平成7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(西本長弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時五分開議
○議長(平越孝哉君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(平越孝哉君) 日程第一、議案第一号から議案第八十二号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第三号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 16番西本長弘君。
 〔西本長弘君、登壇〕(拍手)
○西本長弘君 災害への備えについて質問をいたします。
 「災害は忘れたころにやってくる」、まさにまさかの阪神大震災は、五千四百余名のとうとい生命を奪うとともに、三万四千五百余名の負傷者を出し、さらに十五万一千五百余の倒壊家屋、焼失家屋を出し、実に三十万人を超える避難者を出すなど、戦後最大の大惨事に私たちは大きな衝撃を受けたのであります。
 私は、まず犠牲になられた方々に謹んで哀悼の誠をささげ、衷心よりご冥福をお祈り申し上げる次第であります。同時に、被災された方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早く物心両面の大きな痛みを和らげられ、力強く復興への道を歩まれることを、心からお祈り申し上げる次第であります。
 私たちは、この大震災から多くの反省や大きな教訓を得ましたが、そこで知事に、近隣県のこの大震災に、和歌山県知事として、また和歌山県防災会議会長、さらに兵庫県南部地震に係る本県救援対策本部長としてどのような経験をなされ、どのような教訓を得られたのか、まずご所見を賜りたい。
 次に、国の危機管理の対応や自衛隊の出動云々が大きく取りざたされるなど、地元自治体の必死の救援活動や全国のボランティアなど、さまざまな評価や動きがありました。
 本県では、昨年十月の和歌浦湾の原油流出事故の際に自衛隊の応援を受けており、毎年実施している県防災総合訓練や自衛隊との合同訓練は、今県民から高く評価されております。私も、自衛隊との提携を密にしている本県の防災体制に、心から敬意をささげている次第であります。全く願わないことでありますが、本県が万が一震災に見舞われた場合の危機管理や防災計画などについて知事はどのような使命感でおられるのか、お伺いいたしたい。
 次に、このたびの大地震が大都会での発生であったので、大多数の犠牲者が出るなど被害がより甚大になったわけでありますが、関東大震災が予想される中であってさえ一向に東京一極集中を拝することなく至っております。今回の神戸はもちろん、大阪や名古屋など大都市の分散が極めて重要と思われますが、知事のお考えをお伺いいたしたい。
 こうした中で、神戸を中心とした復興に国も地方自治体も最大限の努力をし、さらに全国から、海外からの応援もあって、一日も早い復興を願っているものでありますが、その過程で二月二日、二月八日の日本経済新聞の社説は、ウルグアイ・ラウンド農業対策費を強く批判の上、見直しを提起し、農林業、農山村整備、漁港、林道などの予算を削って、大都市の復興や区画整理、災害時の避難場所になる公園、さらに住宅密集地の道路拡幅などにその財源を厚く回せと強く主張しております。私は、当然、思い切ってその復興策を急ぎ講じるべきだと思いますが、農山漁村の財源は財源で極めて必要不可欠のものであり、この新聞の主張は筋違いというものであり、断じて認めるわけにはまいりません。知事は、この筋違いの社説についてのお考えを示されたい。
 常に災害県と言われている本県は、地震だけでなく、台風、水害、その他の災害を未然に防ぐため、この際、県土の活断層や断層を初め、山岳急傾斜危険地帯、地すべり地帯、ダム、河川など、改めかつ早急に調査をすべきと考える一人であります。知事のご所見を承りたい。
 次に、読売新聞は、「阪神大震災の救援で、外国から一番乗りしたのはスイスの災害救助隊であった。 積極的な人道援助の取り組みは、中立を守る小国の『明確な意思と経験に基づく知恵だ』 スイス政府が各家庭に配った啓発書『民間防衛』がある。戦争の最悪事態も想定し、きめ細かい地域防災組織の編成、避難所の配置などの周到ぶりに、むしろショックを覚える。一人あたり米・めん類二キロ、砂糖二キロ、食用油一リットルなど非常用食料の備蓄も義務づけている。 スイスが平和と安全を守る備えをいかに大切にしているか。いかに汗を流しているか。震災で救援してくれたこの国の姿を知ることは、ひるがえって、わが国の防災を考え直す手掛かりになるだろう」と伝えております。
 本県では、「地震に自信を」という自治省の「防災手引き」を平成二年から本年まで、約九百万円かけて約二分の一の県民に配布されているというが、私の調べでは県民の間では手引の配布されていることさえ知らないという。この際、改めて現代版を作成して全県民に早急に配布すべきと強く思うのであります。知事のお考えを示されたい。
 なお、私は平成三年二月定例会本会議の一般質問で「稲むらの火」浜口梧陵翁の記念館建設について質問をいたしております。そのときの原稿を読んでみますと、「黒潮躍る有田の旧広村に生まれ、黒潮にはぐくまれ、祖国と和歌山県に大きく羽ばたいた浜口梧陵翁は、私たち和歌山県民の限りなき最高の誇りであります。それは、全国の人々、世界の人々も知る『稲むらの火』の梧陵翁、中央、地方において活躍、傑出した政治家・梧陵翁、人づくりこそ国づくりと人材を育てた偉大な教育家・梧陵翁、私財で大堤防を建設するなど多くの人々から崇拝され『生き神』と仰がれた梧陵翁、我が和歌山県会初代議長、我々の大先輩・梧陵翁、勝海舟らと交わって世界に広く知識を求めた梧陵翁と、数え上げれば枚挙にいとまがありません(中略)梧陵翁の崇高な防災の精神は、今でも遠くカナダ国において教材となり、地元広川町でも今なお、毎年、翁の御遺徳をしのび、児童の皆さんの参加を得て津波祭りが盛大かつ厳かに行われております。梧陵翁の残した遺徳は時代を超え、あるときは銅像として、あるときは記念碑として、またあるときは物語として広く人々の間に引き継がれておりますが、それに加えて、この翁の貴重な史資料による記念館は、後世の我々に、またこれからの世にすばらしい財産、教訓の贈り物となるのではないでしょうか。 そこで知事に求めたいのは、この偉大な我々の大先輩・浜口梧陵翁の記念館を、この際、ぜひ広川町と連絡をとって県費で建設してほしいと強く思うのであります。知事の御所見を承りたい」──これがそのときの原稿の一部であります。
 防災に県民の関心が高まっているこの際に、知事のご英断でぜひ浜口梧陵翁の記念館を建設されるよう、強くお願いするものであります。知事のご所見をお伺いいたしたい。
 次に、半島振興法の充実・延長について質問いたします。
 半島振興法は、昭和六十年六月に十年間の時限立法として制定されてから、この三月末ではや期限が切れようとしております。思い返せば、私のあの提唱に知事は、十カ月後の昭和五十八年十月、全国知事会の席上で、半島振興法の制定を力強く呼びかけられ、また国会の場では故玉置和郎先生のまさに命をかけたご尽力によって半島振興法が制定されたのであります。
 法案成立後は、全国二十四道府県、三百四十九市町村が地域指定され、そして全国二十四道府県から成る半島地域振興対策協議会、全国二十四道府県議会議長会から成る半島地域振興対策議会議長会、さらに全国三百四十九市町村から成る全国半島振興市町村協議会の三協議会が一体となって、半島振興促進大会や半島振興法充実・延長要求大会など開催し、法の充実・延長に全力を挙げられました。
 この間、仮谷知事におかれては、常に三協議会の先頭に立たれ、私は長きにわたる仮谷知事の半島地域を思う懸命のご尽力に対し、心から尊敬をいたしつつ、深く感謝申し上げている次第であります。そのおかげで、本県紀伊半島だけを見ましても、半島振興道路整備事業や企業誘致に大きな威力を発揮され、私は心静かに喜んでいる次第であります。しかし、私はまだまだ半島地域のおくれた現実を見るにつけ、何が何でも充実・延長させなければならないと、先輩、同僚議員各位のご尽力を賜りながら今日まで頑張ってきた次第であります。
 この際、次の三点について質問をいたしたい。
 まず第一点、半島振興法十年間の成果について、第二点、法の延長とその見通し及びその内容について、第三点、新半島振興法に対する期待についてであります。何とぞ、知事のお考えをお伺いいたしたい。
 次に、ミカン農家の繁栄についてであります。
 申すまでもなく、本県はミカンを中心にした果樹立県であり、今後とも全国に誇れる産地を維持、発展させるためには、何をおいても新しい優良品種、系統を導入することが不可欠と考えております。
 最近、かんきつ類の優良品種の中にウイルス病に侵されているものがあり問題となっていることから、昨年六月、私はかんきつのウイルスフリー化に取り組んでいる福岡県の試験場を視察し、ウイルスフリー化の重要性を認識してきたところであります。本県においても、かんきつウイルスフリー化事業に取り組むべくこの当初予算に約一千万を計上されておりますことは、まことにうれしく、心から感謝申し上げております。
 そこでお伺いいたしますが、当局のウイルスフリー化に取り組む内容と計画について詳しくご説明賜りたい。また、ウイルスフリー化した優良品種については、「味・日本一」を目指し改植するものとして、助成措置を含めどう取り組まれるのか、農林水産部長にお伺いいたしたい。
 次に、「山の日」、「川の日」の国民の祝日制定について提言いたします。
 私は、平成五年十二月議会において、紀州「山の日」、紀の国「川の日」を提言いたしましたが、当局におかれては深いご理解を賜り、深く感謝申し上げております。そして、「山の日」を十一月七日、「川の日」を五月二十九日とそれぞれ定められ、記念式典や各種イベントを実施され、それぞれ盛況のうちに、この「山の日」「川の日」に対する県民の理解と関心が深められました。
 申すまでもなく、清らかな流れと緑豊かな自然は、私たちに安らぎと潤いなど多くの恩恵をもたらし、心を和ませてくれております。山も川も県民の生活及び産業を支える重要な資源であり、人類全体にとってかけがえのない財産であります。私たちは、大自然が与えてくれたこの貴重な財産を守り続け、立派に後世に伝えていかなければなりません。さらに、豊かな山村づくり、安全で美しい河川づくりに全力を挙げなければなりません。
 その意味から、今国会で制定された「海の日」と同様に、長い歳月がかかると思いますが、「山の日」「川の日」を国民の祝日として制定されるよう、強く国や関係機関に働きかけていただきたいと思います。知事のご所見をお聞きいたしたい。
 次に、若い国ブラジル見聞とあすの和歌山県政について、ごく簡単に質問をいたします。
 私は、昨年十一月三日から八日間、若いころよりあこがれていた若い国ブラジルを初めて訪問させていただき、千人を超す盛大な在伯和歌山県人会創立四十年記念式典に、仮谷知事、平越議長、門議員とともに出席し、長年にわたる血のにじむ苦難を乗り越えてこられた一世を初めとする県人会の方々に心からねぎらいを申し上げ、そのすばらしい活躍に衷心より敬意を表した次第であります。
 まず、私がブラジルで印象強く感じたことは、国民の七割近くまでが活気あふれる三十歳までの若い人々ということでありました。第二点は、県人会の方々の活躍ぶりで、ブラジル国の政治、経済、産業などの重要な地位を占められ、日系人として大きな誇りを持ち、ばりばりと活躍されている姿でありました。第三点は、一九六○年にリオデジャネイロから遷都した新しい首都ブラジリアの十二車線、フリーハイウエーは、もちろん無料、中央分離帯が二百五十メートルもあり、私は腰を抜かすほどでありました。
 振り返って、我がふるさと和歌山県の一般有料海南湯浅道路の九百二十円という高い通行料金を値下げすべきことと、スケールの大きいブラジリアのようにはまいらない我が国でありますけれども、四車線、つまり片道一車線を、せめて片道二車線の高速道路に一日も早く整備すべきであると、ブラジリアの空の下でつくづく思わずにはおられませんでした。
 土木部長にお伺いいたしますが、海南湯浅道路の九百二十円の通行料金を値下げさせ、四車線化、高速道路への片道二車線へのご決意をお聞かせ願いたい。
 第四点、私は二十万人を収容するリオデジャネイロのマラカナン球技場に圧倒されました。さすがサッカーを国技とするブラジル国に共鳴をいたしましたが、すぐ思い出したのは、我がふるさと和歌山県のコスモパーク加太のことでありました。
 私は、昭和六十三年二月定例本会議で第二国立競技場を誘致すべきであると提案いたしましたが、平成元年二月に木下秀男議員が国際交流館、平成二年十二月には和田正人議員がODAの窓口常設展示場、平成三年十二月には浜田真輔議員がユニバーサルスタジオ、平成四年九月には阪部菊雄議員が紀三井寺総合運動公園の移転、平成五年六月には上野山親主議員がサッカー等専用球技場、また同じく平成五年六月には和田正人議員のスポーツ施設の集合、さらに平成六年二月、富田豊議員がコンベンションホール、思い切ったホテルなどを誘致建設すべきであると、スケールの大きいすばらしい提言をされております。
 このコスモパーク加太は、和歌山県だけのものと考えるのではなく、関西国際空港全体構想実現に向けて、あるいは二○○八年のオール関西で誘致しようとしている大阪オリンピック開催などを考えるならば、私が初めに提案した国立競技場的なもの、あるいはリオのマラカナン球技場のような世界に誇るスポーツ施設をつくるべきだと声を大にして申し上げますが、企画部長のご所見を賜りたい。
 最後に、我が国には見られないリオの十五・五キロもあるニテロイ橋を往復乗用車で突っ走り、私は昭和六十年二月定例会でとっぴなことを申し上げた南徳島と我が紀南を結ぶ紀伊水道大橋の提唱を思い出しました。
 私が、いつも和歌山より──残念なことですが、和歌山より栄えている青森県の向こうに五百万人以上が住む北海道の存在を考えたとき、紀伊半島の南に四国四県があるものと想定し、南徳島と我が紀南を橋で結べば、本県に大変な繁栄をもたらすものと確信をいたしております。
 そこで、企画部長は二十一世紀、二十二世紀に向けての私の提案を真剣に検討すべきと、強くと訴えるものであります。二十一世紀、二十二世紀の和歌山に壮大な夢を描き、スケールの大きいご答弁をお願い申し上げ、以上で私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの西本長弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 西本議員にお答え申し上げます。
 まず第一が、阪神大震災で得た教訓と本県の危機管理、防災計画についてでございます。
 私も、地震発生後、知事会を含めて被災地を三回訪れたわけでございまして、木造住宅の全壊、ビルの倒壊、高速道路の横倒しになった状況等を目の当たりにいたしまして非常なショックを受けたわけでございます。そうして、こうした大震災が本県で起こった場合どうすべきか、県当局の責任というものも痛切に感じました。
 今まで、和歌山県は災害常襲県でございました。それだけに、災害についての先進県だと思っておったわけでございます。今までは津波を考えておりましたが、これほどひどい直下型地震というものに対する認識を新たにしたところでございます。
 特に今回の大震災では、自衛隊との協力のあり方を早急にすべきじゃないかということ、初動体制、情報等の収集、通信、広域応援体制等の問題が言われたわけでございます。そうしたことを中心に取り入れて、私は県の防災計画の見直しを強く指示しているところでございます。また防災計画についても、県の新年度予算においてヘリコプターを買う費用等、予算面でも十分配慮したつもりでございます。
 次に、安全への大都市分散策と地方都市、農山漁村の振興ということでございます。
 お話ございましたように、今度の大震災では被災地に集中しておりました東海道線、山陽新幹線、高速道路など国土の大動脈が寸断され、物や人の移動に大きな影響があったということでございます。国においても災害に強い国土づくりについて、交通の代替ルートの確保など、各種機能を分散させる案を検討しているわけでございます。
 私もかねてから、太平洋の第二国土軸の形成は最も緊要なことだ、こうした災害等に備えても必要だと強く訴えてきたわけでございます。国も、次期の全総において主要検討課題としてこの問題を取り上げられていることは非常にありがたいわけでございます。これからは太平洋だけではなしに、また現在の主要都市だけではなしに、東北や日本海のそうした国土軸と相まって新しい国土軸というものを形成し、地方都市、農山漁村の発展に努力すべきじゃないかと思っておるところでございます。
 それから、ウルグアイ・ラウンドの農業関連予算を見直して今回の震災対策に回してはどうかという新聞の社説に対する見解でございます。
 ウルグアイ・ラウンドの農業合意の実施に対応して、新たな農業の将来展望を切り開いていくために必要な国内対策として、今後六年間で六兆百億円の事業を重点的かつ計画的に講じていくことになってございます。県としても今回の国内対策を積極的に取り入れて、農林水産業の体質強化と農山漁村の活性化に努めることとし、そのために必要な経費を計上してご審議をいただいているところでございます。
 私も、議員お話しのように、災害復旧を早急に図らなければならないことは第一前提でございますけれども、国民生活に果たす農林水産業、農山漁村の重要性という点からも、ウルグアイ・ラウンドの関連予算の確保は必要不可欠であると考えておるところでございます。
 次に、県内の活断層、断層、山岳急傾斜危険地帯、ダム、河川などの調査についてでございます。
 本県には、土石流、地すべり、急傾斜地合わせて四千三百余の土砂災害危険箇所がございます。そのために、調査については十分配慮してまいっております。そしてまた、これらの危険箇所についても、地域防災計画書に記載するとともに土砂災害危険箇所図を作成し、関係市町村を通じて県民の皆さんに周知していただいているところでございます。さらに、ダム、水門等、重要な構造物については耐震に十分配慮するとともに、日常的な点検についても安全を期するために入念な管理を行ってございます。こうした河川、ダム及び土砂災害危険箇所については、地震発生後、速やかに点検を行った結果、緊急の措置を要する箇所はございませんでした。いずれにいたしましても、このたびの震災を教訓といたしまして、さらに調査を深めてまいりたいと思っております。
 次に、スイスの例を挙げて県民向けの防災対策の手引の作成と配布についてでございます。
 県民の皆さんも、今回の大震災に接して、地震とはいかに恐ろしいものであるかということを身にしみて感じたことと思います。今回の地震の後で私もつくづく感じたことは、関西の人は関東や東海の人に比べて地震を身近なものと感じてはおらない、このため日ごろから備えが少なかったんではないかと思っておるわけでございます。
 県では、従来、地震が発生したらどのような対応をすればよいかなどをわかりやすく盛り込んだパンフレットを作成して県下各世帯に配布しておりますけれども、今回の大震災の経験を踏まえて、今後より一層活用しやすい家庭用、個人用の震災対策マニュアルのようなものをつくって利用していただくことが必要ではないかと考えております。そうした点について、十分配慮してまいりたいと思っております。
 それから、「稲むらの火」の浜口梧陵翁の問題でございます。
 おっしゃられましたように、和歌山県が生んだすばらしい人でございます。県としても浜口翁の功績について、機会をとらえて紹介するように努めてございます。平成五年度には、国際津波シンポジウムを本県で開催いたしまして翁の功績の紹介や現地見学を行い、広く周知を図るとともに、県刊行物等でも紹介しているところでございます。また、広川町で現在埋め立てをやっておりますけれども、浜口梧陵翁が築いた堤防の前のところに公園等をつくって遺跡を残してまいりたいと努めているところでございます。
 それから、半島振興法の問題でございます。
 西本議員初め県会の皆さん方のご支援、また玉置先生を初めとする国会議員の先生方の格別の配慮によって半島振興法が成立いたしまして十年を経過したわけでございます。本年度末で法が切れるということ、ひとしお感慨深いものを覚える次第でございます。法の制定によって半島に光を与えていただくとともに、半島地域振興の方向性を示していただいたということは、まことにありがたいことだと思っておるわけでございます。
 その効果でございますが、簡単に申しまして、この十年間に半島振興道路に係る事業費は一千億円を超えております。その半分近くを交付金で国からいただくことになっております。また、税制上の支援措置をいただいて五十社以上の企業進出を見たわけでございまして、相当な成果を上げ得たと思っております。
 その延長と見通しでございますけれども、先ほど申しましたように、この十年間に交通基盤の整備等、相当な成果を上げておるわけでございますけれども、地域の現状はまだ多くの課題を抱えております。それとともに、最近の情報化の時代の中で、都市部との情報格差、例えば携帯電話など新たな課題も生じておるわけでございます。新法においてはこうした課題を克服するため、従来の交通基盤の整備と産業振興という二つの柱に加えて情報基盤の整備など新たな支援措置が創設されるように、半島振興議員連盟の皆さん方のご協力、特に本県出身の二階先生が議員連盟の事務局長をやっておられますし、また県出身の国会議員の先生方、国の各党の先生方のご協力を得ているわけでございまして、この半島振興法については各政党におかれても、我々の要望を踏まえて法の延長に向けた作業が行われていると聞いており、三月末には通過するのではないかと思っておるわけでございます。初めてつくったときに比べて、今度の方がスムーズに継続ができるのではないかと思っております。
 それから、半島振興法に対する期待でございますけれども、私たちはこの新しい法ができて、我々の半島がなお一層住みよい、また希望の持てる郷土にすべく努力していけるものと期待しているところでございます。
 次に、「山の日」「川の日」の制定でございます。
 これについては、全国に先駆けて「山の日」「川の日」を制定して各種イベントを行い、あわせて関係機関や関係団体に対して制定の趣旨の説明を行うとともに、国民の祝日制定について協力を依頼してきたところでございます。
 「海の日」も、国民の休日になるには三十年の歳月を経たわけでございます。これを祝日とするためには、県民の理解と機運を高めるために国民運動まで発展していかなければならないわけでございまして、皆さん方のご支援を特にお願い申し上げる次第でございます。
 以上です。
○議長(平越孝哉君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) ミカンの農家の繁栄についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ウイルスフリー化についてでございます。
 かんきつにウイルスが感染すると、樹勢が劣ったり、果実が小玉化するなどの症状があらわれて農薬による防除ができないため、その無毒化いわゆるウイルスフリー苗の育成が重要な課題となってございます。
 これまで、果樹園芸試験場においてウイルスフリー化を目指した試験研究を初め、汚染防止のためのモザイクウイルス検定を行ってきたところでございます。平成七年度からは、優良品種のウイルスフリー化をより迅速、効率的に行うため、隔離温室や熱処理施設等を整備することで予算をお願いしてございます。それとともに、研究体制の充実を図りまして、ウイルスフリー原母樹の育成に取り組んでまいります。
 なお、育成した原母樹を母体にして平成十年をめどに本県で育成したニュー則村、丹生系温州の母樹を生産者団体に供給できるよう努力してまいります。
 次に、「味・日本一」に向けての優良新品種改植についてでございます。
 これまでも、県を中心に農業者団体等、関係機関が一体となって日照条件、排水良好な園地を選定し、栽培条件の改善や優良品種の導入を図りながら、全国に先駆けて味一ミカンや完熟ミカンの生産に取り組みまして、市場で高い評価を受けてございます。今後さらに、ウイルスフリー化した優良品種の改植事業を推進し、名実ともに「味・日本一」の産地づくりを目指してまいります。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 西本議員の、海南湯浅道路に関するご質問にお答えいたします。
 海南湯浅道路は、一般有料道路として昭和五十九年に供用され、毎年、日平均交通量で千台程度伸びてございます。また、平成五年の阪和自動車道の全通や昨年の阪神高速大阪湾岸線の開通により急速な交通量の伸びを示しており、平成六年の平均交通量は一日当たり約一万八千台、その八月には平均で一日当たり約二万三千台となってございまして、早期の四車線化が必要であると考えているところでございます。
 国土開発幹線自動車道、いわゆる国幹道として四車線化を行うためには、予定路線から基本計画、整備計画、施行命令、工事着手という手順を踏む必要がありますので、県といたしましても、かねてより基本計画決定を国に対し強く要望していたところ、平成三年十二月の国土開発幹線自動車道建設審議会において基本計画の決定がなされたところであります。
 ご提言のとおり、早期の四車線化を図るため、平成六年度からは整備計画の決定に必要な環境アセスメントについて建設省に協力しながら調査を進めているところでございます。今後は、必要な調査を済ませるとともに、早期に整備計画に組み入れられるよう、国に対し強く働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 また通行料金については、国幹道として施行命令が出され、全国プール性が適用された時点で国幹道としての料金水準となるようでございますので、その意味でも整備計画が早期に出されるよう、県議会のご協力もいただきながら努力してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
 〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 西本議員にお答えいたします。
 まず、コスモパーク加太の開発についてでございます。
 コスモパーク加太計画の推進に向けて、ただいま議員より貴重なご提言を賜りましたが、これまでも、議員を初め多くの皆様方から各種の提言をいただいております。この種々のご提言を踏まえつつ、コスモパーク加太計画の推進を図るため、諸般の検討調査を進めてまいっているところでございます。
 コスモパーク加太については、関西国際空港の全体構想の推進や大阪湾環状ルート、太平洋新国土軸の形成等、将来展望を踏まえると、長期的には広域的な地域連携軸の結節点としての立場が一層重要になると確信してございます。したがいまして、ただいま議員よりお話のございましたご提言の趣旨を念頭に置いて、少なくともコスモパーク加太の施設整備の検討に当たっては、コスモパーク加太とその周辺といった視野だけでなく、長期的視点を踏まえつつ、大阪湾ベイエリア、太平洋新国土軸の沿線の地域といった、より広域的な地域や二十四時間世界に開かれた関西国際空港を視野に入れての施設整備の検討もあわせ行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、紀南と南徳島を結ぶ紀伊水道大橋の建設についてでございます。
 本県は半島に位置していることから、半島性からの脱却が県政の大きなテーマとなってございます。紀伊水道大橋は、昭和六十年二月議会において議員からご提言いただいたところでございますが、半島性脱却という観点から、紀南と南徳島を結ぶことは大きな意義を有してございます。今後とも、議員ご提言のような大きな夢を抱きながら、紀淡海峡ルートの実現や紀伊半島の浮揚に向けた施策の充実に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 16番西本長弘君。
○西本長弘君 知事初め各部長には誠心誠意のご答弁を賜り、心から感謝申し上げて、再質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) 以上で、西本長弘君の質問が終了いたしました。

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