平成8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(佐田頴一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時三分再開
○副議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番佐田頴一君。
 〔佐田頴一君、登壇〕(拍手)
○佐田頴一君 ただいま、議長より一般質問並びに質疑への発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、執行部に対し質問をしてまいりたいと存じます。
 私は、過去に何度か前仮谷知事に対し、この壇上より質問をさせていただいたことがありますが、西口知事に対しては初めてでありますので、まずはお手やわらかにお願いをしておきたいと思います。
 さて、西口知事は今回の知事選挙に当たり、県民に対し一三六の公約を約束されているので、ぜひこの公約の中身について詳細に、特に紀北百万都市構想の基本的な考え方についてお聞きしたいと思っていますが、この問題は次回に回し、今その対策処理に緊急を要する四つの問題点について質問をしてまいります。
 まず、地方分権の問題点と市町村合併の推進についてであります。
 昨年の地方分権推進法の成立で地方分権の機運が高まり、二十一世紀に向けて、それぞれの地域の特性を生かした活力ある郷土づくりを目指し推進されようとしているが、分権論議は一般住民にはわかりづらく、具体像はまだはっきりと浮かんできていないのが現状であります。今後、地方分権の論議が正念場を迎える中で、先日、県議会側も、地方分権推進に関する調査研究会委員が決まり、発足されるようで、大変結構なことであると思います。一方、分権を求める地方自治体の市町村の頼りなさが昨今指摘されています。
 今、分権を実現するよい機会が到来してきていても、肝心の権限移譲を受ける自治体側の市町村のうち、受け入れ態勢側の体制がまだまだ確立しておらず、逆に地方分権をありがた迷惑に思っている市町村が大変多いと言われているのも現状であります。現に、主として分権を強く望んでいる自治体は都道府県と大都市であり、小規模市町村では、今市町村に権限を移譲されてきても行財政能力や人的確保に限界があり、直ちに受け入れ態勢のないまま権限だけ移譲されても、当事者である市町村が地方分権の恩恵を生かされないままとなりかねないことになります。
 一例を挙げていきます。地域保健法改正で近く保健事業も県から市町村に分権されること、特別養護老人ホームへの入所事務処理も県から既に市町村に移行されていますし、国民健康保険は全国の市町村のうち三分の二が単年度で赤字を出して一般会計で補てんされていること。
 次に、次期国会で厚生省が目指す公的介護保険導入は、そのサービスする機関も、保険料徴収も、その運営の主体もすべて市町村という形で検討されており、高齢者の多い市町村ほど赤字が膨らみ続け、新たな市町村の苦悩が続くことになりますが、国や厚生省はそんな実態を理解しているのだろうかと疑問に思います。住民の介護を受ける権利の確保や運営機関の市町村の重い差額負担は当然となり、財源不足、受け入れ施設の整備、人材確保への対応など、これからの高齢化社会に対応できる体制は、どれをとっても都道府県以外、今の市町村規模ではとても無理であり、さらに農林、建設、教育などの部門をとっても、国の補助基準率と実勢価格の差に大きな隔たりがある以上、市町村の財源持ち出しが大きくなるばかりで、財源を圧迫し続けることになります。国はいつも制度改正と言っては面倒な仕事だけを地方に押しつけ、市町村が望まない仕事だけ移譲されますが、地方自治体の負担を増し、財源の足りない事業ばかりを権限移譲という美名のもとに移譲されては、弱小市町村はたまったものではありません。また地方分権とは、地方がみずからの創意と責任のもとに、企画、立案、調整、実施等を一貫して対応でき、豊かな地域づくりができる体制、行政の即応性、柔軟性、総合性を増し、住民の多様なニーズにこたえることができることが地方分権の利点であると強調されても、財源確保の伴わない分権移譲はなかなか納得できにくいのであります。地方交付税制度のあり方や税体制の再構築の解決の問題、これらが市町村側の消極的な態度の理由であり、積極性に欠ける理由となっています。
 次に、機関委任事務を全面的廃止と、地方分権推進委が中間報告している問題であります。
 去年、大津市で職員九百四名を対象に地方分権アンケート調査を実施し、その結果がまとめられているが、その結果は、国庫補助金と機関委任事務に係る仕事量を合わせると全仕事量の二○%を超えることがわかった。それに対する国の負担する給与費は全体のわずか○・八%であり、国の仕事を地方が受け持っても、その財源の手当てはごく少しだけということであります。市町村にとっての権限移譲は、国の財政を仕組みを変えない限り、甘い見通しに基づく対応だけでは多くの自治体が苦境に陥ってしまう矛盾を指摘したいと思います。
 しかし、新しい時代の流れとして二十一世紀には、好むと好まざるとにかかわらず権限移譲の時代が迫ってきております。これに対応するため、来年四月に中核市へ移行できるよう政令による指定を受けるべく和歌山市も準備を進めており、今、重大な岐路に立たされております。これを解決するためには、新しい時代に合った受け皿づくりの体制、現在の市町村を新しい適正規模の市町村につくりかえる必要に迫られているのではないでしょうか。それは、新しい市町村合併の推進であります。
 和歌山県内の五十市町村の形に合併したのは昭和三十年で、現在は既に合併してから四十年が経過しています。この間、高度経済成長を契機として道路網の整備、交通・通信手段の著しい発達、また社会経済情勢の変化に伴い日常生活圏が拡大し、市町村や住民生活をめぐる状況も大きく変化している。そのため近年、地方分権の時代と相まって、市町村合併の可否についての新たな課題が生じており、合併への活発な動きが必要となってきています。
 既に那賀郡では広域行政推進議員連盟結成の動きがあり、地方分権の推進の動きとあわせ、行政能力を有し、地域発展の牽引力を持つ適正な新しい市町村の誕生を積極的に推進しようとの声が大変多いのであります。現在の市町村の合併特例法が制定されて三十年が経過しましたが、平成七年三月三十一日に合併特例法が十年間延長されており、今回の合併特例法は市町村の合併はあくまでも自主的と指摘されているものの、国は合併推進を今までのように単純に市町村任せにしておけばよいという行政主導による合併スタンスを否定して住民発議制度、すなわち市町村長の意向にかかわりなく有権者の一定数の署名を集めれば市町村長に対し合併の可否を決める合併協議会の設定を請求できる仕組みが新たに加えられていること、また都道府県に対しても関係市町村の合意形成のため重要な役割を果たすことが必要であるとして、市町村に対し積極的に指導、応援等を行うべきであるとしているが、これらの問題点も含めて、知事の地方分権と町村合併の推進についての考え方を、まずお聞かせいただきたい。
 続いて、貝塚市と粉河町を結ぶ府県間広域農道の整備促進についてであります。
 二十一世紀を控えて、新しい郷土づくりに向けた活力ある地域づくりを推進するための核となる貝塚市と粉河町川原地区を結ぶ連絡道の建設は、戦後五十年、ずっとこの地方に住む人々の夢でありました。この道路を実現するため、大阪府南部・和歌山県那賀郡東部府県道路整備促進等の期成同盟会が発足して既に二十年以上も経過していますが、いまだにその方向づけさえも確定しておらず、この地域の整備は著しく立ちおくれており、他の地域の整備を横目で眺めながらやきもきしているのがこの地域に住む住民の心境であります。
 平成八年四月三十日、総会を開催して会長職も那賀町長より粉河町長に交代し、この地方に絶対不可欠な貝塚市と粉河町を結ぶトンネル構想も含めた幹線道路の整備実現に一層力を入れようと、意欲を燃やしているところであります。これから二十一世紀を間近に控えて、関西国際空港も既に開港され、まさに国際化時代を迎えるときに当たり、紀の川流域中間部の発展の絶好機としてとらえ、府県間道路の整備を早急に進めてほしいと考えております。こうした情勢の中にあって、近年、当地においては紀の川地区広域農道が完成し、大阪府側においても金剛広域農道、ふるさと農道泉州基幹農道等の広域農道が一部実現または計画中であります。
 そこで、ウルグアイ・ラウンド事業などを活用したウルグアイ・ラウンド関連事業として、新たな農業、農村の活性化、農業基盤の促進を図ることを目的に広域農道の整備を緊急に促進し、農業の振興と定住環境の改善に資するためにこの道路の整備推進を図りたいと考えております。すなわち、南北縦貫府県間広域農道の促進であります。和泉葛城山系の北側の広域農道と南側の紀の川広域農道の両広域農道をトンネルで直結する広域農道整備は、和歌山県、大阪府間相互の農産物物流の促進を初め、農村と農村、都市と農村との交流を深め、これによって新しい都市近郊農業としても発展できる重要な事業となります。もしこの道路が完成するとなると、長い夢が実現し、那賀地方への農業並びに社会経済に及ぼす効果ははかり知れないものになります。こうした観点から、農村関係の事業、特にウルグアイ・ラウンド関連事業を活用した府県間広域農道に焦点を絞り、県と大阪府関係市町村との連携を密にして早急にこの事業を採択するよう農林水産省に対し強力に要請をしていただき、この計画の一日も早い実現を図ってほしいと思います。
 まず、この広域農道の基本的な取り組みについて、知事のご所見と見通しをお尋ねしたいと思います。
 次に、農林水産部長にお尋ねします。
 ウルグアイ・ラウンド関連事業として国に採択を要請していただくとしても、この法律は時限立法のため余り時間がありません。総額六兆百億円の限定予算であるため、和歌山県側から早急に大阪府側へこの事業の提案と要請をしていただき、早急に阪和協議会で検討できるよう努力をお願いしたい。既に農林水産省へは岸本衆議院議員と地元町長も打診しており、先般も、西口知事に対して真剣に取り組んでくれるよう陳情したところであります。
 また、この事業の財源問題についても、現行法律の中で一番有利な事業は広域営農団地農道整備事業であると考えます。その補助率は国が五○、県が四一・二五、市町村が八・七五%ですが、交付税の裏打ち助成を入れると、国が八八、県が九・九、市町村が二・一%となり、県も市町村もこの程度の地元負担は可能となる資金であります。農林水産省に対するこれからの対策や大阪府への対応について、財源問題も含めて部長の考え方と見通しについてお聞きしたいと思います。
 続いて、県立新看護婦等養成所建設の内容についてであります。
 高齢化社会の到来で今後ますます増大する介護に対する対応は、病院の中だけでなく、地域や在宅での看護サービスの充実が広く求められ、看護婦の需給についての適正な供給を確保する必要な方策を講じる時期に来ています。お互いに年をとって、病院や施設、在宅でもよりよい看護を受けられるかどうか、看護婦養成所の充実が問題となります。
 昨年、新宮市に県立なぎ看護学校や県立医科大学看護短期大学が相次ぎ開校されましたが、県議会においても紀北地方への看護婦養成所設置について請願が採択され、県においても県立高等看護学院の将来構想の中で検討されていたが、紀北地域の紀の川筋として初めて那賀町地域に県立高等看護学院を建設するという計画は全く時宜を得たものであり、町民挙げて歓迎し、特に国や県の施設が全くない町であるため、仮谷志良前知事、西口知事のご英断に対し、心から深く感謝をしているところであります。
 さて、近年、小病院や診療所など比較的小規模の病院に対する看護婦の派遣が難航し、その確保が大変難しく、慢性的な看護婦不足が生じているとされています。また、市町村では身近な保健福祉サービスの拠点づくりを急がれているが、在宅福祉事業のショートステイやホームヘルプ事業等にも医療経験のある看護婦の展開が不可欠となり、要介護者の増大に対応した看護婦や介護職員が必要であり、住民の健康意識の高まりの中で、健康医療の内容説明を適切に行い得る人材の確保が必要な時代となりつつあります。そのため、保健・看護の育成をより早く目指さなければならない時代が到来してきております。
 幸い、学校教育法に定める短期大学として、本年、県立医科大学附属看護短期大学が完成され、平成八年四月一日に開校されているが、入学競争率は六・○八倍と高い競争率だったと聞くし、また最近、男性が看護分野に進出していることも含めて、将来を見越し、優秀なフレッシュな男女の県内高校生を迎えられるような立派な学校の受け入れ態勢の計画を整えてほしいと思います。
 厚生省は、現在の看護婦・看護士養成課程に、保健婦、保健士や助産婦養成のためのカリキュラムを統合した新しい看護職員の養成制度を導入することなどを含めた見直し策をまとめ、現行制度では、三年程度の看護婦養成学校を卒業しても、保健婦や助産婦の資格を取るためには新たにそれぞれの保健婦、助産婦の養成学校に一年間通わなければならなかったが、平成九年四月から新しく実施される養成課程では、四年間で看護婦になるための教育と保健婦や助産婦になるための教育を統合して行い得ることになり、これにより病院内の看護だけでなく、在宅での看護や地域での保健医療、福祉についての知識も兼ね備えた看護職員を効率的に養成できる新制度が採用されることとなっています。
 そこで、今回建設される県立高等看護学院に、看護婦養成課程とともに、ぜひとも保健婦、助産婦の養成課程も含めた総合看護学院として、さらに男性の受け入れ態勢の整備を計画の中に入れていただくよう検討してほしいと思いますが、知事のご所見を承りたいと思います。
 次に、新看護婦等養成所建設の内容について詳細に担当部長にお聞きします。
 恵まれた自然環境の中で快適な学生生活をエンジョイしていただき、資質のよい人材を受け入れるためには、快適なキャンパスライフが必要であります。主な施設として、講義室、実習室などの校舎と管理棟、図書館、女性の多い学校ですから生け花、華道などに利用できる娯楽室、運動場、体育館などを兼ね備え、さらにビデオ、インターネットを利用して他看護学院との情報交換のできる施設も、今の時代ではぜひ必要であります。今後、検討されていく看護学院の内容について、養成学科の内容、募集定員、建設の用地、建物、スポーツ施設等の面積、開校予定日、総事業費の見込みについてもお聞かせ願いたいと思います。
 最後、華岡青洲記念館建設についてであります。
 和歌山県は歴史的に偉大な先駆者を多く生んだ土地柄ですが、八代将軍吉宗、紀南の南方熊楠、紀北の華岡青洲と、日本の中にあって現在もその名を高く評価されている人物がおります。紀北の華岡青洲は、十九世紀の初め、今を去る約二百年昔、那賀町平山に日本最大の医療施設であった医学校を設立、その名を春林軒と言い、難病に悩む患者はもとより、我こそは郷土の医者たらんと志した青年も春林軒を目指し、延べ千八百人の医者が詰めかけたという。中でも、当時世界で初めて全身麻酔下での乳がん手術を成功させた偉業が全国的に知れ渡ったためであります。
 昭和二十九年、この偉大な青洲先生の功績が世界外科医学で認められ、米国シカゴ市にある人類の福祉と世界外科学会に貢献した偉大なる人物として栄誉館に祭られ、その栄誉を永久的に表彰され、世界の医学史に「医聖」の名をとどめています。日本で初めて世に出たのは、有吉佐和子の小説「華岡青洲の妻」で詳細に全国に紹介されたときからであります。
 平成三年、那賀町では、県立医科大学とともに、世界外科学会の先覚者としてこの偉大な先生の業績を顕彰し、その精神を長く後世に伝えるべく医聖華岡青洲顕彰会を結成するとともに、青洲誕生地に記念館建設並びに春林軒塾の復元を目指すために記念館建設募金推進委員会を結成し、広く全国募金運動を展開して今日に至っていますが、最近の不景気の世の中、募金運動もなかなか成果が上がりにくいのが現況であります。しかし、今年から町主体で春林軒復元に着手すると聞いているが、国及び県の支援を受けることが財源上、一番大切な問題と考えております。
 そこで、関係部長にお尋ねします。
 一、文化財保護事業の一環として、文化庁並びに県文化財課の指導のもと遺跡復元に伴う発掘調査を行ったが、史跡として国の指定が受けられるかどうか、その場合の補助の内容はどうか。
 二、半島振興法の改正の中で、国及び地方公共団体は地域に伝承さてきた文化的所産の保存及び活用に努めるとともに、地域における文化の振興に適切に配慮するとある。半島振興法を利用してもっと充実したものが計画できないかどうか。
 三、農村資源活用農業構造改善事業として本年採択されたが、華岡青洲誕生地の特色を生かしながら、健康と文化の町づくりを柱に安全で健康な農産物の産地づくりを推進し、地域特産品の開発や都市住民との総合交流施設をつくるため二カ年で五億六千万円の事業を予定しているが、この事業の性格上、一層のご支援を要望しておきたいと思います。
 最後に、知事にお願いしたいと思います。
 輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業として、町づくり推進に五億円の予算を計上されておりますが、関西国際空港の開港や京阪神への交通、道路網の整備、文化遺産に対する認識の高まりの中で、この地域が飛躍的な発展を迎えることを期待して、新しい町づくりの核とする華岡青洲関連事業のこの計画に対し全面的なご支援をお願いしたいと思います。知事のご所見を承りたいと思います。
 以上、第一回の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの佐田頴一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 佐田議員にお答えをいたします。
 地方分権にかかわる問題でございますけれども、町長をお務めになられたご経験に基づくご質問でございます。
 地方分権と市町村合併についてであります。
 地方分権については、かねてから全国知事会を初め地方六団体を通じて地方自治体が国に要望いたしまして、ようやく昨年五月に地方分権推進法が制定されたところでございます。議員ご承知のように、地方分権推進委員会の中間報告が本年三月に出されました。その報告によりますと、国と地方の役割分担、機関委任事務制度の廃止、地方税財源の充実確保等、地方自治体にとっては大変重要な課題について議論されたところでございます。地方分権推進委員会の勧告については、年内に出される予定と聞いてございます。特に財源問題については、極めて重要なことでございますので、今後とも地方分権推進委員会に強く要望していかなければならないと思っております。
 ご質問にございましたように、地方分権を推進するためには、地方公共団体の行政体制等の整備も大変必要なことだと思います。また、市町村の合併も広域行政と同様にその一方法であろうかと思います。しかし、市町村の合併の特例に関する法律では、議員ご承知のとおり住民発議による合併への道が開けておるわけであります。各地域の地理的、歴史的条件を踏まえながら、個々の市町村において自主的な合併の機運が高まった場合には県としても積極的に支援していきたいと考えております。
 次に、貝塚市と粉河町を結ぶ府県間道路についてでございます。
 二十一世紀を間近に控えて、関西国際空港が既に開港されました。まさに国際化時代を迎えるに当たりまして、紀の川流域全体の発展のためには府県間道路の整備はますます必要なことであろうと思っております。多くの路線がございますけれども、粉河町と貝塚市を結ぶ府県間道路については、過去にも林道を中心とした議論がございましたけれども実現に至っておりません。最近のさまざまな状況にかんがみまして、今後、阪和連絡協議会あるいは大阪府と協議をしながら、農林道も含め、事業実施の可能性について農林水産省とも協議をしながら、その手法、方策を研究してまいりたいと考えております。
 詳細については、農林水産部長から答弁いたします。
 次に、高等看護学院に関連してであります。
 今後の本格的な少子高齢社会の到来を控えて、看護職員の確保は大変重要な課題であります。こうした要請にこたえるために、県立高等学院を医聖華岡青洲先生が活躍された那賀郡那賀町に移転し、看護の道を目指す学生の教育環境を整備充実することにしたわけでございます。平成十一年四月の開校を目指して総事業費約三十億円を見込むプロジェクトとして計画し、県民が安心できる保健医療基盤の充実に努めてまいりたいと考えているところであります。
 他の問題については、担当部長からお答えをいたします。
 次に、医聖華岡青洲記念館に対する輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業の助成についてであります。
 この輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業については、私が当選してから提唱した事業でありますけれども、市町村等が特定の政策課題に基づいて計画的に実施する個性的で魅力あるふるさとづくりへの取り組みを支援するために今年度から創設した、市町村の単独事業に対する支援措置でございます。
 目下、多くの市町村から要望が出されてございます。議員ご質問のございました華岡青洲関連事業については、町のご要望がありました段階でその事業内容等について詳しく伺いたいと考えておるところでございます。
 以上であります。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 佐田議員ご質問の本県と大阪府を結ぶ道路整備の取り組みについては、府県間の協力調整が大きな課題でございます。
 さきにも知事から大阪府知事にこのことについて話をいたしたところでございますが、知事答弁にもございましたように、今後、阪和開発連絡協議会の動向を踏まえ、事業手法を初めとする諸課題について十分研究を行ってまいりたいと考えております。
 また、ご提案の広域営農団地農道整備事業でございますが、これは定められた営農団地内の幹線農道の整備を行うものとなってございまして、紀の川地域の広域営農団地においても、紀の川の右岸、左岸に広域農道を建設し、農作物等は広域農道から県道泉佐野岩出線あるいは国道三百七十一号を経て京阪神等へ出荷する計画として承認されたものでございます。こういったことから、府県間連絡道路の整備に広域営農団地農道整備事業を適用することは困難かと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 福祉保健部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木英明君) 県立新看護婦等養成所建設の内容についてお答えをいたします。
 新たに建設される県立高等看護学院の内容についてでございますが、高校卒業から看護婦になるコースである全日制の看護学科、准看護婦から看護婦になるコースである定時制の看護学科、看護婦から保健婦になるコースである保健学科及び看護婦から助産婦になるコースである助産学科を設置し、一学年定員でそれぞれ五十名、四十五名、二十名、十五名、合計百三十名の学生を募集してまいりたいと考えております。規模については、建設の用地として有効面積で約一万五千五百平方メートルの平地を確保し、延べ床面積で約六千三百平方メートルの校舎、体育館を建築し、グラウンド、テニスコートといった約七千七百平方メートルの屋外運動施設を整備することを計画しております。これは、現在地と比較して建築の延べ床面積で約三倍の面積となり、また体育館、グラウンド、テニスコートについては新たに設けることとなります。
 議員ご指摘のとおり、学生の学習環境はもちろん、学校生活を充実できるゆとりの教育を視野に入れ、魅力ある養成所づくりを図ってまいりたいと考えております。
 保健婦、助産婦の養成については、県内で唯一の養成機関として、より高度の専門的知識、技術を習得できる学習環境を整備してまいりたいと考えております。
 また、男性の受け入れ態勢の確立についてでございますが、現在、男性も看護サービスを担う重要なマンパワーとなっていることから、新設される看護学院においても、看護学科及び保健学科で男子学生の受け入れ態勢を整えてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 佐田議員ご質問の半島振興法の活用についてでございますが、ご指摘にございましたとおり、昨年の半島振興法の改正により、地域文化の振興等に関する規定が新たに追加されてございます。しかしながら、現状では法に基づく具体的な支援措置が明確でなく、現在、半島地域振興対策協議会、全国半島振興市町村協議会等、全国的な取り組みとして国に対して強く要望を行っているところでございます。また県といたしましても、去る六月二十七日に来年度の政府予算に関して県選出国会議員並びに関係省庁に対し、知事を先頭に精力的な要望活動を行ったところでございますして、今後とも半島地域における文化の振興に努力してまいりたいと存じます。
○副議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 春林軒塾にかかわって、二点についてお答えいたします。
 春林軒塾跡の発掘調査についてでございますが、この調査は平成七年度に文化庁の指導のもと、那賀町教育委員会が文化財保存事業の一環として実施したものであります。当該施設は、防火、排水など安全衛生面ですぐれた設計思想に基づいて建てられた、他に類を見ない住居兼病院であります。さらに、塾生を指導するいわゆる医学校の性格をあわせ持つ、我が国医学史上、極めて重要な文化財であることが判明いたしました。このため、春林軒塾を中核施設として史跡にふさわしい環境を整えるよう町に対して指導するとともに、国指定史跡となるよう文化庁に積極的に働きかけてまいりたいと存じます。
 なお、補助の内容については、母屋の移築が完了し国指定となった後は、指定地内において環境整備を行う場合、国庫補助五○%を得て事業を実施することになります。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で佐田頴一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時四十六分散会

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