平成8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第五号 平成八年七月五日(金曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び報第一号から報第五号まで(質疑・委員会付託)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び報第一号から報第五号まで(質疑・委員会付託)
 二 一般質問
 三 休会決定の件
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川  武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門  三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島  雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷  洋 一
 18 番 長 坂 隆 司
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 堀 本 隆 男
 21 番 宇治田 栄 蔵
 22 番 宗  正 彦
 23 番 橋 本  進
 24 番 井 谷  勲
 25 番 玉 置 公 良
 26 番 上 野 哲 弘
 27 番 東 山 昭 久
 28 番 尾 崎 要 二
 29 番 野見山  海
 30 番 木 下 秀 男
 31 番 町 田  亘
 32 番 中 山  豊
 33 番 山 下 直 也
 34 番 鶴 田 至 弘
 35 番 森  正 樹
 36 番 村 岡 キミ子
 37 番 新 田 和 弘
 38 番 平 越 孝 哉
 39 番 森 本 明 雄
 40 番 神 出 政 巳
 41 番 松 本 泰 造
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口  勇
 副知事 山 下  茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 鈴 木 英 明
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長職務代行者
   安 藤 精 一
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 中 尾 公 彦
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
   若 林 弘 澄
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 選挙管理委員会委員長
   谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島  光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊  孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
 ─────────────────────
 午前十時四分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
○議長(橋本 進君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から監査の結果報告がありました。
 以上、報告いたします。
 ─────────────────────
 【日程第一 議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び報第一号から報第五号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び知事専決処分報告報第一号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 45番松本貞次君。
 〔松本貞次君、登壇〕(拍手)
○松本貞次君 おはようございます。
 同和行政について質問をいたします。
 二十一世紀まであと四年余りという時代の変革の中で、和歌山にとっては、これまでの県土の基盤づくりの上に立った和歌山新時代の創造に向けたスタートの年として、今後の大いなる発展につなげていくことが求められている今日であります。また、県政の主要な柱として進めてきた同和行政もしかりであります。
 昭和四十年に同和対策審議会の答申が出されて三十一年、同和対策事業特別措置法が制定されてから二十七年、県内の被差別部落の状況は大きく変わりました。道ができ、橋ができ、住宅ができ、教育・就労等、今日的課題は残っておりますが、大きく前進したと思います。今こそ、次の世代に残さぬ同和問題完結のための重要なときを迎えております。差別を許さぬ県民一人一人の心、差別に対する行政の責務、県民の課題、時を逸しては何もなりません。今こそ、部落の完全解放、よき日のために何をすべきか、方向を示さなくてはなりません。今、何かを講じなければ二十数年間進めてきた同和行政がもとに戻るのではないか、こう考えるのは私一人でしょうか。
 地域改善対策特定事業に関する国の財政上の特別措置に関する法律が、あと九カ月で切れます。法失効後どうなるのか。いわゆる地対財特法は、来年三月末をもって失効する。このことにかかわって、国を初め関係各位のさまざまな取り組み、それは政党、行政、議会だけでなく、極めて広範な人々が関心を寄せ、さまざまな議論や取り組みが行われてきておるところであります。とりわけ、国においては地域改善対策協議会が議論を重ね、本年五月十七日に意見具申を提出いたしました。また、自由民主党、さきがけ、社会民主党による与党の人権と差別問題に関するプロジェクトチームは、これまで三十一回に及ぶ会合を重ね、六月五日、三項目の合意がなされました。
 与党合意の内容は、一つは教育・啓発の推進に関する法的措置。同和問題に関する国民の差別意識は依然として根深く存在しており、その解消に向けて、地域改善対策協議会の意見具申、人権教育のための国連十年の国内行動計画等を踏まえ、教育・啓発の推進に関する法的措置を検討する。
 二つ目は、人権侵害による被害の救済に関する法的措置。同和関係者に対する人権侵害事件の発生は依然少なくなく、またその解決のための現行制度は多くの欠陥を残している。必要な法的措置を含め、新たな制度について検討する。
 三つ目は、地域改善対策特定事業に関する法的措置。地域改善対策協議会の意見具申を踏まえ、今日残されている事業課題、地方公共団体の財政状況、これまでの施策の成果に支障を来さないこと等を考慮して法的措置を講ずる。
 この三項目の合意は、六月七日、与党政策調整会議で了承。六月十日には政府与党首脳連絡会議で了承され、今後は政府で具体的な法的措置の内容について検討することとなっております。また、さらに六月十四日には、新進党が同和対策基本法案を衆議院に提出されております。
 和歌山県においても、今後のあり方を知るべく独自の実態調査をするとともに、継続的に政府に働きかけ、六月七日、西口知事を先頭に東京集会を開催し、政府、各政党への要請を行ってまいりました。思えば、部落問題の解決に向け、この間、実に多くの皆さん、特に仲間の県会議員の皆さん、西口知事を初め県民挙げて行動し努力してきたもので、私、一議員として、また関係者の一人として、心より皆さんに敬意を表するものであります。本当にありがとうございます。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 国では、現行の事業については検討を加え、必要なものは継続をしていくとして、来年度の概算要求をしていくということであります。さらに、教育・啓発の推進に関する法的措置、人権侵害による被害の救済に関する法的措置、特定事業に関する法的措置については、具体的な形は決まっていないものの、おおむね必要であるとして議論されているということであります。特に、六月二十日の参議院決算委員会で今井議員の質問に答えた中西総務庁長官が、「可及的速やかに何としても姿が見えるようにしたい」と、法的措置について決意を述べられております。
 こうした状況を受けて、今後の和歌山県の方向も含め、確定とまではいかないものの、国においては来年度以降何らかの法律ができる方向で進んでいると思われますが、このこととかかわって県としての考え方や対応についてお答えをお願いいたします。
 次に、関係部長にお伺いをいたします。
 和歌山県の同和対策の方向についてですが、法期限後に残ると見込まれている本県の残事業は九十億らしいのですが、これは事実なのですか。また、事実だとすると、この九十億円で和歌山県の地区が抱えている課題がすべて解消できるとお考えなのか。特にこのことについては、私の知る範囲でも、市町村の財政事情で県や国に上げていけない事業、現行の政令そのものに制限があって出せない事業、そういった事情を抱えております。こうしたことも含めて、真に同和問題解決のための残事業は──今こそ、同和問題の解決は国の責務であることを明確にすべきであると考えますし、また県下各市町村はいま一度、残事業の点検をすべきであると考えるがどうか。
 また、現在、国の政令事業も含め、県の事業項目についても既に検討されていると思うが、県が実施した実態調査との関係はどうか。特に、この実態調査は、県の今日までの事業実施の効果測定という面と今後のあり方を明らかにするため実施されたものであると理解しているが、県の事業項目を再度検討し、国に要請すべきと考えるがどうか。
 最後に、教育長にお伺いいたします。
 かつて同和対策審議会答申において、同和問題の解決に当たっての教育対策は人間形成に主要な役割を果たすものとして特に重要視されなければならない、すなわち、基本的には民主主義の確立の基礎的な課題であると述べております。同和問題の解決に教育の果たす役割の大きさを指摘したところであります。その後、さまざまな施策や同和教育の推進により、教育面においても問題解決に向けて一定前進してきていると思います。
 しかし、県教育委員会が平成四年に実施した学習状況調査の結果を見ても、同和地区の子供になお学力の課題が多いことや、また、県民の意識調査結果によると、同和問題に対する認識が向上してきていることがうかがえるが、結婚についての考え方においてまだまだ課題のあることが明らかになっております。
 そこで、五月十七日の地対協の意見具申や三項目の与党合意、総務庁長官の答弁等を踏まえ、教育長としての同和問題解決への決意をお聞かせ願いたいと思います。
 以上で、終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの松本貞次君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 松本貞次議員にお答えをいたします。
 同和問題について、国の動きを踏まえた県としての考え方、あるいは対応についてのお尋ねでございます。
 お話にございましたように、三月末に地域改善対策協議会総括部会報告書、五月十七日には意見具申が、内閣総理大臣、関係各大臣に提出されたところでございます。
 県としては、こうした国等の状況を受けて今後の同和対策に関する基本的見解をまとめたところでございまして、現行地対財特法期限後に残される生活環境改善あるいは産業・就労、教育・啓発等についての課題を早期に解決する法的措置、あるいは行財政措置について、国において強く講じられることが必要でございまして、その旨を関係各省庁に働きかけてまいったところでございます。
 しかしながら、率直に申し上げまして、国等の情勢、大変厳しいものがございます。そういう状況を踏まえ、六月七日には東京で、県、県議会、県教育委員会、県同和委員会、さらには市町村及び市町村議会の代表による政府陳情集会を開催し、そこで県選出国会議員あるいは政党関係、関係各省庁に対して強く要望したところでございます。さらに、六月二十七日には、平成九年度の政府予算編成等に関する重点事項要望に際し、同和問題早期解決の重要性にかんがみ、私も総務庁長官を初め関係各省庁に参りまして、同様の要請をしてまいったところでございます。
 今、同和問題のまさに歴史的な転換期という認識の上に立ち、同和問題の早期解決のために、法的措置、行財政措置が国において講じられますように、今後とも強く要請をしてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 福祉保健部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木英明君) 同和問題についてのご質問のうち、まず残事業に対する考え方についてお答えいたします。
 残事業については現行法期限内に完遂するというかたい決意で取り組んできたところでございますが、一部の市町村において用地取得等の難航により実施できない事業もあり、平成九年度以降に約九十億円の事業量を持ち越さざるを得ない状況でございます。この残事業は政令で定められた特別対策としての事業であり、国が平成三年十月に調査した登録事業であります。
 議員ご指摘のとおり、残事業の中に県内の地区が抱えているすべての物的事業が含まれているとは考えてございません。県としては、平成七年末に県独自で登録事業以外の物的事業調査を実施したところでありますが、今後、国等の動向を見ながら、物的事業の点検について検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、同和地区実態調査を踏まえての今後の同和対策事業についてのご質問でございます。
 平成六年十一月に実施した同和地区実態調査を踏まえ、今後の同和対策に関する基本的見解を取りまとめたところでございます。基本的見解の中でも明らかなように、これまで同和対策事業に取り組んできた結果、相当の成果も見られますが、なお残された課題もございます。今後とも、現在実施している県単独事業も含め、今後の同和対策について検討してまいりますが、知事が答弁申し上げましたとおり、同和問題早期解決のための法的措置、行財政措置が国において講じられるよう国等に要望してまいります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 同和問題についてお答えいたします。
 さきの参議院決算委員会において中西総務庁長官は、「教育・啓発の取り組みで差別を解消しなければ、戦後五十年、人権問題の解決がなされたと言うことはできない」と答弁しております。教育委員会といたしましては、このことを重く受けとめてございます。
 本県においては、これまで県同和教育基本方針に基づいて同和教育を推進してきたところであります。進学奨励事業などとも相まって、多くの面で成果を上げてまいりました。しかし、ご指摘のとおり、同和問題に対する認識や地区児童生徒の学力、高校・大学への進学率の面で今なお課題を残しております。
 今後とも、進学奨励費補助事業を初めとする諸施策が効果的に実施できるよう国に働きかけるとともに、同和問題の解決をみずからの課題とし切れる子供の育成、地区児童生徒の学力・進学率の向上など、教育・啓発に懸命の努力を続けてまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で松本貞次君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。
 許可をいただきましたので、早速、質問に入らせていただきます。
 本日の「紀伊民報」にも報道されておりましたが、私も梅生育不良問題についてお尋ねをいたします。
 知事と県議会議長に対しては、田辺市議会等から直接来られて要望が行われたようであります。この新聞記事によると、立ち枯れの原因究明と御坊第二火力発電所への慎重な取り組みを特に求めたいということでおいでになったようで、その中で「畑に立ってぼうぜんとする毎日。すでに、耕作放棄や離農が見受けられる。御坊第二火電建設計画には慎重な対応を」と、強く求めておられるようであります。県も、この方々の要望に議長とともに真剣に受けとめられ、早期解決を目指して頑張るという返事に対して、皆さんは安心して帰られたようであります。私も、この問題について本当に胸を痛めております。
 最初に、梅の生育不良、いわゆる梅衰弱症問題について、私も質問をいたします。
 今、田辺や南部、南部川地方では梅の収穫がそろそろ終わろうという時期になってまいりました。先日、私は田辺市で収穫中の農家の方からお話を聞き、梅拾いのお仕事を見させていただきました。仕事も朝の五時ごろから夕方は七時ごろまで、梅拾いや出荷で大変忙しいとのことでした。
 稲成の山際の畑に行きますと、三年前から梅衰弱症があらわれてきたということでした。そちらには暖地園芸試験場の実験が行われている梅の木もあり、約二町の畑に五百本の南高梅を植えておられますが、元気な梅の木はそのうちの三分の一しかなく、何本かの木は葉がほとんどなくなっていました。症状の出ている木は葉の色が薄くなり、実も小さく、実の量も本当にわずかしかありません。ここの農家の方は、「後継ぎの子供は改植しようかと言っているけれども、わしは廃園にしようかと思うとる」、こう言われました。改植してもまた衰弱症にやられてしまうかもしれないのですから、苗木を買ってきて植え直す気持ちにはなれないとのことでした。
 その後、県の移動観測車が置いてある秋津川の谷川に行きました。もう大分前に衰弱症にかかった畑の梅の木が、完全に枯れたまま哀れな姿で放置されていました。新聞報道によりますと、秋津川地区だけで三十カ所の梅畑が廃園になっているとのことであります。農家の方々の気持ちを思うと胸が痛みます。
 生育不良は、県が被害状況の調査を始めた一九九二年度で、南部川村を中心とした日高地方で約四千五百本、田辺地方で約五千百本でした。それが昨年八月段階で、田辺地方だけで二万本に達しています。被害が出始めてから、ことしでほぼ十年を超える年月が経過したことになります。何ら有効な対策がとられることなく、また関係者の皆さんの懸命な努力にもかかわらず原因が解明されないまま今日に至っている、こう言っても言い過ぎではないのではないでしょうか。
 知事も十分ご承知のことですが、田辺・南部地方は全国に誇る梅の産地であります。また、梅以外には転換できない畑の多いのが実情です。その梅が今、生育不良という大きな脅威にさらされ、農家の皆さんはその原因解明と回復のための対策を切実に求めていらっしゃいます。今や、梅はミカンと並ぶ和歌山県の主要農産物に成長してまいりました。農家の皆さんが祈るような気持ちで願っている、生育不良の原因を徹底的に解明するということ、また対策を確立するまでやり切るという知事の決意のほどをお聞かせ願いたいと思うわけです。
 私はこの問題を一年前にもお尋ねし、原因究明に向けてのプロジェクトチームの体制づくりを要望いたしました。ようやく暖地園芸試験場において六人から成る梅対策チームがつくられ、鋭意研究を重ねておられることに敬意をあらわしたいと思います。しかし、実際は他の部署から研究者を回し、しかも三年をめどとした特別チームだと聞いております。研究に当たられている皆さんが大変なご努力をされていることは承知していますが、ミカンに次ぐ農産物である梅の研究者がこれまで育っていなかったこと自体に、和歌山県行政として大きな問題があると思います。
 知事は農業振興を公約の柱の一つとされていますが、果樹王国を自称する和歌山県の農業研究体制が、和歌山よりも農業生産額で低い東京や三重県など、またミカンどころの静岡、愛媛、あるいは梅産地である群馬県などと比較しても不十分である実態をどう考えておられるのでしょうか。
 昨年二月、紀南農協の農家の皆さんが約八千人の署名を添えて、仮谷元知事に「梅試験場の設置で基礎研究の充実を」と要望されております。これは、今回の生育不良の問題にとどまらず、梅の品種改良や栽培技術、加工の研究開発など、農家の皆さんと協力して紀州の梅の将来を確固たるものにする上で、県行政の責任として県が梅の研究施設を持つ必要があるのではないでしょうか。知事のご見解を伺うものです。
 次に、原因解明の研究に関連して質問を申し上げます。
 関西電力がことしの二月に作成された「大気環境と梅」という広報資料では、御坊火電の操業前と後において大気の環境濃度に大差がないこと、また電力中央研究所及び県の果樹園芸試験場の試験結果から、「二酸化硫黄や酸性雨等の影響によって生じる症状は現地で見られる梅生育不良の症状とは異なります」とか、「現状レベルの二酸化硫黄、二酸化窒素、オゾン濃度では梅に対して被害が認められないことがわかりました」と結論づけています。県の果樹園芸試験場の試験研究結果が関電の広報資料に掲載され、大まかな表現ではありますが、大気と梅生育不良とは関係がないと言っているわけですから、試験結果を引用された県として、こうした関電の見解に同意されているのでしょうか。農林水産部長の見解をお示しください。
 関電が引用している果樹園芸試験場の試験結果は、一九八〇年から八七年にかけて行われ、八八年三月の日付で「農作物の大気環境保全対策試験成績書」としてまとめられましたが、その成績書の「背景と目的」には、次のように記されています。
 「御坊火力発電所の稼働による大気環境の影響予測によると、発電所を起点として半径十四~二十四キロメートル付近が、亜硫酸ガス、窒素酸化物、浮遊ばいじんの最大着地点となり、その影響は十六市町村の地域におよぶ」。また、「環境影響予測から判断すれば、直接の影響は考えられないものの、硫黄酸化物等の恒常的な排出により、土壌の酸性化を始めとして、農作物等に対する低濃度汚染の慢性影響、特に作物体への蓄積による不可視的作用、散布農薬との関連性等未解決な問題が多い。 本試験は御坊火力発電所の稼働に伴う農業地帯の大気環境の変化並びに作物への影響等を追跡調査するとともに基礎試験等も併せて行ない、その対策に必要な資料を整備しようとするものである」と、こういうふうに書かれております。
 調査の対象になった作物は、夏ミカン、ハッサク、梅、スモモ、水稲、ウスイエンドウなど六種の野菜と菊、センリョウ、松、杉、ヒノキの合わせて十六種の作物とあります。梅については、畑に植えられている梅の木の生育調査と亜硫酸ガスの暴露試験が行われております。この調査は、四カ所の畑で、それぞれ三本の梅の木について、木の容積や幹の周りの長さ、果実の重さ、葉の硫黄分析など、五つの項目について行われ、その結果は二十年生、十四年生の木において八四年以降、木の容積が小さくなる傾向が見られたとのことです。また、亜硫酸ガスの暴露試験では、八五年の二月から四月にかけて、三種類のガス濃度ごとに一本の木を置いて、新しく出た枝の本数や重さ、果実の重さなどを調べ、ガス濃度の濃いところに置いた梅の木の方が薄いところに置いたものより新しい枝が重かったということであります。
 関電はこの調査や試験から梅生育不良と大気は関係がないと言っているわけですが、問題は、果樹園芸試験場の調査や試験は衰弱症、生育不良の発生が認められてからのものではないことです。県では病理面や土壌面、栽培管理面からの原因究明が行われ、大気観測も行われてはおりますが、生育不良が発生した段階でのこうした暴露試験や実験は行われていないのではないでしょうか。田辺市で話をお聞きした農家の方は、「わしらは火電が原因だと言っているわけではないが、火電が原因でないと関電が言うのなら、そのことをもっとわかるようにはっきりさせてほしい」と言われておりました。
 私は、病理面や栽培面などともに、大気面からも綿密な科学的調査、試験が必要だと考えます。農家の方は、雨が実際に降ったときや霧が発生したときの実際の大気の状況、また硫黄分などだけでなく他の汚染物質の影響の可能性、それらの汚染物質の複合的な汚染が梅の生育に影響していないのかどうかなども全面的に研究をする必要があるのではないかとおっしゃっています。いかがでしょうか。農林水産部長のご所見を求めたいと思います。
 また、農家の皆さんは、改植をしようにも、展望が持てないことや資金の面で困難に直面をしておられます。自作農維持資金への利子補給が行われておりますが、利子補給期間が五年、据置期間が自作農維持資金で三年だけです。県行政としてこれでいいとお考えではないと思うわけです。生育不良で困っておられる農家の皆さんに、この際、無利子あるいはさらに利子補給の追加、期間の延長、据置期間の延長など、資金面からのバックアップが必要と思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、知事にお伺いします。
 この三月には田辺市、また六月には南部川村や白浜町、上富田町の各議会において、梅の生育障害問題とかかわり、その原因解明と御坊第二火力発電所建設への慎重な対応を求める意見書がそれぞれ全会一致で可決され、知事のもとにもその内容が届けられたと聞いております。いずれも、御坊火力と梅問題との関係で疑いがぬぐい切れていないとして、第二火力を推進することに懸念が表明されているところです。
 生育不良症の原因が今もってわからないことから、農家の皆さんが第二火力の推進に不安を持つのは当然だと私は考えます。知事は、こうした議会等の総意を踏まえた梅生育障害の原因解明に全力を挙げられるとともに、第二火力建設計画にも慎重に対応することが真に県民の財産と暮らしを守る立場に立つ知事の姿勢だと考えるものですが、知事の見解を伺いたいと思います。
 次に、介護問題について質問を申し上げます。
 介護保険の法案提出は、さきの第百三十六国会では見送られました。これは、国民の間で十分なコンセンサスが得られていないもとでは当然です。厚生省が示している介護保険制度案大綱は、重大な問題を含んでいます。全国知事会や市長会、町村会などが必要な財源措置などの要望書を出してこられたことを見ても、地方自治体がさまざまな懸念を持っていることを知ることができます。橋本首相は十月にも臨時国会を召集し、法案を提出する意向とされています。大綱をそのまま法案化して国会に提出するような安易な態度をとるべきではないと考えるものです。改めて問題点を指摘し、知事初め関係部長の見解を求めるものです。
 さきの二月定例議会で私は、介護保険制度について公正、民主の五つの条件が必要だと申し述べてまいりました。それは、介護問題の解決の第一義的な責任が国と地方自治体及び企業にあることを明確にした上で、一つには介護の水準を抜本的に充実させること、二つには措置制度を併存させて保険制度と組み合わせること、三つには高齢者や低所得者から保険料の徴収を行わないこと、保険料は定率制とし、企業負担を導入すること、四つには医療と介護の両方の前進に役立つものとし、若年障害者も給付対象にすること、五つにはいかなる形であれ消費税の増税とリンクをさせないこと、この五つの点について提案をしてまいったところです。
 厚生省の介護保険制度案大綱では、事業主体を市町村及び東京の特別区とし、被保険者は四十歳以上としました。介護サービスの提供は高齢者に限定をいたしております。介護を求める人は市町村に申請をし、その申請が認められればホームヘルプサービスやデイサービス、訪問看護サービス、訪問入浴サービスなどの在宅サービスと特別養護老人ホームなどにおける施設サービスが受けられます。その介護費用の負担は、保険料が二分の一、国、地方公共団体がそれぞれ四分の一の負担となっています。在宅サービスを先行させ、施設サービスは二年後を目途とするということになっているようです。
 しかし、大綱の前提となっている介護サービスは新ゴールドプラン程度のものであって、これが達成されたとしても、ホームヘルパーは国が目標としている十七万人にすぎず、五十万人程度しかそのサービスを受けられないという計算になります。施設サービスも七十万人程度にすぎず、寝たきりや痴呆性老人など介護を必要とする人が二〇〇〇年には何と二百八十万人と予想されるもとでは、余りにも不十分ではありませんか。
 また今、国保料を払えない人が少なくとも全国で二百五十万人あると推定されています。本県を見てみますと、一九九四年度で見ると国保加入者が十四万世帯で、そのうちの一万六千五百世帯が滞納をしている状況にあります。この現状を見るとき、低所得者や高齢者で介護保険料を払えない人が出てくることは容易に想像をできるわけです。こうした人たちに介護を保障するためには、公的資金で賄う措置制度を併存させなければならないと思います。しかし、大綱は措置制度の対象を「判断能力がなく、身寄りもない人」に限定し、現在よりも一層狭めようとしていますし、保険料を滞納すれば即座にサービスの水準を下げることも明記いたしております。
 財源面でも重大な問題を含んでいます。介護保険の運営は国と市町村が協力すべきだと考えるものですが、この大綱は財源が不足した場合、その穴埋めを市町村に押しつけています。自治体間の財政力の差がそのままサービスの水準の差となる心配が大いにあります。これらの点では、老人保健福祉審議会答申も低所得者への配慮が必要である、市町村に対する財政上の措置を講ずる必要があるなどと意見を明らかにしているところです。
 厚生省が示している大綱について、幾つか危惧される点を今申し述べてまいりました。国民の間で公的介護制度の確立を求める声が強いだけに、なおさらその願いに合致しない点を指摘しないわけにはまいりません。県としてはこの大綱をどう評価しておられるのでしょうか。
 冒頭でも申し上げたとおり、介護サービスの水準は実に不十分です。これでは、「負担あって介護なし」ということになりかねません。現行の老人保健福祉計画を抜本的に拡充することが求められます。特別養護老人ホームの増設を初め、施設整備、ホームヘルパーなどマンパワーの確保などに係る必要な財政投入を強く政府へ働きかけるとともに、県単独でも施策の充実を図るべきだと考えます。いかがでしょうか。老人保健福祉計画の目標見直し作業の現状についても福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
 新たな制度を発足させるに当たっては、何よりも介護にかかわっている家族、ホームヘルパー、施設を運営している人など、介護の最前線で頑張っておられる方々の願いや国が示している案への意見などをよく聞くことが何よりも大事だと私は考えます。
 先日、私は、県下からおよそ八百人の女性が集い、語り合った母親大会に参加をしてまいりました。高齢者問題がテーマであった分科会では、さまざまな悩み、願いが出されました。ある女性は九十歳の父親を介護しており、週一回、ホームヘルプのサービスを受けております。しかし、働きながら介護しているその方は「ヘルパーをせめて隔日に派遣してほしい」と訴えておられましたし、また、「夜間に来てほしいこともあるし、昼間自分が家にいないために、一日一回の給食サービス、週一回の入浴サービスもあればありがたい。こんなささやかな願いがかなわないのでしょうか」と話しておられました。
 特別養護老人ホームで働く女性は、「人員は国の基準どおりあるが、とても足りない。お年寄りがおむつをしないで済む生活をさせてあげたいが、今の人員ではとてもそういうわけにもいかない。介護保険制度で本当に介護が充実するのか。長生きすることが幸せなのだろうかと、定年を前にして考え込んでしまう」という発言が相次ぎました。別の女性は、「中学校区に一つぐらいの規模で特別養護老人ホームが欲しい。『おはぎをつくったよ』と言って届けられるぐらいの距離に建てられるようにならないものか」とも訴えておられました。
 県下で特別養護老人ホームへの入所を待っておられる人は、和歌山市で四百九人、県下では依然として七百人を下らないと見られる状態で、これは今後も続くでありましょう。介護保険の制度化が直ちに国民の願いを満たすものにならないことは明白であります。老人保健福祉計画を全体として拡充させる、これが国民、私たちの願いです。行政が国民の願いを真っ正面から受けとめて、介護を求めているすべての人に公平にサービスを提供する、行き届いた福祉を保障するという立場で取り組むことが重要だと思うのです。
 そう考えるとき、ある特別養護老人ホームの施設長さんがおっしゃった言葉が気になります。「福祉のサービスを受けることを恥ずかしいと思っている人が何と多いことか」というお話でした。国民の生存権が憲法で明確に規定されていることは言うまでもなく、国家は国民の生活を保障しなければなりません。福祉は何か恩恵を施してもらうもので世話になるのは申しわけないと、多くの国民が、特にお年寄りがそう思っていらっしゃるとすれば、社会保障政策の不十分さ、権利としての福祉が確立されていないことの反映と見なければなりません。
 行政の姿勢を端的に示す具体例を一つ紹介しておきたいと思います。
 和歌山での問題ではありません。大阪市で今、ホームヘルパーの派遣を求めた裁判が行われています。原告は寝たきりの女性で、骨折して入院をされました。そして、その退院に際して、どうしても家で過ごしたいというそのお母さんの強い願いの中で、息子さんは定年を前に仕事をやめて母親を介護することを決意されました。そして生活保護を申請しましたが、役所の方では「六十歳だから働きなさい」と、その保護申請を受け付けもいたしませんでしたし、なかなか認められず、弁護士の力をかりてようやく認められたそうです。しかし、それまでヘルパーの派遣を週二回お願いしておりましたが──これは介護ではなくて家事ヘルパーの派遣でありました──この週二回の家事ヘルパーの派遣中止の通知が送られてきたそうです。これに対しても異議申し立てをする中で認められました。しかし、母親はその後寝たきりの上、その息子さんも看護疲れから体調を崩したため、介護ヘルパーも必要になりました。このことを申請しましたが、「家族による介護を受けられる人には派遣されない」との冷たい回答でした。その後ようやく介護ヘルパーの派遣もされるようになりましたが、大阪市の派遣基準では週五回、十八時間の派遣が基準として示されており、それが可能なはずでありますが、その三分の一の派遣しか認められませんでした。このため、「だれでも必要なときに遠慮せずに十分なホームヘルプサービスが受けられるようにと、裁判に訴えざるを得なかった」とおっしゃっています。
 この事例のように、介護をしている人が仕事をやめたり職場を休んだりせざるを得ないこと、ストレスや睡眠不足に悩んでいることは、介護問題の深刻さをあらわしています。
 こういう点で、厚生省は昨年九月、秋田、静岡、京都など十三の都府県、三つの政令指定都市で、昨年の四月一日から十日までに六十五歳以上で亡くなった人の介護状況を調べました。調査員が約五千五百世帯を訪問、介護者らと面接し、八七・二%の回答を得たといいます。その結果によりますと、だれが介護しているかという点では、同居家族が六六・八%で最も多く、死亡者との続柄では妻、長男の妻、長女が多く、平均年齢は六十・四歳と高齢でした。介護していた人のうち五四・四%が仕事を持っていましたが、そのうち介護のために仕事をやめた人が二〇・六%、休職または休暇をとった人が一一・七%ありました。介護で困ったこととして、精神的負担が五二・七%、十分睡眠がとれなかったと回答した人が四五・七%にも上りました。こうした現状を見てもさきに法制化された介護休業制度も充実が求められるところですが、その施行が九九年四月からに先送りされており、介護する家族の深刻な実態にこたえていないと言わざるを得ません。
 以上、介護にかかわる諸問題を述べてまいりました。介護問題を考えるとき、今焦点の介護保険制度に限らず、さまざまな角度からのより一層の施策の充実が求められるところです。公的介護保険制度についてはもちろんのこと、介護に関する現行の施策を県民に周知し、サービスの利用を促進するとともに切実な要求を集約する、これが実のある制度をつくるために求められているのではないでしょうか。福祉保健部長、この取り組みの現状と方針についてお答えください。
 最後に、高齢者はだれもが公平なサービスを人生の最後まで受けられることを求めています。このことを強調し、介護問題の質問を終わります。
 最後に、消費税について知事の見解をお伺いするものです。
 橋本内閣は二十五日、現在三%の消費税率を引き上げて来年四月から五%とすることを閣議決定しました。消費税増税は九四年十一月、国会で可決をされましたが、私ども日本共産党は一貫して反対を主張してまいりました。その際、税率についてはことし九月末までに見直すこととしていましたが、与党・政府は国会で真剣な議論もしないまま、国民の大多数が反対している消費税増税を一方的に決めてしまったわけです。
 朝日生命の「経済月報」七月号は、年収七百万円の平均世帯で税率アップの負担は約八万円ふえるとしています。昨年度から二年間実施されてきた特別減税が廃止されたとするならばさらに六万円、合わせて十四万円も負担がふえると試算をいたしております。
 消費税導入の口実となったのは、高齢化社会に備えるため、福祉のためということでした。あれから七年、国民は福祉の向上を実感しているでしょうか。福祉への財政支出が本当に充実してきたのでしょうか。答えはいずれもノーではないでしょうか。老人保健福祉計画、いわゆるゴールドプランがスタートした九〇年から九四年までに国庫に入った消費税収は二十二兆三千七百万円余に上りますが、ゴールドプランに基づく施策の費用は九千七百億円と、わずかにその四・三%にすぎません。増税の一方で、財政再建を叫びながら同時に浪費の構造は温存していることも許せないことです。さきに決まりました住専処理への六千八百五十億円の税金投入、十四兆円とも言われる首都移転の費用、今年度から五年間で二十五兆円もの支出を計画している軍事費など、国民無視のむだ遣いを続けながら増税を押しつけるやり方を国民が納得できないのは当然です。
 増税は、とりわけ低所得層、お年寄りなどに耐えがたい負担を強いることになります。そして、国民の消費を冷え込ませる影響も大きく、景気の足を引っ張ることにもつながりかねません。年金保険料の引き上げ、入院給食費の患者負担の押しつけなど、社会保障制度が次々と切り下げられる中での消費税増税は、許されるものではありません。零細の小売り業者などでは、仕入れで消費税を払っていてもお客さんからもらっていないという方も少なくありません。「五%に上がったらもらわないとやっていけないけれど、お客さんに負担をかけるのは忍びない」という声も聞こえてきます。また、税率アップは三年前の総選挙ではどの政党も公約に掲げていなかったものであります。道理も国民の合意もない消費税増税は早速中止すべきであります。
 そもそも、消費税に財源を求めること自体間違っており、廃止すべきです。財源確保は、歳入面では大企業優遇の税制の是正など、歳出面では軍事費やゼネコン奉仕型の公共事業費の節減、軍事費の削減、国債利払い費の低金利への借りかえなどで対応すべきだと思うのです。そして、当面、少なくとも食料品は非課税とするなどの措置がとられるべきだと考えます。
 知事、税率アップの閣議決定への見解をお伺いいたしますし、そして答えられるならば、当面食料品非課税を国へ要望するとともに、県の公共料金についても非課税とすべきだと考えますが、いかがでしょうか。お答え願いたいと思います。
 以上で、第一問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
 まず、梅の生育不良についての問題でございます。
 これまで、暖地園芸センターあるいは果樹園芸試験場が中心となりまして、県のうめ対策協議会及び現地のうめ対策協議会と連携を図りながら原因究明のための試験研究に取り組んできたところでございますが、現段階においては原因がまだ明らかになってございません。私も、去る二月に現地に赴いて農家の方々から切実な気持ちをお聞きし、まことに胸が痛む思いがいたしました。
 県としては梅を紀南地域の基幹産業として位置づけてございまして、生育不良の早期解明は本県農業の重要課題であると思ってございます。そこで、限られたスタッフ、厳しい財政状況の中ではございますけれども、最大限の努力をいたしまして、暖地園芸センター内に専属六名から成る梅対策チームを新たに設置し、これを核にして果樹園芸試験場や地域普及センター等との連携強化を図るなどいたしまして、試験研究体制の充実に努めたところでございます。
 現在、土壌改良あるいは現地栄養診断に加え、大気環境試験を盛り込んだ新たな対策を実施しつつあるわけでございます。今後とも、原因究明に向け、県試験研究機関を中心として総力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
 また、梅専門の研究施設についてでございます。
 現在、農業関係の試験研究機関として、暖地園芸センターを含めて四試験場ございます。過去には農業関係の試験研究機関の統合などが議論された時期もありますが、必要ということで四試験場が確保されておりまして、それぞれ各地域の課題に積極的に対応しておる現状でございます。
 お話の件につきましては、私も地元から強い要望があるということは十分承知をしておりますけれども、先ほど申し上げたように、現段階として暖地園芸センターに専属チームを配置したということなどもございまして、今直ちにはまいりません。将来、試験研究機関の整備、研究員の配置などについて努力をしていきたいと考えております。
 次に、田辺市議会等の意見書についてのご質問でございますけれども、このことについては先日、吉井議員にもお答えをしたところでございまして、現在、県に対して周辺市町村議会から梅の生育不良に対する原因解明等の意見書が出されておるわけでございます。今後、こうしたことも十分念頭に置きながら、地域振興の立場で対応していきたいと思っております。
 次に、厚生省の介護保険制度案大綱についてでございます。
 高齢者の介護を社会全体で支え合う新たな仕組みをつくる公的介護保険制度については、寝たきり等の要介護者の増加に伴う深刻な問題に対処するために、県民の皆さんが安心できる制度として、過疎化、高齢化の顕著な本県にとっては必要であると考えておるところでございます。
 ただ、制度の導入に当たりましては、老人保健福祉審議会においても附帯意見があったわけでございまして、国においてもまだまだ議論されるものと考えてございます。そういった中で地方公共団体の意見も十分考慮され、だれもが公平で必要なサービスを受けられる制度となるように、さきの政府要望におきましても厚生省などに強く要望してまいりました。
 最後に、消費税アップの問題でございます。
 消費税の税率につきましては、去る六月二十五日、平成六年秋の税制改革を着実に実施していくことが必要であるとの観点から、既に法律で規定されている五%で施行することが閣議決定されたわけでございます。平成六年秋の税制改革では、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ちまして、バランスのとれた税体系の構築を図るために、所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とする税制改革関連法が成立をしておりまして、五%の消費税率は既に先行実施されている所得税等の減税とおおむね見合うものであるとされておるわけでございます。
 税制は、我が国の経済や国民生活に大きな影響を及ぼす国政上の重要な問題でございます。また、高齢化の進展等に伴って社会保障の費用の増加が見込まれておるわけであります。ただ、私といたしましては、今後も引き続き、国民の税負担に関する議論が幅広くされることを期待いたしますと同時に、高齢者や障害者など真に手を差し伸べるべき方々が安心して自立した生活が送れるような社会が必要であると思っております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 村岡議員にお答えいたします。
 生育不良と大気は無関係とする関電の見解に同意するのかということでございます。
 生育不良と大気環境の関係についてでございますが、昭和五十五年度から昭和六十二年度の農作物の大気環境保全対策試験について、果樹園芸試験場で昭和六十三年に取りまとめたものでございます。この中で、梅についても対策試験を田辺市、南部川村、南部町でおのおの実施してございますが、葉中硫黄含有率では年次、場所による差が見られず、大気の環境基準を下回る調査結果を得てございます。
 いずれにしましても、原因が明らかでない段階にあって、農家の不安には切実なものがあることは存じております。農林水産部としては、関係機関等の協力もいただきながら、科学的な見地に立ち、多面的な調査研究に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 次に、もっと積極的な大気面からの科学的調査研究をとのお尋ねでございますが、大気環境については、関係機関において、これまで酸性雨を初め二酸化硫黄、二酸化窒素、オキシダント等の各項目について移動測定車による調査が実施されており、県内及び全国の平均的な状況と大差はない結果となってございます。大気環境による農作物への影響を把握する試験方法として空気浄化試験や現地実証試験などがございますが、農林水産部としては、地元のうめ対策協議会などの意見もいただきつつ、調査研究を進めてまいりたいと考えております。
 次に、梅生育不良に対する資金面からの支援対策についてでございますが、地元市町村からの要望もあり、平成六年度に自作農維持資金を活用した梅生育不良特別対策利子補給を実施したところでございます。今後、資金面からの支援策については関係市町村、農協等の意向や農家の要望を調査し、研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 福祉保健部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木英明君) 介護問題のご質問のうち、ゴールドプランの拡充の取り組み及び介護に関する施策の周知等についてお答えいたします。
 まず、ゴールドプランの拡充の取り組みにつきましては、県では平成五年に策定した和歌山県老人保健福祉計画に基づき、施設サービス、在宅サービスの基盤整備に努めており、その整備状況につきましてはほぼ順調に進んでいるところでございます。
 こうした状況の中で、特別養護老人ホームについては既に計画数の三千床を上回っておりますが、今なお入所待機者が多いなどの現状に対応するため、目標量を超える整備を推し進めることとし、国に対しても財源措置を要望するとともに、今後の整備方針として特別養護老人ホーム整備アクションプランを決定したところでございます。国においては、介護保険導入の際、整備目標の見直しを検討されると聞いておりますので、和歌山県老人保健福祉計画の整備目標についても、国の動向を踏まえながら必要に応じ対応してまいりたいと考えております。
 なお、県単独での施策については、財政事情をも考えると大変厳しいものと考えておりますが、今後、必要性も含めて検討してまいりたいと考えております。
 次に、介護保険制度の周知への対応につきましては、今日まで国からの情報収集に努めながら、県市長会、県町村会、市町村等に対して情報提供を行い、それぞれに意見の集約を行ってきたところでございます。今後、この制度の情報提供については、国の動向も見きわめながら対応してまいりたいと考えております。また、県において行っている種々の介護福祉サービスにつきましては、「県民の友」も含め、よりよい情報提供について、市町村とも協力しながら、さらに県民の皆様にご理解いただけるよう啓発に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただいたんですが、梅の生育不良の問題です。
 農家の皆さんたちは、原因が明らかにならないので先行き不安でたまらないというのが実態なんですよ。地域的に見ると、みんなそれぞれ後継者は随分育っていらっしゃるんですが、後継者の人たちがこれから先、安心して梅をつくっていけるのかどうかという点ではもう耐えがたいところに来ていると、私は痛切に感じたんです。それは、知事もそういうふうにおっしゃっておるわけですけれども。
 知事は今、とりあえず対策チームをつくったから、これで一生懸命頑張ってもらうんだと言われましたけれども、地元の皆さんたちは、やっぱり梅独自の研究センター、研究施設をつくってほしいと。これはもう切実です。今、四つの試験場があって、暖地園芸センターにチームをつくって一生懸命頑張っているから当面そういうものは考えられない、将来的には検討をしていくとおっしゃるんですが、今これだけ困っているときに思い切った対策をとらないと、将来といったって、いつのことかわからないでしょう。これだけみんなが必死になっているときに、不安が増長しているときに、廃園がもうどんどん進んでいっているときに、将来なんて言わないで、やっぱり思い切った対策を今とるべきだと私は思うんです。知事の決意がそういう点に出てくると思うんだけれども、そのことについてはぜひもう一回、考えてください。
 それから、火力発電所とのかかわりなんですが、やっぱり農家の皆さんたちはぬぐい切れないということなんです。
 福井県の芦原町には北陸電力の火力発電所が二基あって、一つは四十六年から稼働、そして五十三年にもう一つつくられたという状況ですけれども、この芦原町では、四十七年以降、二十年間一貫して大気汚染と農作物、杉や植物との関係について調査を行ってきて、その二十年間の調査結果が平成五年十月に出されているんです。和歌山県の場合には、継続した調査というものがないですね。住民は、そういう行政側の姿勢をずっと一貫して見てきているんです。
 芦原町では、同時に住民の健康調査も二十年間行っています。そして、一貫して調査した結果、やはり火力発電所による被害も考えられるという一定の方向が見出されてきているんです。やはり和歌山県も、今後それぞれの市町村と協力をして、そういう継続した調査を行うことが必要だと思うんです。芦原町の場合、京都大学とか富山医科薬科大学といったところに調査を依頼して、そして住民が「ここもやってくれ」と言うところは全部網羅をしてやってきたというようなことが載っています。そういう点でも貴重な資料だと私は思っていますけれども、和歌山県も、県の主要農産物、基幹産業として位置づけているならば、それぐらいのものがあって当然だと思いますし、よそに負けないほどの研究施設を早急につくるべきだと私は思うわけです。そういう点で、ぜひ検討を加えていただきたいと思います。
 介護問題については、今いろいろな問題があります。新聞やテレビでもいっぱい報道はされるんですけれども、いまだに末端の人たちは中身が全くわかっていないというのが現実なんです。それは前回からも繰り返し申し上げておりますが、最終的な修正案がこの秋にも法案として出されようとしているこの時期に、どういう内容が論議をされているのか、どういうものが具体的になっているのかということについて、県民の皆さんたちがちゃんとつかんだ上で法案ができるべきだと思うんです。その仕事をするのが、市町村であり県行政の責任だと思うんです。
 その意見を吸収して国へ反映させる方法について、よりよい方法でとおっしゃいましたけれども、ぜひ早期に、そのよりよい方法を具体的に教えてください。そうでないと、保険はあっても十分なサービスが受けられないというのが現実的になってくると思うんです。
 時間がありませんので、委員会でもう少しさせていただきたいと思います。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時十八分休憩
 ─────────────────────
 午後一時三分再開
○議長(橋本 進君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番谷 洋一君。
 〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。私で本六月定例会一般質問最終でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、熊野地域の活性化、南紀活性化イベント、紀南地方における地域医療の三点について質問をしたいと存じます。
 まず、熊野地域の活性化についてでございます。
 私は那智勝浦町の生まれでありますが、自分が生まれ育ったふるさとをこよなく愛しています。太平洋に面した海の色、入り組んだ海岸線と島々、背後には神々しい山々や高さ百三十三メートルの名瀑那智の滝、それらが織りなす壮大な景色は間違いなく日本一だと思っております。また、温かい人情にあふれたところであり、私は年を重ねるごとに那智勝浦町に生まれてよかったという思いが募るばかりであります。そして同時に、近年注目を集めている熊野の壮大な歴史に私自身大いなる誇りを持っております。
 しかし、その一方で、熊野地域に関連する問題を認識するとき、非常に心配な状況にあることもご承知のことと存じます。ちなみに、昭和三十年に十三万一千三百四人であった東牟婁、新宮、串本地域の人口は、昭和四十年には十一万九千三百六人に、昭和五十年には十万八千三百十八人、昭和六十年には十万二千六十九人、そして昭和七十年に当たる昨年の平成七年には九万一千二百四十四人と減少の一途をたどり、これに反比例するように高齢化率が上昇しております。過疎化、高齢化は粛々と進行し、地域社会としての大きな不安さえ感じられるところであります。これに拍車をかけるように、昨年、巴川製紙の撤退が発表されました。公害問題もあったとはいえ、巴川は長年にわたって地域に密着しながら活動してきたところであり、その工場の火が消えることに複雑な思いを感じると同時に、地域の不安は募るばかりであります。
 その一方で、そうした切実な危惧は、ある意味では熊野地域の連帯を刺激していることも事実であります。志ある意気多感な者たちは、村おこしや各種イベント、ボランティア等に非常に積極的であり、また森林組合なども都会からの人材募集などに取り組んでおります。このことは地域の希望の種であり、温かく見守り育てていかなければならない課題であると考えておりますけれども、悲しいかな若い力にも限界があり、とかく複雑で忙しい現代社会においては、地域の活力を向上させるまでに至っておらず、過疎化、高齢化を抱える地域の縮図がここにも見られるわけでございます。
 とはいえ、熊野地域の振興は焦眉の急を要する問題であります。殊に、昨今の全国的な自然志向、アウトドア志向は各地の拠点で大変なにぎわいを見せているところであり、この機運は本県とりわけ熊野地域にとって、願ってもない「天の時」であると思うのであります。ここに、熊野独自のすばらしい自然や歴史という「地の利」を生かし、地域における温かい「人の和」を形づくることができれば、地域の活性化に大きな刺激を与えることができると確信するものであります。また、そうした意味で、私は微力でありましても、愛すべき郷土のため、西口県政の発展、地域の振興に尽くすこと、なすべきことがあれば懸命にお手伝いをし、力を尽くしてまいりたいと考えております。
 言うまでもなく、熊野に関する課題、問題は非常に大きく、複雑に絡み合い、一朝一夕に特効薬をつくり出すような明快な答えが出るわけもございません。この議場においても、諸先輩方のもと、何年も、また何回も真摯な議論が展開されてきているところであり、行政当局においても調査や計画など、過去からさまざまな取り組みがなされてきたところであります。最近では、熊野活性化計画の策定や全国的にもユニークな熊野学研究センター構想など、まさに百花繚乱の状況であります。
 冒頭申し上げたように、私は、自分が生まれ育ったふるさと熊野をこよなく愛しております。そして、願わくは、そのよさを残しながら熊野地域の持っている特性を生かした発展、地域振興を願っておるところであり、こうした当局の取り組みは非常に心強い限りであり、心から感謝を申し上げるものであります。
 そこで、熊野地域活性化の具体的な事項についてお尋ねいたします。
 まず一点目といたしましては、熊野地域活性化計画についてであります。
 私はその取り組みに熱い期待をし、エールを送る者の一人として、この熊野地域活性化計画は熊野地域の何に注目され、何を生かして地域の振興を図ろうとされているのか、その概要と今後の展開について企画部長にお伺いいたしたいと存じます。
 二点目は、熊野学研究センター構想についてであります。
 ご承知のように、熊野は昔から信仰の聖地として注目を集め、アリの熊野もうでという言葉もあるように、他の地域からも人を集めておりました。交通面等のハンディキャップから、今、当地域は過疎の進行に苦しんでおりますが、地球規模の環境破壊が進む中で、地域に残されてきた豊かな自然が脚光を浴び始めました。また、熊野文化は日本文化の源流とも称され、内外から高い評価を得ようとしております。そういった熊野文化をテーマとする恒久的な施設、すなわちいやしの地、安らぎの地としての熊野のイメージを生かした施設の整備が必要であると考えております。全国的に見ても、奈良のシルクロード学、島根の出雲学、宮城等の東北学などがありますが、熊野学はそれらと比べても全く遜色のない、十分人々を引きつける魅力があると思っております。
 そこで、熊野学研究センター構想について生活文化部長のご答弁をいただきたいと思います。
 続いて、南紀活性化イベントについてお尋ねいたします。
 知事は、選挙期間中に発表された一三六のプロジェクトの中で、和歌山の自然と文化を世界に問いかけ、熊野地域活性化計画やグリーンツーリズムの推進と連携した紀南の活性化を図るため、仮称かもしれませんけれども、「しらら博」を唱えられ、これを基本として紀南地域全体の活性化の起爆剤とも言うべき南紀活性化イベントを平成十一年度に実施する旨、表明されたところであります。このことは、私も含め、西牟婁、東牟婁に住む県民として大いに期待するところでありまして、できる限りの協力を惜しまないものであります。この構想の基本的な考え方について、知事の所見をまずお伺いいたしたいと思います。
 また、このような県民挙げてのプロジェクトを実施すれば県内外から大勢の人々が紀南を訪れ、各地で催されるさまざまな催し物や観光、リゾートなどを楽しんでいただくこととなりますが、このような広域的なイベントを開催し成功に導くためには、道路を初めとする交通の利便性を確保することが非常に重要と考えます。平成十一年に開催するとすれば、道路などの社会資本を早期に整備することが極めて重要となってまいります。
 そこで、国道四十二号線の改修、国道三百十一号線の未改良区間、大島架橋、国道四百二十四号線の未改良区間、県道龍神中辺路線の改修など道路の整備状況と、平成十年度末までのそれぞれの見通しについて土木部長にお尋ねしたいと思います。
 いずれにいたしましても、開催時期まであと三年程度と考えられます。関係市町村、民間企業、マスコミを初め各方面の方々に呼びかけ、紀北、紀南を問わず、そのムードづくりを図っていただきたいと思います。微力ながら、東牟婁出身の私としても全精力を傾注したいと存じております。
 最後に、紀南地方における地域医療について質問いたします。
 去る五月八日、三重、奈良、和歌山三県の知事が那智勝浦町において一堂に集う紀伊半島知事会議が開催されました。当知事会議では、総合交通体系の整備、災害時における協力体制の確立、広域観光振興事業の推進、広域共同イベントの実施、さらに紀伊半島広域連携プロジェクト検討事業の実施などについて協議されたと伺っております。紀伊半島を構成する三県の知事が一堂に集い、広域的かつ共通の課題について討議し、紀伊半島地域の振興に向けて、施策の一体的かつ総合的な展開を図られることは、まことに有意義なことと考えています。
 私は、那智勝浦町に生活の基盤を置いておりますけれども、皆様もご存じのとおり、紀南地域は高齢化の進展と過疎化の激しい地域であります。そうした地域で生活する者にとって、安心して生活するためには何にも増して健康であることが大切であり、救急時における医療の確保が肝要であります。
 さきの知事会議でも、広域医療のネットワーク化については、紀伊半島広域連携プロジェクト検討事業において、協力体制の具体化等の検討を行うとの共同コメントが出されたところでありますが、私も今後の展開に大きな期待を寄せている一人でございます。
 県においては、平成五年十月に第二次県地域保健医療計画を策定されました。その計画の趣旨は、多様化、高度化する医療需要に対し適切に対応するため、県内の各地域単位で医療資源の適正配置と医療供給体制のシステム化を図ることとされております。計画では、一次から三次の医療圏が設定されております。
 すなわち一次医療圏とは、日常生活に密着して多発する発熱や腹痛といった一般的な疾病に対応する医療を提供する圏域で、市町村の区域であります。第二次医療圏とは、特殊または高度専門医療に属する分野を除く医療需要に対応するとともに、入院医療の需要に対しておおむね圏域内で対応できる圏域であり、県内に六つの圏域が設定されております。三次医療圏とは、心筋梗塞や脳卒中といった特殊な、また高度専門医療に対応する圏域であり、県下全域ということであります。
 さて、私どもの新宮・東牟婁地域は、計画によると二次医療圏の六圏域の一つとして新宮医療圏として位置づけられています。新宮医療圏における医療機関としては、平成八年三月三十一日現在で、一般病院は八施設、精神病院は一施設であり、病床数については、一般病床千百四十七床、精神病床三百七十六床、結核病床八十四床、伝染病床四十六床となっております。一般診療所は九十三施設四百十二床であり、歯科診療所は六十二施設となっており、単位人口当たりでは各医療機関とも県平均を上回っているとのことであります。
 そして計画の中では、新宮医療圏においては、総合病院新宮市立市民病院を基幹病院とし、その診療機能の充実を図るとともに、他の病院、診療所と連携しながら医療供給体制の整備を図ること、国保直営串本病院と国保古座川病院とは地域の実情に応じた中核病院として整備する必要があるとされております。また、救急医療については休日・夜間急患診療所の設置を推進すること、病院群輪番制については、医療圏全域をカバーできるよう整備を推進すること、さらに僻地医療については、基幹病院を中心として僻地診療所と連携しながらその整備を図るとともに、僻地勤務医師の確保に努めることなどが挙げられています。
 当医療圏には、今申しました総合病院新宮市立市民病院、国保直営串本病院、国保古座川病院、そして那智勝浦町立温泉病院があり、自治体立病院は合計四病院でありますが、各病院ともそれぞれ問題を抱えております。
 例えば、各病院の建物施設についてでありますが、建築の時期が、新宮市立市民病院が昭和三十七年、串本病院が昭和四十七年、古座川病院が昭和四十一年、那智勝浦町立温泉病院が昭和三十九年と、四病院とも建築後二十数年から三十年以上経過しており、建物の老朽化も目立ち始めております。
 先ほど私は当圏域における病床数の状況に触れましたが、県の第二次地域保健医療計画の中でも、地域の実情に応じた整備が必要とうたわれている国保直営串本病院、国保古座川病院だけでなく、那智勝浦町立温泉病院でも医療圏域が近接あるいは重複していることもあり、稼働病床利用率が五○%台とか、五○%を下回っているなど、当医療圏の県民にとって必ずしも数字に示された地域病床数を満足している状況にあるとは言えないと考えなければならないと思います。
 加えて、各病院とも懸命に経営努力をされておりますが、通常の医療経費以外に、毎年、維持修繕費等多額の施設管理費が必要とされ、公立病院の宿命である不採算部門をそれぞれ抱えなければならないなど、その経営は苦しく、市町の一般会計から多額の繰入金を受け入れ、何とか経営、運営を続けている状況と伺っております。
 また近年、医療を取り巻く環境は急速な老齢人口の増加や疾病構造の変化などにより大きく変化してきておりますが、住民の医療に対するニーズも、県の計画に記されているように多様化、高度化してきているのではないかと思います。こうした医療ニーズの変化に個別に対応していくには、今申し上げた当圏域の現在の医療体制では限界があるのではないかと考えております。先ごろ、新宮市立市民病院が老朽化等に伴って改築整備を計画していると聞いておりますが、こうした機会をとらえて、新宮・東牟婁地域における広域的な地域医療について関係者が幅広く議論を行い、共同連帯していくことが必要であると考えているところでございます。
 そこで私は、紀南地域に住む県民が安心して生活できるよう、県の積極的な指導のもとに新宮・東牟婁の市町村等が一丸となって取り組み、相当高度な医療にも対応できる体制をつくり上げなければならないと考えております。こうした状況を踏まえ、県としては紀南地方における地域医療をどのように考えておられるのか、福祉保健部長にお伺いしたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの谷洋一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 谷議員にお答えをいたします。
 南紀活性化イベントの基本的な考え方についてでございます。
 議員のお話にもございましたように、私は昨年の知事選挙において、紀南地方の活性化のために「しらら博」あるいは「熊野博」といった大規模イベントの開催を提唱してまいりました。これの基本的な考え方といたしましては、本県の持つ豊かな自然や歴史、文化といった資源を私たち自身がもう一度見詰め直し、新しい魅力をつくり出すとともに、全国に向けてその情報を発信することによって、さらに地域の内在的なエネルギーを高め、新たな地域産業の創出につなげていきたいという考え方に基づくものでございます。
 イベントの内容といたしましては、平成十一年度に適当な期間を設定いたしまして、それぞれの地域で地元の資源を生かした特色あるイベントを開催することにより、例えば、那智の火祭りとかお燈まつりとか、既存のイベントもたくさんあるわけであります。それらを生かして、さらに紀南地域全体を舞台としたイベント展開を行っていきたいと考えております。
 なお、今後は、三年後の実施に向けて地元市町村を初め関係機関等との連携協調を図りながら本年度中に基本計画を策定し、高野、龍神、隣接する奈良県、三重県の周辺町村、さらには全県的な参画を得て積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 熊野地域活性化計画についてお答えいたします。
 谷議員ご指摘のとおり、心の豊かさが求められる現代にあって、吉野熊野国立公園などに代表される良好な自然資源、熊野信仰を核とした歴史、文化資源といった特色ある熊野地域の素材は、内外の注目を集めております。
 熊野地域活性化計画は、こういった熊野地域の誇るべき魅力に着目し、ありのままの魅力を引き立たせることで、地域として継続的、一体的に活性化を図っていこうとするものであります。具体的には、さまざまな産品や各地の観光拠点等を生かし、新たな市場開拓、交流人口の増大に取り組んでいくなどの振興施策を考えております。
 現在、こうした事業展開を行うために、必要となる中核組織のあり方と事業内容、南紀活性化イベントとの連携等について関係市町村に説明するなど検討を重ねているところであり、今後、関係市町村や地元関係団体等の意向も踏まえながら計画を具体化してまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 谷議員にお答えをいたします。
 熊野学研究センター構想についてでございます。
 古代から熊野信仰の聖地として人々の注目を集めてきた熊野の魅力に着目し、歴史、文化、民俗等、地域固有の資源について研究するための施設を整備して熊野地域の活性化に結びつけようというのが熊野学研究センター構想であります。
 具体的な事業内容といたしましては、新しい地域学としての熊野学の研究、映像等を活用した熊野の魅力の展示、熊野学研究成果の全国への情報発信などが考えられております。平成四年度までに二回の「熊野を語るフォーラム」を開催して、学識者の方々から熊野学研究センターの基本的な性格等についてご提言をいただき、平成五年度及び六年度の熊野学シンポジウムを通じてさらに議論を深めていただきました。
 現在、熊野地域が置かれている実情を踏まえて、地域の方々のご意見なども伺いながら、研究対象の選定や研究の進め方、施設整備の手法や維持管理の形態等について、最も地域の振興に貢献できる方法を検討しているところでございます。
 本年度においては、広く全国各地に散在している熊野の愛好者や研究者のネットワークを構築して、外部から熊野学研究センターを支えていく熊野ファンクラブの設立を考えており、地元のご協力をいただきながら、こうした取り組みを通じて熊野学研究センター構想を具体化させてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 谷議員にお答えいたします。
 南紀活性化イベントについて、議員ご質問の道路整備でございます。
 直轄国道四十二号の日置川道路については、一期工事区間一・九キロメートルが昨年八月に供用されました。引き続き、二期工事区間一・六キロメートルを平成八年度、このほか郵便橋についても平成九年度完成に向けて鋭意整備が進められているところと聞いております。国道三百十一号については、去る四月二十六日に本宮町請川から渡瀬間及び大瀬トンネルが供用したところであり、現在、本宮町と中辺路町の境界付近における未改良区間で、本宮工区、中辺路工区として平成十年度完成の予定で整備を進めているところでございます。国道四百二十四号並びに県道龍神中辺路線については、龍神村の甲斐ノ川工区を初めとする各工区について早期完成に向け鋭意整備を進めているところです。
 また、大島大橋架橋についても、現在、事業中のループ橋や島内の改良工事に加えて、本年度には本橋に着手し、早期完成に向けて事業の促進を図ってまいります。その他、イベント開催に関連する道路整備について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 福祉保健部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木英明君) 紀南地方における地域医療についてお答えいたします。
 近年の医学の進歩により医療の高度化、専門化が進む中、個々の病院ですべての医療ニーズに対応していくことは、議員ご指摘のとおり困難であると考えております。
 地域の医療をどう整備していくかという問題については、広域的な観点から、市町村や関係機関が地域全体の問題として取り組んでいくことが必要と考えております。特に、新宮・東牟婁地域における救急体制については、現在、救急告示医療機関や在宅当番医制、病院群輪番制に取り組んでおりますが、県では本年三月に防災ヘリコプターの運航を開始し、搬送面の強化を図ったところでございます。今後、さらに休日、夜間の診療体制の充実を図ることが大切であると考えております。
 議員ご指摘の、より高度な医療にも対応できる体制づくりについては、圏域内における医療機関の機能分担と連携を進めていくためにも、地域の実情やご要望をお聞きしながら必要な協力を行い、新宮・東牟婁地域の県民の皆様が安心して住み続けられる医療体制の実現に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 17番谷 洋一君。
○谷 洋一君 答弁いただきまして、ありがとうございました。
 最後の地域医療についてだけご要望を申し上げます。
 今、いろんな形で私ども用事を頼まれるわけですけれども、特に医療についてはたくさんの住民の方からいただいておりますので、できるだけ早い機会に新宮・東牟婁の各公共施設と話し合いをしていただきまして、夜間でもとれる救急体制づくりを一日も早く実現できるようお願いしたいと思います。
 要望いたします。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で谷洋一君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(橋本 進君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(橋本 進君) 次に、お諮りいたします。七月八日及び七月九日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) ご異議なしと認めます。よって、七月八日及び七月九日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(橋本 進君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員から、これを申し上げます。
 〔職員朗読〕
 ───────────────────────
 総務委員会 第一委員会室
 福祉環境委員会 第二委員会室
 経済警察委員会 第三委員会室
 農林水産委員会 第四委員会室
 建設委員会 第五委員会室
 文教委員会 第六委員会室
 ───────────────────────
○議長(橋本 進君) 次会は、七月十日再開いたします。
○議長(橋本 進君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時三十九分散会

このページの先頭へ