平成8年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(木下善之議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番木下善之君。
 〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をいたします。
 まず、産業廃棄物についてでございます。
 本件につきましては、六月議会において向井先輩議員より質問された、橋本市内の問題であります。産業廃棄物等ごみ処理は今や全国的課題であり、どこかで処理しなければなりませんが、今後、国及び地方自治体において行政サイドできちんと処理できる仕組みを構築しなければ、業者任せでは環境破壊につながりかねませんし、ひいては人間の健康にかかわる問題であります。
 橋本市は、本年六月議会において環境都市宣言がなされたようでありますが、今日まで水と緑と太陽の町づくりを柱として良好な住環境を整えた宅地開発を進め、現人口約五万五千人、数年後には八万五千人の計画であり、現在、三地区において延べ三百八十ヘクタールの造成を進めているとのことであります。
 問題となっている産廃の現場からおよそ東三百メートルの近隣に、二十八・八ヘクタール、入居予定六百八十四戸の宅造が進んでおり、また北五百メートルの地域においても十八・七ヘクタール、五百三戸の民間による宅地造成がなされ、平成十年より売り出しと聞き及んでおります。過去から入居されている多くの方は、和歌山は緑が多く、水も豊富で、環境がすばらしいと位置づけされており、本県への定着はますます確実なものとなっております。
 こうした状況の中で、県が許可した焼却炉から、蒸気も含めてでありますが、白煙、黒煙がもくもくと出ており、この排煙により近隣の多くの関係住民が通院を余儀なくされ、大きな社会問題となっております。とりわけ、言葉の通じない乳幼児を初め子供に対しても同等の被害を与えていると考えたときに、管厚生大臣の指揮する非加熱製剤の薬害エイズではございませんが、その対策が急務と考えるだけに、県としても、許可している以上、早期に十分な対策を講じていただくよう強く切望するところであります。
 また、紀の川左岸においても、幾つかの自己処分地を初め、八万平方メートルの産業廃棄物の投棄の計画があると聞いており、下流は丹生川となって国道三百七十一号は産廃街道となってくるおそれもあり、予断を許さない状態となっております。
 県外からの持ち込みがなければのどかな田園都市でありながら、現在では地元の人間関係も複雑化し、ひいてはカラス等の二次被害により周辺農家の所得にまで波及しているなど、産業廃棄物の県外からの持ち込み、とりわけ大都市・大阪の県内持ち込みの禁止について府県間レベルでの話し合いをぜひ願いたいのでありますが、西口知事の所見をお伺いします。
 以下、順次、生活文化部長にお尋ねをいたします。
 処理場のその後の稼働に対する指導について、知事も現場の確認をされておりますが、六月二十四日付で県は業者に厳しく指導したとなっているが業者は守っていないと地元関係者は言っており、搬入禁止のはずが幾分台数が減っても搬入の事実があり、市及び地元は保健所へ督促と催促をしていたが効き目なく、ついに市及び地元関係者はたまりかねて、八月二十六日、知事に嘆願申し上げ、九月十日付にて県から業者に対し改善命令が出されたところであります。
 問題とするところは、六月二十四日の業者指導の後、八月二十六日の知事への嘆願までの二カ月間、業者をどのように指導したのかということで、県の対応のおくれが問題であり、知事へ直訴しなければ改善命令を出さなかったのかと判断をいたしております。
 九月十日付措置事項の第一点に、「直ちに産業廃棄物の搬入を中止すること」とあるが、現在は守られているのか。九月二十四日、七時半ごろでございましたが、地元調べで二台搬入されておる等、毎日のように見受けておるのが実態であります。
 第二点、「夜間の焼却を中止すること」とあるが、現在はどうか。九月二十四日、私も、夜間の調べにおいては黒煙がもくもくと出ており、翌朝の七時には昨夜の四分の一程度の煙量が出ていたのを記憶いたしております。
 第三点、「燃え殻については別に指示するまで適正な保管場所を設け保管すること」とあるが、七月一日の指摘以降、恐らく八十ないし百トンの燃え殻が発生しているのではないか。これは最終処分地へ搬出すると考えるが、今日まで搬出した記録はあるのか。今日までの何カ月間の燃え殻の搬出はされていないと、地元は言っております。どこに保管をしておるのか、お聞きしておきます。
 第四点、「大気検査及び水質検査を実施して報告すること」とあるが、どのような大気検査の計画をされているのか。また、現在までの大気検査の結果を本会期中に文書で報告を求めます。今後、住民の安全性確保の点で、適切な大気検査の調査回数を含め、希望いたしておきます。
 次に水質検査の実施でありますが、燃え殻の処分が不透明であり、下流域は市街地を通じ紀の川へ流れ、中間流域においては数戸が飲料水に供している事実から、七月一日、下流の代表者と業者との間で水質検査覚書の協定案を示し、一応業者の了承を得たはずが、いまだ調印に至っておりません。地元より市を通じ保健所へ催促されているようであるが、二カ月過ぎても地元に応じておらず、私も保健所へ依頼している経緯がございますが、返事もいただいてございません。これは一体どういうことか。
 次に、産廃の二次公害についてであります。六月から七月にはハエが大発生をし、新住民もびっくり。八月から九月はカラスが集結し、近畿のカラスが一堂に集結したようで、多いときは六百から七百羽以上が群がり、八月に特産のブドウが多大の被害を受け、ある農家では、全滅するので皆取りやむなく、規格外で出荷されたというケースもあります。いよいよ柿の収穫を目前に控え、現在狩猟会に依頼している一方、捕獲器の設置を検討しているが、柿は全国第三位の生産量を誇る産地ながら、春には晩霜に遭い、七月から八月には異常発生のカメムシ被害となり、残った柿がカラスにいかれる始末で、その被害は周囲何キロにも及んでおります。このように、産廃によって地域関係者は二重、三重の苦しみに遭っていることを県関係者は知っているのか。
 以上の点から、当分の間、常駐し、搬入防止と適切な在庫分の焼却等、業者指導を行う必要性を痛感するので、常駐について伺います。
 次に、一日も早く撤去することについてでありますが、現在の堆積物の焼却は適切にやるということでやむを得ないが、その後については速やかに撤去をされるよう、許可権者としてどう対処されるのか伺います。一日も早く撤去を願いたいとして、地域関係者は夜を徹してその署名運動を展開され、現在七千名の署名をいただいていると聞き及んでおります。
 次に、紀の川左岸の摘発後の搬入についてお尋ねをいたします。
 本件も、橋本地内であります。昭和六十年八月より長きにわたり、一日十数台という県外産の産業廃棄物等三千平米以下を自己処分地へ投入し、その後、多くの投入を初め野焼きをしており、本年八月五日、ようやく県は摘発を行い、八月二十三日付で改善命令が出されている点で、措置事項三点についてお尋ねいたします。
 第一点に「産業廃棄物の搬入を中止すること」とあるが、現在においても相当台数の投入は判明しており、去る二十二日の休日にも、午前中に七台を地元が確認し、報告いただいております。
 県は、林務の立場から、山林に原形復旧し植林しなさいと指示しております。この点、「復旧に要する土砂は自己処分地の土を用いること」とただし書きが必要だと思うが、どうか。また、原形復旧のために県外産の土砂以外の不変のものなどを持ち込むおそれがあるのではないか。
 第二点目に「野焼きは行わないこと」とあるが、摘発以降も行っているようでありました。今日では積極的な野焼きは少ないと関係者は言っておりますけれども、その後の調査について伺いたいのであります。
 第三点目に「違法行為に対する現場実況見聞を行った以降に搬入した産業廃棄物を本年九月六日までに撤去すること」とあるが、撤去したことの確認をされたのか、お尋ねいたします。
 また、中身はわかりませんが、ドラム缶等、長きにわたり多量の産業廃棄物を投入または野焼きしており、地元関係者は今後の土壌汚染を心配され、現在までに二十数回の水質検査がなされております。一業者のために地元ははかり知れない精神的あるいは労力を投じていることから、なぜ早期に対策が講じられなかったかという点については、過去のことであり追及しませんが、これを教訓として反省をし、今後の産業廃棄物の持ち込みに関して前向きな対処を切望するところであります。
 次に、保健所の役割と権限についてお伺いをいたします。
 一般地域住民は、許可権を持っている県つまり出先機関を大変重要視されるのは当然でありますが、産業廃棄物に関しての保健所への不満が続出していることについてであります。
 知事が当時確認され、県は六月二十六日付で対策指導をされ、七月一日以降持ち込み禁止となっていたが、業者に守られていない点など幾つかあって、八月二十六日、やむなく市長、地元が知事に嘆願されました。この二カ月間、保健所は業者指導をする役割を果たしていなかったのではないか、持ち込み禁止と命令した以上、保健所がその事実を確認すれば持ち帰らせるだけの権限を持つべきではないかと思う。一般世論の声として、業者は保健所の指導・意見は余り聞かないと言っているが、これでは困る。口述だけではなく文書で、その都度的確に指示されていないものと私は判断をいたしております。
 九月十日付にて県が改善命令を出してからは業者もある程度従っていると思うが、保健所は産廃取扱窓口として業者を適切に指導する権限を持っているのかいないのか、伺いたいのであります。
 今後の産業廃棄物は京阪神の人口の動向からさらに増加するとしたとき、投棄を受けやすい関係地域の保健所の増員など、体制の充実も図るべきであります。
 橋本市は、和歌山県であります。一日も早く和歌山のイメージをよくし、住んでいてよかったと言われる郷土づくりのため、県は産廃の取扱指導要綱の早期見直しと再発防止のための事前協議制の実施など、間違いのない、安心のできるような取り組みを切望して答弁を求めます。
 次に、低迷する林業の再生についてお尋ねをいたします。本件につきましては、先輩・同僚の方からも過去において質問されておりますが、厳しさの余り、あえて申し上げます。
 過日、委員会で南紀の中山間地域を視察させていただき、これまで営々と育ててきた二十一万ヘクタールに及ぶ杉・ヒノキの人工林は見事な成長を続け、その蓄積量は約六千万立方メートルと全国第四位を誇り、規模においては本県森林資源の偉大さを改めて認識いたしたところであります。また国内林業は、杉・ヒノキなど森林資源が一千万ヘクタールと言われ、そのほとんどが戦後一斉に植栽され、二十一世紀初頭に訪れる収穫期には木材の国内競争が一段と厳しくなるのではないかと考えます。
 本県の林業の現状でありますが、日本経済の大きな転換期であったオイルショック後の昭和五十年当時と現在とを比較分析しますと、財団法人日本不動産研究所の調べでは、杉の山元での立ち木価格は、昭和五十年に一立方メートル当たり二万三千九百十七円であったのが平成六年では一万三千二百四円と、物価の上昇に反し半値近くに落ち込んでおります。一方、山で働く人々の賃金水準は、労働省の調査によると、昭和五十年には一人一日五千五百五十九円であったのが平成六年では一万四千三百六十五円と、五十年当時に比べ二・五倍に上昇しております。立ち木価格が落ち込む反面、労賃が上昇しており、林業はもうからないことを端的にあらわしております。
 また、労働事情でありますが、国勢調査による県内林業従事者は、昭和五十年に五千十四人であったのが平成二年では二千三百十二人と四六%に減少し、六十歳以上の高齢者割合も二一%から三六%に増加の状況にあります。
 さらに、木材が国内でどれだけ使用されるのかを調べてみますと、昭和五十年に五千五百万立方メートルであったのが平成六年には五千百万立方メートルと、やや減少している状況にあります。
 林業は、今、こうした厳しい状況に直面しております。しかしながら、山の資源は着実に成熟を続けており、収穫という近い将来に向かって林業を再生させる道をいま一度英知を絞って再考することが大変重要と考えます。今後の林業振興についてどのようにお考えなのか、まず知事に所見をお伺いいたします。
 次に、林業再生への方策として、担い手をいかに確保するか、生産コストをいかに抑えるか、木材の使用料をいかにふやすかに関して、幾つかの提言も含めお尋ねしますので、関係部長のお考えをお示し願います。
 第一点は、担い手対策であります。
 農業者には新しく認定制度が確立されましたが、林業に意欲を燃やす林業経営者を育てていくことをねらいとして、自主的に経営改善計画を作成し、行政機関の認定を受けた林業者を認定林業者とし、林業経営に関して優遇措置を講じていく制度を創設してはどうかということであります。また、林業を通じての山林青年の育成や地域林業の振興に中核的役割を果たす林業者に、林業指導士制度を充実させてはどうか。現在、青年林業士は県下で五十名いるようであります。年配の方は林業指導士、若い方は青年林業士で結構でありますが、やる気を持っていただくため、本制度の一層の充実を図ってはどうかということであります。
 次に労働銀行の創設でありますが、県は今年度事業において調査研究することとなっております。山林就労者とミカンあるいは梅農家と協定して収穫労働の交換をし、農業者は一ないし三月の農閑期に山林就労を行うなど、関係機関と協議され、仮称「農林労働銀行」を創設してはと考えますが、いかがなものでありましょうか。
 次に都市への求人情報ネットワーク化でありますが、農林業はとかく三K産業と言われ、「きつい」──他は申しませんが、古い体質の労働環境を整備することが、都市からのUターン、Iターンを含め、新規就業を促す上で大切であります。
 所得の安定は先決でありますが、近年、都市から山村地域への移住を求める自然志向が急速に増加傾向にあるようで、例えば間伐材を用いた休憩できる施設の設置であるとか、山合いでコンサートでも可能な簡易特設場をつくり、休日には大いに活用し、イベントの開催も結構、とにかく楽しみながら仕事につけることが若者にとって時代の要請でなかろうか。都市からの労働確保に向け、求人情報ネットワーク化をインターネットを通じて幅広く展開することも必要でなかろうか。こうした担い手育成に林業基金の造成をさらに積み上げ、その運用益を有効活用されるよう、希望しておきます。
 以上、三点について農林水産部長にお伺いします。
 第二点目は、生産コストをいかに低くするかということであります。
 まず、林道の整備促進であります。現在、基幹林道や支線林道など積極的に整備を進めていただいておりますが、末端の作業道の整備を急ぐ必要があります。本県では、間伐対象面積十一万二千ヘクタールのうち五四%が時期を失していると言われます。昨今のマイカー時代に応じた道路網整備が作業の近代化を図り、コスト低減につながるものと存じます。この点も、農林水産部長に答弁をお願いします。
 第三点は、木材の使用量をいかにふやすかであります。
 本県は、前にも申し上げたように「木の国」であります。吉野材や北山杉に負けない紀州特産材に、時間をかけてでも取り組むべきでないか。和歌山の紀州材を「熊野杉」と位置づけ、立派に仕上げた良質材はこれです、また耐震性を希望される方には、紀州の台風銀座でもまれ黒潮に耐え抜いた粘りの強い木はこれですと、特有のカラーをPRしていくべきでなかろうか。そうした商品づくりに取り組むとともに、県事業や市町村事業で計画する公共建築物を木造で計画するとか、せめて内装に木材を使用するとか、公共事業を足がかりに、庁内関係部局との連携のもと、木材の利用を推進してはと考えます。それに、林業センターが鉄筋コンクリートであるということはいかがなものか。改築する場合は、ぜひすばらしい木造建築にするべきでないか。あわせて、農林水産部長の答弁を求めます。
 また、特に学校施設が修改築あるいは新築される場合、土地の利用面、経済面、防災面それぞれから、鉄筋化の傾向が強いとされます。ある学校で聞いた話でありますが、「私の学校もようやく鉄筋化率一○○%となりました」と胸を張って言った先生もいましたが、私は、先生の教育も少し必要ではないかと感じました。木のよさが教育環境によいという特性を生かし、木のぬくもりが生徒に伝わるよう、何も一○○%の木造にしなくとも工作室とか部室など一部木造公舎等、それぞれ自治体、学校の諸事情もあろうかと存じますが、今後、改築に至った学校において一部を木造としたモデル建築も一度検討してみてはと考えます。また内装等についても、ぜひ県内産木材の使用を勧めることについて教育長の見解をお伺いいたします。
 次に、紀の川左岸農道の現況と延伸についてであります。
 農業の近代化と地域の活性化を図る上で、紀の川流域の中腹では左岸農道の工事が急ピッチで進められております。先般も九度山地内の工事の進捗状況を見させていただき、相当以上に進んでいることを確認してまいりました。本事業へのご熱意に対し、感謝申し上げます。
 かつらぎ町、橋本市は地籍調査と用地買収に入っているようでありますが、現在の計画は橋本市清水地内でとまっており、東部への延伸をどう計画にのせていくのか。奈良県境の恋野農免へ接続させることは中山間地域の農林業の振興に大きな役割を果たすものと考え、ウルグアイ・ラウンド事業の真っ最中であり、それだけに地元は大きな期待をかけております。この時期に事業採択をいただくべく、特段の取り組みを願いたいのであります。現況も含め、東部への延伸をどう図っていくか、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 以上をもちまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下善之議員にお答えをいたします。
 産業廃棄物に関連をしまして、県外からの持ち込みを禁止することはできないかということであります。
 私も、できればそうできないかと思って調べたわけでありますけれども、産業廃棄物につきましては、全国を広域的に移動して処理をされているというのが現状であり、本県の廃棄物も相当他府県に処理を依存しているという現状であります。そういうふうなことから、他府県からの持ち込みを全く禁止するということは大変困難なことでございます。
 しかし、持ち込まれる廃棄物の質や量を事前にチェックして一定の制限を加えられるような、そういう新しい処理要綱というものをつくっていきたいということで、目下検討中でございます。いろいろの問題点がありますけれども、できるだけ早期に制定してまいりたいと考えております。
 次に、林業についてであります。
 県土の七七%を占める森林は、県民の一人一人にとって非常にかけがえのない財産でございまして、これを守り育てることは県政の重要な課題であろうと思っております。
 お話にございましたように、林業は今大変厳しい状況下にございまして、社会経済の大きなうねりの中で、今までの形態で対応していくだけでは困難な時代となってきておると思います。
 先般、全国知事会でも深刻な問題として提起されておりますが、本県といたしましては、これまで培われてきた全国有数の森林資源──全国第四位だと思いますけれども、それを有効に利活用するという広範囲な取り組みの中、森林というものの価値を再認識し、木のある潤い社会づくり、あるいは働きがいのある新しい林業への誘導、また触れ合いと安らぎのある森林づくりを基本として、生産対策や流通加工対策、さらに県産材利用拡大対策等、木材の安定供給体制の一層の強化を図るとともに担い手の確保に努めまして、川下から川上に向けて林業生産の活性化が図られるような方策に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 具体的な事項につきましては、農林水産部長から詳細お答えをいたしたいと思います。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 木下善之議員にお答えをいたします。
 産業廃棄物についてのご質問のうち、処理場のその後の稼働に対する指導についてでございますが、ご指摘の産業廃棄物焼却炉について、焼却炉の改善、ハエ対策、廃棄物の搬入中断の三点を指導してまいりましたが、その後、七月以降にもコンクリート殻や木くず、紙くずを搬入したことが確認されましたので、より厳しい対応として、九月十日に廃棄物処理法に基づく改善命令を行ったところでございます。その後、廃棄物の搬入中止、午後五時以降の焼却炉への投入禁止については、命令が遵守されている状況にございます。また、燃え殻は場内に保管中であります。
 大気・水質調査についてでございますが、七月十五日に県が実施した大気の排出濃度測定結果は、一立方メートル当たり、ばいじん〇・三一から〇・三九グラム、塩化水素〇・〇九から〇・二三グラムであり、いずれも大気汚染防止法に基づく排出基準値以下でございました。今後とも県の立ち会いの上、事業者に大気・水質の検査を随時させてまいる考えでございます。
 次に、当分の間、常駐し適切な指導をすることについてのご質問でございます。
 日常的な監視につきましては、高野口保健所に一層の監視強化を指示したところであり、地域環境課からも再々職員を派遣し、早朝の監視を行うとともに、保健所が随時夜間の巡回を実施しているところでございます。また、立入調査により、たびたび現地指導を実施してございます。
 なお、地元橋本市に対しましても、改善命令の履行状況を確認する意味から、今後の監視指導について協力を依頼いたしたところでございます。
 次に、一日も早く撤去するようにとのご質問でございますが、現在保管中の廃棄物を早期に解消するよう指導しているところであります。
 ご指摘の、保管廃棄物の処理を終了した後、業者を退去させるということは法的に困難でありますが、今後とも生活環境の保全に支障がないよう、監視指導を行う考えでございます。
 なお、過日の改善命令によって新規の搬入をストップさせておりますが、再開については慎重に判断してまいる所存でございます。
 次に、紀の川左岸の摘発後の搬入についてでございます。
 本年八月に廃棄物処理法違反で県警の摘発を受けた業者に対しまして、八月二十三日、産業廃棄物の搬入中止、野焼きの禁止、摘発後に搬入した産業廃棄物の撤去、山林への復元の四点を内容とした改善を命じてございます。命令を履行させるため、高野口保健所は再三にわたり、また地域環境課においても随時職員を派遣し、現地調査と指導を行っているところでございます。
 現在、山林復元のための土砂を搬入しておりますが、産業廃棄物の搬入はございません。特に九月二十一日から二十三日にかけては、職員を派遣し、状況を確認いたしてございます。
 なお、保健所の巡回調査の結果では、野焼きは行われてございません。また、摘発後に搬入した木くず等の廃棄物については、九月四日に保健所が立ち会いの上、撤去させてございます。
 最後に、産業廃棄物行政に関する保健所の役割と権限についてでございますが、許可申請の一次審査、受理及び進達、苦情処理等住民との窓口業務、工場や事業場への立入調査と現地指導が主なものでございます。
 環境衛生行政の第一線として、本庁とも協調しながら努力しているところでございますが、産業廃棄物問題は大変難しいテーマであり、トラブルやクレームが多いのも事実でございます。今後、組織や機能について検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 林業関係についてのご質問でございますが、まず、担い手の確保については非常に重要な課題であると認識してございます。
 認定林業者制度につきましては、国において、林業経営者が立てる改善計画に対し、資金の貸し付けや課税の特例などの優遇措置を講じる制度が具体化に向けて検討されているところでございます。今後、県といたしましても、この制度の促進とともに、こうした制度を活用して中核経営者の育成に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に林業指導士制度でございますが、林業経営や後継者の育成など、地域の模範となる指導林家や基幹的林業技能者としてのグリーンワーカー、また伝統的林業技術を誇る人に授与する森林匠賞などの制度に取り組んでいるところでございます。今後、充実した地域活動が展開できるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 次に労働銀行でございますが、林業と農業の仕事をうまく組み合わせて就業者の所得の安定につなげるため、県単独で本年度、農林業相互支援ふるさと活性化確立事業を創設し、現在、森林組合や農協とシステムづくりについて協議を重ねているところでございまして、将来、労働銀行的な役割が果たせるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 また、求人情報についてでございますが、新たな林業への就業者、山村への定着者を広く募るため、森林組合において求人情報誌等を活用して都市部に人材を求めることを行っており、こうした情報のネットワーク化についても進めてまいりたいと考えてございます。
 次に林道網の整備による生産コストの低減でございますが、県においては、林家の経営に密着した路網整備に努めているところでございます。
 本県の林内道路密度は、平成七年度末でヘクタール当たり十八・三メートルでございまして、県の目標林内道路密度二十・六メートルに向けて計画的に整備を進めているところでございます。
 また一方、これまで作業道を四百九十三キロメートル開設してございまして、これに加えるとヘクタール当たり二十・五メートルとなり、森林整備には相当の効果を発揮しているところでございます。今後とも、作業道の整備を含めた林道網の体系整備になお一層努めてまいる所存でございます。
 次に木材の需要拡大でございますが、他県産材に負けない銘柄づくりは大変重要なことと考えてございます。しかしながら、昨今、住宅に対する国民のニーズが大きく変化し、住宅部材である木材の価値観は、無節材に代表される見かけの美しさよりも強度を中心とした性能が重視されるとともに、大手住宅メーカーのシェア拡大に伴い、受注ロットが大型化してきてございます。このため、良材生産は今後とも必要ではございますが、あわせて本県独自の規格づくりを進めるとともに、業界における自主的な性能チェック体制の確立、納材時における協力体制を積極的に推進し、良質の木材が明瞭な価格で必要量そろえられる紀州材の産地ブランドづくりに取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、公共施設における木材使用につきましては、農林水産部関係の施設はもちろんのこと、他部局にかかわる事業についても、木造化、内装木質化を進めるため、庁内連絡体制をさらに充実させてまいりたいと考えてございます。
 次に、紀の川左岸農道の現況と延伸についてでございます。
 紀の川左岸地区は平成三年度、紀の川左岸二期地区は平成五年度から着手しておりまして、その進捗率は平成七年度末で三八%となっております。平成八年度には六億一千七百万円の事業費で工事を進めているところでございます。今後も、関係者の協力を得ながら早期完成に努めてまいります。
 次に、紀の川左岸広域農道を恋野農免道路まで延伸する計画でございますが、広域農道での延伸は、受益面積や経済効果、道路協議等、課題も多く、非常に厳しい状況にございます。
 議員ご提言の延伸につきましては、ひとまず国道三百七十一号までできないかということについて関係機関とも協議を重ね、実現に向けた方策を検討しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学校施設への木材使用についてお答えいたします。
 学校にふさわしい温かみと潤いのある環境づくりのためにも、木材を使用することは意義あることと考えております。こうした観点から、最近では小中学校で三校が木造校舎を建築しております。また、鉄筋校舎の建築に当たっても、より良好な教育環境づくりのため、床板、腰壁などの内部仕上げ材にできる限り木材を使用してきております。
 ご承知のとおり木造校舎は、災害時における安全の確保や校地の有効利用、維持管理、耐用年数等、種々の問題点も含んでございますが、今後とも木材の使用についてより一層の工夫を加えるとともに、市町村教育委員会に対しても、その使用促進について周知徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 2番木下善之君。
○木下善之君 少し要望を申し上げておきたいと思います。
 産業廃棄物問題につきましては、胸のすくようなご答弁をなかなかいただけなかったわけでございます。それだけに法の壁というものもあって大変難しいものであろうと、改めて痛感をしておるわけでございます。
 しかしながら、地元といたしましては、人間に多大の被害を与えているところの産業廃棄物の焼却炉を一日も早く撤去していただきたいということでございます。二十五日付でございましたが、朝日新聞にも、近くの団地で撤去を決議する旨の緊急集会がなされたやに聞いております。
 そういうことから、ひとつ一日も早くこの早期撤去を願いたいのでございますが、それまでの間の問題として、末端の組織について少し要望申し上げておきたいと思います。
 特に今後、そうした地域環境の保全という問題は保健所から県事務所の方へ移行できないものか。例えば、県事務所に新しく仮称「環境整備課」等の新設を進めていって、その中において産業廃棄物を取り扱う窓口を設けるとか、お話もございましたけれども、そうした組織の面を要望しておきます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下善之君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十四分休憩
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