平成7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成七年九月二十五日(月曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第百四号から議案第百三十七号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四号から議案第百三十七号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川  武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門  三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島  雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 長 坂 隆 司
 18 番 井 谷  勲
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 24 番 橋 本  進
 25 番 谷  洋 一
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 東 山 昭 久
 28 番 尾 崎 要 二
 29 番 野見山  海
 30 番 木 下 秀 男
 31 番 町 田  亘
 32 番 中 山  豊
 33 番 山 下 直 也
 34 番 鶴 田 至 弘
 35 番 森  正 樹
 36 番 村 岡 キミ子
 37 番 新 田 和 弘
 38 番 平 越 孝 哉
 39 番 森 本 明 雄
 40 番 神 出 政 巳
 41 番 松 本 泰 造
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(一人)
 23 番 宗  正 彦
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 梅 田 善 彦
 出納長 中 西 伸 雄
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 民生部長 木 村 栄 行
 保健環境部長 鈴 木 英 明
 商工労働部長 中 山 次 郎
 農林水産部長 日 根 紀 男
 土木部長 山 根 一 男
 企業局長 中 村 協 二
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員 上 野  寛
 教育長 西 川 時千代
 以下教育次長
 公安委員会委員 高 垣  宏
 警察本部長 青 山 幸 恭
 以下各部長
 人事委員会委員長
   若 林 弘 澄
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   谷 口 庄 一
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 岩 垣  孝
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 松 田 捷 穂
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 長 尾 照 雄
 総務課長 岡 山 哲 夫
 調査課長 柏 木  衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 保 田 良 春
 ─────────────────────
 午前十時五分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
 ─────────────────────
 【日程第一 議案第百四号から議案第百三十七号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第百四号から議案第百三十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 16番馬頭哲弥君。
 〔馬頭哲弥君、登壇〕(拍手)
○馬頭哲弥君 おはようございます。
 お許しをいただきまして、今回私は、知事と県警本部長に質問をさせていただきます。
 私は、今を去る二十年前、大橋正雄先生の劇的な急逝に伴いまして、その後継者として仮谷志良知事実現の選挙戦に参画をさせていただき、自来今日まで長きにわたってご指導をいただきながら、ともに力の限り県勢伸展に働かせていただく機会を得ましたことは、人生の僥倖これに過ぐるものなく、改めて厚くお礼を申し上げる次第であります。
 さて、昨年六月、本議会におきまして、私は知事に政治家の出処進退についてその所信をお尋ね申し上げました。そしてその後、九月議会におきまして知事は、今期をもって勇退される旨、表明されたのであります。いずれの場合を問わず、頂点に立つ人にとって引き時が一番難しく、大事でありますが、知事はみずからその「退」を決せられたのであります。
 あれから既に一年余を経て、今日この議場で相まみえることは最後であることを思いますときに、粛然たる感慨を深くするものでございます。議員各位の胸中にも、それぞれ盛りだくさんの思い出がおありのことと存じます。県政五十年の来し方を振り返れば、まさに険しい山坂、息つくいとまなき年月、県民皆さんの励ましを得て、ようやく峠の見えるところまでたどり来ったと思うのであります。この間、数多くの新しい事業が完成し、今なお確実に進捗中であります。
 さて、現代という時代は、知事の二十年の県政を振り返ってみられても、年々社会の病根が悪化してまいっておることはご承知のとおりであります。社会環境は深く病んでいるのであります。この点では、昔の人々よりも現代の人々の方が危機的状況に置かれていると申し上げても過言ではありません。このままで推移せんか。社会秩序は崩壊し、法は無視され、悪がはびこり、文明は滅びの道をたどると思うのであります。これは、歴史の法則であります。
 こうしたとき折しも、あなたは後継に道を譲られようとしております。知事は、二十年の実績と経験に基づき、二十一世紀における政治のリーダーとはいかなる人物像であるべきだとお考えか、ご教示賜りたいのであります。
 終わりに私は、知事に有名な蘇東坡の別離の詩を贈りたいと思います。
 「近き別れは容を改めず 遠き別れは涕胸を沾す 咫尺にして相見ざれば 實は千里と同じ 人生離別無くんば 誰か恩愛の重きを知らん」。仮谷知事におかれては、ご勇退の後も県政に対するご指導を賜りたく、そのためにも、ますますのご清健をお祈り申し上げる次第であります。
 次に私は、自由民主党県議団を代表して青山県警本部長に質問をいたします。
 去る八月十八・二十五日号「フライデー」は、旅田和歌山市長と暴力団組長とのただならぬ関係を取り上げ、確証としてビデオの存在を示した一連の写真、記事が全国を駆けめぐり、県民に大きな衝撃を与えました。旅田君はかつて我々とともに自民党県議団に所属した議員でありましただけに、我々もまたショックを受けた次第であります。
 この幻のビデオは既に市議会において公開され、白日のもとにさらされました。今、和歌山県はこのことで揺れ動いておるのであります。いやしくも県都・和歌山市の首長がまさかという大方の声も、日を追うにつれ、市議会において旅田市長の辞職勧告決議案が圧倒的多数で可決され、その後、百条調査委員会設置にまで発展するに及んで、もはや事態は最悪の状態に立ち至っておることがわかってまいりました。
 しかし、旅田市長は終始「事実無根である」と主張し続けております。中でも不思議なことは、ビデオの存在は知っていながら、「写っているのは私ではない。組長宅へ行ったこともない」と答える一方、「あれは隠し撮りされたもので、私は毅然として拒否した姿なんだ」、こういう支離滅裂な主張を繰り返しているのであります。ビデオの中身は恐らくすべて知っているにもかかわらず、であります。
 一方、ビデオ公開に踏み切った議会側は、高垣議長の報告によると「明らかに写っているのは旅田市長である」と断定しておるのであります。
 既に去る十八日、市議会の百条調査委員会では、このビデオに同席していたという池浦利彦参考人から、あの場所にいたのは旅田市長である旨の証言を得ております。「市長と組長とのトラブルがあり、市長とともに組長宅へ行った」、「市長当選後も元組長と定期的に石泉閣で食事をしていた」と、市長と元組長とのその後の親密な関係も証言されております。旅田市長の言う、当選後、毅然として暴力団との交際を断っているんだという言葉と大きな食い違いがあるのであります。
 また同十九日、同委員会に出席した元組長は、「旅田市長がやってきて三億五千万の手形の回収を頼まれた」──その後、その手形の回収が成功したんでしょうか、「『親分のおかげです。心と心のつき合いを今後もお願いします』、『恩に着ている』と言いながら、市長は私にうそをついておる」、「しかし、当選後は市長とともに和やかに料亭で月一回くらい親睦会をやり、会食をしておった」と。この組長はまた、「相手がうそつきだから撮っておいたもので、知事選とは何の関係もない」等々、証言しております。この旅田市長と暴力団との関係はいずれ近々市議会百条委員会においても明らかにされると思うのでありますが、ここまでくると警察も無関心ではいられないと思うのであります。
 申し上げるまでもなく、暴力なき社会の実現は今日、政治の最大課題であります。それだけ現代社会は深く病んでいるのであります。そのために暴対法も制定され、いかなる暴力もテロも許さぬ強い姿勢が示されておると思うのであります。
 しかし、残念ながら、この数年に見る日本の社会は常軌を逸しておると言わざるを得ません。日本じゅうの人々を震撼させたオウム真理教の残忍非道な行為を見ても、あるいは年ごとに増加する凶悪な殺人強盗事件にしても、最近では日常茶飯事のこととなり、ついには治安の最高責任者たる国松警察庁長官まで狙撃されるという事態に至りました。恐るべきテロ横行の時代となっておるのであります。国松長官は先日のNHKテレビのインタビューに答えまして、「警察は結果を出すのが使命である」と明言されておったのが印象的でありました。
 そこで、ビデオに関する幾つかの疑問点について本部長にお尋ねするのでありますが、あなたは我が県警察の頂点に立つ人であります。
 一、現代社会にはびこるあらゆる暴力をどのようにとらえておられるか。
 二、警察は旅田市長と暴力団の関係を示すビデオを既にごらんになっておられるか。見ておられるとしたら、その見解はいかがか。
 三、今回の場合は実に単純な組み合わせであると私は思うのであります。債務者である旅田氏とその友人の一、二名、つまり池浦氏、手形回収作業をやってのけた元組長という構図であります。こうした相互依存関係をどのようにお考えか。
 四、旅田市長が九月八日、市議会本会議で浦哲志議員に対して答弁している中に、「私の友人の刑事が電話をしてきて、『旅田、フライデーなんかに負けるな。このビデオの写真は我々プロの目から見たら、旅田は暴力団を明確に拒否している。そう見える。突き放していることがよくわかる。このビデオはまさにその証拠だ。しっかり頑張れ』等と激励してくれた」と、得々と答弁しているのであります。これは、公式発言であります。また旅田市長は、みずからの後援会役員会の席でも「私と同期の東署の親しい刑事が」云々と、得意の弁舌を振るっております。この東署の刑事とはだれなのか、はっきりさせていただかなければなりません。
 五、暴力団による市長の債務三億五千万を一割にまけさせたという事実に基づき、手形のサルベージによって泣かされた九割の人々がおるはずであります。話し合いによってその結果が出たんだから、法律的には別にどうということはないのかもしれません。しかし、そのサルベージをやったのがその筋の人だということが言われておるのであります。暴力団の資金稼ぎはこうしたケースが多いと聞いておりますけれども、お考えはどうか。
 六、このビデオ問題を一般質問で取り上げた市議会の浦哲志議員の自宅へ無言電話がどっとふえて、「つまらんこと言うたら殺されるぞ」といった脅迫電話まで入っていると聞くのであります。きのう来、私の手元にも、石谷、森田両市議に対する脅迫状が舞い込んでおります。九月二十二日付で、郵送されております。しかも、切手も張らないで八十円不足という手紙。本部長、ごらんください。これでもうけたのは郵便局であります。ご参考までに。(現物を手渡す)
 すごいことを書いております。やはり中身は同じような内容、同文であります。こういうことが今、露骨になってきておるわけであります。今の本部長にお手渡し申し上げた手紙は別として、この無言電話や脅迫電話のことはご存じかどうか。
 七、旅田市長はこのビデオを「一億五千万で売りに来たけれども、私は毅然としてこれを拒否した」と繰り返しておりますが、この時点では既に暴対法ができておったと思うのであります。彼は暴対法の副会長かなんかをされておるはずでありますから、当然、旅田さんは法の精神に照らしてこのことを警察に報告していなければならないと考えるのでありますが、この点はどうか、ご答弁いただきたいのであります。
 以上、警察は本件に係る疑惑に対して断固たる姿勢で対処して、県民の前に明らかにされるよう強く要請するものであります。ご答弁をお願い申し上げます。
 さて、この質問を終わるに当たって、この際、私はいささか私見を申し上げることをお許しいただきたいと思います。
 かつては本議会の友人、同僚であったよしみをもって、旅田氏に忠告を申し上げたい。市長であると我々議会人であるとを問わず、お互い最も責任のある公人であります。今回のようなぬぐうべくもない不名誉は、道義的にも政治家として断じて許されることではないでしょう。ましてや、強力な知事候補として志高く常に正直であるべき人が、見せかけのリップサービスやうその上にうそをもって正義を装うがごときことは、もうおやめなさいと申し上げたいのであります。よし人はだませても、天を欺くあたわず。県民は言いくるめや言い逃れの巧みな人よりも、責任を果たすために懸命に努力して、間違っていたと知ったら潔くその責めをとる正直な政治家を求めておると思うのであります。
 しかし、旅田氏は、あくまでも自分は正しい、正直なんだ、うそは言ってないんだと言われるのなら、和歌山市民四十万の名誉にかけて告訴すべきであります。ここを間違ってはいけません。願わくは、旅田君の厳しい反省自重なかるべからずであると思うのであります。
 終わります。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの馬頭哲弥君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 馬頭議員にお答え申し上げます。
 これからの時代の政治のリーダー像ということでございます。極めて難しい問題でございますけれども、私なりの考えを述べさせていただきたいと思います。
 私は、知事に就任して以来、「まごころ県政」を政治信条として進めてまいりました。これは、「孟子」にいわく「誠は天の道なり、誠を思うは人の道なり」と、これを私は心としてまいったわけでございまして、県政を行うに当たりまして、県民の幸せのために将来を見越して今何をなすべきかを考え、全力を尽くして頑張ってきたところでございます。
 特に、本県の半島性や交通網の整備の問題、文化、産業、教育の振興、福祉等の増進に努めてまいりました。そして飛躍への土台が一応できたのではないかと、かように思っておるわけでございます。
 今、二十一世紀を目前にいたしまして、オウム事件等、世紀末的な様相もこれあるわけでございますが、これは私は新しい時代への産みの悩みでもあると思ってございまして、それだけに、二十一世紀を目指した新しい時代を見る先見性、難問を解決する決断力、実行力が必要であると思っております。
 しかし、これを行うのは人でございます。指導者の倫理性、うそをつかない誠実性がまず必要でございます。知事は都道府県の顔でもございます。政治の言葉に「信なくんば立たず」という言葉がございますように、県民の信頼はもとよりでございますけれども、中央においても近畿各府県においても、信頼される徳というものが必要ではないかと思っておるわけでございます。すなわち、国、和歌山県の先を見詰める先見性、事を処する決断力、実行力、そして政治家としての誠実で倫理性のある政治哲学が必要ではないかと、かように思っております。
 以上です。
○議長(橋本 進君) 警察本部長青山幸恭君。
 〔青山幸恭君、登壇〕
○警察本部長(青山幸恭君) 馬頭議員にお答え申し上げます。
 初めに、現代社会にはびこるあらゆる暴力ということについてでありますが、暴力は個人の基本的人権を侵害する最たるものであり、また公共の安全と秩序を破壊する極めて反社会的な行為であって、絶対に許してはならないものであると考えております。
 とりわけ、暴力団等による組織的な暴力については、県民生活に対する重大な脅威となっている情勢にかんがみ、和歌山県警察運営の最重要課題の一つとして掲げ、組織を挙げてその取り締まりの強化に努めているところであります。
 次にビデオテープの件でありますが、その存在や内容等については、テレビ、新聞等で報道されている範囲内で承知しております。警察としては、この件に限らず、犯罪があると思料する場合には法の手続を経て捜査しているところでありますが、現段階においては本件についてのコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
 次に、債務者旅田氏とその友人らによる手形回収についてのご質問の件でありますが、これまで週刊誌や新聞等で報道されたことは承知しております。いずれにしても、一般論として申し上げますならば、いかなる立場の人であれ、暴力団を容認したり利用したりすることは当然好ましくないと考えております。
 次に、旅田市長が市議会において答弁した内容につきまして申し上げます。警察は、職務の執行に当たっては不偏不党かつ公平中正な立場を堅持することは当然と考えております。そのため、機会あるごとにこのような警察の立場を堅持するよう全職員に徹底しているところであります。議員ご指摘の、旅田市長に対して電話してきたという者について警察として確認すべく努めたところでありますが、そのような事実を確認するに至っておりません。
 次に、暴力団の資金稼ぎは手形のサルベージによるケースが多いと聞いているがどうかとのご質問の件については、いわゆるサルベージ行為なるものは暴力団の資金源活動の一つの形態となっていることはご指摘のとおりであります。こうした資金源活動についても、既存の刑罰法令とともに暴力団対策法を効果的に活用して、暴力団の資金源の封圧を一層推進してまいる所存であります。
 次に、浦哲志議員に対する無言電話や脅迫電話の件については、現在その実態把握に努めており、同議員に対する不法行為を未然に防止するため、所要の警戒を行っているところであります。
 次に、ビデオの売り込みに関するご質問についてでありますが、現段階ではそのような届け出は受理しておりません。警察としては、暴力団員等からの不当な要求行為に対しては強い態度で臨み、警察に届け出をしていただくよう指導しているところであります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 16番馬頭哲弥君。
○馬頭哲弥君 青山本部長のご答弁は、和歌山県の治安を預かる最高責任者として、いかなる暴力も許さん、いかなる立場の人といえども、暴力団とのかかわり、あるいは利用するようなことは断じて認めるわけにはまいらんのだと、力強いご決意を聞かせていただいたのであります。
 現段階では、まだはっきりしたことは言えないことも多々あるかわかりません。しかし、そのご決意の基本に立って、ご着任早々でありまするし、湯浅ではまた一昨日来、殺人事件まで起きておるというような状況にかんがみまして、ひとつしっかり県民のためにご活躍を賜りたいと思うのであります。
 さて、旅田市長は百条調査委員会で、ビデオの出どころをはっきりしないのにビデオを見るわけにはいかない、議論もするわけにはいかないんだと言ってさっさと席を立って、橋本の演説会へ行っておったとかいうのでありますが、「暴力団とのつながりは追及している側の方にこそあるんだ」と、自分がかつて緊密な関係にあった、莫大な負債の手形回収まで依頼した主役・当事者であったことなどを棚に上げて、開き直っているのであります。そのあげくには、「私の知事選におけるイメージダウンをねらったものではないのか。そういう仕組みなんだ」というようなことを言うに至っては、これはもう本部長、あの有名な上祐何がしをはるかに超える論理の飛躍であると思うのであります。すりかえであります。
 今、事ここに至って、市民、県民が本当に知りたいことは何かと言いますと、一体何が真実なんだということであります。何が本当のことなのかという一点に絞られてまいっておると思うのであります。暴力団と飯を食ったとかゴルフ場で一緒だったとかいうだけで、芸能人やスポーツマンも干されたり、とうとうそのまま社会的にだめになったりというようなケースは幾らでもあるというのに、市長だったら構わんのか、偉い人だったらいいのかと、こういうお問いかけは私の方にも、何通かの怒りの電話が入っておる次第であります。
 世論はつまり、これを問うておる。真実は一体何なんだということであります。まさに法と道義はあざなえる縄のごとしでありますから、道義に反する疑惑は警察が明らかにしてくれる以外にとるべき方法はないと思うのであります。そこに我々の警察に対する全幅の信をおくゆえんがあることを申し上げておきたいのであります。
 政治道義の話のついでに、けさ来のうわさでは「知事選であかなんだら市長選があるさ」と、そういう話だって皆さん、走っておるんです。ここまでいくと、まさに人間としての道義の問題であります。これはしかし、警察とは関係ありません。
 ところで、旅田市長の公式発言である「親しい友人の刑事が私を大いに励ました」という話は、調査の結果そのような事実はないということであります。安心いたしました。つまり、このことは、旅田氏がありもしないことを本会議でちょうちょう述べたということに絞られてまいります。作り話で議会を欺いたということになるのであります。私はしかし、警察としてもこうした名指しの対象とされた迷惑を払拭する必要があると思っておったんであります。ついでがあれば市長本人にも確かめていただけたらいいのではないか。
 和歌山県警察官の皆さんには、日々本当にご苦労なことだと考えております。これは深く感謝申し上げなければなりません。県民の安寧のために、どうか善なる者には温かい思いやりと、悪に対しては断固許さぬ姿勢で今後とも臨まれるよう、重ねてご要請申し上げる次第であります。ご答弁は結構でございます。
 ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で馬頭哲弥君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 仮谷知事が迎えました最後の議会で質問するに当たり、まず知事の長期の労苦にご慰労を申し上げたいと思います。また、仮谷県政二十年の間、一貫して野党の立場にあった日本共産党県議団として、私どもが抱き続けてきた批判的観点から二十年を振り返り、私どものご意見を申し上げ、知事の所信をお伺いするものであります。
 この二十年の間、国際的にも国内的にも、まさに多事多難の時代であり、地方政治を預かる首長においても、まことに苦労の多い時代でもあったかと思われます。先日、広報公聴課が作成した「写真でみる和歌山県 発展のあゆみ」というパンフレットを眺めながら、和歌山県が実に多くの事業を行い、どのように県土づくりに努めてきたかが一覧でき、その努力の過程に思いを深くしたところでもあります。行政と県民の努力を改めて見た思いでもあります。仮谷知事の行政がこの中に一定の役割を果たしてきたことを評価することに、野党といえどもやぶさかではございません。
 しかし同時に、今日現在もコスモパーク加太が一日四百万円の利子払いをせざるを得ず、今なおむき出しの赤土の姿をさらしているのを見るにつけ、あるいはまた住金の埋立地にLNG火力発電の計画の進行を見るにつけ、私たちが抱いてきた批判的見地をこれまた改めて確認する思いでもございます。成果は成果として評価しつつ、同時に県政の根底で、県政が国の政治や巨大企業との関係でその主体性が貫かれたのか、住民本位・住民福祉の立場が貫かれたのかを質問し、知事がこれらの問題を次期知事にどう引き継いでいかれるのかをお尋ねしたいと思います。
 知事が着任する以前の小野・大橋県政の県勢浮揚の基本政策は、北部臨海工業地帯の造成とそこへの大企業の進出・拡張の促進に置かれておりました。一九五八年から一九六八年の間だけでも、臨海地帯の埋め立てとその整備のために、国の資金、県市費等、当時の金額にして実に三千億近い資金が投じられました。ちなみに一九五八年の県の当初予算が百三十四億円だったことを考えると、この金額がいかに巨大なものであったかがわかります。
 国の政治が大企業の拡張策を大々的に応援し、地方の財力をその策に呼応させるという仕組みが国策として推進され、和歌山県としてもその中に組み込まれ、また率先して呼応した図式であったと思われます。そこには、大きな企業が来れば働き口もふえる、仕事もふえる、県がそこに肩入れをするのも、いずれは県民の福祉につながることだという理由があったと思います。
 私は、県政が企業を誘致することに反対したり、あるいは大企業の企業活動を否定したりするものではありませんが、その過程における巨大企業への県政の余りにも偏重したサービスとその大企業の社会的責任放棄に対する県行政の甘い容認、その反動としての県民福祉の圧迫を批判するものでありますが、知事は従来のそのような大企業優遇策を基本的に引き継がれました。そして、国論を二分し、結局は住民から猛反対を受けた原子力発電の誘致の試みにまで進んだわけであります。
 その任期の後半では、国策としても失敗した、大企業を中心としたリゾート開発政策の一端を担いましたが、それは県土乱開発、大企業優遇型の県政となり、大企業の得手勝手や県民の反発を受けて、その大半は残念ながら成功をいたしておりません。そして、その結果、現在どのような状況が生まれているでしょうか。
 北部臨海工業地帯に進出膨張した主要企業、住金和歌山、住金海南、鴻池運輸、東燃、丸善、富士興産の主要五社の二十年前、一九七四年の雇用者は一万六千七百人でありました。しかし、一九九四年では九千五百八十人と、実に七千百二十人の減少になっております。地方公共団体の血税をも吸収しながら膨張した企業は、さまざまな社会的変動の中にあっても雇用の確保という社会的責任を全うするのが当然の義務であり、国としても県としても、その責任遂行を求め、努力するのがまた当然であろうかと思います。地方行政にいかほどの力があろうかという説もあるでしょうが、県民福祉の保障を責務とする行政にあってはそのために全力を傾けるべきであり、国にもしかるべき法的措置を要求するのが努めであろうかと思います。残念ながら、それはなされませんでした。
 一方当局は、雇用の場の創出のため、独自の努力として企業誘致に努めてまいりました。この間、六十数社を誘致し、二千九百人弱の雇用を創出いたしました。この努力は多としつつも、大企業グループの雇用減には追いつかず、さらに民間企業の事業所数は最盛期の六万四千五百四十三事業所から六万一千八百九十九へと二千六百余の事業所が減少し、それに伴い従業員数も全体として七千七百人の減少を見ております。国土軸から隔たり、京阪神の経済圏との競争力という点から見ても大きな困難はあったでしょうが、この現実は厳しい評価が下されなければならないでしょう。
 この間、地場産業、中小企業は時代のあらしに翻弄され、県行政への支援、援助を求めたところでございますが、県はそれへの一定の対応をしたものの、その要望にはこたえ切れませんでした。さきに紹介した事業所数の変遷がそれを示しているかと思います。中小零細企業への援助策の少なさは、例えばマリーナシティ造成に五百六十五億円を投入し、その主要部分を一企業に二百数十億円で売却するサービスぶりと比べれば、その差の大きさは覆うべくもありません。
 大企業への甘さという点では、ほかにも西防の埋立地の転用問題にも見られます。知事が「遺憾、遺憾」と言っている間に、既成事実のようにLNG発電計画が進行し、検討委員会は追認の場の感もあります。コスモパーク加太では、一千二百億円の土砂を八百億円で関空会社に売り渡し、一日四百円の差額赤字の利子払いを今なお続けている姿も、その甘さの一例でありましょう。
 一方、農村の問題を考えてみますと、農業従事者人口が激減をいたしました。これは、県土を平均して発展させていくという立場から考えると極めて憂慮すべき事態であります。これも基本的には、責任は国策にあるのは言をまちません。減反を初め、農産物の自由化、木材の無制限の輸入政策等々を一つの原因としながら、その後を文字どおり野となれ山となれと、後は地方自治体の努力に任せるという国の無責任さにあろうかと思います。地方としても農村の疲弊を防止するために一定の努力がなされたのでしょうが、それは有効に機能しませんでした。その結果、農業従事者はこの二十年間に二万人減少いたしました。都市隣接部で人口が若干増加した八団体を除く三十五町村では、この二十年間に実に四万二千人の人口が減少をいたしました。「コミュニティーとして成り立たない」という嘆きさえ聞こえる昨今であります。明らかに県土の平均的な発展が大きく阻害され、いびつなものになっていることを物語っており、主要な責任は国政であるとしても、地方行政としての責任は免れ得ないでしょう。
 直接的な福祉の問題をとってみても、大橋県政時代の福祉政策から見ても大きな後退が見られました。「まごころ県政」を称しましたが、国の行政改革の方向に従い──国の行政改革は主として福祉政策と教育政策をねらい打ちという感がございましたが──八五年には、寝たきり老人、重度障害者、長期入院患者、老人ホーム入所者への見舞金をあっさりと削り取ってしまいました。国保への補助金の少なさ、乳幼児の医療費助成への所得制限、対象年齢の切り下げ等々にあらわれました。最近でも、入院給食費自己負担への一部補助を国策であることを理由に拒否されたことなども、国策追随と県民要望への温かさの欠如として指摘されなければならないのではないでしょうか。
 このような基本的に大企業優遇策に傾いた行政の中で、一人当たりの県民所得は低下の一方となり、一九六〇年代では全国順位十位であったものが一九九三年では三十七位に低下するということになりました。この数字は直接的に県民の懐ぐあいを示すものではないにしても、その一つの重要な目安であることを考えると、この低下傾向は極めて大きな問題だと言えるでしょう。
 最後に、平和と民主主義の問題について一言つけ加えておきたいと思います。
 極めて特殊な人を除いて、日本が戦争に巻き込まれることを歓迎する人などはいるはずもなく、知事もみずからの経験の上から平和を希求することをしばしば言明され、私もいささかもそれを疑う気持ちはございませんが、核兵器等の問題についてはその実験・使用に反対を表明しつつも核兵器即時廃絶の立場をとらず、究極的廃絶──そのうちいつかという立場にとどまっておられること、和歌山県の非核宣言を「実効性を疑う」として拒否するなど、県民の願いと遠く離れたことはまことに残念なことでありました。
 日本の過去の侵略戦争についても、侵略戦争であったことの反省の弁を拒むなど、明確な反戦平和の姿勢で県民をリードする点ではおくれをとっていたと評したく、この点でも遺憾の念を抱かざるを得ませんでした。
 幾つかの点を申し述べましたが、今指摘いたしました点は県政を評価する上で重要な視点であろうかと思います。概して言えば、県民と行政の努力の中で多くの前進もございましたし、知事もその中で大きな役割も果たされましたが、県政の基本的な問題として、国策への追随と大きな企業への多大のサービスと甘さ、それに比して相対的な意味で県民生活への行政サービスの薄さが指摘されるのではないでしょうか。知事の所感をお伺いいたします。
 次に、官官接待についてお尋ねをいたします。
 和歌山市の市民団体の調査によりますと、一九九三年度(平成五年度)の和歌山県東京事務所の事務打ち合わせ経費と称する省庁役人の接待、事務打ち合わせ経費は、二百四十八件で総額二千五百万円、一件平均十万円、一人当たり経費一万四千円となると述べております。また、贈答品の支出は一千五十万円となっており、中央省庁への接待、贈答は約三千五百万円が支出されたことになります。また、一回の会食で最高額が百五万円、一人当たりの最高額が四万三千八百円、二次会と思われる支出二十五回、三次会と思われるもの一回と報告をされております。ごく一般的な県民の常識で言えば、県が中央省庁の役人を接待するということ自体が理解しがたいことですが、その回数、金額がいかにも多額であり、一体どうなっているのかという疑問が当然のこととしてわいてまいります。
 そこでお尋ねをいたしますが、平成五年度において県が支出した中央省庁に対する接待費は全体としてどれだけのものになっているのかをお示しいただきたいと思います。先ほど申し上げた、和歌山県で判明した食糧費の金額は東京事務所、秘書課、財政課を若干含んだものですが、宮城、広島、岩手、徳島、福岡の五県ではすべての食糧費が判明しています。これら五県の場合は、東京事務所、財政課、秘書課の食糧費支出は食糧費全体の一八・二%、全体の約五分の一だそうであります。この平均値で和歌山県を考えてみますと食糧費で約二億三千万円ぐらいかと推定されますが、当局が発表しない限り、正確なものは不明であります。全体で幾らになっていますか、お示しください。また、このうち中央省庁に対する接待費は幾らになっていますか、お示しください。なお、平成六年分についても同様に明らかにしていただきたいと思います。
 次に、過去の接待における行政効果についてお尋ねをいたします。
 報道や聞き及ぶところによれば、接待によって予算獲得が有利になるとか、国の情報を得るために有効だとか言われていますが、県当局として従来の接待でどのような効果を上げたと思いますか。接待によって獲得し得た補助金あるいは情報はどのようなものであったのか、具体的に例示していただきたいと思います。
 接待に当たる県当局の皆さん方の心情は、「この酒も県民の福祉向上のため」と、時には苦い酒に酔いを殺して飲んでおられることもあろうかと、そのご苦労に思いをはせることもありますが、接待行為に行政効果を認めるならば、接待上手が仕事上手であり、他府県との接待行為で競い勝つことこそ行政手腕ということになります。和歌山県は他の府県に比べて接待費は少ない方だと聞いておりますが、それでは補助金や情報獲得に負けるのではないかという心配をしなければならないことになります。
 このように、接待に行政効果を認めるならば明らかにわいろの性格を持つものと言わざるを得ませんし、もしそのような効果がないのだとすれば、明らかにこれは税金のむだ遣いと言わざるを得ません。いかがお考えでしょうか。
 なお、酒を飲みつつ行う接待というのは公務に入るのか、私的行為なのかもお示しいただきたいと思います。
 目下、食糧費の問題で会計検査院が幾つかの府県を検査中と聞いております。通常の検査の枠内で追加的に食糧費を調査するというのが大阪、島根、秋田の三県と言われておりましたが、九月十九日に島根県に特別検査が入りました。食糧費に多額の公共事業補助金が使われていたということで、補助金の目的外使用の疑いによる検査とのことであります。今週は秋田県が予定されているとのことですが、九月六日に行われた参議院決算委員会の中で、通常の検査は終わっているが追加的に食糧費について調査する対象として、沖縄、宮城、茨城と和歌山が取りざたされていました。この点について、どのような実情になっておるのか、どのように認識されておられるのかをお尋ねいたします。
 和歌山県においては補助金が食糧費、接待費に回されるということはありませんか。もしそういうことであれば明らかに法律違反ということであり、まことに遺憾なことであります。この点、実情はどうなっているのかをお示しいただきたいと思います。
 るる申し上げましたが、官官接待の問題の根本には、国との関係で地方自治を貫くかどうかという根本的な問題があります。国の実情や補助金が中央官僚の接待なしでは思うようにとれないということは、まさに中央官僚の前に隷属した地方の姿を目の当たりにするようで極めて腹立たしい思いを禁じ得ないものでありますが、それだけに問題の根本は国の方にもあることは明らかであります。地方が頭を低くして中央官僚を接待するのは、幾分にも「我が県に格段のご配慮を」という思いがあるのでしょう。同時に、「他府県がやっているのだから、我が県もそうしなければ不利な立場に陥るかもしれない。県益のために二次会へもどうぞ」ということになっておられるのかと思いますが、その上にあぐらをかいて接待を受ける官僚の姿は、思い浮かべるだけでも不快であります。
 新聞等に報じられる政府側の談話では、「それによって特別の配慮がされることはない」、「地方の実情をじっくり聞けるよい機会」などと語っています。接待で地方の実情をじっくり聞きたいなら省庁の方で地方を接待すればよいわけでありまして、県が中央省庁から一度でも接待を受けたことがありますか。あれば教えてください。多分ないのではないかと思いますが、いずれにしても、官僚を接待しなければ情報にしろ予算にしろ効果的に引き出し得ないということは、国の一方的な地方支配であり、地方の国への屈辱的な隷属であり、地方自治の精神から大きくかけ隔てた姿だと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 この際、国の省庁接待は毅然とおやめになってはいかがですか。ついでにお聞きしておきますが、県と市町村の関係の中で県が市町村から接待を受けたことがありますか。あるいは、その有無によって市町村に対する情報提供等に格差が生じるというようなことがあったでしょうか。
 八月十七日付で出された総務部長の通知、「食糧費の適切な執行について」なる文書では、「食糧費の一般的削減に心がけよ」とか「会食などでは出席者を最小限にとどめよ」とか「余り派手な飲み食いをするな」等々を述べていますが、結局、省庁接待を存続させ、ついてはできるだけ安上がりでかつ効果的接待を期すという内容であります。これでは、世論のほとぼりが冷めれば、ずるずるとまた接待費の上昇が予想されます。地方自治体の国への従属をみずからの手で温存しているという姿でありまして、大変残念なことだと思っております。
 もちろん、他府県の動きも複雑で、ごく一部では全廃を目指すというところもありますが、大方は削減の方向を打ち出しているようであり、また一部には「従前どおり。何が悪いのか」と変な開き直りをしているところもあります。全体として意思の統一は府県レベルでは図られておりません。他府県もまた世論の動向と周辺の団体の動きを見ているようであります。この状況は、いずれまた大規模な官官接待の根を残すことになります。
 和歌山県が地方自治の精神に沿って、全国に先駆けて接待中止を表明し、さらに全国に呼びかけ、全国の都道府県が一致して自治体としての尊厳を守るべく、その先鞭を和歌山県がつけてはいかがでしょうか、お尋ね申し上げます。
 続いて、接待問題に関連して情報公開についてお尋ねをいたします。
 この接待費問題は、一部の県が自主的に公開した以外はすべて市民団体の情報公開条例を活用した開示請求によって公になったものであります。行政が秘匿していたものがこの条例によって明らかにされたことは、情報公開が行政の透明度を高める上で大いに役立つことを証明したものとして大変喜ばしいことであり、また行政当局にとっても、行政改革のメスの入れどころの一つを明らかにしたものとしても、大いに役立つことと思います。
 しかし、これも全国的に見ますと接待先の省庁名を明らかにしないという不完全なものであり、大きな弱点を持っておりました。その中で我が和歌山県が、一部ではありますが省庁名を明らかにしたことは全国的に高く評価され、今後の情報公開の先駆を示しました。ところが、八月二十一日──この日は総務部長がさきの通達を出した四日後のことでありますが──接待省庁名は開示しないことを決めたそうであります。非開示に当たっては明確な理由の存在することが条例の精神上必要とされていますが、非開示決定の通知文書ではそれは明らかにされておりません。報道の解説的な記事によると、県が省庁名を公表した後、予定していた省庁からの接待をキャンセルされるなど影響が出始めたからだとあります。
 ついては、七月二十五日に省庁名の一部を開示して以来、八月に非開示を決定した日までの三十日ほどの間にキャンセルした省庁はどことどこでしょうか、明らかにしてください。名前を出されると困るということで慌てうろたえる官僚の姿がこの行為の中に見え隠れしてこっけいでありますが、これ自体をとっただけでも、官僚接待がうさん臭いものであることをしのばせるものであります。
 問題にしたいのは、それによって県がとった非開示決定の態度でもあります。県も一緒になってうろたえてしまったという姿です。後ろめたくなければ省庁に堂々とキャンセルを抗議すればいい。それができずに、せっかくの情報公開をあたふたと閉ざしてしまった。条例の制定目的は、その第一条に、県民に県政の内実を知らせ、県民が県行政に協力できるよう信頼を持ってもらえるように開示することだとあります。あたふたと非開示にすることは、明らかにこの目的と矛盾をいたします。
 条例の九条八号の非開示にし得る条件、県の機関または国等の行う交渉、渉外、その他の事務事業であって、開示することによって当該事務事業の目的が損なわれると認められるものは非開示にできるという条項が適用されたようでありますが、省庁名の開示が、しかも過去の事業に関する省庁名の開示がなぜ非開示の理由になるのか、またどのような目的が損なわれるようになるのかは、公式には説明がございません。職名の開示についても、公務員がその職責において対応するときには、それは個人としての仕事ではなく公務としてのそれであり、その職名の開示は個人情報ではありません。
 思うに、開示することを相手が、すなわち国の省庁側が嫌がるから、さらに和歌山県以外の都道府県がみんなまだ開示をしていないのだからうちだけ先走ることはないじゃないかという、極めて行政の恣意的判断による以外にはないと考えざるを得ないのであります。これは条例の基本的精神と相入れませんし、具体的に条例違反でもあります。非開示を取り消し、開示されるよう求めたいと思いますが、当局の見解をお伺いいたしまして、第一問を終わらせていただきます。
○議長(橋本 進君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 県政二十年を振り返ってということでございますが、先ほど馬頭議員にお答え申し上げたように、私は「まごころ」を政治信条として県政を行ってきたわけでございます。
 就任当時は、オイルショック等により経済環境が非常に悪化して、財政は非常に難しい時代でございました。また産業構造においても、臨海工業地帯から内陸産業へと、鉄鋼、石油等が非常に厳しく急激な変化を要求された時代でもありました。また、行政需要も多様化する中において、いかにこたえていくかということが一番の重要な課題でございました。
 そうした中で私は、今何をなすべきか、何を決定しなければならないか、県民が最も望んでいるのは何なのかを真剣に考え、特に本県の発展を阻害している半島性の脱却のため、交通網の整備や地場産業の振興、企業誘致などの諸施策を積極的に推進してまいったわけでございます。その間、鶴田議員初め共産党の皆さんからも、いろいろ批判もございました。先ほどのご意見の中にも、私も意見がたくさんございます。しかし、きょうはただ、批判を激励と受けとめる心境に立ち至っているわけでございます。
 それから、今後の知事に望むことでございます。
 これも先ほど馬頭議員にお答え申し上げたように、二十一世紀になると、価値観が大きく変わってまいります。日本も和歌山も大きな変動の時代を迎え、特に二十一世紀はアジアの時代だと言われております。アジアと最も交渉が深かったのは関西地方でございます。私は、その関西地方の中での和歌山の比重というものは、なおさら一層増してくると思うわけでございます。
 そうした中で和歌山の発展をいかにするかということについては、先見性と実行力、決断力、加うるに人格、識見、これが要求されると思ってございまして、次の知事になる人に私は大いなる期待を持っておりますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 中央省庁等の懇談会についてのご質問でございます。
 まず第一点、食糧費と懇談会との関係についてでございますが、平成五年度、六年度の県全体の食糧費の総額については、他の科目とともに需用費の中に含まれてございますので、食糧費だけを取り出して算出することが困難でございます。把握いたしておりません。
 また、そのうち中央省庁に対する懇談会の経費でございますが、先般開示したように、東京事務所がこの支出の中心と思料されまして、それについては先ほど議員のご質問の中にあったとおりでございます。
 現在、食糧費のあり方については、全国的な動きも踏まえつつ鋭意検討中でございますので、ご了解いただきたいと存じます。
 次に、懇談会への出席が公務に当たるかどうかということ、そしてまた懇談会の効果がどういうところにあるかというご質問でございますが、中央省庁と懇談の機会を持つことは、国に地方の実情を知らせたり国の考え方や方針等の情報を獲得する等の面において効果があったものと考えております。その具体的な内容はどういうものかということでございますが、これは多年にわたるものでございますし多種多様にわたるものでもございますので、これといって特定できるものではございません。ご了承いただきたいと思います。
 また、こうした行為が公務に当たるのかどうかというご質問でございますけれども、中央省庁との懇談に出席して情報を得ることは公務に当たるというふうに考えております。
 次に、会計検査院の検査に関連してのご質問でございますが、会計検査院の追加調査については、幾つかの他の県で行われているという報道以上のことは現在のところ承知しておりません。
 次に、公共事業の補助金を食糧費、また懇談会経費に転用していないかというご質問でございますけれども、これまでのところ把握はしておりません。しかしながら、今後、食糧費全体の見直しの中で十分に検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、地方自治と懇談会の関係についてのご質問でございますが、これまで中央省庁との懇談の場を持つことは本県行政にとって有用な面があったということは、先ほどご答弁申し上げたとおりでございます。しかしながら、地方分権というものが時代の大きな流れとなっている中で、今後はこの問題についても見直しを行っていくことが必要であると考えております。
 次に、本県が全国に先駆けて懇談会の中止を打ち出してはどうかというご質問ですが、この問題については現在いろいろな動きがございます。今後、全国的な動向等も踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、中央が地方を対象に懇談会を開催したことはあるかというご質問でございますが、このようなことについては状況を特に調べたことはございませんので、ご了承いただきたいと思います。
 なお、本県と県下の市町村の関係でございますけれども、これについては、本県の場合、県の職員が出張等した場合の対応についても、社会通念から逸脱するようなことは行われていないというふうに承知しております。
 次に、同じく情報公開についてのご質問でございます。開示から非開示に転換した理由、また全面開示できないかという趣旨のご質問かと思いますが、まず情報公開については、懇談会をキャンセルした省庁はどこかというご質問について、特に和歌山県を対象として懇談会がキャンセルされたという事実はございません。また、国においても今回の問題が起こって以降、各種会合の出席については慎重に対応されているということを承知いたしております。
 次に、省庁名の開示から非開示に転換した理由でございますが、前回の開示後の状況から、相手方出席者の省庁名については今後行政を運営していく上で支障を来すおそれがあると判断し、公文書の開示に関する条例第九条第八号に該当するため非開示としたものでございます。
 次に、条例の精神からして、以後、省庁名等は全面開示にすべきではないかというご質問でございますけれども、この制度の運用に当たっては他県の運用状況といったものを十分勘案しつつ、今後とも常に適正な運用に努めてまいる所存でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 34番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 先ほど、私の質問の中で数字が一カ所間違っておりました。コスモパーク加太にかかわる借金の利息を一日「四百円」と申し上げたそうですが、「四百万円」でございますので、訂正させていただきます。
 知事からご答弁をいただきました。私どもと意見が相当異なったままで平行したことについては大変残念に思うわけでございますが、今後またひとつ、そういう意見も酌み入れられる行政が展開されることを我々は期待しているわけでございます。
 いずれにしろ、非常に困難な時代に長期にわたって首長を務められたご苦労に対しまして、心からのご慰労を申し上げたいと思います。
 それでは、官官接待の問題につきまして再質問をさせていただきます。
 先ほど、ご答弁の中で、食糧費等については全体は掌握されていない、需用費の中に含まれておってつかむのが難しいというお話がございましたが、これは民間団体でも調査をして明らかにできるところですから、やる気があればすぐ簡単にできることであって、それができないというのは怠慢じゃないですか。やる気がないんだというふうに思われます。これだけ大きな世論の関心を買っている問題ですから、直ちに調査をして県民の前に明らかにすることが当局の任務ではなかろうかと思います。
 食糧費の問題を鋭意検討中とおっしゃられましたが、どのような立場で検討しているのかも明らかにしていただきたいと思います。全体を掌握もしていない中で「検討中」というのも、これまたおかしな話です。もう少し真剣な対応を望みたいと思います。
 それから行政効果の問題についてですが、このような接待行為の中で多くの成果があったというお話でございました。たくさんあったと言うんだったら少しは例示していただいてもいいんじゃないかと思いますが、例示もできないというのは一体どういうことですか。
 それからまた、そのような情報は宴席がなければとれない情報なんですか。もしそうだとすれば、これは非常に不思議なことなんです。宴会がなければ国の方は情報を出さないということであれば、もってのほかだと思うんです。この問題は、国の方が悪いんです、もともとは。だから、そういう前提で聞くんですけれども、そういうことに地方がずるずると巻き込まれて宴席の中だけでの情報収集というようなことに陥っていくと、これは大変なことになると思います。まさにわいろ政治に発展しかねないわけで、こういう点は基本的に改めることが必要ではないかと思います。先ほど、こういう問題も見直していきたいというお話がございましたが、もう少しそういう点には厳正に対処されることを期待したいと思います。
 酒を飲みながら公務ができるというのは不思議な話だと思うんですよ。そうであれば、どういう公務でもそういうことが適用されるのかということになります。私的行為として宴席を設けるのであれば、それはやられたらいいと思います。公務としてやられるのは大変不謹慎な話ではないかと思います。
 中央と地方の関係で私が一番強調したかったのは、やはりこのような国の情報操作です。宴席の中で情報を出したり出さなかったりというのは、まさに情報の操作です。これはもう民主主義に根底から反することでありまして、国と地方との関係の中で地方自治というものが大きく阻害されている姿であろうかと思います。基本的にこれをやめていくという方向を打ち出されることが、地方自治体の基本的な立場であろうかと思います。いま一度、総務部長の見解をお聞きして、全国に先駆けて廃止されていくことを表明されるよう期待したいと思います。
 非開示の問題ですが、これも本当に不可解なことであります。一たん開示をした後で、国の方から──何があったのかわからないんです。キャンセルされたことはないという話ですから、何があったのかわからないんだけれども、これは和歌山県にとって不利になるという判断をされて非開示にすると。これは、条例の中にもそういうことをしてはいけないということがあるんです。明白な事例がなければそういうことはしてはいけないというのが基本的な精神だと思います。また、その条例を策定した情報公開懇話会の文書の中にも、このような事態にどう対応するかということで、「情報自体が行政の運営にかかわるものであるだけに、ややもすれば開示、非開示の判断は、実施機関の恣意に流れやすく、かくては制度の趣旨目的を没却しかねない。したがって、その運用に当たっては合議制機関等関係情報、意思形成過程情報の場合と同様、行政の恣意を疑われることのないよう、客観的・明白な場合に限定すべきである」というふうに打ち出しているわけです。
 そういう点を考えますと、先ほどの総務部長の答弁では、客観的・明白な、そういう状況がどうであったのかということが全くわからないままにあるんです。だから、開示後何があったのか、なぜ県益が損なわれると思ったのか、何が損なわれるのか、客観的・明白に示していただきたいと思うんです。それがもし示せないのであれば、恐らくこの非開示の措置は条例に違反していると思います。そういう措置はきっぱりと取りやめて全面的に開示される方向を打ち出していただきたいと思います。
 もともと、この情報公開条例の目的自身が、いかに県民の信頼を県政に寄せてもらうか、そのために県政をいかに透明にするかということなんです。第一条にそういうふうにうたっているわけです。それとも明らかに逆行する姿であろうと思いますので、その点はどうお考えになっておられるのか、いま一度、総務部長の答弁を求めます。
○議長(橋本 進君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) ただいまの再質問にお答え申し上げます。
 まず食糧費の総額でございますが、これについては先ほど申し上げたとおりでございますので、ご了承いただきたいと思います。食糧費のあり方全体については現在検討中でございますので、よろしくお願いいたします。
 それから、どういう効果があったか例示してほしいということでございますけれども、県政はずっと毎年、幾百もの施策を行ってきており、そういう事柄全般にわたって、やはり国との円滑な関係が非常に効果をもたらしてきたということはあると考えておりますので、これがどうというようなことは差し控えたいと考えております。
 それから、宴会がなければだめなのかというお話でございますが、国との関係で宴会だけが大きな役割を果たしているわけではございませんで、日ごろからの職員の各省庁等との話し合いとかいろいろな会合等々が主な役割を果たしていることは申すまでもないことでございますけれども、この懇談会の場も、先ほども申し上げたように、地方の実情を知らせるとか、また一つの人間関係をつくっていくという意味で非常に有用であったということは否めないことかと思います。ただ、繰り返しになりますが、今後、地方分権の流れの中でやはり考えていかなければならない問題があれば十分検討していかなければならないということだと思います。
 次に、懇談会に出席しているのは公務かというご質問でございます。職員は職務命令に基づいてそういう懇親会に出席し鋭意努力しているわけでございますので、当然のことながら公務であると考えております。
 それから、中央の情報操作じゃないかというご質問かと思いますけれども、中央は別に情報操作をするというようなことを考えているわけではないと思います。先ほども申したように、人間関係を求め、また地方の状況を知って国の施策の中に生かしていきたいということ、これは地方公共団体の望みであるとともに国の方の望みでもあるというのが今の時代かと思いますけれども、いずれにしても、地方分権という中で節度ある対応というものを今後考えていきたいと考えております。
 それから、非開示にしたことについての問題でございますけれども、これについては行政運営上の支障があったということで、当局の方がそういうふうに判断して今回非開示にいたしましたので、ご理解いただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 34番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 あえてお答えにならなかったのかと思いますけれども、非開示の理由です。何があったのかを明確にしなければ非開示にしてはならないというふうに懇話会の方でも言っているんですよ。だから、何があったのか、それをもう少し詳しく言ってください。今のじゃ答弁になっていません。
○議長(橋本 進君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) ただいまの何があったかというご質問でございますが、これは諸般の事情ということで、和歌山県が公開して以降いろいろな動きがあり、その中で私どもが適正と考え、判断したことでございますので、ご了解いただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十分休憩
 ─────────────────────
 午後一時六分再開
○議長(橋本 進君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番新田和弘君。
 〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、第二回和歌山県日中友好県民の翼訪中団に参加させていただき、私にとりまして五年ぶり四度目の中国訪問となりました。その見聞と印象について報告をさせていただきます。
 本県は、昭和五十九年四月十八日、中国山東省の梁歩庭省長を団長とする友好訪日団を迎え、県庁において和歌山県と山東省の友好提携の調印式を行いました。このたび、友好提携十周年を記念し、門三佐博日中友好県議連会長を総団長に、県当局より中西伸雄出納長、中村協二企業局長、県議会から上野哲弘県議と私、さらに経済、労働、金融、農業、教育の各関係者に一般県民の皆様が参加し、総勢百七十九人が六つの団を編成して、第二回和歌山県日中友好県民の翼訪中団として、八月二日から九日まで八日間、中国を訪問しました。
 八月二日、関西国際空港より全日空にて出発、二時間二十分の空の旅で、青島空港に無事到着しました。空港には、山東省外事弁公室副主任の張偉齢さんが出迎えに来られており、ブラスバンド演奏による熱烈歓迎を受けました。
 青島市は、人口約三百万人、郊外の人口も含めると六百万人の都市です。旧市街地は、ドイツ人によってつくられた赤がわらの屋根が緑の森に映える風光明媚なリゾート地で、国内の観光客が年間六百万人ほど訪れ、特に夏の休日の海水浴客は昨年一日で三十万人を超えたそうであります。また青島市は、中国の十四沿海開放都市の一つで、現在、国より外資導入、技術導入など対外経済活動の自主権が認められ、外国投資家の生産的企業には企業所得税、建物不動産税等の減免や利潤の海外送金上の優遇措置などがあるため、合弁会社が増加し、本年五月末で日系企業が二百四社、韓国系企業が三百社進出しているとの説明でした。海岸に近い土地には、香港、台湾等の企業が借地契約を行い、リゾートマンションの建設が進められていました。私たち訪中団の宿舎となった麗晶大酒店も、香港系企業が本年オープンさせた新装の五つ星ホテルでした。交通機関の状況は、青島空港では、全日空が週二便、大韓航空が週五便就航、青島港は中国四番目の規模の港湾で、コンテナ輸送では中国第一位を誇り、山東省の対外貿易の拠点となっています。町には案外自転車が少なく、バスやトロリーバスの利用者が多く、タクシーも二年前は千台程度でしたが、現在は八千台と急増し、ダイハツの合弁会社のシャレードがタクシーにたくさん使われておりました。市内の各所にガソリンスタンドがあり、中国も車社会へ急速に変わりつつあることを実感いたしました。
 八月三日は、朝八時四十分にホテルを出発。青島市から省都の済南市へバスで移動。昨年完成したばかりの六車線の高速道路を利用して、延々と続くトウモロコシとコウリャン畑を見ながら、途中、し博市で昼食。午後三時半に済南市に入る。実に、四百三十三キロのバスの旅でした。この四百キロを超える高速道路をわずか三年間で完成させたと伺い、国情の違いを改めて痛感した次第です。
 済南市内へはパトカーの先導にて宿舎の斉魯賓館に到着。午後六時半より南郊賓館にて、山東省副省長・杜世成様、昨年世界リゾート博に来られた山東省人民代表大会委員会秘書長・王懿誠様初め山東省政府関係の皆様を表敬訪問した後、山東省政府主催の歓迎レセプションに参加しました。山東省政府の皆様の歓待と少年宮の方々による演技を楽しませていただき、友好を深めることができました。
 八月四日は、友好提携十周年を記念して、本県から山東省科学院にバイオテクノロジー関係の農業試験機器一式を本年度に贈呈する運びのため、済南市の十九キロ北にある省科学院日中友好実験棟にて訪中記念碑の除幕式が盛大に行われました。山東省政府からは、省外事弁公室副主任・張偉齢様、省科学院院長・朱関興様初め、科学院の職員多数が出席してくださいました。
 その後、黄河、大明湖、豹突泉等を見学。中国の文化と風光を存分に楽しませていただきました。夜は、訪中団主催の答礼宴を斉魯賓館で役員が参加して行い、その後、昨年の世界リゾート博に出演していただいた山東省雑技団の名演技を全員で観賞いたしました。
 山東省は、八千五百七十万の人口を持つ沿海省であり、GNPは広東省に次いで全国第二位を誇り、八○年代にはGNP年率一○%の高度成長を遂げてきました。さらに山東省は、石油、石炭というエネルギー資源に恵まれ、各産業のバランスもとれており、農業生産も豊かで、対外経済でも輸出が全国第四位、外資導入も第四位と、二十一世紀へ一段と成長が期待される省であります。実際に、済南市に来る途中、送電用の鉄塔が随所に見られ、電力事情が充実してきていることを実感いたしました。
 中国が改革・開放に転換した成果として、収入の増加に伴い、消費水準も向上してきました。都市部では、家電製品の普及率は九二年の調査では、カラーテレビ七四・九%、冷蔵庫五二・六%、洗濯機八三・四%と年々向上し、本年ではカラーテレビは九○%を超えた都市もあるとのことでした。宿舎の斉魯賓館では衛星放送を見ることができ、NHKの連続テレビ小説「春よ、来い」やプロ野球などが見られるため、一瞬、日本にいる気分でした。中国のテレビ番組で、日本の人気アニメ番組「ちびまる子ちゃん」が中国語放送で放映されているのに驚くと同時に、日本製品だけでなくメディアの部門でも中国の茶の間に入っていることを再認識した次第であります。
 八月五日から八日の四日間は、訪中団が六つに分かれて中国各地を視察しました。私たち第一団は、広州市、桂林市、上海市の三都市を視察。八日の夜に再び青島に全員が合流し、九日に青島空港から関西国際空港に全員無事帰国いたしました。
 今回の訪中団に参加して印象に残ったことですが、まず中国の航空事情が随分と充実してきているなと思ったことです。五年前は、たしか航空機はすべて中国民航であったと記憶していたので伺ってみると、中国民用航空局の企業部門が九三年ごろより中国民航の分割化を進め、現在では中国国際航空公司を初め二十一社があるとのことでした。私たちの団が利用した公司でも、中国東方航空公司、中国南方航空公司、四川航空公司、深せん航空公司と四社あり、時間も比較的正確に運航しており、上海から青島に帰る便が三十分程度おくれたぐらいで、中国の旅も列車から航空機へ変わってきていることを実感いたしました。
 次に、上海市が目覚ましく発展しようとする姿が目を引きました。一方で、上海市内の四十数キロの高速道路の建設において、立ち退き対象者が実に十万人もいたそうですが、わずか三年間で完成させたとの説明を受けながら、その高速道路をバスで通過、私権と公権の考え方に日本と中国では格段の違いのあることを見せつけられた感がありました。
 第三点目は、八月四日に済南市のホテルで、朝、「大衆日報」という新聞を部屋に入れてくれておりました。中国語の新聞ですので私は見出し程度しか理解できませんが、一面に「愛国の伝統を発揚し、全力で富国強兵を」の大見出しで、「山東省と煙台市が抗日戦争勝利五十周年記念大会を八月三日に挙行」との小見出しが気になりましたので持ち帰りました。今回の報告に当たり、国際交流課の方に日本語に訳していただきますと、山東省軍区司令官・沈兆吉氏が、「新しい歴史の中で我々が抗日戦争勝利を記念するのは、立ちおくれ、迫害され、国防のなかった過去を苦い教訓として心に刻み、祖国建設と国防強固の崇高な使命を忘れず、歴史の悲劇を決して繰り返さないためである」と述べておられました。
 私は、戦後五十年目の八月に中国を訪問するに当たり、この夏、愛新覚羅浩さんの「流転の王妃の昭和史」や満州からの引揚者の記録を書いた藤原ていさんの「流れる星は生きている」の二冊を読みました。日本の私たちは戦後五十年と言い、中国の方々は抗日戦争勝利五十周年記念の年と言っている現実を率直に受けとめ、過去の侵略戦争に対する反省の上に立って、今後も友好交流を図っていかねばならないと思った次第であります。
 以上、三点印象を述べまして、訪中報告とさせていただきます。
 そこで、仮谷知事にお尋ねいたします。
 一、本県と山東省における友好提携十周年の交流を基盤に、国際化時代へともに栄えていくための今後の友好交流をどう進められるのか。
 二、本県が現在進めている他の国々との友好交流を今後さらにどう進められるのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、本県における行政改革推進についてお尋ねいたします。
 自治省は、平成六年十月七日に地方公共団体における行政改革推進のための指針を策定し、各地方公共団体に自治事務次官名で通知しました。指針の概要は、各地方自治体は従来から積極的に行政改革に取り組んできたところであるが、地方分権の推進が時代の大きな流れとなっている今日、地方公共団体の果たすべき役割はますます重要となってきており、また現下の地方行財政を取り巻く環境には極めて厳しいものがあることから、改めてその責務を自覚し、社会の変化に対応した簡素で効率的な行政の確立に向けて新たな行政改革大綱を自主的に策定するとともに、住民の理解と協力のもとに計画的推進を図る必要があるとして、一、庁内に行政改革推進本部を設置し、住民の代表者等から成る行政改革推進委員会を設置する、二、行政改革大綱は、原則として三ないし五年間の計画として、おおむね一年以内に策定する、三、行政改革大綱は住民に公表するとともに、その推進状況についても公表し、将来の行財政運営に住民の意見等を反映させるとしています。さらに重点事項として、一、事務事業の見直し、二、時代に即応した組織機構の見直し、三、定員管理及び給与の適正化の推進、四、効果的な行政運営と職員の能力開発等の推進、五、行政の情報化の推進等による行政サービスの向上、六、会館等公共施設の設置及び管理運営の六点が挙げられております。
 本県における行政改革は、昭和六十年の地方行革大綱に基づき、昭和六十年十二月に和歌山県行政改革大綱を策定し、昭和六十一年度から三年間で六百七十四件の事務事業の改善を行い、組織機構の見直しでは、政策調整会議の設置及び主管課制の導入、本庁の部課室、地方機関の統合再編成を行ってきました。人事管理の見直しでは、職員の条例定数の削減に努め、知事部局、教育事務、警察事務、合わせて九十二人を削減しました。外郭団体、公営企業等では、畜産育成公社の廃止及び紀三井寺競馬事業の廃止など合理化を進めてきました。
 しかし、バブル経済の崩壊により、県税収入も平成三年度一千四十二億五千三百四十八万円をピークに年々減少してきています。平成六年度は、県民税利子割及び軽油引取税の伸びにより減税が実施されましたが、前年を三十億円上回る九百七十億二千二百五十九万円が確保され、一息ついたところであります。七年度の税収見込みは、阪神・淡路大震災等により消費の後退、超円高の進行により景気が低迷し、八月以降、超円高は改善されてきましたが、景気先行き不安は続き、厳しい予想がされているところであります。
 本県では、国の行政改革指針を受けて、新たなる行政改革大綱をつくるため、知事を本部長とする行革推進本部を設置、本年五月十六日には住民の代表者で構成する行政改革推進委員会を設置し、大綱の策定に取り組んでいるところであります。知事は本九月定例会の説明で、行政改革の推進について、「行政改革大綱を本年十月末を目途に策定すべく作業を進めております。今後、大綱策定を機に、行政改革がより一層推進されることを強く期待するものであります」と述べております。
 そこで、仮谷知事にお尋ねいたします。
 知事は、社会情勢の変化に対応し、来るべき地方分権の時代にふさわしい行政運営を図っていくための行政改革の推進をどう進められるのか。
 次に、総務部長にお尋ねいたします。
 一、定員管理については、本県では昭和五十六年から平成四年の間に知事部局で条例定数を三百二十人削減してきていますが、今後、高齢化対策の充実や景気対策のための県単独事業の増加等による増員傾向もあり、厳しい財政状況を踏まえ、定員適正化計画を策定し推進する必要があります。国の第八次定員削減計画では本年度の削減率が○・九○四%となっており、地財計画ではこれに準じて定員削減を引き続き行うとあります。本県の職員数の適正化計画はどう進められるのか。
 二、行政改革を推進する上において、国の規制緩和の趣旨を踏まえて、規制自体の必要性、県民負担の軽減、行政事務の簡素化など検討の上、今後、本県における規制緩和への対応をどう進めるのか。
 三、行政サービスの向上を図るため、許認可等の事務手続の簡素化など、行政手続法に準じ、行政手続制度をどう推進していくのか。
 四、公社等の外郭団体については、社会経済情勢の変化を踏まえつつ今後どう対応していかれるのか。
 以上、四点お尋ねいたします。
 次に、信用組合の経営再建についてお尋ねします。
 昨年末、多額の不良債権を抱えて事実上倒産した東京協和、安全の二信組に続いて、本年七月、コスモ信組が経営破綻し、業務停止命令が出され、国民の間に金融機関に対する不安が高まってきました。これに追い打ちする形で、八月三十日に兵庫銀行と木津信用組合が巨額の不良債権を抱えて経営破綻をしました。
 木津信組は、大阪府より業務停止命令を受け、命令が出された二日間で約二千億円の預金が引き出される混乱が起こり、府民に大きな迷惑をかけてきました。木津信組の経営破綻の原因については、一、バブル崩壊により多額の不良債権が生じた、二、他の金融機関より高い金利で預金集めをした、三、追い貸しによって回収不能債権額が雪だるま式に増大した、四、担保額が下がって融資額を大きく割り込んだ不動産を自社が高値で買う、いわゆる不良債権飛ばしをしていた、五、追い貸しによって利子収入の六割が架空であったなど、金融機関としては極めて異常な経営が行われてきたことが原因と言われております。
 日銀は、九月八日に公定歩合を一%から○・五%に引き下げを実施する一方、大蔵省は、大阪府に木津信組破綻により四百億円の資金拠出を求めていく方針を示しました。今回の公定歩合の引き下げは金融機関への支援が目的で、調達金利が下がることは、金融機関の収益を改善させ、不良債権の処理をしやすくすることをねらっております。このため銀行の預金金利も連動して下がり、一年物定期預金では平成五年四月に三・三九%あったものが、本年四月には一・三○%、九月十一日からは○・三○%と、二年前の十分の一になってしまいました。信組の不安や低金利に対する庶民のささやかな自己防衛として郵貯が見直され、郵政省が九月四日に発表した八月の郵便貯金の純増額は七千二百五十九億円と、八月としては過去最高を記録し、今月も増加するものと見られております。
 本県においても、国から機関委任事務を受けて指導監督する信用組合として和歌山県商工信用組合があります。県信の再建については、平成六年二月に市川龍雄県信理事長より再建計画が示され、貸出金二千六百八十二億円のうち約一割程度の不良債権があるとして、今後十年間で自立することを目標に積極的な店舗の統廃合や人員の削減による財務の健全化を図る一方、支援体制として総額三百五十億円の融資を要請してきました。この支援体制については、平成六年二月定例会で県が五十億円融資することを議決、さらに紀陽銀行五十億円、全信組連二百五十億円、計三百五十億円の低利融資が平成六年度に実行されました。平成七年六月の県議会経済警察委員会でも県信の再建問題が議論され、委員長報告にも、一年間の再建状況として九店舗の廃止、四十名の人員削減を進めるなど積極的にリストラを実施、また人材面の支援として本年五月二十五日の総代会で社会経済研究所常務であり紀陽銀行OBの奥野健策氏を専務に、全信組連大阪支店次長の川崎年夫氏を常務に迎え、再建に努めていると報告されています。さらに県信の平成六年度決算では、預金額が三千百十九億円で前年決算より四十五億円の増加となり、当期利益は、計画では二十四億円の赤字のところ十七億円の赤字にとどまった旨、報告されております。
 そこで、商工労働部長にお尋ねいたします。
 一、木津信組の場合、大阪府が昨年十月に回収不能見込み額を近畿財務局より指導され、当初の五割増しの三千七百九十一億円と算出していましたが、本年八月に最近の地価の下落等を加味した最新の路線価格を参考にして回収不能見込み額を六千億円に修正したと報道されております。長引く不況と地価の下落傾向もあり、県信においても再建当初、貸出金の一割程度の不良債権額と言われてきましたが、増加してきているのではないかと危惧するところでありますけれども、実態はどうか。
 二、公定歩合が○・五%に引き下げられて超低金利の状況で、三百五十億円の低利融資の運用効果が少なくなってきているのではないかと思われますがどうか。
 三、平成七年度以降も店舗の統廃合、人員及び経費の削減、延滞債権の回収など再建計画をどう進めるか、また低金利時代を生かして、いつごろまでに単年度黒字とするのか。
 四、信用組合に対する経営不安の広がる中、大蔵省が本年六月に発表した「金融システムの機能回復について」の中で、平成八年三月期以降、信用組合も経営実態に即してディスクロージャー、いわゆる情報開示をすべきとの方向性が打ち出されました。これを受けて、大阪府下二十五信用組合で組織する経営問題懇話会はディスクロージャーのあり方について協議、平成八年三月期決算から、融資先が倒産しているなどの破綻先債権を公表する、さらに貸借対照表、損益計算書のほか関連会社なども公表するとの方向で中間意見を集約し、年末をめどに最終方針を決めるとしています。
 そこで、本県の信用組合におけるディスクロージャーは今後どう進められるのか、以上、四点お尋ねをいたします。
 次に、和歌山市長と元暴力団組長との会談疑惑についてお尋ねをいたします。
 午前中も質問がございましたが、若干重複する点はご容赦願いたいと思います。
 和歌山市議会九月定例会一般質問が九月八日に行われ、浦哲志議員が、写真週刊誌「フライデー」に掲載された写真をもとに旅田卓宗市長と元暴力団組長との会談問題を取り上げ、その際、証拠としてビデオが議会に提出されました。議会では、協議の結果、全員協議会室でビデオを上映した後、市長と元暴力団組長との会談は明白として、市長の辞職勧告決議案を本会議で賛成多数で可決しました。九月十一日の森本保司議員の一般質問に対する答弁で、市長は会談問題を否定した上で、ビデオを証拠とする議会のあり方は暴力を容認することになると議会に挑戦したため、会談疑惑を調査するための百条調査特別委員会が全会一致で設置されました。去る九月二十日、百条調査特別委員長より本会議に中間報告が行われました。
 その報告によりますと、市長のビデオ問題に関する答弁の真偽を調査するため市長にビデオを見るよう要請したが拒否された、その後、ビデオに登場する二人を参考人として出席を求め、証言を受けて、市長は元暴力団組長に手形の回収を依頼した、市長と元暴力団組長が定期的に会食していた、会談は元組長宅で行われたなどの証言を得たとして、現段階では市長の答弁は虚偽と考えられるとの中間報告に至ったとのことであります。
 そこで、県警本部長にお尋ねをいたします。
 一、市長は浦議員の質問に答えて、本会議で次のように答弁しております。「あのフライデーの記事が掲載されました翌日、私の友人のある警察の刑事から電話をいただきました。『旅田、あのフライデーの記事に負けるな。頑張れ』、彼はそう激励してくれました。『あのフライデーの記事は、一見ぱっと見れば、この私があたかも暴力団と深いかかわりがあるように見える。しかし、我々プロの目から見るとそうではなくて、旅田は明確に暴力団を否定、拒否している。・中略・我々プロにはすぐわかる。しかし、県民の皆さんにご理解をいただくには少し時間がかかるであろうけれども、必ず県民の皆さんにご理解していただけるはずだから負けずに頑張れ』と、彼からそう激励をしていただきました。私は大変うれしく思いました」との市長答弁であります。
 この件に関して、県議会議長より県警本部長へ九月十九日付、和議会第二百号で照会があり、県警よりの九月二十二日付の回答では、「警察として確認すべく努めたところであるが、そのような事実を確認するに至っていない」とのことでありますが、その後の状況も踏まえ、警察の信頼をかち取るためにも県警本部長のご所見を承りたいと思います。
 二、財団法人和歌山県暴力団追放県民センターの副会長に和歌山市長が入っていますが、センターを所管する県警としてどう考えるか。
 以上二点お尋ねをいたしまして、第一問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 新田議員にお答え申し上げます。
 中国山東省と本県との今後の交流でございます。
 私も、昨年五月に済南、青島を訪問いたしました。十年ぶりに、経済復興している中国の姿を拝見いたしました。高速道路の話がございましたけれども、私も、三年間であれをやり遂げたことにびっくりした次第でございます。
 山東省との交流が十一年目を迎えたわけでございます。また、昨年関西国際空港ができ、青島との直行の飛行便ができまして、距離的にも時間的にも非常に近くなったわけでございます。これから交流の絶好の時期を迎えておるのではないかと思っております。従来、人的、物的交流を進めてまいったわけでございますけれども、今後なお一層、経済交流を進めていかなければならないと思います。
 中国も、中央政府において開放政策をとっておりまして、従来、日本から中国との交流について開放政策はどうなるんだろうかという疑念等がございましたけれども、中央政府の開放政策は今後変わらないのではないかという大きな見通しになりつつある現状でございます。今後とも交流を深め、本県と中小企業の面において相関連する分野も多うございますので、本県の活性化のためにも大いに進めてまいりたいと思っております。
 それから、本県と交流している国々との今後の交流についてでございます。
 海外の諸地域との友好交流については、一九九三年九月十五日にフランスのピレネーオリアンタル県と友好提携を締結いたしました。また、本年八月には財団法人世界リゾート博記念財団が県内の中学生四百人をピレネーオリアンタル県に派遣いたしまして、現地の中学生との交流を通じて両県の友好がさらに深められたものと思っております。
 また、来る十月四日にはアメリカ合衆国のフロリダ州と姉妹提携を締結する予定でございますけれども、これについても、県議会の開政クラブ、平越前議長を初め県の執行部もフロリダに参り、フロリダ州から高官も本県へ参って交流した成果が実ったものと考えておるわけでございます。このほか、メキシコ合衆国のシナロア州とも提携を前提として交流を進めております。これらは海洋リゾート地として世界的に有名な地域であるとともに、それぞれ独自の文化を育て、世界にその存在をアピールしているすばらしい地域でもございます。今後、これらの地域と観光、文化、経済、農林水産業、教育などの幅広い分野で、その地域の特徴に合わせて交流を積極的に進めてまいり、相手国と本県の相互の発展を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、地方分権の時代を迎えて新たな行政改革の考え方ということでございます。
 個性のあるふるさとづくりをするためには、地方分権が非常に大事なことでございます。地方分権推進法が制定されたことは地方分権にとって第一歩を記したものと、非常にうれしく思っております。今後は、地方の意見を地方分権推進委員会に具申してなお一層中央との連携を深めてまいるとともに、県の組織体制の整備も図ってまいりたいと思っておるわけでございます。
 すなわち、昭和六十年代の行政改革は、オイルショック後、悪化した地方財政の立て直しということが大きなテーマでございましたけれども、今回の行政改革では、バブル崩壊後の地方財政の適正化を図るとともに、地方分権の受け皿としての地方公共団体の機能の強化を図ることが肝要なことではないかと思っておるわけでございます。
 地方分権とは、結局、地方がみずからの創意と責任のもとに豊かな地域づくりができる体制づくりのことであると思いますので、国が考えて地方が実行するという従来の体制から、地方がみずから考え、みずから実施する体制への移行を行うための行政改革を推進していかなければならないと思っておるわけでございます。そうした線に基づいて、現在、行政改革について十分な検討を行っているところでございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 行政改革の推進についてのうち、私に対するご質問にお答え申し上げます。
 まず、定員の適正化計画の策定についてでございます。
 本県においては、昭和五十年代から国に先駆けて職員定数の削減に取り組み、全体で四百九十五名の削減を図ってきているところでございます。今回の行政改革における定員の適正化については、近年における各行政分野ごとの行政需要の動向を十分見きわめつつ、職員の弾力的かつ適正な配置により対応してまいりたいと考えております。
 次に、本県での規制緩和の推進についてでございます。
 県が行っている規制の多くは法律等を根拠とするものですので、国における規制緩和の進展に合わせて県としても積極的に対応してまいります。また、条例に基づく許認可等の県独自の規制についても、県民負担の軽減の観点から簡略化できるものは手続を簡素化するなど、所要の見直しを行いたいと考えております。
 次に、行政手続制度の推進に関してでございます。
 昨年の十月に施行された行政手続法により、条例、規則を根拠とする処分及び行政指導については、県において手続法に準じた所要の措置を講ずることとされているところでございます。本県でも、これを受けて行政手続条例をこの十二月議会に提案すべく、現在事務当局で準備を進めているところでございます。
 次に、外郭団体への今後の対応はいかんというご質問でございます。
 公社等の外郭団体は、県との連携のもとに、民間の資金と経営手法を導入することによって効率的、機能的な運営を図り、行政と一体となって県土の開発と県民福祉の向上に寄与することを目的として設置されたものでございまして、さまざまな分野で県行政の補完または代行機能を果たしてきており、今後とも県政の一翼を担っていくことが望まれるところでございます。しかしながら、社会経済情勢の変化に合わせ、今後、各団体の設立目的、活動実態等について見直しを行い、運営の効率化、活性化を図っていきたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 信用組合の経営再建についての四点にお答え申し上げます。
 まず、不良債権の実態でございます。
 景気が依然として足踏み状態であり、議員ご指摘のとおり、地価の下落により担保価値が低下してございます。このような状況下では、不良債権については増加の傾向は否めないところでございます。不良債権の回収等については、今後とも、県信内に設置されている経営改善委員会を中心として役職員一丸となって取り組んでいくこととしてございます。
 次に、低利融資支援の効果についてでございます。
 平成六年二月に発表された県信の再建計画に基づき、平成六年度から、県五十億円、紀陽銀行五十億円、全国信用協同組合連合会二百五十億円の計三百五十億円を県信に対し再建支援のため低利融資を実施しているところでございます。平成六年度の再建支援融資の運用収益実績は六億四千万円となっており、再建に寄与しているところでございます。去る九月八日に公定歩合が史上最低の○・五%になったことにより、運用収益は減少することとなります。金利情勢は非常に流動的であり今後も厳しい局面が続くと考えられますが、限られた予算の中で最大の効果を上げられるよう相互に努力してまいりたいと考えてございます。
 次に、今後の再建計画の推進についてでございます。
 店舗の統廃合については、六年度には計画を上回る九店舗を廃止し、七年度は去る五月に開催された総代会においてさらに三店舗を廃止し、二支店を出張所に格下げすることが決定されたところでございます。人員の削減についても、六年度には四十名を削減し、七年度には再建計画に基づきそれ以上の結果となるよう職員の採用を抑制し、職員の理解を得ながら希望退職者を募るなど、積極的にリストラに取り組んでいるところでございます。
 次に経費の削減については、節約意識の徹底、支出管理の強化等、役職員が一丸となって取り組んでおります。延滞債権の回収についても、六年度には前年度を大幅に上回る結果となったところでございます。七年度においては景気の足踏み状態が続いており、企業の倒産の増加等が懸念され、不動産市況が低迷するなど、まことに厳しい状況にございますが、積極的に取り組んでいるところでございます。
 金融の自由化等、組合を取り巻く経営環境はまことに厳しい状況ではありますが、役職員が一丸となって再建に取り組んでおり、県といたしましても可能な限り早い時期に単年度黒字となるよう指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、信用組合のディスクロージャーについてでございます。
 信用金庫や信用組合等の協同組織金融機関については、現在、破綻先債権、延滞債権等すべての不良債権は情報開示、いわゆるディスクロージャーをしないこととなってございます。しかし、去る六月、大蔵省が不良債権処理の基本方針である「金融システムの機能回復について」を発表いたしましたが、それによりますと、九六年三月期からディスクロージャーの範囲を拡大する、さらに今後五年以内のできるだけ早期に預金者の自己責任原則を確立するために必要なディスクロージャーを実現するように努めるとなってございます。県といたしましては、ディスクロージャーは預金者保護と金融機関の正常な発展のため必要であると認識しており、今後、信用組合を指導してまいりたいと考えてございますが、現在、大蔵大臣の諮問機関である金融制度調査会においてディスクロージャーについて種々検討されており、今後その答申を踏まえ、対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 警察本部長青山幸恭君。
 〔青山幸恭君、登壇〕
○警察本部長(青山幸恭君) 新田議員のご質問にお答えいたします。
 警察は、職務の執行に当たっては、不偏不党かつ公平中正な立場を堅持することは、警察法第二条二項にもあるとおり、当然と考えております。機会あるごとに、このような警察の立場を堅持するよう全職員に徹底を期しているところであります。
 ご指摘の点につきましては、警察として確認すべく努めたところでありますが、現段階においてそのような事実を確認するに至っておりません。
 次に、財団法人和歌山県暴力団追放県民センターの副会長に和歌山市長が就任していることについてのご質問の件でございますが、この県民センターは、いわゆる暴力団対策法を根拠に財団法人として平成四年四月七日に設立され、財団法人和歌山県暴力団追放県民センターの寄附行為が定められております。この寄附行為の第三章に役員等の項目が設けられておりまして、第十六条の一項で「暴力団追放県民センターに会長一人及び副会長二人以上五人以内を置く」とし、同条第二項では「会長は和歌山県知事の職にある者」とし、「副会長は会長が評議員の同意を得て委嘱する。ただし副会長の一人は和歌山県警察本部長の職にある者とする」と定められております。
 この規定を受けて、現在、副会長には警察本部長のほか、自治体を代表して和歌山県議会議長、和歌山県市長会会長、和歌山県町村会会長の三人が充てられております。
 したがいまして、議員ご質問の財団法人和歌山県暴力団追放県民センターの副会長に和歌山市長が就任している件につきましては、旅田氏が個人あるいは和歌山市長としての立場で副会長に就任しているものではなく、和歌山市長が和歌山県市長会会長となっていることから、いわゆる充て職として副会長に就任しているということであります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番新田和弘君。
○新田和弘君 ただいま知事さん初め皆さんからご答弁をいただきまして、ありがとうございました。一点だけ要望させていただきたいと思います。
 県警本部長は、浦議員の質問に対するこういった点を調査し、該当する人を確認すべく努めたところであるが、現段階でもそのような事実を確認するに至っていないとのご答弁でございます。
 県民に対して警察の信頼を高め、県民に安心をしていただくという面では、本当に県民の皆さんにわかりやすく事実を明らかにしていくことが必要ではないかと思いますので、現段階で至っていないということで本日のところは了といたしますが、機会をとらえて県民の皆さんにもわかるように明らかしていただきたいことを要望いたしまして、再質問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番玉置公良君。
 〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 私は、きょうこれから質問をいたしますことについて、直接現場に足を運び、当該者の生の声や現場の実態を見てまいりました。それぞれが切実な課題である四点に絞って質問をいたしますので、県当局の見解を賜りたいと思います。
 〔議長退席、副議長着席〕
 それでは、まず最初に福祉のまちづくり条例の制定についてお伺いします。
 障害者、高齢者に優しい町づくりは、都市全体の面的な整備が必要となり、官民合わせて実施しなければ効果がありません。既に進歩的な自治体では公共施設の改修や道路の段差解消を実施してきていますが、さらに駅、ホテルやデパートなど、公共性の高い民間施設についての対策も必要となってきています。大阪府や兵庫県では、福祉のまちづくり条例を制定し、公共的施設の改善を指導してきています。特に、建築基準法の施行条例を改正し、福祉のまちづくり条例とあわせ、すべての人がみずからの意思で自由に移動し社会参加ができる福祉の町づくりを推進しています。さらに、昨年はハートビル法もでき、福祉の町づくりを推進するための環境が整いつつあります。しかし、現実の町並みを見るとき、車いすで自由に町じゅうを行動したり、電車やバスといった公共交通機関を利用できる状況にはなっていません。
 例えば、障害者が宿泊できる車いすや障害者トイレなど障害者対策を実行している旅館、ホテルは、平成六年九月発行の全国脊髄損傷者連合会編集の「全国車いす宿泊ガイド」で見ても、和歌山県内にたった十四カ所しかなく、全国的にも少ないのが現状であります。これでは、観光和歌山県と全国にPRして、障害者にも高齢者にもだれにでも来ていただける体制になっているとは言えません。
 また、友人の車いす記者の土井清之さんに先日出会い、次のようなことを聞かされました。それは、「ことしの二月、和歌山市内の体育館へ行った。玄関前に点字ブロックが敷いてあり、ここは障害者対策が整っているのかなあとうれしくなった。だが、中へ入ってまず驚いた。体育館の床へ上がるのに二十センチもの段差。せめて、端っこにでもスロープをつけてもらえまいか。障害者トイレもない。こうした不特定多数が使う施設にスロープも満足にない。行政の感覚の鈍さにあきれる。その日はたまたま取材であったから、中にいた婦人たちが手助けをしてくれた。だが、それでは困るのだ。取材後に、近くにある脳神経外科病院へ飛び込んだ。ここには車いすトイレがあるのだ。民間病院でも障害者対策を進めているのに、行政にその姿勢がないのに驚く。また、国、県、市、町村などすべての自治体は、車いすが障害者一人で利用できるように、段差のあるところにスロープをつけ、あらゆるところに点字ブロックをつけなければならない。それが障害者の求めていることだ。アメリカは、そのために障害者法案をつくり、あらゆる施設に障害者対策を義務づけた。日本でも、まちづくり条例があちこちの自治体で整備されているが、我々障害者が安心して歩ける町はほど遠い」、このように訴えられました。
 これらの整備を進めるためには、公共施設はもちろん民間施設にも対策が必要であり、その面で県が主体となった誘導施策が必要であります。本県においても、病院、劇場、ホテルなどの建築物に加えて、官公庁、駅舎、事務所、工場、道路、公園、駐車場等も対象とするほか、既存の建築物も対象とし、これらの施設について車いす用のトイレ、エレベーター、視覚障害者誘導ブロック等、きめ細かな基準をつくり、事前指導や改善計画の策定を求めるとともに、改修にかかる経費の一部を補助していくことを内容とする条例制定を行うことが特に必要であると考えておりますが、知事の見解を求めます。
 二番目として、障害者基本計画の策定についてお伺いします。
 従来の心身障害者対策基本法が、議員立法として平成五年に抜本改正され、障害者基本法として制定されております。この改正は、障害者の範囲を身体障害、精神薄弱及び精神障害としたことなど従来の法律より前進していると評価しておりますが、その中に障害者基本計画等の項があり、国には策定義務、地方自治体には策定の努力目標が課せられております。和歌山県においては、平成六年三月に紀の国障害者プランとして既に計画の策定を終わり、計画に基づく施策を実施されていると認識していますが、県内各市町村の計画策定についての取り組み状況をどう把握されているのか、第一点目にお伺いをしたいと思います。
 私は、障害者基本法に基づく各施策の実施については、国における各福祉法関連の施策の充実が不可欠だと考えておりますが、平成二年の老人福祉法等の一部改正以来、市町村の福祉における役割が大変重要になってきていると思います。直接住民に福祉サービスなどを提供していく市町村が、障害者基本法さらに紀の国障害者プランに対してどのように対応しているのか、そして市町村における計画策定に対して、平成七年五月に国の障害者対策推進本部が市町村障害者計画策定指針を策定しておりますが、県当局として市町村に対して計画策定を進める上での啓発や指導を行う予定があるのか、あるのならどのような方策をとろうとしているのか、お伺いをします。
 次に、今回の基本法で明らかにされた精神障害者への福祉的措置について質問をしたいと思います。
 従来は、医療とのかかわりが深い精神障害者に対する福祉的措置として、精神障害者手帳の発行、社会復帰施設の整備、また働く場の確保、相談窓口の設置等の施策が実施されようとしていると聞いておりますが、具体的にどのように実施をしていくのか、お伺いをします。
 私は、最近、精神障害者を持たれるご両親から、働く場所について相談をよく受けるようになりました。カウンセラーからは、リハビリをしていくために人との関係の職場ではなく、小鳥や花などを育てる職場であればこの人は回復していくだろう、そのようにアドバイスを受けました。ご両親から、お金など要らないから何とか探してほしいと相談を受け、そのような職場を探し回ったのですが、「来てもらっても、だれかが指導しなくてはならん。その人件費が要る。気持ちはわかるのですが、民間企業なので」と、残念ながら断られました。こうした谷間で泣いている人が数多くあるのです。
 県にも和歌山県通院患者リハビリテーション事業という制度がありますが、受け入れてくれる企業や公的な助成が少ない中で限られているのが現状であると聞いています。しかし、反対に精神障害者の方々が抱える諸問題はますます深刻化しつつあります。こうした意味において、精神障害者の社会復帰施設や働く場所の確保は緊急かつ大変重要な課題であります。財政的援助については、小規模作業所補助金制度で見る限り、利用者十名当たりで言えば、一作業所の補助金額は四百二十六万円の半額となっており、せめて隣の奈良県並みの六百十五万円の半額にしていただきたいと思います。
 以上のことから、社会復帰施設の県内の整備状況やその運営面での財政的措置は十分なのか、さらに働く場の確保はどのように進んでいるのか、県当局の見解を求めます。
 続きまして三番目に、痴呆性老人対策についてお伺いをします。
 痴呆性老人対策については、寝たきりの高齢者への処遇とは違い、その発生原因や処遇について確立していない面があり、その点で痴呆性老人を抱える家族の悩みは大変深いものがあります。老人保健福祉計画策定の際の痴呆性高齢者の把握は、医師や保健婦、看護婦といった専門的なチームが全高齢者を対象として行ったのではなく、推計数値を使用したと聞いています。私は、高齢化先進県の和歌山県としては、全県下とは言いませんが、モデル地区を設定して専門家チームによる調査活動を行い、その結果を専門的に分析して施策に生かしていく方法をとるべきだと考えております。
 さて、岡山県笠岡市にある「きのこエスポアール病院」は、日本で最初に建てられた痴呆性老人専門の病院で、ことしで開院十一年目を迎えました。私は本年六月にこの病院を訪れ、現状や問題点、将来展望などを佐々木院長から伺いました。
 最初のうちは、夜の徘回や物とられ妄想、食べられないものを食べるなど痴呆性特有の状況を医学的におさめてあげたらよいと思っておられたそうであります。しかし数年、治療、観察を続ける中で、このような状況になるにはすべて原因がある、目に見える症状を治すだけではだめだ、そう思いつかれたそうであります。例えば徘回は、女性なら実家へ帰ろうとする行為だし、足踏みばかりするのは若いころの麦踏みの動作だったり、それならその原因を理解してあげればよいと佐々木院長は言われます。また、この春、入院患者さんが花見に行ったときのことですが、重度の患者で、しゃべらないし、うつむいて一日じゅう寝たきりのBさんをストレッチャーに乗せて連れ出しました。お昼時間になって、花見だから少しはよいという院長の判断で、患者さんに少量のお酒が出たそうであります。看護婦さんが、「Bさんも飲む」と酒を含ませると、「やはり、花の下で飲む酒はうまいのう」とBさんがしゃべり、周りの人が飛び上がって驚いたそうです。このように、痴呆だからできない、わからないと思い込んでしまっている部分が多いようであります。投薬など医学的な処置は必要ですが、痴呆は医学だけではケアできません。看護婦、看護助手、作業療法士、栄養士、ボランティアの人まで含めて、多くの人が痴呆の人と一緒に普通に暮らすのが一番よいのではないかと私は強く感じてまいりました。
 佐々木院長は、「集団はいけません。患者さんの個性、人間性、尊厳が埋没してしまいます。逆に、診る側も集団の方が管理しやすいのでその方向に流れてしまい、両方にとってよくないことになります」、そうおっしゃいました。スウェーデンにはグループホームケアというのがあって、七から八人の痴呆性老人が一つの家で普通に共同生活をし、三、四人の看護婦さんが付き添ってケアをしているそうであります。「料理、洗濯、掃除など、普通の生活をしておられます。痴呆は完全には回復しません。お年寄りが人生を終えられるまで、個人個人の尊厳を大切にしようというのがスウェーデンの考え方です。この病院も同様の考え方に立ってきています。十一年間の経験の中で得たのです」、このように佐々木院長は、私に気負いもなくおっしゃいました。
 本県においても、痴呆性疾患センターの設置や各種福祉サービスの実施、さらに今議会に提案されている痴呆性老人対策事業など進められていますが、このようなすばらしい実践をぜひ参考にしていただきたいものであります。
 つきましては、現状認識と今回打ち出した痴呆性老人対策の中身について、まず第一点お伺いをいたします。
 また、私は県立の中核的な痴呆性専門施設を設置すると同時に、身近な地域での痴呆性老人対策を総合的に推進するケアセンターを第二次医療圏に一ないし二カ所設置をしていくことが必要だと考えておりますけれども、まず第一に知事の決断で県立の痴呆性老人専門病院を早急に設置されたく、見解を求めるものであります。
 最後の四番目の質問として、梅の生育不良についてお伺いをいたします。
 第一点目は、現時点での梅生育不良原因究明の進展ぐあいと、とりわけシュードモナス菌との関連性についてお伺いをいたします。
 梅の生育不良については、昭和六十年ごろより一部の地域で発生が見られ、平成六年六月時点で、発生本数は六千七百八十六本、発生面積は二十二・六ヘクタール、発生農家は二百五十戸となっています。原因究明や対策については、県当局を初め関係団体も精力的に取り組んでいただいております。また、六月議会では私どもの所属会派の野見山議員からも質問させていただきましたが、早急な原因究明と対策を待っているのが農家の現状であります。
 そこでまず一つは、現時点での梅生育不良原因究明の進展ぐあいについてお伺いします。
 また昨年、京都大学により、根からバクテリアの一種のシュードモナス菌が発見されましたが、梅生育不良の原因と深いかかわりがあるのか、お伺いします。また、深いかかわりがあるとすれば、その菌はどのような形態で媒介してきているのか、農林水産部長の見解をお伺いします。
 第二点目は、梅の生育不良とモグラの関連性についてお伺いします。
 最近、梅農家からモグラのすみついた梅園がふえていると聞かされます。私の知り合いの梅園で営農指導員として働いている友人は、この二年間、梅の生育不良とモグラの関係について追跡調査を行い、私にその現場を見せてくれました。そして、「近年、梅園にモグラが入り込んできている。特に、生育障害園にはモグラの穴が多いようだ。土中にモグラがあると、穴をあけながら梅の細根を切ることで養水分の吸い上げを弱めたり、根や土を乾燥させる原因になっている。山間部に生育障害発生園が多いことから、原因を推察すると山にすむ小動物、その中でもモグラが第一の原因となっているようだ」、そのように現場を見せながら語ってくれました。
 モグラは、ミミズをえさとして生きる動物で、地下五から十センチの部分にえさとり場としてのトンネルをあけます。これには縄張りがあり、十から二十アールに一匹しかいないと言われています。専門書によると、モグラのつめは鋭く、梅の細根を簡単に切ってしまうほど足の力は強いと言われています。私も実際現場を見せてもらったのですが、梅の木の根元をよく見るとモグラの穴が多く、その畑に足を踏み入れると土が異常にやわらかく、その木は生育不良を来していました。こういったことから、私は梅の生育不良にモグラが関与しているのではないかと考えているのであります。
 その理由を整理してみると、一つ目は、モグラはもともと山にすむ動物であり、梅の生育障害も山間部に発生が多いこと。また、雑木林や谷間に近い梅の木から発症していること。なぜならば、モグラは暑さに弱いからであります。
 二つ目は、生育障害の症状が強くあらわれる五月から六月の時期とモグラの出産時期がよく似通った時期であること。モグラには縄張りがあって、子モグラは八月ごろに親から独立をするという、この時期に新たに梅園やミカン園へ広がるのであります。
 三つ目は、モグラは食虫動物でミミズが大好物ですが、近年は人畜に影響の少ない除草剤が使用されているため畑にはミミズが多いこと。したがって、モグラもふえていること。
 四つ目は、梅の木は根が浅く、養水分を吸い上げる細根は特に地下十センチメートル以内に多いため、モグラのつめで傷をつけられやすいこと。また、モグラの穴は特に株元に多い。これは、株元は木陰になっていてミミズが多いと考えられます。そして、梅生育障害樹の株元や樹冠下にはモグラの穴が多いことなどが指摘されております。野菜産地では、モグラ対策には大変敏感になっていると聞きます。
 以上から、モグラと梅の生育不良との関連性についての県としての見解と今後のモグラ対策について農林水産部長の見解を賜りたいと思います。そして、原因究明の一つとしてモグラ研究対策を実施されるよう要請するものであります。
 以上、四点の質問をいたしましたけれども、今議会を最後に五期二十年を県民のために尽力していただきました仮谷知事に心から感謝を申し上げ、一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 玉置議員にお答え申し上げます。
 福祉のまちづくり条例の制定でございます。
 障害者の自立と社会参加を促進していくためには、福祉の町づくりが非常に重要な要素であり課題であると考えておるわけでございます。
 不特定多数の皆さん方が利用する諸施設のさまざまな障壁を取り除いて、だれもが自由に行動できる町づくりをより総合的に推進するために、今年度、各界の代表の方々を委員にお願いいたしまして、福祉のまちづくり検討委員会を設置しておりまして、必要な施策の検討を現在進めているところでございます。今後、検討結果を踏まえて、県民の理解を得ながら、条例化も含め積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、痴呆性老人専門病院の設置でございます。
 お話のように、痴呆性老人対策は今後ますます重要な課題でございます。現在、平成五年度に策定した第二次和歌山県地域医療計画に基づいて各種の施策を実施しているところでございます。
 まず、昨年度、相談の窓口としての紀南地域の痴呆性疾患対策の中核として老人性痴呆疾患センターを田辺市の紀南綜合病院新庄別館に、さらに本年九月には県立五稜病院に設置したところでございます。また、ご提案の急性期の痴呆性老人のための専門医療施設の設置については非常に重要な課題でございまして、現在検討を加えている庁内組織である五稜病院整備委員会の中で十分考えて進めてまいりたいと思っております。
○副議長(木下秀男君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 障害者基本計画策定についての各市町村の取り組み状況でございます。
 全国的に見ると、市町村での策定状況は約一割程度の状況でございます。本県においては、現在、田辺市が計画策定を進めている現状でございます。
 次に、市町村に対する計画策定の啓発や指導についてでございます。
 議員ご指摘のように、直接住民に福祉サービスを提供する市町村の役割はますます大きくなっております。市町村が基本計画を策定することによりまして、障害者により適切できめ細かなサービスを提供することが可能であると考えております。こうした意味からも、市町村が障害者基本計画を策定する意義は大きいと認識してございます。
 ただ、市町村の状況は、その規模や障害者の状況等、相当の差異がございます。国の計画策定指針においても、市町村の状況により単独計画として策定するか、総合的な計画の中に位置づけるか、市町村が主体性を持ってその地域の実情に応じた対応を図ることといたしております。
 こうした観点のもと、障害者基本計画策定推進の市町村会議を開催し、計画策定の理解や取り組みを促進してまいりたいと考えてございます。
 次に、痴呆性老人対策についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、処遇方法はいまだ確立されておらず、また介護する家族の負担が大きいことから、県としても、今後の高齢者対策の中でも重要な問題であると認識しているところであります。また、今回補正をお願いしております痴呆性老人対策事業は、痴呆性老人の望ましい処遇方法を見出すため、県内二カ所程度の特別養護老人ホームにおいて先進的な処遇を実践し、その成果を県内に普及するもので、今後の抜本的な対策の確立につないでいければと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 玉置議員ご質問の障害者基本計画の策定についてのうち、精神障害者への福祉的措置の具体的実施内容について、及び精神障害者の社会復帰施設や働く場所の確保を早急にというご質問についてお答えいたします。
 具体的な福祉施策といたしましては、第一に、精神障害者の社会参加の促進を目指すために精神障害者福祉手帳が新設され、来る十月一日から各保健所を窓口として申請を受け付ける予定であります。相談の窓口といたしましては、各保健所においてこころの健康相談事業を実施するとともに、県立精神保健福祉センターにおいて、より専門的な相談を実施しているところでございますが、今後、地域精神保健福祉連絡協議会を設置し、福祉事務所、社会福祉協議会等との連携を深め、充実を図ってまいりたいと存じます。
 次に、生活の場の確保を目指した社会復帰施設といたしましては、自立生活の場の訓練、援助の施設として援護寮を一カ所、グループホームを三カ所整備したところであり、また働く場の確保を目指した社会復帰施設としては、軽作業を中心とした小規模作業所を六カ所、より高度な訓練を行う授産施設を一カ所整備したところでございます。さらに本年四月には、全国で初めての精神障害者福祉工場を開設いたしました。また、障害者の社会適応訓練を民間の事業者に委託して行う通院患者リハビリテーション事業については、今年度、訓練実施者への傷害保険制度を県単独事業として創設した結果、受け入れ事業者数が昨年度の五カ所から八カ所に増加したところでございます。また、訓練委託料の増額等については今後、国に要望してまいりたいと存じます。
 なお、現在、田辺地方において精神障害者家族会が中心となって進めている援護寮と授産施設の整備については、積極的に支援をしてまいりたいと考えております。
 最後に財政的援助については、今年度、小規模作業所への運営補助金の増額を図ったところでございます。県といたしましては、今後とも各種社会復帰施設の整備促進、運営助成等について引き続き充実に努めてまいる所存でございます。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 梅の生育不良についての二点の質問にお答えいたします。
 まず第一点の、梅の生育不良原因究明の進展ぐあいと、とりわけシュードモナス菌との関連性についてでございます。
 平成二年ごろから生育不良樹の発生の増加が見られたので、平成三年度から果樹園芸試験場及び暖地園芸センターを中心に県農林水産技術会議果樹部会、また地元の梅病害虫特別対策協議会の協力を得ながら原因の究明と対策に取り組んでまいりました。
 これまで、栽培管理面では、剪定による樹勢の維持と着果調整、かん水、有機物の施用による土壌改良試験、また病理面ではウイルスや細菌などの試験を実施してきたところでございます。平成六年に発見されたシュードモナス菌については、現在、生育不良との関連性を明確にするため、種類の特定試験を行うとともに、田辺市などの現地で土壌消毒などの試験を進めてございます。なお、シュードモナス菌については、学術的には水を媒介として土壌伝染すると言われてございます。
 次に二点目の、モグラとの関連性についてでございます。
 一般的には梅等の果樹類には余り影響を及ぼさないものと言われておりまして、生育不良樹の掘り上げ調査から見ても、原因の一つとは考えておりませんでした。今後、議員のお話を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、早期解明に向けて鋭意努力してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番山下直也君。
 〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 歴史と伝統ある和歌山県議会の場において、こうして一般質問をさせていただく機会を与えていただきましたことを、先輩・同僚議員に感謝いたしますとともに、もとより浅学非才の新人議員ゆえ言葉足らずの点が多々あろうかとは存じますが、何とぞお許しをいただきたく、また初めての質問でもありますゆえ勉強不足の点もあり、一部先輩・同僚議員のご発言と重複いたす部分も出てこようかとは存じますが、どうか議員の皆様方におかれましては、寛容なるお心にて適切なるご指導、ご鞭撻を賜りますよう、あわせてお願いを申し上げます。また、県当局の皆様方におかれましては、できる限り前向きかつ明確なるご答弁をいただけますよう、よろしくお願いをいたします。それでは、質問へと入らせていただきます。
 まず、観光立県和歌山の創造についてであります。
 本県は、県土開発の基本をテクノ&リゾートとし、昭和六十一年に策定された和歌山県長期総合計画のもと、観光立県を柱の一つとして県土づくりに努めているところとお聞きをいたしております。昨年、世界リゾート博が開催され、県、市はもとより各界各層、県民挙げてのご努力により目標入場者数の百五十万人を大きく上回り二百九十八万人が入場され、九月二十五日、盛況のうちに閉幕したのであります。あわせて九月、和歌山市より約二十キロメートルの至近距離に関西国際空港が開港いたし、さらに来年三月、南紀白浜空港のジェット化も完了となる運びとなりました。そして、本年一月八日より、NHKの大河ドラマにて「八代将軍吉宗」の放映が開始され、全国に向け和歌山の名を一挙に売り出し、来るべき二十一世紀に向け、今まさに観光立県和歌山の確立を進めるべく最も重要な時期を迎えていると考えます。
 ちなみに、NHKの大河ドラマがもたらす地元への経済波及効果は著しく大きなものがあります。ここで、近年放映された幾つかの地方の例を挙げてみますと、平成二年放映の鹿児島県を舞台とした「翔ぶが如く」の場合、観光客数の対前年増減数百五十三万一千人、増減率一九・七%の増、波及効果は約百八十三億円、続く平成三年放映の栃木県を舞台とした「太平記」の場合、同数は四百三十五万九千人、増減率九・三%の増、波及効果は約百三十七億円、さらに平成四年放映の岐阜県を舞台とした「信長」の場合、同数二百七十一万一千人、増減率五・五%の増、波及効果約百五十五億円等と報告されております。したがいまして本県の場合も、吉宗ブームが巻き起こり、地域の活性化にとって大きな効果がもたらされることを今もって大いに期待しているところであります。
 本年九月十九日付「日本経済新聞」朝刊によりますと、「『吉宗』効果くっきり」という見出しにて、「和歌山城など『吉宗』関連の観光地の入場者が、NHKの大河ドラマ効果で大幅に増えている。 秋の行楽シーズンを迎えてさらににぎわいそうだ」と掲載されておりました。これを数字で示すと、和歌山城の天守閣への登閣者は本年四月から七月の間に約十四万八千人、城内にある紅葉渓庭園が四月から八月の間で六万九千人、また同庭園内の茶室利用者は一万二千人と、どれも前年同時期に比べ二倍から三倍に達しているとのことであります。加えて、和歌山マリーナシティで本年二月十九日より開催中の「吉宗展」は、開幕以来約三十五万人の入場者があり、十二月二十四日の閉幕までには目標としていた五十万人を超えるものと予想されております。
 そこで、お尋ねをいたします。
 今このときに、これからの観光立県和歌山の方向づけをどのようにお考えになっておられるのか、PRの強化について、この先のイベント等について、また大きな経済波及効果が得られるよう現在県として具体的に施策等お考えになっておられることがあればお示しをいただきたく思います。もちろん、世界リゾート博一周年記念イベント「光の回廊ルミナリエ展」等を開催され、そのご努力はよくわかるわけでありますが、単に一過性のものではなく、これからも続くようなもの、残していけるようなもの、いわば恒久的なものを望む声も多くあったことから、ソフト、ハード両面合わせてご検討いただいているのかをお尋ねいたしたいと思います。
 加えて、体験型観光というものも考えてみてはいかがでしょうか。私は、これからの観光の形としてマインドリゾート、つまり精神、心をいやすための観光、今あるそのままの姿を利用しての観光というものも大切になってくるのではないかと考えます。いわば、元来本県にあり、眠った観光資源の再発見をし、これとあわせて心の満足感を得られるようなものを何か考えていけないだろうかなどと考えております。
 さらに、国において運輸省では、観光大学設置の提案を受け、現在調査のための予算が計上されているやにお聞きいたしておりますが、本県はこのことに対しどうお考えになるのか、お聞かせください。
 ここで、いま一度申し上げます。昨年、世界リゾート博で和歌山が注目され、本年、吉宗ブームに乗って関連事業が数多く開催され、加えてリゾート博一周年を記念して諸事業が展開されたところでありますが、来年以降、和歌山を全国に向けPRすべく、本県としての意気込みを大いに期待いたすものであります。
 続きまして、片男波公園周辺の整備計画についてお尋ねをいたします。
 現在、県当局のご努力により、和歌公園片男波地区において、本県にゆかりの深い万葉歌と触れ合い、その背景や意味、風土等を楽しく学び、万葉の世界が体感できる万葉館、そして県民の健康維持や増進に役立ち、地域の交流活動の場として活用できる健康館が昨年七月に完成をいたしております。これらに加え、海を生かしたマリンスポーツ、具体的に申しますとウインドサーフィンやジェットスキー、水上スキー等の一大施設づくりを検討していただけないものでしょうか。本年七月、八月だけでも三十五万九千八百九十五人もの人たちがこの片男波海水浴場を訪れており、本県はもとより京阪神地区におけるウインドサーフィンをする若者たちの間では、今この片男波に最も注目をいたしております。浜の宮海水浴場もオープンしており、難しい問題などございましょうが、和歌山の海を愛する若者たちの要望をぜひ一度ご検討していただきたく思います。
 また関連して、マリーナシティの今後の事業展開についてもお聞かせいただきたく思います。
 ちなみに、島内において親水性護岸やサンセットパーク等、県民、市民の憩いの場が提供されておりますが、ここを訪れた人々の生の声として、二十四時間使用可能の衛生施設、トイレ等の完備を望むという意見が多く聞かれます。これに対し、これらの対応はいかがなものか、お尋ねをいたします。
 続きまして、コスモパーク加太への施設誘致についてお尋ねをいたします。
 コスモパーク加太計画は、関西国際空港埋立用土砂採取跡地を中心とした約二百六十ヘクタールの土地を活用して、当地域の有する恵まれた自然と調和のとれた複合的な町づくりを進め、和歌山県及び和歌山市の活性化に寄与する計画と位置づけされているものと認識をするところでございます。平成二年十一月に、民間企業のノウハウを取り入れるため、県、市、県土地開発公社及び民間企業十四社が参画し、コスモパーク加太開発推進機構を設立したわけでありますが、昨今の厳しい経済情勢のもと、民間企業が事業主体となることがもはや期待できない状況とのことで、平成六年二月に県、市、県土地開発公社が協議のもと、県土地開発公社が事業主体となり事業を推進していくことになったというのが経過であろうと思います。
 そこで、お尋ねをいたします。
 近々、県内有力企業の一つ株式会社島精機製作所が中心となって、コスモパーク加太にドーム型人工スキー場の建設計画があると聞き及んでおります。地域の活性化、若者対策にもつながる計画ということで大いに期待をするところでありますが、この内容や規模、開業の見通し等、進捗状況について詳しくご説明願いたいと思います。
 次に、アクセス道路網の整備についてであります。
 今まで述べてまいりました観光、またコスモパーク加太の問題に付随いたしておりますが、何点かお尋ねをいたします。
 まず、本年五月の連休時、七月から八月のお盆時を含む夏休み時期、紀南方面に向かう帰省客、また日帰り、宿泊合わせての観光客等、車の渋滞状況を把握されておられるでしょうか。
 ここで、ある一日を取り上げてみますと、国道四十二号線の下津町小南地点で、南進の白浜町方面行きにおいて、午前八時から午後七時の間三キロメートルの渋滞、同地点北進の和歌山市行きにおいて、十二時から翌日の午前一時までの間五キロメートルの渋滞、御坊市天田橋付近においての南進で、午前八時から午後七時までの間で十キロメートルの渋滞、同地点北進で、午後五時から夜中の十二時までの間五キロメートルの渋滞、また阪和自動車道海南東料金所地点においての南進で、午前六時から午後七時までの間十キロメートルの渋滞、さらに海南湯浅道路の吉備料金所地点の南進で、午前六時から夜の七時までの間十キロメートルの渋滞、同地点北進で長峰トンネル付近において十二時から翌日午前一時までの間十キロメートルの渋滞等、まことに渋滞がひどい状況であると聞き及んでおります。
 なお、これから秋の行楽シーズンにかけてまだまだ白浜方面への観光客が続くという報告も入っており、県内のある観光バスの運転手さんからは、「紀南へ向いて走るのなら、同じ時間で北陸へ向いて走った方が楽である」との、殊さら心配な声が出ております。
 さきの六月定例会において同僚議員の発言の中にもございましたように、交通アクセスの問題は本県において深刻かつ急務を告げております。よって、観光立県を目指す本県にとって、紀南方面へ向けての高速道路延伸も含めた早急なる施設面の整備拡充、道路網の整備に対してどうお考えになるのかをお聞かせいただきたく思います。
 ちなみに、平成三年十一月、当時、和歌山市議の一員であった私は、アメリカフロリダ州オーランドにあるテーマパークの一つ、ユニバーサルスタジオを視察する機会を得、そのとき和歌山市へのスタジオ誘致の可能性について尋ねましたところ、横浜、大阪、長崎が誘致に向け名のりを上げており、先方のMCAエンタープライズ社企画開発担当副社長であったバリーアップソン氏いわく、和歌山は交通アクセスに難があることを一番に指摘され、苦い経験をしたことを今も覚えております。
 さて、話が少しそれはいたしましたが、さきに触れましたように、コスモパーク加太の有効利用を図るためにも道路整備が急がれるところであり、県道粉河加太線、並びに県道岬加太港線の充実、あるいは新たなアクセス道路の整備が必要条件であると考えます。よって、現状と今後の見通しについてお聞かせをいただきたく思います。
 また、コスモパーク加太へのアクセス道路として、今回の補正予算の中にもふるさと道路建設が提案されておりますが、この具体的な内容及び今後の見通しについてお示しをいただきたいと思います。
 あわせて、昭和六十三年に大阪府との紀の川分水に関する覚書を締結し、「加太・岬スカイライン(仮称)については、今後両府県が協力して構想の具体化に努めることにする」ということにより始まったものであります。
 そこで、府県間道路加太・岬スカイラインの進捗状況についてご説明を願いたく思います。
 また、本道路の建設により、関西国際空港への時間、距離の短縮によるコスモパーク加太地域への利便性の向上と開発誘導効果が大であると期待できるため早期に事業着手を強く願うものでありますが、いかがなものでしょうか、お尋ねをいたします。
 以上、観光と道路について述べてまいりましたが、申すまでもなく、両者の関係は密接につながっており、本県課題として大変重要と考えます。よって、県当局におかれましては、誠意あるご答弁をお願いいたし、私の第一問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 観光立県和歌山の創造のうち、リゾート博、吉宗ブーム、その後についてお答えいたします。
 昨年のリゾート博、今年の吉宗ブームを受け、今後の本県の観光についてでございますが、近年、価値観の多様化、自由時間の増大に伴い、心の豊かさとゆとりのある生活に対する国民の欲求が高まってきてございます。また一方で、関西国際空港の開港、高速道路の国土軸直結と南伸、南紀白浜空港のジェット化開港と、本県の交通基盤が整備充実されてきているところでございます。
 県では、これを絶好の機会ととらえ、先般、二十一世紀に向けて和歌山県観光振興計画を策定し、今後の観光振興の方向を豊かな自然資源や歴史・文化資源を生かして、本県の特色や個性を発揮することにより、心の豊かさが享受できる観光を目指すことといたしてございます。
 具体的な施策としては、今年度、吉宗ブームをさらに盛り上げるため、市町村と連携しながら吉宗リレーイベントをこの秋を中心に実施するとともに、旅行業者とのタイアップキャンペーンにより、本県への旅行商品を設定し、観光客の誘致活動を展開してまいることとしてございます。海外では、アジアにターゲットを絞って観光展を開催するなど国際観光を推進してございます。また、観光施設の整備といたしましては、都市近郊型リゾートの和歌山マリーナシティの整備、自然志向ブームの対応としてのオートキャンプ場の整備、熊野古道を中心とした長距離自然歩道の整備、観光地のトイレ、案内板の整備などを行い、和歌山の豊かな自然と触れ合う体験型の観光地づくりを進めているところでございます。
 いずれにいたしましても、観光立県を標榜していく上で、リゾート的要素を取り入れ、アウトドア、自然志向を初めとするさまざまな観光ニーズにこたえる観光商品の開発、新しいイベントの創出を行い、県民のホスピタリティー向上を図りつつ積極的な観光行政を展開する中で、全国に本県をアピールしてまいりたいと考えてございます。
 次に、観光大学についてでございます。
 県としても、観光振興を図る上で人材の育成は欠かすことができなものと考えてございます。その有力な方法の一つとして、教育機関の誘致が人材育成につながるものと認識してございます。
 昨年来、運輸省において観光大学問題検討委員会が設置され、種々検討されてございます。本県といたしましても、その誘致について積極的に要望してまいってきたところでございます。観光大学は地域の観光イメージ向上にも大きくつながることから、今後、国の検討の経緯を見ながら積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 山下議員にお答えいたします。
 まず、観光立県和歌山の創造についてのご質問のうち、片男波公園周辺の整備についてでございます。
 片男波公園前面の片男波海岸は、県民の日常的な海洋性レクリエーションの場を確保するため、昭和五十年度から海岸環境整備事業で人工海浜の整備に着手し、総事業費四十三億六千万円を投入し、平成三年度に完成いたしました。昭和五十四年度から順次供用しておりますが、当時、年間の利用者は約四万人でありましたけれども、平成六年度には県内はもとより県外からも、海水浴を初めウインドサーフィン、水上バイク等も含めて年間で約五十万人もの利用者に親しまれてございます。なお、七月及び八月の海水浴シーズン中に限り、遊泳者の事故防止のため、遊泳区域内でのウインドサーフィンや水上バイク等の乗り入れはご遠慮いただいているところでございますが、今後とも安全で快適な海岸利用に努めてまいりたいと考えております。
 次に、マリーナシティの今後の事業展開についてでございます。
 県営マリーナについては、本年五月にディンギーマリーナをオープンしたところでございますが、クルーザーマリーナについては現在クラブハウスなどの実施設計を行っており、議員ご指摘のトイレ設置も含めて検討しているところでございまして、平成九年度末の一部供用開始を目指しております。また、現在整備中の北側緑地公園については来春オープンの予定でございます。さらに、第三セクターの和歌山マリーナシティ株式会社及び松下興産株式会社では、リゾートマンションやホテルの建設を進めるため現在地質調査などを行っており、来年夏ごろを目途に着工の予定でございます。県といたしましては、今後とも海洋リゾートの拠点としてマリーナシティの整備を進めてまいる所存でございます。
 二点目の、アクセス道路網の整備についてでございます。
 まず、議員ご指摘のように、夏休みや観光シーズンの交通渋滞については、解決すべき課題と考えてございます。国道四十二号の海南市から有田市間については、交差点改良、局部改良等、早期に効果の出る対策や長期的対策について、国、県や関係の市町で検討を始めたところでございます。さらに南の区間については、国道四十二号のバイパスともなる湯浅御坊道路が来春完成の運びであり、四十二号の渋滞は相当程度緩和されるものと考えております。あわせて海南湯浅道路については、今後、四十二号や海南湯浅道路自身の渋滞対策ともなる四車線化に取り組んでまいることとしております。
 また、高速道路の紀南延伸についてでありますが、御坊・南部間は昨年十一月路線発表され、現在現地測量を進めているところであり、県としても用地買収の促進に努力しているところであります。さらに、南部町からすさみ町までは整備計画、すさみ町から新宮市までは基本計画に早期に組み入れられるよう国に対し強く要望しているところであります。このほか、那智勝浦道路の整備を進めると同時に、内陸部においては、第二県土軸として国道四百二十四号、国道三百十一号、県道龍神中辺路線等の整備促進を図っているところでございます。
 いずれにしましても、高速道路の紀南延伸を初めとする道路整備は本県にとって最大の課題でありますので、今後とも全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 最後に、加太周辺の道路の整備計画についてでございます。
 コスモパーク加太へのアクセス道路としては、都市計画道路西脇山口線、県道粉河加太線、岬加太港線などが考えられます。
 都市計画道路西脇山口線については、既に四車線化している箇所から西側、コスモパーク加太までの約二千六百メートルについて事業化し、事業の促進を図っているところでございます。
 さらに、その西側に当たる粉河加太線については、加太地内でバイパス工事を進めているところです。しかしながら、公図が混乱しており、民民境界も不明な箇所が多いなど作業が難航しておりますが、これらを解決しながら今後とも事業の進捗に努力してまいります。
 府県間道路である岬加太港線の和歌山県側については、昨年八月に供用開始したところでございます。大阪府側の岬町小島地内については、現在家屋移転などの調整中で、解決でき次第、本工事に着手する予定と聞いておりますが、早期整備についてなお要望してまいりたいと考えております。
 コスモパーク加太のふるさと道路整備事業については、延長二千メートル、両側歩道を含む四車線の総幅員二十五メートルの道路として計画しているところであり、平成九年度の完成を目途に事業を進めてまいることとしております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 山下議員にお答え申し上げます。
 コスモパーク加太におけるドーム型人工スキー場計画については、株式会社和歌山ドームより本計画に係る協力要請を受けてございます。この計画は、コスモパーク加太計画の目標の一つであるリゾート整備の趣旨にも沿うものであり、推進に向けて積極的に対応しているところであります。
 本計画における施設については、全長約三百メートル、全幅三十六メートルから六十三メートル規模のスノーボードも利用可能な人工スキー場とスノーランド、いわゆる雪の遊園地であり、附帯施設としてレストラン、駐車場等が整備され、計画区域面積は約七・五ヘクタール、年間入場者予想は約三十六万人と聞いてございます。
 現在の進捗状況は、株式会社和歌山ドームが事業計画を立案策定し設計業務を行っている状況であり、開業時期は平成九年夏ごろの目標と聞いてございます。
 次に、紀の川利水に関する覚書に基づく加太・岬スカイラインの構想の取り組みについては、平成元年度より大阪府と共同で調査検討を行ってきたところでございまして、昨年度までにほぼ基礎的な諸調査を終了したところであります。今年度は事業着手に向けて事業主体のあり方等の検討協議等を行っているところでございまして、紀淡連絡道路、関西国際空港の二期事業等の動向をも十分に踏まえながら、両府県において早期事業化に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番山下直也君。
○山下直也君 ただいま、関係部長さん方より親切なご答弁をいただきました。まずは感謝申し上げます。
 なお、今後の取り組み等については、また次の機会にお尋ねすることといたし、ここで二点ばかりご提案、要望させていただきたく思います。
 まず観光、特にコスモパーク加太の利用計画に関連してであります。
 先ほど、企画部長さんより、ドーム型人工スキー場計画については、株式会社和歌山ドームより本計画に係る協力要請を受けており、県も推進に向けて積極的に対応しているところであるとのご答弁がありましたが、そこでご要望申し上げます。
 実は、和歌山の友人には、車とか自転車、バイク等を趣味としている者が結構多くおります。その中で、以前より一周約千五百メートルぐらいの国際級のレースができるゴーカート場をコスモパーク加太の人工スキー場の近くにあわせてつくっていただけないだろうか、そのような意見が多々ございました。今ご答弁ありましたように、人工スキー場とスノーランド、附帯施設としてレストラン、駐車場ができる予定とのことでありますので、あわせてこのゴーカート場建設や宿泊施設等、春夏秋冬の年間を通して子供から大人たちまでが楽しめる総合的な施設づくりというものを要望させていただきます。
 第二点目、道路交通の問題に関連してであります。
 第一問にて、県内道路のアクセスについてお伺いをしたわけでございますが、実は随分前から不思議に思っていることがあります。それは、阪和自動車道において、阪南インターチェンジから和歌山インターチェンジまでの間、ほんの一部分を除き、ランプといいますか、ナトリウム灯と言うそうでございますが、なぜナトリウム灯が設置されていないかということであります。
 夜間、大阪方面に向いて走ったことのある方、また大阪方面より和歌山へ向いて帰ってこられた方は既にお気づきかと思いますが、雄山トンネル付近、紀の川パーキングエリア付近、さらに和歌山インターチェンジ付近以外はナトリウム灯の設置がなく、夜間、不安を抱きながらも真っ暗の中、車のライトのみを頼りとして、ただひたすら事故等のないよう安全運転に努め走ってきたという声を結構耳にいたしますし、私自身もそう感じております。したがいまして、高速道路が開通以来、思ったより和歌山は近いなあ、近かったといううれしいご意見のある中、和歌山は暗いなあというイメージは余りよくないと考えます。また、さきの関西国際空港対策特別委員会においても、先輩の森議員からご発言があったと思います。大きな事故等がないうちに、一日も早くこのナトリウム灯設置に向け、道路公団に対し強く申し入れていただきますよう要望させていただきます。
 以上二点、要望申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時十一分散会

このページの先頭へ