平成7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(森 正樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第八十五号から議案第百一号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第八十五号から議案第百一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 35番森 正樹君。
 〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 おはようございます。
 中国六朝宋の人、五柳先生とも称され、田園詩人でもありました陶淵明いわく、「盛年 重ねては来たらず 一日 再び晨なり難し 時に及んで当に勉励すべし 歳月 人を待たず」。その意味は、歳月は速やかに過ぎ去ってしまうもので、人を待ってはいない、光陰は速やかに過ぎ去ってすぐに老人になるから、若いうちにやるべきことを努力してやりなさいということであります。
 四年前に初当選をさせていただいて、あっという間に四年間が過ぎ去りました。むだな時間を費やしたことが多く、反省しきりでございますが、再び多くの県民の皆様の信任をいただいて二期目の当選を果たさせていただきました。四年前にも決して劣らない感激でいっぱいでございますが、初心に立ち返り、県勢の発展と県民福祉の向上のために微力を尽くして励んでまいりたいと考えております。先輩・同僚の皆様、並びに仮谷知事初め当局の多くの皆様、どうか温かいご理解とご支援を賜りたいと存じます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 初めに、関西国際空港の問題についてでございます。
 去る六月五日、仮谷知事を初め、大阪府知事、大阪市市長、大阪商工会議所会頭、関西国際空港株式会社社長らが出席して開かれた全体構想推進協議会において、全体構想二期工事のうち、大阪府、大阪市など地元自治体が埋め立てなどの土地造成を、関西国際空港株式会社が第二ターミナルビルなどの施設整備をそれぞれ行う、いわゆる上下分離方式を採用することで基本合意したところでございます。また、これを受けて翌六日には、航空審議会の関係者へのヒアリングが行われたのであります。第七次空港整備五箇年計画いわゆる七空整期間中、すなわち二○○○年(平成十二年度)までの着工に向けて大きく動き出したところでございますが、これから来年秋の航空審答申、閣議決定までいよいよ正念場を迎えることとなるのでございます。言いかえれば、すなわち関西国際空港が真にアジアのハブ空港としてその位置を不動のものにし、はたまた我が国の正真正銘の空の表玄関としてその地歩を確保するための極めて重大な産みの苦しみのときを、これから一年有余迎えるわけでございます。
 そこで、知事並びに企画部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 一点目、第七次空港整備五箇年計画の中に、関西国際空港全体構想二期工事が盛り込まれるのは確定と考えていいと思いますけれども、いかがでありましょうか。加えて、いわゆる七空整期間中の早い段階での工事着手を実現するためにはどうすればいいのか。我が和歌山にとりましては、そういう方向で早い時期に着工されることが望ましいわけでございますが、そのための課題は何かあるのでしょうか。
 二点目、去る五日に行われた全体構想推進協議会、並びに翌六日の航空審議会ヒアリングに関してご報告を賜りたいと思います。
 三点目、土地造成と施設建設の上下分離方式をとることがほぼ決まったと言ってもいいわけですが、この方式による二期工事の事業費の総額と地元自治体の負担額をほぼどの程度と算出されているのか、またそのうち本県の負担分は一体どのぐらいになるのでしょうか、お教えをいただきたいと思います。
 四点目、第二ターミナルビル等、上物の施設工事の事業主体等について、運輸省や大阪府、大阪市等はどう考えているのでありましょうか。
 五点目、第六次空港整備五箇年計画の中で課題として指摘され続けてきた、一、事業費の抑制、二、地元負担のあり方、三、開発利益の還元など地元協力のあり方について、七空整が明年度から始まろうという現時点において、改善、改良への成果はあらわれているのでありましょうか。
 六点目、関西国際空港がアジアのハブ空港として不動の地位を確保するためには、今後なお幾つかの難問をクリアしていかなければなりませんけれども、気になるアジアの主要なライバル空港の現況はどうなっているのか、現在つかんでおられる状況についてご報告をいただきたいと思います。
 七点目、二期工事の中で本県が強く要望している南海、JRの直通乗り入れ便の実現、南海・泉佐野、JR・日根野の両駅のホームの改良等の実現のめどについて、あわせてご報告をいただきたいと思います。
 以上、明快なご答弁をお願いしたいと思います。
 次に、下水道網整備についてお尋ねをいたしたいと思います。
 我が国における下水道の概念は既に弥生時代に見られるとされておりますけれども、古来、し尿を有力な肥料として農地還元してきた習慣があり、したがって便所はおおむねくみ取り式であり、下水路や河川にし尿が流出することは少なく、汚染の程度も軽微であったために下水道建設が進まなかったとされております。平安時代に、高野山において沢水や井戸水を利用した水洗便所が存在した事実は、例外中の例外と言えると思います。ヨーロッパにおいても、近世に至るまで下水道や水洗便所の存在はなく、パリを初めとするヨーロッパの主要な都市にあっても、各家庭は毎朝、表の通りへふん尿を投げ捨てたと言われております。下水道網の整備を含む衛生思想の普及は、プロテスタントの拡大・流布と軌を一にしていると言われておりますが、これは公共的倫理観の確立と関係のあることでありまして、なるほどと思うところでございます。
 我が国の本格的な下水道は、一九○○年(明治三十三年)の下水道法の制定と前後して、東京都、大阪市、仙台市、広島市、名古屋市で着手されたことに始まるのであり、大正時代に不況対策として十一都市で、また昭和初期には失業対策として三十余都市でそれぞれ下水道事業に着手し、全国に広まっていったのであります。戦後、一九五八年(昭和三十三年)に下水道法の抜本的改正が行われました。都市環境の改善を図り、都市の健全な発達と公衆衛生の向上に寄与することを目的として合流式下水道の整備が進められました。また、一九七○年(昭和四十五年)の下水道法の改正によって公共用水域の保全に資することがうたわれ、今日見られる下水道体系が形成されたのであります。加えて一九九四年(平成六年)、すなわち昨年、安全かつ良質な水道水の供給を確保することを目的として水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律が制定され、水道原水水質保全事業の一つに下水道事業が位置づけられたのであります。
 言うまでもなく下水道の役割は、一、汚水の排除による生活環境の改善向上、二、雨水の排除による浸水の防除、三、公共用水域の水質の保全が主たるものでございます。
 ところで下水道には、公共下水道、特定環境保全公共下水道、流域下水道、農業集落排水施設、漁業集落排水施設、小規模集合排水処理施設、合併処理浄化槽、コミュニティープラント等がありますが、地域の人口規模、人口稠密度、市町村の財政力等々を十分に踏まえつつ、効率的、経済的なシステム選択を行うことが望まれます。
 以上、申し上げた諸点を踏まえ、数点にわたって基本的な問題についてお尋ねをいたしますので、関係する三人の部長の明快な答弁を求めるものでございます。
 第一点、従来、公共下水道普及率が行政水準をあらわす指標として用いられてまいりましたけれども、一九九二年(平成四年)策定された生活大国五カ年計画において、下水道整備を促進するほか、地域の実情に応じ、コミュニティープラント、集落排水施設の整備を進めることにより、おおむね二○○○年には排水が公共的主体により衛生処理される人口の割合を七割を超える程度に増加させるとしております。この観点から自治省では、さまざまな汚水処理システムを含めた汚水衛生処理率を一九八八年(昭和六十三年)から調査・公表しておりますが、まことに残念ながら、本県は全国四十七都道府県中、唯一の一けた台、断トツの最下位八・三%でございます。このことについて、市町村を指揮監督する立場にある県当局としてどのように考えておられるのでしょうか、率直なご意見をお聞かせいただきたい。
 第二点、農業集落排水施設では、秋田、山形、新潟、富山、石川、長野、滋賀などが先進県であり、漁業集落排水施設では、新潟、鳥取、島根、山口などで普及が進んでおります。またコミュニティープラントでは、宮城、福島、茨城、群馬、石川、奈良、岡山、長崎などが高普及率を誇り、合併処理浄化槽では、茨城、千葉、静岡、三重、広島などで進んでいるのでございますが、本県はどの一つをとっても下位に低迷しているところでございます。生活大国五カ年計画にいう二○○○年に衛生処理される人口の割合を七割とするとの目標達成には到底届かないと思いますけれども、少しでもこの目標に近づくために、地域の実情に合わせて今後数年どう取り組んでいかれるおつもりでありますか、お聞かせをいただきたいと思います。
 第三点、特定環境保全公共下水道は、下水道整備緊急措置法に基づき、従来、下水道整備は都市計画事業として行うものに限られていたのでありますが、都市計画区域外においても下水道整備の必要があると認められ、一九七五年(昭和五十年度)からスタートしたものでございます。特定環境保全公共下水道はこの目的によって、自然保護下水道と農山漁村下水道に分けられております。国立公園、国定公園等における、湖沼、ダム湖周辺の水質保全を目的として実施されるのが自然保護下水道であり、農村集落からの生活排水等により農業用水などの公共用水域の水質悪化に対処するために行われるのが農山漁村下水道であります。現在、全国で都道府県営九事業が進められております。なかんずく、一九八六年(昭和六十一年度)よりおおむね千人未満の規模でも水質保全の面で特に緊急に下水道整備が必要な地区において実施できるよう採択基準が改定されましたが、自然環境に恵まれた地域や農山漁村を多く抱えている本県は、この特定環境保全公共下水道の整備拡充に最も力を入れるべきではないかと思います。そうした意味で、県直営事業を含めて今後積極的に取り組んでいくべきであると思いますが、いかがでございましょうか、そのご存念をお示しいただきたいと思います。
 第四点、いまだに県下市町村の中にし尿の海洋投棄を行っているところがありますが、速やかに処理施設の実現に取り組むなど海洋投棄を一日も早く中止すべきであると考えますが、いかがでございましょうか。
 第五点、各システムを効率的に採用することによって望ましい生活基盤整備、住環境の実現が強く求められているわけでありますが、県下五十市町村それぞれにおいて下水道整備計画が策定され、県としても当然トータルプランを立案しておられると思いますが、どうでありましょうか。
 第三に、看護婦問題について触れたいと思います。
 言うまでもなく、制度上の看護婦が出現するのは、イギリス・ロンドンの病弱婦人病院において有名なナイチンゲール女史が院長に任命されたときであり、一八五三年のことであります。我が国において正規の看護婦が成立するのは一八八七年(明治二十年)前後のことで、東大病院、慈恵会医大病院、桜井女学校、日本赤十字社などで看護婦養成所が開設されたころからでございます。以来、今日までほぼ百十年の歴史が流れたのでございますが、この間、看護婦として医療に携わり、死の床に臨み、くじけそうになる患者を励まし、また病から立ち直ろうとする病人を支えて希望のともしびを掲げた人たちは一体何万人に上ったのでございましょうか。
 私も、子供のころ大変病弱で何度も入院し、一度は生死の境をさまよった者といたしまして、温かく激励してくれた看護婦さんの姿は今も脳裏に焼きついて離れがたいのであります。人の生死を扱う医療の現場にあって、常にその第一線で働く看護婦の皆さんは、病に苦しみ、病と闘う患者にとっては心強い存在であり、天使と申し上げても過言ではないと思います。
 しかしながら、巷間言われているごとく、医療の現場はまことに厳しい職場であり、慢性的な人材不足が叫ばれ、職場環境の改善が訴えられてきたことは、皆さん周知のとおりでございます。百八万県民の一人一人が例外なく、ひとしくより良質な医療の提供を受けられるようにすることは、県民の健康を守り、県民福祉の増進のために本県に課せられた重大な責務でありますが、以下、数点にわたり保健環境部長にお尋ねをいたしたいと存じます。
 第一点、慢性的な看護婦不足の実態について、どの程度の不足が生じているのか、またこの数年その傾向は改善されているのかどうか。平成三年末に作成された看護職員需給見通しの数値目標と現実との格差はどうなっているのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
 第二点、看護婦確保のためにこれまでどのような努力をし、また今後対応していかれるのでしょうか。
 第三点、マンパワー確保のためにナースバンクが設置されておりますが、その現状はどうなっているのでありましょうか。また、ナースバンクに登録していない潜在看護婦が非常に多いと聞いておりますけれども、その実態と今後の対策はどう考えておられるのでしょうか。
 第四点、潜在看護婦の把握について、これまでどのような取り組みをしてこられたのか、また今後していこうとされるのか、あわせてつかんでおられる実態についてもご報告をいただければ幸いであります。
 第五点、潜在看護婦のうち、未就業年数の長い人たちは、仮に現場に復帰しても、昨今の医療技術の進歩や新しい医療知識の吸収、把握といった面で、日進月歩で変わりつつある医療現場で適応することが極めて困難であると思われるが、どうか。また、そのような潜在看護婦の現場復帰に当たって再教育の必要があると思われるが、その方策はあるのかないのか、加えて法制面での問題はないのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
 第六点、看護婦の皆さんが快適に働けるように職場環境の改善はぜひとも必要でありますが、公立・私立を問わず、病院、診療所、医院等において、県としてどう指導し、改善を進めていくおつもりでございましょう。取り組みの基本的姿勢と施策についてお答えをいただきたいと思います。
 最後に第七点、県内の各級看護婦養成機関の卒業生のうち、約一○%の人たちが県外医療機関へ就職している実態がございます。一方で、県内各医療機関では慢性的な看護婦不足を訴えている現実にかんがみ、県としても責任を持って、これら優秀な人材の県外流出を防止する手だてを講じるべきであると思いますが、いかがでありましょうか。
 以上、るる申し上げましたけれども、最後に簡潔なご答弁をお願い申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森議員にお答え申し上げます。
 議員質問の関西国際空港全体構想に関する諸問題のうち、第七次空港整備五箇年計画に全体構想二期工事が盛り込まれると思うがどうか、また第七次空港整備五箇年計画中の早い時期の工事着手の課題ということについて、私から答弁させていただきます。
 去る五月二十五日に関西国際空港全体構想推進協議会の代表委員会が開催されましたが、これは統一選挙後初めての会議でございまして、六月六日の航空審議会のヒアリングに出席するために意見調整をどうするかということでございました。しかし、当日は結論を得られずに持ち越しになり、六月五日に再度開催いたしまして種々の問題を検討した結果、六月六日のヒアリングにおいて地元の熱意を示さないと八月の中間取りまとめにおいてよい結果が出ないのではないかという結論に達したわけでございます。そうした観点から、国がやることになっている第一種空港を地方自治体がやることについての法制度上の問題、またそれを地方自治体が行うことについては起債等、財政的問題がございますので、そうした問題について運輸省、自治省で十分話し合って解決点を見出さなければなりません。運輸大臣も自治大臣も前進的な考えを持っておるけれども、それをクリアしていただくことを条件として、大阪府と大阪市を中心とする関係地方公共団体が用地造成の事業主体になるなど、全体構想を積極的に推進することで合意いたしました。ヒアリングでは川上関経連会長、山田大阪府知事が出席して、それに基づく意見を表明したわけでございます。
 また、私も先日、政府への来年度の要望で運輸省にも参りまして全体構想について陳情したわけでございますけれども、そうしたヒアリング等々の地元の熱意というものを大いに感じていただいて、大きな弾みがついたのではないかと思っておるところでございます。
 次に、早期着工についてでございます。
 まず第一の問題は、第七次空港整備五箇年計画に早期着工を盛り込むことが必要でございます。この第七次空港整備五箇年計画に盛り込まないと、八次空整で中部地方の空港が上がってくるだろうと思います。向こうの熱意も非常に強いということがございますので、これを七次空整へのせていただくことがまず肝要であります。そのためには、県会の皆さんや国会の皆さんの力をかりまして、先ほど申しました国においての法制度や地方財政の課題を解決してもらうことが必要でございます。そしてまた、これは関西全体の問題でございますし、事業主体は大まかに大阪府、大阪市と決めておりますけれども、地元協力についての問題をどの程度にするか等々、諸課題があるわけでございます。これらについても現在検討を重ねつつございますけれども、国の制度が決定し、整備計画にのせられたならば、早急に解決していかなければならないと思っております。
 他の問題は、部長から答弁させていただきます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 森議員ご質問の、関西国際空港全体構想に関する諸問題についてお答え申し上げます。
 六月五日の関西国際空港全体構想推進協議会代表委員会及び六月六日の第七次空港整備五箇年計画の航空審議会のヒアリングについては、ただいま知事からお答え申し上げたとおりでございます。
 次に、上下分離方式による二期工事の事業費総額と地元負担額についてでございます。
 関西国際空港の二期計画における事業費の確定、負担割合については、今後調整すべき問題点でございまして詳細に申し上げることはできませんが、推進協議会における実現化方策報告書によりますと、空港施設に六千五百億円、二期計画の用地造成に一兆二千九百億円、総建設費が一兆九千四百億円となってございまして、空港施設に三○%の出資金、用地造成費に無利子資金を七○%程度導入する必要があるとされてございます。したがいまして、出資金を含む無利子資金が一兆九百八十億円、有利子資金八千四百二十億円が必要になるものと試算されてございます。今後は、負担割合等について、県議会のご意見をいただきながら推進協議会の場において調整してまいりたいと考えてございます。
 次に、第二ターミナルビル等、上物の施設工事、事業主体についてでございます。
 第二ターミナルビル等の空港施設については、一期事業における民間活力導入の成果を生かして、国、関係地方公共団体及び民間が協力して整備すると推進協議会で合意されたところでございますので、一期同様、関西国際空港株式会社が行うことになると考えてございます。
 次に、第六次空港整備五箇年計画の課題である地元協力のあり方については、推進協議会において検討を重ねてきた結果、港湾事業等の公共事業の導入や事業の円滑な実施を図るための協力体制の確立などを盛り込んだ実現化方策報告書を受け、全体構想を積極的に進めることの合意をいたしました。これを受け、航空審議会のヒアリングで説明いたしましたので、地元の熱意が十分伝わったものと考えてございます。
 次に、アジアの諸空港の現況についてでございます。
 香港のチェク・ラップ・コック国際空港については、総面積千二百四十八ヘクタール、三千八百メートルの滑走路二本、韓国の新ソウル・メトロポリタン空港については、総面積四千七百四十三ヘクタール、四千メートル級の滑走路四本を整備する計画であり、両空港とも既に第一期計画として滑走路一本の整備に着手しており、新香港空港は一九九七年、また新ソウル・メトロポリタン空港は一九九九年に開港の予定と聞いてございます。シンガポールのチャンギ国際空港については、総面積千六百六十三ヘクタール、滑走路二本で既に供用されてございますが、現在、第三滑走路が建設中であり、また既に二棟ある旅客ターミナルビルに加え、第三旅客ターミナルビルの建設計画も進行中であると聞いてございます。
 また中国においても、上海に総面積四千ヘクタール、四千メートル級の滑走路四本を有する新空港を整備する計画があり、台湾においても、台北・中正国際空港が千二百ヘクタール、滑走路三本で既に供用されてございますが、現在、第二期工事として第二旅客ターミナルビル等を建設中であると聞いてございます。さらに、マレーシアやタイにおいても新空港の建設計画が進められるなど、アジア各国で空港の新設・拡張計画が進められてございます。
 次に、関西国際空港の直通乗り入れ列車の実現等についてでございます。
 これまで、県議会の皆様方のご協力もいただきながら、直通列車の運行や乗り継ぎの利便性の向上などを強く要望してまいりました。その結果、JR西日本においては日根野駅におけるすべての快速列車の停車、和歌山方面からの同一ホーム乗りかえ、あるいはJR西日本の日根野駅、南海電鉄の泉佐野駅へのエレベーター設置など、乗り継ぎ時の利便性の向上に一定の成果がなされたところでございます。さらにJR西日本では、七月一日からの夏の行楽シーズンの間、日根野駅に停車するくろしお号を現在の三往復から五往復にふやされ、また七月十五日より和歌山発の快速電車の増発も行われることとなってございます。
 県といたしましては、今後も空港利用者の利便性の向上を図るため、直通列車の運行や南海の直通列車運行に不可欠である泉佐野駅の連続立体交差事業の推進等について、二期工事の内容が具体化される過程の中で国や事業者に対する積極的な働きかけを行ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 森議員の下水道網の整備についてのご質問のうち、三点についてお答えいたします。
 まず、汚水衛生処理率が悪いことと、その対策についてでございます。
 議員ご指摘の汚水処理施設の汚水衛生処理率は平成四年度末で八・三%となっておりますが、このうち下水道の整備について見てみますと、平成六年度末の普及率は六・一%で、全国平均と比べ、おくれているのが現状でございます。これは、本県が海に面して山地が大部分を占めており、排水等が容易であることなどが要因と考えられます。また、下水道整備には多額の事業費を要しますので、財政的に厳しい市町村において着手に踏み切れないといった状況も見られるところでございます。
 このため県といたしましては、整備促進を図るため平成七年度から市町村に対し補助する制度を設けたところであり、また流域下水道事業を推進することとしているところでございます。さらに、平成八年度を初年度とする第八次下水道整備五箇年計画を策定することとしており、今後これに基づいて県下の下水道整備を積極的に促進してまいります。また、農業集落排水施設、コミュニティープラント等の整備についても、同様に整備を進めてまいることとしております。
 次に特定環境保全公共下水道については、これまで六町で事業を実施し、二町で供用開始をしているところでございます。山間部を多く抱えている本県においては、都市計画区域外で行われる特定環境保全公共下水道の必要性が今後ますます増大するものと考えております。その際、過疎地域の町村では財政負担が大きな課題でございまして、県といたしましても、現在、本宮町において県代行事業を行っているところでございます。今後、この過疎代行制度も活用しながら、特定環境保全公共下水道の整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、トータルプランに関するご質問についてでございます。
 下水道などの処理については、建設省所管の公共下水道、特定環境保全公共下水道だけでなく、農林水産省所管の農業集落排水、漁業集落環境整備等、また厚生省所管のコミュニティープラント、合併浄化槽などの整備を行っているところでございます。このため、農山漁村地域等も含めた市町村全域を対象として、これらの下水処理施設の整備を計画的かつ効率的に実施していくため、全県域汚水適正処理構想について現在関係部局と市町村が協議を重ねておりまして、本年度内策定を目途としているところでございます。今後は、この処理構想に基づいて、これら下水道整備にかかわる各種事業を効率的に活用し組み合わせながら下水道整備の促進を図ってまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 下水道の整備についてのお尋ねのうち、農業集落排水事業、漁業集落排水事業の取り組みについてお答えいたします。
 農業集落排水事業については、昭和五十九年度から着手し、これまでに三市十二町一村、二十七地区で約七千三百戸を実施しているところでございます。この間、農業集落排水事業を推進するため、全国で唯一、農村地域の女性で組織する和歌山県農業集落排水推進協議会も設立されるなど実施に向けての意欲が高まってきており、実施市町村数も年々増加の傾向にございます。県といたしましては、二○○○年には農業振興地域内の約二万八千戸、また二○一○年には約四万八千戸の整備を行うことを目標といたしてございます。
 漁業集落排水事業については、平成六年度から着手し、これまでに二市二町で六地区、約二千百戸を実施するとともに、本年度新たに二地区において事業着手のための基本計画策定調査を進めております。
 農業集落排水事業、漁業集落排水事業については、今後とも積極的に事業実施の啓発と促進に努め、計画的な整備を図ってまいります。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 森議員ご質問の下水道網の整備についてでございます。
 コミュニティープラントについては、現在、三市町に千七百人分のコミュニティープラントが設置されてございます。補助条件等から見て市町村の希望に沿わない面もあり、将来の伸びは余り期待できませんが、公共下水道や農業集落排水処理施設等の補完施設として設置を誘導してまいりたいと考えてございます。
 次に合併処理浄化槽でございますが、家庭雑排水も合わせて処理でき、公共下水道並みの水質が確保できることから、県といたしましても普及に力を入れているところでございます。平成五年度の設置基数は二千六百二十六基となってございまして、今後数年は同程度以上の設置を推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、し尿の海洋投棄の現状と対応についてでございます。
 し尿の海洋投棄については、海域の環境保全及び漁場保全の立場から、紀伊水道への投棄禁止と陸上処理に速やかに切りかえること等、指導を行ってきたところでございます。その結果、昭和五十一年では十七市町村が海洋投棄を行っていましたが、平成七年六月現在では四市町となってございます。当該四市町においては陸上処理に切りかえるべく鋭意努力され、平成六年三月には建設のための地元同意を得ており、平成十一年度には陸上処理施設が完成する見通しでございます。
 続いて、看護婦問題についてお答えいたします。
 看護婦等の充足については、平成十二年を目標にした和歌山県看護職員需給見通し達成のため、諸施策を実施してございます。看護婦等の不足の現状でございますが、平成六年末の需給見通しでは約千百人の不足を見込んでいたのに対しまして、同年末の看護職員従事者届によりますと約七百人余りの不足となっており、看護婦等の充足については順調に推移していると考えてございます。
 看護婦等の確保対策については、養成力の強化、離職防止、再就業の促進を三つの柱として取り組んでいるところでございます。特に養成力の強化については、議員各位のお力添えをいただき、本年四月に県立なぎ看護学校を新宮市に開校したところでございます。また、平成八年度には県立医科大学看護短期大学部が開学予定であり、看護婦の確保並びに質の高い看護サービスを提供できるものと考えてございます。
 潜在看護婦等の就業促進を図るナースバンク事業については、平成六年度末の登録者は五百四十七人、再就職者は百二十三人となっており、年々増加の傾向にございます。
 潜在看護婦等の把握については、平成六年一月に県内全世帯約三十六万戸に対するアンケートによる実態調査を行い、八百六十四人を把握したところでございます。また、離職者に各病院を通じて離職者調査票の提出を求め、ナースバンクと連携をとり、登録を推進しているところでございます。今後とも、潜在看護婦等の把握に努めてまいりたいと考えてございます。
 未就業年数の長い看護職員は、未就業年数が長いほど職場復帰には困難が伴うものであると考えてございます。潜在看護婦等の再就業に当たり法的な制限はございませんが、再就業を支援するため、国庫補助を受け、最近における看護についての知識及び技術を習得するための再就業看護婦等講習会の実施、並びに情報の提供、相談等をナースセンターに委託し、実施してございます。
 看護婦等がよりよい環境のもとで就業できる取り組みといたしましては、看護婦勤務環境改善施設整備事業を初め、子供を持つ看護婦等のため、院内保育所を設置する病院等に対する補助を行っているところでございます。
 看護学生の就業時の県内定着策といたしましては、修学資金の貸与を行っているところでございます。さらにこの制度の拡充を図り、県内就業を促進してまいりたいと考えてございます。今後とも、県民に適切な医療が提供されるよう、必要な看護婦等の確保に努めてまりいたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番森 正樹君。
○森 正樹君 今回の関西国際空港全体構想に絡む知事のご答弁は、いつにも増して大変積極的で、前へ向いたご発言をいただきました。いろんな思いがその裏にあることは、私も、関西国際空港の問題をライフワークとして十数年言い続けてきた者としてよくわかる──と言えば大変語弊がございますが、感じるものがございました。
 知事おっしゃるとおり、我が国の空港整備の方針は明らかに間違っていると私も思います。前にもこの席で申し上げたので、あのときにおられた方はご存じだと思いますが、隣の韓国は、新ソウル・メトロポリタン空港をつくるために、日本の空港整備法に当たる航空局法という法律を改正して、国がそのすべての責任のもとに新しい空港を建設するんだということで、わざわざ法律を強化したのであります。ところが日本は、逆に空港整備法を改悪いたしまして、運輸大臣が設置するとなっていた第一種空港を、例えば成田は公団が設置する、そして関西国際空港は関西国際空港株式会社が設置する、そういう形で地方に負担を押しつけ、国の責任を放棄したと私は言いたいのであります。国の基幹施設をつくるのに何が需要でありますか。何が地方負担でありますか。国の施設ですから、国が責任を持ってやるのが当たり前であります。私は、そういうことを言い続けてまいりました。
 今、アジアのさまざまな空港が実現に向けて動き出しております。例えば、新ソウル・メトロポリタン空港は、関西国際空港一期計画のほぼ十倍の埋め立てをしているのであります。将来就航するであろうHSCTでさえ離発着が可能な滑走路ができるのであります。関西国際空港はだめなんですよ。そういう意味で、これらアジアのライバル空港に負けないためには、何としても七空整の中で早い時期に二期工事に着手されなければいけないわけであります。そうした意味で、これは和歌山だけではなくて関西全体、そして日本全体の利益のために、国益のために何としてもやらなければならない、そう私は言い続けてきたわけであります。
 知事がヒアリングの席で、また五日の協議会の中で一番先輩知事として最も強くご発言をいただいたということは、いろんな方面から漏れ承っております。そういう意味で心強く感じて、先ほど冒頭に申し上げたわけでございます。本当の意味で関西国際空港がアジアのハブ空港になるために、何としても七空整の早い段階で着手されるように、また当然のこととして全体構想すべてがきちっとした形で方向づけされるように、微力でございますが今後私も努力をしたいと思いますし、どうか県挙げて当たっていただきたい、そのようにお願いをするところでございます。
 それから、下水道のことについて。
 土木部長、和歌山県は土地が急峻で山が迫っているのでというようなことを理由の一つとしておっしゃいました。それをおっしゃるならば、例えば、日本アルプス、南アルプスを擁する長野県の汚水衛生処理率は二六・七%であります。それから、同じように紀伊半島を有する三重県を申し上げましょう。二二・六%であります。それから、和歌山に次いで悪いわけでありますが、高知県は一二・四%。さらには、その隣の愛媛県は二五・一%です。同じように急峻な山地を有する県であっても、このように和歌山よりはるかに進んでいるところもたくさんあるのであります。
 やはり私は、私を含めてこの問題に取り組む我々の見通しの甘さというものがあったと思います。現実に、八・三%ということで全国最下位なんでありまして、これほど不名誉なことはございません。これを二○○○年に七割は無理ですけれども、何としてもそれに近いところまで持っていけるようにそれぞれの立場で──いろんな方法がございますから、それぞれの市町村、それぞれの地域で各システムを効率的に採用していただいて、何らかの形で汚水処理をしていく、し尿の処理をしていく、そういう中で汚水衛生処理率を上げていかなければならないと思いますし、その努力をぜひお願いしたいと思います。
 あと十五分ほど時間がございます。この残り時間を九月議会に持ち越してはだめですかと先ほど事務局にお願いしたら、それはだめですと言われました。これで終わりますけれども、私の申し上げたさまざまな意見はすべて要望でありますが、強い意見として申し上げておきますので、どうぞよろしく今後の対応をお願いしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。

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