平成7年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(下川俊樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時二分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
○議長(橋本 進君) この際、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
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    財第193号
    平成7年12月12日
 和歌山県議会議長 橋 本   進 殿
   和歌山県知事 西 口 勇
 和歌山県議会平成7年12月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
   記
 議案第169号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第170号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第171号 市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第172号 警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第173号 企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
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 【日程第一 議案第百六十九号から議案第百七十三号まで】
○議長(橋本 進君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第百六十九号から議案第百七十三号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明を申し上げます。
 今回追加提案いたしましたのは、職員等の給与改定に伴う関係条例の改正であります。
 去る十月十六日、県人事委員会より職員の給与改定に関する勧告を受け、本年四月一日から実施するため所要の措置を講ずるものであり、条例案件として議案第百六十九号から議案第百七十三号をもって給与関係条例の改正をお願いいたしております。
 なお、給与改定に伴う所要の経費につきましては、既定の予算で対応することといたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(橋本 進君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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 【日程第二 議案第百四十七号から議案第百六十八号まで】
 【日程第三 一般質問】
○議長(橋本 進君) 次に日程第二、議案第百四十七号から議案第百六十八号までをあわせ一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 5番下川俊樹君。
 〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 西口新県政のスタートという記念すべき平成七年十二月県議会において質問のトップバッターの栄をお与えいただきました県議会の皆様方に感謝を申し上げつつ、西口県政の基本に係る何点かについて質問を行うものであります。
 西口新知事にあっては、昨年十二月、「アイ シャル リターン(私は必ず県庁に戻ってくる)」との力強いあいさつを残されて副知事を辞職、以来三千五百回を上回るミニ集会を開催、県下各地をくまなく訪ねられ、長い激しい選挙戦を見事勝ち抜き、県民の圧倒的な支援を得て民選四人目の知事に就任されました。まずもって、心からお祝いを申し上げ、祝福申し上げる次第でございます。
 よく言われますように、三人の知事は、それぞれに強烈な個性を持って県政を担当されてまいりました。戦後の復興と二十八年水害からの再建に心血を注がれた小野知事さん、三大プロジェクトと福祉の充実に情熱を傾けられた大橋知事さん、そして半島性からの脱却を基本テーマに空港、道路、鉄道といった県土の基盤整備に全力を傾けるとともに、世界リゾート博に代表される大イベントの開催により県勢飛躍の基礎固めをなされた仮谷知事さん、歴史と県民はそれぞれの知事に称賛を送り、その偉業を後世に伝えております。
 申すまでもなく西口知事は、三代知事の側近にあって、若くして政治の何かを──帝王学と申しましょうか、政治の要諦を身につけてまいりました。知事として県政を預かる職務の重要さ、難しさを肌で感じられるとともに、私ならこうするのにといった場面もまた数多く経験なされているものと思います。満を持しての登板であると拝察をいたします。
 以下、知事が選挙を通じて県民に公約された個別のテーマについて順次お考えをお伺いいたしますが、まず最初に、西口県政の理念と申しますか、県政をかく運営するといった、いわば西口ビジョンなるものをお伺いいたすところでございます。
 県民は、こぞって新知事の第一声を待っております。そして県民は、新知事の第一声にこれからの和歌山県の将来と発展をかけ、希望に励み、日々の活動と県づくりのよりどころとすることでしょう。
 個別の事項について質問を続けます。
 まず第一点は、意欲と行動力あふれる県庁の実現についてでございます。
 知事は、今回の選挙に関しての感想を求められると、「選挙戦を通じて県内各地をくまなく歩き、多くの県民とじかに触れ合い、副知事時代には聞くことのできなかった本当の県民の生の声を聞くことができた」と、繰り返し述べられてございます。こうした一連の知事の発言は、知事の心の奥底から出た言葉として、私には深い感銘を覚えるところでございます。
 県庁の組織や体質が抱えてきた問題点を知事自身が素直に認め、それを改善しようという強い意思を示されたことを私は高く評価するとともに、そうした基本姿勢に、同じ政治家として心から共鳴をするものであります。もちろん、県庁という大きな組織にあって、長く続いた従来の体質や組織を変えることは並み大抵の努力ではできないことであります。しかしながら、県庁の改革を何よりもまず実現するという知事の言葉に、多くの県民が大きな期待を寄せてございます。
 知事がみずから先頭に立ち、一刻も早く、県民の声がスピーディーに行政に反映されるような鋭いアンテナを張りめぐらせた、意欲と行動力あふれる県庁を実現していただきたいと、改めて強く要望するものであります。
 また、そのためには、国や民間企業、市町村との積極的な人事交流を行い、経営感覚のある人材や県民の視点を持った人材の育成を図るとともに、時代に合った思い切った組織体制の見直しを早急に行うべきであると考えるものであります。こうした県庁の実現のためにいかなる方策を実行されるのか、その具体策について知事の所信をお伺いしたいと思います。
 第二点は、議会と執行部との関係についてであります。
 知事に県民の声が届かないと指摘する多くの県民の意見があります。このことは、とりもなおさず、県民を代表し、県民の声を県政に反映させるべき役割を担う私たち議会人にとっても自戒すべきところ大なるものがあると私は受けとめてございます。議会と県執行部は、これまで友好的かつ協調的な関係を長く維持してまいりました。私は、激しく流動する今日の政治情勢の中、今県民が最も求めているものは、議会と県執行部がこうした友好関係の上に立って車の両輪となり、建設的でかつ緊張感あふれる議論が県民の目の前で展開され、今まさに飛躍発展しようとする和歌山県の輝かしい未来を切り開くことであると考えてございます。換言すれば、議会と県執行部との緊張感ある協調とも言うべき新たな関係が望まれていると考えますが、知事のこの点に関するご所見をお伺いするものであります。
 三点目は、女性の登用についてであります。
 今回の選挙を通じて改めて印象に残ったのは、女性の声が、女性の力が選挙の勝敗にかかわる大きな波となり、新たなうねりを形づくったということであります。候補者を招いての討論会の開催や公開質問の提起、街頭における署名運動など、多くの女性の自主的な市民レベルでの活動がありました。そうした動きが、ともすれば見失われがちな県民の立場、県民の視点に立った政策論争という選挙の原点、政治の原点を守る大きな役割を果たしたのであります。こうした中、知事は、女性の県政への参画、女性の登用を早くから公約の一つとして訴えられてまいりました。これまでも女性の登用や女性の政治参画は選挙のたびに多くの政治家が語り、掲げてきた公約でありますが、とても実現されたとは言いがたい現状にあります。
 そこでお伺いをしたいのは、女性の参画に関していかなる目標を設定され、具体的な施策を講じるおつもりなのかということであります。また、その実現に当たっては、既存の団体や関係機関の代表による単なる数合わせではなくて、これまで県政への参画の経験がなくとも地域や各分野の第一線で活躍されているフレッシュな人材を発掘され、登用されることを強く要望するところであります。
 四点目は、県民や各地域に希望を与える施策の実行についてであります。
 選挙後、知事は、他候補に投票したこれまでの県政への批判票の意味をどう受けとめるのかという質問に対し、「政治にはロマンも大切だ。県民に夢を与える県政を行いたい」との感想を述べられました。知事が述べられたとおり、まさしく政治の本質は、現実の問題に真正面から立ち向かい、人々の苦難を和らげ、希望と夢を現実社会において実現するものであると言えます。
 今、我が和歌山県は大きな飛躍のチャンスを手にしながらも、若者の流出による過疎化や高齢化の進展、日本全体を覆う構造的な経済不況により、各地域、各分野が悩み、苦しんでおります。そして、あすに夢と未来を見出したいと県民だれもが願っています。そうした県民の希望にこたえるために、今、県内各地域や各分野がそれぞれに希望と夢を持てる施策を打ち出すことが強く求められているところであります。そのためにも、知事が公約として掲げられた百三十六の政策の中から県民に勇気と夢を与える政策を具体化し、平成八年度当初予算においてぜひ実現されるよう強く求めるものであります。
 現在進められている当初予算編成作業に対し、どのような姿勢で臨まれるのか、知事の所信をお伺いしたいと思います。
 五点目には、限られた予算の中での重点配分、集中投資についてであります。
 ただいま申し上げました県民に希望と勇気を与える施策の展開について具体的な提言を申し上げながら、それについての知事の考え方をお伺いしていきたいと思います。
 ここ数年、全国の地方自治体において税収が落ち込む中、健全財政を維持してきた和歌山県の財政状況もオイルショック以来の厳しい状況にあると承知をしてございます。そうした中、県民の期待にこたえるためには、従前の総花的な予算配分でなく、既存事業を思い切って見直し、限られた予算財源をいかに重点配分し、集中投資するかが問われています。国においても、平成八年度以降、一定の事業量を集中投資しなければ公共事業の採択は行わないとの方針を示しております。まさしく、計画的な集中投資ができるか否かが国の公共事業予算獲得にも大きく響く状況にあるのであります。
 具体的な例を挙げてみますと、例えば道路予算において、広域的な観点や県民生活の利便性といった観点から、まず重点ルートの設定を行う必要があります。そして、土木部や農林水産部といった各部局間の連携と市町村、国との連携による計画的な重点投資ルートを決め、そのルートへの予算の傾斜配分をして重点的な集中投資を行うことが必要だと思います。県民から見れば、建設省、農林水産省、自治省などといった道路予算の区分は無意味であり、また県道や市町村道の区分さえも意味がないのでございます。県民にとって重要なのは、いつまでに、どこからどこまでの道が整備され便利な道になるかというのが問題なのであります。こうした重点投資と明確な目標の設定、そしてそれらの県民への周知によるめり張りのきいた行財政運営こそが、今、県行政の各分野において求められているのであります。
 また、今申し上げた明確な目標の設定は、お役所の中では大変難しく、抵抗のあるところだと思います。ともすれば、お役所は目標をあいまいにしがちなものでございます。しかし、仮に目標が達成できなくとも、その原因を素直に県民の前に明らかにし、さらに県民の協力を求めながら努力を重ねるという姿勢こそが本当の開かれた県政であり、また県民参加の行政であると考えるのであります。知事みずからがそうした姿勢を示すことにより、これまでのお役所体質の脱却をも可能にすることができるものと思います。こうした点について、知事のお考えをお伺いするものであります。
 六点目は、広域的幹線ルートの整備についてであります。
 道路網の整備について、二十一世紀を見据えた重点ルートとしてどのようなルート設定をなすべきでありましょうか。私は、次の四つの広域的幹線ルートを柱にした重点投資が必要だと考えます。一つは、京奈和道路、そして紀淡連絡道路といった太平洋国土軸を形成する幹線ルートであります。第二は近畿自動車道紀勢線つまり高速道路の南伸、第三は府県間道路であります。この府県間道路については、明確に優先順位を定め、進捗を図ることが重要であると考えます。これまでの、それぞれ少しずつ進めていくという方法では、何年たっても地域への波及効果は生まれないのであります。短期間で順次実現を図ることにより経済波及効果を段階的に生み出していくことが地域の発展のために不可欠であります。二十年をかけて四本の道路をつくるよりも、五年で一本の道を完成させていくことの方が地域の発展に寄与することは論ずるまでもないことだと考えるのであります。第四は、内陸ルートの整備であります。現在各地で進められている国道三百七十一号、国道四百二十四号の早期実現とともに、新宮市から京阪神に至る新たな内陸幹線軸の実現にぜひとも取り組んでいただくよう、提案を申し上げたいと思います。
 南北に長い本県にあって、道路の整備とともに鉄道の整備もまた非常に重要な課題の一つであります。私は、かねてから紀勢本線のスピードアップとグレードアップを求めてまいりました。今般、県当局から新型車両の導入と線形改良による二十分の時間短縮が発表され、地元の喜びにはひとしおのものがございます。しかしながら、人はより高いレベルを求めるのが常でございます。より一層のスピードアップが図られ、熊野の地がより近くなり、訪れる人の一層の増加を期待するものでございます。こうした道路、鉄道を含めた総合的な交通体系の長期的な整備について、知事の考えをお伺いいたします。
 七点目は、県立医科大学跡地の活用についてでございます。
 私たちが県外や海外の都市、地域について思いをめぐらすとき、どのような具体的なイメージを思い浮かべるのでありましょうか。東京であれば、今は新宿の高層ビル群でしょうか。大阪であれば、最近は関西国際空港であり、また南港のATCであるかもしれません。パリでは、かつてエッフェル塔であり、今は装いも新たになったルーブル博物館でしょうか。翻って和歌山県の県都和歌山市には、県外、国外の人々を引きつけるべきシンボル施設、いわゆるランドマークとなるべきものがあるのでしょうか。今は、和歌山市の南の端にあるマリーナシティが唯一のランドマークと呼ばれる存在となっていますが、都市としての和歌山市には残念ながらシンボル的な施設がなく、顔のない都市、イメージのない都市だと言われるのもいたし方ないと認めざるを得ません。
 そこで、平成十年度に移転が完了する県立医科大学の跡地利用について、ぜひとも県都和歌山市のランドマークとなり、県外、海外にも誇り得べきシンボル的施設の整備を民間活力の導入により実現すべきだと考えるものであります。
 幸い、県立医科大学跡地は都市計画法や建築基準法上も高層建設が可能な土地であり、かつてのランドマーク和歌山城に面した、和歌山市のまさしく中心であります。ドーナツ化が進み、また郊外の道路沿いの店舗に消費者が流出する和歌山市中心部の活性化方策としても、期待の大きいプロジェクトになるものと確信をします。知事が提唱されている、和歌山を関西第四の都市にという和歌山百万都市圏構想にとっても重要な意味を持つものと思います。このことについて、知事の見解をお伺いしたいと思います。
 八点目は、県庁舎の建設についてでございます。
 県庁舎については、老朽化、狭隘化が問題となり、二十一世紀にふさわしい長期的観点からの対応が必要となってございます。新知事誕生のこの機に、新庁舎の建設に係るご意見をお伺いするものであります。
 なお、この際、公立施設の建設に絡んで、一言ご指摘をしておきたいと存じます。
 ここ数年、自治省のふるさと事業や地域総合整備事業などの活用により、魅力ある多くの公共施設が県あるいは市町村によって整備・建設されてきてございます。数年後には多目的ホールや健康福祉棟も完成をされると聞いてございます。しかしながら、こうした施設も、利用されなければその価値がないのであります。現在、施設の集積が進展している反面、欠落しているのは、こうした施設のソフト面での活用方策ではないでしょうか。建設前の運営計画の策定、企業経営感覚による積極的な営業活動、施設運営の民間委託や民間人の登用による積極的な運営、施設間の連携、観光面からのネットワーク化など、時代に合った運営方法のあり方が問われているのであります。今後、公立施設の建設に当たっては、こうした点に十分留意しながら取り組むことを要望しておきたいと思います。
 最後に、ややローカルな話題になりますが、九点目は三県の協力による新宮圏域の活性化についてであります。
 知事も選挙戦を通じて実感されたものと思いますが、紀南地域、特に新宮市・東牟婁地域は人口の流出・減少、高齢化、産業の低迷と二重、三重の苦しみに悩んでおり、地域住民は今悲痛な叫びを上げております。こうした急迫する事態を打開し、我が国有数の歴史を有する新宮圏域を活性化させるためには、熊野の名のもとに、同様の歴史的、文化的背景を有し、また同様の過疎問題に悩む三重県、奈良県の南部の隣接地域との連携、一体的な振興策を展開する必要があると思います。
 幸い、平成八年度には、三県知事による紀伊半島サミットが本県で開催されると聞いてございます。ぜひこのサミットにおいて、紀伊半島南部、熊野地域の一体的な開発・振興に三県が一致協力して具体的な目標、具体的な事業展開についての合意を得べく、知事から積極的な提案がなされることを強く希望するものであります。
 るる提案と質問をしてまいりましたが、すべての問題に共通して私の申し上げたいことがあります。それは、長期的なビジョンのもとにいかに短期間で結果を出していくかという一点にあります。県民は、プロセスでもなく計画でもなく、一つ一つの問題に明確な具体的な結果を出してくれることを何よりも待ち望んでいるのであります。今回の選挙を通じ、県民は西口知事の行動力、実行力に和歌山県の未来を託す選択をいたしました。そして今、その手腕を、その実行力を一つ一つの結果で評価しようと見詰めてございます。どうか、長期を見据えた短期決戦をモットーに初心を貫徹され、県民の大いなる期待にこたえられますことを心から祈念申し上げる次第であります。
 最後に、一言、県当局にお礼を申し上げたいと思います。
 去る十月一日夜十一時、突如、土砂崩れが新宮市を襲いました。死者三名、負傷者三名、家屋の全半壊九戸という、まさに大惨事でございました。現在、地元新宮市はもとより、県当局の献身的な努力によって、その復旧が急ピッチに進められてございます。被害者の悲しみや不安を思うとき、こうした迅速かつ積極的な対応は何にも増して心強く、まさに西口知事が取り組もうとする心通う県政が実証されたものであろうかと思います。改めてそのご努力に感謝を申し上げ、質問を終わらせていただきます。
 ご清聴、どうもありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 下川議員にお答えを申し上げたいと思います。
 県政の基本的な理念は何なのかということであります。
 開会冒頭にも申し上げましたように、県政の基本は、和歌山に住んでいるすべての人々が、どの地域にあっても、どんな立場にあっても、和歌山に住んでよかったと言えるような心温まる和歌山県を確立していくことが県政究極の目的であろうと考えておるわけであります。そういった意味で、常々申し上げておりますけれども、責任のある県政、心の通う県政、大胆で思い切った清新の県政ということを私の政治姿勢として今後懸命に進めてまいりたいと考えております。
 関西国際空港の開港あるいは高速道路の国土軸への直結などで、和歌山県が二十一世紀に向けて大きく飛躍する基礎的条件は整ってきております。また、心の豊かさが求められる時代に、本県の持つ自然、歴史、文化は、関西のみならず、世界の中でもこれから重要な位置を占めてくると思っております。
 ことしは戦後五十年でありますけれども、大きな変革期を迎えている今こそ、これからの新しい時代に向けて、時代の流れを的確にとらえ、社会、経済の変化に柔軟に対応していき、新しい飛躍を遂げていかなければならないという大変大事な時期であろうと思います。
 そのために、常に申し上げておりますけれども、単なる和歌山県内の議論に終わらせずに、関西、日本、さらには世界に視野を向けた大きな立場で和歌山のあり方を議論して、将来の方向を企画し、立案し、一つずつ実現をしていかなければならんと強く思っておるわけであります。そうすることによって、ふるさと和歌山の新時代をつくっていこうという考え方でございます。ただしかし、一番必要なことは、議会の皆さん方、県民の皆さん方が一緒に手を携えて和歌山を発展さそうという気持ちであり、このことが大変大事であり、緊急の課題であろうと思っております。
 次に、意欲と行動力あふれる県庁の実現ということであります。
 登庁時に私は、県庁を離れ、選挙期間中に県内各地をお訪ねしてさまざまな人々と対話を重ねてきた経験を通しての思いを申し上げさせていただいたわけであります。今、議員のご賛同をいただきまして、私の思いが県民の皆様方の期待されておることと合致しておるという確信を持たせていただくと同時に、この実現のために全力を挙げて頑張っていきたいという決意をさらに強くしたところであります。
 ご質問いただきました、鋭いアンテナを張りめぐらせた県庁の実現ということでありますが、このためには、何といっても職員全体の意識の改革が大変必要だと考えております。
 例えば、登庁日に全職員に申し上げたことでありますが、まずサービス、スピード、それからシャープさのある感性を養っていくということを目標にして努力していこうと訴えさせていただきました。
 また、ただいま国や県内市町村との人事交流をしておりますけれども、これからさらに人材の育成を図るために民間企業へ職員を派遣していきたい、そしてそういうことによって従来にも増して職員の能力開発に努めていきたいと考えております。
 組織機構の問題につきましては、さきに発表した新しい行政改革大綱に基づき、県民の視点に立って大幅な見直しを行い、県民のニーズに適合するわかりやすい体制を早急に整備いたしまして、意欲と行動力あふれる──私の表現でありますけれども、たくましい県庁に模様がえをしていきたいということを強く考えております。
 次に、議会と執行部との関係であります。
 これは先般も申し上げましたけれども、まさしく議会と執行部は県政推進の両輪でございます。また、互いの協力関係なくして県勢の発展はあり得ないわけでございます。
 下川議員のご質問のとおり、私も、建設的な議論を皆さんと真剣に重ねて、迅速に県政を進めてまいらなければならないと思っております。今後、皆さん方と良好で緊張感のある協調関係をしっかりと築いていきたいと考えております。
 次に、女性の登用の問題であります。
 女性の登用につきましては、だれもが住みやすい心豊かなふるさとづくり、また人と自然に優しい県政を進めていくためには、女性の感性、女性の立場からのご意見を十分に取り入れていく必要があろうかと思っております。そうした意味で、女性関連施策の充実というのは私の公約の重要な項目の一つであります。
 まず、県の基本方針や計画を審議する各種審議会あるいは委員会にできるだけ多くの女性に参画していただくために、各地域で活動されている、お話にございましたフレッシュな人材をぜひ把握して、現在、審議会等への女性委員の登用率は一〇%でありますが、平成十二年には三〇%に引き上げていくことを一つの目標としております。
 さらに、女性のご意見をお聞きして県政へ反映していくために、公募によるわかやま女性一〇〇人委員会を四月一日に設置いたしたいということで、今議会に準備経費をお願いしておるところでございます。
 また、女性の抱えるさまざまな問題につきまして、あらゆる分野で男女がともに個性を生かし合い、よく言われる言葉でありますけれども、男女共生社会の実現に向けての推進啓発などを行うと同時に、その拠点となる女性センターの整備、あるいは県の幹部職員への女性の登用等について今後積極的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、県民や各地域に希望を与える施策の実行というご質問であります。
 私は、県内各地を回らせていただく中で、さまざまな地域の状況なども見させていただき、いろんなご意見も承ってまいったわけでありますが、そのようなことを一つの経験にいたしまして、後援会活動の途中でありましたけれども、夢とロマンのある、やや長期的な展望を含めた百三十六の政策を提言させていただいたわけであります。和歌山の持っているいいところをもっとPRして、同時に足りないところをしっかりと補っていくという努力をし、県民に夢を与え、自信と誇りを持ってもらえるような県政を推進するために、考え方として必要ではないかと思っております。例えば、各地域、各分野にわたって本県のおくれている部分、また議員ご指摘のとおり、過疎化や高齢化といった大きな課題についても積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。
 次に、限られた予算の中での重点配分、集中投資ということであります。
 全くご指摘のとおりでございまして、全国的に地方財政が近年にない大変厳しい状況となっており、和歌山県においても税収が落ち込みを見せている中で大変厳しさを増しております。そういった中で県政の一層の活性化を図るためには、明確な目標の設定、あるいは財源の思い切った重点配分、さらには達成状況の県民の皆さんへの周知といったことが非常に重要であると考えております。
 議員お話しのように、私も、地元の県民の皆さん方にとってはそれが何省の仕事であろうと関係ないわけでありまして、できるだけ早く事業をやってほしいというのが率直な願いであろうと思います。そういったことから、例えば道路の問題につきましても、県内全体の道路交通網の整備計画を立てる中で、公共事業あるいは単独事業、さまざまな制度などをいかに計画的に組み合わせて重要路線としての集中投資を進めていくかということが県勢発展のためにも、地元の人たちのためにも不可欠な観点であろうと、そういう認識のもとに来年度予算編成を行っていきたいと考えております。
 次に、交通体系の整備についてであります。──少し長くなりますが、お許しをいただきたいと思います。
 総合的な交通体系の長期的な整備につきましては、高速道路の整備を促進するとともに、国道、県道、農道、林道等の道路網あるいは鉄道の整備によって県内各地を有機的に連絡する、おおむね二時間交通圏を確立することがこれからの施策の最も重要なことだと思いますので、強力に推進していきたいと考えてございます。
 まず、紀伊半島を横断する太平洋新国土軸でございますが、我が県の発展のためにもぜひとも必要なものであり、その効果を最大限に活用していく必要があろうかと思います。さらには、太平洋新国土軸を構成する紀淡連絡道路、京奈和自動車道は、私の提案する百万都市圏構想を実現するためにも重要な路線であります。
 また、高速道路の南伸でございますが、これは県民の長年の悲願であり、紀南地方の活性化のためにも欠かすことのできない重要な道路であります。湯浅御坊道路については、今年度末に供用される予定となってございます。御坊以南についても、御坊から南部の間で既に日本道路公団で事業を進めているところでございます。
 今後とも、あらゆる手法を取り入れながら、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に府県間道路の整備でございますが、これにつきましては、阪和開発連絡協議会の場においても大阪府に対して声を大にして推進をお願いしているところであり、今後とも調整を図りながら整備を進めてまいりたいと考えております。
 また、府県間を連絡する路線は複数ございますけれども、おのおのの路線がそれぞれの地域の活性化施策と密接に結びついてございます。重要な意味を持っておりますので、今後とも効率的で集中的な整備ができますように心がけてまいりたいと思います。
 内陸ルートの整備についてでございますけれども、現在、国道四百二十四号、県道龍神中辺路線、国道三百十一号等の通称・第二県土軸と呼んでいるルートを中心にして重点的な投資を図っていきたいと思います。
 また、近畿南北連携軸の一環として位置づけられている、新宮市から京阪神に至る新たな内陸幹線軸でございますけれども、新宮地方生活圏と京阪神都市圏との連携、交流を図る重要な路線であると認識をしているところであります。
 国道百六十八号につきましては、整備の促進を図っているところでございまして、さらに昨年十二月には五條新宮道路として地域高規格道路の指定を受けたところでございます。
 そのほか、災害時に国道四十二号等の代替ルートとなり得る路線に関し、農道、林道等の事業も取り入れてネットワークの形成に努めているところでございます。
 これらの道路整備を進めるに当たりましては、地方道路計画を策定するなどにより重点的、効率的な事業の進捗に努めるとともに、地域の特性も踏まえながら、質のよい道路整備に努めていきたいと考えてございます。
 鉄道の整備についてでありますが、今般、紀勢本線高速化事業を実施し、和歌山・新宮間で二十分程度の時間短縮を図る運びになりました。この高速化により、紀南地域の活性化がより一層図れるものと考えてございますが、今後、紀勢本線の効果的な輸送改善について政府要望などを行ったり、あるいは県内鉄道のさらなる利便性の向上を図るための取り組みを地元市町村などとともに行ってまいりたいと考えております。近く、JR西日本の井手社長との対談も予定しておりますので、その際にも強く要請をしていきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、私としては、本県にとって広域交通網の整備は最重点課題として受けとめてございますので、今後一層の努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、県立医科大学跡地の活用についてでございます。
 県立医科大学移転後の跡地の利活用につきましては、議員ご提言のように、単に県域レベルの発想にとどまることなく、まさしく国際都市和歌山として、従来の和歌山市のイメージを一新する都市空間の創造に結びつけるものでなければならないと考えてございます。
 したがいまして、関西国際空港に至近の県都であり、市中心部の歴史、景観に恵まれた地域であるということの立地条件を生かしまして、内外の人々の集いやにぎわいの場としての交流機能、さらには和歌山県の、あるいは和歌山市の経済・文化の情報発信基地としての機能を十分に発揮し得る複合型高度都市機能施設としての整備を図っていきたいと考えております。現在、そのために基礎調査を進めておりますけれども、来年度には各界の皆さん方からのご意見を承りながら、しっかりとした基本構想を策定していきたいと考えております。
 県庁舎の建設についてでございます。
 県庁舎建設についての運びといたしまして、現在の庁舎は、一番古い本庁舎が昭和十三年に建てられたもので、全体的に老朽化、狭隘化が進んでおります。また全国的に見ましても、近年、新庁舎への建てかえが進んでございます。本県においても将来的に建てかえの準備が必要であることは、私もかねがね考えておるところでございます。このために、ことしの三月には県議会のご同意を得て建設基金設置条例を改正し、初めて本格的な財源手当を行ったところでございます。
 今後とも、皆様方のご意見を十分に承りながら、本庁舎のみならず議会棟等のあり方も含めて、真剣な検討を重ねていきたいと考えてございます。
 最後に、三県の協力による新宮圏域の活性化の問題であります。
 紀南地域の実情につきましては、議員お話しのように、私も選挙戦を通じて身をもって痛いほど体験をいたしまして、その打開は緊急の課題であるという認識を持ってございます。その解決策の一環として、本県では紀伊半島の一層の振興を図るために三重県、奈良県と共同で紀伊地域半島振興計画を策定いたしまして、間もなく内閣総理大臣による承認がなされる予定でございます。本計画では、特に紀南地域の振興を図るために、三重県、奈良県との密接な連携を図りながら、紀伊半島を一体としてとらえた広域連携プロジェクトの検討を行うこととしております。
 なお、来年三県共同で開催を予定している紀伊半島知事会議におきまして、議員ご提言の紀南地域の振興方策について積極的に提案をしていきたいと考えております。
 また、中長期的な視点から紀伊半島の振興方策を明らかにするために紀伊半島振興ビジョンを三県共同で策定いたしまして、熊野地域を含めた半島振興のための戦略プロジェクトの具体化を図ってまいりたいと考えております。
 以上で答弁を終わりますが、最後にお話がございましたように、県民はできるだけ早く実行することを強く期待されておりますので、大胆で思い切った県政に向かって全力を挙げて頑張ってまいりたいと思います。今後とも皆さん方のご支援をお願い申し上げて、答弁を終わります。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で下川俊樹君の質問が終了いたしました。

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