平成7年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成七年十二月十二日(火曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第百六十九号から議案第百七十三号まで(知事説明・質疑)
 第二 議案第百四十七号から議案第百六十八号まで(質疑)
 第三 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百六十九号から議案第百七十三号まで(知事説明・質疑)
 二 議案第百四十七号から議案第百六十八号まで(質疑)
 三 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川  武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門  三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島  雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 長 坂 隆 司
 18 番 井 谷  勲
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗  正 彦
 24 番 橋 本  進
 25 番 谷  洋 一
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 東 山 昭 久
 28 番 尾 崎 要 二
 29 番 野見山  海
 30 番 木 下 秀 男
 31 番 町 田  亘
 32 番 中 山  豊
 33 番 山 下 直 也
 34 番 鶴 田 至 弘
 35 番 森  正 樹
 36 番 村 岡 キミ子
 37 番 新 田 和 弘
 38 番 平 越 孝 哉
 39 番 森 本 明 雄
 40 番 神 出 政 巳
 41 番 松 本 泰 造
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口  勇
 副知事 梅 田 善 彦
 出納長 中 西 伸 雄
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 民生部長 木 村 栄 行
 保健環境部長 鈴 木 英 明
 商工労働部長 中 山 次 郎
 農林水産部長 日 根 紀 男
 土木部長 山 根 一 男
 企業局長 中 村 協 二
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   山 本  昭
 教育長 西 川 時千代
 以下教育次長
 公安委員会委員 高 垣  宏
 警察本部長 青 山 幸 恭
 以下各部長
 人事委員会委員長
   若 林 弘 澄
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   谷 口 庄 一
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 岩 垣  孝
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 松 田 捷 穂
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 長 尾 照 雄
 総務課長 岡 山 哲 夫
 調査課長 柏 木  衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時二分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
○議長(橋本 進君) この際、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
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    財第193号
    平成7年12月12日
 和歌山県議会議長 橋 本   進 殿
   和歌山県知事 西 口 勇
 和歌山県議会平成7年12月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
   記
 議案第169号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第170号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第171号 市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第172号 警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第173号 企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
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 【日程第一 議案第百六十九号から議案第百七十三号まで】
○議長(橋本 進君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第百六十九号から議案第百七十三号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明を申し上げます。
 今回追加提案いたしましたのは、職員等の給与改定に伴う関係条例の改正であります。
 去る十月十六日、県人事委員会より職員の給与改定に関する勧告を受け、本年四月一日から実施するため所要の措置を講ずるものであり、条例案件として議案第百六十九号から議案第百七十三号をもって給与関係条例の改正をお願いいたしております。
 なお、給与改定に伴う所要の経費につきましては、既定の予算で対応することといたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(橋本 進君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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 【日程第二 議案第百四十七号から議案第百六十八号まで】
 【日程第三 一般質問】
○議長(橋本 進君) 次に日程第二、議案第百四十七号から議案第百六十八号までをあわせ一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 5番下川俊樹君。
 〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 西口新県政のスタートという記念すべき平成七年十二月県議会において質問のトップバッターの栄をお与えいただきました県議会の皆様方に感謝を申し上げつつ、西口県政の基本に係る何点かについて質問を行うものであります。
 西口新知事にあっては、昨年十二月、「アイ シャル リターン(私は必ず県庁に戻ってくる)」との力強いあいさつを残されて副知事を辞職、以来三千五百回を上回るミニ集会を開催、県下各地をくまなく訪ねられ、長い激しい選挙戦を見事勝ち抜き、県民の圧倒的な支援を得て民選四人目の知事に就任されました。まずもって、心からお祝いを申し上げ、祝福申し上げる次第でございます。
 よく言われますように、三人の知事は、それぞれに強烈な個性を持って県政を担当されてまいりました。戦後の復興と二十八年水害からの再建に心血を注がれた小野知事さん、三大プロジェクトと福祉の充実に情熱を傾けられた大橋知事さん、そして半島性からの脱却を基本テーマに空港、道路、鉄道といった県土の基盤整備に全力を傾けるとともに、世界リゾート博に代表される大イベントの開催により県勢飛躍の基礎固めをなされた仮谷知事さん、歴史と県民はそれぞれの知事に称賛を送り、その偉業を後世に伝えております。
 申すまでもなく西口知事は、三代知事の側近にあって、若くして政治の何かを──帝王学と申しましょうか、政治の要諦を身につけてまいりました。知事として県政を預かる職務の重要さ、難しさを肌で感じられるとともに、私ならこうするのにといった場面もまた数多く経験なされているものと思います。満を持しての登板であると拝察をいたします。
 以下、知事が選挙を通じて県民に公約された個別のテーマについて順次お考えをお伺いいたしますが、まず最初に、西口県政の理念と申しますか、県政をかく運営するといった、いわば西口ビジョンなるものをお伺いいたすところでございます。
 県民は、こぞって新知事の第一声を待っております。そして県民は、新知事の第一声にこれからの和歌山県の将来と発展をかけ、希望に励み、日々の活動と県づくりのよりどころとすることでしょう。
 個別の事項について質問を続けます。
 まず第一点は、意欲と行動力あふれる県庁の実現についてでございます。
 知事は、今回の選挙に関しての感想を求められると、「選挙戦を通じて県内各地をくまなく歩き、多くの県民とじかに触れ合い、副知事時代には聞くことのできなかった本当の県民の生の声を聞くことができた」と、繰り返し述べられてございます。こうした一連の知事の発言は、知事の心の奥底から出た言葉として、私には深い感銘を覚えるところでございます。
 県庁の組織や体質が抱えてきた問題点を知事自身が素直に認め、それを改善しようという強い意思を示されたことを私は高く評価するとともに、そうした基本姿勢に、同じ政治家として心から共鳴をするものであります。もちろん、県庁という大きな組織にあって、長く続いた従来の体質や組織を変えることは並み大抵の努力ではできないことであります。しかしながら、県庁の改革を何よりもまず実現するという知事の言葉に、多くの県民が大きな期待を寄せてございます。
 知事がみずから先頭に立ち、一刻も早く、県民の声がスピーディーに行政に反映されるような鋭いアンテナを張りめぐらせた、意欲と行動力あふれる県庁を実現していただきたいと、改めて強く要望するものであります。
 また、そのためには、国や民間企業、市町村との積極的な人事交流を行い、経営感覚のある人材や県民の視点を持った人材の育成を図るとともに、時代に合った思い切った組織体制の見直しを早急に行うべきであると考えるものであります。こうした県庁の実現のためにいかなる方策を実行されるのか、その具体策について知事の所信をお伺いしたいと思います。
 第二点は、議会と執行部との関係についてであります。
 知事に県民の声が届かないと指摘する多くの県民の意見があります。このことは、とりもなおさず、県民を代表し、県民の声を県政に反映させるべき役割を担う私たち議会人にとっても自戒すべきところ大なるものがあると私は受けとめてございます。議会と県執行部は、これまで友好的かつ協調的な関係を長く維持してまいりました。私は、激しく流動する今日の政治情勢の中、今県民が最も求めているものは、議会と県執行部がこうした友好関係の上に立って車の両輪となり、建設的でかつ緊張感あふれる議論が県民の目の前で展開され、今まさに飛躍発展しようとする和歌山県の輝かしい未来を切り開くことであると考えてございます。換言すれば、議会と県執行部との緊張感ある協調とも言うべき新たな関係が望まれていると考えますが、知事のこの点に関するご所見をお伺いするものであります。
 三点目は、女性の登用についてであります。
 今回の選挙を通じて改めて印象に残ったのは、女性の声が、女性の力が選挙の勝敗にかかわる大きな波となり、新たなうねりを形づくったということであります。候補者を招いての討論会の開催や公開質問の提起、街頭における署名運動など、多くの女性の自主的な市民レベルでの活動がありました。そうした動きが、ともすれば見失われがちな県民の立場、県民の視点に立った政策論争という選挙の原点、政治の原点を守る大きな役割を果たしたのであります。こうした中、知事は、女性の県政への参画、女性の登用を早くから公約の一つとして訴えられてまいりました。これまでも女性の登用や女性の政治参画は選挙のたびに多くの政治家が語り、掲げてきた公約でありますが、とても実現されたとは言いがたい現状にあります。
 そこでお伺いをしたいのは、女性の参画に関していかなる目標を設定され、具体的な施策を講じるおつもりなのかということであります。また、その実現に当たっては、既存の団体や関係機関の代表による単なる数合わせではなくて、これまで県政への参画の経験がなくとも地域や各分野の第一線で活躍されているフレッシュな人材を発掘され、登用されることを強く要望するところであります。
 四点目は、県民や各地域に希望を与える施策の実行についてであります。
 選挙後、知事は、他候補に投票したこれまでの県政への批判票の意味をどう受けとめるのかという質問に対し、「政治にはロマンも大切だ。県民に夢を与える県政を行いたい」との感想を述べられました。知事が述べられたとおり、まさしく政治の本質は、現実の問題に真正面から立ち向かい、人々の苦難を和らげ、希望と夢を現実社会において実現するものであると言えます。
 今、我が和歌山県は大きな飛躍のチャンスを手にしながらも、若者の流出による過疎化や高齢化の進展、日本全体を覆う構造的な経済不況により、各地域、各分野が悩み、苦しんでおります。そして、あすに夢と未来を見出したいと県民だれもが願っています。そうした県民の希望にこたえるために、今、県内各地域や各分野がそれぞれに希望と夢を持てる施策を打ち出すことが強く求められているところであります。そのためにも、知事が公約として掲げられた百三十六の政策の中から県民に勇気と夢を与える政策を具体化し、平成八年度当初予算においてぜひ実現されるよう強く求めるものであります。
 現在進められている当初予算編成作業に対し、どのような姿勢で臨まれるのか、知事の所信をお伺いしたいと思います。
 五点目には、限られた予算の中での重点配分、集中投資についてであります。
 ただいま申し上げました県民に希望と勇気を与える施策の展開について具体的な提言を申し上げながら、それについての知事の考え方をお伺いしていきたいと思います。
 ここ数年、全国の地方自治体において税収が落ち込む中、健全財政を維持してきた和歌山県の財政状況もオイルショック以来の厳しい状況にあると承知をしてございます。そうした中、県民の期待にこたえるためには、従前の総花的な予算配分でなく、既存事業を思い切って見直し、限られた予算財源をいかに重点配分し、集中投資するかが問われています。国においても、平成八年度以降、一定の事業量を集中投資しなければ公共事業の採択は行わないとの方針を示しております。まさしく、計画的な集中投資ができるか否かが国の公共事業予算獲得にも大きく響く状況にあるのであります。
 具体的な例を挙げてみますと、例えば道路予算において、広域的な観点や県民生活の利便性といった観点から、まず重点ルートの設定を行う必要があります。そして、土木部や農林水産部といった各部局間の連携と市町村、国との連携による計画的な重点投資ルートを決め、そのルートへの予算の傾斜配分をして重点的な集中投資を行うことが必要だと思います。県民から見れば、建設省、農林水産省、自治省などといった道路予算の区分は無意味であり、また県道や市町村道の区分さえも意味がないのでございます。県民にとって重要なのは、いつまでに、どこからどこまでの道が整備され便利な道になるかというのが問題なのであります。こうした重点投資と明確な目標の設定、そしてそれらの県民への周知によるめり張りのきいた行財政運営こそが、今、県行政の各分野において求められているのであります。
 また、今申し上げた明確な目標の設定は、お役所の中では大変難しく、抵抗のあるところだと思います。ともすれば、お役所は目標をあいまいにしがちなものでございます。しかし、仮に目標が達成できなくとも、その原因を素直に県民の前に明らかにし、さらに県民の協力を求めながら努力を重ねるという姿勢こそが本当の開かれた県政であり、また県民参加の行政であると考えるのであります。知事みずからがそうした姿勢を示すことにより、これまでのお役所体質の脱却をも可能にすることができるものと思います。こうした点について、知事のお考えをお伺いするものであります。
 六点目は、広域的幹線ルートの整備についてであります。
 道路網の整備について、二十一世紀を見据えた重点ルートとしてどのようなルート設定をなすべきでありましょうか。私は、次の四つの広域的幹線ルートを柱にした重点投資が必要だと考えます。一つは、京奈和道路、そして紀淡連絡道路といった太平洋国土軸を形成する幹線ルートであります。第二は近畿自動車道紀勢線つまり高速道路の南伸、第三は府県間道路であります。この府県間道路については、明確に優先順位を定め、進捗を図ることが重要であると考えます。これまでの、それぞれ少しずつ進めていくという方法では、何年たっても地域への波及効果は生まれないのであります。短期間で順次実現を図ることにより経済波及効果を段階的に生み出していくことが地域の発展のために不可欠であります。二十年をかけて四本の道路をつくるよりも、五年で一本の道を完成させていくことの方が地域の発展に寄与することは論ずるまでもないことだと考えるのであります。第四は、内陸ルートの整備であります。現在各地で進められている国道三百七十一号、国道四百二十四号の早期実現とともに、新宮市から京阪神に至る新たな内陸幹線軸の実現にぜひとも取り組んでいただくよう、提案を申し上げたいと思います。
 南北に長い本県にあって、道路の整備とともに鉄道の整備もまた非常に重要な課題の一つであります。私は、かねてから紀勢本線のスピードアップとグレードアップを求めてまいりました。今般、県当局から新型車両の導入と線形改良による二十分の時間短縮が発表され、地元の喜びにはひとしおのものがございます。しかしながら、人はより高いレベルを求めるのが常でございます。より一層のスピードアップが図られ、熊野の地がより近くなり、訪れる人の一層の増加を期待するものでございます。こうした道路、鉄道を含めた総合的な交通体系の長期的な整備について、知事の考えをお伺いいたします。
 七点目は、県立医科大学跡地の活用についてでございます。
 私たちが県外や海外の都市、地域について思いをめぐらすとき、どのような具体的なイメージを思い浮かべるのでありましょうか。東京であれば、今は新宿の高層ビル群でしょうか。大阪であれば、最近は関西国際空港であり、また南港のATCであるかもしれません。パリでは、かつてエッフェル塔であり、今は装いも新たになったルーブル博物館でしょうか。翻って和歌山県の県都和歌山市には、県外、国外の人々を引きつけるべきシンボル施設、いわゆるランドマークとなるべきものがあるのでしょうか。今は、和歌山市の南の端にあるマリーナシティが唯一のランドマークと呼ばれる存在となっていますが、都市としての和歌山市には残念ながらシンボル的な施設がなく、顔のない都市、イメージのない都市だと言われるのもいたし方ないと認めざるを得ません。
 そこで、平成十年度に移転が完了する県立医科大学の跡地利用について、ぜひとも県都和歌山市のランドマークとなり、県外、海外にも誇り得べきシンボル的施設の整備を民間活力の導入により実現すべきだと考えるものであります。
 幸い、県立医科大学跡地は都市計画法や建築基準法上も高層建設が可能な土地であり、かつてのランドマーク和歌山城に面した、和歌山市のまさしく中心であります。ドーナツ化が進み、また郊外の道路沿いの店舗に消費者が流出する和歌山市中心部の活性化方策としても、期待の大きいプロジェクトになるものと確信をします。知事が提唱されている、和歌山を関西第四の都市にという和歌山百万都市圏構想にとっても重要な意味を持つものと思います。このことについて、知事の見解をお伺いしたいと思います。
 八点目は、県庁舎の建設についてでございます。
 県庁舎については、老朽化、狭隘化が問題となり、二十一世紀にふさわしい長期的観点からの対応が必要となってございます。新知事誕生のこの機に、新庁舎の建設に係るご意見をお伺いするものであります。
 なお、この際、公立施設の建設に絡んで、一言ご指摘をしておきたいと存じます。
 ここ数年、自治省のふるさと事業や地域総合整備事業などの活用により、魅力ある多くの公共施設が県あるいは市町村によって整備・建設されてきてございます。数年後には多目的ホールや健康福祉棟も完成をされると聞いてございます。しかしながら、こうした施設も、利用されなければその価値がないのであります。現在、施設の集積が進展している反面、欠落しているのは、こうした施設のソフト面での活用方策ではないでしょうか。建設前の運営計画の策定、企業経営感覚による積極的な営業活動、施設運営の民間委託や民間人の登用による積極的な運営、施設間の連携、観光面からのネットワーク化など、時代に合った運営方法のあり方が問われているのであります。今後、公立施設の建設に当たっては、こうした点に十分留意しながら取り組むことを要望しておきたいと思います。
 最後に、ややローカルな話題になりますが、九点目は三県の協力による新宮圏域の活性化についてであります。
 知事も選挙戦を通じて実感されたものと思いますが、紀南地域、特に新宮市・東牟婁地域は人口の流出・減少、高齢化、産業の低迷と二重、三重の苦しみに悩んでおり、地域住民は今悲痛な叫びを上げております。こうした急迫する事態を打開し、我が国有数の歴史を有する新宮圏域を活性化させるためには、熊野の名のもとに、同様の歴史的、文化的背景を有し、また同様の過疎問題に悩む三重県、奈良県の南部の隣接地域との連携、一体的な振興策を展開する必要があると思います。
 幸い、平成八年度には、三県知事による紀伊半島サミットが本県で開催されると聞いてございます。ぜひこのサミットにおいて、紀伊半島南部、熊野地域の一体的な開発・振興に三県が一致協力して具体的な目標、具体的な事業展開についての合意を得べく、知事から積極的な提案がなされることを強く希望するものであります。
 るる提案と質問をしてまいりましたが、すべての問題に共通して私の申し上げたいことがあります。それは、長期的なビジョンのもとにいかに短期間で結果を出していくかという一点にあります。県民は、プロセスでもなく計画でもなく、一つ一つの問題に明確な具体的な結果を出してくれることを何よりも待ち望んでいるのであります。今回の選挙を通じ、県民は西口知事の行動力、実行力に和歌山県の未来を託す選択をいたしました。そして今、その手腕を、その実行力を一つ一つの結果で評価しようと見詰めてございます。どうか、長期を見据えた短期決戦をモットーに初心を貫徹され、県民の大いなる期待にこたえられますことを心から祈念申し上げる次第であります。
 最後に、一言、県当局にお礼を申し上げたいと思います。
 去る十月一日夜十一時、突如、土砂崩れが新宮市を襲いました。死者三名、負傷者三名、家屋の全半壊九戸という、まさに大惨事でございました。現在、地元新宮市はもとより、県当局の献身的な努力によって、その復旧が急ピッチに進められてございます。被害者の悲しみや不安を思うとき、こうした迅速かつ積極的な対応は何にも増して心強く、まさに西口知事が取り組もうとする心通う県政が実証されたものであろうかと思います。改めてそのご努力に感謝を申し上げ、質問を終わらせていただきます。
 ご清聴、どうもありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 下川議員にお答えを申し上げたいと思います。
 県政の基本的な理念は何なのかということであります。
 開会冒頭にも申し上げましたように、県政の基本は、和歌山に住んでいるすべての人々が、どの地域にあっても、どんな立場にあっても、和歌山に住んでよかったと言えるような心温まる和歌山県を確立していくことが県政究極の目的であろうと考えておるわけであります。そういった意味で、常々申し上げておりますけれども、責任のある県政、心の通う県政、大胆で思い切った清新の県政ということを私の政治姿勢として今後懸命に進めてまいりたいと考えております。
 関西国際空港の開港あるいは高速道路の国土軸への直結などで、和歌山県が二十一世紀に向けて大きく飛躍する基礎的条件は整ってきております。また、心の豊かさが求められる時代に、本県の持つ自然、歴史、文化は、関西のみならず、世界の中でもこれから重要な位置を占めてくると思っております。
 ことしは戦後五十年でありますけれども、大きな変革期を迎えている今こそ、これからの新しい時代に向けて、時代の流れを的確にとらえ、社会、経済の変化に柔軟に対応していき、新しい飛躍を遂げていかなければならないという大変大事な時期であろうと思います。
 そのために、常に申し上げておりますけれども、単なる和歌山県内の議論に終わらせずに、関西、日本、さらには世界に視野を向けた大きな立場で和歌山のあり方を議論して、将来の方向を企画し、立案し、一つずつ実現をしていかなければならんと強く思っておるわけであります。そうすることによって、ふるさと和歌山の新時代をつくっていこうという考え方でございます。ただしかし、一番必要なことは、議会の皆さん方、県民の皆さん方が一緒に手を携えて和歌山を発展さそうという気持ちであり、このことが大変大事であり、緊急の課題であろうと思っております。
 次に、意欲と行動力あふれる県庁の実現ということであります。
 登庁時に私は、県庁を離れ、選挙期間中に県内各地をお訪ねしてさまざまな人々と対話を重ねてきた経験を通しての思いを申し上げさせていただいたわけであります。今、議員のご賛同をいただきまして、私の思いが県民の皆様方の期待されておることと合致しておるという確信を持たせていただくと同時に、この実現のために全力を挙げて頑張っていきたいという決意をさらに強くしたところであります。
 ご質問いただきました、鋭いアンテナを張りめぐらせた県庁の実現ということでありますが、このためには、何といっても職員全体の意識の改革が大変必要だと考えております。
 例えば、登庁日に全職員に申し上げたことでありますが、まずサービス、スピード、それからシャープさのある感性を養っていくということを目標にして努力していこうと訴えさせていただきました。
 また、ただいま国や県内市町村との人事交流をしておりますけれども、これからさらに人材の育成を図るために民間企業へ職員を派遣していきたい、そしてそういうことによって従来にも増して職員の能力開発に努めていきたいと考えております。
 組織機構の問題につきましては、さきに発表した新しい行政改革大綱に基づき、県民の視点に立って大幅な見直しを行い、県民のニーズに適合するわかりやすい体制を早急に整備いたしまして、意欲と行動力あふれる──私の表現でありますけれども、たくましい県庁に模様がえをしていきたいということを強く考えております。
 次に、議会と執行部との関係であります。
 これは先般も申し上げましたけれども、まさしく議会と執行部は県政推進の両輪でございます。また、互いの協力関係なくして県勢の発展はあり得ないわけでございます。
 下川議員のご質問のとおり、私も、建設的な議論を皆さんと真剣に重ねて、迅速に県政を進めてまいらなければならないと思っております。今後、皆さん方と良好で緊張感のある協調関係をしっかりと築いていきたいと考えております。
 次に、女性の登用の問題であります。
 女性の登用につきましては、だれもが住みやすい心豊かなふるさとづくり、また人と自然に優しい県政を進めていくためには、女性の感性、女性の立場からのご意見を十分に取り入れていく必要があろうかと思っております。そうした意味で、女性関連施策の充実というのは私の公約の重要な項目の一つであります。
 まず、県の基本方針や計画を審議する各種審議会あるいは委員会にできるだけ多くの女性に参画していただくために、各地域で活動されている、お話にございましたフレッシュな人材をぜひ把握して、現在、審議会等への女性委員の登用率は一〇%でありますが、平成十二年には三〇%に引き上げていくことを一つの目標としております。
 さらに、女性のご意見をお聞きして県政へ反映していくために、公募によるわかやま女性一〇〇人委員会を四月一日に設置いたしたいということで、今議会に準備経費をお願いしておるところでございます。
 また、女性の抱えるさまざまな問題につきまして、あらゆる分野で男女がともに個性を生かし合い、よく言われる言葉でありますけれども、男女共生社会の実現に向けての推進啓発などを行うと同時に、その拠点となる女性センターの整備、あるいは県の幹部職員への女性の登用等について今後積極的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、県民や各地域に希望を与える施策の実行というご質問であります。
 私は、県内各地を回らせていただく中で、さまざまな地域の状況なども見させていただき、いろんなご意見も承ってまいったわけでありますが、そのようなことを一つの経験にいたしまして、後援会活動の途中でありましたけれども、夢とロマンのある、やや長期的な展望を含めた百三十六の政策を提言させていただいたわけであります。和歌山の持っているいいところをもっとPRして、同時に足りないところをしっかりと補っていくという努力をし、県民に夢を与え、自信と誇りを持ってもらえるような県政を推進するために、考え方として必要ではないかと思っております。例えば、各地域、各分野にわたって本県のおくれている部分、また議員ご指摘のとおり、過疎化や高齢化といった大きな課題についても積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。
 次に、限られた予算の中での重点配分、集中投資ということであります。
 全くご指摘のとおりでございまして、全国的に地方財政が近年にない大変厳しい状況となっており、和歌山県においても税収が落ち込みを見せている中で大変厳しさを増しております。そういった中で県政の一層の活性化を図るためには、明確な目標の設定、あるいは財源の思い切った重点配分、さらには達成状況の県民の皆さんへの周知といったことが非常に重要であると考えております。
 議員お話しのように、私も、地元の県民の皆さん方にとってはそれが何省の仕事であろうと関係ないわけでありまして、できるだけ早く事業をやってほしいというのが率直な願いであろうと思います。そういったことから、例えば道路の問題につきましても、県内全体の道路交通網の整備計画を立てる中で、公共事業あるいは単独事業、さまざまな制度などをいかに計画的に組み合わせて重要路線としての集中投資を進めていくかということが県勢発展のためにも、地元の人たちのためにも不可欠な観点であろうと、そういう認識のもとに来年度予算編成を行っていきたいと考えております。
 次に、交通体系の整備についてであります。──少し長くなりますが、お許しをいただきたいと思います。
 総合的な交通体系の長期的な整備につきましては、高速道路の整備を促進するとともに、国道、県道、農道、林道等の道路網あるいは鉄道の整備によって県内各地を有機的に連絡する、おおむね二時間交通圏を確立することがこれからの施策の最も重要なことだと思いますので、強力に推進していきたいと考えてございます。
 まず、紀伊半島を横断する太平洋新国土軸でございますが、我が県の発展のためにもぜひとも必要なものであり、その効果を最大限に活用していく必要があろうかと思います。さらには、太平洋新国土軸を構成する紀淡連絡道路、京奈和自動車道は、私の提案する百万都市圏構想を実現するためにも重要な路線であります。
 また、高速道路の南伸でございますが、これは県民の長年の悲願であり、紀南地方の活性化のためにも欠かすことのできない重要な道路であります。湯浅御坊道路については、今年度末に供用される予定となってございます。御坊以南についても、御坊から南部の間で既に日本道路公団で事業を進めているところでございます。
 今後とも、あらゆる手法を取り入れながら、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に府県間道路の整備でございますが、これにつきましては、阪和開発連絡協議会の場においても大阪府に対して声を大にして推進をお願いしているところであり、今後とも調整を図りながら整備を進めてまいりたいと考えております。
 また、府県間を連絡する路線は複数ございますけれども、おのおのの路線がそれぞれの地域の活性化施策と密接に結びついてございます。重要な意味を持っておりますので、今後とも効率的で集中的な整備ができますように心がけてまいりたいと思います。
 内陸ルートの整備についてでございますけれども、現在、国道四百二十四号、県道龍神中辺路線、国道三百十一号等の通称・第二県土軸と呼んでいるルートを中心にして重点的な投資を図っていきたいと思います。
 また、近畿南北連携軸の一環として位置づけられている、新宮市から京阪神に至る新たな内陸幹線軸でございますけれども、新宮地方生活圏と京阪神都市圏との連携、交流を図る重要な路線であると認識をしているところであります。
 国道百六十八号につきましては、整備の促進を図っているところでございまして、さらに昨年十二月には五條新宮道路として地域高規格道路の指定を受けたところでございます。
 そのほか、災害時に国道四十二号等の代替ルートとなり得る路線に関し、農道、林道等の事業も取り入れてネットワークの形成に努めているところでございます。
 これらの道路整備を進めるに当たりましては、地方道路計画を策定するなどにより重点的、効率的な事業の進捗に努めるとともに、地域の特性も踏まえながら、質のよい道路整備に努めていきたいと考えてございます。
 鉄道の整備についてでありますが、今般、紀勢本線高速化事業を実施し、和歌山・新宮間で二十分程度の時間短縮を図る運びになりました。この高速化により、紀南地域の活性化がより一層図れるものと考えてございますが、今後、紀勢本線の効果的な輸送改善について政府要望などを行ったり、あるいは県内鉄道のさらなる利便性の向上を図るための取り組みを地元市町村などとともに行ってまいりたいと考えております。近く、JR西日本の井手社長との対談も予定しておりますので、その際にも強く要請をしていきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、私としては、本県にとって広域交通網の整備は最重点課題として受けとめてございますので、今後一層の努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、県立医科大学跡地の活用についてでございます。
 県立医科大学移転後の跡地の利活用につきましては、議員ご提言のように、単に県域レベルの発想にとどまることなく、まさしく国際都市和歌山として、従来の和歌山市のイメージを一新する都市空間の創造に結びつけるものでなければならないと考えてございます。
 したがいまして、関西国際空港に至近の県都であり、市中心部の歴史、景観に恵まれた地域であるということの立地条件を生かしまして、内外の人々の集いやにぎわいの場としての交流機能、さらには和歌山県の、あるいは和歌山市の経済・文化の情報発信基地としての機能を十分に発揮し得る複合型高度都市機能施設としての整備を図っていきたいと考えております。現在、そのために基礎調査を進めておりますけれども、来年度には各界の皆さん方からのご意見を承りながら、しっかりとした基本構想を策定していきたいと考えております。
 県庁舎の建設についてでございます。
 県庁舎建設についての運びといたしまして、現在の庁舎は、一番古い本庁舎が昭和十三年に建てられたもので、全体的に老朽化、狭隘化が進んでおります。また全国的に見ましても、近年、新庁舎への建てかえが進んでございます。本県においても将来的に建てかえの準備が必要であることは、私もかねがね考えておるところでございます。このために、ことしの三月には県議会のご同意を得て建設基金設置条例を改正し、初めて本格的な財源手当を行ったところでございます。
 今後とも、皆様方のご意見を十分に承りながら、本庁舎のみならず議会棟等のあり方も含めて、真剣な検討を重ねていきたいと考えてございます。
 最後に、三県の協力による新宮圏域の活性化の問題であります。
 紀南地域の実情につきましては、議員お話しのように、私も選挙戦を通じて身をもって痛いほど体験をいたしまして、その打開は緊急の課題であるという認識を持ってございます。その解決策の一環として、本県では紀伊半島の一層の振興を図るために三重県、奈良県と共同で紀伊地域半島振興計画を策定いたしまして、間もなく内閣総理大臣による承認がなされる予定でございます。本計画では、特に紀南地域の振興を図るために、三重県、奈良県との密接な連携を図りながら、紀伊半島を一体としてとらえた広域連携プロジェクトの検討を行うこととしております。
 なお、来年三県共同で開催を予定している紀伊半島知事会議におきまして、議員ご提言の紀南地域の振興方策について積極的に提案をしていきたいと考えております。
 また、中長期的な視点から紀伊半島の振興方策を明らかにするために紀伊半島振興ビジョンを三県共同で策定いたしまして、熊野地域を含めた半島振興のための戦略プロジェクトの具体化を図ってまいりたいと考えております。
 以上で答弁を終わりますが、最後にお話がございましたように、県民はできるだけ早く実行することを強く期待されておりますので、大胆で思い切った県政に向かって全力を挙げて頑張ってまいりたいと思います。今後とも皆さん方のご支援をお願い申し上げて、答弁を終わります。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で下川俊樹君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番中村裕一君。
 〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 開政クラブを代表して順次ご質問を申し上げてまいりますが、まず最初に西口県政の一員として結束してご支援申し上げてまいりますことを表明し、そして西口知事の人格と識見による県勢の発展が和歌山県の大きな飛躍となりますことを心から期待するものであります。
 さて、本年は、選挙が多いだけでなく、昨年成立した政治改革法が施行された、歴史的に重要な年でもありました。従来の義理人情の頼まれ合いの選挙ではなく、候補者の人柄や能力はもちろん、どのような政策を訴えているのか、所属する政党の掲げる目的や政策はどういうものか、政策を中心に見て投票行動を決めようというのが趣旨で、一歩前進の感がありました。
 しかしながら、昨今の選挙動静の一つとして、一位当選者の得票数よりも投票に行かない人の方が多いことが実によくあります。選挙のたびに、投票率がなぜ低いかという議論がよく行われますが、投票に行かない人の理由は皆人それぞれで、大切なことは、投票に行かない人は総じて選挙に関心がないばかりでなく政治にも関心がないということです。
 世の中のおよそ大切なことは政治が決めるわけですが、それにもかかわらず関心や意識がないということは、国民を引きつける政策がないとも言えるでしょうし、公約した政策を本当にやってくれるのかという不安や政治家そのものへの不信もあるでしょう。一方、鼓腹撃壤の世の中に近づいたとも言えるでしょう。また、根本的な問題として、教育とマスコミの問題もあります。実にさまざまな理由があると考えられます。しかし、国民がもう一度政治に関心を示し、期待を寄せるようにするためには、戦争が起きるか、革命が起きるか、さもなくば、非常に遠い道のりではありますが、政治家一人一人がそれぞれの立場で頑張って積み上げていくしかないのであります。
 西口知事は、この一年余、一人の県民として県下各地を駆けめぐり、多くの県民の皆さんと交わり、地域の実情を見、県政に対する思いを聞いてこられました。そして、知事として何をすべきかという熱い思いを積み重ねてこられました。選挙ではまさにその姿勢が多くの県民の皆さんの共鳴を呼んだのであります。どうか今後とも、その姿勢をぜひとも貫き通していただきたい、そして直接県民に語りかけることを心がけていただきたいのです。それは、アメリカ大統領のように、ゴールデンタイムのテレビを借り切ってのテレビ対話であってもよいと思います。要するに、西口知事の顔の見える県政の運営をぜひともお願いしたいのであります。
 次に、今回の知事選を通じ、県、市町村、県民の関係を明らかにし、はっきりと役割分担をしなければと感じました。例えば、下水道の普及率についての議論がありました。本県の下水道普及率は、確かに全国最下位にあります。そのため、選挙戦では、県が悪い、知事が何もしないと言われました。しかし法律では、下水道も含めた国民の生活排水の処理は市町村長がやることとなっております。知事に責任なしとは言いませんが、いつの間にか知事や県の責任にされてしまっているのであります。道路の整備についても、同様のことが言われました。毎年一千億円ほども道路整備に投じているのに、なぜおくれるのか。用地買収に時間がかかるからではありませんか。
 最近、何かうまくいかないことがあると、すぐに政治や上部の行政の責任にしてしまう風潮があります。それゆえ、この際、責任の所在を明確にする必要があると思います。下水道のような混乱が起きないようにするためには、県と市町村の役割を明確にし、フランスのように市町村の状況を数値化し、総合点で評価してはどうかと思います。そうすれば、県下の状況がつぶさに把握でき、対応もしやすくなりますし、最大のサービス産業である行政に競争が導入され、二重の効果を生むのではないでしょうか。
 一方、J・F・ケネディの大統領就任演説のごとく、西口知事には、「県民の県が県民のために何をなし得るかを問いたまうな。県民が県民の県に何をなし得るかを問いたまえ」と、勇気を持っておっしゃっていただきたいと思います。たちまち事業化する紀勢線高速化において、利用者としてだけでなく、県民としての負担を求めていかなければなりません。まさに、そういう意味での県、市町村、県民の新たな関係を築いていっていただくことを強く希望いたします。
 次に、防災計画について伺います。
 本年一月の阪神・淡路大震災は、科学技術の発達した今日でも、しかも日本のような先進国でも大きな災害が起きることを改めて思い知らされました。自然の巨大な営みの前には人は余りにも微力で、五千名を超える犠牲者と莫大な被害を前にして、果たして政治とは一体何だったのかを問いかけました。しかしながら、春のオウム事件以来、世は移ろいやすく、早くも一年もしないうちに震災はどこかへ行ってしまいました。オウム事件の解明も大切ですが、地震対策の方がはるかに大切であります。「のど元過ぎれば熱さを忘れる」のごとく、かつての南海地震の貴重な教訓を私たちはまだ生かし得ていないことを承知すべきであります。特に我々政治や行政に携わる者が地震のことを理解し、あらかじめ対応しておけば、多くの人命が救われ、大きな損失を生まなくて済むことを自覚しておかなければなりません。
 本県では、震災直後から救援活動を助け、早い時期に地域防災計画の見直しに着手しました。そこで、ただいままでどの程度見直し作業が進んだのか、同時に新たな施策としてどのようなものが必要となってきたか、また市町村における取り組みはどうなっているのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
 日高港につきましては、昭和五十八年の重要港湾昇格以来、事業化の課題であった市の負担金の軽減、埋立造成の事業主体の二点について、国、県、御坊市の間で調整の結果、合意に達し、残る漁業者の同意についても、同意が必要な三漁協のうち二漁協の同意が得られ、唯一の障害は三尾漁協の同意のみとなりました。日高港整備の地元要望が出てはや二十数年、我が国の産業構造は大きく変化し、臨海開発のあり方も変わってしまいましたが、海運貨物の取扱量は依然増加しており、近年のモーダルシフトやテクノスーパーライナーの導入も相まって、今後とも海運の重要性はいささかも衰えることがないと予測されます。
 また、六百二十キロ余の長い海岸線を持つ半島県の本県にとって、海の活用こそ生きる道で、水産資源やレクリエーションの場としてだけでなく他県にまさる海上交通の要所として、歴史的にも栄えてまいりました。西口県政の幕あけに際し、長年日高港整備の必要性を唱え続けてきた者として、知事の日高港に対してのお考え、お取り組みの姿勢をお聞かせいただきたいのであります。
 また、本年度に法期限が延長され、さらなる充実が図られた輸入促進地域の指定に向け、ただいま調査をしていただいておりますが、どのような方向に進められるのか、お答えいただきたいと思います。
 次に、ただいまの輸入促進地域にも関連しますが、本県経済の国際化について伺います。
 昨今、我が国の外交と申しますと、半分ぐらいは経済問題で、その中心は、貿易黒字をいかに減らすかというのが火急の課題となっております。しかし、今やかつてのような舶来志向は一部のブランドを除いてほとんどなくなり、国産がよいとの認識は多くの国民の間で常識となっております。それゆえ、何か物を買って黒字を減らすということはもはや困難で、これからは投資を直接受け入れることによって黒字を減らしていかなければならない状況に立ち至っております。
 既に世界経済は投資交流を活発化させており、日本を除く東アジアは、投資の受け入れ地域としてだけでなく直接投資の出し手としても成長してきていると言われております。ところが、ひとり日本の直接投資の受け入れは相変わらず低調で、今こそ国、地方挙げての取り組みが求められているのであります。もっとも、私たち地方自治体の場合、金融市場や株式市場を持ち合わせておりませんから、直接投資は専ら外資系企業の誘致ということになりますが、国内企業の投資意欲が低い最近の景気を考えれば、外資系企業に目を向けるのは、むしろ順当だと言えます。その誘致先として、京阪神という大都会を控え、関西空港にも至近距離にあり、自然に恵まれ、温暖な我が和歌山県こそ適地だと思います。そして幸いなことに、よそではまだ余り取り組んでいませんから、この際、先手必勝で、まず実績を積むことから始めるべきだと思います。もちろん、乗り越えなければならないハードルは数多くありますが、断然やりがいのある、和歌山県の進むべき新しい道だと考えます。
 実は、先日、人工島の視察で訪米した際、お世話になった方のご婦人の会社が日本へ進出したがっているという話を伺い、帰国後、早速パンフレットを送りました。私でさえ、これぐらいのことができるのです。
 先般、友好提携を結んだフロリダ州は、八つの海外事務所を持ち、日系企業だけでも八十社余り誘致した実績があります。本県では、明年にも香港に事務所を開設し、いよいよ海外に目を向けていこうということですが、ぜひともその心意気を聞かせていただきたいと思います。
 次に、情報化社会への対応について伺います。
 最近、人込みの中で突然ピピッと電子音が鳴り出すと、ああ自分に電話がかかってきたのかと思い、慌てて携帯電話を取り出すと自分ではなく、それではだれかとあたりを見渡しますと、同じようなことをしている人が必ずいるものであります。もはや、私たちは情報化社会に入ってしまった感があります。しばらくすれば、高校生もPHSを持つ時代になるでしょう。
 しかしながら、先日、御坊JCの若い人から、「先生、情報ハイウエーも高速道路と同じで、半島が出っ張っているからつくのが遅くなるらしいですよ。そうならんように頑張ってよ」と、気になる指摘を受けました。残念ながら我が県は、半島なるがゆえに道路も鉄道もおくれてきた苦い経験を持ちます。したがって、今度の情報網こそおくれをとらない、むしろ一歩進んで他県よりも早くやり遂げねばと思います。
 さきに充実延長された半島振興法に新たに加わった「情報基盤の整備」とは、果たしていかなるものか、そしてどのように取り組まれるのか、また基盤整備の中心と目される光ファイバー網の整備状況と今後の計画はどうなっているのか。まず手始めに携帯電話やパーソナルハンディーホンの通話可能地域を広げるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 一方、情報網の末端にあるコンピューターは、最近ではどこの事業所でも見かけるようになり、既に私たちの日常生活の隅々にまで浸透しております。子供の遊ぶファミコンは月ロケット打ち上げのコンピューターの数百倍の能力を持つそうですし、町にはパソコン通信を楽しむ喫茶店まで出現しております。にもかかわらず、私を含めて、関心を示しつつもワープロすら打てない人も案外多いものです。世代がかわらなければ仕方がないのかもしれませんが、パソコン教室のような、かかわり合える場所が少ないことも事実であります。社会教育、生涯教育という観点からもさらに必要性が高まってまいりますが、いかがお考えでしょうか、お答えいただきたいと思います。
 次に、総合学科について伺います。
 大方の県会議員は、年中行事のように、毎年秋になると中学校のPTAから陳情を受けます。その内容は決まって高校の定数のことで、必ず、ふやせか減らすなであります。そのたびに私は、定数も大事ですが中身も議論しましょうよと言い続けてまいりました。ところが、相手の役員さんは毎年かわり、いつまでたっても、十五の春を泣かすなとしかおっしゃいません。私は、じゃ、後からは泣いてもいいのかと申し上げたい。現実に中退者は後を絶ちません。就職シーズンともなれば、我々のところには履歴書の山ができます。
 私が受験生の二十年よりもっと前から何ら変わることなく、中学の成績で進む高校、進む学科がほぼ自動的に決まってしまうシステムがあります。そして、一生の進む道が限定されてしまうのであります。不幸なことに、県内のほとんどの地域では、選ぶべき高校の数がもともと少ない上に、途中からの変更はなかなかききません。
 以前、地元の御坊商工を訪れ、校長より中退者の数を告げられ、その多さに驚いたものですが、その学科が好きで入ったわけでないのに、さあ勉強しろと言われてもなかなかできるものではない、このままではだめだ、何とかしなければと思いました。
 幸い本県では、昨年、仮谷知事、西川教育長のご英断、教育委員会の熱心なお取り組みで、和歌山高校が総合学科の高校に生まれ変わりました。まさにこれだと思いましたが、開設以来一年余が経過した現在、どのような評価が得られたのか、またそれを受けて今後どのように展開されるか、あわせてお答え願います。
 最後に、御坊市営島団地について伺います。
 御坊市では、昭和四十四年の同和対策特別措置法の施行以来二十六年間にわたり、六百十三億円余の予算をもって同和問題の完全解決のため取り組んでまいりました。その結果、ハード面ではかなりの部分が改善し、大いなる効果を上げたところであります。しかしながら、公営住宅、改良住宅の建てかえは一般対策となるため、島団地の建てかえは、とうとう最後まで残ってしまいました。そこで、御坊市では平成四年に島団地対策室を設置し、官民挙げての努力をし、ようやく総事業費六十数億円の近代的な町として生まれ変わるべく計画が立案され、柏木市長の英断により、いよいよ来年度から順次計画的に建てかえに着手することになりました。既に国、県においては一方ならぬご支援をいただいておりますが、今後、事業実施に当たって県としてどのような応援ができるのか、御坊市における同和事業のハード面の詰めとしてどのようにお考えでしょうか。
 以上、積極的なご答弁を期待いたしまして、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 中村裕一議員にお答えをいたします。
 議員ご指摘のように、最近の選挙における投票率の低下は大変著しいものがございます。また、政治に対する関心が低いというのも、その大きな要因であろうかと思っております。
 私も一年余り県内を駆けめぐり、多くの方々とお会いをしてまいりましたが、県内は広く、県民の皆さんの思いは地域の実情や環境によってさまざまでございました。しかし、県政の新たな飛躍発展に寄せる期待は、どこへ行っても大変大きなものがございました。その意味におきまして、県政に対する関心は非常に高いと実感をいたしております。こうした県民の皆さんの声をお聞きするとともに、一方では知事自身がラジオ、テレビなどマスメディアを通じて県の考えをよくお伝えすることが必要である、つまりこれが議員ご質問の、知事の顔の見える県政であろうかと考えてございます。私が提案している、風通しのよい開かれた県政であろうと思います。
 今後とも、開かれた県政の実現に努力をいたしまして、議会の皆様方のご指導とご協力を賜りながら、県民の皆様にとってわかりやすい県政を推進してまいりたいと考えております。
 さらに、県とは何かということでございます。
 県と市町村の責任や役割分担につきましては、地方自治法等によって明確に位置づけられておるところでございます。それに基づいて、各市町村が独自に創意と工夫を凝らした個性ある地域づくりを進めているところでございまして、県といたしましても、必要に応じて調整、支援、指導などを行い、市町村と協力して和歌山県の発展に向かって取り組んでいるところでございます。
 議員ご質問の市町村事業の数値化につきましては、これまでも統計的なデータも含めて、主要なものについては実施しているところでございますけれども、ご質問のご趣旨を十分踏まえ、県あるいは市町村が何を行っているのか、何を行うべきなのかを県民の皆さんに明らかにしてまいりたいと考えてございます。また、事業を実施するに際しましては、個々の事業についての趣旨を十分ご理解いただき、ご協力いただけるよう努力をしてまいりたいと考えております。
 議員お話しのように、県民が県に何ができるのかということでございます。ドイツのベルノという人の言葉に「国政は帆であり、国民は風である」という言葉があるようでございます。言いかえますと、「県政は帆であり、県民は風である」──船の上に立てた帆でスムーズに進むことができるのは一にかかって県民の皆さん方が強い風を送ってくれるからであり、その風を送っていただきたいという意味だと思います。そういうこともお願い申し上げて、中村議員のご趣旨にお答えをするわけであります。
 次に、日高港の現状と今後の取り組みについてでございます。
 日高港は、紀伊水道の入り口に位置するという有利な立地条件を生かしながら、高速道路の南伸とも連係をさせて、新たな物流の拠点及び産業立地の拠点形成を目指すものでございまして、御坊・日高地域はもとより、県勢の飛躍発展を図る上でも重要なプロジェクトであろうと思っております。
 私も、日高港整備の経緯については十分承知をしておるところであり、今後漁業権者の同意を得るべく交渉しているところでありますが、まだ一部の漁業組合の同意が得られませんで、大変困難をきわめております。しかし県としては、本事業の重要性、緊急性にはいささかも変化はないと認識をしておりまして、今後とも引き続き関係者の理解を得るように努力をしてまいりたいと考えております。
 最後に、御坊市の島団地についてでございます。
 島団地の建てかえ事業につきましては、大変大規模な事業でもありますので、関係部局に対して地元御坊市と十分協議をするように伝えているところでありますが、今後国に対しても、所要国費獲得のために全力を注いで町づくりの円滑な推進が図れるよう努力を重ねてまいりたいと思っております。詳細については、土木部長から答弁をいたします。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 副知事梅田善彦君。
 〔梅田善彦君、登壇〕
○副知事(梅田善彦君) 中村議員にお答えを申し上げます。
 地域防災計画の見直しと防災対策の進捗状況についてでございますが、去る二月議会において議員に答弁した十項目を中心にいたしまして、県防災会議の意見も踏まえ、現在、市町村とも一体となって見直しを行っているところでございます。
 これまでの成果といたしましては、順次申し上げますが、まず今回の大震災にかんがみ、直下型地震等地震被害の予測及び復旧対策のシステムの開発に取り組んでございます。また、既に気象衛星「ひまわり」からの津波情報等を直接受信できるシステムの導入を始めました。県下各地への震度計の増設、防災ヘリコプターの購入及び県警ヘリコプターへのテレビシステムの整備を図るなど、迅速かつ広域的な被害状況の把握とその対応を行うことにいたしてございます。
 次に、公共施設の耐震調査につきましては、警察本部庁舎及び県立高校をモデル的に耐震診断を実施するとともに、今後も計画的に他の施設についても診断を実施していくこととしております。また、道路、河川、港湾、ため池等、危険箇所の点検を実施しているところでございまして、緊急に整備を要する橋梁等については既に取りかかっているところでございます。
 次に、県民の防災意識の向上を図るため、「県民の友」特集号、講演会などを通じて防災啓発に努めるとともに、自治会等を主体とした地域あるいは企業等の自主防災組織の確立に取り組んでいるところでございます。
 さらに、備蓄物資につきましても、毛布、シートあるいは食料品等を追加備蓄することとしたところでございます。
 次に防災訓練でございますが、本年実施した県総合防災訓練は、従来のやり方と変えまして、地震発生後のあらゆる事態を想定し、可能な限りリアルに実施したところでございます。
 また、先日、滋賀県において行われた近畿合同防災訓練では、さまざまな取り組みがなされ、各府県の連携が図られるなど、多くの成果が上がったところでございます。今後は、広域応援体制の整備を図るため、自衛隊との連携をより一層強化いたしますとともに、県下市町村による相互応援協定及び近畿ブロックの広域的な相互応援協定等について、今年度中に締結することといたしております。さらに全国的には、本県も参加して警察と消防の緊急援助隊が設置され、広域の応援活動を展開していくこととなっております。
 また、問題となった初動体制の確立につきましては、指揮命令系統の明確化と、特に初動時の緊急要員確保及び情報の収集、伝達機能の複数化等、通信手段の一層の拡充を図るべく、検討を鋭意進めているところでございます。
 最後に、医療・衛生面の対応につきましては、広域的な応援体制や救護体制の拡充等、ネットワークの整備を目指して、具体的な対応について取り組んでまいりたいと考えております。
 現在の見直し状況については以上のとおりでございますが、今後とも専門家の意見も聞きながら関係機関と協議して、災害に強い町づくりを目標に、地域防災計画の見直しをさらに進めてまいりたいと考えております。
 市町村の問題につきましては、総務部長からお答えを申し上げます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 震災後の県下市町村における地域防災計画の見直し状況でございますが、去る六月に市町村防災担当課長会議を開催いたしまして、初動時の対応を中心に、被害状況の把握、避難経路、避難場所の再検討、また救援物資、備蓄物資の集積場所や輸送ルートの確保、被害想定の作成や危険箇所の再チェック、防災訓練の実施や自主防災組織の育成等々、十七項目にわたって見直しの指導を行ったところでございます。その後三カ月たちまして、去る九月に県の方で調査いたしましたところ、県下五十市町村のうち、平成七年度中に三十八市町村が見直しを行い、残り十二市町村についても県の見直し結果を待って着手するということになっております。
 このような調査結果を受けまして、県としてはこの十二月四日に再度市町村の担当課長会議を開き、見直しを急ぐよう指示したところでございますが、この問題の重要性、そしてまた緊急性にかんがみ、今後とも全市町村の防災計画の見直し達成に向け、鋭意指導してまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 中村議員にお答えいたします。
 まず、日高港の推進に関連して、輸入促進地域の指定をすべきとのご質問についてでございます。
 輸入促進法は、輸入の促進、輸入品に係る物流取引活動の一層の円滑化を図る目的で、平成四年に時限立法として制定された法律でございます。現在、輸入促進法に基づく輸入促進地域は全国で十八カ所指定されており、さらに本年十一月には十年間の延長がなされたところでございます。
 日高港の外貿機能整備のためにも輸入促進法の適用は検討課題であると考えておりまして、関係部局と連携しつつ、地域指定の可能性などについて現在調査を進めているところでございます。
 次に、島団地についてでございます。
 島団地につきましては、御坊市において、昭和三十五年から四十四年にかけて、地区の住環境整備を図るため住宅地区改良事業等を実施し、百六十戸の改良住宅と六十六戸の公営住宅を建設し、現在に至っております。これら住宅は建設年度が古く、狭小であり、設備等も老朽化し、住環境も悪化しているのが現状でございまして、この対策がぜひとも必要になってまいりました。このため、県といたしましても、今日まで事業の方針や今後の進め方等について市とたび重なる協議を行い、また国とも協議を進めてきたところでございます。
 市におきましては、この間の平成四年四月に島団地対策室を新設し、地区住民との話し合いの機会を持ち、相互理解を深められてきたところでございます。この結果、市は平成七年五月に建てかえ事業で団地の再生を図ることを公表するとともに、現在、住民参加によって十五から三十世帯のグループごとの討議を進めておりまして、これらも含め、七年度末でマスタープランの策定を完了させ、全体計画を明らかにさせることとしております。
 さらに、島団地の建てかえには、新たな建設用地の確保が急務でございます。そのため、八年度に用地取得費等について国に要望しているところでございます。今後とも、その整備に地元御坊市とともに全力を尽くして努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 経済の国際化へ向けてどのように取り組むかについてお答えします。
 外資系企業の誘致につきましては、これまでも英文パンフレット等を作成するなど誘致活動を行っており、既にスイスの企業の誘致をしているところでございます。ところが、その後、地価の高騰等により、外資系企業の誘致は難しい状況となってまいりました。しかし、昨年の関西国際空港の開港や経済環境の大きな国際化に対応するため、本県も本格的に外資系企業の誘致に取り組んでまいりたいと考えてございます。このため、まず外資系企業の和歌山県への立地の可能性、和歌山県に対する知識度等の情報収集を行う必要があり、平成七年度事業で外国企業の対日投資を支援するために専門機関に調査を委託してございます。まだ中間調査の段階ではございますが、和歌山県に関心がある企業も数社ございますので、積極的にアプローチしたいと考えてございます。
 また、和歌山県への評価といたしましては関西国際空港に近いこと等を挙げており、一方、より一層の交通体系の整備や外国人にもわかる和歌山のPRが求められてございます。
 今後は、英文等による新しいPR用パンフレットの作成や和歌山県投資ハンドブックのような基礎資料により情報発信に努め、優良な外資系企業の誘致のため、引き続き積極的な努力を行う所存でございます。
 また、県内企業におきましても、アジアを中心に、多数の企業が活発な海外展開を行ってございます。そこで、県内企業の振興のためにもこのような国際的な企業活動を積極的に支援することが重要であると考え、さきの九月議会において予算化した県経済国際化支援事業により、海外での情報拠点の設置の可能性を探るため、現在、職員がアジアの拠点都市である香港で調査中でございます。
 今後、この調査結果を踏まえ、設置に向けて具体的に検討してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 中村議員ご質問の、半島振興法に加わった「情報基盤の整備」についてでありますが、半島地域の地理的制約を緩和し、今後、産業活動の高度化や生活環境の向上を図るため、半島振興計画に基づき、黒潮ネットワークの機能強化、広域圏に散在する観光・産業資源等をネットワークを通じて有機的に連結する地域プロジェクトの整備拡充を図ることとしてございます。
 また、医療、防災、教育・文化などの分野における高度情報通信システムの整備などを進め、さらに電気通信事業者と連携して移動体通信の整備を推進することとしてございます。
 今後とも、紀伊半島地域がその地理的制約を超えて地域が持つ潜在的な魅力を最大限に発揮できるよう、情報基盤の整備に積極的に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、光ファイバー網の整備状況及び計画についてでございますが、県域の整備につきましては、都市部について平成三年度に整備が完了し、他の地域においても西暦二〇〇〇年を目途に順次取り組まれ、整備の状況は順調に推移していると聞いてございます。今後とも、電気通信事業者と連絡会などを開催し、情報交換や整備要請を行ってまいりたいと考えてございます。
 携帯電話についてでございますが、現在、県内で携帯電話や自動車電話の通信可能なエリアは、国道四十二号沿線及び国道二十四号沿線となってございます。
 議員ご質問の、全県下で通話を可能にすることにつきましては、本来事業者が実施すべきところでありますが、採算性等の観点から事業者が進出しにくい過疎地域等については郵政省に電気通信格差是正事業の補助制度があり、事業者の負担を得ながら、市町村が主体となって移動通信用の鉄塔設備等を整備することが可能となってございます。平成六年度においては高野町がこの補助事業を実施し、高野山内を中心に、全世帯のうち千四百九十八世帯、約六五%が通信可能となってございます。
 今後も、電気通信事業者にエリア拡大の要請を引き続き行うとともに、関係市町村と十分協議しながら積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、パーソナルハンディーホンについてでございますが、高度情報通信に対応できることや価格が安価であることなど、従来の通信機に比較してすぐれた特性も見られますが、携帯電話との通話ができない、高速での移動通信ができない等の制約もあります。
 現在、エリアは、都市部の業務集積地域や地下街など、利用者の多い地域から整備が進められており、本県では和歌山市の一部となっておりますので、この拡大については事業者に要請してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育に係る二点についてお答えいたします。
 まず、パソコン教室の開設についてでございますが、近年の情報化社会に対応していくためには、広く県民にパソコン等の活用の促進、操作技術の向上を図る場や機会を提供することが重要であると考えます。
 教育委員会といたしましては、県立図書館・文化情報センターにおいて、視聴覚教育指導者研修会や一般県民を対象としたパソコン講座を開設しているほか、県立学校を開放するコミュニティースクールにおいても、今年度は九校でこうした講座を開設してございます。また、二十五の市町村におきまして、公民館等の社会教育施設でパソコン教室が開設されている状況であります。
 今後、一層パソコンの活用が必要となることから、市町村との連携協力を図り、講座の拡充や指導者の養成に努めてまいる所存であります。
 次に総合学科についてでございますが、平成六年四月、全国に先駆けて設置した和歌山高校の総合学科におきましては、生徒が自分の興味、関心や将来の進路希望に合わせ、百二十科目にも及ぶ選択科目群から自主的に科目を選び、学習しているところであります。このように、生徒が目的意識を持って意欲的に学習に取り組んでおり、学校は活気に満ち、また生徒の問題行動や中途退学の数も大幅に減少しております。本年度の推薦入試におきましては、募集定員の一・七倍を超える志願者があり、高い人気を得ております。
 また、これまでに他府県から三百件を超える見学があり、全国的な注目を集めるとともに、全国の総合学科のモデルとなり、文部省からも高く評価されているところであります。
 さらに、去る十一月に開催された第五回全国産業教育フェア和歌山大会では、生徒がインターネットを通じてアメリカのゴア副大統領からメッセージを受け取り、総合開会式で発表いたしました。こうした生徒の意欲的な取り組みは、全国から集まった多くの方々の注目を集めているところであります。
 現在、国においては総合学科の設置拡充を打ち出しているところであり、教育委員会といたしましても、和歌山高校の成果を踏まえ、全県的な視野から今後の総合学科の設置について検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十二分休憩
 ─────────────────────
 午後一時五分再開
○副議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中山 豊君。
 〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長のお許しを得て、質問をさせていただきます。
 国道三百七十号海南市領域、特に重根地区内の計画についてお尋ねいたします。
 三百七十号の整備について、野電廃線に伴ってその必要が緊急性を帯びてきたこと、さらに霊峰高野山へのアクセス道路として、関西空港開港に関連して高速自動車道海南東インターから上る幹線道と位置づけられ、その要求が高くなっていることから、六月議会及び九月議会と連続して取り上げ、整備促進方を求めてきたところであります。
 六月議会では、阪井地区内の軌道敷利用はあくまで暫定的な措置であり、現道整備は困難としてバイパスを基本に考えていくとのことでした。九月議会では、野上・美里区間の整備構想を示されるよう求め、この路線の整備に係る基本的な考え方を明らかにしていただきました。
 そこで今議会では、残る区域すなわち海南市領内の重根地区内のことについてどうなさるのかを求めたいと思います。
 この地域は、重根土地区画整理事業で取り組まれ、ある時期は前に進まず、後ろにも下がれずという状態になったようですけれども、ようやく来年半ばごろには仮換地指定をしたいというところまで進めておられるようであります。もちろん、三百七十号の現道整備をということになるのであろうけれども、この事業の進捗過程で三百七十号のこの地区内における法線のとり方によって大きな変更を余儀なくされることは起こりはしないかということであります。まずもって、基本的なお考えをお示し願いたいと思います。
 六月議会で阪井地区間の整備についてお聞きしたときの土木部長答弁、またこの事業に国庫補助及び県支出金を出してきているという立場からの国道の整備、組合施行であるとはいえ重根土地区画整理事業にかかわって、ここの法線のとり方が阪井地区内のバイパス法線のとり方にも大きく関連してくることなどをご指摘申し上げながら、この区間における三百七十号の整備のあり方についてお聞かせ願いたいと思います。
 特に先ほど申し上げたように、組合施行とはいえ、国庫補助金及び県支出金等をかなり支出してきていることからの国道整備を考えるときに、組合施行ということでただ単に見ているだけではなくて、県当局の大きな指導とかなり強力なかかわり合いを示しながら、これについてのお考えをお尋ね申し上げたいと思います。
 次に、県道岩出海南線の整備についてであります。
 これについて六月議会で申し上げたところ、土木部長は、海南市は鉄道高架事業や築地阪井線の整備工事に取り組まれている状況なので協議をしていくと申されました。海南市当局の状況をおもんぱかっての答弁と受けとめさせていただきました。しかし、この県道整備は、今直ちにとはいかなくても、基本的な方向として漆器商業団地内を東西に通す計画街路黒江且来線に代替して整備すべきだという考え方を強く主張しながら答弁を求めたところであります。且来、小野田地区内の住宅団地の造成、及びインテリジェントパークからの北側へのアクセス等から考えても必要な路線だと求められているのであります。重ねて申しますが、今直ちにとは申しませんけれども、基本的なお考えをお示し願いたいと思います。
 次に、農業、農政についてであります。
 そのうちの桃対策についてであります。
 ことしは、和歌山県の桃の産地の全域にせん孔細菌病が発生し、大きな被害を受けました。県は、桃せん孔病緊急対策特別資金の貸付事業をいち早く起こされました。生産者の痛手をいやそうとの取り組みをなされているところですけれども、実態把握に努めた結果に基づき、生産者の声を当局に反映させるために、以下の質問をさせていただきます。
 せん孔細菌病対策で今日まで決め手となる対策が確立していないようなので、果樹園芸試験場等の関係機関によって科学的調査と研究に当たられてはどうかということをお尋ねしたいわけであります。
 雨風に当たるところに大発生が見られるということから、防風ネットを設置しようと試みられているけれども、その効果についてさまざまな評価があります。生産地の特定の箇所で試行的に防風ネットを設置し、科学的調査をして効果的措置を割り出されてはいかがかということを申し上げたいわけであります。防風ネットの効果が顕著であれば大いなる貢献であります。
 昨年の干ばつにより樹勢が衰え、弱り目にたたり目というか異常発生したものであります。樹勢を衰弱させないようにしながら、かん水施設、土壌の改良、敷きわらなどをして根を守るなど、農業者の園芸指導とその対策を進められる広報活動に支援を送られたいとの要求もありますけれども、それらについてのご答弁をお願いしたいと思います。
 決定的効果の期待できる薬剤開発がまだされていないようであります。関係機関に研究開発されるよう働きかけられ、そのためのプロジェクトチームを設けてはいかがかとただしたいのであります。
 次に、ミカン対策についてであります。
 一連のかんきつ及びかんきつ果汁製品の自由化措置により、深刻な影響を受けているわけであります。さらに、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意による関税率の引き下げ等によりミカン農業者に大きな打撃となりつつある上に、消費者の高品質果実志向を背景にコスト低減、高品質果実の安定生産が求められております。それに対応するべく、政府はウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱を決定されているけれども、勉強不足も手伝ってか、和歌山県ではどうなっているのか皆目わからないわけであります。政府の総事業費六兆百億円から成る対策費、果樹関係だけで七百五十億円とのことですけれども、県段階でどのように具体化されようとしているのか、予定されている関連果樹対策はいろいろあろうけれども、具体的に次のことをお聞きしたいと思います。
 ミカン栽培作業中、最も重労働とされる夏場の薬剤散布の省力化としての多目的スプリンクラー、及び樹園地整備のための園内道の設置などが最も農業者の求めているところだと思います。ある県のことですが、工事費及び材料費の六○%のうち県が五○%、市町が一○%の補助をするとの具体的施策を打ち出されているということも聞き及んでおります。目に見える施策、しかも農業者が真に求めている施策、そして使いやすい施策の具体化を求めたいと思います。ご答弁をお願いします。
 次に、米作減反と農地を守ることについて。
 これは、この課題が余りにも深刻で大き過ぎ、国の施策ともかかわっていることから直ちに答弁は求めませんけれども、問題提起をさせてもらうつもりで述べたいと思います。
 政府は一九九五年農業センサスを発表したけれども、九○年の調査に比べ一○・四%の農家数の減少という、過去最大の落ち込み幅を記録したとのことであります。これをまつまでもなく農家数の減少、すなわち農地の減少に連動していきますけれども、特にこのたびは米作生産調整の名で進められている減反に問題ありとして、以下述べたいと思います。
 来年度の減反割り当て──配当面積とでも言うんでしょうか──が県下自治体に割り当て配当されようと段取りされているようですけれども、割り当て面積の達成状況を見ながら、割り当て面積と放置田──遊休農地ですね──面積の相関関係はどうなっているのかということ、あるいはまた放置田対策として各農業委員会がとられている措置は、農地法の不備欠陥とでも言うのでしょうか、そのあたりを巧みについた開発業者のやり方が余りにも目につくところであります。それが農業破壊に通ずることを指摘しておきたいわけであります。
 例えば、自治体の農業委員会に転作をするのだと言って認可を取り開発をする、その開発の過程で河川を埋め立てる、その上を耕作機を通す、さらには産業廃棄物のようなものを持ち込んできて下草に入れて土をかぶせる、水田から梅をつくる畑に変えるのだということだけれども、地域の人たちが見て、とてもじゃないけれどもそういうふうなものではない、形状からしても内容からしても、これは大型開発ではないかという疑わしい状況であります。これらについてあれこれ指摘してみても、河川の管理については管理責任を問われるところで指摘されて回復される、廃棄物が運ばれてきて埋め立てられていることを指摘したら保健所等を通じてチェックされる、しかし水田が畑地に変えられるという開発行為はどこのチェックもされないということであります。あげくの果てに、その業者が看板を立てて最終処分地としながら造成しているということですから、たまったものではありません。それは、許可を与えた、認可を与えた地域自治体の農業委員会の責任だと言えばそれまでかもしれませんけれども、農業委員会はそのような開発行為に対して、あれだのこれだのと規制し、業者に対してチェックをするというシビアな取り組みができない。こういった場合、どうしたらいいのかという問題があります。
 もう一つの具体的な事例として、新規農業をするのだということでかなり大きな面積で農地を買い、その農地を十年近くも放置して、その周辺のまじめな農業者の耕作に随分迷惑をかける。これとても、新規農業をすると言って農業委員会が農地を取得する許可を与えたのだからと、農業委員会にその責任を問うて、そのようなあり方を正すように厳しく求めたとしても、正しい取り組みはできない。地域住民の要求にかなえられるような取り組みはできない。こういう場合どうしたらいいのだろうか、こういう課題があるわけであります。
 もちろん、農業経営基盤強化促進法という法律があって、遊休農地にかかわって悪徳業者の農地破壊を許さない取り組みもできようかと思うけれども、それらの法律が農業委員会及び地方行政機関の成熟した取り組みにはなっていない状況を一応提起しておきたいと思うわけであります。
 こういうふうにして考えてみるときに、すなわち減反は生産意欲を奪い、農業者の米づくりの誇りを失わせることに帰すると思うわけであります。この事業は補助金を出して促進する施策であることから、地域住民の協同を壊すことに通じるのではないかと考えられます。すなわち、社会の連帯と協同を深いところで侵食し、単に米づくりだけにとどまらず日本人の心に及ぶことを熟慮せざるを得ないのであります。減反は自立農業を育成するのに役立つのだという説法は、歴史的な過程や事実から通したとしても、もうだれしも認めるところではありません。
 こういう点をご指摘申し上げながら、農業者の痛みを共有して、農業をいわば日本人の心、すなわち精神文化にかかわる課題だとして深く論議し合いたいものだということを当局に投げかけたいと思います。この問題は引き続き取り上げていくことを申し上げながら、終わりたいと思います。これについては、答弁は要りません。
 次に、和歌山下津港計画と大阪湾港湾計画基本構想についてであります。
 運輸省は、十一月二十七日、二○一○年を目標に、大阪湾港湾計画基本構想なるものを発表しました。これは、神戸、大阪港を一体整備し、湾全体でアジアのハブポート化を目指すものであります。この構想に和歌山下津港がどう位置づけられているのか。大阪湾の外港として、また商業港として見直され、将来に向け発展する可能性に大きな期待がかけられている和歌山下津港ですから、和歌山県にとって無関心でおれないのであります。発表を見る限り、「和歌山下津港(中略)など近隣の湾外諸港との分担・連携を図る」という一行があるだけであります。
 関空開港、第二国土軸構想による紀淡海峡大橋、湾岸道路など、和歌山が国内外へと発展するのだ、将来に向けて大きく飛躍するのだと盛んに叫ばれているけれども、この二○一○年構想は和歌山県をらち外に置いているのは、期待と呼びかけとが大きく異なることになるのではないでしょうか。これに対する当局の今までの取り組みと構想、また和歌山下津港をどうなされるつもりか、さらに将来に向けてどんな対応をされようとしているのかを示されたいのであります。
 ようやくにして発表されたものの、「あとがき」に、「社会経済の動向や国際情勢の動向などは急激に変化している。これらを的確に見極め、大阪湾地域のさらなる発展のために、本構想に反映すべき事柄が明確になった場合には本構想に加筆するなど柔軟に対応していく」と書かれているのがせめてもの慰めであります。
 県が来年度の予定を前倒しして、コンテナ岸壁用の移動式荷役クレーンを導入され、十二月六日から稼働し出したと言います。県が目指す近畿南部の輸出入の拠点港として力を入れてきていることからして、大阪湾の交易拠点の一体整備の枠外にされているのは合点がいかないわけであります。どんな位置づけをさせるべきなのか、国にどんな働きかけをしてきたのか、またどう働きかけようとしているのか、詳しくご答弁をお願い申し上げます。
 次に、電気事業法一部改正に伴う動きについてであります。
 平成七年四月、電気事業法が一部改正され、十二月一日施行に伴い、県下で売電事業を起こそうとの動きが顕在化してきています。一つは、東燃が既に発表いたしました。会社所有地に五十万キロワットの火力発電所を建設するということ。もう一つは、海南市に所在する和歌山石油精製が所内に十四万九千キロワットの火力発電所を建設するとの計画であります。
 関西電力の買電事業の事前説明会には、石油会社、製鉄会社、セメント会社等、関西規模で百七十社が参加したとのことであります。県下での建設は二社だけにとどまらないのではないかと思うけれども、和歌山県下でこの説明会に参加した企業はどれだけあったのかお知らせください。
 そして、今日、社会の電力需要はさらに拡大されていくであろうことから、それに備えなくてはならないとしても、共通して言えることは、火力発電であること、使用燃料が自社の石油精製の過程でできる重質残渣油であることから、大気汚染への心配が避けられません。売電事業を起こす会社と該当する自治体で公害防止協定を結び、住民の健康保持に努められることになるのであろうけれども、県としてかかる電気事業法一部改正に伴い、売電事業を起こそうとする二社だけでない動きと、それに対応する公害防止対策についてどのように考えられているか、基本的なところをお聞きしたいと思います。
 大変気になるのは、公害発生源が多極化して企業の責任の自覚が一層希薄化していくことであります。これに対する当局の対応はどうなされるのでしょうか、お尋ね申し上げたい。
 特に、海南選出ですので海南市のことなどを少し述べておきたいと思います。
 海南火力の百八十メートルの煙突から噴出される煙で、直下にある町は大して影響ないようですけれども、少し離れた別所、黒沢、上谷、野上の方の山沿いで今ミカンの収穫をされている農家の人たちの話では、一日ミカン取りをすると作業服が真っ黒になるということであります。さらに、六月から七月の初めはヤマモモが熟してくるころですけれども、近年みずみずしさがなくなって、食べられるようなヤマモモができないと言われています。なぜですかと聞くと、やはり大気汚染が影響しているのと違いますかというお百姓の話であります。
 こういうことから、大気汚染が長年蓄積されていく中で我々の生命や健康に大きな影響のある障害が起こってくるのではないかと考えられ、この電気事業法の一部改正に伴う売電事業についてシビアな対応が求められることから、特に公害問題についてお考えをお尋ねしたいと思います。
 さらに、重ねて申しますけれども、発生源が多極化する中で企業の自覚が希薄化されることがあってはならないと思いますので、そのあたりにも触れて突っ込んだご答弁をいただきたいと思います。
 最後に、知事選挙についてであります。
 これについては、あれこれ申し上げたいことがたくさんあるんですけれども、前に登壇した二人の方も述べられたし、今議会でこのことに触れられない方はないぐらい、登壇者は皆関心を持って登壇されるのではないかと思います。そういうふうなことも考えながら、僕は二点だけにとどめてお尋ね申し上げておきますので、知事のお考えをお聞かせください。
 一つは、十一月二十四日、初登庁、県庁玄関前でのあいさつ、そして各紙に報じられた記事、また「県民の友」十二月号に掲載されているあいさつ、さらに十二月県議会開会日の議場での所信表明など、西口県政のいでたちはいかがなものかをうかがうに十分なものだったと私は受けとめているんです。
 このようにも述べられていますね。「昨年十一月、副知事を辞して以来、県内をくまなく歩いた。県民に県政が十分理解されていない。逆に、地域住民の要求が県にストレートに届いていない。このことを実感した」と述べられているのがすごく心に残るところであります。よくぞ言ったと、その勇気というのか、その気心を受け入れたいと思うのであります。
 次に、聞いてくださいよ。長年、県行政に携わり、最終は副知事という要職についていただけに、「県民の声が届いていない。県民に理解されていない県政だ」、こういうふうにみずからの口でご表明なさったということは、そのような県政を形成していた責任を自覚しての発言だと思います。言いかえれば、おのれ自身にはね返ってくるような言葉をあえて発言なさったということを考えれば、この発言は政治家として言葉に責任を持ち、それを実践し貫き通そうとするあらわれだと思います。ともすれば無難を期そうとしがちなのは人情ではないかと思えばこそ、あえて勇気と申し上げたところであります。こすい人間やったら、こんなこと言わんのと違いますか。あれこれあろうが、県民にとって今次知事選挙の大きな収穫ではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
 さらに、心の通う県政を目指す、開かれた県政、たくましい県庁に改革していく、一人一人の心の痛みがわかる政治で心の通う県政を進める、和歌山に住んでよかったと言えるようなふるさとをつくるため、企画し立案し一つ一つ実現していくと申されました。知事一人にとどまらず、県庁の行政機関を挙げてこそやれる仕事だと思います。西口新知事にかかる発言を許容した県庁と見ることもできます。そう考えたら、あすに向けての和歌山県に大きな期待が持てるのではないか。知事一人が勝手に言っているということではなくて、知事にそのことを発言させたという県庁ぐるみの言葉だと理解すれば、これは県民にとっては大きな期待が寄せられるところではないか。こういうふうな発言を和歌山県民がまともに受けて期待するとしたら、和歌山県は変わるぞと当然思うに違いありません。この立場に立つとき、いろいろの発想がされるであろうし、またさまざまな干渉、誘惑、戸惑いはあろうけれども、初心を忘れることなく貫いてもらいたいものであります。県政があまねく県民のものにとの期待をしつつ、いま一度、議場を通じて県民に披瀝していただければと思います。これが一点目です。
 二点目、知事選挙に続いて、十二月三日に和歌山市長選挙がありました。これも知事選挙とダブらせながら、強い関心を寄せて見ていました。というのも、常々、県政との関係で多くの事柄について県と和歌山市を見もし、考えてもきていたからであります。そこで、県政と和歌山市の政治力学上の事柄にかかわることについてお伺いしたいわけであります。
 何にしても、県都和歌山市であります。予算額や人口の上から見ても、大きな力を保持していることに間違いありません。県政への影響力は大きなものがあるわけであります。また、知事選挙においてだけ考えてみたとしても、和歌山市の動向によって大きく左右されることでもあるでしょう。おのずから県も和歌山市に他の地域とは異なる対応を歴史的に積み重ねてきていると、私は常々そのように思っているわけであります。
 具体的には指摘を差し控えますけれども、このたびの和歌山市長選挙の当選者が決定された夜のお祝いの場でマイクを向けられた知事の言葉にも感ずるものがありました。知事は何げなく無意識に述べられているのであろうけれども、特別な関係に置いていることをうかがわせるものでありました。ご参考までに、県政上から見た和歌山市についての所見をお聞かせ願えればありがたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 中山議員にお答えを申し上げます。
 さきの所信表明などで申し上げましたことは、私が県内各地を回る中で感じたことを、私自身の反省も込め、率直に申し上げたわけでございます。所によっては県政が県民の方々によく理解されてない場合もある、同時にまた地域の方々の声がストレートに県に届いていない場合もある、そういうことを例示して申し上げたわけであります。その気持ちの中には私自身の反省も含めての感想でございます。
 今後、責任のある県政、心の通う県政、清新の県政を県職員の皆さんと一緒になってやらなければできませんので、そういうことを含め、私の政治姿勢をそのようなところに置いて県政の推進に頑張っていきたい、そういう心境であります。
 次に、県政と和歌山市の関係についてであります。
 和歌山市は人口約四十万人の県都として、これからも国際都市という面も含めて発展をしていかなければならんし、同時に重要な役割を持っておると思います。
 しかし、県の発展というのは和歌山市の発展だけで図れるものではなくて、むしろすべての市町村の発展があってこそ県勢の発展も図れるわけでありますので、和歌山市だけがよくなったらいいという考え方で申し上げているわけではなくて、県下全市町村のともどもの発展を心から願っているところであります。
 以上であります。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 中山議員にお答えいたします。
 まず道路整備のご質問のうち、国道三百七十号と重根土地区画整理事業との関連についてでございます。
 国道三百七十号は、重根区画整理事業の区域内の龍部までは都市計画道路築地阪井線として都市計画決定しておりまして、この計画に基づき整備することとしております。また、その東側に当たる未整備区間である阪井地内では沿線に人家が集中していますので、将来的には比較的人家の少ない地域をバイパスとして整備することとしております。その際、龍部地内で都市計画道路築地阪井線に連絡させることを前提として、野上町側の国道四百二十四号までを検討しているところであります。
 なお、土地区画整理事業については、昭和六十一年に組合施行の事業として事業化し進めてまいりましたが、地権者の合意に至らず、現在に至っているところでございます。現在、野上電鉄の廃線敷の買収に伴い、見直し案を作成中でございまして、今後県としても、市と協議しつつ鋭意進めていくこととしております。
 次に、県道岩出海南線岡田地区内の整備手法についてでございます。
 県道岩出海南線は、二車線の道路として整備を進めることとしております。そのためには、水路を利用させていただくことが必要となりますが、地元関係者のご同意を得るに至っておりませんので、今後とも地元関係者のご協力が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
 なお、ご指摘の海南市都市計画道路黒江且来線については、現在海南市域で施行中の海南駅連続立体交差事業や築地阪井線などの進捗等も勘案しながら、今後海南市と協議し、検討してまいりたいと考えております。
 次に、和歌山下津港計画に関してのご質問についてでございます。
 ご指摘の大阪湾港湾計画の基本構想は、友ケ島以北の大阪湾内の港湾管理者である神戸市、大阪市、兵庫県、大阪府らで構成している大阪湾港湾連絡協議会が昭和四十二年以降策定しているものであり、今回は五回目の見直し計画として、去る十一月二十七日、中央の港湾審議会に報告され、公表されたものでございます。本構想はいわゆる任意計画であり、これを指針として今後の神戸港、大阪港等の港湾計画が策定され、各港の整備が進められることになります。
 なお、本構想の「国際物流の中枢となる拠点の整備」の中で、「これら湾内諸港と、和歌山下津港、小松島港、舞鶴港など近隣の湾外諸港との分担・連携を図る」との表現で、和歌山下津港について今回言及されたところでございます。
 和歌山県といたしましては、和歌山下津港が大阪湾外に位置し、国際航路の主軸である太平洋に直接面しているという立地特性を生かし、和歌山下津港を近畿圏の外港と位置づけ、大阪湾諸港との機能分担を図るという基本目標を堅持し、和歌山下津港の港湾計画の改定作業を進め、関係方面の理解を得ていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 農業問題の二点のご質問についてお答えをいたします。
 まず一点目の、桃のせん孔細菌病対策についてでございます。
 せん孔細菌病の発生メカニズムは、枝で越冬した細菌が気温の上昇とともに繁殖し、雨により分散し伝染することなどが既に明らかにされてございます。
 この対策としては予防が最も重要であり、これまでも農作物病害虫防除指針に基づき、ボルドー液等の薬剤防除、病原菌の飛散を防ぐための防風対策、及び罹病した枝の除去等の技術指導を行っております。本年は、特に春先の強風雨により異常発生を見ましたので、リーフレットの配布等による広報活動や防風ネットの設置を推進するなど、予防の徹底に取り組んでいるところでございます。なお、使いやすい農薬が近く登録される見通しとなっておりますので、県としても速やかにこれに対応してまいりたいと思っております。
 次に二点目の、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱に基づく本県のミカン対策についてでございます。
 本県の基幹作目である温州ミカンについては、省力化のための基盤整備や高品質果実の生産が非常に重要であると考えてございます。議員お話しのように、国では価格安定対策及び生産対策を柱に総額七百五十億円程度の果樹対策を六カ年で実施されることになりますので、県といたしましては積極的にこれを導入し、本県ミカン農業の体質強化を図ってまいることとして、園内道の整備や多目的スプリンクラーの設置に加えて、高糖系優良品種への改植、集出荷施設の整備、さらには価格安定対策等の広範な施策を実施することとしてございます。
 なお、計画的な事業推進を図るため、六カ年間の事業要望量を把握してございまして、今後、市町村及び関係団体等と連携しながら地域の実態を反映した事業の推進に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 中山議員にお答え申し上げます。
 電気事業法の一部改正は、電力需要の増大に対応し、また発電分野における競争関係を導入するなどの理由により実施されたもので、これを受けた十一月七日開催の関西電力株式会社の入札事前説明会への出席企業は百七十社、うち県内の参加企業は東燃株式会社、和歌山石油精製株式会社を含む七社と聞いてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 電気事業法一部改正に伴う動きについてお答えいたします。
 電力卸売業への県内企業の参入に関して、大気等環境汚染に対する県の対応については、今後計画が具体化してくれば、保健環境部といたしましても、環境汚染が生じないよう、地元自治体とも連携を図りながら、脱硫設備など必要な環境保全対策を指導してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番東山昭久君。
 〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 お許しをいただきましたので、一般質問をいたします。
 さて、本十二月議会は、さきの激しい知事選挙で見事初当選を果たされた西口勇新知事のもとで開催されるわけで、西口丸の船出、二十一世紀に向けての新しい和歌山県政のスタートのときでもあります。
 私にとりましても、四月の県議会議員選挙で県政に参加させていただいてから初めての質問でありまして、微力ながら県勢発展のため全力で頑張りたいと考えています。どうか、先輩議員、各議員の皆さん、西口知事を初め県当局、県職員の皆さんのご指導のほどを、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、住友金属の西防波堤沖埋め立て問題、JR阪和線の高架問題、教育問題について質問をいたします。
 西防埋め立て問題については、今日までこの議場で先輩議員の皆さんが幾度か質問され、論議されておりますが、埋立工事が開始された当時、私は住友金属の社員であり、当時から大変関心のある課題であると同時に、公害源の沖出しという環境保全と環境改善を目的とする埋め立てとして認められたものから、この目的が大きく変更されるという重大な問題でありますので、重複するかもしれませんが、県の考え方を伺いたいと存じます。
 西防の埋め立ては、住友金属和歌山製鉄所の公害発生源の沖出し移転、埋立地施設移転跡地の緑化、紀北地域の廃棄物の最終処分場確保などを目的に八○年八月に着工され、一から三工区で成る百七十六・五ヘクタールの面積を持つものであり、一から二工区が九○年に完成し、高炉滓、転炉滓処理場の移転が終わり、三工区は九六年の完成を目標に工事が進められてきました。
 住友金属は、九一年五月、鉄鋼業をめぐる経済情勢の変化に伴い、沖出し移転計画の見直しをせざるを得ないこと、また六号コークス炉乾式消火設備、第一製鋼工場建屋集じん装置など総額二百億円以上の整備対策、環境改善強化対策の進歩によって現在地で環境改善目標値が達成する見通しがついたとして、埋立利用計画の見直しを発表し、九四年三月三十日に和歌山県に対して申し入れがなされたのであります。九四年五月に西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会が設置され、昨年十一月二十八日に中間報告が出されました。
 中間報告によると、配置案として一から二工区には銑鉄所高転炉滓処理関連設備、LNG火力発電所及び廃棄物広域機能を配置し、三工区にはテクノスーパーライナーの母港としての対応可能な多目的埠頭、緑地公園及び環境保健センター等を配置することが適当であるとなっています。三工区については、十一月二十七日の第六回検討委員会で最終報告がまとめられ、テクノスーパーライナーの母港としての多目的埠頭、緑地公園、環境保健センターの利用計画案が知事に報告されるとなっており、二工区のLNG問題は先送りされています。
 それでは、四点にわたり質問をいたします。
 第一は、巨大プロジェクトの経済波及効果についてであります。
 七八年、住友金属による埋立申請当時、埋立総費用三千億円で九千億円の波及効果があると言われていました。和歌山県の大規模プロジェクトの策定に参加された杉浦一平元和歌山大学経済学部教授の調査によると、住友金属の埋め立て、関西電力の御坊火力発電所の二つの巨大プロジェクトとも和歌山県には経済効果はほとんどないという意外な結果になったと言われています。理由として、和歌山県の産業構造の特性にあると言われています。大規模工事があっても、それを受注するのは県外大手企業であり、地元零細企業にはほんの一部の仕事しか回ってこない、せっかく大規模工事を計画しても地元への経済効果はゼロに等しく、他府県を利するだけに終わっていると指摘されています。私たちの生活がどれだけ豊かであるかの一つのバロメーターは、県民所得です。六六年に全国で十位であった県民所得が九二年には四十二位と低下しており、東京都の約半分の二百二十四万円で、全国平均でも七十万円の格差があります。
 そこで、西口知事に、住友金属の埋め立ての巨大プロジェクトの経済効果はどうであったのか、お伺いいたします。
 同時に、和歌山県は中小零細の地場産業が中心であり、大規模投資を直接受注して和歌山県の所得につながる企業が存在しない産業構造では、県民生活の向上のためには、大規模工事ではなくて地元産業向けの中小規模の生活基盤整備などの公共事業の方が経済効果はあり、県民生活の向上につながると思いますが、ご意見を伺います。
 第二に、土木部長にお尋ねします。
 住友金属の埋立地の用途変更は、瀬戸内海環境保全特別措置法の精神に反するのではないかという問題であります。
 当該埋め立ては、これまでの県議会での論戦から、公有水面埋立法並びに七四年の運輸省、建設省の共同通達などによって、法律論としては諸条件が満たされれば用途変更はクリアすると言われています。当該地域は瀬戸内法によって原則的に埋め立てが禁止されているが、公害対策ということで例外的に認められた経緯があります。八○年に、和歌山下津港湾内公有水面埋め立てに対して、当時の環境庁長官の意見を付して許可されたものです。先ほど申し上げたように法律論としてはクリアするかもしれませんが、瀬戸内法の基本方針とか、それに基づく和歌山県の計画の精神に反するのではないでしょうか。法の解釈をぎりぎりまでやったとしても、違法とまで言えるかどうかは別として、その精神に反するのではないでしょうか、ご見解を伺います。
 第三は、住友金属の公害の現況について保健環境部長にお尋ねします。
 県も、用途変更の検討方針として埋立地の新たな土地利用については、瀬戸内海環境保全特別措置法の趣旨に照らして、環境保全並びに公共、公益的利用として検討するとなっており、住友金属に対しては工場移転によって確保される水準と同等以上の環境対策を実施させると明らかにされてきました。私も、この埋め立てが公害源の沖出しを目的としたものであることから、環境改善目標値が達成されることが用途変更の絶対的な条件であると思います。住友金属は九一年に、環境改善対策強化充実によって現在地での環境改善目標値を達成したとして、利用計画の見直しを明らかにしました。現在も達成されていると思いますが、九一年から今日までの公害の状況について、その結果を明らかにしていただきたいと存じます。
 第四は、埋立地の安定化、液状化対策について企画部長にお尋ねします。
 液状化現象は新潟地震で注目され、一月十七日の阪神・淡路大震災でも、神戸市ポートアイランド埋立地での地震の激しい揺れによって地盤の液状化現象が広範囲で起き、タンク群が傾いたり道路が陥没するという大きな被害が出ました。このポートアイランドの埋め立てにはさまざまな液状化対策が講じられてきたと言われており、今回の震災でこれまでの対策が不十分であったことが明らかになり、埋立地での安定化、液状化対策の再検討が必要であることを示しました。
 住友金属の埋立地は、一般廃棄物、産業廃棄物などを埋立材として使用しており、場所ごとに埋立材が違うため非常に不安定であると言われています。また、埋立地付近には磯ノ浦活断層があると言われています。中間報告では、第二工区の利用計画案としてLNG火力発電所の配置案が示されています。これからさらに検討が深められていくと思いますが、関西電力株式会社は四月十七日に、関係漁協、漁連の同意、及び地元関係自治会の環境調査に関する了解が得られ、整ったとして環境調査が進められていることと思います。恐らく最終報告も、LNG火力発電所として進められると思われます。安全対策は万全でなければなりません。
 そこで、西防埋立地の安定化、液状化対策をどうするかもあわせて検討していかなければならない課題であると思いますが、ご見解を伺います。
 西防埋め立ての入り口の問題について質問いたしましたが、LNG問題などさらに検討を要する課題でありますので、今後引き続き論議をしていきたいと存じます。
 次に、JR阪和線高架問題についてお尋ねいたします。
 紀の川大堰建設工事が、九九年完成目標で現在進められています。その関連として、JR阪和線の紀の川にかかる鉄橋がかけかえられる計画があり、建設省近畿地建は、本年三月ごろ、設計計画のための事前測量を実施するとして地元関係住民に対する説明会を行いました。JR阪和線の六十谷駅・紀伊中ノ島駅間は四箇郷地区を縦断しており、区間内に大小含め六カ所の踏切があります。四箇郷地区は、近年新興住宅地となり、どんどん住宅がふえ続け、人口も増加しています。また、区間内は道路も狭く、四カ所の踏切は朝夕の電車の本数も多く、いつも遮断機がおりた状態が続きます。通勤、通学で自動車、自転車が満杯となり、大混雑している状態です。地区内には小学校二校、中学校一校があり、学童、生徒の通学も大変危険な状況にあります。四箇郷連合自治会も、地元要求として和歌山市に対して要望を出しています。紀の川大堰建設に伴う紀の川鉄橋のかけかえ関連事業として、県市協調して早期事業化に向け、国、JRに対して早期に協議を進められ、高架化を早期実現されることを強く求めたいと思います。土木部長の前向きのご答弁を求めます。
 次に、教育問題についてお伺いいたします。
 戦後五十年のこの年、日本社会の安全神話を崩壊させるような出来事が相次ぎました。一月の阪神・淡路大震災、オウム真理教による一連の事件、金融業のたび重なる不祥事など、また子供や教育をめぐる状況は、学歴偏重社会を背景に、過度の受験競争の中で、いじめ、自殺、不登校、中途退学、体罰、校内暴力など、依然として解決していかなければならない課題が山積しています。日本の政治、経済、社会と文化のあり方とともに、日本の教育のあり方が今日ほど問われているときはないでしょう。いじめによってみずから命を絶つという痛ましい出来事がこれ以上起きないようにするため、また二十一世紀のゆとりある豊かな人間優先の社会を担う人材育成のため、子供はいつの時代にあっても社会を変えていく担い手であり、希望であり、未来であります。
 戦後の日本は、ひたすら歩み続けてきました。その他の国が普通の歩道を歩んでいくのに対して、日本の場合は動く歩道の上をさらに早足で歩いてきたようなものです。戦後の廃墟の中から経済復興を遂げ、七○年代は世界の工場、八○年代は世界の金庫と言われ、経済大国、世界第一の債権国になった日本であります。だが、今世紀後半、時計の針を早く回し過ぎてしまった我が国には、さまざまな矛盾と病弊が生まれました。富を大きくする決め手は効率であり、効率が殺し文句となってあらゆる社会活動に浸透し、国も社会も人々も空前の速度と密度で動く、猛烈に忙しい世紀を生み出しました。経済、生産優先の社会の中で、人々は立ちどまることを許されず、なぜ普通の歩道ではなく動く歩道を早足で歩くのかと問われても、自分ははっきりせず、その上を歩くこと自体が目的のようになっている感じさえします。
 教育は、その社会のありように支配されやすいものです。特に日本の学校教育のように、個々人の自己の実現より国家社会の目的に沿うことを求められる傾向が強い中では、それはよりはっきりと現実の政治、経済、社会によって規定されると言っても過言ではありません。戦後の一時期を除いては、日本の教育の目的は、動く歩道の上をうまくバランスをとり、ひたむきに前に進んでいく人間の育成を目指したと言えるでしょう。テストと偏差値で子供を追い立て、激しい受験競争に巻き込みながら高学歴社会を築きました。教育内容は膨らみ、教員は集団駆け足授業を余儀なくされ、そのため落ちこぼれた子供を救えず、いじめ、登校拒否の子供をふやし、高校中退者を増加させ、ともに生きることの苦手な子供をつくり出すことになったと言えます。各教育機関では、ゆとり教育、個性、創造性の尊重、学校五日制の導入など教育の見直しの動きがありますが、肝心の受験改革はおくれています。
 人間形成にとって極めて重要な教育が受験競争と詰め込みの管理主義教育の中でゆがめられ、子供たちは子供時代を自分らしく生きられない状況になっています。二十一世紀へのカウントダウンが始まった今日、日本は今世紀の繁栄のひずみをさらに拡大しながら行き詰まっていくのか、それとも国民一人一人が豊かさを享受し、個人、個性を開花させる社会へ転換できるのかの分岐点に立っています。効率、能率中心の生活から、快適でゆとりある心豊かな社会、バランスのとれた生活への転換であります。子供たちが、遊びを通じて人間関係を学び、豊かな試行錯誤の中で自己を内省し、次の問題を解決する力を見つけるのです。子供たちにゆとりと自主的、創造的な活動を保障するためには、教育内容や授業時間数の削減、入試制度の改善、これまでの競争と選別の教育から、個性を尊重し、ともに学び励まし合う共生の教育に転換を図るとともに、子供の権利条約や女性差別撤廃条約の理念を生かし、学校や地域でその具体化が問われています。
 教育の現状について申し上げましたが、教育問題の四点に関し、知事並びに教育委員会のご見解を伺いたいと存じます。
 まず、西口知事にお尋ねします。
 西口知事は、さきの選挙公約で、「未来を担う青少年のために」、「健やかにたくましく、子どもたちの夢を育み、若者の能力と創造性を伸ばすため、保・幼・小・中・高校教育を一層充実し、併せて大学をはじめ全ての教育施設を整備します。また、生涯学習をさらに振興し、地域を支える人材を育成する環境づくりを進めます」と述べられ、紀州っ子すこやか保育プロジェクトの推進、のびのび紀州っ子の育成、総合教育センターの建設等を政策として掲げられています。
 そこで、教育改革をどう進められ、選挙公約をどう具体化していかれるのかを伺いたいと存じます。
 あわせて教育長には、日本の教育の現状をどう認識されているのか、お尋ねいたします。
 日本教職員組合の結成綱領は、「我々は平和と自由を愛する民主国家建設のため」と宣言して、「教え子を再び戦場に送るな」や「平和・人権・環境・民主主義」の方針のもと、教職員の地位の確立、民主教育の発展、そして民主的な社会の建設を目指してきました。敗戦後の教育の復興は、民主的な日本の建設の希望であった。新しい教育方針が定められ、国家による統制ではなく、地方の教育づくりやさまざまな試みが奨励されました。その後、東西冷戦の中でアメリカの対日占領政策が変更となり、教育界も激しい対立が続いてきました。教科書問題や特設道徳の導入などイデオロギー対立が前面に出て、同時に戦後の復興とかかわって教育が経済成長の手段となり、均一で安価な労働力を大量に求める施策はやがて入学競争を激化させ、偏差値という教育界独特の物差しを誕生させるに至りました。それ以降、日教組は抵抗と反対闘争を今日まで進めてきました。この間、民主教育の実現のため一定の役割を果たしたことは事実であります。
 日教組は、九月に第八十回大会を開催して、教育の場における激しい対立は、学校という教職員組織の分断を招き、教職員の意欲を喪失させ、総じて学校が活性化せず、教育界が重苦しい停滞を重ねているのも対立と抗争の構造に起因していると総括して、教育界の対立を解消し、教育と福祉を社会問題の中心に据え、教育改革の国民的合意を形成しようと、すべての教育機関に対して子供を中心とした共同討議を呼びかけ、教育改革を目指して緊張感ある対話路線を決定しました。その初めとして、十一月十五日、経済四団体と「二十一世紀の社会と教育を考える教育改革フォーラム」パートワンを開催して対話がスタートいたしました。この日教組の新路線に対する県教育委員会のご見解をお伺いします。
 同時に、本県では教職員組合は大別して二組合があります。日教組の方針のもと、日教組和歌山が組織されています。教育界の対立を解消し教育の再生を図るため、日教組和歌山との対話、連携を今後どう具体的に進めていくかをお伺いしたいと存じます。
 第二点は、学校五日制に関して質問します。
 学校五日制実現の歩みを振り返ってみると、世界各国の現状は、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどは近代教育制度が成立して以来学校五日制ですから、歴史は大変古いものがあります。東ヨーロッパ諸国でも、六日制から五日制へと切りかえる傾向にあります。
 日本では、近代教育制度発足以来、ごく例外を除き、ずっと六日制で歩んできました。九二年に月一回、ことし四月から月二回の学校五日制が導入されました。学校五日制の論議が本格的に始まったのは、一九七○年代に入ってからのことです。七二年の日教組第四十一回大会で、「学校五日制実現」という言葉が登場してきました。このときは労働時間短縮の観点からの提起であり、七三年の四十三回大会で教育改革という観点からの提起となりました。八七年十二月に教育課程審議会の答申で導入の方針が示され、八九年、文部省が学校五日制の実験校として九都県六十八校を指定して実験がスタートしました。八九年に連合が重点課題として学校五日制実現を取り上げ、大規模なキャンペーンを展開して大きく世論も盛り上がりました。
 学校五日制の理念・意義は、第一に、学校の役割を整理し、家庭や地域の教育における機能を高めること。豊かな教育は、量的なものでなく質的なものが求められています。家庭、地域の教育機能を高めることは、保護者の責任を高め、地域の活性化にもつながります。第二は、子供たちがもう少し自由な時間を持てるようにしようとするものであり、自分で考え、自分で責任を持つ自立した子供をつくることにつながります。第三は、学校で働く教職員の労働時間短縮と全労働者の労働時間短縮につながる重要な意義を持っています。
 以上、学校五日制の歩みと理念を申し上げましたが、四点について質問いたします。
 一、学校五日制の理念・意義をどうとらえられているのか。月二回となって八カ月が経過しましたが、理念、意義は生かされているのか。
 二、月二回の導入によって他の曜日へのしわ寄せはないのか。例えば、夏季短縮時間の削減などは起きていないか、起きていれば、起きないように行政指導すべきだと思うがどうか。
 三、私立校の現状はどうか、私立校の授業時間の差による格差はないのか、私立校への指導はどうしているのか。
 四、休日に子供たちが自由に伸び伸びと過ごすための公共施設、有効に活用できる安全な遊び場は保障されているのか。活用できる施設の拡充を強く求めたいと思います。
 三点目は、高校中退者に対する対応について伺います。
 厳しい受験競争を勝ち抜いて合格し、楽しい高校生活に希望を持って入学したのに、さまざまな要因によって中退を余儀なくされる生徒は年々増加しており、昨年一年間で全国で十二万人を超えたと言われています。県下でも、全日制五百三十九名、定時制百二十八名と聞いていますが実数はどうか、中退者はその後どうなっているのか、また要因を究明して対策を講じ中退者をなくするように努力することは当然でありますが、その後の動態はどうなっているのか、進路の相談、指導をどうしているのか、伺いたいと存じます。
 幾つかの他府県で中退者専門の相談窓口を設置して対応していると聞いているが、県としても専門の相談窓口を設置し、中退者の進路相談に対応すべきであります。ぜひとも設置するよう強く求め、見解を伺います。
 四点目は、いじめ防止対策について伺います。
 十一月二十六日付、毎日新聞のトップで、大変ショッキングな記事を載せていました。「いじめ苦に九人が自殺 『清輝君』から一年」という記事です。毎日新聞の調査によると、大河内清輝君(当時十三歳)がいじめを苦にして自殺した事件から、一年間で全国で九人がみずからとうとい命を絶ったという結果を明らかにしています。
 「『もっと弱い人間だったら、もうとっくに死んでいただろう』 こんな日記を残し、奈良県橿原市立橿原中二年、坂田健作君(当時十三歳)が自宅で首をつって自殺したのは今年四月二十七日。(中略)自殺直前の四月十九日から二十一日までの三日間だけつづられた日記には、『お母さんは、ぼくのたちばや、しんどさをしらない。らくになるならぜんぶ話そうと思う』『いましんだら、今まで苦ろうしてきたことが水のあわになる』と、一人で悩んでいた様子がうかがえる」。
 そして、清輝君の一周忌に当たることしの十一月二十七日に、新潟と鳥取で二人の中学生が自殺しました。新潟県上越市立春日中一年、伊藤準君(当時十三歳)が、実名を挙げて、「あいつらは僕の人生そのものを奪っていきました。僕は生きて行くのがいやになったので死なせて下さい」という遺書を残して、いじめを苦にみずからの命を絶つという事件が起こりました。だれにも相談できず、一人で悩み、苦しんでいる子供の声が届かない社会になってしまっているのではないでしょうか。
 文部省のまとめによると、いじめ件数は、九三年度は全国で二万一千五百九十八件で、九四年度は全国集計で前年度を大幅に上回る見込みだと言われています。県下では不幸な事件は起きていませんが、教育現場では深刻な現状にあるのではないかと思われます。いじめ防止対策は、極めて難しい課題であると同時に、早期発見、早期対策が必要であります。学校、家庭、地域でともに取り組んでいかなければならない課題でもあります。
 そこで、お尋ねします。昨年十二月、いじめ緊急会議は、全国の公立学校にいじめ総点検を促す緊急アピールを出しました。これを受けて、県教育委員会でも総点検されたことと思います。その結果を明らかにしていただきたいと存じます。
 全国の自治体で、さまざまないじめ防止対策が実施されています。大阪府では四月から各教育事務所に五人ずつ学生ボランティアを置いた、北海道では国のスクールカウンセラー派遣事業に独自に予算を上乗せして派遣先をふやした、福井県では教師二十人を大学に半年間国内留学させるカウンセラー養成制度を開始したなど、いじめ防止対策に力を入れ、徐々に成果が出ていると言われています。県としてのいじめ防止対策はどう進められているのかお伺いすると同時に、不幸な事件が起こらないように万全な対策を強く求めたいと思います。
 五点目は、同和教育について伺います。
 県教育委員会が九二年六月に県下の小中学校で実施した「学習状況調査報告書」が昨年三月に出されました。「調査の目的」として、「同和教育の取り組みの到達点及び成果を明らかにしながら、今日残されている課題は何かを、学習と生活とのかかわりにおいて総合的に究明しようとするものである」となっており、同和教育の成果と課題を明らかにすることにあるとしています。
 今回の状況調査で明らかになったことは、地区生と地区外の児童生徒の学力格差は前回よりわずかながら縮まったとはいえ、依然として同和地区児童生徒の学力は低位な状態に置かれていることであります。格差は、紀中、紀南の方が紀北地方よりも大きくなり、また小学校よりも中学校の方が大きくなっています。これらのことは、高校進学率や大学進学率、大企業への就職率などにあらわれており、同和地区児童生徒の進路保障の課題が依然として残されていることをあらわしています。この調査結果が絶対的なものでないことは言うまでもありません。
 「学習状況調査報告書」の「利用上の留意点」で述べられている「調査は、限られた条件の下で実施されたものである。したがって、この調査結果から、児童生徒の学習や生活状況等のすべての実態が把握できるということではなく、その傾向をとらえることができるものであるという点を考慮する必要がある」と言われているように、一つの傾向を示していると思います。前回の調査に比べて同和地区児童生徒と全体の学力差がわずかながら縮まっていることは、現在までの諸施策の成果であると思いますが、部落問題が提起する教育課題は依然として存在することが今回の調査でも明らかになっており、その対策が強く求められていると思います。今回の学習状況調査で明らかになった課題とは何か、その結果を踏まえてどう対応されているのかお尋ねして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員にお答えをいたします。
 住友金属の埋め立てによる経済効果であります。
 住友金属の西防波堤沖埋立工事については、公害発生源の移転などを目的として、住友金属が昭和五十三年に公有水面埋立申請を行い、昭和五十五年に埋立免許を取得した後に護岸工事に着手したものでございます。一工区が昭和五十九年二月に、二工区が平成四年十一月にそれぞれ竣功いたしております。三工区については、現在、埋立土砂の投入を行っているところでございます。
 本工事による経済効果については、民間主体でかつ継続中の埋立工事でもあり、特に調査いたしておりませんけれども、大規模な港湾土木工事でもあり、資材の調達、工事の下請、地元雇用等の面で相当の経済波及効果がもたらされているものと考えております。
 なお、公共事業は、社会資本の整備を図るという本来の目的のほかに、地域経済を支えるという重要な経済対策としての一面もございます。その観点から、事業予算の確保はもちろん、県内業者、中小業者の受注機会の増大が図れるように、今後とも十分配慮しながら、積極的に公共事業を進めたいと考えております。
 次に、教育についてでございます。
 未来を担う人材を育成する教育の充実・振興は、あすの和歌山を築いていく上で極めて重要な課題でございます。さらに、二十一世紀を間近に控えて、科学技術の進歩、産業構造の変化、高齢化、少子化など、社会が急激に変化する時代にあって、新しい教育の創造に向けた改革の推進が強く求められていると認識しております。
 そのため、このたび私の提案の中に、ライフワーク・カレッジやふるさと塾の創設等による生涯学習の振興を初め、幼稚園から高等学校に至る教育の充実を目指すとともに、心身障害児の教育を充実するための養護学校の新設、すぐれた指導者の養成を図る総合教育センターの建設などを進めていくためのプロジェクトを発表したところでございます。
 今後、こうしたことについて十分な検討を加えながら教育環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 東山議員にお答えいたします。
 まず、住友金属の西防沖埋立地の用途変更についてでございます。
 現在、平成六年三月の住友金属からの申し出を受けて、新たな土地利用について西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会を設置し、環境保全と公共、公益的利用の観点から検討しているところでございます。新たな利用について、事業主体である住友金属から公有水面埋立法の用途変更の申請等がなされた段階で、瀬戸内海環境保全特別措置法との関係を十分踏まえながら判断してまいりたいと考えております。
 次に、JR阪和線の高架化についてでございます。
 海南市において進めているような連続立体交差事業による場合は、交差道路数、交通量の要件のほかに、周辺の区画整理などの面整備が進められている必要がございます。事業化に当たって、これらの点を和歌山市において進めていただかなければなりませんが、相当な困難がございます。
 また、鉄道を高架化するもう一つの方法として、幹線道路を立体化するのに必要な額相当分を国庫補助事業により、残りを市の単独事業で対応する方法がございますが、そのための単独事業費は膨大なものになると考えられます。
 いずれにいたしましても、和歌山市の積極的な対応が不可欠でございまして、市の意向を踏まえ、今後研究してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 住友金属の公害の現況についてお答えいたします。
 住友金属工業株式会社和歌山製鉄所に係る環境改善目標値の達成状況についてでございますが、環境改善対策の実施等により、目標値を満足してございます。例えば、硫黄酸化物排出量については、時間当たり五百五十立方メートルの目標値に対して平成四年度が三百三十七、平成六年度が三百六十一となっております。また、窒素酸化物排出量についても、時間当たり六百三十立方メートルの目標値に対して平成四年度が四百三十二、平成六年度が四百四十七となっており、製鉄所の稼働状況によって変動はございますが、環境改善目標値をいずれも満足してございます。今後も、環境改善目標値を達成するよう必要な指導を行ってまいります。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 東山議員にお答え申し上げます。
 LNG火力発電所の立地については、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の中間報告で、最終判断のためには通商産業省の環境影響評価要綱等に基づく調査の実施が必要であるとされております。これを受けて、平成七年四月から事業者により環境調査とともに、阪神・淡路大震災を踏まえ、液状化等の地震対策を含む安全性の検討も実施されているところであります。
 県といたしましては、検討委員会の最終答申を待って、電源立地の県の判断基準の一つである安全性について、ご質問の地質や活断層の問題を前提とした液状化、構造物の耐震性、防災保安対策等を含め、建築基準法、消防法、高圧ガス取締法、港湾施設の技術上の基準、及び火力発電所の耐震設計指針等の規定に照らして慎重に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 私立学校における学校週五日制の取り組み状況でございます。
 高等学校では八校のうち五校、中学校では七校のうち四校、小学校では一○○%──これは一校だけでございますけれども──幼稚園では四十七園のうち四十六園が月一回以上実施しているところでございます。また、月二回以上の実施率は私立学校全体で約六○%となっております。
 私立学校については、各学校の自主的な判断を尊重しつつ、本制度の実施が時代の趨勢であることにかんがみまして、従来から実施についての要請を行ってきたところでございます。
 なお、学校週五日制の未実施に伴う私立と公立との授業時間数の格差については、学校経営上の観点とか保護者の要望等、難しい問題がございますけれども、和歌山県公私立高等学校協議会の場等において種々協議を行っているところでございます。
○副議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題、六点についてお答えいたします。
 まず、教育の現状についてであります。
 もとより教育は、知・徳・体にわたる豊かな人間形成を目指す活動であり、時代を超えて変わらない価値を追求する営みであります。同時にまた、国際化、情報化など社会の急速な変化に柔軟かつ的確に対応することが求められております。今日の教育には、過度の受験競争、偏差値偏重による安易な進路指導がもたらす弊害、また社会体験や自然体験の不足などさまざまな課題がございます。
 今後の学校教育においては、これらの諸課題にきめ細かく対応するとともに、特に子供たちの個性を伸ばすために、新しい発想に基づき、幅広く柔軟な教育を推進する必要があると考えてございます。このため本県においては、やわらかい制度と温かい援助を基本理念として、学科の新設、改編、総合学科の創設、高等学校間の連携、入学者選抜の改善など、教育改革に係る諸施策を積極的に展開し、魅力と特色のある学校づくりを推進してきているところであります。また、本県教育の水準を一層引き上げる決め手は中学校教育の充実にあるとの観点に立って、本年度から庁内に中学校教育活性化プロジェクトチームを設置いたしました。この中で、選択履修幅の拡大、チームティーチングの導入、情報教育の充実、さらに中学校と高等学校間の連携など、幅広く検討を行っているところであります。
 次に、日教組第八十回定期大会における運動方針については、私は従前から、教育界に分裂や対立を生じさせたり、ただ批判することだけでは結果として子供たちのためには好ましくないと考えており、このたびの日教組の路線変更については、子供に視点を当て、時代の要請にこたえる新しい教育の創造という観点から評価できると受けとめてございます。
 今後、積極的、建設的な提言等に対しては謙虚に耳を傾け、関係者と一体となって教育改革等を推進してまいりたいと考えます。
 次に、学校週五日制についてであります。
 これは、生涯学習社会等を視野に入れ、学校、家庭及び地域社会の教育全体のあり方を見直し、生活や遊び、自然との触れ合い、ボランティア活動などさまざまな体験を通して、心豊かでたくましい子供の育成を図る観点から実施しているところであります。
 こうした趣旨を生かすために、各学校では、野菜や米づくりなどの体験的な学習、社会科や理科等で問題解決的な学習を取り入れるとともに、有意義な余暇の過ごし方についても指導しているところであります。また本年度から、全国で初めての学校外活動推進モデル事業を実施し、子供たちの豊かな交流が行われる場の提供を進めているところであります。各種アンケートの結果によると、親子の触れ合いの時間がふえたこと、好きな遊びができたことなど、それぞれにゆとりを活用している様子がうかがえます。
 学校週五日制と授業時数のかかわりについては、本県では従前から授業日数等が全国水準より低い実態があることを踏まえ、年間を通じて学校行事等の精選、短縮授業の見直しなどを行い、授業時数を確保するよう指導してきたところであります。余暇活動の場につきましては、学校施設の活用はもちろんのこと、県立、市町村立の施設の活用を進めてございます。今後、関係機関との連携のもとに、一層の拡充に努めてまいりたいと考えます。
 高校生の中途退学につきましては、平成六年度、県立高等学校では、全日制で五百三十九名、在籍生徒数に対する比率は一・六%で、ここ数年横ばいの状態が続いてございます。退学後の動向については、就職五二・一%、専修学校等への進学及び他校への転学が一四・七%で、特に単位制課程を置く定時制高校への転学等を希望する生徒が増加しております。
 主な対策としては、各学校において中退者対策委員会等を設け、一人一人に視点を当てた学習指導の充実によって中途退学の防止を図るとともに、生徒や保護者との連絡を密にして、個々の生徒の希望に沿った進路の確保にも努めております。相談窓口の設置につきましては、各学校における取り組みや関係機関との連携を考慮しながら研究してまいりたいと考えます。
 いじめ対策につきましては、本年一月、総点検を実施いたしましたところ、いじめの件数は小学校で四十八件、中学校で四十四件、高校で五件でございました。
 教育委員会といたしましては、この問題の解決は緊急かつ重大な課題であると受けとめ、本年一月、庁内に登校拒否・いじめ問題に関するプロジェクトチームを設置し、さらに本年四月には、精神科医や教育相談の専門家等により構成する登校拒否・いじめ問題に関する検討委員会を発足させております。ここでの協議を踏まえ、教育相談電話の活用を初め、地方教育相談推進委員を八名から二十名に増員するとともに、PTA研修会や家庭教育研究協議会などにおいて積極的にいじめの問題を取り上げるなど、問題解決への取り組みに努めております。
 今後は、従前のような調査等にとどまらず、専門家等の意見を踏まえた、より綿密な実態調査の実施やポスター、パンフレット等による啓発に努めるとともに、いじめを早期発見し、子供の気持ちを温かく受けとめて解決を図れるよう、教員の資質向上と、学校内はもとより、家庭、地域を含めた協力体制の確立に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、同和教育に関してであります。
 先般行った「学習状況調査」の結果によりますと、昭和五十三年の調査と比較して全般的に総合正答率が向上しており、全体の児童生徒と地区児童生徒の差が若干縮小しているものの、依然として差があることを厳しく受けとめてございます。特に、保護家庭や母子、父子、両親がいないという条件が重なった場合、さらに正答率が低くなっている状況がうかがえます。
 こうした点を踏まえ、地域の実情や地区児童生徒の実態に即した学力向上の取り組みが重要であると考え、本年度、全県的に同和教育推進教員の配置や任務の再認識を行うとともに、学力向上特別対策教員の重点配置を行ったところであります。
 今後とも、学校長や同和教育推進教員はもとより、担任を初めすべての教職員が同和教育の重要性を再認識し、家庭や地域及び関係諸機関と連携を図りながら、課題の解決に向けて一層努力するよう学校を指導するとともに、必要な行政施策を推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で東山昭久君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十五分散会

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