平成7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第六号 平成七年三月三日(金曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第八十二号まで、及び報第一号から報第三号まで(質疑・委員会付託)
 第二 一般質問
 第三 請願付託
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第八十二号まで、及び報第一号から報第三号まで(質疑・委員会付託)
 二 一般質問
 三 請願付託
 四 休会決定の件
出 席 議 員(四十二人)
 1 番 小 川  武
 2 番 吉 井 和 視
 3 番 井 出 益 弘
 4 番 和 田 正 一
 5 番 町 田  亘
 6 番 尾 崎 吉 弘
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 向 井 嘉久藏 
 10 番 佐 田 頴 一
 11 番 阪 部 菊 雄
 12 番 堀 本 隆 男
 13 番 平 越 孝 哉
 14 番 富 田  豊
 15 番 門  三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 上 野 哲 弘
 19 番 宇治田  栄 蔵
 20 番 尾 崎 要 二
 21 番 中 村 利 男
 23 番 山 本  一
 24 番 馬 頭 哲 弥
 25 番 鶴 田 至 弘
 26 番 飯 田 敬 文
 27 番 村 岡 キミ子  
 28 番 松 本 貞 次
 29 番 下 川 俊 樹
 31 番 宗  正 彦
 32 番 橋 本  進
 33 番 浜 田 真 輔
 34 番 冨 安 民 浩
 35 番 上野山 親 主
 36 番 中 村 裕 一
 37 番 和 田 正 人
 38 番 大 江 康 弘
 40 番 木 下 秀 男
 42 番 森  正 樹
 43 番 野見山   海
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 本  収
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(一人)
 39 番 中 西 雄 幸
 〔備 考〕
 22 番 欠 員
 30 番 欠 員
 41 番 欠 員
 47 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 梅 田 善 彦
 出納長 中 西 伸 雄
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 宮 市 武 彦
 民生部長 南 出 紀 男
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 山 次 郎
 農林水産部長 日 根 紀 男
 土木部長 山 根 一 男
 企業局長 中 村 協 二
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
   西 本 貫 一
 警察本部長 西 川 徹 矢
 以下各部長
 人事委員会委員長職務代行者
   宮 崎 静 治
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   鈴 木 俊 男
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 岩 垣  孝
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 松 田 捷 穂
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 長 尾 照 雄
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 岡 山 哲 夫
 調査課長 柏 木  衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 保 田 良 春
 ──────────────────
 午前十時五分開議
○議長(平越孝哉君) これより本日の会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
 ──────────────────
○議長(平越孝哉君) 日程第一、議案第一号から議案第八十二号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第三号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 37番和田正人君。
 〔和田正人君、登壇〕(拍手)
○和田正人君 平成七年度当初議会、本日が一般質問最終日でございます。しばらくご協力を賜りたいと思います。
 通告に従いまして、質問と提言をさせていただきたいと思います。
 一点目は、災害に強い町づくりについてであります。
 一九八九年十月十七日、サンフランシスコ湾岸地震・ロマプリータ地震が発生、テレビの画面からこのときの惨状を見た日本人の多くは、都市型地震の被害状況から日本の建築物や構造物は大丈夫かと話し合ったはずであります。このとき、アメリカ国内での老朽化した高速道路、橋、学校、病院などの公共的な建造物を防災強化につくりかえるだけで約三億五千万トンの鉄が必要と推定され、日本国内に当てはめた場合、約二億八千万トンの鉄が必要と試算されています。
 一九九四年、昨年一月十七日、ロサンゼルス市近郊で発生したノースリッジ地震は、多数の死傷者とともに、高速道路の崩壊、建物の倒壊、火災の発生、電気、ガス、水道の不通等、大きな被害をもたらし、特に大都市の直下で発生した地震ということで、市民生活を初め社会経済活動にもさまざまな影響を及ぼしたのであります。
 ここに、平成二年三月、国土庁防災局が監修したサンフランシスコ地震に派遣をした調査団の記録という出版物がございます。この中に、当時の国土庁防災局長市川一朗さんの「監修のことば」がありますので紹介いたします。
 「我国は、これまで幾多の地震に見舞われてきた歴史を持っており、また、近年の情報化、都市化の進展等、社会経済環境の変化に伴い、地震災害の態様も一層複雑、多様化してきております。 このような状況に対処するため、政府をはじめ各地方公共団体等においては、各種の地震防災対策を推進しているところでありますが、折りしも、一九九○年からは『国際防災の十年』が始まるなど、今後、我国は『防災先進国』として、世界の中でも防災に対する積極的な取組みが期待されるわけであります。このような意味でも世界に目を向け、そこで得られたものを今後の震災対策に役立つような形でまとめていくことは、我国の責務と言っても良いでしょう。─中略─我国政府も、震災対策の一層の推進を図るとともに、世界の地震災害の軽減対策向上に貢献することを目的として調査団を派遣したところであり、─中略─その成果を今後に役立てるうえでも好個の書であると確信する次第であり、本書が、震災対策に携わる方々に幅広く利用され、我国の地震対策の推進に寄与することを期待しております」と結んでいます。
 また平成六年六月に、ノースリッジ──ロサンゼルス地震でありますが──この調査のまとめも地方公共団体調査チームが発表しております。この編集・制作は、自治省消防庁震災対策指導室であります。
 私は地震の専門家ではありませんし、この資料に目を通した程度のつけ焼き刃でありますから、的を射た指摘になる自信はありませんけれども、今回の阪神・淡路大震災に至るまでの日本各地の地震、とりわけ一九九三年釧路沖地震の反省や教訓を生かし得なかった防災体制やシステムづくりについて、これら報告書の言う「防災先進国」などというおごりがこの大惨事となり、諸外国から経済大国日本では考えられない多くの死傷者を出したと批判される結果であり、五千四百人を超えるとうとい犠牲に対し、再び繰り返すことのない災害に強い町づくりを進めることが、地震列島日本に住む私たちの宿命であり、政治にかかわる者の責任ではないでしょうか。せっかくの調査であるのに、その反省と教訓を生かされない温度差があると感じるのは私一人でしょうか。なすべき防災体制や基準の見直し、都市計画のあり方、救援体制、火災に対する消火体制等々、人的原因による二次災害など起こさないよう、この記録と報告書は教訓とすべき幾つかの問題をまとめているのであります。
 まず前兆現象でありますが、地震観測に関しては前兆とみなせる地震活動は観測されていず、長期的にはサンフランシスコ地震の震源域は地震活動の空白域であったとされています。
 最悪の事態となった阪神・淡路大震災の後、指摘される専門家などの意見に、関西地方ではこれまで大規模な地震が比較的少なく、経験のなさという声、さらに耐震規定が改善された一九七○年以前の建築物は以後のものに比較するとどうしても耐震性に劣る、地震被害に免疫のなかった関西では再三震災に見舞われた地域よりも耐震性の悪い住居が数多く残っていたこと、住人の備えが不十分だったことも被害を広げる結果につながったこと、地震の揺れが増幅される地盤の弱さ、それに加え、早朝に地震が発生し逃げおくれた人が多かったこと、しかし、地震への備えが不十分で、めったに地震など来ないだろうという行政側の油断こそ最も懸念すべき災害の予兆とも言えると厳しく指摘されているのであります。
 具体的な点に、幾つか触れてみたいと思います。
 液状化現象については、サンフランシスコ地震において、マリーナ地区の液状化によって家屋、ガス管に被害、オークランド港、オークランド空港でコンテナクレーンの基礎が沈下、滑走路北側に噴砂が発生、しかし埋立地盤でも、地盤改良が行われた区域では液状化現象は見られなかったとあります。今後、地盤改良の詳細な内容、及び液状化抑止効果の調査が望まれるとあり、その結果は我が国の液状化対策の向上につながると報告されています。
 次にガスに起因する火災でありますが、ロス地震の場合、停電していた家屋に通電した際、漏れていたガスに引火して火災が発生したものが多いと考えられています。しかし、今日までの地震災害の経験から、この二十二年間に約二億ドルを投じ、耐震性の低い鋳鉄管、鋼管の施設がえを実施していたこと、さらに輸送幹線については、自動遮断バルブの作動、配給管には需要家約三万件を一つの単位とするブロック化などの対策を事前に準備していたこと、この地震時には漏えいした管の両側を閉止することにより、部分的に漏えいをとめたことによって、火災が発生したものの、結果的には被害を最小限にとめ得たとしています。
 今回の長田区を中心とした火災が予想以上に大きな被害となった原因は、現地を視察した消防庁長官が述べたように、戦災を免れたような古い木造家屋の密集地域が残っており、それらが地震の発生で倒壊、同時発生的な火災に結びついた、さらに火災の発生現場が百カ所以上と広範囲にわたったため、初期消火で鎮火できなかったせいでもある。火の回りが早く、住民たちは井戸水や冷蔵庫のミネラルウオーター、牛乳まで使って懸命に消火に努めたが、火の勢いはとどまるところを知らず延焼していったと、ある週刊誌は生々しく報道しています。
 三浦山口大学教授は──耐震工学の専門家でありますが──北海道の地震などを後で調べると、やけどをしながらも火元を消した人が多い、関西は地震なれしておらず、そこまでできなかったのではと指摘。高野東北芸術工科大学教授は──都市防災の専門家でありますが──広範囲にガス漏れが起きたからではないか、火災の同時多発は予測していたが、実際、我々専門家も楽観視していたと語っています。
 ロス地震の直後から、一時間の間に約百件の火災が同時多発で発生したようでありますが、そのうち延焼した火災は七件程度、火災の多くはぼやで市街地延焼火災とならなかったと報告され、延焼火災の少なかったことについては、迅速な消防活動のほかに、アメリカにおける市街地環境、すなわち隣棟間隔が日本と比べ相当に広いことも要因の一つとして考えられるとされています。
 密集した建物、民家、我が和歌山においても、開発された団地へ入る狭い進入路、市街地においても消防車が入れない箇所も多く、今回の阪神・淡路大震災は、実にたくさんの教訓と改善すべき点を私どもに提起しているのであります。
 とうとい犠牲者のみたまにこたえるためにも、地震列島と言われる日本であるがゆえに、多くの教訓を生かし、なすべき改善を公的な面から積極的に今進めておく必要があります。それは、財政負担も含め大事業になるとしても、大惨事となって八兆円とも十兆円とも言われる被災総額をトータルで考えるならば、県民の安全と財産を守る観点から、計画的に進めるならば許容される投資ではないか。そして、社会資本の整備につながるものであります。対岸の火事で済まされないのであります。
 ロス地震の調査団は、教訓と課題として、直下型地震への警告と対策を進める上で参考となるまとめを六項目、二十一点に分けて行っています。全部を紹介する時間がありませんので、今日までの質問に対する答弁以外の指摘を、一部重複するかもしれませんけれども、質問として取り上げてみたいと思います。
 地震時には延焼シミュレーションの実施や無線通信回線の活用が重要であり、コンピューターや通信設備を含めた周辺機器の耐震性について県の現状はどうか。同時に多数の火災が発生したため、消防隊の無線交信がふくそうし、災害情報伝達の障害となったとされており、携帯電話が有効に活用されたようで、今後積極的に検討する必要があると思うが、いかがでしょうか。
 次に、災害発生時の中枢施設となる防災本部、警察庁舎、消防庁舎は、震災時には災害応急対策の拠点として機能しなければならない核であり、地震により被災することがあれば消防力の著しい低下を来すことはもちろん、延焼の原因にもなるわけであります。そこで、これら施設の耐震診断、補強や新築の際の耐震化に積極的に取り組む必要はないか、お伺いするものであります。
 次に、消火栓が使用不能になったときの事態にどう備えておくのか。タンク車、防火水槽、他の消防水利の確保は当然でありますが、阪神・淡路大震災は防火水利の確保に大きな反省と教訓を残したのであります。ロサンゼルス市消防局では、送水を容易に行える搬送可能な中継送水システムを用いて、隣接する使用可能な消火栓のある区域から送水を可能にしているようであり、サンフランシスコ市では、市内にある三カ所の大型貯水槽から送水する管を地中埋設した専用管とし、配管が破損しても他のルートで送水できるようにループ状に計画されていること、また、非常時を考慮し無限水利の海水を送水できるよう港湾施設に二カ所の送水施設を設置していることなど参考にすべき点が多く、和歌山県も水利に恵まれているとはいえ、非常時に備え消火水利の確保と施設整備を進める必要があると考えますが、お伺いするものであります。
 ここまでの質問に加えて、公的、公立及び私立病院の震災対策は大丈夫か。また、壊れない病院でも患者、けが人の治療が可能かどうか。入院、手術ができる状態がとれるか。また六甲アイランドの市立中央病院では、今回の地震の後、人工透析を受ける患者に対して水確保ができず、亡くなった方もいらっしゃいます。その措置に大変苦慮したとのことですが、緊急造水車ブルーフロンティア号を導入したそうです。ボランティアで現地に来た車であります。これは、強力な殺菌作用を持つオゾン処理を採用した前処理車、海水中の塩分除去に逆浸透法を採用し、海水、地下水、河川水、湖、沼の水を淡水化及び飲用化できる機能を備え、二台の連結で二十四時間に約百トンの浄化造水をつくり出す車であります。知事、参考までにごらんになってください。──これを災害時の緊急造水に、また昨年夏のような渇水被害の対策用に購入してはと提言するものであります。
 次に、外国からボランティアとして救援活動に見えられ活躍していただいた中に、崩壊したビル、建物の内部に閉じ込められた人を救出する検索救助が、捜査犬のみでなく教育と訓練を積んだ人たちで構成された専門家による救助隊であることを参考にし、今後、犬の訓練と専門家の組織化を進めてはどうか、お伺いするものであります。
 また、被災後の二次災害を防止する大きな役割として、今次災害でも各地からボランティアとして被災建物の応急危険度判定をされた皆さんの活躍が、地味ではありますが評価をされています。県においても、安全管理に留意した業務として、消防職員を初め建築構造等にすぐれた技術者の積極的な参画を要請し、非常時には直ちにチーム編成がされ、災害現場で活動できるよう準備することについてもお伺いしたいのであります。
 次に、危険物施設等の保安管理の徹底は当然でありますけれども、日本における火災予防条例等により、容器の転倒、落下及び混触発火防止装置等は指導されているところですけれども、高校、大学、工場等で、化学薬品の落下破損等により混触発火と推定される火災や流出事故が多数発生している過去の事例が数多くある以上、薬品棚の耐震対策など指導すべき盲点はないかどうか、関係するすべてに改めて調査、指導を進めるべきであると考えますが、いかがでありましょうか。
 これらと同様に、個別においても家具転倒、落下防止に対応する責務があります。さらに、ガラス等の破損落下防止対策、ブロック塀の倒壊防止装置、地域防災力の向上と初期消火活動能力の向上、夜間発生時の防災行動力の向上、応急救護技術の普及、そして被災地域での飲料水の不足に対応するためにも、各家庭において最低、家族三日分程度の飲料水、非常食の確保を指導すべきであると、報告書はまとめているのであります。
 この問題の最後に、以下の質問をいたします。
 南海道地震発生以来、約四十九年経過しているわけでありますが、特定観測地域または観測強化地域の指定を受けるよう関係機関に働きかけるべきと思うわけですが、ご所見をお伺いします。
 また、南海道地震の地殻変動に二十年余も取り組んでいる関係大学の先生を県職員として迎え入れ、地震対策室を新たに設置するなど積極的な防災対策に取り組んではどうか、さらに地域防災計画の見直しについても、防災担当審議監を置くぐらいの意気込みで取り組むのも一つの方法だと思いますけれども、いかがでしょうか。
 以上の諸点について、知事、総務部長、保健環境部長、土木部長の答弁を求めます。
 次に、災害に強い町づくりの一つの方策として、今、円高利益の還元と町並み整備、美観の実現に、国、県、企業の三者負担によるキャブ工事が進められています。私は、過去にも共同溝方式の採用を意見として出し、むしろ広い通りよりも、狭い水道道と称される道の両側にある電柱をなくして電線を地中に埋設する方が車も走りやすく、区画整理もままならない現状を見るとき、この方が必要な箇所としてキャブ工事をする姿勢を求めた経過があります。
 確かに、和歌山市内のメーン通りは電線が地中に埋設され、きれいになったのも事実であります。改めて今回の大火災の被害を見るとき、道の両側の電柱が倒れ、切れた架線がショートして引火した火災も考えられています。それだけに、これからはミニキャブから共同溝方式に切りかえ、電線、電話線、ガス管、水道管、下水道管など、すべて共同溝で地中埋設し、しっかりとした舗装をすることが防災面でも重要と考えますが、土木部長の答弁を求めるところであります。
 先日、横浜市で国際女子駅伝が行われました。この一区の走者と二区の走者の間に、横浜市が今進めている大規模な共同溝の工事内容がテレビの画面で紹介をされていました。確かにお金もかかります。企業側の考え方もあるでしょう。しかし、先ほど申し上げたように一たん大きな災害が起こったときにどれだけの被害に至るか、トータルで考えるならば、二十一世紀への私たちの社会資本整備とし、また県民の安全と財産を守る観点から積極的な答弁を求めるものであります。
 二点目の問題は、和歌山大学新駅設置と新駅周辺整備の早期実現についてであります。
 さまざまな理由から、請願駅としての取り組みと運動を続けていますけれども、和歌山市河西地区での南海本線の駅は紀ノ川駅のみで、駅周辺はミニ開発が繰り返され、周辺道路や駐車場など、駅機能の施設整備ができる状況にないことは、ご案内のとおりであります。他方、河西地区は、和歌山市の進めているつつじが丘団地、コスモパーク加太の今後の進展、民間宅地開発等、さらに関西新空港開港後の経済効果を受け、ますます人口増加が見込まれているのであります。和大新駅には多くの住民が期待をしているところであり、新駅及び周辺地域を区画整理事業などの手法により、官民一体で地域整備の促進を図ることが望まれるのであります。今後の展望について、企画部長の答弁を求めます。
 三点目は、紀泉南丘陵には、県のコスモパーク加太計画を初め、前述した開発計画が幾つかあることはご承知のとおりであります。河西地区における東西幹線道路は、粉河加太線、西脇山口線で慢性的な交通渋滞が発生している状況も、よくご承知のことと思います。今後、交通渋滞の緩和と人口増加に対処していく上で、和大新駅など交通拠点の整備と計画検討中の東西幹線道路について早期に実施する必要があると考えるとともに、和興開発問題の経過はありますけれども、フォレストシティ計画の県の今後取り組む姿勢について、土木部長に伺うものであります。
 最後になりましたが、四点目に、先輩に贈る言葉を申し上げたいと思います。
 改選期のこの議会は、既に発言をされた議員、私の後、予定されているお二人の先輩も含め、実に多くの議員が勇退をされるわけであります。今日までのご労苦に、まず感謝をする次第であります。
 それぞれの立場や選挙区の違いを超えて、ともにあすの県政や今日的課題について議論のできたこと、勉強させていただいたこと、後輩として心より厚く御礼申し上げるものであります。後輩が先輩を送るのは通常社会の姿でありますけれども、選挙の洗礼を受ける議員は年齢の関係はないわけで、当選回数が物を言う社会とも言われます。しかし私は、人生の先輩として敬うべきは敬うという信条で今日まで生きてきたつもりであります。
 先輩方に対しては、カメの甲より年の功、勇退される先輩方は、いずれも春秋に富み、味わいある皆さん方であります。とりわけ、和歌山市選挙区でともに選挙をさせていただいた岡本、富田両先生には、議員歴三十六年間を通じて、和歌山の発展へのレールづくりに懸命に努力をいただいたと信じています。県勢発展への情熱を、この壇上から、また委員会において披瀝されましたこと、時には立場の違いから岡本先生の機嫌を損じたこともあります。しかし、県勢発展を願う気持ちから起こったこととして、今はよき思い出にしたいものであります。
 関空の実現、リゾート博の成功、県勢へのインパクトを形として実現したもの、先輩の皆さんが種をまいたもの、これから花を開くものに向けて、常に先輩として関心を持っていただき、適切なご助言をいただくことを切に願うものであります。どうか、健康に留意をされ、今、光り輝きを見せ始めた和歌山の二十一世紀をともに喜べるよう、今後のご活躍を祈念し、私の贈る言葉とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの和田正人君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 和田議員にお答えいたします。
 今次の災害に関して、災害に強い町づくりについての質問なり提言をいただいたわけでございます。
 私から、防災対策のための組織強化という提言について答えさせていただきます。
 全国的に見ても、特別に震災対策課を設置しているのは、東京都、千葉県、静岡県、福井県の一都三県となっております。今回の大震災を経験して、私も先日から述べているように、改めて地震防災対策の重要性を再認識したところでございます。お話ございました組織強化の必要性についても、和田議員からの提案なども参考にしながら研究を進めてまいりたいと思っております。
 他の問題については、関係部長から答弁させていただきます。
○議長(平越孝哉君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 災害に強い町づくりのうち、六点についてお答え申し上げます。
 まず、情報伝達手段の確保についてでございます。
 今回の大震災では、防災関係施設の建物が崩れ、通信機器にも被害が発生したため、情報の収集伝達が十分できなかったという問題が指摘されております。
 本県においても、議員ご指摘のように、コンピューターや無線通信用の諸施設が破壊された場合、災害への対応に支障を来すことは間違いございません。言うまでもなく、県のコンピューターであるとか防災行政無線、また中継局等については現行の耐震基準をクリアしているところではございますけれども、今後、建物を含めた耐震性を調査検討し、必要な措置を講ずるとともに、特に通信経路については、複数ルートの情報伝達手段を確保し、災害が発生した場合に連絡がとれないということが起こらないよう十分検討してまいりたいと考えております。
 また、今回の大震災では消防無線の同時使用によるふくそうということが問題視されておりますが、この点について、国における対応状況を見ながら防災計画の見直しの中に生かしてまいりたいと考えております。
 さらに、携帯電話が今次非常に有効であったということは議員ご指摘のとおりでございますので、今後、消防機関と協議の上、携帯機器の使用につき前向きに検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、防災中枢施設の耐震化についてでございます。
 議員ご指摘のように、災害対策本部を設置する建物や警察、消防の庁舎は災害発生時に活動の拠点となるところでございまして、当該施設が被災すれば、初動対策におくれが生じて被害が拡大することは明らかなことでございます。
 このため本県といたしましても、今回の大震災において、警察や消防の庁舎等がどのような被害を受けたかということを十分調査し、この調査結果をもとに県内の関係施設の耐震性を調べ、必要があれば関係機関とも協議の上、対応策を検討してまいりたいと考えております。
 次に、消火栓を初めとする防火施設についてのご質問でございます。
 今次の大震災においては、消火栓が地下で破断し、水が出ないということが大きな問題となりました。本県の消防水利の状況を見ても、消火栓に多くの部分を頼っているのが現状でございまして、今後、消防水利のあり方については国の統一的な方針も示されると考えておりますけれども、和田議員ご指摘のアメリカの先進的な例というようなものも十分参考にしながら、市町村消防に対し助成、指導をしてまいりたいと考えております。
 それから、救助犬の訓練と組織化についてのご質問でございます。
 我が国では、現在のところ、災害救助犬なるものは採用されておりません。しかしながら、阪神・淡路大震災においてスイスから来た災害救助犬が大活躍したことは報道等にも詳しいところでございまして、本県といたしましても災害に備え、このような救助犬について、ボランティアの組織化による育成の可能性やその活用方法につき、今後関係機関とも協議してまいりたいと存じております。
 次に、危険物施設の保安対策についてでございます。
 従来、高校、大学、工場等に保存されている少量の危険物については、火災予防条例や消防庁の通知に従い、保管場所、保管方法、緊急時の措置について指導を行ってきているところでございます。しかしながら、今回の大震災を契機に、これら危険物の保管について、特に地震の揺れへの対応という観点から必要な改善措置を講ずるよう指導してまいりたいと考えております。
 最後でございますが、特定観測地域の指定を働きかけるべきではないかとのご質問でございます。
 現在、観測強化地域、特定観測地域の指定については、建設省国土地理院等の諮問機関である地震予知連絡会が行っているところでございます。観測強化地域については東海地域と南関東地域の二地域、また特定観測地域については全国で八カ所が指定されております。
 議員ご指摘のように、本県でも四十九年前に南海道地震を経験しており、地震活動の観測体制の強化を図ることは、言うまでもなく非常に重要なことでございますので、阪神・淡路大震災が発生したこの機会をとらえて、特定観測地域や観測強化地域の指定に向け、関係機関に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 和田正人議員ご質問の、医療機関の震災対策についてお答えいたします。
 医療法は、病院の構造、設備の基準を規定してございますが、その構造強度、安全性に関して、必要な技術基準については建築基準法の規制を受けることとなってございます。県民の生命に深いかかわりを持つ病院は、災害時においてもその機能の維持が求められますので、その設立主体にかかわらず、災害時の安全の確保については特に留意すべきことと考えております。
 今後、医薬品ケース、備品等の倒壊防止など内部設備の安全対策の指導に努めるとともに、この貴重な体験を踏まえた国等の動向をも見ながら安全確保に努めてまいりたいと考えてございます。
 建物としての病院が耐震性等にすぐれ、倒壊等を免れたとしても、病院機能を維持し医療活動を継続するためには、必ずしも物理的な耐震性のみでは十分ではなく、医療スタッフや医薬品とともに、清浄な水や医療機器の電源等、ライフラインの確保が必要でございます。
 議員ご指摘の緊急造水車は、震災時の医療確保対策としてばかりではなく、異常渇水時の給水対策など幅広い用途にも活用の可能性が考えられます。今後の総合的な防災対策の検討と絡め、災害時における有効活用の可能性や経済的効率の問題も含めて検討課題であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 和田議員のご質問のうち、まず災害関連のご質問二点についてお答えいたします。
 第一点目として、応急危険度判定のための体制づくりについてでございます。
 大規模な地震災害が都市を襲うような場合、多くの建物が大きいダメージを受けるため、建築物への立ち入りや使用の可否を緊急に判定し、市民に情報を提供することにより、余震時などの建築物の倒壊や落下物による二次災害を最小限に食いとめることが不可欠となってまいります。
 既に、静岡、神奈川両県には、こういった観点から応急危険度判定士の制度が設けられていると聞いてございます。今回の震災においては、神戸市、西宮市、芦屋市、宝塚市など阪神間の被災都市からの要請に応じ、建設省を中心として全国各都道府県からの支援により、被災地における建築物の応急危険度判定が実施されており、和歌山県からも県庁職員、和歌山市職員、設計事務所から、延べ百名余りの建築関係の技術者を派遣してございます。
 今回の危険度判定は、災害直後の住民からの切実なニーズにこたえることができたものであり、和歌山県においても、初動段階の防災体制づくりの一環として必要なものと考えております。今後、応急危険度判定士の制度化と動員体制などについて、関係機関等と具体的に協議してまいりたいと思っております。
 第二点目の、共同溝方式の採用についてでございます。
 阪神・淡路大震災においては、電気、ガス、水道等のいわゆるライフラインの被害は大きいものがありましたが、特に電柱の倒壊は、周辺への被害、道路の遮断などにより緊急な防災活動を著しく阻害することとなりました。
 県といたしましては、災害に強い町づくりとして、小型の共同溝に当たる電線類を収容するケーブルボックスいわゆるキャブシステムの整備を、和歌山市の中心市街地などで進めているところでございます。このキャブシステムについては、今回の大震災においても耐震性を発揮され、その効果が大いに認められたところでございます。
 議員ご指摘の共同溝は、電気、ガス、上下水道などライフラインを一括して収容するもので、防災都市の建設や都市景観形成の上からも大変有効な手段でございます。また、耐震性も高いものでありますが、建設するためには多額の費用が必要であり、電気、ガス、上下水道等の占用企業者に多くの経費負担がかかることから、企業者の協力がなかなか得られないのも実情でございます。震災時の電柱倒壊による被害を防ぐ上からも電線類の地中化は大変重要でございまして、今後とも耐震性に十分配慮した安全なキャブ事業を進めてまいるとともに、ご提案の共同溝についても、ご趣旨を踏まえながら検討してまいりたいと思っております。
 次に、フォレストシティに関連した二点のご質問についてでございます。
 まず東西幹線道路の建設については、東西幹線道路が計画されている紀泉南丘陵地域には大阪湾環状道路の一環である紀淡連絡道路並びに京奈和自動車道が計画されております。東西幹線道路はこれらの道路と一体となるものであり、また周辺には関西国際空港のインパクトを受けて、コスモパーク加太を初めとする多くの官・民によるプロジェクトが進展しております。
 ご提言の道路は、これらのプロジェクトを相互に結ぶことにより土地利用の向上が図られるとともに、和歌山市の基幹となる道路網を形成する上でも大変重要なものと考えております。現在、この道路の導入空間について調査、調整を進めるとともに、東西幹線道路の事業主体、事業手法などについてもあわせて検討を進めているところであります。
 なお、東西幹線道路の計画を進めていくには、紀淡連絡道路、京奈和自動車道と一体として考えていくべきであり、早期にこれらのルートの決定がなされるように国に要望してまいりたいと思っております。
 次に、今後の姿勢についてでございます。
 フォレストシティ計画については、現在、都市計画法などの技術基準に照らして計画内容など審査を行っているところであります。計画が大規模であること、耐震性に十分配慮すべきことなど、審査に当たっては慎重を期する必要があると考えております。また、今回の地震の後、建設省などで被害状況の調査が進められていると聞いております。この調査結果に応じて必要な対策が講じられるものと思われますが、県といたしましては、事業者に対して地震時における安全性の確保を図るため、重要構造物などの挙動について再チェックを求めているところでございます。このような点を踏まえつつ、安全かつ円滑に開発事業ができるかどうかについて十分な審査を行うこととしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
 〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 和田正人議員にお答えいたします。
 和歌山大学新駅設置についてでございます。
 本県といたしましては、重要な課題として取り組んでおり、平成三年には、県、和歌山市、和歌山大学駅設置促進協議会により、和歌山大学周辺地域における鉄道需要等に関する調査を実施するとともに、平成四年三月には、新駅設置について検討する組織として、和歌山市を事務局とした県、市、近畿運輸局、南海電気鉄道株式会社、和歌山大学駅設置促進協議会で構成される新駅設置調整会議を設立し、南海電気鉄道株式会社や関係機関等に対し実現化の働きかけを行ってきたところでございます。その結果、平成四年九月に南海電気鉄道株式会社から、請願方式を前提とした新駅設置に関する諸条件について具体的に協議を進めたいとの回答を得たところでございます。
 現在、この回答結果を踏まえ、和歌山大学駅設置促進協議会が事務局となって区画整理事業の基本計画策定調査に取り組んでいるところでございます。今後は、新駅設置の事業計画案について新駅設置調整会議において検討を深め、早期実現化を図れるよう積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番和田正人君。
○和田正人君 知事初め、それぞれ前向きにご答弁をいただきましたが、その内容について幾つかさらにご要望申し上げたいと思います。
 知事に答弁をいただきました震災対策課または室の設置については、一都三県ということでございました。いずれも、震災の体験または想定される地域として、それぞれの立場から設置をされていると理解いたします。
 南海道地震で大きな被害を受けた私どもの経験からして、この既に設置をされている各都県の内容なども十分検討していただいて、和歌山県も積極的に取り入れていただきたい。さらに、南海道地震に長年取り組んでこられた先生を招致して、こういうものをつくってはどうかという提言をさせていただき、さらには防災担当審議監を置いてはという提言もさせていただきました。これは、来るかもしれない地震に対してでき得る限りの調査研究を行う、そして可能な防災体制をつくっておくという積極的な県の姿勢のあらわれになるのではないかと思います。必要な考え方として、ぜひ早急に結論を出していただくよう、強く要望するものであります。
 さらに、予防保全という考え方について。おおむね目に見える箇所の点検や補強を進めるというのはやりやすいわけです。しかし、過去の事例を参考に盲点はないのかどうか、こういうことを専門的な立場から必要な措置として速やかに講じておくことが必要だと思います。「備えなくして憂いあり」では困るのであります。結果的には大きな損失につながります。特に消防、水利等については今後種々ご検討いただけると思いますけれども、無限水利の海水を活用する、こういうアメリカでの例を参考にして検討したいという総務部長のご答弁がありましたが、消防は市町村ということではなくて、水利確保は県がやると、こういう姿勢を位置づけてほしいわけでございます。
 それから、保健環境部長のお答えにも幾つか前向きに検討するという姿勢を伺ったわけでございますが、先ほど知事にごらんいただいた緊急造水車、この関連の記事が二月二十日の朝日新聞に出ております。大きな見出しで「病院、各地で機能停止 給水タンクもろかった 耐震性不十分 貯水槽使えず」、以下、内容的にはそれぞれの病院の実情について記事として紹介をされております。この中に「地震発生五日目からは、海水を飲用水に変える淡水化プラントを借り、水道復旧の十四日まで毎日六十トンを確保した」、こういう記事がございます。また一方、「厚生省健康政策局指導課によると、医療機関の給水タンクや貯水槽など給水設備について、地震など防災対策の基準はないという」ことも紹介されています。
 この二台セットで約九千五百万円、今回の阪神・淡路大震災にはボランティアとしてこの車が派遣されたと聞いております。災害はない方がいいわけであります。しかし一たん起こったときに、我々の現在の環境を考えると、「経済的効率」という表現もございましたが、むだな投資になるのか、県民の命と財産を守っていくために必要な投資というとらまえ方をして検討するのか。間違っても、災害が起こったときにリースできないかというような考え方は持ってほしくないわけであります。これを開発した会社は、何台も何台も慈善事業のようにつくっているわけではないのです。本当に必要な機械であるかどうか、水利に恵まれている和歌山であるとはいえ、もしという事態を想定して積極的にご検討いただきたい、このようにご要望申し上げておきたいと思います。
 防災関係について、多くのアメリカでの参考例を示しながら、質問、提言をさせていただきました。多くの議員の皆さん方も、今日までの質問の中で、和歌山県の今日の状況、将来の防災体制について、それぞれ見識ある立場から多くの意見を出されました。どうか、災害が起こったときに、本当の意味で災害に強い和歌山という二十一世紀になりますように、今から準備をしていただきたいのであります。いつ来るかわからない。検討する余裕すらないというのが県民の気持ちではないでしょうか。
 そういう意味で、今回の議会の中で多く出された防災にかかわる意見を尊重していただき、知事初め積極的に、前向きに速やかに検討をしていただきますことをご要望して、私の質問を終わらせていただきます。
 以上です。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で和田正人君の質問が終了いたしました。
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村利男君。
 〔中村利男君、登壇〕(拍手)
○中村利男君 登壇することのお許しをいただきましたことを、厚く感謝申し上げます。
 質問の前に、去る一月十七日未明の阪神・淡路大震災でお亡くなりになりました方々に、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。また、被災された方々に対しましても、心からお見舞いを申し上げます。
 さて、これが私にとりまして最後の質問になろうかと思いますと感慨深いものがございますし、またただいま和田正人議員からは心のこもった温かいお言葉をちょうだいいたしまして、本当にありがとうございました。感謝を申し上げます。
 登壇するに当たりまして、今まで試みた質問の原稿を整理してみました。やはり、水産問題が一番多かったように思います。中でも一番印象に残っているのが、昭和五十九年七月、熊野灘一帯を襲った大規模な赤潮の発生であり、串本町から新宮市に至る沿岸海域の漁業、特に養殖漁業に壊滅的な打撃を与えました。紀伊半島の南部は外洋に面し、赤潮の心配は少ないものと信じていただけに、漁業関係者にとっては大きなショックでありました。
 県は、直ちに緊急対策本部を設置し、知事を先頭に現地の水産試験場の皆さん、また水産課職員の皆さんが不眠不休のご努力をされていたことが、今も強く印象に残っております。我々県議会も臨時議会を開き、幅広い角度から種々検討を重ね、今後の対策について当時の高橋経済部長にお尋ねをいたしましたところ、今回のごとく赤潮が広範に、しかも長期化し、被害額が日を追って拡大するさまを見るとき、天然、自然に対する人の力の無力さを痛感し、その対応の難しさを啓示された感がいたします、このように答弁され、自然の猛威の前には決め手となるような適切な対応ができなかったことを述懐されておりました。
 「災害は忘れたころにやってくる」と言います。どうか、過去の教訓と経験を生かされるように十分ご留意賜りますよう、お願いをいたします。答弁は求めません。
 次に、捕鯨問題についても数回質問させていただきました。
 質問するに当たり捕鯨の歴史を調べておりましたところ、明治十一年十二月二十四日、太地の捕鯨史を大きく変えるようなセミクジラの捕鯨に係る大遭難事故が発生し、陸奥宗光のいとこである長坂邦輔、後の岡崎邦輔が、当時新宮警察署長であり、遭難漁民の捜索と救助のため海軍省に軍艦の出動を求めました。そのころ新宮地方には電信電話がなく、県庁へ飛脚便を飛ばすなど、大活躍をしております。また、新宮署長当時、岡崎邦輔らしい、極めて豪快といいますか痛快といいますか、そんなエピソードのあったことも和歌山県警察史を通じて知ることができました。こんなときは、大変楽しい思いに浸らせていただきました。
 また、和歌山県議会の名において国に対し、捕鯨存続等に関する意見書及び要望決議書を過去三回提出いただいたことに対し、地元の議員として感謝を申し上げます。
 さて、和歌山県民にとって、やればできるという自信と勇気を与えてくれたのが、昨年大成功をおさめた世界リゾート博と、いま一つは昭和六十三年十月、那智勝浦町をメーン会場に開催された日本文化デザイン会議ではなかったかと思います。
 日本文化デザイン会議については、県庁所在地からはるかに遠い熊野地域での開催であり、果たしてうまくいくのかどうか心配をいたしたところでありますが、仮谷知事初め関係された皆さんのご努力、ご協力によって見事に大成功をおさめることができました。そして知事はフィナーレに際し、「まかれた種は大事に育てていきたい。熊野に文化の灯がともされた」、このように締めくくっておられました。
 せっかくともされた熊野文化の灯を育てていくためのよりどころとなる熊野学研究センターについて、現在、幅広い分野から検討が進められております。平成四年二月には那智勝浦町において梅原猛先生を座長として「熊野を語るフォーラム」が開催され、また昨年三月には白浜町において「熊野学の推進に向けて」のシンポジウムが、そして来る三月十一日には那智勝浦町で「熊野学への結集を求めて」のシンポジウムが開催されます。
 その間、講師の先生方からは、それぞれのお立場から熊野への熱い思いが語られる中で、例えば博物館といった具体的な構想も見え隠れしておりますが、日本の原郷熊野を知事はどのようにデザインされようとしているのか、お伺いをいたします。
 さて、県議会の先輩・同僚の諸先生方、そして議会事務局長さん初め事務局在籍の皆さん、大変お世話になり、ありがとうございました。また、仮谷知事さん初め、知事部局の皆さん、教育委員会、公安委員会初めそのほかの委員会の皆さん、大変お世話になりました。ありがとうございます。心から感謝を申し上げます。
 県会議員選挙も目睫に迫ってまいりました。全員ご当選は間違いないと思いますが、どうかお体には十分お気をつけられまして圧勝されますよう心からご祈念申し上げまして、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの中村利男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村議員にお答え申し上げます。
 ただいま中村議員には、今期をもって引退されると表明されたわけでございます。四期十五年余にわたりまして県政のためにご努力いただきましたこと、心から厚く御礼申し上げますとともに、今後とも体に十分留意され、別の角度から県政のためご支援賜りますことをお願い申し上げたいと思います。
 それから、熊野学研究センターの構想実現に向けて知事はどのようなデザインを持っているかということでございます。
 熊野学研究センターについては、現在、県と東牟婁、西牟婁郡の二市十四町村で組織する実行委員会をつくっておりまして、有識者の意見を聞きながら基本的な考え方を検討している状況でございます。
 和歌山県には、熊野や高野山を初めとして日本を代表する歴史、文化資源が数多くございます。特に、国際日本文化研究センターの梅原猛先生が言われるように、熊野は日本の原郷として、海に山にすばらしい魅力を備えたところでございます。熊野地域の歴史、民俗、文化、宗教、森林、海洋等、どれ一つをとっても十分に学問的な対象となり得るものでありますが、それぞれの分野を総合的な観点からとらえて一つのまとまった地域学として研究していこうとする試み、これが熊野学研究センターの構想そのものでございます。まだ、学問的には確立されていないわけでございます。また、広範な分野にわたるだけに、その展開についても、今後とも多くの学識経験者の力を得ながら研究を進めていかなければならないと思っております。
 現在の熊野学研究センターの考え方といたしましては、一つには、新しい地域学としての熊野学を研究する機能、二つ目として、熊野の魅力を映像や演示により効果的に提示して体験する機能、三つ目には、熊野学の研究活動を促進し、人的物的ネットワーク化を図るとともに全国に熊野を情報発信する文化的機能の三つの機能が考えられると思っております。今後、地域学として何を研究し、どのようなものを展示し、体験していただくか、またどういう文化的事業を行っていくのか、まだまだ検討の段階でございますので、地元の方々はもとより、学識者の意見を聞きながら具体的な構想をまとめてまいりたいと考えておる次第でございます。
 いずれにいたしましても、熊野は古代より熊野信仰の聖地として多くの人々を引きつけ、今日においても日本人の心のふるさととして再び注目を浴びているところでございます。県としては、市町村を初め学識者、関係の皆さんのご意見を聞きながら、また協力を得ながら、地域の活性化に結びつく熊野学研究センターの建設、実現に向けて積極的に検討、研究を進めてまいりたいと思っております。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) 以上で、中村利男君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時十二分休憩
 ──────────────────
 午後一時五分再開
○議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 7番岡本 保君。
 〔岡本 保君、登壇〕(拍手)
○岡本 保君 まず私は、去る一月十七日未明に発生いたしましたあの悪夢のような阪神・淡路大震災によりお亡くなりになられました方々に対しまして心からご冥福をお祈りいたし、被災された皆様方に衷心よりお見舞いを申し上げる次第であります。
 国、地方自治体、民間挙げてようやく復旧、復興のつち音が力強くなってまいりました。それは長い道のりとは思いますが、政治、行政の万全の対応はもちろんのこと、人間の英知と温かい心に希望を託し、一日も早く復興が図られますよう強く期待をいたしているところでございます。
 今議会は既に多くの同僚議員から質問をされましたが、いずれも県勢の発展、県民の福祉にかかわる大切なものばかりでございます。その中におきまして、今期で勇退される議員の皆さんの県政に対する情熱あふれるご質問を拝聴させていただき、深く感銘を覚えた次第であります。
 私も、今回が最後の議会であります。九期三十六年の間、いささかの緊張と大いなる感慨をただいま覚えているところでございます。先ほどはまた、同僚・和田議員からまことにご丁重なお言葉をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。
 ところで、開会劈頭、仮谷知事の県政運営についての所信表明、議案提案説明や答弁を聞かせていただきましたが、知事の新たなる時代に向かって県勢の飛躍発展にかける並み並みならぬ決意と、知事としての力強い責任感に改めて敬意を表したいと思うのであります。
 さて、私は昭和三十四年四月の統一地方選挙で弱冠三十六歳で当選をさせていただきました。ご承知のごとく、昭和二十八年の大水害の県下全域にわたる被害、その上、連年打ち続く風水害により本県及び県下市町村の財政は極めて逼迫し、昭和三十四年九月には伊勢湾台風、翌三十五年五月にはチリ地震津波、夏には台風十六号、翌三十六年九月には第二室戸台風と、災害は忘れたころにやってくるのではなく、和歌山県にはほとんど毎年襲いかかり、災害復旧に明け暮れておったのであります。
 そういった中で、しかし、昭和三十四年には紀勢本線和歌山─亀山間が全通、紀伊半島一周の鉄道交通が実現し、三十六年には住友金属和歌山工場一号炉に火入れが行われ、国道二十六号線の整備完了等、明るい面もありましたが、打ち続く災害で全国との格差は拡大する傾向にあり、本県経済を後進性から脱却させることが県政の大きな課題となり、ご承知のとおり、東京オリンピックの三十九年には第一次県長期総合計画が策定されたのであります。
 四十年代には、北部臨海工業地帯を中心に工業の進展によって県勢の躍進と県民生活の向上が見られ、四十三年には南紀白浜空港開港、四十六年には黒潮国体の開催、四十九年には近畿自動車道阪南─海南間開通など、県勢発展を促すプロジェクトが展開されました。我が国経済がアメリカに次いで世界第二位のGNPに達したのも四十年代の早い時期であり、本県もこの時代を成長期と位置づけております。しかし一方、急激な成長に伴い、過密過疎、公害環境問題が生じ、県民からは物質的な豊かさに加えて心の充実、生活環境の整備が求められてきたのであります。
 五十年代は、紀勢本線の電化、近畿自動車道海南湯浅道路の開通、和歌山線の電化、光ファイバー等情報化への基盤整備が進められてまいりました。しかし、数次にわたるオイルショックを経て資源の有限を知らされ、産業構造の転換が図られ、高度成長から減速経済へ、人々の意識変化、価値観の多様化、ソフト化が進み、経済低成長、安定成長期へと移行していったのであります。
 六十年代は、間もなく平成の世のとなり、ベルリンの壁の崩壊、ソビエト連邦の解体、五五年体制の崩壊と、国内外の激変に政治、経済、社会の一大変革の時代を迎えたのであります。二十一世紀を目前にして、国際的にも国内的にも大変難しい時代にあると存じます。そして、これらのことが今日ではダイレクトに地方にも大きく影響する時代でもございます。
 貿易摩擦、外圧、円高、バブル、土地不況、金融不安等々、このような中で幸いにも本県では、懸案の高速自動車道が大きく進展を見、紀勢線が新大阪へ直行し、関西国際空港が開港、世界リゾート博が大成功、白浜空港ジェット化が目前となり、大阪に近接しながら「陸の孤島」と言われた本県も、知事の積極的な交通網整備最重点施策によっていよいよ新しい和歌山の時代が来ようとしております。
 私が議員になった当時の昭和三十五年度の県の当初予算は、一般会計はわずか百三十二億円でございました。平成七年度は五千四百三十五億円、四十倍以上の予算規模でございます。消費者物価指数は、平成二年度を一〇〇としますと昭和三十四年度は一九・四で約五倍でございます。数字だけで単純に比較はできないと思いますが、経済成長とともに今日いかに財政のウエートが高くなってきたか、いかに行政需要が広く深く大きくなってきたかと思うのであります。さらに、これからは、規制緩和、行財政改革、地方分権、地方行政の確立が進展していくと思います。思い切った新しい視点で県政を考え、本格的な国際化、高齢化、高度情報化、価値観の多様化、産業構造の変化と活性化の中で、県勢発展、県民の幸福のための施策の展開を強く望みたいと思うのであります。
 なお、私は、この機会に次の諸点について若干お伺いをいたしたいと思います。
 まず最初に、東海から紀伊半島を通り、四国を経由して九州に至る太平洋新国土軸構想についてお伺いいたします。
 昭和四十年に国連調査団がまとめたワイズマンレポートを受け、昭和五十四年には新全国総合開発計画に東海南海連絡道が位置づけられてまいりましたが、実際には昭和五十四年に仮谷知事が紀淡海峡トンネル構想を発表したのが引き金となり、第二国土軸構想が具体化に向け動き出したわけでございます。昭和五十八年度からは、日本鉄道建設公団が四国新幹線の海峡部分調査として毎年一億円を計上し、紀淡海峡の調査を進めております。太平洋新国土軸は、現在の状況から見て、まず道路の実現に向け全力を注ぐべきであると考えているところでございます。また昭和六十二年には、第四次全国総合開発計画において大阪湾環状交通体系が位置づけられ、平成三年度からは建設省がその一環として紀淡海峡連絡道路、すなわち橋梁の調査を開始、平成五年度からは建設省と和歌山県、兵庫県が共同して紀淡連絡道路の可能性を探る調査に着手しております。
 このように、紀淡海峡を渡る新たな国土軸構想が着々と進められている中、我々県議会はこの構想にいち早く取り組みを始めました。そして、本県産業経済の飛躍的な発展に寄与することを目的として、四国四県、大分県の県議会と歩調を合わせ、平成四年三月には県議会第二国土軸建設促進議員連盟を結成し、第二国土軸の早期完成に向け活動を続けております。なお、第二国土軸構想の推進のため関係府県と経済団体で結成される第二国土軸構想推進協議会において、全国で何本かある新たな国土軸構想のうち我が県を通るものに対し太平洋新国土軸と命名されましたので、我々もそれを受け、太平洋新国土軸建設促進議員連盟と組織の名称を改めております。
 そこでお伺いいたしますが、太平洋新国土軸を構成する京奈和自動車道及び紀淡連絡道路について、現在の進捗状況、今後の見通しがどのようになっているか、また、紀淡連絡道路の促進のため京奈和自動車道を加太方面まで延長して事業を進めてもらいたいのでございますが、いかがでございますか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、第二阪和国道の整備についてお伺いいたします。
 近畿圏においては大阪湾ベイエリアの一体的な開発を進めていこうという機運が高まりを見せており、ベイエリア開発整備の円滑な推進を支援することを目的に、平成元年九月、官・学・産の総意により大阪湾ベイエリア開発推進協議会が設立されました。平成三年四月には大阪湾ベイエリア開発整備のグランドデザインが公表され、これからの開発整備を進めていくための基本方針が示されたのであります。その後、平成四年二月に財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構が設立、十二月に大阪湾臨海地域開発整備法が制定され、これを受け平成五年八月には、大阪湾臨海地域並びに関連整備地域の地域指定が告示されたところでございます。
 和歌山県においては臨海地域として御坊市まで指定されておりますが、これらの地域の一体的な開発を進めるためには鉄道や道路の交通基盤整備が不可欠であると考えております。現在、鉄道については新大阪駅までの乗り入れが実現されるとともに、関西国際空港へも、乗り継ぎはありますが、連結され利便性が向上しているところでございます。道路につきましては、阪和自動車道が国土軸に直結、阪神高速道路湾岸線がほぼ完成しており、湯浅御坊道路についても平成七年度内の供用を目指して工事が進められているところでございます。
 しかしながら、和歌山市から都市圏や関西国際空港へ直接結ぶ第二阪和国道については、現在、和歌山北バイパス及び大阪府内の阪南市自然田から岬町淡輪の間で事業が行われておりますが、その間の府県境部分については事業着手のめどが立っていないと聞いております。今後、建設促進議員連盟等の活動をさらに活発化して、この路線が早期に全線開通できるよう頑張っていかなければならないと考えております。
 現在、和歌山市域は一点集中型の道路網構成となっており、朝夕の通勤時間帯に交通が集中するため、紀の川北部の地域においては、国道二十六号線御膳松交差点や北島橋北詰交差点、六十谷橋北詰交差点などで渋滞が発生しているのが現状であります。土木部においては平成五年度に新渋滞対策プログラムを策定し、渋滞解消のために和歌山北バイパスの整備が必要であると記載されております。私も、早期整備がぜひとも必要であると考えております。
 そこで、お伺いします。現在用地買収が進められておりますが、進捗状況はどのようになっておるのか、また今後の見通しはどのようになっているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、コスモパーク加太計画の現状打開についてでございます。
 平成三年十二月、関西国際空港島へ向けて最後の土砂運搬船を大川桟橋より送り出して以来、既に三年を超えているところでございます。当時、空港島埋め立て土砂全体の四〇%以上、六千五百万立方メートルという膨大な土量の搬出を本県が分担し、土地開発公社が直接これを担当したのでありますが、今さらながら開発公社の努力に対しまして高く評価をいたしております。と申し上げますのも、あの当時、本県の分担した土量をすべて出していなければ、コスモパーク加太などの跡地利用計画が全く考えられなかったからであります。
 現在、瀬戸内海国立公園を眼下に広大な土地が県民の財産となっておりますが、一日も早く有効に活用してこそ所期の目的を果たせるというものであります。この土地の活用は県の代表的プロジェクトとして位置づけられているものでありまして、私からあえて申すまでもなく、当局も事業実施計画に頭を痛めていることと思いますけれども、現下の社会経済の状況では全体の計画推進は極めて困難ではなかろうかと思います。また、今後における経済見通しについても不透明と言わざるを得ないのであります。特に、今日まで大手の民間企業グループによる開発計画も種々検討されましたが、いずれも実らなかったと聞いているところであり、今後の具体的な対応方法について、私は正直、危惧の念を抱いております。
 もとより、この大規模な土地利用に当たっての基本的スタンスは、やはり民間のノウハウとその資金を導入することが大きな柱となっております。さらに、加太の恵まれた自然環境にあってリゾート法の対象地域でもあり、開発を目指す方向はこれらによってかなり絞られるのではないかと考える次第であります。
 幸い、過日マスコミで大きく取り上げられた通年型の人工スキー場の立地計画がまず一つの例として、私も率直に言って強い関心を持っている次第でございます。聞くところによれば、人工雪を使って年じゅう滑べれるという施設であり、ゴルフに次いで愛好者が多く、しかも幼児から実年者まで楽しめるというものでありまして、西日本で初めてと言われていることもあって、恐らく和歌山名物が一つふえることになるのではないかと思うのであります。さらに、家族ぐるみのスポーツであり、イメージとしては明るく健康的であります。全体面積二百六十ヘクタールのどの部分に建設するかはわからないけれども、土取り事業終了から今日に至る状況を十分に踏まえた上で、県がこの民間プロジェクトを誘致する方向を既に固めているとは思いますが、これまで県が余り進めていない道路問題などのインフラ整備について、後に続く民間進出のことも考慮して早急にこれらの事業に着手するかどうかとともに、人工スキー場誘致の考えについて知事にご答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
 さて、振り返ってみますと、私は議員としての長い間、県政に懸命に取り組んでまいりました。その私が今日無事に議員生活を終えることができましたのも、ひとえに先輩・同僚議員の皆さん、知事を初め県当局の皆さん、県議会事務局の皆さんのご協力のたまものであり、また長きにわたり私に終始変わらぬご支援をしていただいた後援会員の皆さん、県民の皆様のおかげであり、この機会に心から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 今後は、私は県民の一人として、県勢発展に熱い思いを持って見守ってまいりたいと思います。長い間、本当にありがとうございました。
 最後になりましたが、皆様方のご健勝とご多幸、そしてこの四月の県議会選挙には皆さん全員が見事当選されますよう心から祈念いたしまして、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの岡本保君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 岡本議員にお答え申し上げます。
 ただいま岡本議員は、今期をもって政界を引退すると声明されたわけでございます。九期三十六年、県政史上最長の長期にわたって県会議員として活躍していただいたわけでございまして、そのご労苦に対し心から感謝申し上げるとともに、今後はなお一層、健康に留意されまして、別の角度から県政、また地域のためにご尽力賜らんことを心からお祈りする次第でございます。
 それでは、ご質問に答えさせていただきます。第一点は太平洋新国土軸構想について、現在の進捗状況、今後の見通し、京奈和自動車道の加太方面までの延伸についてでございます。
 現在、国において新全国総合開発計画を策定中でございます。国土多軸型の形成を目指して進めつつあるわけでございまして、すなわちいわゆる太平洋新国土軸、ほくとう国土軸、日本海国土軸、この三つを柱として新しい国土計画が進んでおります。そのうちの紀淡連絡道路は、また大阪湾ベイエリア構想を構成する道路としても重要な道路でございます。本県の唱える太平洋新国土軸構想が現在このように実現に向かって動き出しつつあるということは、非常に喜ばしいことでございます。
 特に紀淡海峡については、飛鳥時代、大化の改新のときに七官道の一つであった南海道の要衝として栄えてきた重要な海路でございました。この海路に橋をかけ、昔のように東西交通の軸として復活させようと進めてきているわけでございます。この構想を進めるため、平成四年九月には紀淡海峡交流会議を、平成六年六月には大阪湾環状紀淡連絡道路建設推進協議会を関係府県等と協力して設立し、また岡本議員が会長を務めておられる和歌山県議会太平洋新国土軸建設促進議員連盟の絶大なご支援を得ながら、活発な活動を推進しているところでございます。
 京奈和自動車道は既に事業が進められておりますし、紀淡連絡道路に関しても平成三年度から建設省が調査に着手いたしました。また平成五年度からは、和歌山県と兵庫県も支援して調査を促進中でございます。昨年の十二月にはさらにもう一歩踏み込んで、長大橋の技術的な検討を深めることを目的として紀淡連絡道路調査委員会が開催され、学識経験者の方々から紀淡海峡大橋については技術的に十分可能であるというご意見が出されております。紀淡海峡に橋がかかるのもそれほど遠い話ではない、もう目先に来ておると私は思っておるところでございます。今後も、皆さん方のご協力をいただきながら、太平洋新国土軸の早期実現に努力してまいりたいと考えております。
 また、京奈和自動車道の延伸についてでございますけれども、現在国において種々の調査が進められておりますが、県としては、京奈和自動車道を第二阪和国道まで延伸し、また紀淡連絡道路を加太から第二阪和国道まで伸ばすべく、国道として認定されるように要望しているところでございます。さらに、昨年の十二月には、紀伊淡路連絡道路として当該区間が地域の高規格道路の候補路線に指定を受けたところでございます。今後、これらを一体的な整備が図れるように努力してまいる所存でございます。
 次に、第二阪和国道の整備についての進捗状況、今後の見通しでございます。
 第二阪和国道については、和歌山と大阪を結ぶ広域幹線道路でございますし、第十一次道路整備五箇年計画にも位置づけられておりますように、大阪湾環状道路の一環として阪神高速道路湾岸線へ直結する重要な路線でもございます。そのうち和歌山北バイパスは、お話ございましたように、広域幹線道路としても、また都市内の渋滞対策の上からも、最も急ぐ必要があるわけでございます。県としても、建設省、和歌山市とともに和歌山北バイパス事業調整連絡会を設立し、事業の促進を図っているところでございます。
 現在までの用地の取得率でございますけれども、面積では二五%でございますが、今後さらに積極的に用地取得を進め、第十二次道路整備五箇年計画──これは平成十四年度までございますが──の期限内のできるだけ早い時期での供用を国に対し強く働きかけているところでございます。残る府県境部については、和歌山北バイパスのめどを立てながら整備を進めてまいるように要望してまいりたいと思います。
 次に、コスモパーク加太計画の現状の問題でございます。
 現在、その推進を図るために諸般の取り組みを進めてまいっておるところでございまして、過日来も県議会において、いろいろなご提言、ご指導、ご叱責をいただいてございます。今後の取り組みに向けては、本県を取り巻く周辺の経済的な環境は依然として不透明で流動的な状況で非常に厳しいものがございますけれども、場所としては絶好の場所であると私は考えておりまして、今後なお一層の努力を重ねてまいりたいと考えておるところでございます。
 当面は、まず開発整備の基本方向を定めて土地利用の骨格を固めてまいりたいと考えてございますし、計画の実現に向けては、今後の社会、経済の動向に柔軟に対応しながら、議員ご質問のインフラ整備に係る取り組みも含め、現実的、段階的に対応してまいりたいと思っております。
 また、民間サイドで企画されている人工スキー場計画については、コスモパーク加太計画の目標の一つであるリゾート整備の趣旨に沿うものであると考えているところでございます。そうした観点から、この計画についても積極的に対応してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) 以上で、岡本保君の質問が終了いたしました。
○議長(平越孝哉君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(平越孝哉君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 ──────────────────
○議長(平越孝哉君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(平越孝哉君) 次に、お諮りいたします。三月六日から三月八日までは、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、三月六日から三月八日までは休会とすることに決定いたしました。
○議長(平越孝哉君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
 〔職員朗読〕
 ───────────────────
 総務委員会  第 一 委 員 会 室
 厚生委員会  第 二 委 員 会 室
 経済警察委員会 第 三 委 員 会 室
 農林水産委員会 第 四 委 員 会 室
 建設委員会  第 五 委 員 会 室
 文教委員会  第 六 委 員 会 室
 ───────────────────
○議長(平越孝哉君) 次会は、三月九日再開いたします。
○議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時三十七分散会

このページの先頭へ