平成7年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(森 正樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時五分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
○議長(橋本 進君) この際、報告いたします。
 過日提出のありました議案第百六十九号から議案第百七十二号まではいずれも職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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    和人委第322号
    平成7年12月13日
 和歌山県議会議長 橋 本 進 殿
 和歌山県人事委員会委員長 若 林 弘 澄
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成7年12月12日付け和議会第275号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
   記
 議案第169号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第170号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第171号 市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第172号 警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
   意 見
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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 【日程第一 議案第百四十七号から議案第百七十三号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第百四十七号から議案第百七十三号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 35番森 正樹君。
 〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 おはようございます。
 一年間に及ぶ県内行脚をたった一人で始め、まことに厳しかった選挙戦を見事に勝ち抜かれた西口知事の気力、知力、体力の限りを尽くしてのご苦労は、恐らくご本人にしかわからない、筆舌に尽くしがたいものがあったろうと信じます。しかも、これから県政のかじ取り役という大任をずっしりとその両肩に背負われるわけでございます。したがって私は今、おめでとうございますという言葉よりも、まことにご苦労さまですという言葉を差し上げたいと存じます。
 ところで、中国のことわざに「聖人は一己をもって天下を治めず、天下をもって天下を治む」とあります。すなわち、聖人というのはおのれ一人の考えだけで天下を治めようとせず、広く天下の人々と心を同じにして天下を治めるという意味で、独断で政治を行うことを戒めた言葉とされております。西口知事が県下をくまなく歩かれ、対話を重ね、今またファクス通信などで県民一人一人の声を聞こうとされていること、まさに「論語」の中で顔淵が言った言葉「政は正なり」に通じるものと私は思います。
 もう一つ、中国のことわざを引用させていただきます。「桃李もの言わざれども、下自ずから蹊を成す」と、「史記」の中の言葉でございますが、その意味は、桃やスモモは口をきいて人を招くことはしませんけれども、美しい花や実のゆえに人が争ってやってくるので、その下に自然に小道ができる、徳のある人には自然に人が心服することを例えた言葉でございます。西口知事には、ぜひともそのような人事、政治を行っていただきたい。また、それができる政治家であると確信をいたします。
 ところで、一昨日の下川先生の質問に対する答弁の中で、議会と県執行部の関係は県政推進の両輪であり、良好で緊張感のある協調関係を築いていきたいとおっしゃっておられました。私も大賛成であり、良好で緊張感のある協調関係を同じ決意として県勢発展のために全力を傾けることをお誓い申し上げ、以下、質問に入りたいと思います。
 初めに、関西国際空港に係る諸問題についてであります。
 待望久しかった関西国際空港の開港から、早いもので一年三カ月が過ぎました。当初、関西国際空港の機能に疑問を投げかける声も一部にはございましたけれども、今、国際ハブ空港として立派に使命を果たしております。乗り入れ便数も、開港時と比較いたしますと、国際線が一日平均四十七・二便から六十七・七便、国内線が六十五・四便から八十三・六便へとそれぞれ大きく増加し、乗り入れ国は、開港時二十一カ国、二十九社から二十九カ国、三十九社にふえ、関西空港と結ぶ海外都市は、開港時二十一カ国・地域、四十一都市から、二十八カ国・地域、六十四都市となり、関西空港と結ぶ国内都市は、開港時二十四都市から二十八都市へと、飛躍的な発展を見せているのであります。
 開港からきょうで四百六十九日でございますが、私も、国内線ばかりではありますけれども、関西国際空港を離発着する便を二十五回利用いたしました。計算いたしますとほぼ十九日に一回、関西国際空港を利用したことになるのでございますが、いつも関西国際空港に参りまして搭乗までの間、滑走路や誘導路あるいはスポットなどを眺めておりますと、今まで見たことのないような尾翼マークをつけた航空機が出入りをしておりまして、まさに国際ハブ空港だなという感慨を覚えるものでございます。
 我が国への初乗り入れの航空会社も、エア・カナダ、ロイヤル・ブルネイ航空、ベトナム国営航空、ロイヤル・ネパール航空、アンセット・オーストラリア航空が挙げられます。ますます関西国際空港がハブ機能を発揮している証拠でもあり、喜ばしい限りでございます。
 しかし一方で、臨時便の大増発が見込まれる来年夏のシーズンには早くも空港発着処理能力を超える事態も予測されておりまして、このことからも全体構想、二期工事の早期着手、早期完成が望まれるのであります。
 IATA(国際航空運送協会)の予測によりますと、平成十二年(西暦二〇〇〇年)にはアジア・太平洋地域の航空需要は年間二億人となり、平成二十二年(西暦二〇一〇年)にはアジア・太平洋地域の需要が全世界の航空需要の五〇%を超えると予測しております。平成五年(一九九三年)のアジア・太平洋地域における航空需要実績が一億一千二百万人でございますから、ほぼ二倍近い伸びとなると言えると思います。
 香港経済貿易代表部首席代表である藍鴻震氏は「アジアの成長は今後五十年間は間違いない」と語っておられるのを報道で耳にいたしましたけれども、このようなアジア経済の動向を反映して、一九九四年、関西国際空港とともにオーストラリア・シドニー空港が開港したのを皮切りに、本年、マカオ新空港がオープン、一九九七年にマレーシア・クアラルンプール新空港が、一九九八年には香港チェク・ラップ・コック空港とフィリピン・クラーク空港が、そして二〇〇〇年には韓国・新ソウル・メトロポリタン空港、タイ・バンコク第二空港、中国・上海浦東新空港が相次いでオープンする予定となっているのでございます。これらはいずれも、いつも申し上げることですけれども、首都圏第二空港でありますが、急増する航空需要に対応するために急ピッチで建設が進み、関西国際空港の強力なライバルとなることは明白でございます。
 先ごろ大阪において開催されたAPECの本会議の席上で、国際空港評議会(ACI)太平洋地域部会のフランク・オニール議長は、「各空港は余りに接近し過ぎていて、すべての空港が成功するとは思えない」と疑問の声を上げたと報じておりました。同じ会議の席上で、我が国運輸省の幹部は、「滑走路と施設をつくっただけで国際ハブ空港が誕生するわけではない。あくまで各国の航空会社の競争力が物を言う」と語ったそうであります。この発言に関しては、後ほど取り上げたいと思います。
 以上、関西国際空港を取り巻く諸情勢を踏まえつつ、当局にお尋ねをいたします。
 第一に、二期工事に一日も早く着手するために、実施設計調査費等三十一億円の満額獲得は大丈夫であるのか。大蔵省は財政非常事態宣言に似た発言を繰り返していると聞きますけれども、第七次空港整備五カ年計画の中での二期事業の一日も早い着手という関西全体の熱い熱意が報われるのかどうか、知事の所見をお聞かせいただきたい。
 第二に、二期工事のうち地上施設建設費と用地造成費のそれぞれの負担配分の調整が難航していると報道されておりますけれども、いかがでしょうか。あわせて、本県の負担のめどについても企画部長にお聞きいたします。
 第三に、かねてから問題となっている空港整備特別会計の貧弱さについてでございます。この「第七次空港整備五箇年計画の基本的考え方(中間とりまとめ)」の中にも、「・ 今後、増大する空港整備費のかなりの部分を大都市圏における拠点空港の整備費が占めること ・ 大都市圏における拠点空港の整備に多大の資金を必要とするのは、我が国の内陸部が人口稠密で、騒音問題等を回避するために用地を海上に求めざるを得ない可能性が大きいこと ・ このようにして整備される新しい土地は、国土の一部を形成するとともに、空港という社会資本としてあまねく社会全体がその利益を享受し得ること 等を考慮すれば、空港整備財源に対する一般財源の拡充を含めた所要の財源の確保に取り組むことが適当である」というふうに触れられております。
 もっと一般会計からの繰り入れをふやすべきであるということでありますが、先ごろ、県議会関西国際空港対策特別委員会の東京陳情の際、運輸省の岩村飛行場部長に対し、空港特別会計の中にいわゆる真水をもっと入れるべきだ、大蔵省に対して申し上げることではあるが、その方向で努力をしてほしいとの要望を申し上げました。この件に関しまして、県当局としてどう認識しておられ、今後どう取り組んでいかれるのか、お聞かせをいただければ幸いでございます。
 第四に、関西国際空港の利便性の向上についてであります。
 東京・羽田便を筆頭に、国内幹線の便数と時間帯に若干の問題があり、使い勝手の悪さが指摘されております。これらの問題はすべて、大阪空港が関西国際空港開港時に廃止すべきところを、地元十一市協を初めとする大阪空港の地元のエゴで存続となったことに起因するのでございますが、この利便性の向上に関する改善方についてどう取り組まれるのか、お答えをいただきたい。
 第五に、関西国際空港への交通アクセスについてであります。
 間もなく紀北地区から一日五便のリムジンバスの運行がスタートする運びとなりましたが、さらにアクセス交通の利便性の向上のために何点かの懸案事項の指摘を申し上げ、答弁を賜りたい。
 一、JR、南海のそれぞれの直通列車の運行について、特にJR線の南紀方面からの直通列車の実現について、二、リムジンバスの運行時間の延長と便数の増枠について、三、JR日根野駅、南海泉佐野駅のホームと線形の改良・改善について、お答えいただきたい。
 ところで、アクセスに関してこの席でぜひとも皆さんにご報告したいことがあります。昨秋、公務出張の折、羽田・関西空港の便で戻ってまいりましたときに、当時まだ副知事であった西口知事と一緒になりました。最終便のため、リムジンバスが当時ありませんで、タクシーで帰ろうと思っておりましたところ、「よかったら一緒に乗っていきませんか」ということで声をかけていただき、和歌山まで戻ってまいりました。その際、関空道、それから阪和道を走る間、めったにない機会でもあり、いろんなお話をさせていただいたわけであります。西口知事の含蓄のある話をいろいろ聞かせていただきながら、いまだにその話の内容をいい思い出として残しておりますが、その際、意見が一致したことが一つございます。
 それは、阪和道の道路の暗さであります。湾岸道にしろ、関空連絡道にしろ、空港連絡橋にしろ、明々とナトリウムランプが点灯いたしまして、走りやすくもあり、非常に華やかな感じもいたします。ところが、泉佐野ジャンクションを過ぎて一たん阪和道に入りますと、全く真っ暗になりまして、いかにも寂しく心までもが沈み込んでしまうような感じを受けるわけであります。和歌山のイメージアップのためにも何とかならないかと、そう思って申し上げたところ、知事も全く同感だということで、近く日本道路公団にもその旨申し入れをしたいと、そのときにおっしゃっておられました。私も、その後の関西国際空港対策特別委員会の席上で改善方を強く要望させていただいたところでございます。
 その後、いろんな方のご協力をいただいたわけでありますが、正式な申し入れ等の努力が実り、本年度中に雄山トンネル南出口から和歌山サービスエリアの間、百八基のナトリウムランプの設置が決まり、近く工事に着手することが確定したと聞いております。また、それ以外の区間への設置も引き続いて検討に入っていると伺っております。
 ともあれ、これが西口知事のサービス、スピード、シャープの三S方針に基づく第一号の実績になるのではないかと思い、この席上で報告申し上げた次第でございます。
 第二に、高齢化社会対策についてお尋ねをいたします。
 近年、我が国は他に例を見ないほど急速に高齢化社会へと向かっております。今さら言うまでもなく、平均寿命の伸長と出生率の低下が主な要因であるわけでございますが、中でも本県は全国平均をはるかに上回るスピードで高齢化が進行していることは、皆さんご承知のとおりでございます。県の推定によれば、平成十二年(二〇〇〇年)には二〇・二%に達するものと見られているのでありまして、実に県民の五人に一人がお年寄りという社会が出現するのであります。
 ところで、従来、高齢化、老齢県、お年寄りの地域などという言葉には、ともすればマイナスイメージでとらえる傾向があり、あたかも困ったことであるという認識が先に立っていた印象を受けてまいりました。しかし、私はそれは間違いであると申し上げたい。なぜか。それは、お年寄りこそ長年の人生経験に裏打ちされた豊かな知恵と知識と体験、技術といった、ありとあらゆるノウハウを修得した存在であり、私たち以下の世代が逆立ちしても太刀打ちできない宝の人材群であるからであります。しかも、六十歳を過ぎて、長年所属していた会社や団体の束縛から離れ、家庭にあっても子育ての桎梏から逃れて、まさに何物にも左右されない自由の身であり、自分の思いどおりの人生を歩むことのできる自由人の集団であります。
 このことについて、聖路加国際病院院長であり聖路加看護大学学長でもある、現在八十四歳でいまだに現役として社会の第一線でばりばり活躍しておられる日野原重明先生は、「六十歳は二度目の成人式」という著書の中で、「仕事を引退し、子どもも独立しだす六十歳になると、これから何をやればよいのかと、心にポッカリと穴が開いたように感じる人も少なくないようです。しかし、これを逆に考えれば、六十歳からこそ社会のしがらみや義務から解放され、自分の好きなことだけに毎日を費やせるということです。まして栄養状態がよくなっている現代では、肉体的にも六十歳はまだまだなんでもやれる年齢です。六十歳からこそ、これまでできなかったさまざまなことに挑戦できる、自分のための“ほんとうの人生”がはじまるのです」、このように言われております。
 そこで、二つの提案を申し上げたいと思います。
 まず第一に、長寿県宣言をすることであります。気候温暖、風光明媚の地であるこの和歌山県に日本全国からお年寄りに移り住んでもらう、和歌山県はお年寄り主役の県ですよという宣言をしてはどうでしょうか。
 第二に、百八万県民総ボランティア運動の提唱であります。今、新ゴールドプランが発表され、在宅ケアの推進、寝たきり老人、痴呆性老人対策の推進、利用しやすい保健福祉サービスと医療との連携などを目指すとされておりますが、いずれの施策も、その成否のかぎを握っているのはマンパワー、人の問題であります。いかに立派な政策を立て、すばらしい施設をつくったとしても、その政策、施設を生かし、活用していくのは人であります。ホームヘルパー、保健婦、看護婦といった人材の育成に自治体が真剣に取り組み、必要な人員の確保に努めなければならないことは言うまでもありませんが、これらマンパワーを補完し、より重層的な福祉型社会、言いかえればかゆいところに手の届く福祉を実現するかぎは、ボランティアの存在であると考えます。百八万県民すべてが、自分の置かれた立場や能力に応じて全員で何らかのボランティア活動に従事する、そんな社会こそ本当の高福祉社会であると言えないでしょうか。もちろん、企業や団体、商店等が企業メセナの精神にのっとって社会貢献すべきであることは言うまでもなく、それこそがフィランソロピー精神の発露であると申し上げておきます。
 そこで、知事並びに民生部長、保健環境部長にお尋ねをいたします。
 長寿県宣言、百八万県民総ボランティア運動の提唱についてどうお考えでしょうか、また、実行に当たってのめど等についてもお答えをいただければ幸いであります。
 あわせて、新ゴールドプランの本県における実現のめど、年次について、まず在宅福祉サービスのうち、デイサービス、ショートステイの施設の現況と、ホームヘルパーの育成がなかなか進捗しない現状の中で二〇〇〇年までに千五百人の育成が達成できるのかどうか、あわせてお答えをいただきたい。
 また、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、老人保健施設、在宅介護支援センター、高齢者生活福祉センターのそれぞれの現状と今後の目標達成へのめどについてお答えをいただきたい。
 町づくりに関する諸問題について、お尋ねをいたします。
 二十一世紀を目前にして、今我が国は成熟型社会への脱皮が求められております。町というのは、ただ住むのに便利であればいいという時代は過ぎました。品位と風格にあふれ、ゆとりと豊かさをしみじみと実感できる町づくりが今こそ求められているのでございます。
 ところで、知事は和歌山百万都市圏構想を提唱され、関西の新しい核となる都市圏を建設し、和歌山を京阪神に次ぐ第四の都市にとうたっておられます。その核となるのは、和歌山サウスポート21計画なる海洋都市、コスモパーク加太の国際複合都市、グリーンヒルズと名づける紀泉丘陵緑の町、そして医大跡地の和歌山シビック・プラザの四つとなっております。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。これら四つの核となる新都心構想についての青写真、構想あるいはスケッチ程度でも結構ですが、お示しをいただきたい。
 ところで、あと六年で二十一世紀がやってまいります。未来のふるさと和歌山市はどうあるべきなのか、日ごろ私なりに考えてきたことをもう一度この機会に整理して、幾つか申し上げたいと思います。
 ちょっと視点を変えたいと思います。我が国には、よそから旅行や仕事、転勤などでやってこられて、その町に住みつくケースが非常に多く見受けられる特異な地域が二つあります。皆さんはどこだと思われますでしょうか。実は、神戸と沖縄であります。もちろんこれは、正確なデータをとって申し上げることではございません。私の乏しい過去数年にわたる調査と一部の資料、傍証に基づくものであることを断っておきます。
 神戸と沖縄、この二つの際立って異なった町──沖縄の方は町と言うよりは地域と申し上げた方がいいと思いますけれども──がなぜに若者を中心に人気があるのか。理由は、二つの町それぞれに違いますが、神戸は、前に海、後ろに山、緑も比較的豊かで、人工的ではありますけれども自然も多く、また都心にはあらゆるアミューズメント施設が集積し、ファッション情報も豊富で早く手に入り、交通の便はよく、しかも大都市の割には物価が安いということで、極めて人間が住むに当たっての快適性、利便性、安住性にすぐれていることに尽きると思います。今年初頭の大震災で大きな被害を受けましたが、震災に懲りて神戸から逃げ出すという話は余り聞きません。ここに住む人たちの町への愛着とともに、本来の快適性、利便性、安住性に秀でた町ということが大いに関係しているのではないかと思います。
 また、我が国の都市の中では、札幌などとともにこの神戸市が、明治維新以後本格的な町づくりが始まった極めて歴史の浅い町であるということがあります。神戸の住民は、自分の町は自分たちでつくるんだ、育てるんだという意識が非常に強いと聞きます。地域ぐるみで町の美化に取り組み、さまざまな協力をし合うという住民意識が、我が国初の市民生活協同組合である灘生活協同組合を生み、育てたとされているのでありますが、むべなるかなと思うものでございます。
 ところで、今年初頭の阪神大震災で大きな被害を受けましたけれども、ある古いマンションは、建物に大変大きな被害を出しました。しかしながら、そこに住む方たちは一人もけがもなく、被害を出さなかった。これは、このマンションに住む全世帯が日ごろからいろんなことをするのに常に協力し合ってやっている、そういう共同体意識が非常に強くて、そのことが震災時に見事に機能を発揮し、お互いを助け合い、人的被害を一つも出さなかったと聞いております。
 一方の沖縄でございますが、ここは本土とは違った気候、風土に恵まれていること、すなわち沖縄本島のみならず、宮古島、石垣島、西表島等々、全島がサンゴ礁に囲まれ、海あくまでも青く、冬も温暖であり、一年を通じて雨が少なく、この島にいると時間までもがゆったりと過ぎていくようにさえ感じられる、まさに眠るがごとき穏やかな島であります。どちらの土地も、一度足を踏み入れた人を魅了して離さない土地柄であります。
 翻って、我が町ふるさと和歌山を考えてみたいと思います。これまで数十年間、統一性のない五月雨式の民間開発が先行し、ごった煮のなべをひっくり返したような町づくりが一部にでき上がってしまいました。しかしながら、本来我が和歌山は、沖縄とはまた異なりますけれども、温暖な気候と海、山、空の青さで決してまさるとも劣らない豊かな自然を残す土地柄でございます。また、豊富な歴史・文化遺産さえも有しているのであります。あと近代的都市としての基盤整備と町づくりが加われば、決して沖縄や神戸にも劣らない風格と品格と利便性、快適性にすぐれた町ができ上がると確信をいたします。
 そこで、町づくりのために必要な施策を何点か申し上げ、知事並びに関係部長の答弁を求めます。なお、幹線道路網、鉄道網の整備や港湾問題等につきましては既に先輩・同僚議員が質問をされましたし、また下水道網整備については前回の質問で申し上げておりますので、今回は割愛をいたしたいと思います。
 まず、新都心づくりについてであります。この問題については、一昨日、下川議員が触れておられますので、少々視点を変えるとともに、簡略に申し上げたいと思います。
 県都和歌山市でございますけれども、その欠点は、今まで都市の核となる施設あるいは地区、ゾーンがないことが指摘されてまいりました。私も同感でありまして、都心と呼ばれる核を持たないことからくるめり張りのなさが、町づくりにも一貫性を欠くことにつながっていると言わざるを得ません。
 そこで、平成十一年に県立医科大学が移転するのを絶好の機会ととらえ、この跡地とその周辺の西警察署、市役所、市の駐車場、伏虎中学等の移転を可能であれば進め、コンベンションホールと大型シティーホテルを中心とした新都心の形成を図ることが必要ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。知事の所見を求めます。
 また、企画部長にお尋ねをいたしますが、医大跡地だけのケースと西署や伏虎中学等の周辺を含めた場合のそれぞれの面積と開発の可能性、多様性はどう違うのか、答弁いただければ幸いでございます。
 第二に、町づくり、町並み景観の向上について幾つかお尋ねをいたします。
 言うまでもなく、私たちが住む町が風格と品格のある町並みとなるには、行政はもちろん、住民すべての不断の努力、協力が不可欠であります。この数年、本町通り、和歌山駅前のけやき大通り、三年坂の通り、築地通りなどにおいて街路の改良が進められ、グレードアップが図られたことはまことに喜ばしいことでございます。そこで、ますます和歌山市の主な街路の町並み整備を進めていく上での懸案について、提案と質問をいたします。
 初めに、西口知事は観光立県、リゾート立県を提案されておりますが、この観点に立って町並み整備、都市景観行政にいかに取り組まれるのか、知事の所見をお聞かせいただきたい。
 次に、CCボックスを含むキャブシステムの推進について。林立する電信柱が都市の景観を損なうとともに交通の障害にもなっていることから、キャブシステム事業のこれまでの実施延長と今後の計画についてお示しいただきたい。
 第三に、歩道の設置について。本県は、可住地面積に限りがあり、道路も狭隘でございます。町並みのグレードアップのためにも、また歩行者保護のためにも、今後主な幹線道路について歩道の設置が望まれておりますが、その将来計画についてお答えをいただきたい。
 第四に、総合設計制度、市街地住宅総合設計制度の導入による街路のグレードアップとアメニティー空間の形成について、特に県都和歌山市の表玄関でありメーンストリートである和歌山駅前けやき大通りへの導入を図るべきであると考えますが、いかがでございましょうか。和歌山市は土地の有効利用が叫ばれているところでもあり、これらの制度の導入により、高さ、容積、斜線制限が緩和されることでもありますので、お答えを賜りたいと思います。
 第五に、主な街路に面した建物について、高さの制限、壁面色の統一などにある程度の規制や誘導を行うべきではないか。私権との絡みもあり難しい点もあろうかと思いますが、ご所見を伺いたい。
 第六に、街路樹の植栽で緑にあふれる美しい町並みづくりのためにも積極的な取り組みを期待するところでございますが、この点についてもお答えをいただきたい。
 第七に、街路灯の設置によるライトアップについてであります。今、三年坂通りが県の努力によって大変グレードアップを図られておりますけれども、あのような周辺の景観とマッチした街路灯の設置で華やいだ明るい町づくり、街路形成ができるわけでございまして、今後の対応をお示しいただきたいと思います。
 最後に、古い歴史と伝統文化を誇る本県といたしまして、観光資源としても役立つことを考え、古い町並みの保存について具体的にどう取り組むおつもりであるのか、お示しをいただきたい。
 キャブシステム事業以下七点は、いずれも土木部長の答弁を求めます。
 以上で、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 森議員にお答えをいたします。
 まず関西国際空港に係る諸問題でございますけれども、議員ご質問の全体構想の事業費についてであります。
 関西国際空港の二期事業として約三十一億円の概算要求がなされておるところでございますけれども、ご指摘のように、来年度の財源確保が大変厳しい状況にある現在、二期事業の規模が適正かどうかなど、運輸省と大蔵省との間で激しい予算折衝が行われているところでございます。
 こうした状況を踏まえ、地元といたしましては、先般の関西国際空港全体構想推進協議会代表委員会の場におきまして、二期事業の早期着手に向けて関西全体が一致団結していることをアピールしたところでございます。また、先般私も、大蔵大臣を初め運輸省、大蔵省等、関係省庁に出向いて強く要望を行ったところでございますけれども、関西の復権をかけて始まったこのプロジェクトを早期に完成することこそが本県の活性化につながるものと確信をしております。そのために、二期事業に一日も早く着手できるように、議会のご協力もいただきながら、予算の確保に向けて全力を挙げたいと考えております。
 次に、高齢化対策についてのご質問の中で、長寿県宣言についてであります。
 長寿県宣言によって高齢者の理想の町づくりを図るということでありまして、高齢者の皆さんが生きがいを持って生き生きと暮らし、それぞれの有する経験や知識、技能を若い世代に伝えたりしながら継続して社会に貢献をしていただきたい、また、高齢者には避けられない病気や介護の必要な状態になった場合は、都市部にあっても、過疎地にあっても、安心して医療や福祉サービスを受けられるようにしていただきたい、こういった社会づくりを、和歌山県の恵まれた気候、自然条件を生かしながら推し進めていくことが、高齢化の特に進む我が郷土・和歌山県の理想の姿であろうと、そういうふうに考えます。
 この観点からしまして、私は高齢者・障害者対策の公約として二十四時間型高齢者サービスの実現、障害者、高齢者に優しい町づくり計画を初めとする暮らしのライフアップ、あるいは日本一の保健・医療体制を大きく掲げてきたわけでございます。
 議員からご提言の長寿県宣言につきましては、今後の和歌山県の発展方向を考えるときにまことに時宜を得た指針となるものと考えてございますので、今回のご提案の趣旨を十分に踏まえ、具体化について条件を整えてまいりたいと考えております。
 次に、百八万県民総ボランティア運動でございます。
 行政とともに参加型社会福祉を実現させるためには、いつでも、どこでも、だれでも、気軽に楽しくボランティア活動への参加促進を図る必要があろうかと思います。家庭、企業、各種団体等が社会貢献をするという、こうした民間の温かいボランティア精神と公的サービスとが相まって住みよい郷土を築いていくことが大切なことだと思います。
 県におきましては、社会福祉協議会に和歌山県ボランティアセンターを設置して、学童、生徒のボランティア活動普及事業を初め、ボランティア交流集会の開催など、広く県民に対してボランティア精神の提唱あるいは啓発を図るとともに、人材育成に努めておるところでございます。
 また、住民のボランティア活動への参加を促進する上で、住民に最も身近な市町村段階における各種情報提供、あるいはボランティア活動の需給調整などの役割が期待されておるわけであります。このため、市町村に対しまして、地域社会に根差したボランティア活動を推進するための支援を行っております。さらに、平成八年、和歌山市手平に建設を予定している和歌山総合健康・福祉棟には、より充実したボランティアの振興を図る中核施設を設置いたしまして、リーダーの養成、広報、啓発、ボランティア情報の提供などを行い、活動の一層の推進を図っていきたいと考えております。
 次に、新しい町づくりに関する諸問題のうちで、新都市圏構想についてであります。
 紀泉地域は、和泉山脈を中心として、紀北と泉南が経済的にも文化的にも相互に連関をして発展してきた地域でございます。近年の関西国際空港の開港、近畿自動車道紀勢線、府県間道路の整備により、この地域の基盤整備は格段に進んでまいりました。さらには、太平洋新国土軸構想の推進、関西国際空港全体構想の実現、和歌山下津港の整備等により当地域は国内外に開かれた交通の結節点となり、今後の発展が大いに見込まれるわけであります。
 こうした展望のもとに、二十一世紀における地域整備といたしまして、私は紀北地域を緑で結ばれた都市圏としてとらえ、泉南地域と一体となって自然と共生した複合機能都市の形成を考えておるわけであります。これらの核となるプロジェクトが、和歌山サウスポート21計画、コスモパーク加太の国際都市構想、あるいはグリーンヒルズ構想、さらにはまた和歌山シビック・プラザ等でございまして、それぞれが産業、文化、居住、交流といった都市機能を充足させるものでございます。
 今後、グランドデザインを描きながら、プロジェクトをさらに検討いたしまして、大阪府とも連携を図りながら、世界都市・関西の新しい都市圏の創生を考えていかなきゃならんと考えております。
 次に医大跡地利用の問題でありますけれども、県立医科大学移転後の跡地の利活用につきましては、先日の下川議員のご質問にもお答えをいたしました。国際都市・和歌山にふさわしい複合型の高度都市機能施設を整備いたしまして、新しい都市空間の創造を図っていきたいと考えております。
 現在、そのための基礎調査を進めておりますけれども、その中で導入すべき機能の一つとして、議員ご提言の都市型ホテルの立地可能性について検討してまいりたいと考えてございます。また、単に施設の建設というだけではなくて、町づくりの視点に立って考えていかなければならないと認識をしてございまして、周辺地も含めた広域開発というお話もございます。現時点では具体的検討の段階には至っておりませんけれども、ご指摘のことについては、ご提言として承らせていただきたいと思います。
 次に、町づくりの諸問題の中で、観光立県、リゾート立県の観点から景観行政にどう取り組むのかということであります。
 和歌山県の発展のためには、和歌山県が守り通してきた自然、歴史、文化などの比類なく恵まれた資源を活用いたしまして、観光リゾートを支点とした政策をとっていく必要がございます。昨夜実は、NHKの「八代将軍吉宗」の放映が終わりまして、それを振り返ってのシンポジウムがございました。この中でもこういったことが強く取り上げられておりまして、和歌山のよさというのも再発見をし、史跡をしっかりと残していかなきゃならんという意味のことがよく議論をされたわけであります。
 もとより住みよい環境を創造することも必要でございまして、これらの観点から、景観形成のためのさまざまな施策も進めてまいりたいと考えております。このために、さまざまな施設の整備を進める際に景観やデザインに十分配慮いたしますとともに、地域全体としての景観づくりの方法論についても検討していきたいと考えております。
 これらを進めるに当たりましては、県民の皆さんと一体となった取り組みが必要であろうと思いますので、十分のご理解とご協力を賜りたいと考えております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 森議員にお答え申し上げます。
 まず、関西国際空港の二期事業につきましては、航空審議会の第七次空港整備五カ年計画の基本的考え方において、空港施設の整備主体と用地造成主体とを分離した主体分離方式を導入することが必要であることが明記されたところでございます。
 現在まで、その事業主体となる第三セクターへの参画や負担割合等の課題について、関西国際空港全体構想推進協議会の場において調整を進めてきてございます。しかしながら、現時点では、二期事業の実質上のスタートである実施設計調査に係る予算が確保され、第七次空港整備五カ年計画への位置づけにつなげることが最優先と考えてございますので、当面は予算の確保に全力を傾注してまいりたいと考えてございます。
 また、本県の負担割合のめどにつきましては、政府予算の動向等を勘案しながら、推進協議会の場で調整してまいりたいと考えてございます。
 空港整備特別会計への一般財源繰り入れ拡充の問題についてでございますが、公共事業関係費に占める空港整備費のシェアは国費ベースでわずか一・四%程度であり、航空機の果たす役割が飛躍的に増大している現在にあって、その規模は議員ご指摘のとおり非常に脆弱と言わざるを得ないというのが実感であります。こうした現状のもと、県議会におかれましては、平成五年十二月に空港整備財源の拡充に関する意見書を決議され、先般も関西国際空港対策特別委員会から国に対し強く要望していただいたところでございます。また、県としても十二月の政府予算要望の中で申し入れを行ったところでございます。
 財源に係る考え方についてでございますが、本年八月の航空審議会におきまして、空港整備財源に対する一般財源の拡充を含めた所要の財源の確保に取り組むことが適当であるとの考え方が示されたところでございます。関西国際空港を国際ハブ空港として推進するためには、その財源の充実が極めて重要であるとの認識のもと、今後とも関係府県等と連携を保ちつつ、政府予算の確保や第七次空港整備五カ年計画への正式な位置づけに向け、取り組んでまいりたいと考えてございます。
 議員ご指摘の東京便のダイヤ設定等については、県民の利便性向上の観点から改善が望まれるところでありますが、空港の処理能力や機材等、難しい問題もあると聞いてございます。また、大阪国際空港については、平成二年十二月に国が存続を決定し、国内線の基幹空港として位置づけられたところでございます。
 こうした経緯を踏まえ、関西国際空港は国際線、国内線がともに乗り入れる国際ハブ空港としての機能充実を図っていかなければならないという認識のもと、従来から路線、便数の拡充及びより利便性の高いダイヤ設定がなされるよう、関係機関に要望してきたところでございます。先般も、関西国際空港全体構想早期実現期成会で国内航空三社を訪問して申し入れを行ったところでございまして、引き続き、県勢の活性化のため、関西国際空港の利便性の向上が図られるよう要望してまいりたいと考えてございます。
 関西国際空港の直通乗り入れ列車の実現等についてでございますが、これまで県議会の皆様方のご協力をいただきながら、直通列車の運行や乗り継ぎの利便性の向上などを強く要望してまいりました。その結果、JR西日本の和歌山方面からの列車と関空行き列車の同一ホームでの乗りかえ等、利便性の向上に一定の成果がなされたところでございます。県としては、今後も空港利用者の利便性の向上を図るため、すべてのくろしお号の日根野駅停車、JR西日本の直通列車の運行、南海の直通列車運行に不可欠である泉佐野駅の連続立体交差事業の推進等につきまして、二期工事の内容が具体化される過程の中で国や事業者等に対する積極的な働きかけを行ってまいりたいと存じます。
 リムジンバスにつきましては、議員お話しのとおり、那賀町の那賀営業所から関西国際空港に至る路線があす十二月十五日から運行する運びとなったことなど、利便性が向上しているところでございます。リムジンバスの運行時間延長と便数の増枠についても、バス事業者の方で運行時間の延長等の必要性を認識しているとのことであり、さらに強く要望を続けてまいりたいと考えてございます。
 次に、医科大学の敷地面積は約一・七ヘクタールでございます。これと伏虎中学、西署、市役所等の敷地面積を合計いたしますと約四ヘクタールとなります。これら周辺地を含めた広域開発の可能性についてでございますが、先ほど知事がご答弁申し上げましたとおり、現時点ではさしあたり医科大学跡地の有効利用を検討してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 和歌山県老人保健福祉計画の進捗状況と今後の見通しについてお答えいたします。
 ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ等といった在宅関係につきましては、ほぼ計画どおりに進捗してございます。ただしホームヘルプサービスは、平成五年度において全国第五位の利用実績でありますが、今年度の人員の確保については計画数値をやや下回っている現状であります。
 民生部所管の施設整備につきましては、特別養護老人ホームを初めとしてほぼ計画どおりに進捗してございます。ひとり暮らしの高齢者の皆様などが安心して暮らし続けられるよう設計された新しい入所施設であるケアハウスについては、現時点では低い整備状況になっており、県としても県民の皆さんへの紹介、広報に努めるなど、整備普及を進めてまいりたいと考えてございます。
 老人保健福祉計画の目標年度である平成十一年度も迫ってきていることから、今後、事業の実施主体となる市町村や社会福祉法人等の理解も得ながら、県民の皆さんが安心できる福祉社会の実現に向けて努力してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 高齢化対策のうち、老人保健施設の現状と目標達成までのめどについてお答えいたします。
 老人保健施設の整備目標につきましては、平成五年に策定した老人保健福祉計画の中で国の水準を上回る目標を設定し、平成十一年度までに老人保健施設を三千床整備することといたしました。これに基づき、各圏域単位にそれぞれ目標を設定し、計画的に整備を図っているところでございます。また、本県の老人保健施設の整備状況については、本年十二月一日現在、二十施設、千五百四床を整備しており、建設中を含めますと今年度末には二十二施設、千七百七床となる予定でございます。
 今後の老人保健施設の整備見通しでございますが、現在、各圏域に設置希望者がございまして整備が見込まれることから、平成十一年度末までに目標を達成できるものと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 森議員の町づくりに関する諸問題についてのご質問、七点についてお答えいたします。
 まず、電線類の地中化を進めるためのキャブシステムにつきましては、市街地の良好な景観を形成するとともに都市の安全性の向上を図るために、昭和六十一年度から電線類の地中化事業に着手いたしております。現在、和歌山市内においては、けやき大通りを初め、国道、県道、市道を合わせて八路線、八・二キロメートルにおいて電線類の地中化を行ったところであります。平成七年度からは、従来のキャブシステムのほかに、より簡易な電線共同溝整備事業、いわゆるCCボックスを取り入れ、和歌山市駅前の県道新和歌浦梅原線を初め、白浜温泉線ほか三路線において事業着手しております。
 現在、国において第三期地中化計画の検討が進められており、今後県においてもこれに基づき、市街地の商業業務地区や学校、病院等の周辺における電線類の地中化を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、歩道の設置につきましては、歩行者等の安全を図るとともに、町並みの景観を形成する上からも重要な施策であり、道路、街路事業のほか、交通安全施設等整備事業により整備を進めているところであります。現在、国において平成八年度を初年度とする第六次交通安全施設等整備五カ年計画の策定を進めているところであり、去る九月の県議会においてもそれに関する意見書を決議していただいたところでございます。この五カ年計画の中でも、幅の広い歩道等が重点項目として取り上げられております。
 本県におきましても、この計画に基づいて、幅の広い歩道の設置を進めるとともに、ストリートファーニチャーなどによりグレードの高いものとなるよう配慮し、町並みの景観の向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、総合設計制度などの導入に関してでございます。
 良質な市街地景観の形成に向けては、土地の高度利用とともに緑や空地、歩行者空間の確保などが重要と考えてございます。敷地内に一定の割合以上の空地を確保した建築計画について、容積、高さ及び斜線制限の特例が認められる総合設計制度は、この観点で効果が高いものであり、その促進に努めているところでございます。
 制度の一層の活用を図るため、本県においては、平成七年六月に県規則の改正を行い、本制度の対象となる敷地の規模要件の緩和を行ったところでございます。和歌山市においても、同様の緩和が検討されていると聞いてございます。
 なお、市街地住宅総合設計についても、住宅の供給促進にも効果が期待されるものでありますので、緩和後の総合設計制度の適用状況などを踏まえ、制度導入の必要性などを検討してまいります。
 今後の町づくりにおきましても、ご指摘のとおり、和歌山駅前やけやき大通りなどは市街地景観上重要な地区でございますので、本制度の活用に向け、一層啓発に努めてまいります。
 次に、メーンストリート沿線の建物の高さ制限などについてですが、町並みの形成のための建築物等に対する規制、誘導を図る制度としては、都市計画法に基づく高度地区制度や地区計画制度、またそのほかに建築協定制度などがございます。これらについては規制を伴うため、住民の方々のご理解とご協力が必要であるとともに、市町村が中心になって取り組む必要がございます。現在、観光地でございます白浜町で高度地区の指定がされておりますが、これらの制度が一層活用されるよう県としても努めてまいります。
 また、町づくりに向けた地元での意見調整や計画づくりの推進に関しては、市街地総合再生事業や町並みデザイン推進事業などがあり、初動段階における地元への助成も可能でございますので、積極的な活用に向け、制度のPRに努めるとともに、事業主体となる関係市町村の指導を行ってまいります。
 次に、積極的植栽による町並み整備についてでございます。
 緑は、美しい景観の形成、大気の浄化等のさまざまな機能を持っております。特に街路樹は、都市内の貴重な緑であり、広幅員歩道などとあわせて快適な道路環境を形成するために、整備を重点的に進めていく必要がございます。和歌山県においても、けやき大通りを初めとしてシンボルとなる道路などの緑化を進めているところであり、地域に合った樹種の選定等の工夫を加えつつ、今後とも積極的に進めてまいります。
 次に街路灯の設置に関してですが、近年、都市の景観は、昼の顔だけでなく夜の顔も重要視されてきております。和歌山城、美術館、博物館等についてもライトアップされていますが、都市内のポイントとなる箇所については、これらの建築物等との調和のとれた道路照明を考慮する必要があります。これらの観点から、三年坂、また先ほど触れましたけやき大通りでも、照明のデザインなどに配慮をしております。今後とも、必要な箇所についてはこのような対応を進めてまいります。
 最後に、町並みの保存につきましては、和歌山県には歴史を有した町が多くあり、古い町並みの中には、高野山を初めとして、県民全体の資産として重要なものがございます。これらの歴史的景観は、県と市町村、さらには地域住民の方々と協力して保全、活用を考えていく必要がございます。
 歴史的景観に配慮して道づくりを行ったものとしては、高野山の国道三百七十一号のマイロード事業や和歌浦のあしべ通りなどがございます。
 古い町並みの保全・整備については、建築物に対する助成・融資制度等の活用、周辺の公共施設の整備を総合的に組み合わせて対応していく必要があると考えております。こうした保全・整備は市町村の熱意と地元住民の方々のご理解、ご協力が何よりも大事でございますので、広報や啓発活動なども行いながら、県でも積極的に進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番森 正樹君。
○森 正樹君 時間がございませんので、簡単に二、三点、要望を申し上げて終わりたいと思います。
 一つは、関西国際空港に関してでございます。
 第七次空港整備五カ年計画の中でいかに一日も早く二期工事に着手していただくか、これがこの関空が将来国際ハブ空港として機能を果たせるかどうかの切所でございます。したがって、来年度の予算の中で、実施設計調査費等三十一億円は何としても一円も欠けずに認めていただかなければなりません。我々も、微力ではございますが、一生懸命努力し、協力をさせていただきますけれども、和歌山県挙げてこの満額獲得に当たっていかなければならない、関西全体で取り組んでいかなければならないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、ボランティアに関してでございます。
 見返りを求めずに一人の人間が他人のために汗をかいたら、それがボランティアだと私は日ごろ思っております。昔の日本には、そうした大変美しい風潮がそれぞれの地域にあり、みんなで助け合ったわけですけれども、最近、そういう意味で非常にぎすぎすした社会になってしまった感がございます。
 そこで、ボランティア運動について、百八万県民総ボランティアということで提唱したわけでございますけれども、できれば将来──これは福祉だけではなくて、あらゆる面でボランティアが今叫ばれております。阪神大震災で、見事にそれが実証されました。まだまだいろいろ問題がありますけれども、一つ大きな機能を果たしたわけでございます。
 そこで、できれば県庁の中に、将来的にはどこかの部なり課の中でボランティアに関していろんな情報とか人的交流を図れる、そういうセクションを設けていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、実は大阪コミュニティ財団と申しまして、大阪商工会議所が提唱して既にスタートをしているボランティアのための財団がございます。時間がないので詳しく中身は申し上げられませんが、一九九〇年五月に商工会議所が初めて委員会を設置して検討に入り、実現いたしました。こういうような形で──今、ボランティア、企業メセナの活動は大阪商工会議所が一番進んでいると言われておりますけれども、それが背景にあると思います。──できれば和歌山においても将来、そうした財団をつくってボランティア運動のセンターにしていくというふうな形を考えていただきたい、検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、町づくりについて。
 話を蒸し返すつもりはございませんが、過去の建設委員会で私、三年坂通りの美術館の東側にお城のミニチュアをかたどった信号機ボックスがございますが、あれは都市景観からして大変みっともない、撤去せよということを申し上げたことがございました。そうしますと、次の日の新聞に、県警の幹部の「あれは城下町の中であれが一番いいと思ったから設置したんだ」というコメントが出ておりました。「論争が起こった」と新聞では書かれておりましたが、別に論争をしたわけではないですし、今またここでそのことを蒸し返すつもりもございませんが、せっかくお城の南側ということで、県立美術館があのように景観に配慮した設計を尽くされました。また、その隣にある幼稚園の正門も、美術館とマッチするようにわざわざ正門の屋根を変えたように私は伺っております。また、街路樹や街路灯等、さまざまなものがお城の景観とマッチするようにつくられているわけで、その中で何でお城のミニチュアがあそこになければならないのか。あのあたりを和歌山の町並みとしてグレードアップさせるために、トータルとしてみんなが配慮してやっているのに、その中であれが一つぽつんとあるがために完全に景観がぶち壊しになっているのであります。何か設置するのであれば、それこそ昔の城下町の用水おけとか、いろんなものに模してできるわけですから。
 トータルとして、和歌山という町には非常に品格と風格のあるグレードアップされた通り、町並みというものが将来求められているわけですから、僕はそういう観点で申し上げているわけです。これは別に県警本部に答弁していただくつもりもございませんが、一つの象徴的な出来事であったので、そういう観点で申し上げているということを申し上げまして、終わりたいと思います。
 ほかの問題については、今後また委員会等で申し上げたいと思います。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。

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