平成8年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(松本泰造議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成八年三月十二日(火曜日)

○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番松本泰造君。
 〔松本泰造君、登壇〕(拍手)
○松本泰造君 戦後五十年目の昨年は、阪神・淡路大震災、オウム真理教事件、金融不安等々、次々に発生した不安定要因、さらに、選挙に始まり選挙に終わる大変慌ただしい一年でありました。明けてことしは、年頭の村山総理の辞任、橋本内閣の発足、住専問題等々、ことしもまた大変慌ただしい中にはや七十日余りが過ぎました。こうした中、本県では、先日の南紀白浜空港の開港、月末には一般有料道路の広川・御坊間の開通等々、和歌山のあすを開く祝賀行事が続いておりますが、平成八年度和歌山県政の方向を決める当初議会に当たり、一般質問を行い、知事及び関係当局の所信を伺いたいと思います。
 なお、午前中からの三人の議員さんの質問内容と若干重複する部分があろうかと思いますけれども、お許しをいただきまして、通告に従い、質問をさせていただきます。
 まず、平成八年度当初予算と行財政改革、組織の再編についてであります。
 先日、ある新聞のコラム欄に、「予算は政治の顔である。時の政権が何を考え、どのような政治を目指そうとしているのか、それが顔になってあらわれるのが予算である」、こう書かれてありました。新知事誕生後、極めて短期間であるにかかわらず、和歌山新時代の創造に向けた政策目標を掲げ、県税収入減少など財政事情は依然厳しい中にあっても、起債による県単独事業を大幅に伸ばし、投資重点型の積極予算が上程されており、西口知事の積極的な顔をかいま見る思いがいたします。
 そこで、以下、五点について質問をいたします。
 まず一点は、景気低迷の折から県税収入は平成三、四年当時の一千億円台に比べて約一三%減と財源不足が目立つわけでありますが、複雑多岐にわたる県民要求を実現していくためにも、今後、自主財源の確保に向けどんなことに取り組んでいったらいいのか、知事の所見を伺いたいと思います。
 二点目に、膨張する県債についてであります。ことしは七百六十九億円の県債を発行し、歳入の一三・九%に達しており、県債の残高が五千億円台に乗ったわけでありますが、この事態をどう考えておられるか、伺いたいと思います。
 三点目は、基金の繰り入れについてであります。ことしの予算では、財政基金から百億円、県債管理基金から百八十八億円、その他の基金から七十九億円、合計三百六十七億円の取り崩しを行っております。これらの取り崩し額の増加はここ数年続いてきているようでありますけれども、基金残高と今後の見通しについて伺いたいと思います。
 四点目として、税収の減少、起債増発や基金取り崩しの予算編成から推察するとき、来年以降、変革と発展の県政を推進するための財源捻出上、行財政の大胆な改革、発想の転換、五十市町村や住民の理解と協力等々、新たな政治の推進が必要不可欠だと考えますが、お考えがあれば賜りたいと思います。
 いま一つは、西口知事が目指すスピード・シャープ・サービスの県政実現のため、やる気と機動力のある組織の再編が不可欠であろうと考えますが、四月の人事異動に対する基本的な考えを伺っておきたいと思います。
 次に、首都機能の移転に対する本県の考え方についてであります。
 首都機能の移転について審議をしてきた国会等移転調査会が、昨年十二月十三日に、九項目から成る移転先選定基準に基づき、新首都の候補地を二年以内に決め、今世紀中に着工し、二○一○年には新首都での国会開催を目指すことなどを盛り込んだ最終報告書を取りまとめ、当時の村山首相に提出したと報道されました。東京からの距離は六十キロメートルから三百キロメートルの範囲内であることなど九項目の選定基準から成る報告書は、首都移転によって規制緩和と地方分権のきっかけになる、社会資本整備による経済効果が見込める、政経分離で災害時のリスクも分散可能などの利点を挙げております。
 さて、新聞紙上によりますと、首都機能移転については、既に北海道、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、岐阜県、滋賀県の各県議会がそれぞれ自県への誘致を決議し誘致合戦を展開中のようであり、東日本各県は連携して東京より東への移転運動を強力に展開中とのことであります。これに対し、中部から九州までの各経済連合会で構成する西日本経済協議会が、中部への首都移転は西日本の総意であるとして、新首都の共同誘致運動を本格的にスタートさせるなど、東日本対西日本の構図による誘致合戦はますますエスカレートする気配であります。
 さて近畿県内では滋賀県議会が、国土のほぼ中央に位置し、交通の利便性がよく、歴史、文化に恵まれており、自然災害が少なく、豊富な水資源があるなどの理由を挙げて、首都移転候補地として検討するよう求める意見書を提出しているようであります。西日本に位置し、国土軸から外れた和歌山県としても、国会等移転調査会の選定基準等をにらみながら、将来を見据えて首都移転に対する意思表示を明確にし、県益につながる首都移転誘致支援運動を行うべきと考えます。
 そこで、改めて西口知事よりこの問題に対する考え方を伺っておきたいと思います。
 まず一点は、首都移転に対する知事の考え方であり、第二点は、この問題に対する和歌山県としての取り組み方について、以上二点についてご答弁を求めます。
 第三点目は、高校教育についてであります。
 明三月十三日から県下一斉に高校入試が実施され、一万人以上の中学生が受験する予定になっておりますが、間もなく新学期を迎えるこの時期、高校教育について何点か質問と要望を行っておきたいと思います。
 まず一点は、教育内容の充実、すなわちレベルアップについてであります。
 近年、和歌山県下でも私学への進学希望者がふえつつあり、私ども有田地方からでもかなり多くの小中学生が私立の中学校や高校を受験し、合格していっているようであります。ある小学校、ある中学校では、卒業生の一割強が私学の試験に合格したというような話を耳にするところであります。なぜ、近くに公立の中学校や高校がありながら私学を目指すのか。それは何といっても、三年後の進学をにらんだ場合、私学の方がはるかに高い学力というか進学確率の高さに起因しているのではないかと推察するのであります。
 先日、私は、ことし息子が大学受験に失敗したある父兄から、こんな話を聞かされました。「私の息子は、毎日のように全国あちこちの大学の入学試験に挑戦したけれども、なかなか県立高校の学力ではストレート合格は難しく、このままでは来年一年浪人させて予備校へ行かさざるを得ない。こんなことなら高校進学の時点で私学へ行かしといたらよかった。結局、一年間予備校へ通わしたら経済的に大変な負担になり、時間も損で、まさに後悔先に立たずですわ」との無念の話でありました。
 確かに、この時期、週刊誌等に掲載されている大学入試速報では、残念ながら、県立高校に比べ私学出身者が幅をきかせているように感じることもまた事実であります。
 そこで、県教育委員会としては、こうした高校学力、すなわち私学との学力差問題、進学戦線の実態についてどのような認識をされ、取り組まれつつあるか、伺いたいと思います。
 いま一つ、島根県や福岡県の公立高校では、卒業生が進学浪人した場合、母校で勉学できるシステムをとり、予備校に係る父兄負担の軽減と、何よりも卒業生の学力について出身校が責任を持って再指導するという制度と姿勢であります。和歌山県教育委員会として、こうした島根や福岡のシステムをどう評価するか、本県も他県の実態を調査し前向きに検討すべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。
 続いて、公立高校推薦入学内定枠について質問をいたします。
 先月十四日、県教育委員会は、九六年度の公立高校推薦入学内定状況を発表しました。この内定状況をよく見ると、工業高校等職業学科の推薦定員枠はおおむね総定数の五○%に設定されているのに対し、進学課程と推察される高校の推薦枠はおおむね総定数の八○%に設定されております。しかも、職業学科では推薦受験倍率が高くても推薦定数ぎりぎりの内定を決定しているのに比べ、推薦入学枠八○%の学科では申し合わせたように推薦定員の八五%まで内定幅を広げているようであります。こうした推薦入学枠については、厳守する学校と定数枠以上に内定する学校との違いがなぜ起こるのか。推薦入学内定枠設定と運用幅について教育委員会としての考え方を伺いたいと思います。
 次に、熊野古道を中心とした自然歩道の計画についてであります。
 昨年末の新聞では、環境庁は和歌山県が要望していた近畿自然歩道を新規採択し、ルート選定調査のための整備計画調査費として二千万円の予算配分を決め、和歌山県としては熊野古道を中心とした長距離自然ルートとしての整備が期待されると書いてありました。
 ご存じのように、熊野古道は、中世よりアリの熊野もうでと言われるように、おびただしい数の人々が俗塵にまみれた過去の自分を異郷の地に葬り、新しくよみがえろうとしてたどる還元蘇生の道であったと伝えられております。都から淀川を下り、摂津から和泉、紀泉山脈を越え、紀の川を渡り、海南の藤白峠から有田、湯浅、御坊、印南と海明かりの道を田辺に向かい、田辺から先は熊野本宮に向かう山また山の道・中辺路に分け入る、これが熊野古道の主なルーツでありルートであります。
 今日、この歴史街道が格好のハイキングコースとして推奨され、ガイドブックを片手に古道を歩き、紀州の風光と歴史や自然を満喫する姿を数多く見かけるようになりましたが、熊野古道の整備が途切れ途切れであったり、通行不能であったり、道路案内や名所案内なども統一されていない実態にあります。このたび、紀伊半島を縦断する熊野古道が自然歩道として整備促進されることに大きな期待を寄せるところであります。
 そこで、今回の近畿自然歩道への位置づけ、整備調査のルートや範囲、整備要望の内容等、今後の見通しについて伺いたいと思います。
 続いて、有田地方の問題について三点ばかり質問をいたします。
 まず国道四十二号、有田市・海南市間の国道渋滞解消問題についてであります。
 この問題については、昨年六月議会において一般質問をさせていただいたところでありますが、質問をして五日後の七月四日には大雨の影響で海南・湯浅間の有料道路が通行どめになり、国道四十二号が大渋滞を呈し、当日、下津町以南の県会議員が本会議の開会時刻に大幅におくれた出来事も記憶に新しいところであります。そして九月四日には、県議会建設常任委員会の委員各位が、前例のない朝六時に県庁に集合して有田市までお越しいただき、有田市から海南市間の渋滞実態をつぶさに視察していただきました。当日、視察に参加していただいた正副委員長初め議員各位、並びに関係当局の皆さん方に心から厚くお礼を申し上げる次第であります。
 さて、海南・湯浅間の有料道路は、大雨や雪、凍結には極めて弱く、昨年暮れから新春にかけて何度も料金所が閉鎖され、その都度、生活道路であり産業道路である国道四十二号線に車が集中し、わき道も裏道も通学道路も長蛇の列で、有田市及び下津町の住民がたびたび大変な迷惑を受け、善処方を求める声が随所で高まってきたところであります。去る二月七日、有田市と下津町でつくる有田下津周辺国道整備促進協議会が、県及び地建和歌山工事事務所、建設省近畿地方建設局に対し渋滞の実態を訴え、善処方について陳情活動を実施したところであります。
 ところで、この問題については、和歌山県の平成八年度政府予算等に関する要望書の一項目にも加えていただいておりますけれども、不況にあえぐ市民の間から、このままでは陸の孤島になってしまうのではないかとの強い危機感が高まっており、現在、開会中の有田市議会でも何人もの議員が一般質問を通告するなど、早急な対策を求める声が続出しております。したがって、あえて次の二点について質問と要望をさせていただきます。
 当面の対策として、平成八年度はどのようなことから取り組み、検討、実施されようとしているのか、伺いたいと思います。
 次に、第五次和歌山県長期総合計画の策定のための審議会がスタートしたようであります。二○一○年を目標年次とするこの計画の中に明確に位置づけを行っていただきたいのでありますが、見解を賜りたいと思います。
 続いて、キララときめき道路と有田河口大橋の架橋についてであります。
 有田市から御坊に至る海岸線に位置する二市五町で有田日高海岸線整備促進協議会を結成し、豊かな自然環境とリゾート資源を最大限に活用しながら、地域の活性化を図るべく「キララときめき道路」と名づけ、狭隘な現在の県道を産業振興と生活道路及び観光ルートとして活用すべく、逐次、改良・拡幅工事が進められてきたところでありまして、この間の県当局のご努力に心から感謝と敬意を申し上げる次第であります。
 ところで、キララときめき道路は、ある意味では国道四十二号を補完する目的をも兼ね備えていてこそ所期の目的、すなわち経済効果を発揮するはずでありますが、南から北上してきて有田市に入ると最終の県道宮崎古江見線が矢櫃地区で行きどまりであります。県道宮崎古江見線、すなわち有田川左岸側には県下でも指折りの水揚げを誇る箕島漁港があり、水産加工があり、大型保冷車等陸上運搬車両の走行、さらには観光地矢櫃への大型観光バスの往来に加え、箕島漁港に隣接する男浦埋立地地先では六千三百余人収容の市民球場がこの春オープンし、オープン後の車両増加を推測するとき、狭隘な県道宮崎古江見線一本では大変な交通混乱とトラブルの発生が危惧されるところであります。
 そこで、有田川河口に大橋をかけ、行きどまりの県道宮崎古江見線と有田川右岸側の行きどまりの県道有田港線を河口大橋で結び、さらには既に開通している市道西浜新田線、砂浜奥線を経て国道四十二号線に結ぶことがキララときめき道路の経済効果を一気に高めるはずであり、また宮崎町周辺の利便性向上と安全確保に資するものであると考えます。
 こうした観点に立って、有田市では、現在、県が策定中の有田川流域圏活性化計画のシンボルプロジェクトである有田川河口周辺整備事業の目玉に位置づけていただき、あわせてこれが実現に向けて県当局のご理解とご配慮を強く望んでいるところでありますが、有田河口大橋架橋に関し当局の見解を伺いたいと思います。
 最後に、有田地方における農業用水等の不足についてであります。
 和歌山県のかんきつ農業は、恵まれた立地条件、自然環境、歴史と伝統に支えられ、温州ミカンを基幹として、中晩柑類等の優秀な産地が形成されており、ハウスミカンを含め、周年かんきつ類を供給できる名品種銘柄の産地として発展してまいりました。
 ところで、近年、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意にも見られるように、国際化への対応はもとより、国内的には消費者ニーズに適合した高品質果実の生産が求められる中、産地においては優良品種の導入、低コスト省力生産、出荷体制の整備、市場の開拓等、山積する諸問題に取り組んでいるところでありますが、平成六年、七年と連続してかんきつ産地が今までに経験したことのない大干ばつに見舞われたことにより、糖度の高い果実が収穫された反面、小玉果実の増加による収量、収益の大幅な落ち込みと樹勢の低下を招きました。最近では、段々畑のかなり頂上までスプリンクラー施設が完備されているにもかかわらず、有田川に水位がないためにその機能を発揮することができず、灼熱の太陽のもと、軽トラックにポリタンクを積んで、井戸水を山頂の畑に運ぶ日々が続きました。元来、有田川の水は、七・一八水害後、二川に治水を目的としたダムが建設されて以降、水源に恵まれてきたところでありますが、生活様式の向上に伴う上水道使用量の増加に加え、近年、農業技術や施設近代化に伴い、農業用水の使用量も大幅に増加してきております。加えて、今後、多目的スプリンクラー導入など、農業用水の必要量はますます増加するものと予測され、渇水に関係なく夏場の水不足が今後とも続くのではないかと危惧するところであります。
 そこで、将来の有田川水系における水資源と農業用水等の確保について質問をいたします。
 二年続きの渇水被害の経験を踏まえ、将来の有田川水系での水利用、すなわち生活用水の確保、農業用水、工業用水等の使用量増加を推測するとき、治水を目的とする二川ダム以外に利用水を確保する目的の利水ダムの必要性がないのかどうか。また、施設整備がなされている畑地かんがい施設について、例えば、宮原頭首工左岸側では、河川水位が低下した場合、取水障害が起こることもあり、こうした事態に対し農業用水が安定的に確保できるよう善処方を講ずるべく努めていただきたいのでありますが、関係当局の考え方を伺いたいと思います。
 以上をもって演壇からの質問を終わり、当局の誠意ある答弁を求めます。
○議長(橋本 進君) ただいまの松本泰造君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 松本議員にお答えをいたします。
 まず第一点は、平成八年度当初予算に関連した問題であります。
 各種プロジェクトを推進し、かつ健全な財政運営を行っていくためには、財源の確保、特に県税収入を中心とする自主財源の安定的な確保が望まれるところでございます。このためには、まず低迷を続けている景気の早期回復を図ることが重要課題でございますが、県内産業の活性化のための諸施策を八年度当初予算において措置するとともに、県単独投資についても地財計画を大幅に上回る一七・一%の伸びを確保したことは、先ほどから答弁させていただいたところであります。
 しかしながら、財源確保のためには中長期的な視点に立って税源の涵養を図っていくことが最も重要なことであると認識しております。このためには、企業誘致の積極的な推進、地場産業の育成、産業構造の転換等に積極的に取り組むとともに、交通基盤、情報基盤の充実など均衡のとれた社会資本の整備を一層推し進めることが、結果として将来の安定的な税収の根源になるものと考えております。
 次に、財源確保のための行財政の大胆な改革、発想の転換等、新たな政治の推進についてであります。
 限られた財源の中で新たな行政需要に対応していくためには、徹底した既存事業の見直しによる経費の節減とともに、最少の経費で最大の効果を上げるための簡素で効率的な行政システムの確立が肝要であろうと考えております。その第一歩として、八年度当初予算の編成に当たりましては、昨年十一月に策定された行政改革大綱に沿った事務事業等の積極的な見直しを行ったところでございます。行政改革の推進には職員一人一人の心の持ち方が大切であることから、常々職員に対して意識改革や発想の転換を強く要請しているところでございます。
 また、私が掲げている新しい和歌山の創造は、ひとり県のみでできるものではございません。市町村との役割分担を明確にしながら連携を強化することが大変必要であろうと思いますので、県民の皆さんには厳しい財政状況であることもご理解をいただいた上で、なお一層のご協力をお願いしてまいらなければならないと考えております。
 次に、人事異動などに関連をしてであります。
 昨年十一月の知事就任以来、スピード・サービス・シャープのスリーSを県庁のあるべき姿として掲げまして、まず職員には、現場をよく知り、第一線の人々の声をよくお聞きすることが大事だ、その上に立って県民の信頼にこたえるたくましい県庁を目指して日々県政を進めていかなければならない、そういうふうに訴えてきたところであります。
 県庁の組織については、昨年十二月に重要な政策の企画や事業の進行管理を行うための政策推進室を設置したことを手始めにいたしまして、組織機構のあり方について見直しを行い、本定例会に提案をいたしました部改編を含む大規模な機構改革を目指しているところでございます。
 また、組織に命を吹き込むのは人でございます。四月の人事配置についても、適材適所を原則に、女性の登用も含め、議員ご提案のやる気と機動力にあふれた県庁を実現すべく配慮してまいりたい。
 ことしの初め、私は職員に、ことしは「感動と挑戦の県政」をやろうということを強く訴えております。
 次に、首都機能の移転に対する考え方であります。
 松本議員の首都機能移転に対するご質問に対しましては、現在、政治、経済、文化等の中枢機能が東京圏に過度に集中していることで、人口の過密、生活環境の悪化、大規模災害時における危険の増大等の問題が深刻化しております。一方、地方では、過疎、経済的停滞、文化の画一化などの問題が生じております。これを是正する一つとして、今、国を初め府県において、それぞれの個性や主体性を発揮した地域づくりを目指す地方分権の推進に積極的に取り組んでいるところでありますけれども、これと相まって、首都機能を移転させることは、国土の均衡ある発展、多極分散型国土の形成をより促進することになり、大いに期待をしているところでございます。
 首都機能移転に対する和歌山県としての取り組みについては、昨年十二月に国会等移転調査会から提出された最終報告での選定基準によりますと、東京から三百キロメートル程度の範囲内、さらに九千ヘクタールという広大な土地の確保などが移転地の条件と限定されてきたところでございます。そういったところから、若干の問題点はあろうかと思いますが、首都機能移転に伴うインパクトが享受できるように、近畿圏域内もしくは少しでも近畿圏に近い地域に移転されるように、近畿府県と連携しながら働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 平成八年度当初予算と行財政改革についての質問のうち、県債残高が五千億円を突破している事態をどう考えているかということと、基金取り崩し後の基金残高と今後の見通しについてでございます。
 県債の発行に当たりましては、従来、公債費の増嵩に十分な注意を払いつつ、県政の諸課題への適切な対応と長期的視点に立った財政の健全性の確保に努めてきたところでございますが、八年度当初予算では、ご指摘のように、七百六十九億円の県債発行を予定しておりまして県債依存率は一三・九%となり、地方財政計画の一五・八%は下回っているものの、当初予算ベースでは過去最大の発行額となっております。また県債残高につきましても、平成八年度末で五千五十七億円となる見込みでございます。
 こういった起債の増加は全国的な趨勢ではございます。しかしながら、本県でも、厳しい財政事情の中、県民生活に直結する社会資本整備について積極的な対応を図ってきたことから、こういう大きな起債残高になってきたということでございます。今回発行を予定している県債については、後年度の財政負担を極力軽減するということから、この起債の償還に際しまして、できる限り国による財源措置を伴うものを活用するよう工夫を凝らしておりまして、発行額の九割強については、後年度その元利償還金の五○%以上が交付税に算入されることになっており、将来の県財政の硬直化を招くことのないよう配慮しているところでございます。しかしながら、これまで累次の経済対策や県単独プロジェクトの遂行に伴う県債の増発による公債費の増嵩もございますので、今後とも県財政の健全性確保に十分配意しつつ県債を発行してまいりたいと考えております。
 次に、取り崩し後の基金残高と今後の見通しということでございます。
 平成八年度当初予算においては、県税収入の落ち込み等厳しい財政状況の中で各種施策の充実を図るため、財政調整基金で百億円、県債管理基金で百八十八億円など、総額で三百六十七億円の基金の取り崩しを行っております。この結果、八年度末の残高は、財調基金と県債管理基金を合わせて四百八十三億円ということでございます。これらの基金につきましては、財源の年度間調整の中で非常に重要な役割を果たしておりますので、今回の基金の活用に際しましても、今後の財政運営に支障が生ずることのないよう最大限配慮してきたところでございます。基金残高につきましては、今後とも、財政の健全性確保という観点から必要額の確保に努めてまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 熊野古道を中心とした自然歩道の計画についてお答えします。
 最近のアウトドアブームにより自然との触れ合いが一層強く求められてきており、県でも自然愛護テクコロジーを昭和四十九年度から始め、回を重ね、今年は第六十二回の開催を予定しているところでございます。歩くことにより自然との触れ合いを図り、心身をリフレッシュできればと考えてございます。
 こうした中で、自然景観や歴史文化に触れながら歩く近畿自然歩道については、県として長年、環境庁に対して要望してきたところで、平成七年度から環境庁で調査が開始されたところでございます。
 ルートについてでございますが、福井県、三重県と近畿二府四県を対象として、概略路線が今月に開催される近畿自然歩道検討委員会で決定されることとなってございます。本県としては、熊野古道を中心とした歴史や自然に富んだ、県内を8の字で結ぶルートを要望しておりますが、見通しは明るいものと考えてございます。
 平成八年度は、この概略路線の中で自然が豊富な魅力的なコースをさらに詳しく調査し、詳細路線として選定されることになります。ルート決定後、平成九年度からおおむね五年間で、利用のための歩道、橋、休憩所、標識等の整備を進めますが、事業主体は県でございます。平成八年度当初予算に自然歩道整備計画調査費を計上いたしており、計画的な整備を図ってまいりたいと考えてございます。
 また、熊野古道ウオーク96と題して、中辺路町の滝尻王子から熊野本宮大社までを、本年の五月、六月、九月、十月、十一月の五回にわたり、JRやJASあるいはエージェントとタイアップして、毎回千人規模で約四十キロを踏破する誘客イベントの実施も予定しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 松本議員にお答えいたします。
 国道四十二号の有田・海南間の交通渋滞の解消については、県といたしましては解決すべき重要な課題と考えているところでございます。このため、建設省、県、有田市、下津町で国道四十二号の下津町から有田市までの渋滞に関する検討会を設置いたしまして、昨年八月には合同で現地調査を行い、短期的な対策を中心に交通量予測調査、交差点の改良の検討、信号現示の調査等を行うなど、鋭意、調査検討を進めているところでございます。今後、国、関係市及び町とも十分協議しながら、平成八年度から交差点改良などについて、順次事業として実施できるよう国に強く働きかけているところであります。さらに中長期的な対策についても、国、関係の市や町とも協力しながら引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、長期総合計画での位置づけにつきましては、企画部とも連携しつつ、今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、有田河口大橋架橋に関してでございます。
 議員ご指摘のキララときめき道路──有田市から御坊市に至る海岸道路については、国道四十二号のバイパス機能を果たす道路として、また観光振興のための道路として整備を進めることが重要な路線であり、現在、農道、漁港関連道路とも連係を図りながら整備の促進に努力しているところでございます。現在、有田市において有田川左岸の河口部に市民球場を初め各種の開発計画が進行中でありますので、これに対応するため県道宮崎古江見線の未改良部分の整備を促進しているところであります。
 仮称・有田河口大橋については、大規模な橋梁となり、道路としての位置づけ等、種々の問題もあると思われます。今後、交通量や交通形態、並びに投資効果等を考えながら、有田市の考え方等も聞いてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 松本議員にお答え申し上げます。
 平成六年と七年の夏の異常渇水は、全国的な少雨と高温によるものでございまして、有田川においても水位が低下したため取水障害が生じたところでございます。
 有田川水系の利水ダムの必要性についてでございますが、将来の水需要量を調査した上で、上水道用水、農業用水、工業用水の各用水の有効的な水利用の調整を含めて検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 二年続きの渇水を踏まえ、有田川流域の河川低水時における農業用水の安定確保についてでございます。
 昭和四十年度から五十四年度にかけて県営かんがい排水事業で整備した有田川地区畑地かんがい施設については、議員お話しのように、近年、河床変動等もあって河川低水時には一部の取水施設において農業用水の取水に支障を来すこともございます。
 これが対策として、現在、受益者である有田川土地改良区において取水施設の変更等につき調査検討中でございます。県といたしましては、この調査結果を待って早期事業化に向け取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 高校教育に関し、三点についてお答えいたします。
 まず、教育内容の充実についてです。
 公立の高等学校には、進学や就職など、さまざまな進路希望を持った生徒を受け入れてございまして、それぞれの希望にこたえるという使命がございます。したがって、独自の教育方針を持つ私学と大学進学という面だけで比較を行うのは難しいかと考えてございます。
 教育委員会といたしましては、従前の画一的な教育のあり方への反省に立って、学科の新設、改編や全国初の総合学科の新設、入学者選抜学力検査の改善など、さまざまな高校教育改革を積極的に推進してきたところであります。また、生徒の学力向上を図るため、教員の意識改革、創意工夫を凝らした教育課程の編成、授業日数の確保などについて指導を徹底するとともに、生徒の進路意識の高揚を図るため、進路指導活性化事業等の施策を講じてまいりました。そうした中、本県の公立高等学校卒業者の大学等への進学率は、平成三年度は三一・五%でございましたが、平成七年度には三七・四%と徐々に高くなってきており、成果を上げてきてございます。
 なお、学力のとらえ方については、近年、大学あるいは企業など各方面においても、従来の偏差値に偏り過ぎた教育の弊害が厳しく指摘されてきております。このため、生涯学習の観点に立って、みずから学ぶ力や創造性、問題解決能力など変化の激しい社会を生き抜いていくための生きた学力を育てることが重要な課題となってございます。教育委員会といたしましては、大学進学という県民の皆様のご要望にもこたえながら、これからの時代に求められる新しい教育の創造に向けて積極的な方策を講じ、公立高校の教育の充実に努めてまいる所存でございます。
 次に、一部の県で取り組んでおります、浪人をしている生徒の母校での再指導についてでございます。
 こうした県では高校の同窓会が中心となって実施しているものであり、自発的に盛り上がったユニークな取り組みとしては注目できると考えております。しかし、教育委員会や学校が行っている授業ではなくて課題も若干あると伺ってございまして、慎重に研究しなければならないかと考えます。本県でも、二学期制の導入とか六十五分授業、補習や学習合宿など、学校が主体となったさまざまな取り組みが広がってきているところであります。今後とも、他府県の状況を参考にしながら、例えば卒業した生徒にも放課後の補習授業を受けていただくといったような、受け入れる余地を持った、各学校の独自性のある取り組みを積極的に推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、公立高校における推薦入試については、生徒の適性や目的意識、日ごろの学習成果、部活動やボランティア活動など、一人一人の個性やよさを積極的に評価して、特色ある学校づくりを一層推進するため積極的に導入を進めてまいりました。特に推薦入試の内定枠については、募集定員の五○%を標準とし、学校、学科の特色や実態等に応じて、学校長が教育長と協議の上で八○%までの範囲内で別途定めることとしてございます。合否の判定に当たりましては、中学校からの調査書、推薦書、面接、作文の結果などをもとに各高等学校長が総合的に判断してございますが、生徒のよさを多面的に評価する中で、設定した枠内で合格者を絞り切れない場合もございます。そうした場合、学校長はさらに教育長と協議の上、教育的な観点から一定の配慮をしながら慎重に合格者を決定してございますので、ご理解いただきたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番松本泰造君。
○松本泰造君 まず、一番目の平成八年度当初予算と行財政改革については、知事から答弁をいただきました。総務部長からも、予算編成、特に歳入面で十二分の配慮をしてきたという答弁をいただきました。
 ただ、来年以降の基金の残高も大分減ってきているようで、非常に心配をするところであります。これは、知事が先ほどおっしゃられたように、五十市町村の協力あるいは県民に財政状態を理解してもらうとか、いろんな形で実態を県民にも知らせながら協力をしてもらうというような痛みを分かち合う政治、これからそういった時代が来るのではないかと思いますので、その辺のPRに特に意を用いていただきたいなと思います。
 同時にまた、職員にはこういう財政事情にあることを十分理解してもらう、いわゆる親の心子知らずということのないように、徹底した意識改革を推進していただくように要望しておきたいと思います。
 首都移転の問題であります。
 きのうも、日経にこんな記事が載ってございました。東日本対西日本の首都誘致の綱引きが非常にエスカレートしつつあると書かれてございます。都がさらに遠くなるというようなことのないように、近畿圏の知事会を含めて力を合わせて、なるべく将来の和歌山県が不便にならんよう意を用いていただきますようにお願いをしておきたいと思います。
 次に、高校教育の問題についてであります。
 今、教育長から答弁をいただきましたけれども、高校教育については、小学校、中学校も教育内容の充実についてしっかり努めていただく、県下の教育全般が力を合わせて和歌山県のすばらしい人材に磨きをかけていく、そんな意識で頑張っていただきますように要望しておきたいと思います。
 次に、熊野古道を中心とした自然歩道の計画についてであります。
 8の字ルートの整備について明るい見通しがあるという答弁でございました。非常に期待を寄せるところでありまして、何とか紀州路のすばらしい自然歩道が統一した形で整備をされますように要望しておきたいと思います。
 四十二号線の有田市・海南市間の渋滞問題については、これは二回目の要望でありますけれども、何といいましても、有田市は和歌山市を中心とする経済圏の中の特定重要港湾の一角に位置するところであります。したがいまして、和歌山市からの四十二号線が可能な限り四車線化できんかどうか、その辺の将来計画を含めて早急に対処していただきますように要望しておきたいと思います。
 有田河口の大橋の架橋についてであります。
 この問題については、約二年前に私の前任者が問題を提起いたしました。そのときの土木部長の答弁ときょうの答弁とは余り前進がないように思います。どうぞひとつ、きょう改めて有田河口の架橋について有田市民の声を代弁してお願いを申し上げるところでございますので、前向きに取り組んでいただきますように要望をしておきたいと思います。
 次に、有田地方の農業用水の不足の問題であります。
 去年、おととしと工業用水が大幅にカットされて操業短縮に追い込まれた、あるいはまた農業者の間で水の取り合いのけんかが起こるという状況がありました。そういった意味から言いまして、治水だけのダムではなくて、将来、利水のダムについて調査検討を加えるという答弁でございますので、どうぞひとつ前向きにお願いをしたいと思います。
 最後に、西口知事に申し上げておきたいと思います。
 知事は、就任以来、ハードスケジュールの中で精力的に公務に専念をしていただいております。昔の歌にありましたけれども、恐らく月、月、火、水、木、金、金という、休みのない状態がずっと続いておるのではないかと推察いたします。健康とペース配分に十分意を用いていただきまして、輝く和歌山の実現に向けて県民の期待にこたえていただきますよう祈念申し上げて、私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松本泰造君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(橋本 進君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十四分散会

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