平成7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成七年九月二十六日(火曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第百四号から議案第百三十七号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四号から議案第百三十七号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川  武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門  三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島  雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 長 坂 隆 司
 18 番 井 谷  勲
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗  正 彦
 24 番 橋 本  進
 25 番 谷  洋 一
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 東 山 昭 久
 28 番 尾 崎 要 二
 29 番 野見山  海
 30 番 木 下 秀 男
 31 番 町 田  亘
 32 番 中 山  豊
 33 番 山 下 直 也
 34 番 鶴 田 至 弘
 35 番 森  正 樹
 36 番 村 岡 キミ子
 37 番 新 田 和 弘
 38 番 平 越 孝 哉
 39 番 森 本 明 雄
 40 番 神 出 政 巳
 41 番 松 本 泰 造
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 梅 田 善 彦
 出納長 中 西 伸 雄
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 民生部長 木 村 栄 行
 保健環境部長 鈴 木 英 明
 商工労働部長 中 山 次 郎
 農林水産部長 日 根 紀 男
 土木部長 山 根 一 男
 企業局長 中 村 協 二
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代
 以下教育次長
 公安委員会委員 中 尾 公 彦
 警察本部長 青 山 幸 恭
 以下各部長
 人事委員会委員長
   若 林 弘 澄
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   谷 口 庄 一
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 岩 垣  孝
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 松 田 捷 穂
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 長 尾 照 雄
 総務課長 岡 山 哲 夫
 調査課長 柏 木  衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時五分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
○議長(橋本 進君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第百十号及び議案第百二十一号は職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。職員に、その回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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    和人委第202号
    平成7年9月25日
 和歌山県議会議長 橋 本 進 殿
 和歌山県人事委員会委員長 若 林 弘 澄
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成7年9月18日付け和議会第196号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
   記
 議案第110号 和歌山県職員の賞じゅつ金に関する条例の一部を改正する条例
 議案第121号 和歌山県警察職員の賞じゅつ金に関する条例の一部を改正する条例
   意 見
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(橋本 進君) 次に、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から監査結果の報告がありましたので、報告いたします。
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 【日程第一 議案第百四号から議案第百三十七号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第百四号から議案第百三十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 43番飯田敬文君。
 〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、発言通告要旨に従いまして質問をさせていただきます。
 戦後五十年を迎えた今日、世界政治の流れは冷戦崩壊後の過渡期から脱冷戦期に入り、世界政治を支配するイデオロギーや政治、経済をめぐる対立から、宗教、歴史、民族、伝統などを基礎とした地域紛争が各地で起こっております。我が国はそのどちらもの顔を持ち合わせており、我が国の行動や国際的責任をどのようにとるかが注目されておるわけであります。また平和軍縮の面を見ましても、非核を中心とした論争に終始しており、この点につきましても日本の独自性を強調していかなければなりません。十九世紀の半ばにつくられた国際法も多様化する中にあって規定範囲の拡大は避けられない情勢となっており、この影響は私たち国民にとりましても目の離せない問題であります。
 一方、世界経済は、世界不況の中でアメリカに代表される膨大な財政赤字削減に奔走し、今なお解決されていない現状であります。これに伴う失業問題が高水準を見せており、社会不安を増大しております。我が国におきましても、バブル崩壊後、政府の数次にわたる景気対策にもかかわらず、今なお停滞し、東京都コスモ信用組合等の放漫経営や大阪での木津信用組合の破綻等による金融不安が引き金となり、相次ぐ中小企業の倒産を招き、現存する企業も企業間競争の激化による合理化、リストラを推し進め、新規雇用や設備投資の抑制を余儀なくされておるわけであります。
 さて、国内政治を見ましても、政治改革法案の一部である地方分権が叫ばれている今日、私たちの生活にも大きな影響がございます。また、関西国際空港が開港一年を迎えて国際ハブ空港としての機能を発揮させ始め、全体構想の二期工事に早期に着工することが盛り込まれ、いよいよ本格的な関西地方の国際化に向けて動き始めようとしている折、国会では本年六月十五日に広域連合制度が施行され、関西圏の各府県が一つになって地方分権の受け皿を築いてまいらなければならないと思うわけであります。前回の質問でも申し上げましたとおり、その推進の中心的役割を担う認識を持って我が和歌山県の今後の政策を立てていかなければなりません。
 仮谷知事におかれましては、五期二十年の任期の間、和歌山県の発展に数々の実績を上げられ、私たち県民の幸せを第一に邁進してこられましたこと、深く敬意を表しますとともに、厚く御礼を申し上げたいと思います。今回の議会で最後の議会を迎えられましたことは、私にとりましても感慨深いものがございます。これよりは、今までの経験を生かし、私たちの指導はもとより、新しい人生の出発を願うものであります。本当にご苦労さまでございました。
 さて、質問に戻りまして、関西国際空港の二期工事の前進に伴い関西地域の国際化も一段と加速する中で、我が和歌山県ができ得るあらゆる事柄について積極的に対応していかなければなりません。また、地方分権の堅実な前進を受けた受け皿なり、政府において問題になっている国際貢献についても、国際化する関西や和歌山県独自の貢献方法を考えていかなければならないときに立ち至っております。県としてもっと踏み込んだ議論を行うべきだと考え、以下、私なりのご意見を申し述べ、県としての具体的な姿勢なり考え方をお伺いいたします。
 関西国際空港二期工事完成目標が二〇〇七年と明記されたわけであります。しかし、明記されたからといって、これからの積極的な取り組みがなされなければ完成はおぼつきませんし、また完成したからといって、世界のハブ空港になれるわけではありません。完成までに、今から空港並びに関西地域の方向性を見出し、それにおくれることなく積極的な取り組みを積み重ねていかなければなりません。
 本年二月議会において質問をいたしましたとおり、急速な国際化に対応できる都市機能を持った地域づくりが必要であります。戦後五十年という経過の中で、世界全体が政治的、経済的、文化的、あらゆる分野において価値観が変革をしようとしております。このことは、新たな世界秩序の形成に入ったことを示しておるわけであります。これからの我が国が、我が県が目指すべきものは、これまでの対アメリカ一辺倒から、アジア諸国を主眼とした国際主義を目指すべきであると思うわけであります。
 今にわかに、国際社会の中でアジア諸国が脚光を浴びております。なぜならば、この地域は比較的政治が安定しており、経済成長が目覚ましいからであります。アメリカ主導の経済成長であった国際経済も、現在アジア諸国との連携に移り、政府におきましても、ともに考え、ともに行動するパートナーとして期待を込めておるところであります。韓国、香港など各地域でハブ空港の建設が進み、我こそはと国際社会のリーダーたるアピールをしておるとき、関西地域、中でも我が和歌山県は、アジア諸国に向けた友好の地域交流を推進し、アジア諸国との共存共栄を図るためにも地方でできる貢献を進めていかなければなりません。
 また私は、我が国のとるべき道として、文化及び知識集約的な人的貢献が望ましいと考えております。今日の不況経済の中で、また国内産業の空洞化がますます進んでいる中で我々が生き残る道は、これまで培ってきた技術、例えば環境、教育、産業、情報など技術面の援助なり協力を進めていくことであり、これが関西国際空港を中心とした関西地域の大きな役割であろうと考えます。発展途上のアジア諸国にとって、例えば公害で苦しんだ歴史の中で、環境保護の技術やハイテク産業、情報化社会に対応できる技術など、新旧文化の貢献こそが文化国家日本のこれからの進むべき方向だと考えます。
 このように、あらゆる経験を積んだ我が国が、そのノウハウをアジア諸国にお示しし、ともに景気を安定させ経済を成長させる意味を込めて、アジア地域との連携は欠かせないと考えるわけであります。戦後五十年の節目を迎え、また関西国際空港二期工事完成の二〇〇七年までの和歌山県のあるべき姿、文化国家としてのアジアとの連携を仮谷知事はどのようにお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 さて、地方分権論議が日増しに強くなっておる中、私も毎回の質問の折、地域特性に合った分権の受け皿を構築し、規制緩和や行政改革を含めた推進が必要と訴えてまいりました。仮谷知事におかれましては、今月当初、新聞紙上において首都圏機能の移転に対し強く誘致の意思を明らかにされております。私といたしましては、その意思は関西地域並びに和歌山県の活性、浮揚に大きな意味があると、県の姿勢を高く評価するものであります。なお、県としてはグローバルな視点に立った受け皿をつくり上げていただきたいと願うものであります。
 また、県としての行政改革もその一つととらえ、スリムな形の行政を目指していただきたいと思います。現在、和歌山県には東京事務所、大阪事務所といった県外事務所がございますが、近年そのあり方に問題提起がなされており、地方分権を念頭に置いた行政整理を進めるべきであると考えております。県外事務所を含めた行政改革についての県の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、前段でも申し上げてまいりました都市機能を持った新しい地域づくりの基本は、道路づくりと港湾機能の充実であります。国際港湾基地の早期拠点づくりについては、前回の質問でも申し上げてまいりました和歌山下津港が最適であろうと思います。それにつながる基幹道路の整備が何よりも今必要であると、訴えてまいったところであります。
 土木部長の答弁は、港湾機能の充実が和歌山県土づくりには重要な課題と認識した上で、積極的に取り組む姿勢を見せられました。また、それにつながる基幹道路・阪神高速湾岸線と第二阪和国道等の接続等についても早期に具体案を求めると、答弁をいただいております。その後の進捗状況と、県としての道路行政をあわせてお聞きいたします。
 次に、世界に一番近い地域として、那賀郡を初めとする紀北地域がございます。国際文化都市を築く上で道路づくりが必要と訴えてまいったところでありますが、京奈和自動車道路を初めとする関西国際空港に直結する道路の早期着工が待たれるところであります。九月補正予算では、紀北東道路の事業着手に向けて都市計画を行うための広域都市計画策定調査の実施が予定をされております。早急に紀北東道路の着手、完成を期待するものでありますが、同時に私は、紀北西道路の早期計画策定、事業着手を同時に行っていただくことを強く望むものであります。
 和歌山県の浮揚のためには、この地域と大阪府泉南地域が一体となる首都機能を持った文化都市を築くべきであると思います。これについては府県間道路事業に見られる府県間行政協力が不可欠であり、先ごろの府県間道路・泉佐野打田線の大阪側拡幅工事に見られる大阪側予算での和歌山建設業者施工は、県としてこれからの府県間行政の画期的なことと、不断のご努力に敬意を表する次第でありますけれども、さらに全線二車線開通を強く望むものであります。
 一方、泉佐野岩出線は、大阪側が大きく前進しているにもかかわらず、和歌山県側が遅々として進んでおらないように思うわけでありますが、この点、他の府県間道路とのかかわりとともに、今後の取り組みについてお聞かせをいただきたいと思います。さらに、高規格道路としての京奈和自動車道路と各府県間道路との関連性及び位置づけを明らかにしていただきたい。
 また、生活に密着した交通体系を早期に構築しなければなりません。生活道路であるところの国道二十四号線は打田町黒土以東よりの四車線計画がなされておらないのが現状であり、この地域に生活する郡民が文化生活を送る上で、交通停滞、交通事故などの公害が頻繁に起こっておるわけであります。生活に密着した交通体系にかんがみ、早急に国道二十四号線の拡幅並びにバイパスの計画をしていただきたいと考えます。
 また、あわせて和歌山市東北部にあるJR紀伊駅前と那賀郡への乗り入れ道路を拡幅し、全体的な交通体系を確立していただきたい。生活に密着した交通体系についての県の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、国際文化都市をつくり上げていく施策として、さらにそれに伴う文化施設が必要であります。昨年提言させていただき、県当局も早急な予算化をされた紀泉スカイライン事業がございますけれども、このスカイラインには、文化と歴史を国際的にアピールする施設及び各種の文化施設はなくてはならないものであります。
 そこで、国内外の旅行者向けの国民宿舎とともに、国際会議ができ得る施設を併合して、国際交流のできる施設をぜひ建設していただきたい。県当局のご所見をお伺いしたいと思います。
 また、那賀郡は一級河川である紀の川を中心に生活圏が広がっております。その紀の川も、年々汚れがひどくなり、近畿圏で汚染度が第三位という屈辱的な報告がなされたと聞いております。私たちの飲料水として、また農業・工業用水として、生活に密接な清流を守るためにも、下水道整備は早急に実現しなければなりません。
 また、南ろくサイエンスパーク構想を軸に紀の川流域のスポーツ振興を進め、現在、老人ゲートボールや青少年育成の各種のスポーツ、あるいはパラグライダーの発着基地として河川敷を利用しております。先ほど申しました国民宿舎の建設は、旅行者のみならず国際大会参加者にも宿泊できるものとして利用され、紀の川河川敷の有効利用を推進し、国際都市地域の一端としてアピールをしていくことが大事であります。
 和歌山県総合計画の中の第三次中期計画で紀の川リバーサイドグリーンベルト構想の推進がうたわれておりますが、河川の抜本的な改修計画を早期につくり上げることがまことに大事であります。また、毎年、風水害によるグラウンドなどの流失が相次いでおります。治水を含め、紀の川の美化をも含めた、でき得る課題から取り組んでいただきたいと思うわけであります。他地域を含め、治水と絡めた河川敷の活用を検討されますよう強く要望いたします。紀の川流域の環境保護と治水対策としての河川敷活用について、考え方をお伺いいたしたいと思います。
 さて、文化都市建設は、人、施設、文化的生活を営める地域づくりであります。そのためにも、人材の育成は欠かすことのできない問題であります。那賀郡は昨今、急速な人口増を遂げ、現存する公立高校もマンモス化の兆しが見え始めており、教育適正規模の問題も絡め、人材育成の場となる教育施設が将来不足するのは目に見えて明らかであります。
 近畿大学が学部、学科の増設を決めていただいたことは大きな喜びでございますが、中等教育の場となる公立高校の不足が問題視され始め、教育関係者や保護者会などにおいて陳情をいたしておるところであります。地域の実情を考慮していただき、那賀郡に公立高校を新設し、私学教育も含め幅広く人材の育成を進め、文化都市づくりに県として取り組んでいただきたいと思うわけであります。地域実情に合った教育施設の新設についてお伺いをいたします。
 最後に、和歌山県は医療圏の設定を行っており、那賀郡は和歌山医療圏に属しております。那賀郡の人口は、ご承知のとおり増加の一途をたどっており、高度な医療の施設を希望しております。もちろん、医療圏の設定は医療資源の適正配置と医療供給体制のシステム化を図ったものでございます。その中で那賀郡はサブ圏域として指定されておるわけでありますが、急増する人口や将来の地域医療を考えますと、私は不本意に感じざるを得ません。
 現在進行中である高度な医療体制の中核となる那賀病院の再開発は、那賀郡民が「我が町に市民病院を」と強く要望されているものであり、郡民の悲願でもあります。那賀病院の総合病院化を強力に進めていただき、あわせて那賀郡が独立した医療圏として設定されることを強く望むところであります。
 また、あわせて、高齢化社会の進行に伴い、現行の老人福祉計画では対応できない問題が出てまいるおそれがあります。福祉計画の枠を拡大し、不足する養護老人ホームや高齢者が楽しく集える施設の拡充を図っていただきたいと思うところであります。那賀病院に対する県としての姿勢と、それに伴う医療圏設定、高齢者対策としての施設整備についてお伺いをいたしたいと思います。
 今まで申し述べてまいりましたことは、今日が関西国際空港の二期工事完成二〇〇七年までの方向性を決める重大な時期としてとらえ、問題意識を持って、来り来る国際化に乗りおくれることなく積極的に、我が和歌山県が関西地域の中心、リーダーとしての地位を確立していかなければならないとの認識のもとで質問をさせていただいたわけであります。
 議会はもとより、県行政一丸となったご努力を期待して、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 飯田議員にお答え申し上げます。
 ただいまは、私に対する丁重な言葉をいただき、ありがとうございました。また、昨日来から慰労の言葉をいただき、皆さん方に心から感謝申し上げます。
 さて、質問の関西国際空港二期工事完成における和歌山のあり方と、アジア諸国に対する県としての姿勢についてでございます。
 お話ございましたように、二〇〇七年には関西国際空港の第二期工事が完成することにより、航空機の発着能力が大幅に増加し、アジアのハブ空港として、人、物、情報などの交流が飛躍的に伸びてまいりますし、また京奈和自動車道等、交通網の整備、ベイエリアの活性化が進んでまいるわけでございます。
 本県を含む関西圏は、これらを大きなインパクトとして、特色ある学術、文化、産業などを生かしながら、世界都市・関西として世界の発展に貢献していく方向を明らかにし、取り組みを進めているところでございまして、本県はまた、世界に一番近い臨空都市としての世界都市・関西の一翼を担い、積極的にその役割を果たしていかなければならないと考えておるところでございます。
 すなわち、恵まれた自然、文化を生かしながら、研究開発機能の充実、リゾート基地の形成、陸・海・空の交通の結節機能に着目した物流基地の形成など、関西圏の中でも和歌山県の特色を生かした国際都市をつくり上げていくことが必要でございます。交通情報ネットワークの整備はもとより、文化の振興、産業の高度化、快適で安全な環境整備など、国際化時代にふさわしい地域づくりを進めなければならないと考えておる次第でございます。
 また、経済的、文化的交流は、お互いの理解を深め、世界の平和と発展に欠かすことのできないものであると存じます。お話ございましたように、日本はこれまで世界から文化を吸収し、それをそしゃくして発展してまいりました。これからは、我が国の発展の中で蓄積したものを、技術を、知識を、各種ノウハウ等を、逆に世界に返していくという考え方が私も重要であると考えております。
 とりわけアジア地域においては最近成長が非常に著しいものがございまして、世界の中で重要な役割を果たしていくことが期待されているところでございます。二十一世紀はアジアの時代になるのではないかとまで言われておるわけでございまして、我々もその主要な構成員としてともに歩み、ともに発展していくという認識がぜひ必要でございます。
 今後、本県におきましても、友好交流活動、経済活動等を通じて相互理解を深めながら、本県の特色を生かしたより具体的な文化、経済、学術交流の展開へと発展させていくことが重要な課題であり、必要性があると考えております。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) グローバルな視点に立った施策の受け皿としての県の行政改革をしてはというご質問でございますが、現在策定中の行政改革大綱では、地方分権の時代の到来をにらみつつ、県勢活性化と県民福祉の向上を図ることのできる行政体制の整備を中心的な目標としているところでございまして、この目標達成の観点から、今後、県外事務所も含めた県の組織機構について抜本的な見直しを行ってまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 飯田議員にお答えいたします。
 初めに、港湾整備と基幹道路建設の進捗状況についてでございますが、議員ご指摘のように、和歌山下津港と京阪神圏との結びつきを強化する基幹的な幹線道路の整備は重要な課題であると認識してございます。
 第二阪和国道の阪南市から和歌山市の間約二十キロメートルのうち、大阪府域九・〇キロメートル、和歌山市域二・二キロメートルについては、昭和六十三年度に事業化され、事業進捗が図られているところでございます。この区間は今年の四月に地域高規格道路の整備区間に指定されたところでございまして、重点的に事業が進められることとなっており、本年度は用地買収を促進することとなっております。なお、府県境部の残区間についても機会あるごとに早期事業化を要望しているところでございます。
 また、平成五年に和歌山県広域道路網マスタープランを策定したところですが、さらにその充実を図るため、港湾や基幹的道路との関連も含め、和歌山市都市圏のネットワークのあり方について、建設省、運輸省、和歌山県から成る委員会を設け、検討を進める予定であります。二十一世紀へ向けて今後とも和歌山都市圏の発展に資するべく、道路網の整備に努力する所存でございます。
 次に、那賀郡の文化都市づくりについてのご質問三点のうち、まず府県間道路と基幹道路の建設関係についてでございます。
 泉佐野岩出線、泉佐野打田線等の府県間道路については、紀の川利水に関する協定に基づき、両府県が協力して事業を進めております。泉佐野岩出線の和歌山県側については、岩出町根来地内の一・二キロメートルについては昭和六十三年度に、それから森地内の一・四キロメートルについては平成五年度に、森地内から国道二十四号バイパスまでの一・四キロメートルは平成六年度にそれぞれ事業化し、現在用地買収を促進しております。さらに、府県間までの残る三・一キロメートルの区間についても早期に事業着手を行うこととしております。大阪府側については、阪和道の泉南インターチェンジから現道までの一・二キロメートルの区間が供用され、残る府県界までの四・〇キロメートルについては平成六年度事業着手されているところでございます。
 泉佐野打田線の府県境部については、現在、大阪府側において公図訂正などの作業を行っており、早期整備に向け鋭意努力をしているところでございます。
 京奈和自動車道の紀北東道路である高野口町から打田町までの間十六・九キロメートルについては平成五年度に事業化を行い、現在都市計画決定をすべく調査を進めているところでございます。また紀北西道路については、平成九年度を最終年度とする第十一次道路整備五カ年計画の期間内に事業化することとされており、さらに紀淡連絡道路までの間については建設省において各種の調査を進められているところでございます。なお、京奈和自動車道の検討を進めるに当たり、泉佐野岩出線、泉佐野打田線との連係についても十分配慮しつつ、建設省とともに進めてまいりたいと考えております。
 二点目の生活に密着した交通体系に関して、国道二十四号の黒土以東については、京奈和自動車道の紀北東道路との関連も含め、周辺の道路網について調査検討を進めているところであります。さらに、現在、建設省において交通渋滞の状況について調査を行っており、県としてもその結果を踏まえながら建設省と連携し、検討を加えたいと考えております。
 また、JR紀伊駅から粉河へ向かう県道粉河加太線については、おおむね改良が終わっておりますが、和歌山市と岩出町との境界付近とJR紀伊駅付近が未改良となっております。このうち市町境界付近についてはルート等について調査を進めることとしており、今後、早期事業化に向けて努力してまいります。また、JR紀伊駅付近の当面の対策として、紀伊駅の約二キロメートル東で県道和歌山貝塚線のバイパス整備を行い、県道粉河加太線と国道二十四号和歌山バイパスとの接続を図ることにより交通を分散させることとしております。今後とも、この県道和歌山貝塚線の整備についても促進に努力してまいります。
 最後に、紀の川流域の環境保護と治水対策についてですが、和歌山を国際都市地域としてアピールするためには、人々の生活と深いかかわりを持つ紀の川の治水対策や河川敷の秩序ある活用が重要であると考えております。
 紀の川の治水対策については、建設省において、大滝ダムや紀の川大堰の建設等、緊急度の高いところより順次取り組んでおります。河川敷の活用については、市町村の意見も聞き、国、県により整備や保全の方針として紀の川河川環境管理基本計画を策定しております。建設省では、この計画に沿いながら治水対策とあわせて地元市町と協力しつつ、自然環境にも配慮しまた住民の方が憩える桜堤等の整備を行っています。
 今後、県としても建設省、地元市町村と協議しながら、潤いのある河川整備に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) ご質問の文化施設の建設についてでございます。
 那賀郡を初めとする紀北地域は、関西国際空港に近接していること、豊かな自然や根来寺、粉河寺を初めとした文化資源に恵まれていること、京奈和自動車道や府県間道路の整備など交通アクセスの飛躍的な向上が見込まれることなど、極めて高い発展ポテンシャルを有し、人口も増加している地域でございます。また、紀泉山脈を挟んで泉南地域と一体的な臨空国際都市として発展することが期待される地域でもございます。今後、文化や経済などさまざまな分野で交流が活発化するものと思われますが、そのために、それぞれの地域が広域的な観点から一体となって世界に開かれた魅力的な国際都市づくりを行う必要があります。
 文化都市という視点は国際化をにらんだ都市づくりの上で特に重要な視点であると考えており、南ろくサイエンスパークの計画を初めとして、こうした視点から臨空都市圏の形成に取り組んでいるところでございます。今後とも、宿泊施設や交流施設など、国際都市にふさわしい都市機能の充実を図る必要があると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 紀の川流域の環境保護と治水対策についてお答えいたします。
 紀の川の水質についてでございますが、昨年は異常渇水の影響を受け、本来河川が持っている自浄作用が鈍くなり、水質汚濁を増加させた要因の一つであろうと推察しております。
 保健環境部としては、今後とも水質浄化意識向上のための啓発活動、環境基準の監視、工場・事業場の立入調査等を行うとともに、河川等の汚濁に影響が大きい生活排水対策として合併処理浄化槽の整備促進を図る等、水質汚濁の防止に努力してまいりたいと考えております。
 次に、地域に密接した施設建設について、国保那賀病院の整備に対する県の姿勢と医療圏の設定についてお答えいたします。
 まず国保那賀病院については、築後三十年を経過し、老朽化も進み、同病院経営事務組合において整備計画が進められております。現在、同病院は医療法第四条に規定する総合病院として運営されておりますが、整備後はさらに診療科目の充実等を図り、地域の総合的医療体制の確保を目指していると伺っております。また、県地域保健医療計画においても那賀地域の中核的な役割を担っていただく病院として位置づけており、今後もさらにその機能を強化充実していただけるものと期待しております。
 次に医療圏についてでございますが、那賀地域は現在、和歌山県医療圏のサブ圏域として位置づけておりますが、当地域は県下でも屈指の人口急増地域であり、地域医療に対する需要は増加してくるものと認識しており、現行医療圏の再検討が必要であると考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 和歌山県老人保健福祉計画の枠拡大についてでございますが、現在でも特別養護老人ホームへの入所希望の方が相当数いることは事実でございます。これに対し、県としてはこれまで地域のバランス、入所希望者の状況等を踏まえながら積極的に整備を進め、今年度においても既に二カ所百床分が運営を開始し、今後さらに二百二十床分の増床が図られることとなっております。これらの結果、県の老人保健福祉計画上の目標数三千床にほぼ到達するものとなっております。
 今後の施策のあり方としては、高齢者の皆さんができるだけ自立して住みなれた家庭、地域での暮らしを続けられることが重要との観点から、在宅福祉サービスの充実や福祉用具の普及などに重点を置いて努めていくべきと考えております。
 特別養護老人ホームの整備については、今後の入居希望者や在宅福祉サービスの充実の状況、国において行われている公的介護保険制度の動向等をあわせ考えながら、必要に応じて見直しを検討してまいりたいと考えております。
 また、高齢者が在宅で生き生きと暮らし続けられるように、デイサービスセンター、高齢者生活福祉センター等の整備を図るとともに、高齢者が楽しく集える老人憩いの家などの小規模拠点施設についても県の単独補助事業として整備を図っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 那賀地方における高校の新設についてお答えいたします。
 本年度の学校基本調査によると、現在の中学三年生と比較して小学校各学年の在籍者数は全県的に減少いたしております。那賀地方においても、他地方に比べて減少率は低いものの、長期的には次第に減少することが予想されます。
 しかしながら、議員ご指摘の急速な国際化に伴う新たな都市機能を持った地域づくりなど、当地方の今後の発展をも視野に入れていく必要があると考えます。こうしたことから、今のところ当地方における高校新設の予定はございませんが、地域環境の変化による人口増とそれに伴う生徒数の推移や各高校の実情等を見きわめながら慎重に対応を検討するとともに、特色ある学校づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番飯田敬文君。
○飯田敬文君 知事初め関係部長、教育長の温かいご回答をいただきまして、大変心強く思っておるところでございます。
 三点ばかり、要望になろうと思いますけれども、私なりに考えた点を申し上げておきたいと思います。
 一点目は、二十一世紀に向けた和歌山県、とりわけ関西地域の生きる道筋というものを今、我々自身が本当の意味で考えなければならないという視点でございます。先ほど知事からもご説明ございましたように、経済成長至上主義から文化、生活、教育を基調とした豊かな文化国家、文化圏といったものの一翼を担っていく和歌山県づくり、今このことが必要ではなかろうかと特に思うわけであります。
 とりわけ関西国際空港──成田はアメリカへ、関西はアジアへということで、私はその位置づけの中での関空の役割は大変大きなものがあろうかと思います。そういった意味で、アジアとの文化交流、経済交流について、姉妹提携等も含めてひとつ積極的によろしくお願いをしたいと思うわけであります。
 二点目は、先ほどの説明にもございましたけれども、和歌山下津港の整備にかかわってでございます。阪神・淡路大震災が起こり、神戸港が大変な打撃を受けております。それにかわる国際港、国内港としての和歌山下津港の役割は大変大きなものがあろうかと思っておるわけでございます。先ごろ釜山との定期コンテナが開通したということでございますけれども、そのためにも、和歌山下津港からコンテナがおろされてくるときに京阪神と直結する高速道路が必要ではなかろうかと思うわけでございます。
 特に、田中口──この間の集中豪雨による洪水のとき、私も県庁まで来るのに六時間も七時間もかかったという経験がございまして、大変な交通渋滞をするわけでございます。二十メートルほどの幅のコンテナが、和歌山港から高速へつながるのは田中町のあの道だけだということになりましたら、大変和歌山市内──今でも交通渋滞があるわけでございます。この点について、京奈和自動車道なり紀淡海峡の開通、これは二〇〇七年までにつくり上げるんだということでございますけれども、そういうことだけでは、現実的な問題として大変な交通渋滞を和歌山市内に及ぼすのではなかろうかと危惧するわけでございます。
 そういった意味で、高速道路に直結する和歌山下津港からの高速道路等の真剣な議論をする必要があるのではなかろうかと思うわけでございまして、この点についてひとつ強く要望をしておきたいと思います。
 最後に、那賀郡はこれから開け行く紀北地域の中心として、人口増も大変なものがございまして、ますます大きな役割があろうかと思いますけれども、ご承知のとおり、那賀郡は市のない唯一の地域でございます。六町が相寄って那賀郡を形成しておりまして、人口は約十二万人にならんとしております。
 そういった中で、私は和歌山県を発展させていくためには、本当の意味で中心的な役割を那賀郡に期待するものが大きいと自負しておるわけでございますけれども、そういった意味で那賀郡を一つのいわゆる地域行政、広域行政として取り組んでいただけないかと強く思うわけでございます。
 とりわけ那賀病院については、那賀郡は和歌山市にも近いということで和歌山市に行ったらどうかとか、あるいは伊都郡、橋本へ行けばいいというような議論がございますけれども、やはり那賀郡という地域を一体的に発展させることが県益にかなうことだと強く思っておりますので、那賀郡をひとつ独立した医療圏に設定──高校増設の問題、京奈和自動車道路の問題等、いろんな意味でキーワードになってくる地域であろうかと思うわけでございます。
 そういった視点を持っていただきまして、今後もどうかひとつよろしく取り組みのほどをお願い申し上げまして、要望として私の考え方を申し述べさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番谷 洋一君。
 〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 去る四月の選挙におきまして、東牟婁郡区から、多くの皆さんのお世話になりまして、またご支持を受けまして、また期待を背負って、この歴史と伝統ある和歌山県議会に送っていただきました谷洋一でございます。
 今、壇上に上がりますと、緊張と責任の重さに一層心が引き締まる思いがいたします。もとより浅学非才ではございますけれども、先輩議員、同僚議員のご指導を仰ぎながら、また当局の皆さん方のご理解を得ながら、紀南の発展のため、和歌山県発展のため、四年間全力を尽くす覚悟でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、仮谷知事におかれましては、五期二十年間、「まごころ県政」の旗印のもと、和歌山県発展のため、県民生活・福祉向上のため日夜励んでいただき、衷心より敬意と感謝を申し上げます。二十年間の最後の締めくくりの年に議場で同席させていただき、私の喜びもひとしおでございます。ご勇退の後も、県勢発展のためご努力をいただきますようお願いいたします。私個人といたしましても、仮谷県政継承のため、微力ではございますけれども、頑張らせていただきます。
 それでは、議長の許可を得まして一般質問を行います。
 最初に、新宮・東牟婁地方の高規格幹線道路についてお尋ねいたします。
 長らく県民の悲願となっていた紀伊半島を一周する高速道路、すなわち近畿自動車道紀勢線についてですが、大阪府松原市から三重県勢和村までの延長三百四十三キロメートルのこの道路は、ご承知のとおり、昭和六十二年九月、国土開発幹線自動車道の予定路線となって以来、松原市から広川町までが既に供用され、来春には広川・御坊間が供用開始になると聞いております。
 そこで、御坊以南の状況について今後の見通しはどうか、知事のご所見をお聞かせ願います。仮谷知事は道路網の整備には殊のほか情熱を注がれてまいったと思っております。よろしくお願いいたします。
 次に、ご承知のとおり、当地方の重要な生活、産業の基盤をなす広域幹線道路としましては、国道四十二号線及び国道百六十八号線、さらに国道三百十一号線があります。国道四十二号線につきましては、新宮市及び那智勝浦町の市街部の交通量の増加が著しく、新宮市佐野地区では一日当たり一万六千台に達していると聞いております。このため、交通混雑の解消を主目的として那智勝浦道路が平成四年度から事業着手され、その早期完成が地元住民の願いとなっているところであります。
 この計画の概要と現在の進捗状況、さらには現実的にいつごろ完成する予定なのか。さらに、国道三百十一号線、百六十八号線は県道南北軸の重要路線であり、かなりの区間が整備され、仮谷知事を初め関係の皆さん方のご努力に敬意を表する次第でありますが、中辺路町から本宮町にかけての国道三百十一号線の整備状況につきまして、土木部長の見解をお聞きいたします。
 また、当地方は古くから勝浦、川湯、湯峯などの温泉地や那智の滝、那智山、瀞八丁などの景勝地、熊野速玉大社、青岸渡寺などの神社仏閣、太地くじら公園、北山村のいかだ下り、グリーンピア南紀などの観光・スポーツエリアなど、多種多様な観光レクリエーション施設に恵まれ、JR紀勢線を利用した入り込み客が主流を占めておりましたが、最近では、モータリゼーションやアウトドアスポーツ志向の高まりとともにマイカー、バスなどの利用客がふえております。これらの拠点間の移動の利便性を高めること、すなわちネットワーク化することが重要であるわけですが、当面はこれら拠点へのアクセスルートの整備が課題と考えております。
 そこで、当地方の観光拠点を結ぶ道路整備についてお尋ねいたします。
 まず主要県道那智山勝浦線についてでありますが、那智山への唯一のアクセスとして観光バスの往来が多く、途中の狭隘区間の局部改良等が必要かと考えますが、その必要性と今後の対応について土木部長にお尋ねいたします。
 また、北山村へのアクセスですが、現状では国道四十二号線を経由して三重県側の県道を利用する以外にルートはないわけで、熊野川町からの進入ルートとしての国道百六十九号線の整備状況と供用時期につきまして、あわせてご答弁をお願いいたします。
 古座町から新宮市に至る道は、現在、国道四十二号線一本に頼っております。地震や高潮、津波、また土砂崩れ等の被害に遭って国道四十二号線がストップしますと、たちまちパニックを引き起こします。現在計画されているバイパス計画の今後の取り組みについて、関係部長の答弁をお願いいたします。
 続きまして、農林水産業の振興についてお尋ねします。
 国際化、情報化が急速に進展する昨今の社会において、農業を取り巻く諸情勢にも大きな変化が起こりつつあることは、ご承知のとおりであります。本県においては、昨年開港した関西国際空港、高速道路の南伸等により今後とも物流機能が充実する中で、生産物の安全性、高品質化に対する消費者ニーズの高まり等にこたえ、より広い地域、より広い年代層を対象とした産業としての農業が求められていくことと考えます。
 県におかれましては、各県事務所、各地域農業改良普及センター等において種々の施策の展開、指導をしていただいているところでありますが、農業従事者の状況を見るとき、私は将来に不安を感じるものであります。それは、農村における農業従事者の減少とその高齢化であります。農林水産統計年報によりますと、基幹的農業従事者数における六十歳以上の占める割合が平成五年の時点で半数を超えており、十年後の農業を考えるとき、現在の生産力の維持向上を図る上で後継者の育成は最も重要な課題であると思います。
 そこでお尋ねいたしますが、県として農業後継者の育成、確保について、学校教育、関連団体の育成、魅力ある産業としての確立等、どのような取り組みがなされてきたのか、またどの程度の成果が見られているか、お聞かせをいただきたいと思います。
 続いて林業関係でありますが、森林資源に恵まれた木の国・和歌山にとって林業は伝統的産業であり、守り続けていかなければならない重要な産業であることは周知のとおりであります。林業の分野におきまして、広域林道の整備、新たな作業道の整備等、ハード面についての施策は着実に進展を見ているところであり、仮谷知事初め関係の皆様に感謝を申し上げる次第でございます。しかしソフト面、すなわち林業にかかわり林業を支えていくべき人材の育成についての施策の充実を望みたいのであります。
 担い手の減少、高齢化による山村地域の過疎化は、着実に進んでおります。平成二年の国勢調査を見ましても、林業従事者数は二千三百十二人となっております。昭和五十年の五千十四人、昭和五十五年の四千七十七人と比較すると非常に減少をしております。従事者の年齢階層を見ましても、六十歳以上が三六%を占め、四十歳未満がわずか一一%にとどまっている現状であります。すばらしい林道が整備されていても、次代を担う若年層の従事者の確保に努め、そこに働く人々の暮らしと地域の活力を維持できなければ、林業の発展は見込めないのであります。
 そこで、お尋ねします。近年、若者のふるさと志向、あるいは自然志向が高まりつつあると言われておりますが、都市部からのUターン希望者またはIターン希望者に対してどのような情報提供をされているのか、また安定した就労形態を形成するために県はどのような施策を展開されているのか、当局のご答弁をお願いいたします。
 本県は、観光立県であります。特に最近は、森林リゾートを求めて紀南の山村地域への観光入り込み客が増加している傾向にあります。そこで私の提案でございますけれども、夏休みに県内外から訪れる若い人たちに、ワーキングホリデー制度のようなものをつくり、一定期間林業を体験してもらって理解を深めていただくなどしてPRする方法はどうかと考えます。もちろん、就労形態の明確化、社会保障制度の活用、安全対策、福利厚生等の確立、充実は不可欠であります。どうか、今後はより広い観点から林業の将来を考えていただき、山村地域の活性化に積極的に取り組んでいただきたいと思うのであります。
 次に、水産業における漁村の現状を見ますと今昔の感があります。私が育った那智勝浦町浦神では、子供のころは浦神湾一面に所狭しといかだが浮かんで真珠、真珠母貝の養殖が行われ、子供は多く、浜一面に真珠貝が引き上げられ、その作業をする声が浜に響き渡っていたものであります。今思い出しますと、つい三十年前のことなのに、今はそのにぎやかさもありません。
 漁場の悪化、経営状況の変化の波は漁村にも押し寄せ、漁業者はそのときどきにおいて漁船の機械化や経営の合理化等を行ってまいりました。そして、築いそ事業、港湾施設の整備、借入金の利子補給等で県当局のお世話になったことはもちろんであります。若い人の漁業離れは全国的な傾向だと思いますが、私の育った浜でも高齢化、人手不足の波が押し寄せています。このまま若年齢層の漁業への参入低下が進んでいくとするならば、漁業を基幹産業としている漁村の活力の低下が懸念されます。近年、特に二百海里規制、オイルショック以後の燃料の高さ、輸入魚の増大や魚価の低迷等、漁業を取り巻く環境は悪化しております。
 そこで、県において種々の漁業振興対策を講じてこられたと思いますけれども、漁業後継者対策の現状と今後の取り組みについて農林水産部長の答弁をお願いいたします。
 観光関連について、お伺いいたします。
 先般、平成七年夏季における人出状況についての発表が当局からございました。これは、本年七月、八月の二カ月間に県内主要観光地七カ所に宿泊客、日帰り客がどれだけあったかということで、県内観光振興の現状の一つのバロメーターとなるものであります。これによりますと、今夏の観光推計客は、宿泊客、日帰り客を合わせて四百三十六万五千四百八十一人で、昨年に比べて一〇・六%、五十一万七千百七十二人の減少となっています。しかし、昨年は世界リゾート博が開催されたため驚異的な伸びを示したもので、平成五年に比べて宿泊客は六・四%、七万一千六百六十七人ふえ、日帰り客は四五・九%、九十九万七千七百五人ふえ、総数では三二・四%、百六万九千三百七十二人増と、着実に伸びているようでございます。また、宿泊客だけを見れば、本年七、八月の二カ月で昨年同期を〇・八%上回る百十九万二千百六十四人であり、紀南の白浜、串本、那智勝浦が健闘をし、紀北地方をカバーする結果となっております。
 本年一月に阪神・淡路大震災があり、本県観光にも大きな影響を与え、三割方キャンセルがあったとも伝え聞いております。一方、和歌山マリーナシティのテーマパークの再オープン、大河ドラマ「八代将軍吉宗」ブームで関連施設がにぎわうなど、ゴールデンウイークの段階で過去最高の入り込みとなり、天候にも恵まれて好調な夏季の人出につながり、大震災の影響を払拭している結果となっていることは喜ばしい限りであります。
 私どもの東牟婁郡で見てみましても、那智勝浦町におきまして七、八月で宿泊客が対前年比で七・七%ふえ、日帰り客が二〇%もふえております。主要観光地の中で唯一両方の増加となっていますが、本宮町では横ばい状態であり、西牟婁郡の白浜町や串本町では、宿泊客が伸びる一方、日帰り客が減少するなど、主要観光地それぞれ若干の差異があるようです。数字的にはかなりの結果が出ているわけですが、地元の観光地の声としては、円高による内外格差から国内旅行への影響への懸念、また実感としての「もうかった」という感じが乏しいということもよくお聞きします。
 申すまでもなく、経済状況、天候、交通、観光地の魅力、キャンペーンの手法等、観光動態を左右する要因が幾つかあります。交通面で見ましても、世界リゾート博が開催された昨年までに、スーパーくろしお号の新大阪乗り入れ、近畿自動車道紀勢線の堺・岸和田間開通による国土軸への直結、海南湯浅道路の広川延伸、JR東海ワイドビュー南紀号の乗り入れ、関西国際空港開港などが実現されております。今後は、ジェット化される新南紀白浜空港の開港、海南湯浅道路の御坊延伸を目前に控えております。
 このような状況にあって、また大成功をおさめた世界リゾート博のノウハウを生かし、県民のリゾート意識の高揚とともに観光立県を標榜していく上で、本県の観光振興とりわけ観光資源の宝庫でもある紀南の観光振興を今後どのように図っていくのか、当局のご見解を求めます。
 以上で、私の一回目の質問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの谷洋一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 谷議員にお答え申し上げます。
 私から、高規格道路についての答弁をさせていただきます。
 高規格道路でございます近畿自動車道紀勢線の整備促進は、地域の発展、そしてまた経済の発展、文化の発展のために、県政の中でも最重点事項として、議員の皆さん方の協力を得ながら推進しているところでございます。
 このうち湯浅御坊道路については、建設省において現在着実に工事が進んでおり、来春には完成の予定になっております。また御坊・南部間については、昨年の十一月に路線が発表され、県も全面協力して鋭意調査が進んでおるところでございます。さらに、南部・すさみ間については整備計画、そしてまたすさみ以南については基本計画が早期に決定されるよう、強く国に対して働きかけを行っておるところでございます。
 また、国道四十二号のバイパスとして現在事業中の那智勝浦道路、延長八・九キロについては、現在土地開発公社において用地の買収に努めておりまして、今後関係の市町と連携をとりながら、公社を活用して用地買収を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 他の問題は、各部長から答弁いたします。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 谷議員の道路網についてのご質問三点のうち、まず東牟婁地方の幹線道路についてでございます。
 那智勝浦道路でございますが、近畿自動車道紀勢線に並行する一般国道四十二号のバイパスとして、新宮市三輪崎から那智勝浦町川関までの延長八・九キロメートルを四車線の自動車道専用道路として平成四年度に事業化されたところでございます。今年度は、用地測量の完了した箇所から、地元の方々のご協力を得ながら用地買収に入る予定でございます。今後、この用地買収を鋭意進め、一日も早い完成に向け努力してまいりたいと思っております。
 また、国道三百十一号は紀南地方の内陸部を横断する産業、観光面での重要な路線として鋭意整備を進めているところでございます。なお、中辺路町から本宮町にかけての町境部で約九キロメートルの整備が残っておりますが、この区間は現在、中辺路五バイパス、本宮一拡幅として重点的に事業を進めており、年内には小広トンネル、平井郷トンネルに着手すべく準備中であり、これら工区の早期完成に向け努力してまいる所存でございます。
 次に、県道那智山勝浦線についてでございます。
 観光拠点をネットワークとして結ぶ道路整備は、紀南の振興のために重要な施策課題であると考えてございます。ご指摘の主要地方道那智山勝浦線については、那智勝浦道路の仮称・那智勝浦インターチェンジから国道四十二号へのアクセス道路にもなっており、その区間の用地買収に着手しているところで、今後、那智勝浦道路の進捗に合わせてその整備に努力することとしております。また、あわせて熊野古道への取りつけ部付近の約一キロメートルについて、那智山への「祭りの道」として景観にも配慮した歩道の整備などを行うこととしております。
 次に、熊野川町から北山村への進入ルートとなる国道百六十九号線については、県境部分の交通不能区間を国の直轄代行事業により奥瀞道路として整備が進められており、来年度の早い時期に完成の予定と聞いております。このほか、熊野川町内においても現道拡幅等、局部改良を含め整備を進めているところでございます。
 最後に、国道四十二号の古座町から那智勝浦町、新宮市に至るバイパス計画についてでございます。
 ご指摘の国道四十二号の古座川町から新宮市の間の代替ルートでありますが、土木部、農林水産部が連携して、県道、農道等を有機的に組み合わせながら道路整備に取り組んでまいりたいと考えております。このうち、県道田原古座線の古座川町高池から古座町佐部地内の区間約三・三キロメートルについては、本年八月に開通したところであります。これに続く佐部地内から那智勝浦町南大居地内までの区間約四キロメートルについては、本年度から概略調査を進めることとしております。また、南大居地内から湯川地内までの区間約三・七キロメートルについては、農林水産部において調査を進めることとなっております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 農林水産業の振興と後継者育成についてでございますが、議員お話しのように、社会経済情勢の変化の中で若い担い手の減少や高齢化が進むなど、農山漁村は厳しい状況に置かれてございます。
 県としては、農林水産業を基幹産業として位置づけ、産業としての自立を目指し、地域の特性を生かした農林水産業の振興を基本に、人と基盤を重点として、地域の実態に即したきめ細かな施策の展開が重要と考えてございます。
 このため、まず農業については、関係機関等との連携などを図りながら各般の施策を実施するとともに、新たに将来を展望した二十一世紀農業振興計画を策定してございまして、この中で後継者を中心とした中核的担い手に視点を当て、他産業並みの所得と労働時間を目指した経営モデルを設定し、それぞれの地域に応じた生産振興を進めることとしてございます。
 また林業については、森林整備担い手基金を活用しながら、社会保障制度の充実等を図るとともに、ふるさと産品づくりを初め、Uターン、Iターン希望者に対するPRや新たな定住者に対する住宅の建設など、山村地域の活性化も視野に入れ、取り組みを行っているところでございます。今後とも、議員のご提言も踏まえ、積極的に施策を展開してまいります。
 さらに漁業についても、漁業士の認定による漁村リーダーの育成を初め、漁場造成や漁港の整備、さらに漁村の環境整備など、後継者が安心して残れる環境づくりに取り組んでいるところでございます。
 いずれにしても、安定した所得の確保、生活環境整備等が後継者対策の重要な柱でございますので、今後とも生産・生活基盤の整備等を図りながら、収益性の高い魅力ある農林水産業の推進に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 今後の紀南の観光振興についてお答えいたします。
 年初の阪神・淡路大震災の影響が懸念されましたが、白浜、勝浦など、紀南地域の観光客の入り込みが堅調に推移しているところでございます。しかしながら、議員ご指摘のとおり、円高による内外格差に起因する国内旅行への影響、国際競争力をつけるため低廉なサービスを提供する努力をしながらも、諸経費の割高感等いわゆる国内旅行の空洞化現象に対する懸念が本県観光業界にあることも十分承知してございます。
 これに対し県としては、今年度は市町村と連携しながら、リレーイベントの開催、南紀を中心にした冬季キャンペーンとしての旅行業者とのタイアップにより旅行商品を設定し、全国的に観光客の誘致活動を展開してまいることにしてございます。紀南は自然、歴史、文化の観光資源に大変恵まれてございます。熊野古道を中心とした長距離自然歩道の整備、自然志向、アウトドアブームへの対応としてのオートキャンプ場、観光トイレ、案内板、駐車場等の観光施設の整備を図るとともに、イベント、キャンペーン、PRに工夫を凝らすなど、ハード、ソフト両面において積極的な振興施策の展開を考えてございます。
 先般策定した県観光振興計画では、リゾート的な要素を取り入れながら心の豊かさを享受できる観光を目指すことにしてございますが、紀勢線の整備等、交通基盤の整備を図りながら、南紀白浜空港のジェット化開港のインパクトを活用しつつ、海も山も楽しめるという紀南の特性、熊野を中心とした豊富な観光資源を生かし、真心で受け入れるホスピタリティーの向上も図りながら、紀南の観光振興を積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 25番谷 洋一君。
○谷 洋一君 丁寧なるご答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 私思いますに、紀南の発展はやはり交通網の整備、特に道路網の整備に頼るところ非常に大きいと思います。仮谷知事同様、後の知事さんにもひとつこの点については力を入れていただきますようお願いいたしまして、私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で谷洋一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十八分休憩
 ─────────────────────
 午後一時五分再開
○議長(橋本 進君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番大沢広太郎君。
 〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 仮谷知事さんにおかれましては、五期二十年にわたり和歌山県勢発展のため政治手腕を発揮し、多方面にご尽力をなされましたことは、後世に語り継がれる大きな実績であり、また県民にとりましても誇りかと存じます。今日まで、本当にご苦労さまでございました。
 この九月議会を機に後進に職を託されますが、知事の政治にかける情熱と実行力、そしてどんなときでも毅然とした態度に、政治を志す私にとりまして、尊敬をする一人であります。その崇拝すべき知事の最後の議会で新人議員として初質問をさせていただきますこと、まことにうれしく思う限りでございます。どうか、実のあるご答弁をお願い申し上げます。
 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきたいと思います。
 本県における水産業の現状と振興策について、まず水産王国・和歌山についてでございます。
 かつては、進取の気性と漁労技術の優秀さにより各地に漁場を求め、全国でも有数の水産県としての名をほしいままにしてきたものでありました。また本県漁業者は、沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へと、希望に燃えて世界の海へと雄飛していったものであります。
 しかし、昨今の本県における漁業の実情を見ますと、漁業を継ぐ若者が少なく、年々就労者が大変高齢化をしており、減少しておるのが現状であります。また、円高による輸入水産物の増加、あるいはバブル崩壊による世相の変化が魚価の低迷に追い打ちをかけているのであります。漁場環境の変化や地域開発により、漁業者を取り巻く環境はますます深刻であります。漁業者の悲鳴が聞こえてまいります。
 しかし、このような状態は、我が国経済の国際化、あるいは国内産業の構造そのものの変化によって引き起こされてきた部分が大きいことは言うまでもありません。仮谷知事には、水産を取り巻くこうした難しい世情にあって、五期二十年にわたり県政推進の最高責任者として水産に強い愛着を持って各般にわたり振興策を講じてこられたことは、三十年職場で直接漁業に携わってきた一人として、まず感謝を申し上げる次第でございます。
 私は、今後の漁業の進むべき方向としては計画的な漁業生産と計画的な販売が重要ではないかと考えます。知事の漁業に対する考え方等について見解などを聞かせていただき、私の漁業に対する肉づけとしたいと存じますが、いかがなものでございましょう。
 次に、養殖漁業についてでございます。
 漁業者みずからが管理・生産可能な養殖漁業の重要性を再評価し、ここに活路を見出すべきではないかと考える次第であります。しかし、養殖漁業においても厳しい状況には変わりはありません。五年前に一キログラム当たり千五百円していたマダイの単価が、現在では千円になってしまいました。また、養殖のブリについても同様、千円が五百円と半値の状態になっております。ヒラメにおいても同様であります。
 このような状態の中で、生産者は必死に生き残りをかけて日夜頑張っているのが実情であります。この養殖業の再生のため県当局におかれては種々の対策を行っていると思いますが、まず最初に知事の本県水産業に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。また、養殖業の振興策については農林水産部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 続きまして、紀伊水道におけるまき網漁業に対する現状認識と火力発電の対応策について。
 紀伊水道を漁場として漁業を営んできた中型まき網漁業者は、昭和六十年度で二十五統、六百二十七人おられました。しかし、平成八年以降では十四統になり、三百六十八人に減ってしまう状態です。その大きな原因を推察すると、乗組員の高齢化による就業者の減少、バブルの崩壊による景気の低迷、輸入水産物の増加による魚価の低迷などが挙げられます。田辺地方は、まき網漁業や船びき網漁業などが盛んな漁業の町でございました。しかし、残念ながら本年中に二統が廃業すると伺っております。まことに寂しい限りでございます。
 先日、漁業組合のおじいさんと話し合った中で、「昔はよかったよ。御坊の塩屋口でアオアジがよくとれたが、火力発電所ができてからは、あのあたりでは余りとれないようになった。そこへまた第二火力発電所ができたら、わしらはどうしようもないよ」と嘆いておられました。また、航海日誌などを参考に見せていただきました。昭和五十七年から五十九年ごろには、その塩屋口漁場あたりで年間二十回ぐらいは操業しておったのでございますが、最近では三、四回しか操業をしていないのであります。それだけ、魚がとれなくなったのであります。
 私も、以前、アオアジの回遊について少し調べたことがあります。六月ごろ産卵をして、例年二月ごろ四国の日和佐沖に魚群が発生し、その後、田辺あるいは南部沖に移動し、五、六月ごろにかけて御坊塩屋沖に北上し、そして紀伊水道に残留するものと瀬戸内海へ北上するものがあるようでございました。つまり、塩屋沖はアオアジなど回遊魚の最良の漁場だったようでございます。また、回遊魚は潮流あるいは表面水温、塩分等に大きく左右をされると聞いております。
 そうすると、第二火力発電所が埋立面積百ヘクタール、出力四百万キロワット、今の第一発電所の約三倍の規模でさらに南側、つまり田辺寄りにできるということは、これはまき網漁業だけではなく一本釣りの人々にも、低迷の上にさらに火電による悪影響はないかと、不安感を与えております。
 そこで、四点質問をさせていただきたいと思います。
 まず一点目は、今低迷を続けているまき網漁業者を行政の主導のもとに救済し、生産者と消費者との流通がうまくいけるような流通対策がないかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
 次に、第一火電の温排水の温度と排水量、また今計画されようとしている第二火電の温排水の温度と排水量についてもお尋ねをいたしたいと思います。
 三点目としては、第二火電の建設に対する同意について、共同漁業権者の同意などどの程度必要か、また公有水面埋立法第四十七条の第二項についてはどのようになっているのかもお聞かせ願いたいと思います。
 四点目としては、第二火電建設に伴う漁業への影響の有無等についてどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたしたいと思います。
 以上四点については、各部長の答弁をお願いしたいと思います。
 次に、九月六日付の「紀伊民報」紙初め各新聞の和歌山版に大きく取り上げられておりました、扇ケ浜総合整備計画の構想について質問申し上げます。
 私は、田辺市の活性化の手法の一つと位置づけ、この実現に向かって関係者とともに懸命に取り組んでまいりました。それだけに、感慨無量のものがあります。仮谷知事のこのご英断に深く感謝申し上げる次第であります。かつては白砂青松、紀州舞子大浜と呼ばれ、海水浴や臨海学校でにぎわった扇ケ浜、今再び市民の公園として、また緑豊かな憩いの場としてよみがえることを、市民の皆さんは待ち望んでいたのであります。
 この養浜計画は、単に田辺の扇ケ浜に海水浴場ができるということにとどまらず、漁業構造の進展の中で漁業従業者の生活の安定に寄与できるように活用が図れること、また全国的に見ても、特急がとまる駅・紀伊田辺駅から最も近いところが海水浴場となることから、関西方面などからの海水浴客の入り込みが予想されるために、ホテルや市街地の商店街の活性化が非常に期待できるものであります。
 このように考えますと、扇ケ浜総合整備計画は駅前周辺と一体になった町づくりでもあると位置づけられますので、市民の皆さんの期待もいかに大きいかがおわかりいただけると思います。さらに、紀南文化会館の駐車場を確保することによって大きなイベントも行うことができますし、台風や高波の防災対策の一助となります。
 このようなことから、早期着手に向けてさらなるご尽力をお願いする次第であり、また、この事業推進につきましては漁業者の方々から温かいご理解とご支援をいただいておりますことを申し添えさせていただきたいと思います。
 次に、私の提言を二点、お聞き願いたいと思います。
 一点目は、今回の計画では扇ケ浜にある三本の排水管を沖へ出す計画となっておりますが、将来的にはこの排水処理を駐車場地下へ埋設して市街地の快適環境の整備を図ってはどうか。それにより、田辺湾の環境保全につながり、よい漁場が確保できることになるわけでございます。
 二点目に、この扇ケ浜漁港、田辺のシンボルは何かないものかと考えます。私は、マリーナシティを何度か見せていただきました。また、和歌浦からマリーナシティを見たことがありますが、照明をされたあの橋のファッションが何とも言えないほどすばらしいと感じたわけであります。まさにマリーナシティのシンボルとして付加価値を高めているように思うのであります。
 この二点の提言につきまして、つたない私の発想でありますが、今後、関係部局の皆さん方のご指導をお願いする次第であります。
 そこで、農林水産部長にお尋ねをいたします。この扇ケ浜総合整備計画はいつごろから着工する予定か、また事業期間及び事業費について、国、県、市などの負担金の割合等についてお尋ねいたしたいと思います。
 これで、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 大沢議員にお答え申し上げます。
 本県水産業に対する私の見解についてでございます。
 お話ございましたように、長い海岸線を持つ本県は歴史的にも海との関係が非常に深く、先人たちによるけんけん釣りなどの新しい漁法やかつおぶしの開発など、全国の水産業をリードし、基幹産業の一つとして発展してきたところでございます。また、日本のみならず世界的にも、ヘミングウェーの「老人と海」の中で紀州の漁法が紹介されておりまして、そのように和歌山県の漁法というものが知れ渡っていたわけでございます。
 しかしながら、近年、二百海里時代の到来により、漁場の縮小や漁業経営の悪化、また海外からの魚類の輸入の問題、漁業従事者の減少や高齢化の進行など、水産業を取り巻く環境は非常に厳しいものがあるわけでございます。こうした中で本県の漁業の将来展望をいかに切り開いていくかが大きな課題となっておりまして、私もこれに苦慮しているところでございます。
 水産業の振興にとって計画的な生産と販売が重要であるとおっしゃられましたけれども、私も同感でございまして、こうした観点から、消費動向を注視しながらつくり育てる漁業を中心とした資源管理型漁業を推進するとともに、産地・市場の再編強化など流通体制の整備もなお積極的に推進していかなければならないと考えておるわけでございます。
 また、後継者の育成についても、安定収入とともに環境整備ということが非常に重要な課題でございまして、下水道等の整備をする漁村環境整備事業を取り入れ、漁村の環境整備にも努めてまいりたい。また安定収入の面においては、漁業と観光との関連において、漁業従事者がそうしたものを行っていくような体制も図ってまいらなければならないのではないかと思っておるところでございます。
 先日、水産祭りに出席いたしました。出席者の皆さんの団結と熱意を肌で感じたわけでございますけれども、こうした漁業者の熱意のもとに的確な水産振興施策を進めることにより水産業の展望が開けるのではないかと思い、こうした形において進めてまいりたいと思っております。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 養殖業の振興につきましてお答えいたします。
 本県の養殖業は、マダイ、ブリ、ヒラメを中心として県内漁業生産額の約四分の一を占めており、重要な位置にございます。しかしながら、最近は輸入水産物の増加に加え、全国的に生産過剰傾向にあり、魚価が低迷しております。
 このため、県においては、適正な養殖尾数を厳守するよう漁業者を指導するとともに、試験研究機関においてはクエ類などの新魚種の開発や大豆タンパク餌料等の新餌料の研究等に取り組んでいるところでございます。また、関係者で組織する全国かん水養魚協会において、魚価の安定を図るため生産量の調整を基本とした対策が検討されているところでもございます。
 いずれにしても、養殖業は本県水産業の重要な柱の一つでございまして、今後とも積極的な振興に努めてまいる所存でございます。
 次に、紀伊水道におけるまき網漁業と火力発電所への対応についてでございますが、まず、まき網漁業の救済と流通対策についてであります。
 紀伊水道のまき網漁業の生産量は、近年、年間約一万五千トン前後で大きな変動は見られませんが、魚価の低迷による水揚げ金額の減少や乗組員不足と高齢化により厳しい経営状況にございます。このため、業界では自主的に減船対策に取り組んでおり、これに対して県としても廃船処理対策費を助成する等の救済対策を講じることにより、漁業者の経営安定を図ってまいることとしてございます。
 また流通対策でございますが、まき網漁業は一時的に大量に漁獲されることから需給調整が大変難しいところでございますが、今後とも漁業者の経営安定を図るため、消費者ニーズに合った加工製品の開発、宅配便を利用した直販事業への展開、鮮度保持施設の整備を推進するとともに、漁獲調整などの取り組みも進めてまいりたいと存じます。
 それから、第二火力発電所建設に伴う漁業への影響についてでございますが、現在、事業者において環境影響調査が実施されております。その中で、漁業に関しては潮流、水温、水質、底質などの海況調査やプランクトン、卵稚仔などの生物調査が行われているところでございまして、その結果を見守ってまいりたいと存じます。
 次に、扇ケ浜総合整備計画のお尋ねでございます。
 田辺市扇ケ浜総合整備計画の構想については、市の強い要望もございまして平成三年度から調査を進め、平成五年度に計画認定され、平成八年度から現地において本格的な工事に着手できるよう、ただいま努力をいたしております。事業内容としては、海水浴場の整備、漁港の整備、さらに市単独で行う駐車場の整備などを含め、全体事業費で約百二十億円を見込んでございます。なお、平成十八年の完成を目指しているところでございます。
 次に事業費の負担割合でございますが、この計画の核となる海水浴場整備については国が三分の一、漁港の整備については国が二分の一となってございます。工事の本格着工に当たり、地元負担の割合等を検討しているところでございます。今後とも、早期完成を目指して積極的に予算の確保に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 なお、議員からご提言のあったことにつきましては、今後十分研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 大沢議員ご質問の、既設の御坊発電所の温排水量は毎秒七十九・五立方メートル以下で、温度差は摂氏七度以下であります。これは、公害防止協定に定める基準であります。
 また、御坊第二火力発電所については、現在、事業者により環境影響調査が実施されている段階であり、具体的な計画は環境影響調査書が提出される段階で明らかになってまいります。
 次に、御坊第二火力発電所の建設に際しては、地元の御坊市並びにに隣接の美浜町、日高町、川辺町及び印南町の同意、さらに関係する漁業協同組合の同意が必要と考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 大沢議員の公有水面埋立法についてのご質問にお答えいたします。
 公有水面の埋め立てに当たっては、法第四条第三項に規定する公有水面に関し権利を有する者の同意を必要といたします。具体的に申し上げますと、法令により公有水面占用の許可を受けたる者、漁業権者または入漁権者、法令により公有水面より引水をなしまたは公有水面に排水をなす許可を受けたる者、慣習により公有水面より引水をなしまたは公有水面に排水をなす者と規定されてございます。
 また、法第四十七条第二項は、埋め立ての規模が五十ヘクタールを超えるもの及び環境保全上特別の配慮を要する埋め立てについては、主務大臣が当該埋め立ての許可に際して環境庁長官の意見を求めることを規定したものでございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 1番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 ただいま、知事並びに各部長から答弁をいただきました。
 先ほども述べさせていただきましたとおり、現在、漁業者は先の見えない苦しい状況のもとに置かれております。どうか、県行政の積極的な指導のもと、活力のある、そして若者が定着し、いつまでも希望の持てる水産振興施策を進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中山 豊君。
 〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 お許しを得ましたので、質問をさせていただきます。 まず一点、道路問題について。
 私の選挙区海南市においての道路事情は、あまねく県政サービスの薄さをうかがうに十分な地域であると言ってはばからないのではないかと常々思っております。それだけに、毎議会を通じて取り上げさせていただかねばと、初回登壇させていただいたときから心しているところです。
 〔議長退席、副議長着席〕
 何ゆえにこうなっているのか。その原因にも迫ってまいりたいけれども、当面、実態の改善を要求させていただくことにとどめて、その立場からのお尋ねをいたします。
 まず一番に、四百二十四号の整備については、南野上はひや水地区の一カ所、上谷地区は落合橋から彦ケ瀬に向けての未改修区間、これについて現道整備が基本か、重ねて確かめておきたいと思います。
 あわせて、今行われている工事の次年度以降の取り組みはどうなされるのか、具体的にお示し願いたいと思います。
 有田地方の整備促進が急がれているのに比べ当地域は極めて遅い。これは、有田方面の人々からもよく指摘されているところであります。はね返って、当局に向かってこの声が届くというよりも、むしろ地元の県会議員は何をしているのかと、こういうふうな形で当たってこられるのが今日の状況でないかと受けとめているところです。
 用地交渉の様子を伺うに、地元の住民たちは次のように言われます。「さわりに来ては休み、乗りかけては冷めてしまう。詰めるべきときは集中的に話を続けてほしい」とよく言われます。省みるところが多いのではないか。出先機関を督励し、整備促進についての所信をお伺いしておきたいと思います。
 二番目、三百七十号。さきに、阪井地区間は基本はバイパスで、当面、交通渋滞緩和、歩行者を守る立場から野鉄軌道敷を歩行者専用道にと申されました。しかし、野上、美里と高野山に向けての展望が示されていないのが残念でなりません。貴志川にかかる新橋から登山口まで軌道敷を利用し、整備して三百七十号にかわるものをとの考えのようですけれども、ならば登山口から美里町へ向けてどうするのか。美里町内は長谷宮地区で行った手法で整備するというのか、基本構想を立て、それに基づいた計画をせめて地元の自治体の皆さんにお示しするくらいはあってもいいのではないか、このように考えるのですが、いかがなものでしょう。
 そもそも、三百七十号は霊峰高野山への道であります。関空ができ、高速道が整備された今日、高野山への客を大阪、橋本へのみ回すのではなく、野上谷すなわち三百七十号をもって運べるようにと考えるのは、当地区に居住する住民の皆さんの考えるところであります。お客さんへの大きなサービスではないかと申して間違いないでしょう。その立場から三百七十号の整備促進を求め、整備計画とその手法をお示しいただきたいと思います。
 三つ目、県道海南金屋線。これは国道四十二号のバイパス的存在で、近年、利用者が激増してきています。金屋町でゴルフ場の建設があり、重量の大型車両が何台もつながって通行する機会が多いことから、通勤者、通学の児童生徒は危険にさらされています。
 過日も、扱沢のある婦人に聞きましたけれども、ある行事に参加するため朝六時に出たら、日方に着いたのが八時だった、さらに土曜日、日曜日、祭日等、休日の夕方には、四十二号線を避けてこの県道海南金屋線に乗り入れてくる車、ゴルフ場帰りの車で地元の人は外に出られないとのことであります。昨日も、四十二号の渋滞状況が同僚議員からつぶさに指摘されたところであります。私が取り上げるまでもなく、当局の皆さんは既にご認識いただいていることであろうと思います。手だてを急いでください。
 重根・田津原間の問題、扱沢・重根間の問題、いわば上別所の地域、さらに日方・神田地区間の整備計画をどうなされるか、聞かざるを得ない心境であります。
 重根・田津原間は都市計画街路決定しているところでもありますが、さらにその実現のために押そうとしているのか。地元の皆さんのこれに対する意向は、当局の皆さんが考えているほど容易なことではないと受けとめておるわけであります。
 上別所・重根間が手づかずであります。この区間についての具体的なところをお聞かせください。地元住民や地権者への働きかけが散漫であり、かつ継続的で集中していないというのも、この地域における住民の、この道路の整備にかかわる見方であります。これとても有田方面からいろいろと指摘され続けていることも、あわせて申し上げておきたいと思います。
 次に亀川地区は、且来地区内で県道三線が重なっているところだけでも早く整備して周辺への波及効果を期待せよと、前の議会で申し上げたところです。当地区の自治会役員の方々は、いつ話をしに来てくれるのかと待っているような状況でもあります。紺屋橋、且来の交差点の工事は本年中に完了するというお話ですので、その区間の整備は直ちに取りかかっていただけるようにお願いを申し上げたいのですけれども、当局のご意向をお聞かせください。
 過日、県は防災訓練をインテリジェントパークで実施いたしました。参加された県関係の皆さんは一様に思われたであろうけれども、訓練に使用された箇所の北側に支援用地の造成をしているが、インテリジェントパークより和歌山市に向けての通路がありません。インテリジェントに係る拠点となさるのなら、県庁、和歌山大学、近畿大学、工業試験場等、関係する諸機関がすべてインテリジェントの北側に所在するわけでありますから、それらと結ぶアクセス道路が求められて当然ではないか、このようにも考えます。幹線道にいかにつないでいくかという道路新設の問題は地元自治体の仕事でもあろうかと思いますけれども、地元自治体とのかかわり合いもつけながら、どのようにしてつないでいくかという心の準備を早々としていただきたいということを申し上げておきたいと思います。所見があればお聞かせください。
 次に、和歌山下津港港湾計画にかかわってお尋ね申し上げます。
 これも、六月定例会で和歌山下津港港湾計画についてのお尋ねをした中で、外航コンテナ導入は今次改定の柱の一つだとして、大水深の岸壁、十分な広さを有した埠頭用地、高能率の荷役機械を備えた外貿コンテナターミナルを位置づけるとともに、これを陸上高速輸送網と結びつけるためのアクセス道路の整備を検討しているとのお話でありました。このことに関連して、二、三お尋ね申し上げます。
 週一回のコンテナ船の就航が、ここ二カ月の間に週二回となっているようであります。さらには、京阪神の有力海運荷主と船会社筋などに呼びかけてポートフォーラム, 95なるものを開くなどポートセールスに努めているようですけれども、コンテナ船就航はあくまでも商業ベースで行われているとはいえ、荷受け、荷出しに対応し切れる背後環境の状況はどうなっているのかということが気になります。貨物の入ってくるもの、出ていくもの、今のところの実態はどうなのかということをお示し願いたいと思います。
 国際的な商業港として将来にわたっての和歌山の発展に大きく期待を寄せる一人でありますけれども、就航はしてみたが続かないということにならなければいいがという心配があります。商業ベースとはいえ、県の行政対応の弱さとおくれの批判は免れないのではないかと思いますが、いかがなものでしょう。
 高速陸上輸送網と結びつけるためアクセス道路の整備をと申されているけれども、ごもっともだと思います。関係議員の質問と重ならないところでお尋ね申し上げますけれども、これについていま少し詳しく述べられたい。
 中でも、第二阪和が最も接近した幹線道路と考えられるが、それとの接続を第一義的に取り上げられ、これの建設促進にかかるということになるのであろうか。別にまた検討されていることがあれば、お聞かせ願いたいと思います。
 これに関連して、港湾計画の検討にかかわって、特に海南市が都市計画街路と決定している岡田大野中線につないで地場産業の振興にかけがえもなく寄与される構想、すなわち物流の幹線道をも下津港港湾整備計画の中に含めて検討されることを求めておきたいと思います。
 その次に、和歌山下津港及び紀伊水道海域の安全確保についてであります。
 和歌山下津港を含む紀伊水道海域は、船の衝突、海難事故が多発しているとのことであります。この海域は一般船舶の航路が集中し、その上に底びき漁船等、小型漁船及び遊漁船が出て操業するふくそう海域であり、四国の蒲生田岬と日高郡日ノ御埼、有田の辰ケ浜沖合を結ぶ三角海域を魔のトライアングルとも言われているとのことであります。また近年、遊漁船すなわちプレジャーボートが激増してきているようでもあります。かかる実情に立って海上交通の安全と災害防止の観点から見るとき、その対策は極めておくれているのではないかとお見受けするのであります。
 それには無線が欠かせない通信手段であるのだが、漁業組合の海岸局と紀北ヨット無線利用組合によるのみであるとのことであります。その上、週一回、時には二回の沖どめ──沖どめというのは休業日のことだそうであります──と、午後五時から翌朝六時までの夜間はプレジャーボート対象の海岸局一局だけで、他のすべての海岸局は稼働していないとのことであります。プレジャーボート対象の唯一の海岸局も、西宮海岸局との関係で窮地に立たされているとのことであります。何にせよ、和歌山下津港及び紀伊水道海域における海難事故防止、海上交通安全確保のための施策の貧弱さは、この上ない実態と言わざるを得ないのではないか。
 この十六日から海難事故防止運動が始められ、下津海上保安署など、期間中に救命救助訓練を実施し、衝突したプレジャーボートを対象とした訓練を内容と位置づけていることにもかかわり、この海域における、とみに増加している遊漁船すなわちプレジャーボートの事故防止、安全確保に意を注がれたいのであります。
 漁業組合の海岸局稼働、改善指導もさることながら、ただ一局とはいえ、時間的空白を埋めている海岸局の充実に県は支援を送ってもよいのではないかと思うところであります。もちろん、海難事故防止、海上交通安全確保は下津海上保安署の所掌に係ることは承知していますけれども、海上保安署は主として貨物船を対象にされ、漁船及びプレジャーボートは保安署では及びかねるとのことであります。行政初め県民の広範な方々の力で、事故防止、安全確保が図られることを期待されているのであります。
 また、電波監理局に事故防止や安全確保をと申すわけにもまいりません。俄然、海岸局で張りめぐらされている無線で事に当たることになるわけであります。兵庫県初め近隣の海岸線を多く抱えている県は、一定の取り組みをしているのも当然であります。沖どめ、夜間の対策に力を注ぐことを当局に求め、これは筋違いを申していることにはならず、むしろ当局の対策のおくれこそ省みなければならないことだとご指摘しておきたいと思います。いかがなものでしょうか。
 三番目は、地場産業、中でも漆器産業の振興策についてお尋ね申し上げます。
 県が補助をして和歌山県漆器商工業組合が実施した特定中小企業集積活性化促進事業の推進を図るべく、組合員の状況、意向を把握するためのアンケート調査をされました。それによると、回収率は二三・四%です。社会の変化、産業の構造的推移、不況の長期化で漆器産業の低迷がなべ底形になり、さまざまな努力をされているけれども明るい展望を持てないでいる状況を踏まえつつ、以下、幾つか質問いたします。
 回収率二三・四%にとどまっているのはどういうことなのか。業界の低迷がそのまま回収率の低さにあらわれ、漆器産業、業界の元気のなさをあらわしているのではないか。
 二つ目は、新製品開発への取り組みで関心を寄せている品目に、木質複合素材を活用して、プラスチックの持つ形状の多様性と木の外観を持たせた高級感のある製品が五七・六%、曲面や凹凸面に切れ目なく、加飾したデザイン性の高い製品が四二・四%と、高級感とデザインの高さを求めた製品開発への意向が強く出されているようであります。これに伴い、県漆器試験場への支援要請が多く寄せられているようにもうかがわれるところであります。これについてどう対処されようとしているのか、お示し願いたいと思います。
 次に、アンケート調査方法が郵送でなされたとのことだけれども、さらに実態意向把握を地元自治体とともになさって振興策を探求する意向はお持ちでないのか、お尋ねいたします。
 次に、今秋の十一月十六日から十九日にかけて、和歌山県を会場として全国産業教育フェアが開催されます。これに向けての取り組みで、海南高校で市や組合、試験場が支援をなさって漆器教室を開催され、出品作品づくりに励まれたといいます。参加者は定時制の生徒だけではなかったといいます。産業教育フェアへの取り組みの中とはいえ、高い関心を寄せられたことに事寄せて、ここから後継者育成の過程を導き出せないかと提起したいわけであります。
 全国の主な産地を幾つか見てきていますけれども、ほとんどの産地では育成機関、すなわち漆芸課とか訓練所のようなものを設置しております。これには余り資金もかからないようなので、設置してはいかがかと申し上げたいわけであります。いかがなものでしょうか。
 次に、伝統工芸士が認定され、この方たちは漆器業界の核をなしています。その伝統工芸士になられる方が今日育てられていないのが現状ではないか。今、存命の工芸士四人の方々は老齢で、先々が心配されてなりません。県政の上から見て、紀州漆器としての地場産業、伝統的漆器産業を衰微させてはならないと思うのですけれども、どうでしょうか。
 それで、いつの日か早い時期に後継者育成事業として、県の指導と援助のもと、地元自治体及び業界の共同で漆芸課及び訓練所等の設置を強く求めたいけれども、ご所見をお伺いしておきたいと思います。
 次に、県立自然博物館の充実化についてお尋ねいたします。
 まず、県民はあの館を「県立自然博物館」とは言わず「水族館」と言っているように、小ぶりなりにもせめて博物館の名にふさわしい内容に充実していただきたいというのが私の質問の軸であります。
 大阪に海遊館ができ、その大型水族館と比べても、うちの水族館は内容的にも見事な水族館であると思われますし、大方の評価をいただいているようであります。しかし、紀伊半島の特性を生かしたものをと考えてみれば、海産のものと陸産、中でも森林にかかわるものとを両軸に用意するのは、だれしもが求めるところではないでしょうか。場所が場所であるだけに、ご苦心なさったであろうなということはよくうかがわれるのですけれども、十五年を経過してみて、今日的には可能な条件を追求し得る環境になってきていはしないかと思われるのであります。
 リゾート博開催中、博物館への入場者は半減したとはいうけれども、それにしても、観光資源的存在ではなく、平年の二分の一とはいえ入場者が博物館に足を運んでくれたということを顧みるときに、博物館の果たす役割の大きさを改めて認識しながら、充実化を求めてやまないわけであります。
 その立場から、以下四点ほどお尋ね申し上げます。
 一、陸上のもの、特に森林部門の強化はできないかをお考えいただきたい。
 二、学術的資料や標本など、寄贈されたりして蓄積されてきていると思うけれども、それを保管し、展示し、活用するにふさわしいスペースを用意されてはいかがか。
 三、学芸員の研究活動を保障する研究室も貧弱です。学校の授業を補完するなど、その環境づくりとかかわっていろいろ整備をお願いしたいけれども、いかがなものでしょうか。
 四、学芸員の専門的研究活動からして、水族館での勤務が俄然長くなっていきます。その方々が退職及び転職されたらどうなるのかということであります。年齢構成のバランスをどう保つか腐心なさっているところだろうけれども、そのあたりのお考え、あるいはご苦労のほどをお聞かせ願えれば、さらに深いご理解を皆さんにいただけるのではないかと思います。
 以上、県立自然博物館の将来に向かっての充実強化の問題でお尋ねしたところです。
 最後に、マリーナシティの帰属問題についてであります。
 知事、五期二十年、県政を担当され、本当にご苦労さまでした。
 私が県議会にお世話になるようになってから五カ月たちました。五月一日の議員初総会、五月十五日の臨時議会、六月十九日の定例議会、さらには各所で知事のあいさつをお聞きするにつけ、いわく、五期二十年の取り組みは和歌山県の将来に向けての基礎となり土台となる仕事であったとよく申されているようにお伺いしてきました。これについての知事の心情は知る由もないし、評価はいろいろあろうけれども、それほどつつましやかに申されるのなら、次の質問にどうお答えくださるのでしょうか。
 和歌山市と海南市が帰属問題をめぐって裁判で争っているマリーナシティの問題であります。
 和歌山地裁の判決が不服だとして、海南市は大阪高裁に控訴しました。私が海南市議会に籍を置いているときからのことで、当時の市長が裁判で決着をつけるしかない、提訴するとして市議会に提案されたときから、昭和四十六年の協定覚書の内容ともかかわって、一貫して県のお世話で両者が話し合いで解決をと主張してきた者の一人であります。しかし、多数が裁判でと言う中、全部が和歌山市というには西の方が閉ざされるとの市民感情を尊重する立場をとったけれども、その後も折あるごとに話し合いによる解決をと申し続けてきたところであります。
 また、マリーナシティ埋立地を特定するまでの経過や港湾審議会における海南市長のとった態度、さらに県が司法の場で争われている間に帰属を決められたことなどについて申せば多々あるけれども、和歌山地裁の判決後、和歌山市議会が知事にあてた意見書の中に、「海南市の発展や将来性にかげりの見えるような事態が懸念されるならば、隣接市として今後なお末永く友好提携、発展を図らなければならない本市にとっても、好ましいこととはいい難い。 よって、県におかれては、かかる両市の歴史的経緯、地域性、市民の要望等に十分配慮の上、今後公有水面の有効活用にあたっては、関係地方自治体の公益が損なわれることのなきよう、適切な配慮がなされることを強く要望する」と記されていたはずであります。
 これともかかわって、知事は今議会を最後に引退されるにつけて、問題解決に何か一言申されてもよいのではないかと思うのですが、口幅ったい物の言い方でしょうか。今までも問題解決に当たってご心労があったことだろうけれども、司法の場にゆだねるとしているから差し控えると申されるのでしょうか。一年前の和歌山市長選挙を機にただならぬ県民の憂慮することになってきている問題、これについて和歌山市議会の見識と言おうか良識と言おうか、そのような立場に沿いながら、今後に示唆をお示しになるとして一言申されるなら、県民の県政に寄せる信頼と安堵感を取り戻すに違いないであろう、このことを期待して私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中山議員にお答え申し上げます。
 和歌山マリーナシティの帰属問題についてでございますけれども、ただいま中山議員からも話ございましたように、さまざまな経緯があったわけでございます。私が知事に就任する前からあったわけでございます。
 しかし、この問題については裁判にゆだねられまして、三月に出された和歌山地裁の判決に対して海南市が控訴いたしまして、現在、大阪高裁において裁判中でございます。こうした司法の場において話が進められている現在でございます。私といたしましては、その動向を見守ってまいりたいと思っております。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 中山議員にお答えいたします。
 道路問題についての四点のうち、まず国道四百二十四号に関してでございます。
 ひや水地区の未改良区間については、支障となっている物件調査を近く実施する予定となっておりまして、今後、地権者の同意を早期に得られるよう努力してまいります。上谷地区の落合橋から彦ケ瀬までの未改修区間については、現道拡幅を基本といたしまして、地元関係者のご協力を得ながら測量調査を行い、整備を進めてまいります。
 次に、国道三百七十号についてでございます。
 国道三百七十号の野上電鉄登山口から小川橋の間は、県道奥佐々阪井停車場線等を利用することとして整備を進めているところでございます。現在事業を進めている赤木地区では現道拡幅により、また小西から毛原間については毛原宮の人家連檐地域等で一部バイパスにて事業を進めております。その他の未改修区間については、沿道状況を勘案しながら、今後、現道拡幅やバイパスにより検討を行ってまいります。
 次に県道海南金屋線については、金屋町側は概成しておりますが、ご指摘の区間については自動車の交通量が多くなっており、整備を進める必要があると考えているところでございます。重根から田津原橋までの区間については、都市計画決定されているところですが、今後とも海南市と地元のご協力を得ながら早期事業化に向けて努力してまいります。田津原橋から扱沢までの区間については、今年度も昨年に引き続き地元関係者のご理解をいただきながら、待避所等の現道拡幅整備を進めてまいります。日方地区の未整備区間延長約三百二十メートルについては、日方川河川改修計画などをもとに市と協議を進め、整備手法等を検討してまいります。
 次に、亀川・且来地区内の県道三線重複区間についてです。
 ご指摘の区間については、且来地内で県道秋月海南線ほか二路線が重複しているところでありますが、その両端部のそれぞれ交差点部までの改良については平成七年度の完成見込みでございます。引き続き、中間部分の約二百メートルについても、今年度中に市当局、地元関係者のご協力を得ながら調査測量し、拡幅整備に努力することとしております。
 次に、和歌山下津港港湾計画についての三点のうち、初めに和歌山下津港における外貿コンテナ船就航の実情についてでございます。
 ご承知のとおり、和歌山下津港と釜山港間の定期コンテナ航路が本年七月と九月にそれぞれ開設され、現在、週二便体制でサービスが行われております。これまでのコンテナ取り扱い実績でございますが、航路開設から九月二十日までの総計は、輸入で綿糸、化学品などが二十フィートコンテナ換算で二百五十四本、輸出で機械、ケミカル製品などが四十二本取り扱われており、一航海当たり輸出入合わせて約二十五本といった状況でございます。今後、県内外の荷主企業に対してなお一層の航路利用をお願いしてまいるとともに、航路網の拡充に努めてまいりたいと考えております。
 次に、和歌山下津港と陸上交通網との連絡ルートについては、第二阪和道へのルートとして臨港道路紀の川右岸線ほかを位置づけているところです。そのほかの連絡ルートについても、本港区及び北港区と周辺地域を結ぶ臨港道路のネットワークや京奈和自動車道へのアクセスを含めて検討を行っているところでございます。
 最後に、和歌山下津港及び紀伊水道海域の安全確保に関し、県和歌山マリーナに設置しているマリンVHF無線についてでございます。
 このマリンVHF無線は、県和歌山マリーナの開所に伴い、海上保安庁の指導を受けてマリーナ所属艇の安全対策を実行するために設置したものであり、本県五月のディンギーマリーナのオープンと同時に開局しています。
 当無線は、和歌山マリーナシティ内に保管している船舶すべてを対象にしておりますが、県和歌山マリーナの海岸局に加入していただくことにより、すべてのプレジャーボートが当海岸局と交信することが可能となります。また、言うまでもなく海上における安全対策は海上保安庁が所掌してございますが、当無線は紀伊水道から日ノ御埼に至る海域における唯一の海岸局でありますので、瀬戸内全体の海岸局と連携をとりながら船舶の安全航行に活用しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 地場産業、漆器産業の振興策についての四点にお答え申し上げます。
 漆器業界の活性化を図るため、平成六年度に和歌山県漆器商工業協同組合が特定中小企業集積活性化促進事業に取り組んだところでございます。その中で、組合において特定分野進出に対する組合員の意向調査を実施しましたが、組合員数が二百五十二社と多く、郵送方式をとったものでございます。回収率についてでございますが、当業界は分業体制がとられており、その中で製品製造販売が主体の業態では五九・三%と回収率は高く、中間品加工が主体の企業では一○・二%と低く、回収率を下げている要因になってございます。組合においては、その後、未提出の企業も含め事業の周知徹底を図るため、二回にわたり会報で広報するとともに、本年八月二十五日に組合員百四名のご参加をいただき、新商品、新技術研究等の発表会を行ったところでございます。
 次に、支援機関である県漆器試験場においては、集積活性化支援事業として、平成六年度より新規複合材開発による新しい漆芸品への応用研究に取り組むとともに、平成二年度より実施しているデザイン開発研究にも取り組んでございます。
 なお、海南市では本年十一月に開催予定の国際デザイン・コンベンション, 95海南にも県として支援すべく、九月補正で予算化をお願いしているところでございます。今後とも、アンケート調査の結果を踏まえて、漆器試験場を中心に漆器産業の活性化に努めてまりいたいと存じます。
 また後継者の育成については、過去、青年部の研修事業や一般の人を対象とした漆芸教室を開催するとともに、現在は伝統漆器技術者養成にも取り組んでございます。
 次に伝統工芸士の認定については、現在四人の方が認定されており、本年度は塗り部門で一名の受験の申し込みがなされてございます。今後、漆器産業の人材育成については、海南市、組合及び関係機関と一体となって積極的な支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 県立自然博物館の充実化、四点についてお答えいたします。
 県立自然博物館は、国際児童年の記念事業として、こども博物館構想のもとに昭和五十七年四月、水族系を主とした博物館として開館され、毎年約十万人の方々に利用いただいております。
 森林部門の展示については、そのままの生態系の展示は困難であるため、本県の自然を表現したジオラマや標本を中心に展示しております。森林部門の展示スペースを初め、研究室、収蔵室などの新たな拡充については、建物の立地条件から困難な状況にあります。
 本年度からは、標本展示棚の整備に取りかかるなど、限られた施設の中で機能が十分発揮できるよう工夫しているところでございます。また、合宿形式の野外観察会などの事業を通して、森林に関する学習も行っております。さらに、学校で学んだことを補完するため、子供たちが夏休みに採取した動植物や魚介類などを持ち寄り、専門の職員が鑑定や指導する教室等も開催してございます。今後とも、事業内容の充実に努めてまいりたいと存じます。
 最後に専門職員についてでございますが、職員の転退職があった場合でもその研究が継続されるよう、年齢構成などに十分注意してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 32番中山 豊君。
○中山 豊君 道路問題について、国道四百二十四号並びに県道海南金屋線、この二つの路線は、好むと好まざるとにかかわらず、有田地域との関係で整備促進を促されるという立場に立たされることを余儀なくされてきているわけであります。有田地域の整備促進がかなり進んでいて、私が所属する海南市領はなぜこういうふうにおくれてくるのかという問題が問われるというのは壇上に立って申し上げましたけれども、やはり地元住民、地権者への協力の働きかけが継続的かつ集中的になされていないというところからも地域住民や地権者の協力の意向の反映がとろくなっているのではないかということも考えるにつけて、そのあたりは地元自治体の協力を大いに得ながら出先機関の支援、督励をしていただき、目に物を見せていただくようにお願いを申し上げたいわけであります。
 特に海南金屋線については、今、部長の答弁があったように入り口の部分、言いかえるならば重根・田津原橋までの区間は街路決定をなされているのをさらに押していこうということであります。それから、上別所の方に向けては、待避所などを設けるよう現道の可能なところを膨らませて整備していこうというようなことです。いずれをとっても、県道海南金屋線の海南市領域、別所から重根までの間というのは、地元住民の意向や協力が得られないとしたら、行く行くは思い切ってバイパスを構想するということがあってもいいのではないか、むしろそういうふうな手法を選ばなくてはこの道の整備が実現されない状態に追いやられるのではないか、こういうふうな気がしないでもありません。そういうふうな点もお含みおきいただきながら、早期に着手できるように地元自治体の協力、地元住民や地権者との話し合いを集中的、継続的にお進めいただけるよう、重ねてお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、紀伊水道海域における安全確保の問題です。
 部長の答弁をお聞きしていると、すべてのプレジャーボートにも及んでいると受けとめられる内容でもありました。さらには、この海域にただ一局の海岸局だという言い方もされておったように思います。そういうふうな点から見ると、必ずしも実態に的確に沿ったような答弁になっていないと私は認識します。
 しかし、今議会での再質問等はしないこととして、次の議会、次の議会へとこの問題の解決に鋭意努力してまいるということを表明して、お願いだけ申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番上野哲弘君。
 〔上野哲弘君、登壇〕(拍手)
○上野哲弘君 通告に基づきまして、一般質問を行います。
 まず一番目の、太平洋新国土軸の整備促進と首都機能移転についてであります。
 最近、新聞あるいはテレビ等で、首都機能移転についての論議が活発になってまいりました。財団法人社会経済生産性本部、新都建設推進協議会(会長・堺屋太一)は、その意義を提唱する中で次のように述べておられます。「新都建設は、東京一極集中を是正することもさりながら、それよりも、ゆとりのある豊かな社会を築くために規制緩和や地方分権を実施するための突破口としての意義が大きい事業である」と言っております。
 日本における歴史的首都を年数で大きく分けるならば、奈良・平城京七十五年間、京都・平安京約四百年間、鎌倉百五十年間、江戸及び東京約四百年間となっておりまして、元来、首都というものは数百年単位で考えるべきものであることがわかります。
 この際、県において二十一世紀の世界を見据え、今後の日本のあるべき将来を考えて、このビッグプロジェクトである首都機能移転に積極的に参加すべきと考えます。最近のアンケート調査の中で、東は北海道、西は山口県まで十六の道県が誘致を希望しているとありますが、当和歌山県もその一つであります。首都機能移転は数百年に一度の大計画であり、この事業に参加を表明するには、よほどの体制づくりが必要であります。また誘致には大胆な発想が要求されるものと考えますので、以下その骨子を申し上げ、質問としたいと思います。
 第一の要点として、首都移転の場所を太平洋新国土軸に関連させて両者の合体を図り、さらに大きな国家事業として考えるべきと思います。この太平洋新国土軸は、京奈和道路を中心にして、西に紀淡連絡道路から四国縦断自動車道、豊予海峡道路、九州横断道につながり、東には、東海南海連絡道路、伊勢湾口道路、第二東名自動車道につながっております。また新幹線として、中央新幹線、四国新幹線、九州横断新幹線の構想が打ち出されております。この太平洋新国土軸推進の柱として、生活行動圏やビジネス行動圏の広域化、国際化への対応、分権化された地域中心のネットワーク型交流、県際交流、海峡交流などの広域交流、第一国土軸との交流、国際ビジネスセンターとの連結を目指すとなっております。以上のような新国土軸の形成により一層のパワーを与えるために、首都機能移転を同沿線に誘致されんことを提言するものであります。
 第二点として、さらにこの新国土軸は関西新空港に連結することになり、よりその付加価値が増すものと思われます。今、関空全体構想の中で第二期工事に二兆一千三百億円もの投資が必要と聞いております。首都移転が新国土軸を形成する京奈和自動車道周辺あるいは東海南海連絡道周辺に誘致されるとしたら、関空に対する莫大な投資も回収容易となりますし、また二十一世紀はアジアの時代と言われておりますので、韓国の新ソウル空港、中国における上海・香港空港にも負けない周辺整備ができるものと考えます。
 第三点として、この新国土軸は第一国土軸に見られるような過度の集積を目指すのではなく、地域固有の自然、歴史、文化等にはぐくまれた豊かな空間の中で生き生きとした生活が営まれるような、過疎でなく適疎な地域をつくり出すとなっております。まさにこの文章そのまま、首都移転の要素となり得るものと考えます。この事業が国家的過疎対策として機能すれば、二十一世紀は地方の時代と言われているその時代づくりに大きく寄与するものと思われます。
 これまで仮谷知事におかれましては、京奈和道路の本格的事業着手や紀淡連絡道路調査等に積極的に対応され、新国土軸の先鞭をつけられたと思いますが、その所見をお伺いするところであります。
 続きまして、熊野地域活性化対策。
 仮谷県政におきまして、熊野地域活性化対策が三年間かけてでき上がってまいりました。まさに地方の時代を先取りした立案であり、当地域にとって大きな希望が持てる対策と伺っております。その対策の指針を確実なものとして実行されていくためには、それなりの対応が必要であろうかと思います。
 以下、具体案についてお伺いいたします。
 活性化対策を進める上で特に求められるものは新宮・東牟婁の行政の一体化でありますが、それが基本的に作用し共通の認識が生まれて初めて大きな成果になると考えますが、その現状と県行政の役割についてお伺いいたします。
 次に、地域の活性化を図る場合、その厳しい現実が横たわっており、並み大抵の努力では活性化の実現が難しいように思われます。そのために当該自治体はもちろん、県においても縦割り行政の弊害をなくす体制に是が非でも移す必要があります。さらに、行政の各分野を統括し具体策を練り上げるためには、どうしても参謀本部が必要となります。県においてその役割を果たしていただくか、または当該自治体を指導監督すべきか、県はどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 今、活性化への具体的施策には参謀本部が必要であると申し上げました。当然、人員が必要となります。県職員の定数に限りがあり増員は難しい旨伺っておりますが、仮谷知事が特に地域の活性化に心を砕いていただいたので、ぜひともお願いするところであります。中途半端な対応策では、今までの苦心が水の泡に帰することも考えられます。計画を達成させるためにも、人事における特別の配慮を総務部長にお伺いいたします。
 当地域の活性化の切り札として新宮港の活用が考えられますが、いかんせん巴川製紙が撤退し、地域の地盤沈下が心配されております。前の議会での土木部長の答弁では、巴川製紙の撤退が新しい転機となって新宮港の活路が開ける旨の発言がありましたが、新宮港の現状と将来性についてお伺いいたします。
 次に、前の議会でも、地域の活性化は道路網の整備にあると知事答弁をいただきましたが、まさにそれに尽きると思います。新宮港の活用も道路整備が必要不可欠と考えます。紀伊半島縦貫道路新宮・五條間の地域高規格道路について、その状況をあわせて土木部長にお伺いいたします。
 続きまして、同和問題についてお伺いいたします。なお、この質問を行うに当たり、その目的である同和問題の解決のあり方についてはそれぞれ見解の相違があることを承知しておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
 まず、人権問題と条例についてであります。
 このことについては、和歌山市における「和歌山市部落差別をはじめあらゆる差別をなくする条例」に関してでありますが、この条例は皆さんよくご存じのように、現和歌山市長である旅田卓宗氏が和歌山市議会に議案として提案し、制定されたものであります。また旅田氏は、今秋の和歌山県知事選挙に出馬するに際し、市条例と同様の県条例を制定するとの発言がされております。それは、次のような内容であります。
 「私は、憲法に保障された基本的人権を尊重し、人種差別、男女差別、障害者差別等あらゆる差別のない社会をつくっていくために私ども行政が不断の努力を続けていくことは当然のことであり、そのことを全国民、全県民を挙げて認識を新たにするためにも基本法や県条例を制定することも、これまた当然のことと考えております」。また市長は、条例制定の必要性として次のような引用を行っております。「例えば、刑法において他人の物を盗んではならないと明記されておりますが、そのように法に明記してこそ、私たちは常に他人の物を盗んではいけないのだと認識し続けるのではないでしょうか」と述べられております。
 このような言動に対して県民の合意を得るには、多くの課題があると感じております。つまり、基本的人権にかかわるものと部落差別を同一視した見解が述べられていることであり、人権問題を犯罪行為と同じことと見ていることであります。人権に関し、憲法第十一条では「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」となっております。すなわち、基本的人権はすべての国民に永久に与えられるものであります。
 同和問題並びに同和差別につきましては、同和対策審議会答申において記述されているとおり、その解決は行政の責務であり国民的課題であることを基本認識に国策として取り上げられ、立法措置が講じられて二十六年が経過いたしました。この間、和歌山県においては県政の重要施策として積極的に各種施策を推進され、大きな成果が上げられたと伺っております。
 県行政において、すべての国民に保障されている基本的人権の問題と部落差別による人権問題とをどのように考えておられるか、お伺いいたします。
 次に、差別のない社会についてお伺いいたします。
 同和問題の解決は国民的課題として県民一人一人がその解決に努めることが重要であり、その早期解決は今日的課題であると考えております。当局において、差別を容認しない社会の実現のため、その方策なり展望について所見をお伺いいたします。
 また、仮谷知事は「和歌山県は同和対策についての先進県である」と常に申されておりますが、その推進の結果として県民の皆さんが差別のない社会が実現されつつあると実感されておられるのか、お伺いいたします。さらに、今後の課題についてどのように対応されるのか、お伺いいたします。
 続きまして、国民的課題についてお伺いします。
 同和問題を解決し、差別のない社会をつくるための啓発活動が重要施策であることに間違いありません。その啓発活動について、平成三年十二月、地域改善対策協議会から出された意見具申の中で、「国際的に人権尊重思想が普及する中で、心理的差別の解消に向けて努力を重ねていくことが以前にも増して重要となっている。このため、改めて創意工夫を凝らして、啓発活動をより積極的に推進していくよう努めるべきである」と記述されております。
 啓発活動における心理的差別の解消のための創意工夫が重要であると考えますが、研修会及び講師先生のあり方についてもお伺いいたします。同和問題の解決は県民共通の課題であるとの認識から、講師先生の講義内容は全県民にその目的意識を高揚することにあると思いますが、そのことについて、さらに国民的課題としての今後の啓発活動について県当局の所見をお伺いいたします。
 最後に、行政の責務についてお伺いいたします。
 現在、県においては七十八項目にわたる事業を行っていると伺っており、そのうち四十五事業は政令事業であると聞いております。政令事業四十五事業を含む七十八事業に関して、当局においてどのような姿勢で臨まれるのか、お聞きしたいと思います。
 以上、第一回の質問を終わります。
○副議長(木下秀男君) ただいまの上野哲弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 上野議員にお答え申し上げます。
 太平洋新国土軸の整備促進と首都機能の移転についての問題でございます。
 太平洋新国土軸の早期実現を図るためには、次期の全国総合開発計画の中でぜひ位置づけしていただかなければなりません。これは極めて重要な問題でございますし、課題でもございます。このために太平洋新国土軸の必要性を明確にするということ、単なる路線だけではなしに付近住民との関連において、人、物、情報の交流に多大のインパクトを持つビジョンを提示し、それらを検討していくことが必要でございます。
 首都の移転ということはその一つでもあるという上野議員のご提案には同感でございますし、首都機能の移転については、現在、国会等移転調査会において移転先の選定基準や移転時期の目標を審議中でございます。これは、国の中枢機能が東京に一極集中している現状を是正し、国土の均衡ある発展、多極分散型国土の形成、また地震等の大規模災害に対する脆弱性を克服するという観点からも検討されているところでございます。この首都機能移転を契機として地方分権が推進されまして、自主的で創造的な地域社会が育つこともまた大いに期待できるところでございます。
 本県としては、近畿各府県と連携をいたしまして、すぐれた歴史、文化を有する近畿圏域への首都機能の立地を国に対して強く働きかけているところでございます。
 他の問題は、部長から答弁いたします。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 上野議員にお答え申し上げます。
 熊野地域の活性化については、議員のお考えのとおり、県、地元市町村のみならず、地元関係団体などの一体的な取り組みが必要と認識しており、熊野地域活性化計画においても、関係市町村、地元リーダー、外部の有識者などの広範な意見を十分踏まえながら策定してきたところであります。
 県としては、本計画の具体化に向け、中核的な活性化組織のあり方について、地元市町村との緊密な連携のもと、先導的な立場で検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 熊野地域活性化のために人員配置をということでございますが、熊野地域活性化計画等に基づき県が果たすべき役割や県が実施する事業内容が明確になりました時点で人員配置の問題が発生すれば、必要に応じ弾力的に対応してまいりたいと考えております。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 上野議員にお答えいたします。
 熊野地域活性化に関して、まず新宮港の現状と将来性についてでございますが、新宮港では現在年間約百万トンの港湾貨物が取り扱われております。現在、二期計画としてボーリング調査を実施したところでございますが、新宮港が新宮市及び那智勝浦町にまたがっており、事業着手には行政間のコンセンサスが不可欠であるため、鋭意調整を図るとともに、地元及び漁業関係者に対して整備計画への理解を求めているところでございます。
 県としては、新宮港が外洋に面するという特性を生かして、紀南の拠点港として地域産業の振興に今後とも大きく寄与するものと確信しているところであり、今後とも事業実施に向け努力してまいる所存でございます。
 次に、紀伊半島を縦貫する五條から新宮までの国道百六十八号については、昨年十二月に五條新宮道路として百三十キロメートルが地域高規格道路の計画路線として指定を受け、さらに本年八月には最も狭隘な奈良県十津川村の八キロメートルについて整備区間の指定を受け、建設省並びに奈良県において平成八年度事業化の要求が行われているところでございます。
 これらと京奈和自動車道、近畿自動車道紀勢線等をあわせて整備することにより紀伊半島の骨格を形成することになり、熊野地域の活性化に大きく寄与することが期待されます。今後とも、議会並びに関係機関の方々のご協力を得ながら早期整備に努めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 基本的人権の問題と部落差別による人権問題をどのように考えているのかとのご質問でございますが、我が国においては、部落差別以外にも、男女、職業、障害者等に対してもろもろの差別が、人権尊重の精神が十分に徹底していないために、残念ながら存在していることは事実であります。これらは、いずれも人間としての尊厳が侵されている、すなわち基本的人権が侵害されているという点で同じであります。
 しかし、部落差別は封建社会における身分制に根差すものであり、人としての能力、生活の形態その他、何の相違もないのに、ただ生まれがどこかということだけで、親から子へそして孫へと差別がつきまとうという全く不合理な差別であり、それゆえ、もろもろの差別とは質的に異なっているものと認識しております。
 差別を許さない社会づくりについては、県民の人権意識を高めていくための啓発活動を積極的に展開し、人権問題に対する厳しさをつくり、差別を受けた人たちの心の痛み、苦しみ、悲しみを県民が共有していける、そんな社会の建設が今日的課題であると認識しております。
 また、同和問題の解決を図るためには、地区の実態や各種施策の成果等を見きわめながら、また関係者の意見を拝聴する中で、県民の理解の得られる同和問題解決への将来展望と方策を示していくことが求められていると認識いたしております。
 これまでの対策により県民の皆さんが差別のない社会が実現されたと実感しているかとの質問でございますが、平成元年に県同和委員会の実施した同和問題に関する和歌山県民の意識調査の結果によると、同和地区の起源及び結婚に関する意識について見るとそれぞれ上昇しており、また十年前と比べた地区の暮らし向きに関する評価について見ると約六〇%弱の方が「よくなった」と回答しております。これらのことから、着実に差別のない社会が実現されつつあるとの実感がうかがい知れるところであります。
 今後に残されてくる課題でございますが、現段階においては産業・就労、教育・啓発対策等において幾つか見受けられますが、これらの課題解決については、同和問題解決への展望を見きわめながら積極的に推進してまいりたいと考えております。
 同和問題を解決する上で、心理的差別の解消は極めて重要な課題であります。したがいまして、同和研修については、その研修内容について、常に同和問題の現状と課題を的確に把握し、さらに創意工夫を加えていくことが今日的課題であると考えております。
 また講師に関しては、それぞれの立場や考え方があることは承知しておりますが、同和問題の解決は県民共通の課題であることを基本に、解決への展望を見きわめながら、科学的に知的認識が深められるような内容でご講演されていくことが重要であると認識しております。
 今後の啓発活動のあり方でございますが、県民一人一人が一層理解を深め、みずからの人権意識を高めるために自己啓発を行っていくことが今日求められております。このため、県、市町村、公的機関、民間団体等の連携を密にし、知識や情報の提供をふやし、同和問題を含めた人権問題に対する積極的な啓発活動を展開しているところでございます。
 法失効後に残されている課題の解決についてのご質問でございます。
 現行地対財特法期限が残すところ一年半となってまいりましたが、同和対策事業については、法期限内に完遂できるよう強い決意で推進してまいりたいと考えております。なお、法期限後の同和対策のあり方については、現在、国の地域改善対策協議会の総括部会において検討されているところでございます。本県としても、同和対策のあり方については、昨年十一月に県単独で実施した実態調査の結果が間もなく出されますので、その結果等を踏まえ、今後の国の動向を見きわめながら、時期を失することなくできるだけ早い時期に明示してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 20番上野哲弘君。
○上野哲弘君 新国土軸と首都移転について、知事から非常に前向きな答えをいただきました。これから和歌山県が主導でいろいろやってもらえたら非常にありがたいと、そのような感じを持っております。特に、新国土軸における議長連絡会の会長が和歌山県議会議長らしいので、そういう面もあわせて推進していただいたらいいんじゃないかと、そのような感じを持っております。
 要は、できるだけ多くの関係する方に結集してもらって、どうなってもやることに意義があるように思いますので、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それと、熊野地域活性化については、けさほど谷議員が熱望をされております。今まで三年間の苦労をぜひとも実のあるものに、ぜひお願いしたいなと思います。
 同和問題について一つだけ。
 旅田市長は刑法を引用されました。私はこの問題については、やっぱり民法をあえて適用させていただきたいと思います。民法の第一条に、権利の行使及び義務の履行については信義に基づいて誠実に行う旨の規定があります。人権問題はまさにそのことが基本であると思いますので、ぜひとも民法の第一条のその規定に従ったいい社会をつくっていただくことを心から願いまして、一般質問を終わります。
○副議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野哲弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時二分散会

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