平成8年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(冨安民浩議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成八年三月十八日(月曜日)

 【日程第一 議案第一号から議案第八十二号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第一号から議案第八十二号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 42番冨安民浩君。
 〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので質問を始めたいと思いますが、質問に入る前に、まず西口知事にお願いをしておきたいと思います。
 西口知事は、昨年秋、県民の厳粛なる審判の結果、二十一世紀の新しい和歌山県土づくりの推進という県民の大きな期待の中で知事に就任されました。選挙に至る前一年間あるいは当選後の日程等を見てみますと、非常に厳しい日程をこなされております。ほどほどの緊張とゆとりの中でこそすばらしい仕事ができるわけでございますから、どうか知事におかれてはその点に十分お心を置いていただきまして、新しい和歌山県の創造に向けて懸命の努力を払われることをお願いしておきたいと思います。
 以下、質問を始めたいと思います。
 西口知事が県政を推進していく上での座標軸である、和歌山県に住んでいる人すべてがどの地域にあっても、どの立場にあっても和歌山県に住んでよかったと心温まり、また県外の人にとっては訪れたくなり、住みたくなる和歌山県土づくりを目指して、就任後初めての平成八年度予算編成を終えられました。時折しも変革のさなか、長引く長期不況等がもたらす県税収入の落ち込みにより地方財政を取り巻く環境極めて厳しい中での予算編成であり、諸方を駆使しての熟慮の中での編成だということが行政改革をにらんだ組織の見直しや事務事業の大幅見直し等にかいま見ることができ、今、この時期における和歌山県政遂行の最高責任者としての、時代は厳しくともきちっと役目を果たすという意気込みと知事自身の細心かつ緻密な人柄が随所にしのばれる予算編成だと感じます。
 そこで、西口知事にお伺いをいたします。
 知事、あなたの県政推進の座標軸である、どの地域の人も和歌山県に住んでよかったと言える心温まる県土づくりは、本県のそれぞれの地域の持つ長所やポテンシャルを最大限に生かし、足らざるを補う施策の推進に尽きると思いますが、和歌山県職員として、また昨年の知事選前に県内各地を隅々まで再三訪問されて知り尽くされていると思いますが、予算編成面でどう取り組まれているか、お尋ねをいたします。
 次に、先日、先輩議員の質問に対する答弁の中で、地方財政を取り巻く環境著しく厳しい折、予算執行に際し、最少の投資で最大の効果を上げるべく取り組むと申されました。これは財政運営の鉄則でありますが、今まさにその鉄則に触れようとしておる財政的に厳しい中にあり、今日的課題でありますが、どういうふうに取り組まれるか、お聞きをしたいと思います。
 そもそも、我が国経済は効果運営により大筋右肩上がりの成長を遂げてまいりましたが、貿易アンバランス等に起因する外圧等により、我が国の経済政策は海外依存型政策から内需拡大型政策の遂行を余儀なくされ、異常低金利による過剰流動性が株、土地の投機や、ゲーム的対象としたバブル経済を生み、そのバブル崩壊後の不況が今日まで長期に続いているのが現状でございます。
 経済企画庁の二月の月例経済報告や日銀の経済報告によると、景気は回復基調との発表がなされていますが、従来の在庫調整がもたらす景気循環型による回復基調ではなく、民間企業の血のにじむリストラによる回復であり、おのずと中身が違ってきていると思います。
 我が国の本格的景気回復は日本経済全体の経済スキームあるいは産業スキームが変わらないと望めないと思いますし、景気回復の頼みの綱である個人消費が一向に伸びないのが現状であります。
 昨日、新聞を見ておりますと、「『価格破壊』6割が歓迎」という題目で、こういう内容が出ております。結論から申し上げますと、今景気が伸びないから個人消費も伸びない。その裏づけとして、個人所得が伸びない。それがどういう現象を生んでおるかというと、価格破壊であります。価格破壊は、なるほどいいことでございますが、一方で製造業者のリストラを推進する雇用面の不安も醸し出しておるわけでございます。こうした不況が続くとおのずと税収が落ち込み、予算執行に際し、知事の言う、最少の投資で最大の効果を生む取り組みが求められます。どう具体的に取り組まれるか、例を挙げての答弁を願います。
 次に、西口知事は、本県のそれぞれの市町村の活力が和歌山県の活力になると申されております。まさしく、言われるとおりであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 日高郡市の発展は、御坊市の牽引なくしてあり得ません。今、日高地方には、日高郡市の発展に大きく寄与すると確信する日高港湾整備と御坊第二火力誘致の二大プロジェクトを控えており、関係者の方にはそれぞれの立場で推進方努力を傾けていただいておりますが、県としての取り組み、支援はどうか。踏み込んだ、地元関係者が元気づく答弁を期待するものであります。
 さて、西口知事は就任直後の昨年十二月の知事所信表明において、県民に言うべきことは言うと申されました。折しも、一昨年のリゾート博の大成功、またNHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」の放映等、和歌山県に向かってフォローの風が吹いてきたなという感をいたしております。今日までの経済運営、いわゆる都会に物、人、金を集めて効率よく運営していく、そうした経済スキームが今外圧から壊れようとし、一方では税収不足という面もあるわけでございますが、地方にとっては激しいアゲンストの風がいささかやみつつある今日でございます。そうした中におきまして、新しい和歌山県土づくりをにらんで西口知事は今県民に何を言おうとしておるのか、何を言いたいのか、お尋ねをいたしたいと思います。
 さて、念願の高速道路の問題でございます。
 半島性からの脱却、すなわち国土幹線自動車道への直結を目標に、その完成に向けて猛運動を展開し続けてまいった日高郡市民にとっては待望久しかった近畿自動車道湯浅・御坊間延長十九・四キロメートルが、来る三十日、全面供用開始となります。その財源内容を見ますと、総事業費はおおむね九百五十億円で、一般財源五百五十億円、日本道路公団分二百億円、県費持ち出し二百億円であり、諸方を駆使しての道路とはいえ、県費持ち出しの多額さを考えますとき、この完成にかける並並ならぬ県当局の決意──半島性の脱却、道路網の整備は仮谷前知事の県政遂行の大きな柱であったわけでございますが、そうしたことがしのばれる一方、国において均衡のとれた国土形成をうたいながらも、利用者負担軽減化をうたい文句に採算性重視の見地から本県への財政的負担の大きさに地理的ハンディキャップを感じ、いささか納得しかねますが、とにもかくにも完成までこぎつけた長年にわたる関係者の皆様方に一住民の立場からも心から感謝を申し上げ、この上は、この道の有効活用に向けての管内地方道路の整備促進、諸施策の実施、さらなる南への延伸を願うものであります。
 御坊・南部間道路総延長二十一キロメートルにつきましては、平成五年十一月に施行命令が下され、同六年十一月に路線発表がなされました。当該市町村では、市町村レベルでの整備促進を図るべく、御坊市長柏木氏を会長として、県、当該市町村長、議長、並びにこの路線の事業主体である日本道路公団大阪建設局田辺出張所長にも参画をいただき、私ども日高郡市選出の四名の県議も加わり、近畿自動車道松原すさみ線御坊南部間建設促進連絡協議会を間髪を入れずに設立し、種々その促進方を協議しておるところであります。
 関係者の機敏なる対処、ご努力により、ごく一部地域を除いて測量はおおむね順調と聞いており、先日の森議員の質問に対する知事答弁での、道路は用地買収が済めば完了したも同然という弁をかりますと、一日も早い全体測量の実施、地元の理解による設計協議を経ての用地買収の完了を願うばかりであります。
 さて、これから地元との設計協議の段階を迎えるわけですが、通常、道路完成には地元との設計協議が一番時間を要すわけでありまして、この路線に限っては、その必要の緊急性からも用地地権者並びに関係地区住民の同意を願うばかりであります。
 用地買収が済めば、いよいよ工事着手になるわけであります。工事用道路の大半が市町村道を使用する予定となっておりますが、これらの拡幅について、事業主体である日本道路公団は、採算面重視の立場から建設費削減の名目で、機能回復によるつけかえ道路を除き、用地費並びに工事費について当該市町村に負担を申し入れているようであります。
 知事にお尋ねをいたします。
 この道路の果たす役割を考えますとき、工事用事業費を財政力の弱い町村に負担させることなく県が引き受けられないかどうか。また、この道路建設に伴う排水処理対策等についても同等の扱いを願えないものか。前向きの答弁を求めます。また、一部測量に入れない地域について、現状と見通しを土木部長にお尋ねいたします。
 これで質問を終わりますが、なお本年三月末、その時期時期の知事の県政推進の基本理念に基づいて、それぞれの立場で県政推進のために献身的な努力をいただいた県職員の皆様方に心から感謝を申し上げ、退職後もそれぞれ違った立場で和歌山県推進のためにご尽力くださいますことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 冨安議員にお答えをいたします。
 まず第一に、和歌山新時代の創造に関してであります。
 私が常に申し上げている和歌山新時代の創造につきましては、県政の究極の目的でもあろうと思います。どの地域におきましても、どの立場にありましても、和歌山に住んでよかったと思えるふるさとづくりを目指しておるわけでございます。
 こうした観点から、八年度の予算編成におきましても、自然と調和した、安全で美しく快適な町づくり、地域のポテンシャルを生かしながら多彩な文化が花開くふるさとづくりを推進いたしまして、個性光る、魅力ある地域づくり、和歌山づくりに努めていきたいと考えてございます。
 具体的な事業といたしましては、市町村が取り組む個性的な、そして魅力あるふるさとづくりを支援するための輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業の創設、さらに豊かな自然を活用しながら宿泊施設、文化交流施設等の整備を支援する和歌山ふるさとリゾート推進事業の創設、また山村地域活性化のための山村21創造事業の創設などがございます。
 次に、地方自治の本旨である、最少の経費で最大の効果を上げるための取り組みでございます。
 現下の経済情勢から県税収入の伸びが期待できない中で新たな行政需要に対応していくためには、行政改革大綱の理念に沿って、既存事業の制度・施策について徹底した見直しによる経費の節減とともに、冨安議員にもお世話になりましたけれども、今般改善をした合併処理浄化槽整備の効率的な執行など、むだのない、簡素で効率的な行政システムの確立が肝要であると考えてございます。
 八年度予算の編成に当たっても事務事業等の積極的な見直しを行ったところでございますけれども、行政改革の推進のためには職員一人一人の心の持ち方が大事であろうし、常々職員に対しても意識改革や発想の転換などを強く要請しておるところでございます。
 今後とも、県民の皆様方の声に常に耳を傾けながら、県民の立場に立って、社会の変化に対応した、簡素で効率的な行財政運営に努めますとともに、県民の皆さんには厳しい財政状況の中であることもご理解をいただきまして、なお一層のご協力をお願いしたいと思っております。
 次に、日高地方の取り組みについてであります。
 まず、日高港の整備につきましては、日高港が紀伊水道の入り口に位置するという有利な立地条件を生かしながら、高速道路の南伸ともあわせて、新たな物流拠点及び産業立地の拠点形成を目指すものでございますので、御坊・日高地域はもとより、県勢の飛躍発展を図る上で最も重要なプロジェクトであると思ってございます。
 これまで、地元や関係者の方々のご協力も得ながら漁業補償交渉を行ってまいりました。いまだ一部の漁業協同組合の同意が得られず、まことに残念でありますけれども、工事の着手ができない状態でございます。しかし、県としましては、本事業の重要性、緊急性にはいささかも変化はないと認識をしておりまして、今後とも引き続き関係者の理解を得るなど、私も先頭に立って早期事業着手に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
 御坊第二火力発電所につきましては、平成六年三月の御坊市議会の誘致決議の後、平成六年十二月から事業者による環境影響調査が行われてまいりました。この二月で現況調査が終了し、現在予測調査が行われているところでございます。県といたしましては、従来から申し上げている電源立地の基本的な考え方を踏まえて、地域振興の立場から強く対応していくことといたしております。
 日高地方の発展は、議員お話しのプロジェクトはもとより、湯浅御坊道路や南紀白浜空港の活用、御坊テクノパークの整備推進、地方拠点都市づくりの促進などの施策展開を図ることによりまして、若者が集う活気のある地域となるように今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、知事が県民に伝えたいことは何なのかということであります。
 これも繰り返し申し上げておるところでありますけれども、県民の皆さんには少し心の持ちようを変えていただきまして、和歌山はだめだという意識から少し自信を持っていただきたい、そういうことを訴えたいわけであります。
 和歌山には和歌山のよさがあります。季節季節には県外からたくさんの人々が、緑豊かな山々、青く澄んだ海、清く潤いのある川、あるいはふるさとの深い歴史文化、人々の心の温かさなど、ありのままの和歌山に安らぎや憩いを求めて私たちのふるさとを訪れていただいておるわけであります。私は、今の和歌山が十分魅力を持っているあかしであろうと思いますし、お話にありました世界リゾート博の成功も、私たちはやればやれるんだという自信とともに和歌山の魅力を再確認させてくれたものと思います。
 これからの社会は、ますますゆとりや豊かさが求められる時代であります。そうした時代に和歌山の魅力はさらに輝きを増すものと思いますので、まずそこに住んでいる皆さんにこの和歌山のよさを理解していただきたいと思うわけであります。そして、そのよさにさらに磨きをかけ、一方、道路整備などを初め、足りないところは積極的に補う努力をしてまいらなければならないと思っております。
 県勢の発展は県民の皆さんとともにあるわけでありますので、県民の皆さんには常に県政に関心を持っていただき、一層のご協力をいただくように切にお願いを申し上げたいと思っております。
 次に、高速道路の南伸にかかわっての町村負担の問題でございます。
 道路審議会によって平成七年十一月に出された「今後の有料道路制度のあり方について」の中間答申の中で、高速道路の早期整備のためには、日本道路公団の自助努力等とあわせて、公的助成の拡大の必要性が盛り込まれたわけでございます。この中で、公的助成の一環として、国と地方の一層の連携のもとに地方からの支援の拡大を図ることが必要とされております。我が県における高速道路の早期整備を図るためには、この答申を前向きにとらえていくことが必要であると考えております。
 なお、工事用道路として市町村道の整備等を要請されているところであります。
 市町村の負担を県が肩がわりできないかというご質問でありますけれども、市町村への財源的な圧迫が大きくなることも心配されるわけであります。そのような状況を十分お聞きをしながら、今後どのような方策があるのかということを検討してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 冨安議員にお答えいたします。
 まず、高速道路の南伸に関しまして、現状と見通しについてでございます。
 近畿自動車道松原すさみ線の御坊・南部間約二十一キロメートルにつきましては、現在日本道路公団により事業が進められており、県といたしましても、地元の県会議員の皆様を初め、市や町とともに構成する建設促進連絡協議会を通じて地元調整等に努力しているところでございます。
 ご質問の現状と見通しでございますが、十七地区のうち四地区について路線測量等が未実施となっております。そのうち一地区については、今年度中に測量に入る予定となっております。また、測量設計が完了した一部地区については既に設計協議に入っておりまして、平成八年度にはいよいよ用地買収に入る予定となっております。残る区間についても設計協議を急ぐとともに、測量未実施の三地区についても、今後とも地元及び市や町の協力を得ながら、早い時期に路線測量が実施できるよう鋭意努力してまいります。
 なお、事業の進捗を図りますためには、円滑な用地の取得や十分な地元のご協力がぜひとも必要であります。今後とも、地元の皆様方のご理解を得ながら早期整備に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番冨安民浩君。
○冨安民浩君 ただいまご答弁いただいたことにつきまして、数点要望しておきたいと思います。
 知事が平成八年度の予算編成の中で一つの柱とされている輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業の五億円の予算措置の運用面についてであります。
 この予算措置は、それぞれの地域が持っておるポテンシャルあるいは埋もれた文化・伝統を生かして特色あるものを出していただきたい、こうしたことが知事のねらいだと思います。そこで、箇所数だけをふやすというような──それぞれの地域からいろいろ出てくると思うのでございますが、箇所数だけに対応するというような予算執行ではなくして、しっかり精査した中で、これが本当に和歌山のよさだということでそれぞれの市町村においてよく検討した中で出てきたものをぜひ実行していただきたい。例えば私の選挙区の中で、これは相談しておらないわけでございますが、龍神村において今温泉がまあまあですけれども、しかし木材がご承知のような情勢の中で、龍神の持つ地理的条件を生かし、あるいはその醸し出す雰囲気を生かして芸術村でもやってみたいというような声があるわけでございます。村長さんはこの事業でそうしたことに取り組まれるのかどうかわかりませんが、私は大変おもしろい発想だと思います。数だけをふやすんじゃなくて、シーリングの一億円を使って思い切ってやってみなさいと、そういうような予算面での運用をお願いしておきたいと思います。
 次に、高速道路の南伸の問題でございます。
 私はいつも高速道路の南伸について思いますのは、海南湯浅線が四十八年に一部地域の反対で着工できなかった、その間にオイルショックがたび重なって工事費が四倍になったというような過去の例を振り返りますとき、やはりこの道路は何が何でも早く延ばさなければいけないし、それだけに県の取り組み、それにかける姿勢、地区住民のご理解をいただく努力というのが求められると思いますので、どうか過去のそうした事柄にも心をいたしながら、ぜひこの推進方をお願いしておきまして、私の質問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で冨安民浩君の質問が終了いたしました。

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