平成7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(松本泰造議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時五分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第八十五号から議案第百一号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第八十五号から議案第百一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 41番松本泰造君。
 〔松本泰造君、登壇〕(拍手)
○松本泰造君 おはようございます。
 去る四月の統一地方選挙において、歴史と伝統に輝く和歌山県議会の一員として県勢の発展、県民福祉の向上のため活躍のできる場を与えていただきましたことに、まず心から感謝を申し上げますとともに、責任の重大さを痛感いたしておる次第でございます。
 もとより浅学非才、ご迷惑をおかけすることの方が多かろうと思いますけれども、何とぞ、議員各位並びに当局の皆さん方には適切なるご指導とご鞭撻を賜りますように、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、通告に従い、一般質問を行います。
 まず最初に、有田総合庁舎の新築移転に関連してであります。
 JR湯浅駅近くにあった有田総合庁舎は、建物の老朽化が激しく、事務量の増加に伴いますます狭隘となり、加えて車社会の今日、立地的にも不便さをかこって、駐車場難とも相まって移転新築が有田地方の官民ともに長年の願いでございました。
 数年前より、有田地方一市五町の間で論議を重ね、可能な限り有田地方の中心に近く、利便さと広い駐車スペースが確保できる等の条件を満たすべく、近畿大学及び湯浅町の全面的な協力を得て現在の場所に決定し、平成五年十二月より建設工事が進められたものでありまして、約二万一千平米の敷地に、鉄筋コンクリート四階建ての近代的な総合庁舎と鉄筋二階建ての湯浅保健所が、三百台収容の駐車場を備え、六月十九日から執務が開始されたところであります。鮮やかな新緑にすっぽりと包まれ、見事に竣工した建物の雄姿は、有田地方の住民が長年にわたり待望してきたものであっただけに、喜びもまたひとしおであります。
 県行政多端の折から、有田地方住民の悲願にこたえるべく、二十八億もの巨費を投じて移転新築を決断していただいた仮谷知事を初め関係者各位に、有田地方住民の一人として心から感謝と敬意をあらわす次第であります。有田総合庁舎で働く職員各位には、新築移転を契機に、行政効率を高めるとともに行政サービスの向上に努め、新しい器に魂を注入していただきますように特に要望しておきたいと存じます。
 次に、特定重要港湾和歌山下津港の機能充実についてであります。
 この件については、先般、中山議員から質問がございましたので、できるだけ重複を避けて質問させていただきたいと思います。
 和歌山県の北部一帯に位置する和歌山下津港は、県北部臨海工業地帯とともに発展する中で、昭和四十年には和歌山市から有田市に至る三市一町の沿岸海域が国の特定重要港湾の指定を受けるなど、日本経済の発展とともに取扱量も飛躍的に増大してきたところでありますが、和歌山北港では鉄を中心とする港湾施設、海南、有田、下津港では石油荷役を中心とする港湾施設が、それぞれ民間ベースで充実されてきたところであります。
 一方、和歌山本港では、主として木材主体の港湾として機能してまいりました。和歌山本港には、水深十メーターのいわゆる万トンバース四基が完成したとはいえ、取扱量も少なく、したがって時代の趨勢である船舶の大型化やコンテナ輸送への対応のおくれから、せっかく太平洋に開かれた海があり、大阪湾外港部に位置しながら、その立地条件を生かされていない状況が続いてまいりました。すなわち、年間約八十万トンと推定される県内のコンテナ需要は四七%を神戸港、五二%を大阪湾に依存してきたわけでありまして、阪神・淡路大震災により神戸港が壊滅的な打撃を受け、県内の輸出入関連企業は遠く名古屋や横浜港に荷物をシフトせざるを得ず、商品価格へのはね返り、市場競争力の低下など、県内企業への打撃が表面化したところであります。
 こうした事態に対処するため、県ではコンテナ荷役に対応する施設整備として、和歌山港区の中埠頭に荷役クレーンの設置等、五億五百万円の事業を緊急実施したことは、まさに時宜を得た措置であったと評価するものであります。早速、七月二十四日からは韓国のハブ港湾釜山港とを結ぶ定期コンテナ航路が開設されることが決まり、東アジアとの物流の拡大等、国際物流港としてスタートするとのことであります。憂うつなニュースばかりが目立つ昨今、和歌山の将来に一点の光明が差してきたような明るい報道に感謝するとともに、関係者各位のご努力に感謝を申し上げる次第であります。
 国際貿易港としての第一歩を踏み出すことを踏まえ、今後の和歌山下津港のあり方について知事の所見を賜りたいと思います。
 また、次の諸点については関係部長より答弁を求めます。
 まず第一点は、阪神・淡路大震災の教訓及び和歌山県下産業の活性化、貿易を主とする物流体制の充実に向け、平成八年を初年度とする第九次港湾整備五箇年計画の中にどんなことを盛り込んでいくのかを伺いたいと思います。
 第二点目として、近年、神戸や横浜港等、いわゆる日本の五大港離れが進みつつあり、舞鶴、新潟、松山等、地方港のコンテナ荷役設備が充実され、貿易の地方分散が進む中、ポートセールスなども積極的に行われているようでありますが、後発の和歌山下津港としては、これを契機に、新航路の開設に向けて引き続きどのような取り組みを行っていくのかを伺いたいと思います。
 第三点目は、国際物流港へ向けてのソフト面の充実についてであります。阪神・淡路大震災の教訓もあって、去る三月議会では多くの議員さんから港湾設備の充実について質問や提言があったようでございますけれども、私はこうしたハード面での設備充実にあわせ、ソフト面やサービス面での充実についても同時進行しなければならんと考えるわけであります。この件については、私自身も今後の議員活動の中で研修を重ね、前向きに提言をしていきたいと考えておりますので、その節にはよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
 第四点は、港湾の長期総合整備計画の中に建設廃材やしゅんせつ土砂を処理する埋立計画も包含させていくべきと考えます。これらの廃棄物については、現在、和歌山環境保全公社の管理のもとに北港埋立地で適切に処理されておりますけれども、当該埋立地は本年十一月をもって満杯となるようであります。後継の処分地としては、遠く大阪湾フェニックス計画に依存せざるを得ないと聞いております。したがって、これら廃棄物の処理、運搬費用のアップ等、建設業界はもちろん、公共工事等に及ぼす影響も懸念されます。県内に処分場確保の見地からも、新たな埋め立てを含む港湾の総合計画の中に組み込んでいくべきと考えますが、ご見解を伺いたいと思います。
 続いて、有田市から和歌山市間の国道渋滞解消問題についてであります。
 和歌山県の地図を見るまでもなく、有田市は紀伊水道に突き出た半島のごとき地理的条件にあります。したがって、高速道路紀南延長という幹線軸から離れた状態は、まさに国土軸から離れた和歌山県の状態に似て、半島の悲哀をダブルに痛感する立地条件にあります。高速道路時代の県土軸から離れているとはいえ、有田市は、前段申し上げたように特定重要港湾和歌山下津港の一角に位置し、県にとっても雇用や税収面では貴重なドル箱的な地域のはずであります。ところが、港湾活動や企業活動を補完する陸上アクセスは国道四十二号線一本だけしかなく、有田市から和歌山市間は年々通行車両の増加が著しく、朝夕には極めて深刻な交通麻痺が続いております。わずか二十数キロしか離れていない和歌山市まで一時間以上を要し、しかも一たん交通事故やがけ崩れが発生すると国道の機能が完全に麻痺し、目的地に一体何時に着けるのか全く予測がつかない状態が何年も前から続いており、近年ますます渋滞がひどくなってきております。和歌山市周辺への通勤者はもちろんのこと、経済活動への影響も深刻であります。
 こうした事態に対処すべく、平成四年には有田市内の官民挙げての国道四十二号線交通緩和促進協議会が発足し、続いて有田市と下津町の間で有田下津周辺国道整備促進協議会が結成されるなど、現状改善を求める声が高まって久しいわけでありますが、先日発表された平成八年度政府予算等に関する要望の中に初めて国道四十二号線海南市から有田市間の交通渋滞解消の項目が組み込まれたことは、渋滞の実態を県が認めて対策を国へ訴えていってくれるということでありまして、知事初め担当部局に改めて感謝を申し上げる次第であります。
 実は、私が有田市議会で初めてこの問題を提起したのは昭和六十二、三年ごろでありました。以来、約八年の歳月を経て、ようやく政府への陳情の一項目として取り上げていただけたわけでありまして、感慨を覚えると同時に、これからが正念場と感じております。
 そこで、次の諸点について土木部長に質問をいたします。
 まず第一点は、とりあえずの渋滞解消について建設省との間でどのような折衝が行われてきているのか、伺いたいと思います。
 第二点目として、有田市から下津町、海南市を結ぶルートの新設要望に対し、建設省との間でどのような折衝が行われているのかも伺いたいと思います。
 第三点目は、国道四十二号線の渋滞は、単に有田市から海南市間だけに限らず、最近では海南市から和歌山市に至る間もかなり深刻な実態にあります。したがって、沿線の交通体系の改善については総合的見地からの検討が必要だと考えるのでありますが、当局の見解を伺いたいと思います。
 次は、関西国際空港離発着便の国内便増便と空港との鉄道アクセスについてであります。
 昨年九月四日に関西国際空港が開港し、本県にとっては至近距離であるだけに便利さを享受できるものと期待していたところでありますけれども、庶民にとっては今のところ飛行機の騒音だけが近くなっただけで、空港開港後の利便さやインパクトを実感できがたい状態だと感じます。
 その一つは、JR紀勢本線との鉄道アクセスの悪さであります。すなわち、百キロ離れた京都駅と関西国際空港を一時間半で結ぶ新型特急はるかが三十分置きに運行されているのに比べて、和歌山県内と結ぶ紀勢本線特急列車十五本のうち上下わずか三列車だけしか日根野駅に停車せず、普通電車の連絡も極めて悪い状態であります。
 いま一つは、紀勢本線を走る列車車両についてであります。関西空港駅と京都駅を結ぶ特急車両はるかは至れり尽くせりの最新鋭車両であるのに比べ、またJR東海が名古屋・紀南間に導入した特急南紀に比べて、紀勢本線を走る特急列車は旧態依然の振り子型車両のままであります。
 そこで当局に伺いたいのでありますが、まず一点は、関西国際空港離発着便にビジネスマンが利用したい時間帯の国内便が少ないなど、飛行ダイヤの改善や国内便の増便を求める声が高まっております。大阪空港存続の影響もあろうかと思いますけれども、何とか国内線の増便や地方空路の増設等、関西のハブ空港としてその機能を高めるよう働きかけていくべきと考えますが、ご見解を賜りたいと思います。
 次に、本年度当初予算において鉄道整備促進事業として十四億二千万余りを計上し、本県鉄道網の高速化や快適性向上等、基盤整備に係る費用の一部を負担することになっておりますけれども、これにより最新鋭車両の導入や走行ダイヤの見直し、高速化など利便性確保についてJR西日本の協力が得られるのかどうか、伺いたいと思います。
 最後に、その他の項目で質問と要望を行いたいと思います。
 まず第一点は、有田市下中島から宮原町に至る西谷川と、この川に流入している宮前川の河川改修についてであります。
 この二つの川は、有田川七・一八大水害後に新たに設けられた二級河川でありますが、近年、護岸の老朽化が進み、いつ崩れてもおかしくないような状況にあります。河川を設けたころには一面田んぼであったこれらの地域は、近年、急速に住宅化が進み、四十年前の状況とは一変してきており、河川に流れ込む水の量も増加の一途をたどっているところであります。
 西谷川については、湯浅土木事務所において逐次河口部分から改修工事が進められてきたところでありますけれども、現在の工事区間をもって一応の計画が終了とのことであります。ところが、去る五月中旬の大雨で、上流の護岸が三カ所、総延長二百数十メートルにわたって崩壊いたしました。付近の住民からは、河川上流の護岸改修について不安と不満の強い要請がございます。何とか早い時期に西谷川と宮前川を含めた改修計画を立て、継続的に護岸改修を実施していただきたいのでありますけれども、担当部局の見解を賜りたいと思います。
 次に、戦後五十年の国会決議に関連してであります。
 この件につきましては、去る二十六日、鶴田議員さんから国会決議の内容についての発言がございましたが、私は戦後五十年というこの節目に、戦争で肉親を失った遺族の一人として、違った観点から申し上げておきたいと考えます。
 実は、私の父親は、私が五歳のときに大東亜戦争に召集され、満州に従軍し、終戦直前に国境を越えてきたソ連軍の捕虜となり、シベリアに連行され、零下四十五度まで下がる極寒の捕虜収容所で帰らぬ人となりました。以来、私ども親子は、終戦後の混乱の中、艱難辛苦を重ねながらも、一家の柱を国家にささげたことを誇りとし、それを心のよりどころとして、ひもじさや惨めさに耐えながら頑張ってきたところであります。
 終戦の直前、日ソ中立条約を一方的に破棄して侵攻してきたソ連軍が満州から連行していった日本兵の数は実に約六十万人、飢えと寒さと筆舌に尽くしがたい過酷な強制労働、栄養失調と過労、病に勝てず、七万人もの兵士が遠き異国の地に散華していったのであります。
 戦後五十年、国会決議の内容、すなわち侵略や謝罪の文言について物議を醸しておるところでありますけれども、私は一遺家族の立場から考え方を述べておきたいと思います。
 まず、大東亜戦争前の世界地図では、東南アジア一帯は、イギリス、アメリカ、オランダ、フランス等、欧米列国の植民地として色分けをされており、当時、独立国はわずか六カ国にすぎなかったのであります。しかも、これらの植民地は、十六世紀以降、二百年から三百年間にわたり白人支配による搾取が続いてきたところでありまして、第二次世界大戦が終わって欧米列国が退去していったこれらの地域に現在三十カ国が独立している事実をどう見るかという歴史上の問題がございます。
 終戦直後の昭和二十年八月十七日に独立したインドネシアの元首相ナチールさんは、「大東亜戦争が起きるまで、アジアは長い植民地支配下に苦悶していました。そのため、アジアは衰え、愚かになるばかりでありました。だから、アジアの希望は植民地体制の粉砕でした。大東亜戦争は、私どもアジア人の戦争を日本が代行して行ってくれたんだ」と述べておりますし、同じく昭和三十二年に独立を果たしたマレーシアのシャーハー元外相は、「大東亜戦争なくして、マレーシアもシンガポールもその他の東南アジアの国々も独立は考えられなかった」と述懐されております。また、タイの元首相プラモートさんは、「今日、東南アジアの諸国民がアメリカ、イギリスと対等に話ができるのは一体だれのおかげであるのか。それは日本という母があったためである」と述べておられます。さらに、昭和三十九年、中国を訪問した日本社会党の佐々木更三委員長が毛沢東主席に陳謝したのに対し、「何も謝ることはない。日本は、中国に大きな利益をもたらしてくれたんだ。おかげで、中国人民は権力を取り戻すことができた。日本なしに我々は権力を奪い返すことができなかったであろう」と語った毛沢東主席の言葉をどう受けとめるかであります。
 かくして、アジアの人々が長い長い間、白人支配の植民地の中で虐げられてきて、大東亜戦争後にそれぞれ独立をかち取ることができたのであります。こうして、アジアの人々にとっての大東亜戦争は、結果としてアジア独立のための戦いであったと認識するリーダーがアジアには数多くおられるようであります。
 また、戦後、日本を占領し、東京裁判で日本を侵略国として裁いたマッカーサー元元帥は、昭和二十六年、米国の上院議会で、「さきの大戦は、資源のない日本にとっては自存・自衛のためのものであった」との発言事実も残っているようであります。
 こうして、幾つかの事実を総合して判断するとき、長年にわたる植民地支配で富を搾取し続けてきた欧米列国、日ソ中立条約を一方的に破棄して日本人兵士を拉致していったソ連の行為等々、今次大戦にかかわる歴史的認識は極めて多面的であり、また現実に多様な歴史解釈が存在するわけであります。したがって、立法府である国会が決議の形で特定の歴史解釈を確定してしまおうとすること自体に無理があったと考えます。
 私は、今次大戦における我が国の戦争行為については、無理やり言葉をつなぎ合わせるような国会決議で格好をつけることよりも、国民一人一人がそれぞれの立場で今次大戦を反省し、決意も新たに平和や民主主義の確立に向けて行動や態度にあらわしていくことこそ大事であろうと考えます。いちずに国家、国民、肉親を思い、純粋な気持ちで戦場に散華していった二百万柱英霊を侵略戦争の加担者にし、いたずらに謝罪するようなことだけは、遺族の一人として断じて許すことができないことをはっきりと申し上げておきたいと思います。
 さて、終戦五十周年に当たり、和歌山県では七月十三日に戦没者に追悼の誠をささげ、あわせて戦争と平和に対する県民意識を高揚すべく戦没者追悼式を挙行していただきますことに心から感謝を申し上げますとともに、戦後五十年という節目以降も引き続き英霊の顕彰にご理解とご配慮を賜りますよう、特に要望申し上げておきたいと思います。
 以上、演壇からの私の質問に対する誠意ある答弁を求めます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの松本泰造君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 松本議員にお答え申し上げます。
 和歌山下津港の将来のあり方についてでございます。
 私も、和歌山県の今後の発展を図る上で、和歌山下津港を初めとする港湾を活用することが極めて重要な課題であると認識しているところでございます。
 現在、和歌山下津港は大阪湾ベイエリアの玄関口として重要な位置にございますし、二十四時間世界に開かれた関西空港と近接地域でございます。また、紀淡海峡連絡道を含む太平洋新国土軸構想が具体化しつつある現状を踏まえ、このような有利な条件を生かして近畿圏の中での外港機能を担うべきものだと思っておるわけでございます。そのためには、下津港の外貿コンテナの取り扱いを初めとする国際交流機能を拡充するとともに、陸上の高速輸送網と結びつけるためのアクセス道路が絶対不可欠な条件でございます。こうした意味において、今回の釜山港との外貿定期コンテナ航路の開設は、まだ小さい規模でございますけれども、和歌山下津港の国際貿易港化への貴重な第一歩を踏み出したものではないかと、非常に喜んでおるところでございます。今後とも、和歌山下津港の外貿機能を強化するための計画の策定や整備、さらにポートセールスを積極的に進めてまいりたいと思っております。
 他の問題については、関係部長から答弁させていただきます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 松本議員にお答えいたします。
 まず、特定重要港湾和歌山下津港の機能充実についての三点のうち、第九次港湾整備五箇年計画については、平成八年度を初年度として策定すべく、現在、運輸省が全国の港湾管理者からの要望をヒアリングしているところでございます。本県については、和歌山下津港を初め十一港について第九次港湾整備五箇年計画に組み込み、所要の財源を確保していただくべく要望中でございます。
 和歌山県内の港湾整備、とりわけ和歌山下津港の具体的な考え方としては、これを近畿圏の外港として位置づけ、大阪湾海上交通の負荷の軽減、陸上高速交通網と連携した物流の効率化、大規模地震等の災害に備えたリスク分散を図るため、コンテナ機能を含めた外貿機能の一層の充実とテクノスーパーライナー等、高速海上ネットワークの拠点づくりを進めることとしております。また、今回の阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、緊急海上輸送ルートを確保し、住民の生命、財産と地域経済を守るための諸事業についても要望しているところでございます。さらには、黒潮に洗われる豊かな海洋環境を有する海洋県和歌山にふさわしい質の高いウオーターフロントとして、マリーナシティを核とする海洋リゾートネットワークの形成やフェリーターミナル周辺の再開発等の推進に特段の配慮を要望しているところでございます。
 新航路の開設に向けての取り組みについてでございますが、議員ご指摘のとおり、コンテナに対応する施設整備として、和歌山港区中埠頭に荷役クレーン及び大型フォークリフトを導入することとしたほか、昨年度に完成した西浜地区の水深十二メートルの岸壁と仮舗装した背後の荷さばき地についても、既に六月十五日から供用を開始しております。また、隣接する水深十三メートルの岸壁についても早期の完成を目指して整備を進めているところであり、今後、国際貿易港湾としてふさわしい機能を有すべく、引き続き整備を推進してまいりたいと考えています。
 ポートセールスについては、主に京阪神の荷主企業、海運会社、商社などを対象として戸別訪問を行っております。また、平成五年度から大阪市内において多数の関係企業を対象に県内港湾の説明会としてポートフォーラムを開催しており、今年度も引き続き開催を予定しております。このようなことから、本年七月二十四日から県内で初めて待望の外貿定期コンテナ航路が開設される運びとなりました。今後は、これを試金石としつつ、大阪湾の玄関口に位置している和歌山下津港の特性を十分に生かしながら、引き続き外貿機能の拡充を進めるとともに、世界に広がる新たな定期航路の誘致に努めてまいりたいと考えております。
 北港埋立後の建設廃材などの処分については、現在、企業局において造成している和歌山下津港西浜地区を考えております。しかしながら、将来において建設廃材などを有効に利用し、かつ適正に処理することが重要であることから、平成七年度においてその量を把握すべく調査を実施することとしております。その結果を踏まえて、それらの適正な処理計画を策定し、その中で必要に応じ、港湾での海上埋立処分場の確保を検討していく予定でございます。
 次に、有田市から和歌山市間の国道渋滞解消についての三点のうち、まず当面の渋滞解消対策についてでございます。
 有田市から海南市における国道四十二号の下津町加茂郷地点で、十二時間交通量は約一万八千台に達しております。国道四十二号は重要な生活道路となっておりまして、生活基盤の確保のほか、背後地には特定重要港湾、工業地帯が控えており、物流機能の向上、沿線からの利用増大に対応するため国道四十二号の改良整備が必要であると考えます。県といたしましても、かねがね建設省へ渋滞対策として線形改良や交差点改良、右折車線等の整備について要望を行うとともに、この区間のバイパス的機能を持つ海南湯浅道路の四車線化の要望を行ってきたところであります。
 次にルートの新設については、海南湯浅道路が将来四車線化された場合の交通量がどのようになるのか、あるいはまた現国道が非常に厳しい地形を通っているため、車線増設の地形的制約等をどのように解決するのかなどの点について調査検討する必要があると考えております。しかしながら、渋滞の対策については急ぐべき課題であるので、当面、ミニバイパス、交差点改良、局部改良等、早期に効果の出る方策について、国、県、関係市町で構成する会議を設けて検討を進めることとしております。
 次に三点目ですが、現国道四十二号の背後地には特定重要港湾である和歌山下津港や臨海工業地帯が位置しており、またこれらの地域は大阪湾ベイエリアの一環として今後重要な地域となると考えております。このため、将来的には物流機能の向上、工業地帯の連携を強化する道路の検討が必要と思われます。このような観点から、本県の広域道路網マスタープランでは、和歌山市の臨海地域を生かしつつ、港湾機能との連携も含め、和歌山市内を循環する交通体系を構想しているところであり、これらと臨海部の工業地帯などを有機的に連絡する道路網についても将来の重要な検討課題であると考えております。
 最後に、有田市内の西谷川、宮前川の河川改修についてです。
 西谷川の改修については、下流から順次流下能力の向上を図りつつ、上流に向け改修を進めておりまして、有田川合流点より上流七百六十メートルの区間については、地元の方々の協力により今年度で概成できる見込みでございます。また、今年五月の集中豪雨によって被災を受けた箇所については、国の査定を受け次第、早急に工事に着手してまいりたいと考えております。
 なお、宮前川を含め、今年度概成する区間の上流部については、地元の関係者とも協議をしながら計画の検討等を進め、改修の具体化に向け努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 松本議員ご質問の関西国際空港離発着ダイヤの改善と増便についてでございます。
 関西国際空港の国内線については、県勢の活性化につなげるため、機会あるごとに路線、便数の拡充及びより利便性の高いダイヤ設定などを国、航空会社等に対し強く要望しておりまして、現在、二十八都市との間に七十八便、そのうち東京便は開港時の八便から一便増の九便となり、ほぼ満足する結果となってございます。しかしながら、議員ご指摘のとおり、飛行ダイヤ等については必ずしも十分でございませんので、今後とも県民の空港利用者にとってより活用しやすいダイヤ設定がなされるよう働きかけるとともに、路線、便数の拡充についても引き続き要望してまいりたいと考えてございます。
 次に、関西国際空港への鉄道アクセスについてでございます。
 これまでも、県議会の皆様のご協力をいただきながら、直通列車の運行や乗り継ぎの利便性の向上など、強く要望してまいりました。その結果、JR西日本においては、日根野駅におけるすべての快速列車の停車、和歌山方面からの同一ホーム乗りかえ、またJR西日本の日根野駅へのエレベーターの設置など、乗り継ぎ時の利便性の向上に一定の成果がなされたところでございます。さらに、JR西日本では、七月一日から夏の行楽シーズンの間、日根野駅に停車する特急くろしお号を現在の三往復から五往復にふやし、また七月十五日より和歌山発の快速列車の増発も行われることとなってございます。
 鉄道整備推進事業の十四億二千五百万円については、地元の機運の高まりを踏まえ、沿線市町村や経済団体とともに、紀勢本線高速化事業の早期具体化を図る観点から本年度当初予算に計上したものであります。阪神・淡路大震災の影響により事業内容が見直される可能性もありますが、現時点における計画では、当面の間、スーパー雷鳥サンダーバード号と同型式の六八一系の新型車両を導入し、平成八年度中には和歌山・新宮間で約八分の時間短縮がなされ、さらに近い将来、次世代の新型車両が導入されることにより、さらなる時間短縮がなされると考えてございます。今後とも、本県鉄道の利便性の向上について、JR西日本等の鉄道事業者に対し積極的に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番松本泰造君。
○松本泰造君 特定重要港湾和歌山下津港の将来展望について、知事から前向きな答弁をいただきました。
 私は、和歌山県経済の活性化のためにも貿易効果をより一層進めていくことが、雇用の面、流通の面でかなり大きなインパクトを与えるものであると考えておるところであります。しかしながら、荷役の確保、大型冷凍・冷蔵庫、倉庫設備の充実等、陸上面でのいろんな対策も必要になってくるものと考えるところであります。同時にまた、荷揚げされる荷物によっては、いろんな検疫の設備も整えていかねばならんというソフト面の対策もかなり必要ではないかと考えておるところでございます。
 引き続いて航路の新設等についても取り組んでいくという前向きな答弁をいただきましたので、この件についてはよろしくお願いしたいということを要望申し上げておきたいと思います。
 次に、国道四十二号線の渋滞解消問題であります。
 この件については、私自身県会議員にならせていただいて、毎日自動車で走って渋滞を嫌というほど痛感させられておりまして、最近では電車に変えたというようなこともあるわけでございまして、かなり深刻でございます。
 とりあえず、局部改良を含めて対策を講じていただきますとともに、たった一本の幹線軸しかなく、迂回道路もなくて、事故が起こったら全く詰まってしまうような状態でございますので、何とかルートの新設について国へしっかり働きかけていただきますように、特に要望を申し上げておきたいと思います。
 次に、関空の便の問題でございます。
 実は私、きょう電車に乗ろうとしたら、東京へ日帰り出張するという会社員に会いました。「松本さん、関空から出発する便は、午前八時三十分から午後一時四十五分までの間、便がないんや」という話でございました。これがあれば往復飛行機に乗れるのに、新幹線で東京まで行って仕事をして、きょう二十時三十分の羽田発で帰るということでした。昼からの便も、東京発は十四時があって、その次は二十時三十分ということで、六時間半、関空への便がないんです。こういう非常に利用しづらい状態で皆さんが困っておりますので、何とかこういった点を改良するように引き続いて働きかけを行っていただきたいことを要望しておきたいと思います。
 鉄道アクセスについてでありますが、自動車で迎えに来てもらうとか送ってもらう人は空港ができて非常に便利になったと感じておるのでございますけれども、電車で空港を利用する人は非常に不便をかこっておるようです。特に連結が悪いという問題もございます。
 特急電車の天王寺・和歌山間について、日根野へとまる電車もとまらん電車も所要時間が同じなんです。とまる電車は二、三分時間が余計かかって当たり前なんですけれども、とまってもとまらんでも所要時間が同じなら、全部の特急をとめてもらったらどうかという意見もあるわけでございます。ダイヤの編成上いろいろ問題があろうかと思いますけれども、こういった点、しっかりJRに働きかけていただきますように、要望をしておきたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松本泰造君の質問が終了いたしました。

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