平成7年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番中村裕一君。
 〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 開政クラブを代表して順次ご質問を申し上げてまいりますが、まず最初に西口県政の一員として結束してご支援申し上げてまいりますことを表明し、そして西口知事の人格と識見による県勢の発展が和歌山県の大きな飛躍となりますことを心から期待するものであります。
 さて、本年は、選挙が多いだけでなく、昨年成立した政治改革法が施行された、歴史的に重要な年でもありました。従来の義理人情の頼まれ合いの選挙ではなく、候補者の人柄や能力はもちろん、どのような政策を訴えているのか、所属する政党の掲げる目的や政策はどういうものか、政策を中心に見て投票行動を決めようというのが趣旨で、一歩前進の感がありました。
 しかしながら、昨今の選挙動静の一つとして、一位当選者の得票数よりも投票に行かない人の方が多いことが実によくあります。選挙のたびに、投票率がなぜ低いかという議論がよく行われますが、投票に行かない人の理由は皆人それぞれで、大切なことは、投票に行かない人は総じて選挙に関心がないばかりでなく政治にも関心がないということです。
 世の中のおよそ大切なことは政治が決めるわけですが、それにもかかわらず関心や意識がないということは、国民を引きつける政策がないとも言えるでしょうし、公約した政策を本当にやってくれるのかという不安や政治家そのものへの不信もあるでしょう。一方、鼓腹撃壤の世の中に近づいたとも言えるでしょう。また、根本的な問題として、教育とマスコミの問題もあります。実にさまざまな理由があると考えられます。しかし、国民がもう一度政治に関心を示し、期待を寄せるようにするためには、戦争が起きるか、革命が起きるか、さもなくば、非常に遠い道のりではありますが、政治家一人一人がそれぞれの立場で頑張って積み上げていくしかないのであります。
 西口知事は、この一年余、一人の県民として県下各地を駆けめぐり、多くの県民の皆さんと交わり、地域の実情を見、県政に対する思いを聞いてこられました。そして、知事として何をすべきかという熱い思いを積み重ねてこられました。選挙ではまさにその姿勢が多くの県民の皆さんの共鳴を呼んだのであります。どうか今後とも、その姿勢をぜひとも貫き通していただきたい、そして直接県民に語りかけることを心がけていただきたいのです。それは、アメリカ大統領のように、ゴールデンタイムのテレビを借り切ってのテレビ対話であってもよいと思います。要するに、西口知事の顔の見える県政の運営をぜひともお願いしたいのであります。
 次に、今回の知事選を通じ、県、市町村、県民の関係を明らかにし、はっきりと役割分担をしなければと感じました。例えば、下水道の普及率についての議論がありました。本県の下水道普及率は、確かに全国最下位にあります。そのため、選挙戦では、県が悪い、知事が何もしないと言われました。しかし法律では、下水道も含めた国民の生活排水の処理は市町村長がやることとなっております。知事に責任なしとは言いませんが、いつの間にか知事や県の責任にされてしまっているのであります。道路の整備についても、同様のことが言われました。毎年一千億円ほども道路整備に投じているのに、なぜおくれるのか。用地買収に時間がかかるからではありませんか。
 最近、何かうまくいかないことがあると、すぐに政治や上部の行政の責任にしてしまう風潮があります。それゆえ、この際、責任の所在を明確にする必要があると思います。下水道のような混乱が起きないようにするためには、県と市町村の役割を明確にし、フランスのように市町村の状況を数値化し、総合点で評価してはどうかと思います。そうすれば、県下の状況がつぶさに把握でき、対応もしやすくなりますし、最大のサービス産業である行政に競争が導入され、二重の効果を生むのではないでしょうか。
 一方、J・F・ケネディの大統領就任演説のごとく、西口知事には、「県民の県が県民のために何をなし得るかを問いたまうな。県民が県民の県に何をなし得るかを問いたまえ」と、勇気を持っておっしゃっていただきたいと思います。たちまち事業化する紀勢線高速化において、利用者としてだけでなく、県民としての負担を求めていかなければなりません。まさに、そういう意味での県、市町村、県民の新たな関係を築いていっていただくことを強く希望いたします。
 次に、防災計画について伺います。
 本年一月の阪神・淡路大震災は、科学技術の発達した今日でも、しかも日本のような先進国でも大きな災害が起きることを改めて思い知らされました。自然の巨大な営みの前には人は余りにも微力で、五千名を超える犠牲者と莫大な被害を前にして、果たして政治とは一体何だったのかを問いかけました。しかしながら、春のオウム事件以来、世は移ろいやすく、早くも一年もしないうちに震災はどこかへ行ってしまいました。オウム事件の解明も大切ですが、地震対策の方がはるかに大切であります。「のど元過ぎれば熱さを忘れる」のごとく、かつての南海地震の貴重な教訓を私たちはまだ生かし得ていないことを承知すべきであります。特に我々政治や行政に携わる者が地震のことを理解し、あらかじめ対応しておけば、多くの人命が救われ、大きな損失を生まなくて済むことを自覚しておかなければなりません。
 本県では、震災直後から救援活動を助け、早い時期に地域防災計画の見直しに着手しました。そこで、ただいままでどの程度見直し作業が進んだのか、同時に新たな施策としてどのようなものが必要となってきたか、また市町村における取り組みはどうなっているのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
 日高港につきましては、昭和五十八年の重要港湾昇格以来、事業化の課題であった市の負担金の軽減、埋立造成の事業主体の二点について、国、県、御坊市の間で調整の結果、合意に達し、残る漁業者の同意についても、同意が必要な三漁協のうち二漁協の同意が得られ、唯一の障害は三尾漁協の同意のみとなりました。日高港整備の地元要望が出てはや二十数年、我が国の産業構造は大きく変化し、臨海開発のあり方も変わってしまいましたが、海運貨物の取扱量は依然増加しており、近年のモーダルシフトやテクノスーパーライナーの導入も相まって、今後とも海運の重要性はいささかも衰えることがないと予測されます。
 また、六百二十キロ余の長い海岸線を持つ半島県の本県にとって、海の活用こそ生きる道で、水産資源やレクリエーションの場としてだけでなく他県にまさる海上交通の要所として、歴史的にも栄えてまいりました。西口県政の幕あけに際し、長年日高港整備の必要性を唱え続けてきた者として、知事の日高港に対してのお考え、お取り組みの姿勢をお聞かせいただきたいのであります。
 また、本年度に法期限が延長され、さらなる充実が図られた輸入促進地域の指定に向け、ただいま調査をしていただいておりますが、どのような方向に進められるのか、お答えいただきたいと思います。
 次に、ただいまの輸入促進地域にも関連しますが、本県経済の国際化について伺います。
 昨今、我が国の外交と申しますと、半分ぐらいは経済問題で、その中心は、貿易黒字をいかに減らすかというのが火急の課題となっております。しかし、今やかつてのような舶来志向は一部のブランドを除いてほとんどなくなり、国産がよいとの認識は多くの国民の間で常識となっております。それゆえ、何か物を買って黒字を減らすということはもはや困難で、これからは投資を直接受け入れることによって黒字を減らしていかなければならない状況に立ち至っております。
 既に世界経済は投資交流を活発化させており、日本を除く東アジアは、投資の受け入れ地域としてだけでなく直接投資の出し手としても成長してきていると言われております。ところが、ひとり日本の直接投資の受け入れは相変わらず低調で、今こそ国、地方挙げての取り組みが求められているのであります。もっとも、私たち地方自治体の場合、金融市場や株式市場を持ち合わせておりませんから、直接投資は専ら外資系企業の誘致ということになりますが、国内企業の投資意欲が低い最近の景気を考えれば、外資系企業に目を向けるのは、むしろ順当だと言えます。その誘致先として、京阪神という大都会を控え、関西空港にも至近距離にあり、自然に恵まれ、温暖な我が和歌山県こそ適地だと思います。そして幸いなことに、よそではまだ余り取り組んでいませんから、この際、先手必勝で、まず実績を積むことから始めるべきだと思います。もちろん、乗り越えなければならないハードルは数多くありますが、断然やりがいのある、和歌山県の進むべき新しい道だと考えます。
 実は、先日、人工島の視察で訪米した際、お世話になった方のご婦人の会社が日本へ進出したがっているという話を伺い、帰国後、早速パンフレットを送りました。私でさえ、これぐらいのことができるのです。
 先般、友好提携を結んだフロリダ州は、八つの海外事務所を持ち、日系企業だけでも八十社余り誘致した実績があります。本県では、明年にも香港に事務所を開設し、いよいよ海外に目を向けていこうということですが、ぜひともその心意気を聞かせていただきたいと思います。
 次に、情報化社会への対応について伺います。
 最近、人込みの中で突然ピピッと電子音が鳴り出すと、ああ自分に電話がかかってきたのかと思い、慌てて携帯電話を取り出すと自分ではなく、それではだれかとあたりを見渡しますと、同じようなことをしている人が必ずいるものであります。もはや、私たちは情報化社会に入ってしまった感があります。しばらくすれば、高校生もPHSを持つ時代になるでしょう。
 しかしながら、先日、御坊JCの若い人から、「先生、情報ハイウエーも高速道路と同じで、半島が出っ張っているからつくのが遅くなるらしいですよ。そうならんように頑張ってよ」と、気になる指摘を受けました。残念ながら我が県は、半島なるがゆえに道路も鉄道もおくれてきた苦い経験を持ちます。したがって、今度の情報網こそおくれをとらない、むしろ一歩進んで他県よりも早くやり遂げねばと思います。
 さきに充実延長された半島振興法に新たに加わった「情報基盤の整備」とは、果たしていかなるものか、そしてどのように取り組まれるのか、また基盤整備の中心と目される光ファイバー網の整備状況と今後の計画はどうなっているのか。まず手始めに携帯電話やパーソナルハンディーホンの通話可能地域を広げるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 一方、情報網の末端にあるコンピューターは、最近ではどこの事業所でも見かけるようになり、既に私たちの日常生活の隅々にまで浸透しております。子供の遊ぶファミコンは月ロケット打ち上げのコンピューターの数百倍の能力を持つそうですし、町にはパソコン通信を楽しむ喫茶店まで出現しております。にもかかわらず、私を含めて、関心を示しつつもワープロすら打てない人も案外多いものです。世代がかわらなければ仕方がないのかもしれませんが、パソコン教室のような、かかわり合える場所が少ないことも事実であります。社会教育、生涯教育という観点からもさらに必要性が高まってまいりますが、いかがお考えでしょうか、お答えいただきたいと思います。
 次に、総合学科について伺います。
 大方の県会議員は、年中行事のように、毎年秋になると中学校のPTAから陳情を受けます。その内容は決まって高校の定数のことで、必ず、ふやせか減らすなであります。そのたびに私は、定数も大事ですが中身も議論しましょうよと言い続けてまいりました。ところが、相手の役員さんは毎年かわり、いつまでたっても、十五の春を泣かすなとしかおっしゃいません。私は、じゃ、後からは泣いてもいいのかと申し上げたい。現実に中退者は後を絶ちません。就職シーズンともなれば、我々のところには履歴書の山ができます。
 私が受験生の二十年よりもっと前から何ら変わることなく、中学の成績で進む高校、進む学科がほぼ自動的に決まってしまうシステムがあります。そして、一生の進む道が限定されてしまうのであります。不幸なことに、県内のほとんどの地域では、選ぶべき高校の数がもともと少ない上に、途中からの変更はなかなかききません。
 以前、地元の御坊商工を訪れ、校長より中退者の数を告げられ、その多さに驚いたものですが、その学科が好きで入ったわけでないのに、さあ勉強しろと言われてもなかなかできるものではない、このままではだめだ、何とかしなければと思いました。
 幸い本県では、昨年、仮谷知事、西川教育長のご英断、教育委員会の熱心なお取り組みで、和歌山高校が総合学科の高校に生まれ変わりました。まさにこれだと思いましたが、開設以来一年余が経過した現在、どのような評価が得られたのか、またそれを受けて今後どのように展開されるか、あわせてお答え願います。
 最後に、御坊市営島団地について伺います。
 御坊市では、昭和四十四年の同和対策特別措置法の施行以来二十六年間にわたり、六百十三億円余の予算をもって同和問題の完全解決のため取り組んでまいりました。その結果、ハード面ではかなりの部分が改善し、大いなる効果を上げたところであります。しかしながら、公営住宅、改良住宅の建てかえは一般対策となるため、島団地の建てかえは、とうとう最後まで残ってしまいました。そこで、御坊市では平成四年に島団地対策室を設置し、官民挙げての努力をし、ようやく総事業費六十数億円の近代的な町として生まれ変わるべく計画が立案され、柏木市長の英断により、いよいよ来年度から順次計画的に建てかえに着手することになりました。既に国、県においては一方ならぬご支援をいただいておりますが、今後、事業実施に当たって県としてどのような応援ができるのか、御坊市における同和事業のハード面の詰めとしてどのようにお考えでしょうか。
 以上、積極的なご答弁を期待いたしまして、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 中村裕一議員にお答えをいたします。
 議員ご指摘のように、最近の選挙における投票率の低下は大変著しいものがございます。また、政治に対する関心が低いというのも、その大きな要因であろうかと思っております。
 私も一年余り県内を駆けめぐり、多くの方々とお会いをしてまいりましたが、県内は広く、県民の皆さんの思いは地域の実情や環境によってさまざまでございました。しかし、県政の新たな飛躍発展に寄せる期待は、どこへ行っても大変大きなものがございました。その意味におきまして、県政に対する関心は非常に高いと実感をいたしております。こうした県民の皆さんの声をお聞きするとともに、一方では知事自身がラジオ、テレビなどマスメディアを通じて県の考えをよくお伝えすることが必要である、つまりこれが議員ご質問の、知事の顔の見える県政であろうかと考えてございます。私が提案している、風通しのよい開かれた県政であろうと思います。
 今後とも、開かれた県政の実現に努力をいたしまして、議会の皆様方のご指導とご協力を賜りながら、県民の皆様にとってわかりやすい県政を推進してまいりたいと考えております。
 さらに、県とは何かということでございます。
 県と市町村の責任や役割分担につきましては、地方自治法等によって明確に位置づけられておるところでございます。それに基づいて、各市町村が独自に創意と工夫を凝らした個性ある地域づくりを進めているところでございまして、県といたしましても、必要に応じて調整、支援、指導などを行い、市町村と協力して和歌山県の発展に向かって取り組んでいるところでございます。
 議員ご質問の市町村事業の数値化につきましては、これまでも統計的なデータも含めて、主要なものについては実施しているところでございますけれども、ご質問のご趣旨を十分踏まえ、県あるいは市町村が何を行っているのか、何を行うべきなのかを県民の皆さんに明らかにしてまいりたいと考えてございます。また、事業を実施するに際しましては、個々の事業についての趣旨を十分ご理解いただき、ご協力いただけるよう努力をしてまいりたいと考えております。
 議員お話しのように、県民が県に何ができるのかということでございます。ドイツのベルノという人の言葉に「国政は帆であり、国民は風である」という言葉があるようでございます。言いかえますと、「県政は帆であり、県民は風である」──船の上に立てた帆でスムーズに進むことができるのは一にかかって県民の皆さん方が強い風を送ってくれるからであり、その風を送っていただきたいという意味だと思います。そういうこともお願い申し上げて、中村議員のご趣旨にお答えをするわけであります。
 次に、日高港の現状と今後の取り組みについてでございます。
 日高港は、紀伊水道の入り口に位置するという有利な立地条件を生かしながら、高速道路の南伸とも連係をさせて、新たな物流の拠点及び産業立地の拠点形成を目指すものでございまして、御坊・日高地域はもとより、県勢の飛躍発展を図る上でも重要なプロジェクトであろうと思っております。
 私も、日高港整備の経緯については十分承知をしておるところであり、今後漁業権者の同意を得るべく交渉しているところでありますが、まだ一部の漁業組合の同意が得られませんで、大変困難をきわめております。しかし県としては、本事業の重要性、緊急性にはいささかも変化はないと認識をしておりまして、今後とも引き続き関係者の理解を得るように努力をしてまいりたいと考えております。
 最後に、御坊市の島団地についてでございます。
 島団地の建てかえ事業につきましては、大変大規模な事業でもありますので、関係部局に対して地元御坊市と十分協議をするように伝えているところでありますが、今後国に対しても、所要国費獲得のために全力を注いで町づくりの円滑な推進が図れるよう努力を重ねてまいりたいと思っております。詳細については、土木部長から答弁をいたします。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 副知事梅田善彦君。
 〔梅田善彦君、登壇〕
○副知事(梅田善彦君) 中村議員にお答えを申し上げます。
 地域防災計画の見直しと防災対策の進捗状況についてでございますが、去る二月議会において議員に答弁した十項目を中心にいたしまして、県防災会議の意見も踏まえ、現在、市町村とも一体となって見直しを行っているところでございます。
 これまでの成果といたしましては、順次申し上げますが、まず今回の大震災にかんがみ、直下型地震等地震被害の予測及び復旧対策のシステムの開発に取り組んでございます。また、既に気象衛星「ひまわり」からの津波情報等を直接受信できるシステムの導入を始めました。県下各地への震度計の増設、防災ヘリコプターの購入及び県警ヘリコプターへのテレビシステムの整備を図るなど、迅速かつ広域的な被害状況の把握とその対応を行うことにいたしてございます。
 次に、公共施設の耐震調査につきましては、警察本部庁舎及び県立高校をモデル的に耐震診断を実施するとともに、今後も計画的に他の施設についても診断を実施していくこととしております。また、道路、河川、港湾、ため池等、危険箇所の点検を実施しているところでございまして、緊急に整備を要する橋梁等については既に取りかかっているところでございます。
 次に、県民の防災意識の向上を図るため、「県民の友」特集号、講演会などを通じて防災啓発に努めるとともに、自治会等を主体とした地域あるいは企業等の自主防災組織の確立に取り組んでいるところでございます。
 さらに、備蓄物資につきましても、毛布、シートあるいは食料品等を追加備蓄することとしたところでございます。
 次に防災訓練でございますが、本年実施した県総合防災訓練は、従来のやり方と変えまして、地震発生後のあらゆる事態を想定し、可能な限りリアルに実施したところでございます。
 また、先日、滋賀県において行われた近畿合同防災訓練では、さまざまな取り組みがなされ、各府県の連携が図られるなど、多くの成果が上がったところでございます。今後は、広域応援体制の整備を図るため、自衛隊との連携をより一層強化いたしますとともに、県下市町村による相互応援協定及び近畿ブロックの広域的な相互応援協定等について、今年度中に締結することといたしております。さらに全国的には、本県も参加して警察と消防の緊急援助隊が設置され、広域の応援活動を展開していくこととなっております。
 また、問題となった初動体制の確立につきましては、指揮命令系統の明確化と、特に初動時の緊急要員確保及び情報の収集、伝達機能の複数化等、通信手段の一層の拡充を図るべく、検討を鋭意進めているところでございます。
 最後に、医療・衛生面の対応につきましては、広域的な応援体制や救護体制の拡充等、ネットワークの整備を目指して、具体的な対応について取り組んでまいりたいと考えております。
 現在の見直し状況については以上のとおりでございますが、今後とも専門家の意見も聞きながら関係機関と協議して、災害に強い町づくりを目標に、地域防災計画の見直しをさらに進めてまいりたいと考えております。
 市町村の問題につきましては、総務部長からお答えを申し上げます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 震災後の県下市町村における地域防災計画の見直し状況でございますが、去る六月に市町村防災担当課長会議を開催いたしまして、初動時の対応を中心に、被害状況の把握、避難経路、避難場所の再検討、また救援物資、備蓄物資の集積場所や輸送ルートの確保、被害想定の作成や危険箇所の再チェック、防災訓練の実施や自主防災組織の育成等々、十七項目にわたって見直しの指導を行ったところでございます。その後三カ月たちまして、去る九月に県の方で調査いたしましたところ、県下五十市町村のうち、平成七年度中に三十八市町村が見直しを行い、残り十二市町村についても県の見直し結果を待って着手するということになっております。
 このような調査結果を受けまして、県としてはこの十二月四日に再度市町村の担当課長会議を開き、見直しを急ぐよう指示したところでございますが、この問題の重要性、そしてまた緊急性にかんがみ、今後とも全市町村の防災計画の見直し達成に向け、鋭意指導してまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 中村議員にお答えいたします。
 まず、日高港の推進に関連して、輸入促進地域の指定をすべきとのご質問についてでございます。
 輸入促進法は、輸入の促進、輸入品に係る物流取引活動の一層の円滑化を図る目的で、平成四年に時限立法として制定された法律でございます。現在、輸入促進法に基づく輸入促進地域は全国で十八カ所指定されており、さらに本年十一月には十年間の延長がなされたところでございます。
 日高港の外貿機能整備のためにも輸入促進法の適用は検討課題であると考えておりまして、関係部局と連携しつつ、地域指定の可能性などについて現在調査を進めているところでございます。
 次に、島団地についてでございます。
 島団地につきましては、御坊市において、昭和三十五年から四十四年にかけて、地区の住環境整備を図るため住宅地区改良事業等を実施し、百六十戸の改良住宅と六十六戸の公営住宅を建設し、現在に至っております。これら住宅は建設年度が古く、狭小であり、設備等も老朽化し、住環境も悪化しているのが現状でございまして、この対策がぜひとも必要になってまいりました。このため、県といたしましても、今日まで事業の方針や今後の進め方等について市とたび重なる協議を行い、また国とも協議を進めてきたところでございます。
 市におきましては、この間の平成四年四月に島団地対策室を新設し、地区住民との話し合いの機会を持ち、相互理解を深められてきたところでございます。この結果、市は平成七年五月に建てかえ事業で団地の再生を図ることを公表するとともに、現在、住民参加によって十五から三十世帯のグループごとの討議を進めておりまして、これらも含め、七年度末でマスタープランの策定を完了させ、全体計画を明らかにさせることとしております。
 さらに、島団地の建てかえには、新たな建設用地の確保が急務でございます。そのため、八年度に用地取得費等について国に要望しているところでございます。今後とも、その整備に地元御坊市とともに全力を尽くして努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 経済の国際化へ向けてどのように取り組むかについてお答えします。
 外資系企業の誘致につきましては、これまでも英文パンフレット等を作成するなど誘致活動を行っており、既にスイスの企業の誘致をしているところでございます。ところが、その後、地価の高騰等により、外資系企業の誘致は難しい状況となってまいりました。しかし、昨年の関西国際空港の開港や経済環境の大きな国際化に対応するため、本県も本格的に外資系企業の誘致に取り組んでまいりたいと考えてございます。このため、まず外資系企業の和歌山県への立地の可能性、和歌山県に対する知識度等の情報収集を行う必要があり、平成七年度事業で外国企業の対日投資を支援するために専門機関に調査を委託してございます。まだ中間調査の段階ではございますが、和歌山県に関心がある企業も数社ございますので、積極的にアプローチしたいと考えてございます。
 また、和歌山県への評価といたしましては関西国際空港に近いこと等を挙げており、一方、より一層の交通体系の整備や外国人にもわかる和歌山のPRが求められてございます。
 今後は、英文等による新しいPR用パンフレットの作成や和歌山県投資ハンドブックのような基礎資料により情報発信に努め、優良な外資系企業の誘致のため、引き続き積極的な努力を行う所存でございます。
 また、県内企業におきましても、アジアを中心に、多数の企業が活発な海外展開を行ってございます。そこで、県内企業の振興のためにもこのような国際的な企業活動を積極的に支援することが重要であると考え、さきの九月議会において予算化した県経済国際化支援事業により、海外での情報拠点の設置の可能性を探るため、現在、職員がアジアの拠点都市である香港で調査中でございます。
 今後、この調査結果を踏まえ、設置に向けて具体的に検討してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 中村議員ご質問の、半島振興法に加わった「情報基盤の整備」についてでありますが、半島地域の地理的制約を緩和し、今後、産業活動の高度化や生活環境の向上を図るため、半島振興計画に基づき、黒潮ネットワークの機能強化、広域圏に散在する観光・産業資源等をネットワークを通じて有機的に連結する地域プロジェクトの整備拡充を図ることとしてございます。
 また、医療、防災、教育・文化などの分野における高度情報通信システムの整備などを進め、さらに電気通信事業者と連携して移動体通信の整備を推進することとしてございます。
 今後とも、紀伊半島地域がその地理的制約を超えて地域が持つ潜在的な魅力を最大限に発揮できるよう、情報基盤の整備に積極的に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、光ファイバー網の整備状況及び計画についてでございますが、県域の整備につきましては、都市部について平成三年度に整備が完了し、他の地域においても西暦二〇〇〇年を目途に順次取り組まれ、整備の状況は順調に推移していると聞いてございます。今後とも、電気通信事業者と連絡会などを開催し、情報交換や整備要請を行ってまいりたいと考えてございます。
 携帯電話についてでございますが、現在、県内で携帯電話や自動車電話の通信可能なエリアは、国道四十二号沿線及び国道二十四号沿線となってございます。
 議員ご質問の、全県下で通話を可能にすることにつきましては、本来事業者が実施すべきところでありますが、採算性等の観点から事業者が進出しにくい過疎地域等については郵政省に電気通信格差是正事業の補助制度があり、事業者の負担を得ながら、市町村が主体となって移動通信用の鉄塔設備等を整備することが可能となってございます。平成六年度においては高野町がこの補助事業を実施し、高野山内を中心に、全世帯のうち千四百九十八世帯、約六五%が通信可能となってございます。
 今後も、電気通信事業者にエリア拡大の要請を引き続き行うとともに、関係市町村と十分協議しながら積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、パーソナルハンディーホンについてでございますが、高度情報通信に対応できることや価格が安価であることなど、従来の通信機に比較してすぐれた特性も見られますが、携帯電話との通話ができない、高速での移動通信ができない等の制約もあります。
 現在、エリアは、都市部の業務集積地域や地下街など、利用者の多い地域から整備が進められており、本県では和歌山市の一部となっておりますので、この拡大については事業者に要請してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育に係る二点についてお答えいたします。
 まず、パソコン教室の開設についてでございますが、近年の情報化社会に対応していくためには、広く県民にパソコン等の活用の促進、操作技術の向上を図る場や機会を提供することが重要であると考えます。
 教育委員会といたしましては、県立図書館・文化情報センターにおいて、視聴覚教育指導者研修会や一般県民を対象としたパソコン講座を開設しているほか、県立学校を開放するコミュニティースクールにおいても、今年度は九校でこうした講座を開設してございます。また、二十五の市町村におきまして、公民館等の社会教育施設でパソコン教室が開設されている状況であります。
 今後、一層パソコンの活用が必要となることから、市町村との連携協力を図り、講座の拡充や指導者の養成に努めてまいる所存であります。
 次に総合学科についてでございますが、平成六年四月、全国に先駆けて設置した和歌山高校の総合学科におきましては、生徒が自分の興味、関心や将来の進路希望に合わせ、百二十科目にも及ぶ選択科目群から自主的に科目を選び、学習しているところであります。このように、生徒が目的意識を持って意欲的に学習に取り組んでおり、学校は活気に満ち、また生徒の問題行動や中途退学の数も大幅に減少しております。本年度の推薦入試におきましては、募集定員の一・七倍を超える志願者があり、高い人気を得ております。
 また、これまでに他府県から三百件を超える見学があり、全国的な注目を集めるとともに、全国の総合学科のモデルとなり、文部省からも高く評価されているところであります。
 さらに、去る十一月に開催された第五回全国産業教育フェア和歌山大会では、生徒がインターネットを通じてアメリカのゴア副大統領からメッセージを受け取り、総合開会式で発表いたしました。こうした生徒の意欲的な取り組みは、全国から集まった多くの方々の注目を集めているところであります。
 現在、国においては総合学科の設置拡充を打ち出しているところであり、教育委員会といたしましても、和歌山高校の成果を踏まえ、全県的な視野から今後の総合学科の設置について検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十二分休憩
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