平成8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(松本貞次議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
○議長(橋本 進君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から監査の結果報告がありました。
 以上、報告いたします。
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 【日程第一 議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び報第一号から報第五号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び知事専決処分報告報第一号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 45番松本貞次君。
 〔松本貞次君、登壇〕(拍手)
○松本貞次君 おはようございます。
 同和行政について質問をいたします。
 二十一世紀まであと四年余りという時代の変革の中で、和歌山にとっては、これまでの県土の基盤づくりの上に立った和歌山新時代の創造に向けたスタートの年として、今後の大いなる発展につなげていくことが求められている今日であります。また、県政の主要な柱として進めてきた同和行政もしかりであります。
 昭和四十年に同和対策審議会の答申が出されて三十一年、同和対策事業特別措置法が制定されてから二十七年、県内の被差別部落の状況は大きく変わりました。道ができ、橋ができ、住宅ができ、教育・就労等、今日的課題は残っておりますが、大きく前進したと思います。今こそ、次の世代に残さぬ同和問題完結のための重要なときを迎えております。差別を許さぬ県民一人一人の心、差別に対する行政の責務、県民の課題、時を逸しては何もなりません。今こそ、部落の完全解放、よき日のために何をすべきか、方向を示さなくてはなりません。今、何かを講じなければ二十数年間進めてきた同和行政がもとに戻るのではないか、こう考えるのは私一人でしょうか。
 地域改善対策特定事業に関する国の財政上の特別措置に関する法律が、あと九カ月で切れます。法失効後どうなるのか。いわゆる地対財特法は、来年三月末をもって失効する。このことにかかわって、国を初め関係各位のさまざまな取り組み、それは政党、行政、議会だけでなく、極めて広範な人々が関心を寄せ、さまざまな議論や取り組みが行われてきておるところであります。とりわけ、国においては地域改善対策協議会が議論を重ね、本年五月十七日に意見具申を提出いたしました。また、自由民主党、さきがけ、社会民主党による与党の人権と差別問題に関するプロジェクトチームは、これまで三十一回に及ぶ会合を重ね、六月五日、三項目の合意がなされました。
 与党合意の内容は、一つは教育・啓発の推進に関する法的措置。同和問題に関する国民の差別意識は依然として根深く存在しており、その解消に向けて、地域改善対策協議会の意見具申、人権教育のための国連十年の国内行動計画等を踏まえ、教育・啓発の推進に関する法的措置を検討する。
 二つ目は、人権侵害による被害の救済に関する法的措置。同和関係者に対する人権侵害事件の発生は依然少なくなく、またその解決のための現行制度は多くの欠陥を残している。必要な法的措置を含め、新たな制度について検討する。
 三つ目は、地域改善対策特定事業に関する法的措置。地域改善対策協議会の意見具申を踏まえ、今日残されている事業課題、地方公共団体の財政状況、これまでの施策の成果に支障を来さないこと等を考慮して法的措置を講ずる。
 この三項目の合意は、六月七日、与党政策調整会議で了承。六月十日には政府与党首脳連絡会議で了承され、今後は政府で具体的な法的措置の内容について検討することとなっております。また、さらに六月十四日には、新進党が同和対策基本法案を衆議院に提出されております。
 和歌山県においても、今後のあり方を知るべく独自の実態調査をするとともに、継続的に政府に働きかけ、六月七日、西口知事を先頭に東京集会を開催し、政府、各政党への要請を行ってまいりました。思えば、部落問題の解決に向け、この間、実に多くの皆さん、特に仲間の県会議員の皆さん、西口知事を初め県民挙げて行動し努力してきたもので、私、一議員として、また関係者の一人として、心より皆さんに敬意を表するものであります。本当にありがとうございます。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 国では、現行の事業については検討を加え、必要なものは継続をしていくとして、来年度の概算要求をしていくということであります。さらに、教育・啓発の推進に関する法的措置、人権侵害による被害の救済に関する法的措置、特定事業に関する法的措置については、具体的な形は決まっていないものの、おおむね必要であるとして議論されているということであります。特に、六月二十日の参議院決算委員会で今井議員の質問に答えた中西総務庁長官が、「可及的速やかに何としても姿が見えるようにしたい」と、法的措置について決意を述べられております。
 こうした状況を受けて、今後の和歌山県の方向も含め、確定とまではいかないものの、国においては来年度以降何らかの法律ができる方向で進んでいると思われますが、このこととかかわって県としての考え方や対応についてお答えをお願いいたします。
 次に、関係部長にお伺いをいたします。
 和歌山県の同和対策の方向についてですが、法期限後に残ると見込まれている本県の残事業は九十億らしいのですが、これは事実なのですか。また、事実だとすると、この九十億円で和歌山県の地区が抱えている課題がすべて解消できるとお考えなのか。特にこのことについては、私の知る範囲でも、市町村の財政事情で県や国に上げていけない事業、現行の政令そのものに制限があって出せない事業、そういった事情を抱えております。こうしたことも含めて、真に同和問題解決のための残事業は──今こそ、同和問題の解決は国の責務であることを明確にすべきであると考えますし、また県下各市町村はいま一度、残事業の点検をすべきであると考えるがどうか。
 また、現在、国の政令事業も含め、県の事業項目についても既に検討されていると思うが、県が実施した実態調査との関係はどうか。特に、この実態調査は、県の今日までの事業実施の効果測定という面と今後のあり方を明らかにするため実施されたものであると理解しているが、県の事業項目を再度検討し、国に要請すべきと考えるがどうか。
 最後に、教育長にお伺いいたします。
 かつて同和対策審議会答申において、同和問題の解決に当たっての教育対策は人間形成に主要な役割を果たすものとして特に重要視されなければならない、すなわち、基本的には民主主義の確立の基礎的な課題であると述べております。同和問題の解決に教育の果たす役割の大きさを指摘したところであります。その後、さまざまな施策や同和教育の推進により、教育面においても問題解決に向けて一定前進してきていると思います。
 しかし、県教育委員会が平成四年に実施した学習状況調査の結果を見ても、同和地区の子供になお学力の課題が多いことや、また、県民の意識調査結果によると、同和問題に対する認識が向上してきていることがうかがえるが、結婚についての考え方においてまだまだ課題のあることが明らかになっております。
 そこで、五月十七日の地対協の意見具申や三項目の与党合意、総務庁長官の答弁等を踏まえ、教育長としての同和問題解決への決意をお聞かせ願いたいと思います。
 以上で、終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの松本貞次君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 松本貞次議員にお答えをいたします。
 同和問題について、国の動きを踏まえた県としての考え方、あるいは対応についてのお尋ねでございます。
 お話にございましたように、三月末に地域改善対策協議会総括部会報告書、五月十七日には意見具申が、内閣総理大臣、関係各大臣に提出されたところでございます。
 県としては、こうした国等の状況を受けて今後の同和対策に関する基本的見解をまとめたところでございまして、現行地対財特法期限後に残される生活環境改善あるいは産業・就労、教育・啓発等についての課題を早期に解決する法的措置、あるいは行財政措置について、国において強く講じられることが必要でございまして、その旨を関係各省庁に働きかけてまいったところでございます。
 しかしながら、率直に申し上げまして、国等の情勢、大変厳しいものがございます。そういう状況を踏まえ、六月七日には東京で、県、県議会、県教育委員会、県同和委員会、さらには市町村及び市町村議会の代表による政府陳情集会を開催し、そこで県選出国会議員あるいは政党関係、関係各省庁に対して強く要望したところでございます。さらに、六月二十七日には、平成九年度の政府予算編成等に関する重点事項要望に際し、同和問題早期解決の重要性にかんがみ、私も総務庁長官を初め関係各省庁に参りまして、同様の要請をしてまいったところでございます。
 今、同和問題のまさに歴史的な転換期という認識の上に立ち、同和問題の早期解決のために、法的措置、行財政措置が国において講じられますように、今後とも強く要請をしてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 福祉保健部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木英明君) 同和問題についてのご質問のうち、まず残事業に対する考え方についてお答えいたします。
 残事業については現行法期限内に完遂するというかたい決意で取り組んできたところでございますが、一部の市町村において用地取得等の難航により実施できない事業もあり、平成九年度以降に約九十億円の事業量を持ち越さざるを得ない状況でございます。この残事業は政令で定められた特別対策としての事業であり、国が平成三年十月に調査した登録事業であります。
 議員ご指摘のとおり、残事業の中に県内の地区が抱えているすべての物的事業が含まれているとは考えてございません。県としては、平成七年末に県独自で登録事業以外の物的事業調査を実施したところでありますが、今後、国等の動向を見ながら、物的事業の点検について検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、同和地区実態調査を踏まえての今後の同和対策事業についてのご質問でございます。
 平成六年十一月に実施した同和地区実態調査を踏まえ、今後の同和対策に関する基本的見解を取りまとめたところでございます。基本的見解の中でも明らかなように、これまで同和対策事業に取り組んできた結果、相当の成果も見られますが、なお残された課題もございます。今後とも、現在実施している県単独事業も含め、今後の同和対策について検討してまいりますが、知事が答弁申し上げましたとおり、同和問題早期解決のための法的措置、行財政措置が国において講じられるよう国等に要望してまいります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 同和問題についてお答えいたします。
 さきの参議院決算委員会において中西総務庁長官は、「教育・啓発の取り組みで差別を解消しなければ、戦後五十年、人権問題の解決がなされたと言うことはできない」と答弁しております。教育委員会といたしましては、このことを重く受けとめてございます。
 本県においては、これまで県同和教育基本方針に基づいて同和教育を推進してきたところであります。進学奨励事業などとも相まって、多くの面で成果を上げてまいりました。しかし、ご指摘のとおり、同和問題に対する認識や地区児童生徒の学力、高校・大学への進学率の面で今なお課題を残しております。
 今後とも、進学奨励費補助事業を初めとする諸施策が効果的に実施できるよう国に働きかけるとともに、同和問題の解決をみずからの課題とし切れる子供の育成、地区児童生徒の学力・進学率の向上など、教育・啓発に懸命の努力を続けてまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で松本貞次君の質問が終了いたしました。

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