平成7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成七年六月二十六日(月曜日)
     午前十時開議
 第一 議案第八十五号から議案第百一号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十五号から議案第百一号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川   武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門   三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島   雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 長 坂 隆 司
 18 番 井 谷   勲
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗   正 彦
 24 番 橋 本   進
 25 番 谷   洋 一
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 東 山 昭 久
 28 番 尾 崎 要 二
 29 番 野見山   海
 30 番 木 下 秀 男
 31 番 町 田   亘
 32 番 中 山   豊
 33 番 山 下 直 也
 34 番 鶴 田 至 弘
 35 番 森   正 樹
 36 番 村 岡 キミ子
 37 番 新 田 和 弘
 38 番 平 越 孝 哉
 39 番 森 本 明 雄
 40 番 神 出 政 巳
 41 番 松 本 泰 造
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
欠 席 議 員(一人)
 44 番 中 村 裕 一
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 梅 田 善 彦
 出納長 中 西 伸 雄
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 民生部長 木 村 栄 行
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 山 次 郎
 農林水産部長 日 根 紀 男
 土木部長 山 根 一 男
 企業局長 中 村 協 二
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長職務代行者
    山 本   昭
 教育長 西 川 時千代
  以下教育次長
 公安委員会委員 中 尾 公 彦
 警察本部長 西 川 徹 矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
    水 谷 舜 介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
    谷 口 庄 一
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 岩 垣   孝
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 松 田 捷 穂
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 長 尾 照 雄
 総務課長 岡 山 哲 夫
 調査課長 柏 木   衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田   繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
  ─────────────────────
 午前十時六分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
○議長(橋本 進君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第八十七号については職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありましたので、職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
  ───────────────────
      和人委第91号
      平成7年6月22日
 和歌山県議会議長 橋 本 進 殿
  和歌山県人事委員会委員長 水 谷 舜 介
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成7年6月19日付け和議会第106号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
     記
 議案第87号 和歌山県退職年金及び退職一時金に関する特別取扱条例等の一部を改正する条例
    意 見
 上記条例案については、適当であると認めます。
  ─────────────────────
 【日程第一 議案第八十五号から議案第百一号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 次に日程第一、議案第八十五号から議案第百一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 21番堀本隆男君。
 〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 今議会の最初に質問する光栄を与えていただいた先輩議員、同僚議員に感謝を申し上げ、議長のお許しを得て質問に入らせていただきます。
 私は、かつてこの議場で、戦後の三代知事の政策の特色を独断と偏見で述べさせていただいたことがあります。再度ご紹介いたしますと、昭和二十二年から四十二年までにご就任いただいた故小野真次知事は、「紀北は工業、紀南は観光」というキャッチフレーズで北部臨海工業地帯の整備に力点を置き、繊維、木材、皮革等の地場産業の育成と、住友金属を初め臨海装置型の鉄鋼、石油精製産業等の発展に努められた、そして紀南は、すばらしい自然環境と歴史、文化、温泉という観光資源を生かし、ホテル・旅館の育成に努められた、いわばひたすらにパイを大きくすることに専念された知事と言えます。
 昭和四十二年から五十年までご就任いただいた故大橋知事は、いわゆる三大プロジェクト──紀北那賀郡の南ろくに研究学園都市構想、紀中御坊市周辺に田園工業都市構想、紀南東牟婁郡に福祉エリア構想を掲げ、当時、全国的に高度成長期で、工業開発一色の日本の中で公害防止、環境保全を尊重、地域発展のウエートを高等教育、文化、スポーツの振興、青少年育成と福祉の充実に努められた、いわばパイの中身をよくする政策の展開に努められたわけであります。
 そして、昭和五十年から現在まで十九年七カ月ご就任いただいた仮谷知事は、紀伊半島という辺地性のゆえに高速交通体系から取り残され高度経済成長路線に乗り切れなかった政策の選択が結果として一人当たり県民所得の全国順位を相対的に後位に押し下げられた県勢を引き継ぎ、課題として県経済の発展と県民生活の質をよくするという、いわばパイを大きくし、同時にパイの中身をよくするという二つの命題を背負ってスタートしたわけであります。
 先日、仮谷知事在任中の主な事業一覧表を見せていただきました。大変な事業の数々であります。余りご自慢をなさらない知事であるだけに多くの人々に知られてはございませんが、業績は大変大きいものと思われます。そして目につくのは、社会資本、産業基盤の整備に打ち込んでおられることでありまして、和歌山県がこれから飛躍する基盤の骨格は相当進められたと評価いたしたいのであります。
 仮谷県政総仕上げとも言うべきリゾート博の大成功、関西国際空港の完成とその後の発展ぶり、頭脳立地構想、和歌山大学のシステム工学部の創設、近畿大学生物理工学部の誘致とさらなる学科増設、県立医科大学移転整備の着手など高等教育機関の前進、湾岸道路と阪和間高速道路の完成、そして高速道路の広川ランプウエーの開通と御坊・南部までの工事化、さらに幹線国道、県道の県内各所での改良促進は肌身で感じられるところであり、著名な経済人をして「不景気な日本だが、和歌山の株だけは高くなったようだ」と言わしめております。
 先日、松下興産の関根社長の講演をお聞きしましたが、リゾート博の大成功は、一つは景気が回復基調で財布のひもが多少緩んだこと、二つに好天に恵まれたこと、三つにリゾート博を盛り上げる県民意識と県民の協力がよかったことを挙げ、最も大きな成功理由として、四つ目に湾岸道路、阪和間高速道路の全通を取り上げ、和歌山は近いと実感した京阪神の人々を呼び込んだことが成功につながったと話しておられました。
 私は、別の視点から、このプロジェクトを決断し、松下興産を誘致し、そして成功をもたらした知事の手腕のすごさを挙げたいと思います。
 たしか昭和五十三年だったと思いますが、知事は企業誘致に懸命で、どうしても松下電器に進出していただきたいと、松下幸之助相談役に会いに行かれました。当時、私は県職員として企画部におり、知事に随行しましたが、その際、幸之助相談役は知事に、「和歌山へ行くよう部下に言っているのだが、交通網が悪く土地の値段が高いと、なかなか動いてくれない。まあ何とか考えましょう」と言われました。そして、和歌山県の将来のことについていろいろアドバイスがあり、そのとき強烈に印象づけられた言葉は、「これからは空港ですな。世界でも、日本でも。松下は全国三十七府県に工場があるが、空港のないところへは進出していない」と、暗に関西国際空港を示唆されておりました。そしてもう一言、「独立でんな。和歌山は独立し、独立国にならないと」と言われました。いまだに私にはこの言葉の真意がわかりません。
 近畿の各府県が泉南沖空港に対して騒音公害、環境保全の視点などからなかなか賛意を表せない中、和歌山県の仮谷知事が一番先に賛成を打ち出されたことは、皆さんご承知のとおりであります。関空の決定が阪和間高速道路の全通と湾岸道路の完成という巨大なプロジェクトをも同時に完成させるという知事の先見性と強いリーダーシップがリゾート博の成功をもたらし、和歌山の株を高くしたゆえんであるのであります。仮谷知事の業績は和歌山県政史に永遠に輝くことでありましょう。
 さて、松下興産の関根社長は、「リゾート博の成功で終わりなのではなく、その後が問題ではないか。立派な燦黒潮リゾート構想もあり、観光立県としてそれらをいかに実現していくか、その努力がこれから必要であり、松下興産はあの島を完結すること、リゾート都市をつくり上げることに努力する。将来、関空は必ず日本一の空港になる。大阪ではユニバーサルスタジオの誘致も実現する。東南アジアの核として発展する。そのためにも、今準備しておくことが最も大切なことだ」と強調しておられました。
 次に、これは全日本の問題ではありますが、ことし一月十七日に起こった阪神・淡路大震災は多くの人命の犠牲と阪神経済圏に大きな打撃を与え、政府及び自治体の危機管理システムが改めて問われ、本県経済も大きな打撃を受けております。平成不況は、昨年やや明るさを回復しましたが、ことしは一段と深刻になってきました。産業のグローバル化に伴うNIES諸国や中国、東南アジア各国の高度成長に比べ、日本は「うつむき加減」とか「アジアの病人」と言われ始めるほど国内経済は不振に陥ってまいりました。株価の不気味な下落、地価の歯どめのない値下がり、内外価格差や価格破壊と規制緩和の波、そして企業のリストラのうねりが「日本の町から工場が消える」と言われるほどの国内企業の海外進出となり、産業空洞化と失業を生み、さらにアメリカの壮絶な為替戦略、超円高ドル安戦略は日本の輸出産業に恐怖を与え、加えて国内産業も安い海外製品の輸入の打撃を受け、いずれも倒産または閉鎖が増大しつつあります。さらにメリルリンチ社の試算によれば、日本の対外資産はドル安のために為替差損で国富が四十七兆円消えると報じております。つまり、日本がこれまで営々として稼いだ海外の富が一瞬にして消失するすごさでございます。
 今、日本の一世帯当たりの消費支出と勤労者世帯の実収入も、前年比マイナスとなりました。このことの結果が企業の売り上げを減少させ、さらに商品価格を下落させ、この悪循環を繰り返して雇用や賃金を落ち込ませ、さらなる消費と物価の下落をもたらすという、デフレ経済に陥っていることが明らかになってまいりました。
 「エコノミスト」六月二十日号は、「デフレ経済の真実」を特集してございます。戦後、右肩上がりの経済成長ばかり追い求めた日本政府と日本企業はこの初体験に気づかず、今や政府機関、企業経済システムの抜本的見直しを迫られるに至りました。その上、サリン事件、オウム真理教の社会不安が加わり、この先日本がどうなっていくのか、世論は政治と政府のリーダーシップを改めて厳しく問い直しているところであります。
 ところで、私は、こうしたオールジャパンの厳しい現実も二十一世紀へ持ち越すことは決してないと思っております。日本はこれを乗り越え、切り開いていく英知とエネルギーがあるからであります。しかし、現今のこうした厳しい経済社会環境をある程度踏まえて、これからの和歌山県づくりをどのように進めていけばいいのか。和歌山県の特色と独自性を生かした、つまり新紀の国づくりにどう取り組んでいくべきか。豊かで、安全で、安心のできる、ゆとりと潤いのある県民生活の実現が行政と政治の究極の目標であります。そして、ビジョンが不可欠であります。
 そこで、質問に入らせていただきます。
 文字どおり仮谷知事のライフワークであった県づくりのこれまでの軌跡についてのご感想と、今もなおふつふつと情熱のたぎる思いの未来の和歌山県のビジョン、二十一世紀の和歌山県像をお伺いしたいのであります。知事の夢で結構でございます。
 知事のご家系も、知事ご自身も、長命な相でございます。多分かくしゃくとしておられる二十年後の和歌山県の姿、特に高速交通体系、産業構造、情報通信網、高齢者福祉、教育文化、その他について展望をお教え願いたいのであります。ご自身のうんちくを披瀝賜りたいのであります。
 「松下興産では瀬戸内二〇五〇プランを掲げ、五十年後の社会はどうあるべきかを考えている。その未来から今日を見据え、一歩一歩実行し実現していくことが大きな務めである」と関根社長は語っておられました。多分、知事のビジョンは次の世代の大きな遺産になることと思われます。
 企画部長にお尋ねします。
 まず、関空の効果について。本県でのデータの収集は難しいかと思いますが、現時点での把握し得る効果を多方面にわたってお示しいただきたい。
 次に、大阪府知事は、関空全体構想の推進のうち第二期計画を第七次空港整備計画に組み入れるべく上下分離方式を発表されておりますが、この案に対する本県のスタンスをご教示いただきたい。
 さて、南北格差について質問いたします。
 県は半島振興、過疎対策に大変力を注いでくれており、深く感謝するところであります。それにもかかわらず、紀南の東西牟婁郡では依然として人口減少、若者の流出、高齢化に歯どめがかからない。そうして、南北の所得格差も開く一方であります。
 ご承知のことと存じますが、九四年版「個人所得指標」によりますと、全国平均を一〇〇としたとき、東京都は一五〇、和歌山県は七七、西牟婁郡は六四となっており、私の出身地の日置川町では四七・三と、東京都の三分の一にも満たないのであります。この原因は、主力産業である農林水産業の不振、高速交通体系のおくれにより企業誘致や新産業興しが進まないことに尽きると言われてございます。その上、社会資本の整備や産業基盤の整備の面でも格差が開く一方です。
 近年の和歌山市を中心とする紀北の県の施設整備には目をみはるものがあり、地域のグレードを上げております。それは知事の業績でもありますが、紀南に住む県民にとっては何ともやるせないものがあります。ようやく新南紀空港・白浜空港の整備に伴う滑走路跡地に、また大島架橋に伴う島内開発に新レジャー産業の誘致の動きがありますが、これに対する県の今後の対応並びに支援が必要と思われます。この南北格差についての認識と格差解消についての部長のご所見を承りたい。私は、県議選三期目出馬に当たっての公約のトップにこの南北格差の是正を訴えてございます。
 次に、商工労働部長にお尋ねいたします。
 一昨年、策定後十年以上も経過し、時代に適しなくなっている本県の産業活性化ビジョンについて改定を強く訴えたところであります。現在策定作業中と伺っておりますが、その見通しはいかがでありますか。
 聞くところによりますと、国では五全総に向かって国土審議会がスタートしました。そして大きな枠組みとして、新国土軸構想、従来の圏域を超えた新しい国内の交流圏を目指す広域交流圏構想、国際経済のグローバル化を考えての国際交流圏構想──これは、東南アジア、中国の華南経済圏と西日本太平洋岸各県の経済圏を結びつけて発展をねらう構想でございます──があり、いずれも本県にかかわりの強い構想ばかりであります。
 また、経済企画庁は新経済計画の中間取りまとめを発表し、二十一世紀の経済社会は、一、少子・高齢社会、二、よりグローバル化した社会、三、高度情報通信社会としております。一方、近畿圏の計画では、近畿通産局においても近畿産業構造展望委員会がまとめた二十一世紀を展望した戦略三分野を挙げ、これらの産業のフロンティアベッドが必要とされております。近畿における長期のトレンドがおおむね固まってまいりました。本県産業活性化ビジョンは県民に期待されております。
 さらに、このビジョンにはもう一つの重要な使命もあります。それは、国の五全総が策定されると本県の第五次長期総合計画の策定がされるわけでありますが、このビジョンが第五次長計の産業振興の骨格をなす役割を持っており、そうした意味で新機軸の創出が期待されているわけであります。
 私見として、やはり関西国際空港を生かし切った施策の展開と、県民にやる気になってもらうこと、他府県から和歌山へ進出したいと言わしめるものが求められていると思うのであります。大変難しいこととは思いますが、紀の川流域と高速道路インターの周辺に世界の先端産業を誘致することが大事と考えます。そのための受け皿づくり、企業用地の造成は不可欠であります。
 同時に、紀南は観光産業、リゾート産業をいかに育成・誘致していくかということが最大課題と考えております。関空の服部社長がさる座談会で、「和歌山県は、関空開港で日本で二番目に世界に近い県になる。国内便も多い。県にとって観光開発が仮にメーンであるならば、和歌山を変える最後のチャンス。ただ、じっと待っていてはだめです」と語っております。
 次に、水産試験場の整備についてお尋ねいたします。
 本県の基幹産業である農林水産業も、ウルグアイ・ラウンド合意以降、外圧に対する諸施策を着々と講じられているところでありますが、一方、昨今の円高による輸入農水産物の急増と定着化は、憂慮せざるを得ない事態に至ってございます。また水産関係では、海の憲法と言われる国連海洋法条約が発効し、日本もその批准を迫られており、二百海里経済専管水域における資源管理、漁獲制限のおそれも出てまいりました。さらに漁業従事者の高齢化と後継者不足も深刻であり、十年後には一体どうなるのか、行政にその対応が厳しく迫られてまいりました。
 こうした背景を考えるとき、新しい時代に適応した漁業体制を確立し漁業振興を図っていかねばならないときに、現在の本県の水産試験場の組織、そして全国一小さくて古いと言われる施設・設備で対応できるのかという懸念があります。
 そこで、総括的な問題については知事に、次の二点については農林水産部長のご回答をお願いいたします。
 一点は、水産試験場のリフレッシュ、施設の更新についてであります。
 私は時々水産試験場を訪ねますが、その狭さには驚かされます。県政バスが訪問しても、場内に入って仕事ぶりを見学することもできないとか、また漁業者が黒潮の状況を聞きに行っても座るところがなく廊下で説明を受ける状態で、雨漏りなどその老朽化もひどく、機械器具類の保持にも苦労しており、空調設備も悪く、精密機器の設置場所もない事態に至っているようであります。他府県から視察に来て驚いている様子で、一日も早い施設・設備の更新、リフレッシュが現水試で求められていると考えておりますが、いかがでありましょうか。
 二点目は、水産試験場の多機能化と水産センターについてであります。
 漁業従事者の減少、高齢化、後継者不在、そして漁業生産量と生産額の減少は、漁業そのものの存続にかかわるゆゆしい問題となってまいりました。原因は日本の産業構造的なものではありますが、私は、これらの問題に対する起爆剤の一つとして水産試験場の整備を考えたいのであります。
 一つ目は、試験場を伝統技術の保存・伝承の場とするとともに、先端技術情報発信基地としての機能の充実、つまり次世代の核となる技術をつくり出し、漁業の担い手となる子供に夢と将来への鮮明なビジョンを与える試験研究機関とすること、二つ目は、二百海里専管水域内における海洋資源、つまり海底及び海水の活用に関する研究機能の充実、三つ目は、二十一世紀の余暇時代を迎え、観光産業、リゾート産業ともタイアップしたマリンスポーツ、マリンレジャー分野の研究・導入の機能──海洋レクリエーションの需要の増大は時代の流れであり、漁港がヨットを受け入れたように、水産業もこれを取り込んで発展する導入役を試験場に持ってほしい。この三つの機能を果たすため、名称を「水産センター」として充実するように提案したいのであります。県民に開かれた施設、文化と産業の中核を目指した施設としてほしいのであります。
 次に、土木部長にお尋ねいたします。
 南北格差是正の最大の課題は高速道路の整備に尽きると言われております。仮谷知事が最も力を入れておられる紀南延伸について、現在調査中の南部・すさみ間の整備計画路線への昇格は平成何年ごろに見込まれるのか、次期国幹審がいつ開催されるのか、お尋ねいたします。不況対策の一環として公共投資の増大を求めるよいタイミングであり、そうした要望活動についてもお伺いいたします。
 同時に、高速道路が大阪から、そして神戸から一気に広川まで延びて約一年が経過しましたが、人の動き、貨物の動き、他府県の評判等、この効果について教えていただきたい。
 さて、国道四十二号田辺バイパスは稲成町まで完成し、大変喜ばれております。そこで、この稲成・南部間について、今後の整備の見通しが大きな関心事となっております。高速道路の南部までの完成時期と合わせてうまくドッキングできるか、今後の見通しをお伺いしたいのであります。
 次に、国道四十二号の登坂車線について整備の見通しをお尋ねしたいのでありますが、特に日高町から由良町の間と由良町と広川町の間の登坂車線の整備を訴えられております。一部区間整備されておりますが、それでも他府県に比べおくれていると思うとの指摘があり、価格破壊の動きで高速道路を利用しがたい業種の産業が多いことを理解してほしいとのことであります。
 以上、建設省が所管ではありますが、お答え賜りたいのであります。
 さて、串本町にとって夢とまで言われた大島架橋が去る二月に着工され、平成十一年に向かって着々と工事が進められております。仮谷知事のご英断に町民挙げて喜んでおり、心から感謝申し上げる次第であります。そして、早くも大島島内の開発が期待され、将来宝の島になるとまで言われるようになりました。
 ところで、一点ご質問いたしたいのであります。現在工事が進められている大島地区の橋詰め付近から須江に向かい、現道と結ぶ二千三百四十メートルの区間についてでありますが、もし将来、不測の災害でこの区間が通行不能となった場合、全島の車が全く通れないときの対応が心配されているわけであります。須江、樫野はもちろん、地元の大島地区も全く困るのであります。
 仄聞するところでは、大島地区から橋詰めへのバイパスが検討されているようでありますが、串本町においても技術的な可能性の調査を始めております。その内容についてお伺いいたします。
 最後になりましたが、観光和歌山県にとって「美しい和歌山」は最大の財産であります。しかし、紀南を含め県下各地に不法投棄の車両が目につくのは大変残念なことであります。国道や県道あるいは市町村道の道路わき、河川や海岸敷、公共管理の広場等にこうした放置自動車が見受けられます。必ずしも県の責任ではございませんが、県はこれまでどのように対処されてきたのか、また今後どのように対応されるのか等、お答えいただきたいのであります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 堀本議員にお答えいたします。
 これまでの県政を行ってきた感想並びに二十年後の夢についてということでございます。
 私はまだ任期が残されておりますので、現在は全力を尽くして県政を全うしてまいりたく努力しておるところでございますけれども、ご質問でございますので、少し感想を述べさせていただきたいと思います。
 私が就任したのは昭和五十年の十一月でございました。大橋先生が知事に当選された四月ごろはまだ景気がよかったのでございますけれども、十一月になるとかつてないほどの急激な落差があり、オイルショックの影響等で財政的にも非常に厳しくなってまいりました。そうしたことから、県の定員、また機構改革等、財源を節約する分野に努力を傾注したわけでございまして、限りない行政需要にいかに対処するかということが一番の課題でございました。
 そうした中で、県にとって最大の課題は半島ゆえの不便さの克服でございました。そのためにまず全力を尽くしたのは、交通網の整備でございます。近畿自動車道の南伸と大阪との連結、紀勢本線・和歌山線の電化、そして特急くろしおの新大阪駅乗り入れ、関西空港の開港、南紀白浜空港のジェット化、国道の昇格──県内ほとんどの町村に国道が通ったわけでございます──また県内の道路網の整備を進め、格段の時間短縮を図ったわけでございます。
 また、皆さんとともに半島振興法を立法化いたしました。その感慨もひとしお深いものがございます。
 農業や産業振興につきましては、議会の皆さんとともに果樹王国和歌山の建設、農道・林道等の拡張延長と企業誘致等に努め、また福祉対策も、全国の予算の中では八番目か九番目の位置を占める形になっております。
 同和問題につきましても、地対法以来、同和対策委員として財特法並びに財特法延長等において全力を尽くしたことも思い出深いものがございます。
 教育の分野において、私立高校や近畿大学の誘致、和歌山大学システム工学部の設置、県立医科大学の移転整備、美術館等文化施設や多目的ホールの建設等の施策を推進してまいりました。
 また、昨年マリーナシティにおいて開催されたリゾート博が成功いたしました。県民は、ふるさとに自信と誇りを持つことができました。これからが和歌山の新しい時代ではないかと思っております。
 それから、未来の問題でございますけれども、話ございましたように関空全体構想は実現しておると思います。阪神・大阪湾と並ぶ立派な国際港湾和歌山下津港としての港湾整備、並びに日高・田辺・新宮の港湾整備、近畿自動車道の新宮までの全通、また、紀淡海峡はもちろんでございますけれども、太平洋新国土軸が完成しているのではないか、そしてその国土軸の中に位置する和歌山県は産業的に経済的に大いに発展するのではないかと、かように思っておるわけでございます。
 また、和歌山県は今まで交通が不便でありましたけれども、これからのマルチメディア時代において至近距離という意識が生まれ、そして関空との関連から新しい産業がすばらしい自然環境のもとで発達し、リゾートを生かした国際都市として、また高野・熊野に代表される本県の文化がなお一層新しい和歌山の文化として発展してまいると思います。また、海に空に川にと、我々にはすばらしい自然環境がございますし、人情も豊かでございます。そうした中で、保健、医療を初め、行き届いた福祉社会の建設というものができ上がるなど、夢は限りなく続いていくのではないかと思っております。
 それから、水産試験研究機関の整備についてでございます。
 先ほど話ございましたように、各施設が老朽化し、また狭隘化しております。そのために水産研究機関整備計画検討委員会というものをつくり、そこにおいて検討した報告書をいただいており、現在それを検討しております。しかしながら、用地取得や地元合意の問題等、非常に難しい課題が残っておりまして、今後どのように整備するか十分検討してまいりたいと思っております。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 堀本議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港についてでございますが、現在、国内線が当初目標の一日七十便に対し七十八便、国際線は九十便に対し六十三便が就航してございます。
 議員ご質問の関空効果についてでございますが、開港後六カ月の動向を見てみますと、大阪国際空港の前年同時期の実績と比べて、入国旅客数が百七十六万人、三二%の増加、貨物取扱量についても、輸出で六一%、輸入で五〇%の増加となっており、関西にもたらす効果としては大きなものと考えてございます。
 また、本県への波及につきましては、国内外の主要都市との時間距離が飛躍的に短縮されたことが最大の効果であり、その利便性が各分野で活用されるものと期待しております。
 ただ、開港後短期間であることから十分なデータがまだまとまっておりませんが、現在把握のできるものについてお答えいたします。
 まず、人口についてでございますが、開港前と開港後の十二月の住民基本台帳を比較いたしますと、隣接地域である二市六町では二千八百五十七人の増加となってございます。
 交通につきましては、阪和自動車道の開港前と開港後の、例えば上之郷インターチェンジと和歌山インターチェンジ間の一日交通量は五六%増加し、上之郷インターチェンジから海南インターチェンジ間については約二倍に増加してございます。
 また、旅券発行数につきましては、昨年八月から十二月の対前年伸び率が四五%と全国平均を大きく上回っておりまして、この五月においても全国一の伸び率を維持してございます。
 また、日本交通公社和歌山支店の九月から十二月の海外旅行ツアー販売実績が前年同期を約四〇%上回り、リムジンバス和歌山線の利用状況がこの四月までに十四万人以上となっていることからも、海外旅行が活発化していると考えられます。
 また、直接的な効果としては、旅客ターミナルビル等への出店を初め、日本航空株式会社の和歌山寮・社宅の立地、空港グランドサービス株式会社独身寮の立地、航空会社支店の進出、県産ジュースの機内食納入等がございます。
 このように、関西国際空港の波及は徐々に各分野に浸透しつつあるものと考えておりまして、今後もこのインパクトを享受するため、官民協力して努力してまいりたいと考えてございます。
 次に関西国際空港全体構想の推進につきましては、平成八年度から始まる第七次空港整備五箇年計画に二期計画の早期着工が盛り込まれるよう、オール関西で組織する関西国際空港全体構想推進協議会において検討を重ねてまいりました。
 去る五月に同協議会の全体構想実現化方策検討委員会の報告がなされ、代表委員会において、法制度面、資金面などの諸課題の解決を条件に、大阪府、大阪市を中心とする関係地方公共団体が用地造成の事業主体となるなど、全体構想を積極的に推進することといたしたところでございます。
 また、六月六日に行われた第七次空港整備五箇年計画の航空審議会ヒアリングにおいて、大阪府、関西経済連合会が地元を代表して条件つき主体分離方式を説明したものでございます。
 今後は、国家的プロジェクトである関西国際空港を第一級のハブ空港とするため、また関西の復権さらには県勢の活性化につなげるためにも第七次空港整備五箇年計画に二期計画の早期着工を盛り込むべく努力をするとともに、空港整備財源の充実など、積極的な負担についても国に強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、南北格差についてと、紀南における新レジャー産業への対応についてでございます。
 紀南地方は過疎化、高齢化が進展し、国土軸から離れている分、産業基盤の整備等が進まず、紀南地域を取り巻く環境には厳しいものがあると認識してございます。しかしながら、紀南地方は我が国でも有数の温暖な気候と豊かな自然・文化資源に恵まれたところであり、国民の価値観が大きく変化し文化志向、自然志向が強まる中で、今後その価値が一層注目されるところであると考えてございます。
 こうした面で、紀南地方の特性を生かした地域開発をより積極的に進めるためには、まず交通網の整備が肝要であるとの考えのもと、近畿自動車道紀勢線の南伸、地域高規格道路五条新宮道路や内陸交通網の整備、大島架橋の建設、南紀白浜空港のジェット化、紀勢本線の高速化、ヘリネットワークの構築など、総合交通体系の整備を進めているところでございます。
 こうした交通体系の整備をインパクトとして、熊野の歴史、文化、自然といった全国に誇れる資源を最大限に生かした良好な観光・リゾート地の形成を進めてまいりたいと存じます。
 第三次中期実施計画においては、熊野学研究センターの整備、海辺のふれあいゾーンの整備、歴史街道構想などを主要プロジェクトとして位置づけ、紀南地方の活性化に取り組んでいるところでございますが、さらにグリーンツーリズムや海洋レジャーの基盤整備、一村一休養施設の整備等について、市町村と連携を図り、地域の自主的な活動を支援しながら促進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 和歌山県産業活性化ビジョンの策定についてお答えします。
 和歌山県産業活性化ビジョンの策定につきましては、平成五年度から基礎調査を実施し、平成六年度は有識者等による策定委員会を設置して検討を重ねてまいったところでございます。その最終案がまとまりましたので、近く公表することとしてございます。
 今回のビジョンは、二十一世紀初めすなわち西暦二〇〇五年を目標に、本県産業の望ましい姿を展望し、今後取り組むべき施策の方向性を内容とするものでございます。ビジョン実現のための施策の基本的な方向といたしましては、和歌山の資源と創意を生かした産業社会の形成を図ることとしてございます。
 具体的な施策展開の主なものといたしましては、関西国際空港への近接性を生かした、アジア諸国との経済交流などの国際的な産業活動の展開、地域産業の技術力強化による創造的な企業の育成、心の豊かさが実感できる観光・リゾート産業の振興など、七つの具体的な方向性を掲げているところでございます。このビジョンは、本県の第五次長期総合計画策定の際には、県産業の振興に関する基本的な考えとしての役割を果たすものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 水産試験場の整備についてでございますが、多様化する水産業に対応できる水産試験場を初めとする試験研究機関の整備は、まことに重要なことと認識しております。
 第一点目の、水産試験場のリフレッシュ、施設更新についてでございます。現施設は老朽化や狭隘のため施設の更新は必要と考えてございますが、先ほど知事から答弁がございましたように難しい課題もございますので、今後、関係者との連携を図りながらこうした課題の解決に努め、水産試験場ほか研究機関の効率的な整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 第二点目の水産試験場の多機能化と名称についてでございますが、将来の水産業のあり方を考えた場合、まことに貴重なご意見、ご提言でございます。今後、整備を進める上で十分参考にしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 堀本議員の道路基盤の整備促進についてのご質問五点についてお答えいたします。
 まず、高速道路紀南延伸に関することでございますが、近畿自動車道紀勢線の南部・田辺間六キロメートルは平成元年二月に、また田辺・すさみ間二十七キロメートルについては平成三年十二月の国幹審において基本計画に組み入れられたところでございます。
 整備計画への組み入れにつきましては、現在、道路審議会において、ことしの秋を目途に今後の有料道路制度のあり方に関して議論がなされておりますが、これらの結果を受けて整備計画などについて検討が進められることとなっておりまして、次期の国幹審はその後のことと聞いてございます。
 県としましても、議会の皆様方のご協力をいただきながら、南部・すさみ間が整備計画に組み入れられるよう国に強く要望してまいりたいと思っております。
 次にご指摘の点ですが、ご承知のように、平成五年九月に堺から岸和田間の開通による阪和自動車道の全線開通、それから平成六年四月に阪神高速湾岸線の全線開通がなされたところでございます。
 人の動き、貨物の動きなどの変化を直接示すデータはございませんが、海南湯浅道路の最近の交通量のデータを見てみますと、年間を通じた平均の交通量も平成五年、六年と連続して一〇%程度の伸びを示しておりまして、特に大型車の伸びは約二〇%を示してございます。
 また、広川・吉備間六・四キロメートルが開通したことにより、この区間の通過時間は、渋滞時には三十分を要したものが五分に短縮されたとも言われております。
 議員ご指摘のように、昨年の世界リゾート博の成功はこうした高速道路の開通も誘因の一つであり、また神戸から広川まで一時間三十分で来れたという話も聞いているところで、他府県の方々から、和歌山も随分近くなったと言われているところでございます。
 いずれにいたしましても、交流の拡大、生活基盤の充実、自動車輸送の効率性の向上の上で高速道路は必要不可欠であり、今後とも整備促進に努力してまいります。
 次に、国道四十二号田辺バイパスの稲成・南部間の今後の整備見込みについてですが、ご指摘の区間につきましても、近畿自動車の早期整備を国に対し強く要望しているところであります。
 一方、国道四十二号のうちで稲成・芳養間約四キロメートルにつきましては、西田辺バイパスとして、ルート検討を含め、都市計画決定のための作業を急いでいるところでございます。
 なお、西田辺バイパスの事業計画につきましては、近畿自動車道南部・田辺間との関係をよく整理する必要があると考えております。
 また、高速道路の御坊・南部間の完成へ向けて、南部インターチェンジから国道四十二号へのアクセス道路を整備することとしており、さらに国道四十二号の代替的な機能を果たす県道上富田南部線などの整備について検討を進めているところでございます。これらの路線を整備することによって高速道路の御坊・南部間の完成時の交通の処理が円滑に行えるよう、努力してまいります。
 次に、国道四十二号の登坂車線の整備についてでございます。
 一般有料道路湯浅御坊道路につきましては、現在鋭意工事が進められているところでございますが、ご指摘の、国道四十二号の現道である日高町池田から由良町里の間約三・三キロメートル並びに由良町畑から広川町河瀬間約六キロメートルについては、歩道設置を含めた登坂車線に関する計画が建設省で進められてございます。平成五年度には日高町池田地内で七百メートルの登坂車線を完成し、現在、水越トンネルから由良町畑間を含めた概略設計を行っており、今後順次整備を進めていく予定と聞いてございます。
 次に、大橋架橋建設に伴うバイパスの設置見込みについてでございます。
 本年二月に起工式が行われた大島架橋並びに島内道路である樫野串本線につきましては、耐震性も十分考慮しているものでございますが、平成十一年度の完成を目途に現在鋭意工事を進めているところでございます。
 議員ご指摘の橋詰めから大島地内までのバイパスにつきましては、串本町において、本年度から高潮対策の計画にあわせ道路調査を行っております。地形的にも急峻で、橋詰めまでの高低差もかなりあるところですが、これらの調査をもとに工法、事業手法等を検討していく予定と聞いてございます。
 最後に、河川、海岸、道路敷周辺に散在する放置自動車についてでございます。
 道路敷への放置自動車につきましては、道路を良好な状態で維持し一般交通に支障を及ぼさないようにするため、交通安全面は無論のこと、景観の保持の面をも重視して道路パトロールを行い、自動車等が放置されないよう注意しているところでございます。既に放置された車については、道路法によって一定期間の通告手続をとりながら、交通安全、景観を乱さないよう早期撤去に努めているところでございます。
 河川敷等の放置自動車につきましては、平成六年度においてクリーンリバー事業によって放置自動車や粗大ごみ等を撤去し、良好な河川、海岸環境の維持を図ってまいりました。さらに、昨年度から五月二十九日を「紀の国川の日」と定め、シンポジウムや各種イベントを通じて川を大切にする心をはぐくむ運動を展開しております。
 いずれにいたしましても、放置自動車の根本的な解決には、県民一人一人に道路あるいは川や海を大切にする意識を持っていただくことが何よりも大切ではないかと考えております。今後とも、県内市町村と連携を密にしながら放置自動車の撤去及び啓発活動をより積極的に行い、良好な環境保全に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番新田和弘君。
 〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 六月五日が環境の日であり、六月は環境月間でありますので、初めに本県の環境施策についてお尋ねをいたします。
 今日の環境問題の推移と動向を展望すると、先進国における資源の大量消費、不用物の大量排出や開発途上国における人口の増大と貧困を背景として、地球環境の悪化が懸念されています。我が国においても、既に大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済活動が定着しており、従来の企業活動による公害に加え、地球の温暖化問題、都市生活型公害、廃棄物問題など、環境問題は地球環境を含めた広域な領域に広がり、それに対応するため、平成五年十一月十五日に環境基本法が制定されました。
 この基本法の第十五条には、「政府は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する基本的な計画を定めなければならない」と、環境基本計画の策定を定めています。また第三十六条では、「地方公共団体は、第五節に定める国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた環境の保全のために必要な施策を、これらの総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとする」と定めています。
 この環境基本法の規定に基づき、平成六年一月に内閣総理大臣より中央環境審議会に環境基本計画について諮問がなされ、一年間にわたる精力的な審議の後に答申され、平成六年十二月十六日に環境基本計画が閣議決定されました。この基本計画では、環境施策の長期的な目標として、環境への負荷の少ない循環を基調とする経済社会システムの実現、自然と人間との共生の確保、公平な役割分担のもとでのすべての主体的な参加の実現、国際的取り組みの推進の四つを掲げています。この環境基本計画は、我が国のこれからの地球環境時代を見据えた環境問題についての指針であり、二十一世紀初頭までの環境政策全体の羅針盤の役割を果たすものであると言われています。
 一方、都道府県では、環境基本法を受けて平成六年二月に大阪府は、環境の保全と創造を目指し、大阪府環境基本条例を発表しました。この条例では、前文で環境権について、「良好で快適な環境を享受することは、府民の基本的な権利」であると規定、さらに、事業の上で環境保全面を担当する環境総括責任者の設置を促進するとしています。大阪府は、この条例に伴い、昭和四十六年に制定した公害防止条例を生活環境の保全等に関する条例に改定しました。
 本年六月に兵庫県も環境基本条例を発表。オゾン層の保護のため特定フロンなどの大気中への排出を禁止する、希少野生動物の捕獲などには中止命令を出せるなど、環境保全に厳格な規定を設け、罰則も設定しました。現在、環境基本条例は全国の十二都道府県で制定され、兵庫県でも今月、県議会に提案されています。
 そこで、知事は環境基本法に基づく本県の環境基本条例及び環境基本計画に今後どう取り組まれるのか、お尋ねいたします。
 次に、保健環境部長にお尋ねいたします。
 一、環境基本条例制定の場合、現在の和歌山県公害防止条例をどう改められるのか。
 二、西防埋立工事、マリーナシティ建設工事等により、その後、海の水環境保全はどうか。
 三、環境保全のため、廃棄物の減量とリサイクルの推進を自治体、事業者、県民にどう進めるのか。
 四、廃棄物の積み出し基地及び第三セクター方式による廃棄物処理センターの建設は、どう進めるのか。
 五、自然に親しみ、自然の恩恵に感謝し、生物を愛する気持ちを養う環境教育をどう進められるのか。
 以上五点、お尋ねをいたします。
 次に、学校週五日制の月二回実施についてお尋ねをいたします。
 今年の四月から学校週五日制に伴う土曜休日が月二回に拡大されました。学校週五日制のねらいについて、前共立女子大学長の幸田三郎氏は、「社会の変化に主体的に対応できる人間を育成するということです。そのために、みずから学ぶ意欲を持ち、何を学ぶべきかということも自分で考えていく、そういう人間をつくらなければならないのです。それは、教科書に書いてある知識や技能をただ覚えるということではなく、生活の中で、自分が課題にぶつかったとき課題解決に働く力を身につけるということなのです」と、新しい学力観に立つ学校教育への転換がどうしても必要であることを述べています。
 これまでの学校は、家庭や社会の期待にこたえようとする余り、多くのものを抱え過ぎてきました。学校週五日制の月二回実施を機会にもう一度学校の役割を見直し、家庭が受け持つべきものは家庭に、地域社会に分担すべきものは地域社会に、それぞれ戻すことが必要であると言われています。
 学校教育は、今、家庭や地域社会でのさまざまな自然体験、社会体験、生活体験を通して、従来の「教え込む授業」から「みずから学ぶ授業」に転換する時代を迎えています。学校週五日制の学校教育は教師中心の授業から子供中心の授業への転換であり、こうした指導観、授業観への転換が不可欠であると思っています。
 学校週五日制の月二回実施に当たっての留意事項として、県教委は、一、学校の教育課程の編成・実施、具体的には授業時数の運用の工夫改善、指導内容の工夫改善、指導方法の工夫改善など、二、学校外活動の充実及び家庭や地域社会との連携・協力の二点を挙げております。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、学校週五日制の月二回実施に当たり、学校行事の精選、短縮授業の見直しなどにより必要な授業時数を確保するよう努めるとしています。本県の高校では既に、二学期制、六十五分授業、七十分授業の導入、七限目の活用など取り組みが行われていますが、教育長は月二回の週五日制実施における授業日数、授業時数の確保をどう指導されているのか。
 二、土曜日がすべて休日となる学校完全週五日制の実施について、文部省小学校課長の上杉道世氏は、五日制をさらに拡大するためには学習指導要領の改訂が必要と述べています。学習指導要領は、これまでおおむね十年に一度改訂がなされ、現在の学習指導要領は平成元年に改訂されております。次の改訂は平成十年と予想されるわけですが、改訂に当たっては、授業時間数や教科に大幅な改定と選択の幅を広げる内容になるのではないかと思われます。そこで、学校完全週五日制の実施と学習指導要領の改訂に対するお考えはどうか。
 三、家庭教育や地域の社会教育を活発にするためには、学校外活動の推進や学校開放を積極的に進め、子供同士の遊びや親子の触れ合いが強調されていますが、どう進められるのか。
 四、学校週五日制月二回実施に当たり、親の意識改革、教師の意識改革、新しい家庭生活の構築、地域社会の構築など、今後、家庭、地域との連携・協力をどう指導されるのか。
 以上四点、お尋ねをいたします。
 次に、いじめ・登校拒否問題についてお尋ねをいたします。
 昨年十一月、母親にあてた百十四万円の借用書、「少年時代の思い出 旅日記」と題された大学ノートと遺書を残して、愛知県西尾市の中学二年生・大河内清輝君がいじめを苦に自殺して半年が経過しました。この事件を機に、文部省は昨年十二月にいじめ防止へ緊急アピールを行い、すべての学校で総点検を実施して実情を把握し、適切な対応をとることを指示しました。本県においても昨年十二月にこの緊急アピールを受け、学校での総点検、取り組みを指導。さらに本年一月には、登校拒否・いじめ問題に関するプロジェクトチームを設置いたしました。四月には登校拒否・いじめ問題に関する検討委員会を設置し、この問題に取り組んできています。
 しかし、まことに残念なことに、本年の新学期スタートの四月十六日に、福岡県豊前市の中学二年生が遺書に男子生徒約十人の名前を挙げて、「プロレスごっこなどでいじめられた」と書き残して自殺。四月二十八日には奈良県橿原市の中学二年生が、「僕は学校に行きたい」との日記を残して自殺。また同じ日、長崎市の中学二年生が、「自分は殺されたも同然だ」とのメモを残して、校舎三階より飛びおり自殺を図った。さらに五月二十二日には、大阪府寝屋川市の難病治療を受けていた専修学校生が、「学校でいじめられた」と両親に打ち明け、学校と話し合いを行った直後に自殺するという悲しい事件が続いております。
 今月から始まった産経新聞の「いじめの底流」という連載に、清輝君のお父さん・大河内祥晴氏が率直な意見を述べております。「なぜ、『いじめられている』との一言が言えなかったのか、ということです・中略・自転車の件では学校に報告に行ったのですが、先生は、『本人がすべてを話さないかぎり学校としてもどうしようもない』ということをいわれたんですね。あのとき、もっと強く先生に、『いじめがあるのでは』と言っておけばよかったという思いもあるんです。 それからは、『学校なんてあてにならない。自分で現場を見るしか仕方がない』と思い、清輝といろいろな話をしました。例えば、『何かあるのなら、お父さんが朝学校まで送り、帰りに迎えに行く』という話もしました。しかし、彼は『そんなこと(いじめは)ないし、いやだ』と拒否したのでやめました」と、真情を語っております。
 本日の産経新聞に、清輝君が通っていた中学校で、昨日、事件を防げなかった学校、PTA、地域の反省と今後の取り組みを考える公開討論会が開かれ、その席上、同中学校の古橋指導主事が、「『思えばいじめの兆候そのものだった行為を見ようとしなかった自分が情けない』と対応の遅れを認めたが『事件から七カ月後の現在も(生徒同士の)いたずらや悪口はなくなっていない』と報告した」と報道されております。
 私は、こうしたいじめを苦にした自殺から感じることは、学校側が子供のSOSのサインに対していじめと受けとめず、本人が話をしない限り対応できないという姿勢のため、結局対応が後手に回ってしまうのではないかと思った次第であります。
 雑誌「潮」の二月号に、ルポライター・藤井誠二氏の「『いじめ自殺』“遺書/旅日記”が残した宿題」と題した文に、愛知県内の公立高校教師が地元の「中日新聞」にあてた投書が掲載されておりました。その文を抜粋しますと、「いじめにはあえてかかわらない。それが教育界のしきたり。生徒が私に悩みを言ってきたら、生徒指導に話しなさいと言う。クラスで『いじめの問題を皆で考えよう』なんて絶対しない。私一人、正義感で生徒にかかわったら周りから浮き、いじめられますよ」「二件の自殺があったでしょ。先生たちは『私じゃなく、よかった』とほっと胸をなでおろしています」。そして筆者は、「この教師を責めるのはたやすい。が、この投書は管理された教師の姿でもある」と述べております。この投書から、私は、一人一人を大切にした教育を目指す学校にまず意識を変えていただき、学校と家庭と本人が一体となっていじめに取り組まないと問題の解決はできないと思った次第であります。
 去る五月二十三日には、警察庁が小中学校のいじめの悪質なものについて今後事件として積極的に処理していくことを決め、全国少年課長会議で指示しました。これまで教育的配慮から事件としての処理は極めて悪質なものに限っていたが、一歩踏み出して取り組むことになったとのことであります。
 現在、いじめを苦にした自殺が相次いでいる上、遊びの形をとるケースもあるため周囲の人が気づかなかったり、いじめる側に罪の意識がほとんどなかったりして学校や家庭だけでは対応し切れない状態にあるため、事件として処理することで罪の大きさを認識させる方が子供の教育になると判断したとのことであります。
 そこで、教育長及び県警本部長にお尋ねをいたします。
 一、教育委員会はいじめ問題の実態調査を実施し、検討委員会を開催していますが、いじめの実態と問題への取り組みはどうか。
 二、児童生徒に生命のとうとさを教え、教師と子供の信頼を高め、いじめに積極的に対応し解決に導くよう、どう指導されるのか。
 三、いじめ等の教育相談の充実をどう図っていくのか。
 四、警察庁の指示に対して本県では今後どう対応されるのか。
 以上四点、お尋ねをいたします。
 次に、登校拒否問題についてお尋ねをいたします。
 二年前の話ですが、私の子供が中学校三年生のとき、ある友達から夜によく電話がありました。私も時々電話を子供に取り次いだのですが、話の要件は、あすの学校の時間割りと持参するものを尋ねる電話のようでした。それにしても、「○○ですが、順子ちゃん、お願いします」との電話をよく受け取るので、あるとき子供に聞いてみると、実はずっと学校を休んでいるとのこと。登校拒否に陥っているが、夜は、あす学校に行こうと思って電話で尋ねるが、朝になると学校に行けなくなるのか、と思いをめぐらした次第です。その後、修学旅行には参加をして卒業したと聞いております。
 また、先日、あるお父さんから、「子供が中学校一年生の二学期から、教室にいると緊張して仕方がないと言う。初めは保健室にお世話になっていましたが、そのうち登校できなくなりました」と伺いました。不登校になると親も子も大変で、カウンセリングを受けて、疲れて眠いという子供にはゆっくり寝かせてあげるのが一番だと思うようになるのに半年かかったそうです。「結局、不登校のまま中学校時代を終え、現在は通信教育を受けているので、この子供にはこの子供の人生があるのだと思っております」と、お父さんは話していました。
 和歌山市の教育委員会に尋ねますと、平成五年度の三十日以上の欠席者数は、小学校五十二校で八十一人、中学校十八校で二百四十九人と、小学校一校当たり一・六人、中学校一校当たり十三・八人とのことでありました。
 中学校に子供さんを通わせている近所のお母さんから、「今、登校拒否の生徒さんはどこのクラスでも一人や二人はいますよ」との話を聞きましたが、和歌山市内の中学校ではこの問題が深刻な問題となっております。
 本県における登校拒否児童生徒は、平成五年度で三十日以上が小学校二百四十人、中学校五百三十人、五十日以上が小学校百九十四人、中学校四百十六人となっており、平成四年、五年と急速に増加してきております。
 教育相談室の藪添先生に伺ってみると、「今までは、家庭でも学校でも子供に登校刺激を与え、ある意味で無理やり登校させ、かえって重症になる場合がありました。現在は、休みたい子供には無理をせず休ませるようにしているので、増加してきていると思います」とのことでした。
 こうした増加の一途をたどる登校拒否に対し文部省では、養護教員の重視や担当教員の追加配置、臨床心理の専門家をスクールカウンセラーとして導入する対策を打ち出しています。現在、教室にはほとんど行かず保健室に登校する子供たちに対し、大阪府守口市の第一中学校では適応指導教室という小クラスを設け、登校拒否の生徒でも学校に通えるようにとの配慮で教員が加配されております。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、登校拒否児童生徒の増加をどうとらえ、対応されるのか。
 二、養護教員の配置と増員計画、加配教員の配置、スクールカウンセラーの導入にどう対応されるのか。
 三、教員の資質向上にはどう対応されるのか。
 以上三点、お尋ねをいたします。
 次に、職業教育に関連してお尋ねいたします。
 総務庁が本年五月三十日に発表した四月の完全失業率は三・二%で、前月より〇・二ポイント上昇し、現在の形で調査を始めた昭和二十八年以降で最悪の水準となりました。昨年夏から改善に向かっていた失業率の動きが今年に入ってから変調を来し、ついに最悪の記録となってしまいました。
 この要因としては、阪神大震災による休職扱いの人たちが三月の年度末を境に失業になったり、価格破壊の波や三月以降の超円高が景気の先行きを不透明にし、企業の雇用意欲を一段と冷やしている状況が考えられます。さらに、今回の円高に伴う製造業の雇用調整は夏ごろから本格化するとの見通しもあり、失業率はさらに悪化しかねない情勢にあります。特に、本年四月の労働力調査によると、今春大学・高校などを卒業し四月下旬になっても就職できなかったいわゆる就職浪人は全国で十六万人と、昨年より一万人ふえ、最多記録を更新し、氷河期と言われる就職環境の厳しさを裏づけています。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、平成七年三月の高校新卒者の就職状況はどうであったのか。
 二、本年度高卒者の求人状況、また雇用の確保にどう努められているのか。
 以上二点、お尋ねいたします。
 次に、文部省は本年五月二十六日に、大学入学を希望する職業高校生を対象に特別推薦枠を設ける規定を九六年度入試用の大学入学者選抜実施要項に初めて盛り込む方針を定めました。近く全国の国公私立大学に通知され、職業高校から引き続き大学で専門分野を学ぼうとする生徒に道を広げる措置がとられました。
 職業高校の場合、実験や実習が多いため、英・数・国などの主要科目の授業が普通科高校より少なく、一般入試だと不利と言われてきました。来春より職業高校に対して推薦制度による特別枠の措置がとられることは、喜ばしいことと思っております。
 そこで、県教委は本県の職業高校や総合学科の高校に国公私立大学の推薦枠の確保をどう進められるのか、お尋ねをいたします。
 次に、職業教育の振興を図るため、文部省や県教育委員会などが主催をして、十一月に本県で第五回全国産業教育フェアを開催する予定と伺っています。昨年は京都で開催され、盛況であったと聞いております。本年二月の当初予算で一千万円が計上され、産業教育のより一層の充実と活性化を図るため、生徒の総合的な学習の成果等を全国的な規模で発表する大会への補助に要する経費とあります。
 そこで、本県の産業教育の発展と和歌山県を全国の皆さんに知っていただくよい機会となる第五回全国産業教育フェアの事業概要、参加規模、教育効果などをお尋ねいたしまして、第一回目の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 新田議員にお答え申し上げます。
 本県の環境施策についてでございます。
 お話ございましたように、国の環境基本法及び環境基本計画は、我が国のみならず世界全体の重要な課題であると考えておりまして、来る二十一世紀を展望した環境政策の基本的な考え方を示したものではないかと思っております。
 県におきましても、この趣旨を踏まえ、今後とも公害の防止のみならず環境の保全全般に取り組んでまいるとともに、本県の地域特性に即したよりよい環境の保全・創造を図るために環境基本条例やそれに基づく環境基本計画づくりを進めておるところでございまして、条例については本年度中に大綱を取りまとめ、環境審議会等関係機関の意見を聞きながら、明年度をめどに制定すべく準備を進めております。
 以上です。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 新田議員ご質問の本県の環境施策についてでございます。
 環境基本条例制定の場合、県公害防止条例の改定はいかにという内容についてでございますが、「環境基本条例」(仮称)の制定に当たっては、関係する現行条例との整合性を図る必要がございますので、県公害防止条例の改正についても環境基本条例の検討の中で研究してまいりたいと考えてございます。
 次に、住友金属西防埋立事業、マリーナシティ建設工事等によるその後の海の水環境保全についてでございますが、住友金属西坊埋立事業、マリーナシティ建設工事等、大規模な埋立工事等については工事中を主とした周辺海域の水質監視を実施しており、これらの測定結果や毎年実施している海域の環境基準監視の達成状況等から見て、現在の海域の水質環境は保全されていると考えてございます。
 続きまして、廃棄物の減量とリサイクルの推進についてでございますが、県においてはごみ減量リサイクル推進協議会を設け、廃棄物の減量化の取り組みについて検討するとともに、市町村、事業者に対し、機会あるごとに減量化とリサイクルの推進を指導しているところでございます。
 また、大規模排出事業者に対しましては、産業廃棄物の処理に関する計画を作成するよう指導を行っているところでございます。県民に対しましても、毎年六月の環境月間、十月のリサイクル推進月間に合わせて、ごみ減量やリサイクルの啓発を行っているところでございます。
 廃棄物問題は環境行政にとって重要な課題であると考えており、今後とも、リサイクルや減量化、処理、処分、再資源化等、適切な方向を見出し、啓発指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、廃棄物の積み出し基地及び廃棄物処理センターについてでございますが、廃棄物の積み出し基地につきましては、住友金属工業株式会社の西防埋立地の暫定使用をお願いいたしまして、平成八年八月完成に向けて、大阪湾広域臨海環境整備センターが主体となって間もなく着工の運びとなってございます。
 「廃棄物処理センター」(仮称)につきましては、平成六年四月に作成した和歌山県廃棄物処理計画の公共関与の中で、財団法人和歌山環境保全公社の将来構想と連動しつつ新しい処理機関の設立について検討を進めることとなっており、廃棄物処理センター整備基本計画調査に基づき、その果たすべき役割等、具体的に検討を進めている段階でございます。
 今後、市町村、事業者等関係者の意見を取りまとめ、種類別の処理の難易度、需要等、諸条件を勘案しながら実行に移してまいりたいと考えてございます。
 次に環境教育の推進についてでございますが、これまで小中学生のための副読本の作成や県民への環境問題に対する啓発などに取り組んでございます。
 これからの環境問題を解決していくには、行政や企業だけでなく私たち一人一人の生活行動によるところが重要であり、今後も水辺教室など自然との触れ合いを取り入れた環境学習等、環境教育や啓発事業の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題十四点についてお答えいたします。
 まず、学校週五日制の月二回実施に伴う授業日数、授業時数の確保につきましては、これまでの調査研究協力校における研究成果を踏まえ、児童生徒の学習負担にも配慮しながら各学校の実情に応じて工夫するよう、昨年来、三地方において調査研究協力校の報告会を開くとともに、教育課程研究集会等を通じて指導しているところでございます。
 次に、学校週五日制の完全実施につきましては、月二回の定着状況等を踏まえて検討されるものと考えます。
 また、学習指導要領の改訂につきましては、これまでも、月二回を超えて実施するには学習指導要領の見直しも必要であると考え、全国教育長協議会等、さまざまな機会に意見を述べてきたところであります。
 家庭教育や地域の社会教育を活発にする方途につきましては、ボランティアの養成など指導者の確保に努めるとともに、学校週五日制に係る学校外活動推進委員会において作成した協議のまとめを活用し、市町村教育委員会や関係機関、団体等と連携して取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 また、県立学校と小中学校、社会教育関係団体が連携した望ましい活動のあり方を探るため、県立学校開放モデル事業を新たに八地方において実施することといたしてございます。
 教師の意識改革につきましては、新しい学力観に基づく教育についての理解と指導方法の確立、ボランティア活動に対する認識が重要であり、さまざまな機会をとらえて管理職や教員の研修を深めてまいります。
 また、保護者につきましては、過度の学校への依存を見直し、家庭や地域が担っている役割の重要さについて理解を得るよう、PTA指導者研修会や家庭教育研究協議会、さらにはパンフレットの配付などを通じて一層啓発に努めてまいりたいと考えます。
 次に、いじめと登校拒否の実態についてですが、本県では、平成五年度のいじめの発生件数は小・中・高等学校を合わせて百六十四件、在籍児童生徒数の〇・一%となっており、年々減少の傾向にありますが、調査にはあらわれていない問題も少なくないものと認識してございます。
 登校拒否児童生徒数は、欠席三十日以上で見ますと、小中学校を合わせて七百七十人、在籍児童生徒数の〇・六五%となっており、年々増加の傾向が見られます。また、そうした中で回復に長期間を要する児童生徒が多くなる実態がうかがえます。
 こうした問題につきましては、子供の基本的人権と命にかかわる問題であると認識し、学校と保護者、地域社会の関係者等が連携して、子供の気持ちを受けとめ、粘り強くその予防や解決に当たることが大切であると考えてございます。
 特にいじめ問題につきましては、昨年十二月、いち早く緊急連絡によって学校での総点検と教職員の共通理解、保護者や関係機関との連携などについて指導するとともに、いじめ問題に関する相談電話の活用について啓発をいたしました。
 また、本年一月、教育委員会事務局内に登校拒否・いじめ問題に関するプロジェクトチームを設置するとともに、四月には、精神科医や子供とともに登校拒否を克服した経験を持つ指導者を初め多くの人々からの幅広い意見を求めるため、登校拒否・いじめ問題に関する検討委員会を設置し、具体的な提言を得て今後の施策に反映させてまいる所存であります。
 次に教育相談の充実についてでございますが、本年度、地方教育相談推進委員を従来の八名から二十名に増員いたしてございます。また、今後、市町村教育委員会に対し相談員の配置について指導・助言をするとともに、県、市町村を結ぶネットワークをつくってまいりたいと考えてございます。
 養護教員の配置につきましては、平成十年を目標にした国の第六次改善計画に沿って配置を進めているところでございます。現在、小学校に二百九十七人、中学校に百二十九人を配置しており、進捗状況は九七%となってございます。
 また、教員の加配につきましては、それぞれの実情に応じ、できる限りの配慮をしているところでございます。
 スクールカウンセラーにつきましては、今年度から本県においては小・中・高等学校の各一校に導入し、その効果的な活用等について研究を進めることとしております。
 次に、指導の進め方につきましては、従前から教育相談推進事業や養護教諭ヘルスカウンセリング講習会等を通して、子供の悩みを受けとめることのできる教員の養成と心の居場所づくりに努めてきたところであります。
 今後、専門的な訓練を受けた教員を学校の中で効果的に生かし、一人一人の子供の実態に目を向けたきめ細かな指導、互いの個性や人権を尊重し合い支え合う学級集団づくりなどの取り組みを進め、信頼関係の中で生命のとうとさを学び、いじめや登校拒否を生まない学校づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
 次に職業教育についてでございますが、就職状況は平成七年三月末の就職率で見ると九二・四%、前年度比一・三%減となってございますが、五月一日現在ではほぼ全員が就職を達成してございます。
 本年度の求人状況につきましては、学校では七月一日から求人受付をすることになってございますが、ご承知のとおり、昨今の経済情勢の中で大変厳しいことが予想されます。こうした状況の中で、去る六月二十三日にも県産業教育振興会の就職懇談会において新規卒業生の就職希望状況等について報告するとともに、生徒の就職に際し特段の配慮をお願いするなど、求人開拓の努力を重ねているところであります。また、各学校においても積極的に企業訪問を実施するなど、努力いたしてございます。
 職業高校出身生徒の大学進学につきましては、各学校の努力はもちろんのこと、教育委員会としても、今後、特別推薦枠の拡大について、高校と連携しながら大学等に働きかけてまいりたいと考えます。
 最後に、第五回全国産業教育フェアについてでありますが、ポストリゾート博として位置づけ、十万人規模で本年十一月十六日から十九日までの四日間、県民文化会館とマリーナシティを中心に開催することとしております。
 このフェアでは、職業科はもとより、普通科や定時制・通信制高校、特殊教育諸学校の生徒を初め小中学生も参加して、文字どおり総参加の大会にしてまいります。さらに、宇宙展やロボット競技大会、地元企業による展示即売会など、さまざまな催し物を盛り込み、また全国でも初めての経済協力開発機構(OECD)加盟国代表によるジャパンセミナーを同時開催し、国際色豊かに、和歌山のよさと活力を全国にアピールしてまいりたいと考えてございます。子供から大人まで楽しんでいただける体験型の意義ある大会を目指して取り組みを進めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 警察本部長西川徹矢君。
 〔西川徹矢君、登壇〕
○警察本部長(西川徹矢君) 新田議員にお答えいたします。
 いじめ事案についてでございますが、従来から、教育委員会、学校、青少年センター等関係機関と緊密な連携の上、少年相談や街頭補導等によって早期発見とその解消に努めているところでございます。
 議員ご指摘のように、最近、他府県においては、残念ながらいじめに起因する痛ましい自殺事案等の発生も見られておりまして、その鎮静化の兆しは見られないという状況にございます。
 このような点を踏まえまして、当方にあっても、今後とも少年相談活動の充実、学校等との連携のより一層の強化等を図るとともに、いじめ事案を認知した場合には早期にその真相の究明に当たることとし、事件化すべき悪質な事案については積極的に刑事事件として立件措置をとるなど、迅速かつ的確な対応をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十六分休憩
  ─────────────────────
 午後一時五分再開
○副議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中山 豊君。
 〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長の許可を得ましたので、質問を始めさせていただきます。
 せんだって、市民の生命・財産を守る一線確保のために消防長をとの海南市当局の求めに応じて直ちにこたえられたことに対して、地元選出議員の一員として人ごとのように思えない心境であることだけを、まずもって表明しておきます。
 県会での登壇質問は初めてのことゆえ、県民の要求が県会を通じてどのように反映されているか、何年か前からの議事録に目を通してみました。さすがに県議会だと、素直に感じました。弱いところを残しながらも広範な県民の要求を酌み取り、かつまた大所高所からの県勢活性化のための提言や、あるいはまた課題提起をされていることに触れ、触発もされ啓発もされたところで、以下の質問をさせていただきます。
 何しろ、四十分のうちに質問と二回までの再質問を交えて終わらなければならないということになっているようですから、かなり期間を置きながら当局の皆さんと粘り強くかつ継続的に論議を重ね、理解を深めながら実現を求めるものと、短期というか一気に解決を求める課題ということで区別してご答弁をいただくよう、まずもってお願いを申し上げます。与えられた時間の関係で直截的なお尋ねになることをあらかじめご了解いただきたいと思います。
 質問に入ります。
 道路整備についてであります。
 国道四百二十四号線の海南市地内の未整備区間の整備計画を明らかにしてほしいというのが一つであります。
 それとのかかわりで、具体的には、木津地区間は現道のままでは国道のていをなさない。何はさておいてもバイパスの法線をどうするのかはっきりさせていただかなければならない。このことをお尋ねするところであります。
 次に、上谷・ひや水地区間は工事の進行中ではあるけれども、来年度以降の取り組みについての展望と計画をお聞かせ願いたいと思います。
 次には、国道三百七十号線であります。すなわち、海南市から野上谷の交通体系をどのように構想されているかということを基本的なところでお尋ねしたいのですけれども、野上谷の交通路を整理しないまま野上鉄道を廃線してしまったというのは極めて残念なことであります。実にまずいことをしてしまったといまだに強く思っていることを述べながら、特に野上町と海南市区間をどのように体系立ったものにしようとしているのか、大筋のところで結構ですからご答弁願いたいと思います。
 さらに、阪井地区間の軌道敷を歩行者・自転車の専用道路と位置づけて具体化を進めているようだが、基本的な体系を構想するでもなく、ただ便宜的に事をなすやり方ではないかというふうに見えるので、これでは納得しがたいわけであります。バイパス構想があったこととも考え合わせ、十分なコンセンサスを求めておきたいところであります。
 かつてお示しになったバイパス構想というのは、今もなおかつ生きているものと承知していいのかどうかという点をはっきりさせていただきたいと思います。県の高い見識とリーダーシップが求められているところであろう、このようにも思います。
 次は、県道整備についてであります。
 海南市内に八本の県道が通っておりますが、これの整備がまたおくれているわけであります。住民の同意や協力の足らないところも原因しているのであろうとは思いますけれども、特に亀川地区内では秋月海南線、岩出海南線、小野田内原線の三本が重なり合っているところがあります。せめてこの区間だけでも直ちに拡幅整備をされたいわけであります。そうすれば、波及して順調に整備着工できる環境がつくり出されるであろう、このようにも思われるのであります。いかがなものでしょうか。それが一点。
 二点目は、秋月海南線のくも池の且来寄りの箇所を早急に整備されたい。もう地権者の同意が得られた部分もあるのではないかと推察するところですけれども、直ちに取り組まれたいわけであります。
 三点目、岩出海南線は岡田地区間に用水路のふたがけをするなど検討していただいたようですけれども、未実施であります。難しければ海南市都市計画街路黒江且来線に代替させて整備する方法をお考えいただいてはどうだろうか。このように提起しておきたいと思います。
 以上三件につき、土木部長からのご答弁をお願いします。
 二番目、貴志川ふるさと振興水辺環境整備事業についてお尋ねいたします。
 過日、海南市の水防協議会総会がありました。その中で、重要水防区域、特に警戒を要する区域を検討する中で、この工事箇所が危険でないのか、警戒を要する区域でないのかとの提起があり、いろいろ説明もあったけれども十分にされなかったということが一つの原因で、結局、当局が預かり対処するとのことで、ようやくその会議が終わったという状況でもありました。
 そこで、四百二十四号線で流水が冠水することがないのかという質問が出されました。四百二十四号線で冠水したりすると、海南市の東部地区を南北に走る幹線道路が閉ざされていくわけでありますから、大変なことになります。二つ目は、かつて別院という箇所で富士興産の廃油やピットを放棄・埋設した地区がありますが、工事によって水の流れが変わってそれをかき起こし、下流に影響を及ぼす心配はないのかと、この二点からの質問がありました。測量設計の過程で十分考えてくれていることとは思うけれども、この議場を通じて、心配されている地区民や海南市民に的確にご答弁をお願い申し上げたいところであります。
 さらにつけ加えて申しますと、あの地区は、沖野々奥ノ谷というかなり大きな深い谷からの流水が四百二十四号線をくぐり抜けて、工事箇所から貴志川に合流する地点でもあります。貴志川の本流が冠水する危険もさることながら、奥ノ谷からの流水が貴志川の本流に支えられ、流れ切れないでオーバーフローして四百二十四号線を冠水するという心配もされているので、そのことも含めてご答弁をお願い申し上げます。土木部長にお願いいたします。
 三点目、いわゆる農業問題にかかわるお話ですけれども、新政策のもとでの和歌山県の農政はどうなるのかというところからのご質問であります。
 新政策をまとめて言うならば規模拡大を基本としたものであって、新政策が求める内容は和歌山県の立地条件などに合わせて果たしてうまいこといくのかと、こういうところであります。
 私見を申し上げるとするならば、和歌山県に新政策を引き入れて国の言うがままになるような農業政策は和歌山県の農業問題解決への手だてには到底ならないであろう、もしやるとしたら大変困難な状態を農業者に強いることになるのではないかと思うと同時に、和歌山県の農業を壊滅的な打撃に追い込んでしまうことにもなりかねないであろうと、私自身は思っているところであります。
 和歌山県には和歌山の農業があってしかるべきであります。その発想から和歌山県の農業をどのようにして構築していくかというのが和歌山県政の担うべき主要な課題であろうと思われるわけであります。
 最初の議員の質問に答えて知事はいろいろ述べられ、和歌山県政についてのお話もあれこれ聞かされましたけれども、農業についてどうするか、どうしてきたかということに触れてのお話は、私が聞き落としたのかどうか知りませんが、ちょっと印象に残るような話でなかったということほどに、農業の問題は和歌山県にとっても大変難しい課題であると同時に真剣に取り組まなければならない課題であろうという認識をしているところであります。その立場から、県がおつくりになっている基本方針というのがあり、それを受けて各地方自治体は農業の活性化のための基本構想というものをつくられておりますけれども、県の基本方針と各自治体の持っている農業基本方針、基本構想がどのように機能し合って和歌山県の農業が振興し発展するようになるのか、まず県が期待している中身についてお聞かせ願いたいのであります。
 さらに、新政策のもとで打ち出している認定農業者制度なるものがありますけれども、それが和歌山県の農業構想にどのような影響と効果を期待することができるのか。このあたりも明確にお答え願いたいわけであります。
 三つ目は、その中で各市町村の農業委員会──県では農業会議というのがあります──初め農業団体はどういう役割を担ってくれるとお考えなのか。今日の状況から見れば、農業委員会及び農業団体は的確にそれらに対応しているような立ち働きがうかがえないのが残念だと思っているところからのご質問であります。
 四番目は、新政策とのかかわりの中で、農林水産省が打ち出している中山間地域総合整備広域連携事業というのがありますが、この事業を和歌山県としてどのように具体化して取り入れ、和歌山県の農業を構築させるのに役立てようとお考えになっているのか。それらについてもご質問したいところであります。
 以上、新政策にかかわって四点のご質問については、農林水産部長にお願いしたいと思います。
 四番目は、中央児童相談所の今日的な活動の状況についてお尋ね申し上げます。
 中央児童相談所と身体障害者福祉センターの統合移転の状況とその統合移転作業の到達度を、まずもってお聞かせ願いたいと思います。
 私自身、二つの施設の統合には一定の意見を持っておるけれども、既に統合移転事業が進められているという過程にありますから控えさせてもらうことにしながらも、中央児童相談所の今日の姿を見ていると、問題を抱え悩みを持っている子供やご父兄の方たちを受け入れて十分に活動できるような、あるいはまた信頼してあそこをお訪ねするにふさわしいような相談所かということには、かねがね、これはまずい話だというふうに思っておりました。県が子供の問題についてそれほど力を入れておるのに、それに対応する施設ではないのではないかということを常々思っていただけに、また、このたび二つの施設が統合されて移転するという状況になっているとはいえ、新しく装いを変えて県民の負託に沿えるような中央児童相談所にすることについては強い関心を持っていただけに、今日の事業の到達点をお示し願いたいと思います。
 さらに、オウム真理教の児童を受け入れているようですけれども、受け入れられている相談所として活動の問題点と教訓をお聞かせ願えたらありがたい、このように思っているところです。
 児童福祉法初め医師法、薬剤師法、薬事法などにも触れると同時に、ひいては自衛隊法までにも触れるようなオウム真理教に対し、議会挙げて直ちに解散をという中央への要求決議、申請決議をしていただきたいというふうな気持ちさえ持ちながら、この二つの質問をしているところであります。民生部長のご見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次は、和歌山下津港港湾計画についてであります。
 計画改定作業の状況と主な内容についてお聞きしたいというのが一つであります。特に和歌山下津港の県勢発展から見た位置づけはどうなっているのか、その主なところをお聞かせ願いたいと思います。
 六月二十四日の各紙が伝えるところ、釜山、和歌山港の間に定期コンテナ航路が開設された、第一船が七月二十四日寄港する、物流の効率化、中国など外航拡大の足がかりとなり神戸港などの物流の補完効果が期待される、とありました。また、阪神大震災以前から既に県は取り組んでおられて、県内産業振興を図るため検討を始め、外航コンテナ航路誘致のポートセールスを進めていたとありました。
 通告項目にある外航コンテナの導入については既に取り組みが進められているという理解をした上で、次の質問をしたいと思います。
 そうなってくると、物流基地構想を壮大なものにという思いをいたすものですけれども、いかがなものか、まずもってお尋ねいたします。
 テクノスーパーライナーの寄港についてもかなり積極的な取り組みをなさっているようですけれども、今日の状況をお聞かせください。
 三つ目は、マリーナシティ計画以前の段階で日用家庭用品業界を初め地場産業界に向けてとったアンケートとの関連での物流基地構想はどうなったのか。そして、今日どういうふうにお考えになっているのか。
 既にアンケートをとった段階でお考えになっていたそのことと全く違って、マリーナシティがつくられて今日に来ているわけですけれども、その当時の地場産業に対する振興計画とのかかわりで考えられたお話は、今もなおかつ県政遂行の過程で大事にされようとしているのか。そのあたりを率直にお述べいただきたいと思います。
 和歌山下津港港湾計画については改定作業中だというので、次の観点で対処してほしいと思います。
 それは、大阪湾の外港的機能としての評価と県勢発展への展望をするとき、神戸国際港の補完効果などというスケールではなくて、東海・近畿いわば西日本圏を背景にした県勢浮揚策として考え、構想すべきだと思うのですけれども、いかがなものか。
 県は、ある時代には北部臨海工業地帯というものを構想し、ある時代には燦黒潮リゾート構想などを打ち出してきたけれども、いずれも県民の納得する効果を得たということにはなかったようにも人々からよく聞くわけであります。
 今日、第二国土軸を考えるなら、大きなスケールで和歌山下津港港湾計画の改定をされるべきではないかとも思うのですけれども、所見をお聞きしたいと思います。これは政策的な大きな課題にもなることですから知事に答弁を求めるのが本来だけれども、冒頭に述べたように、理解を深めながら長期にわたって──一期四年があるので──それを詰めていくという課題のうちに入るかと思うので、さわりの部分であるから、知事からの答弁もさることながら部長にお願い申し上げたいと思います。
 次に、海草県事務所の位置についてであります。
 和歌山操車場駅跡地へのメーンアリーナ、第二アリーナ施設すなわち多目的ホールなどの建設計画により、海草県事務所の移転計画はどうなったのかというご質問であります。その経緯についてお聞きしたいと思います。
 これは、私がただ単にうわさというふうな形で耳に入れて、それがまことしやかに県の計画の中にあったと思い込みをしているのか、思い込みでなかったのか。そのあたりも含めて的確にお答えください。
 海南・海草一市二町の議連からの要求として何年か前からこの問題について当局に申し上げてきているけれども、その一市二町の議連からの申し入れについてはどのように受けとめられているか。その認識をお示し願いたいと思います。
 海草郡が和歌山市を包む状態であったころの事務所の位置──言うなれば、和歌山市を包んで加太から直川、有功、安原、岡崎と、ずうっと海草郡でした。その時分は、県庁内に海草県事務所が所在するということは住民にとってみれば当たり前の話だというふうにして、違和感を感ずる者はだれもいなかったと思います。しかし、長い歴史と社会の発展の過程で海南市、野上町、美里町、下津町という県事務所の所管する地域がここに残り、ほかは全部和歌山市に合併という状態になって、以降今日まで県事務所が県庁の中、しかも和歌山市の県庁の中にあるということは、だれが考えたとしても不自然ではないかと思われているところであります。
 今回は、だからこうしろというところまでの突っ込んだ要求を掲げての質問は差し控えることにして、県庁の所在地、県庁の敷地内に海草県事務所が所在するということは、今日の行政区を見るときに果たして妥当かどうかということについての認識だけをお求めいたしたいと思います。これも長期にわたって皆さんといろいろ論議をし協議を重ねて、しかるべき地域の人たちが考えて、それは当たり前だろうというところにご判断いただけるように持っていきたいということをまずもって申し上げながら、海草県事務所の現在の位置は果たしてみんなが納得できるような位置なのかどうかということについての認識をお聞かせ願いたいと思います。総務部長の答弁になるのでしょうか、ご期待しておきます。
 以上、私の質問とさせていただきます。終わります。
○副議長(木下秀男君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 中山議員にお答えいたします。
 まず、道路整備についての三点でございます。
 国道四百二十四号の未整備区間の計画についてでございますけれども、木津地内の未整備区間、約一・○キロメートルにつきましては、沿道に人家が集中しておりますので、バイパスとして法線の検討を進めているところでございます。平成七年度は、地元関係者のご協力を得ながら測量調査に入りたいと考えているところでございます。
 上谷地内につきましては、特殊改良一種事業で整備を進めておりまして、工事中の区間は平成七年度に完成予定となっております。続く区間につきまして、地元関係者のご協力を得ながら測量調査を行い、整備を進めてまいります。
 ひや水地内の狭小部につきましては、物件補償に難航している状況でありますが、今後とも地元関係者のご協力を得ながらその整備に努力してまいります。
 次に、国道三百七十号の野上谷の交通体系についてでございます。
 野上電鉄株式会社による電車とバスで構成されていましたが、平成六年三月、野上電鉄株式会社の解散により大十株式会社によるバス輸送への転換が図られ、通勤・通学の輸送の確保がされたところでございます。
 ご指摘の野上町と海南市間のうち海南市阪井地内の未整備区間は沿線に人家が集中しておりますので、将来的にはバイパスとして計画し、国道四百二十四号に連絡させるべく整備を進める必要があると考えているところでございます。
 また、これに続く野上町内では、野上電鉄の廃線敷を利用し、バイパスとして道路整備を進めることとしております。
 なお、現国道三百七十号の阪井地内は道路幅員が狭小な上、自動車の交通量が一日一万一千六百台を超えるなど、通行が大変ふくそうし、自転車・歩行者等の通行が危険な状態であります。その緊急的な対策として沖野々地内を拡幅整備するとともに、交通安全確保の観点から野上電鉄の廃線敷を利用して、景観にも配慮した自転車・歩行者専用道路の整備を進めることとしているところでございます。
 今後さらに構造の詳細などについても地元説明会等を開催するなどして、関係者の方々のご理解を得ながら整備を進めてまいります。
 次に、県道秋月海南線など、県道の重なり部分の整備等についてでございます。
 ご指摘の区間につきましては、且来地内で県道秋月海南線ほか二路線が重複しているところでありますが、その両端部に位置する紺屋橋及び且来交差点部の改良については平成七年に完成の見込みでございます。
 なお、中間部分につきましては、沿道に人家が並んでいますので、地元関係者のご協力を得ながら今後調査測量してまいります。
 また、くも池付近の且来地内寄りの箇所につきましては、前年度に引き続き用地買収を進め、解決すれば一部工事に着手する予定としてございます。
 県道岩出海南線の岡田地内につきましては、拡幅整備をすることとしておりますので、今後とも地元のご協力が得られるよう努力してまいります。
 なお、ご指摘の海南市都市計画道路黒江且来線につきましては、現在海南市域で施行中の海南駅高架化事業や築地阪井線などの進捗等も勘案しながら、今後海南市と協議しつつ検討してまいりたいと考えております。
 次に、貴志川ふるさと振興水辺環境整備事業についてのご質問でございます。
 ふるさと振興水辺環境整備事業は、治水機能の向上を図ることも目的としながら、水辺空間の環境整備を行う事業でございます。海南市別院地内で進めている貴志川の整備につきましても、地元からの強い要望もございまして、のりすその洗掘防止対策など治水効果の向上を図るとともに、現地の利用状況を尊重して、より水に親しめるよう計画したものでございます。
 下流に対する流れにつきましては、平成五年度から実施している緩傾斜の低水護岸で流水を安全に誘導し、議員ご指摘のような道路や下流の地域に影響が出ないように、また周辺の支川の流下能力等も十分チェックしながら設計を行っているところでございます。
 次に、和歌山下津港港湾計画についての五点のご質問のうち、計画改定作業の状況と主な内容についてでございます。
 和歌山下津港の現行の港湾計画は昭和六十年に策定されておりますが、現在、これを改定すべく作業中でございます。
 今後の和歌山県の発展を図る上で、和歌山下津港を初めとする港湾や海を活用していくことが重要であると認識しているところでございます。このことを踏まえ、新計画の策定に際しましては、和歌山下津港が大阪湾の玄関口に位置し、二十四時間世界に開かれた関西国際空港や第二国土軸に近接しているといった特性を生かして、近畿圏の外港機能を担うべきものと考えております。
 また、都市活動の基盤充実や産業機能の充実、さらには快適なウオーターフロントの形成といったような面からも和歌山下津港に多様な要請が寄せられておりますので、これらの機能をも積極的に付加してまいりたいと考えております。
 物流基地構想についてでございますが、和歌山下津港を近畿圏の外港として位置づけ、大阪湾の負荷の軽減、陸上高速交通網と連携した物流の効率化、大規模地震等災害時のリスク分散の三つの観点を踏まえて和歌山下津港の物流機能の強化を図ることとし、これを和歌山下津港の新計画に位置づけてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、外航コンテナの導入についてでございます。これは今回の港湾計画改定の柱の一つでございまして、大水深の岸壁、十分な広さを有した埠頭用地、高能率の荷役機械を備えた外貿コンテナターミナルを位置づけるとともに、これを陸上高速輸送網と結びつけるためのアクセス道路の整備を検討してございます。さらに、これらの施設整備とあわせて、外貿コンテナ航路の誘致に向けて今後ともポートセールスに努力してまいりたいと考えているところであります。
 テクノスーパーライナーの寄港についてでございますが、現在研究が進められているテクノスーパーライナーは、これからの海上高速輸送の主役になるものと期待されております。和歌山下津港についても、大阪湾の玄関口に位置するという特性を踏まえてテクノスーパーライナーを寄港させ、大阪湾内の負荷の軽減と物流のスピードアップを図るべく、計画上対処してまいりたいと考えております。
 最後に、マリーナシティ計画段階で日用家庭用品業界にとったアンケートとの関連についてのご質問でございます。
 昭和五十八年に実施した、和歌山下津港背後の中小企業を対象としたアンケート調査を踏まえて、昭和六十年の和歌山下津港港湾計画の中に企業移転用地が位置づけられたところでございます。その後、不況等の社会経済情勢の変化から企業移転が危ぶまれたこと、及び海洋性レクリエーションに対する要請の高まりなどからマリーナを核とした和歌山マリーナシティ計画に変更し、事業化を図ったところでございます。
 なお、企業の移転希望等につきましては、平成五年に再度調査を行い、改めて必要な移転用地等を新計画において確保すべく検討を行っているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) いわゆる新政策のもとでの和歌山県農政についての四点のお尋ねにお答えいたします。
 規模拡大を中心とした国の新政策は、本県の実態に合わない面もございます。県といたしましては、県内を四地帯に区分し、それぞれの地域特性を生かした、環境と調和した収益性の高い農業を推進することといたしてございます。このため、二〇〇〇年の平成十二年を目標とする、農業所得や総労働時間などを明示した農業経営基盤強化法に基づく県の基本方針を策定し、平成六年二月に公表いたしてございます。
 各市町村におきましては、この基本方針を踏まえ、農業委員会や農協の意見を聞きながら、地域の実情に即した農業経営の指標等を示した基本構想を策定しているところでございます。
 認定農業者制度は、基本構想を策定した市町村において、みずからの創意工夫に基づき経営の改善を計画的に進めようとする農業者を市町村長が認定するものでございまして、認定農業者には、低利資金融資や農地の優先的なあっせんなど、支援措置が講じられることとなってございます。
 本県といたしましては、将来にわたる地域農業の担い手の確保・育成を図る観点から、認定農業者制度を活用してまいる所存でございます。
 また、農業団体の役割につきましては、認定されようとする農業者の経営改善計画に対する指導・助言や認定農業者の経営目標を達成する過程で支援するなど、重要な役割を担うものでございます。
 次に、中山間地域総合整備広域連携事業をどのように取り入れ、具体化しようとしているかというお尋ねでございます。
 中山間地域につきましては、ご承知のように、県土保全や水資源の涵養等、大きな役割を果たしておりまして、大半が中山間地域である本県にとって総合的な振興がより重要と考えてございます。
 このため、平成二年度から生産基盤及び生活環境を総合的に整備する中山間地域総合整備事業を実施してございます。さらに平成七年度からは、ウルグアイ・ラウンド対策として、従来の事業とあわせて、キャンプ場とかクアハウス、特産物販売センター等を地方単独事業で実施することができる広域連携型が導入されました。
 本県におきましては、本年度から桃山町及びその周辺市町村で実施することとなってございますし、今後、県下各地で当事業を積極的に推進してまいります。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 中央児童相談所の統合移転の状況についてお答えをいたします。
 高齢化、核家族化等、社会情勢が大きく変化しつつある中で、児童や障害者の福祉ニーズは高度化、多様化してきております。このようなことから、中央児童相談所と身体障害者福祉センターの統合整備を平成五年度から進めてまいりましたが、年内に子ども・障害者相談センターとして開設する予定でございます。
 あわせて、相談体制の充実を図るため、福祉専門職員等の強化をするとともに、新たにセンター内に設置する多目的ホール等を活用し、地域に開かれた福祉施設としての充実に努めてまいる所存でございます。これにより、児童の健全育成や障害者の自立、社会参加に一層効果的に対応するとともに、相談者のライフステージに一貫して対処できる福祉の拠点として整備してまいりたいと存じます。
 次に、オウム真理教関連の児童を受け入れた中央児童相談所の活動ですが、四月二十五日に山梨県中央児童相談所からケース移管を受けて以降、オウム真理教関連児童三名を本県中央児童相談所で一時保護しております。
 児童相談所では、専門医及び専門職員により児童の心身の状況を診察・観察するとともに処遇方針を検討中でありますけれども、現時点における児童の課題としては、個人差もありますが、基本的な生活習慣や対人関係等の綿密なケアや訓練が必要であると考えております。
 児童相談所といたしましては、オウム真理教をめぐる現在の社会情勢を考慮し、職員の勤務体制の強化など、児童の保護のため最善の策を講じているところでございます。
 今後とも、オウム真理教に関連する情勢の推移をも見きわめながら、児童の人権、プライバシーの保護等に配慮しつつ、児童にとって最も適切な処遇を図ってまいります。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 海草県事務所の位置についてのご質問でございますが、平成三年ごろ、和歌山操車場駅跡地の活用策の一つとして和歌山・海草地方の総合庁舎計画がございました。その後、種々検討の結果、多目的ホール及び健康福祉センターの充実を図ることとなったところでございます。
 また、県事務所の移転につきまして、以前より海南・野上・美里議会議員連絡協議会から要望をいただいているところでございます。県といたしましても、地方機関のあり方については、県民へのサービスを考え、管轄区域や機構の見直しも含め、幅広く検討してまいりたいと考えております。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 32番中山 豊君。
○中山 豊君 再質問もさることながら、要望を中心にして幾つか申し上げておきたいと思います。前後するかもわかりませんが。
 中央児童相談所の統合移転の状況と移転計画等にかかわる事業の到達度をお示し願いたいというお話を申し上げたつもりですけれども。あれこれとお聞きしましたが、もう具体的に申しましょう。いつごろ完成して、いつごろ新しいところで事業開始がされるんだということを端的にお答え願えませんか。それが一つ。
 それからオウム真理教の問題ですけれども、保護されお預かりされてからまだ日も浅いことだから、問題点や教訓などと言うたってまだ所内でも十分まとめ上げた資料がないみたいですし、またそういう状況でもないみたいな感じだから、もうちょっと経過を見ながら、お教え願えるところがあったらお教え願うというふうな形でお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、和歌山下津港の計画改定の問題に絡んでの質問を幾つかさせてもらったんですが、要は、国際港としての神戸港の補完的役割を果たすためにというふうな狭い感じではなくて、和歌山県勢の浮揚化と発展のためにどうすべきなのかという点を改定作業の中で中心に据えながらご検討いだたくよう、この点は抜かりのないようにお願いしながら、再度いつかの機会にお尋ね申し上げることにしたいと思います。
 次は、土木部長のご答弁にかかわって申し上げたいと思います。
 三百七十号線についてご答弁をお聞きしていますと、阪井地区間の狭隘な部分については、将来的にはバイパスとして整備を計画しているんだということです。過去に示された法線の問題等については、果たしてそれが具体化されるかどうかは別にして、バイパスを構想して現道の交通渋滞を緩和するようにしていくことには変わりがないようですから、それはよくわかりました。
 それとの関連で、軌道敷は、当面緊急的な対策だということを前置きしながら、自転車・歩行者の専用道路に整備していくというお話のようですから、前段での話と関連させて、あれはまさに永久的なものではなくて緊急避難措置としてやるだけの話であって、やがて三百七十号線のあの地区間を整備するにはバイパス構想があるという点が明確にされたということでご理解申し上げて、それの推進方を要望しておきたいと思います。
 ふるさと振興水辺環境整備事業の問題です。ちゃんと設計しているし、そういう心配はないんだということがお答えのかいつまんだところだと思うんですが、先ほどご指摘を申し上げましたように、奥ノ谷に降った水などが四百二十四号線を抜けるときに貴志川の本流に支えられて冠水する危険性もありますので、そういう点も今後十分見直しながら、また七年度及び八年度の事業もあるようですから、そういう点でご賢察願えるようにお願いしておきたいと思います。
 もう少し時間があります。
 新政策にかかわってのお話です。認定農業者の問題とのかかわりのお話の中で、優良農家を育成し、和歌山県の農業を構築していく核的な存在として指導・助言していくと言うんだけれども、県もさることながら地方の自治体もなべて、農政指導を的確になさるような体制が本当にあるのかどうかということに至っては、僕は常々大変疑問に思っているところであります。農業委員会及び農業団体等を通じながら認定農業者を指導・助言していくと言うんだけれども、果たして本当にそう言われるほどに農業者が指導・助言に寄りかかっていって目指すべき方向に農業が構築されていくのかどうかという点については、大変疑問のあるところであります。
 あえて指摘申し上げておきたいんですけれども、農政の側面についてさらに納得しない部分がありますから、引き続いて今後も問題提起を申し上げていくことにいたしたいと思います。
 海草県事務所の問題については的確にはお答えいただけなかったけれども、幅広く検討していくというお話ですから、申し上げていることが幾らかは通じたようにお受けとめして、今回は終わりたいと思います。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) ただいまの質問は要望といたしたいと思います。──以上で、中山豊君の質問が終了いたしました。
○副議長(木下秀男君) これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十九分散会

このページの先頭へ