平成7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成七年二月二十八日(火曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第八十二号まで、及び報第一号から報第三号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第八十二号まで、及び報第一号から報第三号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十人)
 1 番 小 川  武
 2 番 吉 井 和 視
 3 番 井 出 益 弘
 4 番 和 田 正 一
 5 番 町 田  亘
 6 番 尾 崎 吉 弘
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 向 井 嘉久藏 
 10 番 佐 田 頴 一
 11 番 阪 部 菊 雄
 12 番 堀 本 隆 男
 13 番 平 越 孝 哉
 14 番 富 田  豊
 15 番 門  三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 上 野 哲 弘
 19 番 宇治田  栄 蔵
 20 番 尾 崎 要 二
 21 番 中 村 利 男
 23 番 山 本  一
 25 番 鶴 田 至 弘
 26 番 飯 田 敬 文
 27 番 村 岡 キミ子  
 28 番 松 本 貞 次
 29 番 下 川 俊 樹
 31 番 宗  正 彦
 32 番 橋 本  進
 33 番 浜 田 真 輔
 34 番 冨 安 民 浩
 35 番 上野山 親 主
 36 番 中 村 裕 一
 37 番 和 田 正 人
 38 番 大 江 康 弘
 40 番 木 下 秀 男
 42 番 森  正 樹
 43 番 野見山   海
 44 番 新 田 和 弘
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(三人)
 24 番 馬 頭 哲 弥
 39 番 中 西 雄 幸
 45 番 浜 本  収
 〔備 考〕
 22 番 欠 員
 30 番 欠 員
 41 番 欠 員
 47 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 梅 田 善 彦
 出納長 中 西 伸 雄
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 宮 市 武 彦
 民生部長 南 出 紀 男
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 山 次 郎
 農林水産部長 日 根 紀 男
 土木部長 山 根 一 男
 企業局長 中 村 協 二
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員 中 尾 公 彦
 警察本部長 西 川 徹 矢
 以下各部長
 人事委員会委員長職務代行者
   宮 崎 静 治
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   鈴 木 俊 男
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 岩 垣  孝
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 松 田 捷 穂
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 長 尾 照 雄
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 岡 山 哲 夫
 調査課長 柏 木  衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時五分開議
○議長(平越孝哉君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(平越孝哉君) 日程第一、議案第一号から議案第八十二号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第三号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 26番飯田敬文君。
 〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。お許しをいただきましたので、早速質問をさせていただきます。
 初めに、先月の十七日早朝に兵庫県南部地域を直撃いたしました阪神・淡路大震災、私たち近畿の同胞県といたしまして、また地震県和歌山県にとっても大きな衝撃が走ったわけでございます。亡くなられた皆様に対し深く哀悼の意をささげると同時に、被災された皆様に重ねてお見舞いを申し上げるところでございます。被災された皆様に対しては慰める言葉もございませんが、ただ悲しんでばかりおれない現状がそこにあることも事実でございます。一刻も早い、住民の満足のいく復興が遂げられますよう、心から祈ってやみません。我が和歌山県も、地震県としていつ突然の震災に遭遇するやもしれません。
 そこで、阪神・淡路大震災を教訓といたしまして、我が県が、我が町ができ得る防災計画の見直しを実行することが私たちに課せられた使命であると認識した上で、これより質問をさせていただきたいと思います。
 冒頭でもお話をいたしましたとおり、阪神地域は壊滅的な打撃を受けました。中でも神戸港の被害額は数兆円とも言われており、港湾機能は完全に麻痺をいたしております。神戸港は、全国港湾荷受けでコンテナ貨物取り扱いでは約三○%を占め、関西圏においても綿花や衣類、日用品などを中心とする原材料や商品が諸外国より着岸し、私たちの生活に密着した港であります。また、港湾機能は五万トンの船舶が出入りし、交通量も一日約三百隻を超える超過密港湾であります。コンテナ輸送が中心である現在の物流形態に合わせた高規格道路を有しております。この神戸港が震災の影響を受けたわけであります。
 我が和歌山県においても、神戸の港湾荷受けなどの停止により少なからず影響を受けたと聞いております。その和歌山県における影響の実態を把握するとともに、この機会をとらえ、近畿圏の国際港湾機能を神戸港集中ではなく大阪湾各地へ分散することが極めて重要ではないかと考えておるわけであります。和歌山県もその一端を担えるというよりは、その中心的役割を果たせる国際港湾基地を早急に整備していく必要があると思います。私は、国際港湾機能を持った拠点として和歌山下津港が最適であるように思っております。
 平成七年度の主要事業の中に、海の交通網整備の和歌山下津港港頭地区再開発事業の予算が計上されております。聞くところによりますと、残念ながら、この事業は港湾そのものの開発ではなく、港頭地区の都市開発が主眼であると伺っておるわけであります。私が申し上げております国際港湾機能を持った和歌山が中心的役割を担える基地づくりを視点に、この再開発事業を進めていただきたいと要望をいたすところであります。
 和歌山市下津港の船舶の発着状況と港湾能力をお聞きし、あわせて再編整備、再開発について、知事の所見及び取り組みについてお伺いをいたします。
 また、国際港湾として整備が完成されたとき、コンテナ輸送を行う際、近畿一円に対する物流環状ルートとして最大コンテナの通行可能な幅員二十メートルから三十メートル、四車線の道路整備がなければ意味がないわけであります。今まで述べてまいりました、和歌山県が他府県におくれることなく大阪湾経済圏域の中においてイニシアチブを発揮するためには、和歌山下津港整備とそれにつながる県独自の施策による基幹道路の建設が必要であります。この基幹道路整備は関西国際空港の関連施設整備大綱の中に必ずあるべきはずなのに、阪神高速道路湾岸線の関西国際空港から和歌山市延長が当初から計画されていなかったことは、まことに残念でなりません。私には全く理解できないことであります。
 平成七年度の主要施策に和歌山都市圏幹線道路マスタープラン策定がございますが、このプランを大きく展開させ、国際貨物基地下津港をつくり上げると同時に、和歌山下津港から住友金属西防埋立地を経てコスモパーク加太を通り、関西空港や大阪泉南地域と一体となり、近畿圏域の核となる道路整備を推進すべきであると考えておるわけであります。このためには、阪神高速道路湾岸線の和歌山下津港への延長が極めて重要であると思っております。また、この道路が完成いたしますと、コスモパーク加太に国際都市機能の動脈が流れ、今まで私が訴えてまいりました国際会議場や国際競技場などの誘致の起爆剤となり、広くアジア経済圏の中心としての和歌山ができ上がるわけであります。コスモパーク加太の利用計画を視野に入れつつ、和歌山下津港を中心とした国際港づくりの一環として、近畿圏域の基幹道路の建設について、土木部長にお伺いをいたしたいと思います。
 次に、昨年の渇水を踏まえた県の水需要の見通しと利水計画についてお聞きをいたしたいと思います。
 昨年は、四月から八月にかけて記録的な少雨でありました。全国的な異常渇水が起き、紀の川流域においても農作物に干ばつ被害や河川からの取水制限により、企業の操業短縮などのやむなきに至ったところであります。戦後最悪と言われている現在の経済不況の中、立ち上がりを見せていた経済に大きな打撃を与えました。現在も、農作物に干ばつの影響が残っております。
 紀の川においては、古くから奈良県の大和平野への流域外導水や紀伊平野における干ばつの解消のために、個別にいろいろと事業の計画がなされたと聞いておるわけであります。しかし、戦後に両県の主穀倉地帯である大和平野、紀伊平野における農業の生産性向上のため、国により十津川紀の川総合開発事業が計画され、昭和二十五年に我が県と奈良県との間で、紀の川における農業用水を主とした開発についてプルニエ協定なるものが交わされたと聞いております。古来より、水に対する私たち人間の意識は、いつも生存と隣り合わせで進行してまいりました。紀の川を取り巻いて多くの事件が発生しております。渇水時に水を求め、下流の農民が上流の農民と大乱闘を起こしたことが何度もあったと聞き及んでいるわけであります。水は、本当に大切な資源であると考えております。
 また、この大切な紀の川の水を大阪府へ分水することについて、阪和両府県で調印されております。私は、大阪府への分水については基本的に賛成するものでありますが、しかし渇水対策、さらに県益の発展のため、また景気浮揚にとって一番重要な企業誘致に係る工業用水の確保などを考えるとき、将来の水需要の見通しをわずか十数年後に置いているというところに、渇水に対する利水計画に不安を感じずにはいられないわけであります。県当局の水需要の見通しは現在の実績と比較してなお余裕があると聞いておりますが、過去において、また昨年のような渇水をだれが予測し得たでしょうか、このたびの阪神大震災をだれが予想し得たでしょうか。まさに、自然、天災は我々人間の英知を大きく上回るものであります。いつ昨年のような渇水に見舞われるかもしれないことを考え合わせると、県の水需要の見通しについて危惧いたしておるのは私一人ではないと思います。何度も申し上げますが、水は大切な資源であります。まさに、血の一滴であります。将来の水需要については、長期にわたる見通しをするとともに、昨年のような渇水が起きても取り返しがつかないことにならないような利水計画が必要と考えますが、企画部長の見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、前回の質問の折に、地域特性に合った文化、経済を十分に発揮できる地方分権型行政システムが必要であると訴えてまいったところであります。
 私は、地方分権を進めるためには、県内各地方をおおよそ十五万人規模の都市に分類し、それぞれに都市機能を持たせるべきであると考えております。そこでは、職場、住居、遊び、学問、研究機能の整備形成を図り、単に都市にとどまらず、複数の市町村から成る圏域を対象とする活力低下と東京への一極集中を打破するため、地方の自主性と創意工夫を生かし、自主的成長を目指すべきであると考えております。そのために地方拠点都市整備法がありますが、私はかねがね、私の住むふるさと那賀郡は一つであると訴えてまいったところであります。この考えに合わせたように、政府も地方分権を推進し始めたところであります。また和歌山県議会においても、二月県議会の冒頭で「地方分権の推進に関する意見書」を議決し、政府に陳情したところであります。
 政府は、今国会提出予定の地方分権推進法案の取りまとめ作業を開始し、総務、自治両省庁を中心に、地方分権推進委員会に独立した事務局を設置して地方分権の実効性を確保し、短期間のうちに集中して進めようとしております。野中自治大臣は、地方分権の後退は許さないと、不退転の決意表明をされているところでありますが、昨今の新聞紙上、事業官庁等いろいろなことを考え合わせるならば、規制緩和、行政改革なども含めて大きな反発が予想されているところでございます。しかしながら、地方分権の波が確実に広がってきておる今日、不退転の決意でこれに臨んでいただきたいと考えるわけであります。地方分権を推進し、二十一世紀に向けた和歌山県の都市機能のあり方が今こそ求められていると思うのであります。
 私のふるさと那賀郡を顧みますと、那賀郡の活性化は都市機能を持った地域づくり、都市計画が今こそ必要であると思っております。打田、岩出、那賀、粉河、貴志川、桃山の六町の協力と協調で、より効果のある計画が考えられるわけでございます。具体的には、那賀郡を一つの地域、ゾーンとして考え、那賀郡全体の構想を策定し、その上で各町に合った具体的な都市計画をしていかなければなりません。
 先ごろ私の経験したことでございますけれども、研究学園都市、企業城下町として推進している打田町の中心部に、モーテル建設という事態が持ち上がりました。地域の住民はもとより、打田町行政並びに議会において条例化も定めて大きな反対運動を推進してきたところでございますが、残念ながらこれに対する有効な手段、方法、手だてはないわけであります。私は、少なくともこうしたことを許さないためにも、きちっとした都市計画づくりが必要であると痛感したところでございます。
 例えば、近畿大学の総合大学化、学術研究地域の建設、那賀郡の基幹産業である農業、集約された工業団地地域、住みよい住宅地域、ハイキング、スカイロード、遊歩道、多目的運動場のスポーツレクリエーション地域などをつくり、全域的な都市計画を早急に進めていかなければなりません。さらに、紀の川流域下水道や国保那賀病院の推進、改築、ごみ焼却場の建設、毎回の質問でも訴えてまいりました京奈和自動車道路の和歌山市側からの同時着工が重要であると考えております。
 今まで述べてまいりました事柄は、乱開発を防止した都市機能を有する地域づくりを目指したものであり、地方分権の推進に大きくつながり、地方公共団体の自主性及び自律性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本とした地方分権の推進に関する法律案の基本理念に沿った重要施策であり、積極的な取り組みを要望するところであります。都市機能を持った地域づくりについて、土木部長の見解をお伺いしたいと思います。
 さて、人に優しい生活環境づくりの一つとして提言をいたしました葛城山系ふるさと林道緊急整備の中に紀泉スカイラインの予算が計上されたことは、和歌山県の環境づくりに対する強い気持ちのあらわれとして感謝を申し上げるところであります。しかし、まだこの計画では打田町から那賀町までの限られた間だけであります。打田町から以西の計画ができておりませんし、また世界に一番近い町としての文化と歴史を国際的にアピールする国際会議場等の設置、そういった計画がまだまだなされておらないところでございます。早期に計画されることを望みたいと思います。
 最後に、近畿大学が打田町に創設されて、若く優秀な人材が私たちの和歌山県にも来ていただける状況になったと喜んでおるわけでございますけれども、残念ながらまだまだ県外に流出しており、こういった現状では和歌山の発展は望めないと思うわけであります。若者が学び、集う、そして学生の街、若者の街としての町づくりを完成させなければなりません。
 前回の質問でも提言させていただいたように、JR和泉砂川駅とJR下井阪駅──私は国分寺の名にちなんで「紀伊国分寺駅」と名称変更を要望しておるわけでございますけれども──この十三キロ間を鉄道で結び、大学駅を設けて、それを中心とした学生の街をつくり上げるとともに、先端技術開発、国際交易、情報通信の三機能と文化施設を備えた二十四時間活動する町づくりを、関西国際空港の全体整備構想と相まって進めるべきだと考えておるわけであります。
 また、県内に働ける企業を積極的に誘致し、那賀郡が和歌山県の機関車として発展することが県全体の浮揚につながるものと確信しているところでございます。和歌山県の地方拠点都市づくりを踏まえた企業誘致等に対する考え方をお伺いいたしまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 飯田議員にお答え申し上げます。
 国際機能を持った和歌山県の港湾の拠点づくりということでございます。
 お話ございましたように、阪神・淡路大震災によりまして神戸港は壊滅的な打撃をこうむったわけでございます。それに伴いまして、神戸港の日本の港湾に占める比重、また関西における比重がいかに大きかったかということ、そしてまた港湾の重要性を再認識したわけでございます。また本県においても、地場産業、観光等に大きな影響を受けておるわけでございます。こうした実情を踏まえて、港湾の機能というもの、和歌山下津港の重要性ということを再認識したわけでございますし、一般の皆さんもそう感じられたことと思います。
 そうした意味から、大阪湾のハブ港湾として和歌山下津港の存在価値を高めていかなければなりません。そのためには、外航のコンテナ等も扱える形、また国内輸送のコンテナ等については現在万トンバースで取り扱われておりますけれども、なお一層そうした面において国際港としての価値を高めていくべく努力してまいりたいと存じておるわけでございます。また、話ございました道路等についても、十分配慮していかなければならないと思っております。
 次に、那賀郡は一つの観点から、都市計画の重要性のお話があったわけでございます。
 豊かな自然環境を持った那賀地域でございます。また、大阪に隣接している地域でもございまして、人口の増加も激しいわけでございます。昨年、関西国際空港が開港いたしました。そしてまた、京奈和自動車道の計画が進展しつつあるわけでございます。そうした国土軸の進展等とも相まって、開発ポテンシャルには非常に強いものがあるわけでございまして、今後の飛躍発展を図っていかなければならない重要な地域でございます。また、話ございました地方分権の観点からも、非常に重要な課題であると思っております。こうした那賀郡の発展のためには、紀の川の臨空都市としての発展、そしてまた発展性の調査、大阪府と連携を図る府県間道路、生活改善を図るための流域下水道整備等が非常に重要でございます。
 そうした諸問題がございまして、これらを解決するためには都市計画の推進が最も重要かと思うわけでございます。都市計画を推進する上においても、市街化区域、調整区域等に対する住民の皆さんの関心をなお一層高めていかなければならないと思うわけでございます。郡全体の計画をつくるとともに、市町村も計画をする、その前に住民に那賀郡の重要性、都市計画の必要性を知ってもらう等、積極的に進めてまいりたいと思っております。今後とも、関係町と十分な連携を図りつつ進めてまいりたいと考えております。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 二十一世紀を開く県土づくりについてのご質問、三点についてお答えいたします。
 まず、国際港湾機能を持った拠点づくりについてでございます。
 議員ご指摘のとおり、神戸港の被災により、外国貿易、特にコンテナ輸送の面で本県にも大きな影響が生じているものと考えております。
 平成五年の調査によりますと、本県の輸出入コンテナ貨物の四七%、約三十四万トンが神戸港で取り扱われてございます。品目別に見ると、輸出では機械機器類や化学製品、輸入については繊維製品や化学染色材料などが主なものとなっておりますので、特にこれらの貨物と関連のある産業において影響が大きいものと考えております。
 次に、和歌山下津港の現況についてでございます。
 和歌山下津港は、三市一町にまたがる県下最大の港で、平成五年の取扱貨物量は約四千八百万トン、うち外国貿易が約半分を占めております。入港船舶数は約三万三千隻でございます。公共施設の能力については、現状では一万五千トン級の船舶が接岸できる岸壁が最大でありますが、現在、船舶の大型化に対応するため、より大型の公共岸壁を整備中でございます。また、構想中の港頭地区の再開発についても、旅客船機能の強化や既存施設の沖合展開を含めて考えており、港湾機能の強化につながるものと思っております。
 いずれにいたしましても、和歌山下津港は大阪湾内に比べると相当立ちおくれているのが実態であり、今回の地震の教訓も踏まえながら、今後積極的に港湾の整備を進めていきたいと考えております。
 次に、近畿圏域の核となる基幹道路建設についてでございます。
 現在、大阪湾ベイエリアにおいては大阪湾環状道路計画が推進されており、その一環として阪神高速道路大阪湾岸線を南伸させ、第二阪和国道に接続させる構想について、第十一次道路整備五箇年計画に位置づけられているところでございます。さらに、和歌山市周辺については、コスモパーク加太等の地域整備構想と連動しながら紀淡連絡道路や和歌山環状道路の構想もございまして、和歌山下津港と一体となった道路ネットワークの検討を進めてまいりたいと考えているところです。今後とも、これらの和歌山環状道路や紀淡連絡道路の調査を促進するとともに、第二阪和国道の府県境部や阪神高速道路大阪湾岸線と第二阪和国道との接続等についても、早期具体化に向けて取り組んでまいる所存でございます。
 最後に、那賀郡の都市計画についてです。
 那賀郡は、近年、岩出町、貴志川町初め開発ポテンシャルが高まっておりまして、人口増の著しい地域でございます。現在、桃山町を除いて都市計画区域の設定がなされておりますが、都市計画道路等の都市施設の計画はされているものの、土地利用計画は未策定であり、市街地のスプロール化の進行している現状も認められるところでございます。
 現在、岩出町において市街化区域と市街化調整区域の設定、いわゆる線引きの検討を進めており、土地利用計画の策定を図っているところでございますが、那賀郡の発展のためには将来に禍根を残さない町づくりを都市計画の強化により進めていく必要がございます。しかしながら、土地利用については住民の皆様に直接関係する事柄でありますので、計画的な町づくりについて、住民の方々に必要性を十分にご理解していただくことが前提でございます。さらに、これに基づいた関係町の積極的な取り組みが必要であります。
 県といたしましては、こういう観点を踏まえて、広域的な観点から関係町と連携しつつ、都市計画の充実を図るため、連絡調整会議の設置など推進体制を確立し、適切な指導、調整を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
 〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 飯田議員にお答えいたします。
 紀の川流域の水需給計画についてでございます。
 昭和六十一年に和歌山県長期総合計画を策定いたしまして、平成十二年度を目標とした予測をしております。その実績を把握するため、毎年、水需給動態調査を実施しているところでございまして、現在の使用実績は目標より下回っている現状でございます。また、上水道の整備に伴って作成する事業計画については、厚生省の指導に基づき、通常その期間が十年から十五年とされてございます。昨年発生した異常渇水については、百六十四年に一度という記録的な渇水でございまして、通常、建設省等が行う水資源開発については、十年に一度という確率を基準にして施設等の建設が行われてございます。
 今後の紀の川流域の水需給計画については、本流域における開発状況等、社会的、経済的諸条件を勘案しながら、長期の水需給計画の調整を図るとともに、今回の異常渇水等の経験を踏まえて一層の節水意識の啓発を初め、大滝ダム等の建設促進や農業用水の合理化による水資源開発や水利調整等に努め、安定した水資源の確保に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 企業誘致についてお答えします。
 県勢の活性化と若者の働く場所の確保のため、県政の重要課題として企業誘致を図ってきたところでございます。
 とりわけ那賀地域においては、松下電池ほか十七社の企業が進出して、約八百人の雇用を創出してございます。県下でも誘致企業の集積と工業団地づくりが意欲的に図られたところでございまして、企業誘致の牽引的な役割を担ってきたところでございます。また、二十キロ圏内に関西国際空港が開港し、国際化、情報化が進む中、近畿大学の生物理工学部も開学しており、製造業のみならず研究所、情報産業等の誘致にも力を入れているところでございます。
 今後は、県の長期計画で南麓サイエンスパークとして位置づけられているように、産・学の集積が地域経済と結びつき波及効果をもたらすよう、雇用の促進や地域産業との交流を進めてまいりたいと考えてございます。
 なお、那賀郡、海草郡を含む和歌山地域集積促進地域、いわゆる産業の頭脳部分の集積を図るための中核的業務団地である海南インテリジェントパークに、近畿大学の研究所と情報産業であるトランスコスモス社の誘致が決定して、本日午前中に調印式を行ったところでございます。このことが地域産業の高度化につながるものとして、その周辺地域に対する影響も大きいものと考えてございます。今後なお一層、企業誘致の促進のために努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番飯田敬文君。
○飯田敬文君 先ほどから知事並びに各部長から大変ありがたいお言葉をいただいて、心強く思っているところでございます。
 特に、阪神・淡路大震災といったことを踏まえて、和歌山県がこれからさらに大きく飛躍する使命を負っている時期に今こそ立ち至っておるということを確信いたしたところでございます。特に、関西国際空港、和歌山下津港を結び、国際都市として、これからの和歌山が日本における大きな位置を占めていく重要な立場にあることをお互いが確信して、大変心強く思っておるわけでございます。
 ただ、私自身、素人考えでございますけれども、高速道路湾岸線が和歌山市までなぜ延びなかったのかということが非常に心残りであります。このことこそが国際都市として日本を引っ張っていける和歌山県の重要なことでなかろうかと思いますので、引き続きご努力を特にお願い申し上げたいと思う次第でございます。
 さらに、地方分権ということが今大きな課題として立ちはだかっておるわけでございます。地方分権を推進することこそが、都市計画を立派になし遂げることでもあるし、関西国際空港の全体構想を大きく整備して、我が和歌山県の位置を高めることにもなると思いますので、この地方分権についても、県議会、知事初め皆さん方の絶大な力で大きく推し進めていくことを強く願うものであります。ひとつよろしくお願いを申し上げます。
 最後に、企業誘致の問題です。
 和歌山県も、不十分でございますけれども、ようやく企業誘致が大きく発展してきたと思うわけでございます。私、打田町に住んでおりまして、近畿大学並びに松下電池の誘致があったわけでございますけれども、近畿大学の町として打田町なり那賀郡が生き生きとした学生の街にまだなっておらないことが非常に残念であるわけでございます。あるいは、松下電池が操業されておりますけれども、雇用対策の面で地元の雇用はどうなのか、関連の地元の企業はどうなのか、こういったことも含めて企業誘致が大きく展開をされなければならない課題を背負っておると思います。ひとつそういった視点も組み入れていただきまして、有利な条件を生かしながら企業誘致の積極的な推進をしていただきたいことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 それでは、お許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、地方分権の問題でございます。
 〔議長退席、副議長着席〕
 昨年末、政府の方から地方分権大綱が発表されました。翌日の新聞報道は大綱を評して、「地方への権限移譲の内容後退」とか「法案骨抜きのおそれ」等と報じました。最近、また新たな法案も準備されているようでありますが、私も権限移譲については各新聞が論評されたことと同じような思いをいたすところであります。さらに大きな問題は、今のような進行状況を見ていると、「分権」に名をかりた地方へのしわ寄せ、「地方自治」の名をかりた国の責任の放棄という危惧を抱くものであります。
 十数年前より、「地方の時代」という言葉が流行いたしました。その言葉はまるで地方自治拡充の時代という響きを持って、地方行政を論じる流行語になりました。しかし、実際振り返ってみますと、国の行政改革、臨調行革に翻弄されたさまざまな地方負担の増大の時代であった、国主導の地方行革の時代であったことは否めないと思います。
 地方分権大綱が果たして地方自治の拡充をもたらすものなのかどうか、国の地方支配の歴史といった視点から改めて考えてみる必要があるのではないかとも考えるわけです。地方分権大綱は、国が本来果たすべき役割として、国家の存立にかかわる政策である外交とか防衛などの役割に機能を純化させていき、地方には地域に関する行政をゆだねることとしています。しかし、地方への財源保障は消費税以外は示されず、機関委任事務制度廃止の強い要望は退けられ、あくまでもその温存を策して、引き続き自治体に国の下請機関化を強いるものとなっています。
 私ども日本共産党は、国の仕事を外交、軍事などに純化して、内政に関する役割を国の責任を抜きにして自治体に押しつけることには、たとえ「分権」という名前が上についていたとしても賛成するわけにはいかないわけです。憲法第二十五条は、国民の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障して、国に対して社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進を義務づけています。この憲法で定めた課題のナショナルミニマムの設定とその財政的保障についての最終的責務は、明確に国が負わなければならないところであります。これは、分権の前提として明確にせねばならないと思います。地方のできない仕事としての外交と軍事に純化することは憲法で定められた国の任務の放棄であり、しかも財源保障も明示しないとすれば、明らかにその財源の地方負担の強化を招くものであって、地方自治の拡充とは縁のない方針になりかねないと思います。分権大綱は、明らかにこの点が欠落しております。
 大綱は、いま一つ分権に不可欠なものとして、規制緩和と自治体リストラ、合理化を並行して求めています。
 住民生活にとって不要な規制が多いのは事実ですし、住民生活の向上を阻害する規制は当然、緩和、撤廃せねばなりませんが、規制にもいろいろありまして、規制することにより住民生活を保護してきた事例を挙げることには事欠かないわけであります。公害規制、消費者の保護、乱開発の規制、その他たくさん挙げることができます。そのような住民福祉の実現を阻害するものを公権力によって規制する行政事務の必要性を検討するとか見直しするということになりますと、地方自治体の行政事務全般に規制緩和を拡大しようとする意図が見られてまいります。こういう動きは、地方自治の精神に明らかに反するものだと考えられるわけです。
 また、自立的な地方行政体制の整備確立ということで、市町村合併や事務事業、組織、機構の見直しや定員管理の適正化等、自治体のリストラ推進を求めている点などは、住民サービスの低下と住民への負担の押しつけにつながる危険が濃厚であります。一般論としての効率的行政というのは結構なことでありますが、この大綱で述べる趣旨の中での効率的行政というのは、そのまま聞くことができないところであろうかと思います。
 分権論において、今まで表明された知事の所信は、その大筋において私は是とするところでありますし、その実現のために国民的論議を起こしていこうと表明された点などは大いに多とするところであります。大綱が発表されて政府に具体的な動きが出てきたときに当たり、かつ地方自治の発展という観点から見れば、極めて懸念されるような動きが見られているときでもあります。分権大綱への所感と分権のあるべき姿についての知事の所信を、今ここに問うものであります。
 続いて、教育関係の問題に移ります。
 和歌山市内に肢体不自由児のための学校が欲しいという切実な声は、もう何年も前から関係者より強く訴え続けられてまいりました。きのかわ養護学校その他への通学は余りにも遠く、肢体不自由児にとっては通学そのものが苦痛であると同時に、それぞれの学校に生徒もふえて、図工の教室や実習の教室などはクラスルームにしなければならないという事態が生まれてまいっております。関係者の要望は当然のこととして、この議会でも論議されました。本年当初、ようやくにして養護学校建設に向けての調査費が計上されました。養護学校の生徒、保護者、関係する教職員はこの措置を大いに喜びとして、来年度の大きな前進を期待したわけであります。しかし平成七年度の予算案は、残念ながらその期待を裏切り、再び調査費が二十六万円計上されたにとどまりました。その失望の大きさは、私が語るよりも保護者の一通の手記を紹介することで感じ取りいただきたいと思います。
 私の子どもは、去年転校してきたうちの一人です。いままでお世話になっていた学校は確かに遠い場所にありましたが、肢体不自由の我が子にとっては最高の設備の整っている学校で、毎日が安全で充実した学園生活を送っていました。 そんなある日、県からの一方的な転校の話があり、大変ショックでした。 県からなかば強制的な説得が続き、私たち保護者はノイローゼ気味になる程でした。 それでも転校に同意したのは、新しく養護学校をつくってくれる、私たちの転校がその足がかりになるという県からの説得に応じたものでした。 それなのに、一九九五年度に予算がつかなかったなんて…… 私たちは何のために転校してきたのでしょうか? 県は私たちの夢と希望を踏みにじるのでしょうか? 設備の不十分な、しかも過密化してきている紀北養護学校でずっと我慢しろと言うのでしょうか? 健常児も障害児もともに十分な環境の中で教育を受けられる権利があるはずです。 どうか一日も早く新しい養護学校をつくって下さい。私たちの願いを聞き入れて下さい。
という内容であります。
 この手記の筆者の子供さんは、遠方ではありましたが、肢体障害の子供のための養護学校に通学をしておりました。しかし、教育委員会の指導により、和歌山市内の精神障害児のための養護学校に転入してこられた方の保護者です。
 もちろん教育委員会は、この子供たちを紀北養護学校に受け入れるために一定の施設の改善なども行ったことは事実であります。私も、学校の現場を見てまいっております。それにしても、教育委員会はこの切なる声に率直に全力を挙げてこたえてやっていただきたいと思うんです。県教委の指導によって肢体不自由児のための設備の相対的に不十分な紀北養護学校にあえて転入した子供たちの気持ちと保護者の失望、同じくたちばな養護学校から転入された子供たちの気持ち、保護者の気持ちを教育委員会は真正面から受けとめてやっていただきたいと思うんです。関係者のすべての方々が、肢体障害の子供たちの養護学校は本当に建設していただけるんだろうか、できるとすれば一体いつごろなんだろうか、来年、再来年とずるずる先送りされてしまうのではなかろうかと、新たな不安を抱いています。この一年間、県教委もそれなりの努力をされてきたのだと思います。私は、その労を多とすることにやぶさかではありません。しかし同時に、早期建設という期待にこたえられなかったことについては厳粛に受けとめていただきたいと思います。
 そこで、お尋ねをいたします。
 来年度予算に用地買収費、建設費等が計上されていないのはなぜですか。調査費がつけば、次年度は用地買収、建設へと踏み出すのは従来の流れです。ネックがあったとすれば、来年度の早期にでもそれを解決し、実質的に来年度の事業として展開できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。強い決意の表明を期待する次第であります。
 次に、教職員の定数についてお尋ねをいたします。
 私は、過去数回にわたって、さまざまな形で学校の教職員の増員を求めてまいりました。司書教諭の問題に始まって、免許外教員の解消、指導困難校への加配、いじめ、不登校に対する教員の加配、そして三十五人学級の実現をと訴えてまいりました。その中の一部は前進した面も見られるわけでございますが、残念ながら基本的に解決するところにはなかなか至っておりません。今回は、教員の配置はせめて国の基準を満たしてほしいという、まことにささやかな訴えをさせていただきたいと思います。
 「今、先生は疲れている」、そんな話をしばしば聞くようになりました。個人的なことですが、私自身、若いころ教員を志望していたこともございまして、教員を務める友人が比較的多くございます。そして彼らからしばしば、教師は最近疲れているという言葉を耳にします。子供が宿題を持って帰る以上にたくさんの仕事を家に持って帰る、そういうことはもう普通のことになっている、昼食時間はまるで戦争で、昼飯がどこに入ったかわからない、昼休みなどという実感はさらさらない、いつも何かやっている、自分がよほどのろまなのかと悩むことさえある、それが子供にしわ寄せされそうで、本当に何とかならないものだろうか、そんな話を聞かされます。あと一人職場に教員がいてくれたら、うんと違うのだが、もうちょっと親切な授業もできるのだが、と語ります。
 彼らが特殊なのかと言えば全くそうではなくて、和教組の調査によりますと、一週間の労働時間が五十時間以上というのは小中学校で六三%を超え、六十時間以上というのも二○%を超えています。同じく婦人部のアンケートを読みますと、女性教員の三二%が慢性の疲労を訴えて、翌朝まで疲れがとれていないと答えた人が五四%に達している状況です。しかし、子供や同僚に迷惑をかけるから年休はほとんどとっていないと答えた人が五○%を超えているありさまです。あと一人先生をという訴えは決して法外なものではなく、子供へのよりよい授業を願う立場からも当然の訴えであろうかと思うわけです。
 ところで、ここに国の教員の配当基準というのがあります。一つ例をとりますと、例えば、学級数が六つの小学校では、国の基準では校長先生を除いて七・七五人の先生が配置されることになっています。その分だけ、国から予算がついてくるわけです。その七・七五人の基準に基づいて、大阪では九人の先生が配置され、兵庫では八人、滋賀でも八人の先生が配置されています。ところが、和歌山県は七人なんです。中学校では、六学級ある学校ですと、国の基準は十・五人です。その基準に基づいて、大阪は十二人、滋賀が十一人の教員を配置しているわけです。我が和歌山県は十人という状況になっています。
 和歌山県が近畿の今紹介したようなところと比べて確かに下位にあるわけですが、和歌山県と同水準のところもありまして、一番悪いとかなんとかという問題ではありませんけれども、国基準よりも下回っているのは事実です。近畿だけでも、二県、三県と和歌山県を上回って努力をされている県があるわけです。本県も、子供たちの学校での生活実態や教師の教育実践と生活の実態から見て、せめて国の基準ぐらいを満たす教員配置は当然行われるべきであろうと考えるわけです。教育委員会なりにさまざまな知恵をめぐらせて加配教員として別の方面に配置しているともお聞きしますが、学級数に対する教員配置は全く最低の基準でありますから、ここをしっかり充実させることは非常に重要ではないかと思うわけです。
 各学校の特殊な事情とか、教育相談とか、その他の配置も当然必要であります。本来は、国がここにも十分な面倒を見るべきなんです。それがなかなかされていない中で非常に苦しい問題もあるわけですけれども、そういうところには県が単独でその部分を積極的に補完するという姿勢が必要ではないかと思うんです。先ほど申し述べたように、学級数に対する教員配置で最低の国基準を満たしていない学校が和歌山で相当あります。先ほどの例に出した六学級を持つ小学校だけでも県下に五十四校ありまして、全体で相当数の教員が国基準より下回っている。
 そこでお尋ねいたしますが、この際、教員の配置を国基準あるいはそれを上回るものにしていく意思があるのかどうか、基本的な姿勢をお示しいただきたいと思います。また、現行の配置数であれば、加配教員として配置があったとしても相当の未配当教員があるのではないかと推測をするわけですが、その数はいかがなものでしょうか。さらに、国基準を各学校に配置した上で、加配については国に要求するとともに県独自でもって必要数を配置するという考えを持っていただきたいと思いますがいかがでしょうか、お尋ねをいたします。
 次に、子供の権利条約と校則の問題に移りたいと思います。
 また、春が近づいてまいりました。進学される子供さん方は大変胸の膨らむ季節であります。子供たちだけでなく、保護者の方々も何かと心ときめく思いを抱かれる時期でもあります。今、各中学校で新しい中学生を迎えるに当たって入学説明会が開かれています。ある中学校の説明会に出席した保護者から、私のところへこんな手紙が届けられました。ちょっと紹介してみます。
 この春に、子どもが中学進学をひかえ、地域の中学校の入学説明会に行ってまいりました。 そこで校則の説明を受けたのですが、服装のきまりとかがどうもことこまかすぎて、きびしすぎるんじゃないかと思うのです。まあ、こまかいというより不思議な気がするのもあるんです。制服はわからないことはありませんが、絶対に標準服指定マークというのがついてなければならないそうです。 男子の上衣の例で言えば そで口幅はまっすぐでなくてはいけないとか、どこどこは細くてもダメ太くてもダメ、何センチから何センチの間とか、女子のセーラー服でも上着の長さ、スカートの長さから、とにかくことこまかいのです。成長を見こして大き目のを買ってもダメと言われました。 変形服への、いわば非行へのもとになるそうです。くつ下は白でなくてはならない。三足組千円程で売ってるようなライン入りは不可だそうです。くつも線が入っているとダメだそうです。下着は白でないとダメだの、中に着るセーター類はこれこれの色だの、もよう入りはダメだの、家にあるものはほとんどダメな様で、新たに買いそろえないといけません。 頭髪にしても、前髪はここまで、後ろは襟にかかってはダメ、女子の長髪は髪の毛のくくる位置、ゴムの色まで指定されてるんです。くくる位置は高くてもダメ。(ポニーテールは不可)首すじのここらへんでとめさせて下さいとか、生活指導の先生が説明してるんです。髪を結るゴムの色も黒か紺か茶で、その中の二色を同時に使ってはいけないとかいわれました。黒と紺の二色のゴムで髪をたばねることが非行とどうむすびつくのか、説明はありませんでした。 家に帰ってから、子どもにこんな校則(きまり)があるんだと話しましたら、えー、なんでそんなのあかんのォ。?くつもくつ下も今はいてるのやったらみんなあかんのやな。小学校やったら、好きな服着て、好きな髪型して、その日の調子にあわせて動きやすいようにして行ってたのに、なんであかんの?と子どもに質問されました。校則のひとつひとつがどうしてダメなのか、色変わりのものやったらなぜダメなのか聞かれましたが、私自身、この子に何と回答してやっていいものか答えることができませんでした。半分は冗談ですが、「そんな中学なんか行きたくない」という始末です。
 そういう内容です。
 説明会の現場でもちょっとおかしいとは思いながらも、周囲の雰囲気の中で質問できなかったようですが、改めて子供に問われて回答ができない、どう説明すべきなのかとの趣旨でした。
 数年前より、校則がいろいろ問題になりました。教育委員会の方々も校則の見直しなど一定の措置をとられたようですが、中学校にはまだまだ保護者にも子供にも不可解な校則が存在しているようであります。
 手紙をいただいて、和歌山市内の数校の校則を見てまいりました。大体似たり寄ったりですが、さきに紹介したもののほかに、靴のひも穴は六つ以上でなければならないとか、寒いときに着ればよいはずの防寒具に使用期間が決まっておったり、靴に名前を書く場所も指定されていたり、上履きの名前の色は、男の人は黒で書きなさい、女の人は赤で書きなさいとか、冬に着るウインドブレーカーの着用は、同じ市内で温度差は余りないと思うんですけれども、それを認めるところと認めないところがあります。文面規定はありませんけれども、詳細は指導の中でというのもあるようです。校則が定められる理由は当然あると思いますし、少々不可解なものであっても生徒たちが納得しているものであれば、それはそれなりに意味のあるものだと私も思います。しかし、遵守を義務づけられている生徒が理解できない校則というのは、学校の規則という意味での「校則」というよりは自由を制限するという意味の「拘束」ということになります。
 私は、昭和の初期に生まれた者として、どちらかというと質素倹約を愛する方でして、華美な服装などは好まないわけですが、他人の迷惑にならない限り服装等における自由は認められるべきだと思っております。不思議なことに、最も多感な思春期、青春期の入り口の中学生、高校生時代の六年間に服装の自由に制限がつくわけです。校則は、本来、学校、保護者、生徒の積極的な総意によってつくられ、生徒自身がみずからを律する糧とすべきものです。どこかで一方的につくられて生徒に強制されるべきものではないはずであります。
 この点で私は、昨年の六月議会で子供の権利条約を問う一般質問を行いまして、文部省当局が校則に関しては極めてかたくなな態度をとって、学校が一方的にこれを定めるものとするとしている、そういう点を批判的にここで質問いたしました。今なお、校則において生徒の主体性、権利などが尊重されるべきところで尊重されていない、子供の権利条約に照らしても極めて遺憾な事態が残っているのではなかろうかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。生徒たちの自由、権利などに属する問題は、生徒たちの自由な討論を尊重し、余り末節まで拘束すべきでないと思いますが、いかがでしょうか。
 重ねてお尋ねをいたしますが、子供の権利条約にかかわる文部省の見解は、校則に関する部分については明らかに条約の精神から逸脱しているように思われますが、教育長の見解をお伺いする次第です。
 次に、県内の中小企業の振興についてお尋ねいたします。
 円高や外国製品の輸入急増で大変な苦境に直面している繊維、皮革、家庭用品などの地場産業にかかわって、当局の振興方針をお示しいただきたいと思います。
 言うまでもなく、地場産業は県内経済の中心を占めています。最近の統計では、製造業の中で地場産業は、事業所で約七割、従業員で五割、出荷額でも二七%を占めています。特に繊維産業は、従業員数では製造業全体の一六%、製造品出荷額では地場産業の四割という県内の産業構造で大きな比重を占めています。これは、従業員数では住友など鉄鋼産業の一・六倍に当たる多くの方々が繊維産業に従事されているわけです。その繊維産業が、外国からの低価格製品の輸入急増で大変な苦境に直面し、行政としての対策が緊急に求められているところです。繊維だけでなく、海南市等に見られる家庭用品や漆器産業も、対策が求められている点では同様であります。漆器は、かつて二百億円の生産を誇っておりましたけれども、昨年度では百億円、輸出に至っては、かつての五十億円から三億円にまで低下したということです。
 政府は、昨年十二月、繊維に関するセーフガードの運用指針を決定いたしました。これまでの、やろうとすればできる輸入制限の発動を拒否してきた方針を一定変化させたもので、遅きに失したとはいえ、早く発動してほしいという業界の要望にこたえて実効のある措置を進めようとしているようでありますが、文字どおり実効のある措置にしてほしいと願うわけです。
 この二十三日には、日本紡績協会など繊維業界が、世界貿易機構(WTO)の新繊維協定に基づく緊急輸入制限措置の発効を求める要望書を政府に提出いたしました。外国からの輸入攻勢で国内産業が設備廃棄という苦境に追い込まれた状況があるからであります。言うまでもなく、国内産業を守ることは法律でも定められております。例えば中小企業基本法第二十二条は、輸入品との関係の調整について次のように定めております。「国は、主として中小企業が生産する物品につき、輸入に係る物品に対する競争力を強化するため必要な施策を講ずるほか、物品の輸入によつてこれと競争関係にある物品を生産する中小企業に重大な損害を与え又は与えるおそれがある場合において、緊急に必要があるときは、関税率の調整、輸入の制限等必要な施策を講ずるものとする」とあります。
 諸外国では繊維製品の輸入規制は一般的に行われており、アメリカでは繊維製品の八割、ECでも五割が輸入規制を行っているそうです。少し古い数字でありますけれども、九二年七月段階での諸外国の繊維製品の輸入を規制する二国間の取り決め協定を結んでいる状況を紹介しますと、アメリカは二十九カ国、カナダは二十二カ国、EUは十九カ国、日本に大量に製品を送り込んでいる中国も六カ国、韓国も六カ国、それぞれ輸入・輸出規制を行っています。もちろん、今度通産省が決定した指針にも問題点は多く、しかも規制を発動するかどうかに二カ月、調査期間は一年以内とされておりますので、申請から実際の発動まで一年以上を要します。事態はようやく規制の方向に動き出したわけですが、繊維産業が県内産業で大きなウエートを占める本県として、これまでどれだけ輸入規制を求めて頑張ってこられたのか、また繊維産業を守る実効ある措置をとらせるためにどのような働きかけをされてきたのか、お考えをお示しいただきたいと思います。
 なお、この問題では、地元の業界代表が述べている言葉を紹介したいと思います。和工繊維の巽社長さんの言葉ですが、「このままでは、ニット産業あるいは日本の繊維産業全体が衰退してしまうおそれがある。いわゆる倍々ゲームのような形で繊維製品が輸入されると、我々のような中小企業では対応できない。また、和歌山の繊維産業を振興させるためには、生地編み、染色整理、縫製などといった最終製品までの一連の製造工程が可能な、しかも製品企画、販売企画などのノウハウを持った繊維産業の一大産地にしていかなければならないだろう」と述べているわけです。
 このような声に県当局は十分こたえられてきたのだろうか。一定の対策は立てられておるようですが、果たしてこれで業界を活気づけることができるのだろうか。繊維だけでなく、皮革や伝統工芸品も極めて苦しい状況に置かれております。積極的な対応を求めたいと思うわけであります。地域経済の振興なくして住民福祉の向上はありません。県当局がこの立場に立って、職員も多数配置し、予算も思い切ってつける、また全国一の中小企業対策の町と言われる東京都墨田区が制定して地域経済振興策の柱となっている中小企業振興条例を制定するといった中小企業振興策を抜本的に発展させる必要があろうかと思いますがいかがでしょうか、当局のお考えをお聞きしたいと思います。
 以上で、私の第一問を終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 地方分権大綱についての知事の所見ということでございます。
 先ほども、飯田議員から地方分権についてのお話がございました。地方分権とは、地方自治にとって最も大切なことでございまして、地方がみずからの創意と責任のもとに豊かな地域づくりができる体制づくりであると思っております。そのために、地方分権を考えるとき最も重要なことは、中央から地方への権限移譲の問題、財政的確立の問題、そしてまた地方としても、それを受けての行政組織において効率的な、そして簡素な行政体系の成立と、これらが相まって行われるものであると考えておるわけでございます。
 昨年末に政府が策定した地方分権大綱方針は、全国知事会等地方六団体が昨年九月に政府等に提出した地方分権の推進に関する意見書と比較すると、議員ご指摘のように機関委任事務について不明確な部分があるわけでございます。このことは、私は大変遺憾なことであると思っております。しかし、政府が地方分権に関して方針を示したということは一応の評価ができるのではないかとも思っておるわけでございます。
 政府が今国会に提出予定の地方分権推進に関する法律案では、地方分権推進委員会に分権推進の実施状況の監視権を付与する等、大綱方針に比べて踏み込んだ内容となっておるということを聞いておるわけでございます。また財源保障についても、法案では地方分権推進の基本方針として、国は、地方公共団体が事務及び事業を自主的に、かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体の役割分担に的確に対応した地方税財源の充実確保を図るものとすると規定しているわけでございます。具体的には、政府が策定する地方分権推進計画の中で明らかになると思いますが、私も現在、知事会の副会長も務めておるわけでございまして、そうした機会を通じて十分な財源保障がなされるように政府に対して働きかけてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(富田 豊君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 中小企業対策についてお答えします。
 繊維、皮革、家庭用品等、県内の地場産業振興については、産業基盤の強化、需要開拓、技術開発、融資等を柱に積極的な施策を推進しておりますが、地場産業を取り巻く経済環境は、長引く不況や円高等により、非常に厳しい状況にございます。とりわけ繊維産業については、近年、外国からの低価格製品の急増等により大きな影響を受けてございます。ちなみに、平成五年度で内需に対する輸入品の比率は五○・八%に達してございます。六年度はいまだ統計がとられてございませんが、増加傾向にございます。こうした状況のもと、新繊維協定に基づく緊急輸入制限措置の発効について、これまで業界の意見等を国等へ伝えてまいったところでございます。
 こうした中、昨年十一月に国においても緊急輸入制限発効措置の指針の決定がなされたところでございます。県といたしましても、県内繊維産業振興の立場から、関係業界の意向を踏まえながら、今後とも動向を見守ってまいりたいと考えてございます。
 次に、中小企業の発展を図るための抜本的な振興策についてでございます。
 本県中小企業、地場産業の発展強化を図るため、新たな生産体制の確立や下請中小企業から企画提案型の企業への転換、さらには新商品の開発やデザイン、市場販路開拓等を実施する一方、工業技術センターの再編整備や頭脳立地構想の推進など、研究開発に対する支援体制の充実強化など、総合的な施策を展開してまいりたいと存じてございます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題、三点についてお答えいたします。
 まず、養護学校の建設についてであります。
 和歌山市内の肢体不自由教育のより充実を図り、あわせてきのかわ養護学校及び紀北養護学校本校の過大規模化の解消、紀北養護学校分校の分離独立化を推進するために、和歌山市内に県立養護学校の新設を計画し、平成六年度に調査費を計上したところであります。本年度は、学校規模や用地面積等を検討し、幾つかの候補地を挙げて調査してまいりましたが、環境や通学の便等、さまざまな課題が明らかになってきております。このため、引き続き平成七年度、調査費を計上し、用地等を含めた課題解決に努め、養護学校の新設に向け、できる限り努力を続けてまいる所存であります。
 次に、教職員定数についてでございます。
 公立小中学校の教職員の定数は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づき定められているところでございまして、現在この法律の第六次改善計画が平成五年度から十年度までの六カ年計画で進められているところでございます。この国の標準については、学級規模並びに教職員の配置の適正化を図る観点から定められているものと認識しております。各学校への教員の配置につきましては、各府県においてそれぞれ配当表を作成し、それに基づき配置しているところでございます。
 本県では、特に課題を有する学校については、教育事務所長、市町村教育長等の意見を聞きながら加配の教員を措置する等、教育効果を高めるための配慮をしてきたところであります。教育委員会といたしましては、標準法に基づく定数の確保に努めているところでございますが、来年度についても、小中学校の児童生徒数の減少が続いている中にあって、教員が五十九名の減員になるところであります。しかし、第六次教職員配置改善計画による指導方法の工夫や登校拒否、いじめなどへの対策を行うことに重点を置いて、前年度より三十名の増員をいたし、差し引き合わせて八十九名の増員となるよういたしたいと考えております。
 次に、児童の権利に関する条約と学校の校則についてお答えいたします。
 校則は、学校の教育方針、生徒の実態、保護者の考え方、地域の実情などを踏まえて、各学校において全教職員が共通理解をしてつくられているものです。
 本県では、校則については、従前から全教職員に配付している「学校教育指導の方針と重点」の中で、校則についての項を設けて、絶対に守らせるもの、努力目標というべきもの、児童生徒の自主性に任せてよいものという三つの視点から校則の見直しを図るよう各学校を指導しているところであります。特に校則の中身については、実情を踏まえ、検討すべきものは慎重に検討し、生徒の自主性や個性の芽を摘み取ることのないよう、また生徒が自発的に守ることができる内容となるよう留意し、今後とも校則の適切な運用に努めるよう指導を続けてまいりたいと考えます。
 児童の権利に関する条約については、「児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとすること」など、条約には教育的配慮も一定なされているものと受けとめてございます。文部省の校則等に対する見解も、条約の趣旨を踏まえたものであると認識いたしております。本条約の批准を契機に、これまで以上に児童生徒の人権に配慮し、一人一人を大切にした人間味のある、温かい教育指導や学校運営に努めるよう各学校を指導してまいる所存であります。
 以上です。
○副議長(富田 豊君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 25番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 分権の問題ですけれども、知事自身がおっしゃっておられるように、今度の大綱が非常に不十分な内容を持っているということは共通の認識になろうかと思います。機関委任事務の原則的廃止などが、もうほとんど影を潜めてしまったようなことは、国が進めようとしている分権が本気なのかどうか、地方自治という立場に立っているのかどうか、根底から疑問を感じさせられるものだと思います。
 分権と財源保障というのは一体のもので、これは当然の話なんですね。ところが、なぜかこの当然の話である財源保障を求めるということを常々言わなければならないというところに、今の国のやり方の大きな問題があると思うんです。財源を保障しないで仕事だけを地方に分権するというようなやり方が実際に危惧されるからこそ財源保障、財源保障ということを一生懸命になって知事自身も言わなければならない、そういう事態にあると思います。やはり、国の分権方向が本当に地方自治という立場に立ち切れていないという大きな問題があるのではないかと思います。
 どういうふうに本当の分権になり切れていないかと言うと、地方の役割、国の役割のところで、国の方の役割として地方にはできない仕事として外交とか軍事にぐっと焦点を絞って、その他の国民の生活問題についてはほとんど国の責務から外していくという点があります。これでは、幾ら分権と言われても本当の地方自治ということにはならないわけです。国の責務を放棄した地方自治というのはないわけですから、そういう点で現在の政府の考えている分権の方向というのは非常に大きな危険性を持っていることを指摘しなければならないと思います。そういう立場で、知事さんもこれからいろいろの場で発言をされることと思いますので、頑張っていただきたいと思います。
 それから、教育委員会の方へも要望したいと思います。
 養護学校の件について、いろいろ努力されているということは聞いております。どうか、子供たちや父兄や関係する人々のすべての、あるいは県民の要求を一日も早く実現するという立場で頑張っていただきたいということを重ねてお願い申し上げます。
 特に、マンモス化が非常に切迫した問題になっております。クラスルームが足りないという状況は、きのかわでは非常に大きく出ておりますが、紀北でも今度は相当数足りなくなる状況が生まれてきそうです。そういう点からも急がねばならない課題であるかと思いますので、重ねて要望をしておきたいと思います。
 教員定数につきましては、私は先ほどからも申し上げましたように、特に国が定めた標準よりも少ないということについては、一番そのしわ寄せがどこへ行くかと言うと子供たちに行くわけです。この子供たちの未来を願って、せめて標準をと。標準というのは決して多いわけではないんで、もっともっと欲しいんですね。三十五人学級をつくってくれという立場からすれば、まだまだ低いわけです。その低いのがまだ満たされていないというところを、これから教育委員会が相当努力していただかなければならないんではないかと思うわけです。大阪や滋賀や兵庫がそういう課題をクリアしていきつつあるわけです。よそができているわけですから、私たちができないわけはないと思います。ひとつ、頑張ってほしい。来年度は九十人の増員を実現したいとおっしゃられました。その努力は多としたいと思いますが、その配置に当たっては、先ほどから申し述べたような意見を十分酌み取りいただいて配置されることを期待したいと思うわけであります。
 校則の問題につきましては、これからも指導、検討されていくというお答えがありました。
 一つだけ私思うんですが、校則を守らなければならないのはだれかと言うと、これは子供なんですね。それから、先ほどの答弁の中にも、子供が主体的に自主的にそれを守らなければならないというお話もありました。そうすると、そういう規則をつくる過程に子供の意見がどう聴取されるかということは非常に大切なことだと思うんです。父兄の意見を聞く、周辺の意見を聞くということは当然大事なことですが、子供たちの意見もその中に勘案されるということは非常に大事なことではないかと思うんです。どういう制度をつくるかということは研究課題ですけれども。いずれにしろ、大人たちだけ寄って子供の服装や髪型のことまで定めるということは、子供の権利ということから考えて──私は何もかも子供の意見を聞いてしまえというわけじゃありません。未熟な点がたくさんあるわけですから、そこには年齢に応じての指導がなければなりませんけれども、そういう立場があってしかるべきではないかということを申し添えて、要望にかえておきたいと思います。
 以上、要望です。
○副議長(富田 豊君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○副議長(富田 豊君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十分休憩
 ──────────────────
 午後一時五分再開
○副議長(富田 豊君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(富田 豊君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番上野哲弘君。
 〔上野哲弘君、登壇〕(拍手)
○上野哲弘君 一般質問を行います。
 第一番目に和歌山県の将来について、紀北、紀中、紀南の現状と将来展望ということで知事さんにお伺いしたいと思います。
 平成七年二月和歌山県議会に当たり、知事の所見をお伺いいたします。知事の予算説明において、新たな時代への第一歩と題しまして、仮谷県政五期目の締めくくりの年であり、あすの和歌山を建設する節目の年でもあるとなっております。その点に焦点を合わせ、質問いたします。
 今期でもって、仮谷知事最後の予算となってまいりました。五期二十年の県政を担当されて、その県土づくりに邁進されたと存じますが、今日の和歌山県を紀北、紀中、紀南に分けての現状分析と将来の和歌山県についての見解をお伺いし、今後も魅力ある県政に期待したいと存じます。仮谷県政二十年の思いと和歌山県の将来展望について、県行政の果たす役割を知事にお伺いいたしたいと存じます。
 次の質問は、巴川製紙所に関する一連の質問でございます。
 昨年十二月、前々から話題になっておりました巴川製紙所新宮工場の存続問題が、閉鎖という形で突然会社側から発表されました。一企業の内部問題とはいえ、地域にとっては深刻な社会問題でありますので、地域住民の一人として、また行政に関係する者として何らかの対応を願い、質問いたしたいと思います。
 会社の提案としては、新宮工場を閉鎖して大半の従業員を静岡の工場へ配置するというものであると聞いておりますが、従業員にとりましては、住みなれた当地域から離れるのは一抹の不安と寂しさが心に残ることは当然であります。また当該自治体にとっても、税収問題を初め、これまで地域社会の一員として大いに寄与された住民の減少は、地域経済にとって大きな痛手となることは必至であります。従業員のみならず、地域も強くその存続を願っているところであります。
 今日、社会環境が変化し、中央と地方の格差が広がり、さまざまな弊害が醸し出されております。とりわけ国土軸から離れた当地域の衰退は危険信号となってあらわれてきており、その対応としての施策が行政、民間を問わず求められているところであります。
 私は、これを当地域における一企業の問題としてとらえるのではなく、日本における地方が抱えている重要な問題として提起したいと思います。これらの問題に行政がいかに対応できるか、以下、担当部長に所見をお伺いいたします。
 巴川の歴史につきまして、資料によりますと、巴川製紙所新宮工場は昭和十三年、新宮の木材業者らが廃材を利用してパルプをつくる計画で新宮木材パルプ株式会社を設立したのがその始まりであります。当初、その主たる目的は新宮市内を中心とする製材工場の廃材を利用してクラフトパルプを製造することにあったが、これに誘発されて、従来製品価値を持たなかった木の枝や落ち木、切り株のようなくず材もその利用価値が出てきたので、製材工場の副産物の有効利用だけでなく熊野川一帯の森林資源に新たな販路が生じ、木材生産をさらに刺激する結果となった。そして、これら関連産業発展は木材の町・新宮をさらに特色づけるものとして大いに歓迎されたのであるとなっております。その後、昭和二十年八月、巴川製紙所と合併することになり今日に至ったわけであります。最盛期には七、八百人の雇用を有し、地域産業の一角を担う重要な事業所であったと言っても過言ではありません。時代の流れとはいえ、まことに残念至極であります。
 先ほども申し上げましたとおり、巴川製紙所新宮工場としてその存続が第一義であると考えますが、今のまま存続が可能かどうか、あるいは他の製紙会社が設備等において引き継ぎができるのかどうか、これらのことについて県当局がどのように受けとめておられるか、商工労働部長にお伺いいたします。
 次に、現在、会社からの提案は新宮工場の閉鎖でありますが、存続問題等について労使双方交渉中と聞いております。万一その提案が理解され納得された場合、跡地利用が今後重要課題となってくると思いますが、その点について会社の考えていること、また県及び当該自治体である新宮市がどのような対応を考えておられるのか、商工労働部長にその所見をあわせてお伺いいたします。
 続きまして、巴川製紙所正面の新宮港の第二期工事がようやく六年度の予算で着手されようとしております。新宮港の活用は非常に重要でありますが、この巴川製紙所が新宮から撤退することになれば、新宮港の活用を考える上で当然その対応を考えなければなりません。新宮港の全体構想において、巴川新宮工場の跡地問題、新宮港埋立地問題について、新宮市の考え方及び県の指導について土木部長にお伺いいたします。
 次に、佐野地域の地域づくりとスポーツ公園についてですが、巴川新宮工場が立地している新宮市佐野地区は、蜂伏団地の造成に始まり、老人施設、養護学校、健康増進センター、さらに看護学校と、行政、民間が一体となり地域づくりがなされたところであります。巴川新宮工場が閉鎖となり跡地利用が今後の課題となったとき、地域づくりの面からも、この敷地を健康長寿の町づくりの一環として、でき得れば国の施設として、高齢化社会における研究施設あるいは精神的リハビリが求められる施設等が考えられると思いますが、行政においてもその方面で何らかの対応を考えていただきたいと思います。保健環境部長にお伺いいたします。
 次に、これは新聞等の記事になるんですが、この巴川が撤退するという話の前に一部、巴川製紙所新宮工場の敷地に新宮・東牟婁を対象とした県立スポーツ公園を設置する旨の報道がされました。今回予算化され、この問題が論議されるところですが、巴川の撤退とこの敷地の問題について何ら問題がないのかどうか、その辺について土木部長にお伺いしたいと思います。
 続きまして、林道について。
 新宮市において佐野─高田間の林道を計画しております。この林道は当地域の林業の活性化が本来の目的であると思いますが、それにあわせて佐野地域の地域づくりと高田地区の活性化にどのように結びつくのか、全体構想の中での県当局の受けとめ方を農林水産部長にお伺いしたいと思います。
 以上をもちまして、第一回目の質問を終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの上野哲弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 上野議員にお答え申し上げます。
 紀北、紀中、紀南の現状と将来展望でございます。
 さきの県会でもそうした話があったわけでございますが、私としては今日まで、和歌山県の発展のためには高速交通網の整備が第一であって、半島性からの脱却ということが一番の使命でございました。そうした立場において取り組んできたわけでございまして、特急くろしおの新大阪駅への乗り入れも完了いたしましたし、また近畿自動車道紀勢線の国土幹線軸への直結、高速道路の南伸、また昨年の関西国際空港の開港と、国内はもとより世界に開かれた県土が創出されたわけでございます。
 特に、紀伊半島の高速道路網であるアンカールート構想の県内部分が国の計画に位置づけられたということは、私は画期的なことだと思っております。また、南紀白浜空港のジェット化整備も順調に進んでおりますし、さらに内陸道路の整備についても、各国道、重要県道の整備を図るということに努めてございまして、和歌山市─新宮市間が約三時間で結ばれるなど、県内二時間道路網の整備も着実に推進しているところでございます。
 また、企業誘致についても進んでおり、平成元年から人口が増加してまいっておりまして、現在、人口流入県となっておるわけでございます。しかし、山間地域や紀南地域などは過疎・高齢化が進展しておりまして、地方拠点都市づくりや熊野地域活性化計画など、若者が定住できる地域づくりを現在積極的に進めているところでございます。
 本県の将来展望については、二十一世紀に向けて活力と文化あふれるふるさとづくりを基本目標に、快適な生活環境の中に高度技術に支えられた地域産業や大学、研究機関等を集積するテクノ&リゾート計画を推進しているところでございますが、今後とも国際化の進展する中で、「交流から生まれる新たなる創造」をキーワードに、関西圏との連携、海洋の活用、地域文化の活用など、県内各地域がそれぞれの特性、個性を生かした町づくりを進めてまいりたいと考えてございまして、各地域において、県民だれもがゆとりと豊かさを持ったふるさとづくり、これに邁進してまいりたいと考えております。
○副議長(富田 豊君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 巴川製紙所新宮工場の撤退とその対応について、まずその存続についてお答えを申し上げます。
 株式会社巴川製紙所新宮工場は、昭和二十年の操業以来、地域活性化の中心的な役割を担ってきましたが、最近の長引く不況、特に紙パルプ市況の悪化等厳しい経済情勢の中で、一昨年には人員合理化を含む経営合理化計画を打ち出し、新宮工場の経営効率の向上に取り組んできたにもかかわらず、昨年十二月二十六日に発表された新宮工場の閉鎖は非常に残念でございまして、この閉鎖が従業員、関連企業初め地元経済界に与える影響について憂慮しているところでございます。
 存続については、会社としても引き続き労使交渉を続けているところでございますが、厳しい状況であることには変わりないものと考えてございます。また、同業他社に設備等を引き継ぐ場合においても、現在同社が持つ施設がパルプ及びクラフトパルプ紙の製造施設であることから、新たな投資は避けられないものと考えてございます。今後、地元とともに当地域の活性化についての対策を積極的に協議してまいりたいと存じております。
 次に、跡地利用における行政側の対応についてでございますが、県としても、株式会社巴川製紙所の閉鎖発表後、その実情把握に努めるとともに、問題等について検討を行いつつ、本年一月十九日に巴川製紙所、新宮市長及び県関係部局長で構成する特定企業対策連絡協議会を開催し、同社及び市長から現状等の説明を受けるとともに、当面の課題である存続その他諸問題について協議を行ってまいったところでございます。
 今後、難しい課題もございますが、新宮周辺地域の特色を生かした産業等の振興策を含め、その跡地対策について積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 巴川製紙所新宮工場の撤退とその対応について、二点についてお答えいたします。
 まず新宮港第二期工事との関連についてでございますが、現在、新宮港では年間約百万トンの港湾貨物が取り扱われており、このうち約十万トンが株式会社巴川製紙所新宮工場関連の貨物となっております。また、今後進めようとしている新宮港第二期計画も、同工場の操業継続を前提条件の一つとしていたところでございます。したがって、同工場の撤退は新宮港の今後に影響を及ぼすものと考えておりますが、紀南地方振興のためにはこの計画の必要性はむしろ高まっているのではないかとも考えております。このため、同工場の撤退に伴う影響や内容の見直しの必要性を検討しており、新宮市においてもこれまでの計画をもとに代替機能の導入を検討しているとのことでございます。県としては、これまでの計画を基本として、地元の市町の協力を得ながら引き続き新宮港第二期計画の実現に努めてまいりたいと考えております。
 次に佐野地区におけるスポーツ公園についてでございますが、新宮定住圏のスポーツ施設については、県民の皆様方のスポーツ、レクリエーションの場の提供を通じて豊かで活力ある地域づくりに対応するものでございますので、今後とも検討を進めてまいりたいと思っておるところでございます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 上野議員ご質問の佐野地区の地域づくりについてお答え申し上げます。
 当地区蜂伏団地においては、県立の施設として平成二年、みくまの養護学校が開校し、本年四月にはなぎ看護学校も開校いたします。また、民間施設として特別養護老人ホーム、老人保健施設、健康増進施設が整備されてきたところでございます。
 議員ご提案の巴川製紙工場の閉鎖に伴う保健福祉医療施設等の設置については、今後、会社側や地元の意向を十分見きわめながら、国の動向等とあわせて対応してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 佐野─高田間の林道についてお答えいたします。
 ご質問の佐野─高田間の林道については、広域基幹林道高田蜂伏線として計画してございまして、林業振興はもとより地域住民の生活道路として、また災害時における国道四十二号線や百六十八号線の迂回路としても期待できるとともに、観光面や産業等についても効果が出るものと、したがって地域の活性化にも寄与するものと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 18番上野哲弘君。
○上野哲弘君 知事、今回の質問の要旨を申しますと、こういう一連の地域の問題点について、当該自治体に当然その責任の大半があると思うんですが、昨今、神戸の地震等における復興計画には相当の国のメンバーがいろんな形で研究されてやっていくということで、我々としては当然そういう基礎の中で地域づくりを考えるべきじゃないかと、そういう思いがあります。
 今回あえて県の方にこういう形で申し上げましたのは、やはり地方は情報量等の面でまだ低いので、県の力でノウハウとかいろんな面の蓄積をお願いして、地域づくりと口で言ってもなかなか難しいものだと思いますので、そういう面で地域と一体となって県が指導をし、こういう問題についても論議していただきたい。そういう思いがありましたので、ぜひとも県の皆さん、地域のいろんな実情も把握されて、指導かたがたお願いしたい。非常に地方は厳しい状態で、特に紀南は厳しいんで、そういう面もぜひお願い申し上げまして、一般質問を終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野哲弘君の質問が終了いたしました。
○副議長(富田 豊君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 お許しを得まして本日最後の質問をさせていただくわけでありますが、私にとりましては四期十六年間にわたる県議会議員として最後の質問であり、あわせて市議会、県議会を通じて二十八年にわたる議員としての最後の質問にもなるわけでありまして、感慨ひとしおのものがございます。
 〔副議長退席、議長着席〕
 改めて、この議場で真剣な論議を繰り広げさせていただきました、支持者を含む市民、県民、そして先輩・同僚議員の皆さん方、知事を初め県当局の職員の皆さん方に、心から御礼を申し上げる次第であります。
 通告に従いまして質問をさせていただきます。
 私の四期十六年にわたる議員活動において最も重点を置いて取り組んでまいりましたものの一つ、港湾の問題についてであります。
 私は、全域が紀伊半島に属する和歌山県の振興発展のかぎは海にある、なかんずく港湾にあると確信をいたしております。こうした観点から、これまで再三にわたり、港湾の整備推進と港湾の利用促進を訴えてまいりました。また、和歌山の港湾の目指すべき方向や取り組むべき課題について数々の提案もしてまいりました。今、それらのそれぞれに思いをいたしながら、最後の、そして総括の質問をさせていただきたいと思うのであります。
 まず、今般の阪神・淡路大震災に関連してであります。
 ご承知のとおり、今回の地震によりまして、神戸港などは壊滅的な被害を受けました。社会経済に及ぼすその影響は、まことに甚大なものがあります。国内の物流はもとより、国際物流におきましても、外航のコンテナ貨物が韓国の釜山や台湾の高雄に流出して、かねて心配されておりました我が国の国際ハブ港湾の機能低下に拍車がかかりそうであります。また、日本企業の海外現地生産にも支障を来しているところであります。
 しかし、施設は壊滅的な被害を受けましたが、それでもなお、港湾があったから、あるいは被災地が海に面していたから、救われた面もあったのではないでしょうか。今回の地震におきましても、耐震性強化岸壁──非常に大きな地震にも耐え得るためにつくられた岸壁でありますが、神戸港の場合、三バースがこの耐震性強化岸壁でありましたために、この三バースは被災を免れ、震災のその当日から緊急輸送の拠点になったとのことでありますし、また地震後数日のうちに十バース程度は応急復旧がされ、救援物資の輸送や海上アクセスに利用されたとのことであります。
 危機に際して海上輸送が定量的にどういう役割を果たしたかということは今後の分析をまたなければなりませんが、海があるから、港があるからという期待は、被災地のせめてもの救いであったのではなかろうかと思うのであります。
 そしてまた、今回の地震によって、国の方では日常の生活環境を重視して、もはや中央では道路や港湾に力を入れるより生活環境を重視した予算の組み方をすべきであるとの論議が交わされ、一昨年来強い逆風にさらされてまいりました港湾の重要性を、我々は図らずも再認識するところとなったと思うのであります。全域が紀伊半島に属し、陸路は山に閉ざされ、海に活路を見出すべき当県にとっては、このことを今肝に銘ずべきときだと思うのであります。
 幸い、今回の地震について私の前に二人の議員がご質問をいただき、港湾に対する関心の深さを思わせていただきました。大変意を強くしておるところであります。多少重複するところがあるかもしれませんが、お許しを得て質問を進めてまいりたいと思います。
 まず、知事にお伺いいたします。
 今回の地震による教訓や影響も踏まえて、今後の県内における港湾の整備について、どのような期待を持って、どのような決意のもとに臨まれようとしているのか、ご所見をお聞かせ願いたいと思うのであります。
 私は、かねて和歌山の港湾、とりわけ大阪湾のゲートウエー地域に位置する和歌山下津港は道路網の整備をてこにして大阪湾の外港的機能を担うべきだということを提唱してまいりましたが、今回の地震はまさにその正当性を確認してくれたものであります。しかしながら、残念なことに和歌山下津港には、一番目、大水深の岸壁がない、二番目、コンテナを取り扱える荷役機能がない、三番目、広いヤードがない。こうした事態に及んでも神戸の港の機能を代替するには至らなかったというのが現実であります。確かに、徳島とのフェリーについては、高速道路が途絶したことに伴い通常の二倍程度の輸送が行われたとのことでありますし、コンテナ以外の貨物船の寄港については幾つか打診もあるとのことでありますが、全体として見れば港湾整備の立ちおくれを改めて痛感させられた次第であります。
 私は、近畿という日本で一番古い歴史を持つ文化性の高い地域、この近畿の文化を育てたのは何か。いろいろあるだろうと思うのでありますが、一つは瀬戸内海、大阪湾であると思うのであります。大阪湾こそ近畿文化を育てた揺籃の地であります。その大阪湾に入っていくときは入り口であり、大阪湾から外海に出るときには出口である。ちょうど大阪湾の入り口と出口を押さえた海が和歌山下津港であります。
 この和歌山下津港につきまして、かねて作業を進めてこられました港湾計画の改定はおおむね十年に一回行うことになっておりますが、本年度・平成七年の今回の改定は、たまたまこうした大地震の直後に行うということになりました。この港湾計画は、今回の地震の教訓を十分に踏まえたものでなくてはなりません。
 そこで、お伺いを申し上げます。
 私は、これまでも和歌山下津港の物流機能を強化するため、外航のコンテナ機能の導入やテクノスーパーライナーの寄港の必要性を訴えてまいったところでありますが、今までの質問の集積の上に、今改めて次期港湾計画における和歌山下津港の物流機能の強化策について、土木部長の答弁を求めるものであります。
 また、今回の十年間の港湾計画の改定とは別に、地震直後の当面の対策ということも進めていく必要があります。かねてから和歌山下津港には、先ほど申しましたように、荷役を行う機械がないから貨物が集まりにくいと言われてまいりました。聞くところによりますと、最近、今回の地震の影響も踏まえて、港湾の利用者団体、港湾関連業者の皆さん方からトラッククレーンの整備に関する要望もなされているとのことであります。移動式のクレーンと背後のヤードがあれば神戸の港の仕事の一部を行えるということであります。これなどは当面実施可能な物流機能の強化策であり、将来本格的な荷役機械を設置するまでのつなぎとしても大いに意味のあることではないでしょうか。本格的な荷役機械を設置するまでには最低五年はかかるでありましょうから、そのつなぎとしての意義も大きいと思うのでありますが、あわせて土木部長の答弁をお願い申し上げます。
 こうした物流機能の強化のためには、これもかねて指摘してまいりましたけれども、海側の施設だけではなく、陸上における道路の整備が当然不可欠であります。今までに紀の川右岸線等、この議場でいろいろと論議がなされてまいりました。内陸部の高規格な道路と港を直結する道路は、いわば陸側から海に至る航路であり、ぜひこうした認識のもとに重点的に進めていただきたいと思うのであります。そこで、和歌山下津港における将来の臨港交通体系の考え方について、この際に土木部長から答弁を求めるものであります。
 ところで、私は今回の港湾計画の改定では、こうした大阪湾の外港機能の形成を目指した物流機能の強化ということのほかに、都市活動を支え、地域の環境を改善するための港湾の整備ということをもう一つの柱にすべきだと考えております。こうした面での代表的な課題が、かねて申し上げてまいりました廃棄物処理場の問題であり、和歌山港駅周辺の港頭地区の再開発であります。そこで、これらの検討状況について土木部長の答弁を求めておきたいと思います。
 また、これは先ほどの物流の問題にも関連しますが、こうした課題に対応していくためにはどうしても現在の港湾の空間では手狭でありますので、新たな空間の開発ということが必要になってまいります。新たな空間開発ということについては地元や関係者のコンセンサスが必要であり、それらについては当然、今後手がたい手順を追って行われていかねばならないと思いますが、私は和歌山の振興発展を図るためにはぜひとも進めなければならないことだと考えております。そのために私自身も最大限の努力を惜しまないつもりであります。そこで、こうした新規開発の必要性や候補地の見通しなどについて、あわせて土木部長にお伺いを申し上げます。
 今回の地震は、防災面での港湾の役割の重要性も認識させてくれました。すなわち港湾は、先ほど来申し上げたような機能を発揮することにより緊急時の輸送や避難、復旧・復興のための基地になるなど、いわば地域における防災拠点になり得るわけでありますが、そのためには港湾自体の耐震性や安全性を高めておかなければなりません。あの神戸港の被害を目の当たりにしたとき、ほとんどの県民は「和歌山を同じような地震が襲ったら」という思いを抱かれたことでありましょう。
 そこで、お伺いをいたします。港湾における地震対策はどのような考え方で進めているのか、また今回の地震を契機としてどのような対応をしようとしているのか、これも土木部長の答弁を求めます。
 さて、この港湾問題の締めくくりとして、最後に港湾関係の組織について触れておきたいと思います。
 結論から申しますと、私は、多様な課題に対応していく上で、現在の県の組織では弱体ではないかと考えております。確かに、港湾課の組織、人員は年々拡充され、それなりの陣容を整えてまいりましたが、その守備範囲は、港湾の整備と管理はもとより、埋め立て、ポートセールス、マリーナシティ、港湾計画、地震対策、海岸の整備、漁業補償、さらには南紀白浜空港の整備と管理まで、余りにも多様で広範であります。
 ご承知のとおり、神戸、横浜、大阪などの大港湾を管理する政令指定都市には港湾局が置かれております。また都道府県においても、東京都を初め、最近では宮城県、新潟県、大阪府、広島県、徳島県及び高知県において港湾局もしくは空港をあわせた港湾空港局が設置され、積極的な施設整備とポートセールスが展開されているとのことであります。
 私は、我が国を代表する海洋県である和歌山県においても、そろそろこうした港湾関係の組織強化を検討すべき時期ではないかと考えているところであります。私のいわばライフワークとみずから呼ばしていただきますならば、その港湾問題の総括として最後の点を強く知事に要望いたしまして、この問題の締めくくりとさせていただきます。
 次に、これも何回もこの議場で論議をさせていただきましたが、住友金属の西防埋め立て問題についてであります。
 この問題につきましては、平成三年五月に住友金属と和歌山市が埋立地の土地利用を見直したいという希望を表明したことに端を発し、昨年三月の住友金属による県への一定の申し入れ、県による検討委員会の設置、そして昨年十一月の検討委員会による中間報告という経過をたどってきたわけであります。
 私は、かねてよりこの問題の対処に当たっては、全国的にも初めてのケースであり、この埋立地が紀北地域で唯一の廃棄物処理場としての役割を有していることや、将来の和歌山県あるいは和歌山下津港の発展を図る上で大変貴重な土地であること、さらには環境改善のために認められた埋め立てであることを踏まえて、中長期的な視野に立った上で総合的かつ多面的な観点から検討し、現実的な解決を模索すべきであることを主張してまいりました。その意味では、私はこれまでの県の取り組みを大筋として了とするものでありますし、また問題解決に向けてのレールを敷かれた仮谷知事の手腕を大きく評価するものであります。
 しかしながら、道はいまだ半ばにすぎないというところではないか。私は間もなくこの議会を去りますが、和歌山の将来を左右すると言っても過言ではないこの問題の行く末を案ずる立場から、最後の質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今後の取り運びについてであります。
 先ほども申し上げましたが、私はこの問題については大変難しい問題でもあり、明確な先の見通しを立てた上で進めていかなければならないと考えております。現在は検討委員会の中間報告を受けて各利用項目ごとに関係部局で検討が進められている状況にあると認識しておりますが、今後どの時点で取りまとめ、どのようにしていこうと考えているのか。新たな土地利用計画の策定という点については企画部長から、また法的な手続という点については土木部長から、それぞれ答弁をいただきたいと思うのであります。
 この問題の原点というのは公害対策にありました。周辺地域の環境改善にあるということを、再三にわたって私は主張してまいりました。埋め立て計画当初の環境目標が既に達成されていること、今後とも環境改善に万全を期すということについては、これまでも説明をいただいているところであります。しかし、なお不安が残るというのが住民の皆さん方の一部の偽らざる感想ではないでしょうか。そこで、今改めて環境改善に関する県の今後の取り組みについて、保健環境部長の答弁を求めるものであります。
 繰り返しになりますけれども、私はこの問題の現実的な解決が和歌山の産業政策、雇用政策、環境政策、さらには港湾政策を円滑に進める上でのかぎになるものと考えております。仮谷知事の手腕により、あるいは県内外の有識者による議論により一定の方向は示されているわけではありますが、私もこうした方向で問題の解決に向けて努力をしていくべきものと思います。
 もちろん、LNG火力の問題も含め、新たな利用内容についてはさまざまな機会を通してさらにいろんな意見を取り入れていかなければなりませんし、所定の手続は念には念を入れる形でなされなければならないと思います。しかし、この難しい問題の処理に関し、ここまで到達してきた以上は、この方針の実現に向けてそろそろ決断を下す時期が来たのではなかろうかと思うのであります。私も微力ながら、LNG火力を含む新たな土地利用の実現に向けて最大限の努力を傾けていく決心を固めているところであります。
 そこで、最後に締めくくりとして、知事に足かけ四年にわたるこの問題の経過に対する所見と問題解決に向けての今後の決意のほどを伺っておきたいと思うのであります。
 以上で、質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 まず最初に、港湾問題について数々のご提言をいただいたことについて感謝申し上げる次第でございます。
 地震を踏まえての港湾についての所信の問題でございます。
 けさほど飯田議員からも質問がございましてお答えしたところでございますけれども、神戸港が今回の大震災により被害を受け、近畿はもとより日本にとって大きな問題であるということ、そしてまた港湾が重要であり、神戸港の被害が和歌山県の産業、観光等に及ぼす影響が非常に大きいということを痛感したわけでございます。
 海岸線の長い和歌山県でございます。そうした中で、和歌山県の産業進展における港湾のあり方ということについての質問等もあったわけでございますけれども、和歌山下津港の整備の問題、日高港、新宮港、田辺港等の港湾整備について県としても鋭意努力しておるわけでございます。お話ございましたように、耐震性の三バースが神戸港の大きな役割を果たしたということでございますけれども、和歌山県においても、和歌山下津港、そして日高港、新宮港に各一バースの耐震性の港湾の計画を進めつつあるわけでございます。
 特に、和歌山県の中で和歌山下津港の占める比重の問題、先ほども申し上げましたけれども、大阪湾の入り口にございまして、神戸港のサブ港湾として果たす役割は非常に大事なものがあるわけでございます。かねてから港湾整備について万トンバースを進めつつありますけれども、現在、マイナス十二メートル、マイナス十三メートルの港湾整備を図りつつございまして、神戸港がマイナス十四メートルでございます。この完成は、マイナス十二メートルは平成七年度、そしてマイナス十三メートルは少しおくれますけれども、そうした整備を進めていく。そして外国船も取り扱いができる形を進めるとともに、また当面の課題として、クレーンの問題、ヤードの問題も積極的に早急にやってまいりたいと思っておりまして、和歌山下津港の整備についてなお一層の努力を進めてまいりたいと思っております。
 それから、西防問題でございます。
 まず地域の環境改善の解決が前提でございまして、その上に立っての貴重な公有水面の埋立地であるということを踏まえた利用計画でなければならない、そうした基本姿勢で取り組んでいるところでございます。
 そこで、公平かつ高い見地からの利用計画がいかにあるべきかという観点から、有識者により検討委員会を設置させていただいて中間報告を取りまとめていただいたところでございまして、その労苦に対し深く感謝しておるわけでございます。
 この問題の最終的な解決には、各利用計画案の調査検討や法手続等、まだしばらく年月が必要と考えられておりますけれども、先ほど申し上げました、従来の本県の環境問題の解決等とともに、本県の活性化のためにはいかにあるべきか、また県民福祉の向上のためにはいかにあるべきかと、そうした利用計画をぜひともつくり上げなければならないし、そしてまた態度決定をしなければならないと、かように思っておりまして、私としてもそうした点から最大限の努力を払ってまいりたいと考えているところでございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) まず、港湾についての五点についてお答えいたします。
 和歌山下津港の物流機能の強化策についてでございますが、ご指摘のとおり、今回の地震により我が国物流の一大拠点であった神戸港が壊滅的な被害を受け、特に外貿のコンテナ貨物については釜山などへ流出している面もあり、我が国の国際ハブ港湾の機能の低下が心配されているところでございます。
 議員ご指摘の和歌山下津港においては、大阪湾地域の各港湾と機能分担していくという観点から、物流機能を強化し大阪湾の外港機能を発揮していくことを考えておりましたが、今回の地震によってこのことの重要性と緊急性が確認されたところでございます。
 和歌山下津港の港湾計画の改定については、物流機能の強化を大きな柱として考えております。具体的な施策としては、大水深の岸壁と広大な埠頭用地や荷役機械を備えた外航のコンテナターミナルの整備を考えております。また、かねて研究が進められているテクノスーパーライナーについても、ぜひ導入を図れるよう努めていきたいと考えております。
 次に、当面の対応としてのトラッククレーンの整備については、一定の需要が予想されますし、また将来の本格的な対応にもつながり、必要性は高いと考えております。今後、実現に向けて具体的な規格や運営方法などについて検討してまいりたいと考えております。
 次に、臨港交通体系のあり方についてでございます。
 和歌山下津港では総延長約二十キロメートルの臨港道路が整備されておりますが、背後の幹線道路と直接連絡する道路が弱いのが現状でございます。この結果、特に物流の中心である本港区については市内の中心部を通過して幹線道路にアクセスすることを余儀なくされております。このため、現在の港湾計画においても物流の主動線として臨港道路紀の川右岸線を計画しており、当面はこの道路の整備を最重点課題として取り組んでいきたいと考えております。また将来においては、本港区及び北港区と周辺地域を結ぶ臨港道路のネットワークを形成し、さらには太平洋新国土軸構想や大阪湾環状道路構想など、高規格道路等との連絡を図りたいと考えております。
 次に、都市活動の支援、地域の環境改善面の取り組みについてでございます。
 和歌山下津港に対しては、背後の都市活動を支援する上でさまざまな要請がございますが、その最大の課題が廃棄物処分場の問題でございます。現在、県内で発生する一般廃棄物と産業廃棄物の大半を最終処分している住友金属の西防埋立地も平成八年には完了するという状況であるため、その後は大阪湾のフェニックス処分場での処理が予定されておりますが、一方では建設残土やしゅんせつ土などの問題もあり、長期的には新たな最終処分場が必要であると考えております。このため、港湾計画の改定作業においても廃棄物処分場の確保を図るべく検討を行っているところでございます。
 また、港や海の持つ魅力を十分に利用したアメニティー豊かなウオーターフロントを創造していくことも、港湾に課せられた大きな課題でございます。このため、南海和歌山港駅周辺の港頭地区を海の玄関口としてふさわしい地区に再整備し、市民が憩い、交流することのできる場にしていくことを構想しているところでございます。
 いずれにしても、こうした都市活動を支え、あるいは地域の生活環境を改善するための港湾の整備ということも大きな柱の一つとして、港湾計画の改定作業に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、新たな空間開発の必要性についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、和歌山下津港に寄せられているさまざまな要請にこたえていくためには、現在の港湾空間では対応し切れないものと考えております。このため、次期の港湾計画においては新たな空間の開発が必要であり、現在、そのための候補地を種々の観点から比較検討しているところでございます。今後、港湾に対する土地需要などを綿密に検討して、関係者の意見も聞きながら計画を具体化していきたいと考えております。
 次に、港湾施設の地震対策についてでございます。
 これについては、昨日、木下議員にお答えしましたが、今回の地震に際しても、神戸港に三バースあった耐震強化岸壁はいずれも被災を免れたとのことでございます。本県においても、和歌山下津港、日高港及び新宮港に耐震強化岸壁を各一バース計画しているところであり、このうち和歌山下津港の耐震強化岸壁は近く概成する予定でございます。また、地震による津波に対しては、主として高潮対策として整備してまいりました護岸や胸壁、水門などが相当の効果を有しているものと考えております。しかしながら、今回の地震による港湾施設の被害は想像を絶するものであり、また地盤そのものの沈下や液状化という問題も指摘されております。このため、県内の港湾施設についても、今後老朽化や耐震性の点検を行い、必要に応じて補修や補強を進めていきたいと考えております。
 最後に、住友金属西防埋め立て問題の今後の取り運びについてでございます。
 土地利用の見直しに際し今後必要となる法的手続としては、まず新たな土地利用を港湾法に基づく港湾計画に位置づける必要がございます。この位置づけについては、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会での検討結果をもとに早急に行ってまいりたいと考えております。また、公有水面埋立法上の手続も必要となりますが、これについても利用計画の検討結果を受けて、港湾計画の変更手続と連携させつつ所要の手続を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
 〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 尾崎議員にお答えいたします。
 西防埋め立ての今後の取り運びについてでございます。
 西防沖埋立地の利用計画については、昨年の十一月二十八日に検討委員会から中間報告が行われ、利用計画案が示されたところでございますが、同時に最終判断のための調査や検討事項等、指示されております。この指示された調査事項等には道路整備の見通しや環境影響調査など時間を要する課題もございますので、最終答申までには二カ年程度が必要ではないかと考えております。県としては、そのための最善の努力を行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、議員ご指摘のとおり、本県にとって大変貴重な公有水面埋立地でありますので、当埋立地の有効利用を図る観点から、関係各省庁、和歌山市等との連携をしながら新たな利用計画を策定してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 尾崎吉弘議員ご質問の西防問題に関する今後の環境対策についてでございますが、まず既存の和歌山製鉄所については、現在、計画に沿って進められている第一製鋼工場の集じん強化等、各種の環境改善対策の効果を確認しながら、必要に応じ所要の対策を講じさせるなど、指導してまいります。また、周辺環境確認のための地域住民に開かれたモニタリングシステムを構築させるとともに、状況に即した公害防止協定の改定についても検討を進めてまいります。
 次に、中間報告で方向が示された新たな土地利用に伴う環境対策についてでございますが、公害の種類によって一律には言えませんが、当初の埋め立て計画で確保されると予定されていた良好な環境を確保するとともに、よりよい環境創造に配慮することを基本として、今後実施される環境アセスメント等の中で必要な指導をしてまいりたいと考えています。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) 以上で、尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時九分散会

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