平成8年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(大沢広太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成八年三月十四日(木曜日)

 午前十時四分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第一号から議案第八十二号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第一号から議案第八十二号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 1番大沢広太郎君。
 〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、梅の生育不良について質問をいたします。
 この問題につきましては、以前より諸先輩議員の皆さん方が質問をされておりますが、しかし一向によくなる気配がないので再度質問をさせてもらうことになりました。
 私の現地調査では、ますますその被害が拡大し、事態はまことに深刻であります。梅畑の梅の木すべてが枯れて、作付転換をしたり、他の梅農家へ働きに行っている人も出ているのであります。関係農家の皆さんの心中、察するに余るものがあります。それを裏づけるかのように田辺市では、平成六年までに被害が発生した梅の木は約一万五千本に及び、平成七年には約五千本に発生したと聞いております。十アールに約三十本の木が植わっておりますので、平成七年までに約六十六ヘクタールの梅畑が消えたことになるわけであります。また、田辺市の農家の全作付面積は約二千八百七十ヘクタール、そのうち梅畑は約千百八十ヘクタールあります。平成六年の農業の総生産高が百四十三億円でありまして、そのうち梅の生産額は六十五億円であります。さらに、平成五年の工業統計調査によりますと、田辺市の製造品の総出荷額は四百七十九億円でありまして、そのうち梅の総出荷額は百六十一億円であります。工業統計調査ですので小規模工場は除かれておりますから、推計では二百億円とも二百五十億円とも推測されているのであります。
 田辺市は梅産業にいかに依存しているか。田辺市の基幹産業は梅産業を除いては語れないものがあり、このままの状況が続くと田辺市の経済はまことに深刻な事態を招くことになります。また、このような被害は、田辺市にとどまらず近隣町村でも大きな問題となっていると聞いております。このことは、単に紀南の梅農家の問題だけではなく紀南地方の経済にも大きく影響してくるものであり、県として一日も早い原因究明を行い、梅の生育不良についての対策を講じることが必要であります。
 県当局からのご指導やお力添えもいただいておりますが、先般、梅生産農家の方から、家族総出で、地区住民総出で頑張っても事態の改善がされない、あるときは農薬業者、肥料業者から何十万円もする農薬や肥料を購入して試験的に使用したがだめだったと、肩を落として話されているのを聞きました。この原因として、一、水不足説、二、なり過ぎ説、三、土壌悪化説、四、病原性バクテリア説、五、大気汚染説などが関係者の間で話が交わされておりますが、それだけに梅の生産者や関係者の不安は募るばかりであります。今の科学技術の粋を結集すれば、原因の究明は難しい話ではないと思うのであります。
 梅の出荷額百六十一億円からすれば、二億円、三億円を研究費に充てても、産業経済全体から考えると大きな額ではありません。梅の生育不良についての研究を一日たりとも放置することは、もはや許されないのであります。知事のご英断をお願いし、次の点についてお尋ねをいたします。
 一、行政と大学の研究所等による大がかりな原因究明のためのプロジェクトチームを結成し、かかる問題に対応する考えはないのかどうか。
 二、県は、現在までにどのような原因究明の調査を実施してきたか。
 三、昨年二月二十一日付で紀南農協より知事等あてに提出した要望書について、県当局としてどのように対応されているのか。
 以上、三点についてお尋ねをいたします。
 続きまして、県民待望の湯浅御坊道路が開通の運びとなり、これで吉備・御坊間十九・四キロが全通整備され、御坊市と和歌山市とはおよそ四十分で結ばれるほか、大阪方面とも一時間半近くで結ばれることになり、西口知事も、時間・距離が大幅に短縮され、産業や観光面で一層の活性化が期待されると報道機関へのコメントを発表し、また地元でも開通に伴うさまざまな波及効果への期待感を高めているところでございます。
 この道路は海南湯浅道路の紀南への延長として整備され、吉備・御坊市間の自動車専用の一般有料道路で、制限速度が七十キロの片側一車線道路として開通すると聞いております。また、通行料金は広川・御坊間で四百五十円となり、和歌山市から御坊市までの料金を加算すると二千七十円となります。この広川・御坊間の四百五十円という料金でありますけれども、トンネルが多い海南・吉備間の九百二十円に比べて安いのではとの意見や、吉備・御坊間六百五十円を含めた和歌山・御坊間が二千円を超えるのは高いとの意見など、早くも多様な意見が出され、関心を呼んでおります。
 また、御坊・日高地方を初めとする地元では開通に伴う波及効果への期待感が強く、先月九日に御坊市で、御坊市初め日高郡内の一市七町村の各種青年団で組織するハイウエーフェスタ実行委員会が主催した開通を記念するハイウエーフェスタフォーラムを開き、開通に伴う地域の活性施策についてのパネルディスカッションや大学教授の基調講演が開かれるなど、地元の熱い期待が論じられたと聞いております。この中で、基調講演をした大阪大学の鈴木胖工学部長はフォーラムの最後に、「海、山、川があり、気候も温暖で、こんな自然条件の整ったところはなく、地域が発展していくためには核が要る。御坊の町に目玉がないと、中のお客が外へ逃げていく。外のお客も入ってこない。こういうチャンスを生かすも殺すも、地元の人の意思が大切です」と締めくくったと聞いております。
 そこで、この道路の開通に合わせて川辺町では六月に天文公園をオープンさせ、京阪神方面から年間六万人の入場者をと期待しております。オープンに向けて多様なイベントを企画しているとのことであります。また龍神村では、観光客の誘致を推進しようと龍神ふぁん倶楽部を五月に発足させ、村外の人たちに龍神のよさを知ってもらおうと計画しているそうであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 観光立県和歌山を積極的に推進するために、この道路の開通に合わせてのさまざまな取り組みについて、各方面の観光振興を含めた集客イベント等どのような計画があるか、お聞かせをいただきたいと思います。
 次に、この道路の開通に合わせて、ことし三月一日から新宮駅と大阪駅を結ぶ夜行バス「ルナメール号」が西日本JRバスによって運行される運びとなりました。この夜行バスは一日一往復で乗客二十九人を乗せ、自動車電話やトイレなどが備えつけられているデラックスバスで、大阪方面へ行く場合、新宮駅を夜十一時半に出発をし、途中、紀伊勝浦駅、そして紀伊田辺駅に停車。紀伊田辺駅を午前二時四十五分に出て、大阪駅桜橋口へ午前六時に到着するのであります。一方、新宮方面へは、大阪を夜十一時半に出発、紀伊田辺駅に午前二時四十一分着、紀伊勝浦駅に五時二十五分着、そして新宮駅へ五時五十六分に到着いたします。料金は、新宮駅から五千五百五十円、紀伊田辺駅から三千三百五十円と、JRの特急料金を利用した場合より千円余り割安になっているということであります。
 しかし、交通体系の整備がおくれている紀南地方にとって、この夜行バスは一長一短があると言えます。例えば、夜行バスは新宮駅と紀伊勝浦駅や紀伊田辺駅間の区間でのお客さんの扱いはしないこと、また和歌山市や関空にも通じていないといった不満の声が早くも聞かされております。
 そこで、今回の湯浅・御坊の開通を観光振興や経済浮上対策として大いに活用すべきなのは当然のことだと思います。白浜、田辺から和歌山市や関西国際空港を結ぶハイウエー路線バスを運行させ、また西口知事が唱えている県内二時間交通施策によって整備が進められている国道百六十八号線や三百十一号線、あるいは三百七十一号線を経由して湯浅御坊道路の御坊インターに通じるバス路線の運行について、早急に検討し、導入してはいかがなものでしょうか。さきの大学教授が指摘されたように、せっかくのチャンスを生かさないと和歌山の経済浮上はありません。
 また、南紀白浜空港が先日オープンいたしましたが、便数が少ないため、関西空港と結ばなければ観光客の誘致はかなえられません。それに加えて、紀南地方の交通の利便性の向上を図るためにもハイウエー路線バスが必要だと言えます。これまで県議会でも、多くの先輩議員さんがJR紀勢線の夜間便や早朝の特急・急行列車の運行をと再三質問されたようですが、余り実現に至っておりません。この三月十六日から、JRのダイヤ改正で日曜・祝日に限って紀伊田辺駅午前六時五十九分発天王寺行きの特急が運行されますが、紀南の地元住民にとっては、まだまだ利便性が向上したとは言いがたいものがあります。
 例えば、天王寺方面行きの最終特急便は新宮駅発が十七時二十四分で、紀伊田辺駅発は十九時二十三分と、サラリーマンらが商談や会議で遅くなると特急電車に乗れないというのが現状であります。このため、県においては、白浜駅や紀伊田辺駅を夜九時か十時ごろに発車し、和歌山や関空へと向かう路線バスの運行を導入するといったことを各方面に働きかけてはいかがなものでしょうか。
 昨年は阪神・淡路大震災が発生して、県内の観光関係者が大きく被害を受けるだろうと心配しておりましたが、昨年の五月の連休を境に観光客は増加し、トータル的には微増していると聞きました。それほど紀州路は観光資源として魅力があり、豊かであります。また、観光立県和歌山という見地から見ますと、和歌山に訪れる観光客が快適に過ごしていただくためにも、御坊から新宮までの間についても、建設省と県が協力して全国に普及している道の駅を誘致してはいかがなものでしょうか。この道の駅は全国に既に二百カ所以上設置されており、花や農林水産物、そして郷土の名産物を即売するなどして観光客等に快適な旅を楽しんでもらっているものであります。
 また、湯浅御坊道路の間には吉備湯浅パーキングエリアが設置されておりますが、ここはトイレと電話と自動販売機しか設置されておりません。ここを充実させて、県内各地のふるさと産品を販売するコーナーを設けてはいかがでございましょうか。
 次に、過疎化や全国平均を上回る高齢化社会の進行といった大きな課題を抱えた我が和歌山県にあって、この高齢化社会の中で一つの問題を取り上げてみます。それは、高齢者の交通事故対策であります。
 昨年一年間に和歌山県で発生した交通事故は、件数で七千五百五十二件、けが人が九千三百四十六人、そのうち二十四時間以内に亡くなられた死亡者の数は百十八人で、特に死亡者の数はこの数年間で三けたの百人を上回っているのが現状であります。このうち県警察の統計による高齢者六十五歳以上の交通事故は、県内では昨年一年間で千三百七十五件発生しており、この中で千十人の方がけがをし、四十人の方が亡くなっておられるわけであります。この高齢者事故の発生件数あるいはけが人の数、死亡者の数を全体の事故と対比してみますと、発生件数で一七・七%、けが人で一〇・八%、死亡者数で三三・九%となっており、特に死亡者数は事故全体の四割近くを占めておるわけでございます。この全体の構成比は年々増加しており、改めて本県の高齢者の事故の深刻さが数字の上でもはっきりとうかがえております。中でも、地域別に見てみますと、高齢化が大きく進行している紀南地方が多く、件数で全体の約二七%、けが人で二八%と、四十万都市和歌山市での件数を少し下回っているだけの数となっており、過疎化が進む紀南地方での高齢者の交通事故がいかに深刻なものかと言えるわけでございます。
 ここで高齢者の運転免許証の取得状況を見てみますと、和歌山県では、昨年十二月末現在、全人口の三人に対して二人に当たる六十四万五百三十六人の方が運転免許を持っているのに対し、このうち六十五歳以上の高齢者は九・六%、つまり六万二千七百十五人の方が免許を持っており、都道府県別に見てみても、免許人口に比べて高齢者の免許保有は、トップの島根県から数えて全国七番目になっております。また、県内を地域別に見てみますと、免許人口に対する高齢者の免許保有率は、古座川町が全人口二千二百四十八人に対し二三・九%に当たる五百三十五人の高齢者の方が運転免許を持っており、次いで野上町、北山村、金屋町、熊野川町の順になっております。いずれも過疎化の進む町村で、高齢者の免許保有率が高いことがうかがえます。
 そこで、高齢化社会が進行し、平成十二年には高齢化人口が全国平均を大きく上回り、全体の二一・三%になると予想されている本県にあっても、一つの問題点を投げかけられようとしております。
 それは、先月十日付の朝日新聞夕刊面トップで、「高齢者 運転免許証の返納制を新設 事故増で警察庁方針」との見出しのついた記事が大きく記載されました。その記事によりますと、まず第一点は、六十五歳以上のドライバーには運転免許証の返納制を新設、第二点は、七十五歳を超えたドライバー免許の有効期限を現行の三年に改めて期間を短縮し、免許更新時には実技の講習を行う、第三点は、高齢者ドライバーを示すシルバーマーク標章制を導入し、一般のドライバーに対してこのマークをつけたドライバーの保護を義務づけ、これを怠った場合罰則を設けるというもので、警察庁では、有識者らの意見を聞いた上で今年中にこれらのことを盛り込んだ道路交通法の一部改正案を次期通常国会に提出する予定となっております。これは、高齢者が運転中にいつも走っていることを忘れるといったケースや、体力の衰えとともに反射能力や視覚、聴力の低下などで高齢者が事故を起こす確率が高くなっている点を統計上からも分析などし、明らかにしたのでございます。
 この記事には、高齢者が事故を起こす確率が高いといった点を踏まえて、免許証を返却したり免許更新しなかった場合、都道府県の公安委員会が表彰するなど検討しているとなっておりますが、このような運転免許制度の見直しは、昨年一年間、全国で高齢者による死亡者の数が全体の事故による死亡者の三割を占めるといった我が国史上初めての現象が一つの引き金になっており、それほど高齢者の事故防止対策が避けて通れないものとなってきております。これによって、高齢者の運転免許証の返納や七十五歳以上のドライバーの実技講習制度は、確かによい点もあるかと思われますが、しかし高齢化社会の進む本県の現状には不都合な点もあります。本県では六十五歳以上の方が車のハンドルを握る割合も高く、若者が都会へと流出する町村では農林水産業などに従事するといったケースが数多くあります。また、現役でばりばり働いている六十五歳以上の方を高齢者と呼ぶには本県では余り的を射ていないということも一理あるほか、六十五歳以上の方が働いていかなければならないといった点が現実に置かれた過疎化における町村の現状だとも言えます。
 そこで、県警察におかれましては、これまで交通安全協会と協力するなどして高齢者を対象にしたシルバー教室を開いたり、またシミュレーションシステムを搭載した高齢者の交通安全講習に使う移動車両を導入するための予算案を今議会に提案するなどし、取り組まれておりますが、高齢者のペーパードライバーの実態も含めて、本県での高齢者の交通事故対策について何点かお伺いをいたします。
 交通事故対策で基本となるものに三Eの原則、いわゆる交通安全教育、交通信号機等の交通安全施設の整備、交通指導取り締まりがあると聞いておりますが、その三Eの原則のうち、一、高齢者を対象とした交通安全教育の推進状況について、二、高齢者は目、耳及びその他身体的に不自由な人が少なくない状況にありますが、高齢者を対象とした交通信号機等の交通安全施設の整備で特に配意している施策についてお伺いをいたします。また、そのほか、高齢者の交通事故防止対策上、和歌山県独自で実施している事項があればお伺いをいたします。
 以上をもちまして、私の第一回の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 大沢議員にお答えをいたします。
 まず、梅の生育不良についてでございます。
 ご質問のように、梅は本県農業の基幹作物でございまして、日高、西牟婁地域を中心に積極的に振興を図っておるところでございます。また、健康食品としての梅干し、梅ジュース等の加工業を含め、梅関連産業は地域の重要な地場産業となっておるわけでございます。それだけに梅の生育不良ということについては大変重要な問題と認識しておりまして、先ごろも現地に赴き、生産者の方々とお会いをしてその実情を承ってきたところでございます。
 生産者の方々からは大変厳しいご意見もございました。このために今議会に関連予算をお願いしておりますけれども、試験研究体制を一層充実するとともに、関係機関との連携を強化し、原因の早期究明に取り組むように関係者に強く指示をしているところでございます。
 次に、観光問題であります。
 このたびの高速道路の紀南延伸あるいは南紀白浜空港のジェット化整備などによって交通網の整備が一段と進むわけでありますけれども、本県の観光もまた飛躍発展の絶好の機会を迎えておると言えると思います。県といたしましても、この機会をとらえて、新しいステップを踏み出そうとしている和歌山を舞台にしてあすの観光のビジョンを和歌山から発信するため、四月十日から十一日にかけて、県内外の観光関係者あるいは本県と友好姉妹提携を結んでいる国々の参加も得て、今・心の観光の創生期ということをテーマに、田辺市において世界観光フォーラムの開催を進めておるところでございます。
 このフォーラムを受けて、いにしえにこの地を歩いた人々に思いをはせながら心のふるさと和歌山に触れていただこうと、中辺路町の滝尻王子から熊野本宮大社まで五回に分けて実施する熊野古道ウオークの開催も計画をしておるところでございます。
 議員ご指摘のように、この開通を記念して地元関係団体などによる広域的な実行委員会組織が発足し、さまざまなイベントも実施・計画されておりまして、県としても実施に向けて協力をいたしておるところでございます。
 今後とも、観光展やキャンペーン、あらゆる機会を通じて関係機関と連携をしながら宣伝活動を展開し、本県の観光振興を図ってまいりたいと考えておるところであります。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 梅の生育不良についての県の原因究明調査の経過についてでございます。
 梅生育不良の原因究明につきましては、これまで暖地園芸センター、果樹園芸試験場が中心となって、地元の梅病害虫特別対策協議会あるいは国の研究機関や大学等との連携のもとに、栽培及び病理面からの研究や大気環境調査を進めてきたところでございます。
 栽培面の取り組みといたしましては、着果量の調節、かん水、土壌改良等の試験に加えまして、発生地域における樹勢回復をねらいとした現地試験等を実施してございます。また病理面では、細菌の病原性や現地発生園での薬剤試験を実施してございます。大気環境調査につきましても、現地の固定局や移動測定車による観測及び酸性雨調査を継続して実施してございます。
 次に、地元の農協からの要望等に対する対応についてでございます。
 要望の内容につきましては、主に試験研究体制の充実、現地支援対策及び大気環境の調査研究等でございます。これらに対する対応については既に実施をしてきたところでございまして、平成八年度においてさらに試験研究体制の一元化と効率化を図るため、暖地園芸センターを核とする研究チームを組織するとともに改植等の関連施策を充実強化することといたしてございます。
 いずれにいたしましても、関係機関との連携を密にして、原因の早期究明とその対策に向けて全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 大沢議員にお答え申し上げます。
 この三月の湯浅御坊道路の開通を初め、県下の道路網の整備には目覚ましいものがありますが、こうした道路網の整備に合わせ、高速交通機関の複数化、公共輸送のサービスの多様化、さらには観光振興を図る観点からバス路線の充実を図っていくことが重要であると考えてございます。
 議員ご提言の、新宮、田辺、白浜方面からの関西国際空港へのアクセスバスにつきましては、バス事業者において現在実現に向けて積極的に検討されているところであると伺っておりますが、このバス路線が開設されると関西国際空港を使った紀南地方への観光客誘致の大きな弾みにもなるものと考えますので、県としても実現に向けて働きかけているところであります。
 次に、国道百六十八号線、三百十一号線などの内陸部を通るバス路線の開設につきましては、需要や道路幅員の問題等により、その運行は現段階において難しい状況であると伺っておりますが、道路整備が着々と進んでいる現在、内陸部におけるバス路線開設について、道路の整備状況に合わせて関係者に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、高齢者の交通事故防止対策でございます。
 議員ご指摘のとおり、高齢者の関係する事故が増加している中、特に高齢免許保有者の増加とともに高齢ドライバーの関係する事故が、十年前に比較すると約二・四倍と大きく増加している厳しい情勢にあります。
 県といたしましては、そういった情勢を踏まえ、各季節ごとの交通安全運動などを通じた高齢者の事故防止に関する県民意識の醸成、啓発・広報活動、交通安全教材や啓発資料の配布、市町村担当者に対する指導者研修、反射材の普及などに努めてきたところであります。また、高齢者の方みずからが歩行中や自転車乗車中、さらには自動車運転中の危険性などを実際に体験学習する参加実践型の安全教育につきまして、これまで和歌山市や田辺市など六市町村で実施し、安全知識や技術の一層の向上を図ってきたところでございます。
 高齢化社会と車社会のますますの進展にかんがみ、警察など関係機関、団体とも協力いたしまして、今後とも交通弱者並びに運転者対策の両面から高齢者交通安全対策の充実強化に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 大沢議員にお答えいたします。
 道の駅につきましては、国道四十二号沿いで志原海岸、イノブータンランドすさみ、またそのほかに龍神、サンピン中津、ふるさとセンター大塔、牛馬童子ふれあいパーキング、道の駅しみずが開設されております。さらに、紀北地方ではございますが、昨年十一月、かつらぎ町の国道二十四号沿いに紀の川万葉の里がオープンしたところでございます。
 吉備湯浅パーキングエリアにつきましては、現在、日本道路公団及び地元関係者の方々とともに、地場産品の販売所を設置するなどの活用方針について検討中でございます。
 今後、道の駅や御坊以南の高速道路に設置されるサービスエリアなどにつきましては、観光案内や地場産品のPRを行う場としての機能を持たせ、地域振興に寄与できるよう努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 警察本部長青山幸恭君。
 〔青山幸恭君、登壇〕
○警察本部長(青山幸恭君) 大沢議員のご質問にお答え申し上げます。
 議員ご指摘のとおり、高齢者の交通事故は年々増加傾向にございまして、このため、高齢者の交通安全教育の実施に当たっては、交通事故の実態等を踏まえ、参加・体験・実践型の交通安全教育など、常に新しい視点に立ってより効果的な推進に努めているところでございます。
 具体的には、高齢者ドライバー対策としてのシルバー教室の実施、いきいき長寿社会センターの協力を得ての老人の船における洋上安全教室の実施、各老人クラブの会合等を活用した交通安全教室の開催等でございまして、平成七年にはこうした安全教育を含め約四百回、全部で二万三千人の方々の高齢者に対する交通安全教育を実施したところでございます。今後とも、関係機関、団体と連携の上、一層の推進に努めてまいりたいと思っております。
 次に、高齢者を対象とした交通安全施設の整備についてでございますが、その内容といたしましては、視力などの低下を補うための音の出る信号機、青の時間が延長する思いやり信号──これは弱者感応化でございます──信号の残り秒数を表示する残秒表示つきの信号機等でございまして、これらの安全施設の整備によって高齢者の事故防止に努めているところでございます。
 次に県独自の対策といたしましては、思いやりのある交通環境づくりを推進するため、平成七年の五月から毎月十五日を「交通弱者にやさしい日」と指定して県下一斉に高齢者の保護対策を推進しているほか、歩道の足元付近に信号灯を埋め込んだ、いわゆる喜の国信号の設置などを行っております。
 なお、議員ご指摘の交通安全教育車につきましては、科学的適性検査機器を搭載した運転者教育用の車両でございまして、本議会にご提案させていただいているところでございます。この車の導入によりまして、郡部における高齢者の交通安全教育をより効果的に実施することができ、高齢者自身の安全教育あるいは技術の習得に大きく役立つものと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 1番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 ただいま、知事初め関係部長から答弁をいただきました。しかし、簡単ですけれども、三点ばかり要望させていただきたいと思います。
 まず梅の問題ですが、バブル時代を含め、平成景気など経済成長に支えられて食品も美食や健康食、自然食ブームに乗り、梅消費者が大変拡大し続けています。この中で、梅農家は消費者ニーズにこたえるために生産に追われてきたのが昨今の実情だと思います。しかし、過疎化や農業人口の高齢化が進み、若い働き手が少ない農家もあり、農家での土壌の手入れなど、体力を伴う作業ができなくなってきているのも現状でございます。そこで、梅農家の後継者対策についても取り組んでいただきたいと思います。
 また、原因説については、さきの議会で同僚議員がモグラによる原因説を新説として発言されておりましたが、農家の人たちは、原因がはっきりしないから、大気汚染説が浮上するとそれに不安を持ち、またバクテリア説が出てくるとこれにも不安を持ち、またさらに新しい説が出てくるとこれにも不安を持つといったような状況が今後も起こると予想されますので、県当局におかれては総合的かつ本格的に対策をお願いいたします。
 また、聞くところによりますと、これらの生育不良は関西電力御坊発電所が稼働した昭和五十九年以前にも発生していたということですが、もし大気汚染が原因とされるならば、自然食品、健康食品として梅が重宝がられているときに、和歌山の梅にとっても将来はありません。もしそうでありますと、発電所の操業停止も視野に入れながら考えなければなりません。また、それがだめな場合には、全国最高水準を誇る和歌山の梅の生産技術を最大限に生かすためにも、産業の空洞化時代に合わせて海外での梅栽培についても考えていかなくてはなりません。梅産業の振興発展のために県のさらなるご尽力に期待をいたします。
 次にハイウエーバスでございますけれども、紀南の区間を初め和歌山市には停車しないといったような車は観光客を中心に考えた運輸行政でありまして、地元の生活優先のものではなく、大変残念に思います。県経済の活性化、観光立県和歌山のためにも紀南と和歌山市、それに紀南と関空や京阪神を結ぶハイウエーバス路線がぜひとも必要であります。特に関空への電車の乗り継ぎが不便な点もあることから、採算面も前提条件にしながら取り組んでほしいものでございます。
 最後に高齢者の交通事故対策でありますけれども、警察では、高齢者は六十歳以上と昭和六十三年まで決めておりました。また、以前は六十歳以上の方を「高齢者」とは言わずに「老人」あるいは「お年寄り」、例えば「老人の交通事故対策」といった表現をすると言ってきたと聞いております。つまり、高齢者の概念には難しいものがあります。
 新免許証制度の導入ですが、一つ気になるのは、六十五歳以上のドライバーがシルバーマークをつけていることによってお年寄り扱いされると再就職が難しくなるなど、高齢者の生きる権利や人権を侵すケースも考えられるのではないでしょうか。こういったシルバーマークを警察が法的に義務化、強制化するというのは余り好ましくないと思います。高齢者の安全のためにも県が中心になって、強制的にではなく、温かく指導していくといったケースが必要だと思います。高齢社会政策課を持つ民生部や交通政策課を持つ企画部、それに道路関係の課を持つ土木部などを含めたプロジェクトチームを結成していただき、警察や県教育委員会の社会教育課を含めた対策協議会のようなものを設けてはいかがなものでしょうか。戦前戦後の日本を支えてきた高齢者の方々に楽しく人生を過ごしていただくためにも諸施策を講じていただきたいと思います。
 以上三点要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。

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