平成7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番玉置公良君。
 〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 私は、きょうこれから質問をいたしますことについて、直接現場に足を運び、当該者の生の声や現場の実態を見てまいりました。それぞれが切実な課題である四点に絞って質問をいたしますので、県当局の見解を賜りたいと思います。
 〔議長退席、副議長着席〕
 それでは、まず最初に福祉のまちづくり条例の制定についてお伺いします。
 障害者、高齢者に優しい町づくりは、都市全体の面的な整備が必要となり、官民合わせて実施しなければ効果がありません。既に進歩的な自治体では公共施設の改修や道路の段差解消を実施してきていますが、さらに駅、ホテルやデパートなど、公共性の高い民間施設についての対策も必要となってきています。大阪府や兵庫県では、福祉のまちづくり条例を制定し、公共的施設の改善を指導してきています。特に、建築基準法の施行条例を改正し、福祉のまちづくり条例とあわせ、すべての人がみずからの意思で自由に移動し社会参加ができる福祉の町づくりを推進しています。さらに、昨年はハートビル法もでき、福祉の町づくりを推進するための環境が整いつつあります。しかし、現実の町並みを見るとき、車いすで自由に町じゅうを行動したり、電車やバスといった公共交通機関を利用できる状況にはなっていません。
 例えば、障害者が宿泊できる車いすや障害者トイレなど障害者対策を実行している旅館、ホテルは、平成六年九月発行の全国脊髄損傷者連合会編集の「全国車いす宿泊ガイド」で見ても、和歌山県内にたった十四カ所しかなく、全国的にも少ないのが現状であります。これでは、観光和歌山県と全国にPRして、障害者にも高齢者にもだれにでも来ていただける体制になっているとは言えません。
 また、友人の車いす記者の土井清之さんに先日出会い、次のようなことを聞かされました。それは、「ことしの二月、和歌山市内の体育館へ行った。玄関前に点字ブロックが敷いてあり、ここは障害者対策が整っているのかなあとうれしくなった。だが、中へ入ってまず驚いた。体育館の床へ上がるのに二十センチもの段差。せめて、端っこにでもスロープをつけてもらえまいか。障害者トイレもない。こうした不特定多数が使う施設にスロープも満足にない。行政の感覚の鈍さにあきれる。その日はたまたま取材であったから、中にいた婦人たちが手助けをしてくれた。だが、それでは困るのだ。取材後に、近くにある脳神経外科病院へ飛び込んだ。ここには車いすトイレがあるのだ。民間病院でも障害者対策を進めているのに、行政にその姿勢がないのに驚く。また、国、県、市、町村などすべての自治体は、車いすが障害者一人で利用できるように、段差のあるところにスロープをつけ、あらゆるところに点字ブロックをつけなければならない。それが障害者の求めていることだ。アメリカは、そのために障害者法案をつくり、あらゆる施設に障害者対策を義務づけた。日本でも、まちづくり条例があちこちの自治体で整備されているが、我々障害者が安心して歩ける町はほど遠い」、このように訴えられました。
 これらの整備を進めるためには、公共施設はもちろん民間施設にも対策が必要であり、その面で県が主体となった誘導施策が必要であります。本県においても、病院、劇場、ホテルなどの建築物に加えて、官公庁、駅舎、事務所、工場、道路、公園、駐車場等も対象とするほか、既存の建築物も対象とし、これらの施設について車いす用のトイレ、エレベーター、視覚障害者誘導ブロック等、きめ細かな基準をつくり、事前指導や改善計画の策定を求めるとともに、改修にかかる経費の一部を補助していくことを内容とする条例制定を行うことが特に必要であると考えておりますが、知事の見解を求めます。
 二番目として、障害者基本計画の策定についてお伺いします。
 従来の心身障害者対策基本法が、議員立法として平成五年に抜本改正され、障害者基本法として制定されております。この改正は、障害者の範囲を身体障害、精神薄弱及び精神障害としたことなど従来の法律より前進していると評価しておりますが、その中に障害者基本計画等の項があり、国には策定義務、地方自治体には策定の努力目標が課せられております。和歌山県においては、平成六年三月に紀の国障害者プランとして既に計画の策定を終わり、計画に基づく施策を実施されていると認識していますが、県内各市町村の計画策定についての取り組み状況をどう把握されているのか、第一点目にお伺いをしたいと思います。
 私は、障害者基本法に基づく各施策の実施については、国における各福祉法関連の施策の充実が不可欠だと考えておりますが、平成二年の老人福祉法等の一部改正以来、市町村の福祉における役割が大変重要になってきていると思います。直接住民に福祉サービスなどを提供していく市町村が、障害者基本法さらに紀の国障害者プランに対してどのように対応しているのか、そして市町村における計画策定に対して、平成七年五月に国の障害者対策推進本部が市町村障害者計画策定指針を策定しておりますが、県当局として市町村に対して計画策定を進める上での啓発や指導を行う予定があるのか、あるのならどのような方策をとろうとしているのか、お伺いをします。
 次に、今回の基本法で明らかにされた精神障害者への福祉的措置について質問をしたいと思います。
 従来は、医療とのかかわりが深い精神障害者に対する福祉的措置として、精神障害者手帳の発行、社会復帰施設の整備、また働く場の確保、相談窓口の設置等の施策が実施されようとしていると聞いておりますが、具体的にどのように実施をしていくのか、お伺いをします。
 私は、最近、精神障害者を持たれるご両親から、働く場所について相談をよく受けるようになりました。カウンセラーからは、リハビリをしていくために人との関係の職場ではなく、小鳥や花などを育てる職場であればこの人は回復していくだろう、そのようにアドバイスを受けました。ご両親から、お金など要らないから何とか探してほしいと相談を受け、そのような職場を探し回ったのですが、「来てもらっても、だれかが指導しなくてはならん。その人件費が要る。気持ちはわかるのですが、民間企業なので」と、残念ながら断られました。こうした谷間で泣いている人が数多くあるのです。
 県にも和歌山県通院患者リハビリテーション事業という制度がありますが、受け入れてくれる企業や公的な助成が少ない中で限られているのが現状であると聞いています。しかし、反対に精神障害者の方々が抱える諸問題はますます深刻化しつつあります。こうした意味において、精神障害者の社会復帰施設や働く場所の確保は緊急かつ大変重要な課題であります。財政的援助については、小規模作業所補助金制度で見る限り、利用者十名当たりで言えば、一作業所の補助金額は四百二十六万円の半額となっており、せめて隣の奈良県並みの六百十五万円の半額にしていただきたいと思います。
 以上のことから、社会復帰施設の県内の整備状況やその運営面での財政的措置は十分なのか、さらに働く場の確保はどのように進んでいるのか、県当局の見解を求めます。
 続きまして三番目に、痴呆性老人対策についてお伺いをします。
 痴呆性老人対策については、寝たきりの高齢者への処遇とは違い、その発生原因や処遇について確立していない面があり、その点で痴呆性老人を抱える家族の悩みは大変深いものがあります。老人保健福祉計画策定の際の痴呆性高齢者の把握は、医師や保健婦、看護婦といった専門的なチームが全高齢者を対象として行ったのではなく、推計数値を使用したと聞いています。私は、高齢化先進県の和歌山県としては、全県下とは言いませんが、モデル地区を設定して専門家チームによる調査活動を行い、その結果を専門的に分析して施策に生かしていく方法をとるべきだと考えております。
 さて、岡山県笠岡市にある「きのこエスポアール病院」は、日本で最初に建てられた痴呆性老人専門の病院で、ことしで開院十一年目を迎えました。私は本年六月にこの病院を訪れ、現状や問題点、将来展望などを佐々木院長から伺いました。
 最初のうちは、夜の徘回や物とられ妄想、食べられないものを食べるなど痴呆性特有の状況を医学的におさめてあげたらよいと思っておられたそうであります。しかし数年、治療、観察を続ける中で、このような状況になるにはすべて原因がある、目に見える症状を治すだけではだめだ、そう思いつかれたそうであります。例えば徘回は、女性なら実家へ帰ろうとする行為だし、足踏みばかりするのは若いころの麦踏みの動作だったり、それならその原因を理解してあげればよいと佐々木院長は言われます。また、この春、入院患者さんが花見に行ったときのことですが、重度の患者で、しゃべらないし、うつむいて一日じゅう寝たきりのBさんをストレッチャーに乗せて連れ出しました。お昼時間になって、花見だから少しはよいという院長の判断で、患者さんに少量のお酒が出たそうであります。看護婦さんが、「Bさんも飲む」と酒を含ませると、「やはり、花の下で飲む酒はうまいのう」とBさんがしゃべり、周りの人が飛び上がって驚いたそうです。このように、痴呆だからできない、わからないと思い込んでしまっている部分が多いようであります。投薬など医学的な処置は必要ですが、痴呆は医学だけではケアできません。看護婦、看護助手、作業療法士、栄養士、ボランティアの人まで含めて、多くの人が痴呆の人と一緒に普通に暮らすのが一番よいのではないかと私は強く感じてまいりました。
 佐々木院長は、「集団はいけません。患者さんの個性、人間性、尊厳が埋没してしまいます。逆に、診る側も集団の方が管理しやすいのでその方向に流れてしまい、両方にとってよくないことになります」、そうおっしゃいました。スウェーデンにはグループホームケアというのがあって、七から八人の痴呆性老人が一つの家で普通に共同生活をし、三、四人の看護婦さんが付き添ってケアをしているそうであります。「料理、洗濯、掃除など、普通の生活をしておられます。痴呆は完全には回復しません。お年寄りが人生を終えられるまで、個人個人の尊厳を大切にしようというのがスウェーデンの考え方です。この病院も同様の考え方に立ってきています。十一年間の経験の中で得たのです」、このように佐々木院長は、私に気負いもなくおっしゃいました。
 本県においても、痴呆性疾患センターの設置や各種福祉サービスの実施、さらに今議会に提案されている痴呆性老人対策事業など進められていますが、このようなすばらしい実践をぜひ参考にしていただきたいものであります。
 つきましては、現状認識と今回打ち出した痴呆性老人対策の中身について、まず第一点お伺いをいたします。
 また、私は県立の中核的な痴呆性専門施設を設置すると同時に、身近な地域での痴呆性老人対策を総合的に推進するケアセンターを第二次医療圏に一ないし二カ所設置をしていくことが必要だと考えておりますけれども、まず第一に知事の決断で県立の痴呆性老人専門病院を早急に設置されたく、見解を求めるものであります。
 最後の四番目の質問として、梅の生育不良についてお伺いをいたします。
 第一点目は、現時点での梅生育不良原因究明の進展ぐあいと、とりわけシュードモナス菌との関連性についてお伺いをいたします。
 梅の生育不良については、昭和六十年ごろより一部の地域で発生が見られ、平成六年六月時点で、発生本数は六千七百八十六本、発生面積は二十二・六ヘクタール、発生農家は二百五十戸となっています。原因究明や対策については、県当局を初め関係団体も精力的に取り組んでいただいております。また、六月議会では私どもの所属会派の野見山議員からも質問させていただきましたが、早急な原因究明と対策を待っているのが農家の現状であります。
 そこでまず一つは、現時点での梅生育不良原因究明の進展ぐあいについてお伺いします。
 また昨年、京都大学により、根からバクテリアの一種のシュードモナス菌が発見されましたが、梅生育不良の原因と深いかかわりがあるのか、お伺いします。また、深いかかわりがあるとすれば、その菌はどのような形態で媒介してきているのか、農林水産部長の見解をお伺いします。
 第二点目は、梅の生育不良とモグラの関連性についてお伺いします。
 最近、梅農家からモグラのすみついた梅園がふえていると聞かされます。私の知り合いの梅園で営農指導員として働いている友人は、この二年間、梅の生育不良とモグラの関係について追跡調査を行い、私にその現場を見せてくれました。そして、「近年、梅園にモグラが入り込んできている。特に、生育障害園にはモグラの穴が多いようだ。土中にモグラがあると、穴をあけながら梅の細根を切ることで養水分の吸い上げを弱めたり、根や土を乾燥させる原因になっている。山間部に生育障害発生園が多いことから、原因を推察すると山にすむ小動物、その中でもモグラが第一の原因となっているようだ」、そのように現場を見せながら語ってくれました。
 モグラは、ミミズをえさとして生きる動物で、地下五から十センチの部分にえさとり場としてのトンネルをあけます。これには縄張りがあり、十から二十アールに一匹しかいないと言われています。専門書によると、モグラのつめは鋭く、梅の細根を簡単に切ってしまうほど足の力は強いと言われています。私も実際現場を見せてもらったのですが、梅の木の根元をよく見るとモグラの穴が多く、その畑に足を踏み入れると土が異常にやわらかく、その木は生育不良を来していました。こういったことから、私は梅の生育不良にモグラが関与しているのではないかと考えているのであります。
 その理由を整理してみると、一つ目は、モグラはもともと山にすむ動物であり、梅の生育障害も山間部に発生が多いこと。また、雑木林や谷間に近い梅の木から発症していること。なぜならば、モグラは暑さに弱いからであります。
 二つ目は、生育障害の症状が強くあらわれる五月から六月の時期とモグラの出産時期がよく似通った時期であること。モグラには縄張りがあって、子モグラは八月ごろに親から独立をするという、この時期に新たに梅園やミカン園へ広がるのであります。
 三つ目は、モグラは食虫動物でミミズが大好物ですが、近年は人畜に影響の少ない除草剤が使用されているため畑にはミミズが多いこと。したがって、モグラもふえていること。
 四つ目は、梅の木は根が浅く、養水分を吸い上げる細根は特に地下十センチメートル以内に多いため、モグラのつめで傷をつけられやすいこと。また、モグラの穴は特に株元に多い。これは、株元は木陰になっていてミミズが多いと考えられます。そして、梅生育障害樹の株元や樹冠下にはモグラの穴が多いことなどが指摘されております。野菜産地では、モグラ対策には大変敏感になっていると聞きます。
 以上から、モグラと梅の生育不良との関連性についての県としての見解と今後のモグラ対策について農林水産部長の見解を賜りたいと思います。そして、原因究明の一つとしてモグラ研究対策を実施されるよう要請するものであります。
 以上、四点の質問をいたしましたけれども、今議会を最後に五期二十年を県民のために尽力していただきました仮谷知事に心から感謝を申し上げ、一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 玉置議員にお答え申し上げます。
 福祉のまちづくり条例の制定でございます。
 障害者の自立と社会参加を促進していくためには、福祉の町づくりが非常に重要な要素であり課題であると考えておるわけでございます。
 不特定多数の皆さん方が利用する諸施設のさまざまな障壁を取り除いて、だれもが自由に行動できる町づくりをより総合的に推進するために、今年度、各界の代表の方々を委員にお願いいたしまして、福祉のまちづくり検討委員会を設置しておりまして、必要な施策の検討を現在進めているところでございます。今後、検討結果を踏まえて、県民の理解を得ながら、条例化も含め積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、痴呆性老人専門病院の設置でございます。
 お話のように、痴呆性老人対策は今後ますます重要な課題でございます。現在、平成五年度に策定した第二次和歌山県地域医療計画に基づいて各種の施策を実施しているところでございます。
 まず、昨年度、相談の窓口としての紀南地域の痴呆性疾患対策の中核として老人性痴呆疾患センターを田辺市の紀南綜合病院新庄別館に、さらに本年九月には県立五稜病院に設置したところでございます。また、ご提案の急性期の痴呆性老人のための専門医療施設の設置については非常に重要な課題でございまして、現在検討を加えている庁内組織である五稜病院整備委員会の中で十分考えて進めてまいりたいと思っております。
○副議長(木下秀男君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 障害者基本計画策定についての各市町村の取り組み状況でございます。
 全国的に見ると、市町村での策定状況は約一割程度の状況でございます。本県においては、現在、田辺市が計画策定を進めている現状でございます。
 次に、市町村に対する計画策定の啓発や指導についてでございます。
 議員ご指摘のように、直接住民に福祉サービスを提供する市町村の役割はますます大きくなっております。市町村が基本計画を策定することによりまして、障害者により適切できめ細かなサービスを提供することが可能であると考えております。こうした意味からも、市町村が障害者基本計画を策定する意義は大きいと認識してございます。
 ただ、市町村の状況は、その規模や障害者の状況等、相当の差異がございます。国の計画策定指針においても、市町村の状況により単独計画として策定するか、総合的な計画の中に位置づけるか、市町村が主体性を持ってその地域の実情に応じた対応を図ることといたしております。
 こうした観点のもと、障害者基本計画策定推進の市町村会議を開催し、計画策定の理解や取り組みを促進してまいりたいと考えてございます。
 次に、痴呆性老人対策についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、処遇方法はいまだ確立されておらず、また介護する家族の負担が大きいことから、県としても、今後の高齢者対策の中でも重要な問題であると認識しているところであります。また、今回補正をお願いしております痴呆性老人対策事業は、痴呆性老人の望ましい処遇方法を見出すため、県内二カ所程度の特別養護老人ホームにおいて先進的な処遇を実践し、その成果を県内に普及するもので、今後の抜本的な対策の確立につないでいければと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 玉置議員ご質問の障害者基本計画の策定についてのうち、精神障害者への福祉的措置の具体的実施内容について、及び精神障害者の社会復帰施設や働く場所の確保を早急にというご質問についてお答えいたします。
 具体的な福祉施策といたしましては、第一に、精神障害者の社会参加の促進を目指すために精神障害者福祉手帳が新設され、来る十月一日から各保健所を窓口として申請を受け付ける予定であります。相談の窓口といたしましては、各保健所においてこころの健康相談事業を実施するとともに、県立精神保健福祉センターにおいて、より専門的な相談を実施しているところでございますが、今後、地域精神保健福祉連絡協議会を設置し、福祉事務所、社会福祉協議会等との連携を深め、充実を図ってまいりたいと存じます。
 次に、生活の場の確保を目指した社会復帰施設といたしましては、自立生活の場の訓練、援助の施設として援護寮を一カ所、グループホームを三カ所整備したところであり、また働く場の確保を目指した社会復帰施設としては、軽作業を中心とした小規模作業所を六カ所、より高度な訓練を行う授産施設を一カ所整備したところでございます。さらに本年四月には、全国で初めての精神障害者福祉工場を開設いたしました。また、障害者の社会適応訓練を民間の事業者に委託して行う通院患者リハビリテーション事業については、今年度、訓練実施者への傷害保険制度を県単独事業として創設した結果、受け入れ事業者数が昨年度の五カ所から八カ所に増加したところでございます。また、訓練委託料の増額等については今後、国に要望してまいりたいと存じます。
 なお、現在、田辺地方において精神障害者家族会が中心となって進めている援護寮と授産施設の整備については、積極的に支援をしてまいりたいと考えております。
 最後に財政的援助については、今年度、小規模作業所への運営補助金の増額を図ったところでございます。県といたしましては、今後とも各種社会復帰施設の整備促進、運営助成等について引き続き充実に努めてまいる所存でございます。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 梅の生育不良についての二点の質問にお答えいたします。
 まず第一点の、梅の生育不良原因究明の進展ぐあいと、とりわけシュードモナス菌との関連性についてでございます。
 平成二年ごろから生育不良樹の発生の増加が見られたので、平成三年度から果樹園芸試験場及び暖地園芸センターを中心に県農林水産技術会議果樹部会、また地元の梅病害虫特別対策協議会の協力を得ながら原因の究明と対策に取り組んでまいりました。
 これまで、栽培管理面では、剪定による樹勢の維持と着果調整、かん水、有機物の施用による土壌改良試験、また病理面ではウイルスや細菌などの試験を実施してきたところでございます。平成六年に発見されたシュードモナス菌については、現在、生育不良との関連性を明確にするため、種類の特定試験を行うとともに、田辺市などの現地で土壌消毒などの試験を進めてございます。なお、シュードモナス菌については、学術的には水を媒介として土壌伝染すると言われてございます。
 次に二点目の、モグラとの関連性についてでございます。
 一般的には梅等の果樹類には余り影響を及ぼさないものと言われておりまして、生育不良樹の掘り上げ調査から見ても、原因の一つとは考えておりませんでした。今後、議員のお話を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、早期解明に向けて鋭意努力してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。

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