平成8年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第七号 平成八年三月十九日(火曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第八十二号まで(質疑・委員会付託)
 第二 一般質問
 第三 請願付託
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第八十二号まで(質疑・委員会付託)
 二 一般質問
 三 請願付託
 四 休会決定の件
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川  武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門  三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島  雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷  洋 一
 18 番 長 坂 隆 司
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 堀 本 隆 男
 21 番 宇治田 栄 蔵
 22 番 宗  正 彦
 23 番 橋 本  進
 24 番 井 谷  勲
 25 番 玉 置 公 良
 26 番 上 野 哲 弘
 27 番 東 山 昭 久
 28 番 尾 崎 要 二
 29 番 野見山  海
 30 番 木 下 秀 男
 31 番 町 田  亘
 32 番 中 山  豊
 33 番 山 下 直 也
 34 番 鶴 田 至 弘
 35 番 森  正 樹
 36 番 村 岡 キミ子
 37 番 新 田 和 弘
 38 番 平 越 孝 哉
 39 番 森 本 明 雄
 40 番 神 出 政 巳
 41 番 松 本 泰 造
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口  勇
 副知事 梅 田 善 彦
 出納長 中 西 伸 雄
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 民生部長 木 村 栄 行
 保健環境部長 鈴 木 英 明
 商工労働部長 中 山 次 郎
 農林水産部長 日 根 紀 男
 土木部長 山 根 一 男
 企業局長 中 村 協 二
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   山 本  昭
 教育長 西 川 時千代
 以下教育次長
 公安委員会委員 中 尾 公 彦
 警察本部長 青 山 幸 恭
 以下各部長
 人事委員会委員長
   若 林 弘 澄
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   谷 口 庄 一
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 岩 垣  孝
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 松 田 捷 穂
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 長 尾 照 雄
 総務課長 岡 山 哲 夫
 調査課長 柏 木  衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第一号から議案第八十二号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第一号から議案第八十二号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 47番和田正人君。
 〔和田正人君、登壇〕(拍手)
○和田正人君 戦後五十年、日本社会は目覚ましい発展を続け、世界に例を見ない経済大国として位置づけされ、国際的にもあらゆる分野においてその責任と国際貢献を期待され、またそのあり方を問われる立場にある今日であります。この五十年、右肩上がりの成長のみでなく、その時代時代に内外の問題を克服しながら努力し挑戦してきた産業界も、今大きな転機を迎えているのであります。
 二十一世紀を間もなく迎えようとする今日、日本の社会で顕著に崩れつつある三つの神話があります。
 一つは、日本は世界で一番安全であるという生活環境がオウム真理教によるサリン事件で内外にその危険と不安を増幅したことは、日本の社会は安心して生活できるという、犯罪に対する信頼を失墜してしまったのであります。加えて、最近の外国人による犯罪は命を失う危険すら伴う凶悪犯罪が増加しており、ボーダーレスの今日、解決と対策が緊急の課題となっている社会問題の一つであります。
 二つ目の安全神話は、サンフランシスコやロサンゼルス地震のときに、日本の高速道路や橋梁構造物はその耐震性や技術、材料から見て大丈夫と言われ、まさに太平洋対岸の災害と考え、保障するかのコメントを出された専門家もいたのでありますが、昨年一月の阪神・淡路大震災による被害状況はその安全神話を根底から打ち砕く惨たんたる災害となったことは、もろくも崩れた安全神話とともに、新たな技術開発と多額の投資といったコスト増加を余儀なくされる事態を招いたわけでありまして、県民の命と財産を守る、社会資本を守るという立場から避けて通れない課題であります。
 三つ目の安全神話は、銀行はつぶれないという今日までの信頼であります。今、住専処理問題で国民の税金六千八百五十億円を投入する政府案に対し、多くの国民世論は理解と納得を示しておらず、批判が大きいのであり、国会審議の混迷はご案内のとおりであります。バブル時代の母体行と言われる金融機関の経営姿勢は、どのようなものであったのか。地価は上がるものとし、過剰な担保評価をして貸し付け、今日不良債権として多くの金融機関が抱えているであろう物件、そしてその処理のあり方は、本来、利益として利用者や預金者にこそ還元されるべき性格のものではないか。国際的な金融不安を招かないように景気回復や株価の回復といった釈明の言葉では理解されない、国民の怒りがあるのであります。土地価格の高騰で踊らされ泣かされた庶民の感情は、その陰で利益を上げた者、企業に対し素直に許せないものがあり、倒産はしないという金融機関に対する神話も崩れつつある状況は、低金利時代とともに、年金生活者への新たな施策の必要性と預金者への信頼を回復するという金融機関自体の社会に貢献する姿勢を明確に示さない限り、住専処理のみで乗り切れない課題であると考えます。また一方では、監督・指導すべき立場の大蔵省の責任を追及する声の中に、いとも簡単に解体論や役割の分散、地方移転の意見が出されていますが、国会移転や地方分権、機能分散など提起されて久しい課題に対し、具体的な取り組みや行動が現実の姿として国民の前に具現されてこないいら立ちを覚えるのは私一人でしょうか。
 崩れつつある三つの神話のほかにも、製造業を中心とした産業界の空洞化問題、いじめや児童生徒の自殺に象徴される教育問題、氷河期と言われる就職難問題、上昇する失業率、中高年の働き場所確保と高齢化社会の到来、過疎と後継者問題等々、経済大国とは名ばかりのゆとり、豊かさの実感できない、成熟していない不安定な社会環境と言わざるを得ません。
 人間の幸せとは何か。毎日の生活において、健康で、心の安らぎを覚える営みが続けられる安心感ある生活、居住地環境も含め、犯罪や事故の心配がない、安全が確保されている生活、貧しくとも明るく毎日が過ごせる、職場確保によって将来に夢と希望を持てる安定した生活、この安心、安全、安定の三つを県民生活に保障していく責任が行政の課題であると私は考えます。
 県民生活にかかわる危険予知をすること、徹底した危機管理体制を確立しておくこと、そして夢と希望を県民とともに分かち合えるようにするため、二十一世紀への指針と行動を西口知事に進めていただきたいのであります。
 西口知事、あなたは三代の知事に仕え、行政マンとしてすぐれた経験を積まれてきたことに加えて、知事選挙という激戦の中で県民生活の実態に触れ、さらに県民各層の声を実感されたと述べられています。
 今、和歌山県のリーダーとして、問題を処理する行政マンから決断をする指導者として、県民の負託を受けた政治家知事として、二十一世紀の和歌山県の姿を見据えているはずであります。県民生活の発展に基本的なスタンスを持ち、議会や県民の声に耳を傾けていただくことも重要でありますが、あちら立てればこちら立たずの結果にならないよう、知事西口として個性を発揮してほしい。私は、西口知事に、雑音等に煩わされることなく堂々と県行政を進めてほしいのであります。
 あなたにとって大変厳しい一年間の戦いであっただけに、応援団の声もあるでしょう。外野席からも、数多くの意味合いを含め、声援されているでしょう。しかし、利益誘導を目的とするかの応援には誤りなき選択をされたいのであります。豊富な経験とすぐれた経営手腕を発揮される能力を持っている知事として信頼するがゆえに、あえて申し上げる次第であります。どうか、知事が先頭になり、県職員と一丸となって県勢発展へ向かって任期いっぱい燃焼されたいのであります。その姿勢と誠実な行動が県民の期待と夢に連動する答えを引き出すものと私は信じるからであります。失礼な表現は寛容に受けていただき、誠を持ってご所見をいただきたいのであります。
 二十世紀を生き、戦後五十年の歩みをそのまま体験し、二十一世紀を生きる人たちに橋渡しをすべき年代の一人として、県政の諸課題の一部について、以下、質問と提言をさせていただきます。
 まず、防災に関連する問題であります。
 昨年二月議会は、阪神・淡路大震災の惨状を生々しく、痛ましく実感した中で、まさに防災議会とも言える質疑、提言がなされました。私も、「災害に強い町づくりについて」という表題で質問と提言をさせていただき、幾つかの提言について、その後施策として採用また予算化されたことに対し、改めて敬意を表しておきます。
 このとうとい多くの犠牲を伴った大震災以降、改善を進めなければならない防災対策は優先的に措置されつつありますが、ここに「電気と保安」という昨年八月号の月刊誌があります。この中に、「ライフスポット 新エネルギーシステムの在り方 ・災害時の生活拠点の自立に向けて・」と題し、近畿通商産業局のエネルギー対策課・石油課のまとめがあります。時間の関係で事細かく紹介いたしませんが、今日まで防災関連で意見が出されていない点についてご紹介をし、県当局の見解を求めるものであります。
 生活拠点すなわちライフスポットに関して、「ライフラインである電気、ガス、水道、通信施設等の寸断は、多くの市民に多大な影響をもたらしました。 照明やテレビもなく、トイレ、洗濯、風呂等も不自由な生活が長期間にわたって続き、さらに緊急時の救急拠点である病院や、地域のエネルギー供給拠点である給油所等においても機能・運用面での問題が多発しました」ことは報道されたところであります。「ライフラインや交通網が各所で寸断し、市民生活を維持するうえで不可欠なエネルギー、情報、物資の供給が停止します。 このような混乱した状況下の被災地では、外部からの十分な支援は期待できません。 災害時の市民生活を維持していくためには、小規模な地域において自活できるための要素を備えた拠点(ライフスポット)の整備が極めて重要である」と指摘しています。「給油所は生き残った」という項では、「多くの建物が全半壊する中で、給油所(サービスステーション)の被害は比較的軽微であり、いち早く営業再開し石油エネルギーの安定供給を果たしました」とありますが、冬場の震災でもあり、被災者の暖房対策など、灯油の供給があっても停電により機械が作動せず、現場は混乱したのであります。「石油需要は三日目にピークを迎えました。一方、油槽所から給油所への石油供給は交通渋滞に巻き込まれて思うように輸送できず、五日目にピークとなりました」と報告されているところから、給油所の建物や設備は耐震にすぐれ、残ったとして、そこに油があっても停電によって供給できないという問題に対し、ライフラインの寸断によって供給が絶えても三日間程度自立できる体制、いわゆる自立型給油所として太陽電池を屋根に取りつけ、停電時に自立供給のできる給油所を県下の幾つかの箇所を選定して設置されるよう、業界とも協議しながら進められたいと提言いたします。総務部長のご所見をいただきたいと思います。
 防災関連の二点目は、崩落事故による危険度を日常的にいかにチェックするかという点についてであります。先日、中山議員の質問に対する土木部長の答弁がありましたが、県事務所や土木事務所の職員が日常的に広範な地域をチェックすることは大変であります。そこで私は視点を変えて、現在県政モニターを委嘱されているわけでありますが、この崩落事故の危険予知をする防災対策に、日常現場を歩くことの多い林業従事の皆さんに変化する現場状況を連絡いただくようなシステムを各県事務所単位で検討されてはどうか、ご所見をいただきたいのであります。
 次に、コスモパーク加太に関連して質問をいたします。
 平成五年六月議会の私の一般質問の一部を議事録を引用して再現してみたいと思います。「昨年末、臨時国会で大阪湾ベイエリア法が議員立法として成立したことから(中略)兵庫、大阪、和歌山三府県にまたがる大阪湾岸地域を再開発し、調和のとれた産業、住宅、レジャー空間を創造していくこの計画は、法律の弾力的運用を図りながら、国の税制、財政支援と域内プロジェクトの広域調整を柱とするものであるが(中略)和歌山県の参画はどうなっているのか、現段階の状況をお伺いするものであります。 私の意見でありますが、コスモパーク加太は、この計画に参加する和歌山の柱とすべき地域だと認識しています」と申しました。さらに、土地開発公社への利子補給のための無利子貸し付けを計上されたことに関連して──ことしも予算として継続されていますが──「全体構想をどうするか時間をかけて検討する中で、将来の有効活用のため県有地としてその一部を買い取っておくことも検討されてはどうか」と提起をし、所見を求めたのであります。
 当初のコスモパーク加太計画は、土取り跡地の活用として、関西新空港と連動させ得る、複合機能を持つ未来都市として期待されたところですが、ご案内の、大きく厳しく変化した経済環境から計画は後退し、時日の経過とともに県行政の宿題となり、県民の期待にどうこたえていくかといった土地利用が課題となっているのであります。しかしながら、民間活力の導入、そして二十一世紀の魅力ある和歌山の町づくり計画も、過去正しいとされた計画は今日においても正しいかどうか。価値判断の問題であり、いかに英知を集めた計画であっても経済行為を伴う事業には、その背景や経済環境の変化という避けては通れない事態があることも触れさせていただきました。
 コスモパーク加太の活用については、本議場において多くの議員が提言されています。私は従前から、国際都市・和歌山を機能させていくために、また和歌山から発信するものが必要であるという観点から、公共事業を盛り込み、二十一世紀への県民の財産として評価される魅力ある計画をと申し上げてきました。そして具体的には、政府開発援助(ODA)の窓口とその施設を誘致するとともに、国内各メーカーに協力をいただき、発展途上国またその国民の求めている農機具や機器等を常時展示している常設展示館を建設してはと再々提言してまいりました。海外援助の具体的な人、物、金、情報がこの窓口を通して進められるようにすることが、関空から和歌山に来る内外の人たちを当然多くすることにつながるからであります。そして、家族とともに訪れる皆さんには、和歌山の自然、温泉、先人の残された文化遺産を満喫していただく誘客策ともなるはずであります。
 多数の省庁にまたがる政府海外援助の窓口を誘致することは、過去の答弁のように困難かもしれません。しかし、窓口整理の検討や援助額が世界一となった現状から関係者より援助のあり方について議論のある今日、他府県に先駆けて、地方分権の具体的な取り組みとして、組織の一部でも誘致するよう和歌山県として名乗りを上げてほしいと強く提言したのでありますが、今改めて、その後の経過とあわせ、提言に対するご所見を知事にお伺いするものであります。
 また、昭和六十年の本会議で──随分古いお話でありますが──関空開港を記念に、近畿圏にオリンピック誘致を提唱してはと提言いたしました。その後、ベイエリアのグランドデザインに盛り込まれ、大阪市を中心にして二〇〇八年の誘致を目標に具体的な取り組みに入っているだけに、過去に本会議で、総合運動公園として土取り跡地を有効に活用してはどうかという多くの提言がなされております。私も平成五年六月議会で、二巡目国体を運営した京都府や近畿他県にあるスポーツ施設に比べた場合、紀三井寺競技場については、駐車場不足、求められているナイター設備等、メーンの施設として位置づけするならば、将来、面整備を含め拡充が期待できるかどうか、スポーツ施設の集合、面整備を進め、運動公園としての機能を加太に集約してはどうかという提言をさせていただきましたが、検討経過をお伺いしたいと思います。
 次にゾーン整備についてでありますが、幹線道路の施工が進められる中、和歌山ドーム人工スキー場造成のため、基盤整備先行工事が約十八億円余の予算計上で土地開発公社の事業として進められますが、土取り跡地の土地利用からすれば、この紹介されている施設のみでは点になる懸念があります。私は、和歌山ドームの周辺に、民間レジャー産業に呼びかけ、レジャー空間としてのゾーンを面整備することがより多くの誘客手段となること、スキー以外のレジャーを楽しみ、体験する面が整備できれば、老若男女を問わず幅広い誘客が対象とできることから、土地売却の前提ではなく、賃貸方式をとることも参加企業の経営条件をより幅広く求められるので考慮してはどうか、提言するものであります。賃貸による収入によって土地開発公社の金利負担を軽減していく手段となると提言するもので、ご所見をいただきたいと思います。
 また、さまざまな土地利用に関連して、将来の公共事業の役割を見据え、一部を県有地として買い上げることを過去にも申し上げたところであります。土地開発公社の負担を軽減するためにも決断されてはどうか、お伺いするものであります。
 土地利用の新たな提言として、大学校と医療機関の誘致を具体的な取り組みとして取り上げてほしいのであります。大学校については、今後クリアしなければならない課題と取り組みが必要ですから現在その校名を明らかにすることはできませんけれども、私学として名の通った学校であり、私学として大学を設立したいという前向きの姿勢から昨年十月に候補地選定のご相談を受けたことから、学校関係者、役員にコスモパーク加太の現地を見ていただき、その後、非公式とはいえ、敷地約五万坪の大学の夢、学部、性格など、関係者を中心に話し合うお世話をさせていただきました。大学校誘致は、他県の例を見るまでもなく、文部省の認可を得るまでのクリアすべき問題もさることながら、地元の誘致への積極的支援が不可欠であります。とりわけ、官である和歌山県、和歌山市の誘致への支援条件が最大の決め手であることは論をまたない絶対的条件であります。水面下のお世話をしてきた私としては、県の協力が土地問題や優遇施策において無条件にとはいかない制約面のある点は理解するといたしましても、全国から若者が集まる大学校ができれば将来に向けてどれだけ大きな波及効果を生み出すか、トータルメリットを考え、積極的な取り組み作業をしてほしいと考えるものであります。そして、誘致への役割分担を早急にまとめ、和歌山市へ協力要請をすべきと考えます。知事並びに企画部長のご所見を伺うものであります。あわせて、土地利用、ゾーン整備の一環として医療機関の誘致が漏れ伝わっていますが、その検討がどのように進められているのかもお伺いいたします。
 以上、申し述べてきたコスモパーク加太の土地利用について、面整備、ゾーン整備を進めていくことが懸案となっている請願駅・和大新駅の建設促進に連動した背景づくりになると考えますが、和大新駅促進への直近の状況もあわせお伺いいたします。
 和歌山大学の近くに、関空開港の県内波及効果の一つとして日本航空関係者の幹部社宅、独身寮が建設され、その立派な建物を市内から眺望することができますが、そこに居住する皆さんが関空までの往復にどれだけ不便な思いをしているか。
 先日、フロリダ州を訪問していただいた代表団が利用した日航機の乗務員に指摘されたようであります。現在居住しているが大変不便であり、日航として関空関連であと二棟建設する予定であるが、居住予定の人たちから、現状の不便な状態が続くのであれば和歌山に行きたくないという声が多く、このままでは建設ストップの可能性もあると言われたとのことであります。せっかく和歌山に誘致をした経過から、和歌山に居住する住民への行政サービスとしても和大新駅建設をさらに積極的に進められるよう求めるものであります。
 いま一つ提言をいたしますが、コスモパーク加太を初め今後の紀淡連絡道への具体的取り組み、第二阪和国道の和歌山への延伸、新南海橋、和歌山市のつつじが丘団地など、和歌山市河西・河北地域は人口増加が予測されるだけでなく多くの行政課題を持つ地域でもあり、均衡のとれた居住環境と人口増加に伴う行政需要にこたえていくためにも、県の出先機関か公共施設をぜひ河西・河北地域に設置されるよう提言いたします。
 築港にある旧青年会館に移転した和歌山土木事務所の経緯からも、思い切って和歌山土木事務所を移設するなど検討されてはと私の一つの提案でありますが、積極的なご所見を求めるものであります。
 最後に、県庁舎に関連してであります。
 行政改革大綱に基づき、四月一日から部の再編、課・室の統廃合など、県民のニーズにこたえ、県民サービスをより進めやすくする期待に沿って実施するため、部屋がえなど、今県庁内は大変であります。他方、今日まで県庁舎と議会棟の建てかえについても多くのご意見が出され、建設基金の積み立てがことしの予算でも継続されています。しかし、現地再開発か新立地かの決定も、建設資金も、簡単に結論が出せない大事業であります。
 二十一世紀のいつごろ新庁舎を完成させるのか。どんな組織で検討を進め、どのような手順で具体的な作業をするのか。今日の状況についてあえて答弁は求めませんが、その方向や内容が決定され、新庁舎が竣工するまで県職員は現庁舎で執務するわけであります。率直に言って、現庁舎の執務環境は、明るく、楽しく、意欲を持って毎日の仕事を能率よく果たしていける環境にあるか、いかが認識されていますか。
 省資源やリサイクル運動が国民的課題になっている今日、庁舎の構造から見てやむを得ない面はあるとしても、採光の悪さから電灯を全部点灯して仕事をしている昼間の状況、知事以下三役の部屋はともかく、各部・課の部屋の印象やイメージは決して明るいものと感じられないのであります。これは私だけの意識でしょうか。積み上げられる書類のマイクロ化や廊下を含めた明るい雰囲気づくりとは名ばかりで体をなしていない県民ロビー、机の上に花を飾っている部屋は余り見かけないだけに、廊下の隅にも訪れる県民を和ませる花や置物は飾れないのでしょうか。
 私は、提言いたします。高い花を買う必要はないのであります。過去、私は、障害を持つ皆さん方に土になじんでいただくことが非常に大切ではないかということから、障害を持つ皆さんに花づくりをしていただこうということで、県予算の中で由良の方につくっていただいた経過がございます。その皆さん方がつくった花を、県を中心とする公共機関、病院、学校などに意識的に購入をしていただく。高価な、立派な花を飾る必要はないんです。そして、その花を買ってあげることが障害を持つ皆さんの自立の道につながる。こういう観点でその施策を進めてもらいたいという考え方から実行していただいた一つのケースがあります。そのためにも、廊下の隅々のポイントになるところに花を飾るなど、積極的に取り組んでいただきたい。
 現庁舎の執務環境改善、明るい雰囲気づくりのために毎年一億円程度の予算を計上され、緩急順位をつけて計画的に改善作業を進めてはどうか。やる気を起こさす──それは人間の能力開発であり、管理者のなすべきことであると考えます。現状になじみ、甘んじることは進歩のないことであります。県民サービスにつながるこの予算計上は、その成果によって県民は認めてくれると信じ、提言するものであります。
 この庁舎の関係で、多くのご意見が過去にも出されています。西口知事が副知事の時代に私が申し上げたことをご記憶であるかどうか。私は、たしか昨年の議会で、現在の木下副議長が取り上げた女囚刑務所を移転させて、そしてあの跡地に高層の県庁をつくってはどうですか、あるいは宇須、小雑賀にある化学工場を丸善の跡地に移転してはどうですか、土地がない土地がないということでなく、考え方によっては再開発もできる土地がある、こういうことを副知事時代の西口知事に申し上げたことがございます。例えば丸善の跡地について、宇須、小雑賀の化学工場の皆さんが積極的に新しい設備投資をするという意欲を持って──移転をしていただくかどうかは企業内の労使の話し合いも必要でしょう。しかし、一つの工場で廃棄物処理やいろんなプラントを投資しておりますし、丸善に残っておるプラントを活用すれば、またその工場から随分と処理をされた水が流されるとしてもさらに内川浄化等につながっていくような、そういう一石三鳥のねらいが実現できるのではないか。このような考え方でそれぞれの経営者に話しかけをしてはどうか。
 今は亡き高橋さんという当時の経済部長がおりました。その当時から私は言ってきているのであります。本会議でも言いたい。各経営者にアンケートをとる、こういうこともその都度申し上げました。土地再利用、そして和歌山市を中心にした計画的な新しい都市計画、国体道路に面したこの土地の利用について、企業の意見もあるでしょう。しかし、県政全般から見て、丸善で遊んでいる土地をどうするのかということなどについても検討してほしいと申し上げてきた経過がございます。
 女囚刑務所にしても、昔の存在からすれば、あの場所でよかったのかもしれません。今人口が非常にふえつつある和歌山市の東に向かったこの地域において、高速道路の入り口に近いこの場所が刑務所の存在場所として適切であるのかどうか。具体的な提言として、妙法鉱山や飯盛鉱山が閉山になったときに、妙法の跡地にデュプロが進出をいたしました。飯盛鉱山の跡地に、国と相談をして移転していただくような話をしてはどうですかというようなお話もさせていただいた経過がございます。答弁は要りません。しかし今、新しい庁舎をつくっていくために、具体的にいつごろ完成を目指すのかという全体構想を早急にまとめ、手順を決めながら準備をしていかないと、二十一世紀のいつごろ新庁舎が完成するのか、このような夢を具体的に作業として進めていかないと、現在の庁舎において執務をする県職員の皆さんが新しい革袋に新しい知恵を入れて一生懸命能力を発揮していけるような時代がいつ来るのか。あえて現庁舎の執務環境の改善に毎年一億円ぐらいの予算計上することが和歌山県の予算規模から見て──それが県民に理解されるすばらしい内容であるならば評価していただき、そして予算執行を県民に認めていただく、こういう観点からこの現庁舎の執務環境改善についてご意見を求めるところであります。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの和田正人君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 和田議員にお答えをいたします。
 冒頭に、私への大変厳しく、また温かいご提言を賜りました。私、常に申し上げておるところでありますけれども、和歌山に住むすべての人たちが、どの地域にあっても、どんな立場にあっても、和歌山に住んで本当によかったと言えるふるさとをつくることが県政究極の目的であると思っております。本議会でもいろんな角度からご質問をいただき、また答弁をさせていただいたわけでありますけれども、改めてそのように強く感じておるところでございます。
 議員からお話がございましたとおり、現代社会はいろいろな問題が露呈をし、いろんな課題を私たちに投げかけているわけであります。私たちが暮らしていく上で、安心、安全、安定はなくてはならないものであり、これを確保してまいることは県政の基本的な役割であろうと考えております。
 今議会に上程させていただいた平成八年度予算におきましても、そのことを踏まえながら、防災、福祉、経済対策などに力点を置いた予算編成としたところでございます。二十一世紀の和歌山を県民の皆さんとともに夢と希望を持って迎えられるように、今後も県民の立場に立って、明るい社会づくり、快適な暮らしづくりなどに個性を発揮し、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次にコスモパーク加太に関連をしてでありますが、ODAの窓口とその施設を誘致してはどうかという議員からのご提言をいただきました。
 県としても、外務省を初め他省庁や国際協力事業団等に国際協力関係の施設誘致に向けて幅広くその可能性についての情報収集に努めてきたところでございます。
 具体的な誘致となりますと、大変難しい現状であると認識をしてございます。しかし、関西国際空港も開港し、国際交流も活発に行われる、国際化時代に向けて発展しようとする和歌山県にとりましては、その近接地に位置し、国際的複合都市づくりを目指すコスモパーク加太は、議員のご提言にございましたように、国際的な施設の立地は非常に重要な、魅力的なものであると考えてございます。
 現在、先端科学技術研究施設プロジェクトあるいは国際的な大規模レジャー施設計画、国際研修施設計画など、民間企業からの構想レベルから具体的、現実的な内容までの複数の提案をいただいておるところでございまして、今後とも国際的な施設の誘致に向けて努力を続けてまいりたいと考えております。
 次に、総合運動公園をコスモパーク加太にというご提言につきましては、これまでもコスモパーク加太計画の推進に向けて諸般の取り組みを行いながら、総合運動公園を含めて公共利用の検討を進めてまいったところでございます。
 現時点では、昨秋より着手いたしておる幹線道路網整備によって東西にほぼ二等分されるコスモパーク加太の西側区域には、スポーツ・レクリエーション、リゾート・観光、国際交流等に係る施設立地を推進して交流型エリアとしての整備を、また東側区域につきましては、居住を基本としながら、研究等の企業活動あるいは公共的施設等の場としての定住型エリアとしての整備を目指してまいりたいと考えておるところでございます。
 今後の施設立地に向けての誘致活動の成果を踏まえながら、公共的利用としての総合運動公園を含め、スポーツ・レクリエーション施設整備に向けての取り組みも進めてまいりたいと考えております。
 次に、大学誘致についてであります。
 大学は、単なる高等教育機関としてだけでなくて、地元産業界など地域社会に果たす役割は大変大きいと思っております。県内の大学等の高等教育機関の充実は和歌山県の発展にとって欠くことのできない課題であると考えておりまして、特色ある大学等の整備を推進してまいりたいと考えております。
 コスモパーク加太への大学誘致につきましては、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思います。和田議員の一層のご協力を賜りますようにお願い申し上げたいと思います。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 阪神・淡路大震災にかかわる自立型エネルギーの供給の検討ということでございます。
 さきの阪神・淡路大震災におきまして、危険物施設については大きな被害もなく、施設の設置基準の有効性が立証されたところでございますけれども、議員ご指摘のとおり、ライフラインの寸断により、給油所等の機能、運用面で深刻な問題を生じたところでございます。これらの経験を踏まえまして、今後、電力等を中心としたライフラインが寸断されても安定供給できる給油所にするため、現在国において検討会を設置し、太陽熱発電、非常用発電機を利用した防災対応給油所の配置などを検討しているということでございます。
 今後とも、県としても国に対し、このような施策の実現に向けて、関係業界とも十分協議しながら働きかけを強めてまいりたいと考えております。
 次に、コスモパーク加太の開発に関連いたしまして、河西・河北地区への県の出先機関や公共施設の設置をというご提言でございます。
 県では、今回の行政改革におきまして、県民の立場に立った行財政運営を行うべく、県の組織機構などの見直しに取り組んでおります。
 ご質問の地方機関等につきましても、時代の変化に合わせて、従前からの組織機構や配置、所管区域について、来年の四月をめどに見直しを行うこととしております。この見直しの過程において移転することが適当と判断される地方機関等につきましては、県民の利便性や行政運営の効率性の観点から移転先を検討してまいりたいと考えております。
 なお、その際には、ご質問にありました河西・河北地域は、コスモパーク加太や紀淡連絡道路など、今後和歌山の発展に向けたさまざまな課題のある地域も存するところでございますので、行政機関や県の施設の配置なども、これからの方向とあわせて今後十分に検討してまいりたいと考えております。
 次に、県庁舎に関連いたしまして、現庁舎の執務環境の改善についてということのご質問でございます。
 議員ご指摘のとおり、県庁舎の建てかえにつきましては、場所の決定、そしてまた基金の積み立て等の諸問題がございまして、なかなかすぐにというわけにはいかない問題であると考えております。したがって、現庁舎の改善が必要ということでございまして、近年では空調用のファンコイルの取りかえやトイレの男女分離等、計画的に進めてきたところでございます。
 また、平成六年度にはハートビル法という法律が施行されまして、身体障害者やお年寄りが使用できるトイレやエレベーターの設置についても基準が緩和されてまいりましたので、この準備も今鋭意進めているところでございます。
 このほか、毎年六月を執務環境改善推進月間というふうに位置づけて職員の意識の高揚を図るなど、職場環境の改善にも努めているところでございます。
 次に各課室の配置でございますけれども、過去何度か機構改革をしてきておりまして、その結果として、現在課ごとに離れてしまっているところがあるというような問題もございますので、今議会にご提案している機構改革に合わせて、部ごとにできるだけ近い位置に課を配置するなど、住民利便の観点も含めて現在作業を進めているところでございます。
 また、倉庫、書庫等の絶対量が不足しておりまして、廊下等にいろいろ書類が積んであるというような状況もございましたが、これは美観を損ないますし、また災害時に非常に危険でございますので、マイクロフィルムを利用したりして書類等の縮小を図り、適正な処理を今後行ってまいりたいと考えております。
 さらに、ご質問にございました県民ロビーの問題でございますが、現状では狭隘であり、待合場所としても休憩場所としても不十分であるということでございますけれども、現庁舎で新しい場所を確保するのはなかなか難しいという問題もございますので、当分の間、現在のスぺースにおいて、県民の方がより利用しやすいよう工夫を重ねてまいりたいと考えております。
 また、これとあわせまして、県庁へ来られた県民の方が各課室に気軽に入れるよう、来年度から課室の主要な扉を窓あきにするとか、国際化に合わせて英語で表示をするというようなことも予算措置しているところでございます。
 ご質問にもございましたように、現庁舎はまだしばらく利用することになると考えておりますので、今後とも県民の方々に喜ばれ、利用しやすいよう、また職員の方が執務しやすいよう改善策を講じるため、予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 防災に関連しまして、崩落箇所等のチェックに林業に従事されている方々を活用してはどうかという提言でございますが、山地崩壊等森林に係る災害につきましては、各市町村に配置している林業関係者を中心とした森林保全巡視員などを通じて、予測も含め、その把握に努めているところでございます。
 議員お話しの件に関しましては、専門的な知識や技術も必要なことから、今後、災害担当部局と連携しながら研究をしてまいりたいと考えてございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 和田議員にお答え申し上げます。
 コスモパーク加太につきましては、一部和歌山市の所有地もございますが、大部分は県土地開発公社の所有地となっています。
 この所有地の賃貸利用についてでありますが、公有地の拡大の推進に関する法律、いわゆる公拡法に基づいて設立された県土地開発公社所有地の運用につきましては、その法の趣旨により、長期に及ぶものや堅固な建物を建設する等を内容とする土地の賃貸については一定の制約がございますが、保有土地の管理、有効利用の観点から基本的には賃貸が可能でございますので、今後の立地施設の誘致活動を行う中では賃貸等による土地の有効活用についても対処してまいりたいと考えてございます。
 次に、コスモパーク加太計画の推進に向けては、現在、行政が主体となって立地施設の誘致活動を行うとともに、幾つかの県施設の立地可能性の検討を行っていますが、公共的利用の用地の確保に係る場所や規模等を特定する段階には至っていない状況であります。そういった状況でございますが、コスモパーク加太計画の推進といった点や将来の公共用地の確保といった観点から、県有地としての先行的な買い上げについては関係部局と協議を重ねながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、コスモパーク加太計画は、従来からリゾート、リサーチ、居住の三つの機能を持つ国際的な複合的都市の整備を図ることを基本目標として推進してまいりました。こういった取り組みの中で、大学等を核とした町づくりは自然環境に恵まれたコスモパーク加太にふさわしく、魅力的な活用方策でございます。
 また、県では、これまで平成五年に近畿大学生物理工学部の誘致が実現し、今春には念願の和歌山大学のシステム工学部が学生受け入れの運びとなってございますが、進学の機会の確保、県内への人材供給、地域の産業及び文化の振興の点から、大学等の高等教育機関についてはさらに整備充実が必要であると認識してございます。
 コスモパーク加太への大学誘致の実現に向けては、今後とも関係の方々のご意見を十分に賜りながら、和歌山市と連携を図り、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に医療機関の誘致につきましては、コスモパーク加太に複合的な町づくりを熟成していく契機となる魅力施設の一つであるとともに、グレードの高い居住環境を形成する核施設になり得るとの理解のもと、数年来、その誘致に向けて関係機関と折衝を行っているところでございます。今後とも、医療機関の立地促進について努力してまいりたいと考えてございます。
 次に、和大新駅建設促進の背景づくりについてでございます。
 新駅設置には、需要面において多くの確実な利用者が見込まれることが重要でございますので、議員ご指摘のとおり、コスモパーク加太計画の推進は、東西幹線道路の計画と相まって、南海本線への和歌山大学新駅設置に大きなインパクトを及ぼすものと考えてございます。
 和歌山大学新駅設置につきましては、平成四年三月に、和歌山市を事務局とし、県、市、近畿運輸局、南海電鉄株式会社、和歌山大学駅設置促進協議会で構成される新駅設置調整会議を設立し、地元が事業費を負担する請願駅方式を前提に、新駅設置に向けた相互調整を行ってございます。
 また、これと並行して、新駅予定地周辺の民間事業者が中心となり、組合施行による区画整理事業の検討が行われており、本年二月にはその準備組合が発足され、新駅を設置するための事業費を区画整理による保留地の売却によって賄うことも視野に入れた検討がなされております。
 いずれにせよ、和歌山大学新駅は紀泉南丘陵で進められている各開発計画に必要不可欠な交通施設でありますので、新駅設置調整会議を中心に、関係者との連携を深めながら、一日でも早く実現できますよう積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 47番和田正人君。
○和田正人君 ご答弁をいただきました。その中で、特に大学誘致の関係については、いろんなすり合わせや文部省の認可をいただくまでのクリアしなければならない点など考えますと、最低五年ぐらいはかかるのではないかとも思いますので、積極的にその準備を進めていく方向で今後ともご努力いただきたい。ご要望申し上げておきます。
 また、新駅の問題につきましては、先ほどご紹介しましたように、現在居住されている皆さんは、シャトルバスを利用してもその時間に合わせて帰ってこなければならない、ちょっとお酒を一杯飲もうかということもままならないというふうなことで、大変不便を感じている。何とか早く駅をつくってほしい。また、幹部の研修棟を含めて将来二棟つくろうという計画があるようですけれども、先ほど申し上げたように、今のままのアクセス状況であれば不便だから行きたくないと、率直な気持ちとして伝えられたようであります。そのような事態は、せっかく誘致をした関空の波及効果による和歌山県の施策が実っていかないということでもあります。そのためにも、具体的に今作業を進めていただいておりますが、県としてもさらに一層の努力をして、早く新駅建設に向けて作業が進められるようご努力いただきたい。これも要望しておきます。
 三月二十三日に台湾の総統選挙が行われます。何の話か、お聞きの皆さんはちょっとけげんに思うかもしれませんけれども、台湾海峡をめぐる中国のミサイルや軍事行動について日本のマスコミもいろいろと紹介をしてございますが、ことしはロシアの大統領選挙もあります。いろんな意味で何が起こるかわからない、こういう世界情勢にあります。外交は国の大きな柱であり、世界から信頼をされ、経済大国として援助していかなければならない今日の日本でありますけれども、この最近のいろんな動きというものについて、和歌山県が直接関係あるのかどうかはともかく、まず足元をきっちりしておく、このことが行政の日常的な課題であります。
 私は、西口知事に申し上げたいと思います。奴隷解放、南北戦争で有名なリンカーン大統領の言葉でありますが、「投票は弾よりも強し」。中国の示威行為が台湾の皆さんの民主的な総統選挙にどう答えを出すのか。ソ連時代から環境が変化してきたこの新しいロシアの大統領選挙がどうなるのか。国際的には非常に流動しております。しかし、厳しい選挙戦を戦い、県民から負託を受けた西口知事、「投票は弾よりも強し」、この意識を持っていただき、堂々と県政を進めていただきますことを改めて要望して、私の意見を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で和田正人君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 19番高瀬勝助君。
 〔高瀬勝助君、登壇〕(拍手)
○高瀬勝助君 おはようございます。通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 私は、健康ふれ愛和歌山計画、少子化対策、河川の水質浄化対策、スポーツ振興策、携帯電話使用による医療機器の誤作動問題の五点について質問をさせていただきます。
 まず、和歌山操車場跡地の利用計画である健康ふれ愛和歌山計画についてお尋ねをいたします。
 本計画の一環として建設されている多目的ホール棟につきましては、平成九年夏完成予定ということで、現在の向ノ芝県立体育館の二倍程度と伺っておりましたが、国体道路からも鉄骨が見えるようになり、いよいよその大きさが実感できるようになってまいりました。私もスポーツに多少の縁があります関係から、国際級のスポーツイベントも開催できる本ホールの完成を心待ちにしております。多目的ホールということで、スポーツイベントだけでなく、会議や展示会、コンサートなど、これまでになかった規模のイベントが開催できる施設であり、本県のスポーツ水準の向上や文化の振興、地場産業の振興、あるいは国際交流促進の拠点として活用されることを県民ともども期待しているところであります。
 さて、その多目的ホール棟の南側に健康ふれ愛和歌山計画のもう一つの柱として計画されている和歌山県総合健康・福祉棟の建設費が平成八年度予算に計上されております。この総合健康・福祉棟には、成人病検診などを行う保健部門、福祉関係の人材の育成と確保などを行う福祉部門、それに女性センターや国際交流センターなどが入居すると伺っております。
 各部門の業務についてはそれぞれの所管で検討されていることと思いますが、西口知事が掲げておられる五つの政策目標の一つである明るい社会づくりの中で、この総合健康・福祉棟がどう位置づけられているのか、知事のお考えをお尋ねしたいと思います。
 続きまして、JR貨物和歌山コンテナセンター用地などの購入についてお尋ねいたします。
 多目的ホールと総合健康・福祉棟の両施設が面している国体道路は市内でも有数の渋滞道路でありますが、施設が完成いたしますと、さらに混雑することが予想されます。地元といたしましても、和歌山県のシンボルとも言える施設がこの地区に建設されることを歓迎しておりますが、この混雑を少しでも緩和するために、両施設へ入る国体道路からの進入路に、より一層の工夫が必要ではないかと思っております。取得している用地の形状を考えると今の計画が最善ではないかとは思いますが、真ん中にある日本貨物鉄道のコンテナセンター用地に制限され、特に車で健康・福祉棟へ入る進入路が極めて不自由なものとなっているのは事実であります。
 こうしたことから、これまでもJR貨物和歌山コンテナセンター用地などの購入につきまして、従来交渉を重ねてこられてきたとお聞きしておりますが、現時点におけるその進みぐあいと購入後の利用計画について企画部長にお尋ねしたいと思います。
 二点目といたしまして、少子化対策についてお尋ねいたします。
 私は、平成六年の二月議会において少子化の現状とその対策について質問をいたしましたが、子供の数が少ないという現状は依然として続いております。国全体の出生数を見てみても、昭和四十八年の二百九万人をピークとして、平成五年の百十万八千人まで減少を続けてきております。平成六年には約五万人増加いたしましたが、少子化の傾向に歯どめがかかったとは言い切れないのではないかと思います。
 本県について見ても、昭和四十八年の出生数は約一万九千人を数えておりましたが、平成四年、五年と一万人台を割るところまで落ちております。平成六年には約四百名増加して一万人台に戻りましたが、これも少子化が好転したとは言えるものではありません。一人の女性が生涯に生む子供の数、いわゆる合計特殊出生率につきましても、平成六年の数字で見ますと、全国が一・五〇、それに対し和歌山県は一・五二ということで全国平均を若干上回っているものの、人口維持に必要とされる二・〇八を大きく下回ったものとなっております。
 次の時代を担う子供たち、彼らは私たちの未来であります。しかし近ごろ、この子供たちを町や村で見かけることが少なくなっていないでしょうか。少し前までは、大きな子供と小さな子供が一緒になって遊んでいる姿をよく見かけたものです。
 昨年三月、子育て環境づくり推進協議会から「子どもが健やかに生まれ育つ環境づくりへの提言」が出されましたが、その中で、子供の数が少ない現状では子供同士、中でも年齢の違う子供同士の触れ合いや切磋琢磨の機会が少なくなった、児童の社会関係や人間関係は一段と希薄になり、社会性や自主性、たくましい活力、さらには創造性や人の痛みを感じる思いやりの心などが十分養われないと指摘されているところであります。
 戦後五十年の大きな変化の中で、確かに生活水準は向上し、物質的には豊かになってきたのですが、一方で子供たちの状況にはさまざまなひずみがあらわれてきております。核家族化、自然環境の悪化、住環境整備の立ちおくれ、過熱する受験戦争などの教育問題等々があり、さらにその中で親による子供の虐待、いじめや登校拒否などの問題が噴き出してきているのが実情であります。
 今議会においても先輩・同僚議員からいじめ問題についての質問がございましたが、先ほども申し上げたとおり、私は、少子化によって地域における子供同士の人間関係が疎遠になり、そのため人の痛みを自分の痛みとして思いやる心がなかなか培われにくくなってきていることもまた、いじめ問題の重要な背景になっているのではないかと思っております。こういった状況の中で、親の子育てに対する負担感が増大し、子供を生み育てる喜びが少なくなってきているのではないでしょうか。社会的な影響を考えても、子供の数の減少は、将来高齢者を扶養する負担が増大することや経済社会の活力の低下など、社会全体として憂慮すべき事態がもたらされるのではないかと懸念されるのであります。
 また、県が行った子育てに関する意識調査によりますと、理想の子供の数は三人という回答が最も多く、全体の約五四%となっておりますが、現実の子供の数は二人という家庭が約四六%と一番多く、三人生んでいる家庭は二○%程度という結果が出ております。もちろん、子供を生む、生まないはそれぞれの考えで決めることでありますが、この調査を見ますと、なかなか希望どおりの子供を持てないという現実があると見受けられるのであります。行政としても、このギャップを埋めるために、結婚や子育てに意欲を持つ人々を支えていく事業に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。
 しかしまた一方で、子育て環境づくりにつきましては、単に行政だけでなく家庭や地域、各職場などに広くかかわる問題でもあると私は考えております。行政当局としましても、単に行政の中だけではなく広く、例えば児童福祉施設関係団体、経営・労働団体、またマスコミなどに対しても少子化の現状や問題点などについて訴えかけ、ともに考えていく姿勢も大切ではないかと思います。
 さて、国におきましては、この少子化の進行に歯どめをかけるため、厚生省、文部省、労働省、建設省の四省合意で平成六年十二月に今後の子育て支援のための施策の基本的方向について、いわゆるエンゼルプランを策定しております。これは、子育ては当の本人だけではなく社会全体で支援していく必要があるということで、子育てと仕事の両立支援、住宅環境の整備、ゆとりある教育の推進、子育てコストの削減などを施策の基本的方向として打ち出すとともに、近年の保育ニーズの多様化に対応し、保育対策の充実、放課後児童対策の充実、母子保健医療体制の整備などを掲げた緊急保育対策等五カ年事業も打ち出しているところであります。
 そこで、国におきまして、このように具体的な少子化対策が打ち出されてきている中で、現在県はこの少子化に対してどのような方策をとられているのか。また、保育所は働く女性が子供を育てていく上で最も大切な組織であります。知事の公約の中で紀州っ子すこやか保育プロジェクトの推進が挙げられておりますが、具体的な特別保育等の充実についてはどのようになっているのか。以上、民生部長にお尋ねをいたします。
 三点目といたしまして、河川の水質浄化についてお尋ねをいたします。
 近年、都市化が進んだことに伴い、流域内のオープンスペースが減少してきているために、水と緑を有する河川の空間が都市部における貴重な存在となってきております。このような状況の中で、親水性護岸などの設置や緑地の整備など施設面での河川整備につきましては、よりよい環境を生み出すために、徐々にではありますが、整備が進んできているところではないかと思います。しかしながら、幾ら施設整備を充実できたとしても河川を流れる水質が劣悪なものであれば、人々は川面に近づきません。そのため、施設の十分な活用は望めないものと考えられます。そこで、河川施設の整備とあわせて河川の水質浄化につきましても、河川を管理する上で重要な施策の一つであると思います。
 さて、県都和歌山市の中心部を流れる代表的な河川である内川につきましては、緑地や遊歩道などの整備は進展してきておりますが、しかし海の干潮・満潮の影響を受ける区間であり、河床も緩やかな勾配であるところから汚濁水がたまりやすく、いまだ快適な水辺環境になっているとは言えない現状であります。
 ところが、大きな水量を持っている河川内において流量全体を対象として浄化することは非効率であるとともに、大規模な施設を必要とし、将来的に莫大な維持管理費を負担することになるのではないかと考えております。また、家庭や事業所から出される排水が河川の水質に及ぼす悪影響について啓発活動することによって県民の理解を求め、各自の対応で水質の改善を図ることができるならば、これは非常に合理的なことであると思っております。しかし、多くの人々が合意し、そして実践しなければ河川の水質に好ましい影響を与えるまでには至らないし、また相当の期間を要するものと考えられます。
 そこで、河川に流入する直前の小河川などで汚濁の除去を行えば、比較的少ない水量であると見込まれるため、効率よく浄化することが可能な手段を容易に選択できるのではないかと予想されるのであります。他府県におきましては、試験的にではありますが、河川内に設置したれきや炭、樹脂製品などの間に汚水を流し、その中に存在する微生物によって汚濁物質を浄化する方法を実施している事例があり、相当の効果を上げているということも伺っております。このような方法は大変おもしろい試みであると思いますが、小河川などの管理者は予算的に弱体な市町村が多く、建設費を負担した上に将来的に維持管理費までも負担することは非常に困難な状況にあります。
 そこで、県におきましては、小河川などに浄化設備を設置するなど、水質浄化対策に取り組む意欲のある市町村に対し補助する街の清流復活事業が平成七年度の新規事業として実施されておりますが、今後の事業展開についてどのように考えておられるのか、土木部長にお尋ねしたいと思います。
 四点目といたしまして、スポーツの振興についてお尋ねいたします。
 私は、これまでの質問の中でも申し上げましたが、スポーツ大好き人間であり、以前から少しでもスポーツ界のお役に立てればとの願いからスポーツにかかわってまいりました。そうした経験の中で多くの友人を得ることができましたし、またさまざまなことを学びました。私は、人間が成長していくためには、文化的活動であれ、スポーツ活動であれ、同じ興味や関心を持つ人々が地域における集団活動の経験を通し、お互いに人間的な触れ合いを深め合う中で、協力心や公正な態度などの望ましい人間性が身についていくものと思っております。こういったことから、これからのスポーツ活動は子供と大人、学校と地域が連携を深めていくことが一層求められ、その結果として、多くの人々が心豊かで潤いのある人生を送ることができるものと考えております。
 従来、スポーツは実践することに意義があると言われてまいりましたが、最近のスポーツ事情を見ますと、まさに多様化しております。頂点を目指してハードなトレーニングを行う人、それぞれの能力に応じて楽しむ人、またスポーツを観戦することにより楽しさや喜びを感じる人など、人とスポーツとのかかわり方は大きな変化を見せております。特に、スポーツ関連のテレビ視聴率の上昇やスポーツ雑誌の増大、またスポーツグッズの人気など、メディアスポーツは人々の生活の中に浸透していると言っても過言ではありません。
 これからは、スポーツを行う人、スポーツを観戦することによって喜びや生きがいを求める人々との両方の観点に立ってスポーツの振興を図っていくことが必要であると考えておりますが、この点について知事のお考えをお尋ねしたいと思います。
 さて、昨日、同僚の長坂議員からも県立武道館建設問題についての質問がございましたが、私はここで屋外スポーツイベントの誘致について質問をいたしたいと思います。
 サッカーやラグビーなどは、屋外スポーツとして国民の高い興味や関心を集めているところであります。マラソンや駅伝大会ももちろんそうでありますが、これについてはまた別の機会に譲るとして、私は、ここでサッカーやラグビーに関してお伺いしたいと思います。
 サッカーにつきましては、アトランタオリンピックのアジア予選やJリーグの開幕など、テレビや新聞紙上などでもおわかりのように大きな盛り上がりを見せております。このことは、アマチュアスポーツからプロスポーツへの転換や、これからのスポーツの新しい方向として発足した、地域に根差したクラブづくりの効果であると思われます。また、冬のスポーツの華であり、勇猛果敢なプレーの中にもノーサイドにおける相手をたたえ合う姿など国民に感動を呼び起こすラグビーは、高校、大学、社会人と、高い人気を誇っております。また、近年は女性のプレーヤーも年々増加していると伺っております。このような種目において日本を代表する選手のプレーを直接観戦できることは、スポーツを志す人や応援する人──今ではサポーターと呼ばれているそうですが、彼らにとって大きな喜びであると思います。
 以前、紀三井寺陸上競技場でサッカーJリーグのプレイベントが開催されました。当時のことをサッカー関係者に伺いますと、メーンスタンド、バックスタンドとも満員で、黒潮国体以来のにぎわいであり、また入場券を手に入れることも大変なくらい、多くのサッカーファンが目を輝かせながら観戦したとのことであります。このようなイベントを本県で開催することは、スポーツ愛好者の喜びだけでなく、県外からも来られる方々に本県の持っているすばらしい自然や歴史に触れていただく機会にもなります。
 このような観点から、本県に胸を躍らすようなイベントの誘致について計画的に実現していただきたいと考えておりますが、この点について教育長にお尋ねしたいと思います。
 最後に、携帯電話使用による医療機器の誤作動の問題についてお尋ねをいたします。
 ビジネスマンの必需品として登場した携帯電話は、料金の値下げなどにより一昨年あたりから一気に倍増し始め、今や街角のファッションとなっております。また、電車の中でも常識の限度を超えた目に余る使用の光景も見られるようになり、携帯電話はんらんの時代になってまいりました。
 ところで、先月十九日の毎日新聞朝刊の一面トップにおきまして、「携帯電話の電磁波で誤作動 点滴ポンプが緊急停止」との見出しによる記事が大きく掲載されましたが、このことは医療関係者を初め多くの人たちを驚かせました。その記事によりますと、岡山県内の総合病院で、携帯電話が発生源と見られる電磁波障害によって、患者の治療に使っていた、電子制御を利用して投薬などを行う輸液ポンプであるシリンジポンプが緊急停止する事態が生じ、警告ブザーが鳴り出した、しかし駆けつけた看護婦さんの処置で再び始動し、患者の病状には影響がなかったということであります。この現象は、携帯電話から発生する電磁波がポンプのIC回路に反応、これを異常信号として感知し、安全装置が作動してポンプが停止するのではないかと見られているとのことであります。このほか、ポンプから五十センチないし三十センチの距離に近づけて携帯電話を使用するとこのような誤作動の生じることが大手医療機器メーカーの実験においても確認されているところであります。また記事では、心臓のペースメーカーへの誤作動も含め、重大事故につながりかねないおそれもあると注意を呼びかけております。
 携帯電話は電子レンジにも利用されている波長の短いマイクロ波を発信しており、それまでは、医療機器だけではなくジェット機を初めとする交通機関などに対する影響が確認されていることから、今後ますますふえ続けるこの携帯電話障害についての対策が必要不可欠であると考えております。特に、人の生命にかかわる医療機器対策の確立が急務ではないでしょうか。
 県内における対策といたしましては、県立医科大学では一昨年十月に病室や廊下で携帯電話を使用しない旨通知しているほか、田辺市の国立南和歌山病院では病室や診療室などでの使用禁止措置をとっているとのことであります。また、橋本市民病院ではペースメーカーを装着している患者の病室での電磁波の強い電子レンジの持ち込み禁止、和歌山労災病院では入院案内に持ち込み禁止をうたっているといったぐあいに、各病院における携帯電話の使用、持ち込み基準もまちまちとなっているのが現状であります。
 県におきましては、人命にかかわる問題であるということを踏まえ、県内の病院を初めとする医療機関に対する指導をどのように行っておられるのか。また、県内において岡山県で起こったような事例はあったのかどうか。以上、保健環境部長にお尋ねしたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの高瀬勝助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 高瀬議員にお答えをいたします。
 総合健康・福祉棟の位置づけでございます。
 健康ふれ愛和歌山計画におきまして、人生八十年時代に対応した健やかな地域社会づくりの実現を目指すために、保健と福祉の充実、健康増進、地域社会の担い手の活性化の四点を重要施策として取り上げ、その拠点施設として仮称「多目的ホール」、総合健康・福祉棟の建設を推進しておるところでございます。
 議員からご質問のございました総合健康・福祉棟は、成人病検診等の一元化を図る総合検診センター、さらに福祉関係の人材育成の総合化を図る社会福祉研修センター、さらに女性の自立と活動を支援し交流の促進を図る女性センター、また保健や福祉の地域活動の全県的なセンターが集まり、相互に連携しながら総合的な施策を推進してまいるものでございます。これらのセンターは、いずれも私の進める明るい社会づくりに欠かせないものでございまして、重要な拠点となる施設であると認識をしております。
 次に、スポーツの振興についてでございます。
 スポーツを取り巻く状況を見てみますと、お話にございましたように、頂点を目指す人、心身の健康や楽しみのためにスポーツを実践する人、あるいは観戦や応援のために海外まで出かける人など、スポーツとのかかわりはまさに個性的であり、また多様化しておると思うわけでございます。スポーツは、県民の多くの方々が心豊かで明るい生活を送る上で大変重要な役割を果たしておるものでございまして、世界共通の文化であると考えておるところでございます。
 今後、県民の方々のさまざまなスポーツの楽しみ方に応じられるように各種施策を進めまして、スポーツを通じて活力ある和歌山を創造してまいりたいと考えているところであります。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 高瀬議員にお答え申し上げます。
 JR貨物和歌山コンテナセンターの用地についてでございますが、用地の取得については、用地を所有している日本貨物鉄道株式会社及び日本通運株式会社に基本的な同意を得ているところでございます。現在、具体的な移転条件等についての協議に入っているところであり、この協議が整い次第、契約することとしてございます。
 用地の利用計画につきましては、進入車両を速やかに敷地内に収容する進入路計画、利用者の安全と利便性に配慮した敷地内通路の設定等により、通称・国体道路の交通渋滞の緩和を図るとともに、広く県民が交流の場として利用できる広場の整備を計画してございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 高瀬議員にお答えいたします。
 県の少子化対策についてでございます。
 近年の少子化の進行に伴う社会経済への影響、また家庭や地域での養育機能の低下などにより、子供を取り巻く環境にさまざまな問題があらわれております。このため、本県におきましては、少子化対策として平成五年度から子育て環境づくり対策事業に取り組み、子育て環境づくり推進協議会の設置、子育てに関する県民意識調査並びに少子化問題についての啓発等を実施してまいりました。平成六年度には子育て環境づくり推進協議会より「子どもが健やかに生まれ育つ環境づくりへの提言」をいただき、この提言の具体化を図るために平成七年度から、保護者の方が出産や病気などのときに子供の養育を児童福祉施設等で行うショートステイ事業の実施や県単独事業で長時間保育への大幅な助成を行ってきたところでございます。
 平成八年度におきましては、福祉、保健、医療、労働、住宅、教育等、各分野が連携を図り、子育てを社会全体で支援していける環境づくりを目的として、知事の公約である喜の国エンゼルプランを作成することとしております。あわせて、子育てに関する情報を盛り込んだ子育てハンドブックの作成や、父子家庭等が仕事などの理由により家庭での養育が困難になった場合に児童を養護施設等で一時的に養育するトワイライトステイ事業の実施を計画するなど、子育ての環境づくりに向けた具体的な施策の推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、特別保育等の充実についてでございます。
 近年、働く女性の増加、就労形態の多様化等、社会経済の変化に伴い保育需要が従来にも増して多様化してきているため、利用しやすい保育所を目指し、乳児保育、障害児保育、長時間保育、さらに産休・育休明け入所予約モデル事業等を行うなど、特別保育事業に積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、関係市町村に対して地域の実情に応じた指導を行い、仕事と育児の両立支援のため、特別保育事業のより一層の充実を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 高瀬議員にお答えいたします。
 街の清流復活事業についてでございますが、水と緑を持っている河川のオープンスペースを生かすためには、河川の水質浄化対策が重要であると考えております。
 内川につきましては、水質浄化のための導水及びヘドロしゅんせつ、また緑地や遊歩道の整備など、環境改善の取り組みを進めております。議員ご指摘のように、小河川などでの汚濁対策は水質浄化に非常に有効なものであると考えております。
 平成七年度より設けている街の清流復活事業は、ハード対策、ソフト対策を合わせ、県や市町村が住民と一体となって取り組んでいくことがぜひ必要であります。今後、市町村に街の清流復活事業を活用していただき、住民の方々にも河川の水質浄化に対して十分なご理解を得ながら、さらに新しい汚濁除去工法を取り入れるなど、積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君)保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 携帯電話使用による医療機器誤作動問題についてお答えいたします。
 この問題につきましては、現在、国においてガイドラインの策定に関する検討が進められているところでございます。現在、各医療機関におきましては、新聞報道等を受けて携帯電話の使用抑制等の自主的な取り組みがなされているところでありますが、県といたしましては、当面、医療機関に対し、電磁波の影響を受ける可能性のある部門への携帯電話の持ち込みや、そのような場所での使用を抑制するなどの指導を実施してまいりたいと考えております。
 議員お話しの県立医科大学附属病院におきましては、この三月から病院内のすべての場所において携帯電話の使用を禁止にし、患者さんや関係者等にご協力をお願いしているところでございます。
 また、シリンジポンプ等の医療機器の誤作動につきましては、既に厚生省から医療機器メーカーに対して警告文を関係医療機関に配付するよう指導が行われたところであります。
 なお、県内の医療機関からの携帯電話による医療機器誤作動に関する事例の報告は、現在のところ受けておりません。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君)教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 屋外スポーツイベントの誘致についてお答えいたします。
 一流のプレーヤーによる高い専門的な技量と迫力のあるゲームを目の当たりにし、多くの観客と一体となって観戦する機会を持つことはすばらしい体験であると考えます。こうした体験は映像では味わえない喜びであり、これからのスポーツの振興につながるものと考えてございます。
 スポーツイベントが広く話題になり、県内外から多くの観客を迎えることは、地域の活性化にもプラスになるものであります。平成六年度に紀三井寺陸上競技場で開催されたJリーグの試合では、県外の方々も含め二万三千人もの観客が集まり、成功裏に終了できました。また、平成七年度に県立体育館で開催され、世界体操選手権大会の予選会となった第三十四回NHK杯での本県選手の活躍は、青少年はもとより、県民に大きな勇気と感動、夢を与えてくれました。
 教育委員会といたしましては、ビッグイベントの持つ意義を踏まえ、関係団体等と十分協議しながら、サッカー、ラグビーの大会誘致を初め、各種のスポーツイベントの誘致開催に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君)答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 19番高瀬勝助君。
○高瀬勝助君 ご答弁ありがとうございました。
 それでは、三点ほどちょっと要望させていただきます。
 最初の健康ふれ愛和歌山計画、総合健康・福祉棟に関連して。国鉄跡地の中央を駐車場にということの計画であるわけですけれども、国体道路はご承知のとおり、それでなくても和歌山駅から紀三井寺へ抜ける道路は大変ふくそういたしておりますし、また四十六年の黒潮国体のときに急いで──というんですか、つくられた四車線ですので、今でも常に下水道や電話線などいろんな工事が頻繁に行われております。ここはメーンの場所でもございますので、国鉄が入られている中央の貨物の処理方、一日も早い移転をお願いするところでございます。
 また、イベントの話も後にありましたけれども、新しくそうしたものができる中で、国際的なものということで体育館に来てもらうために──和歌山駅と宮前駅の距離はちょうど二キロと伺っております。和歌山駅から歩いて一・二キロですか、宮前駅から八百メートル。あそこは貨物駅の跡でございますので、引き込み線を入れて、そこにイベントのときの臨時列車をとめるようなことができないか。
 また、いろいろ伺えば、大阪城ホールを見ても、大阪城駅から歩いて一キロちょっとあるということです。イベントのときには人が大変多いものですから、JRの方は、人が歩くのにはそのくらいの距離がある方が混雑しなくていいという答えを出していると伺っております。できればそういうことで、あれがこれからの国際交流の中での中心拠点になるのではなかろうかと思いますので、それがために、国体道路だけじゃなしに鉄道も合わせた両面から十分配慮されながら早く撤去していただくことを望む次第です。
 二点目は、少子化については四省合意でいろいろとされておりますけれども、いじめの問題等を含めて指摘させていただいたとおり、今の子供は遊び方がわからない中で、自分がいじめに参加しなくてはいじめられるということで、一人に集中して他の者も一緒になってやっているというような部分があります。昔のように、大きな子供と小さな子供とが一緒に遊んで石けりや缶けりをやったというような感覚が今の時代にはないだけに、日本にとっても厳しいいじめに対する対応が求められますが、県としても、少子化を含めて十分考え、対応していただきたいと思っております。
 最後の携帯電話ですけれども、これについては四日ほど前にNHKのニュースで、電磁波を防御するということで、カニの甲羅のキチン、キトサンというんですか、そういうエキスを携帯電話のカバーの内側に塗れば電磁波が吸収されて発信しないというような、そんな対応が放映されていました。また、けさの読売新聞の社会面を見ますと、徳島県議会が呼び出し音追放ということで──先ほども鳴っておりましたけれども、携帯電話やポケットベルが鳴ると議会での審議に影響するということで、追放するということです。携帯電話、ポケットベルに関しては、いろいろな意味で我々の生活を緊密にし、うまくコミュニケーションが即とれるわけですけれども、逆にこれによって人間そのものを小さくしていろいろな弊害が出ているのではなかろうか、そんな気がしてなりません。
 そういう意味で、一方でこうした携帯電話が普及すればするほど、何事においてもそうですけれども、必ずやそれに対する障害的なものが出てくることは事実でございますので、どうかその辺も行政の上で十分対処されながら、特に質問させていただいた医療に関しては、人命にかかわる部分でもございますので、国に対しても強く要望していただきたいと思います。
 以上、要望として質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君)ただいまの発言は要望でありますので、以上で高瀬勝助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君)この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十三分休憩
 ─────────────────────
 午後一時四分再開
○議長(橋本 進君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 15番西本長弘君。
 〔西本長弘君、登壇〕(拍手)
○西本長弘君 まず、新知事の目指す本県の新しい全体像について質問いたします。
 「政を為すはその人にあり」──西口知事は、「真」の政治信念とその手腕が多くの県民から強く支持され、見事栄冠をかち取られ、本県の新しい知事となられたのであります。私はここで改めて心からおめでとうを申し上げ、我々の期待する斬新で思い切った県政を全力投球で推進され、全国に存在感のある、もっと誇れる和歌山県を創造されるよう、まず切望するものであります。
 さて、新世紀を見据えて本県は、高速交通体系の整備を初め、経済浮上、福祉の向上、過疎対策、高齢者対策、さらに若者定住等々、課題を多く抱えておりますが、この解決・実現は何と申しましても新知事の情熱、先見力、創造力、そしてリーダーシップにかかっておりますし、また四千二百余人の県職員の意欲いっぱいの努力、さらに百八万県民の深い理解と協力がなければなりません。すなわち、新知事を先頭にして全県民挙げて「さらに住みよい和歌山県」をつくっていかなければならないと思うのであります。
 まず、新知事にお伺いをいたしたい。
 この定例会は、新知事にとりましては申すまでもなく知事就任後初めての当初予算の議会であります。そこで新知事は、知事のいすに座られ、五千五百四十三億円を超す予算編成に当たって最も決意されたのは何か、また、選挙の際のスローガン「輝けわかやま・変革の県政」とは、どのように和歌山を変え、またどのような新しい和歌山をつくるのか、知事の目指す新しい全体像を我々県民にわかりやすくお示しいただきたい。
 次に、親切日本一・和歌山県の構築についてであります。
 我が国は戦後五十一年目、経済の時計が休みなく刻んでいますが、日本の政治の時計がとまったまま大変な時期を迎えています。昨年九月の新聞によりますと、世界銀行の新たな三つの尺度による我が国の富は、オーストラリア、カナダ、ルクセンブルク、スイスに次ぐ第五位となっております。しかし我が国は、公債残高つまり七年度末の累積赤字二百二十二兆円を超す極めて悪い財政状態でありながら、新年度案における政府の途上国援助(ODA)は実に一兆一千四百五十二億円、国民一人当たり九千百二十円であります。そして、本年も世界一の援助額であります。
 また、これとは別に、途上地域の人々に贈る郵政省のボランティア貯金は、国民の深い理解と協力に支えられ、平成七年七月現在、一千八百万人の人々から善意の寄附が民間海外援助団体を通じて世界六十一カ国のほかさまざまな地域に、食糧、医療衛生、教育、技術指導、農村開発など三百五事業に二十八億円が役立てられています。このほか民間におけるさまざまな援助は陰に陽に行われていますが、この国及び国民の心のこもった対外援助は孟子の説く仁、すなわち日本国民の愛の心、思いやりだと、私は深く敬意を表している次第であります。
 私は、昭和五十九年でありましたが、半島振興法制定運動のさなか、当時衆議院議員でありました浜田幸一先生が私に語った次の言葉が忘れられないのであります。「西本さん、我が国が開発途上国に対し、最近欧米に負けぬ援助を行い、それらの国々から非常に感謝され、信頼されています。さらに我が国が世界の人々からの信頼の度が増すことによって、戦争をしかけられることもない上に、より豊かな国づくりが続けられ、世界平和に貢献できるんです」との趣旨を力説されたのをきのうのように記憶しているのであります。
 つまり、私に言わしむれば、我が国が金もうけばかりに走っていると世界の人々からよく思われず、世界の孤児となることは明白であり、しかも資源の少ない我が国の開発途上国援助は結果的に自国の安定した繁栄と平和の維持となり、将来にわたって極めて大切なことであるということであろうと思います。そこで私は、平和で豊かな我が国の開発途上国を助け支援する行為は、国際社会での当然のマナー、親切であろうと思うのであります。
 また、昨年の阪神大震災における多くの若者を中心にしたあのボランティア活動は、被災地の方々だけでなく全国民が感銘を受けました。さらに先月二日、日本海側が大雪に見舞われ、福井県敦賀市の国道八号線では渋滞が何と四十四キロにも及んだそうでありますが、敦賀市当局ではいち早く職員の皆さん五十人が立ち往生したドライバーたちにパン三千三百個、ジュース一千六百個ほか、あったかいおにぎりなどを配り続けたと、敦賀市民の善意、親切をテレビ、新聞が一斉に報じております。この敦賀市民の予期せぬ親切をドライバーたちは生涯忘れられないことでしょうし、「親切・敦賀市」が心に焼きついていると思うのであります。
 さらに続けさせていただきますと、去る二月八日の日経新聞夕刊の「あすへの話題」という欄に、日立造船の藤井義弘会長さんが寄稿されています。これも福井県の話ですが、「某日、福井県の芦原温泉で一夜を過ごした。駅から車で十分ほど走った瀟洒(しょうしゃ)な旅館に泊まる。宿のどの部屋にも、鍵(かぎ)が付けられていなかった。いまどき珍しい。 そればかりではない。風呂や食事など諸々のサービスに心憎いばかりの礼節と親切が行き届いている。いかにも日本的な風情である。そのベースに幸せな県民風土がうかがえる。 同地の事情を尋ねてみた。共働きが六五%、県民一世帯当たりの貯蓄額は千三百十四万円で、共に国内トップの実績をつくり上げている。県単位の進学率は全国ランク三位だという。勤勉さと治安のよさが両立している感じである。──中略──ともあれ越前の旅館に、ひと時、心温まった。今度は仕事抜きで、もう一度この『鍵のない旅館』を訪ねてみたい、と思っている」。以上、原文のままであります。私は、この日立造船会長さんの心を打った福井県の旅館の方々の行き届いた礼儀、親切、サービスぶりが目に浮かんでくるのであります。
 その反面、極めて残念なことでありますが、二月十六日の同じ日経新聞夕刊の「鐘」という欄に、「『人にほほ笑みかけても、ほほ笑みが返ってこないことにも慣れ、ふり返ってもらいたい時に無視されることにも慣れてしまう』(シャルレス・テツオ・チグサ編 『期待はずれのニッポン」)。読んでみます。
 「私はブラジルのファンである。(中略)だから先日友人の日系ブラジル人が『日本は人間の住むところではない』と故国へ帰ってしまった時はがっかりした。 日本には二十万人近い日系人が出稼ぎにきている。ポルトガル語新聞に掲載された投書が本になったが、それを読んで友人の気持ちがわかった。部屋が狭いことも、労働が厳しいことも彼には問題ではなかった。 我慢できなかったのは日本人が『冷たい』ことだった。祖父母たちから聞いたすばらしき日本。その古き良き時代を知る彼らの視点は、ここ半世紀で日本が失ったものをくっきり浮かび上がらせている。 訳者の小高利根子さんがあとがきに記している。『サンパウロに住んだが、一度もよそ者扱いをされた覚えがない。到着の日から受け入れられた』。(稀)」と寄稿されています。
 私は一昨年の秋、ブラジル国を訪問させていただきましたが、当地の明るい警察官や陽気なタクシーの運転手さんの親切を思い出しながら、この原文をやり切れない気持ちで読みました。世界一の援助国である我が国が、日系ブラジル人から「日本人は冷たい」と酷評されているのであります。信じたくないのですが、この話がもし本当なら、私は一日本人として大変悲しく、恥ずかしく思うのであります。
 去る九日付で発表した総理府の意識調査によりますと、社会意識に関する世論調査では、日本が悪い方向に向かっていると答えた人は初めて五〇%を超え五四%、また、よい方向に向かっていると答えた人は四人に一人にも満たないとなっています。過般亡くなられた作家の司馬遼太郎さんも、お元気なころに「日本人をやめたくなった」という痛切な言葉を残され、晩年はいつも「我が国の行く末を案じて」と、みどり夫人が語られています。
 私は申し上げたい。物から心の時代を迎えつつある今日、金さえあればいい、自分さえよければよいという時代ではなく、互助・共栄の時代であります。見知らぬ町で気持ちよく道を案内してくれた親切、座席を譲ってくれた電車での親切、ショッピングを楽しくしてくれる笑顔を絶やさぬ店の親切、曽根一郎歌手の流行歌にあった若いお巡りさんの親切、私は大病を患いましたが、病気したときの病院の親切等、また道路標識や案内板などの行政の親切など、人はだれでも親切にしてくれた人への感謝、自分が困ったとき助けてくれた人への感謝は、いつになっても忘れられないものであります。
 人に親切にするということは、人を思いやり、また人権を重んじることになり、温かさと優しさに満ちた明るい地域社会を築くことになると私は思うのであります。「人皆心あり」と聖徳太子が説き、「真」を新知事は政治哲学とされています。「人は心」であります。私は、そうした意味から、途上国援助、福井県の親切に学びながら、それらをここで私たち自身の親切に置きかえてみたいのであります。
 私は農民の一人でありますが、ちょっとした私たちの「親切物語」とでも言いましょうか、以下例えてみますが、農業の場合、ミカンや花を心を込めてつくり、都会の消費者の方々に親切に出荷すれば、「ああ、和歌山のミカンや花はすばらしい。また和歌山の花、ミカンを買おう」ということになります。タクシーの場合、乗客に笑顔で応対し、観光客を親切に案内すれば、「ああ、和歌山の運転手さんは実に親切だ。またあのタクシーで和歌山を旅しよう」ということになります。児童の場合、よく学び、よく遊び、いつも仲よく親切にし合えば、「ああ、友達みんなが親切だ。だから毎日学校が楽しい」ということで、いじめ、登校拒否も少なくなると思います。観光地のホテルの場合、観光客に心を込めてサービスし、親切にすれば、「ああ、和歌山県は気候も自然も温泉もすばらしい。また山の幸、里の幸、川の幸、海の幸、みんなおいしい。それ以上に、みんなが非常に親切でいい観光県だ。紀州路を旅して本当によかった。また次も連れもてすばらしい和歌山県を旅したい」ということになります。さらに県職員の場合、県民の立場に立って親身に親切にすれば、「ああ、何といい県職員だ。知事も幹部もいいからだろう。また次の知事選も西口勇知事に投票しよう」ということに必ずなります。
 このように、私たちお互いが人との出会いを大切にし、親切にし合い、また、県外から、海外から本県を訪れる人々みんなに明るい笑顔で親切ができれば、お互い幸せであります。こうした何も求めない、人に優しい心のこもった親切の積み重ねが人々の心をつかむのであります。
 かつてそれは、昭和三十七年でありましたが、東大・茅誠司総長が「小さな親切運動」を提唱され、国民の大きな関心を呼びました。そして二年後行われた東京オリンピックは、競技面だけでなく、ごみのない美しい東京、マナーのよい親切な日本人というすばらしい印象を世界の人々に与え、大成功をおさめたのであります。
 道をつくり、橋をかけ、施設をつくるだけが政治ではありません。本県が社会資本の整備、つまり物質面を幾ら立派に整備したとしても、精神面すなわち心の面で豊かさがなければ真の住みよいふるさとが生まれないのであります。
 ここで私が提案いたしますのは、笑顔と親切で人の輪を、親切日本一・和歌山県の構築を目指すソフト和歌山、県民みんなの親切運動の展開であります。
 孔子は、「近き者説び遠き者来る」と説いています。それは、自分たちの地域の中が活性化し豊かさが実感されるところであれば外から人も来る、地域内に住む人々が喜ばないところにどうして人々が集まってくるだろうかということですが、そこから考えて、だれからも押しつけられることのない、あくまでも自主的な親切運動が私たちの郷土社会にどうしても必要と思うのであります。そして、私の提案するこの親切運動が、幸い今議会に提案されている新県民運動基本大綱の策定に最も適していると、私は強く強く思うのであります。
 国際時代、高齢時代、福祉の時代を迎えている今日、私たち県民みんなの親切運動によってもっともっと和歌山県をイメージアップし、もっともっと和歌山県の印象をよくすることが今ほど必要なときはありません。一昨年のリゾート博の成功、昨年の吉宗ブームに見られた温かい和歌山の心、これを今はやりの言葉で言えばソフトウエアによる県勢浮上、これこそ今、新世紀へ飛躍しようとしている本県に最も必要でふさわしいことではないでしょうか。
 知事は全国や世界の人々の関心を集める存在感のある和歌山県を築く目標を立てておられますが、知事の決断とリーダーシップ、そして県民お互いの愛の心によって親切運動が実を上げれば、本県の新しい魅力となり、県外からも海外からも人々が集まり必ず県益を増す、結果的に精神面、経済面でふるさと和歌山県をより明るくし、さらに視点を変えて広く考えれば、体の不自由な方々、高齢の方々など社会的に弱い立場の方々を心からいたわり心から励ますぬくもりのある社会環境、また、新世紀を担う本県の宝・子供たちを健やかにはぐくむ教育環境をつくることはもちろん、人に対してだけではなく、小鳥や自然を愛し、花や緑を大切にする心を養うすばらしい自然環境をつくることになります。
 最後にお断りしておきますが、私がこの親切運動の展開を申し上げるのは、本県が親切な県でないとか、県民性として不親切であるとか申しているのでは決してありません。多くの県民は親切であり、長い歴史と伝統の中で培われてきた県民性は温和で、かつ人に優しい人間性を基本として、風光明媚なふるさととともに今日の和歌山を築いてきたのであります。この愛する紀の国・和歌山をみんなのハートでさらにさらに住みよくし、「ああ、和歌山って本当に人情が豊かでムードのいい、気風のいい県だなあ」と皆から思われ、また県民自身も自信を持って「ああ、この和歌山に生まれ育ち、住んで本当によかった」と誇れるために申し上げたのであります。その点、誤解のないようにお願いしておきます。
 また、この運動は決してだれからも押しつけられるものではなく、あくまでも自主的な親切運動でなければなりません。念のため申し添えておきます。
 ここで、改めて具体的に申し上げれば、一、親切日本一・和歌山県を構築することを本県の基本とする、一、県庁に親切運動推進本部を設置する、一、この親切運動を県内市町村など行政機関初め交通機関、教育機関、さらに医療機関等、すべての公共機関はもとより、ホテル、百貨店、会社、家庭など、県内津々浦々へキャンペーン、推進大会の開催など、自主的、積極的に推進していただくことをあらゆる方法で働きかける、一、標語の募集、親切の日、親切週間など、詳細についてはさまざまな角度から検討する検討委員会を設ける、一、必ず予算措置を講じる。
 西口知事のその明るい笑顔と「真」のお人柄で、テレビ、新聞、「県民の友」等あらゆる方法で百八万県民に優しく呼びかけていただければ、人情豊かな県民は必ず受けとめてくれると、私はかたく信じるのであります。また、この新しい運動が民・官一体で実践されれば、少ない経費で知事の目指す輝きのあるふるさと・和歌山新時代の創造となり、物心両面にわたって風格のある和歌山、日本一住みよい、日本一住みたい和歌山県を構築することに必ずなると思います。知事の積極的なご答弁、教育長の教育的見地からのご答弁をいただきたい。
 次に、新半島振興法についてであります。
 私は、敬けんな気持ちで、法の制定に命をかけてご尽力賜った、今は亡き玉置和郎先生のあの豪快なご活躍のありし日をしのび、心から謝意をささげつつ、昨年の春、充実・延長されました新半島振興法について、ごく簡単に質問をいたします。
 同法は、政府及び自由民主党を初め全政党の深いご理解のおかげをもって内容の充実と十年の延長をしていただき、私は関係各位に対し深く謝意を表する次第であります。
 さて、本県はこれまで旧法を活用して、一千億円の道路整備、五十社の企業誘致をしていますが、法改正ではこの二点のほかに新たに情報・通信体系の充実、高齢者福祉の増進、伝統文化の保存・活性化のソフト面の三点が加わり、旧法に比べて大きく充実されております。
 そこで、私は向こう九年間の期限内にこの充実された新半島振興法を最大限に活用し、ダイナミックチェンジ、他府県に負けぬ半島振興、県土振興に全力を挙げるべきであると強く思いますが、知事はこの新法をどう活用し、ふるさと紀伊半島をどう振興していくのか、その積極的なご決意を具体的にお聞かせ願いたい。
 最後は、夢のかけ橋についてであります。
 今は昔、すぐれた土木技術者でもあった香川県の大久保じん之丞という議員は、「塩飽諸島を橋台となし、山陽鉄道に架橋を連絡せしめば、常に風波の憂いなく、南来北行、東奔西走、瞬時を費やさず、それ国利民福これより大なるはなし」として、備讃つまり本州と四国間に橋をかけよと、明治二十二年五月、地元の鉄道開通式の祝辞の中で、当時としてはだれでも腰を抜かすほどの大構想を我が国で初めて堂々と提唱したのであります。
 あの提唱から計画まで八十年、着工から完成まで十八年、合わせて九十八年という実に長い長い歳月と一兆一千億円余の巨費を投じて、昭和六十三年四月、待望百年、夢の瀬戸大橋が開通を見たのであります。
 その間、「笑わしゃんすな百年先は、財田の山から川舟出して、月の世界へ行き来する」と、まきをたいて走る鉄道がやっと開通した時代に現在の宇宙開発時代を予言してつくった大久保議員の都々逸調のこの端うたからは、この本四架橋がいつかは必ずできるんだというかたい信念と心意気が、今なお私の胸にひしひしと伝わってくるのであります。
 また、こんな話があります。青森県津軽半島の龍飛岬に立って「北海道までトンネルを掘れ」と海に向かって毎日叫んでいた男が一人いたという話をだれかに聞いたことがあります。次に申し上げる人物と同一人物かどうか知るよしもありませんが、太平洋戦争勃発の前年のころ、桑原弥寿雄という鉄道省路線選定の大家が津軽海峡にトンネルを掘って北海道と本州を陸続きにせよと威勢よくぶち上げていたと言われます。あの提唱から計画まで二十五年、着工から完成まで二十五年、合わせて五十年という長い歳月と六千六百億円の巨費を投じて昭和六十三年三月、待望五十年、世界最長の青函鉄道トンネルが見事開通したのであります。
 その間の話ですが、戦時中の真っただ中、大蔵省の役人から「人口が減るばかりの北海道へ津軽海峡トンネルを掘っても意味がない」と言われているのを知った彼は、「トンネルをむだだと言っているやつをぶった切ってやる」と激怒して建設局の中で日本刀を振り回すなど、すごい熱血漢であったのだろう、皆から「ほらやす」と悪口をたたかれたという話が伝わっています。
 このように、瀬戸大橋、青函トンネルの提案当時の話を聞くにつけ、皆から「そんなものができるものか」とばかにされ一笑に付されたと思うとき、次の世代、子々孫々の時代、百年先まで深く考えて、だれが何と言おうと夢の大構想を提案するのは、よほどの先見性、信念、勇気の要ることであり、私はそれら提唱者に心から尊敬の念をささげている次第であります。
 一万円札の福沢諭吉翁は我が国の歴史上の偉大な教育者であるが、その福沢諭吉でさえ明治のごく初頭にはいろいろ批判を浴び、「ほらを福沢、うそを諭吉」と、駄じゃれで悪口をたたかれ、またコペルニクスの地動説を認めて投獄されたガリレオは、驚くなかれ死後二百年たってその説が認められたのであります。
 余談であります。私は幼少のころ母を病気で失い、厳しい父子家庭に育ったのでありますが、今はもうこの世におりませんけれども、父親から「長弘よ、決して人から笑われるような人間になってくれるなよ」と、よく諭されました。しかし、皆から大いに笑われ批判されても仕方がないと覚悟を決めて提唱した、二十年前の全国ミカンの三割減反、十四年前の半島振興法、九年前のJR広川駅等々ありましたが、前知事初め関係各位のおかげをもっていずれも実現していただき、全国のミカン生産県や半島地域、そして本県発展にいささか役立っていることを私はありがたく思っております。
 坂本龍馬は「世の人は われをなにとも ゆはばいへ わがなすことは われのみぞしる」と申しておりますが、十一年前の昭和六十年二月定例会では、日ノ御埼・徳島県阿南市蒲生田岬間の南国ルート、つまり紀伊水道を橋でまたげと提唱いたし、私は早速、小さな漁船をチャーターし、伊島への上陸はもちろん、友人と一緒に海上視察をしてきたのであります。
 私がなぜ、あえて皆から笑われ批判覚悟の上でこうした夢のかけ橋を提唱したかと言いますと、半島性からの脱却を願う私には私なりの、紀伊半島の振興にかける男の夢とロマンであるからであります。そして、我々は常に豊かなあす、豊かな未来に向かって何かをしなければ県民は決して納得しないと思うからであります。そんなものができるものかと笑われ批判されるかもしれませんが、本県に私のような男が一人ぐらいあってもいいのではないかと常に思っております。さきの大久保議員と同じ心境であります。
 太平洋新国土軸の一環をなす紀淡連絡道路が実現すると、四国四県が大きく躍進し、京阪神がさらに栄えます。それによって、我が県北部も大きく発展するのが目に見えています。しかし、もう既に、紀淡連絡道路を通過し四国を横断する四国新幹線の基本計画ができています。そういうことをよく考えてみると、先日、町田議員の質問にありましたが、すばらしい自然資源、人的資源がありながら人口がますます減っていく紀南地域、本県南部のあすの姿が一体どうなるのかということを、県民みんなが真剣に関心を持つべきだと私は強く思うのであります。
 ここで私は、日本列島のごく一部の通過県の交通体系を簡単に考えてみるのですが、例えば、静岡県と愛知県は東海道の通過県、広島県と岡山県は山陽道の通過県として大きく栄えております。この四県は、私に言わしむれば、通過県という地理的好条件が、高速道路にしても新幹線にしても、極論すれば、たとえ要望せず、たとえ反対しても関係なく、我が国の重要なプロジェクトとして必ず建設されるのであります。反面、本県は通過県でない半島という地理的悪条件なるゆえ、他府県以上に官民一体となって努力に努力を重ねても成果は少なく、例えば高速道路は二十二年前に開通したわずか二十四・四キロのままであり、全国ワーストスリーであります。申すまでもなく、海南以南は一般有料道路であって、遅々として高速道路は中紀への延長、紀南への延長がされないばかりか、新幹線の計画はいまだに何もありません。
 いつも比べてみるのですけれども、本県と同じ半島の青森県は、その北に五百五十六万人を超す人々が住む北海道があるために、今申し上げた四県と同じように通過県となり、盛岡まで開通している東北新幹線は北の八戸まで現在建設中、さらに八戸から青森を経由して札幌まで計画中であり、さらに旭川まで基本計画ができています。さらに日本海ルートで新潟から青森まで、つまり青森へは、太平洋側ルート──東北新幹線です──と合わせて二つのルートの新幹線が走ることになります。そして、青函鉄道トンネルは今JR在来線一つでありますが、二本目となる新幹線、三本目となる自動車道のトンネルが間もなく計画されると思うのであります。こうして見ると、青森県は北に北海道があるために、さきに述べた四県と同じようにさらに大きく発展することが予想されるのであります。
 しかし、同じ半島である本県の南には何もなく、海、海、海。はるか遠く、インドネシアまで続いています。そうした本県の地理的条件を思うにつけ、本県のすぐ南に何百万人も住む陸続きの府県か北海道のような大きな島があったらなといつも思うのですが、それは絶対にかなわぬ夢。しからば隣の四百十七万人の住む四国を本県の南に寄せればいいのだが、これもそんな神わざはできるはずがありません。それかといって、さきに申し述べた東北、四国のどんどん発展しているそのさまを我々は黙って見ているわけにもまいらず、私が先年あえて提唱した中紀から阿南への南国ルート、仮称・紀伊水道大橋構想の推進を再度、強く訴えるものであります。
 「そんなものができるはずがない」と、百年前、明治の時代と同じ考えの人も多いと思いますが、十年一昔、今は一年一昔であります。何でも実現できる時代となっております。世界には、我が国に見られない長い橋、長いトンネルなど、大きなプロジェクトが幾らでもあります。二、三挙げてみますと、アメリカ・ルイジアナ州のポンチャートレーン湖にかかる橋は三十八キロ、最近できたサウジアラビア本土からバーレーンへかかる橋は二十五キロ、パリ・ロンドン間の海底トンネルは海底部分が三十七キロの世界一、一昨秋走ってきたブラジルのニテロイ橋は十五・五キロであります。
 去年の九月二十五日、勇退直前の仮谷知事から、「西本さん、あんたが提唱しているあの日ノ御埼から蒲生田岬へ橋をかける構想が今、建設省で注目され始めたよ」と聞かされ、びっくり仰天、その夜は興奮して眠れないほどでした。そして私は、十一年前にこの構想を思い切って提唱しておいて本当によかったと感激しております。そして、二十一世紀を担う人々によって必ず実現してくれるものと信じております。
 もし私のこの構想が橋かトンネルで新世紀中に建設されるならば、名古屋から紀南を通り、中紀を経由して南徳島へのルート、また大阪から和歌山、中紀を経由して南徳島へのルート、北と南から美浜・阿南ルートが確立されるだけでなく、兵庫、大阪、和歌山、徳島の四府県の環状交通体系ができ、さらに環紀伊水道経済圏が構築される。そして、本県と四国との人的・物的交流が盛んになるとともに、本県は必ず高速道路が一気に伸び、必ず新幹線が走るのであります。
 最後に、知事に申し上げたい。
 「遠慮なければ近憂あり」、これは孔子の教えであります。申し上げるまでもなく、これは目先のことばかり考えて将来のことを考えないでいると必ず急な心配事が起きるということであります。人間が科学の力で月に立ち、また我が国の新幹線はフランス、ドイツのそれよりも速く走るのが目前であり、また東京・ニューヨーク間を三時間で結ぶ、コンコルドより速い超音速ジェット機の国際共同開発が、我が国も参加して始まっています。
 このように、我が国はアメリカとともに世界のトップにありますが、ここに至るまでの我が国の長い長い歴史の中で、日本民族の英知とそして先人、先輩の命を顧みない血のにじむ必死の努力があったればこそ、今日のすばらしい日本が実現しているのであります。我々はこの先人、先輩に深く敬意と謝意をささげると同時に、また目先だけでなく近未来、はるか未来をよく見詰め、さまざまな構想を持って新たな歴史の創造に英知の限りを尽くしていくことが、今この世に生き、我が和歌山県政を担っている我々に課せられた当然の使命であると私は思うのであります。
 知事は、我が国の遠い昔の先人、先輩のように、本県の次の世代、はるかな未来にどのような夢やビジョンをお持ちでしょうか。また知事は、私が再度提唱した紀伊水道大橋あるいは紀阿トンネルに夢をはせ調査研究に取り組む用意があるかどうか、ご所見をお聞かせいただきたい。
 「深謀遠慮」と申します。百八万県民のかけがえのないふるさと和歌山の未来に、夢とロマンに満ちた知事のご答弁をお願いいたしたい。間もなく桜が咲き、すべてが伸びる陽春であります。知事初め当局各位、先輩・同僚議員各位のいよいよのご健勝とご活躍をご祈念申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの西本長弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 西本議員にお答えをいたします。
 大変高邁な格調の高いご提言、ご質問をいただきまして、順次、お答えを申し上げたいと思います。
 まず、予算編成に当たっての決意でございます。
 私は今回、県政の総責任者である知事の立場で平成八年度の予算編成に当たったわけであります。改めて責任の重大さを痛感いたしまして、身の引き締まる思いの中で編成作業を行ったところでございます。
 私は、昨年約一年間、県内をくまなく歩き、県民各層の率直なご意見をじかにお聞きしてまいりました。その経験を踏まえまして、県民の皆さんにわかりやすい、県民の皆さんのニーズにかなう予算編成に努めたところでございます。あわせて、個性の光る魅力ある地域づくり、和歌山づくりにも力点を置いたところでございます。
 次に、どう変革し、どう創造するのかについてでございます。
 昭和六十年に制定された半島振興法につきまして、この法律は西本議員さんからご提案をいただいたものであり、制定に向け、県議会の皆さんを初め、総力を挙げて取り組んでいただいたところでございます。これにより道路網初め本県の基盤整備は大きく前進をいたしまして、関西国際空港の開港、阪和自動車道の全通、特急くろしおの新大阪乗り入れなどによって国際軸、国土軸への直結が図られました。また、本年三月九日にはジェット化した南紀白浜空港が開港いたしました。本県を取り巻く交通環境は大きく進展をしておるわけでございます。
 また、世界リゾート博の成功から考えましても、ゆとりと豊かさを求める時代にあって、本県の持つ豊かな自然、歴史、文化に対する期待はますます大きくなってくるわけでございまして、今まさに本県は、これまで積み上げてきた基礎の上に立って、こうした追い風に乗って飛躍するときを迎えている、つまり変革と発展のときにあると確信をしておるわけであります。
 私は、輝きのあるふるさと・和歌山新時代の創造を掲げておりますけれども、具体的には、紀泉地域に関西第四の都市圏を形成する和歌山百万都市圏構想、自然と共生するふるさとリゾートを中心とした和歌山全県リゾート構想、海上輸送や海洋開発などを含めた海洋立県構想、さらには県内を二時間で往来できるダイナミックネットワークの構築など、地域が産業が活力にあふれ、県民一人一人が生き生きと暮らせる躍動感あふれる和歌山県を築いてまいりたいと考えておるわけであります。
 次に、ご提案のございました県民みんなの親切運動であります。
 議員ご指摘のように、行政に限らず、私たちの社会生活におきましても、人に対して、あるいは自然に対して親切にする、優しくするといった、人として最も大事な心のあり方が問い直される時代となっておりまして、そうした認識の上に立ち、私の政治信条も「真」を標榜してきておるわけであります。「真」とは誠実で偽りのない心のありようを言うわけでございまして、人を大切にした、人に優しい心を持った県行政を展開しようという思いを込めた私の政治哲学を表現した言葉が「真」でございます。
 私は、県民が和歌山に誇りを持ち、「住んでよかった」と思えるふるさとづくりを目指して懸命に取り組んでまいる所存でございまして、具体的には、豊かな郷土づくりとともに、心通う県政の構築を施策の柱として設定をしておるところでございます。
 平成八年度におきまして、新しい県民運動のあり方を求めて新県民運動基本大綱を策定することにしておりますけれども、その過程の中で幅広く県民の皆様方のご意見をお聞きすることといたしてございますので、この作業を通じて、議員から大変力強いご提言をいただきました親切日本一・和歌山県づくりの趣旨を十分に反映をし、県民運動の推進に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、新半島振興法についてでございます。
 西本会長さんを初めとする県議会半島振興議員連盟の皆さん方、あるいは関係各位のご努力をいただきまして、内容の充実と十年間の延長が図られたわけであります。改めて、この場をおかりして厚くお礼を申し上げたいと思います。
 議員のお話にもございましたように、新法には、従前に加えて新たな支援措置が講じられております。県としては、従来の道路整備を中心とする交通基盤の整備、企業立地の推進等の産業振興などとともに、移動通信サービス基盤の整備、高齢者生活福祉センターの建設、地域文化の保存・活用という新たな支援措置にかかわる事業、さらには生活環境の整備、保健・医療・福祉の増進等を盛り込んだ紀伊地域半島振興計画を策定し、昨年十二月に内閣総理大臣の承認を得たところでございます。
 私は、平成十六年度を目標年次とするこの計画を達成することが半島性を脱却することであると考えておりまして、計画に盛り込みました各プロジェクト等の進捗状況を把握しながら紀伊半島の振興に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、夢のかけ橋等についてであります。
 まず夢と展望についてでございますが、私は、はるか未来ということではございませんけれども、近未来といいますか、二十一世紀初頭の本県のあるべき姿として、昨年知事選に立候補する際に輝け和歌山・新時代構想を提案いたしまして、幾つかの具体的なプロジェクトを掲げさせていただいたところでございます。
 「政治家として必要なものは先見性と情熱だ」と、ドイツの学者マックス・ウェーバーも言っておるところでありますけれども、私はこの先の変化の厳しい不透明な時代にあっては、先見性を持って夢を目標にして気力と知力で事に当たることが実現への道筋だと思っております。
 議員お話しのように、私たちは夢を語る勇気を失ってはならないと思います。私が夢を語り、実現に向けて努力することによって、県民の方々にも夢と希望を持っていただけるものと確信をしております。議員各位を初め県民の皆様方とともに、輝く二十一世紀に向かって前進をしてまいりたいと思っております。
 最後に、仮称の紀伊水道大橋あるいは仮称の紀阿トンネルについてでありますが、紀伊半島の沿岸部は、来るべき大交流時代に向け、大阪湾岸地域にかわり新たに二十一世紀をリードする地域であると考えられております。議員がかねてからご提言をされております日ノ御埼と蒲生田岬を結ぶ紀伊水道大橋は、本県と徳島県のさらなる発展、ひいては関西圏全体の飛躍を図る上で大変大きな意義を持つ大構想であろうと思います。
 現在、和歌山県と徳島県を結ぶ道路といたしましては、紀淡連絡道路の計画がございます。仮谷前知事が昭和五十四年に──当時、私は知事公室長でありましたけれども──新春の記者会見で、初夢として紀淡海峡トンネル構想を提唱されました。当時は遠い将来の夢物語であると考えられておりましたけれども、その後、地元における調査研究あるいは要望活動に加え、技術的進歩も相まって、平成五年には第十一次道路整備五カ年計画に位置づけられました。建設省、兵庫県、本県により現地調査が開始されており、紀淡連絡道路の計画が実現に向けて着実に前進をしているところでございます。
 紀淡連絡道路の例から明らかなように、常に斬新な発想を心に抱き、真に和歌山県の発展につながると確信の持てるものについては確固たる信念を持って実行に移していくという大胆さが、あすの和歌山の飛躍につながると確信をしておるところでございます。県におきましては、本県と徳島県が大阪湾の玄関口に位置するという地理的条件を生かし、相互連携を深めることにより紀伊水道の沿岸部をベイフロンティア地域と位置づけまして、平成八年度から地域の将来像や開発整備のあり方などについての検討を行っていきたいと考えてございます。
 今後とも、議員ご提言の趣旨を踏まえ、時代の先を見越した夢とロマンを持ちながら基礎的な関係資料の収集などの研究を行いまして、長期点視点に立って県勢のさらなる発展を担う構想の一つという認識のもとに取り組んでまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 親切日本一を目指す取り組みについてお答えいたします。
 今日の社会は、与えられるものの過剰、獲得するものの過少というように言われておりますように、身の周りには物があふれ、生活がより効率化して便利になりましたが、人や地域社会に対する思いやり、さらに自然や受け継いできたすばらしい文化や伝統への心配りなど、人間としての生き方や社会の一員としての役割が今、改めて私たちに問い直されてございます。
 二十一世紀は心の時代と言われていますし、議員のご提言にございますように、人に優しい心のこもった親切は明るく潤いのある社会をつくる基であります。さりげない心遣いや親切は、いつでもどこでも、自分のできるところから始められるものだと考えております。
 個人的な体験ではございますが、数年前、アメリカのニューオーリンズの図書館で、一人の小学校の女生徒に会いました。その女生徒が、私たちに向かって「質問がありますか」と。私たちはそのことに対して「いい生徒だな」というふうに言いましたが、その生徒はさらに「お手伝いすることがありましたら私にさせていただきたい」、こういったことを話しかけてまいりました。全く面識のない外国人の私にさりげなく親切な態度をとったこの少女の優しさに、私は大変感激いたしました。このような行為は、小さいころからの家庭や学校での生活の中で身につくものであると考えます。
 学校では、優しさや親切についての話し合い、心の触れ合いを深めるあいさつ運動や小鳥の飼育などを通して、また地域では子供とお年寄りの交流活動やボランティア活動などを通して、人を思いやる心や自然に優しい心を育て、みずから進んで実践する態度を身につけるよう努めてございます。こうした取り組みが、今日の深刻な問題となっているいじめ、さらには登校拒否の解決にもつながるものであると考えてございます。
 今後とも教育の面におきまして、議員ご提言の趣旨を踏まえ、親切日本一を目指した取り組み、心豊かな人づくりを一層推進する中で、さりげない心遣いや親切な行為が自然に生まれてくるような気風を学校、地域で育てるよう努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 以上で、西本長弘君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(橋本 進君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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 【日程第三 請願付託】
○議長(橋本 進君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(橋本 進君) 次に、お諮りいたします。三月二十一日及び三月二十二日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) ご異議なしと認めます。よって、三月二十一日及び三月二十二日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(橋本 進君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員から、これを申し上げます。
 〔職員朗読〕
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 総務委員会 第 一 委 員 会 室
 厚生委員会 第 二 委 員 会 室
 経済警察委員会 第 三 委 員 会 室
 農林水産委員会 第 四 委 員 会 室
 建設委員会 第 五 委 員 会 室
 文教委員会   第 六 委 員 会 室
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○議長(橋本 進君) 次会は、三月二十五日再開いたします。
○議長(橋本 進君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時三分散会

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