平成8年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(木下善之議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成八年三月十三日(水曜日)

○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番木下善之君。
 〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をいたします。
 まず最初に、輝く和歌山の創造について三点お尋ねをいたします。
 グリーンダイヤモンド計画について、西口知事にお尋ねをいたします。
 昨年の知事選挙への決意の中で、輝く和歌山の創造としてグリーンダイヤモンド計画が提唱されました。関西国際空港を視野に入れ、緑を生かした潤いのある町づくりを進める関西第四の都市圏構想は、まさに和歌山新時代にふさわしいビジョンであり、これの実現に向け大きな期待を持つ一人であります。
 紀北地域について、県都和歌山市を軸にどのような構想をお持ちかお尋ねするところでございますが、けさほど飯田議員の質問にも答弁がございました。関係市町村ではそれぞれ地域を生かした長期基本計画が樹立され、およそ十年ごとに見直しをなされておりますが、地域間の一体性を考える上で大変重要と思われますので、本計画の基本を示すべきと考えます。私なりに日ごろ考えている点を少し申し上げたいと存じます。
 紀北の東部・橋本にあってはベッドタウンの性格が強く、新たな転入の方は既に四〇%以上を占め、将来計画では七〇%を上回るとし、「大阪府橋本市」というイメージが大変強い感じを持たれ、昨年の知事選挙においても「和歌山県の知事選挙ですか」とも言われ、私ども大変微力で投票率が悪く、ワーストワンでありましたが、十年以上居住された方にはよく理解されるようになって、喜ばしい限りであります。一日も早く県民として地域に定着されるよう願うものであります。
 今後永住する上で「住んでよかった」と言われるにはやはり職・住近接の町づくりが重要であろうというのが、多くの転入者の意見であります。企業立地を初め昼間人口を安定させ、活力あふれる町づくりが望ましいとしますが、企業誘致については、昨今の経済環境を初め、交通の利便性、地価の問題、労働事情等多くの要素から成り、難しいと思うが、長期展望に立ったとき、このことは紀北東部として欠かすことのできないことと考えております。また、県下第二番目の指定を受ける伊都・橋本地域を橋本地方拠点都市地域とされ、拠点都市では恵まれた自然環境と良好な住環境を備えた職・住・遊・学の均衡ある地域づくりの推進を目指すとありますが、企業誘致についてどうお考えなのか、企画部長にお伺いいたします。
 次に、自然環境の保全と紀の川のすばらしさを生かす面であります。
 過日、水資源対策特別委員会において上流の大滝ダムの視察をいたしまして、平成十一年のダム完成を目指して本年秋より本格的なコンクリートの打設と聞かされ、ようやくにして紀の川沿線住民の悲願が達成され、洪水から守られることは大変結構であり、また紀伊丹生川ダム建設、紀の川大堰等、今後完成に向けて安定しつつある紀の川を快適な暮らしづくり、地域づくりの中へ位置づけされるよう検討されたいのであります。
 また、身近な環境づくりの上で、下水道伊都処理区は、関係住民のご理解と県及び地元町の熱意で八年度より本格的な工事に着工と聞かされてございます。長年待ち望んでいた地域にあっては、一段と町づくりに拍車がかかろうとしております。ところが、人口間もなく十四、五万到来という那賀地方の下水道那賀処理区の早期事業着手については地元議員が常々申されており、紀の川の水質汚濁防止と均衡のとれた地域環境づくりの上から早期に取り組まれるよう切望するところであります。
 次に、都市基盤づくりの上で交通網の整備は重要をなし、京奈和を初め府県間道路の促進、紀の川左岸農道と幾つかの架橋計画は大変意義が大きく結構でありますが、問題は、佐田先輩議員が昨年質問されましたJR和歌山線の複線化の促進であります。二両の黄色い電車がワンマンカーで走り、対向で幾度か停車もあって、一面のどかではありますが、和歌山新時代に合わないのではないか。将来、複線化とともにJRと南海の線形改良による相互乗り入れも検討課題ではなかろうか。また、本線のスピード化は京都、奈良も誘導できるものと考えます。知事の英断で、新年度予算には平成十年度事業着手を目標に鉄道整備推進調査費を計上されている点について、企画部長にお尋ねをいたします。
 都市計画の点で少し気づいたことは、和歌山市の議員さんのお許しを得て申し上げますと、昨年七月五日の大水で和歌山市田中町のJRとの立体交差地下道の洪水で交通が麻痺した点から、県都和歌山市の発展と本計画の百万都市構想からして、和歌山駅を中心とした鉄道高架は将来重要をなすものと考えておるところであります。県市協調の中、検討願えればと存じます。
 次に、二十一世紀に向けての本県農業の対応について、農林水産部長に次の三点についてお尋ねいたします。
 まず第一点は、ウルグアイ・ラウンド対策を含めた本県農業の振興策でありますが、国際的な農業分野においても市場開放が進み、農林水産物の関税引き下げ等、国際環境は一段と厳しさを増し、とりわけ国内での産地間競争が一層激化していることは、昨年十二月の農林水産委員会の大阪市場の調査でも改めて感じたわけであります。今後とも農業、農村を取り巻く環境はさらに厳しいものと受けとめている次第であります。
 さて、世界の人口は過去三十年間に約二十五億人ふえ、九三年に五十六億人となっております。これに伴う穀物需要の状況を見ますと、八〇年代半ばまでは人口増加率を上回る単位当たりの穀物生産量の伸びにより支えられてきましたが、それ以降、単位当たりの収量は伸び悩みとなり、人口増加に追いつかなくなってきているということであります。
 今後の開発途上国の人口増加等を考えますと、農水省の試算では二〇一〇年の世界穀物生産量は消費量と同じ二十三億八千八百万トンと推定しておりますが、一方、国連機関の予測では同じく二〇一〇年に穀物が開発途上国を中心に一億五千万トン不足するとも言われております。我が国においては、二〇〇五年時点で供給熱量ベースの自給率を四四ないし四六%の現状維持程度とする農産物の需給見通しとなっております。また、果樹振興基本方針では二〇〇五年目標で果実の総需要量は現在よりも九十万トン多い八百万トンと見込んでおりますが、そのうち国内生産量は現在より二十万トン多い四百五十七万トンで、国内産果実の占める割合は五七%、果樹の栽培面積はやや減少して三十万八千ヘクタールとされております。これらの国内外の農産物需給の動向も視野に入れながら、県は本県農業の方向を示すわけであります。
 県が昨年策定した二〇一〇年を目標とした二十一世紀農業振興計画を見ますと、耕地面積は平成二年の八五%に当たる三万五千ヘクタールとし、うち樹園地は二万一千七百ヘクタールを確保し、果樹王国を堅持するとあります。農家数は三万四千戸で、平成二年の七二%に減少する見通しとなっております。農業従事者については高齢化が進み、農業就業人口に占める六十歳以上の比率は平成七年には五七%と年々高くなっており、担い手不足は深刻化しておるのが現状であります。
 こうした中で、この振興計画では地域農業の担い手である中核農家を現状並みの一万戸として今後も確保することとしており、農業への従事年数を四十年サイクルとすれば、年間二百五十人の後継者確保を目標として掲げています。これからの農業を担う後継者問題は重要な課題でありますが、一九九〇年代の新規就農者数は県下で年間七十人以下の実績となっており、目標の三〇%しか達成されていないのが現状であります。将来、中核農家一万戸、後継者年間二百五十名の確保に向けてどのように取り組まれていくのか、お伺いいたします。
 また、中核農家となる担い手確保の観点に立って平成六年度から認定農業者制度が発足し、平成八年一月末の認定状況は全国で五万五千八百四十三名、このうち法人が二千三百二十七となっているようであります。この制度は、地域において経営改善に意欲的な農業者を市町村長が認定し、認定後も関係機関が一体となってその農業者を支援していくと聞いておりますが、本県のように中山間地域が多く高齢化が進んでいる農業実態の中では、このように、将来の農業に夢を託し積極的な経営志向を持つ農業者に重点的な指導を行うことは重要であると考えます。そこで、本県における認定農業者数と認定農業者への支援についてお尋ねいたします。
 次に、紀北地方は自然環境のよさも手伝ってか作目の種類も多く、果樹だけでも多くの特産品を育てておりますが、さらに紀北農業の活性化を図っていくためには、近年需要が増大している花卉の振興を強化すべきではなかろうかと考えています。このようなことから、紀北地域の花卉振興についてどのように進めようとしているのか、お伺いいたします。
 また、ウルグアイ・ラウンド農業合意による対策として、二〇〇〇年を目標に国においては六兆百億円、地方単独事業で一兆二千億という規模で支援することとされておりますが、農業予算としては恐らく最後の生き残りをかけた事業と受けとめております。本県におきましては、この対策により今後の労働事情に対応した近代的な構造改革を進め、圃場や農道の整備、園地のフラット化、中山間地の農地保全、農地流動化対策、農村環境の整備等を進めなければなりません。これらの事業推進に当たっては地域住民の声を聞き入れ、農業を本県の重点基幹産業として確立するよう、期限内に最大限の事業推進と資金の活用を図ることにより均衡ある本県農業の発展に努力を払われるよう望むところであります。
 ウルグアイ・ラウンド農業合意により、オレンジ、肉類だけでなく米も新食糧法が施行されて一段と厳しい競争にさらされることとなり、農家はゴールなき規模拡大によるコスト引き下げの道を選択せざるを得ない時代を迎えております。岐阜県などにおきまして、新幹線の窓越しに八つの大きな看板が設置されているのが見えます。果樹王国和歌山、和歌山のミカン、和歌山の柿などでありますが、この看板をおろすことのないよう、二十一世紀に向けて本県農業の振興になお一層の取り組みを切望しておきます。
 次に、紀の川用水の余剰水利用についてお尋ねいたします。
 十津川紀の川総合開発事業は、十津川と紀の川を開発し、大和及び紀伊平野の農業用水を確保することにより農業の生産基盤の安定と、あわせて上水道用水の確保及び水力発電の増強を行うとして計画され、紀の川用水については建設省施行の猿谷ダムを水源として、農林省により昭和三十九年度から頭首工一カ所、幹線水路三十五・三キロメートルを新設し、最大毎秒五・八一立方メートルを大和丹生川より取水導水し、主に紀伊平野の高位部を賄っております。
 紀の川用水の当初の計画は、橋本市より和歌山市にわたる二市七町、受益面積は水田二千三百九十一ヘクタール、果樹園二千五十一ヘクタール、合わせて四千四百四十二ヘクタールを賄うとして、国営で三十九年度から五十九年度までに百十五億円、県営三十七億四千八百万円、団体営十七億五千八百万円等の巨費を投じ、平成七年度で一部畑かんを残してほぼ完成に至っているところであります。
 ところが、長期にわたっての社会の変動と農業、農村を取り巻く環境は、農産物の輸入自由化、米の生産調整等、至って厳しい状態に置かれ、現在では水田千五百ヘクタール、果樹園約二百ヘクタール、合わせて千七百ヘクタールの需要にとどまっており、計画に対し三八%と極めて低い結果となり、さらに関空の開港と相まって那賀地方の農地の転用が今日以上になるものと予測したとき、数値で申し上げると六二%の面積に相当する水は一体どうなるのか。現在、受益者負担を軽減するために県及び関係市町が助成負担をなされておりますが、なお紀の川用水の受益者は本負担金以外に古来のそれぞれのため池の維持・管理負担もせねばならず、極めて厳しい状況にあります。
 こうした点から、紀の川用水の再検討を行って余剰水を有効に利用することにより受益者の負担軽減を図り、施設の適正な運用が図られるよう希望するものであります。農水省が一九九二年に制度化して推進している国営農業用水再編対策事業がその目的を持った事業であると聞いております。利根川に次いで全国二番目となる十津川・紀の川が本事業の実施に向けての計画に平成八年度から着手されるようであるが、本事業に対する県の考え方を伺います。また、本事業において紀の川用水についても検討されるのかどうか、伺います。
 次に、農協合併推進に伴う県の対応策についてお尋ねをいたします。
 農協合併問題については、社会経済環境を初め、農業、農村を取り巻く環境の変化に対応するため、自主合併を原則として全国的に急速な進展を見ているところであります。本年の二月一日現在の農協数は全国で二千四百三十二農協となっており、目標を五百七十農協としてなお一層の広域合併を進めるとともに、現在三段階制となっている農協系統組織についても、県単位の連合会を廃止して単位農協と全国連合会を直結する二段階制に簡素化することにより経営の効率化と組合員農家の経営安定に寄与することをねらいとしております。
 さて、本県においては、現在の四十一農協から広域的な農業形態や生活経済圏などを考慮した県下八農協を目標に取り組まれているのが現状のようであります。伊都地方においては、まさに合併して成果をおさめている那賀郡の紀の里農協をモデルに合併研究委員会が三年前に設立され、各組合の役員レベルで毎月一回の定例会を催し、昨年には合併推進委員会に切りかえて、ほぼ合併の目途が見えてきたところでありましたが、その後、動きがとまってしまった状態となっています。
 私も昨年まで農協の理事をしていた経験から考えましても、団体の自主的な取り組みだけでは地域における多種多様な課題を調整して合併に持ち込むには限界があります。やはり県や市町村という行政からも積極的な応援をして、さまざまな問題の解決に英断を下してやることも必要ではないかと思うわけであります。昨年の十二月には、農林水産省が全国農協中央会と農林中金の代表者に対して今回の住専問題を契機にして組織改革に断固たる決意で取り組むよう要請したということも聞いております。こうした経過も踏まえ、農協合併に対する県としての考え方をお伺いいたします。
 次に、地域情報化の基盤整備について、企画部長に二点お尋ねをいたします。
 情報化時代と言われております。情報は、人、物、金と並ぶ第四の経営資源と言われております。
 自治省から平成二年一月に地方公共団体における地域の情報化に関する指針が出され、地域情報化の推進について、各地方公共団体においては地域のニーズに即した情報システムの導入を推進することにより地域間の情報格差を是正し、国土の均衡ある発展を図る必要があるとしております。こうした中で、ここ二、三年の間、コンピューターは高性能化し、小型化し、低価格化し、使いやすさの面で飛躍的に向上し、とりわけパソコンの普及は一般家庭にも定着されるまでになったことはご承知のとおりであります。
 そこで、インターネットについてお尋ねをいたします。
 インターネットは、一九六九年に米国の四つの大学のコンピューターを接続し、学術目的で取り入れたのが始まりのようで、その後、政府系の財団が中心にネットワークを拡大されたとあります。現在では世界百五十カ国、八千万人の利用者がいると言われ、日本のインターネットの普及は米国に比べて六ないし七年おくれで米国の三十分の一と言われておりますが、大変な普及ぶりであります。
 インターネットは、ご承知のように、コンピューター画面を通じて情報を発信及び受信され、行政の重要な情報あるいは緊急情報を初め、観光情報、特産品の紹介等、地場産業の振興にも大きく貢献するものと考えます。私も昨年十一月、地元市の文化祭にて少し勉強をさせていただき、二十一世紀までには県下一円にネットを張るべきと考えた次第であります。先日の新聞にも、インターネットによる本県美里天文台と中学校の教室を結ぶ全国初の授業がなされたこと、田辺市やJA紀南より全国ネットへ向けての梅などの特産品あるいは観光紹介も報道されており、大変結構なことで喜ばしい限りでございます。
 本県が他の県にやや先駆けて取り組まれている点は評価できますが、今後、県民のために産業振興の上で県下一円にどうしてネットワークをつくる計画なのか、また地方の拠点として必要な中継基地局つまりプロバイダーをどのような形で設置するのが望ましいのか、その施設費、専用回線の維持管理負担等、第三セクターであるとか、種々検討され、県がその指導調整をしてやるべきと考えますが、いかがなものか。
 また、先日の新聞ではアメリカにおいてインターネットへの接続に限定したパソコンを三百ないし五百ドルで発売開始と言われ、高速通信網の整備は一挙に加速し、二十一世紀初頭にはハイパーネットワーク社会が訪れ、この基盤をなすものがインターネットであると思われます。この点についてお伺いいたします。
 次に、移動通信用鉄塔施設整備事業についてお尋ねをいたします。
 本事業は、自動車電話、携帯電話等、移動通信サービスを全国いずれの地域でも使用できるようにするため国が平成三年に創設したもので、エリアを拡大して地域間の電気通信の格差を是正することが目的であります。
 今日、携帯電話、自動車電話は急激に普及し、平成八年一月末現在、全国で八百六十七万台と言われ、大変利便性のあることは言うまでもありません。国は、民間事業者だけではなかなかエリアの拡大が進まないとして、対象地域を定め、既に事業が五カ年経過しているのが現状であります。中山間地域が多くを占める本県では、その機能が十分果たされないのが実態ではなかろうか。半島性の地域も対象として認められ国庫補助の適用が受けられるとするならば、十分検討され、年次的に本事業により一層の拡大を図ることは産業の活性化につながるもので、ぜひ取り組むべきと考えます。この点についてお伺いをいたします。
 次に、土木部長に次の四点を簡単にお尋ねいたしますので、簡潔な答弁をお願いいたします。
 国道三百七十一号バイパスの事業促進でございますが、昨年の私の一般質問で、平成七年度においては続いて用地買収とともに工事用進入路を敷設したいとの答弁をいただいてございます。今年度予算は相当増額となっておりますが、本路線の工事着工のめどについてお尋ねをいたします。一つの起爆剤として重要と受けとめておりますので、できるだけ平成八年度で実施できないものか。
 また、大阪府側の国道三百七十一号については、先日、大阪府庁や地建の方へ参って説明を受けたところでありますが、トンネル十カ所、橋梁二十四基から成り、平成八年度より石仏付近から相当工事に入ることを聞かされております。
 次に、国道二十四号より国道三百七十号に向けての市脇・清水間架橋については、向井議員も質問されております。昨年六月の私の質問への答弁では、ボーリング調査、予備設計及び河川協議を行って都市計画の変更を急ぎたいとありますが、今日までにどの程度進展しているのか、お伺いいたします。地元市としましても、促進協議会初め十幾年、知事陳情を重ねてきたことを思うと、何としてもひとつ早期に着手いただきたいところであります。
 次に、国道三百七十一号の仮称・高野山バイパスのルートと周辺整備についてであります。
 京阪神より高野山を経由して南紀に通ずる本県東部の最重要路線として国道四百八十号と三百七十号線が位置づけられておりますが、現道の三百七十一号は、改良を行っても最近の規格に合致しない点、また数キロに及ぶ紀伊丹生川による水没等、路線の大幅なルート変更をなされるやに聞き及んでおります。
 本事業は地域高規格道路として位置づけられ、規格に合わせた設計、経済性、地域環境を配慮して総合的な見地から定められるものと思いますが、関係地域は県立自然公園玉川峡として、夏には地元を初め京阪神より数万人の観光客が訪れているかけがえのない景勝地であり、この地をダム建設において永久に失うこととなります。ダム建設は治水、利水の面から必要やむを得ないと考えますが、それにかわる周辺整備、地域整備として県の十分な対応を切望するところであります。
 こうした中で、ダムによる国道三百七十一号つけかえ及びその工事用道路としての役割を果たす国道三百七十一号の仮称・高野山バイパスのルート決定については、ダム関係地域の一市二町の意見に十分配慮して取り組まれるよう願いたいのであります。
 玄関口の橋本市が通過道路となっては困るわけでございまして、観光に誘導できる名所をつくることも大切と考えます。本県最南端・串本でループ橋の工事に入られておるようでありますが、紀北の入り口にも、高野山は高いところとしてループ橋をぜひ提案するものであります。全国各地の資料を求め、過日、岐阜・福井県境の国道百五十八号線の白鳥ループを調査させていただきました。また、他の県ではループ橋を中心に多くのイベントを開催し、名物となっておる地域も多くございます。名所がなければ、つくればよいわけでございます。紀の川を東西十数キロ眺め、多くの町並みを遠望できるような地域もルートの中へぜひ入れておくべきと考えるところでございます。あわせて十分ご検討いただきたいのであります。
 次に京奈和自動車道の促進についてでございますが、ようやく大型予算が計上された点で、西口知事のご熱意に感謝を申し上げます。また、何分、一千億に近い膨大な橋本道路区間の事業費であるだけに、今後とも予算の増額をあわせてお願い申し上げるところであります。
 この京奈和自動車道橋本道路の工事着工のめどについてお伺いをいたします。あわせて、国道橋本事務所等の陣容体制も順次、強化充実されたいと存じます。さらに、紀北東道路に平成五年度に事業着手されて取り組まれている点、大変望ましいところでありますが、早期事業化されるよう希望し、今後とも太平洋新国土軸としての機能を早期に発揮できることを望み、そしてまた本県の発展に寄与されることを希望して、私の第一回目の一般質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下議員のご質問にお答えをいたします。
 グリーンダイヤモンド計画についてのご質問でございますが、グリーンダイヤモンド、まさしくグリーンのダイヤの形の計画という意味であります。
 泉州南部地域と紀北地域は、経済的にも文化的にも大変深いかかわりを持ってともに発展をしてきたわけであります。また、近年の関西国際空港の開港、あるいは近畿自動車道紀勢線、府県間道路の整備によって、さらには関西国際空港の全体構想や太平洋新国土軸構想の推進、和歌山下津港の整備が進むことにより、大いに発展が期待される地域でございます。今後、和歌山県が関西圏の一翼としてその役割を果たしながら発展していくためには、紀北地域と泉南地域が連携をし、一体となって関西圏の新たなる核としての都市圏を形成していかなければならないと思っております。こうした展望に立って、私は紀泉地域を緑で結ばれた一つの都市圏としてとらえ、自然と共生した国際的な複合機能都市の形成を図ることが重要であると考えているところでございます。
 お互いの地域を結びつける交通網の整備を進め、和泉山脈や紀の川流域を初めとする魅力的な自然や文化資源を活用しながら、居住、文化、交流機能を適正に配置いたしまして、同時に産業の高度化と集積を図っていこうとするものでございます。今後、関係市町村並びに大阪府とも一層の連携を図りながら、国際都市にふさわしい都市圏づくりというのを将来に向けて進めていかなければならない、そのように考えておるところであります。
 以上であります。
○副議長(木下秀男君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 企業誘致についてお答えします。
 紀北東部地域における企業誘致の推進でございますが、現在、橋本市隅田地区において、住宅都市整備公団により橋本林間田園都市の新しい町づくりとして土地区画整理事業が行われてございますが、この土地利用計画で誘致施設用地が予定されているところでございます。
 橋本市周辺はベッドタウン化され、人口が急増してございます。大阪府に近いという交通の利便性から、最近、当該用地への進出について企業から問い合わせ等もございます。橋本市周辺地域はこのように企業誘致に適しておりますが、将来展望に立ちまして、次世代の人たちの就業の場を確保するためにも企業立地の受け皿である企業用地の造成が必要であると考えてございます。このため、橋本市においても現在用地検討を行っており、県としてもその計画が具体化すれば支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 いずれにしても、国道百七十号のバイパス開通により大阪中心部からも近くなり、十分な労働力があるなどすぐれた立地条件を持つ橋本地域への企業導入の促進は、議員ご指摘のとおり、職・住近接を進める上で非常に重要であると考えてございます。今後、企業誘致実現のため、橋本市とも十分な連携をとってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 木下議員にお答えいたします。
 和歌山線の整備についてでございますが、紀北地域の活性化を図るためには、議員ご指摘のとおり、JR和歌山線の複線化、JRと南海電鉄の相互乗り入れ等、鉄道の利便性の向上を図ることが重要であると考えているところでございます。
 しかしながら、和歌山線の複線化については用地買収など巨額の投資が必要とされるといった問題、またJRと南海電鉄の相互乗り入れについては、JRと南海の車両の規格等の違いを克服するための車両の改造あるいは橋本駅構内における渡り線の新設等、莫大な投資が必要になるという問題点があると聞いてございます。
 県としましては、紀北地域における鉄道の利便性の向上を図る観点から、本年度当初予算において平成十年度事業着手を目標に和歌山線のスピードアップや快適性の向上を図るための具体的整備方策等について検討を行う調査費を計上したところでございます。今後、この調査の結果を受けて、沿線市町村等の地元の皆様とともに、JR西日本等の関係機関へ和歌山線の利便性向上を働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、議員お話しの県内のインターネットのネットワークについてでございますが、本県では平成五年度に和歌山大学経由で大学間ネットワークに接続しており、パソコン通信のウエーブネットや生涯学習情報、県立図書館文献検索などがインターネット上で利用できるようになってございます。
 現在、県立図書館、工業技術センター、県立医科大学、美里町が大学間ネットワークに接続しておりますが、この大学間ネットワークはその性格上、教育研究等を中心とした接続に限られているところでございます。県としては、今後とも県立の試験研究機関や学校及び市町村とのネットワークづくりについて、関係機関と協議を行いながら進めてまいりたいと考えてございます。
 また、県民や企業のインターネット利用につきましては、現在、県内でプロバイダー数社が営業活動を開始または開始しようとしており、現時点では民間活力の活用が効果的と考えてございます。今後、インターネットの利用動向を見きわめながら、産業振興を初め地域の活性化を図るためのさまざまな分野へのインターネットの活用方策について、関係部局と連携しながら推進を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に携帯電話や自動車電話についてでございますが、県内では平成八年一月末現在で契約数が約八万五千件で、昨年三月末に比べて約二・三倍と急激に伸びてきている状況でございます。また、県内で通話可能なエリアは国道二十四号、四十二号の沿線及び高野町となってございます。
 本来は郵政大臣の許可を受けた電気通信事業者が行う事業でございまして、県としてはNTTグループとの定期的な会合を通じて要望を行っているところでございますが、採算が見込めない地域への進出については厳しい状況にございます。そのため、電気通信の格差是正を図ることを目的に平成三年度より移動通信用鉄塔施設整備事業が制度化され、県内では国、県の補助により高野町が平成六年度にこの事業を実施したところでございます。
 国の平成八年度予算案では従来の過疎町村などに加えて半島地域などが対象地域に拡大されましたが、本県では新たに川辺町、南部川村、上富田町の三町村が対象地域となり、現在通信サービスが利用できない十六町村のすべてがこの事業の対象となっております。
 今後とも引き続き電気通信事業者への働きかけを行うとともに、補助事業の実施を希望する町村に対して支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 二十一世紀に向けての本県農業の対応について、三点のご質問にお答えいたします。
 まず一点目の農業振興施策についてでございますが、本県独自の二十一世紀農業振興計画につきましては、ウルグアイ・ラウンド農業合意等の国際化の進展や国の農産物の需要と長期見通しの作業過程等を注視しながら、人と基盤に視点を合わせ、二〇一〇年を目標年次として策定したところでございます。その中で、担い手となる中核農家の目標については一万戸としてございます。
 お話しの地域農業を担う中核農家の確保につきましては、ここ数年の新規就農者は増加傾向にございますが、依然として厳しい状況にあることも事実でございます。このため、担い手育成については中長期的な視点に立って施策展開に努めることとしており、平成八年度の当初予算においてもウルグアイ・ラウンド国内対策を積極的に盛り込んだり、低利資金を融通する中核農業経営者育成対策資金を創設するほか、引き続き新規就農者に対する無利子の就農支援資金の充実等を図ることとしてございます。また、認定農業者については平成八年一月末現在で二法人を含む二百十一人が認定されたところでございまして、低利のスーパーL資金の融通のほか、関係機関と一体となって技術や経営の指導など、支援を行っているところでございます。今後とも、農家の自主性を尊重しながら、地域の特性を生かした収益性の高い農業の実現に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、紀北地域の花卉振興についてでございます。
 当該地域には柿、桃、軟弱野菜など多くの特産品がございますが、若い農業者にも魅力が持てる収益性の高い花卉類の振興によってさらに地域農業の活性化を図ることが重要と考えてございます。このため、これまで菊、バラなどの切り花類を中心に約九十ヘクタールの施設化を図ってまいったところであります。今後はさらに施設面積の拡大や低コスト化、省力化を進めるとともに、パンジー等の花壇苗や鉢物類も推進するなど、紀北地域の花卉振興を図ってまいる所存でございます。
 次に、二点目の紀の川用水の余剰水利用についてでございます。
 国営十津川紀の川土地改良事業等により造成された用水施設の老朽化に伴う改修、それと紀伊平野及び大和平野の営農形態の変化等による農業用水の水利用計画の見直しが必要となってまいっております。このため平成三年度より国において地区調査が実施され、さらに平成八年度からは二カ年間で国営かんがい排水事業と国営農業用水再編対策事業のための全体実施設計が進められることとなってございます。
 県としては、施設の改修と農業用水の安定確保に加え、紀の川用水等の余剰水が有効に利用されることにより受益者の負担金が軽減されるよう流域市町や関係土地改良区との調整を図るとともに、国との協議を進め、事業の早期実施に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 三点目の農協合併の推進に伴う県の対応についてでございます。
 昭和六十三年の本県農協大会において県内を八農協とする構想が決議され、また二段階制などの組織整備の推進についても全国農協大会などの場で討議が進められるなど、農協系統が組織を挙げて合理化と経営基盤の強化に取り組んでいるところでございます。
 しかしながら、広域合併に際しては各組合間の財務格差や販売手数料の問題などさまざまな課題を調整するとともに、組合員の合意が基本であると考えてございます。このため県としては、県農協中央会の合併推進活動への支援や合併推進法人に対しての助成のほか、各地域ごとの課題についても検討の場を設けて調整を行うなど、積極的に合併推進を図ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 木下議員の道路交通網の整備促進についてのご質問、四点についてお答えいたします。
 まず、国道三百七十一号の橋本バイパス、延長六・五キロメートルにつきましては、四車線の計画として平成元年度に事業化を行い、現在、鋭意用地買収の促進を図っております。本体工事の前に残土処理場を確保する必要がありますので、その進入路等について関係機関と協議を行っておりますが、下流の水利権者との調整に時間を要し、いまだ同意を得るには至っておりません。今後とも早期に関係者の同意が得られるよう努力するとともに、同意が得られ次第、平成八年度に進入路等の工事に着手する予定としており、早期に本体の工事に取りかかれるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、市脇・清水架橋については平成六年度から調査を進めており、現在までに七カ所でボーリングを実施するとともに、国道二十四号市脇交差点から国道三百七十号清水地内までの約七百メートルについて、平面線形などについての検討を行ってきたところでございます。また、橋梁については平成八年度に河川協議を精力的に行うとともに、国道二十四号の交差点処理が非常に重要な課題でございますので、今後、関係機関と協議を進め、早期に都市計画決定の変更を行い、事業の早期着手に向けて精力的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、国道三百七十一号の仮称・高野山バイパスについてでございます。
 国道三百七十一号は、大阪から橋本、高野龍神スカイラインを経て紀南地方へと連絡し、本県の内陸部を縦貫する非常に重要な道路であり、また丹生川ダム建設に関連して整備すべき道路でございます。この道路の計画に当たっては、走行性、安全性、経済性のほか、沿道条件や周辺道路網との整合性などに配慮しながら検討を行っているところでございます。
 ご指摘のループ橋につきましては、一般的に、距離が短く高低差が大きい場合にやむを得ず採用する工法でございます。今後、計画をさらに進めるに当たっては、さきに述べた観点のほか、地域整備に関連する状況なども十分考慮しながら早期整備に向けて努力してまいります。
 最後に、京奈和自動車道についてでございます。
 県議会の皆様方を初め、関係各位のご尽力のおかげをもちまして、平成八年度の政府予算案では、京奈和自動車道橋本道路を初め高規格幹線道路等にかかわる事業費は大幅に増額される見込みとなってまいりました。事業を推進するためには円滑な用地取得が最も重要でありますので、今後とも国道橋本事務所等の機能充実に努力するとともに、用地買収に関係する諸手続につきましても地元の市や町などにも積極的なご協力をお願いしているところであります。橋本道路の工事着手については、用地買収の状況等を見ながら早期に工事用道路から着手する予定と聞いております。県としては今後ともさらに橋本道路、紀北東道路の整備促進に努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 2番木下善之君。
○木下善之君 二点ばかり要望を申し上げておきたいと思います。
 それぞれ答弁をいただきましたけれども、国道三百七十一号あるいは京奈和自動車道橋本道路、これらの用地買収が相当なされておるやに見ておりまして、工事着工の時期が相当見えてきたなと、私なりに判断しておるわけでございます。幸い、伊都・橋本地域にあっては拠点都市地域の指定等も聞かされております。そうした中で、拠点都市地域を記念するといいますか、やはり地元では大変待ちかねておる問題だけに、できるだけ一刻も早く着工をなされるよう、ひとつ要望しておきます。
 もう一点、農協合併に対する県なり市町村の支援の問題でございます。
 県下の状況をいろいろ聞かせていただきますと、ここ一、二年の間が非常に大事な時期であろうと判断をしております。これはあくまで自主合併ということでございますけれども、そうした大事な時期でございますし、そしてまた合併することが本当に県下の農家のためになるのであれば、積極的な支援をさらに強めていただくよう要望をいたして、終わります。
 ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下善之君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時五十五分散会

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