平成8年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(堀本隆男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成八年三月十二日(火曜日)

 午前十時五分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議席の変更】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議席の一部変更の件を議題といたします。
 都合により、議席の一部を次のように変更いたしたいと思います。その議席番号及び氏名を職員に朗読させます。
 〔職員朗読〕
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 17 番 長 坂 隆 司 君 を 18 番 に
 18 番 井 谷 勲 君 を 24 番 に
 20 番 上 野 哲 弘 君 を 26 番 に
 21 番 堀 本 隆 男 君 を 20 番 に
 22 番 宇治田 栄 蔵 君 を 21 番 に
 23 番 宗 正 彦 君 を 22 番 に
 24 番 橋 本 進 君 を 23 番 に
 25 番 谷 洋 一 君 を 17 番 に
 26 番 玉 置 公 良 君 を 25 番 に
   そ れ ぞ れ 変 更
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○議長(橋本 進君) ただいま朗読したとおり議席を変更することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) ご異議なしと認めます。よって、ただいま朗読したとおり議席を変更することに決定いたしました。
○議長(橋本 進君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第四十九号、議案第六十一号、議案第六十三号、議案第六十四号及び議案第六十八号は、いずれも職員に関する条例の改正でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴したところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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    和人委第406号
    平成8年3月4日
 和歌山県議会議長 橋 本  進 殿
 和歌山県人事委員会委員長 若 林 弘 澄
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成8年2月29日付け和議会第351号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
   記
 議案第49号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第61号 教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第63号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第64号 市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第68号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
   意 見
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(橋本 進君) 次に、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
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    財第273号
    平成8年3月12日
 和歌山県議会議長 橋 本  進 殿
   和歌山県知事 西 口 勇
 和歌山県議会平成8年2月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
   記
 議案第79号 平成7年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第80号 平成7年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計補正予算
 議案第81号 平成7年度和歌山県流域下水道事業特別会計補正予算
 議案第82号 平成7年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
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 【日程第二 議案第七十九号から議案第八十二号まで】
○議長(橋本 進君) 日程第二、ただいま報告の議案第七十九号から議案第八十二号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) ただいま上程されました議案につきまして、ご説明申し上げます。
 平成七年度予算のうち、用地取得の遅延等により本年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして、平成八年度に繰り越し使用することについてお願いいたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(橋本 進君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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 【日程第三 議案第一号から議案第七十八号まで】
 【日程第四 一般質問】
○議長(橋本 進君) 次に日程第三、議案第一号から議案第七十八号までをあわせ一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第四、一般質問を行います。
 20番堀本隆男君。
 〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 西口知事が渾身の力を込めて編成された初の本格的通年予算、平成八年度予算案等を審議する二月定例議会の一般質問の先陣を承る機会を与えていただきました先輩・同僚議員の皆さんに、まず感謝申し上げます。
 去る三月九日、新南紀白浜空港はジェット機の就航で沸き立ちました。まことにおめでとうございます。西口知事が高らかに開港宣言されましたように、紀南地方の大交流時代への幕あけであります。仮谷前知事を初め、国、県、市町村、関係者の皆さんに、深甚なる感謝の誠をささげたいと思います。ありがとうございました。
 さて、戦後五十年という一つの節目を迎えた昨年は、我が国にとって社会的、経済的大事件の連続の年でありました。阪神・淡路大震災、オウムサリン事件、金融破綻事件、政界疑惑、円高、不況の深刻化、産業空洞化、倒産などであります。こうした中で本県にとっての救いは、リゾート博の成功に続いてNHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」による吉宗ブームが起こり、文化、観光の面で活気をもたらしてくれたことであります。特筆すべきことは、和歌山県知事・西口勇の誕生であります。一年間にもわたる壮絶な戦いでありましたが、知力、体力、支援する人々のパワーがまさり、県民が西口勇氏を選んだのであります。ある人は、西口さんの誠実さと手あかにまみれていない政治家のイメージがポイントになったと評しており、私も同感で大変うれしく、この上は県民の信託にこたえ、後世にまでたたえられる名知事になっていただきたいと願っております。
 さて、私の独断と偏見に基づいた戦後の三大知事の特色を振り返ってみます。
 小野県政は、戦後処理と大水害の復旧に追われつつも、北は工業、南は観光と言われ、北部臨海工業地帯の造成による県勢の発展に力点を置き、紀南の温泉地の開発に力を入れられた。つまり、ひたすらにパイの拡大を図られたわけであります。
 大橋県政は、日本の高度経済成長期にあって、公害闘争のうねりの中、公害防止、教育、文化、スポーツ──国体の誘致であります──の振興に力を入れられ、高速道路を和歌山から大阪へ迎えに行き、三大プロジェクト、つまり紀泉南麓研究学園ゾーン、御坊田園工業都市、紀南福祉エリア構想を提唱され、現在これらの構想の芽が育ってまいりました。つまりパイの中身、生活の質の向上に努められました。
 仮谷県政は、半島性の脱却に政治生命をかけ、法の成立、特急くろしお号の新大阪乗り入れ、高速道路の大阪・神戸への直結とさらに御坊までの南伸、関空の建設、白浜空港のジェット化、そして経済面では六十社に及ぶ企業誘致、長寿社会対策、同和対策事業などの福祉面、医科大学の移転整備、近畿大学生物理工学部の誘致、和大システム工学部の実現、美術館・博物館・図書館などの完成、また多目的ホールの着工、そして全国から注目を浴びた世界リゾート博の大成功と、その努力が開花し、新たな基盤が整ってまいりました。いわば、パイを拡大しつつ中身の質を高めたと言えるのではないでしょうか。
 さて、西口知事は、輝けわかやま・新時代構想いわゆる一三六のプロジェクト集、並びに新春記者会見における数々の構想及び本議会冒頭における所信表明の中で、遠い将来の構想、近未来の構想、実現すべき計画をいずれも本県発展の不可欠の課題として位置づけ、例えば太平洋新国土軸を構成する紀淡連絡道路、京奈和自動車道及び高速道路の御坊・南部間の整備、和歌山百万都市圏構想、ベイフロンティア地域の整備、関空全体構想の推進、アジアとの交流元年、紀南地域での大規模イベントなど、私どもに夢と希望を与えてくれております。これらをいかに実現されていくかは、当局と県民お互いに知恵と汗と努力の積み重ねがあるのみのように思われます。
 さて、聞くところによりますと、知事は職員に対する訓示の中で、これからは和歌山県のことだけを考えるのではなく、近隣諸国である中国、東南アジアの社会・経済・文化の現状、さらに欧米や世界各国の動向を視野に取り込み県の将来を考えることと話されたと聞いております。このことは、恐らく知事ご自身が世界の中の和歌山県を意識されてのこと、大変すばらしい訓示であったと思います。もちろん、日本の中の和歌山県のあり方についても同様であります。トップリーダーのこうした思考が県民にも広がれば、和歌山県の実態を知ることによっておのずと現状のままでよいのかという反省と新たな県づくりへの創造につながっていくからであります。
 知事の所信表明の中にもありましたが、二十一世紀を目前に世界は今、東西冷戦構造の崩壊によるアメリカの一極支配の体制となり、民族紛争、宗教対立が各地で勃発しており、地球的課題である人口爆発、環境汚染、南北格差の解消に迫られております。世界経済の変化はさらに著しく、市場経済システムの加速がアジアを世界の生産センター、金融センターに高め、アメリカ圏、欧州圏に次ぐアジア経済圏として台頭してきており、去る三月一日にはバンコクでアジア欧州首脳会議(ASEM)が開催されました。
 堺屋太一氏は、日本はアジアの田舎になると心配されておりますが、旧共産圏の世界市場への一体化、アジア諸国の超高度経済成長がもたらした大競争時代に突入したのであります。日本は、アジア重視に傾斜しつつ、二十一世紀に向かわなければならないことでありましょう。
 さて、機能麻痺した日本の政治、住専処理策をめぐり、マスコミの論調はまことに厳しい。負の配分に、与党も野党も対応できないからであります。しかし、日本経済もようやく回復基調に入ってまいりました。三年連続マイナス成長や失業率三・四%という過去最悪の状態であり、また待ったなしの高齢化、国際化、情報化に加え、高度技術化、環境問題、産業空洞化、規制緩和、地方分権や国家財政の危機に直面しており、ここで景気が回復し、円安、株高とともに、ことしは明るい年であってほしいと願わずにはおれません。
 先日発表された日本のGDPは、世界の一八%のシェアを占め、一人当たり所得は世界第四位であります。京セラ会長の稲盛氏は、もう日本は経済成長を望まないシステムに移行すべきだとも言っておられます。
 一方、ベイエリア法の施行以来、近畿各府県はビッグプロジェクトの実現に必死であります。関西復権です。関西国際空港の開港一年後の経済波及効果は六千六百億円にも上り、九七年には一兆七千億円になるであろうと予測されております。順調です。
 震災で壊滅的な打撃を受けた兵庫県と神戸市は、震災をばねに、震災前以上の立派な県土づくり、町づくり、経済復興に立ち上がり、さらにWHO(世界保健機構)から健康開発総合研究センターの誘致に成功しております。大阪府は、ベイエリアの中心、近畿の牽引車として数多くの事業を展開し、りんくうタウンも動き始めました。大阪市長の磯村氏の講演を聞きましたが、大阪の集客装置こそが人の交流を促進し情報と技術と資金を運んでくれる、まさに活性化の拠点だと言われ、マイドーム大阪、国際見本市会館、OMMビル、インテックス大阪、海遊館、咲くやこの花館と並べ、さらにユニバーサルスタジオの誘致成功を語り、今後もさらに誘致をふやしていくということであります。奈良県も関西文化学術研究都市へNEC技術研究所の誘致に成功しており、京都府と京都市は京都南部地域の先端技術産業団地の展開に必死であります。
 さて、先日経済企画庁が発表した一九九三年度の県民所得統計によりますと、一人当たりの県民所得の伸び率で和歌山県が三・二%と、全国ナンバーワンになりました。トップになるということはうれしいものでありますが、余り喜べません。というのは、全都道府県の一人当たりの所得平均は三百三万七千円、和歌山県の一人当たり所得は二百四十万六千円と、全国三十九位であります。一人当たり六十万円の開きが出ています。けだし、客観的に見て、この三十九位は現在の県経済の姿であり、冷静に受けとめ、ランクアップに県民全体で頑張らねばなりません。
 さて、本年度の予算案について、順次質問を進めてまいりたいと思います。
 はえある県知事の座につかれて、はや四カ月。これまでのご活躍ぶり、そして今予算を通じて県民の皆さんやマスコミ関係の方々の評価が高いことは、議会側にとっても喜ばしいことであります。いわく、「西口知事の感度は大変高く、きちんとした答えが返ってくる誠実さがあり、また反対意見にも耳を傾けようとする姿勢など、県政のムードが確実に変わってきており、知事のやる気が目立ってきている。むしろ、県職員が痛みの伴う改革をどう支えていけるかにある」と指摘し、そして、「この車の両輪として議会側の新しい対応も求められている」としております。私ども自由民主党県議団では、本年度重点事業について各部長からレクチャーを受け、予算内容の検討を進めてまいりました。
 さて、予算総額については、対前年度比二%増と地方財政計画の伸び率に比べ若干低いものの、近畿六府県の中では奈良県に次ぐ伸び率で、他府県ではマイナスまたは一%台の伸びであります。しかし、本県はその分、県債──つまり借金でありますが──伸び率においても地財計画より高く、歳入比率でも過去最高となっております。県税収入の落ち込みも痛い。歳出予算については、マスコミ各紙も投資重点型の積極予算としており、県単独事業の大幅な伸び率も知事の姿勢のあらわれと評価いたしたい。厳しい財政事情と大型プロジェクトの建設の本格化を迎えつつ、積極施策との板挟みで苦心の予算編成となったものと思われますが、西口知事のビジョン、一三六のプロジェクトがどの程度盛り込まれたか、特に力点を入れられたのは何か、お伺いいたします。
 平成七年度「地方財政白書」で全国の状況と照らし合わせてみますと、県債の増発や基金の大幅取り崩しなど、本年度はよいとしても来年度以降の財政構造が若干心配されますが、この点についての見通しをお教えいただきたいのであります。
 次に、知事は所信演説の中で和歌山新時代の創造を基本目標に掲げ、五つの政策目標──飛躍への基盤づくり、明るい社会づくり、活力ある産業づくり、快適な暮らしづくり、心豊かな人づくりを柱に開かれた県政を進めるとあります。そして行政改革大綱を定め、今回この大綱に基づいて組織見直しを行い、改正条例案を提出した。民生部と保健環境部を再編し、県民生活と文化重視の施策展開のために生活文化部を、高齢化社会に対応し、福祉・保健・医療施策を一元的に処理するために福祉保健部を、それぞれ設置するとのこと。私も委員会で提案した一人でありますが、部の再編成は大変なことなのでしっかり実施していただき、県民にも十分PRをしていただきたいのであります。
 ただ、今回の組織見直しで、条例以外にも新たな課の設置や重要な班の構成など、明示できる範囲でお示しいただきたい。また、県の地方機関なども組織の見直しがあるのかどうか、あわせてお尋ねいたします。
 行財政改革のもう一つの柱である事務事業の見直しにつきまして、今回の予算編成を通じてどのように実現されましたか。例えば、廃止するもの、縮小するもの、完了するものは何件か、スクラップ・アンド・ビルドに基づいて新規に五つの政策目標ごとに何件創出されたのか、お尋ねします。
 和歌山ふるさとリゾート推進事業の創設や山村21創造事業、わかやま女性一〇〇人委員会の設置、香港駐在員の新設などの新政策事業とともに、新規箇所づけの事業などの工夫もされており、知事の独自色がどの程度まで出せたのか、お伺いいたします。
 次に、第五次県長期総合計画策定事業についてお尋ねいたします。
 たそがれの日本、アジアの田舎になる日本──国民の間に今、時代の閉塞感が漂っています。日本経済は、円高、不況、産業空洞化、金融破綻の危機に直面し、もろもろの社会事件や政治の混迷などが続いております。かつての大英帝国が現在の英国にたどり着く過程を日本もこれから経験しつつ成熟社会に到達するとも言われております。
 さて、政府は二〇〇〇年までの六カ年を対象に構造改革のための経済社会計画を策定し、年平均三%の成長率を掲げ、活力ある経済、安心できる暮らしを目指しております。一方、国土庁は、経済社会情勢が大きく変化したことを受けて現行の第四次全国総合開発計画を見直し、二〇一〇年を目途とした第五次の新全総計画を策定することとし、国土審議会計画部会は昨年末、二十一世紀の国土のグランドデザイン、新しい全国総合開発計画の基本的な考え方を発表されました。
 私も、神戸市で開かれた一日国土審議会に出席してまいりました。新聞でもご承知と存じますが、新太平洋国土軸を含む四つの新国土軸の明示と、国際交流圏を創設し、国土づくりの基本目標として、活力と自然環境の豊かさが両立し、世界に開かれた活力ある国土の構築を目指しております。世界とアジアとの交流拡大を求める一方、しかし東京一極集中是正には全く触れておりません。また社会資本の整備では、高度情報通信社会に向けたインフラの整備に重点対応するとあります。
 こうした背景のもとに、本県も第五次長期総合計画を策定することとし、去る二月二十七日に第一回の審議会が開催されました。目標年次は二〇一〇年とし、平成九年度から二十二年度までの十四年間となっております。
 そこで、お尋ねいたします。
 第四次長期総合計画テクノ&リゾートは二〇〇〇年を目途としておりましたが、人口、経済成長、産業構造、一人当たりの県民所得などについて、現状と計画目標との乖離、その原因もあわせてお教え願います。また、さらにテクノゾーン、リゾートゾーンにおける成果と反省、地帯別構想の進捗状況についてもお尋ねします。
 特にお伺いいたしたい主なフレームはこれからだと思いますが、余り右肩上がりを意識せず、質を高める方向が求められていると思われます。いかがでありましょうか。
 第五次長計は、輝きのあるふるさと、和歌山新時代の創造が基本目標であります。先般来より勉強させていただいた国土審議会の考え方も内容が濃いものであります。それを先取りしたビジョンとも言えるのが和歌山産業活性化ビジョンであり、並びに和歌山県二十一世紀ビジョン・喜びと集いの和歌山であります。去年、相次いで策定され、よく描けております。これに一三六のプロジェクトを加えますと、第五次長期総合計画のベースは整うことでしょう。問題は、これをいかに実現させていくのか、つまり関西国際空港と高速道路をどう生かすか、その受け皿づくりの具体化に尽きると言えます。
 産業活性化ビジョンではアクションプログラムを早急に策定することとなっております。他県の例で恐縮ですが、兵庫県と神戸市は、共同で神戸製鋼所と川崎製鉄の跡地五十ヘクタールを買収し、WHO神戸センターを核にヘルスケアパークを整備し、健康・福祉・医療関連企業の立地と住宅地の建設を具体化しました。さらに神戸市は、市有地に貸し工場ビル群を建設し、ケミカルシューズとその他の地場産業を入居させ、国の高度化資金を活用するとのことであります。
 そこで提案でありますが、県と和歌山市が協力し、関空のメリットを生かした貸し工場ビルの建設を進められないものでありましょうか。ご検討を賜りたいのであります。
 国内の研究開発型企業にオープンにするとともに、さらにアジアの進出企業の受け入れも可能になってまいります。地価が余りにも高い和歌山では、他府県にない施策の展開が望まれます。大競争時代は今や、企業が国、地域を選ぶ時代、しかも国より地域単位の優劣が分かれ目と言われます。海外へ出るよりも和歌山へ行く方がメリットがあるとなれば勝負ができるのであります。今や、各論の真剣勝負の時代です。
 次に、串本町、すさみ町、日置川町、古座川町、古座町の五町、これを仮に「本州最南端地域」と称させていただきますが、先般来実施された国勢調査の結果、人口減少がまことに厳しい。串本町では、五年間に千四人の減少を筆頭に、その他の町も大きく減少しました。また、農林水産業の衰退も著しく、町民所得の落ち込みと高齢化のため、地域の活力も大きく落ち込んでおります。例えば九四年版個人所得指標を見ますと、全国平均を一〇〇としたとき、串本町六六、すさみ町四九、日置川町四七、古座町五〇、古座川町五〇と、全国の約半分の所得しかありません。
 先日、串本高校の卒業式に出席しましたが、卒業生百九十九人のうち、進学が五五%、就職が四五%、そのうちわずか十二人が地元への就職であります。働くところが全くないのであります。人口減少は待ったなしの状態です。このような南端地域に対する国や県の対策はないものでしょうか。現状では、見放された地域に思えてなりません。
 昨年十一月、三重、奈良、和歌山の三県で提出した紀伊地域半島振興計画が国から承認されました。この中で、奈良県が突出した項目として、先導拠点の形成を掲げ、南和中核都市圏の形成や森林文化交流ゾーンの形成に力を入れるとしております。私の住む南端地域にもこのような発想で特別に地域振興施策を講じていただけないものでしょうか。知事にお伺いいたします。
 さて、来る三十日、待望のと申しますか、うれしさが込み上げてくると申しますか、一般有料道路広川・御坊間が開通いたします。知事初め県当局の皆さん、まことにご苦労さまでした。ありがとうございます。国、公団、地元自治体、関係者の皆さんにもお礼申し上げます。ことしのゴールデンウイークや夏休みには、紀南の観光地は一段とにぎわうことでありましょう。
 そこで、土木部長にお伺いいたします。
 近く国幹審の答申がなされる見込みと伺っていますが、いつごろになりますか。うわさによりますと、今回は国の財源不足や料金問題が絡んで延長距離が短いとか、本県の南伸は相当厳しいと伝わってきます。私ども本州最南端地域に住む県民にとって、高速道路の南伸はまことに死活問題であります。また、希望と喜びを与えてくれる最大の施策であります。基本計画路線の延長と整備計画路線の昇格はどこまで見込めるのか、情報をお教えいただきたい。
 すさみ町までの整備計画路線、新宮までの基本計画路線の位置づけは一日千秋、切なる願いであります。とんでもない案を持ち出した候補者を一蹴して西口知事を支えた多くの紀南の人々は、結果を注目しております。私自身も、企業誘致こそが県会議員の使命と思い定め、過去十数件、東京、大阪の企業の方々を紀南に連れてまいりましたが、結果はゼロ。企業からの回答は決まって、遠過ぎる、道が悪いであります。幾ら自然が美しくとも入り込み客が少ないと採算が合わないと申します。この苦しさは、和歌山市に住む方々には到底理解していただけない。もし知事がこの件で、中央に陳情に行くからみんなついてこいと言ってくれるならば、紀南の市町村長や県会議員は大挙して中央へ押しかけることでありましょう。国道四十二号(田辺・新宮間)改良促進協議会──会長は先輩・下川県議であります──の特に希望する改良箇所は、東富田・日置間をトンネルで短縮することであります。近畿地建では、この区間は高速道路絡みなので待ってほしいと言われます。しかし、そのいずれもができないとなれば、それは紀南切り捨てであります。そのときは、県がこの区間をバイパスでやっていただくほかにありません。とにかく全力で取り組んでいただけますよう、特段の要望をお願いいたします。
 次に、砂防関係予算確保についてであります。
 砂防事業や急傾斜事業は要望が多く、なかなか順番が回ってこないのであります。本県は県土面積の八割が山地であり、また残る平たん部面も、紀南地方を中心として、海と大地の接点に人々の生活が営まれております。このような自然条件により、本県では平成七年度、新宮市磐盾の土石流を初めとして五十八カ所の土砂災害が発生しており、また串本においても、同じく七年梅雨期に三カ所のがけ崩れが発生し、五戸に被害が及んでおります。このように、県民なかんずく紀南の県民は、雨が降ると土石流やがけ崩れ等の土砂災害に対して不安な日々を過ごしております。状況を勘案しますと、和歌山県における砂防関係予算は相対的に少なく、国に対して予算確保をもっと働きかけていくべきと考えられますが、土木部長のお考えをお聞かせいただきたい。
 次に、高齢者福祉対策について。県では大変意欲的な取り組みをいただいておりますが、特別養護老人ホームの整備方針について若干の質問をお許し願います。
 県の老人保健福祉計画によれば、特養ホームの整備目標は平成十一年で三千床となっております。和歌山県では、全国を上回る整備が進み、平成七年度末には目標を達成するとのことであります。しかしながら、県内には依然として七百六十七名もの入所希望者が一日も早い入所を待っており、十年も早く高齢化が進む和歌山県の地域特性を考え合わせますと、特養ホームの整備目標を上方修正すべきではないかと考える者の一人でありますが、知事のお考えをお示し願いたい。厚生省においてもスーパーゴールドプランの策定に着手し、現状現場の実態を反映する動きにあります。
 次に、女性政策についてお尋ねします。
 昭和五十一年に始まった国連婦人の十年以来、国際的にも国内的にもさまざまな形で女性に関する施策が行われてまいりました。国際的には、去年北京において第五回世界女性会議が開催され、発展途上国における女性の支援等の議論がなされたことは記憶に新しいところであります。国内的にも、行動計画の策定や女子差別撤廃条約の批准、男女雇用機会均等法の制定、介護休業制度の創設、女性が社会に進出するための条件整備がなされてまいりました。まさに、男女共生社会づくりに国内外とも進みつつあるという気がいたします。しかしながら、審議会等への女性委員の参画状況等を見ますと、逆に男女共生社会への道の遠さを感じるのは私だけではないと存じます。
 知事は、初登庁以来、女性政策について積極的な取り組みをすると言われてまいりました。そこで知事に、具体的な女性政策について三点ほどお尋ねいたしたいと存じます。
 まず第一点は、今議会にも提案されている機構改正について、女性政策の面からお尋ねいたします。
 従来、女性問題については民生部青少年女性課が所管をしていたと存じますが、これから本気で女性政策を推進するためには独立した担当課室が必要であると思われます。知事の所見をお尋ねいたします。
 次に、全く新しい視点で知事が発案され、先月公募されたわかやま女性一〇〇人委員会についてお尋ねいたします。
 知事が一昨年以来県内をくまなく回られ、県民の一人一人とひざを交えながら県政への熱き思いを語られた中で、県庁が遠い、県民の声が直接県政に伝わってこない、特に女性の声が県政に反映されていないことなどを実感され、就任早々、きのくにホットラインとともにわかやま女性一〇〇人委員会の設置を決められたと承知しておりますが、知事はこのわかやま女性一〇〇人委員会をどう活用されるのか、公募の状況も含めてご所見をお尋ねいたします。
 さらに、建設される予定とお聞きしている女性センターについてお尋ねいたします。
 他府県では、女性問題に関する情報や各種サークル等の拠点として女性センターを建設し、その運営については女性財団──これは県、市町村が出捐しております──が管理する等していると伺っておりますが、和歌山県は女性センターをどのような位置づけで、どんな内容で設置されようとしているのか、お聞かせいただきたいのであります。
 環境庁が平成七年度中の設立を目指している地球環境戦略研究機関の誘致に、大阪府や兵庫県など十二府県が名乗りを上げていると聞きます。この研究機関は、世界各国から資金と研究者を出し合い、地球環境に配慮した人間の生活や経済活動など、新しい文明のあり方を探る国際機関とされております。国の新年度予算案に設置調査費が計上されたばかりで、規模や設置形態、組織規模はまだ明らかにされていませんが、国際性、また環境というプラスイメージがあり、本県も手を挙げてほしいと思います。
 仄聞するところでは、大学や行政、企業、民間環境保護団体も研究に参加できる開かれた組織が想定されており、本県においては関空のメリットや紀の川テクノバレー構想の一環として、県工業技術センター、衛生公害研究センター、和歌山大学、県立医大、近畿大学等の協力もいただき、また島精機やノーリツ鋼機等の民間活力の参加も得ながら運営されるものと思われます。立地としてはインテリジェントパークやコスモパーク加太等も考えられますが、知事のご所見を承りたいと存じます。
 最後になりましたが、私が申し上げたいことを整理いたしますと、一つは、技術開発こそが日本の進む道──紀の川流域に先端工業団地を育成することを最大の命題とし、いわゆる中核企業を誘致し、そのためのトップセールスの展開を図ってほしいことであります。二つ目は、リゾート・観光産業がバブル崩壊後バッドイメージになっていますが、紀南地域が二十一世紀に活躍できるのは、やはりリゾート・観光産業であると思われます。さらなるご支援を賜りたい。三つ目は、そのための地域開発には京奈和道路の整備と高速道路の紀南延伸がかぎであります。結果として、和歌山百万都市の実現につながります。一説によりますと、リゾート博を東京で開催すれば一千万人が入っただろうと。私は、逆に言いたい。一千万人の集客装置を和歌山はつくったのだと。和歌山県には秘めたる力があります。知事にそれをもっと引き出していただきたいのであります。県議会も呼応させていただきます。順調な船出をされたものと思われます。
 「一番機は白浜を飛び立ち、追い風に乗って四十三分で羽田空港に到着しました。関西より東京の方が近くなったのであります」──船曳JAS社長は胸を張ってあいさつをしておりました。フォローの風が吹き始めた和歌山県、この風にいかにうまく乗っていくか。待ったなしであります。知事におかれてはご健康に留意され、大いなる前進をお祈りしつつ、質問といたします。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 堀本議員にお答えをいたします。数々のご提言を賜りまして、まことにありがとうございます。
 まず、平成八年度の当初予算に関してのご質問であります。
 私の知事としての初めての予算が平成八年度予算でありますけれども、和歌山新時代の創造に向けたスタートの年としたいということで議論を重ね、編成をしたところでございます。
 県税収入が前年度を下回るなど、財政状況は非常に厳しいものがございますけれども、行政改革の観点からその事務事業の見直しを行いながら二十一世紀に向けての県の大いなる飛躍に結びつけていくため、可能な限り、新たな観点からの施策の充実に努めたところでございます。
 特に投資的経費につきましては、交付税措置のある起債を積極的に活用し、地方単独事業を対前年比一七・一%増と地方財政計画の三・一%増を大幅に上回って近畿二府四県中第二位の伸びを示すなど、投資重点型の積極予算としたところでございます。
 そうした中で、まず、ご質問にございました力点を置いた事業でありますけれども、幹線道路網や高速道路整備等、和歌山県の発展のために必要な交通ネットワークの整備が第一でございます。次に、女性の能力が十分に発揮できる社会、子供たちの夢がはぐくまれる社会の実現のために、わかやま女性一〇〇人委員会の設置やきらめく女性地域活動支援事業の創設、あるいは子育て支援事業等、心豊かな夢のある和歌山づくりということが一つであります。また、産業に活力を与えるため、県経済国際化支援事業、森林整備活性化事業の創設、漁場探索情報の受信のための人工衛星画像受信システムの導入等、創造性豊かな活力ある和歌山づくりが一つであります。さらに、阪神・淡路大震災を教訓にして防災対策を強化するとともに、快適で魅力ある地域づくりを推進するために、輝け和歌山・二十一世紀ふるさとづくり事業、和歌山ふるさとリゾート推進事業、山村21創造事業の創設など、個性豊かな魅力ある和歌山づくりもその一つであります。
 そういうふうなことで、幾つかの点にわたって特に力を入れさせていただきましたけれども、個性豊かな和歌山づくりのために私のカラーも若干は出せたものと考えております。
 そこで、ご質問のございました、私の「変革と発展」と題した百三十六項目の政策提言との関連でございます。
 和歌山新時代の創造のために私が提案させていただいた多くのプロジェクトの中には、現在既に継続実施中のものもございますし、あるいは長期的に取り組まなければならないプロジェクトもございます。そうした中で、平成八年度におきましては、おおむね六割、さらに関連するものを加えるとおおむね八割を何らかの形で予算に盛り込むことができたと考えております。それ以外のプロジェクトにつきましてもさらに検討を加え、できるものから速やかに実行に移してまいりたいと考えてございますけれども、さきの十二月議会でも申し上げましたように、これらの提案は必ずしも固定化したものではなくて、何が重要であるか、県民の皆さんは今何を望んでおられるかなど、広い視野に立って十分見きわめて県政を進めてまいらなければならないと考えてございます。
 次に、今後の本県の財政状況についてでございますけれども、歳入面では、現在の景気情勢からは、当面、法人二税を初めとする県税収入には大幅な増収が期待できない状況にあると考えております。歳出面では、これまでの累次の経済対策あるいは県単独プロジェクトの遂行に伴う県債の増発により、公債費が近年増加傾向を示しております。さらに、県立医科大学の移転整備、多目的ホール、総合健康・福祉棟の建設等の大規模なプロジェクトが進行中であることを考え合わせますと、今後の財政運営は非常に厳しいものがあると考えております。しかしながら、私といたしましては、こうした状況の中にあっても、事務事業の積極的な見直しや少しでも有利な財源の確保等により、既存プロジェクトの遂行はもとより、新たな行政需要に対しても積極的に対処してまいりたいと考えてございます。
 次に、紀伊半島最南部地域の特別振興策についてのご質問であります。
 県土の均衡ある発展を図るために、ただいま総合的な交通ネットワークの整備を進めておるところでありますが、近畿自動車道紀勢線の南伸、内陸部の道路改良、南紀白浜空港のジェット化などによって、おっしゃられた地方についても利便性はかなり向上してきておると考えております。しかしながら、五町を初めとする紀南地方を取り巻く環境は依然として大変厳しいものがあり、そういうふうな認識も持ってございます。
 すさみ町、串本町、古座町の海洋資源、日置川町、古座川町の安らぎのある豊かな森林あるいは清流は大きな魅力となるものでございまして、地域間を結ぶ大島架橋などの主要国道、県道、あるいはきのくにふるさと林道などの基盤整備を進めますとともに、平成八年度予算においては、紀南における大規模イベントの調査あるいは歴史文化街道構想の推進、さらに、先ほど申し上げた和歌山ふるさとリゾート推進事業、輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業、山村21創造事業などの支援事業のご活用もお願いをいたしまして、観光、リゾートを柱として当地域の活性化を地元とともに進めていきたいと考えております。
 次に、特別養護老人ホームの整備目標についてであります。
 現在のところ、特別養護老人ホームのベッド数は、整備中も含め三千七十五床となってございます。全国に先駆けて老人保健福祉計画の三千床の目標をほぼ達成したということになっております。しかし、依然入所を希望する高齢者の方が多いことも事実でございまして、県内の高齢者の皆さんが安心できる特別養護老人ホームの整備方針を考えてまいりますと、特に過疎地域、半島地域を有する和歌山県においては高齢化が全国より十年早く進行しておりますし、さらに介護需要が高くなる七十五歳以上の高齢者の割合、あるいはひとり暮らし、夫婦のみの高齢者世帯の比率が一層高くなってくることが見込まれますし、介護が非常に困難な痴呆性の高齢者に対する対策の強化が必要となってまいります。このような要素を勘案いたしまして、また県内を回ったときにそういう要望も大変多いということに気づいておりますので、この際、老人ホームの整備目標を引き上げることとし、年度内に特別養護老人ホーム整備アクションプランというのを作成していきたいと考えております。
 次に、女性政策であります。
 仰せのように、女性を取り巻く環境は、国際的にも国内的にも大きな変革の流れの中にあると認識をしております。県といたしましては、こうした国内外の動きも視野に入れ、男女共生社会づくりに向けて各種施策を推進してまいりたいと考えております。
 まず、第一点目の機構改革でございます。女性政策は重点課題であるという認識のもとに、独立した担当課の設置等、推進体制の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、第二点目のわかやま女性一〇〇人委員会についてでございますけれども、二月に委員の公募をいたしましたところ、県内各地から五百五十名の方にご応募をいただきました。和歌山の女性の県政に対する関心の高さと積極的な参画意欲に感謝をいたしますとともに、皆さん方の期待にこたえられる県政の推進に向けて全力を尽くしたいという思いを改めて強くした次第でございます。三月中に百人の委員を選考させていただきますけれども、応募いただいた多くのご意見も県政の意見・提言として受けとめさせていただきたいと考えております。そして、この四月からスタートするわかやま女性一〇〇人委員会では、女性の感性や立場から、だれもが住みやすい和歌山を創造するための提言をいただけるものと期待しておるところであります。
 第三点目の女性センターでありますけれども、女性の活動と交流拠点、また女性に関する図書・情報センター、学習・啓発センター、相談センター等、四つの機能を持ったセンターとして計画をしてございます。他府県の女性センターの現況、あるいは広く皆様方のご意見もお聞きしながら、運営方法等も含めて検討していきたいと考えております。
 最後に、環境庁の地球環境戦略研究機関構想についてでございます。
 地球環境保全の総合的な国際的研究機関として、昨年構想の発表以来、環境庁と接触して情報収集に努めておるところでございます。現在、その機関の体制、規模等の具体的なイメージの策定段階でございますけれども、平成八年度には立地場所の選定の検討に入る予定と聞いてございます。地球環境問題につきましては、県としても重要な課題と認識しておりまして、地球環境関西フォーラムにも参画をするなど、今後の具体的な取り組みについて検討しているところでございます。地球環境戦略研究機関構想につきましては、検討の進捗状況に十分注意を払いながら対応してまいりたいと考えております。
 なお、多くのご提言、ご質問などにつきましては、関係部長から答弁いたします。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 行政改革についてのご質問にお答え申し上げます。
 まず、第一点の組織機構の改革ということでございます。
 昨年末に策定した新行政改革大綱では、地方分権の時代にふさわしい行政機構づくりや県民の視点に立った行財政運営の見直しが中心的な課題となっており、現在、この大綱に基づいて組織の見直しを行っているところでございます。
 具体的には部のあり方の見直しということでございまして、県民の暮らしにかかわる施策を展開する生活文化部と、福祉・保健・医療を一元化するための福祉保健部の設置を主な内容とする条例の改正案を本定例会に提案させていただいておりますけれども、本庁課室につきましても、部の改編の趣旨に沿い、行政目標の明確化や効果的実施の観点から組織再編に現在鋭意取り組んでいるところでございます。
 また、地方機関等につきましても、平成九年度以降順次見直しを行ってまいりたいと考えておりますので、議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。
 次に、事務事業の見直しの成果はどうかということでございます。
 事務事業につきましては、平成八年度当初予算において、限られた財源の中で新たな行政課題や社会経済情勢の変化に的確に対応していくため、行政改革大綱の理念に沿って既存事業の徹底した見直しを行ったところでございます。この結果、事業の目的が既に達成されたもの、また実質的な効果がほとんどなくなったということで廃止された事業が五十四件、額にして約六億円、必要性が薄くなったものとして規模縮小した事業が二百十三件、改善額にして約十一億円となりました。
 また、この一方、新たな行政需要に対応するための新規事業を二百七十五件創設いたしましたが、この新規事業を五つの政策目標ごとに申し上げますと、飛躍への基盤づくりということで三十八件、二十一億円、明るい社会づくりということで六十四件、十億円、活力ある産業づくりということで七十件、十四億円、快適な暮らしづくりということで二十九件、五億円、心豊かな人づくりということで三十一件、二十二億円ということになっております。
 今後とも、絶えず事務事業の見直しを行い、緊急度の高いものから効率的な実施を図ってまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 堀本議員にお答え申し上げます。
 まず、第四次長計のフレームと現状との乖離でございます。
 平成七年における人口の見通しとして百十二万六千人を見込んでいましたが、少子化の進展や各種プロジェクトの効果が想定よりも小さかったことなどから、国勢調査速報集計では百八万四百八十一人となってございます。
 次に経済成長ですが、平成十二年までの経済成長率は年四・〇%を達成する計画としておりますけれども、平成五年における県内総生産は三兆一千億円で、我が国経済が低成長になったことや本県工業の基幹である鉄鋼業、石油業が円高等により大きな影響を受けたことなどから、昭和五十五年から実質経済成長率は年率一・五%となってございます。また、一人当たりの県民所得につきましても、平成五年は二百四十万六千円で、昭和五十五年からの伸び率は年率一・五%となってございます。
 産業構造については、平成二年における産業別就業者数の構成比では、第一次が一二・七%、第二次が二九・一%、第三次が五八・二%となっており、第一次、第二次産業が計画目標を下回ってございます。
 次にテクノゾーンとリゾートゾーンの成果でございますが、四次長計の県土づくりの戦略としてテクノ&リゾート計画を推進しております。テクノゾーンについては、既存産業の高度化のための中核として工業技術センターを再編整備するとともに、先端産業を中心とした企業誘致を推進し、昭和五十七年からの実績では、地域的な差はございますが、県下全域で六十三社に上っております。また、近畿大学生物理工学部や和歌山大学システム工学部の開学により優秀な人材の育成や研究機能が充実するなど、相当の成果が上がっているものと思われます。
 また、リゾートゾーンについては、燦黒潮リゾート構想を推進し、和歌山マリーナシティや東急田辺リゾートなどが整備されるとともに、世界リゾート博により本県を国際的なリゾートエリアとして国内外にアピールしたところであります。しかし、長引く景気低迷により民間企業の投資意欲が冷え込み、大規模施設の立地が進んでいない状況となっております。今後は、自然との触れ合いや農林業の体験などによる和歌山ふるさとリゾートをあわせて推進することといたしてございます。
 次に地帯別構想の進捗状況でありますが、複数圏域にかかわる広域交通体系は相当に進捗してきたと存じます。定住圏別に見ますと、和歌山定住圏では、インテリジェントパーク、工業技術センターなどの整備や和歌山大学及び近畿大学の理工系学部の開設等により紀の川テクノエリアの形成が進むとともに、文化施設や福祉施設の整備も進んでまいりました。橋本定住圏では、京奈和自動車道の事業着手や南海高野線の複線化など交通結節機能の強化と同時に、大規模住宅開発による快適な居住エリアの形成が進んでおります。有田定住圏では、企業誘致によるインダストリアルパークの形成、有田川や内陸部のレクリエーション施設の整備等が進んでおります。御坊定住圏では、工業団地の造成などとともにレクリエーション施設の整備が進み、また地方拠点都市地域として都市機能の充実を図ろうとしてございます。田辺定住圏では、南紀白浜空港のジェット化整備が実現し、国際文化リゾート基地の形成に大きく踏み出しております。また、広域農道や南紀用水、漁港整備などにより農山漁村の整備が進むとともに、地方拠点都市地域としての田辺市の都市機能も充実してまいりました。最後に新宮定住圏におきましては、大島架橋の着工や那智勝浦CCZ計画の進展、新宮市の宅地供給やヘリポートの設置、紀南縦貫林道、きのくにふるさと林道の事業着手等、産業基盤の整備などが進んでおります。
 引き続き取り組むべき課題も多く残されており、今後とも一層の計画推進を図ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 産業の活性化と具体策についてお答えします。
 本県を取り巻く社会経済環境の大きな変化を踏まえて二十一世紀に向けた本県経済の持続的発展を確保するためには、産業の活性化を図ることが不可欠と考えてございます。そのために、中長期的な視点に立って二十一世紀に向けた本県産業の将来を展望し、今後取り組むべき方向性を示す和歌山県産業活性化ビジョンを策定したところでございます。
 本活性化ビジョンの主な施策展開といたしましては、関西国際空港への近接性を生かした国際的な産業活動の展開、創造的な企業の育成、心の豊かさが実感できる観光・リゾート産業の振興などの方向性を挙げているところでございます。予算案に計上している香港駐在員の派遣や産業情報センターの設置など、幾つか具体的にその実現に取り組んでいるところでございます。
 また、創造的企業の育成につきましては、和歌山テクノ振興財団が企業の巣立ちを支援するインキュベーター事業を行い、海南インテリジェントパークに建設されるリサーチラボが賃貸施設としてレンタルラボ事業を行っていく予定になってございます。これからも研究開発企業の誘致を行うとともに、企業育成の方策の一つとして貸し工場ビル構想についても和歌山市とともに研究してまいりたいと考えてございます。
 今後とも、本活性化ビジョンの各論の実現に向け、着実に取り組んでまいりたいと存じてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 堀本議員の、高速道路の紀南延長その他についてのご質問四点についてお答えいたします。
 かねてより皆様方のご指導、ご支援をいただきながら整備の促進を図ってまいりましたが、一般有料道路の湯浅御坊道路十九・四キロメートルが来る三月三十日、全線供用の運びとなりました。続く御坊から南部の間二十一・四キロメートルにつきましては、平成七年二月のくい打ち式の後、地元説明、設計協議が鋭意進められており、平成八年度には用地測量の終了した区間からいよいよ用地買収に入る予定となってございます。続く南部町からすさみ町までの区間につきましては、基本計画に組み入れられているところであります。
 ご質問の次期国幹審につきましては、現在建設省において本年中に開催すべく準備が進められていると聞いております。なお、その際、料金上昇を回避するよう最大限の努力がなされているところでございます。
 また、我が県につきましては、現在、南部町からすさみ町までの間について、都市計画決定などの手続を進めるべく鋭意検討を行うとともに、新宮市までの基本計画への組み入れも要望しているところでございます。
 高速道路の整備はぜひとも必要でありますので、今後とも県議会を初め関係機関のご支援をいただきながら次期国幹審に向け、積極的に国に働きかけてまいります。
 次に、国道四十二号の改良促進についてでございます。
 国道四十二号の現道対策といたしましては、沿道状況や異常気象時における交通規制区間の解消などの点を考慮しながら、国において調査を進めているところでございます。
 ご指摘の東富田・日置間のバイパス建設につきましては、大規模なバイパスとなりますので、近畿自動車道紀勢線の南伸の計画を見ながら検討してまいりたいと考えております。
 最後に、砂防事業等の促進についてでございます。
 砂防関係事業は、県民の生命、財産を守り、安全な県土をつくり出すために非常に重要な事業でございます。このため、本県は砂防事業に重点的に取り組んでおり、平成七年度の公共事業予算規模は全国第二十二位でございます。しかしながら本県は地形が急峻であるため、四千三百一カ所の危険箇所を抱えております。
 このような状況を踏まえ、平成八年度は事業費で九十七億六千万円、箇所数で四百四十二カ所の事業を推進してまいることとしております。さらに平成八年度には、県独自の施策として急傾斜地崩壊対策事業における地元負担金の軽減を図るとともに、避難場所等もあわせて創出を図る特定利用斜面保全事業などを積極的に進めてまいることとしております。平成八年度は第八次治水事業五カ年計画の最終年度であり、また第九次五カ年計画策定の年でもございます。今後とも、国に対し積極的に働きかけるなど、事業予算の拡大に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 以上で、堀本隆男君の質問が終了いたしました。

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