平成7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(尾崎吉弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(富田 豊君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 お許しを得まして本日最後の質問をさせていただくわけでありますが、私にとりましては四期十六年間にわたる県議会議員として最後の質問であり、あわせて市議会、県議会を通じて二十八年にわたる議員としての最後の質問にもなるわけでありまして、感慨ひとしおのものがございます。
 〔副議長退席、議長着席〕
 改めて、この議場で真剣な論議を繰り広げさせていただきました、支持者を含む市民、県民、そして先輩・同僚議員の皆さん方、知事を初め県当局の職員の皆さん方に、心から御礼を申し上げる次第であります。
 通告に従いまして質問をさせていただきます。
 私の四期十六年にわたる議員活動において最も重点を置いて取り組んでまいりましたものの一つ、港湾の問題についてであります。
 私は、全域が紀伊半島に属する和歌山県の振興発展のかぎは海にある、なかんずく港湾にあると確信をいたしております。こうした観点から、これまで再三にわたり、港湾の整備推進と港湾の利用促進を訴えてまいりました。また、和歌山の港湾の目指すべき方向や取り組むべき課題について数々の提案もしてまいりました。今、それらのそれぞれに思いをいたしながら、最後の、そして総括の質問をさせていただきたいと思うのであります。
 まず、今般の阪神・淡路大震災に関連してであります。
 ご承知のとおり、今回の地震によりまして、神戸港などは壊滅的な被害を受けました。社会経済に及ぼすその影響は、まことに甚大なものがあります。国内の物流はもとより、国際物流におきましても、外航のコンテナ貨物が韓国の釜山や台湾の高雄に流出して、かねて心配されておりました我が国の国際ハブ港湾の機能低下に拍車がかかりそうであります。また、日本企業の海外現地生産にも支障を来しているところであります。
 しかし、施設は壊滅的な被害を受けましたが、それでもなお、港湾があったから、あるいは被災地が海に面していたから、救われた面もあったのではないでしょうか。今回の地震におきましても、耐震性強化岸壁──非常に大きな地震にも耐え得るためにつくられた岸壁でありますが、神戸港の場合、三バースがこの耐震性強化岸壁でありましたために、この三バースは被災を免れ、震災のその当日から緊急輸送の拠点になったとのことでありますし、また地震後数日のうちに十バース程度は応急復旧がされ、救援物資の輸送や海上アクセスに利用されたとのことであります。
 危機に際して海上輸送が定量的にどういう役割を果たしたかということは今後の分析をまたなければなりませんが、海があるから、港があるからという期待は、被災地のせめてもの救いであったのではなかろうかと思うのであります。
 そしてまた、今回の地震によって、国の方では日常の生活環境を重視して、もはや中央では道路や港湾に力を入れるより生活環境を重視した予算の組み方をすべきであるとの論議が交わされ、一昨年来強い逆風にさらされてまいりました港湾の重要性を、我々は図らずも再認識するところとなったと思うのであります。全域が紀伊半島に属し、陸路は山に閉ざされ、海に活路を見出すべき当県にとっては、このことを今肝に銘ずべきときだと思うのであります。
 幸い、今回の地震について私の前に二人の議員がご質問をいただき、港湾に対する関心の深さを思わせていただきました。大変意を強くしておるところであります。多少重複するところがあるかもしれませんが、お許しを得て質問を進めてまいりたいと思います。
 まず、知事にお伺いいたします。
 今回の地震による教訓や影響も踏まえて、今後の県内における港湾の整備について、どのような期待を持って、どのような決意のもとに臨まれようとしているのか、ご所見をお聞かせ願いたいと思うのであります。
 私は、かねて和歌山の港湾、とりわけ大阪湾のゲートウエー地域に位置する和歌山下津港は道路網の整備をてこにして大阪湾の外港的機能を担うべきだということを提唱してまいりましたが、今回の地震はまさにその正当性を確認してくれたものであります。しかしながら、残念なことに和歌山下津港には、一番目、大水深の岸壁がない、二番目、コンテナを取り扱える荷役機能がない、三番目、広いヤードがない。こうした事態に及んでも神戸の港の機能を代替するには至らなかったというのが現実であります。確かに、徳島とのフェリーについては、高速道路が途絶したことに伴い通常の二倍程度の輸送が行われたとのことでありますし、コンテナ以外の貨物船の寄港については幾つか打診もあるとのことでありますが、全体として見れば港湾整備の立ちおくれを改めて痛感させられた次第であります。
 私は、近畿という日本で一番古い歴史を持つ文化性の高い地域、この近畿の文化を育てたのは何か。いろいろあるだろうと思うのでありますが、一つは瀬戸内海、大阪湾であると思うのであります。大阪湾こそ近畿文化を育てた揺籃の地であります。その大阪湾に入っていくときは入り口であり、大阪湾から外海に出るときには出口である。ちょうど大阪湾の入り口と出口を押さえた海が和歌山下津港であります。
 この和歌山下津港につきまして、かねて作業を進めてこられました港湾計画の改定はおおむね十年に一回行うことになっておりますが、本年度・平成七年の今回の改定は、たまたまこうした大地震の直後に行うということになりました。この港湾計画は、今回の地震の教訓を十分に踏まえたものでなくてはなりません。
 そこで、お伺いを申し上げます。
 私は、これまでも和歌山下津港の物流機能を強化するため、外航のコンテナ機能の導入やテクノスーパーライナーの寄港の必要性を訴えてまいったところでありますが、今までの質問の集積の上に、今改めて次期港湾計画における和歌山下津港の物流機能の強化策について、土木部長の答弁を求めるものであります。
 また、今回の十年間の港湾計画の改定とは別に、地震直後の当面の対策ということも進めていく必要があります。かねてから和歌山下津港には、先ほど申しましたように、荷役を行う機械がないから貨物が集まりにくいと言われてまいりました。聞くところによりますと、最近、今回の地震の影響も踏まえて、港湾の利用者団体、港湾関連業者の皆さん方からトラッククレーンの整備に関する要望もなされているとのことであります。移動式のクレーンと背後のヤードがあれば神戸の港の仕事の一部を行えるということであります。これなどは当面実施可能な物流機能の強化策であり、将来本格的な荷役機械を設置するまでのつなぎとしても大いに意味のあることではないでしょうか。本格的な荷役機械を設置するまでには最低五年はかかるでありましょうから、そのつなぎとしての意義も大きいと思うのでありますが、あわせて土木部長の答弁をお願い申し上げます。
 こうした物流機能の強化のためには、これもかねて指摘してまいりましたけれども、海側の施設だけではなく、陸上における道路の整備が当然不可欠であります。今までに紀の川右岸線等、この議場でいろいろと論議がなされてまいりました。内陸部の高規格な道路と港を直結する道路は、いわば陸側から海に至る航路であり、ぜひこうした認識のもとに重点的に進めていただきたいと思うのであります。そこで、和歌山下津港における将来の臨港交通体系の考え方について、この際に土木部長から答弁を求めるものであります。
 ところで、私は今回の港湾計画の改定では、こうした大阪湾の外港機能の形成を目指した物流機能の強化ということのほかに、都市活動を支え、地域の環境を改善するための港湾の整備ということをもう一つの柱にすべきだと考えております。こうした面での代表的な課題が、かねて申し上げてまいりました廃棄物処理場の問題であり、和歌山港駅周辺の港頭地区の再開発であります。そこで、これらの検討状況について土木部長の答弁を求めておきたいと思います。
 また、これは先ほどの物流の問題にも関連しますが、こうした課題に対応していくためにはどうしても現在の港湾の空間では手狭でありますので、新たな空間の開発ということが必要になってまいります。新たな空間開発ということについては地元や関係者のコンセンサスが必要であり、それらについては当然、今後手がたい手順を追って行われていかねばならないと思いますが、私は和歌山の振興発展を図るためにはぜひとも進めなければならないことだと考えております。そのために私自身も最大限の努力を惜しまないつもりであります。そこで、こうした新規開発の必要性や候補地の見通しなどについて、あわせて土木部長にお伺いを申し上げます。
 今回の地震は、防災面での港湾の役割の重要性も認識させてくれました。すなわち港湾は、先ほど来申し上げたような機能を発揮することにより緊急時の輸送や避難、復旧・復興のための基地になるなど、いわば地域における防災拠点になり得るわけでありますが、そのためには港湾自体の耐震性や安全性を高めておかなければなりません。あの神戸港の被害を目の当たりにしたとき、ほとんどの県民は「和歌山を同じような地震が襲ったら」という思いを抱かれたことでありましょう。
 そこで、お伺いをいたします。港湾における地震対策はどのような考え方で進めているのか、また今回の地震を契機としてどのような対応をしようとしているのか、これも土木部長の答弁を求めます。
 さて、この港湾問題の締めくくりとして、最後に港湾関係の組織について触れておきたいと思います。
 結論から申しますと、私は、多様な課題に対応していく上で、現在の県の組織では弱体ではないかと考えております。確かに、港湾課の組織、人員は年々拡充され、それなりの陣容を整えてまいりましたが、その守備範囲は、港湾の整備と管理はもとより、埋め立て、ポートセールス、マリーナシティ、港湾計画、地震対策、海岸の整備、漁業補償、さらには南紀白浜空港の整備と管理まで、余りにも多様で広範であります。
 ご承知のとおり、神戸、横浜、大阪などの大港湾を管理する政令指定都市には港湾局が置かれております。また都道府県においても、東京都を初め、最近では宮城県、新潟県、大阪府、広島県、徳島県及び高知県において港湾局もしくは空港をあわせた港湾空港局が設置され、積極的な施設整備とポートセールスが展開されているとのことであります。
 私は、我が国を代表する海洋県である和歌山県においても、そろそろこうした港湾関係の組織強化を検討すべき時期ではないかと考えているところであります。私のいわばライフワークとみずから呼ばしていただきますならば、その港湾問題の総括として最後の点を強く知事に要望いたしまして、この問題の締めくくりとさせていただきます。
 次に、これも何回もこの議場で論議をさせていただきましたが、住友金属の西防埋め立て問題についてであります。
 この問題につきましては、平成三年五月に住友金属と和歌山市が埋立地の土地利用を見直したいという希望を表明したことに端を発し、昨年三月の住友金属による県への一定の申し入れ、県による検討委員会の設置、そして昨年十一月の検討委員会による中間報告という経過をたどってきたわけであります。
 私は、かねてよりこの問題の対処に当たっては、全国的にも初めてのケースであり、この埋立地が紀北地域で唯一の廃棄物処理場としての役割を有していることや、将来の和歌山県あるいは和歌山下津港の発展を図る上で大変貴重な土地であること、さらには環境改善のために認められた埋め立てであることを踏まえて、中長期的な視野に立った上で総合的かつ多面的な観点から検討し、現実的な解決を模索すべきであることを主張してまいりました。その意味では、私はこれまでの県の取り組みを大筋として了とするものでありますし、また問題解決に向けてのレールを敷かれた仮谷知事の手腕を大きく評価するものであります。
 しかしながら、道はいまだ半ばにすぎないというところではないか。私は間もなくこの議会を去りますが、和歌山の将来を左右すると言っても過言ではないこの問題の行く末を案ずる立場から、最後の質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今後の取り運びについてであります。
 先ほども申し上げましたが、私はこの問題については大変難しい問題でもあり、明確な先の見通しを立てた上で進めていかなければならないと考えております。現在は検討委員会の中間報告を受けて各利用項目ごとに関係部局で検討が進められている状況にあると認識しておりますが、今後どの時点で取りまとめ、どのようにしていこうと考えているのか。新たな土地利用計画の策定という点については企画部長から、また法的な手続という点については土木部長から、それぞれ答弁をいただきたいと思うのであります。
 この問題の原点というのは公害対策にありました。周辺地域の環境改善にあるということを、再三にわたって私は主張してまいりました。埋め立て計画当初の環境目標が既に達成されていること、今後とも環境改善に万全を期すということについては、これまでも説明をいただいているところであります。しかし、なお不安が残るというのが住民の皆さん方の一部の偽らざる感想ではないでしょうか。そこで、今改めて環境改善に関する県の今後の取り組みについて、保健環境部長の答弁を求めるものであります。
 繰り返しになりますけれども、私はこの問題の現実的な解決が和歌山の産業政策、雇用政策、環境政策、さらには港湾政策を円滑に進める上でのかぎになるものと考えております。仮谷知事の手腕により、あるいは県内外の有識者による議論により一定の方向は示されているわけではありますが、私もこうした方向で問題の解決に向けて努力をしていくべきものと思います。
 もちろん、LNG火力の問題も含め、新たな利用内容についてはさまざまな機会を通してさらにいろんな意見を取り入れていかなければなりませんし、所定の手続は念には念を入れる形でなされなければならないと思います。しかし、この難しい問題の処理に関し、ここまで到達してきた以上は、この方針の実現に向けてそろそろ決断を下す時期が来たのではなかろうかと思うのであります。私も微力ながら、LNG火力を含む新たな土地利用の実現に向けて最大限の努力を傾けていく決心を固めているところであります。
 そこで、最後に締めくくりとして、知事に足かけ四年にわたるこの問題の経過に対する所見と問題解決に向けての今後の決意のほどを伺っておきたいと思うのであります。
 以上で、質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 まず最初に、港湾問題について数々のご提言をいただいたことについて感謝申し上げる次第でございます。
 地震を踏まえての港湾についての所信の問題でございます。
 けさほど飯田議員からも質問がございましてお答えしたところでございますけれども、神戸港が今回の大震災により被害を受け、近畿はもとより日本にとって大きな問題であるということ、そしてまた港湾が重要であり、神戸港の被害が和歌山県の産業、観光等に及ぼす影響が非常に大きいということを痛感したわけでございます。
 海岸線の長い和歌山県でございます。そうした中で、和歌山県の産業進展における港湾のあり方ということについての質問等もあったわけでございますけれども、和歌山下津港の整備の問題、日高港、新宮港、田辺港等の港湾整備について県としても鋭意努力しておるわけでございます。お話ございましたように、耐震性の三バースが神戸港の大きな役割を果たしたということでございますけれども、和歌山県においても、和歌山下津港、そして日高港、新宮港に各一バースの耐震性の港湾の計画を進めつつあるわけでございます。
 特に、和歌山県の中で和歌山下津港の占める比重の問題、先ほども申し上げましたけれども、大阪湾の入り口にございまして、神戸港のサブ港湾として果たす役割は非常に大事なものがあるわけでございます。かねてから港湾整備について万トンバースを進めつつありますけれども、現在、マイナス十二メートル、マイナス十三メートルの港湾整備を図りつつございまして、神戸港がマイナス十四メートルでございます。この完成は、マイナス十二メートルは平成七年度、そしてマイナス十三メートルは少しおくれますけれども、そうした整備を進めていく。そして外国船も取り扱いができる形を進めるとともに、また当面の課題として、クレーンの問題、ヤードの問題も積極的に早急にやってまいりたいと思っておりまして、和歌山下津港の整備についてなお一層の努力を進めてまいりたいと思っております。
 それから、西防問題でございます。
 まず地域の環境改善の解決が前提でございまして、その上に立っての貴重な公有水面の埋立地であるということを踏まえた利用計画でなければならない、そうした基本姿勢で取り組んでいるところでございます。
 そこで、公平かつ高い見地からの利用計画がいかにあるべきかという観点から、有識者により検討委員会を設置させていただいて中間報告を取りまとめていただいたところでございまして、その労苦に対し深く感謝しておるわけでございます。
 この問題の最終的な解決には、各利用計画案の調査検討や法手続等、まだしばらく年月が必要と考えられておりますけれども、先ほど申し上げました、従来の本県の環境問題の解決等とともに、本県の活性化のためにはいかにあるべきか、また県民福祉の向上のためにはいかにあるべきかと、そうした利用計画をぜひともつくり上げなければならないし、そしてまた態度決定をしなければならないと、かように思っておりまして、私としてもそうした点から最大限の努力を払ってまいりたいと考えているところでございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) まず、港湾についての五点についてお答えいたします。
 和歌山下津港の物流機能の強化策についてでございますが、ご指摘のとおり、今回の地震により我が国物流の一大拠点であった神戸港が壊滅的な被害を受け、特に外貿のコンテナ貨物については釜山などへ流出している面もあり、我が国の国際ハブ港湾の機能の低下が心配されているところでございます。
 議員ご指摘の和歌山下津港においては、大阪湾地域の各港湾と機能分担していくという観点から、物流機能を強化し大阪湾の外港機能を発揮していくことを考えておりましたが、今回の地震によってこのことの重要性と緊急性が確認されたところでございます。
 和歌山下津港の港湾計画の改定については、物流機能の強化を大きな柱として考えております。具体的な施策としては、大水深の岸壁と広大な埠頭用地や荷役機械を備えた外航のコンテナターミナルの整備を考えております。また、かねて研究が進められているテクノスーパーライナーについても、ぜひ導入を図れるよう努めていきたいと考えております。
 次に、当面の対応としてのトラッククレーンの整備については、一定の需要が予想されますし、また将来の本格的な対応にもつながり、必要性は高いと考えております。今後、実現に向けて具体的な規格や運営方法などについて検討してまいりたいと考えております。
 次に、臨港交通体系のあり方についてでございます。
 和歌山下津港では総延長約二十キロメートルの臨港道路が整備されておりますが、背後の幹線道路と直接連絡する道路が弱いのが現状でございます。この結果、特に物流の中心である本港区については市内の中心部を通過して幹線道路にアクセスすることを余儀なくされております。このため、現在の港湾計画においても物流の主動線として臨港道路紀の川右岸線を計画しており、当面はこの道路の整備を最重点課題として取り組んでいきたいと考えております。また将来においては、本港区及び北港区と周辺地域を結ぶ臨港道路のネットワークを形成し、さらには太平洋新国土軸構想や大阪湾環状道路構想など、高規格道路等との連絡を図りたいと考えております。
 次に、都市活動の支援、地域の環境改善面の取り組みについてでございます。
 和歌山下津港に対しては、背後の都市活動を支援する上でさまざまな要請がございますが、その最大の課題が廃棄物処分場の問題でございます。現在、県内で発生する一般廃棄物と産業廃棄物の大半を最終処分している住友金属の西防埋立地も平成八年には完了するという状況であるため、その後は大阪湾のフェニックス処分場での処理が予定されておりますが、一方では建設残土やしゅんせつ土などの問題もあり、長期的には新たな最終処分場が必要であると考えております。このため、港湾計画の改定作業においても廃棄物処分場の確保を図るべく検討を行っているところでございます。
 また、港や海の持つ魅力を十分に利用したアメニティー豊かなウオーターフロントを創造していくことも、港湾に課せられた大きな課題でございます。このため、南海和歌山港駅周辺の港頭地区を海の玄関口としてふさわしい地区に再整備し、市民が憩い、交流することのできる場にしていくことを構想しているところでございます。
 いずれにしても、こうした都市活動を支え、あるいは地域の生活環境を改善するための港湾の整備ということも大きな柱の一つとして、港湾計画の改定作業に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、新たな空間開発の必要性についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、和歌山下津港に寄せられているさまざまな要請にこたえていくためには、現在の港湾空間では対応し切れないものと考えております。このため、次期の港湾計画においては新たな空間の開発が必要であり、現在、そのための候補地を種々の観点から比較検討しているところでございます。今後、港湾に対する土地需要などを綿密に検討して、関係者の意見も聞きながら計画を具体化していきたいと考えております。
 次に、港湾施設の地震対策についてでございます。
 これについては、昨日、木下議員にお答えしましたが、今回の地震に際しても、神戸港に三バースあった耐震強化岸壁はいずれも被災を免れたとのことでございます。本県においても、和歌山下津港、日高港及び新宮港に耐震強化岸壁を各一バース計画しているところであり、このうち和歌山下津港の耐震強化岸壁は近く概成する予定でございます。また、地震による津波に対しては、主として高潮対策として整備してまいりました護岸や胸壁、水門などが相当の効果を有しているものと考えております。しかしながら、今回の地震による港湾施設の被害は想像を絶するものであり、また地盤そのものの沈下や液状化という問題も指摘されております。このため、県内の港湾施設についても、今後老朽化や耐震性の点検を行い、必要に応じて補修や補強を進めていきたいと考えております。
 最後に、住友金属西防埋め立て問題の今後の取り運びについてでございます。
 土地利用の見直しに際し今後必要となる法的手続としては、まず新たな土地利用を港湾法に基づく港湾計画に位置づける必要がございます。この位置づけについては、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会での検討結果をもとに早急に行ってまいりたいと考えております。また、公有水面埋立法上の手続も必要となりますが、これについても利用計画の検討結果を受けて、港湾計画の変更手続と連携させつつ所要の手続を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
 〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 尾崎議員にお答えいたします。
 西防埋め立ての今後の取り運びについてでございます。
 西防沖埋立地の利用計画については、昨年の十一月二十八日に検討委員会から中間報告が行われ、利用計画案が示されたところでございますが、同時に最終判断のための調査や検討事項等、指示されております。この指示された調査事項等には道路整備の見通しや環境影響調査など時間を要する課題もございますので、最終答申までには二カ年程度が必要ではないかと考えております。県としては、そのための最善の努力を行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、議員ご指摘のとおり、本県にとって大変貴重な公有水面埋立地でありますので、当埋立地の有効利用を図る観点から、関係各省庁、和歌山市等との連携をしながら新たな利用計画を策定してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 尾崎吉弘議員ご質問の西防問題に関する今後の環境対策についてでございますが、まず既存の和歌山製鉄所については、現在、計画に沿って進められている第一製鋼工場の集じん強化等、各種の環境改善対策の効果を確認しながら、必要に応じ所要の対策を講じさせるなど、指導してまいります。また、周辺環境確認のための地域住民に開かれたモニタリングシステムを構築させるとともに、状況に即した公害防止協定の改定についても検討を進めてまいります。
 次に、中間報告で方向が示された新たな土地利用に伴う環境対策についてでございますが、公害の種類によって一律には言えませんが、当初の埋め立て計画で確保されると予定されていた良好な環境を確保するとともに、よりよい環境創造に配慮することを基本として、今後実施される環境アセスメント等の中で必要な指導をしてまいりたいと考えています。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) 以上で、尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時九分散会

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