平成7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(冨安民浩議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時五分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第百四号から議案第百三十七号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第百四号から議案第百三十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 42番冨安民浩君。
 〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、私は、県勢浮揚に向けて、また大変複雑多岐にわたる今日の社会経済情勢の中での問題点について、いささか質問をさせていただきます。
 本県の置かれた地理的ハンディキャップの解消、すなわち高速交通体系の整備による半島性からの脱却は県勢浮上を目指す本県の悲願でもあり、それゆえ県政の最重点施策として、仮谷知事を先頭に県議会も、またあるときは県民も一丸となって取り組みを重ねてまいりました。その結果、高速道路は国土幹線軸への直結を見、紀南延伸も着々と進みつつあります。全体構想実現への運動の展開は残るとしても、関西国際空港の開港、また明春の南紀白浜空港の開港と、その解消に向けて着々と成果が実りつつあり、そうしたことが複合的に有効作用、相乗効果を生み出しての昨年のリゾート博の大成功、また本年の吉宗ブームと、今まさに本県にとってフォローの風が起こりつつあります。今、この風をより確かならしめるためには、道路は人、物を運び、産業、文化をも興すとするならば、その構想線上に本県が位置する太平洋新国土軸構想の実現化が求められるところであります。
 太平洋新国土軸構想は、今さら申し上げるまでもございませんが、既存の本土国土軸幹線道路に中央高速道と東海地域で直結し、奈良、和歌山、淡路、四国を経て九州でつなぐ幹線8の字ルートであり、かつて国連調査団のワイズマン氏が「日本の均衡がとれた国土形成上、不可欠」と提唱された構想であります。この構想の最大の難関は、和歌山・淡路島と豊予海峡問題であります。
 和歌山・淡路間、すなわち紀淡海峡については、知事の先鞭で昭和五十八年度より毎年一億円の予算を計上して日本鉄道建設公団が海底トンネル構想で調査を続けておりますが、既に十四年目を迎えた今日、実現に向けての調査報告なり調査の完了時期の目安すら明示がなされていませんし、建設省の連絡橋としての調査完了もこのままではいつになるやら、おおよそ見当すらつけがたいのが現状であると思います。折しも国の方では、首相の諮問機関である国土審議会──会長は元国土庁事務次官の下河辺氏でございます──において、平成九年度春の決定を目指し、目標年次を二〇一〇年としての国の開発計画を盛り込んだ第五次全国総合開発計画の策定作業中であります。
 ちなみに、全国総合開発計画とは、一九五〇年に制定された国土総合開発法に基づき、社会資本の整備、地域開発のあり方などをその時代時代の社会経済情勢の変化に応じ、七年あるいは十年置きに長期的、総合的に方向づける基本計画であります。その計画に、例えば国土の有効利用並びに均衡のとれた国土形成の観点から、「太平洋国土軸の実現に努めるべき」というような明文化をさせ、それをてことして猛運動を展開しない限り、まさににおいもし、音もすれど形は見えずの状況が続くと思いますが、企画部長のご所見をお伺いいたします。
 なお、この問題につきましては、昨日の同僚・上野議員の質問といささか重複した点もありましたことをご了承いただきたいと思います。
 次に、昨今の経済景気状況を取り巻く中での見通しと、それに基づいての本県の産業育成方針、施策についてお尋ねをいたします。
 我が国の経済は、いわゆるバブル崩壊後、著しい下落、停滞が続き、まさにその出口が見えないのが現状であると思います。各産業は一部の特殊分野を除いて軒並み厳しい状況下に置かれ、まさに生き残りをかけての厳しい闘いを強いられているのが現下の状況であると思います。
 もとをただせば、戦後、我が国の産業は、おおむね国民の勤勉性や終身雇用体制がもたらす労働集約型で、廉価でよい品物を製造し、他国に優位性を保ち、対外依存──まさに技術の対外依存と言っても過言ではないと思いますが、そうした形態で成長を重ねてきたわけであります。そうした産業育成方針と企業形態が対外諸国との貿易摩擦を生み、対外依存からいわゆる内需中心へそのシフト転換を迫られる結果となり、それがあの元日銀総裁の前川さんが発表された前川レポートでございます。
 企業は、対外依存分を内需へ切りかえたり合理化等の対策を実施してまいりましたが、貿易摩擦の解消には至らず、ついには為替の操作によってその解消を迫られ、また近年のNIES諸国等の物すごい追い上げにより国内企業が今あえいでいるというのが今日的状況であると思います。
 こうした状況を踏まえて、国はたび重なる財政金融政策を実施してまいりました。つい先般は、もうこれ以上引き下げられないという〇・五%まで公定歩合を引き下げました。まさにこれ以上の金融政策は今後望むべくもございません。
 また、今月末に再開される臨時国会には十四兆二千二百億円もの、本年度二度目の超大型補正予算が上程されます。その速やかなる成立と日本の経済に及ぼす大なる効果を期待するものでありますが、一説には、百兆円にも及ぶという金融機関の不良債権の処理が解決しないと景気に大きな影響力を持つ民需は期待できず、景気は回復しないと言われていますし、先ほど申し上げましたように、日本の今日的イミテーション産業形態は既にもう限界に来て、その構造転換が行われない限り景気は停滞の域を脱出できないとも言われています。
 金融機関の不良債権処理や産業の構造転換はそう簡単だとは思いませんし、時間を要す問題だと考えます。このような状況の中での商工労働部長のご所見と、今後の景気動向についてどう考えるか、忌憚のないご意見をお尋ねいたします。
 本県におきましても、国の景気政策に乗った取り組みや県独自の施策が実施されてまいりました。その効果のほどは認めるところでありますが、今日的状況を踏まえたとき、今まさにそのときどきで救済する政策とあわせて、少し長期的に、五年なり十年なりちょっと先を見た、今後芽を出す新技術産業や本県独自の特色ある産業を生み出す施策が求められているところであります。
 そこで、本年三月に作成された和歌山県産業活性化ビジョンを拝読しますと、本県産業振興の視点として独自産業の導入育成、人材の育成確保が柱として盛られておりますが、これはまさに時宜を得た施策であり、大いにその実現の促進を求めるものであります。その実現方法、また実現していく上での工業技術センター等の役割をどう考えておられるか、商工労働部長のご所見を賜りたいと存じます。
 次に、警察問題について若干質問なり要望を申し上げたいと思います。この問題は、国においては新進党が大蔵省あるいは自治省、警察庁に要求している問題でございます。
 近年、我が国は、バブル崩壊後の後遺症いまだいえずとは申せ、少なくとも経済一流国として内外ともに認めるところであり、その要因として国民の勤勉性、教育の徹底普及等が考えられますが、これも、もちろん警察官による治安維持活動が根底にあってのことであるのは、ひとしく認めるところであります。警察官による犯罪の抑止や摘発を通じての法秩序の維持は、住民の命や財産を守るのみにとどまらず、自由で濶達な経済活動を遂行していく上での絶対条件であります。しかるに、昨今のオウム真理教をめぐる無差別テロ的な残忍非道な諸事件、また多発する銃器を用いた事件、あるいは自由の履き違えによる自己中心的な、おおよそ見当もつきがたいような事件等、住民の安全を脅かし、法秩序を破壊する凶悪犯罪の多発により治安維持が揺らぎつつあるのが今日的状況であります。治安維持が揺らぐと社会は混乱を来しますし、また社会の混乱から犯罪が多発する傾向にあります。こうしたことを考え合わすとき、警察官に課せられた使命は極めて大きく、それゆえ警察官の職務遂行上考え得る万全の対策を講じることは何にも増して肝要であると思います。
 本県におきましても、平成元年の湯浅信用金庫事件、また平成五年の阪和銀行の事件等、警察官の徹底捜査活動にもかかわらずいまだ犯人の検挙を見ていない事件等があり、いま一度警察活動の基盤である警察官の大幅増員を含めての警察の治安活動体制の見直し、またその整備が必要と考えますが、就任早々の県警本部長の見解をお尋ねいたします。
 また、昨今の犯罪は銃器等による凶悪犯罪が多いが、そうした犯罪捜査に当たる警察官の安全を確保する機材や、あるいはオウム事件に見られるような、おおよそ通常人が想像できない化学的物質を用いた事件の発生に対応し得る機材等の整備状況について説明を求めます。また、整備がなされているとしても、その整備状況が十分かどうか、答弁を求めます。
 なお、県警本部長の答弁を受けての総務部長の所見、並びに予算的措置をどう取り扱うか、答弁を求めます。
 折しもまさに戦後五十年、政治・経済を中心にあらゆる分野が原点に戻っての見直しを迫られる中、安定した社会存立の最大基盤である治安維持の使命を負う警察活動もさまざまな角度から見直し、補充を求められていると考えていることを私見として申し添えます。
 最後に、仮谷知事におかれましては、五期二十年間、まさに県勢浮揚に向け、また県民の幸せ実現に向けて県民的立場でご努力、ご尽力なされたことに対し、深く感謝を申し上げるものでございます。
 今、知事の胸のうちを去来するのは何でありましょうか。就任当時の、オイルショックを伴った極度の財政難の中での県政の切り盛りなのでしょうか。はたまた、本県を内外にアピールしたリゾート博の大成功からの充実感なのでしょうか。あるいは、知事としての重責を果たし得ようとしている安堵感なのでしょうか。政治家の評価は後世にゆだねるとするならば、仮谷知事のご功績は必ずや後世に高くその評価をいただけるものと確信いたすものであります。
 仮谷知事、あなたは県政の最高責任者として厳しく、またあるときには人情味豊かな人間として対処されてまいりました。おかげさまで、私のふるさと日高郡・御坊市も道路網を中心に種々整備が整いつつあります。まさに二十一世紀に向けてのさらなる飛躍への体制が整いつつあります。日高郡市民の一人として厚く御礼を申し上げ、私の一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 冨安議員にお答え申し上げます。
 太平洋新国土軸における現状と今後についてでございますが、昨年六月に国が取りまとめた第四次全国総合開発計画の総合的点検調査部会報告におきまして、「二十一世紀に向けた国土構造の形成に関するビジョンとして重要な意義がある」と明記され、また昨年十一月に策定作業が開始された次期全国総合開発計画におきましても、新たな国土軸が主要なテーマとして取り上げられているところでございます。
 このような取り組みと並行いたしまして、国土庁では本年度、新たな国土の軸・地域連携軸に関する調査が実施されており、来年度予算に広域的な交流圏の形成に向けた多軸循環型交通システムのあり方に関する調査が要求されているなど、具体的な取り組みが行われてございます。
 今後は、地元関係府県から成る太平洋新国土軸構想推進協議会を中心に、次期全国総合開発計画等へのより明確な位置づけや関連調査の促進などについて、県議会の皆様方のご協力を得ながら、さらに積極的な要望活動を展開してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 本県の産業育成方針、施策等についての二点にお答え申し上げます。
 まず、景気の現状と今後の景気動向についてでございますが、バブル崩壊後の景況につきましては、全国的に緩やかに回復基調をたどってきたところへ急激な円高等の景況が顕在化したため、回復基調が足踏みから弱含みへと修正されるなど、先行きに対する不透明感が広がっている状況と考えてございます。
 このような中で、今後の本県経済の状況につきましては、比較的明るい動きを見せていた新車登録台数及び新設住宅着工戸数などが四月から対前年度比マイナスに転じたまま低迷してございます。七月の県の有効求人倍率も〇・六二倍であり、依然厳しい状況が続いていると判断してございます。
 議員ご指摘のとおり、今後の景気につきましては、これまでの循環型景気変動とは異なり、為替相場の変動、金融問題、企業の技術格差等、構造的な要因が絡み合い、予断を許さないものと考えてございます。
 県といたしましては、このような厳しい状況に対処するため、景気・雇用対策本部で緊急円高対策を発表し、県の制度融資の貸付利率を過去最低の水準に引き下げるなどの充実を図って景気対策に努めるとともに、雇用の確保に努めているところでございます。
 産業の育成につきましては、中小企業の創造的事業活動促進や新分野進出を円滑に行えるよう支援してまいる所存でございます。
 今後とも、景気の状況及び国等の動きを十分見守りながら、県内中小企業の経営基盤の安定、雇用の確保のため、諸施策を積極的に推進してまいります。
 続きまして、和歌山県産業活性化ビジョンの中の施策等の実現方法と工業技術センターの役割についてお答えいたします。
 和歌山県産業活性化ビジョンにつきましては、二十一世紀初めの本県産業の望ましい姿を展望し、今後の取り組むべき施策の方向性を示したものでございます。議員が例示された人材の育成確保等を含めまして、七つの具体的な基本方針を示してございます。
 例えば、創造的企業への総合的支援ということで、創造的な企業に対する展開、創業支援を目指すことや、国際的な産業活動への支援システムの整備として海外情報拠点の整備、いわゆる海外事務所等の整備を掲げてございます。
 今後、施策の具体化につきましては、一つ一つ着実に推進してまいる所存でございます。
 こうした中で、工業技術センターにつきましては、研究開発の充実を図るため、平成八年度完成を目指して再編整備事業を進める一方で研究開発型のセンターに移行を進め、地場産業においてこれまで蓄積された技術を生かした新製品、高付加価値化製品の開発を積極的に支援するため、産・官共同研究や企業への技術指導を一層強力に行い、県内企業の振興、活性化を図ってまいりたいと存じてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 警察本部長青山幸恭君。
 〔青山幸恭君、登壇〕
○警察本部長(青山幸恭君) 冨安議員のご質問にお答えいたします。
 最近における国際化あるいは高度情報化社会の進展や科学技術の急速な発達に加え、複雑多様化する社会経済活動を反映して犯罪も複雑巧妙化するとともに、国際化、広域化、スピード化するなど、質的に大きく変化しております。また、犯罪史上例のないオウム真理教による一連の凶悪、特異な犯罪を初めとして、企業幹部や市民をねらったけん銃使用犯罪の続発等、治安情勢は一段と厳しくなってきております。
 本県においても、このような傾向が警察事象全般にわたって顕著になっているとともに、県民の安全に対するニーズが高まり、それらに伴って警察業務も増加の一途をたどっております。
 警察といたしましては、県民生活の安全と平穏の確保は県民に対する最大の福祉であり、また社会経済活動発展の基盤になるという認識のもとに、凶悪犯罪の増加や犯罪の質的変化等に対処するため、機動捜査隊の所属としての独立や銃器対策室の設置等の機構改革を初め、広域初動捜査体制の確立、専門捜査員制度の導入、あるいは高度な科学技術を活用した機材の導入や機動力の強化等を図っているところでございます。
 また、デスク部門の警察官を思い切って削減し、第一線に一人でも多くの警察官を配置する一方、警察官の資質を高めるための諸施策を推進してきたところでございます。
 そのような中で、交通巡視員の警察官への切りかえ、一般職員の増員のほか、岩出、和歌山西警察署等の庁舎の建てかえ、警察情報の中核となるテクニカルセンターの建設、さらには情報・通信機材等の整備について、県知事、県議会の皆様の格別なるご理解、ご支援を賜ってきたところでございます。
 しかしながら、本県におきましては、治安のバロメーターとも言える刑法犯の発生件数を見ると、人口十万人当たりの発生率及び警察官一人当たりの負担指数は全国平均を大きく上回っているほか、関西国際空港の開港や阪和高速道路の国土軸との直結と紀南延伸等により府県間の人、物の流れが活発化し、それに伴って警察事象も増加しております。
 このような情勢の中で、県民生活の安全と平穏を確保するためには警察官の絶対数が不足し、現行の定員内では十分対応し切れない厳しい状況にあります。このため、警察官の増員につきまして、警察庁に対して強く要求しているところでございます。
 また、サリン事件等の犯罪に対応できる特殊被服、あるいは銃器使用犯罪の捜査等に必要な防弾チョッキ等の防護用装備や大規模災害発生時の救出救助用機材等の整備、さらには機動力強化のための捜査用車両の増強等を計画的に進めておりますが、これらの装備資機材についても必ずしも十分とは言えない状況にあります。このため、今後とも国や知事部局、県議会の皆様方のご理解を得ながら、装備資機材の整備充実に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 警察関係の予算措置についてのご質問でございますが、警察装備の整備につきましては、国費で対応されるものと県の予算で対応しているものがございます。このうち県の予算分につきましては、厳しい財政状況下にはございますけれども、県警予算として七年度当初予算で対前年度四・六%の伸びを確保するなど、適切な対応を図ってきているところでございます。
 今後につきましても、安全な社会生活の確保が最重要課題の一つであるという認識のもとに、近年の大きな社会情勢の変化に合わせて、財政事情等も踏まえながら緊急性の高いものから的確に対応してまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番冨安民浩君。
○冨安民浩君 いろいろご答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 今日の経済状況の中での見通しについては、おおむね商工労働部長から今ご答弁をいただいたような考え方だと思います。景気については非常に難しいので楽観論、悲観論があると思いますが、商工労働部長のご見解が今世間で言われておることだと思います。
 日本の今日までの経済というのは、その縮図としての和歌山県もそうであったと思いますが、効率だけを求めて技術力に力を置かず、まさにイミテーションをしながら労働集約型で競争に打ちかってきた、そういう産業形態だったと思うのです。そして今、その転換を迫られて、技術力を持った産業形態の形成が求められております。そうしていかないと、先ほど申しましたように、為替で幾らでも操作させられるような状況ができつつあるわけなんです。
 今日まで技術力というのは、まさにもう民間任せで、民が主導でやってきたわけでございます。この和歌山県の状況を考えたとき、その民主導が大きな花を咲かせている有名な企業もありますが、蓄積力の弱い本県の企業としては、官が民と一緒に力を合わせて新しいものをつくり出していく、本県独自のものをつくり出していくという──今全く芽が出ておらない中でも、芽が出そうなものがいっぱいあるわけです。例えば、私の支持者の中に、今、炭を中心に健康産業の一つの枠組みの中で進出していこうという企業もあるわけでございます。先ほど私が工業技術センターの役割をどう考えているかと申し上げましたのは、工業技術センター等が中心になって民と非常に接触しやすい状況をつくりながら、デスク上の技術じゃなくして、本当に民の実際的な、求められる技術力を一緒になって生み出していくことがまさにこれから求められておると思いますので、どうかその点にお心をいただきまして遂行していただきたいと思います。
 それから総務部長のご答弁でございますが、財政責任者としてはまさにもう非の打ちどころのないご答弁だと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、戦後五十年を迎えた今、社会あるいは経済全体をにらんだ中で何にプライオリティーを置くべきか、そんなことを考える時期に来ていると思うのです。従来どおりの、対前年度比何%あるいは対前年度比どれだけの伸びという構図は、もう通用しない。国においても経済政策について、このかじ取り役を担われている経済企画庁長官の宮崎勇さんが公共事業の配分見直しを迫られていると言われているときでございますので、本県の財政配分については、どうか総務部長の識見に基づいた、時代に合った格段のご配分を要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で冨安民浩君の質問が終了いたしました。

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