平成7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(野見山 海議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 29番野見山 海君。
 〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 おはようございます。
 通告に従い、一般質問をさせていただきます。きのうの村岡議員、松本議員とダブる点がありますけれども、ぜひともお許し願いたいと思います。
 私も、さきの選挙で二期目に挑戦いたしまして、厳しい選挙戦でございましたけれども、市民の皆さんの温かいご支援をいただきまして当選させていただきました。私は、県民の幸せと和歌山県の均衡ある発展を目指しながら、微力でありますけれども精いっぱい頑張ってまいりたいと思います。
 さて、昨年九月四日に関西国際空港が開港し、南紀白浜空港のジェット化、高速道路についても広川御坊道路の全線供用が迫る中、これからの本県の発展が大きく期待されているところです。観光立県、燦黒潮リゾート地にふさわしい自然環境や文化財に恵まれている本県は、これから関西国際空港や南紀白浜空港ジェット化によって訪れる方々がさらにふえ続けることでしょう。そのためにも、私は魅力ある日本一の観光立県を県民の皆さんとともに実現してまいりたいと思っている一人であります。それには、観光立県にふさわしい県民一人一人のサービス精神が必要ではないかと思います。さらには、県内の交通網の整備が不可欠であると思います。
 過去にこの議場において、多くの議員がJR紀勢本線の快適性、利便性等の諸問題について質問を行ってこられました。そして、県民の長い間の願いであった幹線軸に接続する特急くろしお号の新大阪駅乗り入れが関係者の努力によって実現し、本数も、徐々にではありますがふえております。また、昨年九月四日に関西国際空港が開港したことに伴い、和歌山県からの直接乗り入れは実現できなかったものの、日根野駅へのくろしお号停車、同一ホームでの乗りかえ等、大変便利になりました。今後は、すべてのくろしお号が日根野駅に停車することを強く望むものであります。
 しかし、くろしお号は揺れがひどいため気分を悪くするということが県内外でも有名になっております。このくろしお号の車両は昭和五十三年十月に導入され、既に十六年が経過しております。先日、くろしお号で友人の家族と出会い、車内で思い出話をしておりますと、奥さんと二人の子供さんが気分を悪くし、顔を青くしてハンカチで口元を押さえるなど、苦労しておりました。快適な観光の旅ができるように、新型車両の導入を一日も早く願うものであります。
 さらには、紀伊田辺駅・白浜駅間の複線化、くろしお号の指定料金一本化、南紀白浜空港ジェット化による利用を促進するために白浜駅・新宮駅間のスピードアップ、また同区間の複線化など、多くの議員が提言されてきました。
 沿線三十八市町村は、こうした提言を実現させ、紀勢本線の高速化、新型車両導入に伴う基盤整備を行うために、国、県及びJRと連携をとりながら、昨年十二月六日に紀勢本線活性化促進協議会を設立いたしました。この協議会を中心に、また関係者の強い取り組みによって、平成七年度から二カ年にわたり、総事業費七十八億円をもって紀勢本線の高速化事業の運びとなったのであります。その内容については、新型車両費四十億円、地上設備改良費三十八億円となっております。
 そこで、本年の当初予算に十四億二千五百万円が計上されていますが、新型車両はどんなイメージを持ったらよいのでしょうか。また、地上設備改良によってどれだけのスピードアップがされるのでしょうか。さらにまた、さきの阪神大震災によってJRは大きな被害を受け、復旧費に経費がかさんでいるため、JRの負担額が削減されて計画がおくれることはないのか、あわせてお伺いするものであります。
 紀南の中核都市田辺市は田辺御坊地方拠点都市に指定され、現在、田辺市において紀伊田辺駅前周辺地域を市街地再開発する計画が進められようとしております。紀勢本線は昭和七年に紀伊田辺駅まで開通し、その後、国鉄とともに田辺市が発展してきたと言われております。過去の紀伊田辺駅付近鉄道高架事業調査によりますと、鉄道を高架にすることが田辺市をさらに発展させる起爆剤になると結論づけております。
 そして、最大の経済効果を発揮させるためにも、田辺市の将来の都市構造、土地利用及び交通はどうあるべきか等の基礎調査を昭和四十八年から五十三年にわたって行ってきました。また昭和五十年には、鉄道沿線の現況、交通の状況等を把握し、調査区間において必要と考えられる鉄道高架計画についての調査を県と田辺市が国庫補助事業として実施してまいりました。
 この調査当時、紀伊田辺駅には旅客設備、貨物設備及び運転設備があり、紀伊田辺駅の鉄道高架に伴って旅客専用高架駅とするため、支障となる貨物設備及び運転設備を検討した結果、紀伊新庄駅に決定され、鉄道高架実現のためにA案、B案が示されたのであります。その当時のA案の概算事業費は百四十一億六千二百万円、B案の概算事業費は百二十二億七千二百万円で、地形その他もろもろの事項を考慮し、かつ概算事業の安いB案を採用することにしたと結論づけております。
 また、調査の結果、田辺市における紀勢本線鉄道高架事業は、地方中核都市における交通のふくそう遮断等の解決のみならず、市全域の都市構造、機能及び土地利用の向上等の効果が大きいと押さえられ、紀伊田辺駅付近の鉄道高架は技術的に可能であり、道路交通対策、市街地の一体的な田辺市の将来を考えるとき、鉄道高架事業と並行して関連事業の実施が最も適切かつ有効であると言われております。鉄道高架は、このときは諸般の事情があって実現できませんでした。あれから二十年近くたちますが、再び鉄道高架事業を検討してみてはいかがでしょうか。
 地方拠点都市の指定を受けた田辺市は、紀南の顔として、また紀南の玄関口として発展しなければならないと思います。今では、駅構内の貨物設備、運転設備等は廃止されていますし、田辺市の市街地が鉄道によって南北に分断されております。田辺駅前周辺市街地再開発計画により、鉄道北側の市内はもちろんのこと、周辺地域における道路網整備も進み、住宅地や商工業の伸展による人口の流入で目覚ましく発展し、市街化が推進されております。したがって、都市機能上、南北市街地を一本化した町にする必要があると思います。再度、紀伊田辺駅高架事業を検討してみてはいかがでしょうか、お伺いいたします。
 続きまして、梅の生育不良についてお伺いいたします。
 今、梅農家は、梅取り、加工にと、忙しい時期であります。梅の出来高はその年の天候によって大きく左右されるため、自然との闘いで大変であります。昨年の世界リゾート博は、県民挙げての協力で、台風や雨もなく成功裏に終わりましたが、梅農家にとっては、梅の生育不良が発生して大変な年でありました。
 私の知人の一人は、梅の生育不良のために梅林を放棄して近くの農家に手伝いに行くということがありました。ことしは適当な雨によって生育不良は少ないものの、いまだにふえ続けております。過去に生育不良になった梅林では、梅の実はなるものの、実につやがなく葉に勢いがないため、最後は落果するということがことしもありました。私も先日、昨年生育不良になった梅樹を踏査いたしましたが、やはり思わしくありませんでした。
 梅の生育不良が最初に発生したのは昭和六十年ごろで、田辺市の石神梅林の一部の園でありましたが、平成二年ごろから急激に拡大をいたしました。平成五年は一時小康状態だったのが、平成六年は雨の少なかったこともあって被害がさらに拡大し、新たな地域へと広がっております。
 平成六年の調査では、田辺市内の上芳養、上秋津及び秋津川地域で五十ヘクタール、本数にして一万五千本、被害農家は二百五十戸、また南部川村においても高城、市井川及び高野、南部町では東岩代地域で合わせて一万二千本に生育不良が出ております。
 今日までの試験研究の結果に基づいて、県は栽培管理に問題があるとして、生育不良の発生原因と対策について、果実のなり過ぎ、土壌の乾燥及び土壌の酸性化等が原因であり、この対策として切り返し剪定、着果制限、有効資材による土壌改良及びかん水等による保水性の改善が重要であると結論を出しました。これに基づいて農家に指導を行ってきましたが、一時的な樹勢の回復は見られたものの完全な回復には至っておらず、健全樹へと被害がさらに広がり、農家の多くは納得がいかず、ほかに原因があるのではないかと思っているのであります。
 そこで、御坊火力発電所が昭和五十九年から稼働したので、火電による大気汚染、酸性雨、霧が原因ではないかといった意見が農家の間に根強く、対策協議会は県の保健環境部と関西電力に強く要望し、雨・霧の測定器、大気環境濃度測定器等を現地に設置して、県、地元及びJA紀南ともども原因究明に努力をされていますが、いまだはっきりとした結論に至っておりません。
 この生育不良の現状と今どのような取り組みをされているのかについて、お聞かせ願いたいと思います。
 原因究明に当たっては、御坊市の暖地園芸センターを中心に努力されていることは承知しておりますが、その専任担当者を配置するほか、現地試験等の指導強化をすべきだと思います。
 また、梅の生産地であり連携のとりやすい田辺地域に梅の試験場を設置し、官民一体となった対応が必要であると思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、御坊第二火力発電所が建設される話を聞きますが、もし梅の生育不良の原因究明ができずに第二火力発電所が建設されるならば、当地梅農家は致命的な打撃を受けることとなります。こうした現状を県はどのようにお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
 続きまして、高速道路の南伸についてお伺いしたいと思います。
 産業の活性化や観光リゾート都市を目指すためには交通網の整備が不可欠であります。和歌山県の道路網の整備が他府県に比べておくれていることは、県内をくまなく走られた方ならだれでも痛感すると思います。和歌山県の地形的な事情、また路線を決定しても用地買収に手間取ってスムーズに計画が運ばないといった理由をよく聞きますが、地域関係者の協力が何よりも不可欠であります。県民お互いが県勢の発展に協力していくことが必要なのではないでしょうか。
 そこで、近畿自動車道松原すさみ線の御坊・南部間についてお伺いいたします。
 関係者の懸命なご協力により、湯浅御坊道路の供用開始がいよいよ現実のものとなってまいりました。このことは紀南にとって大きな発展に結びつくものと、期待をしております。これが御坊まで開通すると、次は昨年十一月八日に路線発表された御坊南部道路であります。
 まず第一は、その完成の見通しについてであります。これから用地測量を実施し、用地買収、建設工事へと展開していくので、現時点で完成時期を云々するのは早計であると思いますけれども、紀南住民にとって関心があるのはその完成時期であると考えます。一定の努力目標としての所要年数をお聞かせ願いたいと思います。
 私ども地元住民は、この区間が整備計画に組み入れられたとき、手続上の問題で南部町までとなっているが、田辺市まで同時に供用されるものと聞かされた記憶がございます。発表が御坊・南部ですから、当然のことながら公式的には南部町までの二十一・四キロメートルになりましょうが、実際問題としてやはり田辺市まで同時に供用されなければその効果が半減されると考えるのは、私一人ではないと思います。いかがでしょう。
 次に、参考のためにお伺いしたいと思います。
 振り返ってみますと、昭和四十九年の海南インター、昭和五十九年の吉備インター、そして御坊までと、十年サイクルで約十から二十キロメートルの一工区が完成しており、関係者の大変な努力があったと思います。しかしながら、最近聞くところによりますと、南部町・新宮間約七十キロメートル余りを県単独事業により一千五百億円程度で十年間で建設できる手法があるとのことであります。もちろん物理的な面も含めてでありますが、このような手法が実際可能であるのか、可能であるとすればどうして県はその手法を採用しないのか、また県単独で高速道路を建設した場合、通行料はどの程度徴収することになるのか、採算性はどうなるのか、さらに県の財政に与える影響はどうなるのか、参考までにお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、フランスの核実験に対する知事のご所見をお伺いしたいと思います。
 ご承知のとおり、フランスは六月十三日に核実験の一時的な停止を破り、核実験の再開を宣言いたしました。シラク大統領が記者会見で明らかにしたことは、フランスの核抑止力の信頼性の維持のため、ことしの九月から来年五月までの間に南太平洋ムルロア環礁で計八回の核実験を行うというものであります。この核実験の強行は、人類の平和を願う国際世論に逆行するものであり、実験と言いながら本物の核爆弾を爆発させるもので、地球上のいかなる場所で行おうとも大気、水及び土壌を放射能で汚染し、この核実験が大気中の放射能濃度を上昇させることになり、人類の平和への脅威でしかありません。
 今、フランス政府に対してオーストラリアの駐フランス大使の召還、ニュージーランドの労働組合や消費者団体などはフランス製品の不買運動を呼びかけるなど、世界じゅうから抗議の声が上がっております。広島、長崎の核被害を経験している日本が、率先してフランスの核実験停止に向けて努力することが今求められていると思います。
 ご承知のことと存じますが、県内五十市町村の三分の二を超える市町村が非核平和都市宣言を行い、平和行政を推し進めております。こうした自治体の宣言を踏みにじろうとする今度のフランスの核実験に対して抗議の表明をすべきだと思いますが、知事のご所見をお伺いするものであります。
 一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 野見山議員にお答え申し上げます。
 高速道路の南伸、御坊・南部間の供用見通しについてでございます。
 かねてから私は、道路整備を県政の最重点施策として取り組んできていると申し上げているところでございますが、その中でも高速道路は地域の活性化に対して大きな影響力を及ぼすものと考え、議員の皆さんとともに積極的に推進しているところでございます。
 お話ございましたように、昭和四十九年に海南インター、昭和五十九年に吉備インター、本年度に御坊インターが完成いたします。
 高速道路推進に当たって一番苦労した問題は何かと申しますと、高速道路の距離が少なかったことでございます。昭和四十二年に決定した高速道路網が全国で七千六百キロで、そのとき和歌山が二十五キロということでございました。なぜ二十五キロになったかということを調べてみますと、県庁所在地までを高速道路で結ぶということで決めたようでございまして、和歌山は県境と和歌山市が非常に近いために、その距離が全国で後ろから二番目になっておるわけでございます。それゆえ、海南からの南伸については一般有料道路でやるということで進めておりますが、これは通行料も高く、採算性も問題もございます。それを吉備町まで進めてまいりましたが、吉備町まで進めた当時から、高規格道路整備という形で国の直轄事業と有料道路とを兼ね合わせて御坊までをやっております。これですと、通行料金は高速道路並みということで安くなるわけでございます。
 このように、高速道路の距離が少なかったということが致命的な欠陥ではなかったかと思いまして、四十一年から運動を続け、国会の先生方、また県の議会においても延長促進議員連盟をつくっていただいて積極的に進めていただいたわけでございます。昭和六十二年に第四次全国総合開発計画において、全国で一万四千キロということになりました。そして、和歌山県は近畿自動車道紀勢線で新宮まで約百七十キロ、京奈和自動車道で約四十二キロ、合計二百十二キロが新たに追加指定されまして、二十年ぶりにこれが決定したわけでございます。このことは画期的なことであるし、議員の方々初め関係の皆さんに心から感謝し、お礼を申し上げなければならないと思います。
 御坊から南部は整備計画が認められておりまして、これについては道路公団がやるわけでございます。だから、用地交渉さえ早く進めたならば早急にできます。私は、この区間の目標年次を六年間と見ております。そのためには用地交渉を積極的に進めなければならないということで、各町において用地促進委員会をつくっていただいておるわけでございます。積極的に用地を推進していただいたならば六年でやれると思っております。そしてまた、南部からすさみまでは基本計画ということになっております。
 また、話ございました高速道路の整備については、国の資金や有料道路の制度を最大限に活用しながら進めていくべきであると思っておりまして、県民の負担のみに頼る県単独事業という考え方は現実的な考え方ではないと思っておるところでございます。県の五千四百億円の予算の中で自主財源である税収入が九百億円という県の財政状況を見た場合、そのことは当然のことかと思うわけでございます。
 また、先ほど申しました南部からすさみ、新宮までの問題等について、国会においては二階先生が新進党の交通担当の責任者であるし、野田先生は自民党の道路網の責任者として努力していただいております。また、私も全国高速道路促進連盟の副会長をやっております。さらに、新国土形成研究会を四十一道府県でつくっておりますけれども、私も代表理事になっており、八月の初めに会議も開催することになっております。そうした面で努力するとともに、議員の皆さん方、議員連盟の格段のご支援をいただいて積極的に邁進してまいりたいと思っております。
 詳しいことは、土木部長から答弁いたします。
 次に、フランスの核実験に対する知事の所見でございます。
 世界で唯一の被爆国である我が国にとりまして、核実験の禁止、核兵器の廃絶は、ひとしく願うところでございます。
 こうした中で、このたびフランスの核実験再開が発表され、国際的な反響を呼んでございます。私といたしましても、非核保有国の信頼を裏切るものであり、極めて遺憾であると考えております。
 議員ご指摘いただきました、知事としてフランス政府に対し抗議してはどうかという点でございますけれども、既に政府においてフランス政府に対して強い遺憾の意を表明しているところでございまして、今後の動向を見きわめながら対処してまいりたいと思っております。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 野見山議員のご質問にお答え申し上げます。
 紀勢本線の高速化事業については、地元の機運の高まりを踏まえて、JR西日本との方針を取り決め、沿線市町村や経済団体とともに早期事業化を図る観点から、十四億二千五百万円を本年度当初予算に計上したところでございます。現時点における計画では、当面の間、スーパー雷鳥サンダーバード号と同型式の六八一系の新型車両を導入し、平成八年度中には和歌山・新宮間で約八分の時間短縮がなされ、さらに近い将来、次世代の新型車両が導入されることにより、さらなる時間短縮がなされると考えてございます。
 現在、JR西日本によりますと、阪神大震災の影響により本事業内容の修正が行われる可能性があるとのことでありますが、その場合においても県としては現時点における計画以上のスピードアップ等、利便性の向上が図られるようJR西日本に対し強く要望するとともに、平成七年度中の事業着手に向けて引き続き努力してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 野見山議員にお答えいたします。
 まず、JR紀伊田辺駅の高架化の再検討についてでございます。
 田辺市は、田辺御坊地方拠点都市地域の中心都市として紀南の発展を担っていく都市であると考えており、県としても社会基盤施設の整備を積極的に進めていくこととしております。
 議員ご指摘の鉄道の高架化については、地元田辺市の要望もあり、昭和五十年度に国の補助を受けて事業化に向けての調査を実施したところでございます。鉄道を高架化する連続立体交差事業は、多額の事業を要し、かつ事業全体が完成することにより初めてその効果が出ることから、集中投資が必要となります。また、鉄道の高架化にあわせ、分断された市街地の一体的利用を図るために、区画整理事業などの面的整備が必要となります。当時、事業に多額の地元負担を要すること、及び周辺市街地の面的整備が困難であったことなどにより、事業化に至らなかったものでございます。
 現在の状況でございますが、平成五年の地方拠点都市地域の指定に伴い、田辺市の中心市街地等の整備について県及び市で検討を進めているところでございます。その中で、鉄道北側の市街地の発展動向を踏まえながら、鉄道の南北の地区が一体的な発展が図れるよう、国道四十二号と都市計画道路元町新庄線とを結ぶ道路や駅の南北の歩行者動線の確保などについて検討しているところでございます。また、これにあわせて、区画整理などにより駅周辺の南北の市街地を魅力ある中心市街地としたいと考えてございます。今後とも、田辺駅の南北の市街地が連携を持ちつつ発展が図れるよう、地元市と協議を進めてまいる所存でございます。
 次に、高速道路の南伸に関してのご質問でございます。
 御坊・南部間については、延長が約二十一キロメートルで、事業費は約一千百億円とされております。日本道路公団による財政投融資資金を使った事業ですので、用地買収さえ早く済ませれば工期は大幅に短縮できると考えているところでございます。この道路は今後の南伸計画に弾みをつける意味からも、本県にとって非常に重要な道路でありますので、用地取得に全力を尽くしてまいる所存でございます。
 また田辺市までの供用については、非常に重要であると考えており、早期整備計画への組み入れを国に強く働きかけることとしており、都市計画についても検討を進めているところでございます。
 田辺市・新宮市間については、現在までのところルート等は明らかにされておりませんが、この間の沿線の市町村の中心部は海岸近くに点在しておりますので、周辺の利便性などを考え合わせると、延長は九十から百キロメートル程度と思われます。二車線である湯浅御坊道路が延長十九・四キロメートルで約一千億円、一キロメートル当たりに換算すると事業費で約五十億円でございますので、仮に同程度の四十億円から五十億円程度で計算すると、四千億円から五千億円程度となります。また採算については、一キロメートル当たり四十億円の道路を有料道路として建設する場合、日交通量は三万台程度が必要と言われておりますが、国道四十二号のすさみ町口和深での交通量、一日約四千六百台に比べ、格段に多い数字でございます。これを県単独の有料道路事業として行った場合は、非常に大ざっぱな言い方を許していただければ、この交通量の差に相当する料金分は県民の負担になると考えられます。なお、五千億円の投資を十年間で行った場合、毎年五百億円となり、これは県の道路建設に関する年間予算に匹敵する額でございます。
 いずれにいたしましても、高速道路の建設は最重要な課題でありますので、今後とも国の資金やいろいろな制度等を最大限に活用するとともに、県として考えられる種々の工夫を凝らして、早期建設に向け努力してまいることが最も重要と考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 梅の生育不良についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず第一点の、梅の生育不良の現状と対策についてでございます。
 本年の新たな発生状況は、適当な降雨量もあり、田辺・南部郷梅病害虫特別対策協議会の現地巡回調査等では比較的少ないという報告を受けてございます。
 次に現在の取り組みについてでありますが、平成六年に設置いたしました県、地元市町村、農協等で組織する県うめ生産対策協議会において原因究明の取り組み方針を定め、果樹園芸試験場、暖地園芸センターの両試験場を中心に、土壌改良による改植試験、新しく発見されたシュードモナス菌の種類の特定試験のほか、環境調査や現地試験等を地元の協力を得ながら取り組んでいるところでございます。さらに、新たな発生を抑制する方策としては、剪定による樹勢の維持と適正着果、かん水、有機物の施用による土づくりなどの技術対策を推進しているところでございます。
 なお、発生園に対する支援策としては、生育不良園の土づくりや改植などの実証モデル園づくりを積極的に推進しているところでございます。今後とも、大学や国の試験場等の専門機関の協力を得ながら、県うめ生産対策協議会を中心に関係機関と協調して原因究明に努めてまいる所存でございます。
 なお、専任担当者の配置については、試験研究の連絡調整、現地試験の指導強化等を図るため、本年度、暖地園芸センターに一名の増員を行ったところでございます。
 次に、梅の試験場を田辺地域に設置してはというお話でございます。
 暖地園芸センター、果樹園芸試験場を梅生育不良の原因究明のための試験研究機関の核として試験研究体制の充実を図っており、地域の対策協議会と協力しながら積極的に対応してまいる所存であり、新たに県の試験場を設置することは難しいと考えてございますが、地元市町村、生産農家での取り組みに対しては積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
 最後に、原因究明ができていない中での第二火力発電所の建設計画についてどう考えるかというお尋ねでございます。
 梅生産農家にとって生育不良の早期原因究明が第一と考え、現在、大学や国の試験場の協力も得ながら鋭意取り組んでいるところでございます。今後とも、農家の意向を踏まえ、関係者と連携を一層深めながら原因究明に向けて努力してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 野見山議員ご質問の梅の生育不良に関して、御坊市の関西電力第二火力発電所建設の影響についてでございます。
 御坊第二火力発電所の立地に伴う大気汚染等、環境面への影響については、事業者が実施する環境アセスメントの中で必要な指導を行うとともに、審査の段階においても十分チェックするなど、慎重に対応してまいりたいと考えております。
 なお、梅の生育不良の問題については、関係部局と連携を図りながら対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 29番野見山 海君。
○野見山 海君 答弁ありがとうございました。要望をさせていただきたいと思います。
 新型車両が二年後に実現できるんですが、本当にありがたいと思っております。この新型車両はサンダーバード号と同型の車両だそうでありまして、将来時速百六十キロの対応ができると言われております。今、そういった面で線形改良等地上設備の改善がされております。
 和歌山・新宮間がスピードアップで八分間短縮されるわけですね。この費用に二年間で三十八億円を投入するんですから、一分に約四億七千万円の費用が要ることになるんですね。大変な費用だなと痛感いたします。これから、カーブ部分の線形改良が大きなスピードアップにつながるのではないかと思うのであります。JRへいろんな形で提言していく中でも難しい要素が多くあるなと思っております。
 そこで、スーパーくろしお二号が新宮から出発しておりますけれども、田辺市において七時十七分のスーパーくろしお二号は自由席が二両しかございません。もう田辺で立ち客がかなりあるという状況で、紀南の皆さんはぜひとも自由席をあと一両ふやしてほしいという願いがあるんです。くろしお号は三両あるんですが、スーパーくろしお号は二両しかないんです。ほかのスーパーくろしお号については要望しませんけれども、田辺七時十七分のスーパーくろしお二号だけは自由席の増両をぜひともお願いしたい。今、田辺から和歌山へかなりの方々が通勤されていて通勤圏内になっておりますので、ぜひとも強い要望をJRに申し入れていただきたい。
 もう一点は、今、田辺に向いての普通列車の中にトイレのない車両があります。これは、前回、浜本前県会議員も質問されておりましたけれども、これもまた紀南の皆さんはぜひともトイレをつけてほしいという願いがあるんです。田辺から和歌山まで約二時間です。二時間のうちで、いつおなかを痛めるかわかりません。トイレを利用する場合もあると思うんです。そういった意味で、これもあわせてJRの方に強い働きかけをぜひともしていただきたいと思います。
 それから、梅の生育問題でございます。
 紀南の梅農家にとって、大変な死活問題であります。紀南でも官民挙げていろんな形で研究をされております。今、農林水産部長から積極的な支援をしていきたいというありがたい答弁をいただきましたので、ぜひとも財政面を含めてご支援をいただきますように、心からお願いをしておきたいと思います。
 高速道路については、今、知事から御坊・南部間については六年間で実現したいとおっしゃっていただき、ありがたいと思っております。これは、やはり用地買収が解決しなければできないと思いますので、我々地元議員といたしましても、一日も早い開通のために用地買収が早期に実現できるように一生懸命努力してまいりたいと思います。
 以上、要望して終わらせていただきます。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十五分休憩
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