平成7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(中山 豊議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中山 豊君。
 〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 お許しを得ましたので、質問をさせていただきます。 まず一点、道路問題について。
 私の選挙区海南市においての道路事情は、あまねく県政サービスの薄さをうかがうに十分な地域であると言ってはばからないのではないかと常々思っております。それだけに、毎議会を通じて取り上げさせていただかねばと、初回登壇させていただいたときから心しているところです。
 〔議長退席、副議長着席〕
 何ゆえにこうなっているのか。その原因にも迫ってまいりたいけれども、当面、実態の改善を要求させていただくことにとどめて、その立場からのお尋ねをいたします。
 まず一番に、四百二十四号の整備については、南野上はひや水地区の一カ所、上谷地区は落合橋から彦ケ瀬に向けての未改修区間、これについて現道整備が基本か、重ねて確かめておきたいと思います。
 あわせて、今行われている工事の次年度以降の取り組みはどうなされるのか、具体的にお示し願いたいと思います。
 有田地方の整備促進が急がれているのに比べ当地域は極めて遅い。これは、有田方面の人々からもよく指摘されているところであります。はね返って、当局に向かってこの声が届くというよりも、むしろ地元の県会議員は何をしているのかと、こういうふうな形で当たってこられるのが今日の状況でないかと受けとめているところです。
 用地交渉の様子を伺うに、地元の住民たちは次のように言われます。「さわりに来ては休み、乗りかけては冷めてしまう。詰めるべきときは集中的に話を続けてほしい」とよく言われます。省みるところが多いのではないか。出先機関を督励し、整備促進についての所信をお伺いしておきたいと思います。
 二番目、三百七十号。さきに、阪井地区間は基本はバイパスで、当面、交通渋滞緩和、歩行者を守る立場から野鉄軌道敷を歩行者専用道にと申されました。しかし、野上、美里と高野山に向けての展望が示されていないのが残念でなりません。貴志川にかかる新橋から登山口まで軌道敷を利用し、整備して三百七十号にかわるものをとの考えのようですけれども、ならば登山口から美里町へ向けてどうするのか。美里町内は長谷宮地区で行った手法で整備するというのか、基本構想を立て、それに基づいた計画をせめて地元の自治体の皆さんにお示しするくらいはあってもいいのではないか、このように考えるのですが、いかがなものでしょう。
 そもそも、三百七十号は霊峰高野山への道であります。関空ができ、高速道が整備された今日、高野山への客を大阪、橋本へのみ回すのではなく、野上谷すなわち三百七十号をもって運べるようにと考えるのは、当地区に居住する住民の皆さんの考えるところであります。お客さんへの大きなサービスではないかと申して間違いないでしょう。その立場から三百七十号の整備促進を求め、整備計画とその手法をお示しいただきたいと思います。
 三つ目、県道海南金屋線。これは国道四十二号のバイパス的存在で、近年、利用者が激増してきています。金屋町でゴルフ場の建設があり、重量の大型車両が何台もつながって通行する機会が多いことから、通勤者、通学の児童生徒は危険にさらされています。
 過日も、扱沢のある婦人に聞きましたけれども、ある行事に参加するため朝六時に出たら、日方に着いたのが八時だった、さらに土曜日、日曜日、祭日等、休日の夕方には、四十二号線を避けてこの県道海南金屋線に乗り入れてくる車、ゴルフ場帰りの車で地元の人は外に出られないとのことであります。昨日も、四十二号の渋滞状況が同僚議員からつぶさに指摘されたところであります。私が取り上げるまでもなく、当局の皆さんは既にご認識いただいていることであろうと思います。手だてを急いでください。
 重根・田津原間の問題、扱沢・重根間の問題、いわば上別所の地域、さらに日方・神田地区間の整備計画をどうなされるか、聞かざるを得ない心境であります。
 重根・田津原間は都市計画街路決定しているところでもありますが、さらにその実現のために押そうとしているのか。地元の皆さんのこれに対する意向は、当局の皆さんが考えているほど容易なことではないと受けとめておるわけであります。
 上別所・重根間が手づかずであります。この区間についての具体的なところをお聞かせください。地元住民や地権者への働きかけが散漫であり、かつ継続的で集中していないというのも、この地域における住民の、この道路の整備にかかわる見方であります。これとても有田方面からいろいろと指摘され続けていることも、あわせて申し上げておきたいと思います。
 次に亀川地区は、且来地区内で県道三線が重なっているところだけでも早く整備して周辺への波及効果を期待せよと、前の議会で申し上げたところです。当地区の自治会役員の方々は、いつ話をしに来てくれるのかと待っているような状況でもあります。紺屋橋、且来の交差点の工事は本年中に完了するというお話ですので、その区間の整備は直ちに取りかかっていただけるようにお願いを申し上げたいのですけれども、当局のご意向をお聞かせください。
 過日、県は防災訓練をインテリジェントパークで実施いたしました。参加された県関係の皆さんは一様に思われたであろうけれども、訓練に使用された箇所の北側に支援用地の造成をしているが、インテリジェントパークより和歌山市に向けての通路がありません。インテリジェントに係る拠点となさるのなら、県庁、和歌山大学、近畿大学、工業試験場等、関係する諸機関がすべてインテリジェントの北側に所在するわけでありますから、それらと結ぶアクセス道路が求められて当然ではないか、このようにも考えます。幹線道にいかにつないでいくかという道路新設の問題は地元自治体の仕事でもあろうかと思いますけれども、地元自治体とのかかわり合いもつけながら、どのようにしてつないでいくかという心の準備を早々としていただきたいということを申し上げておきたいと思います。所見があればお聞かせください。
 次に、和歌山下津港港湾計画にかかわってお尋ね申し上げます。
 これも、六月定例会で和歌山下津港港湾計画についてのお尋ねをした中で、外航コンテナ導入は今次改定の柱の一つだとして、大水深の岸壁、十分な広さを有した埠頭用地、高能率の荷役機械を備えた外貿コンテナターミナルを位置づけるとともに、これを陸上高速輸送網と結びつけるためのアクセス道路の整備を検討しているとのお話でありました。このことに関連して、二、三お尋ね申し上げます。
 週一回のコンテナ船の就航が、ここ二カ月の間に週二回となっているようであります。さらには、京阪神の有力海運荷主と船会社筋などに呼びかけてポートフォーラム, 95なるものを開くなどポートセールスに努めているようですけれども、コンテナ船就航はあくまでも商業ベースで行われているとはいえ、荷受け、荷出しに対応し切れる背後環境の状況はどうなっているのかということが気になります。貨物の入ってくるもの、出ていくもの、今のところの実態はどうなのかということをお示し願いたいと思います。
 国際的な商業港として将来にわたっての和歌山の発展に大きく期待を寄せる一人でありますけれども、就航はしてみたが続かないということにならなければいいがという心配があります。商業ベースとはいえ、県の行政対応の弱さとおくれの批判は免れないのではないかと思いますが、いかがなものでしょう。
 高速陸上輸送網と結びつけるためアクセス道路の整備をと申されているけれども、ごもっともだと思います。関係議員の質問と重ならないところでお尋ね申し上げますけれども、これについていま少し詳しく述べられたい。
 中でも、第二阪和が最も接近した幹線道路と考えられるが、それとの接続を第一義的に取り上げられ、これの建設促進にかかるということになるのであろうか。別にまた検討されていることがあれば、お聞かせ願いたいと思います。
 これに関連して、港湾計画の検討にかかわって、特に海南市が都市計画街路と決定している岡田大野中線につないで地場産業の振興にかけがえもなく寄与される構想、すなわち物流の幹線道をも下津港港湾整備計画の中に含めて検討されることを求めておきたいと思います。
 その次に、和歌山下津港及び紀伊水道海域の安全確保についてであります。
 和歌山下津港を含む紀伊水道海域は、船の衝突、海難事故が多発しているとのことであります。この海域は一般船舶の航路が集中し、その上に底びき漁船等、小型漁船及び遊漁船が出て操業するふくそう海域であり、四国の蒲生田岬と日高郡日ノ御埼、有田の辰ケ浜沖合を結ぶ三角海域を魔のトライアングルとも言われているとのことであります。また近年、遊漁船すなわちプレジャーボートが激増してきているようでもあります。かかる実情に立って海上交通の安全と災害防止の観点から見るとき、その対策は極めておくれているのではないかとお見受けするのであります。
 それには無線が欠かせない通信手段であるのだが、漁業組合の海岸局と紀北ヨット無線利用組合によるのみであるとのことであります。その上、週一回、時には二回の沖どめ──沖どめというのは休業日のことだそうであります──と、午後五時から翌朝六時までの夜間はプレジャーボート対象の海岸局一局だけで、他のすべての海岸局は稼働していないとのことであります。プレジャーボート対象の唯一の海岸局も、西宮海岸局との関係で窮地に立たされているとのことであります。何にせよ、和歌山下津港及び紀伊水道海域における海難事故防止、海上交通安全確保のための施策の貧弱さは、この上ない実態と言わざるを得ないのではないか。
 この十六日から海難事故防止運動が始められ、下津海上保安署など、期間中に救命救助訓練を実施し、衝突したプレジャーボートを対象とした訓練を内容と位置づけていることにもかかわり、この海域における、とみに増加している遊漁船すなわちプレジャーボートの事故防止、安全確保に意を注がれたいのであります。
 漁業組合の海岸局稼働、改善指導もさることながら、ただ一局とはいえ、時間的空白を埋めている海岸局の充実に県は支援を送ってもよいのではないかと思うところであります。もちろん、海難事故防止、海上交通安全確保は下津海上保安署の所掌に係ることは承知していますけれども、海上保安署は主として貨物船を対象にされ、漁船及びプレジャーボートは保安署では及びかねるとのことであります。行政初め県民の広範な方々の力で、事故防止、安全確保が図られることを期待されているのであります。
 また、電波監理局に事故防止や安全確保をと申すわけにもまいりません。俄然、海岸局で張りめぐらされている無線で事に当たることになるわけであります。兵庫県初め近隣の海岸線を多く抱えている県は、一定の取り組みをしているのも当然であります。沖どめ、夜間の対策に力を注ぐことを当局に求め、これは筋違いを申していることにはならず、むしろ当局の対策のおくれこそ省みなければならないことだとご指摘しておきたいと思います。いかがなものでしょうか。
 三番目は、地場産業、中でも漆器産業の振興策についてお尋ね申し上げます。
 県が補助をして和歌山県漆器商工業組合が実施した特定中小企業集積活性化促進事業の推進を図るべく、組合員の状況、意向を把握するためのアンケート調査をされました。それによると、回収率は二三・四%です。社会の変化、産業の構造的推移、不況の長期化で漆器産業の低迷がなべ底形になり、さまざまな努力をされているけれども明るい展望を持てないでいる状況を踏まえつつ、以下、幾つか質問いたします。
 回収率二三・四%にとどまっているのはどういうことなのか。業界の低迷がそのまま回収率の低さにあらわれ、漆器産業、業界の元気のなさをあらわしているのではないか。
 二つ目は、新製品開発への取り組みで関心を寄せている品目に、木質複合素材を活用して、プラスチックの持つ形状の多様性と木の外観を持たせた高級感のある製品が五七・六%、曲面や凹凸面に切れ目なく、加飾したデザイン性の高い製品が四二・四%と、高級感とデザインの高さを求めた製品開発への意向が強く出されているようであります。これに伴い、県漆器試験場への支援要請が多く寄せられているようにもうかがわれるところであります。これについてどう対処されようとしているのか、お示し願いたいと思います。
 次に、アンケート調査方法が郵送でなされたとのことだけれども、さらに実態意向把握を地元自治体とともになさって振興策を探求する意向はお持ちでないのか、お尋ねいたします。
 次に、今秋の十一月十六日から十九日にかけて、和歌山県を会場として全国産業教育フェアが開催されます。これに向けての取り組みで、海南高校で市や組合、試験場が支援をなさって漆器教室を開催され、出品作品づくりに励まれたといいます。参加者は定時制の生徒だけではなかったといいます。産業教育フェアへの取り組みの中とはいえ、高い関心を寄せられたことに事寄せて、ここから後継者育成の過程を導き出せないかと提起したいわけであります。
 全国の主な産地を幾つか見てきていますけれども、ほとんどの産地では育成機関、すなわち漆芸課とか訓練所のようなものを設置しております。これには余り資金もかからないようなので、設置してはいかがかと申し上げたいわけであります。いかがなものでしょうか。
 次に、伝統工芸士が認定され、この方たちは漆器業界の核をなしています。その伝統工芸士になられる方が今日育てられていないのが現状ではないか。今、存命の工芸士四人の方々は老齢で、先々が心配されてなりません。県政の上から見て、紀州漆器としての地場産業、伝統的漆器産業を衰微させてはならないと思うのですけれども、どうでしょうか。
 それで、いつの日か早い時期に後継者育成事業として、県の指導と援助のもと、地元自治体及び業界の共同で漆芸課及び訓練所等の設置を強く求めたいけれども、ご所見をお伺いしておきたいと思います。
 次に、県立自然博物館の充実化についてお尋ねいたします。
 まず、県民はあの館を「県立自然博物館」とは言わず「水族館」と言っているように、小ぶりなりにもせめて博物館の名にふさわしい内容に充実していただきたいというのが私の質問の軸であります。
 大阪に海遊館ができ、その大型水族館と比べても、うちの水族館は内容的にも見事な水族館であると思われますし、大方の評価をいただいているようであります。しかし、紀伊半島の特性を生かしたものをと考えてみれば、海産のものと陸産、中でも森林にかかわるものとを両軸に用意するのは、だれしもが求めるところではないでしょうか。場所が場所であるだけに、ご苦心なさったであろうなということはよくうかがわれるのですけれども、十五年を経過してみて、今日的には可能な条件を追求し得る環境になってきていはしないかと思われるのであります。
 リゾート博開催中、博物館への入場者は半減したとはいうけれども、それにしても、観光資源的存在ではなく、平年の二分の一とはいえ入場者が博物館に足を運んでくれたということを顧みるときに、博物館の果たす役割の大きさを改めて認識しながら、充実化を求めてやまないわけであります。
 その立場から、以下四点ほどお尋ね申し上げます。
 一、陸上のもの、特に森林部門の強化はできないかをお考えいただきたい。
 二、学術的資料や標本など、寄贈されたりして蓄積されてきていると思うけれども、それを保管し、展示し、活用するにふさわしいスペースを用意されてはいかがか。
 三、学芸員の研究活動を保障する研究室も貧弱です。学校の授業を補完するなど、その環境づくりとかかわっていろいろ整備をお願いしたいけれども、いかがなものでしょうか。
 四、学芸員の専門的研究活動からして、水族館での勤務が俄然長くなっていきます。その方々が退職及び転職されたらどうなるのかということであります。年齢構成のバランスをどう保つか腐心なさっているところだろうけれども、そのあたりのお考え、あるいはご苦労のほどをお聞かせ願えれば、さらに深いご理解を皆さんにいただけるのではないかと思います。
 以上、県立自然博物館の将来に向かっての充実強化の問題でお尋ねしたところです。
 最後に、マリーナシティの帰属問題についてであります。
 知事、五期二十年、県政を担当され、本当にご苦労さまでした。
 私が県議会にお世話になるようになってから五カ月たちました。五月一日の議員初総会、五月十五日の臨時議会、六月十九日の定例議会、さらには各所で知事のあいさつをお聞きするにつけ、いわく、五期二十年の取り組みは和歌山県の将来に向けての基礎となり土台となる仕事であったとよく申されているようにお伺いしてきました。これについての知事の心情は知る由もないし、評価はいろいろあろうけれども、それほどつつましやかに申されるのなら、次の質問にどうお答えくださるのでしょうか。
 和歌山市と海南市が帰属問題をめぐって裁判で争っているマリーナシティの問題であります。
 和歌山地裁の判決が不服だとして、海南市は大阪高裁に控訴しました。私が海南市議会に籍を置いているときからのことで、当時の市長が裁判で決着をつけるしかない、提訴するとして市議会に提案されたときから、昭和四十六年の協定覚書の内容ともかかわって、一貫して県のお世話で両者が話し合いで解決をと主張してきた者の一人であります。しかし、多数が裁判でと言う中、全部が和歌山市というには西の方が閉ざされるとの市民感情を尊重する立場をとったけれども、その後も折あるごとに話し合いによる解決をと申し続けてきたところであります。
 また、マリーナシティ埋立地を特定するまでの経過や港湾審議会における海南市長のとった態度、さらに県が司法の場で争われている間に帰属を決められたことなどについて申せば多々あるけれども、和歌山地裁の判決後、和歌山市議会が知事にあてた意見書の中に、「海南市の発展や将来性にかげりの見えるような事態が懸念されるならば、隣接市として今後なお末永く友好提携、発展を図らなければならない本市にとっても、好ましいこととはいい難い。 よって、県におかれては、かかる両市の歴史的経緯、地域性、市民の要望等に十分配慮の上、今後公有水面の有効活用にあたっては、関係地方自治体の公益が損なわれることのなきよう、適切な配慮がなされることを強く要望する」と記されていたはずであります。
 これともかかわって、知事は今議会を最後に引退されるにつけて、問題解決に何か一言申されてもよいのではないかと思うのですが、口幅ったい物の言い方でしょうか。今までも問題解決に当たってご心労があったことだろうけれども、司法の場にゆだねるとしているから差し控えると申されるのでしょうか。一年前の和歌山市長選挙を機にただならぬ県民の憂慮することになってきている問題、これについて和歌山市議会の見識と言おうか良識と言おうか、そのような立場に沿いながら、今後に示唆をお示しになるとして一言申されるなら、県民の県政に寄せる信頼と安堵感を取り戻すに違いないであろう、このことを期待して私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中山議員にお答え申し上げます。
 和歌山マリーナシティの帰属問題についてでございますけれども、ただいま中山議員からも話ございましたように、さまざまな経緯があったわけでございます。私が知事に就任する前からあったわけでございます。
 しかし、この問題については裁判にゆだねられまして、三月に出された和歌山地裁の判決に対して海南市が控訴いたしまして、現在、大阪高裁において裁判中でございます。こうした司法の場において話が進められている現在でございます。私といたしましては、その動向を見守ってまいりたいと思っております。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 中山議員にお答えいたします。
 道路問題についての四点のうち、まず国道四百二十四号に関してでございます。
 ひや水地区の未改良区間については、支障となっている物件調査を近く実施する予定となっておりまして、今後、地権者の同意を早期に得られるよう努力してまいります。上谷地区の落合橋から彦ケ瀬までの未改修区間については、現道拡幅を基本といたしまして、地元関係者のご協力を得ながら測量調査を行い、整備を進めてまいります。
 次に、国道三百七十号についてでございます。
 国道三百七十号の野上電鉄登山口から小川橋の間は、県道奥佐々阪井停車場線等を利用することとして整備を進めているところでございます。現在事業を進めている赤木地区では現道拡幅により、また小西から毛原間については毛原宮の人家連檐地域等で一部バイパスにて事業を進めております。その他の未改修区間については、沿道状況を勘案しながら、今後、現道拡幅やバイパスにより検討を行ってまいります。
 次に県道海南金屋線については、金屋町側は概成しておりますが、ご指摘の区間については自動車の交通量が多くなっており、整備を進める必要があると考えているところでございます。重根から田津原橋までの区間については、都市計画決定されているところですが、今後とも海南市と地元のご協力を得ながら早期事業化に向けて努力してまいります。田津原橋から扱沢までの区間については、今年度も昨年に引き続き地元関係者のご理解をいただきながら、待避所等の現道拡幅整備を進めてまいります。日方地区の未整備区間延長約三百二十メートルについては、日方川河川改修計画などをもとに市と協議を進め、整備手法等を検討してまいります。
 次に、亀川・且来地区内の県道三線重複区間についてです。
 ご指摘の区間については、且来地内で県道秋月海南線ほか二路線が重複しているところでありますが、その両端部のそれぞれ交差点部までの改良については平成七年度の完成見込みでございます。引き続き、中間部分の約二百メートルについても、今年度中に市当局、地元関係者のご協力を得ながら調査測量し、拡幅整備に努力することとしております。
 次に、和歌山下津港港湾計画についての三点のうち、初めに和歌山下津港における外貿コンテナ船就航の実情についてでございます。
 ご承知のとおり、和歌山下津港と釜山港間の定期コンテナ航路が本年七月と九月にそれぞれ開設され、現在、週二便体制でサービスが行われております。これまでのコンテナ取り扱い実績でございますが、航路開設から九月二十日までの総計は、輸入で綿糸、化学品などが二十フィートコンテナ換算で二百五十四本、輸出で機械、ケミカル製品などが四十二本取り扱われており、一航海当たり輸出入合わせて約二十五本といった状況でございます。今後、県内外の荷主企業に対してなお一層の航路利用をお願いしてまいるとともに、航路網の拡充に努めてまいりたいと考えております。
 次に、和歌山下津港と陸上交通網との連絡ルートについては、第二阪和道へのルートとして臨港道路紀の川右岸線ほかを位置づけているところです。そのほかの連絡ルートについても、本港区及び北港区と周辺地域を結ぶ臨港道路のネットワークや京奈和自動車道へのアクセスを含めて検討を行っているところでございます。
 最後に、和歌山下津港及び紀伊水道海域の安全確保に関し、県和歌山マリーナに設置しているマリンVHF無線についてでございます。
 このマリンVHF無線は、県和歌山マリーナの開所に伴い、海上保安庁の指導を受けてマリーナ所属艇の安全対策を実行するために設置したものであり、本県五月のディンギーマリーナのオープンと同時に開局しています。
 当無線は、和歌山マリーナシティ内に保管している船舶すべてを対象にしておりますが、県和歌山マリーナの海岸局に加入していただくことにより、すべてのプレジャーボートが当海岸局と交信することが可能となります。また、言うまでもなく海上における安全対策は海上保安庁が所掌してございますが、当無線は紀伊水道から日ノ御埼に至る海域における唯一の海岸局でありますので、瀬戸内全体の海岸局と連携をとりながら船舶の安全航行に活用しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 地場産業、漆器産業の振興策についての四点にお答え申し上げます。
 漆器業界の活性化を図るため、平成六年度に和歌山県漆器商工業協同組合が特定中小企業集積活性化促進事業に取り組んだところでございます。その中で、組合において特定分野進出に対する組合員の意向調査を実施しましたが、組合員数が二百五十二社と多く、郵送方式をとったものでございます。回収率についてでございますが、当業界は分業体制がとられており、その中で製品製造販売が主体の業態では五九・三%と回収率は高く、中間品加工が主体の企業では一○・二%と低く、回収率を下げている要因になってございます。組合においては、その後、未提出の企業も含め事業の周知徹底を図るため、二回にわたり会報で広報するとともに、本年八月二十五日に組合員百四名のご参加をいただき、新商品、新技術研究等の発表会を行ったところでございます。
 次に、支援機関である県漆器試験場においては、集積活性化支援事業として、平成六年度より新規複合材開発による新しい漆芸品への応用研究に取り組むとともに、平成二年度より実施しているデザイン開発研究にも取り組んでございます。
 なお、海南市では本年十一月に開催予定の国際デザイン・コンベンション, 95海南にも県として支援すべく、九月補正で予算化をお願いしているところでございます。今後とも、アンケート調査の結果を踏まえて、漆器試験場を中心に漆器産業の活性化に努めてまりいたいと存じます。
 また後継者の育成については、過去、青年部の研修事業や一般の人を対象とした漆芸教室を開催するとともに、現在は伝統漆器技術者養成にも取り組んでございます。
 次に伝統工芸士の認定については、現在四人の方が認定されており、本年度は塗り部門で一名の受験の申し込みがなされてございます。今後、漆器産業の人材育成については、海南市、組合及び関係機関と一体となって積極的な支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 県立自然博物館の充実化、四点についてお答えいたします。
 県立自然博物館は、国際児童年の記念事業として、こども博物館構想のもとに昭和五十七年四月、水族系を主とした博物館として開館され、毎年約十万人の方々に利用いただいております。
 森林部門の展示については、そのままの生態系の展示は困難であるため、本県の自然を表現したジオラマや標本を中心に展示しております。森林部門の展示スペースを初め、研究室、収蔵室などの新たな拡充については、建物の立地条件から困難な状況にあります。
 本年度からは、標本展示棚の整備に取りかかるなど、限られた施設の中で機能が十分発揮できるよう工夫しているところでございます。また、合宿形式の野外観察会などの事業を通して、森林に関する学習も行っております。さらに、学校で学んだことを補完するため、子供たちが夏休みに採取した動植物や魚介類などを持ち寄り、専門の職員が鑑定や指導する教室等も開催してございます。今後とも、事業内容の充実に努めてまいりたいと存じます。
 最後に専門職員についてでございますが、職員の転退職があった場合でもその研究が継続されるよう、年齢構成などに十分注意してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 32番中山 豊君。
○中山 豊君 道路問題について、国道四百二十四号並びに県道海南金屋線、この二つの路線は、好むと好まざるとにかかわらず、有田地域との関係で整備促進を促されるという立場に立たされることを余儀なくされてきているわけであります。有田地域の整備促進がかなり進んでいて、私が所属する海南市領はなぜこういうふうにおくれてくるのかという問題が問われるというのは壇上に立って申し上げましたけれども、やはり地元住民、地権者への協力の働きかけが継続的かつ集中的になされていないというところからも地域住民や地権者の協力の意向の反映がとろくなっているのではないかということも考えるにつけて、そのあたりは地元自治体の協力を大いに得ながら出先機関の支援、督励をしていただき、目に物を見せていただくようにお願いを申し上げたいわけであります。
 特に海南金屋線については、今、部長の答弁があったように入り口の部分、言いかえるならば重根・田津原橋までの区間は街路決定をなされているのをさらに押していこうということであります。それから、上別所の方に向けては、待避所などを設けるよう現道の可能なところを膨らませて整備していこうというようなことです。いずれをとっても、県道海南金屋線の海南市領域、別所から重根までの間というのは、地元住民の意向や協力が得られないとしたら、行く行くは思い切ってバイパスを構想するということがあってもいいのではないか、むしろそういうふうな手法を選ばなくてはこの道の整備が実現されない状態に追いやられるのではないか、こういうふうな気がしないでもありません。そういうふうな点もお含みおきいただきながら、早期に着手できるように地元自治体の協力、地元住民や地権者との話し合いを集中的、継続的にお進めいただけるよう、重ねてお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、紀伊水道海域における安全確保の問題です。
 部長の答弁をお聞きしていると、すべてのプレジャーボートにも及んでいると受けとめられる内容でもありました。さらには、この海域にただ一局の海岸局だという言い方もされておったように思います。そういうふうな点から見ると、必ずしも実態に的確に沿ったような答弁になっていないと私は認識します。
 しかし、今議会での再質問等はしないこととして、次の議会、次の議会へとこの問題の解決に鋭意努力してまいるということを表明して、お願いだけ申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。

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