平成7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時五分再開
○副議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、質問を申し上げてまいります。
 まず初めに、フォレストシティ計画についてでございます。
 去る七月十日、大阪地方裁判所は、フォレストシティにかかわる用地不正買収事件に対して、国土利用計画法及び所得税法違反として最も重い刑にさらに加重した有罪判決を下しました。その判決内容は、事業主体である和興開発株式会社に、会社の業務として起こったものであるとして国土利用計画法違反、罰金刑五百万円、そして元社長前田喬氏に、国土利用法、所得税法違反で懲役二年六カ月、罰金一億一千万円、ただし、この罰金を完納することができないときは金三十万円を一日に換算した期間を労役場に留置すると厳しい口調で判決文を読み上げ、さらに元専務理事であった東山紀男氏に対し、懲役六カ月と二年間の執行猶予を言い渡しました。判決の中で裁判長は、「両法律違反を犯す動機やその犯行のあり方は、法の規制よりも企業の経済的活動を優先する発想によるものである。法の目的に正面から背反し、かつその規制の趣旨をもなくすものであって同情の余地はない」と、きっぱりと断罪いたしました。用地買収における犯行の一つ一つに、また脱税方法のやり方一つ一つについて、詳しくその罪の重大さを明らかにされたところです。ここではその詳細について申し上げられませんが、裁判長は、「巧妙かつ大胆な手口で、しかも悪質かつ卑劣であって同情の余地はない」と、これにもきっぱりと繰り返し断言しているのであります。
 一般的に企業は経済活動を優先するものですが、それはあくまでも法を守った上でのことであります。和興開発株式会社は、金もうけのために社長みずから積極的に、しかも主体的に法を犯し、手段を選ばぬ犯行を重ねてきたのであります。ですから、私たち県民は絶対に容認することはできません。まさに、法をも恐れぬ反社会的企業そのものの体質が県民の前に暴かれたのであります。特に、県や税務署に対し故意に不法行為を頻繁に繰り返したもので、極めて悪質企業と言わざるを得ません。もはや、和興開発に対する社会的信頼は犯罪企業の汚名とともに失われたことになります。
 この際、県はフォレストシティ計画の開発許可に係る審査以前の問題として、企業としての資質や社会的信用について根本から見直すことが急がれなければなりません。事件発覚後、メーン銀行である紀陽銀行から社長を初め役員を派遣し、一新したかのように企業のイメージチェンジを図ろうとしていますが、犯罪企業であることの汚名は将来的にも決して県民の脳裏から消えることはないでしょうし、紀陽銀行そのものも問われることになります。和興開発株式会社及び元社長、役員等の犯罪行為に明確な有罪判決が下された今、知事、企画部長、土木部長、農林水産部長はどのような所見をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
 ところで、新聞報道によりますと、このほど進入路の計画変更申請が行われたようであります。県は、その申請内容を承知しているのでしょうか。承知しているならば、具体的計画を示されたいと思います。
 報道記事の計画図から見てみると直接影響を受けるであろう住民に、何ら説明が行われてきておりません。こうした道路変更によって隣接となる住民の同意は必要ないのでしょうか。また、進入路変更によって鳴滝不動さんの水がれは改善されるのでありましょうか。私たちは、いかなる方法であったとしても、開発をやめない限り、鳴滝さんの水がれは改善されないと思います。また、環境アセスメントの再調査の必要性はないのか、関係部長の答弁を求めます。
 既に、フォレストシティ問題が論議され始めてから五年以上が経過いたしております。開発計画地域である和歌山市園部・六十谷・直川地区住民に対しての計画説明が、いまだに行われないという状況もございます。また、住民の疑問や不安に果たしてこれまで答えてきたのでしょうか。和興開発はこの二年間というもの、県が最小限、住民同意が必要と指定した自治会にさえもまだ説明が行われていない現状にあります。一方では、開発推進のため進入路の計画を進めるという、住民に説明も全くなくこういう事態が進んでいます。余りにも住民不在の姿勢が改まっていないのではないでしょうか。こういうところに、住民からの信頼が寄せられるはずはありません。私は和興開発株式会社に対して、地域住民をばかにするなと言いたいのです。県はこれまでどのような指導をされてきたのでしょうか、お答えいただきたい。
 県は、有罪判決を受けた、いわば社会的信用を失った企業である和興開発株式会社が計画申請しているフォレストシティ計画を、燦黒潮リゾート構想の重点整備地区の一つの計画として今後もなお推進するお気持ちですか、明確な答弁を願うものです。
 一月十七日に起こった阪神大震災、この活断層による地震で多くのとうとい命が奪われ、今なお被災者のご苦労が続いているところです。私たちも、さまざまな教訓を学び取りました。災害を最小限に食いとめるための対策が急がれるところと痛感しています。中でも、フォレストシティ計画のある和泉山系は中央構造線上にあり、活断層、破砕帯の多発地帯という特徴が以前から指摘をされ、私どももそのことを訴えてまいりました。震度七に耐え得るフォレストシティ計画の改善策について県はどのような指導を行ってこられたのでしょうか。具体的にお示し願いたいと思います。
 次に、老人福祉についてお伺いをいたします。
 国民の九割が老後に不安を感じております。寝たきりや痴呆症になったときの不安はトップを占めると言われています。とりわけ、介護に苦しむ家族の切実な困難を解決することは、一刻の猶予もできない課題となってまいりました。
 先日、八十歳の至って見るからに元気そうなお年寄りが、「みんなに迷惑をかけるから長生きしとうないわ。ぽっくり死にたいな」と言われましたので、「どうして」と聞きますと、「何も楽しいことないもん」と。私は、返す言葉が見つかりませんでした。本来なら長生きは喜びであるはずなのに、迷惑だと感じさせていることに責任を感じたからです。実に悲しい現実です。
 本県の高齢者人口は一七・六%、在宅の寝たきり老人は三千六百八十九人、特養ホームなど施設に入って寝たきりになっているお年寄りが九百二十三人です。介護に疲れ果てた家族の崩壊、孤独死、特養ホームの入所希望者、待機者がこの四月一日で七百六十七名と、ふえてまいっています。病院を追われる高齢者など、私たちの周りで高齢者をめぐる深刻な事態は、その深刻さを増すばかりであります。
 政府は、国策として二○○○年に向けて高齢者介護対策を抜本的に拡充するとして、今年度から新ゴールドプランを発足させました。しかし、この中身を見てみますと、一定の改善は見られるものの、在宅サービス、福祉施設の整備目標は質量ともにまだまだ不十分です。高齢者や家族の願いにはほど遠い内容と言わざるを得ません。相変わらず家族頼みの介護であったり、ボランティアに期待するという内容であります。
 例えば、ホームヘルパーを一・七倍にふやして十七万人にしても、原案は二十万人でありましたから、三万人もカットしていることになります。この十七万人は、市町村の老人保健福祉計画の集計値に置きかえただけのものであります。この目標が達成されたとしても、デンマークの五分の一の水準と言えます。しかも、その七割は身分不安定な非常勤職員という安上がりの計画で、肝心な専門職員の確保や財源保障に見るべき改善が示されていないところに問題があります。しかし、高齢者の在宅介護にせよ、介護問題は放置できないところまで来ていますから、本県のゴールドプランの目標達成は急がねばなりません。いろいろな支援策があるにもかかわらず、県民にそのメニューが知らされていないため、サービスを十分利用することができないでいます。県民への広報活動をどのように行われてきたのか、伺いたいと思います。
 私は、先日、在宅介護で肉体的、精神的にもう限界ぎりぎりで、それでもなお介護を続けなければならないという、必死の思いで頑張っている七人の方々の集まりに参加をさせていただくことができました。そのご苦労を紹介して改善策を求めたいと思います。
 寝たきり老人の年齢は、八十歳以上が四人、七十歳代が二人、六十歳代が一人、主に介護している方は、お嫁さんが五人、娘さんが二人、いずれも三十歳代後半から四十歳代の年齢であります。兄弟はあっても、よほどのときでないと交代はしてもらえない人、また寝たきりになって同居した人、別居のまま通いながら大変な介護をしている人、そして一人住まい、老人世帯、同居と、さまざまでありました。具体的に事例を申し上げます。
 まず一つの事例は、七十歳の母親であります。若いときから関節リューマチで病院通いをしておりました。家では、寝たり起きたりの状況でありました。しかし七年前、右足関節骨折を起こして寝たきりとなりました。父親が定年時期で退職直後でもあったので介護をしてこられましたが、その父親が胃がんを発病され、入院、手術と相なったために介護ができなくなりました。それで、大阪で働いていた娘さんが長い間勤めていた職場を退職し、家族五人全員が帰ってきて母親の介護をすることになりました。それから七年余りになります。退職せざるを得なかったこの娘さんは、もっと早く介護休暇が制度化されていたなら退職しなくてもよかっただろうにと言われているんです。早く介護休暇を実施してほしい、四年後の実施ではもう遅い、こう訴えていらっしゃいます。
 母親は、病状も進んできております。手の関節の変形、また首の周りの痛みも常にあります。スプーンを手に持つのも大変です。全身の皮膚も、表皮が薄くなっているために少しの刺激で出血しやすくなりました。おむつ交換するだけでも、優に三十分はかかるようであります。支給されているおむつのやわらかいものでも出血をするそうです。そして、おむつや寝巻き、あるいはシーツのしわでさえも出血をするようになっています。さらに、難聴も進み、ごく最近、補聴器も大きなものと交換いたしました。体位交換するときでも、よほど慎重にしない限りすぐ骨折をするという事態にあります。ホームヘルパー派遣を頼みたいけれども、家の中に他人が入ることにちゅうちょをしていたこの娘さんは、二年前、五年間続けた介護で体はくたくたになって、もうこれ以上続けられないというところまで参りました。二年前、週二回のホームヘルパーサービスと月一回の家庭奉仕員のサービスを受けるためには大きな決意が要りました。今は、大変助かっているとおっしゃっています。しかし、この娘さんは、家族の面倒も見なければならないという状態の中で、とにかくゆっくり眠りたいという要求が強くあるし、外出、外泊もままならないという状況にあります。
 二つ目の事例でありますが、八十歳の義理のお母さんを介護していらっしゃる方です。このお母さんは、痴呆症で一人住まいです。十年前、風邪をこじらせてから寝たきりとなりました。介護者は四十九歳で、介護しているお母さんのお家から約三百メートル離れたところに自宅を構えて、そこで自営業を行い、その事務員として働きながら、このお母さんの介護のために、朝、昼、夕の食事の介助、おむつ交換、清拭、洗濯、掃除と、十年間続けてまいりました。ノイローゼぎみになったときもあったそうです。この十年間、一度も外泊したことがないということで、今、週一回のデイサービスを受けているそうです。夫が施設に入れることを大変嫌がるために在宅介護をしなければならない、そういう状況にもあるわけです。このお母さんは、いつも失禁しているために、腰の周りはおむつが外れてしまってじゅくじゅくで、床ずれが治りにくくなっている現状にあります。自宅で介護したけれども、環境が変わったためかパニック状態に陥り、仕方なくまたもとの自宅に帰さざるを得なかったそうです。早朝あるいは夕方、一日わずか十五分でいいからヘルパーの派遣を何とかしてほしい、しかし早朝から来てくれる人があるだろうか、こういう心配もしています。
 これらはごく一部の例でありますが、わずか一時間余りの短い時間の中で、実に多くの切実な悩みや要求が出されました。
 例えば、サービスを受ける手続の簡素化、サービスを提供する行政のお恵み的な姿勢が数多く見受けられる、皮膚科、リハビリ、看護などでの専門職員の訪問サービスをしてほしい、福祉タクシーの台数をもっとふやしてほしいし、たやすく乗れるようにしてほしい、介護手当の支給や介護休暇の早期実施、ホームヘルパーの派遣は必要な回数と必要な時間を、おむつの支給は病状が変わるたびにその条件に応じて変更をできるようにしてほしい等々、在宅福祉を充実させ、行政がもう一度こういった大変な方々の願いを実現させるために検討を願うものでありますが、いかがでしょうか。
 さて、特別養護老人ホームの目標は、和歌山県は三千床であります。これは、早くも達成しつつあります。しかし、入所希望者は日を追うごとにふえていると聞いております。改めて、目標の見直しが急務となってきたのではないでしょうか。多くの入所待機者が半年や一年もの間待たなければならないという異常な事態は、急いで解決すべきです。民生部長、いかがでしょう。
 また、三千床を目標とした老健施設の問題であります。今、三千の目標に対して千七百床達成したことになっていますが、設置希望者も多いと聞いております。さきの六月議会においてもこの問題が問われたわけですけれども、設置希望の申し込みを制限というよりも、もうストップしていると伺いました。目標達成はもう目前にあるのではないでしょうか。これまた見直しが必要となっているのではありませんか。保健環境部長の答弁を求めます。
 老人福祉を充実させるためには、高齢者がたとえ障害を持っても、住みなれた家や地域で安心して暮らせるようにすることです。そのためには、だれでも、いつでもどこでも必要なサービスを受けられるよう、国、県、市町村の責任で保健、福祉、医療のネットワークを地域につくり上げることが大切ではないでしょうか。保健、福祉の施設は歩いていける範囲内、中学校区ごとなどの生活圏域に整備し、行政機関や専門的医療機関などと常に連係プレーができるようにし、交通網の整備、相談窓口も一本化し、総合的に行うようにしたいものです。いわば、地域サービスセンターを生活圏域ごとに設置し、ケースワーカーを初め専門職員を配置し、ホームヘルプサービスや訪問看護もここで計画をし調整をしてチームを組んで訪問できるように、また住民の自主的ボランティア活動とも連携しながら地域のネットワークを発展させたいと願うものです。民生部長の所見をお聞かせください。
 続いて、入院給食費の県費助成についてお尋ねをいたします。
 十分な審議も尽くさないで、入院給食費の一部を患者の自己負担とする改悪法案を実施して一年が経過しようとしています。一日六百円、来年の十月一日からは一日八百円となります。医療現場では「薬よりも食事を」と言われるように、入院給食は病気の治療食でもあります。多くの専門家の意見や圧倒的国民の声も、医療保険を適用せよ、自己負担反対ということでした。にもかかわらず強行した法律であります。中でも、老後の経済的保障である年金者や、全く経済活動のできない重度障害者、乳幼児からも徴収するという法は、到底納得できるものではありません。ましてや、法実施に当たって厚生省は、地方自治体の助成は不適切だと都道府県知事に文書を出し、助成した場合、国保事業への国庫支出を減らすなどと圧力をかけ、国民の願いに背いてまいりました。しかし、多くの国民の要求は切実です。国民の運動の中で、当初二十三道府県で始まった助成は、本日時点で、いずれかの方法で二十八の都道府県あるいは政令都市で広がってまいりました。中でも、群馬県、栃木県の全市町村では助成が実施に移され、県民に大変喜ばれていると聞いております。
 和歌山県下のあるご夫婦のお話ですが、定年退職後、夫が胃がんの発病で、ことしに入って二カ月ずつ二回入院を繰り返した。その間、奥さんも肝硬変から肝がんへと移行し、三年前から数回の入退院を繰り返していると言います。医療費は高額受領委任払いにできるけれども、給食費はできないため、高額医療受任費と給食費を合わせて少なくとも一カ月八万一千円は払わなければならない。これは、厚生年金の約半分のお金になるそうです。これからも入退院を繰り返すことになるだろうと思うと経済的不安は募るばかりです、何とか給食費の六百円は助成をしてほしい、お互い夫婦で介護し合えることなく大変情けないと、寂しくつぶやくように語っておられたのが印象的でした。せめて、今県が実施している福祉医療を適用している弱者の方々に助成の再考を願うものですが、いかがでしょうか。
 申し添えますが、助成をすることは不適切という厚生省の文書に対し、我が党が国会で追及をいたしましたところ、厚生省は助成は各自治体の自主的判断と述べていることからも、再考を求めるものです。
 最後に、目前に迫ってまいりました県知事選挙に関連して質問を申し上げます。
 県庁内で、管理職の指揮のもと、現職知事の後援会活動が行われてきた問題については、私どももこれまでたびたび本議場で取り上げてまいりました。八年前には、田辺の土木事務所で職員に担当業者を割り当てるなど、建築、土木業者を巻き込んだ体制がとられていたことが発覚いたしました。四年前には、幹部職員が就業時間中に公然と知事の後援会事務所に出入りしたり、後援会加入申し込み用紙が就業時間中に配布され記入を促されたとか、回収されたその用紙をコピーするために庁内の複写機が使用されたなど、さまざまな事例が寄せられたわけです。県民への奉仕者であるべき県庁の職員が一政治家に奉仕する姿は公務員の自殺行為であると、厳しく申し上げたいと思います。
 ところが、今また、これにも倍するほどの誤りが繰り返されています。今回は昨年末まで副知事を務めてこられた方の後援会活動ですが、「ここまで繰り返し指示がおりてくることはなかった」という声が上がっています。
 一例を申しますと、庁内は、今、部局単位で七つの班に編成されているようです。一班は五名で構成し、九月には日曜日を除くほぼ毎日、夜間の行動が割り当てられており、一日に三班、十五人が夜間の行動に出かける体制がつくられているようです。昼間の活動の拠点が県管理の会館内の一室に設けられているやに聞き及んでいます。出先機関でも、管理職が選挙対策の幹部を務め、建築、土木の業者対策などで采配を振るっているとの訴えが寄せられています。職場では、親戚や知人を後援会へ紹介するようカードを回したり、年休をとってほしいといった要請まで行われているということです。
 知事は四年前、我が党の鶴田至弘議員の質問に対して、「選挙というのはいろいろなことがある。選挙をやる者になってみたら、いろいろある」と答弁をされました。庁内での後援会活動、それがどれほどのことかと言わんばかりのお答えでありました。
 私どもは、職員の皆さんがみずからの政治信条に基づき、自発的な意思で行われる活動に口を挟むものではありません。しかし、仕事の上での関係を利用して、人の政治信条、心の中にまで踏み入ってあれこれと指示をする、これを「いろいろある」と見過ごすわけにはまいりません。職員に忍従を強いることは許されることではありません。いろいろされる方にとっては、苦痛以外の何物でもないことでしょう。民主主義を保障する重要な機会である選挙において、個人の思想、良心の自由を侵す行為は恥ずべきものと言わざるを得ません。
 今、町じゅうに「変える」とか、「変革」とかいった文字が躍っています。政治を変えてほしいという県民の願いを反映したものと言えるでしょう。この際、知事選挙のたびに繰り返される県庁ぐるみの活動はきっぱり廃止する、これが求められると思うんです。総務部長の見解を求めます。
 以上で、第一回を終わります。
○副議長(木下秀男君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 フォレストシティ計画について、有罪判決が決まったわけでございますが、それに対する見解でございます。
 フォレストシティ計画の事業主体である和興開発株式会社が国土利用計画法違反で本年七月に大阪地方裁判所で有罪判決を受けたことについては、まことに遺憾なことだと思っております。
 なお、現在、前社長については大阪高等裁判所に控訴していると聞いてございます。また事業者においては、事件後、社長以下役員の交代など信用回復に向けた努力がなされており、このことは一定の評価がなされてよいのではないかと考えてございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想の中でフォレストシティ計画を推進するのかということでございます。
 燦黒潮リゾート構想の中で重点整備地区の一つである紀泉地域は、関西国際空港にも近く、また都市近郊に位置するという、極めて高い優位性を持っている地域でございます。空港のインパクトを最大限に生かした国際交流型のリゾート空間として、質の高い滞在施設や集会施設、スポーツ、レクリエーション施設などを整備する計画でございます。フォレストシティ計画は、その中の一部でございます。
 リゾート整備は、本県の資源を生かした効果的な地域振興策でございますので、今後とも燦黒潮リゾート構想に基づき、長期的な視点に立って着実な推進に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 村岡議員のフォレストシティ計画についてのご質問、四点についてお答えいたします。
 まず、有罪判決に対する見解についてでございます。
 本計画の事業者並びに元社長などが本件の用地取得に関連して有罪判決を受けたことから、信用面の審査を慎重に行う必要があると考えてございます。事業者においては、事件後、社長以下、役員の交代など信用回復に向けて努力がなされているところでございますので、新体制による誠実な事業執行への姿勢などを十分見きわめて判断してまいります。
 次に、進入路変更計画についてでございます。
 進入道路の計画変更について、正式な申請はなされておりませんが、現在、事業者側で事前の協議がなされていると聞いております。事業の推進については地域住民の理解のもとで進めるのが望ましいと考えており、進入路の変更を行う場合においても、変更計画の内容を関係する地域住民等に十分説明を行い、理解を得るように事業者を指導してまいります。
 お滝の水がれについては、基本的には都市計画法の審査対象とはなっておりませんので、当事者間で話し合った上で解決していくべき問題と考えてございます。
 次に住民合意については、開発に伴うトラブルを未然に防ぐため、開発区域に隣接する自治会の同意を得るよう事業者に指導を行っておりますが、本計画については現時点においてもなお同意の得られていない自治会がありますので、これらの自治会に引き続き説明を行い、誠意を持って対応するよう事業者を指導してまいりたいと考えております。事業者の体制も改められたことも踏まえ、今後の経過を見きわめ判断いたしてまいります。
 最後に、地震災害対策についてでございます。
 フォレストシティ計画については、周辺に活断層などがあることを踏まえ、安全な計画で確実な施工がなされるべきであると考えております。事業者に対しては、さきの阪神・淡路大震災を踏まえ、計画されている調整池などの重要構造物や高盛り土が大震災時に区域外などに二次的災害を及ぼさないよう設計されているかを現行の耐震基準に加え、十分な検討を行うよう指示しております。また、工事の施工管理についても工程ごとのチェック体制の確立を指導しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 村岡議員ご質問の和興開発株式会社の国土利用計画法違反事件については、同法を無視した行為であり、まことに遺憾なことと考えてございます。
 県といたしましては、司法の処分とは別に、無届け取引等に該当した関係者に対し、国土庁通達で示されている無届取引等事務処理基準に基づき、昨年九月十四日に行政処分を行ったところでございます。また和興開発株式会社に対しては、国土利用計画法を遵守するとともに、今後このようなことがないよう強く指導を行ったところでございます。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 有罪判決に対する農林水産部長の見解でございますが、林地開発許可申請者の信用に係る重要なことと受けとめてございます。事件後、社長以下役員の交代等もございましたので、今後とも事業者としての社会的信用について十分留意するよう指導しているところでございます。
○副議長(木下秀男君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) まず、フォレストシティ計画に係る進入路変更計画についてのご質問でございます。
 計画の変更がなされる場合は、その内容を調査の上、事業者に対し環境保全について必要な指導を行ってまいりたいと考えております。
 次に老人福祉について、入所施設と目標の見直しについてのご質問でございます。
 老人保健施設の整備目標については、平成五年に策定した老人保健福祉計画の中で国の水準を上回る目標を設定し、平成十一年度までに三千床を整備することといたしました。これに基づき、各圏域単位にそれぞれ目標を設定し、計画的に整備を図っているところでございます。
 また、本県の老人保健施設の整備状況でございますが、本年九月一日現在、十九施設、千四百四十一床が整備されております。また建設中を含めると、今年度末には二十二施設、千七百床となる予定でございます。
 議員ご指摘の老人保健施設の整備目標の見直しについては、現在、設定した目標に向けて整備中であり、現時点では考えてございませんが、今後、国の動向を見ながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、入院給食費補助についてのご質問でございます。
 入院時の食事負担については、家庭でも要している程度の食事の費用を基準としており、また所得に応じて自己負担額の軽減が講じられているところでございまして、入院されている方と在宅で療養されている方との負担の公平化を図り、今後予想される高齢化社会に向けての各種施策を推進するため、昨年十月に国において実施されたところでございます。県といたしましても、この趣旨を踏まえ、入院時の食費負担をお願いすることといたしました。
 県といたしましては、平成七年度から新規事業として老人保健施設の整備促進のための助成制度の創設を初め、少子化対策としての乳幼児医療費無料化の対象年齢の引き上げや母子家庭医療費助成制度に父子家庭も対象とするなど、さまざまな保健福祉施策の推進を図ることとしたところでございます。今後とも、優先度の高い施策から計画的、総合的な保健福祉政策を進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 在宅福祉の充実についてであります。
 高齢者の方が地域、家庭で家族や友人に囲まれ、健やかな生活を送れるよう、和歌山県老人保健福祉計画に基づき、ホームヘルパー、ショートステイ、デイサービスといった在宅福祉事業の充実を図り、本人や介護する家族の負担の軽減に努めているところであります。
 また、必要なときに必要なサービスを受けていただけるためにこうした制度のさらなる周知が必要との観点から、「県民の友」九月号で高齢者対策の紹介を行うとともに、おむつ給付など利用者の利便性の向上を図りました。
 今後とも、国が昨年十二月に策定した新ゴールドプランの基本理念である利用者本位の考えに基づき、事業を実施する市町村と相談しながら、ホームヘルプ事業の利用時間、回数の弾力化など、利用者の選択の幅を広げられるよう努めてまいります。さらに、今後は在宅福祉サービスの一層の充実を図っていくとともに、福祉用具の普及推進、高齢者、障害者の住みよい町づくりの推進等、在宅での生活を支援する施策の充実に努めてまいる所存であります。
 次に、入所施設と目標の見直しについてであります。
 県の計画における施設整備については、ほぼ計画どおり進んでいるところでありますが、特別養護老人ホームについては、整備目標三千床に対して、七年度に国より採択いただいた施設を整備すると二千九百九十五床となり、ほぼ目標値に達することとなります。しかし、入所を希望されている方が県内において相当数見られるのも事実であります。こうした状況に対して、和歌山県老人保健福祉計画により入所希望者の状況や地域的なバランス等を考慮しながら、緊急性の高い地域から計画的に整備を進めているところでございます。
 今後の施策のあり方については、高齢者の皆さんができるだけ自立して住みなれた家庭、地域で暮らし続けられることが重要との観点から、在宅福祉サービスの充実や福祉用具の普及などに重点を置いて努めていくべきものと考えております。
 県としての特別養護老人ホームの整備目標の見直しについては、現在国において行われている公的介護保険制度の動向等をあわせ考えながら、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
 次に、保健、医療、福祉のネットワークづくりについてであります。
 高齢者福祉については、保健、医療、福祉が高齢者の状況に応じ、それぞれの立場で適切なサービスを提供することは無論でありますが、保健、医療、福祉が一体となって初めて高齢者福祉が達成できるものと考えています。
 このため県といたしましては、各市町村に医師、保健婦、福祉事務所などで構成するサービス調整チームを設置し、保健、医療、福祉の有機的な連携を図るとともに、高齢者が在宅で暮らし続けられるよう、介護する家族の身体的、精神的負担を軽減できる最も有効なサービスの助言、役所への利用手続の代行等を行う在宅介護支援センターを中学校区に一つずつ設置できるよう取り組んでいるところでございます。さらに、県下全体の保健、医療、福祉についての中央相談機関として和歌山県高齢者総合相談センター、いわゆるシルバー一一○番を設置しており、今後とも県民の皆さんが気軽に相談できる環境整備に努めてまいるとともに、サービス調整チーム、さらには地域の民生委員などの協力を得ながら総合的なサービス提供体制の充実を図っていく所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 選挙活動に関するご質問でございます。
 県職員には、地方公務員法により政治的行為の制限や職務専念義務が課されているところでございます。また公職選挙法においても、公務員の地位利用による選挙運動が禁止されているところでございます。
 もとより、個人としての勤務時間外の政治活動については県職員にも認められているところでございますけれども、これら法律の趣旨にかんがみ、いやしくも県民の批判を受けることないよう注意を払ってまいりたいと考えております。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 フォレストシティ問題については、民地開発や都計法、国土利用計画法を所管するそれぞれの部長から答弁をいただいたわけです。
 この判決については、いずれも重くとらえていらっしゃる、認識をしていらっしゃる、そういう点についてはそのとおりだと思います。しかし私は、今後とも企業そのものの体質は恐らく変わらないだろうと思います。なぜならば、金を出している紀陽銀行だって、今、新聞等マスコミが報道しているところによると、非常に危険な銀行だと指摘をされています。そして、これまで私たちがわずかな給料の中から少しずつためていった金がこういうところに使われていったということは許しがたいことだと思います。こういうところに融資をしていた紀陽銀行の責任も問われなければならない。そういう点から見ても、私たちは開発業者としても非常に危惧をしております。
 この取引、無届けや脱税については、当時の企画部長、土地利用計画そのものに直接責任を負った最高責任者が、それも企画部長室で印鑑を押したという裁判所での社長の証言、私も確かに聞きました。こういうことが行政と一体となって行われ、個人的といえども企画部長という資格の者が取引をやったということは許しがたい行政の姿勢であると私たちは思います。
 そういう中で、多くの住民の皆さんたちから、県も一緒にやったんと違うか、こういう疑問が今非常に高まってきています。そういう点でも、このような行政に対する反省そのものも改めて問われなければならないと思います。このことを指摘しておきたいと思います。
 知事、もう一回お答えください。
 ここは非常にいいところだ、だからリゾート構想に盛り込まれている具体的なものについては今後とも推進していくんだとおっしゃいました。私は、フォレストシティ計画そのものをリゾート構想の一つとして今後とも進めていくんですかと聞いているんですから、そこのところをすり違えないでください、ちゃんと答えてください。ちゃんと特定をしているんですから。そこに答弁を求めたいと思います。
 それから、福祉の問題です。
 これは、いい具体策をいっぱい持っているんです。ところが、県民の皆さんたちにはそれが知らされていない。だから、最大のサービスを受ける側の立場に立ち得ていない。そして、事務手続等についても非常にややこしい。これは、もっと簡素化するべきだと思います。
 車いすが欲しい、あるいは補聴器が欲しいんだと相談すると、その動けない患者さんをふれ愛センターに連れていきなさいなどと言う。そういうような非常に冷たい行政の姿勢は改めなければなりません。デンマークや北欧でも、あるいはもう日本全国各地でも、相談に来た人たちのところへ行政側のしかるべき専門家の皆さんがわざわざ出向いていって対応するという姿勢が積極的に行われていますから、和歌山県もやっているんだと言うのだったらそこまで突っ込んでほしい、そういうお願いをしておきたいと思います。
 それから、知事選挙でございます。
 今、盛んに行われているんですが、総務部長、今のあなたの答弁は非常に一般的な答弁であります。じゃ、今和歌山県で県庁の職員がそういう問題になるようなことは全くいたしておりませんと明言できますか。もう一回お答えください。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 フォレストシティ計画は燦黒潮リゾート構想の一部かということでございますけれども、私は先ほど、一部であると答えておるわけでございまして、燦黒潮リゾート構想に基づいてこれを推進すると申し上げたところでございます。
 ただ、フォレストシティ計画の取り扱いについては、先ほど各部長から答弁しましたように、法令を遵守して審査を行い、取り扱っていくということでございます。
○副議長(木下秀男君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 職員は法令に従って行動しているものと信じております。
 なお、先ほども申しましたように、政治的活動についても、個人として勤務時間外に行う行為は、これは許されておりますので、ご了解いただきたいと思います。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 36番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 それは、職員を信じていらっしゃるわけですからそのとおりだと思うわけですけれども。
 きょう、ゆたかで住みよい和歌山県をつくる会が十二時から記者会見をして、この問題について発表しています。その内容を見てみると、やはりこういう問題がしかとしてあると。私の手元に届けられたのにも、ちゃんとあるんです。組織を通じて、各部署から何名出してくださいというようなことがごく自然に行われている。これが事実とするならば、非常にゆゆしい問題だと思うんです。これは早速調査をして、厳然とした対処をしていただきたいと思うわけです。
 この点については、以前からもいろいろと私どものところに寄せられた問題ですし、勤務上の問題として、そういうふうに組織を使って職員の皆さんが動員されてくるということになれば、思想信条、良心そのものも剥奪することになりますし、憲法上の問題としても許せない問題だと思うんです。そういう点で、直ちに調査をしていただきたい。これは、委員会でも調査の経過について求めていきたいと思います。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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