平成8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(向井嘉久藏議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時三分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
  ─────────────────────
 【日程第一 議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び報第一号から報第五号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び知事専決処分報告報第一号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 11番向井嘉久藏君。
 〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 おはようございます。
 ただいま議長から一般質問のお許しが出ましたので、質問をさせていただきたいと思います。
 本日の私の一般質問の項目はただ一つ、産業廃棄物についてでございます。いつもでございますと、三百七十一号バイパス、京奈和自動車道、市脇・清水間の架橋、登壇させていただくときには必ずこれらについて質問をさせていただいておりました。きょうは、どうしてもこの産業廃棄物に絞って質問をさせていただくことになりました。緊急質問のような形でございます。
 私は、産業廃棄物についての質問をこの議場でさせていただくのは二度目でございます。市議会のときにも産業廃棄物について相当突っ込んで質問もし、調べもしましたが、行政の壁というんですか、法律の壁、そういう厚い壁があることも知らされました。住民が本当に苦慮している問題であっても、様式さえ整ってしまえば行政としても許可をおろさざるを得ない今の法律について疑問を感じつつ、この産業廃棄物についてご質問を申し上げたいと思うのであります。
 昨夜とけさ、自宅に地元の方からの激励の電話が入りました。また、この現場の写真がけさ私の手元に届けられました。そういうことで、産業廃棄物の処理場ができた地元は非常に苦労しておるというか、毎日の生活が大変である、これから何年続くかわからんということで、本当に泣きの涙で暮らしているということに尽きると思うんです。
 私は、前回の質問では産業廃棄物についての県条例を制定していただきたいということを申し上げましたが、探しておったら、やっぱりありました。県にもあるわけです。「和歌山県環境公害関係条例・規則集」というのがございまして、昭和四十六年七月十九日に条例第二十一号でつくられておりました。五たび改正されておりますが、こういうのが現在あるわけでございます。この中を見させていただいたら、まさしく私がきょう質問しようとすることをいみじくもうたっております。私は、こういう条例があることに感動しました。四十六年に既にこういうものがつくられているということでございますので、和歌山県公害防止条例の前文を少し紹介させていただきたいと思うのでございます。
 「前文 豊かな自然とすぐれた文化を基調に、県民のたゆまない努力により着実な歩みを続け、さらに、県民すべての不安のない充実した生活の確立を目ざしつつある和歌山県にとって、最近の大気の汚染、水質の汚濁など自然を破壊し、県民の健康と快適な生活環境を脅かす公害は、誠に重大な障害である。 これらの公害は、今後更に激化する傾向にある。 ここに、我ら和歌山県民は、次の原則を宣言するとともに、この実現を期するため、この条例を制定する。 一 すべて県民は、健康で快適な生活環境を保障されなければならない。 二 すべて県民は、他人の健康と生活環境を侵してはならない。 三 事業者、県、市町村及び県民は、一体となって公害の防止に邁進しなければならない」、こういう三項目の崇高な目標に向かって県条例は制定されているのであります。
 私は、この県公害防止条例の精神にのっとり、質問をいたしてまいりたいと思います。
 産業廃棄物に関しての一般質問は、平成六年十月六日にいたしましてから二度目でございます。そのときの趣旨は、「今、県下では他府県から産業廃棄物と称する膨大な量のごみが毎日運び込まれて捨てられている。このままでは和歌山県は近畿のごみ捨て場になってしまう。法律で認められているので、遠く県境を越え運び込まれるのを見過ごさなければならないのか。取り締まる根拠がないから見過ごさなければならないのか。法律で認められたものであれば、産業廃棄物の発生した地元で処理するのがよいと思うがいかがか。何ゆえわざわざ遠く和歌山県へ捨てに来るのか。以下について伺いたい」ということで質問しております。
 こういうことを前回は申し上げております。その中で、質問といたしまして、一番目に県条例の制定、二番目に県下自治体への指導強化、三番目に保健所の廃棄物検査体制並びに設備の充実についてただしました。これに対し当時の江口保健環境部長は、廃棄物の最終処分場を設置する際は市町村長の意見を聞くこととしている、県外からの流入については、行政指導による制限を実施している県もあるので十分に研究をいたしたい、三番目の保健所の検査については実施していないということでした。
 私は、今回の質問では、前回の質問に対しどのような改善策をとってきたのか、特に県外からの流入については行政指導による制限を実施している県もあるので十分に研究したいと発言されておりますので、これについてお尋ねしたいと思うのでございます。
 二番目に、これは県の資料でございますが、県下産業廃棄物最終処分場、現在は安定型十カ所、管理型一カ所ございますが、これに対してどのような指導、監督、調査をなさっておるのか。
 三番目に、現在計画中の事前調査書の提出件数並びに進行状況について。
 四番目に、これがちょっと問題でございますが、法律に基づき許可された以外の三千平方メートル以下の処分場の把握と指導について。
 法律では、三千平方メートル以上は申請して県の許可、知事の許可をとりなさい、ところが三千平方メートル以下の処分場は届けなくてもいいとなっています。三千平方メートル以上の処分場であっても、残土の処理については別に届けなくてもいいとなっているそうでございます。
 五番目に、前項処分場業者の知事への届け出の義務づけと市町村長への連絡と意見の聴取についてお伺いしたいと思います。
 ただいま質問いたしました趣旨をご理解いただくために、私の地元橋本市の現況を少し説明させていただきたいと思います。
 橋本市では、三千平方メートル以上の処理場が一カ所、これは県が許可したところには入っておりません。三千平方メートル以下が五カ所、それから申請手続中が二カ所ございます。申請手続中のところはえらい大きいところでございまして、一つは二万一千八百平方メートル、もう一つは七万二千三百五十一平方メートルでございます。
 平成八年六月二十一日付の産経新聞によりますと、見出しで「橋本市で計画の産廃最終処理場 反対署名三千人 近く県に提出 九度山町の住民団体 『水源の汚染心配』」とあります。また、二十九日付の各紙には九度山町議会の反対決議声明が報じられております。
 ここで、知事にお伺いしたいと思うのでございます。
 私の手元にいただいた県の資料によりますと、法的には住民の反対を根拠として不許可とすることはできないとあります。住民の声を大切に考え、担当部を保健から生活文化部に変えて前向きに対処する姿勢を示した知事にお伺いしたいのでございます。
 また、市町村長の意見の取り扱いについてもあわせてお伺いしておきたいと存じます。
 私がいただいた県の資料のうち、ほかの一カ所の事前調査書、調査結果では、法的には住民の反対を根拠として不許可とすることはできないとしながらも、現在は住民の反対運動は発生していないと記されています。住民の声が関係ないんだったらわざわざそんなこと書かんでもいいのと違うか、私はそう思うのですが、何のためにこんなことが書いてあるのか、担当部長にお伺いしたいと思います。
 前段四で申し上げた、知事許可を必要としない三千平方メートル以下の処分場でのトラブルが近隣住民との間で多発しております。私の地元橋本市であった事例ですが、調査資料に基づき、さきに述べた法律に基づいて許可された以外の三千平方メートル以下の処分場の把握と指導、また三千平方メートル以下の処分場業者の知事への届け出義務化と市町村長への連絡と意見の聴取、これらの参考にしていただくために紹介させていただきたいと存じます。
 この事例は去る六月二十三日、橋本市で行われた「動く県庁 知事と語る会」の席上でも地元被害住民から発言がございました。知事は、早期の解決を図りたいとその場でお答えし、動く県庁を終わってから、すぐ現場へ駆けつけられ、現場を確認し、発言された方に解決を約束されております。その後の県の行動も素早いものがございまして、地元住民は感謝しております。このことは申し添えておきたいと存じます。
 それでは、橋本市並びに県からいただいた資料に基づいて紹介させていただきますので、ご了承いただきたいと思います。
 平成六年五月二十日、事業計画書が高野口保健所長に提出されました。このときの広さは二千八百平方メートル──すなわち三千平方メートル以下でございます。残土・安定五品目ということでございます。当時の橋本市の担当部長は、この処理場は不適当でないというご意見を持っていたようでございます。
 平成六年六月十日、橋本市で調査した結果、道路の各所に残土引き受けの立て看板が立っておりました。これはご承知のように、自家処分であればいいんですが、お金を取って処分をするということになると県への届け出が要るということで──残土引き受けというのは、ただで置かせますということではございません。有料ということになるわけですから、橋本市はそれを自家残土のみにするよう指導しております。
 平成七年一月十一日、焼却炉を設置しております。これは、許可の不要なものでございます。例えば、建物をつぶして廃材が出たら、その廃材を燃やすという程度のものでございます。焼却炉設置の許可は不要でございます。
 平成七年五月三十一日、火災が発生しております。橋本市消防本部からいただいた「火災速報」という資料があります。これは消防が調べたままを書いたものですが、それによると、山積みの廃材に火をつけ、その場を離れた間に周囲の廃材に延焼した。出動消防車八台、人員七十二人。こういう「火災速報」が出ております。これは橋本市から聞いたわけではございませんが、出動した地元の消防団の方の話でございますと、「火は消さんといてくれ」と言われた。実際は消しておるんですが、「今、燃やしておるんだから火は消すな」と言われたそうです。
 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令に規定する廃棄物の収集、運搬、処分等の基準について」の「産業廃棄物処理基準」の中で、こういう質問があってそれに回答されております。「焚き火程度の規模の焼却であっても、焼却する産業廃棄物の種類により、悪臭、ばい煙等に係る生活環境保全上の支障が生じていれば、改正令第六条第二号イ──これは一般廃棄物の焼却と同様としておりますが──で引用する第三条第二号イ──これは一般廃棄物を焼却する場合には焼却設備を用いて焼却すること──の規定に違反していると解してよいか」、「お見込みのとおり」、こうなっています。たき火程度のものでも規制されておるわけです。にもかかわらず、山積みした廃材に火をつけて、その場を離れて、付近の人がびっくりして通報した、こういう事態が起こっておるわけです。
 これらを初めとして、高野口保健所、橋本市に出された悪臭、異臭、ばい煙、排煙、ハエの苦情が記録されているだけでも十回を数え、苦情は今も続いております。この事業所への許可を出すに当たっての疑問点についてお尋ねしたいと思います。
 一、産業廃棄物収集運搬業並びに産業廃棄物処分業許可の──これは四月三日に許可されておりますが──おりていない業者に──当時はおりていなかったんですが──許可を必要とする焼却炉設置許可されていること。これは八年三月七日に許可されている。
 二、産業廃棄物処理施設の申請受付日が平成八年三月十一日であるのに、許可日は平成八年三月七日であること。
 私が県からいただいた、「産業廃棄物処理施設使用前検査結果について」という八年四月三日に知事名で出されておる書類にはそういうふうに載っております。この疑問について質問したいと思います。
 三、地元橋本市は、許可が既に三月七日におりているのを知らずに、三月二十九日付で橋本市長名で業者に設置許可申請に伴う市長の意見を送付しております。
 その意見を紹介させていただきますと、何々殿、橋本市長、「産業廃棄物処理(中間処理)施設設置許可申請に伴う橋本市の意見について」、「貴社においては、平成六年以来、土砂・残土・安定五品目による自己処分埋め立てとして今日まで実施されていますが、付近の住民の方々より様々な苦情が寄せられており、その対応については十分とは言えないのが実態であります。 今回の中間処理施設(焼却炉)の設置については、本来ならば地元地区等の理解を得たのち市の意見書を添付し本申請を行うところであるにもかかわらず本市の意見書提出まえに、すでに工事が完成していることについては、非常に遺憾に存じます。 市としては、地元及び周辺区長ならびに水利関係者の同意がない限り同意することはできません」、こう言うている。これが三月二十九日です。三月七日には既に許可がおりています。この辺がちょっと理解に苦しむところです。
 以上述べたように、過去に苦情が絶えなかった業者を、法に規定する技術上の基準に適合しているとして、留意事項(過去に指導したが守られなかった事項)を付して許可しております。許可に当たっては、通り一遍の書類審査だけではなく、過去も調査して審査する必要があるのではないでしょうか。
 過去に、橋本市内産業廃棄物投棄において住民運動で阻止した経緯もあります。しかし、その後が大変でございました。業者は、県市を相手に損害賠償を求め、訴訟したのであります。裁判所は和解案を勧告いたしました。和解のため相当な犠牲を払っております。橋本市議会で解決特別委員会をつくり、私もそのときのメンバーでございましたが、解決金たしか三千万円──元手は四百五十万円と聞いていますが──と橋本市内の新しく開発する団地でのごみの収集権を渡して解決しております。県にも相当な犠牲を払っていただきました。
 また、橋本市内で無許可で産業廃棄物の不法投棄をしていた業者を、警察力をおかりして、一週間にわたる積み出し地の内偵、尾行等により検挙いたしました。この事件については新聞でも報道されておりますので、記憶にある方もおられるかと思います。
 このように投棄が始まってからでは遅く、事前の情報、行政の指導、住民の環境を守る意識が一体となって初めて成果が上がるものと思います。神戸や大阪から高速道路を使って、なぜ和歌山県に産業廃棄物が運び込まれるのか。兵庫、大阪の規制が厳しいからであります。また、これらの地区の住民の方々の意識が高いから、それを許さないのであります。細かく事例を出して質問いたしましたが、県、市町村の積極的な行政指導と、業者の方には住民に迷惑のかからないように、きめ細かい気配り、最善の努力と改善をお願いしたいと思うのであります。
 終わりに、私は地元に発生した産業廃棄物の適切な処理についてまで反対しているものではないということを申し添えておきたいと存じます。
 産業廃棄物については非常に難しい問題がさまざま絡んでおりますが、残念でたまらないのは、私にこの写真をきょう届けてくれた方のところへ、今、細かく紹介した業者の方から、どういうつもりであったのか私には理解をしかねますが、電話がかかってきたそうです。「死ぬまで燃やし続けてやる」、どういう意味でしょうか。七月一日から、急にこの処理場に搬入するトラックの台数がふえました。業者は、県には「ご指導のとおりいたします。今残っているものだけを処分させてください」──これは三年分ぐらいあるそうですが──こういう話があったようにも承るわけでございますが、県に言うことと地元の方に言うことと非常に矛盾がある。また、地元の反対する方からこういうことを聞きました。「この焼却炉とめたら一日百万円やぞ」、何を意味しているのか私に理解できませんが、そういうことがあったということをご報告させていただきまして、本日の一般質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 向井議員にお答えをいたします。
 産業廃棄物に関連したお話であります。まさに今日的な課題と言われております産業廃棄物の処理については、本県のみならず全国的な問題であろうかと思いますけれども、大変重要であり、かつ困難なテーマであると考えております。
 ご質問にございましたけれども、先日、橋本市で実施いたしましたいわゆる「動く県庁」において、橋本市民の方から、県が許可した産業廃棄物処理施設からの公害問題について大変厳しいご指摘を受けたわけでございます。改めて産業廃棄物処理施設の許可の難しさ、同時にその後の指導における現場での迅速な対応の必要性を痛感したところでございます。
 ご指摘の件については、翌日、担当課長が現場で事業者を厳しく指導いたしました。今、お話によりますと、その厳しさが県だけのものであるかもしれませんが、ともかく厳しく指導をし、お話のあったご本人にもその事情を十分説明させていただいたところでございます。
 今後、出先機関における環境行政のあり方についても再点検をいたしまして、改善するところは改善をし、廃棄物処理施設の許可に際しては、市町村長のご意見を十分尊重いたしまして慎重な審査に当たるとともに厳正に対応していきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 向井議員にお答えをいたします。
 産業廃棄物に関するご質問のうち、五点についてお答えをいたします。
 まず、前回のご質問にありました、県外からの流入についての行政指導による制限の研究結果についてのご質問でございます。
 産業廃棄物は、発生した場所で処理、処分されることが理想でございますが、現実には全国を広域的に移動いたしております。産業廃棄物の流入量の多い二十八の道県においては、事前協議制度等を定め、行政指導を行っている状況にございますが、本県においては、汚泥、廃油、廃液等の相当量を県外で処理しているため、こうした制度は設けてございませんでした。しかしながら、お話のように、最近、特に他府県から持ち込まれる産業廃棄物による問題が多発してございますので、本県においても事前協議等の行政指導要綱の制定について早急に検討してまいりたいと存じます。
 次は、三千平方メートル以上の産業廃棄物処分場に対する指導、監督、調査についてであります。
 産業廃棄物処理施設を許可いたしますと、事業者は施設の設置工事に着手し、完成後、県が検査を実施してから施設を使用させることといたしてございます。また毎年、いつ、どこから、何を、どれだけ搬入したかを報告させるとともに、必要の都度、保健所により立入調査を実施し、適正処理を指導いたしてございますが、今後は市町村とも連絡を密にし、定期的な監視を行ってまいりたいと存じます。
 なお、現在、県下で安定型十六、管理型五の計二十一カ所の最終処分場が計画されてございますが、いずれも事前調査の結果に基づいて関係機関の指導事項に対応中でございます。したがいまして、許可申請には至ってございません。県といたしましては、市町村長の意見を初め、こうした関係機関の指導事項にすべて対処した後でなければ許可申請を受理しない考えでございます。
 次に、法律に基づき許可された以外の三千平方メートル未満の処分場の把握と指導についてでございます。
 許可を必要としない三千平方メートル未満の処分場の数については十分に把握できてはございませんが、平成七年度から市町村、警察本部及び産業廃棄物協会と連携し、陸・海・空からのパトロールを実施してございますので、今後できる限り把握するよう努めてまいりたいと考えてございます。
 なお、許可対象外の小規模処分場についても、問題のあるものについては法律に基づく処理基準を遵守するよう指導してまいりたいと考えております。
 次に、三千平方メートル未満の処分場の知事への届け出義務等についてでございます。
 現行の法制度では、三千平方メートル未満の処分場の届け出義務等の規定はございません。しかしながら、現在、厚生省において廃棄物処理法の改正作業中であり、この中でミニ処分場をすべて許可対象にするといった議論もあると聞いてございます。県といたしましては、こうした国の動向を見きわめながら適切に対応してまいりたいと存じます。
 最後に、議員ご指摘の産業廃棄物処分場許可に当たっての疑問点についてでございます。
 当該案件は、既に設置されていた焼却炉からの悪臭等による苦情があり、早急に公害防止装置である二次燃焼装置と排ガス処理設備を設置させなければならないため許可を取得させたものでございます。許可後については、保健所と警察本部に対して許可の内容を通知するとともに、事業者に対する指導を依頼いたしてございます。当該廃棄物処理施設は完成してございますが、現段階では公害防止装置が十分機能してございませんので、引き続き改善を指導中でございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 11番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 ご答弁ありがとうございます。
 私は、先ほども申し上げましたように、産業廃棄物を調査するに当たって、法律の壁にぶち当たるということで、許可する方も大変だなあと思いました。許可したら、それだけの責任が伴ってきます。だから、苦渋の選択をなさる場合もあるのではないかと思うわけです。しかし、提出された書類が技術上すべての問題をクリアして出てまいったときには許可をせざるを得ない。こういうところが法の盲点であろうと思うわけです。しかし、先ほど申し上げましたように、過去に相当な苦情や出火、これらのことがその書類の上からでは審査されていなかったのではないかということが残念でならないのであります。法律を守る立場とあわせて、県民を守る意識を持ち合わせていただくことをお願いしたいと思います。
 しかし、ありがたいことに知事は、この問題を知って、すぐ現場へ駆けつけ、発言のあった方に説明をし、釈明をして帰られた。その後、県の担当課に直接指示をなさって、明くる日にはすぐに対処していただいた。こういう素早い動きが本当に毎日苦労している方の支えともなるのではなかろうかと思いますので、どうか今後とも県民の立場の行政をお願いしたいと思うのでございます。
 もう一点は、今述べたとおり、許可は慎重にしていただきたい。現在橋本市で起こっている公害については、今部長からご説明もありましたとおり、許可を取得させたものであるということであります。立場が反対ではなかろうかと思います。許可を申請してきたら許可を与えるのが県の行政であろうと思いますが、業者に言うて許可を取得させた。それと、申請してから許可をおろすまでに物すごく短期間であった。普通こういうものの申請には、長いものでは二年、三年と相当な期間を要するわけでございます。この件については、既に地元で非常な苦情が発生しておった。だから、許可を取得させて県の行政が及ぶようにしたいというのが趣旨であったと思うのです。指導力を発揮するにはそれしかないという結論を得て取得させたものであろうと思うのですが、私に言わせたら、業者にその逆手をとられたのではないかと思います。こういうことをこれからどんどんやっていったら、取得期間を短くしようと思ったら先に苦情を発生させておいて、それを逆手にとってやれば何年も待たんでもいいという、業者にとっては非常にメリットのあるやり方です。私は、こういうことを絶対したらあかんのと違うかなと思います。申請をしていないところは、無許可で処理をしているということで警察に告訴したり、それなりの手続があったろうと思いますが、これは考え方の違いであろうと思いますので、話はやめておきます。
 いずれにいたしましても、この問題については、いろいろと逆手、逆手で業者の思うつぼにはまっていったようなところもありますので、今後とも厳しくご指導いただいて地元住民の方々の不安を解消していただきますように要望しておきまして、私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ