平成7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成七年二月二十七日(月曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第八十一号及び議案第八十二号(知事説明・質疑)
 第二 議案第一号から議案第八十号まで、及び報第一号から報第三号まで(質疑)
 第三 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十一号及び議案第八十二号(知事説明・質疑)
 二 議案第一号から議案第八十号まで、及び報第一号から報第三号まで(質疑)
 三 一般質問
出 席 議 員(四十一人)
 1 番 小 川  武
 2 番 吉 井 和 視
 3 番 井 出 益 弘
 4 番 和 田 正 一
 5 番 町 田  亘
 6 番 尾 崎 吉 弘
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 向 井 嘉久藏 
 10 番 佐 田 頴 一
 11 番 阪 部 菊 雄
 12 番 堀 本 隆 男
 13 番 平 越 孝 哉
 14 番 富 田  豊
 15 番 門  三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 上 野 哲 弘
 19 番 宇治田  栄 蔵
 20 番 尾 崎 要 二
 21 番 中 村 利 男
 23 番 山 本  一
 24 番 馬 頭 哲 弥
 25 番 鶴 田 至 弘
 26 番 飯 田 敬 文
 27 番 村 岡 キミ子  
 28 番 松 本 貞 次
 29 番 下 川 俊 樹
 32 番 橋 本  進
 33 番 浜 田 真 輔
 34 番 冨 安 民 浩
 35 番 上野山 親 主
 36 番 中 村 裕 一
 37 番 和 田 正 人
 38 番 大 江 康 弘
 40 番 木 下 秀 男
 42 番 森  正 樹
 43 番 野見山   海
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 本  収
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(二人)
 31 番 宗  正 彦
 39 番 中 西 雄 幸
 〔備 考〕
 22 番 欠 員
 30 番 欠 員
 41 番 欠 員
 47 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 梅 田 善 彦
 出納長 中 西 伸 雄
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 宮 市 武 彦
 民生部長 南 出 紀 男
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 山 次 郎
 農林水産部長 日 根 紀 男
 土木部長 山 根 一 男
 企業局長 中 村 協 二
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員 上 野  寛
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員 高 垣  宏
 警察本部長 西 川 徹 矢
 以下各部長
 人事委員会委員長職務代行者
   宮 崎 静 治
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   鈴 木 俊 男
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 岩 垣  孝
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 松 田 捷 穂
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 長 尾 照 雄
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 岡 山 哲 夫
 調査課長 柏 木  衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時七分開議
○議長(平越孝哉君) これより本日の会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第四十六号から議案第四十九号まで、及び議案第六十三号はいずれも職員に関する条例の制定及び改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を聴取いたしましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
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    和人委第383号
    平成7年2月23日
 和歌山県議会議長 平 越 孝 哉 殿
 和歌山県人事委員会委員長 水 谷 舜 介
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成7年2月20日付け、和議会第323号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
   記
 議案第46号 職員等の旅費に関する条例の一部を改正する条例
 議案第47号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第48号 職員の勤務時間、休暇等に関する条例
 議案第49号 和歌山県退職年金及退職一時金ニ関スル条例等の一部を改正する条例の一部を改正する条例
 議案第63号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
   意 見
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(平越孝哉君) 次に、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から監査結果の報告がありましたので報告いたします。
○議長(平越孝哉君) 次に、報告いたします。
 知事から議案の追加提出がありました。
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     財第230号 
    平成7年2月27日
 和歌山県議会議長 平 越 孝 哉 殿
   和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成7年2月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
   記
 議案第81号 平成6年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第82号 平成6年度和歌山県流域下水道事業特別会計補正予算
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○議長(平越孝哉君) 日程第一、ただいま報告の議案第八十一号及び議案第八十二号を一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました諸議案につきましてご説明申し上げます。
 阪神・淡路大震災等に係る国の平成六年度補正予算に対応して、和歌山下津港を拠点とする緊急物資輸送ルート確保等のための公共事業費の追加が見込まれることとなったので、所要の補正を行うとともに、平成六年度予算のうち用地取得の停滞等により本年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして、平成七年度に繰越使用することについてお願いいたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
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○議長(平越孝哉君) 次に日程第二、議案第一号から議案第八十号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第三号までをあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 40番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 去る一月十七日未明に起きた兵庫県南部地震で亡くなられたみたまに衷心より哀悼の意を表し、被災に遭われ、今なお不自由な生活をされている皆さんに心からお見舞い申し上げます。
 私は、去る二月十七日、自由民主党和歌山県連会長・法務大臣の前田勲男先生の命を受けまして、自民党県連が集めた義援金三百万円を兵庫県連に届けに行ってまいりました。貝原知事さんにお会いする機会も得ましたので、心から災害お見舞いを申し上げたところでございます。貝原知事さんから、仮谷和歌山県知事を初め多くの皆さんから救援物資と災害援助隊を送っていただき感謝している、兵庫県民は復興に頑張りますと、力強いごあいさつをいただきました。この場をかりて伝言を申し上げるとともに、募金にご協力いただきました県民の皆さん方に心から感謝申し上げる次第でございます。
 ご承知のとおり交通が遮断されているので、徒歩で震災から一カ月後の三宮周辺の状況をつぶさに見てまいりましたが、想像に絶するものであり、近代都市における直下型地震の威力をまざまざと感じたものであります。
 今議会は、私たちの任期最後の議会であります。この議会を最後に勇退される先輩や同僚議員の二十名が質問に登壇されるという、近来にない盛況であります。その先陣に登壇する機会を与えていただきました各位に感謝を申し上げる次第でございます。
 通告に従いまして質問に入りますが、まず予算編成について。
 戦後半世紀を経てまさに節目の年に当たる平成七年は、仮谷知事の五期二十年の締めくくりの年ともなります。世界リゾート博の大成功、関西国際空港の開港の後、どうつなげていくかが問われるとともに、ことしはまた二十一世紀を展望した第一歩を踏み出さなければならない年であります。長い平和がもたらした豊かさの中にあって、本当の地方自治とは何かを問われている時期とも考えております。
 知事は今議会に平成七年度当初予算案を提出されました。精査いたしますと、地方財政計画を大幅に上回る、対前年度当初比で六・五%の伸びとなる積極予算案をまとめられました。提案説明の中でも触れられましたが、高齢化、少子化、過疎化、国際化等への対応は、一刻の猶予もなく直ちに対応しなければならない重要課題であると思います。
 まず予算案を拝見いたしますと、半島振興道路事業等の起債の活用による単独道路事業等の積極的な取り組み、あるいは福祉の充実拡充、健康の確保、人づくり、地域産業の育成等々についても積極的な展開を図られておりますが、特に重点を置かれた点、また苦心された点をお伺いするものであります。
 次に、財源としては基金の大幅な取り崩しにより対処されてございますが、今後の財政運営について不安がないのか憂慮する次第でございます。財政調整基金については百二十億円、県債管理基金については二百三十九億円、いずれも過去最大の取り崩しとなっており、平成七年度末の残高見込みにつきましても、それぞれ約五十五億円、約四百八十九億円となっているところであります。今後の財政運営のあり方、基金の活用についての考え方などを総務部長に伺うものであります。
 県税収入につきましては、当初予算ベースでは平成三年度以降四年ぶりに増額に転じ、景気動向にもわずかながら光が差してきているのではないかとも考えられます。県税収入については、平成六年度の補正段階では約九百四十億円、平成七年度では九百一億円と見込まれてございますが、その考え方について総務部長の見解を求めるものであります。また、あわせて阪神・淡路大地震の及ぼす影響についてどのようにお考えかもお示し願いたいと思います。
 次に、防災対策の見直しについてでありますが、昨年早々の一月十七日、早朝のテレビニュース第一報は、ロサンゼスルの地震の画像でありました。高速道路が崩壊し、自動車が押しつぶされ、ガス・水道管の破裂、火災発生、交通混乱等々、都市災害の恐ろしさを見たのであります。奇妙な偶然か、ちょうど一年後のことしの一月十七日、午前五時四十六分、ロサンゼルス地震の再現のように日本の近代都市・神戸市を中心に都市直下型大地震が発生したのであります。発生直後から、政治家、学者、評論家、マスコミ等々、百家争鳴のごとく地震災害について論じ合っておりましたが、すべてに優先することは人命救助であり、被災者の救援であると思います。このたびの地震災害で、政府を初め行政当局の事後対応についてもいろいろと意見が出されています。非常事態において行政の対応がまずいと、自然災害に人災が加わることも考えられます。
 一月二十七日付で、分厚い「和歌山県地域防災計画書」をご送付いただきました。いつもならぱらぱらと目を通す程度でございますが、このたびは念入りに三たびチェックしてみました。各般にわたって綿密な計画をされてございますが、今回の震災で見直しや新たな計画をしなければならない点も多くあろうと思うのであります。
 私が二、三、気づいた点を申し上げますと、まず水の問題であります。生活用水、病院等の医療用水、消火用の防火用水等であります。また、緊急医療体制、救急備蓄品の見直し、隣接自治体との防災出動協定、避難場所等の問題であります。特に避難場所については、兵庫県のその後を見ますと、学校、市・区役所等、公共施設の再開不能状態を聞くとき、大いに考えさせるものがあります。
 県では、この震災後、既に見直し検討会議を開かれたとも聞くのでありますが、いかがでございますか。今回の震災では自衛隊の救援出動について物議を醸し、法改正というところまで騒ぎました。その自衛隊──中部方面隊でありますが──が二年余りの歳月をかけて調査作成した「大震災地誌」、阪神地区編、京都地区編の二編があるそうでございますが、ご存じでございましょうか。自衛隊はその調査書を完成後、近畿の二府四県、三政令指定都市に届けられているということであります。これが事実とするならば、それをどのように扱ったのか、先般送付いただいた震災対策計画に取り入れられているのか、この点についても総務部長の答弁を求めます。
 また、これを機に災害対策準備基金──仮称でございますが、このような制度の創設を提言するものであります。内容が各部局にわたりますので、総務部長から一括答弁をお願いいたします。
 続いて、今言われております危機管理について、和歌山県の危機管理をお伺いいたします。
 危機管理とは、大震災、大停電、ハイジャック、テロなどの天災、人災を問わず、不測の事態に対して事前の準備を行い、被害を最小限に食いとめるよう対処するための諸施策と明記されてございます。
 一九九〇年、中東に発生したイラク軍のクウェート侵攻のときに日本政府の危機管理について国会でかんかんがくがくの議論がなされましたが、具体的に詰められていないようであります。今回の震災でも、初動対応がおくれたのは、兵庫県も神戸市も被災地の状況報告ができなかったことが大きな原因と言われてございます。日がたつにつれてわかってきたことでありますが、兵庫県庁に設置しておりました衛星通信受信機器が床に落ちて壊れたり、冷房用水槽がひび割れしたために自家発電装置が不能になった等々、不測の事態が各所で発生し、情報収集が約六時間余り途切れたのが大きな原因だと言われてございます。
 このように、兵庫県南部地震の状況がわかり、今後の防災対策に取り入れることが多くあると思います。県は一九九〇年から県下に防災行政無線網を張りめぐらせてございますが、未完成の市町村もあると聞いてございます。いかがなってございますか。今回の地震は内陸部地震であったので津波災害のなかったことが不幸中の幸いでありましたが、和歌山県下には海に面した市町が二十一ございます。その津波対策が重要であります。
 ここに、田辺市が静止気象衛星ひまわりから受けた記録を持ってございますが、一月十七日午前五時五十分、大阪管区気象台発表「十一区津波なし」──これは、和歌山県から兵庫県南部沿岸と区分けした地域でございます。田辺市は、この通報を受けて、県下の市町村よりも十四分も早く田辺市民に津波情報を知らせて安心感を与えているのであります。南海道地震は五、六分で津波第一波が来てございます。京都大学防災研究所の安藤雅孝教授も「和歌山県も万全の備えが急務」と指摘されてございます。
 また、兵庫県の貝原知事は、被災体験に基づく危機管理への提言として、一つ、大震災に対しての自衛隊のあり方をも含む国の救援体制の明確化、もう一点は、航空機、ヘリコプター等による機動性と暗視装置、緊急通信等の情報システムを持った専門支援組織体制を整備することの二項目を提言されてございます。これらを含めて、仮谷知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、活断層の調査と対策についてであります。
 地震が発生すると、難しい言葉がたびたび出てまいります。兵庫県庁の訪問の折に液状化の噴出したポートアイランドを見てまいりましたが、地中から地下水と一緒に細かい砂が噴き出したところが各所にあり、それが乾燥して砂じんとなり、風で舞い飛んだ周辺が一面ほこりだらけであります。
 今回は「活断層」という活字が新聞や雑誌に毎日見られます。これは、「新生代第四紀に変動したことがあり、将来も活動の可能性が予想される断層」のことであって、日本の国内で知られているだけでも千五百本以上の活断層が見出され、数百年から数千年の周期で地震を引き起し、最大周期が短い順にA級、B級、C級に分類され、A級は全国で二十本ほどもあり、今回の地震後の調査で新しく発見された断層も数本程度あると言われてございます。
 一九九一年十二月、東京大学出版会が出した「新編 日本の活断層」の資料によりますと、和歌山県下にも活断層として内陸部で約三十本ほど、海では紀淡海峡一帯と潮岬沖に多数の断層のあることが示してあります。中でも、和歌山市から橋本市に連なる和泉山脈の南側を走る根来断層は、開発の進んでいる人口密集地であります。県はこれらの断層についてどのように認識し、いかなる対応をするのか、お伺いするものであります。
 私は、この際、県として独自の調査を行い、調査結果を報告して県民の地震に対する知識と安心感を与え、開発や建築の耐震基準を作成することが必要と考えますが、関係部長の答弁を求めます。
 次に、自衛隊の増員を考えてはという提言でございます。
 兵庫県南部地震の災害救助のため自衛隊が出動したことについていろいろ物議を醸しましたが、今現地ではどのような活動をしているのか、兵庫県庁訪問の折にかいま見ることができました。人命救助を第一に医療、給水、炊飯、入浴、緊急物資輸送、ごみ処理、損壊家屋の解体、廃材輸送等で、二月六日までの間でございますが、陸・海・空自衛隊は延べ四十四万五千人の人員を投入し、救援活動を続けております。自治体の要請で損壊家屋の解体、廃材を処理する中で、鉄骨や鉄筋コンクリートづくりの大型ビルの処理機材が現在の自衛隊には装備されておらず、これを機に早急な見直し対策が必要と言われてございます。
 現在、陸上自衛隊施設部隊の約半分に相当する二千四百人が兵庫県下に派遣されてございます。和歌山県の美浜町に陸上自衛隊和歌山駐屯地第三〇三施設隊には現在九十五名の隊員がおりますが、災害発生の翌日、一月十八日、寺田光利二佐を隊長に五十三名の隊員と二十二両の機材で救助隊を編成し、神戸市王子公園サブグラウンドに救援基地を設営して人命救助、倒壊家屋の撤去、摩耶埠頭整備に当たってございますが、隊では引き続き二次、三次と派遣計画を立て、長期間派遣を予定してございます。
 これが海洋型で起こっていたならばと思うとき、はかり知れない恐怖を持つものであります。鉄橋が落ち、橋が落ち、陸路の交通は遮断され、港湾や漁港は津波で破壊され、残るは空路のみであります。完全な陸の孤島になるおそれがあります。
 私は、ここで提言を申し上げます。この兵庫県南部地震の多くの教訓を生かし、近代装備──施設用の機材でございますが──これらと大型ヘリコプターを持つ自衛隊の増設をと提言するものであります。あわせて、県下各地へのヘリポートの設置であります。救急と資材輸送に自衛隊のヘリが大変活躍しておることをご承知と思います。知事のご所見をお伺いいたします。
 最後に、港湾の建設であります。
 物流の拠点である神戸港が、今度の震災によって壊滅状態になりました。日本のコンテナ貨物の三割を扱う神戸港の機能が停止したので、海運会社は名古屋港、神戸港、博多港、舞鶴港、遠くは韓国の釜山港に代替輸送を行ってございます。荷揚げストップで果物、野菜、魚介類の食料品は不足し、関西圏の日常生活にもいささか打撃を与えてくると言われてございます。輸出品もコンテナが野積みにされ、県内のノーリツ鋼機や島精機さんにもかなりの影響を与えているとも伺ってございます。
 和歌山県は半分が海に面していますが、商港的な港湾が少なく、鉱石船やタンカーの出入りが主であります。この際、神戸港の代替のできる港湾整備を提言するものであります。和歌山下津港や日高港、田辺港等の計画を見直し、耐震岸壁を持った港湾として、平常時は商港に、災害時には救援物資の受け入れや被災者の臨時宿泊施設として大型客船の利用できる港に取り組むべきではないかと考えるものでありますが、土木部長の答弁を求めます。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下議員にお答え申し上げます。
 予算編成に当たっての重点、また気を使った点は何かということでございます。
 平成七年度は、さきに述べましたように、我が国にとっても戦後五十周年の大きな節目の年でございますし、私にとりましても五期二十年の締めくくりの年でございます。また昨年は、かねてからの懸案でございました関西国際空港が開港いたしましたし、世界リゾート博も成功裏に終わったわけでございます。こうした大きなインパクトを持って、二十一世紀へ向かってのこれからの和歌山県の歩む道をたくましくしなければならないという観点で十分配慮したところでございます。
 特に具体的な面におきまして、かねてから交通基盤の整備の問題を申し上げておりまして、道路については、高速道路の南伸、京奈和高速道路の問題、四十二号の勝浦地域からの北進の問題、そしてまた府県間道路、国道の整備、生活道路等について交付金のついた起債を充当し、単独事業として大いに整備を図り、林道と農免道路の改修計画、道路網の連携についても最大の配慮をするとともに、また鉄道の高速化の問題についても、紀勢線の高速化について十四億余の金をお願い申し上げ、JR西日本との提携を図って市町村との協力のもとに積極的に推進していくという問題、また空港については白浜空港のジェット化完成を目指しておりますし、港湾についても、先ほど来話ございましたように港湾整備について特に和歌山下津港を重点として取り上げたところでございます。
 また、これから高年齢者社会になってくるわけでございまして、福祉対策が極めて重要でございます。そうした観点から老人の在宅福祉の問題が非常に重要な課題でございますので、これについての重点的な諸施策、また特別養護老人ホーム等の福祉施設の問題、また少子化、子供さんが少ないのをいかにするかという問題等々について配慮申し上げるとともに、また産業振興の面においても、ウルグアイ・ラウンドの協定に基づく農業の振興の問題も本県にとって重要な課題でございますし、産業・企業誘致等々の諸問題、特に技術開発についての技能センターの充実、またインテリジェントパーク整備の問題等々にかかるとともに、観光のなお一層の整備充実を図り、教育文化、生活環境の整備等について十分配慮し、各分野の単独事業について十分な配慮をしたわけでございます。
 ご承知のように、非常に景気の厳しい中でございますけれども、先ほど申し上げたとおり、積極的に交付金つきの起債の配慮の問題、また従来から積み立ててまいりました財政調整基金等の活用を図りまして、今こそ県勢飛躍発展のため、積極的な予算を組んだわけでございまして、予算総額においても、単独事業においても、地方財政計画の伸びを大幅に上回る投資的な積極的予算を形成させていただいた次第でございます。
 次に、過日の大地震に伴う県の危機管理の問題でございます。
 前の議会でございましたか、木下議員から地震に対する予防対策について質問があったわけです。それから一カ月余り後に現実にこのような悲惨な大震災が発生し、私も直下型地震の恐ろしさを痛切に感じておるわけでございます。
 ご承知のように、和歌山県の地震災害としては昭和二十一年の南海道地震がございまして、津波や山崩れにより多くの犠牲者を出したわけでございます。それ以来、県の防災計画においても特に震災対策計画を作成し、地震災害防止と災害時の対応について積極的に取り組んできたところでございます。
 しかしながら、今回の大震災では、自衛隊との協力のあり方の問題、また初動時の防災要員の確保の問題、あるいは話ございましたように、情報の収集伝達についての各般の方法、連携等の問題、また広域的な応援体制等について、いろいろな不備が指摘されているところでございます。今後、このようないわゆる危機管理の面に光を当てた本県防災計画の見直しを行い、大震災が起きた場合には災害を最小限にとどめることができるように、より真剣な検討を関係部局に指示しているところでございます。また、市町村における防災行政無線の整備については、平成十一年までにはすべて整備されることとなっておるわけでございますが、この点についてもできるだけ早い機会に整備ができますように努めてまいりたいと思います。特に、和歌山県は津波対策ということを最重点に今まで考えてきたわけでございますが、これと直下型地震との問題等の連携をも十分考えていかなければならないと思います。
 また、広域体制の問題につきましても、一昨日、神戸において近畿の知事会議がございまして、ここでこうした対策等についていろいろ、近畿として国に要望すべき点、我々がなさなければならない点、自衛隊の連携との問題、そしてまた、近畿全般での予行演習をこの夏近くにやろうじゃないかということを決定いたしたわけでございます。当日は自衛隊、警察からも出席をいただいて会合したわけでございまして、今後こうした不備な点についてお互いに協力してまいりたいと思っております。
 次に、自衛隊の増員についてでございます。
 従来、本県における災害派遣については、大阪和泉市の陸上自衛隊第三十七普通科連隊が主体となっております。最近における和歌浦湾の原油流出事故にも二百四人に上る支援をいただきまして、早期に原油の回収に大きな力を発揮していただいたところでございます。
 本県には、美浜町、由良町及び串本町に計二百二十人駐屯しておりまして、本県に駐屯しているこれらの部隊も含め、今後とも自衛隊と緊密な連携により、機動的な防災体制の確立に努めてまいりたいと思っております。
 また、ヘリポートの設置につきましては、来年度、防災ヘリコプターを導入することを予算にお願いしているところでございまして、このような機会をとらえ、臨時離発着場の整備や災害時のヘリコプターなどの防災活動拠点としてのヘリポート設置など、鋭意検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 予算編成と防災体制の見直しに関する質問にお答え申し上げます。
 まず予算編成の関係でございますが、第一点、財政運営のあり方ということでございます。
 平成七年度の当初予算編成に当たりましては、積極的な予算編成を行うという観点から、税収等の不足を各種基金の取り崩しによって補てんしたところでございまして、これは議員ご指摘のとおりでございます。当初予算においては、県税収入が四年ぶりに増額となったものの、景気の動向に確たる回復の兆しが見えない厳しい財政状況の中で、社会資本の整備はもとより、産業、福祉、教育、文化といったさまざまな分野での施策の充実を図るため基金の積極的な活用を図ったということでございます。
 ご質問の財政運営という点から見ますと、例えば財政調整基金については、税収等の変動に対処するためにも財政運営上ある程度の残高が必要でございますし、また県債管理基金についても、県債残高の増高という中でこれらの償還が将来政策的経費の圧迫とならないためにも一定額の残高が必要であることは言うまでもございません。このため、これらの基金について、今後とも財政の円滑な運営を図るための必要額を十分意を用いながら確保してまいりたいと考えております。
 次に、県税収入の関係でございます。
 平成六年度の県税収入は、当初時には八百七十一億円を計上しておりました。しかしながら、県民税利子割りが高金利時の長期預金が大量に満期を迎えたことから大幅な増収となり、また法人二税についても、景気が依然低迷しているものの、電力関係法人で増収となったほか、製造業の一部にも明るさが見えてきたということから、前年度に比べ、落ち込みは縮小傾向にあります。このほか、自動車取得税、軽油引取税が回復基調にございまして、この結果、最終的に六十八億九千万円を増額補正し、九百三十九億九千万円を計上しているところでございます。
 次に、それでは平成七年度の県税収入ということでございますが、こうした平成六年度の収入見込み額を基礎として、地方財政計画、それからまた本県の産業構造の特殊性というふうなものを踏まえ、慎重に見積もりを行ったところでございます。このうち、ただいまも申しました六年度に大幅な増収となった県民税利子割りについては、高金利時の長期預金の満期ピークが過ぎ、今後、低金利の影響により大幅な減収が見込まれ、また法人二税についても基幹産業である鉄鋼業のほか銀行業等の三次産業で減収が見込まれるなど、本格的な回復には至っていないということでございまして、この結果、来年度については県税全体で前年度当初予算に比べ三十億円、率にして三・四%増の九百一億円を計上させていただいたところでございます。
 次に、さきの震災が本県の税収に及ぼす影響ということでございますが、まず被災地域内に事業所等がある本県の法人の被害、それからまた阪神方面からの観光客やゴルフ場利用者の減少の問題、さらには被災地域と取引関係のある県内企業等の収支への影響等々が懸念されているところでございます。
 ただ、現時点においてはこれらの関係の被害額等の把握が困難であるということもございますので、今後とも各方面の情報を鋭意収集しつつ、本県税収への影響の度合いを把握してまいりたいと考えております。
 次に防災対策の見直しについてのご質問でございますが、まず第一点、防災対策の見直しをするのかということでございます。
 本県の防災対策については和歌山県地域防災計画に定められているところでございまして、特に「地震対策計画編」を策定し、県の地域における災害予防や発生後の応急措置を実施することにいたしております。この計画は、毎年一回、和歌山県防災会議を開催し、見直し、修正等を図ってきているところでございますけれども、このたびの阪神・淡路大震災を教訓として計画の点検、検討を行うため、去る二月十三日、庁内に副知事を会長とする和歌山県地域防災計画検討連絡会議なるものを緊急に設置いたしまして、保健衛生対策、消防施設整備計画、食糧供給計画、避難計画等々について、現在、点検検討作業を行っているところでございます。また、新年度からは被害想定調査を大々的に実施し、全面的な見直しを実施することといたしております。
 次に、自衛隊から送られてきた自衛隊の調査表についてどういうふうになっているかというご質問でございます。
 自衛隊の陸上幕僚監部による「大震災地誌」は、昨年九月、ご指摘のように本県へも配付されてきているところでございます。これは京阪神地域を対象としたものでございまして、関係地方団体の防災計画や地震研究資料を基本に、災害発生時に自衛隊が災害派遣等を行う際の準備資料として作成されたものと聞いております。本県は当該対象地域の中には含まれておりませんけれども、本県では、ご案内のように自衛隊の派遣要請を必要とする災害が発生した場合に備えて、毎年、和歌山県地域防災計画に基づき、自衛隊参加のもとに県の総合防災訓練を実施するなど、日ごろから緊密な関係を保っているところでございます。
 このたびの震災について申しますれば、直ちに本県への派遣についての協議を行い、またあわせて兵庫県への救援物資の搬送についていち早く要請を行うなど、非常に緊密な関係になっております。今後ともより一層迅速な初動活動が実施されるよう、この点について鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、防災体制の関係で、災害対策準備基金を創設してはどうかとのご質問でございます。
 今回の阪神・淡路大震災のような大規模災害が発生した場合、被災者の救援はもとより、道路、港湾等のインフラの復旧などに莫大な費用が必要となることは、兵庫県の例を見ても明らかでございます。今回の災害に対して、国においては災害復旧事業費を中心として総額一兆円の第二次補正予算を編成するとともに、本日の報道によれば、来年度の予算でも必要な対策を現在検討しているということのようでございます。また、兵庫県においても被災者救済のための基金創設について検討に入ったということを承知いたしております。
 本県の場合、震災に限らず、当初想定していないような不測の事態に対しては、先ほど来申しております財政調整基金の取り崩しで対応していくということになります。しかしながら、今回のような大規模な災害が発生した場合に必要な経費については、なかなか県単独で賄うことは難しいということでございまして、このような基金の取り崩し等とあわせて、当然国、他の公共団体等による強力な支援対策を求めていくということになろうかと考えます。いずれにしても、このような不測の事態を常に念頭に置きつつ、基金の管理の問題も含め、今後とも適切な財政運営に努めてまいる所存でございます。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
 〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 木下議員にお答えいたします。
 活断層の調査と対策についてでございますが、県内の地質調査に関しては、国土調査法に基づく和歌山県土地分類調査を実施し、図面を作成してございます。この図の中には、表層部における断層及び推定断層が表示されてございます。この調査によると、規模の大きい活断層は中央構造線で、和泉山脈の南ろくに沿って県内では和歌山市から橋本市まで東西方向に走ってございます。この中央構造線に沿い、幾つかの断層が存在してございます。また、文献等他の資料においても和歌山県内の活断層の実態がほぼ明らかにされてございます。
 なお、開発計画の事前協議に際しては、この計画地内に断層があると推定される場合には、関係部局に対して防災対策について意見を付しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) ご質問二点についてお答えいたします。
 まず、活断層についてどう認識しているのか、開発、建築についてどう考えるのかというご質問についてでございます。
 本県における内陸部の活断層としては、中央構造線を形成し紀の川北岸を東西に走る根来断層や五条谷断層などがありますが、それより南の地域については見るべき活断層は余りないと言われてございます。中央構造線に沿った本県での直下型地震としては、議員も触れられた「日本の活断層」という資料によりますと、一〇三八年の橋本市域を震源とするマグニチュードが五・九より小さい規模の地震と、近年では昭和五年二月十一日の和歌山市西方海底を震源とするマグニチュード五・三の二つの地震が記録されていますが、県の災害史に記載されるような大きな被害状況の記録はないようでございます。しかしながら、なお今後とも南海地震と並んで直下型地震についても十分留意していく必要があると考えてございます。
 開発や建築に関する耐震基準についてでございますが、現在、阪神・淡路大震災における宅地や建築物の被害状況については、建設省などで詳細な調査及び検討が進められているところであり、その結果に応じて必要な対策を講じてまいります。このほか、本県における活断層上などに計画される開発や建築については、設計時点で十分配慮を行うよう意識啓発を図るとともに、個々の案件の審査においては十分な安全性が確保されるよう設計士や事業者を指導してまいります。
 なお、今回の地震の後、紀の川北岸の土石流、地すべり、急傾斜地崩壊の危険箇所でございます二百九カ所を調査した結果、現在のところ緊急を要する箇所は発見されておりません。また橋梁については、平成三年度に震災点検を行ったところでございますが、今回の地震により再点検を行うこととしております。今後、点検を急ぎますとともに、国の検討結果を踏まえて対策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、港湾の建設についてでございます。
 和歌山下津港や日高港などにおいて地震時にも対応できる港湾を整備すべきとのことでありますが、一般に港湾施設については過去の地震の経験に基づいて技術基準が定められており、これらによって耐震設計を行ってございます。また、特に重要な岸壁については、緊急時の輸送拠点となり得るよう、より大きな地震を想定した耐震強化岸壁として位置づけることとされており、和歌山下津港と日高港、新宮港においても各一バースを計画しているところでございます。このうち、和歌山下津港のマイナス十二メートルの岸壁については近く概成する予定でございます。
 いずれにしても、今回の地震により港湾の重要性が再確認されたわけでございますので、これを機に改めて地元の関係者のご理解を求めるとともに、運輸省の支援も得て大阪湾内の港湾機能を補完できるよう、また災害時には緊急輸送の拠点となり得るよう、和歌山下津港や日高港などの整備を積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 40番木下秀男君。
○木下秀男君 丁寧なご答弁をいただきましたので、一点、要望申し上げます。
 活断層の調査でございますが、これは今、国民すべてが「活断層」ということで大変な関心を持っておると思います。本日の朝刊にも、和歌山県の根来断層の現地を見学したという記事が載ってございます。活断層を明示することによって住民の不安をかき立てることもあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、この兵庫県の大震災を教訓にして、やはり住民に知らしむるべきこともあろうかと思います。そういう意味で、所管する企画部でございますか、ここと市町村で、希望すればそれらの調査資料、図面に載ってあればそれを閲覧させて、それぞれの地方自治体が関係する地域との対策を講じるような、そういう施策を一時も早く取り組んでいただきたいものと思います。
 台風は一週間も十日も前から予想予想で、まあ当たることは少のうございますけれども、災害に対して準備する期間も対策もできますけれども、地震は今の科学では予知できない。しかし、それに対する準備怠りないことは人間の手でできると言われてございますので、先ほど来申し上げました点で、特に断層ということで不安を持っておる地域もあろうかと思いますから、それらについて県下各地の自治体との連携を深めて怠りのないような対策をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番中村裕一君。
 〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 まず最初に、このたびの大震災で亡くなられた皆さんに心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました大勢の皆さんにお見舞いを申し上げる次第でございます。
 地震対策についてお伺いするわけでございますが、ただいまの木下議員と重なっている部分もございますけれども、お許しをいただいて進めさせていただきたいと思います。
 当初、ここでは震災直後に報道された避難所からの報告を朗読する予定でした。しかし、こういう悲しい悲しい出来事は既に多くのマスコミでも取り上げられておりますし、最後まで読める自信もありませんので、やめておきます。しかし、今回の震災で亡くなられた人の数だけ、被災された人の数だけ、同じような悲しい物語があることは想像にかたくありません。そう思うとき、「政治って一体何だ」と、私は自分自身に問いただしたくなります。
 私たちの技術には限界があることを知っています。そして、政治がやらなければならないことがたくさんあることも知っております。しかし、こんなことにならないようにするのが政治の最も根本的で大切な仕事ではなかったかと思います。
 はるか七十年も前、関東大震災直後に過密を促進する都市政策の誤りを指摘した人がおりました。実に五十年前の南海道地震直後にも、政治における科学性の貧困を指摘した人もおりました。そして今回のことでも、数年前に警告を発した学者もおりました。私たちは、もう何回も同じ過ちを繰り返してきております。今度こそ、このあしき鎖を断ち切らねばと考えます。特に、私たち政治家や行政担当者が地震の本当の姿を知って対応すれば、何千、何万という人々の生命を救うことができるのであります。
 知事は、この大震災を経験し、どのような感想をお持ちでしょうか。そして、来るべき南海道地震や東海地震についてどのようにご認識しておられるのでしょうか。また、防災計画の見直しをされると聞いておりますが、どのような姿勢で取り組まれるのでしょうか。さらに、具体的にどのような点を見直されるのでしょうか。
 今、巷間、素朴な疑問というか不安の声もささやかれております。あの悲惨な状況を見れば、だれしも自分の身の回りは大丈夫かと心配するのも当然であります。例えば、阪和高速の高架橋はどうか、高度成長期の埋立地はどうか、大きなダムや橋梁は大丈夫か、などであります。このような県民の不安を払拭するためには、県内のあらゆる施設を直ちに点検する必要があります。どのような方針でしょうか。
 次に、鉄道の高規格化についてお伺いをしたいと思います。
 まず、JR紀勢線のスピードアップについて伺います。
 その必要性については論をまたないところでありますが、仮谷知事のご英断で初めて調査費が計上されたのは平成四年度であります。以降三カ年にわたり、本県単独、大阪府との共同、運輸省直轄の三本立ての調査を続け、新年度において十四億円余の県負担金を計上し、いよいよ着工されるものと期待をしております。
 今後の取り組みについてお答えをいただきたいのですが、これに関し、最近、あたかも自分が手がけているかのごとく発言をし、文書で配布している人がおるやに聞いております。大勢の先輩、同僚の皆さんとともに奥羽路にまで足を運び、真剣にお願いしてきた者として、全く心外に思います。どうか、仮谷知事に置かれては信じる道をお進めくださるようお願いいたします。
 さて、もう一本、本県にはJR和歌山線もございます。五年前の初当選時、総務委員会にて和歌山線のことを申し上げたとき、やっと冷房化したばかりで、とても高規格化など無理だと言われました。しかしその後、県議会でも議論が深まり、昨年秋のダイヤ改正では快速電車が導入され、人気も上々と聞きます。鶏と卵の話ではありませんが、まず便利になればお客は必ず乗ってくれます。やれることからやっていく、その姿勢が大切であります。どのような方針で臨まれるのでしょうか。
 次に、高速道路の紀南延伸について伺います。
 昨年、リゾート博開幕前に一部開通した湯浅御坊道路吉備─井関間は、全線の三分の一の距離にもかかわらず大変すばらしい効果を発揮し、いつものひどい渋滞を解消いたしました。時間的にも心理的にも、紀南がまた一歩近くなりました。この際、早期の全線開通をお願いしておきたいと思います。
 そこで、次に関心があるのは、料金は一体幾らになるかということです。国幹道並みとも聞いておりますが、本当のところはどうでしょうか。今、吉備─井関間渋滞解消と申し上げましたが、実は昨年の夏、料金所では若干の混雑がありました。ですから、今度全線開通となっても料金所だけは混雑するのではと心配をいたします。料金は未確定とお答えになるでしょうが、海南湯浅道路の端数二十円がどうしてもつきまとい、料金支払いに時間がかかることが今から予想されます。混雑緩和策として端数の切り上げ、切り下げ、ともに難しいようですから、この際、前売り券を出してみてはと考えます。現在、前売りはカードと回数券しかありませんし、販売所の数も少なく、一時的な行楽客には大変不向きです。そこで、紀南のホテルやドライブイン、土産品店で海南─御坊間の通しの前売り券を売ってもらうのです。観光立県を目指す本県にとって、これぐらいの親切、あっても不思議ではないと思うのですが、いかがでしょうか。
 さて、御坊まで開通しますと、本県の高速道路総延長は五十三キロとなります。これを通れば和歌山市まで三十分、関空まで六十分、大阪市内へは九十分と、大体鉄道と同じぐらいの時間で移動ができます。そこで、もうそろそろ高速バスを導入してみてはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。さきに鉄道を早くしろと言っておいて今度は高速バスかと言われるかもしれませんが、やはり競争のないところには進歩はないと思うのであります。関空バスの例もありますし、一度ご検討をいただきたいと思います。
 今度は御坊─南部間ですが、この間は地元協力体制として御坊市長を会長に市町村はもとより地区単位まで組織化し、早く完成できるよう頑張っていただいております。大方のところでは調査測量の同意も得て、去る二十三日にはくい打ち式も行われました。私も、くいを打ちながら着実な前進を実感いたしました。
 しかし、今後は地元との設計協議も含め、それまでにいろいろ要望が出てくるでしょう。これを地元のエゴと見るか、それとも当然の地元策と見るかで、随分取り組み方が違ってまいります。かつて、地元要望をエゴととらえ、地元との信頼関係が薄れ、遅くなった事例もございます。どうかそのようなことのないよう、積極的なお取り組みを期待いたします。
 次に、国際交流についてであります。
 私事になりますが、留守がちの我が家に帰りますと、時折、私の四歳の次男が「イッツ・ア・テーブル」などと発音し、びっくりさせられることがございます。最近、御坊のような田舎町でも外国の人をよく見かけるようになりました。もちろん観光客ではなく、それぞれ仕事を持っているようで、本当に国際化を肌で感じるようになりました。
 さて、私ども開政クラブもお手伝いし、ご当局においてお進めいただいております米国フロリダ州との交流も既に三カ年が過ぎ、多くの人々が行き来しました。昨年の秋には平越議長、田島秘書課長がお出かけをいただき、再選されたチャイルズ知事にお祝いを述べていただきました。そして七年度では、いよいよ友好提携のための予算が計上されました。お世話になった大勢の皆さんにお礼を申し上げ、今後どのような手順で進められるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 もとより、フロリダ州との交流は州政府という法人とおつき合いをするのではなく、やはり相手は人です。人には任期もあり、寿命もあります。フロリダの近況を伺いますと、ファーマー長官は連邦政府に栄転され、トム・ドラン氏は亡くなり、国際交流委員長は最近、高齢で退任されました。また、窓口として二度の来県を果たされたアイダンソン局長も近々ご退任とのことであります。
 相手が変われば、文化交流だけでは長続きしないと思います。しかし、民間をも巻き込んだ経済交流になれば簡単にやめられません。そこで、もっとお互いを知るために、この友好提携を機会に、まず第一段階として人事交流から始めてみてはと思いますが、いかがでございましょうか。
 なお、地震のところでご質問をし忘れておりましたので、最後になりましたが、させていただきたいと思います。
 地震直後から、本県では観光産業を初めさまざまな影響が出てきておるわけでございますが、早期に回復するものもあれば、間違えば後々まで影響を及ぼすものもございます。木材産業や林業への影響というのは、まさにそんなものではないかと思うんです。
 今回の被害の原因の多くは木造家屋の倒壊にあると聞きます。そうすれば、我々素人からすれば、木造住宅は地震に弱いのではないか、木造住宅には住めないなと、こうなりはしないかということであります。そういう意味において、昔から「木の国」と言われ、林業、木材が盛んな本県にとりましては大変関心のあるところであります。業界からは既に新しければ大丈夫だというご意見も寄せられておりますが、木造住宅は本当に大丈夫なんでしょうか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村議員にお答え申し上げます。
 阪神・淡路大震災についてどう思うかということでございます。
 犠牲者が五千四百人を超えるこのたびの阪神・淡路大震災は戦後最悪の大惨事でございまして、お亡くなりになられた方々に、またそのご遺族に哀悼の意を表したいと思いますし、また被災された皆さん方に心からお見舞いを申し上げます。
 昭和二十一年に南海道地震がございました。昭和二十八年の大水害など、数々の災害の恐ろしさと苦しさというものを経験してきた本県としては、一月十七日午後には早速救援対策本部を設置し、消防隊員を派遣いたしました。翌日には毛布を送るなど迅速な対応をとるとともに、その後も県民の皆さん方のご協力を得ながら、毎日、海上と陸上の両面から救援物資の輸送や医師及び土木技術者等職員の派遣など、種々の救援対策に取り組んできたところでございます。今後も、被災者の方々が一日も早く平静な生活に戻れるよう、国及び兵庫県の要請等を踏まえ、時期を失することなく総力を挙げて対応してまいる考えでございます。
 本県では、過去の大災害の経験を踏まえて和歌山県地域防災計画基本計画編及び震災対策計画編を整備しており、災害対策に取り組んでおることは先ほど述べたとおりでございます。このたびの大震災の被害を教訓に、この計画の見直しを早い機会に行うとともに、県民の方々及び関係機関とともに防災訓練等を重ねまして、災害に対する認識を深め、被害を最小限に食いとめるよう必要な措置を講じてまいりたいと思います。
 過日も近畿の知事会議がございましたけれども、関西地方は関東地域、東海地域に比べて地震に対する広域体制がおくれておるやに感ずるわけでございまして、こうした今度の大災害を大きな教訓として、先ほども申しましたように、近畿全般の広域体制もつくってまいりたいと考えておるわけでございます。また、私は和歌山県は災害では進んでおると思っていた。しかし、危機管理対策として兵庫の実情を見て、ああした直下型の地震があった場合、情報伝達の基盤がやられる、交通の基盤がやられる等、予想せざることがございますので、二重、三重の対策を考えておかなければならないのではないかと、こういう点を強く感じておるところでございます。
 それから、来るべき南海地震その他の地震についての認識と今回の防災計画の見直しに取り組む姿勢でございます。
 平成五年二月の本会議において中村議員が南海道地震に関する質問をされたことを私も記憶しているところでございますけれども、今回、不幸にも阪神・淡路大震災に接し、改めて地震災害への対策の必要性に深く思いをいたしているところでございます。
 以前にもお答えしましたが、県では、防災会議に地震部会を設け、被害の想定や地震、津波の調査を行うとともに、この結果を踏まえ、震災対策計画編を作成しているところでございます。また、南海道地震の経験をもとに一昨年には国際津波シンポジウムを開催するとともに、昨年の世界リゾート博覧会においても砂防シンポジウムを開催するなど、常日ごろから地震対策について特に配慮をしてまいったところでございますけれども、今回発生したような直下型の大規模地震については必ずしも十分の検討がなされているとは言えないわけでございますから、今後、この震災で得られた経験をもとに、情報システムの確立や広域応援体制の整備などの点を踏まえ、真剣に危機管理の対応策の見直しを図ってまいりたいと思っております。
 私の感想として、先ほども関西が関東地域におくれておると言いましたけれども、行政面においても、一般住民の感覚においてもそういう点があるやに見受けられるわけでございまして、この面を踏まえて啓発活動も進めてまいりたいと思っております。
 なお、木材産業の問題については後ほど部長から答弁いたしますけれども、私もこの点について、和歌山は木が重点でございますので、技術的に見ましたところ、やはり戦後の建築技術上の問題──そして木材業者の皆さんが来られたときにも、木材は切って早期に使うよりある程度の期間寝かして強くして生かす方がいいのではないか、木造というのはそう弱くないんだということを業界自体も発言すべきじゃないかと申し上げたんですけれども、こうした今の時期ですから、業界から申し上げるのはもうちょっとしてからにしたい、逆なでになるようなことではいけないという意見もございました。だから、そうした業界と建築関係の観点の両面から、十分な対策を重ねてまいりたいと思っております。
 それから、鉄道の高規格化の問題でございます。
 紀勢本線のスピードアップや新型車両の導入については、平成四年度より調査費を計上させていただき、本県の重点施策と位置づけて鋭意取り組んでいるわけでございまして、議員の皆さん方のご指摘によりそうした形をとっておるわけでございます。
 早期事業化を図るためにはまず地元の熱意が前提であると申し上げておりましたけれども、昨年の十二月六日に沿線の三十八市町村の総意により紀勢本線活性化促進協議会の設立を見たことは非常にうれしい限りでございまして、事業化に向けての前提が整った次第でございます。県としては、こうした地元の機運の高まりを踏まえ、JR西日本との方針を取り決め、沿線市町村や経済団体とともに、早期事業化を図る観点から十四億二千五百万円を今回予算計上したわけでございます。今後、JR西日本を初めとする関係機関と細部の調整を行うとともに、地元のご支持をいただき、早期着工に向けて努力する所存でございます。
 他の問題は、部長から答弁いたします。
○議長(平越孝哉君) 副知事梅田善彦君。
 〔梅田善彦君、登壇〕
○副知事(梅田善彦君) 防災計画について、どういう点を見直すのかということについてお答えを申し上げます。
 和歌山県地域防災計画は、先ほども総務部長からお答えをいたしましたように、いわゆる風水害等を主として対象とした基本計画編、それから地震災害を対象とした震災対策計画編とから成ってございます。防災計画については、毎年、和歌山県防災会議を開催して計画の見直し、また必要に応じて修正を図っているところでございますが、このたびの阪神・淡路大震災を教訓として、この両計画の点検、検討を行うため、去る二月十三日に和歌山県地域防災計画検討連絡会議を開催して、現在、全庁的に見直し作業に入っておるところでございます。
 見直しについての問題点としては、大きく分けますと、一つには早期に検討をすべき課題、もう一つは中長期的に検討すべき課題というふうに分かれると思いますが、今回の教訓を糧にして、以下申し上げる十項目について指示をいたしております。
 まず一番目は、本部の中枢機能がこうした事態発生の場合に計画どおりに働くのかどうか、初動時の指揮命令機能がうまく稼働するかどうかということ。
 二番目は、初動時の要員確保対策であります。要員確保が計画どおりにいくかどうかということ。
 三番目は、情報の収集・伝達機能がうまく働くかどうかということへの検討。
 四番目は、広域的な体制がとれるか。市町村間あるいは府県間というふうなものを超えた体制、また自衛隊の救援バックアップ体制がうまく働くかどうかということ。
 五番目は、防災関係施設、例えば避難場所、水利施設、通信施設等の配置並びに耐震性は大丈夫かということ。
 六番目は、被災者の収容体制、また生活必需物資の確保対策、さらに備蓄物資とその配置はどうかという問題。
 七番目は、医療衛生面での対応、そしてその機能は十分かという問題。
 八番目は、高齢者あるいは身体障害者等、災害弱者に対する対策、ボランティアを効率的に活用できるかどうかというふうな問題点。
 九番目は、防災計画の啓発普及を図るための日ごろの活動が十分であるかどうかということ。
 十番目は、防災訓練と自主防災組織の強化など。
 こういうふうなもろもろの問題点が考えられるわけでありますが、今後十分に議論を重ね、また専門学者等の意見も聞きながら、本県防災計画の見直しに結びつけてまいりたいと考えております。
 二番目は、既存施設の点検の必要性という問題でございます。
 ダム、橋、港湾施設、公共建築物等の重要構造物については過去の経験に基づいて技術基準が定められており、これらによって耐震設計を行っているところでございます。これらの施設についても定期的に点検調査を行い、また随時、補修や補強を行っているところでございます。
 しかしながら、今回の地震による橋あるいは港湾施設、建築物の被害は極めて甚大なものでございまして、今回の地震災害の実態を踏まえ、現在国においては耐震設計の基準を見直す方向で検討に入っていると聞いております。その検討結果により、橋、港湾施設、官公庁並びに学校等の公共建築物等の施設の点検を行い、計画的に耐震対策を行ってまいりたいと考えております。各施設の整備に係る年次計画については、施設の位置あるいは施設の重要度等を勘案して整備方針を整備し、できるだけ早期に耐震対策を講じられるよう努力をいたしてまいります。
 さらに、現在、あの惨状を見て非常に不安を持たれておる地域もあるやに聞いてございます。早急に関係市町村と協議をして、現地調査等、対応をしてまいりたいと考えます。
 以上です。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
 〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 中村裕一議員にお答えいたします。
 まずJR和歌山線をどうするかということでございますが、紀北地区と県都和歌山市を結ぶ重要な鉄道であると認識してございます。
 和歌山線については、昭和五十九年十月に電化が完成し、橋本─和歌山間において十分程度の時間短縮が図られ、それ以後、昭和六十三年三月にはデータイム三十分間隔の運行や、平成六年九月には和歌山線では初めての一部快速運転がなされたところでございます。さらに、新型二二一系電車の投入等、一定の利便性の向上が図られ、利用者の好評を得ているところでございます。今後県としては、旅客需要等の調査や利用促進策の検討を行い、快速電車の増発等、さらなる利便性の向上に向けてJR西日本等関係機関に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、高速バス導入についてでございます。
 紀勢本線の沿線地域においては鉄道が唯一の高速交通機関であるため、議員ご指摘の高速バスの導入は県民の方々にとってまことに意義あることと考えてございます。しかしながら、事業者において以前高速バス導入について検討をいただいた経緯がございまして、需要採算面で非常に厳しいところがあると伺ってございます。
 高速交通機関の複数化、公共輸送サービスの多様化は県民の皆様の利便性の向上を図る上で重要であると考えております。今後、県としては、湯浅御坊道路の開通を契機に事業者に対して働きかけてまいりたいと考えてございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 中村議員にお答えいたします。
 まず、高速道路の紀南延伸についてでございます。
 湯浅御坊道路の通行料金については、正式には供用開始時に発表されますが、当区間については、ご指摘のとおり国幹道並みの料金水準で現在検討中と聞いてございます。
 次に、渋滞対策についてのご提案に関連して、高速道路の前売り通行券としては現在、十一枚、六十枚、百枚つづりの回数券が発売されてございます。この回数券については、県内では和歌山インターチェンジ、吉備インターチェンジの料金所で発売されている状況でございます。回数券については、議員ご指摘のとおり、料金所での渋滞緩和に効果があると考えてございますので、販売所をふやす方法や一般的には販売場所を知らない方も多い状況でございますので、そのPR等も含めて道路公団に対して質問の趣旨を伝えるなど、努力してまいりたいと思ってございます。
 次に御坊─南部間の推進については、近畿自動車道紀勢線の御坊市─南部町間については、地元県会議員の方々や関係市町村のご協力を得て、昨年十二月に御坊─南部間建設促進連絡協議会を結成し、事業の促進を図ってきたところでございます。現在、市町村、地元自治会並びに地権者の方々に事業内容を説明してきており、この二月二十三日にはお話のように御坊市でくい打ち式が行われましたが、これにより今後の整備促進に弾みがつくものと期待しているところでございます。
 今後、インターへのアクセス道路の整備計画などについて十分話し合いをするとともに、設計協議の段階での地元からのいろいろな要望に対しては十分な説明をすることによりご理解を得て早期に解決していくことが肝要でございますので、関係市町村の協力を得ながら、日本道路公団に要望する等、誠実に対応してまいりたいと思っております。
 最後に、震災に関連して木材産業への影響などについてでございます。
 阪神・淡路大震災における戸建て住宅の被害については、終戦前後の建築など古いものについて特に大きな被害が出ていると聞いてございます。木造住宅についても、適切に現在の基準に従って建築されたものの被害は大きくないと言われてございます。直後に一部で報道されたように、木造建築はすべて耐震性能が劣るというわけではないと考えてございます。なお、プレハブ住宅に被害が余り出ていないのは、プレハブ方式での住宅供給の歴史が浅くて古いものがないことも一つの要因ではないかと考えてございます。また最近の報道では、新しい基準による木造住宅が十分な耐震性能を確保しているということも言われておる状況でございます。こういったことが十分に理解していっていただければ、木材の需要減退という木材産業への大きな影響も出ないのではないかと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 知事公室長野見典展君。
 〔野見典展君、登壇〕
○知事公室長(野見典展君) 中村裕一議員の米国フロリダ州との交流についてのご質問にお答えをいたします。
 まず、いつごろ友好提携を締結するかについてでございます。
 本県とフロリダ州との関係については、平成四年にフロリダ州政府国際貿易開発局長が来県され、知事と会談されて以来、機会あるごとに交流を続けてまいりました。この間、平成五年九月には開政クラブの議員の皆さんがフロリダ州を訪問され、また昨年の世界リゾート博には州政府の代表団が来県されるなど、着実に交流を発展させてまいりました。特に昨年十一月、平越県議会議長にはフロリダ州を訪問の際に仮谷知事の親書を手渡していただくなどして、ロートン・チャイルズ知事と親しく懇談され、フロリダ州との友好をさらに発展させることができたことは、本県の国際交流を推進する上で意義深いことであったと考えてございます。
 友好提携の時期については、平成七年度中にフロリダ州知事に来県をいただき、本県で友好提携の調印式を開催したいと考えてございますが、その時期についてはさらに打ち合わせを重ねてまいりたいと存じます。
 次に、人事交流をしてはどうかとのご質問でございます。
 フロリダ州との職員の交流については、フロリダ州との友好をさらに深め、また国際化に対応できる人材の育成という意味からも重要なことと考えてございます。今後、友好提携締結後の課題の一つとして十分検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番中村裕一君。
○中村裕一君 私たち地方の議員といいますか、議員の最も大きな仕事の一つは、この和歌山県のようなところなど過疎からの脱却というのが大きな仕事ではないかと思うのであります。
 前に東京へ参りまして、東京の湾岸の開発を見てきました。東京湾岸道路というのもできてきておりまして、すさまじい開発をしております。我々、地方で一生懸命過疎化のことをやっているんですが、それ以上のことを都会ではやっている。だから、過疎化の取り組みをしていても、過疎・過密というのは過密をとめない限りなかなか解消しないのではないか、そんなに思うんです。
 そう思うとき、実はここに子供の「ハメルンのふえふき」という絵本がございますが、ある日、町にあらわれたたくさんのネズミを退治するために笛吹きが笛を吹きながら川へ誘導していってネズミを全部川へはめてしまうという話でございます。私は、都会というのはきらきら光って人を引きつける、そんな魅力があると思うんです。どんどん人を引きつけておいて最後にぱんと破壊をする、そんなことになるのではないかなと心配をするわけでございますが、これを解消するのはまさに政治の責任であるというふうに私は思います。
 そこで、和歌山県としては地震の被害が幾つか予測されるわけでありますが、一番明らかなのが南海地震ではないかなと思うのであります。しかも、時期は人によって諸説ありますが、確実に来るわけでございます。この南海地震の被害は経験的に津波と火災だと言われておりまして、津波対策についてはもう既に広川の方で始めていただいておりますが、まだたくさん残っております。火災対策ということになりますと、和歌山県の市街地は、都市計画の指定、用途区域、それから道路も、計画はありますが、まだできていないところがたくさんあります。もし火災が起きたら「焼けどまり」と言いまして、もうそこから燃えるものがないからそこで終わってしまう、「焼けどまり」で始めてとまるようなところ、例えば私の御坊などでは、北風の吹く冬の夕方、てんぷらなんかを各家庭ではしている可能性が高い。そんなときに地震が揺って火災が出ますと、全部燃えてしまわないと焼けどまりがない、そういうところもたくさんあるわけであります。
 従来、都市計画事業というのは町づくりという観点からよく言われていたわけでありますけれども、私どもの和歌山は防災という観点からも、もう一回そういう方向を考えてみなくてはならんわけであります。そのためには随分時間もかかりますし、もちろんお金もたくさんかかるわけでありますが、早く計画をつくっていただいて早くそれを実現することが大事であると思いますので、どうかよろしく積極的なお取り組みをいただきたいと思います。
 ほかに一点、高速道路に関してであります。
 今、御坊─南部間については、積極的に道路公団も県市も協調し、地元の方でも頑張ってくれておりますが、高速道路というのは都市間交通というふうに聞いております。御坊から南部の町、もちろん町はたくさんありますが、都市といえばやっぱり田辺市であります。こういう議論は今までたくさんあったわけでございますが、どうぞ南部町から田辺市向いて早く事業化していただけますように、あわせてお願いをしておきたいと思います。
 以上です。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午前十一時四十七分散会

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