平成7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時六分再開
○議長(橋本 進君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番新島 雄君。
 〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 「アレキシス・カレル(仏、一九一二年、ノーベル生理学・医学賞を受賞)の言葉に、『われわれは大理石であるとともに、彫刻家でなければならない。自分の本当の顔を作るために、自分という素材に大きな“のみ”をふるえ』と、あります。わたしは(中略)先人の方々の、自分のふるう“のみ”の厳しさ、するどさに心をうたれ、大きな教訓を得るおもいです」。
 知事、この文章を覚えておられますか。これは、平成三年、和歌山県が発行いたしました「和歌山の先人たち」という本の中にあります仮谷知事のあいさつ文の一部であります。知事も、和歌山県という自然豊かな素材にいろんな思いでのみを振るってきたんだろう、そのように考えております。本当にお疲れさまでございました。
 それでは、お許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。お昼の休憩が終わりまして、おなかの皮が突っ張りますと、どうしても目の皮がたるんでまいります。子守歌にはならないと思いますが、いましばらくご辛抱をいただけたらと、お願いを申し上げます。
 栗本義彦、一八九七年、海草郡の四箇郷村──今の和歌山市四箇郷地区でありますが、彼はそこに生を受けました。彼の名前を知らない人が大変多いかと思いますが、当時で言いますと日本の一流のマラソンランナーでありました。彼は、和歌山県師範学校、そして東京高等師範学校を卒業後、文部省の課長、それから日本体育大学の学長、そして体育団体の各会長の要職を務め、東京でオリンピックを開くために尽力をなさった人であります。
 昨年、広島ではアジア大会が開催をされました。そして、ことしは福岡でユニバーシアードが行われました。また、二〇〇二年、大阪がワールドカップ大会に名のりを上げております。また、もっと大きなところでは、長野でオリンピックが開催されようとしているのであります。ここらで和歌山も、そう感じるのは私だけでしょうか。
 この十月一日から、世界体操選手権というのが開かれます。福井県の鯖江市という人口六万四千人の小さな都市であります。和歌山はリゾート博を立派にやり遂げたではないですか。県民が一つの目標に向かって進んでいく、そんな国際大会の開催計画や招致運動が今から始まってもよいのではないか、そのように考えます。今、そんな考えをお持ちでありましたら、また、全然ないのか、これから検討できるのか、できないのか、ご答弁をお願いしたいと思います。
 また、それに関連しまして、国際大会や全国規模の大会を開催しようと考えますと、施設が必要になってきます。そうでなくても、国体以来、和歌山県の施設は大変古くなっているように感じます。全国的に見ましても、私は十年前、富山県を訪れることがありまして、その折に県営の五十メートルの室内プールを見学させていただきました。プールの底が上下をするわけであります。ですから、どんな水泳の競技にも利用ができる、そんな施設がもう十年前に富山県にできておりました。現在、和歌山県にはその五十メートルの室内プールすらありません。
 また、全国で夜間照明つきの野球場のないのは、たしか和歌山県だけではないでしょうか。テニス場、サッカー場、ラグビー場、スポーツを愛する県民はいろんな要望を持っております。知事も武道家でありますから、その辺の声は届いていると思うのですが、限られたパイの中でその予算をどう使うか。いろんな理由で、現在に至っていると思うのであります。
 しかし、私としましては、もっともっと教育やスポーツというものに対して予算を使っていただきたい、そのように考えます。このたび、和歌山操駅のところに多目的ホールができますが、県立体育館や武道館、そういう建物も古くなってきております。ここらで一新して、総合的な施設の充実が必要ではないかと考えます。
 ただ、スポーツ施設となると総合運動公園といったものを発想するわけですが、ここからは私案でありますけれども、例えば野球公園、またはサッカー公園といったお考えがあってもよいのではないか。サッカー公園では、一つのグラウンドでシニアの方々が試合をしている。またもう一つのグラウンドでは、ジュニアの子供たちが試合をしている。そしてメーンスタジアムでは、県の高校の決勝戦が行われている。そして、子供からお年寄りまでサッカーを通じて交流ができ、サッカー好きがそこへ行けばいろんな交流が持てる、そんな場所であったらいいなとも考えます。また、野球公園なんかでは、少年野球専用の野球場があったり、サブグラウンド、室内練習場、はたまたプロ野球が立派に開催できる球場、そのほかにも、そこへ行けば野球の歴史や変遷が一目でわかる野球博物館のような施設、そんな施設が一つのところに集まった、そんな野球公園がこれから求められるのではないかな、そのようにも考えます。
 これからのスポーツ施設を充実していく中で、総合的に、そして中長期的に計画を推進していく時期だと考えます。お考えをお答え願います。またそれと並行して、スポーツの振興、強化というものに対しての施策をお聞かせください。一流競技者を生み、施設を充実し、県民一体となった振興、強化策が必要と考えます。
 和歌山には、観光やリゾートという切り口がよく使われます。私は、健康や教育、福祉をも含んだスポーツという切り口がこれからの和歌山にとって大変重要だと考えます。何としてでもスポーツ王国・和歌山を創造したい、そう思い、今その一歩を踏み出していただけないものか。すばらしい答弁を期待しております。
 次に、本年創立五十周年を迎えました県立医大でありますが、昨年十二月、紀三井寺の競馬場跡地に、附属病院を併設した移転工事が始まりました。平成十年度には移転が完了すると聞いております。となると、現在地には一・七ヘクタールの更地があらわれます。和歌山市の真ん中、お城のそばであります。この土地の利用計画についてお尋ねをいたします。
 私は、この場所は和歌山の顔になり得る条件を備えていると思います。高度な都市機能を備えた、人々が集い、にぎわい、文化的、教育的、そして心安らぐ施設であり、また国際的にも通用する施設でなくてはならないのです。平成九年完成予定の多目的ホールとの兼ね合いもありますが、例えば、国際会議場を備えた観光の拠点となり得る都市型ホテル、また芸術性豊かな文化施設なども考えられると思いますが、いかがですか。この土地を生かすか殺すか、和歌山の顔づくりには大きな意味を持つものと考えます。
 この跡地利用につきましては、今年度予算に都市型高度複合施設整備調査事業として一千余万円が計上されておりますが、この事業のこれからの進展タイムスケジュール等をお聞かせいただくとともに、スムーズに跡地利用が行われることを願っております。
 もう一点、その跡地のすぐそばであります。また跡地ができます。和歌山市役所そばに約六百五十坪の西警察署があります。この土地も、平成九年中には更地となってまいります。この土地に関しては私有地と県有地とが混在し、ややこしくなっておるのですが、利用計画等、現時点でのお考えをお聞かせください。また、利用計画につきましては、和歌山らしさというものを忘れず有効利用をお願いしたいと思います。
 なお、新しい県立医大並びに附属病院については、十分かつ高度な設備を備え、学ぶ学生にとっても、患者の皆さんにとっても、また和歌山県の福祉、医療という観点からも、立派な誇れる施設ができることを要望しておきます。
 最後に、今議会の知事の説明の中、紀淡連絡道路をこれまでの可能性調査から平成十年度事業着手に向けての事業化調査へ切りかえとあります。この問題につきましては、先輩議員が太平洋新国土軸として質問をなさっておりますが、私のふるさと・加太にも関連をしておりますので、お許しをいただきたいと存じます。
 十年の事業化となりますと、夢のかけ橋が夢でなくなってまいりました。ぜひとも早期実現を望むものであります。大阪湾環状経済圏を創造し、人、物、金が流通する、ワイズマン博士が提唱しました太平洋新国土軸ですが、今、日の目を見ようとしており、次代への心のかけ橋として大きな期待をしております。
 そこで、お尋ねいたします。
 知事は、何年ごろ橋がかかるとお考えですか。希望的観測も含めてお答えをいただきたい。また、この道路がこれからどのような経過を経てつくられていくものなのか、お教えをいただくとともに、和歌山県としてなぜこの橋が必要であり、どれだけの波及効果をもたらすものなのか、またこの道路と並行して進めていかねばならないものは何なのか、わかりやすくご答弁をいただきたいと思います。
 今、国民や県民に夢を与えることができるのは、政治であり、行政であると考えます。これからの和歌山県の発展と日本の夢を議論し、創造し、そして子供や孫に引き継いでいく、そんな思いを込めて一般質問をさせていただきました。
 夢あふれる答弁を期待し、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 新島議員にお答え申し上げます。
 スポーツの問題については教育長から答弁いたしますけれども、教育の分野においてスポーツがいかに重要かということを私も十分認識しておりまして、人間形成の上において非常に重要な問題だと思っております。
 それから、紀淡連絡道路でございます。
 これについては本会議でも答弁しているところでございますけれども、平成五年から、県としてもこの橋をかける調査費を兵庫県、建設省とともに協力し合って出しておりまして、また今回の追加予算においても計上させていただいておるわけでございます。
 事業を進める上において最も肝心なことは、県並びに地元の熱意がどんなものかということではないかと思ってございます。そのことは、和歌山県のみならず、近畿府県の状況、また財界の状況、この熱意というものが決定していくのではないかと思っております。
 そうした意味において、関係府県と連絡をとりながら国への要望活動を積極的に推進していくため、紀淡海峡交流会議、大阪湾環状紀淡連絡道路建設推進協議会をつくったところでございまして、また、本年五月には経済界において、その実現を進めるために紀淡連絡道路建設フォーラムというのを設立していただいて、応援をしていただいております。また、こうした形を進めるとともに、国の五全総の中に取り入れられることが最も肝要なことでございますので、行政関係、議会関係、そしてまた財界等、地元を挙げての早期実現へ向けての活動が絶対必要であると思っておるわけでございます。
 いつできるかということでございますけれども、私は、平成十年には着工にかかっていただきたいと思います。明石海峡が十二年かかってできるわけでございます。明石海峡よりもちょっと大きゅうございますので、やはりもう少しかかると思うわけでございます。はっきりなにはできにくいですけれども、二十一世紀の早期の段階においてこれを完成していただきたく、努力してまいりたいと思っておるところでございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 新島議員ご質問の、県立医科大学移転後の跡地の利活用についてでございます。
 現医大のある地域は和歌山市の中心部に位置し、けやき大通りを隔てて和歌山城や美術館、博物館にも近く、歴史、文化の豊かなすぐれた景観に恵まれたところでございます。したがって、関西国際空港に近接した二十一世紀の国際都市にふさわしい、人・物の交流や高度情報化時代への対応、また県民の憩いの場となるような空間の創造など、導入すべき諸機能や事業手法等についてこれまで職員によるワーキンググループで検討してまいったところでございますが、本年度は一定の方向を導き出すべく、議員ご提言の趣旨をも踏まえ、本格的な調査検討を進めてまいりたいと考えてございます。次年度以降は、その検討結果をもとに有識者や関係各位のご意見を伺いながら計画を具体化し、移転完了後の速やかな事業化に向けて努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、紀淡連絡道路による波及効果についてでございます。
 紀淡海峡部は、大阪湾環状道路はもとより、関西大環状道路網及び太平洋新国土軸の要衝部に当たり、ここに紀淡連絡道路が整備されると和歌山は広域的な国土軸や東西交通結節点上に位置することとなり、また関西国際空港への南からの進入ルートともなることから、半島性からの脱却や本県の今後の飛躍的な発展を期す上で必要不可欠なプロジェクトであります。
 この紀淡連絡道路は、観光、リゾートの振興に大きく貢献することはもちろんでありますが、新たに居住や商業、物流、アミューズメントなどの都市機能の立地を促し、本県にはかり知れない経済効果を及ぼすものと予想されます。本県としては、この波及効果を的確に受けとめ、より大きく拡大させるために、物流拠点の形成や交流施設の整備、快適な居住空間の形成などに取り組んでいるところであります。
 今後とも、紀淡連絡道路を県勢発展の最重要プロジェクトとして、一日も早く実現できますよう、県議会の皆様のご協力を得ながら懸命の努力を払ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 和歌山西警察署の移転に伴う跡地利用についてでございますが、この用地については、現在のところ具体的な利用計画は決定されておりません。
 今後、将来の利用計画等について十分協議しながら有効利用を図ってまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 新島議員の紀淡連絡道路についてのご質問にお答えいたします。
 紀淡連絡道路は、昭和六十二年に第四次全国総合開発計画において大阪湾環状交通体系の一環として位置づけがなされ、また平成五年度を初年度とする第十一次道路整備五カ年計画において「地域の活性化施策の推進とあわせて事業の具体化を図る」と明記されているところでございます。
 このため、平成三年度から建設省による調査が開始され、平成五年度からは和歌山県、兵庫県、建設省が共同で現地調査を開始しておりますが、平成六年十二月には紀淡連絡道路調査委員会が開催され、学識経験者の方々から紀淡海峡大橋については技術に十分可能であるという意見が出されております。今後、大阪湾ベイエリアの開発等の活性化施策を推進するとともに、地域の熱意を国に伝えることが必要であると考えております。
 これからのスケジュールでございますが、今後、紀淡連絡道路の海峡部及び陸上部のルートの環境現況調査や長大橋の技術的な検討などに加え、事業主体、事業手法等についての検討を深めた後、事業化の運びとなると考えてございます。
 また、本州四国連絡橋の明石海峡大橋は昭和六十一年四月に着工し、平成十年春の完成まで十二年かかる予定となっておりますが、今後の長大橋については、事業費を圧縮するためにも工期の短縮が必要であると言われているところでございます。このため、工期についてはできるだけ短期間となるよう国等と連携しつつ検討を深めるとともに、県議会のご支援をいただきながら、早期実現に向け国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) スポーツ振興方策、三点についてお答えいたします。
 スポーツ活動は、県民の心身の健康保持・増進はもとより、好ましい人間形成のために極めて有意義であり、従来より普及振興に取り組んできているところであります。特に、選手がオリンピック大会を初め各種の競技大会で活躍する姿は、県民に大きな勇気と感動と夢を与え、スポーツ活動への意欲をかき立てるものでございます。
 このため、関係団体のご努力により、本年五月に体操競技の世界選手権日本代表決定競技会を初め、昨年は、ヨット競技の世界選手権大会、バスケットボール競技の第二十八回日本リーグ和歌山大会など、国際競技大会や全国大会などを積極的に誘致、開催をしてまいりました。今後は、平成九年完成予定の多目的ホールを視野に入れ、二十一世紀をも展望した中で、ビッグイベントの誘致開催に向け努力いたしてまいりたいと考えます。
 また、ビッグ大会の開催や日常のスポーツ活動の拠点となる施設の整備については、スポーツ施設の現状と和歌山県スポーツ振興審議会の答申を踏まえ、二巡目国体の開催等を展望しながら、関係部局と連携を図り、総合的な観点から検討してまいりたいと考えております。
 なお、競技スポーツの振興、選手の育成強化については、県体育協会と連携して進めている企業スポーツクラブへの補助、中学校・高等学校の優秀スポーツクラブ及び選手の指定、指導者の資質向上を図る講習会など、各種の競技力向上事業の充実を図りながら、中長期的な展望に立った強化をなお一層推進してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。

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