平成8年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時四分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。
 まず最初に、関空第二期工事と県の対応についてということで質問をさせていただきます。
 関西新空港の第二期工事が始まろうといたしておりますが、最初、関空建設を迎えたころ、空港の開港は実に色とりどりにバラ色に描かれてまいりました。和歌山市は世界に最も近い都市となり、あらゆる情報の発信の基地となり、コスモパーク加太には世界の要人が集まるコンベンションホールが建ち、そのほかたくさんの建物がにぎやかに建ち等々、さまざまな夢が描かれてまいりました。関空開港によるインパクトを積極的に受けとめ、それに適切に対応することによって和歌山県の県勢を経済的にも文化的にも高揚させていこうという努力は当然必要なことでありますが、その前宣伝が余りにも壮大であり過ぎたのでしょうか、今のところ余り関空効果というものは見出せないのが現実であります。
 幾つかの調査によりましても、思ったような効果は見出せていないとか、中小業者の売り上げがこれでふえたわけではないとか、一部にうれしいことがあったかもしれないが和歌山全体を潤すようなものでもないとか、そういうような、必ずしも喜ばしい状況でないニュースも伝わってまいりました。失望さえ感じさせる状況も一方にはなきにしもあらずという状態であります。
 県当局は、関西国際空港が建設されたことによる県益を現在どのようにとらえており、それを迎えようとしておられますか。バブル崩壊後、経済情勢は、当然の帰結ではありますが、長期にわたる低迷を続けております。あるいはまた、空港開港後まだ幾年もたっていないということもありまして、予期した成果をまだ得ていないという側面もあるでしょうが、事前に宣伝された関空効果に比して、余りにもその「効」の少なさに今後の期待をも余り抱かせない気配さえあるわけであります。
 交通機関が発達すること自体は歓迎すべきことでありますが、そのことに法外な夢を託すことは行政を誤らせるもとでもあります。その一つの典型がコスモパークの状況であろうかと思いますが、県当局においては関空全体構想と和歌山県勢発展をどのように展望されておりますか。昨日の質問にもお答えがありましたが、いま一度重ねてお答えをいただきたいと思います。単に希望的展望ではなく、現実的なシビアな見方として一体我々は関空をどう迎えるべきか、そういう点をお尋ねしたいと思います。
 次に、空港建設にかかわる資金負担の問題でお尋ねをいたします。
 国際空港の建設は本来、当然のことでありますが、国の事業であります。しかし現実には、一期事業では建設に必要な資金の負担割合は国が二に対して地方が一、二対一という割合で進められ、さらに別枠として土砂採取事業で大きな負担が求められました。和歌山県も五十億円以上負担いたしましたが、これは県の財政力から言えば決して小さなものではなかったはずであります。その上、土砂採取事業では千百五十七億円をかけて採取した土砂を八百三十四億円で関空に売り渡す、約三百二十億円安く関空に提供するというふうに、別枠のところで大変な負担を強いられてまいりました。採取地の土地代を考えれば四百億円をはるかに超えます。大変な負担であったわけです。
 今度はどうか。二期事業は一期よりも事業の規模が大きいということで全体の枠そのものも大きくなっており、その分、地方負担も大きくなってきています。全体の工費は上物、下物も合わせ一兆五千六百億円と巨大なものですが、下物の一兆一千四百億円のうち無利子資金の六千二百七十億円、そのうち地方公共団体の負担は二千九十億円という極めて巨額のものになっております。このように、本来国の事業であるべきはずの空港建設事業がなし崩し的に地方負担を増大させていることに対して当局はどのような見解をお持ちですか。
 さらに、事業の進行の途上で負担がさらに大きく求められる可能性があります。一期事業にあっては、埋め立てた土砂の重みで地盤沈下が起こり、それに伴って土砂の必要量がふえ、一期工事では埋め立ての土量が千七百万立方メートル増加して工期は一年半延期され、その結果、当初一兆円の事業費が一兆四千三百億円に膨れ上がりました。その結果、地方負担額は当初の一千六十億円がほぼ自動的に千四百三十億円に膨らんでまいりました。二期事業についてもまた同じようなことが予想されるわけであります。本来国の事業であるはずの空港建設費用が、地方負担としてまた自動的に地方に転嫁されてくる可能性があります。関西国際空港の竹内前社長によりますと、地盤沈下を完全に予測することは不可能だ、一億数千トンの土を捨てるのだからどれだけ沈むかは机上や実験室ではわからない、と言っています。埋立事業費の増加ということが予想されますが、一期と同じ形で進めばまたまた地方負担の増大ということになります。
 このように、あたかも当然のごとく負担を地方に転嫁してくることは決して好ましいことではないと思います。そのような事態に至ったとき、県としてはどのように対処するつもりですか。国の責任は責任として明確に対処すべきだと思いますが、いががでしょうか。
 次に、同じく資金負担の問題で、地方自治体と財界との関係です。今期事業の資金負担の割合が一期と比べて大きく異なっている点は、地元負担における地方公共団体と民間財界の比率の問題です。ご承知のとおり、一期では地元負担は地元自治体と民間が半分ずつ負担をいたしました。事業量が途中でふえたときは、それをも地方公共団体と民間が折半し、分担をしたわけです。ところが二期事業では、地元負担というのは、上物では民間も入るが、下物──この下物の方がはるかに事業費は大きいのですが──は、地元負担分はすべて地方公共団体持ちということになっております。この分だけ地方自治体の負担割合が高くなっています。もともと地方負担が大きいということ自体が問題ですから、その負担について自治体と財界との比率をどうするかということは二次的な問題でありますが、地方公共団体の負担が高くなるという仕組みは、それを預かる者にとっては迷惑な仕組みであります。このような負担割合は今後の事業費増加に当たって是正さすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 さて、二期事業に当たり、和歌山県もまた二億五千万立方メートルの土砂の約三分の一、八千万から八千五百万立方メートルの土砂を求められたということであります。関係当局はこの要請に対して積極的に対応していくということでありますが、土取り事業と言えば一期事業の深刻な経験があります。和歌山市加太の土砂採取地が余りにも広大で、かつそのまま赤肌をさらしていますから、土砂採取と言えばいやが上にもこの一期事業を振り返らざるを得ません。
 土砂採取跡地利用の件については本議会でも再三論議されたところであり、県当局も苦労されていることでありましょうから、あえてその点に触れることはいたしませんが、その土砂採取価格と売り渡し価格についてはさらに十分の論議と総括を行うべきだと考えます。土地購入費等を除いた事業費が千百五十七億円、関空株式会社への売り渡し価格が八百八十三億円、その差額は三百二十三億円、莫大な赤字でありました。なぜこんな安い値段で売らなければならなかったのか。バブル崩壊を予測できなかった責任のすべてを当局に求めるのは酷だとは思いますが、跡地売却で穴埋めができるとの判断はやはり安易であったと言われても仕方のないことであります。土取り跡地対策、土砂売り渡し価格、公社に事業を持たせたという手法等々、一期事業に絡んで多く反省し学ぶべき点があろうと思われますが、何をどう反省し教訓としようとしているか、お示しいただきたいと思います。
 さて、いよいよ次期の事業に入っていくわけですが、土砂採取地をどこに求めておられますか。加太が候補地と表明もありましたが、決定していればそこを選定した理由、未定の場合は今後対象地を選定していく基準となるべき指標をお示しいただきたいと思います。
 大量の土砂採取は、当然のこととして自然破壊を伴います。自然と人間に対して最小限の影響にとどめなければなりませんが、その点は具体的にどのようにお考えになっておられますか。
 また、土砂採取の主体をどのように考えておられるか。一期工事では土地開発公社が当たりましたが、結果、目下県の一般財政から利子の補給をせざるを得ない状況になっています。大阪、兵庫、それぞれ別の手法が用いられました。いろいろ研究をされていると思われますが、いかがですか。
 報道によりますと、土砂採取予定地の和歌山市加太地区で土地買収に乗り出している大手建設会社など数社と第三セクター会社を設立して事業を進める方針を固めたとあります。事業主体としては民間委託、公社、県直接と幾つか考えられるところでしょうが、それぞれ一長一短があろうかと思います。第三セクターを選定した理由はどこにあるのか、あるいは土地買収を先行させている大手建設会社とは具体的にはどの企業であるのか。先行買収している土地を再買収するとなれば土砂価格の値上がりを招かないか、さまざまな懸念もあります。メリット・デメリットをいかにお考えになっているのか、お示しをいただきたいと思います。
 次に、土取り跡地の利用計画の展望をどのように持っておられるか、お尋ねをいたします。
 一期事業の跡地がそのままですから、新たな跡地利用計画などなかなかというところかもしれませんが、その展望なくしてはまた新たな荒れ地をつくり出し、自然破壊の見本をつくり出すことになります。一期では幾つかの大手企業の進出を当てにしていました。しかし、企業の論理は県の要求などはみじんも考慮されないということを身にしみて教えられたところでした。また、現在の経済状況では民間企業の進出なども考えにくい状況にもあります。とすれば、新たに生まれる跡地を一体どうするのか。何とかなるだろうということでは進めてもらいたくありません。一説には公共事業として活用するための国の援助の方策などとも言われているようでありますが、価格だけをとってみても国の事業への地方の血のにじむような厳しい協力です。跡地対策へ国の施策なり援助があってもしかるべきであります。そういう明確な堅実な展望を持っていないと、結局は成り行き任せになりかねません。三府県が共同してこの分野でも国の責任を明確にして責任を持たせるよう努力すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、造成会社への土砂の売り渡し価格についても、前回の轍を踏まぬように毅然たる態度で臨むべきだと思います。前回は土砂採取では大阪、兵庫よりも大きな負担を背負いました。跡地整備に関連する費用等も含め、絶対に原価割れすることのないように対応されたいと願うものであります。そういう点でも三府県の協調が求められます。同額の損失でも、大阪と和歌山では痛みが違います。土砂採取量がほぼ等しい状況の中で、課せられた仕事はその相対的な意味では和歌山は大阪などに比べて何倍も大きいわけです。そういう立場で三府県の協調を求め、価格を本当に適正なものに定めるようされたいと願うものであります。
 さて、関空関係の最後の質問として、関空から、飛行ルートが満杯になっているからとして関西国際空港の飛行経路の現状と問題点という報告がありました。この趣旨は、三点セットに基づく現行の経路により運用されておるが、もう三点セットでは運用できなくなってきたと言って、言外に三点セット見直しをしたいとしているものであります。騒音公害について今の協定を守るのは困難だという意思が相当率直な形で表明されているように思います。これでは全く話が違うわけで、この点を譲られては、それこそ末代まで悔いを残すことになるでしょう。こういう点はいかがお考えでございましょうか。
 続いて、殿山ダムに関連してお尋ねをいたします。
 平成二年九月の日置川流域の大災害の後、この議会で大江議員を筆頭にまことに熱のこもった議論が交わされたことを、私は議事録で拝見いたしました。この災害は人災である、県や関電は被災者に対して十分の償いをすべしという質問演説は、今読ませていただいても私どもに感動を呼ぶものであります。しかし、その後の事態は被災者や住民の思いとは必ずしも一致しない方向に進んでいるように見えます。
 殿山ダムの裁判の判決が下されて数カ月たち、県や関電は一切の被害賠償責任を免除され、当事者としては同慶の至りというところでしょうけれども、被災者はふんまんやる方なき思いで新たな運動を準備しているようであります。しかし、判決がまことに簡単に洪水被災者・原告の訴えをきれいさっぱり却下していることに、私は疑問を抱きました。このような行政を相手の裁判というのは、たとえ賠償責任は認めなくても、行政や企業への反省を促す一節が付記されるのが通常ですが、それすら見出せませんでした。私は裁判批判をいたすつもりはありませんが、県や関西電力がこの裁判によって法的責任を一審で免れたということは、同時に行政的責任、道義的責任をも免責されたこととはおのずから異なると思います。裁判記録や平成二年、三年当時の県議会議事録などを読みながら、その疑問を深くしたことでありますので、その形のままで質問をさせていただきます。
 まず、洪水とダムの関係です。
 ダム自体が欠陥ダムなのかどうか、私は専門家でありませんからわかりませんが、ダムと洪水に因果関係があるのではないかという思いは、さまざまな記録や証言によって感じます。「日置川町誌」に記載されている洪水記録で明らかにダム下流における洪水被害というのは、明治十四年から昭和三十一年までの七十五年間において五回程度発生しています。日置川流域全体ではもっと回数はふえますが、ダム設置場所より明らかに下流で浸水・洪水被害と限定すれば五回ほどです。すなわち、七十五年に五回、つまり十五年間に一回であります。ダムが稼働し始めた昭和三十二年からの三十四年間には八回で、四年に一回であります。明らかに、ダム建設以降、浸水の頻度が非常に高くなっています。このような単純な事実を見ても、ダム下流の浸水被害との間には因果関係があるのではないかと思われます。その因果関係への県や関電の対応の仕方が法的に妥当であったかどうかは司法で争うところでありましょうから私はここでは問いませんが、何らかの因果関係のあるということを推測されておると思います。
 平成二年の九月議会において議員の質問に答え、今回の被災は非常に勢力の強い台風十九号の直撃により発生したものであり、関西電力殿山ダムとの関係については十分に調査を行い対応していくというような趣旨の答弁がなされております。ダムの存在と洪水・浸水被害をどう考えておられるか。単に雨がたくさん降ったから被害が出たのだという結論なのか。十分調査されたと思われますので、お示しをいただきたいと思います。
 次に、平成三年九月、洪水被害があって一年後でありますが、殿山ダムの操作規程が改定されました。恐らく前年の災害の総括の上に立ち、関電と県が合意の上で行われた改定であります。改定の内容は、ダムの水位が標高百十七メートルで予備放流を行うとしていたものを、大規模出水が予想されるときの基準として百十四メートルと三メートル下げる、水位計で言えば十五メートルを十二メートルに下げるというものです。洪水被害を少しでも少なくしようとしたあらわれとして評価するものでありますが、逆に読めば、今までの百十七メートルという予備放流の水位が高過ぎたのではないか。この規程が平成二年の洪水を引き起こした要因の一つ──すべてではないと思いますが──になっているのではないかと疑問を改めて抱くものであります。恐らく、より災害を少なくするための善意の改定であるとお答えされるのではないかと思いますが、それだけの説明では腑に落ちません。仮にこの規程が一年前に正しく運用されていれば平成二年の洪水被害は大きく軽減されていたのではないかと推測し、まことに残念な思いをいたすものであります。
 裁判の中での論争は、予備放流の水位も正しく設定されており、その運用も正しく、何一つ違法な点はないと裁判の結論は断じています。私は裁判の結論を論評いたしませんが、しかし行政に携わる方々は、単に違法でないという言葉でもってみずからの責務を判断すべきではないと思うのであります。大規模出水時の予備放流の水位を災害の翌年早々と改定したというところに行政と関電の、当然のことですが、良心の痛みと責任を読み取るものであります。操作規程を改定した理由とその効能、及びその各項が前年の台風時に適用されていたら洪水被害を軽減し得たのではなかったか、お答えをいただきたいと思います。
 この水害のあった当日、操作規程に基づく予備放流が実際には行われていなかったのではないか、関電と県が提出した水位の記録は実際目視した住民との観測と余りにも違い過ぎている、関電や県の資料は改ざんされたものではないかという法廷での論争がありました。判決は改ざんの余地などはないと原告の主張を否定したもので、私はこの判決に対しても、改ざんの余地はないとした結論が何ら明白な論証を伴っていないことに大きな疑問を持つものでありますが、この点についてもこれ以上は触れません。
 お尋ねしたいのは、住民のこのような訴えに対する県当局の行政姿勢であります。関電と県とが予備放流によって河川の水位は上がっているとして水位計の記録を示したことに対し、それほどまでに水位は上がっていなかった、県の示した水位と実際は異なっているという証言があります。それも一人や二人ではなく、その数は二百名にも上っており、大半の方々がそれに署名し押印し、印鑑証明まで添付しています。
 関電と県の発表が正しいのか、住民の証言が正しいのか。互いに法廷で争っている当事者が──これが単に民と民であれば裁きは法廷に任せればよいと思います。しかし、二百人の証言が誤りだと指摘しているのは県と関電の記録であります。県はこの洪水被害の原因の真実を客観的に究明していくと同時に、みずからの確信があれば行政の正当性を主張するとともに、被災者の立場に立ってもその原因を正しく究明する姿勢が求められるのであります。民と民との争いと、そこが異なっていると思います。二百人の証言は果たしてすべてが誤りなのだろうか、なぜ印鑑証明まで添えて県の発表を誤りとするのだろうか、当然そういう疑問もわくはずです。住民生活の守り手である行政ならば、その証言の真偽を調査し、みずから提示した計測資料と比較検討するということぐらいはあってしかるべきでしょう。そういう立場から証言を調査したことがありますか。二百人の証言は年月の経過の中で風化しかけた記憶から引き出したものである、そういうような思いもあるのかもしれません。しかし、実に明瞭な生々しいものもあります。十把一からげにして信じられないものとして無視するとすれば、住民の守り手としての行政の態度ではないでしょう。現在、これらの証言をどう評価されておりますか、お尋ねをいたします。
 住民が関西電力に被害補償の交渉に赴いた際、関西電力本社の用地課長の原陽三氏は、昭和三十三年の水害から三十年以上もたっている、この間に県が河川や道路を整備しておればこんな災害はなかったはずだと、陳情者に明言したそうであります。このとき、その文言を文書にされたいと要望したところ、それだけはどうかご勘弁をと文書にはならなかったそうですが、関電の態度の道義的姿勢に対する評価はともかく、この文言についてどう評価されますか。行政は、治山治水のため、一本の河川のためにだけ予算を投ずることはできません。やりたくてもできない場合もあるでしょう。しかし、二門、三門の放流でも浸水被害が発生するという状況が明白な中では、しかも三十年という年月の経過の中で見れば、私は関電の用地課長の言辞はそれほど的外れではないようにも思いますが、いかがお考えでしょうか。
 法的には利水ダムの操作について河川管理者が指示することはできないとされているそうでありますが、河川管理者は下流住民の生命と財産を守るために責任を持たなければなりません。ダムを建設した企業を含め、それらの責任を負うということは当然のことだと考えます。今回の裁判の判決は県と関電の責任を問う原告の訴えを却下いたしました。しかし、それは法律的な責任はないということであって、冒頭にも申し上げましたように、その行政上の責任は、その程度にはいろいろあるでしょうが、責任が一切ないのだということは申せないと思います。
 そういう意味合いから、この災害に対して今後どうしていくかという以前の、三十三年水害以来、県としてはかくあるべきであったのだ、関電としてはかくあるべきであったのだという反省的な所感があるはずでありますが、お聞かせいただきたいと思います。
 災害は常に一〇〇%天災であるとか一〇〇%人災であるとかいうものではありません。巨大な人工の建造物によって川をせきとめた後に起こった災害に一〇〇%天災というものがあるというのは、恐らく考えられない常識だと思います。そういう立場で、県も関電も謙虚にみずからを振り返らなければなりません。損害補償には金がかかる、絶対それは認めたくない、そういう態度では県民は浮かばれません。そういう立場から再発防止のためにどのような対処をされてきたのか、さらに今後どういう対処をしていかれるつもりなのか、お示しをいただきたいと思います。
 災害発生時直後の議会においても既に議論の対象になっていた放流方式なども、抜本的に考えてみたらいかがですか。ダムそのものが欠陥ダムだとの議論もありますが、きょうはそのことは別に置きましても、利水ダムという性格上、常に一定量の水位を保ちたいというところから防災上最も危険な予備放流方式がこのダムには採用されています。しかし、洪水期にはその期間全般にわたり制限水位を設けて洪水に備えることができる制限水位方式を採用すれば、危険度は相当減殺することができるはずであります。下流住民の安全を図るということは無条件の任務であることを考えれば、それぐらいの措置があってもよいのではないでしょうか。
 また、下流住民への警報についても、操作規程ではクレストゲートからの放流一時間前、オリフィスゲートからの放流三十分前に警報を行うことになっておりますが、建設省の標準操作規程では一時間前としています。洪水に関係するのはクレストゲートではなくオリフィスゲートであることを考えれば、このゲートについても一時間前と設定し、住民の安全を図るべきだと考えるが、いかがでしょうか。
 最後に、日置川の町長を初め、たくさんの住民の皆さん方が関西電力に対して今もなお補償要求を粘り強く行っているところであります。県としても全面的にこの要求を支援すべきだと思われますが、いかがお考えでしょうか。
 以上で、第一問を終わります。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 まず、関西国際空港の効果の現在と将来についてということであります。
 関西国際空港は、二十一世紀の本県を展望し、長い将来にわたる本県の発展を図るための根幹的な事業であると考えてございます。県としては、これまで地域整備計画の推進を初め、空港立地の波及効果を県勢の活性化に活用するための取り組みを行ってまいりました。県全体で六十社を超える企業誘致等、所要の成果を上げてきたと思ってございます。また、県民の利便性向上の観点からしても、本県におけるパスポートの発行件数が全国平均を大幅に上回るペースで伸びてございまして、より多くの県民の皆さんに、容易に海外渡航をするなど関西国際空港立地の効果が顕在化しているものと考えてございます。
 今後、全体構想の推進を通じて関西国際空港が名実ともに国際ハブ空港となることにより、空港と至近の距離に位置する本県は、大阪湾環状道路あるいは太平洋新国土軸の整備と相まち、世界の人、物、情報が活発に行き交う地域として飛躍の可能性が非常に高まるものと考えてございます。県としては、関係市町村、経済界の皆様と協力をしながら、関西国際空港活用のための取り組みをこれまで以上に一層強化をしていきたいと考えてございます。
 また、関西国際空港の一期土取り事業のいわゆる評価ということでございます。
 本県の一期工事の土砂採取事業については、土地開発公社が事業主体となり、約六千五百万立米の土砂を短期間に、しかも大きな事故もなく搬出いたしましたことは、関西国際空港の一期工事に大いに貢献したものだと考えてございます。ただ、跡地利用については、経済情勢の変化があったとはいえ、県として大きな課題であると受けとめてございます。
 しかしながら、関西国際空港に近い広大な土地・コスモパーク加太は、紀淡連絡道路等を視野に入れた二十一世紀に向けた長期展望に立ちますと、ポテンシャルは高く、今後に期待が持てると私は考えております。今後、諸情勢の変化に柔軟に対応しながら計画の推進を図ってまいりたいと考えてございます。
 また、二期土砂採取事業の採取場所、事業主体、跡地計画、売り渡し単価等については、現在は関西国際空港用地造成会社の要請を受け、数年後に予定されている土砂搬出に向けて具体的な検討に入った段階でございます。今後、一期工事の経験、また反省点も踏まえ、事業主体、事業手法、あるいは環境問題、住民のコンセンサス、事業の採算性等を十分考慮して慎重に検討していきたいと考えてございます。目下のところ具体的にお答えする段階に至ってはおりませんので、ご了承をお願いしたいと思います。
 次に、殿山ダムに関連しての問題であります。
 台風十九号がもたらした異常な豪雨の出水によりまして、日置川水害訴訟を提起された方以外にも多くの方が被災をされ、この方々が関西電力と話し合いを進めていることは十分承知をしておりまして、この話し合いを見守っておるところでございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 鶴田議員のご質問にお答え申し上げます。
 関西国際空港の整備に伴う地方負担についてでございますが、関西国際空港は国際ハブ空港として我が国全体の社会資本であると同時に、地域社会の発展にとっても不可欠のプロジェクトであると認識しており、本県としても応分の財政負担を行うことは必要であると考えてございます。
 なお、国に対しては、地球規模での交流の時代を迎え、空港整備の重要性がますます高まっている中、今後とも引き続き、空港整備特別会計への一般財源の大幅な繰り入れ等による空港整備財源の一層の充実を要望してまいりたいと考えてございます。
 次に、事業の進行途上で事業費の増大により地元負担がふえるのではないかとのご質問についてでございますが、現在公表されている二期事業の事業費は一期の実績を踏まえて算出されたものでございまして、特に事業費の増減に影響を与えると考えられる地盤沈下についても非常に精度の高い予測がなされていると聞いており、地元負担がふえることはないと考えてございます。
 次に、地元負担に係る地方公共団体と財界との分担についてでございますが、上物の空港施設については一期事業における民間活力導入の成果を生かして全額民間が負担し、用地造成については空港の基盤部分でありかつ国土の創造という観点を踏まえて地方公共団体が負担することとなったものであり、今後とも二期事業が円滑に推進されるよう、それぞれの立場から協力していくべきだと考えてございます。
 次に、関西国際空港の飛行経路については、昭和五十六年に提示された三点セットの空港計画案に示された飛行経路に基づき運用されているところでございます。去る七月二十三日に運輸省からの関西国際空港における飛行経路の現状と問題点についての説明は、三点セット策定当時の予測を上回る急激な便数の増加とともに現行経路の問題点が顕在化し、今後の増便等が困難となってきている状況について、地元関係府県の理解を得るためになされたものでございます。
 本県としては、航空機の騒音による障害が居住地域に及ばないこととした三点セットの基本的な考え方が堅持されることが原則であると考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員のご質問にお答えします。
 関西電力殿山ダム損害賠償請求訴訟については、平成八年五月三十一日に大阪地方裁判所において原告側の請求が全面棄却されたところであります。なお、原告側はこの判決を不服として、平成八年六月十三日に大阪高等裁判所において控訴したところであり、現在公判中であります。
 ダムと洪水の因果関係については、殿山ダムは発電を目的とした利水ダムであり、ダムの管理は河川の従前の機能の維持を基本とする操作規程に基づいており、適正な管理が行われている限り洪水を誘発したり増大させることはないと考えております。
 ダム操作規程との関係については、殿山ダムは利水専用ダムであり洪水調節の責務を負うものではなく、河川法に定める河川の従前の機能の維持を果たすことをもって足るものであります。殿山ダムの操作規程は、この趣旨に基づいて適正に策定されているものであります。規程の改定については、管理の実務を容易にするためのものと理解しております。
 被災住民への対応についてのご質問ですが、控訴審において公判中であり、原告の方々の証言の真偽は司法の判断によりなされるものと考えます。
 被災に対する県行政の対応についてのご質問ですが、県としては、従来から実施している日置川の河川改修を今後とも関係者のご理解、ご協力を得て進めてまいりたいと考えております。
 再発防止への暫定対策ですが、県としては、殿山ダムは予備放流方式で適正な管理が十分可能であり、殿山ダムの操作規程は河川管理上問題となるような点はないと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 34番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 空港建設問題について、要望と一点の質問をさせていただきたいと思います。
 地方の負担の問題です。これについては応分の負担ということの限度の問題でもあろうかと思いますが、先ほど第一問のところでも申し上げましたように、やはり国際空港の建設の責任は明らかに国にあるわけで、二対一という割合そのものが一つの大きな問題だと思います。さらにその上に土砂採取でまさに莫大な負担をしておるわけですから、これ以上の負担を安易に受けてくるようでは、本来の国の責任がどんどん地方へ転嫁されてくることになると思いますので、こういう点では毅然とした態度をもって臨んでいただきたいという要望をしておきたいと思います。
 さらに、土取り跡地の問題です。コスモパーク加太の問題も、このまま放置されるとどこまで赤字累積の種になるのかと、まことに心配をするわけですが、二期工事をしますと新たな跡地が出てくるわけです。そこをどう利用するかということについては、単に地方に任すということだけではなくて、国の空港のためにできた土砂採取の跡地であるわけですから、その利用について国の方も十分な援助を地方にすべきだと思うんです。後はもう何もかも地方がふいておけというようなことでは、たまったもんじゃないと思うんです。したがって、これについては国の責任も明確にさすべきだと思うのですが、いかがお考えでしょうか、ご答弁を願いたいと思います。
 次に、殿山ダムの問題です。
 ダムの建設と災害とに因果関係がないか、再三起こる災害はダムに起因するのではないかという質問をしたら、ダムは操作規程に基づいて適正な管理が行われておる、操作規程は適正に定められておるというだけの答弁でした。これだけでは答弁にはなっていないと思うんです。
 平成二年のこの議会の中での論議で、このような答弁が当局からされております。事態の対応については現地の実態に即した科学的な解析に基づくことが必要であり、十分な調査検討が不可欠であるとされておるわけです。そういう立場でこの因果関係について十分な調査検討を行ったのかどうか、解析を行ったのかどうか、そういう立場からこの因果関係についてどういう考えを持っているのかを示していただきたい、こういう質問でありますので、再度お願いをいたします。
 それから、殿山ダムは利水専用のダムであって洪水調節の責務を負うものではない──これは法律にも明確になっている問題でありますが、そのような法律のもとで、ダムの放水による災害の可能性が指摘されておるわけです。少なくとも住民の皆さん方からは、そう指摘されているわけです。行政はもっと住民サイドに立って、このことに対処すべきだと思うんです。関電に洪水調節の責務がないということだけでは、関西電力は完全に免罪されてしまって、その下流の住民に対する災害については一体だれが責任を持つのか、ここが少しも明確ではありません。たまったもんじゃないと思うんです。
 こういう点で、放流による洪水は関電と県によって絶対に起こさせないという態度を具体的な施策をもってお示しいただかなければならないと思うんですが、いかがでしょうか。
 次に、県や関電の提示した放水についての資料が改ざんされたものではないかというような指摘が住民の中から起こっておりまして、非常に生々しい証言がたくさんあります。ここでもご紹介をしたいと思うんですが──時間がありませんが──放流があれば水が濁るはずだ、アユ釣りはできないはずだ、計測器が家の前にあって、自分は気になってしょっちゅうそれと水位とを見比べていたんだと、こういう証言があるわけです。こういう証言があるときに、単にこれは裁判で決着をつけるんだというような言葉が、果たして行政の立場で言えるんだろうかと。私は非常に疑問に思うんです。行政は現在の段階で被告という立場にはあります。しかし、そういう以前に、行政として住民を守るんだという立場があるはずであります。そういう立場に立てば、法廷で決着をつけようというようなことではなくて、その証言される方々に一体事態は本当はどうであったのかということを真剣に聞いていく、それが本来の行政の姿じゃないのかと私は思うんです。当局は、自分たちの仕事には当然確信はあるんでしょう。それはそれとしても、果たしてそれに間違いはなかったのだろうかと、二百人の証言と照らし合わせて自分たちの行政を振り返り、住民の要望に向けられるような態度をとるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
 それから、次は要望ですが、知事にお願いいたします。
 たくさんの方々が関西電力に対して要望を数年にわたって粘り強く続けておられます。無理な要望ではないと思うんです。見守るということではなくて、積極的に理解を示して積極的に支援をされると。知事という立場にあって非常に難しい問題はあろうかと思いますけれども、そういう立場で住民の願いが成就するように助力をされるべきだと思いますので、この点についてはお願いをして、質問にかえます。
○副議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員の再質問にお答えをいたします。
 土取り跡地の活用について国の支援をということであります。
 一期事業については、私もたびたび国あるいは関係の公団にも要請に行った経過がございます。二期についてはまだ検討段階でありますので、しかし必要に応じて国なり公団にも要請をしてまいりたいと思っております。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 殿山ダムに関して、調査の問題がございました。これについては、平成二年九月の出水時の殿山ダムの操作は操作規程に従った適正なものであるということで、このことは京都大学の先生に依頼した解析により確認されております。
 それから、ダムによる洪水を絶対起こさせない態度を具体的な施策によりというご質問でございますが、県としては、毎年、全県下でダム管理演習を実施しており、殿山ダムについても演習の操作等が適正に行われたか、確認を行っております。
 三つ目の被災住民の方々への対応ということでございますが、先ほど申し上げた繰り返しになりますけれども、控訴審において公判中でありますので、原告の方々の証言の真偽は司法の判断によりなされるというふうに考えております。
 最後に、住民の方々の財産とか利益を守るという行政の立場はどうなのかということでございますが、県としては、先ほども申し上げましたが、沿線の洪水被害の軽減を図るという目的のために日置川の河川改修を促進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 鶴田議員に申し上げます。所定の時間でございます。
 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。

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