平成8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(中山 豊議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中山 豊君。
 〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 お許しを得たので、質問をさせていただきます。
 まず一番目に、和歌山市中東部、海南市北東部、那賀郡南西部地域の発展策についてであります。
 和歌山市の山東地区、海南市は北野上地区、那賀郡で言うと貴志川、このあたりにかかわる問題についてであります。この地域は、道路の施設状況から見て、取り残されているという感が実に強いわけであります。東西に県道和歌山橋本線があり、近年着実に整備が進み、関係地区住民の喜びとしているところでありますが、海南東北部すなわち北野上地域はこの路線とは交わらず、貴志川町、桃山町で四百二十四号とつながるだけであります。南西部に寄れば県道和歌山野上線はあるけれども、この地域から外れたところにあり、利用度は極めて少ないわけであります。
 高津の農協学園前から選果場までの農免道は既に生活道路として利用され、海南東部地域、野上・美里町の人々の和歌山方面への通行が極めて多くなっているところであります。ところが、選果場から県道和歌山橋本線までの区間が狭隘で、渋滞に渋滞を重ねております。この道を整備し、県道和歌山橋本線につないで幹線道とされたいというのが地区住民の極めて強い要求であります。県道和歌山野上線のバイパス路線と位置づけ、四百二十四号と県道和歌山橋本線をつなぐ南北線として地域活性化のために取り組まれたいわけであります。やがてこの路線を貴志川町西部と和歌山市東部の発展に寄与させるべく和歌山市船戸まで結びつけ、和歌山貝塚線あるいは泉佐野岩出線につなぎ、大阪へ通行する方策を立ててはいかがなものだろうかと考えるわけであります。
 一つの自治体で計画を立てて事を進める場合と異なり、複数の自治体にまたがるだけに、事業化には調整に時間がかかり、難しいことは承知しております。それぞれの自治体の権益や独自性の絡みから見て、難しいことは多かろうと思われます。それだけに、上級にある県当局のご判断とご指導が大きく期待されているところであります。県政上からこの地域に風を通す取り組みをされたいわけであります。
 高津地区に、昭和四十六年の和歌山国体開催の折に使われたライフル射撃場があります。用地は海南市が所有し、施設は和歌山県体育協会が所有し、県のライフル協会がそれを利用していると、こういう状況になっております。ところが、この施設の利用者は極めて少なく、地域の人々の間では、活性化のため他に利用する方途はないのかと、寄るとさわると話になるところであります。
 地域の活性化に県道和歌山橋本線と四百二十四号を結んで幹線道として実現方を考えていただけるよう、強く求めておきたいわけであります。そのためにも、県の指導を得ながら、地元関係自治体や関係住民による促進協議会などを組織してかかる必要があろうとも考えるわけですけれども、当局のご所見を賜りたいと思います。
 二番目は、国道三百七十号の整備促進についてであります。
 これについては、既に段階的に取り上げ、当局に促進方を求めてまいりました。結果、これの整備に係る構想のあらましは、私なりに把握できるところまで至りました。しかし、一時たりとも阪井地区における現道の交通渋滞は放置できないので、この問題について重ねてご質問申し上げるところであります。
 高速自動車道海南東インターから霊場高野山に観光バスで通行できるようにするのが我が和歌山県政上から見て避けて通れない課題だと申し上げたいところであります。高野山は、単に和歌山県のみならず、日本ましてや国際的な位置づけをされているところから見て、関空が開港され、自動車道が紀南に延伸されていくことにかかわり、ますます高野山へのルート三百七十号が大きな関心事となるのは当然であります。
 さらに、海南市から野上谷にかけての発展を願う住民にとっても、大きな期待と要求が寄せられているところであります。野上電車が走っていたこととかかわって、道路改良整備は手つかずの状態が続いてまいりました。廃線後も遅々として進まず、阪井地区間の狭隘な現道に係る交通緩和策を求める声は極めて大きいわけであります。その大きさに対応する行政当局の姿勢は、まことに遅々としていると言わざるを得ません。地域住民の声の反映、海南市当局の県当局への申し出の状況によるものがあるのであろうか。限界に来ているとの状況認識から、強く求めて譲らないつもりであります。
 那賀郡下で国道四百二十四号等の整備が進み、二十四号から奈良を通り抜けて東へと通行する大型車が急激に増加したため、三百七十号阪井地区内に進入し、渋滞を余儀なくされているという状態にあります。側溝にふたがけをする環境整備事業ではかわし切れません。電車の軌道敷を利用して片道通行の措置をとってはと申したけれども、困難だとのことでありました。都市計画道路としてバイパス構想をもって基本的解決をとのことですけれども、実現させるまで現道のままではならないと改善策を求め、今まで課題提示をしてきたところであります。
 今議会では、それをさらに進めた回答を求めるため、次の質問をしたいわけであります。踏み込んだ答えをお願い申し上げたいと思います。
 さきに示されたバイパス法線についてあれこれ申し上げることを差し控えながら、龍部池から人家の少ないところを通して木津の台地で四百二十四号につなぐと答弁されているが、木津の台地から先はどのように構想されているのでしょうか。もし四百二十四号の木津バイパスを通して野上町へというのならば、なおのこと四百二十四号の整備促進を急がねばならないということになるのではないでしょうか。これが一点目です。
 二点目は、いずれにしても阪井地区内の現道の交通緩和策を急いでもらいたいわけであります。県道沖野々森小手穂線に大型車を振って現道に入れないようにすれば緩和される、阪井地区の業界の方のコンテナ車をどうするか、それなりの措置をとれば難しくはない──地区関係者にお聞きしての提起なので、思い切った判断を求めたいところです。こうするとの具体策を提示することがなければ、今回は許された時間の範囲内で粘り強く質問してまいりたいと思います。
 三番目は、貴志川水系の環境保全についてであります。
 去る六月十日、貴志川町で開かれたほたるサミットきしがわ96から多くの示唆を得ました。「本県はすばらしい自然環境に恵まれ、多くの野生生物が生息し、身近な自然に出会える場所がたくさん残っています」と知事があいさつを寄せられているほど、和歌山県は全国にもまれな自然環境に恵まれている県だと私も自負していたけれども、ふるさと生き物の里として環境庁に認定された八つの自治体の代表が貴志川町に集まってのイベントを行ったところ、貴志川町を除く他の自治体はすべてホタルは自然発生によるところだったということであります。我が貴志川町だけが人工飼育による発生の手法を追求しているということでありました。これには驚きました。貴志川町は人工飼育発生の手法であることは以前から承知していましたけれども、他のすべてが自然発生によるところであることから見て、こんなに自然が豊かであるはずの和歌山県だけが、との驚きであったわけであります。知事があいさつで寄せられているほどに本県は自然環境に恵まれ、身近に自然に出会える場所がたくさん残っている、だのに、と思わざるを得なかったわけであります。取り組んでいる貴志川町の関係者の心は、人間も自然の中の一員として生きている共存者である、共存者である私たちが二十一世紀を生きるための環境がどうなっているのかを命の良識から真剣に見詰めるのだとされているわけであります。ホタルの青い光は人間に対する自然破壊への警鐘だともしているわけであります。
 昭和二十八年の大水害による河川改修は自然環境を一変させ、加えて農業、家庭排水や工業排水等によりホタルは絶滅した。それをホタルのすめる清流と緑の保全に取り組んでよみがえらせたということですから、大変な努力でありました。水のきれいな町、そこに住む人々の心も豊かで、美しい町、自然保護に努めることが人間性復活への道だとして取り組まれているのであります。豊かであるはずの和歌山県が全国にもまれな人工飼育発生の試みをし、成功し、自然回復、人間性回復をかち取ろうとする人々の営みが和歌山にあったのであります。教えられました。私が住む海南市の隣の町にあったのです。その後、季節が進み、県下のあちこちでホタルの自然発生の報道に触れるにつけ、やはり和歌山県は自然が豊かなのだと、改めて認識するところでありました。
 ことしは特にホタルの発生が多いとも言われています。これは自然環境回帰へのしるしかもと思ったりするのですが、気は許せないと思うにつけ、貴志川町長・中村さんはサミット閉会を前にして、貴志川水系の保全に関係自治体の理解と協力を得て取り組みたいと力強く述べられました。強く心に残る呼びかけでありました。
 そこで、お尋ねいたします。
 一番目、関西電力の志賀地区での変換所建設に当たり、自然破壊に及ぶ行為は許されません。十分のチェックと監視の体制下に置かれたいわけであります。これは以前にも申し上げたことの繰り返しと受けとめずに、その後の現状報告とあわせ、地域住民、関係水域住民の安心をする答弁をお願い申し上げたいわけであります。
 二つ目、海南市別院地区においては、産業廃棄物処理に伴う河川への影響のない、しかとした対策をとられたい。これも以前申し述べて、これについてのしかとしたご答弁もいただいておるところですけれども、今行われている水辺環境整備事業については、いかように説明されようとも地域住民の心配は除かれないところにあります。海南市の水防会議で、二年続きでこの問題が取り上げられました。
 今行われている水辺環境整備事業が、廃棄物処理をした別院地区周辺の護岸を崩して、ホタルを養殖し、人工飼育に成功し、自然を回復して人間性回復へという取り組みをしているあの営みに大きな被害をもらたすことがあってはならない、こういうふうにも考えます。工事のおくれは心配を一層かき立てているところであります。さきの議会で答弁された内容の具体化に向けて、海南市とも力を合わせてしかとした取り組みをされるよう強く求めておきたいところであります。
 四番目に、農業問題についてであります。水田機能の維持保全に特別の手だてはないのか、農業用ため池の改修を計画的に進めていただきたいということであります。農業用ため池の改修を計画的にというこの質問項目については、先ほど吉井議員が質問されていることと重なるので、内容的にはできるだけ重複を避けて質問を申し上げたいと思います。
 昭和二十七年以降、新規就農者が減り続け、少し古い資料ですけれども、平成元年では全国で新規就農者が二千百人になり、さらに減り続けていると言われています。和歌山県でも、ここ二、三年少しは趣に変化があるようですけれども、同じ傾向にあるようであります。現在農業をしている人は平均六十五歳以上と言われ、あと五年ないし十年たつと働き手がいないという心配が深刻にされるようになってまいりました。中山間地の農耕に厳しい条件にある農業者は平たん地におりてきて、条件のよいところを借りて耕作しているが、それでも耕作放棄地が年々増加しているのが今日の姿であります。
 ため池から水を引く役割も、以前だと水引きと言って特定の人が引き受けて地域の田にあまねく水が行き渡るようにされていたが、水引きに頼らず、既に地域の年寄りたちが当番を決めて水の守りをするようになっていたり、農業用水路も荒れるばかりで、以前は共同管理した水を逃がさない心配りをしていたが、それもならず、それが引き金になって耕作放棄を促すことになったりしている今日であります。それのみか生産意欲をなくし、農村地域の共同を壊し、力を合わせて農業に取り組むという農家の人々の心、いわゆる伝来の農耕文化を崩してしまいかねないところにあります。これが今日の日本社会にさまざまな厄介な問題を引き起こす、深いところでの病巣ともなっていると思われてならないのであります。これは、さきの議会でも少し触れたところであります。
 年配の農家の人たちは口をそろえて、「日本の農政は間違っている。食糧不足は目に見えている。そのときになってどうにもならんようにしてしもうてはならんのや。孫やひ孫から、おじいちゃんら、そのときちゃんとしてくれてなかったからだと悔やまれても仕方ない。おしまいだ。そのようなことにならんようにしておかねば」と、このように言われます。
 昭和三十六年、農業基本法で今日の経済成長の裏打ちをしようとして農業への犠牲の政策の第一歩を踏み出してから、生産調整の名による減反政策が始められました。最後に米までを含む農産物の総自由化、そして農家経営を窮状に追いやりながら生産規模拡大で対応させようとする新農政、新食糧管理法等、地域農業者は展望を失い、極めて大きな不安に追いやられているところであります。
 以前にも指摘しましたけれども、米作で二十ヘクタールの規模をもって当たる認定農家をと言っても、とても和歌山には当てはまらないわけであります。果樹、花木を主軸にして和歌山の農業を構想するのも、それなりにわからないではありません。中山間地の農地、中でも水田の機能を守る手だてを農政の主要な課題として、和歌山県の独自課題ともすべきだと申し上げたいわけであります。収益の面から見て経済効率は極めて悪いので、政策的対象にされにくいかもしれません。だけど、水源の涵養、土砂の流出防止、生息環境保全という公益的な面からの政策的追求が強められなくてはならないのではないでしょうか。
 今日、温暖化、酸性雨、オゾン層破壊、表土流出、砂漠化、人口急増等、地球規模の環境破壊が問われているというのは、すなわち日本農業の生産基盤を掘り崩すことに手をかしているとしか言えません。機械化工業で経済成長を遂げてきたその裏返しとしての農業の疲弊は、みずからの力と努力で農業を防衛し、国土を守る戦略を持たねばならないということを物語っているのではないでしょうか。水源の役割を国土、環境、自然を守る面から見直せとの声も大きくなってきているのは、当然のことであろうと思います。
 梅原猛初め多くの学者は、「森は海の恋人、川はその仲人」と言われている。この自然認識からして、水田とその水源となる山林が緑のダムの役割を果たさなかったら、洪水、土砂崩れ、水不足で下流の都市はもろとも手を上げてしまいます。
 さらに翻って、漁業資源に大きくかかわるとも言われています。和歌山県の漁業の繁栄の陰には、あの豊かな紀伊山地における山林が原因しているのではないかとも言われています。紀伊山地を源流にして、紀の川、有田川、日高川、富田川、日置川、古座川、熊野川──新宮川というんですか──この河川の河口に開かれた町は、すべて漁港であります。学者の説によると、豊かな森林ではぐくまれた水、栄養豊かな水が川を流れて海に注ぎ、その豊かな水がプランクトンを発生させ、そのプランクトンによる魚種の豊富なことを頼りに漁業が発展したと見てみると、今漁獲が少なくなったから栽培漁業だなどというのもおかしい話だとさえ言われているところであります。背に腹はかえられないからそのようなことをして漁業を盛んにしようとする努力は、それなりにわからないでもありませんけれども、もとをただせば、やはり緑豊かな森林をそのまま守り、そして漁業を豊かに繁栄させていくという、この自然の生態系をどのように守るかということこそ政治の根幹にかかわる課題であろう。そのことに深くかかわっているのが水田であろうかと思われます。
 都市の虚弱性は、既に二、三年の干ばつによる水不足で顔を見せ始めております。──時間が足らなくなったら悪いので、よそ道するのはやめにしますが──また水は、工業文明の吐き出す二酸化炭素を光合成の力で酸素に変える天然の空気浄化装置でもあります。夏場の気温調節の役割をし、生息環境を好ましい状態につくりかえることを指摘せざるを得ません。
 かかる大乗的立場から見て、一、中山間地の水田機能の維持保全に関係者の協力を得て特別の手だてをとる必要はないのかと訴えたいものであります。その観点から見ると、和歌山県二十一世紀農業振興計画、さらには和歌山県中山間ふるさと水と土基金等の資料を見せてもらっても、今申し述べたような観点からの息吹がにじみ出てこないというのが率直な意見であります。中山間地の水田機能の維持保全について一遍に答えを出しにくいということはよくわかっているんですけれども、それなりのご見解をお示しいただきたいと思います。
 二つ目、県下に数多く散在する農業用ため池の改修であります。これは吉井議員も先ほど述べられたので重複することを避けますが、山間地の降雨水がいっときに流れて海に注ぐことのないように役割を持たせております。災害防止の面からも、水資源を巧みに利用する見地からも、水田機能保全の立場から見ても、ため池の存在は地域社会にとって大きな財産だと指摘せざるを得ません。県下のため池の調査をされているようですけれども、それに基づいて改修計画を立てていただきたいというふうに思います。
 水不足に強い和歌山、生息環境のすばらしい和歌山、このような和歌山を創造するためにも、中山間地における水田機能の維持保全は大いに考えて値あるものだと思われます。所見をいただきたいと思います。
 北野上に新池という池があります。その池を県の大変な努力とご援助で改修しました。去年の何月議会でしたか、それらに対する予算が計上されておったので、その事業の内容をつぶさに見てこようと足を運びました。驚きましたね。一つの池の堤防を改修するというのに膨大な土が要るということを教えられました。井沢弥惣兵衛の時代までさかのぼることはない。これは学校教育、社会教育の大きな教材だという認識から教育委員会や市当局に申し上げて、そのような評価をお互いにし合うような働きもさせてもらったところであります。
 事ほどさように、池をつくり、田んぼを養うにつけて水路を開設したりするような営みにどれだけ先人の苦労があったかということを今さらのように教えられたわけであります。田んぼをつくらなくなったから水は要らないといってむざむざとそのような池を放棄してしまったり、他に用途を変えてしまうような疎ましいやり方は政治家としてとるべき姿ではないんではないかと、こういうふうにして教えられました。ご所見を賜りたいと思います。
 近年、池の下、堤の下にはばかりなく宅造されて住宅がたくさん建つようになりました。このような状況からしてみてもため池の改修を急がねばならない、このようにも申し上げてこの質問を終わります。
 農業問題についての二つ目は、カメムシ対策であります。
 チャバネアオカメムシの越冬成虫調査結果から、ことしは大量発生するとの予告注意報を四月十二日に当局はお出しになりましたね。これが農業関係者の間に余り知られていないのです。知事が申された「県民の心は県庁に届いていない」のではなくて、「県庁の心が県民に届いていない」というふうな姿をまざまざと見せつけられました。このこととかかわって農業者にいろいろお話もお聞きしましたので、幾つかのご質問を申し上げたいと思います。
 こういうふうな大量発生する原因は人間の自然破壊への警告だと指摘される人もいますけれども、大量発生のメカニズムについて県は研究所等を通じて随分と把握されていると思いますから、その取り組みの経過と今日到達した成果、現状をご報告していただきたいと思います。さらに、被害防除策としてとられている効果的な措置についてもご説明願います。
 次に、先ほど申しましたように「県庁の心が県民に届いていない」というふうなことであっては、いかように開かれた県政を進めようとしてもちょっとおぼつかないという感じもしないではありません。こういういい取り組みをし、いい成果を県民に返そうとして皆さんがなさっていることですから、これはあまねく、つつがなく県民の心に届くようにしてあげていただきたい。
 予告注意報が農業者にあまねく届くようにするためには、情報伝達の手法でいまひとつ工夫が要るのではないかと思ったわけです。それで、農業者に聞いてみたんです。ある地域では防災無線などを通じてこういう農業者にかかわる情報を提供したり、カメムシの話だけではないけれども、あした大霜になるかもわからないから気をつけなさいというような農業情報を無線に流して提供しているところもあるじゃないかと、こういうふうに言われました。いろいろ聞いてみますと、まだそういう無線情報を提供する施設のないところもあるようであります。こういうところには、県のご援助とご指導に基づいて、あまねくそういう情報が県民のところに届くようにしていただけるような立場に立てないのでしょうか。もちろん、地方自治体や農協関係者やその人たちのご協力、ご理解をいただけなければできない話だと思うわけですけれども、いいことをしながら、いいことが県民の財産になっていかないというのは大きな損失だと考えざるを得ません。──急ぎます。
 最後は、亀の川の改修計画であります。
 永年、黒江室山団地や岡田地区の人々──と言っても皆さんはご存じないかもわかりませんが、JR紀勢線の黒江駅のあたりであります。亀の川に注ぐ大坪川の溢水による家屋への浸水がないようにと訴えたいわけであります。
 本流である亀の川が増水すると支流である大坪川の流水が逆流することから、住民は、ポンプによる排水によらなければ基本的には解決しないのではないかとさえ言われたりもしております。
 頭脳立地(インテリジェントパーク)からの排水を且来地区内で亀の川に取り込むために亀の川の改修工事がなされており、且来から毛見区間の整備は、毛見地区間で大坪川へとの見通しのもとに着々と進められているようですけれども、阪井は下河原地区から上流、海南市の管理下にある上谷川、海老谷川に及ぶ区間の護岸の傷み、河床の堆積状態から、改修を計画的に進められるよう求めたいわけであります。
 地権者の同意、協力を得られるよう地元で努力を進めるとしても、県の管理下にあるひや水地区から阪井浄光寺原までの区間、さらに下流に至るまで計画的に取り組まれたいわけであります。特に、阪井地区下河原の県道沖野々森小手穂線の改良にかかわるあたりは、どうしても地権者や住民の協力を得て実現方をされたいわけであります。阪井地区の三百七十号交通緩和策の関連からしても、この河川の改修は避けて通れないのではないかということを申し上げて、第一回目の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 中山議員のご質問にお答えいたします。
 最初に、国道四百二十四号と県道和歌山橋本線をつなぐ道路のご質問についてでございます。
 この道路は、海南市及び貴志川町の管理道路であります。したがいまして、今後、両市町から要望があれば必要に応じて調整を図ってまいりたいと存じております。
 次に、国道三百七十号の整備促進のうち、国道三百七十号の木津から先についてであります。
 まず、国道四百二十四号木津地区の未改良部につきまして、国道三百七十号へ接続するバイパスとして現在調査を進めております。また、海南市野上中から野上町小畑の区間につきましては、野上電鉄の廃線敷を活用して整備を進めております。
 次に、国道三百七十号の阪井地区における交通渋滞対策につきましては、当地区の沿道には人家が連檐しているため、将来的には龍部池から国道四百二十四号間をバイパスで整備してまいりたいと考えております。
 県道沖野々森小手穂線へのバイパス計画につきましては、物件移転等の問題もございますが、周辺の道路網等も含め、市とともに協議してまいりたいと思います。
 次に亀の川の改修につきましては、河口から紺屋橋までの間延長四千八百メートルについて中小河川改修事業により取り組んでいるところであり、特に河口から国道四十二号御里橋間延長四百メートルの用地買収を推進しているところでございます。
 議員ご指摘の大坪川の改修につきましては、亀の川本川の流下能力を勘案しながら調査を進めているところでございます。
 また、且来地区から上流につきましては、下流の改修状況を踏まえ、海南市及び地元関係者と調整を図りながら検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 中山議員にお答えいたします。
 貴志川水系の環境保全についてでございます。
 かつらぎ町志賀地区で進められている関西電力株式会社紀北変換所新設工事につきましては、林地開発許可に係る連絡調整事項といたしまして、平成七年四月十七日付でその手続を終え、現在、敷地造成と進入道路工事に着手しております。これら工事に伴う濁水防止につきましては、通常の沈砂池や布団かご堰堤などのほか、濁水処理プラントも備えており、貴志川の水質に著しい影響はないものと判断しております。
 今後とも、工事の施行につきましては、災害の防止、環境の保全等に十分注意するよう事業者を指導してまいります。
 次に、農業問題についてでございます。
 中山間地域の水田を初めとした農地の保全につきましては、食糧生産はもちろんのこと、県土の保全、水資源の涵養など、公益的な機能を有しており、その役割には重要なものがあると認識してございます。したがいまして、県におきましては、地域の実態に即した生産基盤や定住環境の整備を初め、担い手対策などを総合的に進め、中山間地域の農地の保全に努めているところであります。
 一方、近年、環境への意識の高まり等もあり、自然豊かな農業、農村の果たす役割が見直されております。こうした動きを踏まえながら、農村と都市との積極的な交流や学校教育での啓発などを通じ、農業、農村の重要性について多くの人々の理解を得るよう今後一層の取り組みを図ってまいりたいと考えております。
 次に、ため池の改修でございます。
 ため池につきましては、農業用利用のみならず防災機能や自然環境保全などの公益的機能を有しており、その維持保全を図ることは重要であると考えてございます。
 ため池の整備につきましては、吉井議員にもお答えしたところでございますが、小規模のため池を県営事業として実施することにより地元負担の軽減などを図り、整備促進に努めているところでございます。今後とも、市町村及び地元との調整を図りながら事業推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、カメムシ対策でございます。
 カメムシ対策については、本年、全国的に異常飛来が見られたのは、昨年はえさになる杉・ヒノキの実が十分あり、越冬成虫が多かったことによるものでございます。本県でも二月の調査から被害が予想されましたので、早くから注意報を発令し、チラシの配布など、きめ細かく広報に努め、対策に取り組んでまいりました。
 防除対策といたしましては、誘殺灯や飛来を防ぐ黄色灯による対策もございますが、薬剤による一斉防除が最も効果がございます。今年の大発生に当たりましても、県、市町村、農協、農家が一体となり、一斉防除を推進した結果、今のところ被害を最小限に抑えることができたと考えており、協力いただいた農家の方々に対して深く感謝している次第でございます。
 今後とも、農家を初め関係機関との連携を密にし、一層きめ細かい広報活動と的確な防除対策等を推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 32番中山 豊君。
○中山 豊君 中山間地の水田機能の維持保全については、具体的にこうしろ、ああしろというふうな提起をし得ないままの質問であっただけに、再質問をするにはちょっとはばかるわけですけれども、申し上げるだけ申し上げておきたいと思います。
 私が指摘した観点からはまだかみ合ったところにないような、そういう感じがしてなりません。これについては今後も引き続き論議をし合っていきたいと、こういうふうに気持ちを述べておきたいと思います。
 一番目の質問である、四百二十四号と県道和歌山橋本線を高津地区内でつなぐ道路の問題についてであります。
 地元からの要望があればという前置きをしながらのお話でしたけれども、質問の中で申し上げましたように、まさに関係自治体や関係地区住民のこぞった要求が当局の行政に反映されていないという実態が質問を段取りする過程の中ではっきりしましたので、この要求を具体化させることにより、やがて当局を煩わしたいとも思います。その節はよろしくお願いいたします。
 三百七十号阪井地区の交通緩和策の問題ですけれども、龍部池から東へほどなく、人家の少ないところを通して四百二十四号線木津台地へつなぐ、これが基本的な考え方だということは、前の議会でもお聞きいたしました。それから先は野上電鉄の軌道敷跡を利用して東の方へ延ばしていくんだと、こういうお話ですけれども、木津の台地で四百二十四号線と今申し述べた線路敷とをつなぐというのは、まさしく木津の地域間における四百二十四号線のバイパスを利用してつなぐという、こういうお話として受けとめたわけであります。こうなってくると、木津のバイパスもやらなくちゃならんわ、阪井地区の龍部池から東向いてのバイパスもやらなくちゃならんわ、このバイパス構想が両すくみになって、いずれも解決されないであのあたりの交通緩和策がとれないということになってはならない。このようにも考えて、特別に、背に腹はかえられないところに来ているからやってくれと、こういうお話だったのです。ところが、人家が密集しているとか、やれ周辺の道路との調和の問題等々を考えてということですが、これとても、地元の市とよく相談をし、よく協議をしてと、こういうお話であります。
 事ほどさように、何遍言うても、地元とお話を、協議をしてという形で済まそうとする県当局のあり方は、やはり許されないわけであります。本議会を通じて当局の姿勢なり取り組みのあり方についてお求めをしているんだから、市の態度がどうであれ、こうであれということとならず、もっと踏み込んで、こうしたいのでこういう立場から海南市との協議を進めていきたいという、まず県当局のこの問題に対する解決への基本的な心構えをお示しいただかないと、市と協議しても、市の方はぐにゃぐにゃしているのでやれんよということになるような話では、幾ら話をしたって問題解決にはならない。
 議場を通じて、中山がこれだけしつこく何遍も繰り返してあれこれ言うているんだからせめてこういうふうなことをということで、心構えを示しながら市と協議するというような答弁をされなかったら、僕は納得できない。しかし、あれこれとそういうお話をやりとりをしてもなんだから、そういう強い心持ちでいることだけを表明して、一層の促進方をご要望して終わりたいと思います。ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時五十分散会

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