平成7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(浜田真輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時五分再開
○議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番浜田真輔君。
 〔浜田真輔君、登壇〕(拍手)
○浜田真輔君 それでは、通告に従い、順次質問をさせていただきます。
 昨年・平成六年は、国の内外を問わず、また政治、経済の面においても変革すなわちチェンジの年であったと思います。本県においても、世界リゾート博の大成功、また関西国際空港の開港などの影響を受け、県民の意識に少しずつ変化が起こっているかもしれません。そして平成七年度、和歌山県は昨年の変革、チェンジを好機、チャンスととらえ、五期県政の締めくくりとして県勢一層の発展、飛躍への挑戦、チャレンジの年にしていただきたいと願うものであります。
 それでは、平成七年度予算についてお伺いいたします。
 七年度の予算歳入については、景気動向の不透明さもあり大変厳しい状況になっていることは、数字の上でもよく理解できるところであります。一方、その状況にあって、七年度予算歳出については、知事五期の締めくくりとして県民生活向上への積極性が評価されるものだと私も信じております。
 歳出面において、知事説明では一層の節減、合理化を進めるとありましたが、具体的には義務的経費をかなり抑えているように思います。今後どうあるべきかと同時に、行政改革の視点から職員定数、機構改革における統廃合などをお考えなのか、お尋ねいたします。
 次に、財政調整基金、県債管理基金の取り崩しにおいて、本年度以降の予算編成の影響等を心配するわけですが、残高等を含めて今後のお考えをお示しいただきたいと思います。また起債について、全国的に増加傾向にあるとはいえ、本県の状況を公債比率等でお示しいただきたいと思います。
 次に、高度情報通信についてお伺いいたします。
 一八八〇年代、電話が登場して、今では信じがたい通信革命が起こったと言っても過言ではないでしょう。そして今日、「マルチメディア」という文字がもてはやされています。毎日、新聞紙上でこの文字を目にしない日はありません。このマルチメディアとは、音声、文字、映像、符号などを統合一本化する情報通信であります。
 私は、現代においてマルチメディアすなわち高速グローバル通信のネットワークが確立されれば、電話が登場したとき以上の通信革命が起こると思う一人であります。なお、ここでは高度情報通信をマルチメディアという言葉で統一させていただきます。
 郵政省の試算によれば、マルチメディア市場は二〇一〇年には百二十三兆円になるということであります。一方、このような通信、コンピューターを中心とした産業は、今までは人件費の削減、雇用減を促進してきた感がありましたが、同じく郵政省の試算によれば二百四十万人の雇用をも創出する力があると言っております。数字の上でも大変期待される産業と呼んでもいいのではないでしょうか。しかし、現代は進歩発展が著しい時代とはいえ、このマルチメディアの普及のためにクリアしなければならない問題点が数多くあることも認識しなければなりません。
 電気通信審議会の答申によれば、二〇〇〇年までに県庁所在地、二〇〇五年までに人口十万人以上の都市、そして二〇一〇年には国内全家庭を光ファイバーで結ぶとされています。ただ、そのためには、これも試算でありますけれども、光ファイバー網の整備だけで五十六兆円、端末機械、ソフト製作には六十七兆円もの多額の資金が必要となります。一体、官民においてこの役割分担、経費分担がどうなるかは、この試算の中には明確に書かれておりません。また、一般家庭に普及するには、使いやすく、利用価値が高く、なおかつ安価な料金体系に持っていくまでにもう少し時間がかかるんじゃないのかなというのが感想であります。
 ただ、一たびマルチメディアが一般化されれば、私たちの生活、社会環境等に大きな変化が起こることだけは間違いないと思います。マルチメディアのサービスが始まると、どこででも情報が瞬時に手に入るようになるので、例えば在宅勤務、在宅予約、在宅ショッピングやバンキング、またビデオ、カラオケ、ゲームといった在宅での情報リクエスト、また在宅診療・医療、在宅教育・学習といった多岐にわたるサービスを受けることができると言われております。今日、私たちの郷土でも生活の利便性、雇用機会の確保、高等教育の充実、そして高齢化社会への対応を含む福祉の充実が叫ばれていますが、これらを解決でき得る可能性を秘めているとも考えられるのではないでしょうか。
 マルチメディアが一般化されるまでの問題点、そして一般化に伴う利便性の向上、そしてもう一点、心しておかなければならないことがあります。それは人間性の回復であります。いつの世も、社会的利便性が生み出す弊害は必ずあります。このマルチメディアにおいても例外ではありません。間接コミュニケーションが多用されることで、直接コミュニケーションが生み出す本来の人間性を見直すことが必要になってくるはずです。特に、このことを教育、福祉においても考えておかなければなりません。
 以上、マルチメディアについて述べさせていただきましたが、知事には、このマルチメディアに対しての認識、また県行政としての対応をも含めたお考えをお持ちなのか、ぜひお伺いをしたいと思います。
 そして、本県が大変期待しているNHKの大河ドラマの主人公・徳川吉宗公は情報収集にたけていたと言われています。目安箱の設置、お庭番の創設など。それを示すように、徳川吉宗公の肖像画をごらんいただければ、耳の大きさは情報収集の熱心さに比例して描かれたものだと言われているそうであります。
 知事の責務としての情報収集において現代的な目安箱の意味合いを持つ電子メールの導入について、お考えをいただきたいと思います。たしか、県庁内各課に数多くのパソコンが見受けられますが、残念ながら知事室にパソコンがなかったように思えてなりません。
 そしてもう一点、現在、ウエーブネット等パソコン通信において官公庁の情報サービスが行われているか、具体的にお伺いをいたしたいと思います。また、今後、マルチメディアの進捗状況に対応できるように官公庁の情報を一般化に向けて検討する必要があるように強く感じますが、いかがなものでありましょう。
 マルチメディアについて質問をいたしましたが、これはアメリカ・ゴア副大統領の言葉をかりるならば「情報ハイウエー」であります。すなわち、近未来に開かれた意思伝達の道と言われています。しかし、今私たち県民が欲するものは社会資本の充実であり、その中で最も必要としているのは交通手段としての利便性の高い道路であります。ここで、次に和歌山市内の道路について質問をいたします。
 和歌山市内において国道を軸とする南北にわたる道路は比較的整備されているという感じを持たれますが、しかし、東西にわたる道路の整備については十分であるとは感じられません。ここでは、市内でも重要性のある県道和歌山橋本線の吉礼─口須佐間のバイパスの進捗、取り組みについてお伺いいたします。
 また、紀の川右岸、左岸を結び、開通後は日々利用者が増加傾向にある国道二十四号線和歌山バイパスについてお伺いいたします。開通後、申し上げましたとおり、利便性のよさから通行台数も着実にふえ、周辺地域の渋滞解消にも一役買っているわけでありますが、全線四車線にもかかわらず、一部二車線通行となっております。利用者の多くが早期に四車線化を望んでいると思いますが、今後の見通しと取り組みについてお伺いいたします。
 最後に、簡単ではありますが、この場で改めて県議会先輩各位のご指導に対して、また知事初め県当局の皆様のご協力に対して、心よりお礼を申し上げます。皆さん、本当にありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの浜田真輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜田議員にお答え申し上げます。
 予算編成、また行政改革への取り組みについてでございます。
 最小の経費で最大の効果を上げる、特に私にとって五期目最終の当初予算でございますので、その点について最大の配慮を図り、従来の予算についての見直し、新規事業についての十分なる検討を部長等とヒアリング等において重ねてまいったわけでございます。特に、最小の経費にするためには、やはり人件費等の義務的経費の減少を図ったわけでございまして、昨年は四五・六%であった人件費を含む義務的経費が今年度では四二・二%となっておるわけでございます。
 また行政改革については、私は昭和五十年に就任以来、行政改革を主たる任務としてやってまいりました。各部局、出張所等の廃止を行うとともに、人員についても組合の協力を得て五百人余の知事部局の削減を図ってまいったところでございます。しかし、これをもって十分とはまだ言えないわけでございまして、新しいニーズにこたえるための行政機構はいかにあるべきかが重要な課題でございます。そうした新しいニーズに基づく行政改革を昭和六十年にもやってまいりましたけれども、また七年度においても、行政改革大綱をつくって、民間の皆さん、有識者の皆さんのご協力を得てやってまいりたいと思っておる次第でございます。
 次に、マルチメディアに対する私の所見でございます。
 話ございましたように、近年の情報通信技術の発達には非常に目覚ましいものがございますし、行政の分野においても情報化ということを抜きにしては考えられない時代でございます。また、県民が生活する上においても情報をいかにうまく組み立てるかということが重要な課題になっておりまして、そうした情報網の整備をするためには、情報基盤の整備の問題、そしてまた県民のニーズに合った暮らしに役立つようなシステムづくり、だれでもが扱えるような利用環境づくり、また人材育成が重要な課題になっておるわけでございます。
 しかし、「マルチメディア」とだれもが言うんですけれども、言葉としては非常にわかりにくい言葉でございます。訳するならば「マルチ」とは多様化というふうな意味にとらえられるのではないかということでございますが、その「多様化」とは何か。記号だけではなしに、映像であり、音であり、そういう多様なものが組み合わさってくるということでございまして、まだ日本の中においてマルチメディアとはこれだというものがはっきりしていない、漠然たる姿であるわけでございますけれども、新しい時代への時間と空間を超越したものになるということは事実でございます。
 県におきましても、情報システム課を中心に、また図書館の名誉館長には日本のコンピューターの最高リーダーである坂井先生にもなっていただき、和歌山大学のコンピューター、そしてリサーチラボ、工業技術センターといったものが相連関しつつ、今共同で検討を進めつつあるわけでございます。先ほど申しました坂井さんは、委員長として国の施策についてやっておられます。すぐにこれを県でやるわけにはいきませんけれども、そうした知識も踏まえて、お互いが我々の分野において、生活において、行政においてどうするかという検討を進めている段階でございます。
 次に、電子メールの導入の問題でございます。
 従来、県政へのご意見は「県政モニター」、「県政へひとこと」等の提言によっていただいておりますが、お話のように、高度情報化時代になってきてございますし、今後ともこの状況が進んでくると思うんです。こうした時代に対し、県民の皆さんのご意見をお聞きする方法として、話ございました電子機器等の新しいメディアの活用を図るということが最も重要な課題でございます。
 ただし、県内では現在、県運営のパソコン通信を使っておるのは三千五百程度でございます。その利用について前向きに検討してまいりたいと思っております。
 他の問題は、部長から答弁いたします。
○議長(平越孝哉君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 平成七年度予算における基金の取り崩しの問題についてのご質問でございます。
 平成七年度当初予算においては、県税収入の伸び悩みなど依然として厳しい財政状況の中で、各種施策の充実を図るため基金の積極的な活用を図ったところでございます。
 基金については、平成六年度末の残高で財政調整基金が百七十億円、県債管理基金が七百十二億円と見込んでいるところであり、平成七年度当初予算においてはこのうち財政調整基金で百二十億円、県債管理基金で二百三十九億円を取り崩して予算編成を行ったところでございます。
 これらの基金については、議員のご質問の中にもありましたが、財源の年度間調整等、財政運営上極めて重要な機能を果たしているということでございますので、取り崩しに際しては慎重に対処してまいったところでございますし、今回の基金の活用に際しても、今後の財政運営に支障が生じることのないよう最大限の配慮をしたところでございます。また、ご心配のありました基金残高については、今後とも財政の円滑な運営確保という観点から必要額の確保に鋭意努めてまいりたいと考えております。
 それから、公債比率はどうなっているかという関係のご質問でございます。
 県債の発行に当たっては、従来から公債費の増高に注意を払いつつ、県政の諸課題への適切な対応に努めてきたところでございます。交際費については、県単独のプロジェクトの拡充等に伴う県債の増発──これは近年増発しておりますが──ということもございますので、近年、公債比率について上昇の傾向がございます。これは、先ほど議員のご質問の中にもありましたように、全国的にも同じような傾向にございまして、平成五年度普通会計決算で見ますと、公債比率の全国平均が一一・〇%であるのに対して本県は一〇・六%ということで、低い方から全国第十七位という状況に現在なっているわけでございます。
 平成七年度当初予算における県債発行についても、後年度の財政負担を極力軽減していくという観点から、できる限り国の財源措置があるものを活用すべく工夫を凝らした結果、発行額の約九割──これは非常に高い率でございますが──について、後年度の元利償還に一定の交付税措置を伴う起債を導入したということでございます。
 いずれにいたしましても、将来、県財政の硬直化を招くことのないよう今後とも最大限の配慮をしていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
 〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 浜田議員にお答えいたします。
 情報通信網の官公庁の情報サービスについてでございますが、県からの情報サービスのうち、コンピューターネットワークによる県民への情報サービスとしてはウエーブネットがございます。このウエーブネットは県が運営するパソコン通信で、県からの情報は、それぞれ関係所属から提供されたデータをメニュー方式で利用していただくため提供してございます。
 このメニューのうち県が直接提供している内容の主なものは、「県庁だより」のボードでは県や県民文化会館の行事・催し物、また「県民の友」など県庁からのお知らせでございます。「観光/紀の国」ボードでは観光案内や交通機関の案内、「統計情報」ボードでは県や市町村の各種統計数値でございます。「ふれあい農業」ボードでは、普及現地情報、果樹園芸試験場ニュースや病害虫発生予察情報などでございます。「警察インフォメイション」のボードでは、警察関係のトピックス、相談、交通・防犯関係の手続案内などでございます。また、今回の震災関連情報として、兵庫県からの依頼を受けて一月二十八日から提供してございます。さらに、県の情報通信基盤である黒潮ネットワーク上のサービスとして生涯学習や県立図書館の文献情報、中小企業情報センターの産業情報、及びただいま申し上げたウエーブネットに一元的に接続できるサービスの運用を昨年の春から行ってございます。 
 なお、今後、マルチメディアの進捗状況を見ながら県民へのサービスについて対応を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 浜田議員の和歌山市内の道路整備についてのご質問、二点についてお答えいたします。
 まず、県道和歌山橋本線の吉礼─口須佐間のバイパスについてでございます。
 県道和歌山橋本線は和歌山市と橋本市を結ぶ幹線道路でございまして、紀の川左岸における交通量の増大に対応するとともに、国道二十四号のバイパス機能を持つ道路として積極的な整備を進めております。和歌山市吉礼─口須佐間のバイパス事業についても、吉礼地内の狭隘区間の解消のため、昭和六十三年度から延長約一・五キロメートルのバイパス事業に着手し、平成六年度で用地買収が完了いたしました。本年度は吉礼トンネル前後の道路工事を行っております。
 吉礼トンネルについては、現在仮契約の状況であり、本議会において工事請負契約についてのご審議をお願いしておりますが、ご承認いただければ、本契約を締結し工事に着手することとしております。平成八年度の早い時期に供用ができるよう努力してまいります。
 次に、国道二十四号和歌山バイパス全線四車線化についてでございます。
 国道二十四号和歌山バイパスは、平成五年七月に延長十二・四キロメートルが全線供用されました。そのうち、五・一キロメートルが四車線化されておりますが、残る七・三キロメートルが暫定二車線供用となってございます。
 和歌山バイパスの全線四車線化については、建設省からは今後の交通需要の動向を見ながら対応してまいると聞いておりますが、最近は交通量も増大し、一部で渋滞も見られる状況でありますので、渋滞箇所を優先しながら全線の四車線化について建設省に要望してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番浜田真輔君。
○浜田真輔君 熱心なご答弁をいただいて、本当にありがとうございます。
 知事からマルチメディアの話を聞かしていただいたのは私これが初めてでありまして、大変熱弁を振るわれていたのに感銘を受けております。
 何事も取り組む姿勢だと思います。まだまだ実用化にはほど遠いかもしれません。しかし、例えば電子メールについて言えば、高知県の知事はもう既に導入をされていると教えていただきました。ぜひ知事がパソコンに向かっている姿を見てみたいなという気がしてなりませんし、また先ほど三千五百人という数字を言われておりましたが、これは人口比率で言うと大変高い数字だそうであります。和歌山県の中に三千五百人しかという見方があるかもしれませんが、逆な見方をすれば、実際にそういった通信網を使っておられる方、そういう関心は県内は高いと言ってもいいんじゃないかなと思います。
 ですから、どんどんこの数がふえてくることを望みますし、またそれに対応できるソフトについて、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいなと要望をいたします。
 もう一点、国道二十四号線の和歌山バイパスについて、再三建設省の方に熱心な陳情をしていただいているようでありますが、現実的に今、二カ所で今までに考えられなかったような大変な交通渋滞を引き起こしております。ぜひ早期の四車線化を、再度この場で要望させていただきます。
 以上であります。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜田真輔君の質問が終了いたしました。

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