平成8年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(東山昭久議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成八年三月十二日(火曜日)

 午後一時四分再開
○議長(橋本 進君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番東山昭久君。
 〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従って一般質問をいたします。
 まず、平成八年度予算編成に関してお尋ねいたします。
 地方分権が叫ばれ、地方の時代と言われながらも、地方財政は政府の地方財政計画に大きく依存しているのが現状であります。したがって、県予算編成に当たっては、この地方財政計画の主要施策の特徴を積極的に活用することが必要となります。政府の平成八年度地方財政の規模は八十五兆二千八百億円で対前年度伸び率三・四%であり、厳しい財政状況の中で災害に強い安全で安心な町づくりの推進、新しいふるさとづくり事業、地域経済に自治体が積極的に乗り出すこと、さらに農林水産地域の活性化を初め、福祉、環境、国際化、情報化、文化、スポーツ等を推進することが主要施策となっています。
 本議会に提案されている平成八年度県予算案は西口知事にとって初めての予算編成であり、百三十六の提言をどう具体化し、西口県政のカラーをどう出されるかが注目されたのであります。県税収入の減少など財政状況は極めて厳しい中で、一般会計予算総額五千五百四十四億円で、対前年度伸び率二%増、県単独事業の伸び率一七・一%増となっています。和歌山新時代の創造のため、飛躍への基盤づくり、明るい社会づくり、活力ある産業づくり、快適な暮らしづくり、心豊かな人づくりの五つの政策目標を掲げられ、県単独事業を大きく伸ばす投資重点型の積極予算となっています。しかも、西口知事自身が県内をくまなく回られ、地域住民の要望に一つでも多くこたえられようとして新規事業も数多く企画されております。
 私は、政治の原点は、光の当たらない、いわゆる弱者にいかに日の当たるようにするかにあると考えます。西口知事は、昨年の初登庁された日に幹部を前にして、「選挙を通じて多くの人に直接会い、大きく考えが変わった。今は、弱者や少数派と言われる人たちにこそ日の当たる行政をしなければならないと考えている」と述べられています。知事の政治姿勢に、私も全く同感であります。その立場から、障害者を含む福祉対策の充実、漁師の要求に機敏にこたえた、人工衛星から海面の水温分布を受信し漁業者に提供するシステムの導入、女性の行政への参加の促進など、各方面に配慮した予算編成になっております。
 私どもは、予算編成に当たり、県民生活向上と県民福祉の充実のために四十四項目の予算要望をしてきたところです。ご回答をいただき、すべてとはいきませんが、ほとんどの要求について取り入れられており、十分とは言えませんけれども、県予算案を評価するものであります。
 そこで、西口知事が描かれる二十一世紀の和歌山の姿はどういうものであるのか改めてご説明を求めるとともに、予算案の特徴についてお尋ねしたいと存じます。
 次に、二点にわたりご意見を伺いたいと存じます。
 第一点目は、住宅地震災害共済保険制度の創設についてであります。
 さきの予算要望の中で、災害に強い安全な町づくりの推進のために、県の防災基本計画の抜本的な見直しなど、防災全般にわたる強化のための財政措置を図られるよう強く要望してまいりました。予算案では防災対策の強化のための諸施策で予算措置をされており、防災体制の強化が一歩前進したと評価するものであります。
 さて、昨年の阪神・淡路大震災は未曾有の大被害をもたらしました。一瞬のうちに多くの人命を奪い、二十万棟の住宅の倒壊、焼失によって四十万余世帯の人々が住居を失いました。その後の被災者の調査によると、一、持ち家を被災した高齢者の多くが住宅再建資金を調達する力を持たないこと、二、持ち家の若年層にも被災家屋の多額の住宅ローンが残り、再建までの余力を持たない人が多いこと、三、民間借家の所有者にも再建能力を持たない人が多いことなど、住宅再建に大きな問題を残していることが明らかになっています。住宅を失っても、現行法制度のもとでは、政府の言う個人補償はできないとして、住まいの再建には財政は支出できないとなっており、現行法での限界が明らかになっています。
 兵庫県では、阪神・淡路大震災の経験と教訓から、すべての地域住民が安心して暮らせることを願って、たとえ地震被害に遭っても速やかに復興を促進できる国民的相互扶助システムを構築することとして、新しい地震共済保険制度の創設を提案しています。県におかれても、住宅地震共済保険制度について具体的検討を進め、創設を図られるよう求めるものであります。知事のご見解をお伺いいたします。
 二点目は、県職員の受験資格から国籍条項の撤廃についてお尋ねします。
 二十一世紀を目の前にして、国際化の時代を迎えています。知事も、本会議での議案説明演説の中で、「世界に目を向ければ、東西冷戦構造の崩壊による緊張緩和や交通・情報通信網の著しい発展などにより、経済面だけでなく社会・政治面においても国と国との距離は縮小され、ボーダーレス化が一層加速しています。そうした中で、国際間の相互依存関係や連携の必要性はますます高まり、地球時代にふさわしい新しい国際秩序の形成が求められています」と、国境を越えての国際連帯、共生の考え方を明らかにされました。私も同感であります。
 一つの例えで恐縮ですけれども、日本の国技である財団法人日本相撲協会は、法人化七十年を過ぎ、封建制度から抜け出し、相当の部分で民主化されてきています。伝統という名で残されたものもまだたくさんありますが、近代化され、国際化も大きな変化であります。土俵の上でハワイ生まれの横綱曙や大関武蔵丸の大きな体がひときわ目立つのも、相撲界の国際化を象徴していると言えます。例えが適当かどうかは別にして、すべての面で国際化は着実に進んでいる現実にあります。
 橋本大二郎高知県知事は、九六年度の一般事務職など県職員採用試験の受験資格から国籍条項を撤廃する方針を打ち出しました。橋本知事は昨年の年頭所感で、「戦後五十年の節目の年に、在日韓国、朝鮮人の方々の公務員の門戸開放を真剣に考えることは、現在に生きている者の使命ではないか」と主張され、そして昨年十一月の知事選挙で国籍条項の撤廃を公約に掲げて再選されて、今回の決断をされたのであります。橋本知事の勇気ある決断に心から拍手を送りたいと思います。
 地方公務員法には、地方公務員に外国人を採用することを禁止する規定はありません。したがって、自治体の判断にゆだねられています。自治省の見解は、公務員に関する当然の法理として、公権力の行使、国家の意思形成への参画に携わる公務員には日本国籍を必要とする者と解すべきとの五三年の内閣法制局見解を根拠にかたくなな態度であり、国際化、地方分権の流れに逆行するものであります。現在、日本に永住する外国人は六十万人を超えており、和歌山県の平成六年度末の住民基本台帳によると、外国人登録者数は六千百九十人、在留資格外国人登録者数は四千二百九人で、県人口比○・三八%であります。国際化の今日の情勢を踏まえて、知事の思い切った決断で県職員の受験資格から国籍条項を撤廃されることを強く求め、知事の英断を求めるものであります。
 次に、住友金属西防波堤沖埋め立て問題について質問いたします。
 昨年十二月二十五日に、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会は第三工区の利用計画について最終見解をまとめ、知事への答申を行いました。私どもは、党内にLNG住金沖出し問題プロジェクトチームを設置して今日まで検討を続けてきました。一昨年の検討委員会の中間報告に対しても、中間報告を容認する立場を明らかにし、制度的な手続の問題、埋立地の経緯に照らした公害、環境問題への対応、地域住民との合意など多くの課題を残しており、これから本格的な対応が求められる、そのためにも多くの県民と地域住民の理解と支持を深め、県民プロジェクトとするため、情報公開という今日の情勢に沿って委員会の公開性が必要であるとの見解を明らかにしてきました。
 私は、去る一月十六日に住友金属の好意によって西防埋立地を視察する機会を得ました。担当者の説明を聞きながら、百七十六ヘクタールもの広大な埋立地の現状と第二工区での関西電力株式会社による環境影響調査、地質調査が実施されている状況を見学する貴重な経験をすることができました。埋め立てはほぼ完了しており、八月の完成に向けて最終整地作業が進められていました。また、久しぶりに住金の構内に入って一番感じたことは、構内が随分きれいになっていることでした。粗鋼の生産量が三分の一に落ちたとはいえ、環境公害対策が着実に進んでいることを実感いたしました。
 さて本題に戻りますが、検討委員会の報告書によると、「三工区については公共利用を目的とするものであり、速やかな活用を図る観点からも、具体化に向けた作業を円滑に進めていくために出来るだけ早い時期に利用計画を特定することが望ましいと判断した」として、多目的公共埠頭十一ヘクタール、環境・保健中核研究施設三ヘクタール、緑地公園十六ヘクタール、道路護岸敷五ヘクタール、合計三十五ヘクタールを整備すべきであるとの委員会の最終答申がなされました。
 知事は、委員会答申を受け、「利用方針である公共利用に合致するもので、県は関係省庁、地元和歌山市などと連携を図り、利用計画の実現に向けてさらに検討、努力したい」との歓迎のコメントを発表されました。また尾崎和歌山市長は、「本市発展の上からも実現したい内容と思っている。今後、諸条件の整備もあわせて積極的に県と協議しながら推進したい」と、実現に向けて努力することを明らかにされています。
 私も、今回の委員会報告について、評価できる内容であり、推進すべきであると考えています。多目的公共埠頭は和歌山下津港の物流機能整備の大きな柱であり、環境・保健中核研究施設、環境、保健行政の充実にとっての緑地公園は、自然と触れ合う生活の空間として今日の情勢、県民のニーズにこたえた答申であると考えます。特にテクノスーパーライナーの母港化は、埋立地の立地条件を生かしたものであり、近畿の港湾物流の一翼を担う、和歌山県産業、経済の活性化につながるものであると思います。
 そこで知事に、委員会答申に対する所見とその実現に向けての具体的進め方、その実現への決意を伺いたいと存じます。
 第二工区の利用計画は、委員会の中間報告に基づいて、現在、関西電力株式会社によってLNG火力発電所の立地に向けて環境影響調査が実施されています。
 私は、エネルギー政策として省エネと熱効率のアップを図り、太陽光発電や省エネルギー住宅開発、クリーンエネルギーの開発などに転換すべきであると考えています。LNGについては、原子力の代替エネルギーとして石炭、石油等の公害負荷の多いものよりも促進すべきであるとの考えを持っています。したがって、原則的には公益的事業として西防埋立地へのLNGの立地については頭から否定するものではありません。しかし、地盤等の関係から安全性はどうか、公害はどうか、多奈川や海南の火力発電所の複合汚染はどうか、温排水の量や温度差、海流等による拡散と影響はどうか、輸送における安全性は確保されるのか等、慎重かつきめ細かな調査が必要であります。
 新聞報道によると、関西電力株式会社は最深二百メートルのボーリングでの活断層の探査や液状化対策実験等が実施されているとなっており、住民の不安にこたえようと努力がなされているとうかがい知れます。このことは評価されますが、調査結果は環境影響調査とともにすべて公開されるべきであると思います。
 西口知事は、開かれた県政をうたわれ、地域住民の声を直接聞くことの重要性を主張されています。県勢発展のためにも、県民、住民の町づくりへの参加が重要であります。西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会は、六回すべて非公開で行われてきました。第二工区の土地利用についての検討は徹底して情報を公開し、県民、地域住民の声を十分聞きながら最終判断されるべきと考えます。知事のご見解を伺うものであります。
 次に、西防埋立地と幹線道路を結ぶ交通アクセスについてお尋ねします。
 埋立地の利用を実効あるものにするため、物流機能の強化のためには海上の施設だけではなく、輸送手段である道路の整備が不可欠であります。委員会答申でも、「埋立地から(中略)紀ノ川河口大橋への接続を含めて、最優先で整備を進めるべきである。(中略)多目的公共ふ頭の高速大量輸送機能を十分に発揮せしめるには、高速道路もしくはこれに準ずる道路と直結することが必要であると考えるので、課題として行政当局で検討を図られたい」と指摘されています。これは大変重要な指摘であり、重点的に取り組んでいただきたいと思うのであります。
 そこで、埋立地への交通アクセスと和歌山下津港の将来の交通体系構想について土木部長のご答弁を求めます。
 運輸省は、平成二年度において全国六つのモデル地区でサテライト型物流拠点整備に関する調査を行っています。和歌山市もその一つに参加しており、平成三年三月に和歌山市におけるサテライト型物流拠点整備推進調査委員会の報告書が出され、和歌山県からも当時の川端企画部長と天谷商工労働部長が委員として参加されています。
 報告書によると、当県は鉄鋼業等が主要産業であるが、今後、先端技術産業を中心に企業立地が進むものと期待されている。また、交通基盤としての関西国際空港や高速道路網の展開が予定されているほか、和歌山下津港について内外貿易機能の強化を図ることとされていることから、将来、近畿圏の物流機能を補完する役割を担う可能性がある。そして、加工組み立て型工業の配送施設のほか、空港関連物資に対応した国際物流施設等の機能を有する拠点として、関連都市施設を含めて四十五から六十五ヘクタールを想定している。進出意向は、物流企業九十九社、荷主企業三十九社となっています。
 この和歌山市におけるサテライト型物流拠点構想の進捗状況と今後の展開について企画部長にお尋ねします。
 和歌山県は海に囲まれた海洋県であり、二十一世紀に向けて和歌山県発展にとってのかぎは海洋をいかに活用するか、とりわけ港湾の整備と交通網の整備にあると思います。これまでも、港湾の整備推進と利用促進について多くの提言がなされてきました。和歌山下津港は、大阪湾に出入りする船舶の主要な航路となっており、その入り口に位置します。しかも、西防埋立地は水深も十分あり、大型岸壁として極めて有利な立地条件を備えています。近畿の玄関口に当たり、近畿の港湾物流を担う重要な位置にあります。さらに、関西国際空港の全体構想の前進、湾岸道路構想、第二国土軸の京奈和自動車道路、紀淡連絡道路の実現に向けて着実に前進している今日、その関連においても重要な位置にあると考えます。当然、埋立地と幹線道路、高速道路を結ぶ交通アクセスの整備が不可欠であります。
 和歌山県のトラックターミナルの現況は、平成六年三月現在、一般トラックターミナルはなく、各企業専用ターミナルのみであり、十企業延べ二十一カ所、敷地面積八万九千二十三平米、百五十三バースであります。埋立地の第二工区の利用計画については継続して委員会で検討が続けられており、委員会の最終答申を受けて県としての決定がなされると思いますが、私はLNG火力発電所の誘致よりも、和歌山県の将来にとって本格的な物流基地の方が県産業、県経済の活性化につながると考えるのであります。埋立地の港湾物流基地と陸上物流基地が結合した巨大海陸物流基地構想を、サテライト型物流拠点構想との関連において提案したいのであります。
 知事は、一月九日の年頭の記者会見で、大阪湾の入り口に位置する紀伊水道両岸を新たな物流の拠点にしていきたいと、ベイフロンティア構想を明らかにされています。その関連においても前向きに検討されることをお願いして、知事のご答弁を求めたいと存じます。
 最後に、テクノスーパーライナーの誘致についてお尋ねします。
 テクノスーパーライナーは、速力五十ノット(時速九十三キロメートル)、貨物積載重量千トン(二十トントラック五十台分)、航続距離五百海里(約九百三十キロメートル)以上で、荒れた海でも航行できる外洋型の新型超高速貨物船で海の新幹線と言われ、平成元年度から六カ年計画で研究が進められてきました。平成六年度に実海域模型船「飛翔」、「疾風」の二隻によって実海域試験が終了し、基礎的技術の研究の面でも目標が達成されたと言われています。平成八年度の政府予算でもTSL事業化支援のための総合調査として八千四百万円計上されて実用化に向け大きく前進しており、実用化が待たれるところであります。和歌山県においても、平成四年度から三カ年計画でTSLの導入を核とした近畿南部の物流拠点を形成するとして、ICT(国際複合輸送)拠点整備調査が実施されてきました。平成八年度予算でもTSL誘致促進のため一千四百八十一万五千円が計上されており、誘致促進の調査検討が進められていると思います。
 そこで、国際複合輸送拠点整備調査の今日までの経過と成果、さらにTSL誘致に向けての今後の課題について企画部長にご答弁を求め、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員にお答えをいたします。
 まず、和歌山新時代の姿と予算案の特徴ということについてであります。
 和歌山新時代の姿ということで二十一世紀を思い描きますと、二十一世紀はまず高速交通網の発達や情報通信網の整備によりまして世界各地との距離が短縮され、人や物の流れが格段に広がる大交流時代だと考えております。また、二十一世紀は心の豊かさを満たすゆとりある生活が求められる時代でもございます。
 こうした中で和歌山県は、太平洋新国土軸を初めとする高速交通網が整備され、また関西国際空港に非常に近いこと、あるいは海、山、川の美しい自然、さらに高野、熊野の歴史文化が大きな魅力となっております。アジア太平洋地域を初めとする世界各地と多様な交流が展開されるネットワークの拠点となると考えております。
 私は、こうした二十一世紀の実現に向けて、物流、情報産業といった新しい産業立地、リゾートによる地域振興、世界との交流による新しい文化の創造、生きがいを持って暮らすことができる長寿社会の形成、障害のある方や外国人にも住みやすい環境の整備、そしてこれらを支える基盤づくりを進めまして、住む人、訪れる人、だれもがゆとりと充実を実感できる和歌山県を築き上げたいと考えてございます。
 次に、八年度予算の特徴についてでございます。
 先ほど堀本議員にもお答えをいたしましたが、県税収入の減少など財政状況は極めて厳しい状況の中でございます。しかし、和歌山新時代の創造に向かって、五つの政策目標を柱に投資重点型の積極予算を編成したところでございます。
 個別の主な重点としては、投資的経費のうち、県単独事業の積極的な拡大、私が常に申し上げているところでありますけれども、市町村、各地域の発展なくして県全体の発展はあり得ないという考え方のもとに、二十一世紀ふるさとづくり等地域振興施策の充実、ベイフロンティア地域構想調査等の広域的な連係による本県の振興、単独事業の積極的活用による交通ネットワークの整備促進、障害者、高齢者、子供を対象とする福祉対策の充実、わかやま女性一○○人委員会の設置等の女性施策の推進、産業情報センターの新設や中小企業融資制度の充実等産業の活性化、建設中の多目的ホールや県立医大の建設推進のほか、総合健康・福祉棟の新規着工等、各種施設整備の計画的推進、観光フェスタ96和歌山の開催等の大規模イベントの実施、推進など、二十一世紀に向けての県の大いなる飛躍に結びつけていくために多岐にわたる事業を盛り込んだところでございます。こうした事業の推進に当たりましては、県民の皆さん一人一人が参加、協力をいただくことが必要であるとの認識のもとに、開かれた県政を推進し、県民の皆さんの期待と信頼にこたえてまいりたいと考えております。
 次に、住宅地震災害共済保険制度についてであります。
 これは、平成七年十月に全国知事会において兵庫県から説明されております。また、近畿ブロック知事会及び近畿二府六県議会議長会においても、国に対し住宅補償システムの確立の検討をするよう要望を行っているところでございます。また、これとは別に「日本を地震から守る国会議員の会」でも保険制度を議員立法で成立させようという動きもございまして、次第に議論が活発化しているところでございます。今後、本県といたしましては、これらの動向を踏まえながら積極的に対応してまいりたいと思っております。
 次に、県職員の受験資格から国籍条項の撤廃というご質問であります。
 国籍条項を撤廃してはどうかということについては、議員ご指摘のように、国際化、地方分権を視野に入れて検討すべき課題であろうと認識をしております。しかし、地方公共団体にとりましては、なお幾つかの課題もございますので、諸般の状況を勘案しながら検討していきたいと思っております。
 なお、ご承知のことだと思いますけれども、既に本県では県職員の採用に当たりましては、保健婦、助産婦、看護婦など十八の職種については国籍条項の適用外としているところであります。
 次に、住友金属の検討委員会に対する所見であります。
 昨年十二月にいただいた西防波堤沖埋立地三工区利用計画についての検討委員会報告に対する所見については、その際にコメントを出して申し上げておるところでありますが、公共利用の方針に合致するとともに、環境保全に十分配慮された内容となっておると思っております。今後は、各施設計画案について、具体化に向けた詳細検討、関係機関との協議等の事務を進めまして、港湾計画の改定を待って速やかな事業化を図るべく積極的に取り組んでいきたいと決意をいたしております。
 さらに、二工区の利用計画検討の情報公開についてであります。
 二工区の土地利用計画検討は徹底した情報公開をということでございますが、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の会議を非公開とすることについては、平成六年五月に設置した際に忌憚のない活発なご意見、議論を交わしたいとの委員会の総意により決定されたところでございます。しかしながら、県民の皆さん方に対する情報の公開は公正な県政運営の要諦と心得ておりますので、議員ご指摘のご趣旨を踏まえて、できるだけ議論の内容が具体的にわかるような形で会議結果の発表が行われるように、私としても十分配慮してまいりたいと考えております。
 なお、事業者が行った諸調査の結果、特に環境への影響あるいは安全性に対する信頼にかかわる情報等はすべて公開されるものと思っております。
 最後に、西防埋立地の構想についてであります。
 西防埋立地の巨大海陸物流基地構想についてでございますけれども、議員ご提言のように、広域的な物流拠点は県内の産業や経済の活性化に大きく貢献するものと考えております。二十一世紀初頭には、本県の北部地域は太平洋新国土軸あるいは大阪湾環状道路、並びに関西国際空港やテクノスーパーライナー基地等によりまして、陸・海・空の交通の一大結節点上に位置するものとなります。
 県では、この交通結節点が有するポテンシャルを積極的に生かして広域的な物流拠点の形成を図るべく、今懸命に取り組んでいるところでございます。具体的には、京阪神及び太平洋新国土軸の陸上物流を核とし、それと西防埋立地を含む和歌山下津港からの港湾物流、並びに関西国際空港からの航空物流とを連係した、近畿南部地域を代表する広域物流拠点の形成を目指しているところであります。この広域的な物流拠点の整備は、今後の県勢の飛躍的な発展を期す上で極めて重要であると認識しております。ベイフロンティア構想をも視野に入れて積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 西防埋立地の利用計画については、議員からご提言をいただきましたが、現在、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会に検討をお願いしておりまして、議員ご承知のように、平成六年十一月の中間報告において検討委員会として適当と考えられる利用計画案が示されたところでございます。県といたしましては、その際指示された調査検討事項に係る調査結果を受けて、検討委員会でのご審議、答申を待ちたいと考えております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 東山議員にお答えいたします。
 西防波堤沖埋立地への交通アクセスについてでございます。
 議員ご指摘のとおり、西防波堤沖埋立地の利活用のためには、西防波堤沖埋立地から背後の幹線道路への接続が重要な課題であると認識しているところでございます。このため、現港湾計画に位置づけられている臨港道路紀の川右岸線をできるだけ早期に整備する必要があると考えております。
 なお、紀の川河口大橋と臨港道路紀の川右岸線の接続については、ルート案を検討しているところであり、ルート案を決定後、地元の理解を得て事業化を図ってまいりたいと考えております。
 また、和歌山下津港の将来の交通体系については、港湾機能の拡充とあわせて、本港区及び北港区と周辺地域を結ぶ臨港道路のネットワークや京奈和自動車道等へのアクセスについて検討を行っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 東山議員にお答え申し上げます。
 平成二年度に運輸省、県、和歌山市、トラック協会が共同で実施いたしましたサテライト型物流拠点整備推進調査は、大都市圏における地価高騰、交通混雑の状況を背景に、物流拠点を大都市周辺に配置することにより、物流の効率化、整流化を図るべく、その立地可能性を検討したものでございます。
 この構想の実現化を図るためには、運送業、倉庫業、荷主の物流関係者のコンセンサスが確立されること、高速道路等の交通結節点に五十ヘクタール程度の適地が得られること、十分な物流ニーズがあること等々の条件が整備される必要がありますが、現状では遺憾ながら和歌山市内においてこれらの条件を満たす状況にはございません。その後、県、和歌山市、和歌山陸運支局、トラック協会といった関係者でこのことについての検討会を持ちましたが、今申し上げたような現状認識で一致し、この構想に限っては当面は実現可能性に乏しいとの共通理解で今日に至っております。物流政策は本県の将来にとって重要な課題であると認識しておりますので、今後も関係者による情報、意見交換の機会を持ちながら、物流拠点整備のあり方について多角的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、国際複合輸送拠点整備推進調査の経過と成果についてでございます。
 本県の港湾は、大阪湾の入り口に位置し、テクノスーパーライナーの高速性が十分発揮できる外洋に面しているなどの立地特性を有していることから、それを生かしてテクノスーパーライナー航路の誘致を図るべく本調査を実施したところでございます。その結果、最も実現可能性の高いルートは南東九州方面であり、流動させるべき貨物としては野菜などの生鮮食料品、宅配便貨物及び機械部品等が有望であることが明らかになりました。
 テクノスーパーライナー誘致に向けての今後の課題といたしましては、テクノスーパーライナーに対応した港湾施設、高速荷役設備及びアクセス道路等のハード面の整備もさることながら、想定される貨物が実際に十分に確保できるかどうかが最も重要な問題であります。そのため、来年度、物流事業者等の参画を得た組織において事業者の意向を取り入れた貨物流動システムを構築し、それを国に提言することにより、本県の港湾を寄港地とするテクノスーパーライナー航路開設の実現を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で東山昭久君の質問が終了いたしました。

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