平成8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成八年七月二日(火曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び報第一号から報第五号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び報第一号から報第五号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川  武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門  三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島  雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷  洋 一
 18 番 長 坂 隆 司
 19 番 高 瀬 勝 助
 21 番 宇治田 栄 蔵
 22 番 宗  正 彦
 23 番 橋 本  進
 24 番 井 谷  勲
 25 番 玉 置 公 良
 26 番 上 野 哲 弘
 27 番 東 山 昭 久
 28 番 尾 崎 要 二
 29 番 野見山  海
 30 番 木 下 秀 男
 31 番 町 田  亘
 32 番 中 山  豊
 33 番 山 下 直 也
 34 番 鶴 田 至 弘
 35 番 森  正 樹
 36 番 村 岡 キミ子
 37 番 新 田 和 弘
 38 番 平 越 孝 哉
 39 番 森 本 明 雄
 40 番 神 出 政 巳
 41 番 松 本 泰 造
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(一人)
 20 番 堀 本 隆 男
説明のため出席した者
 知 事 西 口  勇
 副知事 山 下  茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 鈴 木 英 明
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
   山 本  昭
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 高 垣  宏
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
   若 林 弘 澄
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 選挙管理委員会委員長
   谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島  光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊  孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時二分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(橋本 進君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第八十八号は職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕・
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    和人委第107号
    平成8年6月27日
 和歌山県議会議長 橋 本 進 殿
 和歌山県人事委員会委員長 若 林 弘 澄
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成8年6月25日付け和議会第93号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
   記
 議案第88号 和歌山県退職年金及び退職一時金に関する特別取扱条例等の一部を改正する条例
   意 見
 上記条例案については、適当であると認めます。
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 【日程第一 議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び報第一号から報第五号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 次に日程第一、議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び知事専決処分報告報第一号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 4番吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、おはようございます。六月議会のトップバッターで質問させていただく機会を得ましたこと、大変光栄に存じます。ありがとうございます。ちょうど私も十回目の記念すべき一般質問ということで、一生懸命務めさせていただきます。
 それでは、まず初めに県内の景気対策について質問をさせていただきます。
 景気の回復に期待感が強まる中、主要な民間調査機関の八年度経済見通しが二十六日発表されました。ほとんど政府経済見通しの二・五%よりわずかに上回る成長率を予測いたしております。経済企画庁の発表でも、本年一月から三月までの国内総生産の成長率が二十三年ぶりに三%の大台に乗ったことから、景気は緩やかながら着実に回復の動きを続けているとの判断であります。バブル崩壊後の不況期より繰り返して行ってきた政府の大型経済対策から四年が経過し、ようやく数カ月連続で緩やかな回復基調ということになってきたようです。
 しかし一方、県内に目を向けると、ことしの一月から三月における企業の倒産件数が昨年度の同時期と比較して減少しておりますが、まだ高い数値であると聞いております。また雇用状況についても、一部には回復傾向が見受けられますが、厳しい状況が続いております。県民のほとんどが景気の回復が実感できないような状況であります。
 そこで知事に、最近の県内の景気状況と今後の対策についてお伺いいたします。
 このように景気が緩やかに回復しつつあるという状況のもとでありますが、まだまだ明るさが見えてくるのが実感できない現状であります。四月二十三日に中小企業庁が発表した平成八年度版の「中小企業白書」によると、日本経済の構造変化の中で中小企業は厳しい状況に置かれているが、今後の日本経済の再建を図っていく上で中小企業の躍進が不可欠であると、中小企業の日本経済における役割が大きく期待されております。昨年四月に中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法もでき、中小企業に対する新しい支援策が課題となってきております。
 そこで、県内の中小企業に対する支援策について、県はどのように考えているのか、またどのような企業支援を行っているのかをお尋ねしたいと思います。
 また、県内の中小企業の育成を図っていくためには人材の確保が重大なポイントであります。優秀な人材のUターンについても重点を置く必要があります。
 そこで、現在どのような対策を実施しているのか、また今後の対策についてお伺いいたします。
 また、有効求人倍率がまだまだ低位で推移する中で、雇用の確保に対する今後の取り組みについてもお伺いいたします。
 以上、景気対策についての質問であります。
 続いて、紀伊半島三県知事会議について質問させていただきます。
 五月八日、那智勝浦町で三重県、奈良県、本県とで紀伊半島知事会議が開催されたと聞いております。その会議の中、太平洋新国土軸の構築等、総合交通体系の整備、災害時の協力体制、広域観光振興、紀伊半島振興計画に位置づけられた広域連携プロジェクト等について意見交換を行ったという知事の提案説明を受けたところであります。三県知事会議に関連して質問させていただくわけであります。
 よくよく考えてみると、奈良は大和政権という日本最初の統一国家の中心であり、三重県は伊勢神宮、伊勢参りということで発展した県であり、和歌山は熊野もうでという日本及び日本人の精神のよりどころとしての地域であります。そしてまた、日本の聖域でもあるわけであります。紀伊半島は、本来、日本の中心となるべき地域であるわけであります。それが、近代、東京一極集中のあおりで国土軸から外れ、近代的な産業の振興という面で他の地域におくれをとったのであります。その中で、これから三県で何を考え、どういう視点で取り組んでいくのかが重要であります。第二国土軸における三県の交通体系の整備等については今後強力に推進すべき事項でありますが、もっと紀伊半島が未来に夢を持ち、二十一世紀の歴史をつくっていくような、紀伊半島が日本の中心になるようなことを提案していただきたいと思うわけであります。三県による広域連携プロジェクトを具体的に推進する中で、将来三県が一つになることを視野に入れて取り組むかどうかについても、知事間で話し合っていっていただきたい重要なテーマであると思います。そして、紀伊半島が遷都の候補地に手を挙げて──というのは、最近、遷都問題が非常に重要視されてクローズアップされております。そういうことで、二十一世紀の都づくりに取り組むような夢のあることについても取り組んでいただきたいと考えております。
 そこで、知事にお伺いいたします。今なぜ三県の知事会議を開催したのか、またどういう視点で半島振興策に取り組むのかをお伺いいたします。
 続いて、電源立地及び関西電力の御坊第二火力発電所の関連について質問をさせていただきます。
 私は、前の議会で電源立地について、次期長期総合計画の中でどのように位置づけるのか、そしてまた地域振興として立地政策と同時に近畿圏における県の役割、それに伴う県益の確保ということについて知事にお伺いいたしました。知事からは、国のエネルギー政策の動向を見きわめながら地域振興の立場で対応していきたいとの答弁があったところであります。今回は、具体的なことについてお伺いいたします。
 関西電力が計画している御坊第二火力発電所についてであります。
 私は、国のエネルギー政策と電力会社の事業計画は一致しているはずであると思います。そのことを前提に質問をさせていただきます。
 先日、御坊市の市長選挙があり、柏木市長が再選されました。関電が計画している御坊第二火力発電所を推進しておられる現市長が再選されたことで、関西電力も正式に建設の申し入れを御坊市に対して行われることになると思います。
 今回、関西電力が計画している火力発電所は、第一火電の隣接に百十ヘクタールを埋め立てて、そこに建設する予定であります。現在の第一火電の二・五倍の四百四十万キロワットの発電規模のもので、合わせると日本一の規模になると聞いております。立地の御坊市及び周辺の町村には、地元経済浮揚と地元活性化の絶好のチャンスであろうと思います。御坊市へは数百億円の固定資産税と御坊市及び隣接町村に百数十億円の電源交付金が落ちるのであります。また、建設費一兆数千億円という巨費を投じて行う事業であるため、県内における景気の波及効果は莫大なものになろうと思います。
 既に、御坊市議会において、平成六年三月二十五日、この第二火力発電所の誘致を決議し、また御坊市長は環境影響調査の同意をし、平成六年十二月から関西電力が一年にわたりこの調査を実施したと聞いております。
 そこで私は、御坊第二火力発電所における環境問題について気になりますので、今回質問をさせていただきます。
 火力発電所は全国で次々に建設され、その環境保全対策技術は世界的にも最高水準のものと聞いております。海南の発電所、御坊発電所ができて、つい最近まで公害問題は発生しませんでした。しかし、ここに来て梅衰弱問題を契機に、火力発電所増設等による大気環境問題が取りざたされております。県議会でも、馬頭議員、野見山議員、大沢議員から、田辺市周辺の被害等の原因もこの発電所に関係があるのではないかという質問もありました。また、ことし三月には田辺市議会において、梅枯れの原因が解明されるまで第二火力発電所は慎重にという意見書を採択し、さらにまた南部川村議会も、ことし四月に梅生育の原因が解明されるまで第二火力発電所の建設は慎重にという同趣旨の意見書を国、県、御坊市に送ったようであります。また意見書には、第二火電が使用計画にある新燃料オリマルジョンの公害性等についての疑念も出されております。だから私は、こういう発電所の集中立地を軽々に考えていくわけにはいかないと思うのであります。
 聞くところによると、大気への影響は発電所地点から二十キロ、三十キロエリアが最も大きいと聞いております。三十キロであれば、私の住んでいる有田郡全域がそのエリアの中に入るわけであります。下津町もそのエリアに入ります。海南市と御坊市の中間地で、両サイドから受ける大気への影響は非常に大きいものであろうと思われます。また、企業発電として東燃、和歌山石油精製の発電も計画されているようで、さらに環境が悪化するおそれが考えられます。
 現在、御坊第二火力発電計画をめぐって、田辺、南部地方で梅問題が取りざたされておりますが、有田地方においてもミカン農家の不安が増大してきており、表面化するのは時間の問題であります。湯浅町においても、関西電力から説明会があったように聞いております。今後、地元同意が終わり、海南、御坊発電所の稼働実績をもとに、発電所計画による影響について十分な審査をされ、県益と地域振興の立場で県は建設に向けての判断をされることになろうと思います。
 しかし、ここで申し上げたいのは環境影響を審査する場合のよりどころについてであります。当然、環境アセスメントでは数字で判断されるわけで、事業者がそれなりの環境保全対策を講じ、環境基準を十分クリアした建設計画を提出するわけで、その限りにおいては数値的に問題なしという結論が出るわけであります。
 しかし、私が言いたいのは、目に見えない部分、数字ではあらわせない部分に対する農民の不安感であります。化学的専門用語に「閾値」という言葉があります。これは、生物の変化すなわち障害を起こすために必要な最小の刺激の量というもので、生体反応が起こり始める瞬間の数値であります。農作物が水不足等、他の要因で閾値の限界まで達していた場合、この煙のわずかな量が複合汚染の要因となって農作物に障害が出るおそれがあるということは十分考えられるわけであります。どんなわずかな濃度であっても複合汚染の要因となることは十分考えられるわけであります。だからといって、一概に発電所建設事業者だけにその対策を講じさせればよいのかと疑問に思うのであります。大気汚染の元凶は、主として自動車の排気ガスにあると言われております。この移動汚染源がどんどん流入してきている現状を見たとき、やはり広域的なエリアで、しかも永続的に環境保全対策を講じていく必要性を感じるのであります。また、その主体を県が行っていかなければならないと思います。
 そこで、この御坊火力発電所計画について何点かお伺いいたします。
 今、知事は、この御坊第二火力発電所計画についてどのように考えておられるのか。また、地域経済の浮揚、地域振興の立場で推進する場合、立地市及び隣接地はもちろんのこと、半径三十キロメートル以内の周辺地域の意見を集約すべきだと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に大気環境保全対策について、目に見えない、数字で明確にあらわせられないレベルの濃度に住民が不安を抱くことについて、県はどのように対処するのか。
 また、発電所の建設には、関係十二省庁から成る電源開発調整審議会の意見を経て電源開発計画が策定されるわけで、その際に知事の意見が求められ、知事は地元の意見を聴取した上で建設可否の回答をされるわけであります。私は、こうした地元及び周辺町村の意見集約にはかなりの労力がかかると考えられます。聞くところによると、この九月にも建設申し入れが行われると言いますが、県はどのような体制で臨まれるのか。綿密な対応が必要であり、担当チームを設置すべきではないかと思います。どのように取り組むのか、お伺いいたします。
 次に、電源三法による交付金についてであります。立地地点とその隣接地に交付されるようになっておりますが、環境影響調査をもとにもっと地域を拡大していくべきではないかと考えます。発電用施設周辺地域整備法に基づき、周辺地域の整備計画は知事の総合的な判断によると聞いております。従来にない思い切った判断により、もっと広域的な整備計画を期待するものであります。お考えをお伺いいたします。
 続きまして、ため池問題について質問させていただきます。
 最近、ため池の改修についての相談が私のところにもよくあります。老朽化し危険であるため改修したいのですが、改修に伴う自己負担額が多いのですぐにできない場合が多いようであります。国五○%、県三○%、残り二○%が地元負担ということで、市町村か受益者負担ということになるわけであります。
 現在、県内には五千九百二十六カ所のため池があり、国と市町村の所有ため池は全体の七六%であります。そして、全体の八六%のため池を集落の水利組合が管理している状況であります。不必要とされるため池もありますが、農業用水、治水、防火用水、自然環境の保全という役割を有しておるわけであります。
 例えば、吉備町に平池というため池があります。平池は日本でも有数の野鳥の宝庫で、この自然環境を守ってほしいという要請が各方面からあります。しかし、このため池も老朽化し、早急に改修が必要となってきております。単に農業用水だけのものではないわけであります。農業用水のためだけであるならば、広さは三分の一程度もあれば十分であります。
 ため池のほとんどは江戸時代につくられたものと聞いております。先祖が労力と時間をかけてつくったもので、汗と血の遺産であります。現在、稲作が急減したため不要となったため池が多くでき、これを埋め立てて工場にしたり、テニスコート、ゲートボール場、公園等をつくって利活用をしているところがありますが、私はできるだけ先人が苦労してつくったため池をつぶさずに、将来の食糧供給能力の確保のためにもぜひとも保存していきたいと考えるものであります。
 今、米の自由化で食糧については心配ないようであります。しかし、いつ何どき食糧不足、食糧危機がやってくるかわかりません。地球人口は、二百年前の農耕時代は二億人から四億人であったのが、今では五十億人を超えております。五十年後には百億人に達するという見込みも出ております。そのときのためにも、ぜひともため池を水を張ったまま、貯水状態のまま保存しておきたいものであります。
 聞くところによると、県内のため池五千九百カ所のうち、改修が必要と思われるところが二千七百十カ所、下流部に民家や公共施設があり水防活動が必要とされる、重要水防箇所と言われる危険な箇所は二百二十四カ所あると報告されております。これら危険と思われるため池を早急に改修する計画を立ててほしいと思うのであります。今後、県はどのような計画で取り組むのか。
 そしてこれからの考え方は、ため池の受益者は農業用水を利用する者だけではなく、現在そして未来の住民であるという観点から、地元負担については自治体が責任を持って事業実施できるよう制度改正等に取り組んでいただきたいと考えます。
 以上、質問をさせていただきまして、第一回目の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員にお答えをいたします。
 まず、県内の景気状況と今後の対策についてでございます。
 県内景気については、鉱工業生産指数が対前年同月比で十カ月連続してマイナスとなってございまして、依然として厳しい状況にございます。しかし、個人消費と雇用の一部には回復傾向が見受けられる状況となってございます。このような県内景気の厳しい状況を踏まえて、中小企業に対する金融対策等の一層の充実を行ってまいりたいと考えております。
 さらに、従来の循環型の経済が行き詰まり、大きな構造転換期を迎えている現在、県といたしましては、工業技術センター、産業情報センターの充実強化、さらに先日落成したリサーチラボを中心とした企業集積等を中心に、ベンチャー企業などの創造的企業の育成、技術力の向上、企業の情報化、国際化などを促進して、和歌山の資源と創意を生かした地域産業の振興を図ってまいりたいと考えております。
 次に、紀伊半島知事会議についてでございます。
 昨年、私も含めて紀伊半島三県は知事選挙を経て新しい体制で取り組むことになり、また昨年十二月に策定した紀伊地域半島振興計画では、半島地域の振興のためには県域を超えた広域的な連携が必要としておるわけでありまして、そういうことから本議会の冒頭説明で申し上げた紀伊半島知事会議を開催したところでございます。
 今後の半島振興に取り組む視点といたしましては、三重県、奈良県との県境の壁を超えた広域的事業を推進する紀伊半島広域交流圏、また紀伊半島に住む方々も、訪れる方々もそれぞれ豊かさを実感できる紀伊半島快適環境圏の形成を目指すものでございます。そのために、議員のお話にもございましたけれども、紀伊半島が有している豊富な歴史文化資源の活用を図りまして、例えば、日本の原郷熊野地方を文化情報の発信基地として今後三県が相互に協力し、半島性の脱却を目指して地域振興を図ってまいりたいと考えてございます。
 さらに、今後の半島地域の振興にとって欠かすことのできない太平洋新国土軸の問題については、新しい全国総合開発計画に明確に位置づけていただくことがぜひとも必要でございまして、今月十九日に、ちょうど全国知事会議の翌日でありますけれども、三県知事がそろって国に対して強く要望を行うことを予定いたしております。今後とも、三県の協力のもとに、活力にあふれた紀伊半島の実現に努力をしてまいりたいと考えております。
 次に御坊第二火力発電所については、御坊市による誘致の推進及び御坊市議会の誘致決議を受けて、平成六年十二月から事業者による環境影響調査が行われてまいったわけであります。本年二月で現況調査が終了し、現在は予測及び評価が行われているところでございます。この秋にも環境影響調査書が取りまとめられ、国、県、関係市町村に提出される予定と聞いておるところでございます。
 現在、県に対して周辺市町村議会から、ご質問にございましたような、この電源立地による環境面の影響についての意見書もいただいておるところでございます。私といたしましては、こうしたことも十分念頭に置き、従来から申し上げている電源立地の基本的な考え方に基づいて、地域振興の立場から対応していきたいと考えております。
 また、周辺地域の意見集約についてでございます。事業者から環境影響調査書が提出されると、立地の御坊市及び隣接四町において縦覧され、事業者により御坊市において説明会が実施されることになっております。県といたしましては、周辺地域への影響についても慎重かつ十分に審査を行い、また議員からお話のございました地域経済の浮揚、地域振興の観点からも検討を行ってまいりたいと考えてございます。
 また、整備法に基づく整備計画についてでございますけれども、発電用施設周辺地域整備法の目的は、電気の安定供給の確保が国民生活と経済活動にとって極めて重要であるということから、国が発電用施設の周辺地域における公共用施設の整備を促進するものでございます。この法律の第四条では、立地及び隣接市町村の区域について整備計画を作成することが基本となってございます。したがって、私といたしましては、法の趣旨に沿った整備計画を策定することになろうと考えてございます。
 以上でございますが、他の問題は担当部長からお答えをいたします。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 景気対策の三点についてお答えいたします。
 まず、中小企業への支援策についてであります。
 本県の地域産業の活性化にとって、地場産業などの中小企業の果たす役割はまことに大きいものと考えております。しかしながら、経済の国際化、生活者ニーズの多様化など、本県中小企業を取り巻く社会経済環境はまことに厳しく、その円滑な対応への支援が必要であります。このため、先ほど知事の答弁にもございましたが、融資枠の拡大、信用保証料の引き下げなどの金融対策の充実、工業技術センター等の機能の強化による企業の研究開発機能、技術の向上を図るとともに、県産業情報センターによる企業の情報化、新分野進出、ベンチャー企業などの創造的企業の育成、人材の確保、香港駐在員を派遣する国際化への対応など、中小企業支援策を着実に推進してまいる所存でございます。
 次に、人材の確保策についてであります。
 本県にとって、次代を担う若年層を中心とした人材の確保は重要な課題であります。また、県外の大学等への進学者や県外に就職している人たちも本県への就職を希望するなど、ふるさと志向が年々高まってきております。こうした希望にこたえるとともに県内企業が必要とする労働力を確保していくために、平成二年度から人材Uターン促進事業を実施しておりまして、県内企業を紹介する情報誌「ウイル」を発刊、提供し、また個別面談方式による企業説明会Uターンフェアを、昨年度も和歌山市ほか三市において開催しているところでございます。さらに、本年度新たに職業選択に係る意識の改革、県内産業の理解を深める目的で、去る六月二十六日、大学等県内就職セミナーを和歌山市において開催したところでございます。今後とも、人材の確保に積極的に取り組む所存でございます。
 最後に、雇用の確保についてであります。
 議員のご指摘のように、有効求人倍率が平成八年五月現在で○・六七倍となっており、依然として厳しい状況が続いてございます。このため、県下公共職業安定所いわゆるハローワークを挙げて求人の確保に当たっているところでございますが、特に本年一月より特別求人開拓推進員を設置するなど、一層雇用の確保に努めているところでございます。さらに、県に設置している景気雇用対策本部といたしましても、県内企業を直接訪問して求人の確保に努めることといたしてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 吉井議員にお答えをいたします。
 御坊第二火力発電所計画に係る大気環境保全対策についてでございます。
 オリマルジョンを使用燃料とする初めての本格的な発電設備でもありますので、今後、事業者から環境影響調査書が提出された段階で、高性能の脱硫設備等、所要の大気汚染防止設備が適正に計画されているか、また発電所稼働に伴う大気汚染の影響が周辺地域の環境基準の達成に支障を生じないか等について十分に審査を行い、必要に応じ所要の対策や追加調査を講じさせる等、慎重に対応してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 吉井議員ご質問の、御坊第二火力発電所の計画に対応した県の体制についてでございます。
 事業者から環境影響調査書が提出された段階から、企画部が事務担当窓口となって、地元の県機関及び庁内の関係部が一体となり、環境影響評価の審査、安全性の検討及び地域の振興等に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) ため池の問題についてお答えいたします。
 本県におけるため池総数は五千九百カ所余りあります。関係者に対するアンケート調査によりますと、軽微なものを含めて何らかの改修の要望があるため池は二千七百十カ所となってございます。
 県では、下流に民家等があり、水防活動が必要な二百二十四カ所を重要水防ため池に指定しており、このうち早期に改修を必要とするものは十六カ所でございますが、現在七地区で事業を実施中であり、残る九地区についても早期に整備する予定としてございます。現在、アンケート調査に引き続き県単独調査として、ため池の実態調査を行っているほか、重要水防ため池についてはパソコンによるデータベース化を図っているところであります。
 ため池の改修については、これまでもその促進に努めてまいったところでございますが、今後ともこれらの調査結果を踏まえ、緊急度の高いものから順次整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 ため池は、農業の基幹施設として重要であるばかりでなく、防災機能や自然環境保全等の公益的機能を有しておりますので、県といたしましても、平成六年度から受益面積五ヘクタール程度の小規模なため池を県営事業として実施することとしたところでございまして、これに伴い、地元負担を四○%から二○%に軽減いたしたところでございます。
 なお吉備町の平池については、平成九年度新規地区として国に採択を強く働きかけたいと考えているところでございます。今後とも、市町村及び地元との調整を図りながら整備促進に努めてまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 4番吉井和視君。
○吉井和視君 少しだけ要望させていただきます。
 御坊火力発電所の問題でありますが、発電用施設の周辺整備法については、知事が整備計画を総合的に判断して計画するということになっています。
 私は、こう思うのであります。表現はちょっと間違っておるかもしれませんが、周辺整備法というのは、電力会社が電源三法のうち二法で集めたお金を迷惑料ということで周辺地域に交付金として出すものと考えます。一つは迷惑料だと思います。
 そこで、御坊火力発電所が二百メートルの煙突を立てて、今度二つ目の発電所をつくるわけです。これはもう資料も出ておると思いますけれども、一番影響を受けるのが半径二十キロから三十キロというふうに聞いております。そうすると、一番迷惑をこうむるようなところが迷惑料をいただけないで、立地地点である御坊市及びその周辺地域だけが電源三法による交付金をもらうというのは、隣々接地域にとっては不公平ではないかと思うわけであります。そういうことで、知事の裁量によって任されておるところの整備計画を少しでも隣々接まで広めていっていただきたい。例えば、由良町、湯浅町、広川町あたりまで隣々接ということで電源交付金の配付計画に盛り込んでいただきたい、そのことを要望して終わらせていただきます。
 以上です。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番新田和弘君。
 〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、太平洋新国土軸及び紀淡連絡道路の推進についてお尋ねをいたします。
 太平洋新国土軸は、東海から伊勢湾口、紀伊半島、紀淡海峡を経て四国、九州に至る新しい国土軸を形成するもので、本県はもちろんのこと、近畿圏さらには西日本全体の活性化に重要なものであります。また、昨年の阪神・淡路大震災による教訓からも、第一国土軸との相互補完、代替機能を高め、災害に強い多重型ネットワークを形成するためにも重要なものとなっています。
 太平洋新国土軸に対する取り組みは、昭和四十年にワイズマン報告で第二東西道路構想が提案され、昭和四十四年の新全国総合開発計画において東海南海連絡道として位置づけられました。その後、昭和四十八年に中央新幹線、四国新幹線、九州横断新幹線の基本計画が決定されました。この具体化への取り組みとして、昭和五十四年に当時の仮谷県知事が紀淡海峡トンネル構想を発表し、昭和五十八年から日本鉄道建設公団が四国新幹線の海峡部分調査として毎年一億円を計上し、今年まで十五億円をかけて紀淡海峡の調査を行ってきています。
 昭和六十二年の第四次全国総合開発計画において多極分散型国土の形成が提唱され、九州地方の西瀬戸インターブロック交流圏構想の位置づけ、及び長期的視点から九州・四国間交通体系を検討する、近畿地方の長期的視点から大阪湾環状交通体系の構想を検討する、さらに長期的視点から伊勢湾口部分を含む伊勢湾広域幹線道路網構想の検討を進めると四全総に明記されました。さらに昭和六十三年十二月に、鉄建公団が四国・九州海底トンネルは十年の工期で建設が可能と最終報告を行いました。
 こうした新国土軸推進の状況を受けて、平成元年十一月に十七府県による第二国土軸シンポジウムが初めて大分県で開催され、平成二年十月には十七府県と八経済団体による新国土軸推進のための第二国土軸構想推進協議会が設立されました。
 運輸省による鉄道軸への取り組みに加え、建設省が平成三年十一月に海峡横断道路プロジェクト技術調査委員会を設置し、紀淡海峡の海峡部分の技術的検討が行われ、さらに紀淡連絡道路を含む大阪湾環状道路の調査が開始されました。そして、平成五年からは紀淡連絡道路の調査を建設省と兵庫県と本県が共同して行い、地形、地質等の調査に取り組んできております。
 平成五年五月の第十一次道路整備五カ年計画で、紀淡海峡道路を含む大阪湾環状道路、伊勢湾口道路が地域の活性化施策の推進とあわせて事業の具体化を図る、豊予海峡道路を含む西瀬戸地域の新たな交通軸は長期的視点からの調査を進めると明記されました。
 平成六年六月に、この紀淡連絡道路を含む大阪湾環状道路の推進を強力に図るため大阪湾環状紀淡連絡道路推進協議会を設立させ、和歌山県知事が会長に就任いたしました。さらに、この年の六月に四全総の総合的点検報告において新たな国土軸構想の重要性が明記されたのを機に、これまでの第二国土軸から太平洋新国土軸に名称を改め、推進協議会も太平洋新国土軸構想推進協議会に改称し、推進に当たってきております。
 こうした今日までの官民協力の努力により、平成六年十二月に紀淡連絡道路を初め伊勢湾口道路、豊予海峡道路が地域高規格道路の候補路線の指定を受けることになりました。さらに平成七年十二月には、新しい全国総合開発計画の基本的考え方に太平洋新国土軸を含めた四つの国土軸から成る新しい国土構造が提示されました。今後、本年秋の新しい全国総合開発計画の中間取りまとめに、さらに来年春の同計画の答申に太平洋新国土軸及び紀淡連絡道路がどう位置づけられるか、加えて来年夏にまとめられる第十二次道路整備五カ年計画に紀淡連絡道路の事業化、着工が明記されるか、極めて重要な時期を迎えております。
 西口知事は、就任以来、新国土軸及び紀淡連絡道路の積極的な推進に取り組まれ、本年五月八日に三年ぶりに和歌山、奈良、三重の紀伊半島三県知事会議を那智勝浦町で開催し、太平洋新国土軸並びにこれを構成する紀淡海峡ルート等を新しい全国総合開発計画、及び次期道路整備五カ年計画等へ明確に位置づけるべく、三県が共同して国への要望活動を積極的に展開し、その実現を促進する等の共同コメントを発表いたしました。また西口知事は、五月三十日に横山大阪府知事を県庁に招待し、会談を行い、横山知事より紀淡連絡道路について、「完成すれば、近畿だけでなく四国や中国地方の瀬戸内海沿岸にも経済効果が及ぶものであり、近畿は一つとの考え方でやっていきたい」、と協力の表明があったと伺っております。
 さらに六月二十四日には、和歌山放送の主催で「二十一世紀への架け橋 紀淡海峡大橋実現に向けて」とのテーマで放送があり、西口知事初め多数の関係者が登場し、紀淡海峡大橋の早期実現への意見が述べられました。この日の放送で、建設省の脇雅史近畿地方建設局長が紀淡連絡道路について、来年夏にまとめる第十二次道路整備五カ年計画での事業化、着工明記について最大限の努力をすると力強い前向きの姿勢を示していただき、私も放送を聞いていて大変うれしく思った次第であります。
 去る六月二十六日には、七府県三市でつくる大阪湾環状紀淡連絡道路建設推進協議会の平成八年度総会が東京で開催され、新しい会長に横山大阪府知事が就任し、今後、近畿、四国の関係府県などが協力して事業に取り組むことを確認したと伺っております。
 紀淡連絡道路が明石海峡大橋に次ぐ関西の大型プロジェクトとしてオール関西の事業に位置づけられたことは、実現に向かって加速がついたことになり、和歌山の私たちにとっても大変喜ばしいことであります。関西国際空港を核として大阪湾環状交通体系の確立を目指し、関西と四国が海峡交流圏を築き、港湾機能の拡充によりアジアに向けての国際交流圏を目指して、本県が二十一世紀に飛躍発展してほしいと願う気持ちは百万県民の願望であると実感しております。
 そこで、西口知事にお尋ねいたします。
 一、太平洋新国土軸構想と二十一世紀への本県のビジョンを知事はどう考えているか。
 二、太平洋新国土軸の推進及び大阪湾環状道路となる紀淡連絡道路の実現に向けて今後どう取り組まれるのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、新国土軸と大阪湾環状道路となる京奈和自動車道及び北バイパスを含めた第二阪和国道を今後どう推進されていかれるのか、土木部長にお尋ねをいたします。
 次に、マルチメディアの発展に対応した文教施策の推進についてお尋ねをいたします。
 今日、新聞やテレビ等の従来のメディアに加え、パソコンやワープロ、さらにそれらを結ぶ光ファイバー等の高度情報通信網、衛星通信、衛星放送等の情報通信手段が発達するとともに、世界的な情報ネットワークの構築が進められています。特に、情報のディジタル化により、文字、映像、音声等の多様な情報が一体的に取り扱いでき、多様で大量の情報交換を可能とするいわゆるマルチメディアが登場したことにより、教育の分野においてもマルチメディアの適切、効果的な活用が求められています。
 文部省では、平成六年六月から、有識者から成るマルチメディアの発展に対応した文教施策の推進に関する懇談会を開催し、平成七年一月に「マルチメディアの発展に対応した文教施策の推進について」をまとめ、教育、学術、文化、スポーツにおける情報化の推進に取り組んでいるところであります。
 本県においては、本年五月に「紀伊半島の明日を拓く人づくりネットワークの推進」をテーマに、和歌山、奈良、三重の教育長が那智勝浦町のグリーンピア南紀に集まり、第一回紀伊半島三県教育長会議を開催しました。この会議では、光ファイバー通信網を使ったテレビ会議で県境を超えた学校間の交流や、衛星通信を使って大学の公開講座を公民館で学べるシステムを導入し、早期に三県で実施できるよう求める要望書をまとめ、今年度中に文部省に提出するため今後も協議していく等、マルチメディアを活用した教育の推進が図られました。
 さらに本年、文部省のマルチメディア国際交流推進研究指定校に串本町立大島中学が指定を受け、トルコ共和国のメルシン市のオゼル・トロス校とインターネットを通じて交流授業を二学期から開始されることは、県民にとって大変喜ばしいことであります。串本町とトルコ共和国とは、明治二十三年九月にトルコ軍艦エルトグロール号が大島の樫野崎灯台沖で座礁、沈没したとき、当時の大島島民の方々が直ちに救助活動に従事し、生存者の保護や遺体、遺品の収集に当たられた等の縁により、百年以上にわたる友好親善の歴史を経て、平成六年に串本町とトルコ共和国メルシン市との間で姉妹都市提携が結ばれています。今回のマルチメディア国際交流推進研究指定校の決定を機に、若い中学生が交流し、串本町とトルコ共和国のメルシン市との友好親善が一層深まることを期待しています。
 また文部省では、平成七年度から僻地学校と都市部の学校等とを光ファイバーによって接続し、テレビ会議システム等の情報通信設備の活用による同時双方向の授業のあり方に関する研究開発を行っており、平成八年度は新たに山間地等の普通科高校と都市部の専門学校とを光ファイバーにより接続する事業が行われることになりました。本県では、全国に先駆けて八年度から文部省の研究委託事業を受け、僻地学校マルチメディア活用方法研究開発事業に取り組むことになり、実践校には県立南部高等学校龍神分校普通科が、実践協力校として県立御坊商工がなり、光ファイバーを活用したテレビ会議システム等で、両校生徒を対象とした対話型の授業、学校間連携による学習成果や交流が期待されております。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、和歌山、奈良、三重の三県教育長会議のテーマとなった「紀伊半島の明日を拓く人づくりネットワークの推進」を今後どう進められるのか。
 二、本県におけるマルチメディアの発展に対応した文教施策は今後どう推進されるのか。
 以上二点、お尋ねいたします。
 次に、テレビ、ラジオのメディアを利用した新しい高等教育システムとして大きな期待を担って発足した放送大学は、本年で設置十二年目を迎え、学生数は今や五万八千人を数え、これまでに約六千七百人の卒業生を送り出しています。
 放送大学の当面する最大の課題は、放送エリアの全国化であり、現在の放送エリアである関東地域以外にも全国放送が実施できるまでの暫定措置として、平成七年度までに全国で二十六カ所に放送大学の地域学習センターを設置し、放送エリア以外の人々の学習ニーズにこたえるよう努力してきています。平成五年五月に、電波監理審議会答申において次期放送衛星の事業主体として放送大学が適当との提言を受け、平成六年度以降の予算においても次期放送衛星を利用した全国化への準備に要する経費が認められてきております。
 放送大学は、生涯学習の中核的機関として、国民の高等化、多様化する全国的な生涯学習ニーズに対応し、教育の機会均等を確保するために対象地域の全国化への拡大が推進されてきております。このため、本県においても全国放送開始までの間、地域学習センターで放送授業を収録したビデオ等を利用し、広く大学教育の機会を提供し、生涯学習に対する要望にこたえるべく、県内に放送大学の地域学習センターを設置されてはと思いますが、教育長の見解をお尋ねいたします。
 次に、魅力あるすぐれた教員の確保と教員の資質向上についてお尋ねいたします。
 先日、県内のある中学校の二年生A、B、C三クラスのクラス写真を見せていただく機会がありました。校長先生と担任の先生を中心に、生徒が三十人ぐらい写っている三枚の写真でした。私は、一枚の写真に注目しました。生徒の表情が明るく、生き生きと感じられたので、「このクラスのみんなは感じがいいですね」と聞いてみると、「このクラスは、担任の先生が熱心な人で生徒をぐんぐんとリードし、よくまとまっており、授業も大変やりやすいクラスです。写真を見てもやっぱりわかりますか」との答えでした。一瞬をとらえた一枚の写真にも教師と生徒の日常の信頼のきずなが光って見えるのかと思って、その写真を注目した次第です。
 現在、学校教育においては、個性重視の教育や自己教育力の育成の観点からも、さらにいじめや不登校など生徒指導上の問題に対応するためにも大きな質的転換が求められています。教育のあり方は結局は教師次第である、また子供にとって教師こそ最大の教育環境であるとの、教師の立場の重要性が指摘されております。
 文部省は、平成六年三月から教員採用等に関する調査研究を実施し、平成八年四月に教員採用等の改善について審議のまとめを発表しました。この審議のまとめを受けて文部省では、本年四月に各都道府県教育委員会に対して、教員採用等の改善について諸方策を示した通知を発送したところであります。
 文部省の調査研究協力者会議の座長を務めた東京家政学院大学の河野重男氏は、「教員採用等の改善の視点」の論文で、幼児教育者である倉橋惣三さんの一文を引用されて、次のように述べています。「廊下で泣いている子がいる 涙はふいてやる 泣いてはいけないと言う なぜ泣くのかと尋ねる 弱虫ねと言う 随分いろいろのことは言いもし してやりもするが ただ一つしてやれないことがある 泣かずにいられない心持ちへの共感である」、「今日の学校の当面している最大の課題であるいじめや登校拒否の問題の解決のためにも、教師に望まれる資質能力として何よりも大事なのは、豊かな人間性からにじみ出る信頼感と一人一人の子供の気持ちに共感するカウンセリングマインドだ」と述べています。
 文部省の審議のまとめにおいても、教員採用の改善の基本方向として、筆記試験の成績を重視するよりも、人物評価を重視する方向に選考のあり方を移行させ、選考方法の多様化、選考尺度の多元化を図っていくことを提言しています。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、教員採用の改善についての通知を受けて、本県における教員採用の改善を今後どう進められるのか。
 二、教員の資質向上へ今後どう取り組まれるのか。
 以上二点お尋ねいたしまして、第一回目の質問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新田議員にお答えをいたします。
 まず、太平洋新国土軸を生かした本県のビジョンについてでございます。
 太平洋新国土軸が整備されることにより、東海から紀伊半島、四国、九州へと至る地域が連結され、西日本の南部に新たな広域交流圏が形成されることになるわけでございます。また、大阪湾環状交通網、関西大環状交通網、さらに関西国際空港や和歌山下津港等と相まって、和歌山県は陸・海・空の交通の結節点として西日本の広域交流圏の要衝部に位置することになるわけでございます。このような有利な地理的条件を積極的に活用いたしまして、人・物・情報が行き交う新たな拠点を形成するために、物流拠点の形成、交流施設の整備を図ってまいりたいと考えております。同時に、本県の豊かな自然、歴史、文化を活用した快適な居住空間を形成してまいりたいと思います。このことがまた、私が提唱しております新たな紀泉百万都市圏を形成することにもつながると考えてございます。
 また、太平洋新国土軸整備の効果を紀北のみならず県下一円に広く波及させるためには、四国との連携のもとに、近畿の海上物流を担う地域としてベイフロンティア構想を推進してまいりたいと考えております。今後、このような太平洋新国土軸構想の推進を通じて、「安らぎ」をキーワードとした県土づくりを進めて、和歌山を二十一世紀のライフスタイルを体現できる地域として整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、太平洋新国土軸及び紀淡連絡道路の実現に向けた今後の取り組みについてでございます。
 議員ご指摘のように、太平洋新国土軸及びそのかなめとなる紀淡連絡道路の早期実現を図るためには、新しい全国総合開発計画への明確な位置づけ──来年の春ごろ策定されると聞いております──さらに、新たな道路計画への事業化の位置づけがぜひとも必要だと思います。
 先ほどお話ございましたように、脇地建局長から先日、大変力強い発言をいただいております。そのためには、関係府県や地元経済界を含む広域的かつ官民一体となった地元からの働きかけが重要であると考えてございます。私も、この六月には紀淡海峡交流会議、大阪湾環状紀淡連絡道路建設推進協議会などに出席をいたしまして、国土庁や建設省の幹部との懇談を通じて地元の熱い期待を述べさせていただいたところでございます。
 特に、太平洋新国土軸の一環となる紀淡連絡道路の実現のためには、和歌山、徳島だけでなくてオール関西で取り組むことが大変大事だということから、先般、大阪府知事との懇談も行いました。両県が協力して紀淡連絡道路の実現化に取り組むことを確認いたしたわけであります。さらに、関西経済連合会においても推進組織の設立の準備をされており、まさに官民一体となったオール関西の取り組みへと広がってきておるわけでございまして、大変心強く思っているところでございます。
 今後、紀淡海峡交流会議等を通じた官民一体となった広域的な推進活動、紀淡連絡道路を活用した地域活性化施策の展開、建設省、兵庫県とともに行っている調査の継続、紀淡連絡道路の実現に向けた本県におけるイベントの開催などに取り組むとともに、関係府県や経済界と引き続き協力をしながら、新しい全国総合開発計画あるいは道路計画への明確な位置づけに向けて、これまで以上に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 以上です。
○議長(橋本 進君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 新田議員にお答えいたします。
 京奈和自動車道については、太平洋新国土軸の一翼を担うとともに、大阪湾を中心とした関西大環状道路を構成する重要な道路として認識してございます。
 このうち、橋本道路十一・三キロメートルについては、平成元年度に事業化され、現在、鋭意用地買収が進められているところであります。また、紀北東道路十六・九キロメートルについては、平成五年度に事業化され、現在、都市計画決定の準備を進めているところでございます。残る打田町から和歌山市までの紀北西道路約十四キロメートルについても、建設省において都市計画決定に向けた調査が進められており、県といたしましても早期に事業化されるよう要望しているところでございます。今後とも、建設省に対し事業促進を強く要望していくとともに、全力で建設省を支援していきたいと考えております。
 次に、第二阪和国道でございます。
 和歌山と大阪の連携を強化するとともに、関西国際空港へのアクセスとして、また市内の交通渋滞緩和のためにもぜひとも必要な道路であります。そのうち大谷から元寺町間の和歌山北バイパス二・二キロメートルについては、引き続き用地買収を促進するとともに、本年度から一部道路工事に着手する予定と聞いております。新南海橋も含め、平成十年度を初年度とする次期道路整備五カ年計画内にも供用できるよう国に強く要望しているところであります。さらに、大谷から府県境までの二・五メートルについても、早期事業着手に向け国に対して強く要望してまいります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題五点についてお答えいたします。
 初めに、「紀伊半島の明日を拓く人づくりネットワーク」についてでございます。
 このことをテーマに、本年五月、三県知事会議を受けて、三重県、奈良県に呼びかけて三県教育長会議を開催いたしました。今回の会議では、本県が提案した光ファイバー等による県域を超えた学校間の交流、衛星通信を利用した公民館講座の共同実施についての国への要望などを含めた五項目について合意したところであります。こうした合意事項の実現に向けて、近々、三県の関係課長会議で検討することとしており、今後、紀伊半島の教育の一層の振興に向けて努力してまいりたいと考えております。
 二点目の、マルチメディアの発展に対応した文教施策の推進についてでございます。
 高度情報通信社会の進展を踏まえ、学校教育においては、生徒が情報を主体的に選択し活用するとともに積極的に発信することができる基礎的な資質や能力を育成していく必要があると考えております。そのため、従前から県立学校において情報に関するハード面やソフト面の整備充実を進めるとともに、市町村に対してもコンピューターを計画的に導入するよう指導しているところでございます。
 さらに、本年度から南部高校龍神分校と御坊商工高校との間で開始するテレビ会議システムによる連携については、文書処理、英会話などの授業の実施を検討しているところであります。また、串本町大島中学校とトルコ共和国オゼル・トロス校とのインターネットを活用した国際交流についても、中東諸国との交流として注目を集めております。こうした取り組みは、情報教育を推進するだけでなく、僻地教育の振興にもつながるものと期待しております。
 今後、学校教育においては、マルチメディアに対応した情報処理教室の整備やインターネットの活用など、さらには社会教育、文化、スポーツなどにおいても、関係部局との連携を図りながら、各分野の特色に応じた適切な施策を推進してまいります。
 次に、放送大学地域学習センターの設置についてであります。
 多様化、高度化する県民の学習ニーズにこたえる生涯学習推進の基盤整備を図るためにも、地域学習センターの役割は大変重要であると考えております。教育委員会といたしましては、文部省が計画しているこの放送大学について、県内の大学との連携を図りながら、立地条件や施設規模等を考慮し、設置に向けて検討を進めてまいる所存であります。
 次に、教員の採用についてであります。
 本県では、二度にわたる面接やすべての校種での実技検査、一芸に秀でた資質を有する教員の採用等、工夫改善を図ってきております。特に本年度は、高等学校の工業において教員免許状を所有していなくても受験できるよう改善したところであります。今後とも、議員ご指摘の文部省通知にあります選考方法の多様化、選考尺度の多元化を図るよう努めてまいる所存であります。
 次に、教員の資質向上についてであります。
 教員には、教科指導等に関する実践的な指導力はもとより、子供の心を理解し、その悩みを受けとめる力や、子供や保護者から共感が得られるような豊かな人間性が求められます。このため、県教育研修センターにおける講座の充実を図るとともに、より高度な専門的知識、能力を持つ教員を育成するため、大学院等に多くの教員を派遣してきております。本年度は、新たに民間企業や社会福祉施設への長期派遣研修をスタートさせ、より視野の広い教員を育成してまいります。また、研修講座にカウンセリングやいじめ問題等に関する内容をより多く取り入れるなど、今後とも教員の資質向上に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十分休憩
 ─────────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番玉置公良君。
 〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 議長のお許しを得まして、まず最初に教育問題を取り上げて質問をしてまいります。
 教育問題は初めてでございますが、私自身の体験をもとに、特に高校中途退学者問題とその対応策について教育委員会の見解を求めていきたいと思います。
 戦後、日本が豊かになるにつれて高校進学率は急上昇し、一九六五年に七〇%を突破した進学率は一九九五年三月には九六・七%に達し、ほぼ全入に近い高校進学状況が生まれています。教育の普及が日本の社会の発展に大きな力となり得たことは喜ばしいことでありますが、反面、学歴偏重、偏差値教育という社会風潮を生み、これがさまざまな教育弊害をもたらしております。高校中途退学者問題も、その一つであります。
 全国の高校中退者は、九〇年の十二万四千人をピークに、九一年には約十一万三千人と減少し、九三年は九万四千人余りにまで下がりましたが、九四年には九万六千四百一人と、四年ぶりに増加傾向にあります。多少の増減はあるものの、ここ十年間平均して十万人の生徒が学校をやめていくということは、千人規模の高校が年間百校消えている計算になります。
 さて、私の住んでいる田辺・西牟婁地方の県立高校で昨年度百名を超える大量の中途退学者を出した高校があると聞いておりますが、県全体で一体何人ぐらいの生徒が中途退学をし、あるいは留年をしているのか。まず、その実態についてお伺いをしたいと思います。
 さらに、地域的な偏りや、普通高校とそのほかの高校との間での比率はどうかという点についてもお伺いをしたいと思います。
 私の友人の子供が、他府県の大学進学を目的とした有名私立高校に入学しました。私立高校ですから、当然、その学校独自の教育方針や校則があります。入学式の日も、学校から、その内容と校則違反した場合の退学処分や謹慎処分についても説明をされたようであります。私の友人は、よく言えば子供を自由に、別の言葉で言えば甘やかして育ててきたので、無事卒業できるかどうか大変心配していました。友人が心配していたとおり、子供は学校の校則に順応できなかったそうです。かつてこんな生徒はいなかったと古い先生に言わせたほど校則に違反することが多く、当然、何回かの自宅謹慎もあったと聞いております。また、教科においても未習得単位があり、保護者である友人を大変心配させておりました。
 何回か学校との面談もあり、心配になった友人は学校の役職の先生に退学処分の可能性について尋ねました。そのとき、先生がこんな話をされたと言います。「生徒は学校の客ではない。学校の構成員である。学校のルールに適応しないからといって、生徒を退学させて解決ということにはならない。退学させて社会に出しても、学校で適応できない者がそこで適応できるということはないだろう。学校内で適応できない生徒が社会に出たら、本人はもちろん、周りの人も大変困るでしょう。本人が人生の選択として退学を望むなら別だが、学校側から本人に退学を求めることはない。私たち教師が生徒を審査して、この学校に入学させたのである。入学させることに学校が同意をした以上、よほどの行為がない限り、引っ張っていってでも卒業させなければならない。その義務が私たちにある」、そう答えたと言います。
 ちなみに、この学校では、問題行動のある生徒に対して、担任はもちろんのこと、生徒指導、学年主任の範囲にとどまらず、教科担当の何人もの先生が保護者と連絡をとり、厳しい中にも温かみのある指導をしてくれたと友人は言っていました。そして、その生徒は今、大学生として希望を持って社会に出る準備をしています。
 私は、この高校の生徒指導や退学ということについての先生の基本的な考えに深く感動を覚えるものでありますが、留年、退学についての県教育委員会の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
 学校に適応できない生徒を抱えた先生方の苦労もわかりますが、留年させたり退学させたりすることが子供たちの未来に希望を持たせることになるのかどうか。また、地域住民が大量に留年や中途退学者を出す学校を信頼し、安心して子供を入学させることができるかどうか。また逆に、学校が地域住民の信頼を培うことになるのかどうか。私としては大いに疑問を持つところでございますが、この点もあわせて見解をお伺いしたいと思います。
 私は、高校中途退学者の問題には二つの課題があると考えています。一つは、中途退学者の数をどう抑えるかという課題です。もう一つは、高校に適応できないで中途退学していく生徒の新しい進路をどう保障していくかという課題です。
 そこで、中途退学者の数をどう減らすかという問題についてですが、ことし二月十五日の朝日新聞夕刊では、文部省が行った中途退学者の調査によりますと、中途退学の理由は就職や転校などの進路変更が四三・三%と最も多く、次いで学校生活や授業になじめず通学意欲をなくした学校生活・学業不適応が二六・九%で、学業不信が八・八%、家庭の事情が五・六%となっています。こうした事情の背景には、昔は経済的理由が主な原因だったが、今日では偏差値教育による学校格差の拡大と不本意入学が挙げられると思います。
 多くの生徒にとって高校は、学びたいからではなく、仕方なく入る学校になっていると思います。これは、我が国の教育制度が、高度経済成長期に新しい時代に対応して職業学科を細分化、多様化してきましたが、今日の新しい技術革新や産業構造の変化の中で職業学科の人気がなくなり、生徒や父母や時代の要望とかけ離れてしまった結果であろうと私は思います。我が国の教育界もそうした認識に立ち、高校の制度的な大改革期に入っており、偏差値序列にはまり込んだ既存の普通科、職業科高校の枠を超えて総合学科を設立するなど努力の跡が見受けられますが、まだまだ十分とは言えないと思います。
 本県でも、総合学科のほかに、自然科学学科、国際学科などさまざまな学科が設立されていますが、生徒や父母の希望は多様化しております。希望学科と定員枠についても、生徒の実態とかけ離れているのではないかと心配をしております。
 私は、中学生が、あるいは父母が、どういう学科にどんな割合で希望しているか、一度実態把握のためアンケートをとってみることが大切ではないかと思いますが、教育長の見解を伺いたいと思います。
 次に、中途退学者の新しい進路をどう保障するか、中途退学者の受け皿をどうするかという問題です。
 高校を中退したが不景気で働くところがない、自分に合った新しい学校もなかなか見つからないといった、行き場のない生徒が多いように聞いています。
 今春、私は紀南の県立高校を中退した生徒の保護者から相談を受けまして、その生徒の新しい進路を探したわけですが、進路変更には大変困難な問題がございます。この生徒の場合、全国の高校中退者を多数受け入れている愛知県の私立黄柳野高校への編入を希望したのでありますが、わかるまで学べる学校、人間教育を進める学校として大変人気が高く、入学希望者が定員をはるかに超えるため、入学ができない事態となりました。そこで定時制高校への編入を試みましたが、既に退学をしているということでうまくいかず、本人も保護者の方も途方に暮れるということがありました。幸い、関係者の尽力により通信制高校で学ぶ機会を得ましたが、本人も両親も退学するだけでも大変なストレスを抱えるのに、スムーズな進路変更ができないということで大変苦しみました。この生徒の苦しみは、この生徒だけの苦しみのみでなく、多くの中途退学者も同じような苦しみを抱えているのではないかと考えます。この体験から私は、中途退学者に対する進路変更への支援体制、つまり受け皿づくりの面でまだまだおくれているという実感を持ちましたし、早急に対策を考えなければならないと思っています。
 九二年十二月に、文部省の学校不適応対策調査研究協力会議が最終報告をまとめております。これによると、中途退学者の数だけを抑え込もうとするこれまでの方針を見直し、積極的な進路変更の支援や、中退後も復学などがしやすい、やり直しのきくシステムづくりなど、新しい方向を打ち出しております。恐らく文部省もこの方向に沿って指導しているものと考えられますが、本県における高校中途退学者の現状とその対応策についてどんな方針を持たれているのか、お伺いいたしたいと思います。
 例えば、高校中途退学者の退学後の進路状況を十分追跡調査されているのかどうか。今日、中途退学者が就職をするにしても、就職氷河期の中で大変困難な問題を抱えています。他校に転校するのも大変難しく、行き場のない青年たちが相当数いるのではないかと思われますが、実態を把握されているかどうか、お伺いをしたいと思います。
 私は、その対応策として、二つの点について提案をしたいと思います。
 その一つは、現在紀の川高校と青陵高校に設置されているような、昼間つまり昼間定時制高校を充実させたり、ふやす必要があるのではないかということです。
 平成八年度入学試験における出願数は、紀の川高校が定員三十名に対して四十八名、青陵高校が定員六十名に対して九十五名あり、定員を大きく上回っています。なぜこんなに人気があるのかと言いますと、昼間定時制高校ということで自然な生活リズムがつくれる、また一日の学習量が少なく負担が軽い、単位制で自分のペースで学習ができる、しかも三年で卒業ができる可能性がある、午後のアルバイトや求職活動ができる、こうしたことから不登校の生徒やカリキュラムのぎっしり詰まった全日制高校で適応できない生徒にとっても大変適した学校であると私は思います。
 そこで、昼間定時制高校を紀南地方にも設置できないものか、お伺いいたします。
 次に、中途退学者を抱えた父兄が困ることは、とりあえずどうしたらよいのかということであります。そこで、少なくとも退学者の多い三月の時期だけでも教育委員会が主催をした高校中途退学者電話相談所の開設を提案したいと考えますが、教育長の見解を伺いたいと思います。
 先日、テレビ報道によりますと、年間八千人余りの中途退学者を出すお隣の大阪府では中途退学者に対する電話相談を既に始められていますし、民間では、岡山県の私塾経営をされている真鍋照雄さんが一九九一年二月ごろから中途退学者の悩みを聞く全国ネットを組織して高校中途退学者一一〇番を開設し、高校生の希望に沿った進路はどれか、具体的に中途退学者を受け入れる高校を紹介したり、大学入学者検定試験の指導、通信制高校への志願方法などを教えております。どうか、本県におかれましても、高校中途退学者が相談できる場所を設けていただきたいと思います。
 以上、高校中途退学者とその対応策について質問してまいりましたが、教育とは奥の深いもので、まだまだ私自身もわからない点が多くあります。来年高校受験を控える子供を持つ親としても、今後とも機会をとらえて教育問題について質問していくことにしまして、高校中退者問題とその対応策の質問を終わりたいと思います。
 続きまして、すばらしい自然環境を有する本県における観光立県推進の施策についてお伺いします。
 前置きは省きまして、私は、一昨年開港した関西国際空港のインパクトを生かした、外国人も含めた観光客の誘致活動がこれからの観光立県和歌山のあり方に重要な意味を持ってくると考えています。
 大阪市は、二〇〇八年のオリンピック開催の誘致活動に名乗りを上げ、これまでに国際化という観点から先進的な取り組みをされています。そこで、オリンピックが大阪市を中心に開かれますと、我が和歌山県には果たして外国人も含めた観光客の誘致を大きく図ることができるのでしょうか。
 関西国際空港から和歌山への交通ルートを見てみますと、JR、南海とも日根野駅や泉佐野駅での乗りかえが必要であり、直接乗り入れる列車はありません。また、関西国際空港と和歌山市や那賀地方と結ぶリムジンバスはあるものの、西日本有数の温泉地白浜や勝浦、それに霊場高野山へと通じる路線バスは、今のところ一本も走っていません。
 以前、本会議の一般質問で、我が会派の野見山代表を初め先輩議員の皆さんが日根野駅などでの列車のスイッチバック方式等について質問され、いずれも当時の企画部長が、技術的に可能であり検討していると答弁をされていますが、何年たってもこの方式は実現していません。関係者に聞いてみますと、この方式を採用する以前に関西国際空港から県内への利用客は少ないとのことで実現には至っていないとの話ですが、このコメントは本末転倒と言えると思います。また、鶏が先か卵が先かということで現行でのJRの採算面だけを考えているのはおかしく、行楽客を招致するためには施策を講じないと人は寄りつきません。
 私は、スイッチバック方式よりも、和歌山側から関西国際空港へと乗り入れる路線を確保するのが観光振興促進のためにも不可欠なものと考えております。この路線の新設に向けてはかなりの投資や時間が必要だと思われますが、県とJR西日本の職員交流もあることから、実現に向けて真剣に、正面から取り組んでいただきたいと思います。
 また、これに向けての当面の施策として、日根野駅、泉佐野駅でのスイッチバック方式も代替策として考えてもよいのではないかと思います。
 さらに、日根野駅での方式が困難な場合は、泉佐野駅とその付近での新線路の導入等を促進され、以前運行されていた南海から国鉄への「きのくに」号の乗り入れのように、関西国際空港を起点に南海和歌山市駅からJR紀和駅、和歌山駅を結んで紀中、紀南へと通じる新路線の設置も検討されてはいかがなものか、お伺いをしたいと思います。
 このほか、京都からの関空特急「はるか」は新大阪と天王寺には停車しますが、日根野には停車いたしません。南海の関空特急「ラピート」は、関西国際空港直通「α」と、新今宮、堺、岸和田、泉佐野に停車する「β」の二種類が運行されています。そこで、JRの「はるか」を「ラピートβ」のように日根野駅に停車する便も設けてもらうほか、JRの場合は、今月末から紀勢線で運行される新型特急「オーシャンアロー」号や特急くろしお号の特急券で「はるか」にも乗車できる、距離の度数による併用型特急券の発行についてJRに働きかけてはいかがなものか、お伺いをしたいと思います。
 また南海においても、特急「サザン」と「ラピート」が同じように併用できる特急券、例えば、乗車券は別ですが、和歌山市から特急券五百円で関西国際空港まで使えるといったシステムを採用してはいかがなものでしょうか。
 次に路線バスでありますが、この春、湯浅御坊道路が御坊市まで開通しました。この開通を利用しないというのは、何のための道路であるかわかりません。
 関西国際空港から白浜や勝浦、高野山等を結ぶリムジンバスが必要不可欠と思われますが、県におかれてはこれからの運行計画はあるのか、また今後どう対応していくのか、お伺いをしたいと思います。
 また、大阪駅から紀伊田辺、紀伊勝浦、新宮を結ぶJRの夜行バスがことし三月から運行されていますが、この夜行バスは一日一便しかなく、昼間の便の導入も検討していただきたいと思います。
 この秋には、りんくうタウン駅のすぐそばに全日空ホテルなどの入った超高層ビルもオープンしますが、このビルにもこのバスを停車させますと、関西国際空港と県内観光地も比較的スムーズに結ばれます。また、停車地点も白浜、串本等をふやしていただきたいほか、新宮、勝浦、串本、白浜、田辺間どこでも乗車できるようにしていただき、観光振興の推進を図られたいと思います。
 消費時代を迎えた中で、観光地での日帰り客と宿泊客との一日に落とす消費額は五倍前後違うと言われていますが、この宿泊客、特に長期滞在客をターゲットとした県内の観光地のハード、ソフト面での受け入れ体制も不十分なところがあると言えます。
 そこで、グルメブームの中、県内特産の農林水産物を見直すのも観光振興の一つであると私は思います。
 我が郷土白浜町では、先日、白浜の調理師さんらでつくる白浜料理研究会の皆さんが料理の鉄人・道場六三郎さんを招いて、これからの観光地白浜における旅館やホテルでの料理のあり方を研究されました。これはグルメ時代、グルメ観光のあり方を先取りしたもので、こういった活動は、行政も含めて、官民一体となってこれからの観光振興のためにも取り組まなければならないと思います。
 高齢化社会の中で高齢者も含めた長期滞在型リゾートのあり方や、子供から大人まで急速に利用人口が拡大をしてきたファミコンなど、ハイテクゲーム機材をヒットさせているセガや任天堂などに働きかけ、これらのゲーム機材を一堂に集めた大セガランドや大任天堂ランドのような施設の誘致にも取り組まれてはいかがなものか、県の考えをお伺いいたします。
 観光立県振興策の最後の項目についてであります。
 去る三月二十三日にJR難波駅が新しくオープンしました。この駅ビルはOCAT──大阪シティー・エア・ターミナルビルと呼ばれ、国際ターミナル機能を備えており、関西国際空港での国際線のチェックイン、つまり搭乗手続や手荷物の手続ができ、利用客は手ぶらで空港まで行けるほか、ショッピングや観光情報の発信ができるなど、これからのリゾート時代にマッチした施設であります。このCATは京都や神戸にも計画されています。
 そこで、県内最大の観光地白浜にもこのCATを導入されてはいかがなものか、お伺いいたします。
 この導入に当たっては、乗客の利用頻度など、航空会社との協議が先決であります。また、南紀白浜空港との兼ね合いも含め、さきに述べましたように鶏が先か卵が先かという点も踏まえて考えていただきたいと思います。
 以上、幾つかの提案をしてまいりましたが、最後に、和歌山県の観光を考えるとき、関西国際空港からの県内観光地への行楽客の誘致も大きな一つの課題であると思います。県当局の答弁を求めるとともに、観光立県に向けての推進策についての知事の所見をお伺いして、私の観光についての質問を終わります。
 最後になりましたけれども、特別養護老人ホームの整備と許認可について質問いたします。
 私は、高齢者福祉の充実は県民の切実な願いであり、県としても積極的に取り組みを進めていくべきであると考えております。西口知事におかれても福祉の充実に積極的に取り組まれていることについては、私としても敬意を表しているところでございます。特に特別養護老人ホームの整備は、多くの県民が待ち望んでいるものであります。県の老人保健福祉計画での目標三千床は既に達成されたと聞いていますが、県内には多くの待機者がいる現状や特別養護老人ホームのない地域もあります。
 私は、県民がひとしく高齢者福祉サービスを受けられるよう、特別養護老人ホームを地域の中核として整備を進めていくべきだと考えておりまして、このことについては昨年の六月県議会でも訴えてまいりました。こういった中で昨年の十二月に、有田市に一カ所と白浜町に一カ所整備されると聞いております。
 そこで、県当局にお尋ねします。
 昨年度はどういった市町村から何件の申請があったのかについて、また数多くの申請の中からこの二カ所に決定されたいきさつについてお伺いをしたいと思います。
 また、昨年十一月に白浜町内の社会福祉法人の事業者から白浜町役場に対して、県から特別養護老人ホームの国庫内示通知をいただいたとの報告が突然行われ、町の幹部らは全く寝耳に水だったので大変困惑したと聞いております。この点について、県は申請者と市町村との協議等についてどのような指導を行っているのか。さらに、県や事業者は市町村に対し、国庫内示をおろす段階までの意見調整や事前協議はどうだったのか。特に、この時点での財政計画書はどうなっていたのか。部長にお伺いしたいと思います。
 本来は、県や地元自治体及び事業者が共通理解を持ちながら進めるべきものであります。町の関係者がなぜ困惑したかでありますが、施設建設に当たっては、町としての責任や役割について大きなウエートを占めているからであります。施設入所の措置をする責任は、市町村の役割であります。施設自身が利用者を独自に集めることはできないのであって、施設入所は市町村が決定することになっています。また、市町村が老人保健福祉計画を策定し、在宅サービスの供給量や施設サービスの量などを決め、財政措置がとられています。このことと無関係に施設ができますと、市町村の財政は混乱します。だからこそ、施設の建設に当たっては市町村との意見調整、事前協議が不可欠なのであります。
 また、翌月の十二月には、この社会福祉法人の理事長名で、町議会議長あてに一億円の助成を白浜町に求める請願の文書が出されました。しかし、この一億円もの助成金は地方自治体にとって財政を圧迫することから、町議会の中でも継続案件として扱うなどとしたところであります。ことし五月に入ってこの理事長から、請願書の文中の「補助願い額一億円」という字句を削除したい旨の文書が出されました。しかし、現在も継続扱いしているということであります。
 そこで、その法人が昨年十二月に県に提出した施設整備費県負担金の交付申請書によりますと──ここに持っておりますけれども──県への申請額は三億二千百万円余りとなっておりまして、この福祉法人の収支予算書では収入が七億六千二百七十二万円余りで、このうち国及び県の補助金のほかは、町から一億円の助成金──市のみしか記載されていませんが、田辺市と思われる市から三千万円の助成金を見込んで記載しています。ここでも問題となるのは、知事あてに出された申請書の中で、白浜町の町議会で助成金支出の議決もされていないにもかかわらず一億円の助成が記載されている点に県当局は疑問を抱かなかったのかということです。また、さらに田辺市の助成金については、田辺市議会ではこの点について審議されていないと聞いておりますが、県当局はこのようなずさんな収支予算書にチェックや指導をしたのかについて部長にお伺いをいたしたいと思います。
 あわせて、社会福祉法人の監督官庁としてこの問題についてどのように考えているのか、今後どのように対処していくのか、お伺いをしたいと思います。
 さて、私はさきの六月議会の一般質問で老人ホームの増設を熱っぽく訴えましたが、本会議場での県当局の答弁は、ベッド数三千床の整備目標がほぼ達成され、新たな設置は現状では難しいとの旨の答えでありました。そこで、十二月の厚生常任委員会の席上、なぜ答弁とは正反対の行政施策を展開し、特別養護老人ホームの新設を認可したのか、またこの場所の事業者に特定した理由等をただしたところ、国の緊急景気対策として急に要請があり新設法人で対応した、白浜町と有田市で整備するとの納得のいかない答弁でありました。またさらに、町など関係者との事前協議がなかった点についてただしたところ、決定を早急にする必要があり、事業者との協議を先行させてしまった、当然、関係者との事前協議は必要だったと考える、今後は手順を踏んで進めたい、ご迷惑をかけたことについておわびするとの答弁があったわけですが、いきさつなど具体的な答弁はなく、おわびで済ますといった不透明な格好となりました。
 このように、地元の自治体や関係者が知らないところで、県当局と申請事業者がいわば密室協議と疑われても仕方のないような格好で物事が決まった点について、私を含め、多くの方も納得できないのであります。これでは、社会福祉事業を監督する立場にある県行政に、社会福祉に情熱を燃やす数多くの事業者や施設を待ち焦がれている地域の方たちにとっても失望感が強いのであります。
 私は、最初に申し上げたとおり、決して特別養護老人ホームの整備を行うなとは言っておりません。むしろ、県民の期待にこたえて充実させていくべきだと考えております。
 西口知事は、開かれた県政として、県民との対話や女性一〇〇人委員会の設置など、積極的に取り組まれておりますが、今回の件は最も県民のわからないところで物事が決まったのではないでしょうか。知事におかれましては、今回の不透明な出来事にどう対処されるのか、見解を求めたいと思います。
 また、私は、特別養護老人ホームの建設認可について、県民が納得できるガラス張りの県政へと変えていかなくてはならないと思いますが、今後、特別養護老人ホームを初めとする社会福祉施設の整備についての基本的な姿勢と具体的な事務手続等についてのあり方を明らかにしていただくことを求めて、質問を終わりたいと思います。
○副議長(木下秀男君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 玉置議員にお答えをいたします。
 まず、今後の県の観光立県に向けての推進策についてのお尋ねでございます。
 近年、価値観の多様化あるいは自由時間の増大に伴いまして、心の豊かさとゆとりのある生活に対する国民の欲求が高まってきております。私といたしましては、観光が地域活性化の重要な柱の一つであるという認識の上に立って、二十一世紀に向けた観光振興計画により、豊かな自然あるいは歴史・文化資源を生かし、本県の特色や個性を発揮して、心の豊かさが享受できる観光を目指してまいりたいと考えております。
 このためにはまず交通の利便性が重要でございますので、関西国際空港の開港、高速道路の国土軸直結、あるいは湯浅御坊道路の開通、さらに南紀白浜空港のジェット化、県内道路網の整備等々、交通基盤の整備を進めてきたところでございます。
 さらに、最近のアウトドア、自然志向を初めとするさまざまなニーズにこたえるために特色ある観光地づくり、あるいは新しいイベントの創出などを行いまして、地域のホスピタリティー向上を図りながら積極的な観光行政を展開し、全国に本県をアピールしてまいりたいと考えております。
 また、議員からお話のございました、新しいタイプのアミューズメント施設の誘致、あるいは地元の食材を使ったグルメを観光客に提供していくということも一つの方策であろうと思います。これからの観光振興を図る上で参考としてまいりたいと考えております。
 次に、社会福祉施設の整備についてであります。
 全国より十年高齢化が進んでいる本県におきましては、特別養護老人ホームへの入所待機者も依然多いわけであります。過疎地での介護力の不足、さらには介護が非常に困難な痴呆性の高齢者に対する強化策として、今後も引き続いて施設の整備が必要であるという認識を持っておりまして、平成八年度でも百五十床の整備を行うこととしてございます。
 さきの二月議会で申し上げましたけれども、一応三千床の目標を達成いたしました。また、特別養護老人ホーム整備アクションプランを立てるんだということも申し上げたと思いますけれども、その整備条件としては、一つ目に県老人保健福祉計画未達成圏域の対策、二つ目には過疎振興対策、三つ目には圏域別の入所待機者の対策、四つ目には先駆的な特別養護老人ホームの対策、この四点を優先的に整備するとともに、痴呆性老人対策や在宅福祉支援のための整備も念頭に置きながら今後の整備を行っていきたいと考えてございます。
 今後、社会福祉施設としての特別養護老人ホームの整備につきましては、議員からご指摘があった点も含めまして、担当部局において、設置希望者あるいは関係市町村とも十分な協議を行いながら、例えば老人保健施設の整備で実施をしている整備充実委員会というのがございますけれども、そのような場で推薦をいただくなど、今後の選定のあり方についても改善をしてまいりたいと考えております。
 他の問題につきましては、担当部長から答弁いたします。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 玉置議員にお答えいたします。
 和歌山から関西国際空港へ乗り入れる線路の新設につきましては、鉄道事業者より和歌山県側の旅客需要が少ないと言われる中、莫大な投資を伴う工事を必要とするため、現状では困難と言われてございます。
 スイッチバック方式で直通乗り入れを実現させることにつきましては、関西国際空港の開港前から県としても強く要望してまいりました。その結果、JR西日本の和歌山方面からの列車と関空行き列車の同一ホーム乗りかえ等、利便性の向上に一定の成果がなされたところでございます。
 県といたしましては、今後も空港利用者の利便性の向上を図るため、JR西日本の直通列車の運行、すべてのくろしお号の日根野駅停車や南海の直通列車運行に不可欠である泉佐野駅の連続立体交差事業の推進等につきまして、二期工事の内容が具体化される過程の中で、国や事業者等に対する積極的な働きかけを行ってまいりたいと考えてございます。
 なお、議員ご提言の、関西国際空港から南海の泉佐野駅、和歌山市駅、JR紀和駅を経由してJR和歌山駅から紀勢本線に乗り入れることにつきましては、南海電鉄の車両幅がJR西日本の車両幅より小さいことや旅客需要の問題などにより、現状では難しい問題があると思われますが、今後検討課題としていただけるよう鉄道事業者に要望してまいりたいと存じます。
 また、特急「はるか」の日根野駅停車につきましては、議員ご指摘のとおり、県民からの要望が強いことは承知しておりますが、JR西日本では「はるか」を京阪神から関西国際空港への高速鉄道アクセスと位置づけており、特急くろしお号の新大阪・京都乗り入れの拡大を行っている中、くろしお号を利用していただきたいとのことであります。県といたしましては、便数の増加を図る観点から、JR西日本に対し、「はるか」の停車について要望してまいりたいと思います。
 関西国際空港から白浜等へのリムジンバス運行につきましては、関西国際空港のインパクトを県土全体で享受するという観点から、県内各地からの関空アクセスを充実させることは重要であると考えており、バス事業者に対しその充実に向けて働きかけてきたところ、新宮、白浜から関西国際空港へのリムジンバスの運行、あるいは新宮から大阪方面へ現在運行されているJR西日本の夜行バスを串本に停車させることについて積極的に検討されているところであると伺っておりますので、引き続き働きかけを強めてまいりたいと存じます。
 「ラピート」や「サザン」といった異種特急間の共通特急券の発行、その他の観光地からのリムジンバス路線の開設、新宮から大阪方面へのJR西日本バスの昼間における運行、りんくうタウン駅への停車等につきましては、旅客需要の問題等があると事業者から聞いておりますが、県といたしましては、地元の要望を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
 白浜へのシティー・エア・ターミナルいわゆるCAT設置についてでございますが、関西国際空港関連として、大阪市に二カ所、神戸市、京都市にそれぞれ一カ所設置されてございまして、ターミナルの設置・運営は鉄道事業者など交通事業者が主体となり、搭乗手続は航空会社が担当するという形態をとっております。
 CAT開設につきましては、関西圏の四つのCATの利用状況が開業前の予測を下回っていることも勘案しますと、事業者にとっても採算性が大きな課題であろうと思われますが、今後研究してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 観光立県推進のための諸施策についてのうち、関西国際空港から県内観光地への行楽客の誘致策についてお答えいたします。
 県では、現在、心のふるさとキャンペーンを展開いたしまして、自然や歴史、文化といった本県の魅力のPRや各種イベントを実施し、国内外の観光客の誘致に取り組んでいるところでございます。
 特に関西国際空港につきましては、昨年一千六百五十万人もの利用者があり、議員お話しのように、空港のインパクトを生かした、外国人も含めた観光客の誘致活動が重要であると認識してございます。このため、空港内におきまして、近畿府県などとともに共同で、観光案内所の設置や旅行会社による旅行商品の開発、また大型マルチビジョンや大型写真パネルの設置、あるいは空港駅広場での観光展の開催など、本県への誘客に努めているところでございます。
 今後とも、創意工夫を凝らした効果的な観光客の誘致策を展開してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 福祉保健部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木英明君) 特別養護老人ホームの整備と認可についてお答えをいたします。
 特別養護老人ホームの整備につきましては、平成五年に策定した県老人保健福祉計画の目標を達成すべく鋭意努力をしてまいった結果、平成七年度当初予算でほぼ目標を達成できました。しかしながら、入所待機者が依然多いなど、県内の状況を見たとき目標量以上の整備が必要と認識をしていたところ、国との協議においては常に目標量以上の整備について難色を示される状況であり、平成七年六月議会時点においては、目標である三千床以上の整備は困難と考えていたところでございます。その後、国の方から平成七年度の景気対策としてさらなる整備の話があり、目標量以上の整備が可能との判断から二施設の整備を決定したところであります。
 当時の整備要望は、口頭によるものも含めて県下で三十カ所、田辺・西牟婁圏域で五カ所があり、この二施設を選定した経緯につきましては、用地の確保、既存法人、入所待機者対策、さらに圏域での整備状況や痴呆性老人対策を考慮して白浜町と有田市での二施設を選定したところであります。
 特別養護老人ホームを整備するに当たっては、市町村事業であるデイサービスなどの在宅福祉部門もあわせて整備することとしているため、関係市町村の支援が必要不可欠でございます。こうしたことから、整備計画書を県に提出する場合に関係市町村の意見書を添付させるとともに資金計画についても明らかにするよう、設置要望者に対し以前から指導を行っているところであります。
 しかし、今回の選定に当たり、国から平成七年九月末に照会があり、早急な回答を求められたため時間的な余裕がなく、目標量以上の整備を優先するとの判断から、やむなく関係市町村との調整や資金計画の審査等の事務手続を省略して決定し、さらにその後、国庫内示以降においても事業者や市町村との調整を行い得なかった次第であります。また、事業者よりの提出書類につきましても、市町村との間で十分話し合われたものではなく、これらについてはまことに申し訳なく思っているところでございます。
 今後は、関係市町村と十分な意見調整を行うとともに、関係者のご理解を得て円滑な特別養護老人ホームの整備が行えるよう努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 高校生の中退問題など、五点についてお答えいたします。
 高校生の中途退学及び留年の実態につきましては、平成六年度の県立高校における中途退学者数は、全日制で五百三十九名、在籍生徒数に対する比率は一・六%、定時制で百二十八名、一〇・八%となっており、留年については、全日制で二百二十二名、〇・七%、定時制で四十六名、三・九%となってございます。
 全日制高校における地域別の中退者の比率は、和歌山市を含む紀北地域は一・八%、紀中地域は一・四%、田辺・西牟婁を含む紀南地域は一・五%となっており、さらに学科別では、普通科一・三%、専門学科二・三%でございます。
 高校は、入学を許可した以上、一人一人の長所を見出し、生徒の持てる力を最大限に伸ばし、学業を全うさせることが使命であると考えます。そのため、温かみのあるきめ細かな指導を行うことは高校教育に携わる者として当然の責務であります。
 各学校においても、中途退学対策委員会の設置、家庭訪問による保護者との連携、補習授業の実施などに努めておりますが、今後一層生徒や保護者の願いを真摯に受けとめ、教職員が一丸となって努力することが大切であります。
 ご指摘のあった中退者の多い高校につきましては、事態を重視し、校長から詳しく事情の報告を求めるとともに、公教育の使命を再認識させるため、校長会で具体的な事例として取り上げ、厳しく指導したところであります。今後とも、こうした基本姿勢で対処してまいる所存であります。
 また、留年についても各校の進級規定の弾力化を図り、できるだけ留年が出ないよう、他府県と比べても緩やかな規定を設け、配慮しているところであります。しかしながら、ここ数年、中途退学者の率が横ばい状態にあることに対して、教育委員会としても厳しく受けとめてございます。
 中退者の数を減らすための方策につきましては、生徒を中心とした進路相談の充実、偏差値偏重による進路指導の是正、体験入学の実施など、不本意入学をなくすための努力を続けてきてございます。
 次に、中学生や保護者の希望につきましては、中学校長並びに高等学校長から地域の状況を十分に把握し、総合的な判断のもとに、学科の新設や改編を含め、募集定員の決定を行っているところでございます。今後とも議員ご提言の趣旨を踏まえ、さらに実態の把握に努めてまいります。
 中途退学者の進路変更への支援体制につきましては、各学校において、就職先のあっせん、他校への編入学等について個々の生徒や家庭と十分相談しながら進路保障に取り組むよう、指導してきているところであります。
 退学後の動向につきましては、平成六年度において、全日制で就職が五二・一%、専修学校への進学及び他校への編入学が一四・七%、残りが家事その他で、単位制課程を置く定時制高校への編入学を希望する生徒も増加しております。
 中途退学者が定時制課程あるいは通信制課程に編入を希望する場合は、在籍していたもとの学校で既に修得している科目の単位を認定するなど、弾力的な扱いをしてございます。
 ご提言いただきました紀南地方への昼間定時制高校の設置につきましては、平成四年度に単位制を導入した三校のうち紀の川高校、青陵高校には昼間部を設置してございますが、南紀高校への設置については今後の課題として総合的に研究してまいりたいと考えます。
 また、電話等の相談窓口の設置につきましては、ご紹介いただきました大阪府の例なども参考にしながら、関係機関と連携し、前向きに検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 25番玉置公良君。
○玉置公良君 時間もございませんから、要点を追って述べたいと思います。
 まず、高校中退者の問題でございますけれども、今、教育長から答弁をいただきました。ことし中退をした子供さんが、親と一緒に田辺の職業安定所へ職を探しに行ったそうであります。ところが、会社に入る条件に高校卒業ということが書かれておって、初めて高校を卒業せなあかんということを痛感し、頭を打ったと聞いております。
 教育長から大変前向きなご答弁をいただいたわけでありますけれども、今申しましたようなことがなくなっていくように、どうか子供たちの未来に希望を持たせる高校教育をさらに一層充実していただけるよう、お願いをする次第でございます。
 また、中途退学者の受け皿づくりについては、一歩踏み込んだご答弁をいただきました。ぜひとも、一日も早く昼間定時制高校の紀南への設置実現をお願いしたいと、強く要望しておきたいと思います。
 それと、高校中途退学者の相談所も早く設置してほしいという希望がございます。来年からでも早速実現していただけるよう、あわせて要望しておきたいと思います。
 観光面につきましては、時間がございませんから、ただ一言。答弁いただきました感想は、やっぱり取り組みが大変消極的だという気がいたします。例えば、和歌山県が観光立県と言われるようにしていくためには、例えば和歌山市や私の住んでおる白浜町、龍神村にも観光課、観光部というものがありますけれども、せめて、ほかの市や、さらには観光を控えた町村にも独立した観光課といったものをつくっていって──観光協会というのもございますが──県が支援をして観光の受け皿づくりの体制をつくっていただきたい。そのように要望しておきたいと思います。
 最後の、老人ホームの整備と認可問題でありますけれども、知事の方から答弁いただいた、今後の選定のあり方を改善するための整備充実委員会の設置の方向が打ち出されました。これについては一定の評価をしたいと思います。この委員会が、透明性を持たせた、県民の納得がいくガラス張りの選定ができるよう、これまた強く要請をしておきたいと思います。
 先ほど、部長から認可に至るまでの経緯等の答弁をいただきましたが、私が指摘した不透明さについては答え切れているようには思いません。一番大事な関係市町村との財政計画や意見調整の事前協議を全く行っていないということが明らかになったと思います。
 それと、事業者の予算収支書に記載されている町や市の助成金についても、地元議会の了承や同意も取りつけていないといった財政計画について、答弁で改めてずさんさが浮き彫りとなりました。社会福祉法人の監督官庁として再調査や再指導を行うよう、強く要請をしておきたいと思います。
 なお、今後の進展いかんでは、常任委員会や、場合によっては会派を初め先輩・同僚議員の皆さん方のご意見もお聞きをしながら、この問題の調査特別委員会の設置等も視野に入れて、開かれた県政の実現に取り組んでまいりたいと思います。
 時間もございませんから、以上で私の要望を申し上げて質問を終わりたいと思います。
○副議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中山 豊君。
 〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 お許しを得たので、質問をさせていただきます。
 まず一番目に、和歌山市中東部、海南市北東部、那賀郡南西部地域の発展策についてであります。
 和歌山市の山東地区、海南市は北野上地区、那賀郡で言うと貴志川、このあたりにかかわる問題についてであります。この地域は、道路の施設状況から見て、取り残されているという感が実に強いわけであります。東西に県道和歌山橋本線があり、近年着実に整備が進み、関係地区住民の喜びとしているところでありますが、海南東北部すなわち北野上地域はこの路線とは交わらず、貴志川町、桃山町で四百二十四号とつながるだけであります。南西部に寄れば県道和歌山野上線はあるけれども、この地域から外れたところにあり、利用度は極めて少ないわけであります。
 高津の農協学園前から選果場までの農免道は既に生活道路として利用され、海南東部地域、野上・美里町の人々の和歌山方面への通行が極めて多くなっているところであります。ところが、選果場から県道和歌山橋本線までの区間が狭隘で、渋滞に渋滞を重ねております。この道を整備し、県道和歌山橋本線につないで幹線道とされたいというのが地区住民の極めて強い要求であります。県道和歌山野上線のバイパス路線と位置づけ、四百二十四号と県道和歌山橋本線をつなぐ南北線として地域活性化のために取り組まれたいわけであります。やがてこの路線を貴志川町西部と和歌山市東部の発展に寄与させるべく和歌山市船戸まで結びつけ、和歌山貝塚線あるいは泉佐野岩出線につなぎ、大阪へ通行する方策を立ててはいかがなものだろうかと考えるわけであります。
 一つの自治体で計画を立てて事を進める場合と異なり、複数の自治体にまたがるだけに、事業化には調整に時間がかかり、難しいことは承知しております。それぞれの自治体の権益や独自性の絡みから見て、難しいことは多かろうと思われます。それだけに、上級にある県当局のご判断とご指導が大きく期待されているところであります。県政上からこの地域に風を通す取り組みをされたいわけであります。
 高津地区に、昭和四十六年の和歌山国体開催の折に使われたライフル射撃場があります。用地は海南市が所有し、施設は和歌山県体育協会が所有し、県のライフル協会がそれを利用していると、こういう状況になっております。ところが、この施設の利用者は極めて少なく、地域の人々の間では、活性化のため他に利用する方途はないのかと、寄るとさわると話になるところであります。
 地域の活性化に県道和歌山橋本線と四百二十四号を結んで幹線道として実現方を考えていただけるよう、強く求めておきたいわけであります。そのためにも、県の指導を得ながら、地元関係自治体や関係住民による促進協議会などを組織してかかる必要があろうとも考えるわけですけれども、当局のご所見を賜りたいと思います。
 二番目は、国道三百七十号の整備促進についてであります。
 これについては、既に段階的に取り上げ、当局に促進方を求めてまいりました。結果、これの整備に係る構想のあらましは、私なりに把握できるところまで至りました。しかし、一時たりとも阪井地区における現道の交通渋滞は放置できないので、この問題について重ねてご質問申し上げるところであります。
 高速自動車道海南東インターから霊場高野山に観光バスで通行できるようにするのが我が和歌山県政上から見て避けて通れない課題だと申し上げたいところであります。高野山は、単に和歌山県のみならず、日本ましてや国際的な位置づけをされているところから見て、関空が開港され、自動車道が紀南に延伸されていくことにかかわり、ますます高野山へのルート三百七十号が大きな関心事となるのは当然であります。
 さらに、海南市から野上谷にかけての発展を願う住民にとっても、大きな期待と要求が寄せられているところであります。野上電車が走っていたこととかかわって、道路改良整備は手つかずの状態が続いてまいりました。廃線後も遅々として進まず、阪井地区間の狭隘な現道に係る交通緩和策を求める声は極めて大きいわけであります。その大きさに対応する行政当局の姿勢は、まことに遅々としていると言わざるを得ません。地域住民の声の反映、海南市当局の県当局への申し出の状況によるものがあるのであろうか。限界に来ているとの状況認識から、強く求めて譲らないつもりであります。
 那賀郡下で国道四百二十四号等の整備が進み、二十四号から奈良を通り抜けて東へと通行する大型車が急激に増加したため、三百七十号阪井地区内に進入し、渋滞を余儀なくされているという状態にあります。側溝にふたがけをする環境整備事業ではかわし切れません。電車の軌道敷を利用して片道通行の措置をとってはと申したけれども、困難だとのことでありました。都市計画道路としてバイパス構想をもって基本的解決をとのことですけれども、実現させるまで現道のままではならないと改善策を求め、今まで課題提示をしてきたところであります。
 今議会では、それをさらに進めた回答を求めるため、次の質問をしたいわけであります。踏み込んだ答えをお願い申し上げたいと思います。
 さきに示されたバイパス法線についてあれこれ申し上げることを差し控えながら、龍部池から人家の少ないところを通して木津の台地で四百二十四号につなぐと答弁されているが、木津の台地から先はどのように構想されているのでしょうか。もし四百二十四号の木津バイパスを通して野上町へというのならば、なおのこと四百二十四号の整備促進を急がねばならないということになるのではないでしょうか。これが一点目です。
 二点目は、いずれにしても阪井地区内の現道の交通緩和策を急いでもらいたいわけであります。県道沖野々森小手穂線に大型車を振って現道に入れないようにすれば緩和される、阪井地区の業界の方のコンテナ車をどうするか、それなりの措置をとれば難しくはない──地区関係者にお聞きしての提起なので、思い切った判断を求めたいところです。こうするとの具体策を提示することがなければ、今回は許された時間の範囲内で粘り強く質問してまいりたいと思います。
 三番目は、貴志川水系の環境保全についてであります。
 去る六月十日、貴志川町で開かれたほたるサミットきしがわ96から多くの示唆を得ました。「本県はすばらしい自然環境に恵まれ、多くの野生生物が生息し、身近な自然に出会える場所がたくさん残っています」と知事があいさつを寄せられているほど、和歌山県は全国にもまれな自然環境に恵まれている県だと私も自負していたけれども、ふるさと生き物の里として環境庁に認定された八つの自治体の代表が貴志川町に集まってのイベントを行ったところ、貴志川町を除く他の自治体はすべてホタルは自然発生によるところだったということであります。我が貴志川町だけが人工飼育による発生の手法を追求しているということでありました。これには驚きました。貴志川町は人工飼育発生の手法であることは以前から承知していましたけれども、他のすべてが自然発生によるところであることから見て、こんなに自然が豊かであるはずの和歌山県だけが、との驚きであったわけであります。知事があいさつで寄せられているほどに本県は自然環境に恵まれ、身近に自然に出会える場所がたくさん残っている、だのに、と思わざるを得なかったわけであります。取り組んでいる貴志川町の関係者の心は、人間も自然の中の一員として生きている共存者である、共存者である私たちが二十一世紀を生きるための環境がどうなっているのかを命の良識から真剣に見詰めるのだとされているわけであります。ホタルの青い光は人間に対する自然破壊への警鐘だともしているわけであります。
 昭和二十八年の大水害による河川改修は自然環境を一変させ、加えて農業、家庭排水や工業排水等によりホタルは絶滅した。それをホタルのすめる清流と緑の保全に取り組んでよみがえらせたということですから、大変な努力でありました。水のきれいな町、そこに住む人々の心も豊かで、美しい町、自然保護に努めることが人間性復活への道だとして取り組まれているのであります。豊かであるはずの和歌山県が全国にもまれな人工飼育発生の試みをし、成功し、自然回復、人間性回復をかち取ろうとする人々の営みが和歌山にあったのであります。教えられました。私が住む海南市の隣の町にあったのです。その後、季節が進み、県下のあちこちでホタルの自然発生の報道に触れるにつけ、やはり和歌山県は自然が豊かなのだと、改めて認識するところでありました。
 ことしは特にホタルの発生が多いとも言われています。これは自然環境回帰へのしるしかもと思ったりするのですが、気は許せないと思うにつけ、貴志川町長・中村さんはサミット閉会を前にして、貴志川水系の保全に関係自治体の理解と協力を得て取り組みたいと力強く述べられました。強く心に残る呼びかけでありました。
 そこで、お尋ねいたします。
 一番目、関西電力の志賀地区での変換所建設に当たり、自然破壊に及ぶ行為は許されません。十分のチェックと監視の体制下に置かれたいわけであります。これは以前にも申し上げたことの繰り返しと受けとめずに、その後の現状報告とあわせ、地域住民、関係水域住民の安心をする答弁をお願い申し上げたいわけであります。
 二つ目、海南市別院地区においては、産業廃棄物処理に伴う河川への影響のない、しかとした対策をとられたい。これも以前申し述べて、これについてのしかとしたご答弁もいただいておるところですけれども、今行われている水辺環境整備事業については、いかように説明されようとも地域住民の心配は除かれないところにあります。海南市の水防会議で、二年続きでこの問題が取り上げられました。
 今行われている水辺環境整備事業が、廃棄物処理をした別院地区周辺の護岸を崩して、ホタルを養殖し、人工飼育に成功し、自然を回復して人間性回復へという取り組みをしているあの営みに大きな被害をもらたすことがあってはならない、こういうふうにも考えます。工事のおくれは心配を一層かき立てているところであります。さきの議会で答弁された内容の具体化に向けて、海南市とも力を合わせてしかとした取り組みをされるよう強く求めておきたいところであります。
 四番目に、農業問題についてであります。水田機能の維持保全に特別の手だてはないのか、農業用ため池の改修を計画的に進めていただきたいということであります。農業用ため池の改修を計画的にというこの質問項目については、先ほど吉井議員が質問されていることと重なるので、内容的にはできるだけ重複を避けて質問を申し上げたいと思います。
 昭和二十七年以降、新規就農者が減り続け、少し古い資料ですけれども、平成元年では全国で新規就農者が二千百人になり、さらに減り続けていると言われています。和歌山県でも、ここ二、三年少しは趣に変化があるようですけれども、同じ傾向にあるようであります。現在農業をしている人は平均六十五歳以上と言われ、あと五年ないし十年たつと働き手がいないという心配が深刻にされるようになってまいりました。中山間地の農耕に厳しい条件にある農業者は平たん地におりてきて、条件のよいところを借りて耕作しているが、それでも耕作放棄地が年々増加しているのが今日の姿であります。
 ため池から水を引く役割も、以前だと水引きと言って特定の人が引き受けて地域の田にあまねく水が行き渡るようにされていたが、水引きに頼らず、既に地域の年寄りたちが当番を決めて水の守りをするようになっていたり、農業用水路も荒れるばかりで、以前は共同管理した水を逃がさない心配りをしていたが、それもならず、それが引き金になって耕作放棄を促すことになったりしている今日であります。それのみか生産意欲をなくし、農村地域の共同を壊し、力を合わせて農業に取り組むという農家の人々の心、いわゆる伝来の農耕文化を崩してしまいかねないところにあります。これが今日の日本社会にさまざまな厄介な問題を引き起こす、深いところでの病巣ともなっていると思われてならないのであります。これは、さきの議会でも少し触れたところであります。
 年配の農家の人たちは口をそろえて、「日本の農政は間違っている。食糧不足は目に見えている。そのときになってどうにもならんようにしてしもうてはならんのや。孫やひ孫から、おじいちゃんら、そのときちゃんとしてくれてなかったからだと悔やまれても仕方ない。おしまいだ。そのようなことにならんようにしておかねば」と、このように言われます。
 昭和三十六年、農業基本法で今日の経済成長の裏打ちをしようとして農業への犠牲の政策の第一歩を踏み出してから、生産調整の名による減反政策が始められました。最後に米までを含む農産物の総自由化、そして農家経営を窮状に追いやりながら生産規模拡大で対応させようとする新農政、新食糧管理法等、地域農業者は展望を失い、極めて大きな不安に追いやられているところであります。
 以前にも指摘しましたけれども、米作で二十ヘクタールの規模をもって当たる認定農家をと言っても、とても和歌山には当てはまらないわけであります。果樹、花木を主軸にして和歌山の農業を構想するのも、それなりにわからないではありません。中山間地の農地、中でも水田の機能を守る手だてを農政の主要な課題として、和歌山県の独自課題ともすべきだと申し上げたいわけであります。収益の面から見て経済効率は極めて悪いので、政策的対象にされにくいかもしれません。だけど、水源の涵養、土砂の流出防止、生息環境保全という公益的な面からの政策的追求が強められなくてはならないのではないでしょうか。
 今日、温暖化、酸性雨、オゾン層破壊、表土流出、砂漠化、人口急増等、地球規模の環境破壊が問われているというのは、すなわち日本農業の生産基盤を掘り崩すことに手をかしているとしか言えません。機械化工業で経済成長を遂げてきたその裏返しとしての農業の疲弊は、みずからの力と努力で農業を防衛し、国土を守る戦略を持たねばならないということを物語っているのではないでしょうか。水源の役割を国土、環境、自然を守る面から見直せとの声も大きくなってきているのは、当然のことであろうと思います。
 梅原猛初め多くの学者は、「森は海の恋人、川はその仲人」と言われている。この自然認識からして、水田とその水源となる山林が緑のダムの役割を果たさなかったら、洪水、土砂崩れ、水不足で下流の都市はもろとも手を上げてしまいます。
 さらに翻って、漁業資源に大きくかかわるとも言われています。和歌山県の漁業の繁栄の陰には、あの豊かな紀伊山地における山林が原因しているのではないかとも言われています。紀伊山地を源流にして、紀の川、有田川、日高川、富田川、日置川、古座川、熊野川──新宮川というんですか──この河川の河口に開かれた町は、すべて漁港であります。学者の説によると、豊かな森林ではぐくまれた水、栄養豊かな水が川を流れて海に注ぎ、その豊かな水がプランクトンを発生させ、そのプランクトンによる魚種の豊富なことを頼りに漁業が発展したと見てみると、今漁獲が少なくなったから栽培漁業だなどというのもおかしい話だとさえ言われているところであります。背に腹はかえられないからそのようなことをして漁業を盛んにしようとする努力は、それなりにわからないでもありませんけれども、もとをただせば、やはり緑豊かな森林をそのまま守り、そして漁業を豊かに繁栄させていくという、この自然の生態系をどのように守るかということこそ政治の根幹にかかわる課題であろう。そのことに深くかかわっているのが水田であろうかと思われます。
 都市の虚弱性は、既に二、三年の干ばつによる水不足で顔を見せ始めております。──時間が足らなくなったら悪いので、よそ道するのはやめにしますが──また水は、工業文明の吐き出す二酸化炭素を光合成の力で酸素に変える天然の空気浄化装置でもあります。夏場の気温調節の役割をし、生息環境を好ましい状態につくりかえることを指摘せざるを得ません。
 かかる大乗的立場から見て、一、中山間地の水田機能の維持保全に関係者の協力を得て特別の手だてをとる必要はないのかと訴えたいものであります。その観点から見ると、和歌山県二十一世紀農業振興計画、さらには和歌山県中山間ふるさと水と土基金等の資料を見せてもらっても、今申し述べたような観点からの息吹がにじみ出てこないというのが率直な意見であります。中山間地の水田機能の維持保全について一遍に答えを出しにくいということはよくわかっているんですけれども、それなりのご見解をお示しいただきたいと思います。
 二つ目、県下に数多く散在する農業用ため池の改修であります。これは吉井議員も先ほど述べられたので重複することを避けますが、山間地の降雨水がいっときに流れて海に注ぐことのないように役割を持たせております。災害防止の面からも、水資源を巧みに利用する見地からも、水田機能保全の立場から見ても、ため池の存在は地域社会にとって大きな財産だと指摘せざるを得ません。県下のため池の調査をされているようですけれども、それに基づいて改修計画を立てていただきたいというふうに思います。
 水不足に強い和歌山、生息環境のすばらしい和歌山、このような和歌山を創造するためにも、中山間地における水田機能の維持保全は大いに考えて値あるものだと思われます。所見をいただきたいと思います。
 北野上に新池という池があります。その池を県の大変な努力とご援助で改修しました。去年の何月議会でしたか、それらに対する予算が計上されておったので、その事業の内容をつぶさに見てこようと足を運びました。驚きましたね。一つの池の堤防を改修するというのに膨大な土が要るということを教えられました。井沢弥惣兵衛の時代までさかのぼることはない。これは学校教育、社会教育の大きな教材だという認識から教育委員会や市当局に申し上げて、そのような評価をお互いにし合うような働きもさせてもらったところであります。
 事ほどさように、池をつくり、田んぼを養うにつけて水路を開設したりするような営みにどれだけ先人の苦労があったかということを今さらのように教えられたわけであります。田んぼをつくらなくなったから水は要らないといってむざむざとそのような池を放棄してしまったり、他に用途を変えてしまうような疎ましいやり方は政治家としてとるべき姿ではないんではないかと、こういうふうにして教えられました。ご所見を賜りたいと思います。
 近年、池の下、堤の下にはばかりなく宅造されて住宅がたくさん建つようになりました。このような状況からしてみてもため池の改修を急がねばならない、このようにも申し上げてこの質問を終わります。
 農業問題についての二つ目は、カメムシ対策であります。
 チャバネアオカメムシの越冬成虫調査結果から、ことしは大量発生するとの予告注意報を四月十二日に当局はお出しになりましたね。これが農業関係者の間に余り知られていないのです。知事が申された「県民の心は県庁に届いていない」のではなくて、「県庁の心が県民に届いていない」というふうな姿をまざまざと見せつけられました。このこととかかわって農業者にいろいろお話もお聞きしましたので、幾つかのご質問を申し上げたいと思います。
 こういうふうな大量発生する原因は人間の自然破壊への警告だと指摘される人もいますけれども、大量発生のメカニズムについて県は研究所等を通じて随分と把握されていると思いますから、その取り組みの経過と今日到達した成果、現状をご報告していただきたいと思います。さらに、被害防除策としてとられている効果的な措置についてもご説明願います。
 次に、先ほど申しましたように「県庁の心が県民に届いていない」というふうなことであっては、いかように開かれた県政を進めようとしてもちょっとおぼつかないという感じもしないではありません。こういういい取り組みをし、いい成果を県民に返そうとして皆さんがなさっていることですから、これはあまねく、つつがなく県民の心に届くようにしてあげていただきたい。
 予告注意報が農業者にあまねく届くようにするためには、情報伝達の手法でいまひとつ工夫が要るのではないかと思ったわけです。それで、農業者に聞いてみたんです。ある地域では防災無線などを通じてこういう農業者にかかわる情報を提供したり、カメムシの話だけではないけれども、あした大霜になるかもわからないから気をつけなさいというような農業情報を無線に流して提供しているところもあるじゃないかと、こういうふうに言われました。いろいろ聞いてみますと、まだそういう無線情報を提供する施設のないところもあるようであります。こういうところには、県のご援助とご指導に基づいて、あまねくそういう情報が県民のところに届くようにしていただけるような立場に立てないのでしょうか。もちろん、地方自治体や農協関係者やその人たちのご協力、ご理解をいただけなければできない話だと思うわけですけれども、いいことをしながら、いいことが県民の財産になっていかないというのは大きな損失だと考えざるを得ません。──急ぎます。
 最後は、亀の川の改修計画であります。
 永年、黒江室山団地や岡田地区の人々──と言っても皆さんはご存じないかもわかりませんが、JR紀勢線の黒江駅のあたりであります。亀の川に注ぐ大坪川の溢水による家屋への浸水がないようにと訴えたいわけであります。
 本流である亀の川が増水すると支流である大坪川の流水が逆流することから、住民は、ポンプによる排水によらなければ基本的には解決しないのではないかとさえ言われたりもしております。
 頭脳立地(インテリジェントパーク)からの排水を且来地区内で亀の川に取り込むために亀の川の改修工事がなされており、且来から毛見区間の整備は、毛見地区間で大坪川へとの見通しのもとに着々と進められているようですけれども、阪井は下河原地区から上流、海南市の管理下にある上谷川、海老谷川に及ぶ区間の護岸の傷み、河床の堆積状態から、改修を計画的に進められるよう求めたいわけであります。
 地権者の同意、協力を得られるよう地元で努力を進めるとしても、県の管理下にあるひや水地区から阪井浄光寺原までの区間、さらに下流に至るまで計画的に取り組まれたいわけであります。特に、阪井地区下河原の県道沖野々森小手穂線の改良にかかわるあたりは、どうしても地権者や住民の協力を得て実現方をされたいわけであります。阪井地区の三百七十号交通緩和策の関連からしても、この河川の改修は避けて通れないのではないかということを申し上げて、第一回目の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 中山議員のご質問にお答えいたします。
 最初に、国道四百二十四号と県道和歌山橋本線をつなぐ道路のご質問についてでございます。
 この道路は、海南市及び貴志川町の管理道路であります。したがいまして、今後、両市町から要望があれば必要に応じて調整を図ってまいりたいと存じております。
 次に、国道三百七十号の整備促進のうち、国道三百七十号の木津から先についてであります。
 まず、国道四百二十四号木津地区の未改良部につきまして、国道三百七十号へ接続するバイパスとして現在調査を進めております。また、海南市野上中から野上町小畑の区間につきましては、野上電鉄の廃線敷を活用して整備を進めております。
 次に、国道三百七十号の阪井地区における交通渋滞対策につきましては、当地区の沿道には人家が連檐しているため、将来的には龍部池から国道四百二十四号間をバイパスで整備してまいりたいと考えております。
 県道沖野々森小手穂線へのバイパス計画につきましては、物件移転等の問題もございますが、周辺の道路網等も含め、市とともに協議してまいりたいと思います。
 次に亀の川の改修につきましては、河口から紺屋橋までの間延長四千八百メートルについて中小河川改修事業により取り組んでいるところであり、特に河口から国道四十二号御里橋間延長四百メートルの用地買収を推進しているところでございます。
 議員ご指摘の大坪川の改修につきましては、亀の川本川の流下能力を勘案しながら調査を進めているところでございます。
 また、且来地区から上流につきましては、下流の改修状況を踏まえ、海南市及び地元関係者と調整を図りながら検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 中山議員にお答えいたします。
 貴志川水系の環境保全についてでございます。
 かつらぎ町志賀地区で進められている関西電力株式会社紀北変換所新設工事につきましては、林地開発許可に係る連絡調整事項といたしまして、平成七年四月十七日付でその手続を終え、現在、敷地造成と進入道路工事に着手しております。これら工事に伴う濁水防止につきましては、通常の沈砂池や布団かご堰堤などのほか、濁水処理プラントも備えており、貴志川の水質に著しい影響はないものと判断しております。
 今後とも、工事の施行につきましては、災害の防止、環境の保全等に十分注意するよう事業者を指導してまいります。
 次に、農業問題についてでございます。
 中山間地域の水田を初めとした農地の保全につきましては、食糧生産はもちろんのこと、県土の保全、水資源の涵養など、公益的な機能を有しており、その役割には重要なものがあると認識してございます。したがいまして、県におきましては、地域の実態に即した生産基盤や定住環境の整備を初め、担い手対策などを総合的に進め、中山間地域の農地の保全に努めているところであります。
 一方、近年、環境への意識の高まり等もあり、自然豊かな農業、農村の果たす役割が見直されております。こうした動きを踏まえながら、農村と都市との積極的な交流や学校教育での啓発などを通じ、農業、農村の重要性について多くの人々の理解を得るよう今後一層の取り組みを図ってまいりたいと考えております。
 次に、ため池の改修でございます。
 ため池につきましては、農業用利用のみならず防災機能や自然環境保全などの公益的機能を有しており、その維持保全を図ることは重要であると考えてございます。
 ため池の整備につきましては、吉井議員にもお答えしたところでございますが、小規模のため池を県営事業として実施することにより地元負担の軽減などを図り、整備促進に努めているところでございます。今後とも、市町村及び地元との調整を図りながら事業推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、カメムシ対策でございます。
 カメムシ対策については、本年、全国的に異常飛来が見られたのは、昨年はえさになる杉・ヒノキの実が十分あり、越冬成虫が多かったことによるものでございます。本県でも二月の調査から被害が予想されましたので、早くから注意報を発令し、チラシの配布など、きめ細かく広報に努め、対策に取り組んでまいりました。
 防除対策といたしましては、誘殺灯や飛来を防ぐ黄色灯による対策もございますが、薬剤による一斉防除が最も効果がございます。今年の大発生に当たりましても、県、市町村、農協、農家が一体となり、一斉防除を推進した結果、今のところ被害を最小限に抑えることができたと考えており、協力いただいた農家の方々に対して深く感謝している次第でございます。
 今後とも、農家を初め関係機関との連携を密にし、一層きめ細かい広報活動と的確な防除対策等を推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 32番中山 豊君。
○中山 豊君 中山間地の水田機能の維持保全については、具体的にこうしろ、ああしろというふうな提起をし得ないままの質問であっただけに、再質問をするにはちょっとはばかるわけですけれども、申し上げるだけ申し上げておきたいと思います。
 私が指摘した観点からはまだかみ合ったところにないような、そういう感じがしてなりません。これについては今後も引き続き論議をし合っていきたいと、こういうふうに気持ちを述べておきたいと思います。
 一番目の質問である、四百二十四号と県道和歌山橋本線を高津地区内でつなぐ道路の問題についてであります。
 地元からの要望があればという前置きをしながらのお話でしたけれども、質問の中で申し上げましたように、まさに関係自治体や関係地区住民のこぞった要求が当局の行政に反映されていないという実態が質問を段取りする過程の中ではっきりしましたので、この要求を具体化させることにより、やがて当局を煩わしたいとも思います。その節はよろしくお願いいたします。
 三百七十号阪井地区の交通緩和策の問題ですけれども、龍部池から東へほどなく、人家の少ないところを通して四百二十四号線木津台地へつなぐ、これが基本的な考え方だということは、前の議会でもお聞きいたしました。それから先は野上電鉄の軌道敷跡を利用して東の方へ延ばしていくんだと、こういうお話ですけれども、木津の台地で四百二十四号線と今申し述べた線路敷とをつなぐというのは、まさしく木津の地域間における四百二十四号線のバイパスを利用してつなぐという、こういうお話として受けとめたわけであります。こうなってくると、木津のバイパスもやらなくちゃならんわ、阪井地区の龍部池から東向いてのバイパスもやらなくちゃならんわ、このバイパス構想が両すくみになって、いずれも解決されないであのあたりの交通緩和策がとれないということになってはならない。このようにも考えて、特別に、背に腹はかえられないところに来ているからやってくれと、こういうお話だったのです。ところが、人家が密集しているとか、やれ周辺の道路との調和の問題等々を考えてということですが、これとても、地元の市とよく相談をし、よく協議をしてと、こういうお話であります。
 事ほどさように、何遍言うても、地元とお話を、協議をしてという形で済まそうとする県当局のあり方は、やはり許されないわけであります。本議会を通じて当局の姿勢なり取り組みのあり方についてお求めをしているんだから、市の態度がどうであれ、こうであれということとならず、もっと踏み込んで、こうしたいのでこういう立場から海南市との協議を進めていきたいという、まず県当局のこの問題に対する解決への基本的な心構えをお示しいただかないと、市と協議しても、市の方はぐにゃぐにゃしているのでやれんよということになるような話では、幾ら話をしたって問題解決にはならない。
 議場を通じて、中山がこれだけしつこく何遍も繰り返してあれこれ言うているんだからせめてこういうふうなことをということで、心構えを示しながら市と協議するというような答弁をされなかったら、僕は納得できない。しかし、あれこれとそういうお話をやりとりをしてもなんだから、そういう強い心持ちでいることだけを表明して、一層の促進方をご要望して終わりたいと思います。ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時五十分散会

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