平成7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時六分再開
○副議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番玉置公良君。
 〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 私は、さきの選挙で県民の皆様方に温かいご支持をいただきまして初当選いたしました玉置公良でございます。
 私は、紀南・西牟婁を歩く中で、数多くの県政の課題を肌で感じてまいりました。和歌山県の活性化のためには、主要なプロジェクトを積極的に行って人口の減少と高齢化の進行を緩和していく施策が充実されていくことも重要だと考えますが、全国平均を上回って高齢化が進行する地域の多い和歌山県としては、健康で安心して暮らしていける医療、保健、福祉の施策を充実させていく町づくりが最重要課題だと肌で感じてまいりました。この和歌山を、安心して住める、全国どこに出しても恥ずかしくない、誇りのある県にしていかなくてはならないと思います。
 地方の時代、分権の時代というのは、それぞれの県や町が知恵を出して、「うちの県なら安心して住み続けられるからずっと住んでください」、あるいは「県外へ出ていった人も安心して戻ってきてください」、そういう県や町を早くつくったところが勝ちであります。今までは、若い人が出ていったという過疎化でありました。これからの過疎化は、「医療や福祉がないから不安だ。それなら息子の住んでいる県外へ出た方が安心だ」ということで生まれる、お年寄りも出ていく過疎化であります。
 町が活気づくには、住民がいてくれなければいけません。工場をつくっても、不況になると現実に逃げていく場合も出てきます。会社や工場をたくさんつくることも大事ですが、それだけでは地域に人は残りません。これからは何が必要なのか。私は、安心してその地域に住めるという町づくりが大切であると思います。
 それは、医療、保健、福祉が充実されるということであります。これから健康で安心して暮らせる医療、保健、福祉の町づくりの中の四点に絞って私の意見を述べ、県当局のご見解を賜りたいと思います。
 最初に、施設福祉における特別養護老人ホームの設置について質問いたします。
 ご承知のように、厚生省の新ゴールドプランでは特別養護老人ホームを二十四万人分から二十九万人分に拡大することとなっています。高齢者の自立を支援し、支援を必要とするすべての高齢者に対して必要なサービスを提供するのが今回の新ゴールドプランの基本理念であることから、本県が平成五年に策定した老人保健福祉計画については県内の状況を見ながら随時計画の見直しを実施していただき、タイムリーな行政の対応をお願いしておきたいと思います。
 ご承知のとおり、本県の人口の高齢化は深刻で、全国平均を上回るペースで推移しています。特に六十五歳以上の高齢者は、平成六年で全体の一七・五%が平成十二年には全体の二一・三%となり、全国平均の一七%を四・三%上回る予測となっています。とりわけ紀南・西牟婁では、平成六年で既に三〇・一%の中辺路町を筆頭に、高齢化が大きく進んでいます。
 そのような中にあって、本県の特別養護老人ホームの整備状況は、平成六年四月現在におきまして四十三施設、入所定員数は二千七百二十五名となっています。私は西牟婁から選出されましたが、地域での要望の中でも、特別養護老人ホームの整備は県民の皆様にとって切実な問題であります。先日、特別養護老人ホームへの入所の相談に行きますと、入所を待機されている方が六月一日現在で西牟婁郡では百三名、田辺市では百三十四名の方がいらっしゃることをお聞きし、唖然といたしました。私に相談が来る中で一番多いのが、この入所の相談でございます。本当に、現場では家族が泣いています。
 確かに、在宅サービスの充実や老人保健施設の整備等で幾分かは緩和されるであろうと思いますが、昨年も百名近い待機者があり、現実にことしもこれだけの入所待機者の数を見るとき、この地域での特別養護老人ホームの整備は急務であると私は考えます。県独自の補助金で建設を促進していくぐらいの決断が必要であると考えます。
 平成五年五月に策定された和歌山県老人保健福祉計画では、平成十二年を目標に特別養護老人ホームの必要床数が全県下で三千床、田辺・西牟婁地方では四百四十床となっています。これでは、現行数の四百六十床よりも低い数値となります。圏域内の相互利用ということについても、田辺・西牟婁に隣接をする御坊・日高並びに新宮・東牟婁圏域においてもほぼ同じ状況であり、これだけの待機者を抱えることは圏域内の相互利用や在宅サービスの充実だけで解決できる問題ではありません。
 いつでも、どこでも、だれでも利用できるサービスの質と量を計画的に整備していくのがこの計画の基本理念だと私は考えています。入所が必要なのに施設がないという状況をぜひとも解決すべきであると思いますが、県当局、民生部長のご見解をお伺いしたいと思います。
 続いて、新介護システムのモデル地域の設定と支援について質問をさせていただきます。
 ことしの二月二十六日の朝日、毎日等の新聞に衝撃的な調査結果が報道されました。その内容は、次のようなものであります。「在宅介護の家族、半数が老人虐待 『ときどき憎しみを感じる』三三%」、「介護が必要な在宅の高齢者に対して、おむつの交換や食事の世話の放棄、暴言・暴力などの『虐待』を経験したことがあるという家族が半数に上る」、「家族の介護負担のストレスが一因だけに、在宅介護への支援策の不十分さを浮き上がらせたともいえそうだ」と記されています。これは、連合(日本労働組合総連合会)が一九九四年十月から十二月にかけて、地方連合会を通じて五十五歳以上の要介護者を抱える世帯に対して調査票を配布したもので、回収は二千四百枚、現実を直視した立場からの、我が国ではかつて類例のない大変貴重な調査と言えると思います。
 今や、高齢者介護対策は待ったなしのところまで来ていると言えます。そうした意味で、高齢者、障害者が長く住みなれた地域を離れることなく在宅のままで福祉が受けられる在宅福祉問題が、今大きな課題となっていると私は思います。
 和歌山県は、他の府県に比べて非常に早いペースで高齢化が進み、その中でも障害を持った高齢者が増加をしております。そのような中で、介護を必要とする世帯を支援し、要介護者を寝たきりにさせない施策というものが非常に必要になってくるものと考えます。
 そこで、在宅ケアの推進として、在宅三本柱であるホームヘルパー、デイサービス、ショートステイ、そして訪問看護等がありますが、これらを単品として提供するのではなく、各サービスを一つのパッケージとして提供することが今求められています。そのためには、それぞれのサービスの関係者の方々が一つのケアチームをつくり、必要なサービスを組み合わせて、それを継続的に提供していくことが大事であります。
 そこで問題となるのが、介護サービスに関係する職種も多く、また違った組織に属していることから、往々にして関係者の方々の調整に時間がかかったり、お互いの連携がうまくいかないという問題がございます。こうした問題を克服するために、ケア担当の方々が利用者側の立場に立って本人や家族のニーズを的確に把握し、その結果を踏まえ、ケアチームを編成する関係者が一緒になってケアの基本方針であるケアプランを策定し実行していくシステム、いわゆるケアマネジメントを確立する必要があると私は考えます。
 つきましては、既に市町村には高齢者サービス調整チームが設置をされていますが、さらに利用者のニーズに合わせた介護システムを考えていく必要があり、このような新介護システムについて、本県において一定の地域を指定してモデル地域をつくってはどうか。そのために、県においても、モデル地域となる市町村に対して財政的支援や専門職の派遣、また関係機関の調整等の支援を積極的に行っていただきたいと考えています。
 この新介護システムにつきましては、大阪府阪南市が非常にすばらしいシステムをつくっていますので、そのノウハウを学んでくることも大切かと考えています。県のお考えをお聞かせください。
 続いて、第三点目は介護休業制度の確立について質問をいたします。
 本年六月五日、介護休業法が制定をされ、一九九九年から施行されるようになりました。附帯決議の中で「介護休業制度が義務化されるまでの間においても、各事業所における可能な限り早期の介護休業制度の導入を推進するため、中小企業に対する配慮を行いつつ、事業主に対する格段の相談、指導、援助に努めること」とうたわれています。公的介護システムの充実とともに、家族に囲まれた温かい介護環境をつくっていくためには、これを支援する雇用システムをつくり上げていくことも欠くことのできない重要な課題であります。
 現在、介護休業については八割強の民間会社で制度がなく、また中小企業ではその普及がおくれているのが現状でございます。この附帯決議にうたわれているように、介護休業制度の実施に向けて、介護のための勤務時間の短縮等を行う企業に対する支援など、仕事と介護の両支援等を推進していくことが求められていると考えます。
 これらのことについて、県内の実態はどうか、そして、これからの県としての具体的な相談、指導、援助等の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
 続いて、最後の四点目は、紀南地方への医療、保健、福祉の人材育成専門学校の設置についてお伺いします。
 施設福祉や在宅福祉の充実のために重要なことは、何といってもマンパワーの育成と確保であります。私は、高齢化、そして過疎化を逆手にとり、和歌山の紀南地方を福祉先進地として、日本一の医療、保健、福祉の人材育成を進めることが紀南の町おこしのかぎであると思います。時代は進んでおります。先に知恵を出した町が勝ちであります。これからの町おこしは、ハード面から人材づくりというソフト面への取り組みが大変重要であると私は思います。
 具体的には、社会福祉士、介護福祉士、作業療法士、理学療法士等の高齢社会を支える専門職の育成を行う養成機関や専門学校を県が主体的に新設、充実することであります。現状は、例えば理学療法士で言えば、全国的には一万三十五名、平成十一年には約二万三千八百名が必要だと言われています。作業療法士で言えば、現在は四千六百八十九名であり、平成十一年には約一万五千八百名必要になると言われています。本県においては、平成五年八月現在で理学療法士が百二十二名、作業療法士が二十三名であり、全国に比例して今後確実にその需要がふえてくることが考えられます。
 これから、医療技術の進歩、医療施設における初期のリハビリテーションの充実、在宅でのリハビリテーションへのニーズの高まりやそれに伴うリハビリの変化も考えられます。老人性痴呆疾患病床、精神薄弱者の福祉分野、職業リハビリテーション、小規模作業所などの必要性があり、今後ますます需要がふえてくる分野でございます。
 しかし本県の現状は、残念ながら、昭和五十二年度から行われている理学療法士・作業療法士修学資金貸与制度という支援と、和歌山市に建設が計画されている介護福祉士養成のみの民間の学校に二千万円の補助を行うというものが中心であります。本県が高齢者福祉先進県となっていくために、マンパワーの人材育成が介護システムの構築と介護の安心基盤づくりのために最も重要な課題であると私は考えます。そして、そのことが紀南の過疎化を解決し、若者が定着できるキーワードになると確信をします。
 紀南の過疎化が進む決定的な原因は、若者が定着しないことでございます。その原因は、大きく言って二つあると思います。一つは地元に働く場がないこと、二つ目は、地元に大学がなく九〇・六%が県外に出ていくことであると思います。残念ながら、この数字は全国一の割合でございます。
 最近行われた和歌山県出身者の就職意識調査結果──平成八年三月大学卒業予定者でございますけれども──によりますと、県内に就職を希望する者が五一・二%とトップで、県外就職希望者はわずか一四・五%であります。希望する職業としては、「専門的・技術的職業」の五二・五%がトップになっています。
 これらのことからも言えるように、紀南地方への専門学校の新設は、医療、保健、福祉分野での地元での就職先が今後ますますふえていくことに対応でき、しかも、高校を卒業して県外へ出ていかなくても地元で進学ができるのであります、私の知り合いにも月々二十万近く仕送りをしている人がありますが、親が高い仕送りをしなくて済むようになり、若者が定着していくのであります。地元の学校の先生方や父母の方々、また社会福祉関係の職場に携わる人たちと話をする中で大変要望の多いのが、この専門学校なのであります。
 そして、日本一でなくても、全国的にすぐれている内容であれば、県外からも紀南に入学し、将来も住みついて人口がふえてくるというプラス面が出てくるわけであります。また、あえて紀南への設置を提案するのは、他府県の事例を見ても、県外や和歌山市の専門学校へ行けばほとんど地元に戻ってこない実態であります。地元紀南に設置してこそ、成果があらわれてくるのであります。
 全国平均より十年高齢化が早いと言われる本県は、その高齢化対策、とりわけ人材育成についても十年他府県より進んでいると胸を張れるよう、ぜひとも知事の英断で紀南への専門学校の設置をお願いするものでございます。
 続いて、新南紀白浜空港ジェット化の開港に向けて質問いたします。
 県知事を初め県当局、関係議員、関係市町村、また地元関係者の方々の精力的な取り組みの中で、平成七年度中にいよいよ開港されることになりました。地元出身の議員として、そのご労苦に対して心から感謝を申し上げます。
 さて、新南紀白浜空港ジェット化については、当地域の観光の振興、地場産業の活性化、先端産業の誘致、農林水産業の市場拡大にその効果が期待をされており、開港が待たれています。私は、ジェット化に伴う活用について、一つは、ジェット化により距離と時間がなくなり、紀南に在住し自然を慈しみながら大都市部の仕事ができる業種、例えばデザインなどの知的産業の誘致、二つは、紀南を文化発信の基地としていくために、例えばフランスの観光地・ニースのように、紀南の恵まれた気候、自然、宿泊収容施設、アクセス網をもとに、文化の発信基地としての国際会議やシンポジウムの招致、三つは、国際観光誘致等による国際チャーター便、いわゆる海外からの直接乗り入れの促進、四つは、ジェット機輸送による長所を生かした生鮮品などの輸送ルートの確立、などを考えていかなくてはならないと思います。
 開港を間近に控えて、今まで苦労をしながら取り組んでこられた知事としての感想と、その効果についてどのようなことを考えられているのか、お伺いをします。
 続いて、千八百メートル滑走路のジェット化によって航空機利用客はどうなっていくのか。
 平成元年十一月に出された和歌山県算出予測値では平成十二年時点で三十五万五千八百人と予測されていますが、現状の利用客は平成三年をピークに減少しており、平成六年度は七万九千三百九十四人と、残念ながら八万人を切りました。千八百メートル滑走路での航空機利用客の見通し、及び新しい路線はどうなるのか、お伺いをいたします。
 同時に、平成八年度中に二千メーター滑走路についての調査検討が考えられていますが、その効果等についてお伺いをいたします。
 最後に、南紀白浜空港跡地利用についての現時点での検討状況と県としての考え方をお伺いいたします。
 以上、これから安心して暮らせる医療、保健、福祉の先進県を目指して、及び新南紀白浜空港ジェット化開港に向けての私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 玉置議員にお答え申し上げます。
 医療、保健、福祉の先進県を目指して三つの観点から質問がございましたけれども、人材育成の面について、一点、私から答弁させていただきます。
 お話ございましたように、高齢化が進み、またゴールドプランの展開等に伴い、理学療法士、介護福祉士の必要性はなお一層増してくるということ、私も同感でございます。県としては貸与金制度等を行って人材確保に努めておるところでございますが、理学療法士、作業療法士については、本県からの養成校への進学状況や県の貸与金制度の利用状況等から見ておおむね順調に養成されている現状でございまして、県内への育成施設の設置については、現在の状況では慎重な検討を要するのではないかと思ってございます。また、介護福祉士については、県も支援する中で、来年四月に県内で初めての養成施設の設置が予定されておりまして、私たちも大いに期待しているところでございます。
 議員ご指摘のように、高齢化社会を支える人材の育成ということ、私も同感でございまして、特に看護婦の問題については、新宮に看護学校を開設しましたし、また短期大学の開設も予定して現在進めつつございまして、そうした面について努力しているわけでございます。
 紀南地方にそうしたものを設置したらどうかというご提言がございましたが、貴重なご意見でございまして、私も、これからの社会形成の上においては福祉施設を各地域に充実することの方が重要な課題であると考えてございまして、そうした問題について検討していかなければならないのではないかと思っております。
 特に、今までは公的学校が多うございましたけれども、各種専門学校の設置ということがよく言われてございます。アメリカ等はその方向に進んでおりますし、日本でも今後そうした形で進んでいくと私は信じてございまして、そうした点と絡み合わせ、ご提言の趣旨を踏まえて勉強してまいりたいと思ってございます。
 それから、南紀新空港の開港を控えての感想と効果についてでございますが、新空港は紀南地方と東京の首都圏とを結ぶ重要なアクセスでございますので、私は県政の最重点課題として取り組んでまいったわけでございます。
 まず、ジェット化するについて、場所が問題でございました。四カ所調査をさせていただいたわけでございますけれども、その過程において、本議場で藁科議員に「新空港の場所を探したけれども、青い鳥は手元にあった」とお答えし、白浜のことを発表させていただいたことを思い起こすわけでございます。白浜や付近が熱望する中、昭和六十三年に事業にかからしていただいた次第でございまして、それから八カ年を経て開港する運びとなったわけでございます。
 いろいろのことが思い出として浮かんでくるわけでございます。工事にかかった当時、バブルに進もうとしていたため、土地の買収に非常に難しい問題がございました。そうした面について、地元の市町村長さんや県会議員さん、有力な皆さん等、大変多くの皆さんにいろいろお世話になったわけでございます。特に、白浜町の三点セットの移転については相当な苦労があり、迷惑もかけたわけでございます。そうした点に思いをいたすとき、関係の皆さんにただただ感謝申し上げたい気持ちでいっぱいですし、とりわけ県議会の皆さんには、全員で白浜空港の利用促進議員連盟をつくって強力にご支援をいただいたこと、本当にありがたく、厚く御礼を申し上げたいと思っております。
 その効果の問題についてでございますが、玉置議員お話しのいろいろな点があろうと思いますけれども、和歌山県の長期構想の中で、紀南発展の最大課題は、やはり持てる資源、自然景観、文化といったものを基点としてのリゾート・観光を活性化の一大柱にしていくことが重要な課題だと考えてございます。また、話ございましたように、首都圏が近くなりますし、パイプも太くなります。空港を活用した人的・物的交流をなお一層積極的に進めていくし、また当地方からの情報発信にも努力していくと、そのような形で考えているところでございます。
○副議長(木下秀男君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 特別養護老人ホームの設置についてお答えをいたします。
 本県における高齢化は全国より十年早く進んでいると言われている状況の中で、施設整備はもとより在宅サービスの充実を図ってきたところでございますが、入所を希望されている方が、田辺・西牟婁圏域を含め、県内において相当数見られるのが事実でございます。
 こうしたことから、これらの方々を処遇するための施設の整備についても、和歌山県老人保健福祉計画により、入所待機者等の状況や地域的なバランス等を考慮しながら緊急性の高い地域から計画的に整備を進めているところであり、老齢人口一万人当たりの定員で見ると和歌山県は近畿圏で第一位の整備状況を達成しているところでございます。
 県の計画では三千床の整備を目標としているところであり、先般、国から採択の内示をいただいた特別養護老人ホームの整備を完了すると二千九百九十五床まで整備が進むことから、今後の整備については、家庭復帰を促進する老人保健施設の整備充実を進めるほか、国の施設整備に対する取り組みの動向や在宅サービスの進捗状況もあわせて考えながら、計画の目標値について必要に応じ再検討を進めていくこととしており、また先日も国に対し、平成八年度政府予算等に関する要望の中で高齢者保健福祉施設の整備推進について盛り込み、陳情を行ってきたところでございます。
 なお、昨年十二月に国が公表した新ゴールドプランにおける整備目標の引き上げについては、全国の市町村の計画による目標値を合計したものであることから、基本的にはこのプランによって直ちに県計画や市町村計画の目標値を見直すことにはつながらないものと理解をしております。
 次に在宅介護について、介護をする家族の負担が大きい、苦労が非常に多いということでありますが、昨年六月に県がまとめた高齢者に対する意識調査においても、老後の生活で面倒を見てくれる人が少ないといった不安を抱えている人の割合が高くなっております。
 県の基本的な考え方としては、高齢者の多くの方々は、住みなれた地域、家庭で家族や友人に囲まれて生活を送りたいといった希望を持っておられ、ホームヘルパー、ショートステイ、デイサービスといった在宅福祉事業の充実を通じ、できるだけ本人や介護する家族の負担を軽減しようと努めているところでございます。
 これらのサービスの連携が大切であること、すなわちケアプラン、ケアチームを通じたケアマネジメントが重要であることについては、議員ご指摘のとおりでございます。このため、県においては、全市町村にサービス調整チームを設置し、保健、医療、福祉の有機的な連携を図るとともに、高齢者が在宅で暮らし続けられる、また介護する家庭の身体的・精神的負担を軽減できる最も有効なサービスを適時に受けられるよう、在宅介護支援センターを設置しているところでございます。これらの活動を通じ、高齢者ができるだけ住みなれた家庭、地域で暮らしていただけるよう、また、新ゴールドプランにもうたわれた利用者本位の総合的サービスの提供といった基本的理念を実現できるよう、計画的なサービス基盤の充実を図ってまいります。
 議員ご指摘のモデル地域の設定と当該地域への支援については、確かに先進的な取り組みを支援していくことは有意義と考えておりますので、個別の市町村の具体的な計画について、相談を受けた時点でその内容を十分検討させていただいた上、適切な支援手段を講じていきたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 介護休業制度の確立についてお答えを申し上げます。
 働く方に介護を必要とする家族が生じた場合、退職することなく働きながら介護を行うことができる介護休業制度が、育児休業等に関する法律の一部を改正する法律でもって本年六月公布され、平成十一年四月一日からすべての企業で導入が義務づけられることになったところでございます。
 本制度の導入状況は、平成六年度調査で本県は一五・一%となっており、今後、事業主に対する理解等、幾つかの課題があると考えてございます。このため、国では平成七年十月一日から制度導入企業に対して奨励金制度を設け、介護休業制度の早期導入促進を図ることとしてございます。
 県としても、本制度の施行に先立ち、本年四月から介護休業生活資金貸付制度を設け、介護休業取得者を支援しているところでございますが、今後、事業主や関係団体に対し、介護休業への理解と早期定着を図るため、各種セミナーの開催やパンフレットの配布等により、国等関係機関と連携を図りながら、一層の周知啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 玉置議員の新南紀空港の開港に向けてのご質問、二点についてお答えいたします。
 千八百メートル滑走路での利用客の見通し、及び新しい路線についてでございます。
 新空港になると、東京・白浜間の所要時間は現在の百分から六十分にと大幅に短縮されることとなります。また、乗客定員についても現在の六十四人から百三十四人にと、倍以上に改善されるわけでございます。また、運用時間についても現在の八時間から十一・五時間に延長することとしており、利便性の高いダイヤ編成も可能でございます。また、ジェット化に伴い、従来困難であった旅行会社のツアーの企画も可能となると言われてございまして、他空港においても、ジェット化されると時間短縮や快適性の向上などにより通常大幅な増加が見られているところでございますので、首都圏からの利用客については増加が図られるものと考えてございます。
 なお、より積極的に利用客の増加を図るため、去る四月二十一日には地元の市町村を初め関係諸団体の参加を得て新南紀白浜空港利用促進実行委員会を設立し、首都圏を中心に利用促進に向けたさまざまな事業を展開することとしております。
 次に新たな路線についてでございますが、新たな路線の開設については、現在、周辺需要や地域間交流の可能性なども含め、航空会社等、関係機関と協議を重ねているところでございますので、今後とも和歌山県新空港建設・利用促進議員連盟の皆様方のご支援についてよろしくお願い申し上げます。
 次に、滑走路の二千メーターへの延長についてでございます。
 さきの政府要望においても説明させていただきましたが、現在、平成八年度を初年度とする第七次空港整備五箇年計画に位置づけていただくべく、国に対して要望しているところでございます。滑走路の二千メーター化により、就航可能な航空機機材が新空港の小型ジェット機から中型ジェット機にまでふえることとなるわけでございまして、これによりなお快適性や利便性の向上が図られることとなり、利用客の増加につながるものと考えてございます。なお、議員ご質問の中にもございました海外からのチャーター便等も、より広範に可能となると考えてございます。
 県としては、紀南地方の拠点空港として滑走路の延長について積極的に取り組んでまいりたいと考えてございますので、この点についても、議員の皆様方におかれましては今後ともご支援、ご協力をお願いする次第でございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) ご質問の南紀白浜空港の現空港の跡地利用についてでございます。
 新空港との相乗効果が期待されること、紀南地域全体の活性化につながるものであること、また、できる限り民間活力の導入を図ってまいりたいとの基本的な視点に立って検討しているところでございますが、現状では民間資本の導入による恒久的整備といったことが困難な経済状況下にあることもございまして、さしあたり当面の現実的な対応として、恒久的整備のための諸条件が整うまでの間の暫定的利用の方策について、地元や関係の皆様方のご意見、ご協力をいただきながら一定の方向を導き出したいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番玉置公良君。
○玉置公良君 前向きのご答弁、ありがとうございました。
 ただ一点、紀南地方への医療、保健、福祉の人材育成専門学校の設置に絞って、要望だけ加えておきたいと思います。
 私は今でも、紀南に福祉大学をつくってほしいという要望を持っております。しかし、やはり現実的な対応として、具体的にまず専門学校をつくっていってほしい、そういった気持ちで今回質問をいたしました。
 私の地元の白浜はまゆう病院が去年の二月にオープンいたしました。私自身もかかわらせていただきましたけれども、今、理学療法士さんが五名、作業療法士さんが一名、働いてくれております。その方々はほとんど、実を言うと県外からわざわざ来ていただいたという状況でございました。また、一昨年、田辺市で行政として理学療法士さんを募集したわけですけれども、地元にいなくて和歌山市から来ていただいたということも聞いております。
 現実、やっぱり紀南には人がないんです。関係部局の方々はそれぞれ忙しいとは思いますけれども、もっと紀南の現場を歩いていただきながら、現場の人たちの悩みや声を聞いて実態を把握していただきたいと思います。
 私は、ただ単なる計算上の需要と供給を言っているのではないのであります。そのことによって若者が定着をし、そして紀南の活性化につながっていく、紀南に専門学校をつくることによってそういったことを総合的に考えてほしいと、こういったことを述べさせていただいたと思っています。
 後追い行政ではなくて、他府県よりも十年先を見越した人材育成や若者が定着できる町を──私自身も頑張ってまいります──一緒につくり出していこうではありませんか。人材の育成は市町村では困難でございます。民間任せでなく、県が主体的にこの問題に取り組んでほしいと思います。
 私自身、選挙期間中もこの問題を多く聞いてまいりました。今後とも、委員会さらには本会議等で意見反映をしてまいりたいと思っています。どうか、実現に向かってお願いをする次第でございます。
 以上、要望して終わりたいと思います。ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十六分散会

このページの先頭へ