平成8年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第四号 平成八年九月二十七日(金曜日)
     午前十時開議
 第一 議案第百八号から議案第百三十八号まで、及び報第六号(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百八号から議案第百三十八号まで、及び報第六号(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川   武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門   三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島   雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷   洋 一
 18 番 長 坂 隆 司
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 堀 本 隆 男
 21 番 宇治田 栄 蔵
 22 番 宗   正 彦
 23 番 橋 本   進
 24 番 井 谷   勲
 25 番 玉 置 公 良
 26 番 上 野 哲 弘
 27 番 東 山 昭 久
 28 番 尾 崎 要 二
 29 番 野見山   海
 30 番 木 下 秀 男
 31 番 町 田   亘
 32 番 中 山   豊
 33 番 山 下 直 也
 34 番 鶴 田 至 弘
 35 番 森   正 樹
 36 番 村 岡 キミ子
 37 番 新 田 和 弘
 38 番 平 越 孝 哉
 39 番 森 本 明 雄
 40 番 神 出 政 巳
 41 番 松 本 泰 造
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口   勇
 副知事 山 下   茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西   悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
    山 本   昭
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 中 尾 公 彦
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
    若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
    谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島   光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊   孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田   繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(町田 亘君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
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 【日程第一 議案第百八号から議案第百三十八号まで、及び報第六号】
 【日程第二 一般質問】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第百八号から議案第百三十八号まで、及び知事専決処分報告報第六号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 9番永井佑治君。
 〔永井佑治君、登壇〕(拍手)
○永井佑治君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、ただいまから質問させていただきますが、今回、私にとっては西口知事に対する初めての質問でありますので、幾つかお尋ねする前に、知事にひとつお願いをしておきたいと思います。
 「あとは野となれ、山となれ。 絶望的な、無責任な言葉のようでもあるが、私はむしろ絢爛たる自然のなりゆきに頭をさげさせられている人間を連想する。 今迄に何度、私はこの言葉を思い出し、自分を楽にしたことだろう。最後のところで、私がこれでも思い上がらずに済んだのは、このような気持があったからだった。私は最後まで責任をとることをしなかったのだが、そのおかげで、自殺からまぬがれ、自分を卑怯な奴と思うことができた。別に自虐趣味ではないのだが、非力も屈辱も、人間にとって、当然のことなのだから、私はあまり深刻にならずに苦しもうと思ったのだった。 人間の執念がどれほどのものであろうと、自然はそのような茶番をあとにも留めない。野山は誰のことも記憶してはくれない。それらは自然に只、四季の遷り変りの中で、生き生きと繁茂して行く。爽やかである」。これは作家曽野綾子さんの「あとは野となれ」という著書の一部で、元衆議院議員浜田幸一さんの書いた「不肖ハマコーがゆく」の冒頭でも引用をされているところであります。
 西口知事は昨年十一月に知事に就任されてから約一年が過ぎ、和歌山県民の知事に対する評価は、私の知る限りではなかなか好評でありまして、「永井はようやってるよ」とはだれも言ってくれませんが、「西口さんはようやってるよ。ええ知事やよ」という声をよく耳にいたします。西口知事を応援した者の一人として、私も大変うれしく思っているところでございます。
 西口知事は、昨年の知事選を戦うに当たって県民に、誠実で、偽りのない、誠の心をもって県政に当たると強く訴えてこられました。知事の誠実なお人柄をあらわしていますし、信念、決断力、情熱など、政治家として必要な条件は十分にお持ちのこととは存じますが、あえて私の口から申し上げることをお許しいただけるならば、もっともっと勇気を出していただきたいと思います。
 申し上げるまでもないことでありますが、すべての人々に納得してもらえる政治などありません。不公平が許されない、法に基づいて執行される行政についてもしかりと、私は考えております。和歌山はだめなんだという意識を変えなければならないし、それを変えたいと知事が言われていますが、県民の意識の底には、和歌山は変わらんよという一種のあきらめの空気が漂っているのも事実であります。このような和歌山を変えるためには、どうしても知事の勇気が必要であります。
 後は野となれ山となれ──西口知事に思い切って今の和歌山を変えていただきたい。そのためならば、百八万県民の大多数が惜しみのない声援を送ることでありましょう。武村正義さんではありませんが、我が愛するふるさと和歌山が「小さくともきらりと光る県和歌山」であってほしいと心から願っております。
 それでは、質問に移らせていただきます。
 最初に、和歌山下津港港湾計画についてお尋ねをいたします。
 去る八月二十四日、マリーナシティで紀淡海峡大橋実現フェスタが開催されましたが、夢の大橋実現に向けて西口知事もいよいよ本格的に取り組む姿勢を示されたものと受けとめ、私は大いに歓迎をしているところでございます。
 交通の便を促す道路の重要性とその都市の活性化や経済に及ぼす影響の大きさについては、近畿自動車道紀勢線が大阪、神戸に直結しただけで紀ノ川サービスエリアの売り上げが一・五倍にふえたということを耳にしておりますし、また、さきの世界リゾート博から引き続きにぎわいを見せているマリーナシティで見かける自動車の多くが県外ナンバーの車であるなど、特に身近に感じられるところであります。
 今、二十一世紀を目前に控え、近畿経済圏から取り残されることなく、例えば大阪湾ベイエリアの開発や整備による大阪湾環状都市圏構想のようなものの中で本県が重要な位置を占めるためには、京奈和自動車道はもちろんのこと、大阪湾岸道路の和歌山市までの延伸、紀淡海峡大橋の完成により、兵庫、大阪、京都、奈良、和歌山、そして淡路島を経由して四国と高速交通網で結ぶ壮大な計画を実現させていただかなければなりません。夢で終わらせてはいけないと思っております。となりますと、生産、商業、居住、遊びや娯楽、いずれの用途に利用するにしても、和歌山を単なる通過点にしないためには広大な土地をベイエリアに確保しなければなりません。
 さらに、廃棄物の処分場の面からも考えてみたいと思います。
 第三セクター方式による和歌山環境保全公社が行った住友金属西防波堤沖埋立事業が完了したことにより、和歌山の廃棄物は、昭和五十七年に、近畿二府四県百四十九市町村が参加する特殊法人大阪湾広域臨海環境整備センターが行うフェニックス事業で泉大津沖へ搬出することになりました。九月二日の和歌山基地の完成は記憶に新しいところであります。
 聞くところによりますと、当初の計画では、泉大津沖は平成八年末でいっぱいになるということでありましたが、バブル経済の崩壊により、廃棄物は景気と連動していますので当然のことでありますが、殊に産業廃棄物の量が減り、平成十年ごろまで延びるとのことであります。また、受け入れが積み出し基地からの海上輸送に限られ、自己搬入は認められていないので、京都、奈良方面の市町村は、産業廃棄物は別にして一般廃棄物については、陸上輸送その他で経費がかかり過ぎることもあって、ほとんど利用されていないようであります。廃棄物の大半は建築廃材や建設残土でありますし、また和歌山下津港を整備して三万トン、五万トンのバースをつくるためには大量のしゅんせつ土砂が出るものと思われますが、その捨て場所も必要であります。
 いずれにしましても、都市や産業の発展にとって廃棄物の処分は避けて通れない問題であります。和歌山県の発展を考えるとき、他に頼ることなく、県独自での廃棄物処分場の確保は極めて重要な課題であり、それを内陸部に求めることができないとあれば、海を埋め立てる以外に方法はありません。
 以前から高度経済成長期への反省を込めた戦略的後退論や建設主導型社会への批判があることは承知をいたしておりますが、これらは東京や大阪など大都市の論理であって、少なくとも和歌山には当てはまりません。もちろん、海を埋め立てるとなりますと、環境問題、漁業補償など、クリアしなければならない難問が横たわっていますが、土地の保有と廃棄物の処分に係る経費の軽減といういわば一石二鳥のメリットもありますので、真剣に取り組まなければならないのではないかと考えております。
 そこで、お尋ねをいたします。
 和歌山下津港に係る港湾整備計画の見直しがあると聞いておりますが、その時期はいつごろになるのか、またその内容はどのようなものになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 また、港湾整備に伴うしゅんせつ土砂あるいは建設残土などを二十年、三十年という長期にわたって有効に活用し、新たな都市再開発用地を確保するため、和歌山下津港和歌山港区の沖合、できれば水深二十五メートルぐらいまで埋め立てを展開してはどうかと考えておりますが、これについてはどう思われるか、お聞かせを願いたいと思います。
 次に、高齢者の生きがい対策等についてお尋ねをいたします。
 二〇二〇年には四人に一人が六十五歳以上、しかもその大半は七十歳代という超高齢化社会が来ると言われておりますが、去る十四日に発表された総務庁の高齢者に関する統計調査によりますと、六十五歳以上の高齢者人口が千八百九十九万人、総人口に占める割合が一五・一%ということであります。都道府県別では、平成七年のデータしかございませんが、それによりますと、一位が島根県で二二・六%、以下高知、山形と続き、本県は一七・八%で二十番目であります。また、国勢調査をもとにした高齢者のひとり暮らしの世帯数は全体の一二%を超えて二百二十五万世帯、五年前に比べると三八・八%ふえていて、うち女性が男性の約四倍、六十五歳以上の女性のほぼ六人に一人がひとり暮らしということであります。
 去る九月十五日、私も地元宮地区で何カ所か敬老の催しに参加をいたしました。出席者のほとんどが女性であります。また、春と秋の年二回、宮地区全体で催している触れ合い食事会には、高齢者のひとり暮らしの方約四百八十名のうち百五十人ぐらい参加されますが、そこでもやはり女性の数が圧倒的であります。私は、こういった機会に接するたびに、この人たちは非常に寂しい思いをしているのではないか、また、それぞれの立場で社会に貢献をしてきた人たちですから何らかの形で報いなければいけないのではないかと、いつもそういう気持ちを持っております。
 全国で要介護老人の数が百万人を超えたと言われる今でも、高齢者に対する福祉・保健面での行政の対応はまだまだ十分とは申せません。しかしまた、高齢者の七、八割を占める比較的健康な方々の生きがいや楽しみをどうするかということも行政の重要な課題であります。
 ところで、先日のある新聞のコラムにこのような記事が出ていました。お読みになった方もたくさんおられると思いますが、私なりに要約をさせていただきます。「昔、昔、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました」──「花咲爺」、「舌切雀」、「桃太郎」など、おとぎ話の出だしである。なぜ、お父さんやお母さんではなく、おじいさん、おばあさんなのか不思議だったが、哲学者中村雄二郎さんと劇作家別役実さんの対談でこのなぞが解けた。別役さんは、お父さん、お母さんから子供へというのではなく、おじいさん、おばあさんから孫へという情報伝達回路が重要だったのではないかと言い、中村さんは、極端に言えば結局親から子へというのでは文化が伝わらないと思うと語っています。かつては、おじいさん、おばあさんから孫へという教育があった。今では、お父さん、お母さんから子供という、局部対応の教育になってしまった。親から子に伝わるのはせいぜい実務的なことぐらいで、おじいさん、おばあさんがいないから精神的なものが失われてしまった。木を切ったら孫の時代にどうなるか、三代見通して考えなければいけないように、文化や社会も三代見通して見る必要がある、二代どまりでは危ないというのがお二人の結論──こういう記事であります。
 近ごろ、祖父母と孫のほのぼのとした交流を目にすることももちろんありますが、一方で、小さい子供たちがおじいさん、おばあさんを汚いと言って嫌うという話を耳にするにつけ、私はこの記事を読んで深く考えさせられました。生きがいや楽しみを見つけることは個人に負う部分が多いことはわかりますが、知事の言われる、住んでよかったという和歌山を実現するためには、健康なお年寄りに対する配慮がもっともっと必要ではないかと思います。
 そこで、お尋ねをいたします。
 比較的健康な高齢者の方々の楽しみや生きがい対策についてはどうなっているのか。また、今後どのようにするのか。ハード・ソフト両面にわたって具体的にお示しをいただきたいと思います。
 また、お年寄りの経験や知恵といったものを生かして和歌山の町づくりに反映させるといったようなお考えはないのか、お聞かせを願いたいと思います。
 さらに、先ほど申しましたように、高齢者のうち女性の占める割合が非常に高いということを考えますと、例えば女性高齢者向けの特色ある対策等についてもお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、職員の意識改革についてお伺いをいたします。
 以前から、東大解体論や大蔵解体論など官僚に対する批判がありましたが、最近特に薬害エイズ問題、住専問題などで一段とその声が高まっているのは、ご承知のとおりであります。同様に、もちろん大半の県庁職員の方が県民のためにまじめに行政に取り組んでいることは申し上げるまでもありませんが、「市役所は行きやすいけど、県庁は行きにくい」とか、「県の職員は偉そうや」という県民の声を私たちが耳にするのも、残念ながら事実であります。
 西口知事は、机に座っていては行政ができない、外に出て県民の声を聞いてそれを行政に生かしてほしいといったような意味の話を職員にされていると伺っておりますが、知事に幾ら頑張っていただいても、実際に知事の手足となって第一線で働いている職員の意識が変わらなければ和歌山は変わりません。地方分権や地方主権が叫ばれている今こそ、何よりも職員の方々に意識を変えていただいて、県民に身近な、開かれた県政を実現する必要があるのではないかと考えます。産・官・学・民、四者一体となって、知事の言われる和歌山新時代を創造しようではありませんか。
 そこで、次のことをお伺いいたします。
 民間派遣等も含め、職員研修の実態はどうなっているのか。また、改善する余地はないのか。
 和歌山市議会でも申し上げたことでありますが、国際化時代と言われている今日、できるだけ多くの職員の方々に広く世界を自分の目で見、肌で感じて、それを行政に生かしてもらう必要があると思います。職員の海外研修の現状と海外研修を将来大幅にふやすことを検討されてはどうかお尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。
 ご清聴、感謝いたします。ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの永井佑治君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 永井議員にお答えをいたします。
 まず冒頭に、私に対する激励のご意見をいただいたわけであります。もっともっと勇気を出せということでございます。
 実は私、選挙期間中に、「私の名は『勇』です。『勇者は懼れず』という心境で戦います」と、孔子の言葉をよく引用して訴えたわけであります。仰せのご趣旨とはいささか違うかもしれませんけれども、今後とも「修羅場では鬼になる」ということを私の気概として頑張っていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、和歌山下津港和歌山港区の埋め立て問題についてでございます。
 廃棄物の最終処分場の確保というのは、県政の中でも最も重要な課題であると認識をしております。従前から、西防跡の処分場の問題につきまして、内陸部あるいは海面等について種々検討を行ってきたわけでございます。当面はフェニックス計画への参画で対処していきたいと思いますけれども、議員ご指摘の建設残土あるいは港湾整備に伴って発生するしゅんせつ土砂等につきましては、これを有効に活用し、かつ適正に処理するために和歌山下津港和歌山港区の埋め立てを検討しなければならないと考えてございます。
 今後、海面埋め立てということになりますと、地元住民の皆さん、さらには漁業関係者のご理解とご協力がぜひ必要でありますので、関係者の絶大なご支援をお願い申し上げたいと思います。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 永井議員の、和歌山下津港港湾整備計画の見直し時期と内容についてのご質問にお答えいたします。
 和歌山下津港は大阪湾の入り口に位置し、海の国際軸とも言える太平洋航路や二十四時間世界に開かれた関西国際空港と近接し、紀淡連絡道路を含む太平洋新国土軸構想が具体化しつつある現状を踏まえ、このような有利な立地条件を生かしてベイフロンティア構想の中核港湾として、二十一世紀の近畿圏の経済を担う港としての発展を目指してまいりたいと考えております。このため、和歌山下津港に大水深の岸壁や十分な広さのコンテナヤードを有する外貿ターミナルを確保するとともに、陸上の高速交通網と結びつけるためのアクセス道路の整備が重要な課題と認識しており、現在取り組んでいる次期港湾計画に積極的に反映してまいる所存でございます。
 港湾計画の改定の時期につきましては、現在、各種の調査検討を行っているところでございますけれども、西防波堤沖埋立地問題の動向をも見据えた上で、現段階では平成九年度末の改定を目指してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 永井議員ご質問の、高齢者の生きがい対策等の三点についてお答えをいたします。
 まず、比較的健康な高齢者のハード・ソフト両面からの楽しみ、生きがい対策についてでございますが、高齢者が前向きで、積極的な気持ちで生きがいあふれる日々の生活を送るとともに健康な身体を維持していくための生きがい対策は、極めて重要な施策の一つであると考えております。
 さて、議員ご質問のハード面での施策についてでございますが、高齢者が地域において生きがいを持ち、健康で安心して暮らせる地域コミュニティーの環境整備が肝要と考えており、屋外スポーツ施設や老人憩いの家の整備等に対する財政的援助を行っているところでございます。
 また、ソフト事業につきましては、紀の国長寿大学や洋上老人大学等の生涯学習や高齢者スポーツ大会等のスポーツ活動の支援、また仕事を通じた生きがいづくりのための無料職業紹介、その他高齢者の生活全般にわたる相談業務等、多角的な事業を展開しているところでございます。今後とも、県民への啓発活動を重視しながら、なお一層の施策の充実を図っていきたいと考えてございます。
 次に、高齢者の知識や経験を生かした和歌山の町づくりについてのご質問ですが、高齢者が若年からはぐくんできた幅広い知識や経験を地域社会に還元し、また後世に継承していくことは、本人の励みになることはもとより、社会の貴重な財産であると認識してございます。このため、知識や特技を持った方々をあらかじめ分野別に登録させていただき、地域、職場等における研修や講習会、集会等においてその能力を発揮していただくいぶし銀行事業を実施しているところでございます。
 また、次世代の担い手となる小学生に対して長寿社会啓発読本の配布、地域における社会活動の中心となる老人クラブへの援助、特色ある社会活動を行う民間団体への助成などを行っており、今後とも喜の国いきいき百人委員会等におけるご意見をいただきながら、心豊かな長寿社会づくりのための各種施策の充実を図っていきたいと考えております。
 次に、女性高齢者に対する特色ある生きがい対策についてでございますが、議員ご指摘のように高齢者人口の約六割は女性であり、また男性に比較して女性の平均寿命は六歳近く上回っており、女性の高齢者への視点は極めて重要であると考えております。
 昨年実施した高齢者の健康生きがいに関する基礎調査によりますと、生きがい対策について、健康教室や文化教室の拡充を求める声が男性に比べ女性の方が多く、健康・文化に関する生きがい対策事業の展開が望まれているところであります。今後、このような女性高齢者のニーズにこたえることのできる事業の拡充を図っていきたいと考えてございます。
 また、新規事業としてシルバーおしゃれ講座事業を実施し、その中でシルバーファッションショーを開催する予定でございます。
 今後とも、高齢社会の重要な担い手は女性であるということを踏まえ、女性の社会参加の促進など、多角的な施策を確立していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 職員の意識改革の二点についてお答え申し上げます。
 職員の意識改革につきましては、県民ニーズがますます多様化し、また地方分権の機運が高まりつつある中で二十一世紀に向けて活力ある県政の推進を図るために、職員の意識改革や人材の育成は非常に重要なことでございます。そのため、昨年策定した行政改革大綱に沿って、従来からの国、市町村との人事交流に加え、行政と異なる分野での体験をさせるため、本年度から民間企業への派遣研修を新たに実施するなど、職員の意識改革の推進に努めているところでございます。
 また、職員研修所における研修につきましても、職員の意識、資質、モラルの向上を図るため、所属長につくまで約十回は研修を受講することとしてございます。加えて、本年度からは政策形成能力、業務遂行能力、あるいは目標による管理能力を兼ね備えた職員の養成に力点を置いた研修を実施しているところでございます。
 なお、海外研修につきましては、諸外国の行政制度や専門技術等を調査研究することによって職員としての視野を広め、国際化の進展に的確に対応できる能力の開発・向上を図るため昭和四十七年度から実施しているところでございますが、さらに、従来からのテーマを指定して行う海外研修に加え、昭和六十三年度からは研修生みずからがテーマを設定し、県が研修費の一部を助成して派遣する海外研修を実施しているところでございます。派遣人員は毎年二十名程度で、累計で約三百名となってございます。また、公務による海外出張は年間六十名程度となっている状況でございます。
 今後とも、職員の意識改革、人材育成を図るため、海外研修を初め、職員研修の充実・改善に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 以上で、永井佑治君の質問が終了いたしました。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番木下善之君。
 〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をいたします。
 まず、産業廃棄物についてでございます。
 本件につきましては、六月議会において向井先輩議員より質問された、橋本市内の問題であります。産業廃棄物等ごみ処理は今や全国的課題であり、どこかで処理しなければなりませんが、今後、国及び地方自治体において行政サイドできちんと処理できる仕組みを構築しなければ、業者任せでは環境破壊につながりかねませんし、ひいては人間の健康にかかわる問題であります。
 橋本市は、本年六月議会において環境都市宣言がなされたようでありますが、今日まで水と緑と太陽の町づくりを柱として良好な住環境を整えた宅地開発を進め、現人口約五万五千人、数年後には八万五千人の計画であり、現在、三地区において延べ三百八十ヘクタールの造成を進めているとのことであります。
 問題となっている産廃の現場からおよそ東三百メートルの近隣に、二十八・八ヘクタール、入居予定六百八十四戸の宅造が進んでおり、また北五百メートルの地域においても十八・七ヘクタール、五百三戸の民間による宅地造成がなされ、平成十年より売り出しと聞き及んでおります。過去から入居されている多くの方は、和歌山は緑が多く、水も豊富で、環境がすばらしいと位置づけされており、本県への定着はますます確実なものとなっております。
 こうした状況の中で、県が許可した焼却炉から、蒸気も含めてでありますが、白煙、黒煙がもくもくと出ており、この排煙により近隣の多くの関係住民が通院を余儀なくされ、大きな社会問題となっております。とりわけ、言葉の通じない乳幼児を初め子供に対しても同等の被害を与えていると考えたときに、管厚生大臣の指揮する非加熱製剤の薬害エイズではございませんが、その対策が急務と考えるだけに、県としても、許可している以上、早期に十分な対策を講じていただくよう強く切望するところであります。
 また、紀の川左岸においても、幾つかの自己処分地を初め、八万平方メートルの産業廃棄物の投棄の計画があると聞いており、下流は丹生川となって国道三百七十一号は産廃街道となってくるおそれもあり、予断を許さない状態となっております。
 県外からの持ち込みがなければのどかな田園都市でありながら、現在では地元の人間関係も複雑化し、ひいてはカラス等の二次被害により周辺農家の所得にまで波及しているなど、産業廃棄物の県外からの持ち込み、とりわけ大都市・大阪の県内持ち込みの禁止について府県間レベルでの話し合いをぜひ願いたいのでありますが、西口知事の所見をお伺いします。
 以下、順次、生活文化部長にお尋ねをいたします。
 処理場のその後の稼働に対する指導について、知事も現場の確認をされておりますが、六月二十四日付で県は業者に厳しく指導したとなっているが業者は守っていないと地元関係者は言っており、搬入禁止のはずが幾分台数が減っても搬入の事実があり、市及び地元は保健所へ督促と催促をしていたが効き目なく、ついに市及び地元関係者はたまりかねて、八月二十六日、知事に嘆願申し上げ、九月十日付にて県から業者に対し改善命令が出されたところであります。
 問題とするところは、六月二十四日の業者指導の後、八月二十六日の知事への嘆願までの二カ月間、業者をどのように指導したのかということで、県の対応のおくれが問題であり、知事へ直訴しなければ改善命令を出さなかったのかと判断をいたしております。
 九月十日付措置事項の第一点に、「直ちに産業廃棄物の搬入を中止すること」とあるが、現在は守られているのか。九月二十四日、七時半ごろでございましたが、地元調べで二台搬入されておる等、毎日のように見受けておるのが実態であります。
 第二点、「夜間の焼却を中止すること」とあるが、現在はどうか。九月二十四日、私も、夜間の調べにおいては黒煙がもくもくと出ており、翌朝の七時には昨夜の四分の一程度の煙量が出ていたのを記憶いたしております。
 第三点、「燃え殻については別に指示するまで適正な保管場所を設け保管すること」とあるが、七月一日の指摘以降、恐らく八十ないし百トンの燃え殻が発生しているのではないか。これは最終処分地へ搬出すると考えるが、今日まで搬出した記録はあるのか。今日までの何カ月間の燃え殻の搬出はされていないと、地元は言っております。どこに保管をしておるのか、お聞きしておきます。
 第四点、「大気検査及び水質検査を実施して報告すること」とあるが、どのような大気検査の計画をされているのか。また、現在までの大気検査の結果を本会期中に文書で報告を求めます。今後、住民の安全性確保の点で、適切な大気検査の調査回数を含め、希望いたしておきます。
 次に水質検査の実施でありますが、燃え殻の処分が不透明であり、下流域は市街地を通じ紀の川へ流れ、中間流域においては数戸が飲料水に供している事実から、七月一日、下流の代表者と業者との間で水質検査覚書の協定案を示し、一応業者の了承を得たはずが、いまだ調印に至っておりません。地元より市を通じ保健所へ催促されているようであるが、二カ月過ぎても地元に応じておらず、私も保健所へ依頼している経緯がございますが、返事もいただいてございません。これは一体どういうことか。
 次に、産廃の二次公害についてであります。六月から七月にはハエが大発生をし、新住民もびっくり。八月から九月はカラスが集結し、近畿のカラスが一堂に集結したようで、多いときは六百から七百羽以上が群がり、八月に特産のブドウが多大の被害を受け、ある農家では、全滅するので皆取りやむなく、規格外で出荷されたというケースもあります。いよいよ柿の収穫を目前に控え、現在狩猟会に依頼している一方、捕獲器の設置を検討しているが、柿は全国第三位の生産量を誇る産地ながら、春には晩霜に遭い、七月から八月には異常発生のカメムシ被害となり、残った柿がカラスにいかれる始末で、その被害は周囲何キロにも及んでおります。このように、産廃によって地域関係者は二重、三重の苦しみに遭っていることを県関係者は知っているのか。
 以上の点から、当分の間、常駐し、搬入防止と適切な在庫分の焼却等、業者指導を行う必要性を痛感するので、常駐について伺います。
 次に、一日も早く撤去することについてでありますが、現在の堆積物の焼却は適切にやるということでやむを得ないが、その後については速やかに撤去をされるよう、許可権者としてどう対処されるのか伺います。一日も早く撤去を願いたいとして、地域関係者は夜を徹してその署名運動を展開され、現在七千名の署名をいただいていると聞き及んでおります。
 次に、紀の川左岸の摘発後の搬入についてお尋ねをいたします。
 本件も、橋本地内であります。昭和六十年八月より長きにわたり、一日十数台という県外産の産業廃棄物等三千平米以下を自己処分地へ投入し、その後、多くの投入を初め野焼きをしており、本年八月五日、ようやく県は摘発を行い、八月二十三日付で改善命令が出されている点で、措置事項三点についてお尋ねいたします。
 第一点に「産業廃棄物の搬入を中止すること」とあるが、現在においても相当台数の投入は判明しており、去る二十二日の休日にも、午前中に七台を地元が確認し、報告いただいております。
 県は、林務の立場から、山林に原形復旧し植林しなさいと指示しております。この点、「復旧に要する土砂は自己処分地の土を用いること」とただし書きが必要だと思うが、どうか。また、原形復旧のために県外産の土砂以外の不変のものなどを持ち込むおそれがあるのではないか。
 第二点目に「野焼きは行わないこと」とあるが、摘発以降も行っているようでありました。今日では積極的な野焼きは少ないと関係者は言っておりますけれども、その後の調査について伺いたいのであります。
 第三点目に「違法行為に対する現場実況見聞を行った以降に搬入した産業廃棄物を本年九月六日までに撤去すること」とあるが、撤去したことの確認をされたのか、お尋ねいたします。
 また、中身はわかりませんが、ドラム缶等、長きにわたり多量の産業廃棄物を投入または野焼きしており、地元関係者は今後の土壌汚染を心配され、現在までに二十数回の水質検査がなされております。一業者のために地元ははかり知れない精神的あるいは労力を投じていることから、なぜ早期に対策が講じられなかったかという点については、過去のことであり追及しませんが、これを教訓として反省をし、今後の産業廃棄物の持ち込みに関して前向きな対処を切望するところであります。
 次に、保健所の役割と権限についてお伺いをいたします。
 一般地域住民は、許可権を持っている県つまり出先機関を大変重要視されるのは当然でありますが、産業廃棄物に関しての保健所への不満が続出していることについてであります。
 知事が当時確認され、県は六月二十六日付で対策指導をされ、七月一日以降持ち込み禁止となっていたが、業者に守られていない点など幾つかあって、八月二十六日、やむなく市長、地元が知事に嘆願されました。この二カ月間、保健所は業者指導をする役割を果たしていなかったのではないか、持ち込み禁止と命令した以上、保健所がその事実を確認すれば持ち帰らせるだけの権限を持つべきではないかと思う。一般世論の声として、業者は保健所の指導・意見は余り聞かないと言っているが、これでは困る。口述だけではなく文書で、その都度的確に指示されていないものと私は判断をいたしております。
 九月十日付にて県が改善命令を出してからは業者もある程度従っていると思うが、保健所は産廃取扱窓口として業者を適切に指導する権限を持っているのかいないのか、伺いたいのであります。
 今後の産業廃棄物は京阪神の人口の動向からさらに増加するとしたとき、投棄を受けやすい関係地域の保健所の増員など、体制の充実も図るべきであります。
 橋本市は、和歌山県であります。一日も早く和歌山のイメージをよくし、住んでいてよかったと言われる郷土づくりのため、県は産廃の取扱指導要綱の早期見直しと再発防止のための事前協議制の実施など、間違いのない、安心のできるような取り組みを切望して答弁を求めます。
 次に、低迷する林業の再生についてお尋ねをいたします。本件につきましては、先輩・同僚の方からも過去において質問されておりますが、厳しさの余り、あえて申し上げます。
 過日、委員会で南紀の中山間地域を視察させていただき、これまで営々と育ててきた二十一万ヘクタールに及ぶ杉・ヒノキの人工林は見事な成長を続け、その蓄積量は約六千万立方メートルと全国第四位を誇り、規模においては本県森林資源の偉大さを改めて認識いたしたところであります。また国内林業は、杉・ヒノキなど森林資源が一千万ヘクタールと言われ、そのほとんどが戦後一斉に植栽され、二十一世紀初頭に訪れる収穫期には木材の国内競争が一段と厳しくなるのではないかと考えます。
 本県の林業の現状でありますが、日本経済の大きな転換期であったオイルショック後の昭和五十年当時と現在とを比較分析しますと、財団法人日本不動産研究所の調べでは、杉の山元での立ち木価格は、昭和五十年に一立方メートル当たり二万三千九百十七円であったのが平成六年では一万三千二百四円と、物価の上昇に反し半値近くに落ち込んでおります。一方、山で働く人々の賃金水準は、労働省の調査によると、昭和五十年には一人一日五千五百五十九円であったのが平成六年では一万四千三百六十五円と、五十年当時に比べ二・五倍に上昇しております。立ち木価格が落ち込む反面、労賃が上昇しており、林業はもうからないことを端的にあらわしております。
 また、労働事情でありますが、国勢調査による県内林業従事者は、昭和五十年に五千十四人であったのが平成二年では二千三百十二人と四六%に減少し、六十歳以上の高齢者割合も二一%から三六%に増加の状況にあります。
 さらに、木材が国内でどれだけ使用されるのかを調べてみますと、昭和五十年に五千五百万立方メートルであったのが平成六年には五千百万立方メートルと、やや減少している状況にあります。
 林業は、今、こうした厳しい状況に直面しております。しかしながら、山の資源は着実に成熟を続けており、収穫という近い将来に向かって林業を再生させる道をいま一度英知を絞って再考することが大変重要と考えます。今後の林業振興についてどのようにお考えなのか、まず知事に所見をお伺いいたします。
 次に、林業再生への方策として、担い手をいかに確保するか、生産コストをいかに抑えるか、木材の使用料をいかにふやすかに関して、幾つかの提言も含めお尋ねしますので、関係部長のお考えをお示し願います。
 第一点は、担い手対策であります。
 農業者には新しく認定制度が確立されましたが、林業に意欲を燃やす林業経営者を育てていくことをねらいとして、自主的に経営改善計画を作成し、行政機関の認定を受けた林業者を認定林業者とし、林業経営に関して優遇措置を講じていく制度を創設してはどうかということであります。また、林業を通じての山林青年の育成や地域林業の振興に中核的役割を果たす林業者に、林業指導士制度を充実させてはどうか。現在、青年林業士は県下で五十名いるようであります。年配の方は林業指導士、若い方は青年林業士で結構でありますが、やる気を持っていただくため、本制度の一層の充実を図ってはどうかということであります。
 次に労働銀行の創設でありますが、県は今年度事業において調査研究することとなっております。山林就労者とミカンあるいは梅農家と協定して収穫労働の交換をし、農業者は一ないし三月の農閑期に山林就労を行うなど、関係機関と協議され、仮称「農林労働銀行」を創設してはと考えますが、いかがなものでありましょうか。
 次に都市への求人情報ネットワーク化でありますが、農林業はとかく三K産業と言われ、「きつい」──他は申しませんが、古い体質の労働環境を整備することが、都市からのUターン、Iターンを含め、新規就業を促す上で大切であります。
 所得の安定は先決でありますが、近年、都市から山村地域への移住を求める自然志向が急速に増加傾向にあるようで、例えば間伐材を用いた休憩できる施設の設置であるとか、山合いでコンサートでも可能な簡易特設場をつくり、休日には大いに活用し、イベントの開催も結構、とにかく楽しみながら仕事につけることが若者にとって時代の要請でなかろうか。都市からの労働確保に向け、求人情報ネットワーク化をインターネットを通じて幅広く展開することも必要でなかろうか。こうした担い手育成に林業基金の造成をさらに積み上げ、その運用益を有効活用されるよう、希望しておきます。
 以上、三点について農林水産部長にお伺いします。
 第二点目は、生産コストをいかに低くするかということであります。
 まず、林道の整備促進であります。現在、基幹林道や支線林道など積極的に整備を進めていただいておりますが、末端の作業道の整備を急ぐ必要があります。本県では、間伐対象面積十一万二千ヘクタールのうち五四%が時期を失していると言われます。昨今のマイカー時代に応じた道路網整備が作業の近代化を図り、コスト低減につながるものと存じます。この点も、農林水産部長に答弁をお願いします。
 第三点は、木材の使用量をいかにふやすかであります。
 本県は、前にも申し上げたように「木の国」であります。吉野材や北山杉に負けない紀州特産材に、時間をかけてでも取り組むべきでないか。和歌山の紀州材を「熊野杉」と位置づけ、立派に仕上げた良質材はこれです、また耐震性を希望される方には、紀州の台風銀座でもまれ黒潮に耐え抜いた粘りの強い木はこれですと、特有のカラーをPRしていくべきでなかろうか。そうした商品づくりに取り組むとともに、県事業や市町村事業で計画する公共建築物を木造で計画するとか、せめて内装に木材を使用するとか、公共事業を足がかりに、庁内関係部局との連携のもと、木材の利用を推進してはと考えます。それに、林業センターが鉄筋コンクリートであるということはいかがなものか。改築する場合は、ぜひすばらしい木造建築にするべきでないか。あわせて、農林水産部長の答弁を求めます。
 また、特に学校施設が修改築あるいは新築される場合、土地の利用面、経済面、防災面それぞれから、鉄筋化の傾向が強いとされます。ある学校で聞いた話でありますが、「私の学校もようやく鉄筋化率一○○%となりました」と胸を張って言った先生もいましたが、私は、先生の教育も少し必要ではないかと感じました。木のよさが教育環境によいという特性を生かし、木のぬくもりが生徒に伝わるよう、何も一○○%の木造にしなくとも工作室とか部室など一部木造公舎等、それぞれ自治体、学校の諸事情もあろうかと存じますが、今後、改築に至った学校において一部を木造としたモデル建築も一度検討してみてはと考えます。また内装等についても、ぜひ県内産木材の使用を勧めることについて教育長の見解をお伺いいたします。
 次に、紀の川左岸農道の現況と延伸についてであります。
 農業の近代化と地域の活性化を図る上で、紀の川流域の中腹では左岸農道の工事が急ピッチで進められております。先般も九度山地内の工事の進捗状況を見させていただき、相当以上に進んでいることを確認してまいりました。本事業へのご熱意に対し、感謝申し上げます。
 かつらぎ町、橋本市は地籍調査と用地買収に入っているようでありますが、現在の計画は橋本市清水地内でとまっており、東部への延伸をどう計画にのせていくのか。奈良県境の恋野農免へ接続させることは中山間地域の農林業の振興に大きな役割を果たすものと考え、ウルグアイ・ラウンド事業の真っ最中であり、それだけに地元は大きな期待をかけております。この時期に事業採択をいただくべく、特段の取り組みを願いたいのであります。現況も含め、東部への延伸をどう図っていくか、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 以上をもちまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下善之議員にお答えをいたします。
 産業廃棄物に関連をしまして、県外からの持ち込みを禁止することはできないかということであります。
 私も、できればそうできないかと思って調べたわけでありますけれども、産業廃棄物につきましては、全国を広域的に移動して処理をされているというのが現状であり、本県の廃棄物も相当他府県に処理を依存しているという現状であります。そういうふうなことから、他府県からの持ち込みを全く禁止するということは大変困難なことでございます。
 しかし、持ち込まれる廃棄物の質や量を事前にチェックして一定の制限を加えられるような、そういう新しい処理要綱というものをつくっていきたいということで、目下検討中でございます。いろいろの問題点がありますけれども、できるだけ早期に制定してまいりたいと考えております。
 次に、林業についてであります。
 県土の七七%を占める森林は、県民の一人一人にとって非常にかけがえのない財産でございまして、これを守り育てることは県政の重要な課題であろうと思っております。
 お話にございましたように、林業は今大変厳しい状況下にございまして、社会経済の大きなうねりの中で、今までの形態で対応していくだけでは困難な時代となってきておると思います。
 先般、全国知事会でも深刻な問題として提起されておりますが、本県といたしましては、これまで培われてきた全国有数の森林資源──全国第四位だと思いますけれども、それを有効に利活用するという広範囲な取り組みの中、森林というものの価値を再認識し、木のある潤い社会づくり、あるいは働きがいのある新しい林業への誘導、また触れ合いと安らぎのある森林づくりを基本として、生産対策や流通加工対策、さらに県産材利用拡大対策等、木材の安定供給体制の一層の強化を図るとともに担い手の確保に努めまして、川下から川上に向けて林業生産の活性化が図られるような方策に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 具体的な事項につきましては、農林水産部長から詳細お答えをいたしたいと思います。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 木下善之議員にお答えをいたします。
 産業廃棄物についてのご質問のうち、処理場のその後の稼働に対する指導についてでございますが、ご指摘の産業廃棄物焼却炉について、焼却炉の改善、ハエ対策、廃棄物の搬入中断の三点を指導してまいりましたが、その後、七月以降にもコンクリート殻や木くず、紙くずを搬入したことが確認されましたので、より厳しい対応として、九月十日に廃棄物処理法に基づく改善命令を行ったところでございます。その後、廃棄物の搬入中止、午後五時以降の焼却炉への投入禁止については、命令が遵守されている状況にございます。また、燃え殻は場内に保管中であります。
 大気・水質調査についてでございますが、七月十五日に県が実施した大気の排出濃度測定結果は、一立方メートル当たり、ばいじん〇・三一から〇・三九グラム、塩化水素〇・〇九から〇・二三グラムであり、いずれも大気汚染防止法に基づく排出基準値以下でございました。今後とも県の立ち会いの上、事業者に大気・水質の検査を随時させてまいる考えでございます。
 次に、当分の間、常駐し適切な指導をすることについてのご質問でございます。
 日常的な監視につきましては、高野口保健所に一層の監視強化を指示したところであり、地域環境課からも再々職員を派遣し、早朝の監視を行うとともに、保健所が随時夜間の巡回を実施しているところでございます。また、立入調査により、たびたび現地指導を実施してございます。
 なお、地元橋本市に対しましても、改善命令の履行状況を確認する意味から、今後の監視指導について協力を依頼いたしたところでございます。
 次に、一日も早く撤去するようにとのご質問でございますが、現在保管中の廃棄物を早期に解消するよう指導しているところであります。
 ご指摘の、保管廃棄物の処理を終了した後、業者を退去させるということは法的に困難でありますが、今後とも生活環境の保全に支障がないよう、監視指導を行う考えでございます。
 なお、過日の改善命令によって新規の搬入をストップさせておりますが、再開については慎重に判断してまいる所存でございます。
 次に、紀の川左岸の摘発後の搬入についてでございます。
 本年八月に廃棄物処理法違反で県警の摘発を受けた業者に対しまして、八月二十三日、産業廃棄物の搬入中止、野焼きの禁止、摘発後に搬入した産業廃棄物の撤去、山林への復元の四点を内容とした改善を命じてございます。命令を履行させるため、高野口保健所は再三にわたり、また地域環境課においても随時職員を派遣し、現地調査と指導を行っているところでございます。
 現在、山林復元のための土砂を搬入しておりますが、産業廃棄物の搬入はございません。特に九月二十一日から二十三日にかけては、職員を派遣し、状況を確認いたしてございます。
 なお、保健所の巡回調査の結果では、野焼きは行われてございません。また、摘発後に搬入した木くず等の廃棄物については、九月四日に保健所が立ち会いの上、撤去させてございます。
 最後に、産業廃棄物行政に関する保健所の役割と権限についてでございますが、許可申請の一次審査、受理及び進達、苦情処理等住民との窓口業務、工場や事業場への立入調査と現地指導が主なものでございます。
 環境衛生行政の第一線として、本庁とも協調しながら努力しているところでございますが、産業廃棄物問題は大変難しいテーマであり、トラブルやクレームが多いのも事実でございます。今後、組織や機能について検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 林業関係についてのご質問でございますが、まず、担い手の確保については非常に重要な課題であると認識してございます。
 認定林業者制度につきましては、国において、林業経営者が立てる改善計画に対し、資金の貸し付けや課税の特例などの優遇措置を講じる制度が具体化に向けて検討されているところでございます。今後、県といたしましても、この制度の促進とともに、こうした制度を活用して中核経営者の育成に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に林業指導士制度でございますが、林業経営や後継者の育成など、地域の模範となる指導林家や基幹的林業技能者としてのグリーンワーカー、また伝統的林業技術を誇る人に授与する森林匠賞などの制度に取り組んでいるところでございます。今後、充実した地域活動が展開できるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 次に労働銀行でございますが、林業と農業の仕事をうまく組み合わせて就業者の所得の安定につなげるため、県単独で本年度、農林業相互支援ふるさと活性化確立事業を創設し、現在、森林組合や農協とシステムづくりについて協議を重ねているところでございまして、将来、労働銀行的な役割が果たせるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 また、求人情報についてでございますが、新たな林業への就業者、山村への定着者を広く募るため、森林組合において求人情報誌等を活用して都市部に人材を求めることを行っており、こうした情報のネットワーク化についても進めてまいりたいと考えてございます。
 次に林道網の整備による生産コストの低減でございますが、県においては、林家の経営に密着した路網整備に努めているところでございます。
 本県の林内道路密度は、平成七年度末でヘクタール当たり十八・三メートルでございまして、県の目標林内道路密度二十・六メートルに向けて計画的に整備を進めているところでございます。
 また一方、これまで作業道を四百九十三キロメートル開設してございまして、これに加えるとヘクタール当たり二十・五メートルとなり、森林整備には相当の効果を発揮しているところでございます。今後とも、作業道の整備を含めた林道網の体系整備になお一層努めてまいる所存でございます。
 次に木材の需要拡大でございますが、他県産材に負けない銘柄づくりは大変重要なことと考えてございます。しかしながら、昨今、住宅に対する国民のニーズが大きく変化し、住宅部材である木材の価値観は、無節材に代表される見かけの美しさよりも強度を中心とした性能が重視されるとともに、大手住宅メーカーのシェア拡大に伴い、受注ロットが大型化してきてございます。このため、良材生産は今後とも必要ではございますが、あわせて本県独自の規格づくりを進めるとともに、業界における自主的な性能チェック体制の確立、納材時における協力体制を積極的に推進し、良質の木材が明瞭な価格で必要量そろえられる紀州材の産地ブランドづくりに取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、公共施設における木材使用につきましては、農林水産部関係の施設はもちろんのこと、他部局にかかわる事業についても、木造化、内装木質化を進めるため、庁内連絡体制をさらに充実させてまいりたいと考えてございます。
 次に、紀の川左岸農道の現況と延伸についてでございます。
 紀の川左岸地区は平成三年度、紀の川左岸二期地区は平成五年度から着手しておりまして、その進捗率は平成七年度末で三八%となっております。平成八年度には六億一千七百万円の事業費で工事を進めているところでございます。今後も、関係者の協力を得ながら早期完成に努めてまいります。
 次に、紀の川左岸広域農道を恋野農免道路まで延伸する計画でございますが、広域農道での延伸は、受益面積や経済効果、道路協議等、課題も多く、非常に厳しい状況にございます。
 議員ご提言の延伸につきましては、ひとまず国道三百七十一号までできないかということについて関係機関とも協議を重ね、実現に向けた方策を検討しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学校施設への木材使用についてお答えいたします。
 学校にふさわしい温かみと潤いのある環境づくりのためにも、木材を使用することは意義あることと考えております。こうした観点から、最近では小中学校で三校が木造校舎を建築しております。また、鉄筋校舎の建築に当たっても、より良好な教育環境づくりのため、床板、腰壁などの内部仕上げ材にできる限り木材を使用してきております。
 ご承知のとおり木造校舎は、災害時における安全の確保や校地の有効利用、維持管理、耐用年数等、種々の問題点も含んでございますが、今後とも木材の使用についてより一層の工夫を加えるとともに、市町村教育委員会に対しても、その使用促進について周知徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 2番木下善之君。
○木下善之君 少し要望を申し上げておきたいと思います。
 産業廃棄物問題につきましては、胸のすくようなご答弁をなかなかいただけなかったわけでございます。それだけに法の壁というものもあって大変難しいものであろうと、改めて痛感をしておるわけでございます。
 しかしながら、地元といたしましては、人間に多大の被害を与えているところの産業廃棄物の焼却炉を一日も早く撤去していただきたいということでございます。二十五日付でございましたが、朝日新聞にも、近くの団地で撤去を決議する旨の緊急集会がなされたやに聞いております。
 そういうことから、ひとつ一日も早くこの早期撤去を願いたいのでございますが、それまでの間の問題として、末端の組織について少し要望申し上げておきたいと思います。
 特に今後、そうした地域環境の保全という問題は保健所から県事務所の方へ移行できないものか。例えば、県事務所に新しく仮称「環境整備課」等の新設を進めていって、その中において産業廃棄物を取り扱う窓口を設けるとか、お話もございましたけれども、そうした組織の面を要望しておきます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下善之君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十四分休憩
  ─────────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。
 まず最初に、関空第二期工事と県の対応についてということで質問をさせていただきます。
 関西新空港の第二期工事が始まろうといたしておりますが、最初、関空建設を迎えたころ、空港の開港は実に色とりどりにバラ色に描かれてまいりました。和歌山市は世界に最も近い都市となり、あらゆる情報の発信の基地となり、コスモパーク加太には世界の要人が集まるコンベンションホールが建ち、そのほかたくさんの建物がにぎやかに建ち等々、さまざまな夢が描かれてまいりました。関空開港によるインパクトを積極的に受けとめ、それに適切に対応することによって和歌山県の県勢を経済的にも文化的にも高揚させていこうという努力は当然必要なことでありますが、その前宣伝が余りにも壮大であり過ぎたのでしょうか、今のところ余り関空効果というものは見出せないのが現実であります。
 幾つかの調査によりましても、思ったような効果は見出せていないとか、中小業者の売り上げがこれでふえたわけではないとか、一部にうれしいことがあったかもしれないが和歌山全体を潤すようなものでもないとか、そういうような、必ずしも喜ばしい状況でないニュースも伝わってまいりました。失望さえ感じさせる状況も一方にはなきにしもあらずという状態であります。
 県当局は、関西国際空港が建設されたことによる県益を現在どのようにとらえており、それを迎えようとしておられますか。バブル崩壊後、経済情勢は、当然の帰結ではありますが、長期にわたる低迷を続けております。あるいはまた、空港開港後まだ幾年もたっていないということもありまして、予期した成果をまだ得ていないという側面もあるでしょうが、事前に宣伝された関空効果に比して、余りにもその「効」の少なさに今後の期待をも余り抱かせない気配さえあるわけであります。
 交通機関が発達すること自体は歓迎すべきことでありますが、そのことに法外な夢を託すことは行政を誤らせるもとでもあります。その一つの典型がコスモパークの状況であろうかと思いますが、県当局においては関空全体構想と和歌山県勢発展をどのように展望されておりますか。昨日の質問にもお答えがありましたが、いま一度重ねてお答えをいただきたいと思います。単に希望的展望ではなく、現実的なシビアな見方として一体我々は関空をどう迎えるべきか、そういう点をお尋ねしたいと思います。
 次に、空港建設にかかわる資金負担の問題でお尋ねをいたします。
 国際空港の建設は本来、当然のことでありますが、国の事業であります。しかし現実には、一期事業では建設に必要な資金の負担割合は国が二に対して地方が一、二対一という割合で進められ、さらに別枠として土砂採取事業で大きな負担が求められました。和歌山県も五十億円以上負担いたしましたが、これは県の財政力から言えば決して小さなものではなかったはずであります。その上、土砂採取事業では千百五十七億円をかけて採取した土砂を八百三十四億円で関空に売り渡す、約三百二十億円安く関空に提供するというふうに、別枠のところで大変な負担を強いられてまいりました。採取地の土地代を考えれば四百億円をはるかに超えます。大変な負担であったわけです。
 今度はどうか。二期事業は一期よりも事業の規模が大きいということで全体の枠そのものも大きくなっており、その分、地方負担も大きくなってきています。全体の工費は上物、下物も合わせ一兆五千六百億円と巨大なものですが、下物の一兆一千四百億円のうち無利子資金の六千二百七十億円、そのうち地方公共団体の負担は二千九十億円という極めて巨額のものになっております。このように、本来国の事業であるべきはずの空港建設事業がなし崩し的に地方負担を増大させていることに対して当局はどのような見解をお持ちですか。
 さらに、事業の進行の途上で負担がさらに大きく求められる可能性があります。一期事業にあっては、埋め立てた土砂の重みで地盤沈下が起こり、それに伴って土砂の必要量がふえ、一期工事では埋め立ての土量が千七百万立方メートル増加して工期は一年半延期され、その結果、当初一兆円の事業費が一兆四千三百億円に膨れ上がりました。その結果、地方負担額は当初の一千六十億円がほぼ自動的に千四百三十億円に膨らんでまいりました。二期事業についてもまた同じようなことが予想されるわけであります。本来国の事業であるはずの空港建設費用が、地方負担としてまた自動的に地方に転嫁されてくる可能性があります。関西国際空港の竹内前社長によりますと、地盤沈下を完全に予測することは不可能だ、一億数千トンの土を捨てるのだからどれだけ沈むかは机上や実験室ではわからない、と言っています。埋立事業費の増加ということが予想されますが、一期と同じ形で進めばまたまた地方負担の増大ということになります。
 このように、あたかも当然のごとく負担を地方に転嫁してくることは決して好ましいことではないと思います。そのような事態に至ったとき、県としてはどのように対処するつもりですか。国の責任は責任として明確に対処すべきだと思いますが、いががでしょうか。
 次に、同じく資金負担の問題で、地方自治体と財界との関係です。今期事業の資金負担の割合が一期と比べて大きく異なっている点は、地元負担における地方公共団体と民間財界の比率の問題です。ご承知のとおり、一期では地元負担は地元自治体と民間が半分ずつ負担をいたしました。事業量が途中でふえたときは、それをも地方公共団体と民間が折半し、分担をしたわけです。ところが二期事業では、地元負担というのは、上物では民間も入るが、下物──この下物の方がはるかに事業費は大きいのですが──は、地元負担分はすべて地方公共団体持ちということになっております。この分だけ地方自治体の負担割合が高くなっています。もともと地方負担が大きいということ自体が問題ですから、その負担について自治体と財界との比率をどうするかということは二次的な問題でありますが、地方公共団体の負担が高くなるという仕組みは、それを預かる者にとっては迷惑な仕組みであります。このような負担割合は今後の事業費増加に当たって是正さすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 さて、二期事業に当たり、和歌山県もまた二億五千万立方メートルの土砂の約三分の一、八千万から八千五百万立方メートルの土砂を求められたということであります。関係当局はこの要請に対して積極的に対応していくということでありますが、土取り事業と言えば一期事業の深刻な経験があります。和歌山市加太の土砂採取地が余りにも広大で、かつそのまま赤肌をさらしていますから、土砂採取と言えばいやが上にもこの一期事業を振り返らざるを得ません。
 土砂採取跡地利用の件については本議会でも再三論議されたところであり、県当局も苦労されていることでありましょうから、あえてその点に触れることはいたしませんが、その土砂採取価格と売り渡し価格についてはさらに十分の論議と総括を行うべきだと考えます。土地購入費等を除いた事業費が千百五十七億円、関空株式会社への売り渡し価格が八百八十三億円、その差額は三百二十三億円、莫大な赤字でありました。なぜこんな安い値段で売らなければならなかったのか。バブル崩壊を予測できなかった責任のすべてを当局に求めるのは酷だとは思いますが、跡地売却で穴埋めができるとの判断はやはり安易であったと言われても仕方のないことであります。土取り跡地対策、土砂売り渡し価格、公社に事業を持たせたという手法等々、一期事業に絡んで多く反省し学ぶべき点があろうと思われますが、何をどう反省し教訓としようとしているか、お示しいただきたいと思います。
 さて、いよいよ次期の事業に入っていくわけですが、土砂採取地をどこに求めておられますか。加太が候補地と表明もありましたが、決定していればそこを選定した理由、未定の場合は今後対象地を選定していく基準となるべき指標をお示しいただきたいと思います。
 大量の土砂採取は、当然のこととして自然破壊を伴います。自然と人間に対して最小限の影響にとどめなければなりませんが、その点は具体的にどのようにお考えになっておられますか。
 また、土砂採取の主体をどのように考えておられるか。一期工事では土地開発公社が当たりましたが、結果、目下県の一般財政から利子の補給をせざるを得ない状況になっています。大阪、兵庫、それぞれ別の手法が用いられました。いろいろ研究をされていると思われますが、いかがですか。
 報道によりますと、土砂採取予定地の和歌山市加太地区で土地買収に乗り出している大手建設会社など数社と第三セクター会社を設立して事業を進める方針を固めたとあります。事業主体としては民間委託、公社、県直接と幾つか考えられるところでしょうが、それぞれ一長一短があろうかと思います。第三セクターを選定した理由はどこにあるのか、あるいは土地買収を先行させている大手建設会社とは具体的にはどの企業であるのか。先行買収している土地を再買収するとなれば土砂価格の値上がりを招かないか、さまざまな懸念もあります。メリット・デメリットをいかにお考えになっているのか、お示しをいただきたいと思います。
 次に、土取り跡地の利用計画の展望をどのように持っておられるか、お尋ねをいたします。
 一期事業の跡地がそのままですから、新たな跡地利用計画などなかなかというところかもしれませんが、その展望なくしてはまた新たな荒れ地をつくり出し、自然破壊の見本をつくり出すことになります。一期では幾つかの大手企業の進出を当てにしていました。しかし、企業の論理は県の要求などはみじんも考慮されないということを身にしみて教えられたところでした。また、現在の経済状況では民間企業の進出なども考えにくい状況にもあります。とすれば、新たに生まれる跡地を一体どうするのか。何とかなるだろうということでは進めてもらいたくありません。一説には公共事業として活用するための国の援助の方策などとも言われているようでありますが、価格だけをとってみても国の事業への地方の血のにじむような厳しい協力です。跡地対策へ国の施策なり援助があってもしかるべきであります。そういう明確な堅実な展望を持っていないと、結局は成り行き任せになりかねません。三府県が共同してこの分野でも国の責任を明確にして責任を持たせるよう努力すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、造成会社への土砂の売り渡し価格についても、前回の轍を踏まぬように毅然たる態度で臨むべきだと思います。前回は土砂採取では大阪、兵庫よりも大きな負担を背負いました。跡地整備に関連する費用等も含め、絶対に原価割れすることのないように対応されたいと願うものであります。そういう点でも三府県の協調が求められます。同額の損失でも、大阪と和歌山では痛みが違います。土砂採取量がほぼ等しい状況の中で、課せられた仕事はその相対的な意味では和歌山は大阪などに比べて何倍も大きいわけです。そういう立場で三府県の協調を求め、価格を本当に適正なものに定めるようされたいと願うものであります。
 さて、関空関係の最後の質問として、関空から、飛行ルートが満杯になっているからとして関西国際空港の飛行経路の現状と問題点という報告がありました。この趣旨は、三点セットに基づく現行の経路により運用されておるが、もう三点セットでは運用できなくなってきたと言って、言外に三点セット見直しをしたいとしているものであります。騒音公害について今の協定を守るのは困難だという意思が相当率直な形で表明されているように思います。これでは全く話が違うわけで、この点を譲られては、それこそ末代まで悔いを残すことになるでしょう。こういう点はいかがお考えでございましょうか。
 続いて、殿山ダムに関連してお尋ねをいたします。
 平成二年九月の日置川流域の大災害の後、この議会で大江議員を筆頭にまことに熱のこもった議論が交わされたことを、私は議事録で拝見いたしました。この災害は人災である、県や関電は被災者に対して十分の償いをすべしという質問演説は、今読ませていただいても私どもに感動を呼ぶものであります。しかし、その後の事態は被災者や住民の思いとは必ずしも一致しない方向に進んでいるように見えます。
 殿山ダムの裁判の判決が下されて数カ月たち、県や関電は一切の被害賠償責任を免除され、当事者としては同慶の至りというところでしょうけれども、被災者はふんまんやる方なき思いで新たな運動を準備しているようであります。しかし、判決がまことに簡単に洪水被災者・原告の訴えをきれいさっぱり却下していることに、私は疑問を抱きました。このような行政を相手の裁判というのは、たとえ賠償責任は認めなくても、行政や企業への反省を促す一節が付記されるのが通常ですが、それすら見出せませんでした。私は裁判批判をいたすつもりはありませんが、県や関西電力がこの裁判によって法的責任を一審で免れたということは、同時に行政的責任、道義的責任をも免責されたこととはおのずから異なると思います。裁判記録や平成二年、三年当時の県議会議事録などを読みながら、その疑問を深くしたことでありますので、その形のままで質問をさせていただきます。
 まず、洪水とダムの関係です。
 ダム自体が欠陥ダムなのかどうか、私は専門家でありませんからわかりませんが、ダムと洪水に因果関係があるのではないかという思いは、さまざまな記録や証言によって感じます。「日置川町誌」に記載されている洪水記録で明らかにダム下流における洪水被害というのは、明治十四年から昭和三十一年までの七十五年間において五回程度発生しています。日置川流域全体ではもっと回数はふえますが、ダム設置場所より明らかに下流で浸水・洪水被害と限定すれば五回ほどです。すなわち、七十五年に五回、つまり十五年間に一回であります。ダムが稼働し始めた昭和三十二年からの三十四年間には八回で、四年に一回であります。明らかに、ダム建設以降、浸水の頻度が非常に高くなっています。このような単純な事実を見ても、ダム下流の浸水被害との間には因果関係があるのではないかと思われます。その因果関係への県や関電の対応の仕方が法的に妥当であったかどうかは司法で争うところでありましょうから私はここでは問いませんが、何らかの因果関係のあるということを推測されておると思います。
 平成二年の九月議会において議員の質問に答え、今回の被災は非常に勢力の強い台風十九号の直撃により発生したものであり、関西電力殿山ダムとの関係については十分に調査を行い対応していくというような趣旨の答弁がなされております。ダムの存在と洪水・浸水被害をどう考えておられるか。単に雨がたくさん降ったから被害が出たのだという結論なのか。十分調査されたと思われますので、お示しをいただきたいと思います。
 次に、平成三年九月、洪水被害があって一年後でありますが、殿山ダムの操作規程が改定されました。恐らく前年の災害の総括の上に立ち、関電と県が合意の上で行われた改定であります。改定の内容は、ダムの水位が標高百十七メートルで予備放流を行うとしていたものを、大規模出水が予想されるときの基準として百十四メートルと三メートル下げる、水位計で言えば十五メートルを十二メートルに下げるというものです。洪水被害を少しでも少なくしようとしたあらわれとして評価するものでありますが、逆に読めば、今までの百十七メートルという予備放流の水位が高過ぎたのではないか。この規程が平成二年の洪水を引き起こした要因の一つ──すべてではないと思いますが──になっているのではないかと疑問を改めて抱くものであります。恐らく、より災害を少なくするための善意の改定であるとお答えされるのではないかと思いますが、それだけの説明では腑に落ちません。仮にこの規程が一年前に正しく運用されていれば平成二年の洪水被害は大きく軽減されていたのではないかと推測し、まことに残念な思いをいたすものであります。
 裁判の中での論争は、予備放流の水位も正しく設定されており、その運用も正しく、何一つ違法な点はないと裁判の結論は断じています。私は裁判の結論を論評いたしませんが、しかし行政に携わる方々は、単に違法でないという言葉でもってみずからの責務を判断すべきではないと思うのであります。大規模出水時の予備放流の水位を災害の翌年早々と改定したというところに行政と関電の、当然のことですが、良心の痛みと責任を読み取るものであります。操作規程を改定した理由とその効能、及びその各項が前年の台風時に適用されていたら洪水被害を軽減し得たのではなかったか、お答えをいただきたいと思います。
 この水害のあった当日、操作規程に基づく予備放流が実際には行われていなかったのではないか、関電と県が提出した水位の記録は実際目視した住民との観測と余りにも違い過ぎている、関電や県の資料は改ざんされたものではないかという法廷での論争がありました。判決は改ざんの余地などはないと原告の主張を否定したもので、私はこの判決に対しても、改ざんの余地はないとした結論が何ら明白な論証を伴っていないことに大きな疑問を持つものでありますが、この点についてもこれ以上は触れません。
 お尋ねしたいのは、住民のこのような訴えに対する県当局の行政姿勢であります。関電と県とが予備放流によって河川の水位は上がっているとして水位計の記録を示したことに対し、それほどまでに水位は上がっていなかった、県の示した水位と実際は異なっているという証言があります。それも一人や二人ではなく、その数は二百名にも上っており、大半の方々がそれに署名し押印し、印鑑証明まで添付しています。
 関電と県の発表が正しいのか、住民の証言が正しいのか。互いに法廷で争っている当事者が──これが単に民と民であれば裁きは法廷に任せればよいと思います。しかし、二百人の証言が誤りだと指摘しているのは県と関電の記録であります。県はこの洪水被害の原因の真実を客観的に究明していくと同時に、みずからの確信があれば行政の正当性を主張するとともに、被災者の立場に立ってもその原因を正しく究明する姿勢が求められるのであります。民と民との争いと、そこが異なっていると思います。二百人の証言は果たしてすべてが誤りなのだろうか、なぜ印鑑証明まで添えて県の発表を誤りとするのだろうか、当然そういう疑問もわくはずです。住民生活の守り手である行政ならば、その証言の真偽を調査し、みずから提示した計測資料と比較検討するということぐらいはあってしかるべきでしょう。そういう立場から証言を調査したことがありますか。二百人の証言は年月の経過の中で風化しかけた記憶から引き出したものである、そういうような思いもあるのかもしれません。しかし、実に明瞭な生々しいものもあります。十把一からげにして信じられないものとして無視するとすれば、住民の守り手としての行政の態度ではないでしょう。現在、これらの証言をどう評価されておりますか、お尋ねをいたします。
 住民が関西電力に被害補償の交渉に赴いた際、関西電力本社の用地課長の原陽三氏は、昭和三十三年の水害から三十年以上もたっている、この間に県が河川や道路を整備しておればこんな災害はなかったはずだと、陳情者に明言したそうであります。このとき、その文言を文書にされたいと要望したところ、それだけはどうかご勘弁をと文書にはならなかったそうですが、関電の態度の道義的姿勢に対する評価はともかく、この文言についてどう評価されますか。行政は、治山治水のため、一本の河川のためにだけ予算を投ずることはできません。やりたくてもできない場合もあるでしょう。しかし、二門、三門の放流でも浸水被害が発生するという状況が明白な中では、しかも三十年という年月の経過の中で見れば、私は関電の用地課長の言辞はそれほど的外れではないようにも思いますが、いかがお考えでしょうか。
 法的には利水ダムの操作について河川管理者が指示することはできないとされているそうでありますが、河川管理者は下流住民の生命と財産を守るために責任を持たなければなりません。ダムを建設した企業を含め、それらの責任を負うということは当然のことだと考えます。今回の裁判の判決は県と関電の責任を問う原告の訴えを却下いたしました。しかし、それは法律的な責任はないということであって、冒頭にも申し上げましたように、その行政上の責任は、その程度にはいろいろあるでしょうが、責任が一切ないのだということは申せないと思います。
 そういう意味合いから、この災害に対して今後どうしていくかという以前の、三十三年水害以来、県としてはかくあるべきであったのだ、関電としてはかくあるべきであったのだという反省的な所感があるはずでありますが、お聞かせいただきたいと思います。
 災害は常に一〇〇%天災であるとか一〇〇%人災であるとかいうものではありません。巨大な人工の建造物によって川をせきとめた後に起こった災害に一〇〇%天災というものがあるというのは、恐らく考えられない常識だと思います。そういう立場で、県も関電も謙虚にみずからを振り返らなければなりません。損害補償には金がかかる、絶対それは認めたくない、そういう態度では県民は浮かばれません。そういう立場から再発防止のためにどのような対処をされてきたのか、さらに今後どういう対処をしていかれるつもりなのか、お示しをいただきたいと思います。
 災害発生時直後の議会においても既に議論の対象になっていた放流方式なども、抜本的に考えてみたらいかがですか。ダムそのものが欠陥ダムだとの議論もありますが、きょうはそのことは別に置きましても、利水ダムという性格上、常に一定量の水位を保ちたいというところから防災上最も危険な予備放流方式がこのダムには採用されています。しかし、洪水期にはその期間全般にわたり制限水位を設けて洪水に備えることができる制限水位方式を採用すれば、危険度は相当減殺することができるはずであります。下流住民の安全を図るということは無条件の任務であることを考えれば、それぐらいの措置があってもよいのではないでしょうか。
 また、下流住民への警報についても、操作規程ではクレストゲートからの放流一時間前、オリフィスゲートからの放流三十分前に警報を行うことになっておりますが、建設省の標準操作規程では一時間前としています。洪水に関係するのはクレストゲートではなくオリフィスゲートであることを考えれば、このゲートについても一時間前と設定し、住民の安全を図るべきだと考えるが、いかがでしょうか。
 最後に、日置川の町長を初め、たくさんの住民の皆さん方が関西電力に対して今もなお補償要求を粘り強く行っているところであります。県としても全面的にこの要求を支援すべきだと思われますが、いかがお考えでしょうか。
 以上で、第一問を終わります。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 まず、関西国際空港の効果の現在と将来についてということであります。
 関西国際空港は、二十一世紀の本県を展望し、長い将来にわたる本県の発展を図るための根幹的な事業であると考えてございます。県としては、これまで地域整備計画の推進を初め、空港立地の波及効果を県勢の活性化に活用するための取り組みを行ってまいりました。県全体で六十社を超える企業誘致等、所要の成果を上げてきたと思ってございます。また、県民の利便性向上の観点からしても、本県におけるパスポートの発行件数が全国平均を大幅に上回るペースで伸びてございまして、より多くの県民の皆さんに、容易に海外渡航をするなど関西国際空港立地の効果が顕在化しているものと考えてございます。
 今後、全体構想の推進を通じて関西国際空港が名実ともに国際ハブ空港となることにより、空港と至近の距離に位置する本県は、大阪湾環状道路あるいは太平洋新国土軸の整備と相まち、世界の人、物、情報が活発に行き交う地域として飛躍の可能性が非常に高まるものと考えてございます。県としては、関係市町村、経済界の皆様と協力をしながら、関西国際空港活用のための取り組みをこれまで以上に一層強化をしていきたいと考えてございます。
 また、関西国際空港の一期土取り事業のいわゆる評価ということでございます。
 本県の一期工事の土砂採取事業については、土地開発公社が事業主体となり、約六千五百万立米の土砂を短期間に、しかも大きな事故もなく搬出いたしましたことは、関西国際空港の一期工事に大いに貢献したものだと考えてございます。ただ、跡地利用については、経済情勢の変化があったとはいえ、県として大きな課題であると受けとめてございます。
 しかしながら、関西国際空港に近い広大な土地・コスモパーク加太は、紀淡連絡道路等を視野に入れた二十一世紀に向けた長期展望に立ちますと、ポテンシャルは高く、今後に期待が持てると私は考えております。今後、諸情勢の変化に柔軟に対応しながら計画の推進を図ってまいりたいと考えてございます。
 また、二期土砂採取事業の採取場所、事業主体、跡地計画、売り渡し単価等については、現在は関西国際空港用地造成会社の要請を受け、数年後に予定されている土砂搬出に向けて具体的な検討に入った段階でございます。今後、一期工事の経験、また反省点も踏まえ、事業主体、事業手法、あるいは環境問題、住民のコンセンサス、事業の採算性等を十分考慮して慎重に検討していきたいと考えてございます。目下のところ具体的にお答えする段階に至ってはおりませんので、ご了承をお願いしたいと思います。
 次に、殿山ダムに関連しての問題であります。
 台風十九号がもたらした異常な豪雨の出水によりまして、日置川水害訴訟を提起された方以外にも多くの方が被災をされ、この方々が関西電力と話し合いを進めていることは十分承知をしておりまして、この話し合いを見守っておるところでございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 鶴田議員のご質問にお答え申し上げます。
 関西国際空港の整備に伴う地方負担についてでございますが、関西国際空港は国際ハブ空港として我が国全体の社会資本であると同時に、地域社会の発展にとっても不可欠のプロジェクトであると認識しており、本県としても応分の財政負担を行うことは必要であると考えてございます。
 なお、国に対しては、地球規模での交流の時代を迎え、空港整備の重要性がますます高まっている中、今後とも引き続き、空港整備特別会計への一般財源の大幅な繰り入れ等による空港整備財源の一層の充実を要望してまいりたいと考えてございます。
 次に、事業の進行途上で事業費の増大により地元負担がふえるのではないかとのご質問についてでございますが、現在公表されている二期事業の事業費は一期の実績を踏まえて算出されたものでございまして、特に事業費の増減に影響を与えると考えられる地盤沈下についても非常に精度の高い予測がなされていると聞いており、地元負担がふえることはないと考えてございます。
 次に、地元負担に係る地方公共団体と財界との分担についてでございますが、上物の空港施設については一期事業における民間活力導入の成果を生かして全額民間が負担し、用地造成については空港の基盤部分でありかつ国土の創造という観点を踏まえて地方公共団体が負担することとなったものであり、今後とも二期事業が円滑に推進されるよう、それぞれの立場から協力していくべきだと考えてございます。
 次に、関西国際空港の飛行経路については、昭和五十六年に提示された三点セットの空港計画案に示された飛行経路に基づき運用されているところでございます。去る七月二十三日に運輸省からの関西国際空港における飛行経路の現状と問題点についての説明は、三点セット策定当時の予測を上回る急激な便数の増加とともに現行経路の問題点が顕在化し、今後の増便等が困難となってきている状況について、地元関係府県の理解を得るためになされたものでございます。
 本県としては、航空機の騒音による障害が居住地域に及ばないこととした三点セットの基本的な考え方が堅持されることが原則であると考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員のご質問にお答えします。
 関西電力殿山ダム損害賠償請求訴訟については、平成八年五月三十一日に大阪地方裁判所において原告側の請求が全面棄却されたところであります。なお、原告側はこの判決を不服として、平成八年六月十三日に大阪高等裁判所において控訴したところであり、現在公判中であります。
 ダムと洪水の因果関係については、殿山ダムは発電を目的とした利水ダムであり、ダムの管理は河川の従前の機能の維持を基本とする操作規程に基づいており、適正な管理が行われている限り洪水を誘発したり増大させることはないと考えております。
 ダム操作規程との関係については、殿山ダムは利水専用ダムであり洪水調節の責務を負うものではなく、河川法に定める河川の従前の機能の維持を果たすことをもって足るものであります。殿山ダムの操作規程は、この趣旨に基づいて適正に策定されているものであります。規程の改定については、管理の実務を容易にするためのものと理解しております。
 被災住民への対応についてのご質問ですが、控訴審において公判中であり、原告の方々の証言の真偽は司法の判断によりなされるものと考えます。
 被災に対する県行政の対応についてのご質問ですが、県としては、従来から実施している日置川の河川改修を今後とも関係者のご理解、ご協力を得て進めてまいりたいと考えております。
 再発防止への暫定対策ですが、県としては、殿山ダムは予備放流方式で適正な管理が十分可能であり、殿山ダムの操作規程は河川管理上問題となるような点はないと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 34番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 空港建設問題について、要望と一点の質問をさせていただきたいと思います。
 地方の負担の問題です。これについては応分の負担ということの限度の問題でもあろうかと思いますが、先ほど第一問のところでも申し上げましたように、やはり国際空港の建設の責任は明らかに国にあるわけで、二対一という割合そのものが一つの大きな問題だと思います。さらにその上に土砂採取でまさに莫大な負担をしておるわけですから、これ以上の負担を安易に受けてくるようでは、本来の国の責任がどんどん地方へ転嫁されてくることになると思いますので、こういう点では毅然とした態度をもって臨んでいただきたいという要望をしておきたいと思います。
 さらに、土取り跡地の問題です。コスモパーク加太の問題も、このまま放置されるとどこまで赤字累積の種になるのかと、まことに心配をするわけですが、二期工事をしますと新たな跡地が出てくるわけです。そこをどう利用するかということについては、単に地方に任すということだけではなくて、国の空港のためにできた土砂採取の跡地であるわけですから、その利用について国の方も十分な援助を地方にすべきだと思うんです。後はもう何もかも地方がふいておけというようなことでは、たまったもんじゃないと思うんです。したがって、これについては国の責任も明確にさすべきだと思うのですが、いかがお考えでしょうか、ご答弁を願いたいと思います。
 次に、殿山ダムの問題です。
 ダムの建設と災害とに因果関係がないか、再三起こる災害はダムに起因するのではないかという質問をしたら、ダムは操作規程に基づいて適正な管理が行われておる、操作規程は適正に定められておるというだけの答弁でした。これだけでは答弁にはなっていないと思うんです。
 平成二年のこの議会の中での論議で、このような答弁が当局からされております。事態の対応については現地の実態に即した科学的な解析に基づくことが必要であり、十分な調査検討が不可欠であるとされておるわけです。そういう立場でこの因果関係について十分な調査検討を行ったのかどうか、解析を行ったのかどうか、そういう立場からこの因果関係についてどういう考えを持っているのかを示していただきたい、こういう質問でありますので、再度お願いをいたします。
 それから、殿山ダムは利水専用のダムであって洪水調節の責務を負うものではない──これは法律にも明確になっている問題でありますが、そのような法律のもとで、ダムの放水による災害の可能性が指摘されておるわけです。少なくとも住民の皆さん方からは、そう指摘されているわけです。行政はもっと住民サイドに立って、このことに対処すべきだと思うんです。関電に洪水調節の責務がないということだけでは、関西電力は完全に免罪されてしまって、その下流の住民に対する災害については一体だれが責任を持つのか、ここが少しも明確ではありません。たまったもんじゃないと思うんです。
 こういう点で、放流による洪水は関電と県によって絶対に起こさせないという態度を具体的な施策をもってお示しいただかなければならないと思うんですが、いかがでしょうか。
 次に、県や関電の提示した放水についての資料が改ざんされたものではないかというような指摘が住民の中から起こっておりまして、非常に生々しい証言がたくさんあります。ここでもご紹介をしたいと思うんですが──時間がありませんが──放流があれば水が濁るはずだ、アユ釣りはできないはずだ、計測器が家の前にあって、自分は気になってしょっちゅうそれと水位とを見比べていたんだと、こういう証言があるわけです。こういう証言があるときに、単にこれは裁判で決着をつけるんだというような言葉が、果たして行政の立場で言えるんだろうかと。私は非常に疑問に思うんです。行政は現在の段階で被告という立場にはあります。しかし、そういう以前に、行政として住民を守るんだという立場があるはずであります。そういう立場に立てば、法廷で決着をつけようというようなことではなくて、その証言される方々に一体事態は本当はどうであったのかということを真剣に聞いていく、それが本来の行政の姿じゃないのかと私は思うんです。当局は、自分たちの仕事には当然確信はあるんでしょう。それはそれとしても、果たしてそれに間違いはなかったのだろうかと、二百人の証言と照らし合わせて自分たちの行政を振り返り、住民の要望に向けられるような態度をとるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
 それから、次は要望ですが、知事にお願いいたします。
 たくさんの方々が関西電力に対して要望を数年にわたって粘り強く続けておられます。無理な要望ではないと思うんです。見守るということではなくて、積極的に理解を示して積極的に支援をされると。知事という立場にあって非常に難しい問題はあろうかと思いますけれども、そういう立場で住民の願いが成就するように助力をされるべきだと思いますので、この点についてはお願いをして、質問にかえます。
○副議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員の再質問にお答えをいたします。
 土取り跡地の活用について国の支援をということであります。
 一期事業については、私もたびたび国あるいは関係の公団にも要請に行った経過がございます。二期についてはまだ検討段階でありますので、しかし必要に応じて国なり公団にも要請をしてまいりたいと思っております。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 殿山ダムに関して、調査の問題がございました。これについては、平成二年九月の出水時の殿山ダムの操作は操作規程に従った適正なものであるということで、このことは京都大学の先生に依頼した解析により確認されております。
 それから、ダムによる洪水を絶対起こさせない態度を具体的な施策によりというご質問でございますが、県としては、毎年、全県下でダム管理演習を実施しており、殿山ダムについても演習の操作等が適正に行われたか、確認を行っております。
 三つ目の被災住民の方々への対応ということでございますが、先ほど申し上げた繰り返しになりますけれども、控訴審において公判中でありますので、原告の方々の証言の真偽は司法の判断によりなされるというふうに考えております。
 最後に、住民の方々の財産とか利益を守るという行政の立場はどうなのかということでございますが、県としては、先ほども申し上げましたが、沿線の洪水被害の軽減を図るという目的のために日置川の河川改修を促進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 鶴田議員に申し上げます。所定の時間でございます。
 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番井出益弘君。
 〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 三日目の最終の質問ともなりますと、既に先輩・同僚の皆さんがいろいろご質問されて、重複する点も少しあるかと思いますけれども、いましばらくご清聴をお願いいたします。
 今回は、大きく分けて四点ばかり質問させていただくわけですけれども、まず第一に道路及び地域交通問題についてお尋ねします。
 第二阪和国道の進捗状況と今後の取り組みについて。
 道路については、建設省所管の道路、農林水産省所管の農道及び林道、運輸省所管の臨港道路がありますが、道路の管理については、高速自動車国道にあっては建設大臣が管理し、一般国道にあっては、都道府県知事または政令指定都市の長が行うこととされている小規模な新設・改築の工事及び指定区間外維持・修繕を除き、原則として建設大臣が管理する、都道府県道にあってはその路線のある都道府県または政令指定都市が、市町村道にあってはその路線のある市町村が管理することとされています。
 高速道路については、関係者のご尽力も実り、御坊市まで開通しました。和歌山市紀の川北岸地域は、この高速道路を利用する場合、紀の川を渡り栗栖のインターチェンジまで行く必要があるため、第二阪和・新南海橋が未完成の現在、これも和歌山市内中心部の交通停滞を起こしている原因の一つでもあります。
 新南海橋については、私も何回も質問をさせていただく間に、これは「難解橋」だなと。完成の暁には名称を変えたらどうかと言われるようなお話もあるぐらいに大変難しいというか、何十年もかかってきた橋でありますけれども。
 関西新空港開港における和歌山県、そして県都和歌山市の飛躍発展の期待と願いは、県民の身近な夢として胸膨らむ思いの近年であります。しかし、何といっても基幹道路である第二阪和国道の南伸工事が阪南でストップしている現状を考えるとき、和歌山側からも第二阪和国道工事に着手し、和歌山側より大阪に向かって工事を進める手段、つまり和歌山北バイパス道路計画を早期に完成し、第二阪和国道の早期開通を図りたいものであります。平成十四年に和歌山北バイパス・新南海橋が開通すべく計画されているのは周知のことでありますが、一年でも一カ月でも早く開通させたいということから考えますと、その進捗状況はいかに進んでいるのか、確認の意味も含めて質問をいたします。
 特に、鉄道高架についてはJR西日本に協力をお願いする必要があるため、運輸省も含めて陳情活動をしてきましたが、JR西日本に具体的な協力を取りつけたようにも聞き及んでいるところであります。物理的に考えますと、今年度からでも工事に事業着手しなくてはならないわけであります。具体的に進捗状況をお聞かせください。
 次に、公共事業の推進のために、今回は三点についてお尋ねします。
 まず第一番に、地籍事業の進捗についてであります。
 地籍調査事業については昨日神出議員も要望されておりましたが、国土調査法に基づく地籍調査事業は、一筆ごとの土地について、その所有者、地番、地目の調査並びに境界及び地籍(面積)に関する測量を行い、その成果(地籍簿・地籍図)を登記所に送付することにより登記簿の表題部の記載が変更され、公図にかわり地籍図が不動産登記法第十七条に規定する法務局備えつけの地図となります。これにより県民の財産の保全等が図られるとともに、公共事業の計画、用地買収の促進等、行政上においても広範囲に利活用されることになるものであります。
 平成七年度末の全国平均の地籍調査の進捗率は三九%ですが、本県における進捗率は五・二%で、全国第四十一位の状況であります。また、県庁所在地における全国の地籍調査事業の実施状況も六八%とかなり高い着手率となっていますが、本県和歌山市の取り組み状況等をお聞きいたします。
 また、本県の八割を占める山間部において過疎化、高齢化が急速に進んでいる現状の中で、土地の境界を確認することはますます困難になってくることが予想され、本事業の早急な着手が望まれていますが、県当局において地籍調査事業の推進に今後どのように取り組んでいくのか、ご答弁を願います。
 二番目に、都市計画の見直しについてであります。
 県都和歌山市の都市計画について、戦前の都市計画決定をしたままで、戦後、戦災の復興として家屋を再築した結果が都市計画どおりの町づくりとなっていない今日、神戸市のように、災害復興として現在の整合性ある都市計画として変更実施するものでも、実施可能なものとしなければならないため検討と変更を繰り返しながら実施しています。これを考えるときに、県都和歌山市の実施不可能に近い都市計画でも、法的には生きているため、当該地区に住む住民または当該地区に土地を持つ人は、「なぜここが風致地区なのか」、「戦災前は松林だったらしい」、「浜辺だったらしい」、また「昔は風光明媚な海岸だったため風致地区になっているらしい」──しかし、今は海岸を埋め立てられ、とても汚い風致地区状態になっている場所も、私の知っているだけでも多くあります。本当に都市計画を整然と進めていくためには、勇気を出して都市計画の変更を決断しなければならないと考えます。当局は和歌山市における都市計画の実態をいかに認識されているか、そして都市計画街路や市街化調整区域の見直しについて、やる気があるのかないのか、具体的な答弁を求めます。
 三番目に、土地の有効活用についてお聞きします。
 バブルの崩壊と言われるような土地の異常な高騰、そして下落。国としては、住専処理等、土地及び建物については日本経済の国際信用を保つ必要性を初め金融機関の倒産防止等でさまざまな論議をされていますが、結局、国の対応が実行されます。和歌山県下においても、このような影響下で多くの土地、建物が売買されました。
 その結果、和歌山市周辺にも、利用すればすばらしい土地なのに放置されている状態の土地が多くあります。中でも、市街化調整区域における農地が農業者以外に売買可能な土地とするため非農地化され、現在、有効利用されていない雑種地、資材を置いていない資材置き場、駐車場として使用されていない露天駐車場など、挙げれば限りのないほど多くの草木地があり、隣地の農業者から時々草刈りをしてほしいと市民相談室や耕地課、そして公害対策室にまで苦情や相談が多くあると聞いています。
 しかし、法的にはこの土地を農地に戻して使用するにしても一般的な建築物を建てるにしても大変難しいため、放置しているのが実態であります。これについては、責任の所在を明確に追及することも必要なことの一つかもしれませんが、この土地を何らかの方法をもって有効活用できる方策に取り組むことも、県経済活性化のために大変必要なことだと考えます。県当局の認識と今後の対応についてお聞かせ願います。
 大きい三番目の項目としまして、海と河川整備事業の諸問題について、これも今回は三点について意見を申し上げ、答弁を求めます。
 まず、紀の川及び河川敷の整備と美化について。これは、先日、東山議員もご質問されておりましたが、重複しない点について質問させていただきます。
 県都和歌山市を南北に二分する一級河川紀の川は、リゾート博のころを機会に河川敷を主として不法建築物撤去や不法係留の指導等がなされた結果、多くの公園やスポーツ広場が設置されてきています。プレジャーボートについても、県当局を初め関係者のご努力で係留施設が整備されてきております。このことについては、ご苦労の結果として改めて感謝を申し上げる次第であります。
 ところが、最近、河川の整備が進む中、紀の川大堰と海との間において漁業を営む漁師さんの集団・雑魚組合の組合員数十名のお話の中で、今まで紀の川で県知事の許可証もいただいて漁業をしている漁船なのに、置き場として許可された場所がないため、どこに係留してもほかへ移動しなさいと言われて困っているとのことであります。船が一日じゅう停泊しないで操業しているなら、つまり係留しなかったら問題がないようですが、係留をしたら違法係留となるようであります。紀の川河川敷の整備は、これらの雑魚組合の船舶係留施設についても、環境美化ととともに総合的に対策をしなければならない問題だと思います。当局の答弁を求めます。
 二番目に、漁港湾内の浄化についてであります。これは土木部とも関係がありますが、農林水産部長にご答弁を願います。
 漁港について、最近は大変整備されてきていると確認しています。また、防波堤や親水護岸についても、県当局の工夫や努力の効果が顕著に見られるものがあり、それについては知事を初め県議会の諸先輩、同僚の皆様のお取り組みの成果に敬意を表するものであります。
 さて、周辺が美化され整備されてきますと、最近、港湾内の汚れやよどみによる水温の上昇等による湾内魚介類の死亡や酸欠状態等が問題となってきております。湾内の海水について循環させるような改善をしている漁港が他府県にはあるようです。和歌山県内には、その必要性に迫られている漁港があると思います。今回は和歌浦漁港について、関係団体より強い要望があるようですので、その対応をお尋ねいたします。
 具体的には、まず漁港の水質保全の必要性、次に、現状を県として調査し掌握しているのか、三番目に今後の対策について、以上三点への県当局の取り組みについてお聞かせを願います。
 次に、港湾の整備、改修、改善についてであります。
 埋め立てや和歌山下津港湾等については、この議会におかれても木下秀男議員、それから永井議員からもご質問がありましたが、まず、公有水面埋立法等では、河川、海、湖、沼等の公有水面の埋め立てをしようとする者は都道府県知事の免許を受けなければならない、ただし、港湾区域内については都道府県知事の職権は港湾管理者が行うとなっています。埋立免許のうち政令で定めるものについては主務大臣──建設大臣、運輸大臣、漁港については農林水産大臣──の認可が必要であります。運輸大臣が指定する港湾で、その利用に著しく影響を及ぼすおそれのある埋め立ての免許──特定重要港湾や避難港の埋め立て、重要港湾における一ヘクタール以上の埋め立て等──や重要港湾にかかわる埋め立ては、港湾計画策定時に運輸大臣の審査を経ていることから重複審査となっています。重要港湾の埋め立てについては事前に当該港湾の港湾計画に位置づけられていることが必要であり、港湾計画の変更は埋立免許より長い期間を要すると言われております。
 重要港湾の港湾計画に位置づけられていない埋め立てが新たに必要となった場合、港湾計画の変更にすぐに着手できると仮定して単純に通算してみても、早くても二年、最も長い事例を通算した場合は八年に近い期間を必要としており、地域の主体的な地域づくりの支障となっているのが現状であります。
 和歌山県は県土の多くが海に面し、海上交通アクセスを考えるとき、港湾を整備できれば運輸基地や観光・リゾート基地としても大変恵まれた県となります。とりわけ、海上輸送は交通停滞もなく、近年は大型タンカーや高速艇などの開発実現により港湾基地機能を充実し、陸路と空路では持たない低コスト・大量輸送が可能となって、これらが基地周辺に及ぼす経済的波及効果も多く期待できます。
 特定重要港湾でもある和歌山下津港の青岸地区から内港地区にかけては、県が土地造成を行って企業誘致を進めたところでありますが、造成地前面の公共係留施設は老朽化とともに近年の貨物船の大型化に対応できなくなっており、背後に立地する企業の活動に少なからず支障を来してきている状態にあります。近年の規制緩和や円高等により、製品の直輸入が増大しております。現在の三百トンクラスの貨物船では輸送力不足となってきており、より大型の貨物船による輸送が可能となる施設の早期整備が背後の企業より切望されているところでございます。
 そこで、青岸地区から内港地区にかけて公共岸壁の改修、改善を早期に図るべきと考えますが、改修に当たっては最低でも三千トンクラスの貨物船に対応できる施設の整備が必要ではないかと思われます。県経済活性化のためにもぜひ必要と考え、対応をいかにとご質問する次第であります。
 今までの質問については関係部長からご答弁ということでありますが、最後に知事にお尋ねします。
 関西国際空港南ルートの必要性と鉄道交通アクセスの整備についてであります。
 以前、本会議において、前知事に関空への連絡交通アクセスとして現在の北端にある関空連絡橋一本だけでは施設として完全とは思えないので、関西国際空港南ルートの必要性について一般質問を行ったところ、仮谷前知事は、関空の一期工事が完成し、二期工事及び全体構想の進捗状況に合わせて県としてもその時期を見て取り組みを考えたい旨の答弁がありましたが、まさに今がその時期ではないかと考えます。新西口知事に、関西国際空港南ルートの建設について、その必要性の認識と今後の取り組みについてお尋ねをします。
 以上で、質問を終わります。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 井出議員にお答えをいたします。
 関西国際空港と連絡する南ルートの整備についてのお尋ねであります。
 代替ルートの確保、あるいは紀淡連絡道路など広域道路網との連携などの観点から、その必要性は十分認識をしておるところでございまして、二期事業着工のめどがついた昨年から政府要望等にも盛り込みまして、国に調査検討をお願いしている段階でございます。
 南ルートの具体化については、技術面、採算面等、さまざまな課題があろうかと存じますけれども、大阪府並びに関係市町村と連携を図りながら、引き続き国に働きかけてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 井出議員のご質問にお答え申し上げます。
 まず最初に、道路及び地域交通問題として第二阪和国道の進捗状況のご質問でございます。
 第二阪和国道でございますが、現在事業中の大谷から元寺町間二・二キロメートルの和歌山北バイパスについては、本年度の事業予算も大幅に増額されており、用地買収が鋭意進められているところでございます。八月末現在で面積比率にして約四〇%が契約済みとなっており、本年度から一部工事に着手するとともに、新南海橋につきましても平成九年度に下部工事に着手する予定と聞いております。
 また、鉄道高架については、和歌山市、建設省と協力して、現在JR西日本と高架化に伴う周辺整備及び負担金について調整を進めており、早期に協定締結を行えるよう取り組んでおります。県としても、この事業が早期に着手できるよう努力いたす所存であります。
 今後は、和歌山北バイパスが次期道路整備五カ年計画内にも供用できるよう国に強く働きかけてまいります。さらに、大谷から府県境までの二・五キロメートル及び大阪府側の岬町淡輪までの六・九キロメートルについても、大阪府と連携を図りながら、早期事業化に向け国に対して強く働きかけてまいります。
 次に、公共事業の推進のためにという中の都市計画の見直しについてでございます。
 都市計画法により位置づけられている市街化区域及び市街化調整区域──いわゆる「線引き」と申しますが──の見直しについては、昭和四十六年に決定をした後、ほぼ十年ごとに全体の見直しを行っており、最近では平成二年に第二回の見直しを行っております。次回の見直しですが、基礎調査を平成七年より開始しており、平成十二年を目標としております。
 次に、風致地区の見直しについては、当初の決定より長期間経過しておりまして、市街化の進展により状況が変化していることから、適切な見直しが必要と認識しております。見直しに当たっては都市全体の緑地計画との整合も必要でありますので、県としても和歌山市と協議をしながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 土地利用の有効活用についてでございます。
 本県においては、今年度から市街化調整区域内でのガソリンスタンド等の沿道サービス施設について立地要件を緩和しているところであります。今後とも、全国的な動向等を見ながら必要に応じて見直しを行ってまいりたいと考えております。
 なお、市街化調整区域内で、例えば周辺地域に居住している人の日常生活に必要な物品の販売店舗等、開発許可ができる要件もございます。ご指摘のような現状となっている土地についても、このような要件に照らし、開発の意向等、個々のケースに応じて指導してまいりたいと考えております。
 海と河川整備事業の諸問題ということで、紀の川及び河川敷の整備と美化についてでございます。
 河川区域内に係留している船舶については、公共水域を占用していることのみならず、洪水時に流水の疎通の障害となる可能性があり、河川管理者としては秩序ある河川管理のために適正な措置が必要であると考えております。現在、建設省、運輸省及び水産庁合同で水域に係る船舶の係留状況について実態調査を実施しており、その一環として和歌山県でも関係部局で調査しているところであり、河川区域内については漁船を含めた係留船の実態を調査することとしております。
 なお、紀の川本川の係留施設の設置については洪水対策上難しいと聞いております。県としても係留対策には苦慮しているところでございますけれども、関係各方面に河川外での係留・保管場所の確保を要請しつつ、治水上の安全性を確保する等の一定の要件のもとで河川区域内での係留施設の設置場所の適地がないか、調査を行っているところでございます。
 港湾の整備、改修、改善についてのご質問でございます。
 海域の埋め立てについては、海洋環境を保全する立場から、公有水面埋立法、港湾法、瀬戸内海環境保全特別措置法等に基づく厳正な審査が求められており、埋め立ての実施に際してある程度の審査期間を要することはやむを得ないことと考えております。
 和歌山下津港の青岸地区、内港地区の係留施設は、昭和三十年から四十年代にかけて、土地造成とあわせ、立地企業の原料、資材や製品の海上輸送施設として整備されたものであります。議員ご指摘のとおり、既存の公共施設の中には老朽化しているものもございます。しかしながら、公共岸壁は、その性格上、不特定多数の方々の利用を前提として整備しているものであります。したがいまして、特定の事業者からの機能増の要請であるならば、これは専用施設として設置することが原則とされております。
 ご指摘の公共岸壁の改修についても、既に企業者が隣接する西側護岸に独自で三千トン対応の専用ドルフィンを建設することで合意した経緯がございます。仮にその後の情勢の変化等で不特定多数の企業からより大型の公共係留施設整備の要請があるならば、そういう場合には施設の公共性に配慮しながら協議検討を進めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 井出議員のご質問にお答え申し上げます。
 地籍調査についてでありますが、平成八年度には二町村が新規に事業着手し、調査継続中の二十五市町村を加えると合計二十七市町村が地籍調査を実施中であります。完了、休止の三町を含めると三十市町村、六〇%の着手率となってございます。
 しかしながら、本事業の進捗率は、議員ご指摘のとおり全国平均を下回っている現状でございます。進捗率の向上を図るため、実施市町村の体制の強化、未着手市町村への啓発活動等、積極的に取り組む中、去る五月には未着手市町村担当課長会議を開催し、早期着手を重ねて促したところであります。また、平成五年度よりは県単独予算による事業も実施し、本事業の推進に取り組んでいるところであります。近年は地籍調査に対する市町村の関心も高まり、平成九年度には二町が実施に向けて準備中であり、平成十年度以降についても複数の市町村が検討中であります。
 和歌山市の現状でございますが、平成七年四月に都市計画課内に地籍調査班を設置し類似都市の状況を調査する等、現在事業着手に向けて準備中であり、近々着手されるものと考えてございます。
 今後、できるだけ早く県内全域の市町村が事業に着手し、なお一層本事業の推進が図られるよう積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 和歌浦漁港における浄化対策についてでございますが、当漁港の周辺は観光地であり、海洋性レクリエーションの盛んな地域であることから、水域を含めた周辺環境の保全を図ることが極めて重要でございます。
 漁港内では、生活排水、遊漁者の残餌、漁業活動など、複合的な要素によって水質の悪化が生じていると考えられます。したがいまして、水域環境保全の観点からも総合的な水質浄化に取り組む必要があると認識しております。
 このため、漁港内における水質、潮流などの調査を行い、水質浄化についての効果的な方策を検討するとともに、地元関係者の意向を踏まえつつ、その浄化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(下川俊樹君) 以上で、井出益弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は九月三十日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時三十二分散会

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