平成7年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(神出政巳議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番神出政巳君。
 〔神出政巳君、登壇〕(拍手)
○神出政巳君 お許しを得ましたので、私にとりまして初めての本会議での質疑及び一般質問演説に入らせていただきます。
 歴史と伝統ある和歌山県議会の一員として県政に参画させていただきましたことはまことに光栄であり、初心を思い起こし、県勢発展のため県民福祉の向上に精いっぱい働く所存であります。
 もとより浅学非才、加えて若輩の身であります。先輩、同僚の議員の方々には、寛容なるご理解をいただき、ご指導、ご助言を賜りたくお願い申し上げます。特に、和田正一議員を座長とする月曜会の皆様には勉強会に加えていただき、県政のイロハからお教えいただいていることに対し、深く感謝申し上げます。また、知事初め理事者各位には、言葉足らずの点多々あるかと思いますが、ご容赦いただき、積極的なる答弁を期待いたします。
 後になりましたが、西口県知事におかれましては、和歌山県知事としては二十八年ぶりに県内を二分する長期にわたる激しい選挙戦を通じ、県下各地をくまなく駆けめぐり、多くの県民との対話を果たされ、信頼される県政の実現に寄せる県民の期待を集め、ご当選されましたことを、会派を代表し、心よりお喜び申し上げます。そして知事からは、選挙を勝ち抜き、政治の場に立つ議員の心情というものを十分理解できるともお聞かせいただきました。非常に意を強くするものであります。
 さて、戦後五十年、我が国経済は世界に類を見ない急激な経済成長を果たし、繁栄を謳歌するかに見えました。しかし、バブルの崩壊によって社会経済環境に対する意識が一変し、厳しさだけが目につく日々が続いております。和歌山県においては、日本の高度成長期には半島に位置する県として成長の波に乗り切れず、半島性からの脱却を県政の重点目標として取り組まれてまいりました。県当局初め、議会、先人諸兄のご努力によって、半島振興法の制定初め関西国際空港の泉南沖開港、紀伊半島を一周する高規格道路の国土計画への位置づけなど、数多くの成果を上げられましたことは多くの人々の認めるところであります。
 しかしながら、県民の気持ちとして何かしら物足りなさを訴えられるのも事実であります。その要因としては種々の事柄があると考えられますが、その一つは、県政の推進が県民世論の盛り上がりを受けたものとなっていないことに起因するものと感じております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 知事は、就任早々、吉宗公と同じく平成の目安箱とも言える知事直結のファクスの設置やパソコンホットラインの開設をされ、県民の声なき声を大切にするということに着手され、そして公約で掲げられた一三六のプロジェクトを推進する政策推進室の設置を果たされました。これらが、単なる形式に終わることなく実効を上げるためにどのように運営なさるおつもりなのか。
 また、一三六のプロジェクトを拝見すると大変広範な分野に及ぶものであり、当然ながら優先順位をつけて推進されるものと考えます。平成八年度予算編成を控えて、まずどの点に視点を当てられるのか、お尋ねいたします。
 次に、行財政についてであります。
 顧みますと、十三年前、時あたかも国政では九月に鈴木善幸首相が財政非常事態宣言を出し、赤字国債依存からの脱却目標を一九八四年とし、財政再建を目指していましたが、目標達成が困難となり、宣言発表後、鈴木首相は責任をとって辞任し、中曽根康弘首相にバトンタッチしたころでありました。第二臨調・土光敏夫会長いわく、「次代へのツケを拡大するな」と「増税なき財政再建」のスローガンのもとで、行財政改革を地方行政にも目を向けようとの旗印のもとに身近な海南市議会議員選挙に打って出たのが、私が政治の場に足を踏み入れるきっかけでありました。人間万事塞翁が馬、その後、紆余曲折ようやくにしてこの場にたどり着いたという感慨ひとしおであります。
 国の財政においては、戦後初めて七千三百億円の建設国債が発行された六六年度以降、国債発行残高が建設、赤字合わせふえ続け、当時百二十兆円ということで、一万円札を束ねて百万円で一センチ、一千万円で十センチ、一億円で一メートル、百二十兆円では千二百キロメートル、距離にして実に東京から鹿児島までだと聞かされ、大変驚いたことでありました。
 しかし、その後はどうでしょう。声高にいろいろと叫ばれ、幾つかの改革、改組、改変が実施されてきましたが、いよいよ今年度末には国債発行残高が二百二十兆円を超え、来年度の政府当初予算では十一兆円を超える歳入不足に陥り、七年ぶりに赤字国債を発行しての編成となる財政危機を武村大蔵大臣が十一月十四日、表明されたところであります。
 国債や借入金など複数年度にまたがる長期政府債務は今年度の第二次補正によって二百九十一兆円を超え、国内総生産(GDP)比の五九・一%となり、APECにクリントン大統領の訪日を中止させたアメリカの財政赤字よりも多くなりました。恐らく来年度中に、政府においては相当の増税、つまり消費税の引き上げか、社会保障費を下げるかの判断を迫られる時期が来ているということであります。県政においてもしかりであります。平成六年度一般会計決算における県債残高の増加、平成七年度一般会計当初予算編成への過去最大の基金取り崩し、近年の大型箱物建設ラッシュによる財政負担など、県税収入などの伸びがなければ厳しいものと見込まれます。このような背景の中、民間企業は、金利の低下、円高是正をばねに、激しいリストラを経て産業構造の転換を進めようとしております。
 知事は、「本気で変える」と言われました。全く同感であります。「We must change to remain the same.」──ルキノ・ビスコンティーの映画「山猫」で、シチリアの貴族がシチリア王国を攻撃する、つまり、みずからの基盤を壊す義勇軍に身を投じたおいを支持して口にしたせりふであります。我々がこれまでと同じように生きるためには、本当に我々自身が変わらなければならないということであります。
 そこで、二十年前にオイルショックの後、現在同様に厳しい経済情勢のもと、仮谷前知事が初めて予算案を提案された昭和五十一年二月定例会で、トップバッターとして質疑及び一般質問に登壇された自由民主党県議団の今は亡き妙中正一議員が、今後の行財政についてという課題で、企業経営と比較しながら、あくまでも当局を支援する立場を堅持しつつも厳しく当局をただしたやりとりを参考にしながらお尋ねいたします。
 去る十一月二十九日に、県行政改革推進委員会の審議を踏まえ、県行政改革大綱を策定されたところでありますが、どのように具体的に取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。
 事務事業の見直しに始まり、六項目の行革重点項目が決定され、今後おおむね三カ年をかけて積極的な取り組みがされるということでありますが、幸い知事は、県政の進め方ではスリーS──サービス、スピード、シャープを心がけると表明されました。大いに期待するところであります。
 大阪府では、年内策定予定の行革大綱で、各部局単位で今年度の職員定数の二%を目標とする削減を来年度中に実施するということであります。和歌山県では、この二十年間に知事部局の職員数は四千八百九名から四千三百四十七名に減らしているということでありますが、臨時職員や嘱託、そして外郭団体等の膨張が危惧されているところであります。
 次に給与でありますが、かつて妙中議員が、組織機構の見直しとともにきつく指摘されたラスパイレス指数においては、当時一一四・四という全国でも最高クラスにあったものが平成六年度には一○三・五で全国十八位となり、平成七年にはさらに指数が下がる改善がなされ、適正化を図る努力が続けられているところであります。今後とも職務と責任に応じた給与制度の適正化に取り組まれ、あわせより一層、職務職階に応じ、頑張る職員が報われるような抜てき人事なども実施していただきたいと思います。
 次に、社会経済基盤の整備についてお尋ねいたします。
 県民世論調査等を見ると、行政要望として最も高いものは下水道など生活環境の整備であり、次いで高いものは雇用の場の確保、そして道路整備に関する要望が高くなっております。また、直接多くの県民の皆様からお話をお聞きしますと道路整備に対する不満が最も多く、次いで雇用の場の確保であるように感じられます。道路整備等については昨日来より先輩議員方の質問に対しお答えされましたので、物流基地等の整備促進による新たな産業の創出、雇用の場の確保について企画部長にお尋ねいたします。
 大阪湾岸では、地元経済を巻き込んだ海上物流に対する基盤整備の動きが活発化しております。超高速海上物流時代の到来が予測され、本県では、外洋に面し阪神経済圏を後背地に有する立地性を生かし、これまでもテクノスーパーライナーの寄港地等の検討がなされていますが、早急に物流基地等の整備を核とする一体的な陸・海・空の交通体系を含む総合的な計画を推進し、厳しい雇用状況を克服する方策の一つとして新たな産業の創出、雇用の場の確保等に資するべきではないかと考えますので、現状と今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 続きまして、商工労働部長にお尋ねいたします。
 これまで、県内各地に企業団地が造成され、既に六十数社の企業進出があったやに聞いております。しかしながら、このことが県内産業の集積や工業構造の転換にどのように生かされ、どの程度の経済効果をもたらしたものかが見えていないような気がいたします。当然、造成された企業用地には一定の目的を持って誘致活動がなされていると考えます。十一月二十日号の「日経ビジネス」誌には、「次の時代が見える和歌山」というタイトルでユニークな地方からの情報発信、産業立地のPRを出していただいており、非常にうれしく思った次第であります。
 そこで、お尋ねいたします。
 現在の企業誘致の考え方並びに残用地の保有量、あわせて今後の企業用地の造成予定等と雇用の創出施策についてお尋ねいたします。
 また、地域振興整備公団が整備した海南インテリジェントパークの企業誘致についても、ソフト型企業、研究開発型企業の立地を考えているとお聞きしておりますが、ことし近畿大学の農水産に関する研究所の海南インテリジェントパークへの進出協定がなされました。このことは、海洋に面する本県にとって大変喜ばしい限りであります。豊かな自然と歴史、文化にはぐくまれた温暖の地である和歌山県が、知識集約的な産業の集積地として関西国際空港などの機能を生かす道の一つであり、心より歓迎するものでありますが、その姿がどのようなものであるかがわかりにくいので、近畿大学の農水産に関する研究所がいつ、どのような形で実現されるのか、その内容などと、現在のそのほかの企業進出状況、及び今後における企業の立地見通しについてお尋ねいたします。
 続いて、公有水面埋め立てについてお尋ねいたします。
 まず、住友金属工業株式会社和歌山製鉄所の西防波堤沖埋め立てについてであります。
 昨日、東山昭久議員より詳しくただされたところでありますが、後の課題と関連して埋め立ての基本的な問題についてお尋ねいたします。
 三工区の利用計画を検討された知事の私的諮問機関である西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会が、近々知事に報告書を提出されると聞き及んでいるところであります。また、第二工区においては関西電力株式会社のLNG火力発電所誘致という話も出ています。
 そこで、お尋ねいたします。
 公害発生施設の沖出しという初期の目的から、目的が変更してきているわけであります。このことについて、最初に入り口で審議された和歌山県の地方港湾審議会ではどのように審議されているのか、また現在はまだ公有水面である三工区の埋立地を今後どのような手順で現実のものとしていくのか、お尋ねいたします。
 次に、マリーナシティ帰属裁判についてであります。
 既に経過は皆様ご案内のとおりであり、平成七年三月十四日、海南市が大阪高裁へ控訴し、係争中であります。県当局の考え方は、今後の司法の判断を慎重に見守りたいということであります。行政決着の場を離れ、司法判断の場へと移っているところでありますが、政治の場で起こった不幸な出来事であります。もちろん、現在に至る経過の中で、当初、海南市側に今回のマリーナシティ埋立計画の入り口部分で対応に不備があったことは認めます。しかし、海南市と和歌山市が境界確定訴訟を続けるということは、両市は言うに及ばず、県政にとっても大きなマイナスであります。和歌山市にも新しい市長が誕生したところであります。裁判中とはいえ、県議会の皆様方のご理解をいただき、当初より詳細については十分ご承知の知事におかれては、両市の執行部、議会の中に入り、早期決着に向けて手水を打っていただきたく望むものでありますが、お考えはいかがでしょうか、お尋ねいたします。
 続きまして、議案第百四十七号平成七年度和歌山県一般会計補正予算中、産業のライフアップということで、インターネット利用促進に三千四百四十万二千円が計上されている件に関連してお尋ねいたします。
 さきに発表された政府の経済対策を受け、新規事業としてパソコン通信、インターネットを中小企業情報センターへ接続するということであります。まことに先を読んだ英断だと、大いに感銘を受けるものであります。単にインターネットに接続したというだけでは何の意味もありませんが、インターネットを研究し、効能を追求することによって、情報通信を基盤とした新しい産業形態もしくは社会構造の変革というものを他に先んじて取り入れることは大きなメリットがあります。インターネットに接続する人口は、爆発的に増加しています。国内を見ても、この一年で五十万人から百五十万人というふえ方であり、あと数年で一千万人以上の人々がインターネットに接続する見通しであります。
 現在の情報化の波はまことに急激なものがあり、刻々と状況が変化していると言っても過言ではないと思います。テレビのコマーシャルにも、インターネットが使えますといったものが出現しましたし、理容店でインターネットのサービスがなされている等の新聞記事が出たりの状況になってまいりました。間もなくインターネットのホームページを持っていない人はホームレスだと言われる時代が来ると、東大名誉教授の石井威望先生も言っておられます。情報化の波は、必ずや新たな社会と経済状況を創造していくことになると考えます。通産省は、インターネットを使って企業と消費者が買い物や代金決済をする電子商取引の実験を来年一月から約二年間行う予定であります。
 そこで、今後どのように具体的に県民にサービスしていくのか、商工労働部長にお尋ねいたします。
 また一方、これまでも県において情報化に対する取り組みをいただいているところでありますが、県民の意識を変革し、新たな社会と経済活動にチャレンジする機会を拡大するためにも、民間の商用ネットの普及だけに頼るのではなく、行政支援によるコスト面の負担を軽減できるシステムの構築を図る対応とともに、学校教育を初めそれぞれの利用内容に応じた情報ネットを早急に整備し、情報後進県となることのないよう対処すべきではないかと考えますけれども、このことについてもその姿が見えにくいのが現状ではないかと思います。当然ながら、行政として先見性を持って対応していただいているとは思いますが、関連して企画部長に、現在の和歌山県の情報化への取り組み状況、並びに今後の考え方をお尋ねいたします。
 さらにもう一点、構造不況が長引く鉄鋼業界のNKKでは、職員の効率的な執務のため、来年度中には約五千名のホワイトカラー全員にパソコンが支給されるということであります。現在の県職員の執務状況を見せていただいても、多くの方がパソコンを使用されています。効率的に県政を推進するために、公費でより多くの職員にパソコン支給がなされるよう検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、総務部長にお尋ねいたします。
 最後に、議案第百六十二号から百六十四号の工事請負契約の締結に関連してお尋ねいたします。
 議案第百六十二号については、公共工事の入札制度改善のため、初の公募型指名競争入札を試行されたということであります。公募型指名競争入札は、工事ごとに参加条件を決め、応募業者が提出する同種工事の施工実績などの資料をもとに県が入札参加業者を指名するということであります。今後も、五億円以上十億円未満の事業を対象に試行を続けられるようでありますが、今回の試行結果について、応募内容、応札結果は入札改善の目的に沿ったものであったのでしょうか、土木部長にお尋ねいたします。
 また、議案第百六十三号、百六十四号については一般競争入札方式ということであります。この二件については、県内業者が共同企業体に名を連ねているわけでありますが、常々県内の業者より聞こえてくるのは、そんなに大規模でなくても、施工難度が高くない工事でも大手ゼネコンに指名がなされ、県内業者には指名、落札機会が少ないという不満の声であります。そういった県内業者の不満の声に対して知事はどのように受けとめられているのか、お尋ねいたします。
 そして先般、自治省は、世界貿易機関(WTO)の政府調達協定が来年一月から発効するのに伴い、都道府県と政令都市が発注する二十四億三千万円以上の公共工事で最低制限価格を廃止する地方自治法の政令制度を閣議決定いたしました。これを受けて都道府県と政令都市は、今後、入札手続を定めた財務規則を改正して来年一月からの新制度に備えることになるわけでありますが、現状は大半の自治体が安値受注(ダンピング)やこれによる不良工事を排除する目的から、予定価格よりも二○%程度低い水準に最低制限価格を設定しているところであります。来年は、大規模工事に限りこの制度が撤廃されることになりますが、土木部長の見解はいかがでしょうか、お尋ねいたします。
 また同時に、地元業者を保護するため、共同企業体に地元業者を優先参加させる地域要件においても、大規模工事に限り撤廃されるわけでありますが、県内業者の悲痛な声に対しどのようにおこたえになるのか、重ねてお尋ねいたします。
 第一問は、以上であります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの神出政巳君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 神出議員にお答えをいたします。
 まず、政策推進室の運営についてであります。
 政策推進室は、各種のプロジェクトを確実に、また総合的に推進していくために、特に私が命じて十二月一日付で知事公室内に設置をした組織であります。
 運営につきましては、庁内各部局間の横断的な連携を図りながら、重要施策の推進あるいは進行管理を行ってまいりたいと考えております。私の意図したことは、四次長計や中期計画などは企画部で現在進行管理を図っておりますけれども、特に重要な施策について、各部間にわたるものなどやや調整のおくれといったこともありますので、私のもとで直接指示をしてできるだけ早く進行できるような体制をとりたい、そういう気持ちからスタートさせたわけであります。しかし、県の組織の中ではいろんな考え方もございますから、今後、政策推進室の果たすべき役割についてさらに検討を重ねて、実効性のあるものにしていきたいと思っております。
 お話にありましたように、十一月二十四日に設置した知事への提言システム、ファクス通信とかパソコン通信などでも多数の意見が寄せられております。中には冗談まじりのこともありますけれども、新しい施策として取り上げなければならないような提言などもございますので、そんなことも各部局間と政策推進室で議論をしてもらったらいいのではないかと考えております。
 次に、一三六のプロジェクトの優先順位についてであります。
 新しい和歌山の時代の創造ということを基本目標にして、和歌山県内だけの議論でなく、日本の中あるいは国際的な視野を広げた中でも県政の行き方というものを議論しなければならん、そういう意味も含めて多くのプロジェクトを提案させていただいたわけであります。
 野見山議員にもお答えを申し上げたところでありますけれども、これからさらに検討を加えて、できるものから速やかに着実に実施していきたいと考えております。優先順位は今のところ特につけておりませんけれども、この一三六の中には道路交通体系など現在既に継続中のプロジェクトも多くありますので、平成八年度の当初予算の編成の中で十分議論をしていきたいと考えております。
 次に、行政改革大綱の取り組みであります。
 今回の行政改革は、地方分権の時代にふさわしい行政機構の構築、及び県民の視点に立っての行財政運営の見直しを図ることが目的であります。私が就任以前からいろんな委員会で論議をされて、十一月末に発表させていただいたという経緯はございます。
 具体的には、地方機関への権限移譲の推進によりまして、行政手続の簡素化を図ると同時に、みずから施策を考え、みずから実施する組織を築くことを目標にして、本庁においては平成八年度から大幅な組織改正を実施し、順次、地方機関、外郭団体の見直しを行っていきたいと考えております。
 定員管理については、今日の社会状況に適合した適正な職員配置に努めることとして、ご指摘の臨時職員等についても厳正な管理に取り組んでまいりたいと思っております。
 また給与の適正化についても、現在の水準は国家公務員の水準に近づいてきておりますが、人件費の県財政に占めるウエートの高さにかんがみまして、引き続き適正化を進めてまいりたいと考えております。
 さらに、県民の信頼にこたえるたくましい県庁づくりを支える人材を育成するために、さきにも答弁をさせていただきましたけれども、新たに企業感覚を身につけるために民間企業等への派遣研修も実施していきたいと考えております。
 以上、具体例を少し申し上げましたけれども、今後、行政改革大綱を基本に、私が本部長を務めております行政改革推進本部において改革の具体的な事業を決定し、おおむね三年を目標に実施を図っていきたいと思っております。
 次に、マリーナシティの帰属裁判に関することであります。
 和歌山マリーナシティ埋立地に係る帰属問題については、私も従前からその経緯については十分承知しているところでありますけれども、三月に出された和歌山地裁の判決に対して海南市が控訴し、現在、大阪高裁において裁判中でございます。
 いずれにいたしましても、和歌山地裁の判決が出されているところでもあり、司法当局の判断を白紙に戻すというわけにはまいりませんけれども、両市からのご要望がございましたら、何らかの対応策の可能性についてお互いに検討していくという考えは持っております。
 最後に、県内業者の受注機会などについてのご質問でございます。
 私も、過去の経過などを振り返りながら、県内業者の受注機会の確保、育成が大変大事だということは十分認識しているところであります。現在、大規模工事や施工難度の高い工事について条件つき一般競争入札及び公募型指名競争入札を試行実施している段階でありますけれども、これらの工事に際しても県内業者の参画機会を確保するために、入札参加要件において県内業者の優遇措置をとっているところでございます。
 ご承知のように、来年一月より政府調達協定が発効されることに伴い、千五百万SDR、現在の日本円に換算して二十四億三千万円以上の工事については一般競争入札を実施することとなっておりますけれども、それ未満の工事については、現在、入札契約制度検討委員会において検討を行っているところでございます。
 私の信条といたしましては、何といっても和歌山県勢の発展のためにも地元業者の育成が大変大事でありますので、そういうふうな方法について今後とも努力をしていきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 神出議員にお答え申し上げます。
 新たな産業の創出や雇用の場の確保を図る上で、物流拠点の整備は大きな効果があると考えてございます。そのため県といたしましては、本県が近畿自動車道紀勢線や将来的に整備される紀淡海峡ルート、及び京奈和自動車道等の道路網と関西国際空港やテクノスーパーライナー基地とを連携することにより、陸・海・空の高速交通軸の一大交流結節拠点となることを踏まえ、近畿南部の物流を担う広域的な物流拠点の整備について平成七年度より調査を行っているところでございます。今後とも、本県の新たな活性化を図るため、物流拠点の実現化に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、情報化への取り組み状況と今後の考え方についてでございます。
 本県におきましては、昭和五十六年にコンピューターを導入して以来、順次システムの開発を行い、現在、人事給与システムなど九十九の業務で電算処理を行っています。また、県域ネットワークとしての黒潮ネットワークの構築を進め、各総合庁舎を地域の拠点として業務利用に供するほか、県営のパソコン通信、ウエーブネットにも利用することにより、遠隔地の県民の通信料金負担の軽減など、地域格差の是正にも寄与しているところでございます。
 一方、話題になっておりますインターネットについては、和歌山大学を経由して学術研究ネットワークに接続し、活用方法等を含め検討を行っているところでございます。さらに、庁内のコンピューターのネットワーク化を進めるため、本年度から庁内LANの整備を開始しております。
 今後とも、情報通信の共通基盤である黒潮ネットワークの整備拡充を進めるとともに、産業振興や県民生活の利便性向上などを図るため、関係機関と連携しながら情報化の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 企業誘致とインターネットの二点についてお答えします。
 まず、企業誘致の考え方、海南インテリジェントパークへの企業誘致についてでございます。
 企業誘致の目的とするところは、産業の振興による所得の向上と雇用の増大でございまして、昭和五十七年以降の誘致企業による製造品出荷額では単年度で約一千億円を生産し、雇用では二千九百人余りの増大を見てございます。和歌山県の産業構造は、全国に比べて基礎資材型工業の製造品出荷額の構成比率が高く、景気の影響を受けやすいため、電気機械等の加工組み立て型工業の誘致により産業構造の多角化を進めてきましたが、関西国際空港の開港によるアクセスの整備等により、先端技術産業、研究開発型企業の誘致に取り組んでいるところでございます。
 進出企業の受け皿としての造成済み残用地は、県、市町村及び地域公団合わせて九カ所、三十七・三ヘクタールがございます。事業中の用地は、県、市町村合わせて六カ所、三十・三ヘクタールでございます。今後の造成については、経済動向が先行き不透明なため、経済社会情勢の推移を見ながら、地元市町村等とも協議を行い、計画の樹立、実行に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、海南インテリジェントパークに近畿大学が開設する研究所についてでございます。
 既に活動している生物理工学部や県内の水産研究所、附属農場等の研究データ、情報等を集約し、管理研究することができる研究所でございます。早ければ平成八年に着手され、三期程度に分けて完成する予定となってございますが、県といたしましても、できる限り早期に完成するよう、近畿大学と連絡を密にしてまいりたいと考えてございます。
 また、近畿大学以外の企業については、紀州技研工業株式会社の研究所が本年十一月二十七日に竣工されました。さらに、中核産業高度化施設の株式会社和歌山リサーチラボは平成八年四月に完成予定でございます。通信システム機器の南海通信特機株式会社は来年度着工予定、情報処理サービスのトランス・コスモス株式会社は平成九年度着工予定となってございます。これら以外の数社とも、現在交渉中でございます。
 次に、インターネット利用促進事業についてでございます。
 本事業は、産業情報基盤の整備という位置づけのもと、本県地域産業の情報発信力の強化を図るため、財団法人和歌山県中小企業振興公社の中の中小企業情報センターに商用ネットを接続して、県内の企業等が持つ独自の製品情報、技術情報を二十四時間を通して、国内はもとより海外に向けて発信することを支援する事業でございます。
 具体的に申し上げますと、当該情報センターのコンピューターにホームページを開設の上、企業情報、観光情報、企業団地分譲情報、並びに県経済情報などの各ページを作成するものでございます。県内企業の方々には、その中の企業情報のページを開放いたしまして、各企業が持つ新しい製品情報や新技術の情報を広く発信することにより、新しい販路開拓や業務提携の相手企業を探すといったビジネスチャンスの拡大を促すものでございます。情報発信の時期は来年三月と考えてございます。
 この事業は、今年度の産業情報センター構想検討事業での検討結果を踏まえ、地域産業の情報化による経営強化の支援拠点としての産業情報センターの整備の方向に沿ったものでございますが、さらに一層の充実を図って中小企業の情報化を積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) お答えいたします。
 まず公有水面埋め立てについて、住友金属の西防波堤沖埋め立てに関するご質問についてでございます。
 西防波堤沖埋立地の土地利用については、平成六年三月の住友金属からの申し出を受けて、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会において検討していただいているところでございます。同委員会より昨年十一月、公共公益的利用を前提とした中間報告がなされ、現在、事業主体において調査検討をしているところであります。
 なお、西防埋立地は特定重要港湾である和歌山下津港における埋め立てであり、新しい利用の方向が示されれば現在の港湾計画との相違を生じることとなりますので、地方港湾審議会の場においても和歌山下津港全体の土地利用を踏まえて審議していただくこととなります。また、土地利用に係る法手続については、港湾計画への位置づけを受けて公有水面埋立法上の用途変更の手続等を行う必要がございます。
 次に、ご提案した工事請負契約の締結に関するご質問二点についてでございます。
 第一点目の、公募型指名競争入札についてでございます。
 今回の公募型指名競争入札は、国道三百十一号平井郷トンネル工事について、県として初めて試行したものでございます。九月十九日に公募の公告を行ったところ、一定の資格を有する六共同企業体、このうち県内に本店を有する業者三社を含む計十二社から応募があり、審査の結果、この六共同企業体を指名いたしました。十月二十四日に入札を行った結果、議案第百六十二号のとおりとなってございます。
 この公募型指名競争入札は、従来の指名よりも建設業者の受注意欲を反映し、より広範な入札参加機会を確保するとともに、入札手続の透明性を高めるものでございます。この入札方式は、このような点について制度の改善に資するものであると考えているところでございます。
 二点目の、政府調達協定の関連でございます。
 建設工事の発注に際しての最低制限価格制度については、従来、品質確保の観点から、地方自治法施行令に基づき本県でも適用してきたところでございます。
 政府調達に関する協定においては、大規模な建設工事では最低制限価格制度が適用されないわけでありますが、異常に低い価格の入札については、契約条件の履行確保のための審査、照会ができるような制度の導入とともに、工事監督の強化等について検討し、適正な工事の確保に努めてまいりたいと考えております。
 また、あわせて入札に参加する企業の事業所の所在地に関する必要な資格、いわゆる地域要件を定めることはできないとされておりますが、世界貿易の一層の自由化、内外無差別の原則の一層の徹底など、国際的な要請を踏まえた本協定の趣旨からやむを得ないものと考えております。しかしながら、本協定適用外の工事については、県内業者の受注機会の確保、技術力、競争力の強化に今後とも十分配慮してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 県職員へのパソコン支給でございますが、本県においては、行政運営の効率化を図るため、情報システム推進委員会にOA推進部会を設置し、計画的に庁内のOA化に取り組んできているところでございます。
 ことしの四月一日現在でのパソコンの導入状況は、一般事務職員のおおむね二人に一台の割合となっております。今後とも、お話にありました時代の趨勢を反映しつつ、業務内容も勘案しながら、パソコンの計画的かつ積極的な導入を推進してまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 40番神出政巳君。
○神出政巳君 知事初め、担当部長より答弁をいただきました。
 了といたしますが、西口知事、和歌山そして県政を本気で変えてください。また、現在海南市における最大の政治課題は、インテリジェントパークへの企業誘致とマリーナシティ帰属裁判の決着でございます。何とぞご高配を賜りますようお願い申し上げ、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で神出政巳君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十一分休憩
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