平成8年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時三分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
  ─────────────────────
○議長(町田 亘君) この際、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
  ───────────────────
      財第152号
      平成8年9月30日
 和歌山県議会議長 町 田 亘 殿
    和歌山県知事 西 口 勇
 和歌山県議会平成8年9月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、下記のとおり議案を提出します。
     記
 議案第139号 平成8年度和歌山県一般会計補正予算
  ─────────────────────
 【日程第一 議案第百三十九号】
○議長(町田 亘君) 日程第一、ただいま報告の議案第百三十九号を議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) ただいま上程されました議案について、ご説明申し上げます。
 今回追加提案いたしましたのは平成八年度一般会計補正予算案でありまして、このたびの衆議院議員総選挙に伴う執行経費等の所要額を措置したものであります。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(町田 亘君) 以上で、知事の説明が終わりました。
  ─────────────────────
 【日程第二 議案第百八号から議案第百三十八号まで、及び報第六号】
 【日程第三 一般質問】
○議長(町田 亘君) 次に日程第二、議案第百八号から議案第百三十八号まで、及び知事専決処分報告報第六号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 25番玉置公良君。
 〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 皆さん、おはようございます。
 昨年の九月定例会において福祉のまちづくり条例の早期制定についてただしてまいりましたが、西口知事の早期英断で今議会に条例提案されましたこと、高く評価をしたいと思います。
 それではまず最初に、紀南への第一種公認の国際陸上競技場設置について質問をします。
 九月十六日に開催された和歌山県スポーツ・レクリエーション大会兼第三十二回県民総合体育大会に私も出席をさせていただきましたが、成功へ向けての県当局の取り組みに対し、まずお礼を申し上げておきたいと思います。
 大会前日の午後、私は白浜から和歌山までJR特急に乗ったとき、指定席はもちろん自由席も満席で、白浜から和歌山までずっと立ちっ放しでありました。私が乗った車両の人のほとんどは、翌日紀三井寺で開催されるスポレク大会に参加する紀南の子供たちや指導者でありました。
 私は、学生時代から陸上競技を続けてまいりました。二十五年前の高校生時代のことを思い出し、いつも県大会は紀三井寺まで来て一泊しなければならず、このことについては当時と何も変わっていないと感じました。その当時から県大会というと、公認の陸上競技場が紀南にないということで県営紀三井寺競技場に通ってきました。そして、宿泊しなくても参加できる競技場があればと、いつも思っていました。私が施設のすばらしさを知ったのは、二十歳のときです。東京で全国青年大会があり、四百メーター競技に出場し、タータントラックのすばらしい施設がある国立競技場で初めて走ったときの感動と喜びは今も忘れることなく、鮮明に記憶に残っています。
 また、西口知事におかれても、若いころスポーツマンとして、「紀南地方に西口あり」と名をはせたと聞いております。田辺商業高校時代には、中距離ランナーとして当時の中学記録を保持していたともお聞きをしています。そうした経歴の持ち主の方でありますから、トラック競技やフィールド競技にも十分な関心を持っていただいていると思います。
 ところで、和歌山県の体育施設の状況はどうでしょうか。平成六年度に和歌山県教育委員会が出している「和歌山県生涯スポーツの現状」によりますと、和歌山県下の公共スポーツ・レクリエーション施設は四百九十三カ所で、全国では、平成五年度の文部省の体育スポーツ施設現況調査報告によると六万二千七百八十六カ所であります。それぞれの人口比もあって単純には判断できませんが、和歌山県は多いとは言えない現状であります。陸上競技場は全国で七百五十七施設あり、和歌山県には七施設、その中で公認の陸上競技場は全国で六百八十五施設、和歌山県は平成六年度二月現在四施設で、府県別に見ると最低レベルであります。その中でも全天候型の競技場は、和歌山県には県営紀三井寺競技場一つしかなく、全国では残念ながら最下位であります。
 続いて、和歌山県の中・高校生の大会の現状はどうでしょうか。県大会を各地域で開催することは、競技力の向上や普及、指導者の育成等、いろいろな意味で重要であると私は考えています。和歌山県中学校体育連盟では、今年度、スポーツ振興とスポーツ水準の向上を図るため県下四地区で県大会を持ち回りしたそうでありますが、紀南地区での開催の際には、陸上競技の部は紀南地区で開催できず、県営紀三井寺競技場で開催せざるを得なかったようであります。高校の大会についても同様で、ほかの競技については紀南地区での開催はありますが、陸上競技を含む一部の種目は紀南地区で開催できずにいます。
 ご存じのように、全天候舗装競技場では天候により記録が左右されにくく、好記録が期待できます。また、大会の運営も天候に左右されず、そして一般開放すればトレーニングの効果も大きいところです。紀南地区の小・中・高校生にとっては、立派な施設がなく、記録を出す機会が少なく、記録も公認されないわけであります。どうか皆さん、この現状をぜひとも知ってほしいのであります。
 また、スポーツの競技力向上の面から考えてみますと、陸上・ホッケー競技では、近畿大会以上の公式大会は人工芝のグラウンドで行っており、人工芝のグラウンドが和歌山県にないため苦労していると聞いています。サッカーやラグビー競技においても、公式の大会は芝生のグラウンドで行われています。紀南地区には芝生のグラウンドが非常に少ないため、大会に参加しても芝生のグラウンドになれておらず力が発揮できないと聞いています。
 このように、公式大会と同じ条件の施設がないということは、競技面では大変不利になります。紀南に第一種公認の陸上競技場を設置し、またその競技場にフィールドでサッカーやラグビーができる芝生のグラウンドをつくれば、多目的に競技ができるようになります。
 こうしたこととともに、紀南地区の活性化と観光面から考えてみますと、高速道路の延伸や南紀白浜空港のジェット機を利用しての国際級の大会の誘致、またJリーグの試合や全国規模の大会の誘致が図られ、スポーツ観光としてすばらしい効果が得られるものと私は考えます。だれでもみんなが参加できるスポーツ施設の普及とともに高度な施設づくりは、この和歌山県にとって大変重要な課題であると考えます。
 私は、基本的には紀南地区に総合的なスポーツ施設を整備されることを切望していますが、今回は第一種公認の国際陸上競技場の設置に絞って質問をいたします。
 以下、三点について県当局の見解を求めたいと思います。
 第一点目は、県下の体育スポーツ施設の現状とこれからの課題について、及び紀南地区対策についてどのように考えているのか、お伺いします。
 第二点目は、県下のスポーツ振興とスポーツ水準の向上を図る観点からの対策、及び紀南地区対策についてお伺いします。
 最後の第三点目は、紀南地区にサッカーやラグビーなど多目的利用が図られる第一種公認国際陸上競技場設置についての県当局の見解を求め、紀南への第一種公認の国際陸上競技場設置についての質問を終わります。
 続いて、緊急的課題である公的介護保険制度の早期実現に向けて質問をしてまいりたいと思います。
 私は、高齢社会を迎えてますます深刻化する高齢者の介護問題について、もはや家族が担うという今までの日本型福祉社会は崩壊しつつあり、介護を社会化し、国民の公平な負担で介護を担っていくことが最も望ましい方向だと考えております。県議会においても慎重論の意見がありましたが、私は、今厚生省で検討されている公的介護保険制度はぜひとも実現をさせ、国民が社会連帯で介護問題を解決していくようにすべきだと考えております。
 このような観点から、公的介護保険制度に係る三点について県当局の見解をお伺いしたいと思います。
 まず初めに、公的介護保険の理念についてお伺いします。
 ご承知のとおり、平成元年十二月に策定されたゴールドプランを初め、福祉八法の改正、各都道府県及び市町村での高齢者保健福祉計画の策定、さらには新ゴールドプランの策定等、高齢者の介護に係る施策が推進されてきました。しかし、現行の制度は福祉、医療と縦割りとなっており、費用負担の問題や処遇の一貫性ができない等の問題が生じてきたため、新たな新介護システムの確立が求められるようになりました。そして昨年七月には、社会保障制度審議会が二十一世紀の社会保障体制の再構築に関する勧告を行い、その中で介護保険制度の創設が盛り込まれました。また、高齢者介護・自立支援システム研究会では、高齢者介護を「最期をみとる介護」から高齢者の「生活を支える介護」への転換を示唆し、四つの理念を掲げました。その一つは高齢者自身による選択、二つ目は介護サービスの一元化、三つ目はケアマネージメントの確立、そして四つ目は社会保険方式の導入であります。さらに、老人福祉審議会の議論、諮問、答申を経て現在に至っています。現在、厚生省では政府・与党との協議を行い、厚生省案として四十七都道府県に説明会等を開催しております。
 さて、この間、審議会、厚生省、与党の議論が迷走し、マスコミからさまざまな批判を浴びましたが、国民の新介護システムへの期待には高いものがあるということが各種世論調査の結果にあらわれております。例えば、読売新聞平成七年七月の調査では六七・五%、総理府平成七年九月八二・三%、毎日新聞平成七年九月八七%、NHK平成七年十一月九四%、朝日新聞平成八年二月六〇%、さらにこの七月の共同通信の世論調査では七九・四%という高い支持率を示しております。これらの国民の期待にこたえていかに高齢者の新たな介護システムをつくり上げるかが今求められているところであります。
 そこで、県当局に、この公的介護システムを実現するために和歌山県としてとるべき施策をどのように想定しているのか、ご見解をお伺いしたいと思います。
 次に、必ずしも積極的でない市町村にどう対応するのか、お伺いします。
 この公的介護保険制度の議論が始まって以来、全国市長会、町村会等の地方自治体から猛反発がありました。第二の国保になる、保険料の徴収をどうするのか、サービスの基盤整備をどうするのか等々の反対意見が相次ぎました。しかし、介護保険になれば現行の制度より地方負担が減ることや──例えば市町村の介護費用負担額は、厚生省の計算例によると、在宅サービスのみを実施した場合で三百億円、在宅と施設を同時に実施した場合で二千二百億円軽くなると言われております──また、医療費と違って介護は定額方式となり支出が安定していくことなど、地方への説明不足が反発を招いたと私は考えております。
 私は、市町村は介護保険から逃げることなく県民のニーズに積極的にこたえていくべきだと考えております。これら必ずしも積極的でない市町村に対して県当局は具体的にどのように対応するのか、お聞きしたいと思います。
 次に、基盤整備をどう進めるのかについてお伺いします。
 私は、公的介護保険制度に係る深刻な問題点は、財政システムにあるのではなくサービスの質と量にあると考えています。つまり、現在の新ゴールドプランのサービスの量では、この介護保険の理念である高齢者の自立支援が達成できないと考えるからであります。また、県民が望むサービスの質を向上させることも大きな課題であると考えております。これらを実現するためには、新ゴールドプランを超えたスーパーゴールドプランが必要になってくると思います。これらの基盤整備に対して、市町村任せではなく、県当局が主体性を持った施策を実行していくべきだと考えておりますが、ご見解をお伺いしたいと思います。
 続いて、最後になりますが、紀南への福祉の大学院や専門学校の設置について質問をしてまいります。
 私は、昨年の六月定例会で、紀南に福祉専門学校の設置の提言を仮谷前知事に行いました。そのときの質問を改めて申し上げてみますと、「施設福祉や在宅福祉の充実のために何といっても重要なことは、マンパワーの育成と確保であります。私は、高齢化、そして過疎化を逆手にとり、和歌山の紀南地方を福祉先進地として位置づけ、日本一の医療、保健、福祉の人材育成を進めることがかぎであると思います。時代は進んでおり、先に知恵を出した町が勝ちであります。これからの町おこしは、ハード面から人材育成というソフト面への取り組みが大変大事であると思います。本県が高齢者福祉先進県になっていくためには、マンパワーの確保が介護システムの構築と介護の安心基盤づくりのために最も重要な課題であると私は考えます。そして、そのことが紀南の過疎化を解決し、若者が定着できるキーワードになると確信します。全国平均より十年高齢化が早いと言われる本県は、その高齢者施策、とりわけ人材育成についても十年他府県よりも進んでいると胸を張れるよう、ぜひとも知事の英断で紀南への専門学校の設置をお願いするものであります」と訴えました。仮谷前知事からは、「紀南地方への養成学校の設置につきましては、貴重なご意見であり、福祉施設の充実がこれからの社会形成の上において重要な課題であると考えているところであり、提言の趣旨を踏まえて勉強してまいりたいと思っています」という前向きな答弁をいただきました。以降この一年余り、私自身も実現に向けて調査研究を重ねてまいりました。
 昨年の十一月には、広島県が平成七年四月に三原市に開校された県立保健福祉短期大学を視察調査してまいりました。全国平均より高齢化が進んでいるため人材がより早く欲しいとのことからいち早く福祉の人材の長期需給計画を平成三年度に立て、平成四年に準備委員会を発足させ、そして昨年四月に開校させました。事業費はすべて県費で百七十億円、備品等に十億円の予算を組んで設置しましたが、受験者の競争倍率は八倍と高く、言語療法士などは九倍の競争率でありました。人口八万五千人という三原市の町への経済効果も大きく、若い人たちがふえてきており、新しい商店もでき、地元に大学を支える会ができるなど、町おこしにも大きく貢献しているのであります。
 また、ことしの六月には、北海道栗山町立北海道介護福祉学校へ調査に行きました。平成元年三月に百六十名の定員で発足し、人口一万六千五百二十人の町おこしに大きく貢献をしています。時代を先取りして学校をつくったことや、国際化との関係で福祉先進地のフィンランドと都市提携を行うなど、ユニークな取り組みをしています。この設立によってアパートが建ち、地元の祭りに生徒が参加するなど、町の中に活気が出てきています。さらに、土・日のアルバイトなど、労働力の提供の面においても貢献をしてきています。
 二カ所の視察調査で共通して言えるのは、高齢社会を逆手にとり、時代を先取りした福祉の人材づくりをするため全国から若者を県内へ呼び込み、町おこしに成功しているということであります。
 公的介護保険が導入されれば、二十四時間対応の介護や訪問介護、訪問リハビリなどに必要なマンパワーがますます重要になってきます。例えば、厚生省はホームヘルパーを二〇〇五年には三十四万人、二〇一〇年には五十六万人必要としていますが、これでも不足になってきます。また、介護福祉士等の養成についても、若者だけでなく、子育てを終えた主婦や元気で社会参加や生きがいを求めている高齢者の方々の人材育成も積極的に進めていかなければならないと思います。さらに、介護や看護、生活援助には若者の手が欠かせません。ところが地方の若者は、学ぶ場や働く場が少ないということで都会に出ていきます。出ていくというより、逆に全国から若者を集める装置が大学院であり、専門学校であります。紀南の地にこそ、基本的な技術・知識を身につける学校はもちろん、より高度な技術・知識を身につける学校、大学院が必要であります。
 例えば、介護福祉士は全国に数多くありますが、より高度の技術・知識を身につけたい人たちが学べるところのないのが現状であります。また、子育てを終えた主婦や社会人が勉強して資格を取れる学校の必要性など、県内はもちろん、全国から来られる福祉の大学院や専門学校の設置が今強く求められていると私は思います。
 そこで、県知事としての所見を求めたいと思います。
 一つ目は、昨年の六月定例会で、専門学校の設置については提言の趣旨を踏まえ勉強してまいりたいとの仮谷前知事の答弁がありましたが、それ以降どのような取り組みをされてきたのか。また、昨年から厚生委員会でも意見を申してきた福祉の人材の長期需給計画について、具体的に明らかにされたいと思います。
 二つ目は、私の提言した福祉の大学院や専門学校構想についてどのような考えを持っておられるのか、西口知事の所見をお伺いしたいと思います。
 三つ目は、県の重要課題として担当職員を位置づけて主体的に取り組むべきだと思いますが、どのような計画や支援があるのか明らかにされることを求めて、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 玉置議員にお答えをいたします。
 まず、公的介護保険に関するご質問でございます。
 今日、我が国における急速な高齢化の進展に伴い、介護が必要な高齢者が増加しております。同時に、介護の長期化や重度化が進んでおり、介護の問題は老後生活における最大の不安要因となっております。
 老後の介護不安を取り除き、さらに人生の最期まで人間としての尊厳を全うしたいという願いにこたえるためには、家族愛に根差し、国民の共同連帯によって高齢者が自立した生活を送れるような公的介護保険制度の実現というのは、私も強く願っております。しかし、制度の創設に当たっては、国民の十分な理解と合意が重要であると考えております。そのためにも、市町村、県民からの意見等を収集し、必要に応じて国へ要望していきたいと考えております。
 次に、福祉の専門学校等の紀南地方への設置については、前仮谷知事時代に議員からご提言をいただいておることは承知しております。
 人材育成機関の設置につきましては、今後の本格的な高齢化社会への対応とあわせて、地域振興を図る観点からも大変重要な課題であると存じております。
 既に民間では、本年は和歌山市に、さらに明年は中紀地方に設立の動きがあります。今後とも、福祉の人材に対する需要などを十分把握して、その動向を勘案いたしながら鋭意研究を重ね、検討してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 玉置議員ご質問の、公的介護保険制度の早期実現に向けての二点についてお答えをいたします。
 まず、必ずしも積極的でない市町村への対応についてでございますが、県内各市町村においては、高齢者の介護は極めて重要な課題であり、その緊急性についても十分認識の上、介護サービスの充実に最大の努力を払っているものと考えております。そうした中で、介護保険制度の導入については、将来にわたり安定的な社会システムとして運営していくことが重要との認識のもと、財政及び事務運営等の問題点を要望しているところでございます。県といたしましても、厚生省担当官を招き、市町村等関係者に対して説明会を開催したところでございます。今後も、保険者として予定されている市町村が安定した事業運営を行えるよう、国に強く働きかけてまいります。
 次に、基盤整備についてどう進めるかについてでございますが、県においては平成五年に和歌山県老人保健福祉計画を策定し、その目標の達成に向けて努力しているところであり、現在のところ、計画に対する整備はほぼ順調に進んでいるところでございます。また、介護保険制度導入に当たって介護に関するサービス基盤の整備を計画的に進めるため、国において市町村介護保険事業計画及び都道府県介護保険事業支援計画に関して検討されていると聞いております。県といたしましては、こうした国の動向を踏まえ、市町村とも十分協議しながら、県民の皆様が安心して介護サービスを受けられるよう、質・量の整った計画を策定してまいりたいと考えております。
 次に、紀南に福祉の大学院や専門学校の設立を求めるとの三点についてお答えを申し上げます。
 議員ご質問の、昨年六月定例会における答弁以降の取り組みについてでございますが、これまでに、県内の福祉職場等に対し、福祉職場に勤務する職員の実態等についてアンケート調査を行うとともに、他府県の福祉・保健・医療マンパワーの確保対策について状況把握に努めているところでございます。
 次に福祉人材の長期需給計画については、本格的な高齢社会への対応は重要な施策と考えており、計画を作成するに当たり、早期に県内の福祉・保健・医療従事者の現状や需要等の調査を実施したいと考えてございます。これらの需要調査の状況を見きわめながら各職種の状況把握をし、さらに研究を進めてまいる所存でございます。
 次に、県の重要課題としての位置づけやどのような計画、支援があるかについてでございますが、知事が答弁申し上げましたとおり、人材の育成は、本格的な高齢化社会への対応を図る観点から重要な課題と考えております。今後、各種の調査結果等の動向を見きわめながら、引き続き検討してまいります。また、人材育成についての相談に対して適切な指導・助言に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 体育スポーツ施設の現状と課題、及び紀南地区対策についてお答えいたします。
 本県の体育スポーツ施設の現状につきましては、議員ご指摘のように十分とは言えない状況にございます。今後、スポーツの振興を図る上で、トップレベルの大会が開催でき、また県民が身近に利用したりスポーツを楽しめる場としてのスポーツ施設の整備充実が重要であると考えてございます。
 現在建設が進んでいる多目的ホールはこうした条件を備えた施設の一つでありますが、紀南地方においては課題があると考えてございます。
 次にスポーツの振興についてでありますが、近年スポーツへの関心が高まり、日常生活の中でスポーツを行う人や頂点を目指す人、あるいは見て楽しみや喜びを感じる人など、その目的も多様化してきております。このため、ニュースポーツの紹介や各種大会、スポーツ教室の開催、プログラムの提供、指導者の育成などの事業を実施し、県民のニーズにこたえられる環境づくりに努めているところであります。今後とも、各市町村や競技団体等と連携を図りながら、より一層充実させてまいりたいと考えております。
 また、スポーツ水準の向上につきましては、勝利に向けて懸命に取り組む姿は人々に大きな感動や活力を与えますし、学校や地域の活性化にもつながると考えます。そのため、中学校・高等学校一貫した指導体制の確立や指導者の育成、地域を挙げての取り組み、企業との連携など、全県的な視野に立ったスポーツ水準向上対策を推進しているところであります。
 特に紀南地方については、伝統ある合気道や全国的なレベルを有する弓道あるいはカヌーなどの競技もあることから、今後とも地域に定着したスポーツ活動を積極的に支援してまいりたいと考えます。
 次に第一種公認の陸上競技場の設置についてでありますが、このことにつきましては、本県の地理的特徴や地域的バランス、二巡目国体の開催を視野に入れた全県的な体育スポーツ施設のあり方、さらには南紀スポーツセンターの再開発をも含め、スポーツ振興審議会で論議いただいているところであり、今後幅広く研究してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 25番玉置公良君。
○玉置公良君 ご答弁、ありがとうございました。三点質問いたしましたけれども、それぞれについて要望のみをしておきたいと思います。
 まず第一に、紀南への第一種公認国際陸上競技場設置についてでございますけれども、この夏、アメリカで開かれたアトランタオリンピックがございました。我が日本選手団のメダル獲得数は、戦う前の予想とは裏腹に、金メダルが三個、銀メダルが六個、銅メダルが五個の、総メダル数十四個──比較の仕方もあれですけれども、例えばお隣の韓国に比べて総メダル数で十三個も少ない結果となっております。特に、水泳や体操、柔道関係者の方々はオリンピックの結果に目を白黒させたと聞いております。また、大会後、スポーツ関係者の間では、幼児や少年時代からスポーツ選手を育成するとともに助成をしていく活動に力量を置くシステムが中国を初めとするほかの諸外国に比べておくれているんではないかと、こういう指摘がされたと聞いております。この育成や助成をしていく活動での取り組みについては、ソフトの面では指導方法の見直しを図るなどすればクリアできると思いますけれども、ハード面を見てみると、やっぱりスポーツ施設が整備されていないと幾らソフト面の強化を図っても絵にかいたもちで、選手の質的向上はあり得ないと思います。
 また、本県では国体選手も活躍されておりますけれども、残念ながら年々目立たなくなってきていると聞いておりますし、さらに都道府県の団体順位は年々低下をしており、昨年は三十八位だったと聞いております。県としても、選手の強化対策事業として四つの事業を合わせて八千七百万円余りの予算を組んで一生懸命取り組んでおられ、このことについては敬意を表したいと思いますけれども、やはり私は、選手の強化策の一環としてハード面での整備が何よりも大事であると思っております。なぜなら、ソフトの面では、本県には過去にすばらしい実績を残された名コーチや名指導者がたくさんおられると聞いております。したがって、まず第一に施設の整備に重点を置いて取り組まれることを強く求めておきたいと思います。
 そして、先ほども質問いたしましたように、紀南の小・中・高校生には立派な施設がなくて記録を出す機会が少ない、紀南には公認の競技場がないので幾らよい成績を出しても記録が公認をされない。このようなことを解消していくためにも、ぜひとも紀南地区に公認の陸上競技場が一日も早くつくられるよう要望しておきたいと思います。
 続いて、公的介護保険制度についてであります。答弁を聞きました。県内市町村の導入についての必要認識が高いと聞き、少し安心をしております。
 人生のサイクルの中で、働く時期とそれに連なる引退時期に対応する社会保障の制度は、一応整っていると思っております。病気になったら医療保険、仕事中のけがには労災保険、失業には雇用保険、引退後の所得保障には年金保険、最低の支えには生活保護制度があります。ところが考えてみますと、人生の最期を締めくくる部分を支える社会保障というのは、まるでお寒い限りであると思います。体が弱ったときの支えである介護社会制度として確立して初めて、人生が幸せだと言えると思っております。そのためにもこの公的介護保険制度の導入について、県としても積極的に取り組まれることを要望しておきたいと思います。
 最後の、福祉の人材育成をする大学院や専門学校の設立についてでございます。福祉の人材の長期需給計画については、答弁を聞いておりますと、一年前に質問させてもらって以降、それぞれ努力したと思いますけれども、県の取り組みは大変遅いと感じました。大変重要な課題であると思いますので、早急に取り組まれることを要望しておきたいと思います。
 また、福祉の人材を育成する大学院や専門学校を県立で設立するということについては、今回答弁を聞いていても消極的であると私は感じました。民間主導型でいきたいという考えであるようにとらえましたけれども。
 今、私の住んでいる田辺・西牟婁地域では、福祉に関心のある方や仕事のために勉強したい方々が──私も入れてもらっております──そういった勉強会を定期的に行っております。そうした方々が中心になって、紀南に福祉の人材育成をするための大学院や専門学校をつくろうという声が上がってきているんです。近々準備会を発足して、どのくらい金が要るのか、どういう教授陣が要るのかも含めて準備会で考えていこうじゃないかと、こういうことになってきております。私は、去年からただしているように、やっぱり県立で設立していくのが本来であり、願いでもあります。しかし、こうした答弁を聞きましたし、そればかり言うていても進みませんから、また今、紀南地方でも民間主導型でつくっていこうじゃないかという機運が上がっておりますので、県としてもこういった取り組みに対し、県立で設立するくらいの気構えで積極的に支援をしていただきたい。このことも要望して、以上三点については要望として終わりたいと思います。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ