平成7年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時五分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第百四十七号から議案第百七十三号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第百四十七号から議案第百七十三号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 36番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。許可をいただきましたので、早速ご質問させていただきたいと思います。
 着任早々で知事も大変でありましょうが、県民の要求の切実さから考えて、一日も早い実現をという願いを込めて具体的にご質問を申し上げていきたいと思います。
 まず初めに、知事の公約であるライフアップ計画の実現とその具体的計画についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 多くの人々は健康や病気に対する不安が大きく、中でも高齢者は、経済的不安もさることながら、もし病気になったら、寝たっきりになったらと、介護や食事に不安がいっぱいであります。年老いても、ひとり暮らしになっても、たとえ障害を持っても、長年住みなれた地域で安心して住み続けられることを願い、医療や福祉サービスがいつでも気軽に安心して受けられることを強く望んでいるところであります。
 知事の公約の一つであるライフアップ計画には、私も大いに期待をするものです。特に、一日二食の給食サービスや二十四時間型ホームヘルプサービスの一日も早い実現に期待を強く持つものですが、その実現のための具体的な計画等をお聞かせいただきたいと思います。
 在宅介護が殊のほか困難な中、特別養護老人ホームの入所希望者の待機期間も今や六カ月から一年を超えることもあり、この間、家族が老健施設や病院を探し回らなければならないという事態が強まっています。また、介護のため退職せざるを得ない女性がふえていることからも、特に特別養護老人ホームの増設、同時にこの特別養護老人ホームの目標の見直しを急ぐことが今どうしても必要であると私は思うのですが、知事の所見を伺いたいと思います。
 さらに、日本一の医療保健体制をつくるためとして、こども病院の建設を明らかにされました。これについても、若いお母さんたちの期待の声が高まっているところです。
 私は、平成三年九月議会において、こども病院をつくってほしいと質問いたしました。当時の答弁は大変冷たく、否定的でもありました。その答弁は、現在県立医大その他小児科を標榜している病院で対応していただいている、今後もこれらの医療機関と緊密な連絡をとりながら対応していきたいということで、病院等の建設についての意向はいささかもございませんでした。
 当時、西口知事は副知事の職にありました。これまでの経過の中で、この方針から、こども病院を建設すると思い切った公約に及んだその真意は何であったのでしょうか、ぜひ伺いたいと思います。そしてその計画は、いつの時期に、どのような規模で実現しようとお考えなのでしょうか。
 日本一の保健・医療・福祉体制を整備するには、どうしても人的体制が大切です。特に、医療技術者を初めとしたマンパワーの育成に大きな力を集中しなければなりません。公約に福祉保健短大の設立計画が掲げられていますが、どのような内容を持つ短大なのでしょうか。具体的な計画等についてお示し願います。
 以上、五点について知事の率直な考えを伺いたいと思います。
 続いて、女性の地位向上と女性の県幹部登用の目標及びその育成計画について伺うものです。
 ことしは戦後五十年、そして女性にとっては参政権獲得五十年の年でもあり、また平和憲法が成立して五十年という時期にあります。特に女性の解放という、五十年の歴史を刻んだ意義深い年でもございます。日本の女性が戦前のはかり知れない犠牲を払って得た人間としての自由、解放感と、自分自身の幸せのために自分たちの力を発揮することができる時代をつくり出した喜びを、この五十年という時代背景から強く感じ取ることができます。
 戦後、日本の女性たちは社会的な役割を大きなものにしてまいりました。今や女性の数は総人口の五〇・九%、中でも働く女性は年々増加をして、あらゆる職場に進出をいたしております。不況であえぐ中小業者の女性たちは、夫とともに経営と生活を大きく支えて頑張っています。そして、女性事業主の割合も今や四〇%となっているのであります。さらに、現在の日本農業において中心的な役割を担っているのは女性たちだと言われてまいりました。実に、農業就業人口の六割を占めています。この方たちは、いずれも家事・育児をしながらという厳しい中で力いっぱい頑張っているのであります。今や、女性の労働なくしては日本の労働力は確保できないとまで言われております。
 こうした女性の社会的役割の増大にもかかわらずその地位は一向に上がらない、大変低いのが日本の現実でもあります。賃金を初めとした昇任・昇格や就職における採用、雇用形態など、男女雇用機会均等法施行後十年になりますが、依然として男女差別は残っていると言わざるを得ません。この間、こうした職場における差別に対して不当性を訴えて裁判闘争に立ち上がり、女性の地位向上のためしっかり頑張っている女性たちもふえてまいりました。
 近ごろ、女性の意識も変わってまいりました。結婚しても働き続けたいという女性がふえてまいっております。しかし、地位向上には至っていないのが現実です。
 労働省発行の九五年版「女性労働白書」によりますと、賃金の男女格差は十年前の五一・八%から五〇・八%と下がったものの、今もって賃金は男性の半分で、格差是正の改善を見るに至っていない現状にあります。就職においても、今、超氷河期と言われる中で、女性の完全失業者数、失業率ともに過去最悪となっております。就職が決まっていない高卒・大卒の女子学生の問題は今や社会問題と化してまいり、深刻な状況にあります。この報告でも、年齢の若い人ほど失業者数、率ともに高くなってまいっております。
 知事さん、本県における女性の地位はどうなっているのでしょうか、どのような対策をお考えになっていらっしゃいますか、教えてください。知事は、女性がはつらつとして活躍できる環境づくりを進めるため、女性一〇〇人委員会の設置準備費予算をこの議会に提案されているところであります。その具体的な発展を期待するものですが、しかし何よりも、県庁内における女性の幹部職員登用も同時に進めなければなりません。
 人事課からいただいた資料を見てみますと、年々役付女性職員はふえているものの、課長や次長、部長といった職に発展しているとは言いがたく、平成七年度を見るとわずかに六名であります。しかも、この人たちが民生部、保健環境部に偏っているのもいかがなものかと思うわけです。今後、女性の幹部職員の育成に対する目標や計画はどのようにお考えになっておられるのでしょう。知事の女性職員に対する心意気を伺うものであります。ご答弁を求めます。
 次に、フォレストシティ計画についてであります。
 マスコミは、知事選挙期間中、選挙の焦点の一つとして、フォレストシティ計画とコスモパーク加太について各候補者の考えをアンケート調査し、その結果を報告いたしました。私の手元にあるのは毎日新聞十月二十八日付でありますが、知事、あなたはこのときのアンケートでフォレストシティ計画に対する考えには一言も触れられていません。地元住民の間では、新知事の考えに大変注目をいたしておるところです。この場から、改めてお尋ねをしたいと思います。
 これまで仮谷知事は、フォレストシティ計画は燦黒潮リゾート構想の中の一つの計画と位置づけて、計画に係る審査を進めてまいりました。ご承知のとおり、和興開発株式会社は会社のもうけのためには法を犯すことにいささかの罪も覚えず、社長みずからその中心となってまいりました。その法違反に、先日、実刑判決が下されたところであります。また、地権者からさまざまな形で裁判に訴えられている現実もございます。さらに十二月八日のNHK等の報道によりますと、債権問題に絡んだ、開発区域の約半分にわたる土地が仮差し押さえをされる問題が発生しました。こうして次々と噴出する新たな問題に、地元の住民は驚くばかりであります。
 今また、進入路変更にかかわって、隣接住民に対する説明会が行われております。全く形式的で、住民の疑問や不安にこたえるという姿勢はこれまで同様に、ないと言わざるを得ない状況にあります。もはや地元住民の間では、和興開発株式会社に対して、信用に値するところは一かけらもないと、厳しく言い切る人も多くなってまいりました。
 このような状況のもと、知事はリゾート構想の計画に固持することはいかがなものかと考えるのであります。知事の思うところをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、保健所問題についてご質問を申し上げます。
 昨年六月の国会において保健所法が廃止されました。そして、地域保健法が新たに制定をされたところです。この法改正を受け、県当局においても地域保健対策の見直しを進めているところとお聞きをいたしております。以下、今後の地域保健対策を進めるに当たって、関係部長のご見解を伺うものです。
 地域保健法では、国が保健所や保健センターの整備と運営に関して助言または勧告することができるとして、中央の管理を強める方向にあります。これは、地域に密着した保健活動を進める上から言っても、問題を抱えたものであります。また、地方の時代とか地方分権が叫ばれる方向にも逆行していると言わざるを得ません。このことは、保健所の設置区域の設定でも明らかであります。
 地域保健法では、医療法で定められている二次医療圏を考慮して保健所を設置するとされています。二次医療圏はもともと、それぞれの地域の必要ベッド数を定めるために設定されたものであり、公衆衛生の範囲と一致させることには無理があります。地域の人口で見ても医療圏ごとの格差は大きく、また面積や交通機関の整備状況など、保健所の設置は地域の実態に見合ったものでなくてはなりません。地域の自主性が尊重されるのは当然ではないでしょうか。
 県として、保健所の設定については、二次医療圏だけにとらわれず地域の実態にふさわしい方向で臨むべきと考えますが、その基本的な方針をお聞かせ願いたいと思います。
 現在保健所が行っている母子保健や乳幼児健診を移譲される市町村には、受け入れ状況に問題がございます。今、保健所を持つ和歌山市以外の四十九市町村のうちで保健センターを運営しているのは、高野口保健所管内ではゼロ、岩出保健所管内では粉河町だけです。海南保健所管内では野上町の一町だけ、湯浅保健所管内では有田市と金屋町の一市一町、御坊保健所管内では川辺町だけ、田辺保健所管内では田辺市と白浜、中辺路、南部町の一市三町、古座保健所管内と新宮保健所管内には保健センターを設置している市町村はありません。すべて合わせても、わずか九市町にすぎません。
 幾つかの市町村では、今後保健センターを整備する計画があると聞いております。保健センターと保健所では、その体制も任務も大きな違いがあります。単に保健所の業務を保健センターへおろすことができるというだけのものではありません。このことは、住民の健康を守るためにも深く認識しておく必要があるのではないでしょうか。
 保健所には、医師や保健婦、栄養士、各種技師、薬剤師などを配置することが義務づけられております。ところが保健センターにおいては、どんな人員を配置するかはその市町村の自由であり、運営も市町村任せとされております。もちろん、今後市町村の保健センターの充実が不可欠なことは言うまでもありませんが、財政力やマンパワー確保の問題から言っても、保健所を充実強化しながら保健センターと保健所の連携を強化する方向こそ、これからの高齢化社会には必要であると考えます。
 私は、長年住民に親しまれてきた現在の保健所をそのまま残し、体制や機能の強化を図ることが必要だと考えているところです。例えば、精神保健相談員は県の八保健所に四人しか配置されておらず、一つの保健所で三日間相談を受けて二日間は別の保健所へ行っておりますが、こういう状態を改善し、一保健所には一人の相談員が必要です。乳幼児や母子健診の充実を図るためにも保健センターと保健所の連携を強化し、保健所の機能を弱体化させるのではなく、より高度な健診体制を築いていかなければなりません。
 紀の国障害者プランでは、保健医療対策の推進に当たって、保健婦、看護婦、理学療法士、医療ソーシャルワーカー、言語聴覚療法技術者、臨床心理技術者など、専門的技術者の育成確保がうたわれております。また、障害の発生予防、早期発見及び研究の推進、医療・リハビリテーションの充実、精神保健対策の推進など、保健医療の充実を掲げているところです。
 知事も、選挙の公約で日本一の保健医療体制を標榜されております。障害者プランの具体化として、保健所の充実はその一環だと考えるものです。県当局の見解をお示し願いたい。
 また、現在庁内で進めておられる保健所についての見直し作業は、県職員はもとより市町村や住民の意見を十分に酌む必要があると考えますが、具体的な方策をお示し願いたいと思います。
 次に、入院給食の問題について質問をしてまいります。
 私は、昨年の二月議会、またこの九月議会にも入院給食費の県補助を求めてまいったところです。入院給食は医療の一部であり、それを、家でも食事をするのだから病院での食事代を取るのは当然という政府の仕打ちは医療の実態とかけ離れたものであることを再度指摘したいと思いますし、県にも和歌山市など県下の市町で実施している公費負担制度の導入を再度求めるものです。
 本日の質問では、県の実施している福祉医療制度とのかかわりで、入院給食費の補助を求めるものであります。
 現在、和歌山県が実施している福祉医療制度には、六十七歳から七十歳未満の老人医療費、重度心身障害児医療費、ひとり親家庭医療費、三歳児未満の乳幼児医療費の補助制度がございます。いずれも、市町村が実施する公費負担制度の二分の一を県が補助しているものであることは周知のとおりです。
 さて、老人医療費補助金交付要綱第三条では、補助の対象が規定をされています。「この補助金は、市町村が次項に定める対象者に、医療保険各法その他法令の規定により医療に関する給付が行われた場合──つまり健康保険法などによる治療などが行われた場合──における当該医療に要する費用のうち対象者が負担する費用から老人保健法第二十八条に規定する一部負担金──この一部負担金は、老人保健法に基づく初診時の月初めの外来費千十円や入院費一日七百円です──に相当する額を控除した額の支給を行う」ときに、県が老人医療費その他を交付することになっています。つまり、この要綱によれば、患者が負担する費用として控除しているのは初診料や入院費だけであり、患者が入院給食の標準負担額一日六百円を支払い、これを市町村が補助した場合は県の補助制度の対象になることをあらわしていると私は考えるものです。
 ある町では、入院時食事療養費が医療に関する給付に含まれないなどという、法律無視の弁解を行っているやに聞いております。例えば、昨年六月に改悪された健康保険法第四章の保険給付について定めた第四十三条の十七では、入院時食事療養費に関する規定が挿入され、一項では「療養ノ給付ト併セテ受ケタル食事療養ニ要シタル費用ニ付入院時食事療養費トシテ之ヲ支給ス」としています。入院時の食事療養費が保険給付の一部であることは明白であると思います。その二項では、入院時食事療養費の額が決められております。食事療養費は標準負担額である六百円を引いた金額と定められており、入院時食事療養を保険給付の一つと明記しているところです。したがって、和歌山市のように老人医療について入院給食費を市が負担している場合には、和歌山市から補助の申請があれば県の制度の補助対象となるのは当然だと思うのです。また、入院時食事療養が補助の対象となっていないと誤解している市町村には補助の対象となることを指導すべきであると考えますが、あわせて当局の見解を伺います。
 重度心身障害児医療費でも、県の補助金交付要綱は、医療に関する給付が行われた場合に──重度心身障害児が医療行為を受けた場合にではありますが──その費用のうち対象者が負担する費用の支給を市町村が行い、患者負担分を補助したときに県が補助する対象とされております。これも、和歌山市を初め南部町、すさみ町では重度心身障害児者の入院給食費を公費負担しており、申請があれば県はその半分を補助すべきであるとしか考えられません。
 この四月から実施されているひとり親家庭医療費についての県の補助金交付要綱では、その第三条で、補助金の対象となる事業は市町村が患者の一部負担金の支給を行う場合であるとし、その対象となる一部負担金とは、医療保険各法に規定する療養の給付、療養費、及び家族療養費を受ける者が負担すべき額とされています。療養の給付について定めた健康保険法第四十三条では、入院時食事療養は含まれないと明記しています。ところが、療養費の額について定めた第四十四条の三では、療養費として支給すべき額の中に、入院給食費の自己負担分を除いた額を含めることを定めております。この法文によって、療養費を受ける者が負担する金額が県の補助制度の支給対象となります。
 家族療養費の項でも、患者の自己負担分──医療費の二割ないし三割でありますが──と食事療養の標準負担額六百円との合計額を控除した額を保険から給付すると定め、残りを患者が負担する額と決めております。この規定からも、患者の負担した入院時食事療養費は市町村が支払い、それを県に補助申請すれば県の制度の補助対象となると解釈するのが当然ではないでしょうか。
 乳幼児医療費の補助対象規定は、ひとり親家庭医療費と同じ規定になっております。
 このように、県が実施している福祉医療制度の要綱では、入院給食費の公費負担はその対象となることは明らかで、和歌山市などから補助申請があれば支給すべきだと考えるものです。また、県の要綱と同じ趣旨の補助規定を定めている市町村には公費負担を指導することが必要と考えるものですが、県当局の見解を求めます。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
 ライフアップ計画は、高齢者や障害者が地域社会で安心して自立した生活を送れる環境づくりを進めてまいりたいとの願いから提案したものでありますけれども、その中の一つの大きな柱として二十四時間型高齢者サービスの実現を位置づけておるところであります。
 高齢者の皆さんが住みなれた家庭や地域で暮らし続けられるためには、現在整備を進めているホームヘルパーあるいはショートステイといったサービスの量を単に拡充するだけではなくて、利用者の立場に立って、二十四時間型のホームヘルプサービスや一日二食の給食サービスといったきめの細かい事業を実施していくことが必要であろうと考えてございます。
 また、特別養護老人ホームにつきましては、本県においては県民の強いご要望におこたえして着実な整備を進めておりまして、平成五年度における高齢者人口当たりの整備率は全国で十二位、近畿圏では一位となっており、さらに平成十一年度までの目標をおおむね達成する状況にございます。しかし、本年四月現在での入居希望者が依然七百名以上あるという事実も認識をしておりまして、今後の整備方針につきましては、本年十月に県議会において内閣総理大臣等に提出された「特別養護老人ホームの整備拡充に関する意見書」の趣旨を尊重しながら検討していきたいと考えております。
 次に、子供の健康の保持増進を図るために、県としては従来から各種保健サービスの充実、医療施設の整備に努めてきたところでございますが、来るべき少子・高齢化社会における県勢発展を考えてまいりますときに、次代を担う子供たちが健康に生まれ、幸せに生きていける環境づくりは、より一層重要な課題であろうと考えております。このために、母子保健医療施策全般の充実に向けて、全国の状況や専門家の皆様方のご意見を参考にしながら、健診等母子保健施策の見直し、こども病院の建設、県立医科大学の充実など、本県にふさわしい医療体制のあり方について早急に調査研究を進めてまいりたいと考えております。
 次に、急速な高齢化、増大する介護需要に対しまして、優秀な専門技術と知識を備えた介護サービスを提供する必要がございます。このため、県といたしましては、現に施設等において介護に従事している職員を対象に講習会等を行い、資格取得の促進に努めておるところでございます。
 また、平成八年四月に県立医科大学看護短期大学部を開設して一学年八十人規模の看護職員の養成をいたしますとともに、さらに同年四月には、和歌山市内において県が建設支援をしている民間の介護福祉士養成施設が一学年八十人規模で開設をされます。これらの施設の充実によりまして、より資質の高い人材の確保が図られるものと考えてございます。
 今後、ご質問ございました医療・福祉・保健分野のマンパワーの養成計画について十分検討を進めていきたいと考えております。
 次に、女性問題であります。
 我が国の女性の地位向上は戦後の歴史とともに歩んできたと申せると思いますし、この五十年の間に法制度面での男女平等の確立は格段の進展が見られたと考えております。しかしながら、社会慣習や意識の中に固定的な性別役割意識が根強く残っていることや、また女性の社会参加する機会が十分確保されていないことなどが女性の能力発揮を阻んでいる状況にあることも事実であろうと思います。
 人間の能力は男女の区別によって規定されるべきものではなく、男女がともに個性と能力を生かしてこそ調和のとれた社会が形成できるものであるということを基本理念といたしまして、審議会等への女性の参画促進、また意識啓発等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、女性の地位向上のためにも、女性職員の県幹部登用については、適材適所を基本にこれまで以上に積極的に行っていきたいと思いますが、このためには、まず職場研修などを通じて職員の意識改革を行いますとともに、役付職員にすることによって能力開発を行い、さらに管理職としての訓練を行いながら、女性職員を順次県幹部として登用していきたいと考えております。
 最後に、フォレストシティ計画についてであります。
 私は、和歌山県をすぐれたリゾート地として整備し、リゾート産業を県の基幹産業に育てていかなければならないと考えております。そのために、農山漁村の豊かな地域資源を生かしながら自然や文化と触れ合えるふるさとリゾートの実現に努めたいと考えておりますが、さらに海岸域を中心に、民間活力の導入を基本とした燦黒潮リゾート構想の推進についても努めてまいりたいと考えております。
 燦黒潮リゾート構想は、平成二年に国土庁を初めとする関係六省庁により承認されたものでございますが、この構想の中で、紀泉地域は関西国際空港に近く、緑豊かな都市近郊型リゾート地として整備することとしておりまして、フォレストシティ計画はその中の一部でございます。
 燦黒潮リゾート構想は、おおむね十年間を目標とした構想でありますので、今後とも長期的な視点に立って推進を図ってまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 保健所の充実強化についてお答えいたします。
 まず、保健所の設定についての基本的な考え方でございます。
 国の地域保健対策の推進に関する基本的な指針によりますと、保健・医療・福祉の有機的な連携を図るため、保健所の規模拡大及び機能強化を図ることが求められております。その所管区域につきましては、二次医療圏または老人保健福祉圏とおおむね一致した区域とすることとされております。
 次に、保健所の充実及び保健所の見直しと住民の意見聴取についてでございます。
 地域保健の見直しに係る関係諸法の改正に伴い、母子保健の三歳児健診等の住民に身近な保健サービスは、平成九年度から市町村に移譲されることとなります。これに伴って市町村が実施するサービスにつきましては、市町村の求めに応じて専門的な立場から援助に努めるなど、保健所が果たす役割も変化してまいります。
 このため、本年十一月に設置した、県内の関係団体や市町村の代表及び学識経験者等で構成する和歌山県地域保健対策会議において、地域保健の広域的、専門的かつ技術的拠点としての保健所の所管区域や機能強化方策等についてご審議をいただき、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 なお、県といたしましては、県立保健所職員の専門性を高めるとともに、市町村の地域保健業務に従事する関係職員の研修や小規模町村の保健婦等の人材確保のための支援を行い、市町村に移譲された保健業務も含め、市町村保健センター等との連携を図りながら、全体として保健サービスの低下を招くことがないよう十分配慮してまいりたいと考えております。
 次に、入院給食費補助についてでございます。
 入院時の食費負担につきましては、入院されている方と在宅で療養されている方との均衡を図り、今後予想される高齢化社会に向けての各種施策を推進するため健康保険法が改正され、昨年十月から実施されたところでございます。
 本改正に伴い、入院時の食事の費用については従来の療養の給付から切り離され、入院時食事療養費という別個の給付制度となりました。この改正の趣旨を踏まえて、県の補助要綱においても入院時食事療養費の自己負担額は対象外としております。
 なお、入院時食事療養費の自己負担額を助成している市及び町におきましては、独自に新たな条例等を制定して実施しているところでございます。
 以上です。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、答弁をいただきました。
 フォレストシティ問題については、仮谷前知事とほとんど変わらないという態度ですね。それはあなたの方針ですからそうなんでしょうが、ただ、知事は許可権者でもあるわけです。今まで和興開発株式会社が計画したフォレストシティ計画はさまざまな問題を抱えていて、先ほども申し上げたように今なおいろんな問題が噴出している状況の中で、幾ら紀陽銀行がバックについているからといえ、資金力にせよ、信用度の問題にせよ、本当に和興開発株式会社という一企業にゆだねていいのかどうかというところに来ていると私たちは思っているんです。今、そういう判断が知事に求められている時期であろう、そして、こういう企業に和歌山の将来を託していいのかどうか、大きな問題として考えていただかなければいけないと思っています。
 今、慎重に審査をやっていただいていると思いますけれども、しかしちまたでは、さまざまな問題が噴出し始めてくるだろうと言われています。そういう中でもあえてこれを固持されるのは大変な危険を冒すことになりはしないかと、私たちは大変危惧をいたしております。これは答弁を求めませんけれども、そういう問題を十分把握されて検討していっていただきたいとお願いをしておきます。
 それから、入院給食費の問題や保健所の問題等については非常に細かい問題でありますので、ここで論議をするわけにはいかないと思います。本会議では問題提起だけにしておきますが、細かな問題については常任委員会等で論議をしていきたいと思います。
 それから、女性の幹部登用の問題です。私が平成元年に質問したときからすれば随分と頑張っていただいておると思うのですが、この議場には、両わきをずうっと見ても女性はだれもいません。私は非常に寂しい。県政を進めていく上で、とりわけ女性の政策問題を進めていく上では、女性の幹部がその論議の中に加わって意見を思う存分言えるようにしていただきたい。女性の地位向上、女性の持つ悩み、また今何が必要なのかということを日常の行政の中で反映させていただくには、女性の幹部登用がどうしても必要です。そういう点では、知事も女性に対する見方が随分積極的だなというふうに私たちは思っているんですが、ぜひ今後、幹部登用を急いでほしいと思います。そして、役付の人は随分とふえてきておりますけれども、女性だから民生や衛生のところでいいんだというような感覚はもうやめてほしい。あらゆるところで女性の能力を発揮していただくためにも、この県の機構の中で各課にわたって女性の幹部を育てていただきたいということをお願いしておきます。
 こども病院の問題ですが、日本一の保健医療体制ですから、これはどうしても必要な部分だと思うんです。研究をして、早い時期に結論を出したいというお話だったと思うんですが、一生懸命研究したけれども医大などの中核病院で事が足りるというようなところにとどまってほしくないと思います。他府県から引っ越してこられた方々は、痛切にそれを思っていらっしゃるようです。そういう点からも、子供たちが病気になったときには安心して受け入れてもらえる子供専門病院をつくるという立場は一歩も後退しないでいただきたいとお願いをしておきます。
 以上です。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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