平成7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(飯田敬文議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時五分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
○議長(橋本 進君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第百十号及び議案第百二十一号は職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。職員に、その回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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    和人委第202号
    平成7年9月25日
 和歌山県議会議長 橋 本 進 殿
 和歌山県人事委員会委員長 若 林 弘 澄
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成7年9月18日付け和議会第196号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
   記
 議案第110号 和歌山県職員の賞じゅつ金に関する条例の一部を改正する条例
 議案第121号 和歌山県警察職員の賞じゅつ金に関する条例の一部を改正する条例
   意 見
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(橋本 進君) 次に、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から監査結果の報告がありましたので、報告いたします。
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 【日程第一 議案第百四号から議案第百三十七号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第百四号から議案第百三十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 43番飯田敬文君。
 〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、発言通告要旨に従いまして質問をさせていただきます。
 戦後五十年を迎えた今日、世界政治の流れは冷戦崩壊後の過渡期から脱冷戦期に入り、世界政治を支配するイデオロギーや政治、経済をめぐる対立から、宗教、歴史、民族、伝統などを基礎とした地域紛争が各地で起こっております。我が国はそのどちらもの顔を持ち合わせており、我が国の行動や国際的責任をどのようにとるかが注目されておるわけであります。また平和軍縮の面を見ましても、非核を中心とした論争に終始しており、この点につきましても日本の独自性を強調していかなければなりません。十九世紀の半ばにつくられた国際法も多様化する中にあって規定範囲の拡大は避けられない情勢となっており、この影響は私たち国民にとりましても目の離せない問題であります。
 一方、世界経済は、世界不況の中でアメリカに代表される膨大な財政赤字削減に奔走し、今なお解決されていない現状であります。これに伴う失業問題が高水準を見せており、社会不安を増大しております。我が国におきましても、バブル崩壊後、政府の数次にわたる景気対策にもかかわらず、今なお停滞し、東京都コスモ信用組合等の放漫経営や大阪での木津信用組合の破綻等による金融不安が引き金となり、相次ぐ中小企業の倒産を招き、現存する企業も企業間競争の激化による合理化、リストラを推し進め、新規雇用や設備投資の抑制を余儀なくされておるわけであります。
 さて、国内政治を見ましても、政治改革法案の一部である地方分権が叫ばれている今日、私たちの生活にも大きな影響がございます。また、関西国際空港が開港一年を迎えて国際ハブ空港としての機能を発揮させ始め、全体構想の二期工事に早期に着工することが盛り込まれ、いよいよ本格的な関西地方の国際化に向けて動き始めようとしている折、国会では本年六月十五日に広域連合制度が施行され、関西圏の各府県が一つになって地方分権の受け皿を築いてまいらなければならないと思うわけであります。前回の質問でも申し上げましたとおり、その推進の中心的役割を担う認識を持って我が和歌山県の今後の政策を立てていかなければなりません。
 仮谷知事におかれましては、五期二十年の任期の間、和歌山県の発展に数々の実績を上げられ、私たち県民の幸せを第一に邁進してこられましたこと、深く敬意を表しますとともに、厚く御礼を申し上げたいと思います。今回の議会で最後の議会を迎えられましたことは、私にとりましても感慨深いものがございます。これよりは、今までの経験を生かし、私たちの指導はもとより、新しい人生の出発を願うものであります。本当にご苦労さまでございました。
 さて、質問に戻りまして、関西国際空港の二期工事の前進に伴い関西地域の国際化も一段と加速する中で、我が和歌山県ができ得るあらゆる事柄について積極的に対応していかなければなりません。また、地方分権の堅実な前進を受けた受け皿なり、政府において問題になっている国際貢献についても、国際化する関西や和歌山県独自の貢献方法を考えていかなければならないときに立ち至っております。県としてもっと踏み込んだ議論を行うべきだと考え、以下、私なりのご意見を申し述べ、県としての具体的な姿勢なり考え方をお伺いいたします。
 関西国際空港二期工事完成目標が二〇〇七年と明記されたわけであります。しかし、明記されたからといって、これからの積極的な取り組みがなされなければ完成はおぼつきませんし、また完成したからといって、世界のハブ空港になれるわけではありません。完成までに、今から空港並びに関西地域の方向性を見出し、それにおくれることなく積極的な取り組みを積み重ねていかなければなりません。
 本年二月議会において質問をいたしましたとおり、急速な国際化に対応できる都市機能を持った地域づくりが必要であります。戦後五十年という経過の中で、世界全体が政治的、経済的、文化的、あらゆる分野において価値観が変革をしようとしております。このことは、新たな世界秩序の形成に入ったことを示しておるわけであります。これからの我が国が、我が県が目指すべきものは、これまでの対アメリカ一辺倒から、アジア諸国を主眼とした国際主義を目指すべきであると思うわけであります。
 今にわかに、国際社会の中でアジア諸国が脚光を浴びております。なぜならば、この地域は比較的政治が安定しており、経済成長が目覚ましいからであります。アメリカ主導の経済成長であった国際経済も、現在アジア諸国との連携に移り、政府におきましても、ともに考え、ともに行動するパートナーとして期待を込めておるところであります。韓国、香港など各地域でハブ空港の建設が進み、我こそはと国際社会のリーダーたるアピールをしておるとき、関西地域、中でも我が和歌山県は、アジア諸国に向けた友好の地域交流を推進し、アジア諸国との共存共栄を図るためにも地方でできる貢献を進めていかなければなりません。
 また私は、我が国のとるべき道として、文化及び知識集約的な人的貢献が望ましいと考えております。今日の不況経済の中で、また国内産業の空洞化がますます進んでいる中で我々が生き残る道は、これまで培ってきた技術、例えば環境、教育、産業、情報など技術面の援助なり協力を進めていくことであり、これが関西国際空港を中心とした関西地域の大きな役割であろうと考えます。発展途上のアジア諸国にとって、例えば公害で苦しんだ歴史の中で、環境保護の技術やハイテク産業、情報化社会に対応できる技術など、新旧文化の貢献こそが文化国家日本のこれからの進むべき方向だと考えます。
 このように、あらゆる経験を積んだ我が国が、そのノウハウをアジア諸国にお示しし、ともに景気を安定させ経済を成長させる意味を込めて、アジア地域との連携は欠かせないと考えるわけであります。戦後五十年の節目を迎え、また関西国際空港二期工事完成の二〇〇七年までの和歌山県のあるべき姿、文化国家としてのアジアとの連携を仮谷知事はどのようにお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 さて、地方分権論議が日増しに強くなっておる中、私も毎回の質問の折、地域特性に合った分権の受け皿を構築し、規制緩和や行政改革を含めた推進が必要と訴えてまいりました。仮谷知事におかれましては、今月当初、新聞紙上において首都圏機能の移転に対し強く誘致の意思を明らかにされております。私といたしましては、その意思は関西地域並びに和歌山県の活性、浮揚に大きな意味があると、県の姿勢を高く評価するものであります。なお、県としてはグローバルな視点に立った受け皿をつくり上げていただきたいと願うものであります。
 また、県としての行政改革もその一つととらえ、スリムな形の行政を目指していただきたいと思います。現在、和歌山県には東京事務所、大阪事務所といった県外事務所がございますが、近年そのあり方に問題提起がなされており、地方分権を念頭に置いた行政整理を進めるべきであると考えております。県外事務所を含めた行政改革についての県の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、前段でも申し上げてまいりました都市機能を持った新しい地域づくりの基本は、道路づくりと港湾機能の充実であります。国際港湾基地の早期拠点づくりについては、前回の質問でも申し上げてまいりました和歌山下津港が最適であろうと思います。それにつながる基幹道路の整備が何よりも今必要であると、訴えてまいったところであります。
 土木部長の答弁は、港湾機能の充実が和歌山県土づくりには重要な課題と認識した上で、積極的に取り組む姿勢を見せられました。また、それにつながる基幹道路・阪神高速湾岸線と第二阪和国道等の接続等についても早期に具体案を求めると、答弁をいただいております。その後の進捗状況と、県としての道路行政をあわせてお聞きいたします。
 次に、世界に一番近い地域として、那賀郡を初めとする紀北地域がございます。国際文化都市を築く上で道路づくりが必要と訴えてまいったところでありますが、京奈和自動車道路を初めとする関西国際空港に直結する道路の早期着工が待たれるところであります。九月補正予算では、紀北東道路の事業着手に向けて都市計画を行うための広域都市計画策定調査の実施が予定をされております。早急に紀北東道路の着手、完成を期待するものでありますが、同時に私は、紀北西道路の早期計画策定、事業着手を同時に行っていただくことを強く望むものであります。
 和歌山県の浮揚のためには、この地域と大阪府泉南地域が一体となる首都機能を持った文化都市を築くべきであると思います。これについては府県間道路事業に見られる府県間行政協力が不可欠であり、先ごろの府県間道路・泉佐野打田線の大阪側拡幅工事に見られる大阪側予算での和歌山建設業者施工は、県としてこれからの府県間行政の画期的なことと、不断のご努力に敬意を表する次第でありますけれども、さらに全線二車線開通を強く望むものであります。
 一方、泉佐野岩出線は、大阪側が大きく前進しているにもかかわらず、和歌山県側が遅々として進んでおらないように思うわけでありますが、この点、他の府県間道路とのかかわりとともに、今後の取り組みについてお聞かせをいただきたいと思います。さらに、高規格道路としての京奈和自動車道路と各府県間道路との関連性及び位置づけを明らかにしていただきたい。
 また、生活に密着した交通体系を早期に構築しなければなりません。生活道路であるところの国道二十四号線は打田町黒土以東よりの四車線計画がなされておらないのが現状であり、この地域に生活する郡民が文化生活を送る上で、交通停滞、交通事故などの公害が頻繁に起こっておるわけであります。生活に密着した交通体系にかんがみ、早急に国道二十四号線の拡幅並びにバイパスの計画をしていただきたいと考えます。
 また、あわせて和歌山市東北部にあるJR紀伊駅前と那賀郡への乗り入れ道路を拡幅し、全体的な交通体系を確立していただきたい。生活に密着した交通体系についての県の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、国際文化都市をつくり上げていく施策として、さらにそれに伴う文化施設が必要であります。昨年提言させていただき、県当局も早急な予算化をされた紀泉スカイライン事業がございますけれども、このスカイラインには、文化と歴史を国際的にアピールする施設及び各種の文化施設はなくてはならないものであります。
 そこで、国内外の旅行者向けの国民宿舎とともに、国際会議ができ得る施設を併合して、国際交流のできる施設をぜひ建設していただきたい。県当局のご所見をお伺いしたいと思います。
 また、那賀郡は一級河川である紀の川を中心に生活圏が広がっております。その紀の川も、年々汚れがひどくなり、近畿圏で汚染度が第三位という屈辱的な報告がなされたと聞いております。私たちの飲料水として、また農業・工業用水として、生活に密接な清流を守るためにも、下水道整備は早急に実現しなければなりません。
 また、南ろくサイエンスパーク構想を軸に紀の川流域のスポーツ振興を進め、現在、老人ゲートボールや青少年育成の各種のスポーツ、あるいはパラグライダーの発着基地として河川敷を利用しております。先ほど申しました国民宿舎の建設は、旅行者のみならず国際大会参加者にも宿泊できるものとして利用され、紀の川河川敷の有効利用を推進し、国際都市地域の一端としてアピールをしていくことが大事であります。
 和歌山県総合計画の中の第三次中期計画で紀の川リバーサイドグリーンベルト構想の推進がうたわれておりますが、河川の抜本的な改修計画を早期につくり上げることがまことに大事であります。また、毎年、風水害によるグラウンドなどの流失が相次いでおります。治水を含め、紀の川の美化をも含めた、でき得る課題から取り組んでいただきたいと思うわけであります。他地域を含め、治水と絡めた河川敷の活用を検討されますよう強く要望いたします。紀の川流域の環境保護と治水対策としての河川敷活用について、考え方をお伺いいたしたいと思います。
 さて、文化都市建設は、人、施設、文化的生活を営める地域づくりであります。そのためにも、人材の育成は欠かすことのできない問題であります。那賀郡は昨今、急速な人口増を遂げ、現存する公立高校もマンモス化の兆しが見え始めており、教育適正規模の問題も絡め、人材育成の場となる教育施設が将来不足するのは目に見えて明らかであります。
 近畿大学が学部、学科の増設を決めていただいたことは大きな喜びでございますが、中等教育の場となる公立高校の不足が問題視され始め、教育関係者や保護者会などにおいて陳情をいたしておるところであります。地域の実情を考慮していただき、那賀郡に公立高校を新設し、私学教育も含め幅広く人材の育成を進め、文化都市づくりに県として取り組んでいただきたいと思うわけであります。地域実情に合った教育施設の新設についてお伺いをいたします。
 最後に、和歌山県は医療圏の設定を行っており、那賀郡は和歌山医療圏に属しております。那賀郡の人口は、ご承知のとおり増加の一途をたどっており、高度な医療の施設を希望しております。もちろん、医療圏の設定は医療資源の適正配置と医療供給体制のシステム化を図ったものでございます。その中で那賀郡はサブ圏域として指定されておるわけでありますが、急増する人口や将来の地域医療を考えますと、私は不本意に感じざるを得ません。
 現在進行中である高度な医療体制の中核となる那賀病院の再開発は、那賀郡民が「我が町に市民病院を」と強く要望されているものであり、郡民の悲願でもあります。那賀病院の総合病院化を強力に進めていただき、あわせて那賀郡が独立した医療圏として設定されることを強く望むところであります。
 また、あわせて、高齢化社会の進行に伴い、現行の老人福祉計画では対応できない問題が出てまいるおそれがあります。福祉計画の枠を拡大し、不足する養護老人ホームや高齢者が楽しく集える施設の拡充を図っていただきたいと思うところであります。那賀病院に対する県としての姿勢と、それに伴う医療圏設定、高齢者対策としての施設整備についてお伺いをいたしたいと思います。
 今まで申し述べてまいりましたことは、今日が関西国際空港の二期工事完成二〇〇七年までの方向性を決める重大な時期としてとらえ、問題意識を持って、来り来る国際化に乗りおくれることなく積極的に、我が和歌山県が関西地域の中心、リーダーとしての地位を確立していかなければならないとの認識のもとで質問をさせていただいたわけであります。
 議会はもとより、県行政一丸となったご努力を期待して、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 飯田議員にお答え申し上げます。
 ただいまは、私に対する丁重な言葉をいただき、ありがとうございました。また、昨日来から慰労の言葉をいただき、皆さん方に心から感謝申し上げます。
 さて、質問の関西国際空港二期工事完成における和歌山のあり方と、アジア諸国に対する県としての姿勢についてでございます。
 お話ございましたように、二〇〇七年には関西国際空港の第二期工事が完成することにより、航空機の発着能力が大幅に増加し、アジアのハブ空港として、人、物、情報などの交流が飛躍的に伸びてまいりますし、また京奈和自動車道等、交通網の整備、ベイエリアの活性化が進んでまいるわけでございます。
 本県を含む関西圏は、これらを大きなインパクトとして、特色ある学術、文化、産業などを生かしながら、世界都市・関西として世界の発展に貢献していく方向を明らかにし、取り組みを進めているところでございまして、本県はまた、世界に一番近い臨空都市としての世界都市・関西の一翼を担い、積極的にその役割を果たしていかなければならないと考えておるところでございます。
 すなわち、恵まれた自然、文化を生かしながら、研究開発機能の充実、リゾート基地の形成、陸・海・空の交通の結節機能に着目した物流基地の形成など、関西圏の中でも和歌山県の特色を生かした国際都市をつくり上げていくことが必要でございます。交通情報ネットワークの整備はもとより、文化の振興、産業の高度化、快適で安全な環境整備など、国際化時代にふさわしい地域づくりを進めなければならないと考えておる次第でございます。
 また、経済的、文化的交流は、お互いの理解を深め、世界の平和と発展に欠かすことのできないものであると存じます。お話ございましたように、日本はこれまで世界から文化を吸収し、それをそしゃくして発展してまいりました。これからは、我が国の発展の中で蓄積したものを、技術を、知識を、各種ノウハウ等を、逆に世界に返していくという考え方が私も重要であると考えております。
 とりわけアジア地域においては最近成長が非常に著しいものがございまして、世界の中で重要な役割を果たしていくことが期待されているところでございます。二十一世紀はアジアの時代になるのではないかとまで言われておるわけでございまして、我々もその主要な構成員としてともに歩み、ともに発展していくという認識がぜひ必要でございます。
 今後、本県におきましても、友好交流活動、経済活動等を通じて相互理解を深めながら、本県の特色を生かしたより具体的な文化、経済、学術交流の展開へと発展させていくことが重要な課題であり、必要性があると考えております。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) グローバルな視点に立った施策の受け皿としての県の行政改革をしてはというご質問でございますが、現在策定中の行政改革大綱では、地方分権の時代の到来をにらみつつ、県勢活性化と県民福祉の向上を図ることのできる行政体制の整備を中心的な目標としているところでございまして、この目標達成の観点から、今後、県外事務所も含めた県の組織機構について抜本的な見直しを行ってまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 飯田議員にお答えいたします。
 初めに、港湾整備と基幹道路建設の進捗状況についてでございますが、議員ご指摘のように、和歌山下津港と京阪神圏との結びつきを強化する基幹的な幹線道路の整備は重要な課題であると認識してございます。
 第二阪和国道の阪南市から和歌山市の間約二十キロメートルのうち、大阪府域九・〇キロメートル、和歌山市域二・二キロメートルについては、昭和六十三年度に事業化され、事業進捗が図られているところでございます。この区間は今年の四月に地域高規格道路の整備区間に指定されたところでございまして、重点的に事業が進められることとなっており、本年度は用地買収を促進することとなっております。なお、府県境部の残区間についても機会あるごとに早期事業化を要望しているところでございます。
 また、平成五年に和歌山県広域道路網マスタープランを策定したところですが、さらにその充実を図るため、港湾や基幹的道路との関連も含め、和歌山市都市圏のネットワークのあり方について、建設省、運輸省、和歌山県から成る委員会を設け、検討を進める予定であります。二十一世紀へ向けて今後とも和歌山都市圏の発展に資するべく、道路網の整備に努力する所存でございます。
 次に、那賀郡の文化都市づくりについてのご質問三点のうち、まず府県間道路と基幹道路の建設関係についてでございます。
 泉佐野岩出線、泉佐野打田線等の府県間道路については、紀の川利水に関する協定に基づき、両府県が協力して事業を進めております。泉佐野岩出線の和歌山県側については、岩出町根来地内の一・二キロメートルについては昭和六十三年度に、それから森地内の一・四キロメートルについては平成五年度に、森地内から国道二十四号バイパスまでの一・四キロメートルは平成六年度にそれぞれ事業化し、現在用地買収を促進しております。さらに、府県間までの残る三・一キロメートルの区間についても早期に事業着手を行うこととしております。大阪府側については、阪和道の泉南インターチェンジから現道までの一・二キロメートルの区間が供用され、残る府県界までの四・〇キロメートルについては平成六年度事業着手されているところでございます。
 泉佐野打田線の府県境部については、現在、大阪府側において公図訂正などの作業を行っており、早期整備に向け鋭意努力をしているところでございます。
 京奈和自動車道の紀北東道路である高野口町から打田町までの間十六・九キロメートルについては平成五年度に事業化を行い、現在都市計画決定をすべく調査を進めているところでございます。また紀北西道路については、平成九年度を最終年度とする第十一次道路整備五カ年計画の期間内に事業化することとされており、さらに紀淡連絡道路までの間については建設省において各種の調査を進められているところでございます。なお、京奈和自動車道の検討を進めるに当たり、泉佐野岩出線、泉佐野打田線との連係についても十分配慮しつつ、建設省とともに進めてまいりたいと考えております。
 二点目の生活に密着した交通体系に関して、国道二十四号の黒土以東については、京奈和自動車道の紀北東道路との関連も含め、周辺の道路網について調査検討を進めているところであります。さらに、現在、建設省において交通渋滞の状況について調査を行っており、県としてもその結果を踏まえながら建設省と連携し、検討を加えたいと考えております。
 また、JR紀伊駅から粉河へ向かう県道粉河加太線については、おおむね改良が終わっておりますが、和歌山市と岩出町との境界付近とJR紀伊駅付近が未改良となっております。このうち市町境界付近についてはルート等について調査を進めることとしており、今後、早期事業化に向けて努力してまいります。また、JR紀伊駅付近の当面の対策として、紀伊駅の約二キロメートル東で県道和歌山貝塚線のバイパス整備を行い、県道粉河加太線と国道二十四号和歌山バイパスとの接続を図ることにより交通を分散させることとしております。今後とも、この県道和歌山貝塚線の整備についても促進に努力してまいります。
 最後に、紀の川流域の環境保護と治水対策についてですが、和歌山を国際都市地域としてアピールするためには、人々の生活と深いかかわりを持つ紀の川の治水対策や河川敷の秩序ある活用が重要であると考えております。
 紀の川の治水対策については、建設省において、大滝ダムや紀の川大堰の建設等、緊急度の高いところより順次取り組んでおります。河川敷の活用については、市町村の意見も聞き、国、県により整備や保全の方針として紀の川河川環境管理基本計画を策定しております。建設省では、この計画に沿いながら治水対策とあわせて地元市町と協力しつつ、自然環境にも配慮しまた住民の方が憩える桜堤等の整備を行っています。
 今後、県としても建設省、地元市町村と協議しながら、潤いのある河川整備に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) ご質問の文化施設の建設についてでございます。
 那賀郡を初めとする紀北地域は、関西国際空港に近接していること、豊かな自然や根来寺、粉河寺を初めとした文化資源に恵まれていること、京奈和自動車道や府県間道路の整備など交通アクセスの飛躍的な向上が見込まれることなど、極めて高い発展ポテンシャルを有し、人口も増加している地域でございます。また、紀泉山脈を挟んで泉南地域と一体的な臨空国際都市として発展することが期待される地域でもございます。今後、文化や経済などさまざまな分野で交流が活発化するものと思われますが、そのために、それぞれの地域が広域的な観点から一体となって世界に開かれた魅力的な国際都市づくりを行う必要があります。
 文化都市という視点は国際化をにらんだ都市づくりの上で特に重要な視点であると考えており、南ろくサイエンスパークの計画を初めとして、こうした視点から臨空都市圏の形成に取り組んでいるところでございます。今後とも、宿泊施設や交流施設など、国際都市にふさわしい都市機能の充実を図る必要があると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 紀の川流域の環境保護と治水対策についてお答えいたします。
 紀の川の水質についてでございますが、昨年は異常渇水の影響を受け、本来河川が持っている自浄作用が鈍くなり、水質汚濁を増加させた要因の一つであろうと推察しております。
 保健環境部としては、今後とも水質浄化意識向上のための啓発活動、環境基準の監視、工場・事業場の立入調査等を行うとともに、河川等の汚濁に影響が大きい生活排水対策として合併処理浄化槽の整備促進を図る等、水質汚濁の防止に努力してまいりたいと考えております。
 次に、地域に密接した施設建設について、国保那賀病院の整備に対する県の姿勢と医療圏の設定についてお答えいたします。
 まず国保那賀病院については、築後三十年を経過し、老朽化も進み、同病院経営事務組合において整備計画が進められております。現在、同病院は医療法第四条に規定する総合病院として運営されておりますが、整備後はさらに診療科目の充実等を図り、地域の総合的医療体制の確保を目指していると伺っております。また、県地域保健医療計画においても那賀地域の中核的な役割を担っていただく病院として位置づけており、今後もさらにその機能を強化充実していただけるものと期待しております。
 次に医療圏についてでございますが、那賀地域は現在、和歌山県医療圏のサブ圏域として位置づけておりますが、当地域は県下でも屈指の人口急増地域であり、地域医療に対する需要は増加してくるものと認識しており、現行医療圏の再検討が必要であると考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 和歌山県老人保健福祉計画の枠拡大についてでございますが、現在でも特別養護老人ホームへの入所希望の方が相当数いることは事実でございます。これに対し、県としてはこれまで地域のバランス、入所希望者の状況等を踏まえながら積極的に整備を進め、今年度においても既に二カ所百床分が運営を開始し、今後さらに二百二十床分の増床が図られることとなっております。これらの結果、県の老人保健福祉計画上の目標数三千床にほぼ到達するものとなっております。
 今後の施策のあり方としては、高齢者の皆さんができるだけ自立して住みなれた家庭、地域での暮らしを続けられることが重要との観点から、在宅福祉サービスの充実や福祉用具の普及などに重点を置いて努めていくべきと考えております。
 特別養護老人ホームの整備については、今後の入居希望者や在宅福祉サービスの充実の状況、国において行われている公的介護保険制度の動向等をあわせ考えながら、必要に応じて見直しを検討してまいりたいと考えております。
 また、高齢者が在宅で生き生きと暮らし続けられるように、デイサービスセンター、高齢者生活福祉センター等の整備を図るとともに、高齢者が楽しく集える老人憩いの家などの小規模拠点施設についても県の単独補助事業として整備を図っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 那賀地方における高校の新設についてお答えいたします。
 本年度の学校基本調査によると、現在の中学三年生と比較して小学校各学年の在籍者数は全県的に減少いたしております。那賀地方においても、他地方に比べて減少率は低いものの、長期的には次第に減少することが予想されます。
 しかしながら、議員ご指摘の急速な国際化に伴う新たな都市機能を持った地域づくりなど、当地方の今後の発展をも視野に入れていく必要があると考えます。こうしたことから、今のところ当地方における高校新設の予定はございませんが、地域環境の変化による人口増とそれに伴う生徒数の推移や各高校の実情等を見きわめながら慎重に対応を検討するとともに、特色ある学校づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番飯田敬文君。
○飯田敬文君 知事初め関係部長、教育長の温かいご回答をいただきまして、大変心強く思っておるところでございます。
 三点ばかり、要望になろうと思いますけれども、私なりに考えた点を申し上げておきたいと思います。
 一点目は、二十一世紀に向けた和歌山県、とりわけ関西地域の生きる道筋というものを今、我々自身が本当の意味で考えなければならないという視点でございます。先ほど知事からもご説明ございましたように、経済成長至上主義から文化、生活、教育を基調とした豊かな文化国家、文化圏といったものの一翼を担っていく和歌山県づくり、今このことが必要ではなかろうかと特に思うわけであります。
 とりわけ関西国際空港──成田はアメリカへ、関西はアジアへということで、私はその位置づけの中での関空の役割は大変大きなものがあろうかと思います。そういった意味で、アジアとの文化交流、経済交流について、姉妹提携等も含めてひとつ積極的によろしくお願いをしたいと思うわけであります。
 二点目は、先ほどの説明にもございましたけれども、和歌山下津港の整備にかかわってでございます。阪神・淡路大震災が起こり、神戸港が大変な打撃を受けております。それにかわる国際港、国内港としての和歌山下津港の役割は大変大きなものがあろうかと思っておるわけでございます。先ごろ釜山との定期コンテナが開通したということでございますけれども、そのためにも、和歌山下津港からコンテナがおろされてくるときに京阪神と直結する高速道路が必要ではなかろうかと思うわけでございます。
 特に、田中口──この間の集中豪雨による洪水のとき、私も県庁まで来るのに六時間も七時間もかかったという経験がございまして、大変な交通渋滞をするわけでございます。二十メートルほどの幅のコンテナが、和歌山港から高速へつながるのは田中町のあの道だけだということになりましたら、大変和歌山市内──今でも交通渋滞があるわけでございます。この点について、京奈和自動車道なり紀淡海峡の開通、これは二〇〇七年までにつくり上げるんだということでございますけれども、そういうことだけでは、現実的な問題として大変な交通渋滞を和歌山市内に及ぼすのではなかろうかと危惧するわけでございます。
 そういった意味で、高速道路に直結する和歌山下津港からの高速道路等の真剣な議論をする必要があるのではなかろうかと思うわけでございまして、この点についてひとつ強く要望をしておきたいと思います。
 最後に、那賀郡はこれから開け行く紀北地域の中心として、人口増も大変なものがございまして、ますます大きな役割があろうかと思いますけれども、ご承知のとおり、那賀郡は市のない唯一の地域でございます。六町が相寄って那賀郡を形成しておりまして、人口は約十二万人にならんとしております。
 そういった中で、私は和歌山県を発展させていくためには、本当の意味で中心的な役割を那賀郡に期待するものが大きいと自負しておるわけでございますけれども、そういった意味で那賀郡を一つのいわゆる地域行政、広域行政として取り組んでいただけないかと強く思うわけでございます。
 とりわけ那賀病院については、那賀郡は和歌山市にも近いということで和歌山市に行ったらどうかとか、あるいは伊都郡、橋本へ行けばいいというような議論がございますけれども、やはり那賀郡という地域を一体的に発展させることが県益にかなうことだと強く思っておりますので、那賀郡をひとつ独立した医療圏に設定──高校増設の問題、京奈和自動車道路の問題等、いろんな意味でキーワードになってくる地域であろうかと思うわけでございます。
 そういった視点を持っていただきまして、今後もどうかひとつよろしく取り組みのほどをお願い申し上げまして、要望として私の考え方を申し述べさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。

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