平成7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(富田 豊議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時五分再開
○議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 14番富田 豊君。
 〔富田 豊君、登壇〕(拍手)
○富田 豊君 職責をもわきまえず発言の機会をお与えいただき、お許しを賜りましたので、あいさつを含め、質問をいたしてまいりたいと存じます。
 私ごとで大変恐縮でございますが、このたび種々熟慮いたしました末、今期を最後として次期選挙には出馬しないことを決意いたしました。先輩・同僚各位はもちろんのこと、知事並びに当局の皆さん、そして報道関係の方々、後援会の皆様には大変お世話になりました。この間、温かいご交誼、ご厚情を賜りましたこと、私の生涯を通して忘れ得ない感謝の心で胸いっぱいでございます。本当に長い年月、ありがとうございました。厚く御礼を申し上げたいと思います。
 顧みますれば、昭和三十四年、市議会議員に初当選して以来、市会、県会を通して三十六年間、微力ながら郷土の発展のためにと心を尽くしてまいりましたが、今は懐かしい、忘れ得ぬことどもが走馬灯のように思い出されるきょうこのごろであり、万感胸に迫る思いであります。重ねて、厚く御礼を申し上げます。
 さて、私にとって最後の質問となりましたが、通告に従い、質問に入らせていただきたいと思います。
 今日まで、和歌山県勢の活性化はどうあるべきか、また心のこもる福祉や教育のあり方はどうすればよいのかと質問をいたしてまいりました。和歌山県は、地理的条件等々によりやむなく、人口問題、県民所得や県民総生産、そして雇用・就労の問題等々が全国ワーストランクに位置づけされ、低迷を余儀なくされたのでありますが、いよいよ仮谷県政も総仕上げとも言うべき最後の当初予算の本会議であります。五期二十年の長きにわたり県勢の浮揚対策、活性化について真剣に取り組まれ、「まごころ県政」を標榜して鋭意努力なされたそのかいあって、今ようやくその成果が実る基盤づくりができたのではないかと思うのであります。関西国際空港の開港を契機として、世界リゾート博の大成功と相まって、その関連事業も着々と成果をおさめつつあることはまことにご同慶の至りであり、将来に明るい基盤づくりができたとも言えるのではないでしょうか。
 しかしながら、その兆しが見えたとはいえ、まだまだこれからが本番であると思うのであります。関西国際空港も今のままではアジアの、否世界のハブ空港としての機能には乏しく、是が非でも全体構想実現が絶対欠くべからざるものであります。全体構想実現に向けての見通しや現況についてお示しを願いたいと存じます。
 次に、昭和五十六年三月の議会で私が提唱いたしました紀淡海峡大橋の架橋実現についてでありますが、今日、調査費もついたことでもあり、太平洋新国土軸構想とあわせ、ぜひ実現させなければならぬことは言をまたないのであります。現時点におけるその進捗状況はどうなのか、実現に向けての目標、日程等について、予想できる範囲で結構ですから、お伺いをいたしたいと存じます。
 次に、私が十数年前質問をいたしたことの中で、奇想天外なことを考えなければ和歌山県の活性化はないということで、当時、新幹線の予定のないのは和歌山県と沖縄県であるとうわさされた時代でもありましたが、夢みたいなことのようではあろうが紀伊半島を一周する新幹線誘致を唱えてはどうか、今から名のりを上げても決して早くはないと訴えてまいりました。近年はミニ新幹線構想が浮上してきたようにも思えますが、紀伊半島を一周するミニ新幹線についてどう受けとめ、どう対応していかれるのか、お考えのほどを承りたいと存じます。
 次に、土取り跡地におけるコスモパーク構想についてであります。
 今、新聞紙上によりますと島精機が提唱している人工スキー場・和歌山ドーム構想が浮上しているようでありますが、コスモパーク全体計画の構想を今後どのようにとらえ、どう対処していくのか、大枠で結構ですから、今お考えになっている構想をお聞かせいただきたいと存じます。
 最後に、今一番県民に求められているのは不況対策ではなかろうかと思うのであります。景気の落ち込みは、下げどまったとはいうものの、いまだ明るい見通しの兆しが見えてこないというのが実態ではないでしょうか。雇用の問題も含め、どこに起因しているのか、また景気を回復させるにはどうすべきなのか、その対策についてどう施策を進めるべきかをお示しいただきたいと存じます。
 以上、質問を申し上げまして私の質問を終わりますが、最後に、先輩・同僚各位のご指導、ご鞭撻賜りましたご厚情に重ねて厚く御礼申し上げ、来るべき選挙にはめでたく全員ご当選なさることを心から祈念申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの富田豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 富田議員にお答え申し上げます。
 ただいま富田議員には、今期をもって県会議員を引退されるとの声明がございました。お話のごとく、市会、県会を通じて三十六年の長きにわたり県勢、市勢発展のためにご努力いただきましたご労苦に対し心から感謝申し上げますとともに、ますます健康に留意されまして、ご健勝を心からお祈り申し上げたいと思います。
 それでは、質問ございました関西国際空港全体構想についてでございます。
 私も議員と同じく、関西国際空港が世界第一級の国際ハブ空港となるためには全体構想の実現がぜひとも必要であると考えておりまして、第七次空港整備五箇年計画に盛り込むべく、調査費の確保、地元協力のあり方の検討等に取り組んでまいっておるわけでございます。おかげをもちまして、ボーリング調査費を確保するなど、全体構想実現に一応の明るい見通しができたものと考えております。
 しかし、最近の関西を取り巻く政治経済状況は非常に厳しいものがございまして、関西空港の服部社長が申しておりますのは、第七次空港整備が関空にとっての一番の正念場だ、これを実現するためには七月までに地元の体制の整備が最も肝要であるということでございます。特に、大阪が地元としてどの程度考えていくかという態度決定が重要な課題でございまして、五月の終わりごろまでにそうした地元の体制の決断が必要ではないかと言われておるわけでございます。大阪の政治情勢等、また神戸も災害で厳しゅうございますけれども、かねてからの念願でございます。早急に態度を決めていただくよう、和歌山県としてもそうした県とともに、連携を密にして今後とも取り組んでまいりたいと思います。
 特に議会の皆さん方のご支援をいただいて、大阪府、兵庫県、関西各府県の議会の皆さんとともに協調のもと進めてまいらなければならないと思ってございまして、格段のご支援をお願い申し上げたいと思います。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
 〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 富田議員にお答えいたします。
 関西国際空港の全体構想実現への取り組みについてでございます。
 関西国際空港全体構想についてでございますが、その早期実現のためには、平成八年度から始まる第七次空港整備五箇年計画に全体構想の推進並びに二期計画の事業着手が明確に位置づけられることが不可欠でございまして、このためオール関西から成る関西国際空港全体構想推進協議会を設置し、二期計画に係る事業手法、地元協力のあり方等について、六空整に示された課題にこたえるべく調査検討を積極的に進めてきたところでございます。
 また、平成七年度政府予算において、六年度に引き続き、基礎的調査として欠かすことのできないボーリング調査など全体構想調査費を確保することができ、早期実現に向け大きく前進したものと考えてございます。今後とも、近畿が一丸となり、県議会のご支援をいただきながら全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 次に、ミニ新幹線構想の進捗状況についてでございます。
 ミニ新幹線構想については、運輸省を初めとする関係機関や各界の有識者の参加を得て、現在、運輸経済研究センターにおいて新大阪との接続方法等、主に技術的な面から調査検討を行っていただいており、県としてもこの調査に参画して積極的に取り組んでいるところでございます。今後とも、これらの調査結果を踏まえ、政府を初め関係機関に対して積極的な要望活動を行ってまいりたいと考えてございます。
 最後に、コスモパーク加太計画の考え方についてでございます。
 コスモパーク加太計画については、昨年四月より、行政が主体となってその推進を図るため調査を進めてまいっているところでございます。
 議員ご質問のコスモパーク加太全体構想については、本県を取り巻く周辺の社会経済環境が依然として厳しく、現時点で二百六十ヘクタールの全体の構想を固めることに苦慮しているところでございます。従って、まず当面は開発整備の基本方向を定め、土地利用の骨格を固めてまいりたいと考えてございます。
 計画の実現に向けては、議員よりお話のございました民間サイドで企画されている人工スキー場構想も含め、今後、社会経済の動向に柔軟に対応しながら現実的、段階的に取り組んでまいるとともに、先ほど西本議員にもお答えしたとおり、長期的視点を踏まえつつ、大阪湾ベイエリア、太平洋新国土軸の沿線地域といった広域的な地域や関西国際空港を視野に入れての取り組みもあわせて行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 富田議員の紀淡海峡大橋の状況と見通しについてのご質問にお答えいたします。
 紀淡連絡道路については平成三年度から建設省において調査が開始され、平成五年度からは和歌山県、兵庫県も現地調査等に加わり、技術的な可能性を探る調査を進めております。平成六年度の海上ボーリングは既に実施しており、現在は風及び地震の観測、環境調査、経済調査等を進めております。平成七年度についても、風及び地震の観測、環境調査を引き続き進めるとともに、波浪の調査、その他の基礎調査を実施する予定でございます。
 また昨年十二月には、これらの検討を進める上で重要となる現地調査の内容、方法等について学識経験者のご意見を伺い、さらに一歩踏み込んで調査の推進を図るために紀淡連絡道路調査委員会が設置され、その中でも「橋梁は技術的に可能である」とされているところでございます。
 紀淡連絡道路は平成五年度からの第十一次道路整備五箇年計画において地域の活性化施策とあわせ事業の具体化を図る路線として位置づけられておりますし、このたびの震災の教訓からも太平洋新国土軸の必要性がますます重要となってきておりますので、早期事業化に向けて国に対し強く要望してまいりたいと思っておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 景気対策の施策についてお答え申し上げます。
 経済企画庁は、二月の月例経済報告において「我が国は緩やかながら回復基調をたどっている」と判断してございますが、企業設備投資等の調整が続いているなど、回復の足取りは緩やかな状況でございます。また、今回の阪神・淡路大震災は景気の回復基調に大きな影響を及ぼすものと考えてございます。
 県内の景気についても、新設住宅着工戸数、新車登録台数などに明るい動きも見られるものの、円高の進行、企業の海外進出による投資意欲の減退、個人消費の低迷、とりわけ中国を初めとする安い外国製品との競合等の原因により、回復は緩慢な状況でございます。また雇用の状況についても、本年一月の県の有効求人倍率は〇・六六倍と厳しい状況でございます。
 県としては、こうした依然厳しい状況に対処するため、県制度融資の総融資枠を大幅に拡大するとともに、意欲的に新規に事業を開始しようとする方を支援するために新規開業支援資金を創設するなど、中小企業金融の拡充を図ることとし、一方、県内企業の研究開発を支援するための中核施設である工業技術センターの機能充実、技術改善費補助金の拡充等により、新製品、新技術の研究開発に積極的に取り組む企業を支援するための予算を今回お願いしているところでございます。また、雇用の場の確保については、各公共職業安定所での求人の掘り起こしに努め、確保した求人により合同就職面接会を実施するとともに、雇用調整助成金制度の活用などの雇用支援トータルプログラムに基づき企業の雇用維持を支援し、失業の予防にも取り組んでいるところでございます。
 今後とも、さきの阪神・淡路大震災の本県への影響を見守りながら、県内中小企業の発展、経営基盤の安定、雇用の確保のため諸施策を積極的に推進してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) 以上で、富田豊君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時二十七分散会

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