻な課題を残すことになりました。
 新選挙制度も中選挙区制から小選挙区制に変わった上に、重複立候補という不自然でわかりにくい制度がつけ加えられ、有権者に戸惑いを与えました。また、その制度に乗って戦った政党や候補者が有権者を引きつけるような魅力を著しく欠いていたということも言えると思います。理念や政策本来で争う、真に民意を反映する選挙制度の確立も重要な課題であることを示しました。
 過半数には達しなかったものの多数を得た自由民主党は、社会民主党、新党さきがけの閣外協力で第二次橋本政権を発足させ、自民党単独政権が復活することになったのであります。第二次橋本政権発足に当たって自民、社民、さきがけの三党は、これまでの二年余の与党としての連立政権の成果を積極的に評価するとともに、新たな政策協議を踏まえて政策合意が成立しました。
 三党合意の主なものですが、介護保険制度、日銀・大蔵省改革、NPO法案などについては次期臨時国会、通常国会で成立を期する。税制問題は、次期国会で特別委員会を設置し徹底的に論議を行う。最大の課題である行政改革については、首相直属の審議機関を設置し、省庁の機能別再編・統合、国・地方公務員の思い切った合理化、国と地方の役割の見直し、行政に対する国民の信頼の構築と透明性の確保、財政再建法の検討など霞ケ関大改革の断行、具体的には、審議機関設置後一年以内に成案し、平成十年の通常国会で成立を期する。省庁の再編・統合は法案成立後五年以内に実施する。それ以外のものについては、できるものから直ちに実施する。また確認事項として、情報公開法の早期制定、規制緩和の促進、天下りの規制、内閣の機能強化、特殊法人の民営化・統廃合。地方分権については、平成十年までに地方分権推進計画を策定し促進を図る。財政再建は、財政再建法を検討し、財政構造改革を実現する。その他、政治改革、国会改革、消費税改革、平和外交及び沖縄問題、社会政策、環境政策、農業政策、女性政策、子供をめぐる諸問題などについて政策合意がなされたのであります。
 橋本政権の政策課題の焦点は、第一に行政改革であります。第二は、消費税五%引き上げに伴う対応策であります。特に行政改革は最大のテーマであり、橋本首相も選挙戦で、政府の役割を、国家の存続・富の確保、国民生活の保障、教育、文化の四分野に分け、現在の二十二省庁を機関に応じて再編、半減させる、予算編成、行政管理の機能を首相官邸に移す、財政、税制などに関する各審議会を統合し首相直属とするとして、これらの総合的な霞ケ関改革実現に向けて首相直属の審議機関を発足させ、一年以内に改革案をまとめると国民に公約したのであります。行革会議がスタートし、論議が始まりました。
 行政改革は、自治体においても避けて通れない重要な課題であります。県は、昨年十一月、新行政改革大綱をまとめ、基本的視点として、一、簡素で効率的な行政、二、役割分担の明確化、三、変化への対応、四、計画性、総合性の確保、五、行政の自立性の実現などを提起し、現在それに基づいて進められていると思いますが、行政改革が人減らしや住民へのサービスの低下にならないようにしなければなりません。自治体の行政改革は、自治、分権、参加を基本にして、国から地方への権限、財源の移譲、市民自治の拡大、生活者の視点に立ち、労使協議の尊重と不当な人員削減や賃金、労働条件の引き下げや住民へのしわ寄せのないようにしなければならないと思うのであります。
 そこで、西口知事にお尋ねします。
 一点目は、さきの総選挙結果、特に新選挙制度、投票率の低下などについてどのような所見をお持ちなのか、お伺いしたいと存じます。 二点目としては、行政改革に対する基本的考え方、新行政大綱策定一年目の成果、並びに来年度の組織、事務見直しの具体的改革案についてお尋ねいたします。
 次に、高級官僚スキャンダルと情報公開について質問いたします。
 高齢者福祉事業を舞台とした厚生省トップの岡光事務次官の不祥事は、高齢化社会を迎え、高齢者保健福祉推進十カ年戦略(ゴールドプラン)に基づく補助金支給をめぐる疑惑は底なしの広がりを見せており、ついに官僚トップが逮捕されるに至りました。特別養護老人ホームの建設費は、国が二分の一、県が四分の一を負担するため、建設が認められれば大半は公的資金に頼れる。しかも、厚生省幹部の力をかりて多額の補助金を手に入れ、建設工事も自前の会社が受注し、丸投げで巨額な利ざやを得て、その金で政・官を巻き込んで許認可を自由にしていたことが明らかになりました。
 良心的な社会福祉法人は火の車の状態であり、懸命に努力されていると言われています。また、各地域で多くの人たちがボランティアによって福祉を支えています。
 一つの例ですけれども、北山村や熊野川町などでは、郵便局に働く職員の皆さんが触れ合い郵便としてひとり暮らしの老人宅を定期的に訪問して声をかけたり、周囲の草刈りや手すりの設置等の周辺整備を行うなど、地域で懸命に高齢者の皆さんを支えている人たちがたくさんおります。その一方で、福祉に名をかりた悪事は絶対に許すことができません。昨年は大蔵省の主計局次長の蓄財疑惑があり、相次ぐ高級官僚のスキャンダルは綱紀の緩みということで片づけるわけにはいきません。行政機構の根幹が腐敗していることにほかなりません。事実の究明とともに、背後にある政・官・業の癒着の構造に深くメスを入れると同時に、許認可を初めとする行政の決定過程をもっとガラス張りにし、国民から監視のできるシステムづくり、より一層の情報公開が必要であると思うのであります。
 自民、社民、さきがけ三党は、十一月二十八日の与党政策調整会議で、公務員の綱紀粛正を徹底するために、仮称でありますけれども公務員倫理法の制定に向けて検討することを合意いたしました。
 さて、国政の場では政・官・業の癒着による不正が絶えませんが、自治体でも公費乱用、官官接待問題などをめぐる混乱が全国的な広がりを見せています。
 群馬県では九四年だけで三億六千七百万円もの空主張が行われて明らかになり、東京都は九五年度の接待費の三分の二近くに不適当な会計処理があったとの調査結果を発表し、秋田県では公費乱用が次々に発覚して知事が辞任を表明するに至りました。食糧費による官官接待問題で、各地で空主張や空雇用による裏金づくりの実態が明らかになり、一部は職員の飲食に使われていたことも明らかになりつつあります。和歌山県にはこのような実態があってはならないし、ないと信じたいと思いますが、全国的に各自治体に蔓延していると言っても過言ではないと思われます。
 さて、県内に目を転じてみると、県立医大での贈収賄事件など幾つかの事件が発覚し、県民のため一生懸命まじめに努力している職員の皆さんや県民を裏切る事件が起きたことはまことに残念でなりません。また、ことしになって私のところに投書が何通か寄せられてきました。目を通してみると、県政にかかわる重要な内容であります。事実関係を調査したわけではありませんので具体的内容を明らかにいたしませんが、人事や職員のモラルや入札に関するものでありました。私は事実でないと信じたいと思いますが、変なうわさや投書があること自体に疑念を抱かずにはおれないのであります。実態はどうなのか、心配するものであります。
 職員の服務に関しては、一九五一年に職員の服務の宣誓に関する条例が制定されています。その一条に「新たに職員となった者は、任命権者に対し、別記様式による宣誓書により宣誓をしなければならない」と定めてあり、一般職員の場合、「私は、ここに、日本国憲法を尊重し、擁護することを誓います。 私は、地方自治の本旨を体するとともに、公務を民主的且つ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、県民全体の奉仕者として誠実公正に職務を執行することを誓います」となっており、それに署名・捺印して提出するようになっています。
 多くの職員の皆さんは、宣誓されたとおりまじめに一生懸命働いておられます。しかし、一部に不正が起きることは残念でなりません。同時に、不正を未然に防ぐためにも綱紀粛正の徹底が求められております。公共事業をめぐるゼネコン汚職が発覚して以来、談合や不正防止のため、入札制度の改革などさまざまな取り組みがなされてきました。県でも公正な入札に努力されてきたのでありますが、依然として公共事業の入札をめぐって談合などのうわさが飛び交っているのも事実です。不正防止には、入札制度のさらなる改革が必要であると思うのであります。
 そこで、西口知事にお尋ねします。
 厚生省を初めとする一連のスキャンダルや地方自治体による公費乱用問題に対する所見、綱紀粛正の取り組み、透明度の高い事業入札制度改革に今後どう取り組まれていくのか、お尋ねいたします。
 去る六月議会で、特別養護老人ホームの整備と許認可の不透明な点について取り上げられました。今後の特別養護老人ホームの整備については、整備充実委員会のような場で推薦していくなど、今後の選定のあり方の改善表明がなされました。今回の埼玉県での福祉施設の建設、運営を手がけている社会福祉法人の理事長や厚生省から出向していた前埼玉県高齢者福祉課長が逮捕されるという事態は、福祉を利用した利権絡みの行政であり、許認可を初めとする行政の決定過程をガラス張りにし、監視を強めるシステムづくりが急務であることを示唆しています。
 そこで、三点について県当局の見解を伺います。
 一点目は、今回の事件を教訓に、国から県への指導はどのようなことが来ているのか、建設に当たっての入札や運営等についてのチェックはどのようになされているのか。
 二点目は、一人が何カ所も建設していることは異常だと言われているが、県内では一人の理事長が福祉施設を何カ所も持っている実態はあるのか。あるとすれば、どんな理由で許可されたのか。
 三点目は、六月議会以降、県として許認可の指導や取り組みはどのようになされているのか。
 以上三点について、福祉保健部長の答弁を求めます。
 不正防止に最大の監視機能を果たすのは住民による直接監視であり、徹底した情報の公開であります。
 県では、平成五年三月に県民の県政に対する理解と信頼を深め、県政の参加を促進し、もっと開かれた県政を一層推進することを目的に和歌山県公文書の開示に関する条例が公布されておりますが、一定の条件がついており、真に開かれた県政にするためにはさらなる情報公開が必要であります。
 宮城県では十一月から、都道府県レベルでは沖縄県に続き二例目となる県政オンブズマン制度を発足させました。民間の有識者から選ばれたオンブズマンは、県民にかわって県の関係機関に説明を求めたり、関連文書や記録、資料などの閲覧、提出を要求できたりするほか、実地調査などを通じて県政への苦情の処理、苦情の背景にある制度の改善について勧告や意見表明などを行うのが任務となっております。川崎市は、一歩進んで市民オンブズマン条例を制定しています。管轄は、市の機関の業務の執行に関する事項及び当該業務に関する職員の行為とするとして、管轄外としては、判決、採決等による確定した権利関係、議会に関する事項、市個人情報保護条例に規定されている個人情報保護委員の職務に関する事項、職員の自己の勤務内容、市民オンブズマンの行為に関する事項となっています。
 そこで私は、住民の監視機能を持ったオンブズマン条例を制定すべきであると提案したいのであります。徹底した情報公開に向けての決意とオンブズマン条例制定の提案に対するご答弁を総務部長に求めます。
 次に、九七年度予算編成に向けて。
 国の九七年度概算要求は、八月三十一日までに各省庁から大蔵省に提出され、総額八十一兆四千四百四十八億円となっており、十二月末の政府案決定まで予算要望、折衝などの予算編成作業が続くわけであります。県においても、来年度予算編成に向けて政府新年度予算へ三十八項目の重点要望、各部、各委員会内での予算案づくりに真剣に取り組まれていることと思います。
 地方自治体の財政は、政府の地方財政計画に大きく依存しています。したがって、この地方財政計画の特徴を最大限活用することが必要となります。私どもは、地方財政の確立に向けて九七年度地方財政重点施策をまとめ、与党政策調整会議などの協議機関で政府案にできるだけ多く反映させるため努力を行っているところであります。
 重点施策として、一、地方分権と住民の参加、協力、共同の自治体改革の推進のため機関委任事務制度の廃止、国の関与等の廃止、規制緩和、地方への権限移譲等地方分権の推進、住民投票制度、外部監査制度の導入、二つ目として、地方分権を保障する地方税財源の充実、自治体の財政需要を的確に反映させ、豊かで魅力ある地域社会づくりを進めるため、環境、リサイクル、森林、山村、農山漁村、教育、文化、スポーツ、情報化、国際化、防災、快適な都市生活環境づくり、高齢者に優しい町づくりの推進のための財源の充実を図る、三つ目として、地域福祉の推進のための財源の保障、公的介護保険の創設、新ゴールドプラン、障害者プラン、エンゼルプランなどの実施のための財源措置、四つ目として、環境と人に優しい地域公共交通の推進、排ガス抑制、省エネルギー、電気自動車導入など地域公共交通体系の確立、不採算バス路線、福祉バスに対する助成の強化、五つ目として、災害に強い安全な町づくりの推進、防災計画の改善、都市防災機能の向上など自治体の災害対策の充実、消防施設、設備の整備、消防職員の確保など消防力の充実強化、阪神・淡路大震災対策、O157対策、病院、学校等の給食などの整備のための財政措置など、その実現に全力で取り組んでいるところであります。
 さて、知事は就任一年目の九六年度当初予算案の基本目標として、和歌山新時代の創造を実現するため、飛躍への基盤づくり、明るい社会づくり、活力ある産業づくり、快適な暮らしづくり、心豊かな人づくりの五つの政策目標を掲げ、交通ネットワークの整備、高齢化社会に対応して、安心して暮らせる社会づくり、産業の情報化、農林漁業の生産基盤、生活基盤の整備と充実、行政改革の一環としての組織の見直しを重点として取り組まれたのであります。二十一世紀を目の前にして、県民生活向上、福祉の充実のための施策を積極的に推し進めていかなければなりません。
 そこで、西口知事の九七年度予算編成に当たる基本方針、重点施策の考え方についてお尋ねします。
 最後に、学校における環境衛生管理の課題について質問いたします。
 この夏、大阪堺市で発生した学校給食での病原性大腸菌O157の集団食中毒は全国的に広がり、多くの患者を出すと同時に、学校給食の衛生管理、地域経済に大きな課題を残しました。県内でも六十七名の患者が出ましたが、十月二十五日に全員完治しました。県は直ちに対策本部を設置し、患者の救済、学校給食の安全対策、中小企業への融資制度の実施など問題点の処理と対策を行ってきましたが、県経済に与えた影響は大きく、さらに阪和銀行の業務停止が追い打ちをかけ、地域経済に大きなつめ跡を残しました。
 衛生の管理運営基準は厚生省の所管する食品衛生法で規定されていますが、文部省管轄の学校給食施設は食品衛生法の対象外となっているなど、法整備の不備も明らかになりました。また、学校給食は学校保健の学校における環境衛生管理基準で運営されていますが、今回の食中毒は学校給食の衛生管理の不備が感染拡大の要因の一つとして指摘されています。
 さて、学校における環境衛生については、平成四年六月二十三日の文部省通知「学校における環境衛生管理の徹底について」で環境衛生の基準が全面的に改正され、それで運営されております。
 文部省通知では、「一、学校においては、学校保健法第二条の規定に基づき、環境衛生検査について計画を立て、これを実施しなければならないこと。 二、環境衛生検査は、他の法令に基づくもののほか、毎学年定期に、飲料水の水質、水道等の施設・設備の衛生状態、浄化消毒等の設備の機能、その他学校保健法施行規則の定める項目について行わなければならないこと。 また、必要があるときは、臨時に行うとともに、日常、常に環境衛生の維持・改善を図らなければならないこと。 三、学校においては、環境衛生検査の結果に基づき、必要に応じて施設・設備の修繕等の事後措置を講じなければならないこと。 四、本基準に基づく環境衛生検査の実施、事後措置等については、学校薬剤師等の指導・助言を得ること。 五、学校給食の共同調理場においても、本基準『学校給食の食品衛生』を参考の上、環境衛生の徹底を図ること」などについて、知事は所管の私立学校へ、教育長は市町村教育委員会に対して趣旨を周知徹底することになっております。
 学校環境衛生の基準は、照度及び照明環境、騒音環境及び騒音レベル、教室等の空気、温熱及び空気清浄度、飲料水の管理、施設・設備、学校給食施設、水泳プールの管理、排水の管理、机・いすの整備、学校の清潔、黒板の管理、水飲み・洗い口・手洗い場の管理、便所の管理、ごみの処理、ネズミ、衛生害虫等について、検査回数、検査事項、検査方法などが細かく規定されているのであります。
 学校における環境衛生管理は基準どおり実施されているのか、教育委員会として指導・点検はどうなされているのか、お尋ねします。教育長に答弁を求めます。
 次に、先ほど申し上げましたように、学校における環境衛生基準は十六項目にわたって細かく設けられています。私は、かねがね子供たちが泥んこで遊んでいる砂場は安全だろうか、大丈夫だろうかと思っていました。       そこで、保健体育課から「学校環境衛生の基準」を手に入れて調べてみると、砂遊び場の管理基準はありませんでした。また、県条例の「環境衛生」では、昭和四十二年に和歌山県魚介類行商条例が制定されていますが、砂場に関しては何の管理基準、規定もない状態であることが明らかになりました。
 幼稚園、保育所、学校、公園、団地の公園の砂遊び場にはたくさんの子供が遊んでいます。小さいときから土となじむことは大変大切であります。しかし、砂場は犬や猫などの動物のトイレになっているのが現状です。恐らく、大腸菌などのばい菌が蔓延していると思われます。ペットブームの中で、ペットから感染する病気が近年増大化しつつあります。犬や猫の回虫は、ふんと一緒に排出され、人体に感染すると言われており、子供に被害が出ていると言われています。また、目や脳の神経に障害も起こし、失明の危険性があると指摘されています。砂遊び場の安全性について疑問が広がりつつあります。
 砂場の安全性が問題となっている中で、文部省は平成八年九月二十四日に「砂遊び場(砂場)の衛生管理の徹底について(通知)」を発して、「一、砂場遊び等の際には、砂を口に入れないこと、及び、砂場遊び等を終えた場合は、速やかに石けんを使用した手洗いを行うよう指導すること。 また、砂場に持ち込む遊具等の衛生管理についても、適切な指導を行うこと。 二、(中略)砂場の衛生面における維持管理に十分留意すること。 三、砂場を使用していない場合には、必要に応じ、動物進入の防止のため、砂場にシートを被覆するなど適切な措置を行うこと」として、衛生管理を徹底するように要請しております。子供たちが安心して遊べるには、手洗いだけでは不十分であります。危険性のある条件を取り除くことが大切であり、砂場を清潔にすることが必要であると思います。
 そこで、次のことについて要請並びに質問をいたします。
 一点目は、砂遊び場の実態調査を行っていただくことを要請いたします。幼稚園、保育所、学校、都市公園、団地の公園等の砂場について、早急に環境衛生検査の実施を行っていただくことを強く要望したいと思います。
 二点目は、環境衛生検査は来年四月までに終え、その結果に基づき、必要に応じて対策を立て、事後措置を講じること、そのために来年度予算で財政措置を行っていただきたいと存じます。
 三点目は、子供たちが安心して遊べるように、砂遊び場の衛生管理基準を設けることを強く要請して関係部長の答弁を求め、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員にお答えをいたします。
 まず、先般実施された衆議院総選挙についてでございます。
 午前中、宇治田議員にお答えを申し上げたとおりでありますが、制度の是非を含め種々の意見があることは、十分承知をしておるところでございます。また、投票率の低下ということにつきましては、健全な民主主義の発展にとって好ましからざる現象であると私も危惧しておるところでございます。しかし、そういったことをも含めて、今後国政の場において十分ご議論いただけるものと思っておるところでございます。
 次に、行政改革についてでございます。
 県におきましては、ご承知のように、昨年十一月に行政改革大綱を策定いたしました。おおむね三カ年をかけて行財政運営全般にわたる総点検を行っているところでございます。
 今回の行政改革は、地方分権の時代を迎えて、社会の変化に対応した簡素で効率的な行政を確立するために、本県の行財政運営全般にわたって県民の立場に立った見直しを主体的に行いまして、県勢の活性化と県民福祉の一層の向上を図ることができる行政体制を整備することを目的といたしております。
 初年度に当たる本年四月には、こうした趣旨を踏まえて本庁組織の大規模な改編のほか、事務事業の見直し、人材育成のための研修体制の見直し等を実施したところでございます。来年度以降も、行政改革大綱の視点に沿いまして、県民から信頼される役割を果たし得る体制づくりを目指して、特に地方機関等の見直しを行うとともに、事務処理の迅速化や行政サービスの向上を図るために地方機関等への権限移譲を行ってまいりたい。そういうふうなことを中心にした積極的な見直しを行いたいと思っております。
 次に、最近、報道等されている国家公務員による不祥事についてでございます。
 全体の奉仕者であり、国民の福祉の向上に全力を注がなければならない立場にある者としては、あってはならないことだと考えてございます。また、地方自治体においても種々の問題が発生していることは、私も非常に残念に感じております。本県においては、かかることのないような適正な予算の執行に努めているところでございます。
 なお、ご指摘の県立医大など本県職員に係る不祥事があったことについては、まことに遺憾に思っているところでございます。このことを厳しく受けとめて、全職員に対し、職場研修等あらゆる機会をとらえて、服務規律の遵守、綱紀の厳正保持の徹底を図るよう指示したところでございます。今後とも、県職員に対する綱紀粛正により一層努めてまいりたいと考えております。
 さらに、公共事業の入札につきましては、その根幹である発注者は公正で中立であるという立場を堅持して取り組んでいるところでございますが、入札に伴う不正行為の防止につきましては、従来、綱紀の粛正に努め、その根絶を図っているところでございます。また、業者指導にも努めておるところでございます。
 平成五年度に、信頼のできる業者を選ぶ、そして不正が起きにくいシステムを構築するために、土木部長を会長とする入札契約制度検討委員会を設置いたしまして、以来十二回の審議を重ねてまいったところでございます。その結果をもとにいたしまして、本年四月より一般競争入札及び公募型指名競争入札の実施をいたしまして、より一層の透明性、客観性、競争性の確保に取り組んでおるところでございます。今後とも、県民の信頼を失うことのないよう、不正を起こさないシステムの確立に向けてさらに努力を重ねたいと思っております。
 次に、来年度の予算編成方針などについてであります。
 現在、編成作業を進めているところでありますけれども、これに先立つ予算編成方針につきましては、来年度を財政構造改革元年にするんだという国の財政状況、あるいは厳しい概算要求基準、また同時に本県においても県税収入の動向や累増する県債残高等を踏まえて、経常的経費については昨年度と同様のシーリング一○五%を設定いたしまして、既存事業についてはそのうち九五%といたしております。また、投資的経費のうち県単独事業につきましては、実質的に前年度並みとなる要求枠一○二%の設定を行っているところでございます。
 しかし、このような厳しい財政運営を余儀なくされている状況下にありましても、和歌山新時代に向けて着実に布石を打ち、未来への投資を進めていかなければならないこともまた事実であります。県行政として避けて通ることができない多くの課題もあるわけでありますので、このことに対しては志を高く持って、真正面から取り組んでいかなければならないと思っております。このために、私は県職員の皆さんにも、固定観念にとらわれない新しい発想を持って、真摯に行政の効率的運営に努め、それを来年度予算に反映するように強く指示しているところであります。しかし、こうした努力の上に立っても、なお県民の皆さんには辛抱をしていただかなければならない面も出てくるかと思うわけでありますので、皆様方のご理解とご協力をぜひお願い申し上げたいと思っております。
 以上であります。
○副議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 東山議員の質問の、特別養護老人ホームの件についてお答えします。
 一点目の今回の事件後における国からの県への指導については、現在、特段の指導は行われておりませんが、先般、厚生省内において綱紀粛正や制度面を含めた防止策を検討している旨の通知文が届いており、さらに新聞等により、採択の基準、選定の手続の見直しなどについても検討されていることを聞き及んでおります。また、特別養護老人ホーム建設に係る発注先については、社会福祉法人の経理規程に基づき入札により決定されており、さらに契約や工事についても竣工時に検査を実施しております。
 次に運用については、毎年県が行っている実地による指導監査を通じ、適正な運営が確保できるよう指導しているところであります。
 二点目の複数施設につきましては、社会福祉法人が複数の施設を経営することにより施設間の人事交流や経営の安定化などのメリットを生かす理念から、県内には複数の施設を経営している法人が幾つかございます。しかしながら、今回の事件のようなケースは特異なものと認識しておりますが、こうした問題も十分念頭に入れながら今後対処してまいりたいと考えております。
 三点目の六月以降の特別養護老人ホームについての県の取り組みでございますが、今後の整備における条件を市町村に通知するとともに、箇所の選定については整備すべき圏域を決定し、その後、圏域で整備を必要とする特別養護老人ホームを推薦していただくなど、箇所選定について努力しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 情報公開とオンブズマン条例についてお答えします。
 まず情報公開についてでございますが、平成五年三月に公文書の開示に関する条例を制定し、また平成七年十一月から幅広く県民からの提言を受け入れ、県政に反映することを目的に、ファクスによるきのくにホットライン、パソコン通信によるパソコンホットラインを設け、開かれた県政の推進に努めているところでございます。
 情報公開制度は、基本的には公開を原則としているところでございますが、ご承知のように、行政情報の中には個人のプライバシーの保護を初め、第三者の権利、利益の保護や公正かつ円滑な行政運営の確保等の観点から公開に適さない情報も含まれてございます。条例上も公開の原則に対する例外的な措置といたしまして、必要最小限の範囲で非開示事項が規定されているわけでございますが、条例の解釈、運用に当たっては、開かれた県政の推進のため、県民の公文書の開示を求める権利を十分に尊重し、適正な運用に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、議員ご提案のオンブズマン条例についてでございますが、現行の監査委員の権能との問題等、制度上の整理が必要なところであり、今後の課題と考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 東山議員にお答えします。
 砂遊び場(砂場)の衛生管理についてでございますが、都市公園は、ゆとりと潤いのある生活環境を形成するため、スポーツ、レクリエーションの場として整備を進めており、安全で快適な利用が図れるよう管理に努めているところであります。
 ご質問の都市公園等の砂場について、衛生管理基準として策定されたものはございませんが、毎日の清掃業務の中で点検やごみの除去等に努めるとともに、公園内での犬の放し飼いの禁止等により衛生管理に努めているところです。これにつきましては財政的措置を考慮しなければなりませんが、砂遊び場の実態調査については実施するように考えております。また基準等については、今後の課題として検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学校における衛生管理についてでございます。
 学校保健法に基づく学校環境衛生の基準によりまして定期検査や臨時検査を行い、望ましい環境の維持、向上に努めているところでございます。
 議員ご指摘の砂遊び場の衛生管理につきましては、学校環境衛生の基準において、これまで具体的に示されていなかったこともあり、本年九月、文部省から「砂遊び場(砂場)の衛生管理の徹底について」の通知が出されました。これを受けて、各学校に対し周知徹底を図ったところでございます。さらに、実態把握のためのアンケート調査も実施いたしました。その結果、各学校では、シートをかけるなど犬や猫の侵入防止や朝夕の点検、清掃、消毒など、衛生管理に努めてきております。また、児童生徒には砂遊び後の手洗いの励行等の指導も行っているところであります。
 学校における砂遊び場の汚染状況の調査につきましては、今後、文部省通知を踏まえ、財政措置をも考慮しなければなりませんが、実施してまいりたいと考えます。
 砂遊び場の環境衛生基準を設けることにつきましては、教育委員会としても強い関心を持っておりまして、去る十二月五日の近畿学校体育スポーツ主管課長会議においてもこれを議題として協議いたしましたし、今後も国に対して働きかけてまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(下川俊樹君) 以上で、東山昭久君の質問が終了いたしました。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番中山 豊君。
 〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長のお許しが出たので、質問を進めさせていただきます。
 一番目に、「中国へのポートセールスの成果は」と掲げておりますが、十月六日から十月十二日まで開催されたポートフォーラムに、知事は中国は青島、上海を訪ね、ポートセールスに取り組まれました。
 定期コンテナ航路が開設され、その実績をさらに発展させようとの願いのもとに実行されたものと思われるけれども、これについて、県勢発展の上に立っての見通しを含め、ご報告を願いたい。
 それとのかかわり合いで、和歌山と中国との定期航路開設を目指せば、陸上交通アクセスについての整備拡充は当然求められてくるであろうから、これについてもお聞かせ願わなければなりません。
 さらに、震災復興を果たして神戸港が全面復旧したとのことであるが、神戸港全面復旧下で、大阪港の入り口に位置する港として和歌山下津港を将来どのように発展させるかの構想をも改めてお聞きしたいところです。港湾整備計画推進の現状に触れながらお答えを願いたいと思います。
 二番目、業務停止命令を受けた阪和銀行と県の対応についてであります。
 この課題については、けさほど来、宇治田・森両議員から取り上げられ、当局の答弁がありました。しかも、気迫に満ちた論戦が展開され、議会に県民の要求や意向が真剣に反映されていることを余すところなく示しているものと感動したものであります。さらに屋上屋を架すようですけれども、当局が県民の意向や要求にこたえられる懸命の取り組みが求められているところですので、重複があろうとは思いますが、それは強調の意味で述べているのだとお受けとめいただいて、真摯なる答弁をお願いいたします。
 本議会冒頭の、県政の最近の動きについての知事説明の中にもありました。大蔵大臣による阪和銀行への業務停止命令があり、知事はその翌日直ちに上京、大蔵大臣ほか要職に会われて、預金者保護、中小企業等の経済活動の安定のため万全の措置をと求められ、八百人余の従業員の雇用問題等についても申し入れを行われたようであります。これについてはそれなりに評価できるけれども、問題が基本的に解決されていないことから、幾つかお尋ねをしてまいりたいと思います。
 一番目、一切の業務を停止したことにより県民の不安が集中的に寄せられて、年金受給者の振り込み指定変更の混乱を避ける措置をとられたり、水道料金等、公共料金の振り込み相談だけでなく広範囲の相談にこたえられるようにしました。県が行った五十億円の緊急融資は中小零細企業の資金繰りにどれだけの効果が期待されるのか、今日までの取り組みの実態をお述べいただきたいと思います。
 O157のときは、倒産関連中小企業者と決定された業者に保証枠が別枠とされました。すなわち、県は二千万円を限度とした制度をつくられましたけれども、そういうふうな制度も運用しながら、県民からの要求にどのようにこたえるのかということも含めてお答えください。
 二番目、再建途上だとの発表直後の業務停止にかなりの不満が寄せられています。十一月五日の業務予想修正時の当期赤字は三億六千万円、それが二十一日には三百三十八億円にまで拡大された原因は不可解だ、大蔵省の不良債権償却基準に照らしてもかなうものではないという声が大きくあります。金融機関は大蔵省のやり方でどんなふうにでもなるのかという批判は免れません。
 五年の再建計画を立て、合理化を図り、犠牲を強要しながら切り詰めた取り組みを始められたやさき、しかも中央からトップを迎えられ、それを実行したばかりであります。賛同しかねるとの声は、銀行内はもちろん、利用者の中にもたくさんあるようであります。その声が反映されてか、当初、日銀総裁は阪和銀行存続の要件はないと申して、整理清算の条件として、地域の金融機関として重要な役割を果たしていること、あるいはまた関係金融機関の支援体制にあることとしながらも、一つ一つのケースに応じて決めなければならないとトーンダウンさせてきているようでもあります。再建への模索の途中とはいえ、雇用確保にもかかわりながら、考えているところをお聞かせ願いたいわけであります。
 さらに、報道によりますと大阪日銀支店長は、他の金融機関による肩がわり融資が大量に進んでいる状況にはない、資金を多く必要とする年末に向けての課題だと懸念を表明しながら、時々の状況に応じて最善の方法をとるとして、業務整理清算について、新銀行を設立するか、永続的な銀行を新設した旧兵庫銀行方式なども選択肢の一つだと示唆しているようであります。これについての現段階の状況と今後についてもお聞かせ願いたいわけであります。
 三つ目、特に従業員の雇用問題について政府に要請をされていますけれども、その進捗状況と今後についてお考えをお示し願いたいわけであります。
 受け皿銀行が必要とする人員についても、預金払い戻し業務に限定されたり、債権回収は整理回収銀行が当たるということで、阪和銀行職員の引き受けには限度があるというふうにも申されているようであります。
 職員及び身内の人々は、年の瀬を迎えて不安を隠し切れないとの話がたくさん寄せられてきているところであります。再建計画に身を切るような思いで協力をし、預金獲得に身内こぞって協力してきた、余りの仕打ちだ、職員に一切の責任がないのに寒風の中にほうり出されるような理由はない、このようにも申されているところであります。基本的には銀行が考えなければならないこととはいえ、当局に寄せる関係者の期待は極めて大きいものがあります。重ねてご答弁をお願いしたいと思います。
 道路問題についてであります。
 三百七十号の築地阪井線は都市計画道路の改良として工事が進められ、あと二年で重根は県道海南金屋線との分岐点まで通されるとのことですけれども、これについて、今後の取り組みにかかわって幾つかお尋ねいたします。
 JR海南駅南、海南亀川踏切、高速自動車道路東インターからおりてきた交差点あたりまでに要した年数と比べて、幡川地区内での県道金屋線との交差点あたりまでに要する年数はかかり過ぎるのではないかという地区の人々のお話であります。難しいとされる市街地内が早く行われ、市街地から離れた地区に従って年数がかかり過ぎるのは道理に合わないというのが、市民が率直に受けとめている感じであります。関係地区の人々は、地権者も含め促進方の意向で協力的で、解決に向けて待っておられるという状況とお見受けしているわけです。何がおくれの原因なのか、はっきりとお教え願いたいと思います。
 二つ目、それから新たに東に向けて工事が進めていただくことになるが、手だては整い、休むことなく工事が進められることになるのでしょうか。区画整理事業がかぶさっているだけに、しかとした見通しをお聞かせ願いたいわけであります。
 三百七十号阪井地区の交通緩和策として、県道沖野々森小手穂線を暫定策として利用をとの海南市、野上町、美里町の議員連絡会の要求にこたえられていたが、つつがなく進められていくのか。差し迫った問題として明確にお答えいただきたいと思います。
 県道岩出海南線の整備についてですけれども、これについては以前にも取り上げ、当局の見解を求めたところです。以来、事態が進み、地域での整備促進委員会なるものが組織されて、海南市及び県当局へも陳情するところとなりました。当局もこれにこたえて、一部着工されることになりました。粘り強く申し上げることの必要をさらに認識しているところですけれども、一部取りかかってくださっていることを含めて、岡田地区内全体の見通しについてお答えを願いたいと思います。
 これら地方における道路整備のおくれと、これに取り組む特定財源確保について、知事は十一月六日、ある新聞の「主張・解説」の「論壇」で見解を述べられ、和歌山県の立場を取り上げ、大いに論じられていました。これは、過日、中央省庁に陳情に赴いた折にも大いに課題とされ、評価を集めていましたが、単に和歌山県のみにとどまらず、日本の道路行政の上でかなりの効果をもたらし、波及させるに貢献したとお見受けするのであります。また、多くの県民を激励したのではないかとも思われます。財源確保に努めながら、予算配分には苦慮されることであろうけれども、地域の具体的要求には十分対応されることを求めながら、以上のお尋ねにお答えください。
 次に、高齢者への差し迫った対策として、幾つかご質問を申し上げてまいります。老人社会へと急速に進みつつあることは申すまでもありません。実情を事例で示しながら、どのように考え、どのように施策を講じていけばよいのかということをお考えいただきたいわけであります。
 一つ目は、中山間地の農業、水田少し、柿、ミカン畑少々、合わせて八反ばかり。九十八歳の老母を抱えて、七十四歳の主人、七十歳の奥さん、三人暮らしで、子供は二人あったが皆嫁いでしまっている。主人はリューマチで歩行困難、農業に従事できない。奥さんの背に、老母の世話から農事までの一切がかかっているわけであります。農閑期はともかくとして、春、秋の農繁期ともなると、奥さんは困り抜いてしまうわけです。せめてその期間、農事に専念できないかと思い余っての話であります。ショートステイでお世話になることでこの人の思いはかなえられましたけれども、寄る年波は農業を疲弊させる上に追い打ちをかけることになり、悩みは絶えないわけであります。
 二つ目のケース。九十二歳の主人の母、七十三歳の主人、六十九歳の奥さん、娘一人。主人の母の世話を奥さんが働きながら見られないとのことから、いつも家の中は穏やかでないわけです。とうとう奥さんが耐えかねて家を出るということになりました。これを見かねた主人の妹が母を引き取ることでその家族の紛争は落ちついたけれども、母を引き取った妹の家には九十三歳の主人の母がいる。年寄り二人を面倒見なくてはならない。母を引き取った妹は、自分の主人が快く了解してくれたとはいえ、気遣いは尽きないわけであります。思い余って、みずからの母を特別養護老人ホームへと思い、申し入れたが、何年先になるかわからず、順番待ちだとのことであります。背に腹はかえられないのでショートステイでお世話になる。しかし、一カ月経過しようとするころ、お引き取りくださいとのことであります。妹の気遣いもさることながら、逆にその老母の気遣いは余りあるものがあると聞かされました。
 ケース三。娘三人、皆結婚。年老いた夫と二人。寄る年波に勝てない。ある日、主人は庭先でこけてけが。奥さんはもともと病弱。これではいかんと、長女の嫁ぎ先に二人してお世話になりました。当座はよかったけれども、日が重なるにつれて居づらくなってきた。自分の家に戻るにしても心もとない。二人して施設にお世話になろうと申し出たけれども、二人はだめだとのこと。主人だけお世話になり、奥さんは病院へ。嫁にやれば嫁ぎ先での生活がある。こんな話は、数えるのに苦労は要らないわけであります。
 そこで、お尋ねしたいわけであります。
 一番目、直ちに施設やホームへのお世話になろうという考えにもくみしがたいけれども、背に腹はかえられないところに立たされ、ショートステイなどの急場をしのぐ制度利用にあずかろうとしてもままならないのであります。だとしたら、ホームヘルパーの拡充を求めざるを得ないのですが、それとても不十分なのであります。差し迫った施策として、県は思い切った援助をし、市町村のホームヘルパーの拡充に当たってもらいたいのであります。
 二番目、先ほども述べましたが、特別養護老人ホームを希望する方は順番待ちをしていると言います。全国的な状況らしいが、海南市においては、五十人から六十人順番待ちして、入所決定を得られるのが三、四年先になるというのはまだ幸せな方だと言われているわけです。人の死ぬのを待てと言われているようなもので、老人福祉と言えたものではない。ゴールドプランだの、老人保健福祉計画だの、何の役に立つのかと問いただされているようにも受けとめるわけであります。急速に進みつつある老齢化に備えてどうしようとしているのか、お聞かせ願いたいわけであります。
 その次に、介護保険法が今臨時国会に提起されているけれども、詳しくは把握できていないので質問の内容も粗雑なものになると思いますが、ご辛抱願いたいと思います。
 老人福祉に係る特養入所には認定制度の導入を考えられているとか。今日、判定会議をもって対応している上に、ただでさえ三、四年も待機を余儀なくされている状況下で、認定制度を持ち込まれるのはどういうことなのでしょう。極めて狭き門をつくることになってしまわないだろうかと憂慮にたえないところであります。介護保険──まさに保険をかけて老後のありようを考えていかなくてはならないというのは寂しい限りですが、介護保険について幾つかのご説明をお願いしたいと思います。
 このような逼迫した状況をしり目に、厚生省の官僚の起こした不祥事は何たることか、苦々しい限りであります。厚生大臣が、不祥事の中心人物とされている岡光序治を事務次官に任命したというではありませんか。行政改革だの大蔵省解体だの、真実味のかけらも感じ取れないわけであります。O157の感染源はカイワレが疑わしいと投げかけて事を済ますようなことからして、一連の厚生省にかかわる不祥事は福祉を求める県にとっては耐えがたい思いであります。多くの県民の心をいやすためにも県当局の一定の見解を示すべきだと考えるのですが、いかがなものでしょうか。
 次、O157に進めてまいります。
 考えてみれば、いつ、どこで発生するかもしれない。しかも、極めて厄介な病原菌であることから、感染した患者は子供や老人、すなわち抵抗力の弱い者が決定的なダメージを受けることが明らかにされました。しかし、いまだに感染源を特定し得ないでおるわけであります。一たん感染したら全身の臓器、すなわち肝臓はもちろん、腎臓、肺臓、心臓、あげくの果てに脳組織にも及び、溶血性尿毒症候群(HUS)や血清凝固反応という危険なことになり、体内のあらゆる組織を壊されかねない状態に陥り、手の施しようがないとのことであります。抗生物質のホスホマイシンが効果的だとしてよく投与されたようですけれども、菌のつくる毒素が外部に、しかも大量に放出されることによって、かえって危険だとの結果が明らかにされたりしています。
 我が国では、十二年前の八四年に初めて確認され、九○年に埼玉県浦和市の幼稚園で集団発生があり、それ以降、毎年数十人規模の感染者が確認されていたとのことであります。WHO(世界保健機関)からも、衛生設備の完備した先進国でもO157の大量発生は起こり得ると警告が発せられていたとのことでありますが、我が国の厚生省は確とした対策を打つところまで取り組みをされてなかったことが今夏明らかにされたというものでしょう。
 以上のことから、以下の質問をしたいと思います。
 一つ目、少なくとも十年前からこれに対応する行政措置というか、予防措置も含めて準備体制を整えておくべきと思いますが、ことしの夏までに厚生省から何らかの指示や警告、通達のようなものがあったのか、改めてお聞きしておきたいわけであります。
 二番目、九月二十六日、このたびの大量発生に関する厚生省からの報告書が出されているけれども、国においていまだに感染源が特定されたようにはなっていないわけです。やみくもに対応してきたと言うべきか、県においても感染者に治療を施してきた事例等から、今後対処する教訓を明らかにしておくべきでないかと思うわけです。県民の健康と生命を守る立場からも、ことしの夏取り組んできた教訓を明らかにしながら、せめてこのようなことをしておけばというあたりは指し示してしかるべきではないか、このように思います。
 その次に、厚生省の報告書が出された翌日に岩手県盛岡市の小学校でO157の集団発生があったようです。対策本部を解散し、各部でということにしたようだが、いつ起こるかわからない、これに対する的確な対応等をどうしようとなさるのでしょうか。我々の観念から言えば、伝染病や中毒症は夏季発生すると思っていたけれども、O157に限ってみると、秋から冬場に向けての季節にも発生している。しかも、全国的に見て発生していなかった県はどこにもないわけです。どの県にも発生したわけであります。いつ、どこで、どの季節でも起こり得るO157、厄介なこの病原性大腸菌の冒す病気に対して、今夏の取り組みの中から、せめてこのくらいのことはしようではないか、そうしたら防げるよ、万一かかったら、こういう治療法があって、このような治療をすれば溶血性尿毒症候群(HUS)などにはかからないよと、こういうふうなことを示して県民に安心を与えていただきたい、このように思うわけであります。
 次に、農水省は、輸入野菜を含むすべてについて安全だと報告を出しました。県内の園芸農家の皆さんにとっては悔やみ切れない打撃をこうむったことから、O157の感染源は何だったのか問いただされているところであります。改めて、はっきりお聞きしたいわけであります。国が特定できないものを県に特定できるかと言われればそれまでかもしれませんが、せめてそのあたりまで届くような取り組みの状況だけでも結構です。お聞かせ願いたい。
 次に、溶血性尿毒症候群(HUS)や血清凝固反応を起こすことのない確かな措置は開発されているのか、県民に予備知識を提供すべきではないのか。先ほど来申し上げていることを、改めてここでまとめてお聞きしたいと思います。県下の患者の治療に当たった医療関係者から情報は提供されていると思うけれども、そのあたりからお答えを用意してください。
 WHOの警告によるまでもなく、日本に侵入してから十年余が経過していることからしても、またことしはすべての都道府県で発生したことからしても、伝染病発生なしとする季節の常識を変えて冬場でも起こっているわけですから、それくらいのことはしておかねば県民の不安は解消されない、このようにも思われるところからの質問であります。お願いいたします。
 最後に、「後期中等教育と地域産業との旺盛な共生を」、このような表題を掲げて質問を投げかけているところであります。
 所用のため、十月のある日、関空から羽田に向けてANAを利用して飛びました。全日空機内誌「翼の王国」に目をやっているうちに、「梅や竹しか育たぬやせ地を日本一の梅産地にした」の報告文に目がとまりました。
 今ここに持っていますけれども、もし必要あればお貸ししますからお目通しください。岡倉禎志の写真が見事であります。佐藤隆介の文も興味をそそります。O157が引き金になって梅が品不足だったと聞いていたこととダブらせて目をやっていると、次のようなものがありました。「梅は、体内の物質代謝サイクルを効果的に促す。特に、体内の血液中の乳酸が筋肉を硬化させ、肩凝りや首の凝り、腰のだるさを引き起こす。さらには細胞の老化、動脈硬化、高血圧、肝臓病や腎臓病、神経痛などの原因にもなるというから恐ろしい。 代謝サイクルを円滑にする絶対的な決め手がクエン酸である。このことを初めて解明した英国の生化学者クレーブス博士は、その功績によって一九五三年にノーベル賞を与えられている。 クレーブスのノーベル賞受賞以前から日本人は梅の効用を知り、梅の主成分が人体の健康保持の上で欠かせないとして梅干し、日の丸弁当を教えた古人の知恵」と、大きく評価しているところであります。さらに、この地を梅の日本一に押し立てた理由に南高梅があるとして、南高梅の由来を書いています。「昭和二十六年に至って南部高校教諭・竹中勝太郎が五年間にわたる調査研究の結果、これを村内七系統中の最良種と認定し、初めて『南高梅』と命名した。忍耐のいる調査作業をやりとげた教え子たちに感謝する意味で、南部高校の名を採ったものだ」──ここ、いいでしょう。先生が自分の研究実績だけをとるんではなくて、生徒の粘り強い調査活動、教育活動を評価して、それに感謝する意味で南部高校の南高の名前をとって「南高梅」と名づけたとしているわけです。梅や竹しか育たない劣悪な土地を日本一の梅産地につくり上げた農政、その中で最優良種を開発していく地域産業(農業)と学校教育との共同に多大な教訓が見られるのではないかと思うわけであります。
 また、ことしは学校農業クラブ県大会にて、「産地を担う梅の優良苗木生産に取り組んで」と題して発表し、最優秀賞を得て、近畿大会に出場するという快挙をなし得たということであります。南高梅は、農産性、耐症性、加工適性等にすぐれ、最高の梅と評価されながら、幾多の問題があることを取り上げ、優良苗木育成生産を課題にその成果を上げられているということであります。強い関心を寄せられたわけであります。
 ところで、梅の立ち枯れ、梅衰弱症が火力発電所操業後に発生し、百八ヘクタールの園地に被害が及び、七月現在で三万二千三百九十六本となり、離農を余儀なくされた農家も出ていると報じられているわけです。第二火力を建設するとの会社の動きに対して、民主団体や地区関係者はもちろん、JA紀南、広域果樹営農対策委員会などは、梅生育障害と第一火力の因果関係が証明されるまで第二火力の建設を延期されたいとの求めを提出されたというではありませんか。
 地域農業と学校教育の地道な共同、共生により発展させてきた地域農業が生死の境遇に置かれていることを考えてみるとき、教育否定にもつながりかねないことを許してはならないのではないかと思うわけであります。優良苗木育成生産課題への取り組みが多大の成果を上げられるよう大いなる支援を送りたいものであります。
 あわせて、吉備高校の品評会・文化祭であります。
 ことし第九十回目が、過ぐる十一月二十三、二十四の両日にわたって開かれました。これは、あの厳しい、忌まわしい戦争中にも休むことなく続けられたということであります。これの一番最初に、校長先生の「ごあいさつ」があります。「学校長 南健治」と書いてある。これには感動しました。学校長のあいさつに、「学校行事というより吉備町の名物行事であり、最大の祭りの一つでもあります。本校の前身吉備実業の創立以来一度も欠けることなく続いております」、こう書いてあります。
 あの時分の品評会というたら、食糧増産という名のもとに利用されたというふうなことであったかもしれない。その中身は知らないけれども、農業高校の生徒がつくった作品とともに地域の人たちの作品も並べて、品評会をあの戦争中も一回も休まずに続けられて、ことし九十回を迎えたというのはすばらしいことだと思います。まさに、地域を巻き込み、一体となって取り組まれているわけであります。それは、農産物の品評会に代表されているところです。吉備町だけかと思えば、それにとどまらない。私が住む海南市からも作品を集められているんです。南は日高郡の農家の皆さんを巻き込んでのイベントであるわけです。県内の行事の中で特筆すべき内容があろうかと思われるわけです。
 広範な地域の農業者を組織し、それを盛り上げていくという学校の教育活動──イベントというのはちょっとなんだけれども、あえて教育活動と言いましょう。広範な地域の農業者を組織して教育活動、発表会をしているのは、県下にはそんなにたくさんないのではないか。僕は知らない。あったら教えてほしい。あと十年で百回目を迎える。これを節目にさらに飛躍し、教育と地域産業、中でも農業を充実発展させるために旺盛な共生をかち取られていくように願ってやみません。その観点から、教育委員会はどのようなご支援をなさるつもりか。百回目を目指しながら、大きく発展させられるようにお力をお願いしたいところであります。
 それをお願いして、私の第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 中山議員にお答えをいたします。
 十月六日から十二日までの日程で中国で実施をいたしましたポートフォーラムについてでございます。
 昨年、和歌山下津港と釜山港との間で定期コンテナ航路が開設されたわけであります。それに続きまして、中国との航路の開設を目指して初めて海外で開催したフォーラムでございます。
 中国では、青島港及び上海港において、セミナーの開催、船会社訪問、港務局の訪問等を通じて和歌山下津港の地理的優位性、京阪神へのアクセス、通関の早さなどの利便性、施設の現状と港湾整備の状況、そして今和歌山県が提唱しているベイフロンティア構想を中心とした将来計画を強くアピールしたところでございます。特に、友好港である青島港務局との協議では、両港が協力をして航路開設に努めることで合意をいたしました。そのための具体策として、両港間を結ぶ定期航路について、お互いが優遇措置を与えるということで一致したわけであります。海外航路の誘致については、他港との厳しい競争の中で地道な努力が必要であると考えておりますので、議員各位のなお力強いご支援とご協力を賜りますようにお願いを申し上げ、答弁といたします。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 中山議員のご質問にお答えいたします。
 定期航路増加と内陸部の交通アクセス整備についてでございます。
 和歌山下津港のコンテナ貨物量が増加いたしますと、それに伴いまして大型トレーラー等の車両が増加すると予想されます。その対策といたしましては、第二阪和国道へのルートとして臨港道路、いわゆる紀の川右岸線を位置づけておりますほか、本港区及び北港区と周辺地域を結ぶ臨港道路のネットワークや京奈和自動車道へのアクセスについて検討を行っているところでございます。
 次に、神戸港回復との関連での見通しでございます。
 和歌山下津港整備の現状についてでございますけれども、水深マイナス十二メートルの岸壁が平成七年六月に完成しました。航路マイナス十二メートルのしゅんせつが本年十二月中にまた完成する予定となっております。さらに、より大型の水深マイナス十三メートル岸壁を平成十一年度完成を目途に整備に取り組んでおるところでございまして、ガントリークレーンの設置も検討しているところであります。
 和歌山下津港は大阪湾の入り口に位置し、海の国際軸とも言える太平洋航路に近接しております。そこで、紀淡連絡道路を含む太平洋新国土軸構想が具体化しつつある現状を踏まえ、その有利な立地条件を生かし、ベイフロンティア構想の中核港湾として復興途上の神戸港や大阪港と機能分担しつつ、二十一世紀の近畿圏の経済を担う港としての発展を目指してまいりたいと考えております。このため、和歌山下津港に大水深の岸壁や十分な広さのコンテナヤードを有する外貿コンテナターミナルを確保することが重要な課題と認識しております。これにつきまして、現在取り組んでいる次期港湾計画に反映してまいる所存でございます。
 次に、道路問題でございます。
 県道岩出海南線の岡田地区につきましては、二ツ池よりJR黒江駅の踏切まで延長約一・四キロメートルの間が未整備となっております。この沿線には漆器等の工場があり、大型車の通行が多く、交通渋滞が発生しておりますことから、その整備が必要と考えております。現在、二ツ池周辺約百メートルの区間において本年度より県の単独事業で道路整備を進めておりますが、今後残された区間においても、市、地元のご協力をいただきながら検討してまいります。
 次に、国道三百七十号の整備促進についてでございます。
 都市計画道路の築地阪井線、国道三百七十号でございますが、これは県道和歌山海南線から東へ整備を進めておりまして、昭和四十六年度から一期事業として延長九百八十メートルを平成三年度に、また昭和五十二年度から二期事業として延長八百三十メートルを平成五年度に完成いたしました。
 ご質問の幡川地区につきましては、延長七百メートルにわたり第三期事業として平成元年度から整備を進めており、平成八年度末には約七五%の事業進捗となる見込みでありますが、地権者の方々はもとより、地元の皆様のご理解とご協力を得ながら早期完成に努めてまいります。
 その東側につきましては、重根土地区画整理事業により整備することとして、本年八月、区画整理事業計画の変更を行いました。現在、仮換地案の地元説明を進めており、本年度内に仮換地指定を行い、早期整備を図ってまいりたいと考えております。
 続きまして、国道三百七十号の阪井地内における交通渋滞対策につきましては、基本的には龍部池から国道四百二十四号間をバイパスで整備していくことが必要と考えておりますが、当面の交通緩和策として県道沖野々森小手穂線へ接続するバイパス計画を考えているところであります。今後は、地元関係者のご理解を得ながら必要な調査を行い、早期に整備を図れるよう鋭意努力してまりいたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 業務停止命令を受けた阪和銀行と県の対応、三点のご質問についてお答えいたします。
 まず一点目の、中小企業への特別融資対策についてであります。
 このたびの緊急融資制度は、年末を控えての運転資金あるいは新たな取引銀行が決まるまでのつなぎ資金等、緊急性を有する資金需要に対応するため創設し、十一月二十五日から受付を行っているところでございます。十二月五日現在の受付状況といたしましては、六十二件の申し込みがあり、一件平均約二千百万円となっており、緊急資金として対応できているものと考えております。今後、利用状況等を見ながら融資枠についても検討いたしますとともに、年末に向けて早急な融資実行に努力してまいる所存でございます。
 また、倒産関連中小企業者指定につきましては、通産省へ申し入れをいたしましたが、今回の場合は指定の条件に該当しないということでございますので、一般保証の範囲内での取り扱いとして実施をいたします。
 二点目の、再建について、新銀行を含めてどのように考えるかというお尋ねでありますが、阪和銀行の今後の問題につきましては、十一月二十一日の大蔵大臣談話では、整理清算するための新銀行を設立した上で営業譲渡を行うことを基本とした処理を考えるとあるだけでございまして、まだ明確にされていない段階でございます。現時点では、今後の処理日程等も含めた具体的な処理スキームが明らかではございませんので、事態の推移を見守ってまいりたいと考えております。
 三点目の、従業員の雇用問題についてでございます。
 知事が二十二日に早速上京いたしまして、大蔵大臣等に従業員の雇用の確保に万全の措置をとられるよう強く要請したところでございます。また、知事の指示を受けて、後日このことについて知事名の要望文書をもって再度、大蔵省銀行局、近畿財務局等に要請もいたしてまいりました。県といたしましても、阪和銀行みずからの従業員対策の動向を見きわめながら、関係機関と連携を図り、雇用の確保にできる限りの支援をいたしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 中山議員にお答えをいたします。
 高齢者対策の現状についてでございます。
 和歌山県老人保健福祉計画において、平成十一年度までに千五百人のホームヘルパーの確保を目標としてその設置に努めており、達成率においては五六%となってございます。しかし、議員ご指摘のとおり、ホームヘルパーを必要とするお年寄りやその家族にとって、ホームヘルプサービス事業がいつでも利用できる状態ということから考えますと、サービスの内容、時間、回数等の問題で十分とは言えない現状でもございます。これからは、制度を十分県民の皆様にご理解いただくための啓発をしっかり実施していく必要があると考えております。また、県民の皆様がいつでも、どこでも、だれでもサービスを受けられる体制整備を図るよう、例えば本年七月から新宮市で実施しております二十四時間対応型ホームヘルプサービス事業など、各市町村で実施できるよう県としても取り組んでまいります。
 次に、老人福祉計画をもってしても対応し切れないのではとのことについてでございます。
 本県の六十五歳以上の高齢者数は、平成八年四月現在およそ二十万人、高齢人口比率一八・二%であり、ひとり暮らし、寝たきり等の高齢者も年々増加しております。こうした状況を踏まえ、平成五年に策定した和歌山県老人保健福祉計画に掲げている平成十一年度までのサービスの目標量の達成に努めているところでございます。特別養護老人ホームにおいては、入所を希望する待機者が多く、目標量を超えて整備を行っているところです。しかし、在宅福祉サービスについては、ホームヘルパーの拡充はもちろんのこと、要援護高齢者のニーズに合ったデイサービス、ショートステイ、訪問看護、日常生活用具給付等のサービスを総合的に行うことが必要であると考えております。
 今後、県民の皆様が、本当に和歌山に住んでよかった、長生きしてよかったと言える長寿社会の実現に向けて、施設整備、在宅福祉サービスの充実をなお一層積極的に展開していく所存です。
 次に、介護保険との関連についてであります。
 今、臨時国会へ提出されている介護保険制度については、介護を必要とする高齢者に対して必要な在宅・施設サービスを提供するとともに、家族の介護に関する不安を解消することを目的としたものでございます。
 多くの高齢者は、住みなれた家庭や地域で住み続けたいと願っております。こうした高齢者の気持ちや家族の方々の不安を考えますと、この制度はいつでも、どこでも、その人の症状に応じたサービスが受けられる安心できるシステムであることが必要と考えております。
 この介護保険制度は、利用に当たって、施設・在宅サービスのそれぞれが利用しやすく、公平で効率的であり、みずからの選択に基づいたサービスが受けられるシステムと理解しております。
 今後、制度の趣旨等につきましては、県民の皆様方によく理解していただけるよう、国の動向等を踏まえて啓発活動を行っていきたいと考えております。
 次に、O157に対応した中からの教訓についてであります。
 今回、本県ではいち早く対策本部を設置し、この中で医療関係者による専門家会議を開催し、現時点での知見に基づいた「和歌山県病原性大腸菌O157診療上のガイドライン」を作成いただき、これを医師や関係者の方々にご利用いただくために各医療機関に配付したところでございます。
 医療体制につきましては、専門家会議での議論を踏まえ、県医師会や県病院協会等の協力を得て、和歌山県病原性大腸菌O157医療体制ネットワークを整えたところでございます。
 県民に対する知識の普及に関しましては、感染防止方法や感染した場合の症状について、新聞、テレビ等のマスメディアや対策本部、保健所の相談窓口を通じ、情報を提供してまいりました。
 今回の事件から、一層の正しい知識の普及啓発、的確な情報の提供、平時にあっても有事に備える意識体制づくり等の危機管理、及び関係機関と連携を図りながら県組織の総合的な活用等、種々の教訓を受けたところでございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 中山豊議員の、病原性大腸菌O157の取り組みについての四点のご質問のうち、三点についてお答えを申し上げます。
 まず厚生省からの通達についてでありますが、食中毒事故の防止及び食品衛生の確保を図る観点から、毎年、食中毒事故発生防止の徹底、夏期食品一斉取り締まりの実施、並びに食品衛生週間の実施等の通知が出ておりますが、特に病原性大腸菌O157に関するものは、このたびの全国的集団発生を見るまではございませんでした。しかしながら本県といたしましては、これまでの発生状況等から、病原性大腸菌O157を含む食中毒に対しましては、食品の十分な加熱、手洗いの励行等を実施することが未然防止に有効であることから、チラシ、リーフレット等で正しい知識の普及啓発に努めてきたところでございます。
 第二点目の、常時発生の可能性とこれに対応する体制についてであります。
 病原性大腸菌O157による集団食中毒事件に対し、対策本部を設置して、普及啓発、感染防止及び治療等、総合的な対策を実施してまいりましたが、その後、本県においては新たな発生もなく、食中毒事件も鎮静化し、また感染者の皆様も治癒されてきたことから、十月一日をもって平時体制に切りかえ、現在、関係各部が一体となって的確に対応できる体制を確立いたしております。
 なお、今後におきましては、病原性大腸菌O157は低温に対しても抵抗性があることから、保健所、市町村及び医療関係機関等と引き続き連携をとりながら対応してまいる所存でございます。
 三点目の、感染源についてであります。
 厚生省においては、九月二十六日に、堺市における学童集団下痢症の原因は特定できない旨の発表がなされたところであります。本県におきましても、原因究明のため、食品検査を初め調理場のふき取り検査、飲料水検査、納入食品の流通経路調査、喫食調査等に加え、患者分離菌株のDNAパターン分析を行い、専門家会議において総合的に検討いたしましたが、残念ながら発生原因を特定するには至りませんでした。
 なお、原因究明の調査をする上で、病原性大腸菌O157は潜伏期間が長いため、検体となる食品が保存されていないことが大きな支障となったことから、その後、学校給食等の集団給食施設、弁当、仕出し屋等の大量調理施設について、検体の保存期間を二週間に延長する措置がなされたところでございます。
 今後は、引き続き定期的な市場の食材検査を実施するとともに、食品衛生の監視体制の充実強化及び衛生管理の徹底を図ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学校教育と地域産業との共生についてお答えいたします。
 県内には、地域の農産物に合わせて特色ある学科を持つ農業高校を四校設置しております。これらの学校におきましては、地域との連携を大切にしながら学校行事や実習活動に取り組んできており、毎年、生徒が実習で生産した農産物に加えまして、地元の方々の生産物も出展していただく品評会を開催し、地域挙げての農業祭となってございます。
 教育委員会といたしましては、農業技術の振興にあわせて、バイオテクノロジーに関する施設・設備の充実や情報機器を導入するなど、学習環境の近代化を進め、地域の農業振興に貢献できるように努めております。
 南部高校では、こうした設備を活用して南高梅の優良苗木の生産にも取り組んでおります。また吉備高校においては、平成九年度から総合学科として新たなスタートをすることになりますが、その中にこれまでの農業科の伝統を受け継いだかんきつや草花などを学ぶグリーンテクノ系列を設け、新しい時代の農業教育に対応していくこととしてございます。
 さらに、これら農業高校の生産物を初め、県下の高校の産業に関する学習成果を発表する場として産業教育フェアを開催し、県民に新しい職業教育や進路指導への理解を深めていただくために、教育と地域産業が一体となって取り組んでございます。
 今後とも、農業高校はもとより、各専門高校や専門学科において地域産業と連携し、ともに発展していく教育を大切にしてまいる所存でございます。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番中山 豊君。
○中山 豊君 幾つかご要望申し上げたいと思います。
 阪和銀行の件については、事態の推移とのかかわりで、どうこうと答弁ができにくいという事情もあるかと思いますので、要望だけにとどめたいと思います。
 融資の問題については、状況の変化に伴って枠をふやしていくという含みのあるご答弁もいただきました。ただ、五十億円だけと違いますよというふうに受けとめました。だから、僕は別枠にということを申し上げたけれども、そのことはともかくとして、十分な対応をしてあげていただきたいと思います。
 ここで一番要望しておきたいのは、従業員の雇用の問題です。
 停止命令を受けたときの大臣談話は随分と厳しいものがありましたけれども、事態の経緯を見ていると少しトーンダウンされてきているような気もしますから、事態の推移を見ながら最大限のお取り組みをお願い申し上げておきたいと思います。年末を控え、大変な心境に立たれている関係者の皆さんの心中をお察しいただければ当然のことかと思いますので、それをお願い申し上げておきたいと思います。
 それと、O157の問題です。
 常時発生の状況にあるということをご指摘申し上げましたが、当局のご答弁では、夏の対策本部を設けての取り組みの中で、県民に生命や健康を保持するために何が一番大切かと言えば手洗いの励行と食材の加熱をするということで、これを徹底すれば、お金も要らないし、そんなに心配したことではないよということでした。これとても言い過ぎることはないと思いますから、「県民の友」など県当局が県民にサービスしている情報網を通じて、常時こういう点の警告方の啓蒙を図っていただくことが必要ではないかと思うんです。万々一感染することがあったとしても、今夏の取り組みの中で積み重ねてきたあれこれの教訓で患者に対応されるならば、今夏のパニックのような状況に県民を追いやることのないような取り組みができるのではないかと思います。
 そういうことで、先ほども申し上げたように、県当局が発信する情報網によって、O157が常時発生する状況になっているという対応での取り組みをひとつお願い申し上げておきたいと思います。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時二分散会

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