平成8年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成八年九月二十五日(水曜日)
     午前十時開議
 第一 議案第百八号から議案第百三十八号まで、及び報第六号(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百八号から議案第百三十八号まで、及び報第六号(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川   武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門   三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島   雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷   洋 一
 18 番 長 坂 隆 司
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 堀 本 隆 男
 21 番 宇治田 栄 蔵
 22 番 宗   正 彦
 23 番 橋 本   進
 24 番 井 谷   勲
 25 番 玉 置 公 良
 26 番 上 野 哲 弘
 27 番 東 山 昭 久
 28 番 尾 崎 要 二
 29 番 野見山   海
 30 番 木 下 秀 男
 31 番 町 田   亘
 32 番 中 山   豊
 33 番 山 下 直 也
 34 番 鶴 田 至 弘
 36 番 村 岡 キミ子
 37 番 新 田 和 弘
 38 番 平 越 孝 哉
 39 番 森 本 明 雄
 40 番 神 出 政 巳
 41 番 松 本 泰 造
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(一人)
 35 番 森   正 樹
説明のため出席した者
 知 事 西 口   勇
 副知事 山 下   茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西   悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
    山 本   昭
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 中 尾 公 彦
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
    若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
    谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島   光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊   孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田   繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第百八号から議案第百三十八号まで、及び報第六号】
 【日程第二 一般質問】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第百八号から議案第百三十八号まで、及び知事専決処分報告報第六号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 20番堀本隆男君。
 〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 議長のお許しをいただきまして、今議会冒頭に一般質問の栄を与えていただきました先輩議員、同僚議員の各位に感謝申し上げ、順次、質問に入らせていただきます。
 さて、政局は急速に動いてまいりました。去る九月二十日の閣議において、二十七日臨時国会召集を決定し、十月八日公示、二十日投票日のスケジュールで冒頭解散する予定と報道されております。
 日本の二十一世紀に向かう政治の課題は実に多く、そして重い。国民から今求められている政治像は、利益誘導型政治から政策主導型政治への転換であり、官主導型から政主導型政治への回帰であります。さらに、国際政治舞台への参画と人材の育成が急務となっております。政府の抱える大きな問題を並べますと、巨額な財政赤字問題、行財政改革、情報公開、地方分権、規制緩和と経済構造改革、高齢化社会対策、高度情報通信社会対応、金融事件問題、高度技術化対策、長引く不況対策、国際社会のグローバル化により衰退する国内産業対策等、列挙すれば際限がない情勢であります。今、時代が大きく転換する予兆が感じられます。これらを乗り越えられる真の政治家を選択する審判の日が近づいてまいりました。
 さて、西口知事におかれては、昨年十一月に就任されて以来約一年、新しい和歌山県を創造するために意識改革を強く訴えてこられました。県職員に対しては、県民の立場に立った行政を、いわゆるスリーS、スピード・サービス・シャープを、また県民の皆さんに対しては、ふるさとに自信と誇りを持って、みずから知恵を出し、汗を流して新しい和歌山を築いていこうと提唱されました。そして、これを実行するために幾つかの新しい事業を創設されました。
 まず、知事就任と同時に開設されたパソコンやファクスによる知事への提言システム、女性一○○人委員会、移動県庁など、県民の県政への参画システムであります。これらの制度によって、県民が県政を身近なものに感じるだけでなく、県民一人一人が県づくりに積極的に参画するという意識が芽生え始めてきた、そのように感じている私であります。
 また、平成八年度予算の目玉の一つ、輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり、いわゆる一億円事業でありますが、各市町村からそれぞれ個性ある地域づくりのために創意工夫を凝らしたアイデアが出されたと聞いております。
 こうしたことを通じて、知事の県づくりに対する姿勢、言いかえるならば、西口カラーといったものが県内全体に徐々に浸透してきているように思う次第であります。もちろん、一方では目に見える大きな成果は何かという声も聞かれますが、一年というわずかな期間に形で残る実績を望むこと自体に無理があるようであります。しかしながら、前任の知事から引き継いだプロジェクトを中心にして、着実に事業を展開されていると思われます。例えば、県立医科大学の移転整備は平成十一年度のオープンに向かって着々と工事が進み、また多目的ホールについても来年七月二十日のオープンが決まり、現在名称の募集がなされているようです。また、県民が最も関心の高い交通基盤の整備については、本年三月九日に南紀白浜空港がジェット化し、この半年間の利用客が去年の一・七倍と大幅に伸び、その上、十月三日からは福岡便が開設されます。高速道路についても、三月三十日に御坊までが開通し、さらに南伸に向けて事業が展開されております。このほかにも、七月三十日の奥瀞道路の開通を初め、国道三百十一号や大島架橋がそれぞれ急ピッチで事業がはかどり、県内各地での交通網の整備が進められております。また、本県の最重要課題とされている太平洋新国土軸の形成、特に紀淡連絡道路と京奈和自動車道の整備であります。こうした長期的なビッグプロジェクトについても、紀淡海峡大橋実現フェスタの開催など実現に向けて取り組んでおられます。一方で、アジアに目を向けた戦略展開として、香港への駐在員の派遣や中国青島市、上海市でのポートフォーラム開催、紀南の活性化施策としてイベントの開催を計画されるなど、新たな事業にも積極的に挑んでおられます。
 ここで、知事ご自身のご感想を承りたいのであります。
 さて、知事におかれては、約一年間のご経験を踏まえながら、来年度の予算編成に臨む時期を迎えられたものと思いますが、まず平成九年度の予算編成方針についてお尋ねいたします。
 七月三十日に閣議了解された平成九年度の国の概算要求では、極めて悪化した国の財政事情を踏まえ、さらに厳しい内容となっております。具体的には、経常的経費について一般行政経費は一五%の削減を継続する、また投資的経費については前年度予算と同額とし、さらに補助金の整理合理化を推進し、新規補助金等を含め、その総額について削減を行うこととしております。基本的には、平成九年度は財政構造改革元年予算とすることを目指し、義務的経費を含め既存の歳出に思い切ったメスを入れながら、あらゆる経費について聖域なく抑制を図っていくというものであります。この概算要求基準を受けて来年度の概算要求基準額は八月末に締め切られましたが、それを見ると、総額八十一兆四百四十八億円で前年度比八・四%の伸び、ちなみに昨年度は一一・六%の伸びとなってございます。しかし、国債費と地方交付税を除いた一般歳出は三・四%の伸びにとどまっており、前年度の四・二%に比べ一ポイント程度ダウンしております。私ども地方にいるものにとって影響が大きい地方交付税は、自治体に配分される出口ベースでは三・八%減と、四年連続のマイナスでございます。さらに、平成九年度地方債計画案によりますと、総額で一九・四%減と大幅にダウンし、地方単独事業の事業規模は実質的に前年度並みとする方針と聞いております。加えて、新聞報道によれば、公共事業費の伸び率は大幅に抑制されている上に、重点整備の方針が来年度も貫かれると聞いております。仮に、公共事業の配分で効率性のみを追求されますと、大都市地域への傾斜配分となることが予想され、本県のような過疎、山村地域を抱える地域への公共事業がさらに抑え込まれるのではないかと危惧している次第であります。
 このように、来年度の地方財政をめぐる環境は極めて厳しいものになっております。お隣の大阪府では、未曾有の財政危機に瀕していると聞いております。幸いにして本県では、平成八年度は苦しい財政事情の中、知恵と工夫を重ね、地方財政計画を若干上回る歳入歳出予算を編成され、特に単独事業を大幅に伸ばしておられますが、来年度はいかがでありましょうか。予算編成方針等いまだ確定していないようですが、平成九年度予算に西口カラーをどのように出していかれるか、お尋ねいたします。
 既に皆さんお読みの図書を勧められ、私もおくればせながら読ましていただきました。堺屋太一氏「『大変』な時代」、内橋克人氏「破綻か再生か」、中谷巌氏「日本経済の歴史的転換」、そして田中直毅氏の「アジアの時代」であります。理由は、これらの図書が永田町と霞ケ関に影響を与えていると聞かされたからであります。しかし、本当のことを申しますと、日本経済の実態と将来展望、さらに世界経済がどのように変化しつつあるのか、その趨勢が私ども地域経済にどのような影響を与えるのか、私自身全くつかめぬ状態のまま日々を過ごしております。地方の政治に携わる者の一人として、自分なりの考えをまとめたいと思っていたからであります。そして、地方の時代と叫ばれてはや十五年余りが経過し、ようやく地方分権が政治の表舞台に出てまいりました。しかし、いまだに地方自治体や地域住民にとっての最大の関心事は中央集権そのものの動向であります。地域経済は自立化の時代と言いながらも、これまで多くの自治体がやってきたことは、いかに中央官庁を自分の方に向かわすか、いかに自分の地域の繁栄のために中央の金と知恵と情報をもぎ取ってくるかに明け暮れてまいりました。にもかかわらず、地域間格差がますます拡大しているのが現実であると私は考えます。これら四人の学者や経済評論家の方々の見識には目を見張るものがあります。時間の都合で個々にご紹介できないのが残念でございます。全般に言わんとしていることは、日本経済がまことに危機に瀕しており、抜本的な規制緩和と構造改革なしには回復し得ない。企業のグローバル化や市場経済化に基づく変動価格の時代に入って、日本型経済システムに基礎的、構造的な改革を迫っているからであります。
 例えば、アジアへの日本産業の集積の移転、系列やメーンバンク制の崩壊、日本型経営の成功が主因とされる緊密な官民関係の抜本的改革が迫られ、情報公開、所得移転などでございます。さらに、世界で第三次産業革命と言われている情報通信産業の革命的発達がアメリカで起こっており、もはや絶対的に追いつけない状況に日本産業は追い詰められていると指摘し、Eメールの衝撃など、オープンネットワークの時代へ付加価値の源泉はグローバルに広がっている──アメリカは大きく回復しました。さて、日本はどうする、和歌山はどうするであります。
 そこで、次に本県の新長期総合計画の策定状況についてお伺いいたします。
 二月、審議会に諮問され、その後、各専門委員会や総合計画委員会を経て、目下、圏域別意見交換会を行い、鋭意策定作業に取り組んでおられることに対し敬意を表したいと思います。この年末には中間報告案が策定されるようですが、いかがでありましょうか。
 そこで、提案を申し上げたいと思います。
 一つは、余りスケジュールの消化を急がないで、真に和歌山県が求める県土の創出に知恵を絞っていただきたいことであります。二つは、中間報告案をできる限り地域のオピニオンリーダーや各種団体等に広く配布し、感想を受けていただきたいことであります。参画意識の醸成が必要だと思います。本県新長計に重要な関連がある国の新全総計画も、当初の予定よりおくれ、来年初夏と伺ってございます。国においても、二十一世紀のグランドデザインつまり中間報告を作成し、各地で各種団体から広く意見聴取を行い、さまざまな提言を受けとめております。このグランドデザインについての当局の見解をお伺いしたいのであります。
 私見を申しますと、日本国土をめぐる諸状況の大きな転換期をとらえ、地球時代、人口減少・高齢化時代、高度情報化時代と三つの時代認識を示し、自立分散型国土の構築という理念のもと、国土づくりの基本目標と国土構造の姿、主要計画課題などを通じて生活の豊かさと自然環境の豊かさが両立する世界に開かれた活力ある国土の構築、そしていわゆる四つの国土軸と広域国際交流圏など、よく描けていると思います。しかし一方、地方分権や東京一極集中是正には全く触れず、声高くなった規制緩和や行政改革は全く想定されず、さらに流動的になった政局も考慮が求められます。
 ところで、国の意見聴取に対し県はどのように回答されましたか。このほど新長計の圏域別意見交換会の資料を見せていただきましたが、素案としてはよくできていると思います。この素案に対する意見や新長計に対する注文にはどのようなものがありましたか。二○一○年に世界が大きく転換したとき、近畿の中で和歌山県が大きく台頭してきた姿を想像していただけたでありましょうか。今後、フレームの設定、地帯別整備の基本方向、主要プロジェクトの策定作業はどのような日程で運ばれる見込みでありますか。特に肝要である実施計画は、厳しい財政事情の中、平成何年度からスタートされるつもりなのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、科学技術の振興についてお尋ねいたします。
 昨年末、科学技術基本法が、議員立法で連立与党と新進党の超党派で提案して可決成立いたしました。これに基づく科学技術基本計画がこの七月に閣議決定されたところであります。二○○○年までの五カ年間に約十七兆円の科学技術関連予算を組むこととし、これは今後二十一世紀に向かって我が国が科学技術創造立国を目指すための大きなバックボーンになり、具体的に動き始めました。日本の産業技術や科学技術が欧米に比べ技術水準のおくれが著しく、研究者や技術者の不足とともに、二十一世紀の日本が最先端技術産業立国を目指せなくなるとの危機感からスタートしたものであります。
 ご承知のように、バブルの崩壊と円の急騰は日本企業の急激な海外流出を招き、さらに研究所も日本国内より欧米や東南アジアで研究した方がはるかに効率がいいと、海外に出ていく現状であります。日本の研究水準がほとんどの分野でアメリカより低くなってきております。そして、これまで日本の技術開発は政府機関や大学機関が約二割、民間企業がその開発資金の約八割を支えてきましたが、景気の悪化とともに民間の研究資金が急速に減りつつあり、国会でも危機感が持たれているわけであります。
 研究開発の基本的な方向は、ニーズに対応した研究開発を進めるため、第一に、新産業の創出、通信情報の飛躍的振興といった課題に対応していくこと、第二に、地球環境、食糧、エネルギー、資源といった地球規模の問題の解決に役立てる、第三に、生活者のニーズに対応した問題、例えば、健康や病気、あるいは地震や災害の防止といったような問題に対応していく、この三つのニーズに対応すると同時に、そのもととなる基礎研究が一番重要だということで、研究開発が基本的な方向となっております。本年度予算概算要求での研究費の配分を見ると、公募型、競争的研究費は二千三百億円、三四%の増加となっていて国の力点が伺えるのであります。詳しくは時間の都合で述べられませんが、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、郵政省など多くの研究テーマと予算が増額されております。
 そこで、お尋ねいたします。関係各部長に、こうした研究分野や研究予算が本県にどの程度委託され、本県の科学技術の振興にどのように役立っているのか、お聞かせ願います。特に商工労働部長には、通産省の新規予算、地域産官学連携型研究開発制度や競争的研究費に本県として期待が持てるのかどうか、ご説明いただきたい。
 先般、平成八年三月に財団法人関西産業活性化センターから出版された「関西テクノロジーマップ」、近畿地域における新規成長産業の育成方策に関する調査研究報告書を取り寄せて読みました。このような分厚い本でございます。出版内容はすばらしいものです。応用製品別インデックス、大学別、研究者別、研究内容キーワード別インデックス、さらに研究者別の研究情報と産学交流の内容などを網羅し、本編で産業科学技術分野の現状と将来を取りまとめ、時代をリードしていく刊行物となっております。ところが、この本を読みまして私は寂しくなりました。和歌山県関係の機関も研究者もほとんど登場しておりません。わずかに近畿大学生物理工学部のみが顔を見せておりますが、和歌山大学システム工学部、県の工業技術センター、和歌山リサーチラボも見当たりません。この本の編集方針とか編集時期のせいかとも思われますが、まことに残念であります。なぜかと申しますと、第四次長期総合計画のキーワードはテクノ&リゾートであります。紀北は、ハイテクノロジー地域を目指し、ハイテク産業、ハイテク研究機関を目指しており、近年、一定の成果をハード面で見ましたが、今後はソフト面だということを痛感した一人であります。このような背景で地域に先端産業を張りつけるといってもなかなか無理があるようです。産業は環境を選びますので、周りに研究開発機能が少なく、技術開発について指導を得られなければ立地は大変難しいのであります。
 そこで、県として、国とは別に科学技術の振興、産業科学技術の振興のために平成八年度の予算に計上された額を試験研究機関、民間企業への支援も含め、各部長からご教示をいただきたいのであります。分野が広いので大変だと思いますが、所管される部の今後の科学技術の振興への取り組みに対する考え方もあわせてお願いいたします。
 教育委員会におかれては、科学技術の振興を図る上で学校における理科教育が重要であると考えます。また、アメリカではパソコンを利用した教育が進んでいると聞いていますが、本県の状況はいかがでありましょうか、教育長にお尋ねいたします。
 和歌山県が二十一世紀に台頭するためには、科学技術の振興が最もベースになると信じるがゆえんであります。
 次に、県産業活性化ビジョンについてお尋ねします。
 本年の二月県議会において、私は、このビジョンを二十一世紀に向かってよく描けていると評価しました。そして、これをいかに実現していくかが問題であると質問いたしました。このビジョンの最終項目にも、実現のための施策の具体化について、産業界、関係機関との意見調整、学識経験者及び関係者との調査検討、庁内検討等を行い、アクションプログラムを策定するなどして早急に取り組むこととすると明記されているのであります。現在、どのように取り組まれているのか。あわせて、ビジョンに対する経済界の声や平成八年度予算に組み入れられた事業等についてもお願いいたします。
 このビジョンに盛り込まれた海外情報拠点の整備が、西口知事の英断で県香港駐在所の設置となりました。九月一日に堀主査を発令し、知事も出席して開所式が行われたことは喜びにたえないところであります。県内企業の国際的な活動を支援し、アジア経済の実像を即時に情報提供できる拠点としての活躍が期待されるわけであります。私が堀主査に熱望いたしたいことは、有力な香港企業を和歌山県内へ誘致することを一つでいいから実現してほしい。実現すれば、大金星になります。このほか、ビジョンに構想された産業情報センターが海南市のリサーチラボに入居して活動していることも認めたい。しかし、ビジョンには多くの構想があり、県民の待ち望むプロジェクトや課題の実現にはアクションプログラムが不可欠であります。例えば、五年以内に実現するもの、十年以内に実現を目指すもの等を明示することが必要であろうかと思います。新長計とのリンクもあると思いますが、新長計をリードする形でプログラムを策定されてはいかがでしょうか。
 次に、本年二月十五日のことでありましたが、関西経済連合会川上哲郎会長ほか幹部の方々と、西口知事、尾崎和歌山市長、小林和歌山商工会議所会頭らとのトップ会談が行われました。一、関空の全体構想の推進、二、紀淡海峡大橋と大阪湾一周道路、三、情報の環状ネットワークの構築の必要性を提案され、さらに四、和歌山市の島精機製作所や四国のソフトウエア会社を例に挙げ、「これからは、地方で育った起業家が地域経済を引っ張り、日本経済全体を引っ張る時代だ。和歌山からの新産業の誕生に期待する」と述べたとあります。四つ目の示唆については、通産省でもこうした企業を中核企業とし、高度な技術力を持った製造業の発展が二十一世紀の日本を支えるとしております。本県には、さらにノーリツ鋼機を初め世界に知られた超優良企業が育っており、海外移転を考えず発展されております。東海大学教授の唐津一氏も「島精機などの中核企業が二十一世紀の日本をリードする」と述べておられます。
 二月県議会において私は、関空を生かせる受け皿づくりを、例えば、最も関空に近い和歌山市周辺に県市協調で先端技術産業の誘致を行い、賃貸土地方式、賃貸工場ビル方式で実現できないものかと提案させていただいております。神戸市が、市有地に賃貸工場ビル群を建設しております。資金は、国の高度化資金の活用にヒントを得たものであります。和歌山市にこれができますと、アジアの企業の進出も受け入れが可能となります。答弁は、「検討する」ということでございました。
 近畿の各府県がそうした方向で動き始めているようです。大阪府は、九月には産業立地促進に力を入れることとし、先端技術の研究所やハイテク工場の集積団地、津田サイエンスヒルズ、和泉コスモポリスなどへの企業誘致に賃貸方式を併用する方向を固めたようであります。また、ベンチャービジネスなど資金力の不足している企業には、府が上屋までを整備して貸し出すことも検討しているとのことであります。さらに兵庫県では、九月議会に新産業の企業誘致を進めるために産業復興推進条例の提出を決めているようです。目玉は、不動産取得税、固定資産税の五○%から九○%の減免措置であります。本県内も近畿地内も、新分野、新事業進出に意欲のある企業は多いと言われております。そのいずれもが、高過ぎる地価に手も足も出ない状態であります。日銀短観で四・六月期はマイナス成長となった日本経済も、設備投資は意外と高く、マインドは冷えていないのであります。九月五日の日経新聞には、「空洞化対策の切り札なるか 外資系誘致に産官動く アジアに調査団」と、関西産業活性化センター、大阪工業会、近畿通産局などが検討をするとしております。また最近、研究開発型企業団地に海外のハイテク企業の進出がふえ、神奈川サイエンスパーク、岐阜県のソフトピア・ジャパン、横浜ビジネスパークなどが成功しているようです。通産省は、平成九年度概算要求で経済構造改革特別措置を活用し、地域産業の支援に重点を置いております。
 西口知事、尾崎和歌山市長は、来る十月上旬からご一緒に中国青島市と上海市のポートフォーラムに出席されるとのことでございますが、県市協調はそばで見ていて大変気持ちのいいものです。この機会に、ぜひ和歌山市や海南市の高速道路のインターチェンジを最大限に生かした和歌山独自の先端産業用の賃貸土地、賃貸工場ビルの具体化をご検討いただきたいのであります。中核企業の育成は待ったなしです。地域間競争はますます激しくなってまいります。他府県におくれをとらないことを切望しておきます。
 次に、ベンチャービジネスの育成についてであります。
 日本の産業は、現在、第三次ベンチャービジネスブームと言われております。家電、自動車など主力産業の成熟化で成長停滞とアジアの産業の追い上げで中小企業の産業空洞化が著しく、新分野を開拓できなければ日本産業は衰退すると危機感を持った通産省が研究開発型企業、つまりベンチャービジネスの育成制度を次々と打ち出しております。本県においても、地場産業の多くがアジアとの激しい競争にさらされ、大企業の工場誘致もままならなくなりました。そこで県では、地元で新産業を育てることが早急の課題として、創造的中小企業創出支援事業や中小企業創造活動促進事業など積極的に取り組まれております。県内におけるベンチャービジネスの本制度の活用状況はいかがでありますか。また、どんな業種が対象となっていますか。
 本県ではありませんが、行政側の手続が煩雑で利用しにくいとの声もあるようです。ハイリスク、ハイリターンの限界を知りつつ、及び腰になる面もあるようでありますが、米国ベンチャー企業の代表選手と言われるマイクロソフト社のように、五、六年で世界のナンバーワン企業に成長することも夢ではないような気がします。
 他府県のケースで恐縮でございますが、新潟県では、知事が「新潟県から二十一世紀の日本を担う多くの成長産業が生まれるのも夢ではない」と言われ、ベンチャー企業には資金面だけにとどまらず、技術や経営面などを総合的に支援する産・官・学の組織、新潟県新産業創造支援協議会を設立しております。産・官・学一体となったネットワークで事業計画の評価や助言を行う委員会を設置し、発表の場を設けるなど、積極的な支援ぶりであります。また、数県においては県創造的企業支援財団を設立され、無担保で最高七千万円まで融資をするなどのバックアップもしている県もあるようであります。本県では、支援財団についてどのようにお考えなのか、お聞かせください。
 過日、ご送付いただきました市町村課作成の「生活王国わかやま」Uターンガイドブックは、よくまとめられた上できのガイドブックだと思います。まことに残念に感じますことは、限定出版で市販されていないことです。一方、千葉県においては、「THE21」特別増刊号で「21世紀は千葉が拓く」──この雑誌でございます──を出版して全国でよく売れたようであります。一冊五百円、お金をもらって全国へ売り込むその根性は見上げたものがあります。
 私は、関空二期工事と紀淡海峡大橋が完成した暁は、二十一世紀は和歌山の時代に必ずなると確信しております。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 堀本議員にお答えをいたします。
 知事就任一年を振り返っての感想ということであります。
 昨年十一月に知事に就任をさせていただきましてから、間もなく一年になろうとしておるわけでございます。
 振り返ってみますと、知事就任間もなくの昨年末から年度末にかけての県政は大変重要な時期でございまして、十二月県議会を初め政府要望、当初予算の編成、機構改革、人事異動等々、まさに目まぐるしい毎日でございました。新年度に入りましても、できるだけ現場に出て現場の声を聞かせていただくために、各種の行事などにも積極的に参加をしたわけであります。一言で言いますと、まことに多忙な一年であったというのが実感でございます。それだけに、知事としての重責を改めて痛感いたしますとともに、県勢発展を目指してさらに強い決意を固めておるところでございます。
 私は、就任のときに、和歌山の新しい時代を県民の皆さんとともにつくっていくんだということを申し上げたと思います。パソコンやファクスによる提言システム、女性一○○人委員会、さらには議員の皆様方のご理解を得て実現いたしました動く県庁などでは、和歌山県に対する真剣なご意見をお聞かせいただいたわけでございます。また、私の独自の政策として個性ある地域づくりのために設けた輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業の補助制度にも、それぞれの市町村の創意工夫を凝らした事業が提起をされたわけでございます。こうした県民の皆さんの前向きな姿勢を見せていただく中に、私が常に訴えておるところの、ふるさとに自信と誇りを持って前向きに取り組もうという、新しい県づくりに向けての確かな手ごたえを目下感じておるところでございます。もちろん、関西国際空港の二期事業、あるいは紀淡海峡大橋の実現などの重大な課題も山積しておるわけでありますけれども、県民の皆さん方と力を合わせ、その実現に向けて頑張ってまいりたいと考えてございます。
 議員のご質問にもございましたけれども、私も、二十一世紀はまさに和歌山の時代であると確信をしておるわけでありまして、今後とも中央省庁、関係機関、それらの連携を一層密にしながら、和歌山県の持っておる豊かな自然、歴史、文化、そういう特性を広く情報発信していく外向きのPRのみでなくて、逆に激動する国内外の動向を的確に把握することによりまして、時代のニーズにこたえる施策を積極的に展開していきたいと考えてございます。議員の皆さん方のますますのご指導とご協力をお願い申し上げる次第でございます。
 次に、平成九年度の予算編成方針についてでございます。
 編成方針そのものについては現在検討中でございますけれども、ご指摘のように、厳しい財政状況を背景とした国の平成九年度の概算要求額は一般歳出三・四%増という大変低い伸びになってございまして、特に公共事業等の投資的経費については実質的に前年度同額となっているわけでございます。また一方、県税収入は平成七年度決算額が平成元年度ベースまで落ち込んでございまして、現下の経済情勢から見ても自然増収が期待できない状況でございます。したがって、地方交付税あるいは国庫支出金等の依存財源に頼らざるを得ない県の財政構造からいたしまして、平成九年度予算編成方針についても大変厳しいものにならざるを得ないと考えてございます。しかし、申し上げましたように、国、県の財政状況が厳しい中ではありますけれども、和歌山新時代に向けての各種施策の充実を図っていかなければならないこともまた事実でございます。こういったことから、昨年度策定いたしました県行政改革大綱に沿いまして、事務事業の見直し等の行政改革に取り組む一方で、創意工夫を凝らしながら、限りある財源の重点的、効率的な配分をすることによりまして、さらに投資的事業の重点整備についてもバランスを図りながら取り組んでいきたいと考えてございます。
 また、公共事業等の国の補助金獲得については、本県にとっても大変重要なことでありますので、現在までもご努力を賜りましたけれども、議員初め皆さん方の従前からの取り組み以上のご支援をぜひお願いしたい。年末に予定されている来年度の政府予算案については、私どもも懸命の努力をして予算獲得をいたしたいと思いますが、議員各位の一層のご支援とご尽力を賜りますように、あわせてお願いを申し上げたいと思います。
 他の項目については、関係部長から答弁いたします。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 堀本議員ご質問の、和歌山県の新長期総合計画の策定についてお答え申し上げます。
 現在、国において新しい全国総合開発計画の策定作業が進められており、昨年十二月に二十一世紀の国土のグランドデザインと称する新しい全総計画の基本的考え方が出されました。これに対する本県の意見でございますが、先日も国土庁の計画・調整局長が来県し、知事から本県の考えを申し上げたところでございます。
 本県といたしましては、新しい全総の、国主導の地域開発から地域主体の地域づくりや太平洋新国土軸等による国土構造の転換といった考え方には賛同いたしますが、議員ご指摘のとおり、東京一極集中の是正が後退したように思われ、国土の均衡ある発展に向けた地方圏の活性化、特に半島地域の振興策や太平洋新国土軸とそれを構成する紀淡連絡道路が本計画に明確に位置づけられるよう要望をいたしております。
 次に、本県の新しい長期総合計画でございますが、本年二月に審議会に諮問し、審議を進めていただいているところでございます。新長計の構成としては、大きく基本構想、基本計画、地域計画に分かれてございまして、現在、基本構想部分については総合計画委員会で、基本計画については教育文化、社会生活、産業経済、県土基盤の四つの専門委員会で協議を重ねているところであります。また地域計画については、現在、各地域において圏域別懇談会を開催し、市町村長や地域のオピニオンリーダーのご意見を伺っているところでございます。
 現在までに有田、田辺、新宮の三圏域において実施し、引き続き他の圏域でも実施いたしますが、今までの意見では、就業の場の確保、高速道路や生活道路網の整備、医療、福祉に係る施設やサービスの充実など、定住条件の整備の具体的な施策についてのご意見が多くございました。今後、県議会を初め、市町村長、県民の皆様のご意見をいただき、審議会で十分な審議を経て、本年十二月に中間取りまとめを行う予定でございます。
 人口、経済といった計画のフレームの設定や地帯別整備の基本方向、主要プロジェクト等については、来年十二月を目途に計画の決定を行いたいと考えてございます。
 それから、中期実施計画については、個別施策の事業内容、実施年度等を示すもので、平成十年度を目途に作成したいと存じます。
 次に、科学技術基本計画と本県における科学技術の振興方策についてのご質問でございます。
 まず、国の基礎研究推進制度の委託状況についてでございますが、平成八年度文部省所管の未来開拓学術研究推進事業において、和歌山大学システム工学部の教員が情報関連プロジェクトの共同研究者として参画依頼を受けている旨聞いております。
 次に、本県独自の科学技術振興関連予算でございますが、企画部関係では、昨年十月に創設された和歌山大学システム工学部に対し、産業界、和歌山市、市長会、町村会とともに本年度四千百万円、うち県費二千万円を研究支援することとしております。システム工学部では、情報通信、機械、電子、化学、環境、デザインなど複合分野の先端的研究を行いますが、本事業は揺籃期にあるシステム工学部の教育研究基盤を強化するとともに、地域産業との交流・連携を図ることを目的としております。
 このほか、和歌山大学、近畿大学、高野山大学、和歌山県立医科大学、和歌山工業高等専門学校、和歌山信愛女子短期大学など県内高等教育機関の教員が行う地域研究を支援するため、「わかやま学」研究支援事業を昨年度から実施しており、本年度も一千万円の研究助成を行うこととしております。今後とも、このような研究支援などを行うことにより地域の科学技術振興に寄与してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 科学技術の振興とハイテク産業の立地促進に係る四点のご質問についてお答えいたします。
 まず一点目の、科学技術基本計画と本県における科学技術の振興方策についてでございます。
 ご質問の公募型研究、競争的研究については、大学や研究プロジェクトを持つ民間企業等を対象とした制度でございまして、商工労働部関係ではこれまで委託を受けた事例はございません。
 なお、通産省が平成九年度の新規予算として概算要求されております地域産官学連携型研究開発制度、また競争的特別研究費については、国立研究所、大学などの技術シーズを地域産業の基盤として生かすことを目的とするものでございまして、その核となるのは国の研究所、大学となってございます。
 次に、平成八年度商工労働部の科学技術関係予算でございますが、工業技術センター及び漆器試験場合わせて三億四千万円余を計上してございます。とりわけ本年度は、全国の公設試験研究機関に先駆けまして先行的な研究開発を推進するための予算として基本技術研究費一千万円を計上し、時代のニーズに即応できる取り組みを行っているところでございます。また、民間企業への支援といたしましては、新たな産業活動を促進するため、研究開発等を実施する中小企業者に対して約八千五百万円を計上してございます。
 さらに、今後の科学技術の振興の取り組みについてでございますが、商工労働部といたしましては、中小企業者の技術力強化が最重要であると考えてございます。このために、工業技術センターを中心として、近く海南インテリジェントパーク内に開設される近畿大学の研究所や和歌山大学システム工学部の研究所、さらには現在県内において数多く生まれつつある研究意欲旺盛な企業などと産・官・学連携をとるとともに、本県の産業技術の発展に寄与することを目的とした和歌山技術交流推進協議会をさらに充実させるなど、先端技術の研究開発に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 二点目の、県産業活性化ビジョンとアクションプログラムについてでございます。
 県産業活性化ビジョンは、二十一世紀初め西暦二○○五年を目標に、県産業の活性化のため今後の取り組むべき施策の七つの基本的方向を示したものでございまして、経済界等からもその実現について大いに期待されているところでございます。このビジョン実現のために、県産業の現状や産業界のニーズ等を踏まえて、具体的な施策を早急に実施していくことが肝要であると考えてございます。
 既に平成八年度で事業化し取り組んでおりますものは、香港駐在員事務所の開設、産業情報センターの設置、創造的中小企業支援事業、工業技術センターの再編整備等でございます。さらに、香港駐在員の活用、産地の後継者や研究開発人材の育成などの研究開発基盤の整備などについても積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 議員ご指摘のアクションプログラムについても、現在検討中でございまして、早急に策定してまいりたいと考えてございます。このビジョンは、現在行っている本県の新しい長期総合計画策定に際し、県産業の振興に関する基本的な考え方を示したものであり、長計とリンクさせながらビジョンの実現に努めてまいりたいと考えてございます。
 三点目の、先端技術産業誘致への取り組み状況についてでございます。
 先端技術産業の誘致については、従来、県経済基盤の安定と産業構造の多角化を進めるために、付加価値の高い先端技術産業の誘致に取り組んでございます。議員ご提言の趣旨を踏まえて、先端産業用の賃貸借土地、賃貸工場ビルについては、他府県の状況を調査し、和歌山市とも協議して引き続き積極的に研究してまいりたいと考えてございます。
 四点目の、ベンチャービジネスの育成についてでございます。
 ベンチャー企業の育成については、現在、創造法に基づき九企業の研究開発事業計画を認定し、その内訳は製造業、ソフトウエア業、建設業等の業種となってございます。支援事業の実施については、現在、研究開発費用に対する補助が二企業、設備資金、運転資金についての県単独の低利融資制度が四企業に適用してございます。また、ベンチャー企業の支援財団については、財団法人和歌山県中小企業振興公社を支援財団として民間の投資育成会社いわゆるベンチャーキャピタルを通じ、創業時の株式発行や転換社債等の資本の充実を資金面から支援する制度を設けてこの十月から運用を行う予定でございます。今後も、ベンチャー企業等の創造的事業活動への支援策を着実に推進してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 農林水産分野における技術開発についてでございます。
 平成九年度に向けては、議員お話しのいわゆる公募型、競争的研究費などの中で、近畿大学との共同で行うDNA診断技術を活用した高品質果樹等の育成を初めとした技術開発に取り組んでまいりたいと考えてございます。また、八年度の県単独研究予算でございますが、主なものといたしましては、将来に向けた試験研究機関の整備充実を初め、梅の生産安定や県産材の利用拡大、魚介類の資源管理研究などで、農林水産部全体で一億八千二百万円となってございます。
 次に、今後の技術開発に対する考え方でございますが、国際化の進展や高齢化の進行、また消費者ニーズの多様化等を踏まえた中で、高品質、省力化、安全をキーワードとして、地域特性を生かした農林水産業の振興に向けた技術開発を図っていくことが重要であると認識してございます。こうしたことから、その推進に当たりましては、国の試験研究機関への派遣による人材育成や大学等との共同研究を実施しながら、地域に密着した、品質の高い農林水産物の生産や急傾斜地での機械化・省力化技術の開発、環境を重視した営農等のシステム開発などに取り組むこととしており、これらが科学技術の振興に寄与していくものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 理科教育と情報教育の二点についてお答えいたします。
 科学技術の振興を図る上で、小学校、中学校、高等学校における科学技術教育や理科教育はその重要な基盤をなすものと受けとめてございます。全国的に理科離れの傾向が指摘されている中で、本県においても理数系大学への進学率が低い状況が見られることから、科学技術の発展に対応した理科教育、情報教育の振興に努めてきているところであります。
 理科教育については、高等学校に特色ある学科として設置を進めてきた理数系学科において、大学や博物館などと連携して、より高度な理科教育を推進し、理数系大学への進学率も年々向上してきているところであります。また、本年度は海南市が文部省の科学技術、理科教育推進モデル事業の地域に指定され、小・中・高校が連携した理科教育の推進を図っているところであります。
 情報教育についても、すべての全日制の高等学校にコンピューターを導入するとともに、インターネットなどを利用した情報コミュニケーションの推進を積極的に図ることとしてございます。本年から、南部高校龍神分校と御坊商工高校において、マルチメディアを活用した授業をこの十一月に開始する予定でございますし、また串本町の大島中学校では、トルコ・メルシン市のオゼル・トロス校とインターネットによる国際交流を行うなど先導的な取り組みを積極的に進めてきてございます。さらに今後、小学校、中学校、高等学校二十校でインターネットを利用した授業を開始する予定でございます。
 我が国にとっては人間の知的創造力が最大の資源であり、科学技術の振興は極めて重要な課題であることから、教育委員会といたしましても、今後とも豊かな科学的素養を身につけた子供の育成に努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 再質問がございませんので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番東山昭久君。
 〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。
 まず、紀の川大堰建設に関連して質問いたします。
 紀の川大堰は、国が事業主体となる新六箇井堰の下流約五百メートルに可動式ゲート七門、ゲート高さ七・一メートル、長さ五百四十二メートル、有効貯水量三百八十万立方メートルの可動堰を建設し、新六箇井堰を撤去するとともに、上流に堆積した土砂二百六十五万四千立方メートルを掘削除去する工事であり、上水道、工業・農業用水などの安定供給、紀の川下流周辺の水害防止、さらに関西国際空港の開港による大阪南部地域への分水などを目標に建設が進められている事業で、平成三年に右岸側(園部)関連工事に着手され、四本の堰柱がほぼ完成し、現在、左岸側(有本)の堰柱工事に向けての事前調査が実施されております。十月から本格工事に着工したいとされています。
 建設省和歌山工事事務所は関係する地元自治会に対して工事関連の説明会などを実施されており、地域からもさまざまな意見や要望が出されているところであります。四箇郷地区は、工業・農業用水、特に生活用水として地下水に大きく依存しており、大堰建設に伴う地下水の変化などの影響を大変心配しているのです。
 このような住民の声を受けて四箇郷地区連合自治会は、約十年前に四箇郷地区大堰対策委員会を設置して、地下水対策やJR阪和線の高架化などを要望されてきたのであります。その後、対策委員会は、井戸水の水質調査の実施、自治会長研修会、平成三年には長良川大堰見学、平成七年には鳥取県日野川堰の見学などを実施し、大堰の必要性と工事に伴う周辺地域への弊害、問題点などを勉強、研究してこられたのであります。そして平成八年八月には、左岸工事に当たり各自治会からの意見、要望などを集約され、地建並びに関係方面に要望していくことを決定されたのであります。
 集約された事項は、次のとおりです。第一は、工事に伴う振動、騒音、電波障害などについて問題がある場合には工事の中止などを含めて対応すること、第二は、当地区は生活用水として井戸水(地下水)を使用している家庭が多く、工事に伴って地下水の水量、水質などに影響があればその補償問題、また当地区は地下水が豊富なため上水道の完備が大変おくれており、上水道の完備を強く求める、第三は、工事車両の安全対策を万全にとること、第四は、JR阪和線の移設に伴って高架化の実現を、第五は、地区内の環境改善として、県・市道の整備、河川敷利用などについて、地元要望として対策委員会に集約されているのであります。
 大堰建設自体は国の事業が主体でありますが、関連事業や周辺地域の整備は自治体の役割でもあります。今日の行政を見ていると、地域住民の生の声が行政に反映されていない面があり、住民が要望してもなかなかその実現が困難であるのが実情であります。県民の声が生かされる県政、県民参加の県政とは、住民の声が行政に反映されることであり、民主主義政治の原点でもあります。
 西口知事は、昨年の知事選挙の決意の中で、「いろんな地域へ行って痛感したのですが、地域の声が私どものところにストレートに届いていない、真剣に論議されていないことが多々ある。こんなに距離があってはいけないわけで、県土の均衡ある発展を図るためにも、各地域の皆さんの本当の声、生の声をもっと現地を訪れ、ひざを交えて聞き、政策に反映されるシステムを早急につくり上げたいと思います」と述べられています。どうか、この知事の考えに沿って、現地に入って住民の生の声を聞き、要望の実現に県当局の努力を強く求めるものであります。
 そこで、三点にわたり質問いたします。
 一点目は、右岸側でのくい打ちなどの準備工事で、民家の壁にひび割れが入り、家が傾くなどの被害が出たと言われています。その被害の状況、その原因、それに対する補償を含む対応はどうなされたのか。
 二点目は、当時の新聞報道によると、近畿地建和歌山工事事務所工務第一課長は、「建設省の調査は業者任せで、地建の職員が立ち会っていなかったなど調査のやり方が悪かった」とコメントされています。その後、事前調査のやり方がどう改善されたのか。現在、左岸側の事前調査が進められていますが、十分な調査がなされているのか。
 三点目は、先ほど申し上げた対策委員会に集約された、工事に伴う振動、騒音、電波障害の問題、地下水の水量、水質等への影響問題、上水道整備の問題、工事車両の安全対策、JR阪和線の高架問題、環境改善としての道路整備、河川敷利用など五項目の地元住民の要望が実現されるよう関係者との協議を図り、その実現に努力されることを強く要望するとともに、ご見解を伺うものであります。土木部長のご答弁を求めます。
 次に、紀の川リバーサイドグリーンベルト基本計画についてお尋ねいたします。
 県は、去る九月十日に、紀の川河口から岩出橋までの十六キロメートル、二百六十ヘクタールの高水敷が整備されることを契機に、その自然環境を生かしながら、県民の憩いの場としてふさわしい公園整備を行うという具体的な事業内容を発表しました。平成三年十月に、建設省、和歌山県、和歌山市によって構想が明らかにされ、その後、関係者間で協議が進められ、基本計画が策定されたのであります。
 基本計画によると、輝く水辺、あふれる自然、憩う空間を構想の基本理念として、河口から岩出橋までの間において三つのゾーン、その下に六つのゾーンを設け、国、和歌山県、和歌山市、岩出町がそれぞれの地域を分担して整備していくとなっています。完成目標は、国が行う護岸工事とあわせて整備を行い、二十一世紀初頭の完成を目指すとなっています。
 紀州大橋上流の県の分担区域に公営ゴルフ場から着手するとして、今議会に測量調査費として四千三百万円の九月補正予算案、和歌山県公営企業として観光レクリエーション事業を設置するための条例の一部を改正する条例案が提案されているのであります。この基本計画は今日の県民のニーズにこたえるものであり、おおむね評価できる内容であると思いますが、これから個々の施設にどれだけ地域住民の要望が取り入れられるかであると思うのであります。
 そこでまず西口知事に、この基本計画の実現への決意と今後地域住民の要望などをどう取り入れられていくのか、ご答弁を求めます。
 二点目は、紀の川河川敷の整備には大きな期待があり、とりわけ隣接する地元住民の期待は大きいものがあります。直接、生活環境の改善につながる課題でもあるからであります。
 大堰対策委員会は、住民の要望として次の三項目に集約されたのであります。
 一つは、高齢者社会を迎える中で、高齢者が安全で自由に楽しめる高齢者専用公園、散歩道をぜひ設置してほしい、二つ目として、地元の少年がいつでも自由に野球やサッカーのできる専用グラウンドを設けてほしい、三つ目は、紀の川大堰の管理棟の中に、紀の川に生息する水生動植物の展示場、水族館等を設置してほしいなどの要望があるのであります。それぞれ分担があるわけですけれども、県が主体となって地元住民の要望の実現に努力されることを強く求めるものであります。
 三点目は、県の分担区域川辺橋下流に九ホール、約二十二ヘクタール、一九九九年オープンを目指すという公営ゴルフ場建設についてお尋ねします。
 県内には、現在、既設のゴルフ場が二十四カ所、四百六十一ホールあります。工事中五カ所、増設二カ所、百十一ホール、開発許可済み、許可申請済み、事前協議中、届け出受理などを含めて二十七カ所、増設二カ所、合計五百四十ホールとなっており、既設から届け出受理までを含めると五十六カ所、一千百十二ホールとなるのであります。県民のゴルフ人口も年々増加傾向にあり、低料金で楽しめる公営のゴルフ場を否定するものではありませんが、なぜゴルフ場建設が優先的に着手されるのか、県民多数が使える多目的広場とかキャンプ場などよりも先に建設されるのか、疑問を持つものであります。土砂掘削や護岸工事の進捗状況などの技術的な問題なのかわかりませんが、ゴルフ場建設が決定された経緯と、なぜゴルフ場が優先的に着手されるのか、伺います。また、公営いわゆるパブリックゴルフ場は全国には三十三の例があるそうですが、県としては初めての事業であります。どのように経営されるのか、低料金と言われていますが、民間と比較してどれだけ安くなるのか、考え方を伺いたいと存じます。
 以上、三点について関係部長のご答弁を求めます。
 次に、建設省の河川行政の転換に関連して質問いたします。
 今、日本全国で行政が管理する河川は三万本に近いと言われています。私たちは、川に生活を大きく依存しています。数多くの生物も、また川に依存しながら生きています。だが、こうした数多くの川の現状はといえば、無残としか言いようがない現状にあります。人間の手がほとんど入っていない大きな川といえば、北海道の釧路川、四国の四万十川のわずか二つであり、あとは護岸、堰、ダムなどコンクリート漬けになっております。どうしてこのようになったのか。我が国の河川行政に問題があったのではないかと思うのであります。我が国の河川工学が、日本の自然と地形を生かした従来のやり方を捨てて、アメリカの近代河川工法であるテネシー川流域開発公社方式を導入し、河川の直線化、コンクリート化を進めてきたからであります。このことが防災などの面で一定の役割を果たしたことは否定できませんが、一方、雨量の多い自然条件の中、コンクリートによって自然を征服しようとした河川行政は、生態系の破壊など河川本来の機能を失う等の問題を残すことにもなりました。
 建設省は、このほどこうした今日までの河川行政を百八十度転換し、これから整備する河川などの大部分でコンクリートの使用をやめる方針を明らかにしました。川底や護岸にコンクリートを使わず、植物や木材などを利用する多自然工法とか近自然工法と呼ばれるもので、スイスやドイツなどはこうした工法によって河川の本来の機能を回復させたことが証明されているのであります。建設省は、九七年度に策定する第九次治水事業五カ年計画からこうした工法を取り入れるとしています。具体的には、五年間に改修など整備を計画している九千八百キロメートルの半分の四千九百キロメートルはコンクリートを全く使わないで、二千七百キロメートルは堤防ののり面など限定してコンクリートを使い、残り二千二百キロメートルは立地条件面などからコンクリートを使用するが、二○○一年をめどに技術開発を進め、コンクリートを使わずに済む部分を拡大していくことを明らかにしています。私は、この建設省の河川行政の転換を高く評価する一人でもあります。コンクリートに覆われ、息も絶え絶えになった日本の河川の回復につながり、コンクリートではなく、川辺に生えている一本のアシ、一本の雑草の持つ水の浄化力、水害の防止力に依存し、自然で美しい川を取り戻すことにつながると思うのであります。
 そこで、土木部長にお尋ねします。
 建設省の河川行政の転換をどう評価されるのか。河川行政の転換を受けて、今後県の河川行政をどう進められるのか。紀の川リバーサイドグリーンベルト基本計画事業についてはどういう工法で工事を進められるのか。紀の川の自然と本来の機能を回復するため、コンクリートに頼らない工法で事業を実施していただくことを強く要望申し上げ、ご見解を伺いたいと存じます。
 最後に、教育問題について質問いたします。
 第十五期中央教育審議会は、昨年から二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方について審議を行い、七月十九日に第一次答申を出しました。これからの教育のあり方として、ゆとりを確保する中で、子供たちにみずから考える生きる力を育成するという基本的方向を打ち出したことは高く評価できるものであります。
 日本の教育は、明治以降、先進諸国に追いつき追い越せのかけ声のもと、学校による一斉授業という効率的なシステムで暗記中心の詰め込み教育を進めてきました。その結果、受験競争の過熱を招き、表裏一体の現象として、いじめ、不登校問題などが深刻化し、最近では住専問題やエイズ薬害問題など、偏差値エリートの頂点である官僚の問題解決能力と感受性の欠如が露呈されていると言っても過言ではありません。
 私は昨年の十二月議会で、偏差値偏重の教育から、ゆとりの中で個性を伸ばす教育への転換を図る契機となるとの認識から、学校五日制を教育改革の一環としてとらえることを主張してきました。こうした観点が第一次答申に明確に盛り込まれ、教育内容の厳選や完全学校五日制の実施が方向づけられたことは、歓迎するものであります。
 今後の焦点は、完全学校五日制がいつから実施されるのか、そして次期学習指導要領の改訂作業に当たる教育課程審議会が教科エゴにとらわれず、教科の再編、統合を含め大胆な厳選に踏み切れるかどうかにあります。その意味で、今回、完全学校五日制の実施時期や教科の再編・統合が明示されなかったことは残念でありますが、教育課程審議会に常設の委員会を設置し、教科などの構成のあり方について早急に検討に着手すべきとの提起は評価できるのであります。文部省はこの提言を尊重し、速やかに常設の委員会の設置に向けて準備に着手するとともに、教育課程審議会の発足に当たっては、幅広い各界の人々や保護者など、広く国民の声を反映するよう求めたいと思います。
 中央教育審議会は、後半の審議において、過度の受験競争の緩和策を初め、一人一人の能力、適性に応じた教育のあり方を検討することになります。生きる力の育成という今回の提言が真に生かされるかは、今後の審議でそれを阻んでいる現在の教育制度や学歴社会の構造にどれだけメスを入れられるかにかかっています。中教審の真価が問われるのはこれからであると思います。
 教育をめぐる状況は大きく変わりつつあります。経済界からは学校名不問の採用など企業みずから取り組むべきアクションプログラムが提起されたり、日教組も教育を社会の中心目標に据え、各界との合意形成を図りながら教育改革の具体化を進める方針の確定を目指しています。こうした新しい状況を踏まえ、学歴社会の是正策を初め、選抜から選択へという観点から、学制改革や入試改革などについても踏み込んだ教育改革を強く望むものであります。
 そこで、今回の中央教育審議会の第一次答申をどう受けとめられているのか、今後、答申を教育現場にどう生かされるのか、教育長のご答弁を求め、質問を終わりたいと思います。
○議長(町田 亘君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員にお答えをいたします。
 紀の川リバーサイドグリーンベルト基本計画の決意についてのお尋ねであります。
 この計画は、紀の川の高水敷を県民の憩いの空間として、自然環境を生かした親水性を持つ公園に整備しようとするものでございます。紀泉地域を緑で結ばれた一つの都市圏として、自然と共生できる国際的な複合機能都市の形成を図るために、私が提唱いたしております紀泉百万都市圏構想の一環に位置づけて推進していきたいと考えております。
 事業の実施に当たりましては、機会をとらえて広く県民の皆さんのご意見を参考にいたしながら、二十一世紀に対応する県民の憩いの空間をつくっていきたいと考えているところでございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 東山議員にお答えいたします。
 まず、紀の川大堰に関連してのご質問でございます。
 一点目の右岸側の被害について、九十七戸より被害の申し出があり、調査を行っております。被害は、家屋の内外壁のひび割れやかわらのずれ等が生じたもので、主な原因は宅地造成時の転圧不良に工事の振動が加わり被害を助長させたもので、建設省では補償を行うこととしております。
 二点目の調査の実施方法についてでございますが、地元と協議の上、要望に沿って実施したと聞いております。左岸側の事前調査につきましては、自治会や関係団体の方々に調査項目や工事の実施方法について了解を得、電波障害、家屋、地下水等の調査を行っていると聞いております。
 三点目の、地元対策委員会よりの工事に伴う要望についてでございますが、県としても十分留意して工事を実施するよう建設省に伝えております。また、上水道の整備の要望につきましては、市の方に伝えてまいります。
 JR阪和線の高架化の要望についてでありますが、一般的に高架化する手法は二通りございます。まず、県事業として行う連続立体交差事業は、現状では交差道路数等が採択基準に達しておらず、また和歌山市において周辺の区画整理を行う必要もあります。もう一つの手法といたしましては、幹線道路である市道の立体化を行うのに要する額に市の単独費を加えて行う方法がございます。いずれの場合も、和歌山市で膨大な単独費等が必要であります。今後、市の意向を踏まえた上で対応を検討してまいりたいと思っております。
 周辺道路整備の要望につきましては、右岸道路である県道小豆島船所線等の南海橋からJR阪和線までについては、河川堤防敷利用を含む二車線道路の計画を現在検討中であり、今後、建設省と協議を進め、地元の協力を得ながら整備に努力してまいります。左岸道路につきましても、県道有功天王線のつけかえ道路の整備を進めているところであります。有本地内の市道整備につきましては、都市計画道路の位置づけを含めて検討する必要があろうかと思われますので、市当局にもその趣旨を十分伝えてまいります。
 次に、紀の川リバーサイドグリーンベルト基本計画に係る地元要望のご質問でございます。
 ご質問の高齢者専用公園等の要望につきましては、だれでも利用できるものとする必要があるため、国、県及び和歌山市において事業実施の段階で住民のニーズを踏まえた整備が行えるよう努めてまいりたいと考えております。
 ゴルフ場建設着手のご質問についてでございますが、身近なアウトドアスポーツとしてゴルフ場のニーズがふえていることから、低料金で利用しやすい公営のパブリックゴルフ場を高水敷の幅が一番広い場所に設ける計画としております。
 紀の川リバーサイドグリーンベルトの事業は、紀の川大堰に伴う護岸整備の進捗に合わせ、できるところから実施していくこととしておりますが、岩出町の公園等、既に整備済みの部分もございます。ゴルフ場を計画している区域は、河川管理上、河川水質の向上のため環境改善を早急に行う必要のあるところでありまして、護岸整備も完了していることから今回ゴルフ場に着手することとしたものであります。その他の整備については、護岸整備の進捗を踏まえて事業化を図っていきたいと考えております。
 次に、建設省の河川行政の転換についてのご質問でございます。
 建設省の方針についてでございますが、近年、河川整備には特に自然環境に配慮した川づくりを求める声が高くなっており、建設省の方針は県民の要望に沿うものと考えております。また、今後の和歌山県の河川行政の進め方につきましては、学識経験者や河川利用者、青年、女性の代表から成るきのくにの川や渓流づくりを考える懇談会よりいただいた提言をもとに、安全で豊かな県土づくり、豊かな自然との共存、魅力ある水辺づくり等を目指し、積極的に多自然型川づくりを推進してまいりたいと考えております。
 次に、紀の川リバーサイドグリーンベルト基本計画についてですが、建設省において高水敷の利用計画に合わせ、親水性や生態系に配慮した階段護岸、湾処、ヨシ原の再生等の整備を行うと聞いてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 企業局長佐野萬瑳義君。
 〔佐野萬瑳義君、登壇〕
○企業局長(佐野萬瑳義君) 東山議員のご質問にお答えいたします。
 企業局では、紀の川リバーサイドグリーンベルト基本計画に基づきまして、だれもが気軽に利用でき、低料金による大衆化されたゴルフ場の整備を目指して取り組んでございます。
 なお、運営につきましては、直営または委託等あらゆる角度から検討し、最善の方法を採用したいと考えております。
 また、利用料金設定についての考え方でありますが、建設費等の投資コストと近隣ゴルフ場及び他府県での公営パブリックゴルフ場の料金等を勘案しながら、できるだけ低料金でご利用いただけるよう検討してまいりたいと考えております。ちなみに、他府県の類似施設では平日五千円、休日七千円程度となってございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) これからの教育のあり方についてお答えいたします。
 このたびの第十五期中央教育審議会の第一次答申では、これまでの目覚ましい経済発展の一方で社会全体にゆとりが失われた、教育の面でも、子供たちの自然体験や社会体験の不足、さらに子供の自立のおくれ、家庭や地域社会の教育力の低下など、さまざまな問題が生じていると指摘しております。
 こうした現状を踏まえ、答申では、子供たちにもう少しゆとりを持たせ、社会の変化に主体的に対応できる資質や能力、他人を思いやる心、豊かな感性、たくましく生きるための健康や体力など、生きる力をはぐくむことを重視しております。また、二十一世紀初頭に完全実施を目指している学校週五日制によって、学校、家庭、地域社会が連携し、社会全体で子供を育てることを求めております。このことは、これまでの日本の教育の成果と問題点を踏まえ、将来の基本的方向を示したものと受けとめてございます。
 本県では、これまでも高校入試において、単にテストの点数で選抜するのではなく、子供たちの多様な特性を評価するとともに、学科改編や総合学科の新設など特色ある学校づくりを積極的に推進し、子供たち一人一人が興味や関心に応じて学校を選び、個性を伸ばすことのできる教育の実現に努めているところであります。さらに、これまで本県が進めてきた教育の方向を一層充実させるとともに、このたびの中教審答申を生かし、いじめ、登校拒否に対する取り組みや情報化、国際化など、社会の進展に対応した教育の充実を初めとする多くの課題の解決に向けて努力してまいりたいと考えております。そのため、教職員の研修を一層充実させ、意識改革と資質向上を図り、地域に開かれた学校づくりを進めてまいりたいと考えております。また、関係部局と連携しながら、社会全体の教育力を充実させ、生涯学習体系の確立に努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番東山昭久君。
○東山昭久君 ただいま、知事並びに関係部長からご答弁をいただきましたが、二点についてご要望をさせていただきたいと思います。
 一点目は、紀の川大堰建設に伴って右岸側の工事においていろんな被害が出たということがあり、今、建設省で補償を含めて対応しているというご答弁をいただきました。その当時、右岸側の九十七戸から被害の申し出があって、それに対して建設省の方でも事前調査が不十分であったということが言われたわけです。今度は左岸側の工事に移り、四箇郷地区が対象になるわけですけれども、その場合に事前調査を本当に十分やられるだろうかという疑問を持つのであります。建設省としては、右岸のときに事前調査が不十分であったので今度は事前調査を改善した、したがって左岸地区の皆さんは安心してくださいよ、こうなれるように、ぜひとも建設省に対して要望をしていただきたい。そして、この工事で被害が出ないようにぜひしていただきたいと思います。
 二点目は、それぞれの地元から要望が出された。隣接しているところからは、自分たちができるだけ勝手に使えるようなものをつくってほしい、これは当然の要求だろうと思います。右岸でもそうだし、左岸地区は特に今日までグラウンドやサッカー場がありました。これから個々のものが明らかにされていくわけですけれども、地元の皆さんが要望することについて、その要望を十分に聞いていただいて一つでも実現に努力していただくことを心からお願い申し上げまして、要望とさせていただきます。
 以上です。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で東山昭久君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十四分休憩
  ─────────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中山 豊君。
 〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 お許しを得て、質問をいたします。
 極めてローカルな課題について、数点を取り上げました。それにはそれなりの私の考えがあります。ローカルな課題を取り上げれば、県行政のあり方の問題がシビアに問われて、当局の皆さんにとってみれば避けて通れないので窮屈な思いをしないでもないでしょうが、そこは中山です。穏やかに対応しながら問題解決に臨んでまいりたいと、こういうふうに考えて、数点を取り上げたいと思います。
 一つは、大気汚染の問題であります。
 大気汚染を防止するための法的措置として、昭和四十三年六月に大気汚染防止法が定められ、工場、事業所における事業活動に伴って発生するばい煙等の排出を規制するとともに、粉じん及び特定物質等についてもそれぞれ常時監視する規制措置を講ずることになりました。その後、さらに拡大・進化していく大気汚染問題に対して、昭和四十五年に法の大幅な改正が行われて今日に至っているところであります。加えて、県は公害防止条例でこれらの法の対象外の施設についても排出基準を設けて、環境を守る取り組みを進めてきているところであります。
 ところが、これだけで大気汚染が防止され、県民の健康が守られる好ましい環境が保持できるかということを私は取り上げたいのであります。
 今、海南市民は、和歌山石油精製株式会社が残渣油──市民は「アスファルト」と言っていますけれども──を燃料に発電し、関西電力に応札したことについて、健康と生命を守ることが第一と、心配を隠し切れずにいます。市長はこの疑問に答え切れないまま承認を与え、会社はもちろんその心配に答え切れないまま応札する事態となっております。
 特に、和歌山石油精製株式会社の所在する藤白地域は、道路事情による排気ガスや工場から排出される煙などで常に大気が汚染されて、海南市が医師会に委託をして毎年実施している疫学調査によっても心配される結果が出ているところであります。市民が残渣油火力発電について、大丈夫か、心配ないのかと当局や会社に対して強く疑問を投げかけるのは当然でありましょう。
 折しも、高規格道路海南湯浅道路の四車線化について地元説明会を県が地域で実施したが、トンネルから吹き寄せられてくる排気ガスによってこの地域はますます複合的に汚染されると心配が増幅するという話もありました。
 加えて、関西電力海南火力発電所という大規模な発生源があります。ちなみに、海南火力の公害防止協定を見る限りでも、排煙脱硫装置は四号機に設置するとあるが、一、二号機への設置は記述されておりません。排煙脱硝装置を一号機に設置したものに加え四号機、三号機に設置するとあるけれども、二号機は触れておられません。二酸化窒素に係る環境基準を達成・維持するため排煙脱硫装置等によって窒素酸化物の時間当たり排出量及び年度別排出量を決められ、逐次下げてきているけれども、海南火力の稼働状況、すなわちベース発電をとる海南火力の方がピーク対応型発電をしている御坊火力よりも窒素酸化物の排出量は何増倍も多いわけであります。さらに、海南火力と御坊火力による窒素酸化物の時間当たり及び年度別の排出量の違い、すなわち海南火力の方が極めて多い数値で決められているわけです。その上、和歌山石油精製の排出量だけとってみても御坊火力のそれよりも多いことなどをあわせ考えてみれば、海南の大気汚染状況は極めて好ましくないところにあると言わざるを得ないわけであります。
 医師会の疫学調査の結果から、学童のぜんそく様疾患の罹患率の高いのはここらあたりに原因しているのではないかと市民が受けとめているのも理由のあるところでしょう。適当な対応の必要ありと思うのですが、いかがなものでしょう。それに加えて、残渣油火力発電とあれば心配が先に立つのが当然であるというものです。県はこの心配を取り除くためにどのような取り組みをお考えいただいているのでしょうか、お尋ね申し上げます。
 以上申し上げたように、海南の大気汚染状況は他に比べて好ましいとは申すに至らないわけであります。こう申し上げて、市民が本能的に事あらば拒否反応を示すのはおわかりいただけるのではないでしょうか。しかも、電力事情や道路事情から、拒否ではなくて、疑問を明かしてくれ、心配のないようにしてくれと申されているのは、まさに成熟した市民運動の姿ではないでしょうか。
 法は、工場、事業所において事業活動に伴って発生するばい煙等の排出を個々に規制することを中心にして、全体として地域をトータルした状況把握をしたり対応することに十分とはなっていないのではないかと申し上げたいのであります。まさに複合汚染の危険から逃れられないというものでありましょう。
 大気汚染環境を測定し、的確に把握し、適切に対応する体制にあると申されるかもしれませんけれども、問題はなしとしないと思うのであります。それぞれの工場や事業所はそれなりに公害防止協定により規制を受け、基準値内にあるからといっても、全体を見たら海南の空は汚染されているということになりかねないわけであります。これをどうするかの観点からの対策を求めてやまないところであります。お考えをいただきたいと思います。
 二つ目の問題は、下津町戸坂の土取り跡に関連してのお話であります。
 マリーナシティ造成は直近のこの地に土取りを求めたことで、大いに当局は下津町に働きかけられたものであります。当時、せめて関西空港並みに土を買ってもらえとの声が地元にありましたね。それほどに下津町は、マリーナシティ造成に大きく貢献していると言わざるを得ません。あまつさえ、県の金ではないとはいえ、世界リゾート博で数十億円も利益を上げたということから見て、貢献した下津町が三十五億円の負債を抱えて年々一億円近くの利子の支払いを迫られるということはどう見ても理屈に合わないと、町民ならずとも思うのは当然でしょう。三セク方式で下津リゾート開発株式会社がこの事業を背負うということにして町当局には直接かかわりないこととはいえ、町民の感情からして許容されるものではありません。
 そこで、マリーナシティ造成に係る必要な土取り採取をした跡地、すなわち下津町戸坂の約十九万平方メートルの利用についての現状はどうなのか、まずお尋ね申し上げておきたいと思います。
 そこで、平成六年十二月定例議会で我が党の村岡県議の質問に当時の商工労働部長が答弁なさっているわけですが、それを見ると、当時は町と一体となって企業誘致活動に努めている、跡地利用につながる幹線道路が工事中である、地域内の上水道などインフラ整備と周辺跡地利用計画の具体化を進めていると申されているわけであります。しかし今日、幹線道路すなわち町道丸田戸坂線は下津町の手で整備も進められ、間もなく完成するようでありますが、見るところ一向に企業誘致が決まっていないとの話であります。
 三セクの構成員の一つ、浅川組から、跡地は土取り完了までに企業誘致が決定していないときは浅川組が用地を取得する、また、下津リゾート開発株式会社が目的を達成し存続する必要が消滅したときに、その時点において負債があるときは株式会社浅川組がそのすべてを負担するとの協定としているわけであります。縮めて言うと、事業が終わったその時点で企業誘致が決まっていなかったら、その跡地は浅川組が取得するということが一つと、企業誘致の事業が終わったときに負債がまだあった場合にはその負債の一切は浅川組が負担をするという、この二つの協定をしているわけであります。
 今日の時点から見たら、この協定によれば既に跡地は浅川組のものに成就しているというふうに見られないのかということであります。また、下津リゾート開発株式会社が存続する必要が消滅したときとはどんなときなのかと言えば、やはり企業誘致が終わってそのすべての土地に企業が誘致されてその事業が完成されたときだというふうに見るんですが、企業誘致はないと判断するときはいつなのか。かなり長いスタンスで物を見てとらないと、今日のバブルがはじけたそういう状況下では大変難しいことだとは思うけれども、三セクで下津リゾート開発株式会社を組織してこれに当たるようにしたのも、すなわち県──詳しく言えば企業局だと思いますが──の指導によるものであったのでしょう。県の燦黒潮リゾート構想に基づく唯一とも言える本事業に多大の貢献をしてきた一自治体、すなわち下津町にいつまでも犠牲を強いるかのようなやり方は感心したやり方ではないのではないか。企業誘致だけにご支援申し上げて、仕掛けた企業局──言葉が悪いかもわかりません──が背を向けているような様子がうかがえてなりませんが、これは今後の県行政を進めていく上では大変問題が残るのではないか。こういうふうにお伺いしながら、しかとしたご支援を考えていただき、強くそれを推し進めていただけるように、ご検討をお願い申し上げておきたいと思います。
 三番目。感染症O157、中でも農産物の検査対策についてであります。
 O157の感染源はカイワレが疑わしいと厚生大臣が述べたことから、一気にハウス園芸農家、特に養液栽培農家に攻撃が加わりました。大変でした。今にして思えば、厚生大臣の発表は、感染症に対する国民的関心と不安、警戒心の高まりに抗し切れずに、その高まりを何とか鎮静化させようとのことから矛先をカイワレに向けたという感が免れないわけであります。これは極めて政治的で、国民の不安、警戒心をカイワレに転化させようとしたものに思えてならなかったわけであります。その証拠に、その後においてもカイワレが感染源だとの確証もなく、検査結果は常にマイナスでありましたね。カイワレ生産農家から損害賠償の訴えを出されかねないところになっています。カイワレ生産農家の数が少ないことを考えれば、弱い者いじめでなかったかとさえ思えてならないわけであります。
 ところで、厚生大臣の発言から県内のハウス園芸農家の皆さんは塗炭の苦境に追い込められたわけであります。水耕栽培のミツバ、トマト、キュウリ等は市場や百貨店から厳しく敬遠され、ひどくは締め出されました。市場や百貨店から、公的機関の証明、検査結果をつけて出せと言われ、苦境に追いやられるあげくの果てに、収穫最盛期の作物を抜いてしまったとか、底値もつかず途方に暮れたという話をよく聞いたわけであります。公的機関の証明すなわち検査結果を求めて、検査を受け付けてくれる体制にないという点について随分悩み苦しまれておった状況を目の当たりにしたところであります。
 県の衛生公害研究センターは、まさにパニック状態であったらしい。それについて詳しく聞いたお話は、ここで申し上げたいところだけれども、それは差し控えることにいたします。そのことに当たった県の皆さんも大変だったと思う。県は初めてのことゆえ十分でなかったとはいえ、この経験から教訓を得て、いかなる事態にも対応できるよう強く求めておきたいわけであります。
 農家にとってみれば、農業者は相手にしてくれないのかと、惨めな苦境に立たされるわけであります。作物は農業者の分身だと考える。中でも、農作物の検査体制確立に力を尽くし、体制を整えていただきたいわけであります。これについてのしかとしたご答弁をお願い申し上げたいと思います。
 次に、鉄道高架事業と日方川改修にかかわってのお話です。
 海南市を東西に分断する鉄道により地場産業や市民生活の上で著しい障害を強いられているとして鉄道高架事業に着手されて久しいところですが、ようやくにして用地問題も全面解決し、全線高架に向けて事業が急速に進められています。今秋、上り車線で高架上を走るというところに来ていることは地元住民にとっては大きな喜びとするところでありますが、加えて、下り車線も供用開始に向け引き続きの努力を強くお願い申し上げながら、今日までの取り組みの中から幾つかの要求を申し上げたいと思います。
 その前に、上り車線供用開始に当たって市民は喜びを隠せないこととして、いろいろと夢を寄せているようですけれども、何か際立った喜びをあらわす催しを考えてくれているのか。あれば展望も交えてお聞きしたいと思います。
 さて、平成七年から鉄道高架に加えて日方川事業所を併設し、この事業の進捗に努めていただいているところですが、所長以下三名。無論、これに加えて地元市役所職員も加勢しています。これだけ大きな事業を進めていくのに、人が多ければいいというものではありませんけれども、鉄道高架事業が余りにも長い年月を要したことにかんがみ、事務所の体制強化を強く求めてやまないわけであります。日方川改修事業も同事務所でというのは、鉄道高架の見通しがついた段階でそうしたと言うのかもしれないけれども、日方川改修事業は鉄道高架のように手間暇かけてやるということにはならない。手際よくやる必要があると思います。住民の呼吸や目の色を見ながら事を進めていかないと、解決できるものまでもおくれてできないという事態に遭遇しかねません。
 県の出先機関は地元にというのが、私のだれにも譲れない考えであります。さきに海草県事務所についても当局にお考えを求めたと同じように、和歌山土木事務所の海草・海南に係る担当事務を行う上で現在の位置は効率的に県民にあまねく行き届く県政を推進するのに十分でないと思っているけれども、今後にわたって深く検討していく必要があるという点を申し上げたいわけであります。
 日方川改修に集中した取り組みを求めるところだが、さっぱり働きかけがないと住民は話されています。さわりかけてはとまり、とまってはやり出すということでは、効果的な取り組みは望めないわけであります。早期に完成するため、具体的に日方川事務所の体制強化を求めつつ、海草県事務所も含め、土木事務所等、出先機関は将来地元へまとめて移せと提起しておきたいわけであります。
 この機会に、過日、建設省が川底や護岸などを含め、コンクリートを一切使わず植物や木材などの代替素材で川岸を保護する、すなわち生態系が失われない、河川の自浄機能を保持するというような方針を決めたとのことでありまして、前に登壇された東山議員も申されておりましたが、念のために具体的にお聞き申し上げておきたいと思うんですけれども、この手法を日方川の改修事業にも適用するお考えになっているのか、参考までにお聞きしたいと思います。
 次に、道路整備についてであります。毎議会申し上げていますけれども、一定のめどがつくまでつかんで離さない気持ちでこれを続けてまいります。
 県道海南金屋線の整備促進についてであります。
 誇張ではないけれども、ひどいときには地域住民が道を挟んで向かいの家にさえ渡れないという状況であります。通り抜けの車が圧倒的に多い。ジュース缶やコーヒー缶が道路に投棄されて極めて迷惑だ。坂道にかかるとエンジンを吹かされ、排気ガスで洗濯物が汚れるし、民家の中に充満する。整備の見通しがつけられないのなら、通り抜けの車だけでも交わす道を早くつけてほしい。地域住民だけなれば現道で十分だというふうなことさえ言われているわけであります。あわせて、有田郡金屋町側はほぼ完成に近い、海南側のおくれはなぜなのかとの声が強いわけであります。
 重根・田津原間の都市計画街路は、いろいろ事情があるようですけれども、それにあわせて別所に向いてのしかとした整備計画をお示しになっていない。待避所をつくって対応するというふうなのが今までの当局の皆さんの議会答弁の態度でした。それでは説得力がない。入り口に当たる重根・田津原間の都市計画街路を、いろいろ問題があったとしてもそれをやり切るとするならば、全線に向かって、別所地区の方を向いても計画方針を持って、だからこそこれをこうしたいんだというふうな提起をして地域住民の協力と説得にかからないと前には進まないのではないかと考えるわけであります。しかとした対応を示されたいわけであります。
 二つ目は、県道小野田内原線、海南秋月線、海南岩出線の三線が重なっている箇所──前にも議会で申し上げました──且来の交差点から亀の川の紺屋橋までの間、二百メートルばかりについて、速やかに着手されたいわけであります。紺屋橋から北、多田地区への波及効果が大いに期待できると思っているわけであります。
 今、この紺屋橋と且来間の二百メートルの区間をそのまま長期にわたって促進しないとするならば、あの海南秋月線の整備促進は望めない、地域住民の気持ちにも乗ってこないであろう、こういうふうにも申し上げながら、しかとしたご答弁を申し上げて、第一回目の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 中山議員にお答えをいたします。
 大気汚染防止対策についてでございますが、工場、事業場の規制については、大気汚染防止法に基づく施設ごとの通常の規制のほかに、海南市等の区域については硫黄酸化物の総量規制を行うとともに、和歌山石油精製株式会社海南精油所や関西電力株式会社海南発電所については、公害防止協定により所要の公害防止設備を設置させ排出量の抑制を図るなど、必要な対応を行ってございます。
 海南市の大気環境の状況については、テレメーターシステムによる常時監視結果によりますと、二酸化硫黄、二酸化窒素等については、健康の保護にとって望ましい基準として環境基本法に定められている環境基準を十分下回ってございます。
 今後も大気環境の常時監視により環境基準の達成状況を把握するとともに、和歌山石油精製株式会社の発電設備計画については公害防止協定の運用の中で、また海南湯浅道路の四車線計画については環境影響評価の実施の中で、必要な環境保全対策を講じさせるなど、適切な対応を図ってまいります。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 下津町戸坂の土砂採取跡地に関連してのご質問にお答えいたします。
 土取り跡地利用については、下津町としては地域活性化のためリゾート関連施設を誘致することとしてございまして、現在、取りつけ道路、敷地内道路、水道設備等のインフラ整備が整いつつございます。県としても町と一体となってリゾート関連企業の誘致活動を進めてきたところでございまして、現在、数社からの立地希望があると把握してございます。
 今後も企業立地説明会においてPRをするなど、積極的に誘致活動を支援してまいりたいと考えてございます。
○副議長(下川俊樹君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 病原性大腸菌157七に伴う農産物の検査についてでございます。
 一般に、大腸菌は動物腸内細菌の一種であり、野菜自体が大腸菌に感染することや保有することはあり得ませんが、去る八月七日、厚生省の中間報告でカイワレダイコンが原因食材とは断定できないがその可能性も否定できないと公表されて以来、一挙に野菜の安全性に関心が高まってまいりました。
 県においても、カイワレダイコンと同様な栽培方法を行っているミツバ、レタス、ネギなどの養液栽培を中心に現在まで十四種類の野菜の自主検査を実施し、すべて陰性の結果となってございます。今後、このような不測の事態に際しては、公的検査機関との連携のもと、農林水産部においても検査ができる対応策を講じ、本県の農家経営の安定に努めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 中山議員にお答えいたします。
 海南駅連続立体交差事業は、新宮方面行きの上り線で平成八年十月二十八日の始発列車より高架上を走行することとなっており、天王寺方面行きの下り線についても引き続き工事を進め、平成十年度の完成を目指しております。
 供用に伴う催し等についてでございますが、今回は予定しておりませんが、全体が完成するときに地元市と相談したいと考えております。
 次に日方川の改修については、慢性的な浸水被害が発生しているため、昨年度、床上浸水対策特別緊急事業に採択していただき、強力に推進するため、従来の海南鉄道高架建設事務所を鉄道高架・日方川事務所に組織改革を行ったところであります。今後とも、地元の皆様の協力を得ながら、早期完成に向けなお一層努力してまいります。
 また、建設省河川局の改修方法については、本県でも生態系等に配慮した川づくりを行う必要があると認識しており、日方川改修についてもこのような考えで取り組んでまいりたいと考えております。
 県道海南金屋線の改良については、金屋町側は概成しておりますが、ご質問の海南市側については最近特に交通量も多くなっており、早期に整備を進める必要があると考えております。
 重根から田津原橋までの間については都市計画決定されているところであり、今後、現地測量の着手に向け、地元同意が得られるよう説明会を行ってまいりたいと考えております。
 田津原橋から扱沢までの区間については、当面の対策として待避所設置等の現道対策を進めていく考えでございますが、重根から田津原橋区間の事業進捗を見ながら本格的な整備の検討も行ってまいります。
 次に、亀川地区内の三路線が重複している区間でありますが、この区間の両端の交差点部については平成七年度に整備が完了しております。残る中間部分についても、現道拡幅計画をもとに現在現地測量を進めているところであり、いずれにしましても、海南市、地元関係者のご協力を得ながら早期事業完成に向け努力してまいります。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 32番中山 豊君。
○中山 豊君 答弁をいただきました。
 質問というよりも、むしろご要望を申し上げて、課題解決に当局の皆さんのご努力を促したいと思います。
 大気汚染防止対策についてですが、環境基準を十分下回っておるとか、あるいはまた排出量の抑制を図るなど必要な対応を行っておると申されつつも、和歌山石油精製株式会社の発電設備計画や海南湯浅道路の四車線化に伴う問題とかについては環境保全対策を講じるなど、環境基準の達成と維持ができるように適切な対応をしていきたいというふうに述べられました。和歌山石油精製株式会社と四車線化の問題についてはそのようにお進めいただくにしても、十分下回っているとか必要な対応を行っておるとかと言われても、市民は納得しないと申さざるを得ないわけであります。
 先ほども登壇して申し上げましたように、和歌山石油精製の窒素酸化物だけに限ってみたとしても、御坊火力よりも基準が緩いわけであります。あわせて、海南火力も窒素酸化物の装置が四号機だけに使われて一、二、三号機についていない状況などを見るにつけ、現にこういうことなんだと市民が自分の体を通して受けとめておる問題に対して、議場を通じてそのように申されたとしても納得しないわけであります。
 それで、この疑問に答えるとするならばどうしなければならんかということをシビアに検討していただかなければならないであろう。基準値の問題とか公害防止協定の内容の問題等についての調査及び検討が迫られているであろうというふうに申し上げて、これらへの取り組みを促しておきたいと思います。
 下津町の戸坂の土取り跡に関連してですけれども、企業誘致の現段階での話はわかりました。しかし、三セクの下津リゾート開発株式会社と浅川組との協定の成就についてと、負債や利子負担について一切が下津リゾート開発株式会社が判断し決定すべき事柄で、企業誘致だけをお伝え申し上げたらというふうなことだけでは、ちょっと理解に苦しむ。そもそもが県すなわち企業局の仕掛けと働きかけで、下津町もそれではということで始められた事業であるからには、それなりに面倒を見なさるのが筋であろうと言わざるを得ないわけであります。大いにこだわりを感じながら申し上げて、今後の県行政についていけないなどというような感じを県民に与えさせないような的確なお取り組みをお願い申し上げておきたいと思います。
 感染症の問題ですが、これはやっぱり痛い目をさせられたら知恵が回るということなのか、思い切って決断もつきやすいということなのか、これは立派だよ。感染症に対する取り組みの中から教訓を得て、農産物の検査体制を確立強化して今後に備えていくというんだろう。これは、今までの皆さんの答弁から見たら一番光っているわ。これは評価したい。ただ単に中山が評価するんじゃなくて、一番喜ぶのは農業者よ。あれだけ苦境に立たされて、にっちもさっちもならないという立場に立たされた農業者が、万が一今後においてこういうふうな問題が起こったとしたら、今度は県が検査をし、面倒を見てくれるという。これは安心するよ。心置きなく農業に携われることになるから。
 農林水産部長だけが光っているということで物を申していることでないだけに、こういうふうな取り組みでこそ、県の行政を進めていっていただきたい。ローカルな課題を取り上げたことのねらいも、シビアにそういう施策が当局の皆さんから返ってくるであろうということを期待したからで、特にこのたび五点にわたってローカルな課題を取り上げたのもここにあるわけです。それだけに、この答弁は立派。評価しておきたい。
 次に、海南・海草に係る県政の出先機関、すなわち県事務所、土木事務所等にかかわるお話ですけれども、これはいつの機会か改めて明確な答弁をいただけるように質問を用意するから、きょうはこれで終わりたいと思います。
 以上、申し上げて終わります。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 一年ぶりの登壇でございます。
 ことしの夏は、殊のほか暑うございました。近代オリンピック百年、世界各地から史上最多の百九十七カ国の人々が参加してアメリカ・アトランタで開催され、数々の熱闘で私たちに感動を与えてくれましたが、寝不足になった夏でもありました。期待された日本選手団も不振に終わりましたが、そんな中で本県出身の、野球チームの杉浦選手が銀メダル、レスリングの太田選手が銅メダルを獲得したことは、県民の誇りとしてその健闘をたたえるものであります。
 全国的には、医者の倫理を問われている薬害エイズ問題、病原性大腸菌O157による集団食中毒事件等が起こりました。県内では、和歌山医大附属病院で起きた乳幼児覚せい剤混入事件、同医大職員の贈収賄事件に次ぐ県職員や教職員の不祥事件、住友金属西防波堤沖埋め立て完成問題等が注目されるニュースで、話題に事欠かない夏でもありました。
 通告に従って順次質問に入りますが、明確な答弁を求めます。
 まず、知事選挙を振り返って知事にお伺いいたします。
 昨年十一月執行された和歌山県知事選挙で、初当選されました。改めてお祝いを申し上げます。あなたは知事選出馬を決意されるや、職を辞され、「私の涙は知事として初登庁のときに流す」との名言を残し、県下五十市町村を回る行脚の旅に出られました。多くの県民と出会い、足を踏み入れたことのなかった地方へも行かれ、感じることも多かったでありましょう。一年余りの功成って、厳しい選挙戦に勝って見事当選されました。県民の良識が勝ったのであります。就任以来、まじめでそつなく県民にこたえているというのが県民の評価であります。
 本論に入る前に、国土庁が発表した一九九五年の「過疎白書」のまとめを少し申し上げますと、過疎市町村は全国で四十一市七百七十四町三百八十四村、全国市町村数の三七・一%になります。面積は四七・七%と半数近くを占めながら人口はわずか六・一%で、全国平均三万八千八百二十一人に対し六千四百二十五人で六分の一の状況であります。人口の減少率は六五年から七〇年の一三・一%をピークに鈍化の傾向にあり、人口増の市町村も百十団体となっておりますが、企業立地は九三年度以降は減る一方となってございます。自然との共生志向も反映して観光客は少しふえているようでございます。
 本論に入りますが、知事選挙の投票結果を見ますと、前段申し上げました過疎の見本とも言える伊都郡花園村では西口四百二十三票、得票率八五%、東牟婁郡北山村では西口三百五十二票、得票率七〇%と圧倒的な数値を示しており、候補者五人中、得票ゼロの人もあります。この数字を見ましても、いかにあなたに対する期待が大きいかということを如実にあらわしていると思うのであります。
 今、最も必要な行政の基本は、過疎・高齢化対策であると思います。この過疎と高齢化対策にどう取り組まれるのか、お伺いいたします。
 知事、あなたは県庁生活四十年、県庁の生き字引とも言われている人であります。就任早々、庁内の機構改革を行われました。今は行政改革が言われている時代であります。中央との関係や時代に合った名称も必要かもしれませんけれども、要は内容と取り組む姿勢であります。私は、過疎・高齢を中心とした対策室でも新設するのかと期待していたものであります。過疎を中心に申し上げましたが、今の県政全般を見るとき、数多くある団体や各種委員会、諮問機関等の抜本的な見直しを図る中で、時代を先取りするような組織がえをすべきと考えるものであります。知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、和歌山医大覚せい剤混入事件であります。
 私がこの事件を知ったのは、六月定例議会の最終日でありました。最初直観したのは、「なぜ」ということでありました。明けて十二日、各紙の朝刊とNHKを初めとするテレビの報道で全国に知れ渡った不祥事であります。内容が報道されるにつれ、県民のこの事件に対する見方も、県内最高の医療機関である医大でなぜという見方でありました。
 県警の発表によりますと、七月十日に医大から届け出を受け、県警捜査一課に五十名の捜査班を設置し、関係者からの事情聴取、現場調査・確認、薬物検査等を通じてわかったことは、発生したのは七月七日の夜から八日早朝にかけて、小児科で四人の乳幼児に薬物中毒症状が発生したという事件であります。事件発生後、警察に届け出たのは十日で、届け出が二日半おくれたことに「なぜ」という疑問があります。
 県警の薬物検査の結果で覚せい剤と判明したのでありますが、この覚せい剤は素人では手に入れるのが非常に困難な代物で、病院には置いていないということ。だから、ここにも「なぜ」があります。
 四人の乳幼児が症状を起こした八日午後、原因調査のためにそれぞれ三ccの採血をした四本のうち二本が盗難に遭ったことが県警の捜査で判明。ここにも「なぜ」ということがあります。
 県警は届け出を受けてから病院関係者や入院患者の尿の任意提出を受けて検査したところ、一人に覚せい剤反応が確認されたとしてございます。その覚せい剤は一グラム当たり十七、八万円もする高価なものと判明してございます。かような高価な覚せい剤をどのようなルートで手に入れたのか。ここにも、「なぜ」、「どこから」という疑問があります。
 ミステリー的な和医大覚せい剤混入事件が発生して一カ月後の八月八日になっても、密室での犯行からか、確証は得られず、早くも迷宮入りかとささやかれ始めたのであります。被害者である四人の乳幼児には後遺症もなく、退院者二名、入院中二名と、快方に向かっていることは不幸中の幸いであります。
 ちょうど、この事件と前後して薬害エイズ事件やO157事件で全国が大騒動となり、忘れ去られたかのように新聞報道やテレビニュースからも消えてしまいました。この事件は医大の信用失墜と警察の捜査に対する大きな不信を残して夏が終わったのでありますが、事件発生現場に勤務する医師や看護婦さんの心中を思うとき、事件解明と信用回復を急がなければなりません。
 そこで、以下の点について病院長にお伺いいたします。事件発生状況と対応、警察への届け出が遅かった理由、検査機器の整備、検査用採血二本盗難のその後、各病棟の管理体制。
 警察本部長にお伺いいたします。ただいま質問いたしました中の「なぜ」という疑問点を中心に、届け出以降の捜査状況と見通しについてお伺いいたします。
 大阪湾環状道路(湾岸道路)の南伸整備についてであります。
 今年の暑い夏に、日本のハイクラスの人々が避暑に行く軽井沢で、日本経済界のトップクラスのセミナーがありました。そこで、「公共道路事業は本来の社会資本整備から外れている。過疎地にむだな道路ばかりつくっている。道路事業を見直せ」と、オリックスという会社の宮内社長が発言したというニュースを見ました。この発言は暑さのゆえと聞き流すわけにはまいりません。道路は文化を運ぶ、道路は地域発展の根幹をなすと、みんなが苦労しているのに、この社長さんは目先の景気と企業の業績向上以外は重要でないとお考えでありましょうか。もしこの社長さんと話す機会があれば、あなたは孫悟空のように空を飛んでいるのかと皮肉ってやりたいほど腹が立った事件であります。
 大阪湾岸道路のこの路線は、京阪神と関西国際空港を連結するという目的で阪神高速道路公団によって突貫工事で進められ、関空開港と同時に供用されて、大変便利に供与されております。残りの関空から和歌山市まで南伸するための現地調査が進められていると聞いておりますが、現時点での状況をお伺いいたします。
 今、和歌山県は太平洋新国土軸の道路計画への明確な位置づけ、紀淡連絡道路計画の推進に知事を先頭に猛運動を展開しているところであります。しかし、この路線の運動はいま一つの感がするのであります。
 このルートについて、次のような話があります。昨年の和歌山市長選挙に橋本龍太郎総裁が応援に来てくれました。私は党の命を受けて送迎の大役を務めたのでありますが、和歌山駅頭での街頭演説会を終えて高速自動車道を経て関西空港からお帰りになりました。空港での二十分ほどの待ち時間に総裁は、昨年十一月十六日から十九日まで大阪市で開催されたAPECの裏話を聞かせてくださいました。このような国際会議はほとんど東京と京都で行われてきたのでございますが、大阪では初めてということで、随行者──ご婦人──の接待に大変なご苦労があったようでございます。このとき、大阪を立って一日コースのプランを幾つもつくったそうでありますが、その中に和歌山から高野山というコースもあったそうでございます。豊かな自然と仏都高野山ということで、橋本総裁も推薦してくださった様子でしたが、道がないということでだめになったということであります。このときのコースは、大阪黒門市場、鶴見緑地公園、京都西陣織でありましたが、好評を博したのは黒門市場と西陣の機織りだそうであります。食べ物では、横山ノック大阪府知事推奨のタコ焼きが大好評であったそうです。
 このような場合、同じ道を往復しないというのが原則のようであります。別れ際に、「これからは大阪でもこのような会議がたびたび開かれるだろうから、早く湾岸道路を和歌山へ伸ばそうよ。私もお手伝いするよ」と、力強く握手をしてくれたその感激は今も忘れないのであります。
 大阪市は、二〇〇八年のオリンピック開催に立候補することを決議し、九月五日にJOC(日本オリンピック委員会)に立候補申請書を提出してございます。開催が決定すれば、あと十年です。十年一昔と申しますが、現在では五年ほどの感覚でありましょう。このようなことは早いほどよいのでありますが、土木部長の答弁を求めます。
 次に、国道四百二十四号美山村地内の改良についてであります。
 本線は那賀郡打田町を起点に中山間地を通って田辺市に通ずる二級国道でありますが、平成五年七月の林道水上栃谷線の開通で国道三百十一号と通じ、本宮町で国道百六十八号と結んだことによって、新宮方面からこのルートを利用することが時間短縮となりました。さらに、平成六年五月の金屋町・美山村間の白馬トンネル開通によって、またさらに時間が短縮され、利用者が急増しました。
 しかし、まだまだ改修を要するところや狭隘な箇所が多くございます。その中で、美山村越方発電所の越方堰堤から上流一キロメートルほどが特に狭隘でありまして、一方が山、一方がダムという危険な箇所であります。ここは子供たちの通学道路であり、車と対向するときは山側の溝の中へ避難している状況でございます。子供たちの通学安全を願って父兄がその対策を村議会に請願を提出し、村と一体となってその実現に取り組んでいるところでありますが、三年たった今も一向にらちがあかず、父兄から県は何をしているのかと直訴されることたびたびであります。事故が発生してからでは遅過ぎます。先手必勝であります。この点について土木部長の答弁を求めます。
 続いて、第四次和歌山下津港港湾計画についてであります。
 平成七年度をめどに第四次和歌山下津港港湾計画を策定する和歌山下津港港湾整備構想調査委員会──藤野慎吾さんという方が委員長だそうでございます──で検討されておりますが、その計画と内容と委員のメンバーをお聞かせいただきたいと思います。
 お聞きするところによりますと、その委員会では第四次港湾計画では住金の埋立地用途の見直しは行わないとの方針を明らかにしておりましたが、県側は計画で埋立地利用を見直すと変更しておると言います。その点はいかがでございますか。この点についても土木部長の答弁を求めます。
 最後に、住友金属和歌山製鉄所埋め立て問題についてお伺いいたします。
 この埋め立て問題については、本会議場で多くの先輩や同僚から何回となく取り上げられ、その完成を待ってきたのでありますが、大幅な期間延長からおくれにおくれて今年八月二十六日竣功となっておりましたところ、直前の四日前にさらに平成十一年三月までの二年七カ月の延伸願が提出されました。私は、常々、この埋め立てに関心を持っておりました。この埋立計画の経緯と進捗状況を、年次を追って質問いたします。
 昭和四十六年六月議会で公害問題として初めて取り上げられておりますが、当時の河西地区上空は大気汚染で赤茶けた空であったことを今も鮮明に覚えております。昭和四十七年七月に住金が埋立計画を発表、それを受けて昭和四十七年十一月、和歌山下津港整備審議会──現在の和歌山地方港湾審議会でありますが──の初会議が開催され、自後三回、合計四回開かれております。北別館で開催された会場に埋め立て反対の漁民や住民が押しかけ、流血騒動のあったことが当時の新聞紙上に報道されてございます。また、当時の模様を何人かの委員の方からお話も伺いました。
 昭和四十九年、中央港湾審議会の答申を受けて、和歌山下津港湾の埋め立て、本計画が告示されてございます。住金は昭和五十三年八月、公有水面埋立免許を受け、同年八月二十七日に第一工区が着工され、当時の新聞によりますと、「取り戻せるか青空」、「公害は追放、景気は戻れ」、「公害部門、市街地から離す」、「労使協調をたたえる」、これらの活字が見えます。
 本埋立計画は、公害工場沖出し、鉱石や石炭の原料ヤード、コークス炉、鉱滓処理場として住工の分離を図ることを基本目的として、瀬戸内海環境保全特別措置法の厳重な埋立規制の例外として許可されたものであります。また、埋立計画の中に河西緩衝緑化事業があります。緑地を充実して周辺地域の自然環境保全を図る事業としています。
 私は、この事業は埋立免許の条件として住金に義務づけられたものと認識しているものであります。埋立計画申請書に緑化目標として、公害発生源(和歌山住金)対策の補完的なものとして樹木の生物学的作用による大気浄化効果がある緑地を充実し、周辺地域の自然環境保全に力を入れなければならない、工場敷地と住居敷地の間に緩衝緑地を設置するとして、住金単独事業として位置づけて始まった本事業が、いつの間に公害防止事業団になったのか、この点をお伺いします。維持管理も住金から財団法人和歌山公園緑地協会となり、県費も出していると聞くのでありますが、なぜ企業の負担をしなければならないのか、この点もお伺いいたします。
 この事業は、実施段階で百八億円で実施されてございますが、事業の分担を見ますと、国庫補助金、公害防止事業団からの支出金が約二十九億円、和歌山県の支出金が約三十九億円、住友金属が約四十億円となっております。もし埋め立て中止や転売となった場合、これらに支出した国、県の公金約六十八億円は返還されるものでありましょうか、この点についてもお伺いいたします。
 第一工区は、免許どおり昭和五十八年十一月二十六日に完成し、翌五十九年二月二十五日竣功認可されております。引き続き二工区、三工区の埋立事業が続行しておりましたが、二工区の完成がおくれておりますので、昭和六十一年二月議会で私はこの問題を取り上げ、住金だけの事情で中止とか延伸という合理化政策による契約の不履行は許されるものではないと、当局の考えをただしております。私の質問から四カ月後の七月に、二工区、三工区の埋立期間伸長許可申請がおりてございます。
 平成三年五月二十七日、突然、埋立地内の二、三工区のうち百ヘクタールを関西電力へ転売との計画を記者発表いたしました。その席上、ばいじん、窒素、硫黄酸化物の量、悪臭、騒音、振動など公害防止協定による環境改善目標値に適合していると発表していますが、平成三年九月発表の和歌山県「環境白書」には公害があるとしています。この時点では二工区も三工区もまだ公有水面であり、住金の所有物ではございません。所有権を得られたのは、埋め立て完成、竣功認可の告示された平成四年十一月であります。公害施設沖出しという目的で瀬戸内海環境保全特別措置法で特別に認められたその基本を忘れ、許認可者である県知事を差しおいてぬけぬけと民民の取引をし、行政を軽視した住金の行為は断じて許されるべきものではありません。同日の新聞のコメントに仮谷知事の談話として、我が国における鉄鋼情勢変化の影響があるとはいえ、計画見直しは極めて遺憾であるとしております。激しい住民の反対を押し切って埋め立て同意をした仮谷知事の心中を思うとき、住金の得手勝手な倫理をわきまえない企業の横暴に無念のほぞをかんだことでありましょう。
 沖出し中止発表以来、地元の住金にだまされた、約束を守れの厳しい糾弾と世論の批判と学識者の違法的見解から、急遽、平成六年三月末に住金西防波堤沖埋立地利用計画見直しなる書類を県に提出してきました。またも住金の得手勝手で見直しを申し入れてきましたが、不要であれば埋め立て中止手続をとるべきであります。にもかかわらず、第三工区の期間延長を申し出て埋め立てを続行している状態であります。言行不一致きわまりない行為であります。
 平成三年五月二十七日、住金が一方的に沖出し中止を発表してから、住金工場周辺の自治会や住民グループの「約束を守れ」、「中止反対」の声が燎原の火のごとく広がり、住金公害問題発生以来初めて対本社交渉を行ったと当時の新聞が報道してございます。住金は埋め立て同意を求めたとき、地元自治会に西防埋立地沖出しに将来何らかの事由で計画を変更せざるを得ない事態が生じた場合は事前にご説明を申し上げますという文書を、当時の環境管理部長名で交わしてございます。
 沖出し中止発表後、住金は隣接地の松江、湊、木ノ本、野崎、西脇の連合自治会の同意を得るべく役職員総出で同意を求めに回ったことは、当時私も住金の幹部から聞きました。住金は関係する自治会の同意を得たとして和歌山市と県に地元同意の報告をしたとしておりますが、和歌山市は議会公害対策委員会の席上、報告を受けたことを明らかにしております。県は、電話で報告を受けたとか、近く事情を聞くとか、住民合意の必要はないとも言ったそうでありますが、住金から同意について事情を聞いたのか、報告書が届いているのか、地元合意は不要なのか。私の調査では届いていないと思いますが、この点について生活文化部長の答弁を求めます。
 公害対策については、五基あった高炉のうち三基を休止して、乾燥式消化方法を講じ、建屋を覆う集じん施設をつくることによって九〇%解消できると説明しておりますが、県はこれを理解し了としておるのか、この点もお伺いいたします。
 住金からの西防波堤の埋立地利用計画見直しの要請を受けて、県は知事の諮問機関として検討委員会を設置しました。委員は七名で構成されており、内訳は四名が工学部教授、一名が経済学部教授と地理学名誉教授と県からの学識経験者であり、いずれもその道の見識者でありますが、法律の面から検討する法学者が一名もなく、利用計画というよりも関電LNG火力発電所建設を前提とした御用委員会的性格のものと思うのであります。
 平成六年十二月、中間報告が提出されました。八項目にまとめ、利用計画の整合性を検討されております。この中間報告を受けて、平成七年四月に関西電力が環境影響調査を始めております。そして平成七年十二月に検討委員会の最終報告書が知事あて提出されましたが、西口知事が就任された直後でございます。最終結論として、一工区を住金が使用、二工区は関電LNG火力発電所建設、三工区は県有地として公共利用するという報告でございます。
 平成八年八月二十六日が第三工区の竣功期限であります。期日の四日前の八月二十二日、再々延長願が出てきております。理由は、埋立地の用途変更について県の手続が確定するためとしていますが、またも住金の得手勝手で、発電事業が公益事業であることを前面に立て、関電LNG発電所建設を既定の事実のようにして知事の裁量権が与えられるようにする時間稼ぎと思うのであります。
 以上、私が見た住金埋め立ての二十五年間のはしょった経過でありますが、以下、質問項目を申し上げます。
 日本は、法治国家であります。この住金の勝手気ままな行為を免許者として何と見るか。沖出し中止発表は事前に県に通知があったのかなかったのか。
 二番目。県は埋め立て開始から今日までに住金に対してどのような法的指導をしてきたのか。
 三番目、瀬戸内法、埋立法をクリアできますか。
 四番目、公害問題は完全に解消できるか。
 五、LNG発電所は無公害施設と見るか。
 六、地元同意、公害対策について必要がないのか。
 七、第四次港湾計画の内容について。
 八、県地方港湾審議会をなぜ開かなかったのか。この審議会は昭和四十八年九月十七日以降一回も開かれていないのに、和歌山下津港港湾整備構想委員会、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会なるものをつくり、屋上屋を架すようなものと考えます。前段で申し上げましたが、流血騒動の中で西防埋め立て問題を審議したのが、当時の和歌山下津港整備審議会であります。この県地方港湾審議会に諮り、議論、検討して県民の意見統一を図るのが第一であります。さらに専門的、学術的、法的に必要とあれば、そこで検討委員会なり構想委員会なるものを設置するのが本筋であろうと思うのであります。主客転倒しています。当局は余りにも御用学者に頼り過ぎで、今回の住金対関電の問題も、民民の商取引が先走りをしている常識なき振る舞いに対し、県は毅然たる態度をとるべきであります。
 九、緩衝緑地整備事業について。
 十、北防、南防の着工はいつか。防波堤というのは、港湾機能を果たす最も基本になるものであります。まして、紀伊水道に面したこの港で、防波堤なしでは埠頭の諸機能は不可能であります。西防埋め立て第三工区工事竣功期間伸長許可申請書に、伸長理由として埋立地利用と密接に関係している桟橋等を施工することができないためとしてありますが、この桟橋等というのは、原料桟橋と南北各百メートルの防波堤であります。またも住金の得手勝手でこの防波堤建設を埋立利用者に転嫁しようとする何物でもありません。公有水面埋立法第二十二条に違反する行為であります。
 十一、公有水面埋立法第二十七条(通達第千五百八十一号)を適用する場合、県議会に知事として諮るのかどうか。この条項と通達は、知事が公共性、公益性を認めた場合、譲渡が可能としています。いわゆる知事の裁量権であります。賢明なる西口知事ですから既にお見通しのことと思いますが、埋立地の用途変更、譲渡の法規則、住金和歌山製鉄所沖出し中止、関電LNG発電所誘致問題と題して行政法の権威者である神戸大学阿部泰隆教授が長文の論文を発表されています。この質問をするに当たり、資料を集め、多くの人々からお話も伺いましたが、当局の皆さん方は、こんな大事なことは当然議会に諮りますとのことでありました。県民の声を聞くという意味から私も当然とは思いますが、知事のご所見をお伺いするものであります。
 ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下秀男議員にお答えをいたしたいと思います。
 まず、知事選挙の結果についてどう思うかというお尋ねでございますけれども、お話がございましたように、私は一昨年、副知事を辞職いたしまして、約一年間、県内各地を歩いたわけでありますが、その間に県民の方々とひざ突き合わせて意見を交わし、対応をさせていただく中で、私の県政に関する考え方なり私の訴えに対しご理解をいただきまして、花園村、北山村に見るような結果につながったのではないかと考えております。改めて、私に対する期待の大きさと、同時に知事としての重責を痛感しておるところでございます。
 私は、地域づくりの基本は、すべての地域がそれぞれの魅力を発揮し、そこに住むすべての方々が心から住んでよかったと思えるような地域づくりにあると思っております。そうした認識のもとで、過疎地域の振興策としては交通・通信体系の整備、あるいは生活産業基盤の整備が基本であると考えておりまして、各種施策を進めてきたところでございます。さらに今年度からは、新しい視点での過疎対策として山村21創造事業などの県単独事業を創設いたしまして、グリーンツーリズムの推進、あるいは地場産業の振興、高齢者の労働環境の改善、それに若者の定住促進などに積極的に取り組んでいるところでございます。
 また、高齢化の問題については、本県の高齢化率は全国平均よりも十年早く進んでおりまして、大変重要な課題であると存じております。特に過疎地域ほど高齢化が進み、過疎町村が高齢化率の上位を占めている状況でございます。そうした中で、とりわけひとり暮らしや寝たきり老人等に対する在宅施設サービスの基盤整備の一層の充実を図りますとともに、生きがい対策として高齢者が培ってきた知識、経験、そういったものを地域で生かすことのできる施策を進めていきたいと思っております。
 次に、庁内の行政改革についてであります。
 本年四月に県民の立場に立って本庁組織の大規模な再編を実施いたしました。その際、県政における過疎・高齢化対策の重要性を考えた上で、今日的な課題に対応するために従来の山村対策課、高齢社会政策課の組織、所掌する事務事業を拡充強化いたしまして、名称についても内容にふさわしいものとして、山村振興課並びに長寿社会推進課としたわけでございます。しかし、いずれの課題も総合政策が必要な行政課題でありますので、今後とも県政の総合的な立場で積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、県政の一端を担う公社、財団などの外郭団体、諮問機関等についても、設置目的、果たすべき役割を明確にし、その実現のための見直しを強力に進めますとともに、地方機関等についても積極的な見直しをこれから行っていきたい、そのように考えております。
 次に、住金埋め立てに関連するご質問でありますが、約十一項目にわたってのご質問がございました。それぞれの項目について関係部長からお答えをしますけれども、最終、私に対するご質問でございました公有水面埋立法第二十七条の許可に関連してのご質問でございます。
 やや事務的になりますけれども、少しご説明をいたしますと、西防波堤沖埋立地への電力の立地については、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の平成六年十一月の中間報告に基づき、現在、事業者により環境影響調査が進められているところでございます。今後、所要の手続を経て最終的には国の電源開発調整審議会の場で審議されることになりますけれども、県としては、従来から申し上げている電源立地の基本的な考え方に基づき、地域振興の立場から対応してまいりたいと考えてございます。
 その結果、電力の立地が確定した場合には公有水面埋立法第二十七条の所有権移転許可申請が出されることになるわけであります。しかし、同法の規定に基づき、権利の移転により不当に受益しないか等について慎重に審査をいたしまして、適正な判断をしてまいりたいと考えております。
 なお、この件については議決事項ではございませんけれども、県議会とも十分連携をとりながら適宜対処してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 以上であります。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 木下秀男議員のご質問にお答えいたします。
 まず、大阪湾岸道路についてでございます。
 大阪湾岸道路については、現在、大阪湾ベイエリアの各地域を連絡する大阪湾環状道路の一環として阪神高速道路湾岸線があります。この湾岸線の南伸については、紀淡連絡道路を含め大阪湾環状交通体系の形成に不可欠な道路であり、本県としても機会あるごとに国に要望しておりますが、今後ともコスモパーク加太、和歌山下津港等の地域整備を視野に入れ、早期具体化に向けた調査を引き続き国に対して強く働きかけてまいります。
 次に、国道四百二十四号美山村地内の改良についてでございます。
 国道四百二十四号の美山村内の改良計画についてでございますが、越方ダム付近から熊野川地区にかけては幅員狭小で大型車が対向できない状況にあり、早急に整備をする必要があると考えております。なお、当地域は公図が混乱していることもあり、早期に公図訂正の作業を進め、用地買収を実施し、現道拡幅の工事に着手したいと考えております。
 次に、下津港湾計画の委員のメンバーと今日までの検討内容についてでございます。
 和歌山下津港の港湾計画についてでございますが、現在の港湾計画は昭和六十年八月におおむね平成七年を目標年次として策定されておりますが、その後の和歌山下津港を取り巻く情勢の変化を踏まえて平成三年度より計画改定のための基礎調査を開始したところでございます。港湾計画の改定に当たっては各種の調査検討を行っており、その一環として社団法人日本港湾協会にも調査を委託しております。日本港湾協会は、幅広い意見を集約した計画とするために、学識経験者六名、港湾利用者・地元関係者五名及び関係行政機関十名で和歌山下津港港湾整備構想調査委員会を組織し、多方面からの意見をいただいているところでございます。
 委員会は現在まで二回開催されておりまして、検討内容としては、一回目が和歌山下津港の現況の整理、二回目は整備の主要課題等の整理が行われたところでございます。なお、その間に平成六年三月に住友金属工業株式会社が沖合移転を中止し、埋立地の新たな土地利用を公共性、公益性の観点から県において検討してほしい旨申し出があったため、県としては遺憾ではあるがやむを得ないと判断し、新たな西防波堤沖埋立地の土地利用の検討に着手したものであります。
 一方、港湾計画改定作業の今後の予定については、和歌山下津港開発利用の重要課題として西防問題を包含することが不可避のため、別途設置された西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の検討結果を見きわめつつ進めてまいる所存であります。
 次に、住金埋め立てについて、沖出し中止に関し事前に県に通知があったか否かというご質問でございます。
 西防波堤沖埋立地の土地利用計画の見直し希望については、平成三年五月二十七日に住友金属工業株式会社と和歌山市が報道機関に表明したものでありますが、その際に住友金属工業株式会社から土地利用計画の見直しを検討したい旨、また和歌山市から地域振興の面からLNG火力発電所などの立地について検討したい旨、県に対して非公式に話がありました。この段階では、あくまでも住友金属工業株式会社及び和歌山市の意向表明であり、県としては住友金属工業に対し、当時、遺憾なことであると知事より伝えております。
 その後、両者が検討を進めた結果、平成六年三月に住友金属工業株式会社から県に対して正式に沖合移転の中止と新利用計画の策定の申し入れがなされたところです。県としては、遺憾ながらやむを得ないこととして、新たな土地利用計画について西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会にお諮りし、目下ご検討いただいているところでございます。
 次に、埋め立て開始から法的にどのような指導をしてきたのかというご質問でございます。
 昭和五十五年八月の埋め立て開始以来、一工区については昭和五十九年二月、二工区については平成四年十一月、公有水面埋立法にのっとり竣功を認可しているところであります。三工区については、土地利用の見直し中とはいえ、貴重な廃棄物処分場として極めて重要な役割を果たしていたことから埋め立てを継続させたものであり、竣功後は県に帰属させた上で公共の用に供することとしております。
 いずれにいたしましても、土地利用の変更に際しては西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会での検討結果を待って港湾計画への位置づけを図り、その上で公有水面埋立法上の手続を進めてまいる所存であります。
 次に、埋立法、瀬戸内法をクリアできるか否かというご質問でございます。
 西防波堤沖埋立地の新しい土地利用計画が確定し、公有水面埋立法に基づき用途変更の申請があったときは、公有水面埋立法第二十九条第二項の規定に基づき審査し、瀬戸内海環境保全特別措置法の精神も十分踏まえながら適正な判断をしてまいりたいと考えております。
 次に、第四次港湾計画の内容についてでございます。
 和歌山下津港の港湾計画の改定内容については現在作業中でありますが、県としては和歌山下津港が大阪湾外に位置し、国際航路の主軸である太平洋に直接面しているというような立地特性を生かし、大水深の岸壁や十分な広さのコンテナヤードなどを有する外貿ターミナルを位置づけ、大阪湾諸港と機能分担しつつ二十一世紀の近畿圏の経済を担う港としての発展を目指してまいりたいと考えております。
 なお、西防波堤沖埋立地については、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会での検討結果や電源立地にかかわる諸手続の動向をも見据えた上で港湾計画への位置づけを検討してまいる所存でございます。
 次に、県地方審議会が開かれない理由というご質問でございます。
 港湾審議会については、各種調査検討を実施の上、県の港湾計画原案を作成し、その内容をご審議いただく場であり、和歌山県地方港湾審議会と国の中央港湾審議会の審議を経て新しい港湾計画が決定されるものであります。現在、和歌山下津港については和歌山下津港港湾整備構想調査委員会における議論や各種の調査検討をもとに次期港湾計画の原案を作成中であり、原案ができ次第、港湾審議会に諮ることといたしております。
 次に、北防波堤、南防波堤の着工時期についてであります。
 北防波堤及び南防波堤は、住友金属工業株式会社和歌山製鉄所の沖合移転に際して原料桟橋を設置するため、その静穏度を確保することとして埋立申請の中で事業者・住友金属工業株式会社の行う埋め立てに関する工事として位置づけられているものです。住友金属工業株式会社が沖合移転を中止した現時点においては、埋立事業者としての必要性が必ずしも認められないところであります。埋立地の新しい土地利用が確定し、両防波堤が必要とされるならば、その段階で事業主体や事業工程が明らかになるものと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 住友金属埋め立てについてのうち、まず公害問題は完全に解消できるのかというご質問でございます。
 住友金属工業株式会社和歌山製鉄所の環境の状況は、これまでの企業の公害防止対策の取り組みや鉄鋼業をめぐる経済情勢の変化に伴う操業の低下とも相まって、埋立免許のなされた昭和五十五年当時に比べてみても相当環境改善が進んでおり、平成二年度までは降下ばいじんが環境改善目標値を上回った年もございましたが、平成三年度以降は目標値を達成している状況でございます。
 今後、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の中間報告で示されたLNG火力発電所等、新たな土地利用の変更に向けては環境保全に万全を期するとともに、既存の和歌山製鉄所も含め、全体として当初の埋立計画で見込まれていた環境改善目標が引き継がれ守られるよう厳しく指導してまいる所存でございます。
 次に、LNG発電所は無公害施設かとのご質問でございます。
 化石燃料を使用する火力発電所の中では、液化天然ガスを燃料とするLNG発電所が硫黄酸化物やばいじんを出さないという点で公害の少ない形式であると言えます。しかしながら、窒素酸化物が排出されますので、脱硝設備等の公害防止対策を講じることが必要であると認識してございます。
 次に、地元同意についてのご質問でございます。
 当初の埋立計画が公害対策を主な目的の一つとして許可に至った経緯もあり、地元住民の意見や考えを尊重するのが当然であると認識してございます。設備の沖合移転の中止に関しては、平成六年三月に住友金属工業株式会社から出された利用計画見直しについての申し出の中で関係自治会の理解を得たとの報告を受けてございますし、今後も環境保全に関しては地元住民の理解を得ていくことが必要と考えてございます。
 最後に、緩衝緑地整備事業についてのご質問でございます。
 河西緩衝緑地は、環境の改善と潤いのある町づくりのためにレクリエーションの機能等を持つ緑地として都市計画決定されたものであり、西防埋め立ての認可要件や工場立地法の緑地面積の条件から都市計画決定されたものではないと聞いてございます。また、緩衝緑地は工業地と一般市街地との間に設けられる緑地で、都市計画施設として公共団体が実施する必要があり、国庫補助事業として良質な緑地が確保できること、早く完成すること、企業に法的に事業費の一部を負担させ得ること等のメリットが多いことから、公害防止事業団事業として実施されたというふうに聞いてございます。
 なお、当該緩衝緑地の維持管理については、県民の憩いの場として利用できるよう都市公園として整備したことから県で行い、その約二分の一は企業の負担となっております。
 こういった経緯から、西防埋め立ての利用計画が変更となった場合でも、工業地域と住居地域を分離することはよりよい町づくりを進める上で必要であり、また環境保全の観点からも計画どおり進めていくことが必要であると認識してございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 医科大学病院長西岡新吾君。
 〔西岡新吾君、登壇〕
○医科大学病院長(西岡新吾君) 木下秀男議員のご質問にお答えいたします。
 事件発生状況と対応、並びに警察への届け出についてお答えいたします。
 去る七月七日に小児科病棟において発生した今回の事件について、県議会の皆様を初め県民の方々に大変ご心配とご不安をおかけしましたことは、まことに遺憾に思います。
 事件の経過については、七月七日の夜から八日の早朝にかけて、小児四名に多動性の異常な興奮状態が見られ、直ちに小児科で症状の分析及び治療方針が検討され、治療に全力を尽くしてまいりました。八日の夕刻に小児科からの報告を受け、病院内に対策会議を設置し、症状の推移に注意を払いながら、その原因究明と治療に傾注してまいりました。
 しかしながら、患者の基礎疾患から考えて通常あり得ない症状であり、しかも複数の者にその症状があらわれたため、学内で協議をした結果、犯罪の疑いが生じてきましたので、七月十日に和歌山西警察署に届け出をいたしました。
 病院の対応として、主治医を中心として医師団の編成を行い、患者回復に全力を挙げて取り組みましたところ、四名の異常な興奮状態は数日で完治し、うち三名は既に退院いたしました。県民の皆様の信頼を回復するためには、県内唯一の医学教育機関として、また県内の中核医療施設としてのご期待に沿えるよう、医療の面で最大限の努力を重ねてまいりたいと考えております。
 次に、検査用採血盗難のご質問については、捜査上の問題もあり、答弁は差し控えさせていただきます。その旨、ご了解お願いいたします。
 次に、覚せい剤関係の検査機器の整備については、現在、覚せい剤は治療上用いることがありませんので、本病院では設置しておりません。ただ、病院として一般的に治療上必要な検査機器については計画的に整備充実しているところであり、今後も必要性、緊急度を勘案しながら整備をしてまいりたいと考えております。
 各病棟の管理体制についてでございます。
 事件発生後、直ちに教授会、医長会及び婦長会を開催し、ポットや冷蔵庫の管理を強化するなど、安全管理を徹底いたしました。また、準夜・深夜の医師及び看護婦の勤務体制を強化するとともに、守衛の巡回と出入り口の監視、施錠やドアの点検整備も行いました。特に小児科病棟では、監視カメラ及び録画再生装置の設置、警備員の配置等、入院患者の保護と事件の再発防止に努めているところでございます。
以上です。
○副議長(下川俊樹君) 警察本部長青山幸恭君。
 〔青山幸恭君、登壇〕
○警察本部長(青山幸恭君) 木下議員のご質問にお答えいたします。
 ご指摘の事件は、去る七月十日に和歌山県立医科大学附属病院から和歌山西警察署に対し、小児病棟に入院中の乳幼児四名が薬物による中毒と思われる症状を起こしたとの届け出があり、認知いたしました。
 病院から届け出があった乳幼児四名の尿を鑑定した結果、覚せい剤反応が検出されましたので、覚せい剤使用による乳幼児に対する傷害事件と断定し、直ちに和歌山西警察署に刑事部長を長とする五十名体制の専従捜査班を設置し、捜査に着手したところでございます。また、小児病棟に備えつけられました入院患者共用のポット内の湯からも覚せい剤反応が検出されております。
 このため、病院関係者、入院患者の関係者、病院出入り業者等から事情聴取を行い、目撃情報等の収集に努めるとともに、犯行の原因、動機、さらに周辺の覚せい剤入手可能な人物を中心に現在鋭意捜査中であります。
 また、検査用血液に関する件につきましては、これが今回の事件との関係があるのかどうかを含めて慎重に捜査を進めているところでございます。
 いずれにいたしましても、今回の事件は他の入院患者やその家族はもとより、県民に与えた社会的不安ははかり知れないものがあると考えておりますので、事件の一日も早い解決を目指して今後も捜査に全力を尽くしてまいる所存であります。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 30番木下秀男君。
○木下秀男君 公有水面埋立事業で五十ヘクタール以上の埋め立ては、昭和四十八年の埋立法の改正後、全国で十三カ所認可されておりますが、住金の埋め立ては関西国際空港に次ぐ二番目の面積であります。これらの事業の埋立権者が、埋め立て完了後、所有権の譲渡、用途変更をしたところは一件もありません。また、埋め立て造成中の埋立権の譲渡もありません。用途変更したのは、北海道苫小牧港で作業用地の一部を石炭保管団地に変更した一件があります。
 平成五年二月十四日の衆議院建設委員会において、私たちの先輩である貴志八郎議員が質問に立って住金埋め立て問題について当局をただされておりますが、埋立法第二十七条のすべてが満たされない限り許可すべきでないと答弁をされてございます。また環境庁は、瀬戸内法をもとに三点を指摘して、用途変更は認めない方針を打ち出しております。
 この公害問題が起きたころの住友金属は、企業責任を認識し、労使一体となって取り組む姿勢を地域住民も県当局も高く評価して埋め立て同意となったのでありますが、最近の住友金属の状態を見ると、ざれごとではございませんが、犬が西向きゃ尾が東向くといったように、労使相反する行為が目立つと思います。
 こんなこともありました。和歌山県が関西国際空港に合わせて飛躍発展の起爆剤にしようと取り組んだコスモパーク加太計画に参画した住友銀行はバブル経済の仕掛け人のような不良貸し付け事件を起こし、住友商事は銅の不正取引で今国際スキャンダルに発展しており、信用を失墜していますが、バブル崩壊による経済変動ということを理由にこのコスモパーク加太開発推進機構から一番先に手を引いたのは、住友金属を筆頭にこれら住友グループの五社であります。県の一番苦しいときにとったこの行為は、そして今回の公有水面埋め立ての民民売買をしようとする行為は、県をないがしろにした行為と思うものであります。
 もしも知事裁量ということになりましたなら、西口知事あなたは、法を遵守しながら、免許庁の長として、行政庁の長として、地元住民・和歌山県民の納得がいくように厳しく審査し、誤りなき正しい判断をされることを期待して、私の質問を終わります。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時五十三分散会

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