平成7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長にお許しをいただきまして、伝統の和歌山県議会で初めて質問に立たせていただきます。
 仮谷知事のご在職最後の議会において、新人で若輩者の私が登壇させていただくことに感激を覚えますとともに、私の上の方に座っていらっしゃる橋本議長におかれましては、私がまだ国会事務所の使い走りをしていたときに、ある料理屋で議長にお会いさせていただいた際、私に対して、「長坂よ、おまえも政治家になりたいのだったら県議会へ来い」と力強く、温かいお言葉をちょうだいいたしましたことを今も覚えております。このたび四月の選挙において、橋本先生の胸もおかりして選挙を戦わせていただき、幸い、おかげさまで当選させていただきました。そして今ここで、上の方から見守っていただきながら質問させていただくことにも感慨無量のものがございます。
 それでは本題に入らせていただき、以下四点、質問いたします。
 まず最初に和歌山下津港の港湾整備について、和歌山港区から和歌の浦地域にかけてであります。
 和歌山下津港は県下唯一の特定重要港湾であり、近畿圏の太平洋への玄関口に位置すると言える港であります。さきの六月議会で、また昨日も中山議員がご質問されましたが、それにも関連して質問させていただきたいと思います。
 阪神・淡路大震災の後、大阪湾における神戸港、大阪港の代替機能を持つ港であるととみに注目されはいたしましたが、もともと明治時代には沿岸航路の定期船寄港地として栄えたところであり、大阪湾の窓口というロケーションから考えれば、それこそ日本で代表的な港湾に生まれ変われるところであります。
 折しも本年四月六日には、中埠頭(通称・万トンバース)に県内初めてのコンテナ用の荷役クレーンと大型フォークリフトの導入が発表されました。七月二十四日にはチュンキュン海運の定期コンテナ便が開設され、九月六日からは同じ韓国の、世界一周航路を持つチョーヤンシッピングの定期コンテナ船が和歌山下津港に就航し、いよいよ週二便の寄港体制ができたわけであります。航路の選択幅が広がり、在庫を少なくすることができ、また悪天候による欠航などのトラブルがあってもカバーできるなど、利用する客や荷主のメリットは大きくなります。
 まだまだ満船になるほど和歌山下津港自体に集荷能力がない現状でありましょうが、コンテナの陸上輸送料金等、大阪港や神戸港に運ぶことを考えればコストも安価につきますし、中継するための時間的おくれを差し引いてもメリットは出てきます。和歌山周辺以外の荷主もやがて注目してきて、貨物量はふえる可能性が大きいと思われます。また、関空ともあわせ、従来の輸送手段を、また生産拠点を再考する荷主も増加することでしょう。
 ただ、これだけで満足していては不十分だと思われます。近畿自動車道の南伸や太平洋新国土軸構想のような将来の交通アクセスも考慮に入れて、それこそ太平洋側を代表するような港湾に変貌させる長期計画のもと、港湾整備を推進していただきたいものであります。
 例えば横浜の本牧埠頭は、従来の山下埠頭をしのぐコンテナバースを擁し、ガントリークレーンが林立し、ストラッドルキャリアがカニ歩きをしております。近年、埠頭内まで首都高速道路が伸びて、一時東京港に押されていた貨物量も盛り返してきております。これは、和歌山下津港にとっても、これから学ぶべきよき見本であると思われます。
 さて、県が鋭意推進されている土地利用計画には、西浜地区と雑賀崎地区の埋め立て、土地造成がございます。しかしながら、その背後には、片男波から新和歌浦、田の浦、そして雑賀崎へと続く、海岸美日本一とうたわれたこともある和歌の浦地域が控えております。私もこの夏の終わりに、観海閣、万葉館、健康館から始まって養翠園まで、和歌の浦の楽しさ、美しさ再発見とばかりに、海岸線をぐるり一周歩いてまいりました。瀬戸内海国立公園の一部であり、かつて大阪の奥座敷として栄え、今でも和歌山マリーナシティへの観光と相まって観光客の多い景勝地であり、和歌山市内で有数の漁港もあれば、いそ釣り場もあります。最近温泉の出たところもあり、今後、往時のように、いやそれ以上に観光スポットとして脚光を浴びる可能性のある地域であります。ぜひウオーターフロントと海洋・海岸環境保存を並立できる港湾整備であることを要望する次第です。
 港湾施設と雑賀崎の間には、私が小学生のころ遠浅で東洋一の海水浴場と言われた、そして徳川家の庭園である養翠園を擁する水軒地区があります。和歌山下津港が本格的な太平洋側の外港として今後機能するならば、水軒地区は景勝地・和歌の浦と接触する緩衝地帯となるべきであります。ここに、自然と人造物との融合ポイントとして、国際会議場、魚釣り公園等の臨海公園施設があればと、切に願うものであります。もちろん、水軒川の水質浄化も一つの前提条件であります。東京ディズニーランド近くにある葛西臨海水族園は、水族館、臨海公園、人工の浜、ホテルなどから成るウオーターフロントならではの施設であり、これも一つの参考になると思われます。
 さて、以上の意見を踏まえて質問させていただきたいと思います。
 一、和歌山下津港雑賀崎・西浜地区土地造成事業に続いて、長期的視野に立って、外航航路の充実のため、コンテナターミナルの拡張、ガントリークレーンの設置などの外貿港としての今後の港湾整備についてお聞きいたしたいと思います。
 二、さきに申しました韓国の船会社以外に和歌山下津港へ参入をうかがっている船会社等がありますか。また、現在の港湾施設で週何日まで稼働可能ですか。貨物量はどれくらいまで取り扱い可能ですか。
 三、貨物量の増加に伴い、コンテナのドレージ陸上輸送によって交通渋滞が起こるのは目に見えております。市街から和歌山下津港和歌山港区へ通ずる、大型トレーラーが頻繁に通れるバイパス道路を将来計画として検討していただきたいが、どうですか。
 四、従来、ウオーターフロントとリゾート開発という観点は、多くが自然環境の破壊を前面に打ち出しておりました。生産空間としての港湾、生活空間としての港湾、交通空間としての沿岸、港湾のコンテナヤード等、総合的利用などを組み合わせて明確なるビジョンのもとに開発計画を打ち出していただきたいと思いますが、埋め立てに当たって、自然環境に及ぼす環境についてどうお考えですか。背後に和歌山が誇るべき景勝地を控えていることを念頭にご答弁ください。
 五、先ほど、港湾施設と雑賀崎の景勝地との間の水軒地区の土地利用について私の個人的意見を述べさせていただきましたが、ぜひ近い将来の課題としてご一考願いたいと思います。
 以上五点、土木部長にお聞きいたします。
 第二に、和歌山県における救急医療体制についてであります。
 救急医療は、短時間に、限られた医療資源のもとで患者の状態を的確に判断し、救命に必要な治療を行うことであり、医の原点と言われています。そして近年、救急医療体制については、交通事故の増加、老齢人口のアップに伴う脳血管疾患、心臓疾患の増加等によって国民の関心も高まっております。
 厚生省救急医療体制検討会や自治省消防庁救急業務研究会で精力的に審議されて平成三年四月十八日に成立した救急救命士法により、救急現場とその搬送途上における医療の確保に向けて大きく前進した次第であります。
 我が国の救急医療体制については、計画的な整備推進により、量的にはおおむね基本的水準を達成しつつあります。問題点としてまず、初期救急医療体制は量的にはおおむね充足してきましたが、救急医療施設が地域によって偏在していること、救急診察の空白の時間帯があること等の問題があります。二次救急医療体制については、救急告示病院や病院群輪番制病院、共同利用型病院によりほぼ全国をカバーするまでになりましたが、地域によっては輪番に参加する病院の数が限られているため、それらの少数の病院には過度の負担となっているケースもあり、一般患者の診察に影響が及ぶのではないかと危惧されております。三次救急医療体制については、救命救急センターの整備がおおむね人口百万人に一カ所を基準に進められていますが、そのカバーする範囲がかなり広いこともあって、地域によっては高次救急医療のニーズに十分こたえられていないところもあります。
 さて、和歌山県においては、今般、救急のエキスパートでいらっしゃる鈴木英明さんを県保健環境部長にお迎えすることができ、今後の救急医療体制の整備に十分な期待が持てるところであります。
 初期救急医療については、休日夜間急患センターや在宅当番医制によって行政当局が鋭意尽力されており、特にことし十月一日にオープンになる和歌山市夜間休日応急診療センターにも、一県民、一市民の立場で注目していきたいと思います。しかしながら、和歌山県においても患者を受け付けてもらえない空白の時間帯があり、早急に三百六十五日体制、二十四時間体制を検討していただきたいものであります。
 二次救急医療については、入院を必要とする患者の受け入れになりますが、和歌山市においては十八の病院による病院群輪番制によりかなり充実はされているものの、県内となると北高南低の状況があり、医療においては北も南も機会均等になるべく尽力していただきたいと思います。
 三次救急医療については、和歌山県赤十字救命救急センターが本年より七十四床となり、全国でも最大規模の施設として生まれ変わり、今後フル稼働されたときの効果に十分期待を寄せるものでありますが、現状の専任医師等スタッフの人数の問題、患者の受け入れ状況に不安も感じている次第であります。和歌山県民を大阪や泉州まで搬送していかなくてもよいような体制を速やかに構築していただきたいものです。
 そこで質問に入らせていただきますが、保健環境部長及び総務部長にお伺いいたします。
 一、県下の和歌山市以外の地域の二次病院で、県下六つの二次医療圏の充実の必要性から、中核病院が救急医療機関として十分に機能を発揮されているのかどうかについて県はどうお考えですか。どう改善されていくのですか。
 二、平成十年度には和歌山県立医科大学が移転されますが、移転した和歌山県立医科大学附属病院では、現在夜間三床しか稼働していない救急医療体制をどれだけの規模で整備されるのですか。
 三、和歌山県赤十字救命救急センターは、七十四床の規模で、専属の医者や看護婦・看護士はどれくらい置かれるのですか。ちなみに、全国でも有数の救急医療規模を誇る杏林大学附属病院で三十床、背後の補助ベッドを入れて七十床、専任医師だけで二十数名、夜間は三人で当直、手術が入れば一人プラスされます。また、泉州救命救急センターでは、救急ベッドが八床、背後の補助ベッドを入れて三十床、そこに専属医師が二十二名置かれております。
 四、和歌山県赤十字救命救急センターは、現在のところ四十四床で稼働されているとのことですが、それでも満床状態が多い状況の中で、救命救急センターの機能として、一週間から十日ぐらいで、回復しかけた患者をできるだけ二次医療機関へ戻すシステムはとれないものでしょうか。
 五、財団法人和歌山県救急医療情報センターは、患者のたらい回しを防止すべく、各救命医療施設並びに各消防本部をオンライン化し、救急医療施設から常時必要な情報を得るとともに、各消防本部に対しては、診療科別の医師の配置状況、空床の確保状況等の救急医療施設の応需体制に関する情報を提供されていますが、救急救命士に対する指示を行ったり患者の症状に応じた適切な医療機関を紹介するための医師を当センターに常駐させられないものでしょうか。
 六、阪神・淡路大震災の教訓から、防災設備の整備として防災ヘリコプター導入が決定されたわけですが、さきに述べたように、和歌山県は第二次救急医療体制において北高南低の状況にあります。現在は八尾市から救急用のヘリコプターが飛び立つことになっており、今度県で導入するヘリコプターは南紀白浜空港の倉庫へ保管するそうですが、これも紀南における第二次救急医療体制に大きな力を発揮するのではないかと期待しております。お聞きしたいのは、現在、救命救急センターである日赤和歌山医療センターにはヘリコプターの離発着場所がありません。県下をカバーすべき第三次救急医療施設へ重症患者をヘリコプターで搬送する場合、どのような手順で搬送されるのですか。その際、どのような人を添乗させるのですか。
 七、最近、救命救急センターを人口三十万人に一カ所の割合で設置することも論議されておりますが、紀南における第三次救急医療施設の設置の必要性についてどうお考えですか。
 三番目に、関西国際空港開港後の和歌山県の関空利用について質問させていただきます。
 去年の九月四日に関西国際空港が開港して、一年が経過いたしました。日本初の二十四時間空港、世界初の海上空港と鳴り物入りでオープンし、国際ハブ空港として、我が国をめぐる国際航空需要を中心的に受け持つ機能とあわせて、グローバルな空の結節点としての機能を有しております。先般の航空審議会の中間取りまとめにおいて、全体構想のうち二期事業にも早期着手が明確に打ち出され、いよいよ平行滑走路の建設も実現に向かうのであります。
 和歌山県におきましても、知事が先頭に立って関西国際空港全体構想の建設促進に邁進されてきた次第でありますが、一年を経過し、今まで行政主導で持ってきた関空というステージを、今度は百八万県民が創意工夫でフルに利用していかなければなりません。手をこまねいて関空効果というものを待っていてもビジネスチャンスはつかめません。これからは、我々県民が持ち場持ち場で県勢浮揚のために関空をいかに活用するかが問われてまいります。和歌山県当局としては、今後の各産業振興のためにどのように関空の利用をご示唆いただくのか、お伺いしたいと思います。
 一、まず農林水産部長にお伺いいたしたいのですが、関空開港後、関空への食料品の輸入状況において、円高も手伝っていると思いますけれども、七割が魚介類で、生鮮マグロが多くなっております。これは、本県のマグロ漁業を逆に圧迫する結果になっていないかと憂慮するものであります。水産業全体の振興を考えて輸入の増加に対抗すべく、養殖など栽培漁業等、どのような改善策をお考えか、お聞きしたいと思います。
 また、臨空農業の推進として、県が第三次中期実施計画において、一、空港及び臨空都市への対応、二、機内食等の供給、三、フライト農業の推進などを挙げられておりますが、現在までの状況をお聞かせ願いたいと思います。
 二、次に工業に絞って商工労働部長にお伺いいたします。県内の製造業は、急激な円高や輸入製品との競合といったマイナス要因などから低調な状況が続いております。関空からの総輸出で見れば、ことし二月までの輸出実績では、半導体等電子部品が大幅増、織物用糸、繊維製品、金属製品、有機化合物もかなりの増加となっております。この品種を見れば、和歌山を代表する工業製品もかなり含まれております。空港までの陸送による物流コストの低減、そして輸送時間の短縮を考えれば、和歌山県の関空発の輸出も、和歌山下津港のコンテナ取り扱いと相まって伸展するのではないかと思われます。国内外の厳しい状況の中、和歌山県の工業の発展にとって関空を利用した工業製品の輸出は大きな役割を担うものだと思いますが、現在の輸出状況と今後の輸出振興策をお伺いします。
 第四点目に、和歌山県における青少年の道徳・倫理教育についてお伺いします。
 二十一世紀到来までカウントダウンの段階を迎えている昨今、青少年による無差別殺人等の凶悪犯罪や、子供を死へと追いやるような陰湿化したいじめ問題が後を絶ちません。生命をとうとぶ気持ち、そしてよい悪いの区別の欠如にほかならないこの現象は、将来の日本を背負って立つべき青少年の教育におけるゆゆしき大問題だと思います。今こそ、幼少のころからの道徳・倫理教育をもう一度見直す時期ではないでしょうか。一番大切なことは親の常日ごろのしつけであることは、申すまでもありません。幼少のころ身についた性格というものは、なかなか変えられるものではありません。道徳教育を行うためには、教える側の親の資質も問われます。私も幼少の子供を持つ親として、しつけ、教育の難しさを実感している次第であります。
 物質的な豊かさを求める今日、共働きの家庭が少なくない中、家庭での教育が非常に手薄なものになりがちであります。そこで、保育園、幼稚園、そして小学校の先生の役目、責任というものが大きくならざるを得ません。道徳とは、人間がまさに道理を真っすぐな心で体認し、体得するところに成り立つものであり、個人内面の心情によって受けとめられた倫理であります。
 学習指導要領に、学校において道徳教育を進めるに当たっては、教師と児童生徒及び児童生徒相互の人間関係を深めるとともに家庭や地域社会との連携を図るとあります。道徳教育は、まさに家庭でも学校でも必要欠くべからざるものであります。道徳教育によって、生命の尊重・健康・安全、正直と誠実、親切・同情、信頼・友情、日本人としての自覚を持って国を愛し国家の発展に尽くそうとする、また国際的視野に立って世界の平和と人類の幸福に貢献するように努めるといった精神を身につけていくのであって、決して戦前の修身教育への逆コースではありません。
 道徳教育に反対される方の中には、精神主義を復活して民主憲法改悪への足がかりとし、ついには忠君愛国を鼓吹することによって国民を戦争の方向へ導くものであるという議論をされる人もいらっしゃいますが、国民みんなが要望するのは道徳の政治化ではなく逆に政治の道徳化であって、普遍妥当的で中正な徳目の徹底による、すなわち善悪をはっきりわきまえた、道理を真っすぐな心で実践することによる政治の浄化であります。
 知事が常々言われている、県民だれもがゆとりと豊かさを実感できる社会を実現するためにも道徳教育というものにいま一度焦点を当てていただいて、保育園、幼稚園から高等学校までの道徳教育の一貫化をご指導いただきたいものであります。
 そこで第一点、仮谷知事に質問させていただきます。五期二十年にわたって県勢発展にご尽力、ご貢献なされましたが、現在の無節操な犯罪が増加する中、和歌山県においても決して例外だとは言えないのではないかと思います。長い間県政を担当してこられて、今後、心の豊かさを実感できるような県土づくりのためにも、青少年の道徳意識の向上について知事のご所見を伺いたいと思います。
 二、道徳教育においては、人間教育の出発点として道徳性の芽生えを培う幼児教育、みずから考えて行動していけるような自立性を育成する小学校教育、人間としての生き方についての自覚を持たせる中学校教育、そして人間としてのあり方、生き方についての自覚を深めさせる高等学校教育と続いてくると思いますが、幼・小・中・高一貫した道徳教育という観点から、和歌山県における道徳教育の理念と現状について教育長にお伺いいたしたいと思います。
 以上、大きく四つの項目で第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 長坂議員にお答え申し上げます。
 私に対しまして、二十年県政を担当しての青少年の道徳意識について所感を伺うということでございました。
 私は、県政の主要施策として、二十一世紀をつくる人づくりを主眼に努力しているわけでございますが、その中で青少年の健全育成には積極的に取り組んでまいったわけでございます。
 二十年を顧みますと、社会の潮流も大きなさま変わりを見せておりますが、昔から「子供は親の鏡」と言われるように、いつの時代においても、青少年の意識や行動はそのときどきの大人社会から大きな影響を受けております。最近の状況を見ますと、必ずしも青少年にとって好ましいとは言い切れない社会環境の変化と相まって、その道徳意識にも変化を生じているのが現況でございます。
 こうした中で、あすの和歌山を担う青少年が健やかに成長するように、自然や人との触れ合いを深めていくとともに、人間としての基本として道徳に関する感性を高めていくことが非常に大事なことであるという考えのもとに進めておるわけでございます。そのためには、子供のあり方のみならず大人自身の生き方や社会のあり方をも問い直し、大人一人一人が青少年の育成に対する責任を自覚することが求められているのが現況でございます。
 青少年は国の宝でございますし、県の宝でもございます。道徳問題については、お話ございましたように、今後とも青少年健全育成のために、行政はもとより、家庭、また保育園・幼稚園等学校、地域、職場などが相互に連携を図りながら、県民すべてがこれに参加する県民総ぐるみ運動として考えていくことが必要ではないかと考えております。過日、四百人の中学生を欧州へ研修旅行させたのも、未来を眺め、世界を眺めて青少年の健全育成に役立てばと思ってやったところでございます。
 以上です。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 長坂議員の和歌山下津港に関するご質問五点についてお答えいたします。
 まず、外貿港としての今後の港湾整備についてでございますが、和歌山下津港を近畿圏の外港として位置づけ、大阪湾海上交通の負荷の軽減、陸上高速交通網と連携した物流の効率化、大規模地震等の災害に備えたリスク分散を図るため、和歌山下津港の外貿コンテナ機能の充実を図る必要があると考えております。このため、大水深の岸壁、十分な広さを有したコンテナヤード、高能率の荷役機能を備えた外貿コンテナターミナルを次期港湾計画に位置づけるべく、検討を行っているところでございます。
 また、荷役機械につきましては、現在県で年内使用を目指してジブクレーンを整備中でありますが、ガントリークレーンの設置についても、現在工事中の西浜地区の水深十三メーター岸壁に平成十年度設置を目途に調査を進めているところでございます。
 次に、和歌山下津港における新規航路開設の見込みなどについてでございますが、ご承知のとおり、現在、和歌山・釜山サービスが週二便体制で行われています。
 なお、現時点において新たに参入を表明している船会社はございませんが、県としては、今後とも港湾機能の拡充に努めてまいりますとともに、中国、東南アジア、さらには欧州、北米など、世界に広がる航路網の充実を目指して引き続き航路誘致に努めてまいりたいと考えております。
 また、和歌山下津港におけるコンテナの取扱能力でございますが、現在、荷役はトラッククレーンにて行っていますが、先ほどお答えいたしましたように、年内には県で整備中のジブクレーンなどが稼働する予定でございますので、これにより荷役能力が大きく向上することとなります。またコンテナヤードについては、木材との利用調整を図ることで拡張することも十分可能でございます。
 次にバイパス道路についてでございますが、和歌山下津港のコンテナ貨物量の増加に伴い、大型トレーラー等の車両が増加すると予想されます。その対策としまして、第二阪和道路へのルートとしての臨港道路・紀の川右岸線ほかを位置づけているほか、本港区及び北港区と周辺地域を結ぶ臨港道路のネットワークや京奈和自動車道へのアクセスを含めて、極力一般市街地の道路を通過させずに幹線道路へアクセスできるよう、次期港湾計画に向けて検討しているところでございます。
 次に、埋め立てに当たっての自然環境に関してですが、これからの和歌山下津港の整備の理念として、物流と産業と、さらに生活機能がほどよく調和した総合的な港湾空間の創造を目指したいと考えているところでございます。
 さらに、環境問題につきましては、平成六年十月に運輸省が新たな港湾環境政策として掲げた環境と共生する港湾、エコポートを目標としたいと考えております。すなわち、自然に溶け込み生物に優しい港、積極的に良好な自然環境を創造する港、アメニティーが高く人々に潤いと安らぎを与える港、環境に与える負担が少なく環境管理の行き届いた港という考えを和歌山下津港の整備に際しても踏襲いたしますとともに、和歌山の有するすぐれた景観や歴史的特性に適合し、これを生かした、環境に優しい港湾計画を策定し、その整備に努力してまいりたいと考えております。
 最後に水軒地区の土地利用についてでございますが、ご指摘の和歌山港の背後地水軒地区は、現在、工業地域として用途指定されております。しかし、瀬戸内海国立公園指定地域や都市公園など風致景観を保護する地域とも近接しておりますので、このことを念頭に置きながら土地利用を考えていく必要があると思っております。
 なお、南海和歌山港駅周辺について、海の玄関口としてふさわしい地区に再整備し、議員ご指摘のような、市民が憩い交流することのできる場にしていくことを構想しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 和歌山県における救急医療体制についてのご質問にお答えいたします。
 まず、県下の和歌山市以外の地域の第二次病院が救急医療機関として十分に機能を発揮されているかどうかについてでございますが、地域の中核となる基幹病院及び中核病院につきましては、すべての病院を救急病院として告示しており、その地域の救急医療に中心的な役割を果たしていただいていると考えております。
 今後は、それぞれの地域の救急医療ニーズに対応するため、他の病院等との連携により救急患者のより円滑な受け入れを図れるよう関係機関に協力を要請するなど、一層の救急医療体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、和歌山県赤十字救命救急センターの人的体制についてのご質問ですが、和歌山県赤十字救命救急センターは、七十四床のうち、改築中の部分があり、現在四十四床で運営を行っております。その人的体制につきましては、センターの専属として救急医療の専門医一名を配置するとともに、日本赤十字社和歌山医療センターの医師が、昼間は八人、夜間は三人でセンターの専任として従事しております。さらに、一般診療に当たっている医師八人を午後からセンターの医師として従事させ、それ以外の医師がオンコール体制により、必要に応じて手術等に参加する旨、報告を受けております。
 また、看護婦は五十七人がセンターの専属として配置されており、今後、改築後に向けて医師、看護婦の体制を充実させていく予定と聞いております。
 次に、同センターの機能として、回復しつつある患者をできるだけ二次医療機関に戻せないものかというご質問ですが、一般に救命救急センターは、その本来の機能を十分発揮していただくため、入院された患者については、急性期を過ぎ、安定期に移行すれば二次医療機関等に速やかに転院していただくのが原則と考えております。したがいまして、同救命救急センターに対してより一層努力するよう要請するとともに、病院間の連携が円滑に図れるよう関係団体とも協議してまいりたいと考えております。
 次に、和歌山県救急医療情報センターにおける医師の常駐についてのご質問でございます。
 まず、救急救命士への指示についてでございますが、救急救命士制度につきましては、現在、和歌山市と田辺市のみで運営されているのが現状であります。したがいまして、当面は患者を収容する医療機関で救急救命士への指示を行っていただきたいと考えております。
 また、和歌山県救急医療情報センターへの医師の常駐につきましては、厚生省において、さきの阪神・淡路大震災を受けて救急医療情報センターのあり方が検討されているところであり、今後、その動向等を見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、第三次救急医療施設へ重症患者をヘリコプターで搬送する場合の手順と添乗者についてのご質問でございますが、紀南地方等で発生した重篤救急患者を和歌山市へ搬送する場合、市町村長が県に対してヘリコプターの出動を要請するとともに、近くの臨時ヘリポートを確保し、そこへ患者を救急車で搬送いたします。これを受けて県では和歌山市内の受け入れ病院を確認し、和歌山市の紀の川右岸河川敷を臨時ヘリポートとして確保の上、和歌山市消防局にヘリポートと受け入れ病院間の患者搬送を依頼いたします。これらの手配が完了後、県が航空会社に出動を要請することにより、患者搬送が行われます。また、ヘリコプターには医師等が必ず同乗することになっております。さらに、今年度末には防災ヘリコプターの運航開始が予定されており、より一層円滑な救急患者の搬送が図れるものと考えております。
 なお、大規模災害時のように、一度に多数の傷病者が発生した場合には、これらに加えて自衛隊等にも搬送を要請してまいりたいと考えております。
 最後に、紀南における三次救急医療施設の設置についてのご質問でございますが、三次救急医療施設としてある救急救命センターの整備基準につきましては、都道府県でおおむね人口百万人に一カ所であり、例外的な運用で人口三十万人以上の二次医療圏で認められているところもございます。
 紀南地方における三次救急医療体制の確保は重要な課題でございますが、現在、国立南和歌山病院等を中心に高次救急医療体制が運営されており、今後より一層総合的な救急医療体制の整備充実に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 現在建設中の和歌山県立医科大学の救急医療体制がどのような規模になるのかというご質問でございますが、県立医科大学は将来の医学、医療の高度化等に対応できる医師の育成や医学の研究機関として、また附属病院は高度及び特殊専門医療を担う県民医療の中核施設としてその機能を充実すべく現在移転整備事業を進めていることは、ご案内のとおりでございます。
 救急医療体制につきましても、中央診療部門に救急部を設置するとともに、現在三床の救急用ベッドを十五床に、また重篤患者を収容するICUを六床から十床に、CCUを三床から五床に増床することにいたしております。
 また、遠隔地からの重篤救急患者搬送に対応するため、新しくできる病院の屋上にはヘリポートを設置することにしております。
 さらに、大学でございますので、教育面でも、卒業前や卒業後の救急医療の研修、そしてまた救急医療専門医の養成等についても計画されているということでございます。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 関西国際空港開港後の本県の同空港利用に関するご質問のうち、水産物の輸入の増加に対する対抗手段、改善策について、臨空農業の推進についての現在までの状況についてお答えいたします。
 最近の水産物の輸入量は年々増加傾向にあり、平成六年では全国で約三百三十万トン、またこのうち五%程度、約十六万トンが航空機による輸入となっております。関西国際空港における輸入量は開港後十一カ月で約三万トンとなっており、このうち、生マグロ、エビ、アワビ等、高級魚種では本県漁業と競合するところがございます。
 こうしたことから、県といたしましては、活魚流通の推進、地域水産物のブランド化、栽培漁業の振興等を初め、直販事業への展開など、京阪神に近いという特性を生かしながら総合的な漁業対策を進めてまいりたいと存じます。
 なお、水産物の輸入につきましては、全国的な問題でありますので、秩序ある輸入体制の確立、水産物の産地表示、価格の安定対策等を国に対して強く要望してまいる所存でございます。
 次に、臨空農業の推進についての現在までの状況でございますが、生鮮農産物の供給基地を整備するため、紀の川流域を中心に施設園芸を推進してきたところでございまして、現在、ホウレンソウ、バラ、柿など、約百ヘクタールの施設化が図られております。また、空港島やアクセス道路などに、ツツジ等約十六万本の県産緑化木が供給されてございます。
 次に、機内食や空港島への食材の供給につきましては、機内食会社など三社に生鮮野菜等を供給するとともに、県産ジュースについても年間百三十キロリットルを供給してございます。
 また、フライト農業につきましては、輸送コスト等、難しい問題もございますが、柿、桃等の産地では北海道向け航空輸送に取り組まれております。
 いずれにいたしましても、関西国際空港の立地を最大限に生かしながら地域の活性化を図ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 関西国際空港を利用した工業製品の輸出状況と今後の輸出振興策についてお答えします。
 本県を生産地とする工業製品等の関西国際空港からの輸出状況でございますが、大蔵省関税局が平成六年十月一日から一週間行った輸出入貨物に係る物流動向調査の結果によりますと、本県の航空輸出の総量は十トン、金額で九千万円で、主な品目は、電気製品、原料別製品が上位を占めてございます。このうち、関西国際空港からの輸出数量は約七トン、金額で六千九百万円で、約七〇%を占めてございます。主な輸出先は、韓国、シンガポール、タイなどのアジア諸国が数量で三四%、金額で四一%、以下、金額ベースではアメリカ、ドイツの順となってございます。
 なお、平成六年の県内の輸出状況は、輸出額で約一千四百六十六億円で、品目別では鉄鋼が一番多く、機械機器、化学工業製品等となってございます。これらの輸送につきましては、輸送コストの関係でほとんど海上輸送されておりまして、一部の電子部品、機械部品、サンプル等が航空機を利用されてございます。しかし、本県の工業の発展にとって関西国際空港の果たす役割は大きく、その有効利用を考慮に入れて新たな展開が必要であると考えてございます。
 このため、企業においては新分野への進出や高付加価値製品の開発、技術改善に取り組むとともに、県においても工業技術センターを中心とした技術指導や支援を行うなど、産・官・学が一体となって産業の振興を図り、あわせて関西国際空港からの輸出振興を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 道徳教育の理念と現状についてお答えいたします。
 来る二十一世紀の社会は、少子化、高齢化、国際化等が一層進展するものと予測されます。このような状況の中で、教育においては、高齢者や社会的に弱い立場にある人々への思いやりや優しさ、ボランティア精神、異なる文化を理解し尊重する態度などを幼いころから育てることが重要であると受けとめてございます。
 本県では、小・中・高等学校等において、発達段階に応じ、動物の飼育や草花の栽培、ビデオ教材や副読本などを活用した道徳の時間、さらに公民科や家庭科等で道徳性をはぐくむ学習を行っております。
 こうしたさまざまな学習や活動を通して、優しさや思いやりの心、自分や他人の命を大切にする態度、さらに自分自身をより深く見詰め、人間としてのあり方、生き方を真に求めていく子供の育成を図っております。また、道徳教育推進校や勤労体験学習総合推進地域の指定などの施策を講じているところであります。
 最近では、緑化運動への参加や河川の清掃、養護老人ホーム等福祉施設への訪問など、生徒が自主的に奉仕活動に参加する姿勢が育ってきている状況がございます。
 今後とも生涯学習社会を展望し、家庭、地域との連携を図りながら、真に豊かで住みよい社会の担い手を育成するよう、道徳教育の一層の充実に努めてまいる所存であります。
 以上です。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 17番長坂隆司君。
○長坂隆司君 二点、要望させていただきます。
 まず第一点目は、多数の医師を擁し、施設整備もすぐれている公立の大学附属病院、和歌山で言えば和歌山県立医科大学附属病院も、その主たる使命は教育や研究にあるとしても、救急医療を実施することが教育面における臨床実習や臨床研究の充実にもつながることであり、そのための条件を整備した上で第三次救急医療施設として地域の期待にこたえるべきであると思います。
 次に、和歌山県における青少年の道徳・倫理教育についてでありますが、さきにも述べましたように、家庭における幼少のころのしつけ、道徳教育というものは人間形成の上で一番大切な出発点だと思われますので、三歳児から六歳児ぐらいまでの幼児を持つ家庭に対し、近い将来、親と子の道徳教育のようなセミナーの実施を和歌山県の方でぜひご検討いただきたいと要望いたします。
 以上、要望でございます。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十四分休憩
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