平成6年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(町田 亘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時五分再開
○議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 5番町田 亘君。
  〔町田 亘君、登壇〕(拍手)
○町田 亘君 知事、あなたが知事に就任されたのは、大橋知事の死去に伴い昭和五十年十一月のことでした。その時代は、オイルショックから高度経済成長の終えんを迎え、狂乱物価、中小企業の倒産は戦後最高、多くの失業者を出し、値上げラッシュ、国鉄料金も五○%アップ、一千万円の宝くじを求めて福岡で死人まで出した年であり、「記憶にございません」のロッキード事件で元総理田中角栄氏が逮捕された時代でもありました。就任翌年には有田市のコレラ事件も起こったり、先の見通しのできない低成長の大変な時代に就任されました。そのような状況を考えるとき、知事就任は単に喜びだけではなかったと思うのであります。
 昭和五十年十二月十二日、ちょうど十九年前のきょう、知事はこの本会議場で知事として初めてあいさつをされています。おおむね、次のようなあいさつでした。「私は、先般の選挙において県民のご支持をいただき、県政を担当することとなりました。まことに光栄の至りであります。ご存じのとおり、内外の諸情勢極めて困難なとき、県民の心を心として県民生活の向上と県勢発展に全力を傾注してまいりたいと存じます。しかし、最近の経済情勢の中で、国家財政、地方財政ともにかつてない異常な事態に直面しているところであります。本県財政もその例外ではなく、まことに憂慮すべき事態に立ち至っているところであります。そのような観点から、次の事柄を中心に全力を尽くしてまいりたい。人間を大切にし、心の通った福祉の充実。国民的課題である同和問題の完全解決。潤いがあり、安心のできる環境づくり。たくましく心豊かな人づくりをする。明るいあすの郷土づくり。市町村と一体となり県民総参加の県政を期する」と訴えられました。
 まさに、仮谷県政五期十九年は、まごころ県政を基本に、県民の圧倒的な支持のもと、県民との心の触れ合いを求め、県民のための政治とふるさとに限りない愛情を込め、ふるさと飛躍のため果敢に取り組まれた十九年であったと思います。世界リゾート博の開催、関西国際空港及び白浜空港、道路網の整備等々、仮谷知事の手腕によって、十九年経過した今日、大きな花が開き、また将来に向け開こうとしています。過ぎし日の和歌山を思い、新たな和歌山の時代に夢をはせ、今期で任期を退く決意をされたところでありますが、十九年を振り返り、今どのような感想をお持ちですか。
 知事とは、栄光のみを求めるものではなく、良識と実力を兼ね備え、県民と県益を基本に決断し、実行する人でなければならないと思いますが、知事像についてのお考えをお教え願いたいと思います。
 現在、平成七年度の予算編成期にありますが、次期知事に引き継がれる予算になるわけであります。どのような方針で編成されるのか、また次期知事に何を求めてまいりたいと考えておられるのか、お考えをお示し願いたいと思います。
 ここで一言、知事に、そして皆さんにお礼を申し上げたいと思いますので、お許しをいただきます。
 大塔村木守の精神薄弱者更生施設「あすなろ木守の郷」については、知事のご英断によって決定していただき、先日、起工式を行うことができました。村当局はもちろん、木守地区住民の皆さんの温かい心で受け入れていただきました。起工式の当日、木守地区の奥さん方が全員出て食事の用意もしてくれました。涙の出る思いで玉ぐしをささげさせていただきました。竣工の暁には、過疎の村木守で園生五十人、施設の先生約三十人、計八十人が生活を始めるのであります。「木守」という字は木を守ると書きますけれども、木守は子供を守りする、守る里にもなるのであります。この計画のために、関西電力さんや地元の皆さん、そして知事初め多くの皆さんにお世話になりましたことを、この場をかりて心からお礼を申し上げたいと思います。
 次に、河川についてお尋ねいたします。
 本県の河川は、大台ケ原を水源に持つ紀の川が県北を西に流れて紀伊水道に注ぎ、また東部には日本最多雨地帯の大峰山脈に源を発して熊野灘に至る新宮川があり、県内の二大一級河川となっています。この二つの河川に挟まれて、北より有田川、日高川、富田川、日置川、古座川等々、三百十八本の二級河川と七十六本の準用河川もあります。
 雨が降り、森林が水を保ち、その森から少しずつ水が流れ出、それがたくさんの枝、支流を集めて川となっていく。いつもきれいな水が流れ、降雨によって流水量に余り変化がなく、また逆に雨の降らない日々が続いても流水量に影響しない川、そんな川が安定した川と言われます。そんな川では、昔からずっと変わらない生物が今でも生息していると言われています。母なる川で子供たちが水遊びをしたり魚をとったりすることは、子供たちの生活ではごく当たり前のことであり、このような経験は大変重要なことで、自然を知り、生命を知ることは、その経験の中で創造性や冒険心が育ち、自然を相手に試行錯誤を繰り返してこそ自然をより深く認識していく基礎ができていくものと思います。しかし、昔あった夢のような川が少なくなり、また川があっても子供たちを引きつけ、興奮させるような場所や生き物が少なくなっているのではないでしょうか。
 私の家の近くを流れている富田川について考えてみたいと思います。富田川は、主要河川の中で上流にダムのない唯一の川であります。私の子供のころは、夏になると富田川に走り、上流から川下にたくさんの材木を流す。その丸太に乗って遊んだり、水しぶきを上げて飛び込んだり、ふちに潜ってウナギ、ナマズ、コイをつかまえようと夢中になって、唇が紫色になるまで遊んだものです。
 この富田川には、昔は十九ふち、不動のふち、山王のふち、彦五郎ふち、一本松のふち、清姫ふち等、何十カ所も自然のふちがありました。そして、全国でも珍しいオオウナギの生息する、夢のある、ロマンのある川でありました。今は、一カ所もふちらしいふちがありません。雨が降れば山から土砂と一緒に濁った水が直接川に出て、そのまま海に流れ、少し雨が降らないと川の瀬が切れ、エビ、チチコ、ハエ、フナ等はふちがないためにだんだん姿を消してしまい、都会からの釣り客もない寂しい川となり、下水道と変わらないような川となりつつあります。川の働きは、水を流すだけではありません。おのおの変化に富んで、万物がすめる潤いのある川、遊ぶときも多様な楽しみ方をしてもらえるような川、そんな川づくりに取り組もうではありませんか。
 このたび、水辺拠点づくり事業として、彦五郎堤防に公園をつくっていただきました。この彦五郎公園と一緒に彦五郎ふちの再生、また毎年七月、盛大に行われている中辺路町の清姫祭りにあやかって清姫ふちを復活させるなど、富田川に何カ所かふちをつくってはいかがですか。例えば、中辺路町川合に旧農業用水井ぜきを利用して自然プールの設置、大塔村と中辺路町の境にある北郡地内の迂回部分をショートカットして熊野古道公園等をつくることも考えてみてはいかがでしょうか。土木部長のお考えをお聞かせ願います。
 富田川の支流である馬川についてでありますが、数年以上、工事が延期、施行されていません。毎年一億円近い予算がついていたのでありますが、他の河川に流用しています。今年度は、国よりペナルティーとして減額されたと聞いています。県、町村の皆さんのご苦労は多とするところでありますが、今年度も予算の消化ができないのか、しっかりした土木部長の答弁を求めます。
 次に、紀南の道路整備についてお尋ねいたします。
 昭和五十七年、紀伊半島の経済浮上を願う県民の声として、国道四十二号線と並行して山間部を走る三百七十一号線が串本町まで国道に昇格されました。これまで、海岸線に比べて内陸部町村に関係した道路網の整備がおくれていただけに、龍神スカイラインを利用すれば橋本市から串本町まで一気に走れるこの国道昇格は山間地域の過疎に歯どめがかかったと、知事初め各町村長は喜びの談話を発表されました。それから十二年余りたちます。
 そこでお尋ねいたしますが、国道に昇格したとはいえ、まだ通行不能区間があります。中辺路町の小松原─龍神間と大塔村の木守地区でありますが、どのようになっているのか、現状と今後の見通しについてお聞かせ願いたいと思います。
 「道」という字は、首にしんにゅうを書きます。首をかけてやらなければならないほど大変なことなのだと、知事がある場所でのあいさつで話されていましたが、まさにそのとおりであります。また、その道によって人の流れも商業圏域も大きく変わるものであります。
 先日、吉井議員も述べられておりましたが、水上栃谷線、白馬トンネルが開通したおかげで、新宮圏域から和歌山への時間が大きく変わりました。国道百六十八号から今月十七日にオープンする三百十一号四工区を通り、中辺路町から水上栃谷線で龍神から白馬トンネル、吉備インター、和歌山市へと、約三時間で来ることができます。
 今、県内で県庁から一番遠い町村はどこだと思いますか。県内で、車で三時間以内で行けないところはどこだと思いますか。串本町、古座町、古座川町であります。和歌山まで来るには国道四十二号線しかないのであります。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 きのくにふるさと林道緊急整備事業として着工されるふるさと林道、すなわち将軍川線と紀南縦貫林道について、計画等を具体的にお示し願いたいと思います。
 次に、土木部長にお尋ねいたします。
 紀南の道路網の整備について、林道将軍川線と国道三百七十一号線の連係、県道上富田すさみ線の整備と先日発表された南部までの高速道路の連係についてどのように考えておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
 最後に、先日、大塔村三川の友人宅を訪ねたときの話であります。
 裏山にクリの木を植えてあり、毎年、都会にいる子供たちや孫たちに、ことしこそは必ずクリを送ってやろうと約束しているのだが、猿に全部とられてしまう。そこで、クリの実を買う方が安くつくほどトタン板を買ってきて、猿が木に登れないように、また他の木からも飛び移れないように準備万端、完全武装。近所の人たちも、これだと大丈夫と。しかし、夕方には猿たちが木に登って実をとっているではありませんか。どうして登ったと思いますか。現場を見ていないが、猿たちが何匹も協力し、肩車をして登ったとしか考えられないのであります。これは、笑い話ではありません。日光の猿軍団の一匹の猿が一年間で一億円稼ぐ芸をするぐらいでありますから、彼らにとっては朝飯前であったかもしれません。目の前でカボチャをシイタケを、にたっと笑いながら平気で持っていってしまうのです。犬をつないでおいても、鎖の届く限界を知っていて平気で寄ってきます。犬も、猿の数の多さに恐れをなしたのか、薄目をあけて居眠りをしているのです。山林農家にとっては切実な問題であります。
 前議会で浜本議員も質問され、被害を未然に防止するために駆除に対し補助を出していると答弁されています。駆除申請にしても、以前に比べスピードアップされて感謝しているところであり、県当局や町村もその対応に努力されていることは認めます。しかし、毎年毎年、猿やイノシシ、シカが出てきて農作物を荒らすから有害駆除を申請する、そして許可して殺す、これで根本的な解決策と言えるだろうか。彼らは、どうして人里におりてくるのか。山は木を育てる場というだけでなく、天然林に囲まれる山は、治水、治山の役割を果たし、人間、動物の生命の維持に役立ち、教育、文化の場でもあります。すなわち、自然は生物共存の場であります。山あり、谷あり、平野があって、そこには生きる場を分かち合って、距離を保ち、領域を守り、共存が成り立ってきたのだと思うのであります。
 昭和三十年代後半から、当時の材木ブームに乗り、官民挙げての杉、ヒノキの造林事業が始まりました。そのおかげで、和歌山県下の人工林面積は全国で十七番目に高いと言われるほど植林をしました。西牟婁郡下の町村では、人工林の割合は上富田で七五%、中辺路町七七%、大塔村七二%、あの広大な面積の山全体、頂上に至るまで杉、ヒノキに覆われています。大変な労力と資金を投入して、植林できるところはすべて杉、ヒノキを植林しているのが現状であります。以前は建築用材としての価値があった間伐材の需要もなく、補助制度があっても間伐に費用がかかるために民有林のほとんどは間伐が進まず、不良木は暴風雨に弱く、風倒木が大量に出て、山腹崩壊の危険性も高いと聞いています。このように申し上げると、杉、ヒノキの植林が諸悪の根源のようにとられるかもしれませんが、当時の施策は時代の要請もあり、当然の取り組みだったと思います。しかし、山林は民有林が多いために、その時代その時代の経済事情に左右され、全体的にコントロールができなかったことも、今から思えば反省点ではないでしょうか。これらの施策によって、猿などの野生鳥獣の食害が目立ち始め、里に出てきて被害を与えるようになったのも事実であり、深刻な被害と積極的な人工林化の推進は密接な因果関係があると考えます。木は親が植えて孫が切る長い長い事業であり、難しいこともよくわかります。
 平成四年度の猿の捕獲数は県下で三百五十七匹、うち西牟婁郡で百四十八匹、平成五年度は県下で二百四十三匹、うち西牟婁郡は半分以上の百三十四匹、県下でトップであります。これは、ほとんど射殺されています。猟師さんが猿は殺したくないとしり込みする中で、毎年三百匹前後が殺されている、これはほんの一部であります。現実には、野生鳥獣の害に困っているのですから、緊急避難的に駆除対策を進めなければなりません。しかし、被害が出たから即、駆除一点張りということだけではなく、長期的な視野に立って考える必要があるのではないでしょうか。他府県の例を挙げるまでもなく、何か具体的な方策についてのお考えがあればお教え願いたいと思います。
 ことしの夏は未曾有の渇水に悩まされ、改めて森林の持つ機能が評価され、今後の森林対策の必要性についての認識が深まったのではないでしょうか。ここ十数年の間に伐期に入った森林が伐採された後、和歌山県の森林政策をどうしていくかが今後の課題であります。将来の労働力不足と採算性の問題から、この次の植林事業はできないのではないかと心配する向きもあります。伐採した後、裸で放置するような事態だけは避けなければなりません。
 改めて申し上げますが、私は何でもかんでも野生鳥獣の立場に立て、あるいは害獣はすべて駆除してしまえという極論に走るのではありません。山林の持つ機能を利用して、行政指導を経済優先主義からきれいな自然環境の保持、国土保全、水資源の涵養、野生鳥獣と人間の好ましい共存関係等を含めた自然の調和の方向に転換し、二十一世紀に向けて我々の子孫に残していくべきだと考えるからであります。
 繰り返しますが、野生鳥獣と人間の共生について、また今後の県の森林政策について農林水産部長の答弁を求めます。
 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの町田亘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 町田議員にお答え申し上げます。
 去る十月十四日の九月県議会におきまして、今期をもって引退を表明させていただいたときに申し上げましたように、かつてない規模で開催した世界リゾート博は、県民の皆さんのおかげで大成功裏に終わりました。また、多年の念願でございました関西空港が開港し、世界に開かれた新しい和歌山の時代がやってまいりました。さらに、高速道路等交通網の整備、太平洋新国土軸構想の進展、白浜空港整備、半島性の脱却、懸案でございました医大の移転整備、美術館等の整備充実、和大の工学部設置等々、諸問題もめどがついてまいりました。この大きな節目を境に引退を決意いたしましたと申し上げたわけでございます。
 振り返ってみますと、十九年間、ひとしお感慨深いものがございます。その間、ご指導、ご支援いただいた県議会、県民には感謝にたえません。任期はまだあるわけでございますので、最後の締めくくりに全力を傾注したいと思っております。
 それから、未来の知事像でございますけれども、変革する時代の中でございます。先見力、実行力のある政治家でなければならないと思いますし、誠実で、信頼され、国においても、近畿はもちろん他府県等においても信頼される政治家であり、風格のある和歌山をつくっていただきたい。また、三割自治の地方財政でございますので、少ない自主財源で最大の効果、飛躍発展に努力していただきたい。そうした行政的な政治的手腕のある方が望ましい政治家だと思っておるわけでございます。
 次に来年度の予算についてでございますけれども、私にとりまして最も重要な予算編成の最後の年でございます。編成に当たっては、世界リゾート博の成功によって培われた自信と誇りを、また関西国際空港の開港による国際化時代への波及を大きく生かしてまいるために、今日まで取り組んでまいりました交通政策、高年齢者等の福祉対策、農業並びに産業対策、観光、環境対策等々、積極的に推進してまいりたい。そしてまた、この和歌山の新しい知事になる人が、すばらしいふるさと和歌山を、さらに豊かな、住みやすい、またコミュニケーションの行き届いたふるさとを築いていただくことに大きな期待を寄せているところでございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 町田議員にお答えいたします。
 まず、河川の整備二点についてでございます。
 第一点目の富田川の整備については、昭和二十五年以来、中小河川改修事業で河口から大塔村の鮎川新橋までの間十五・四キロメートルについて改修計画を策定し、鋭意事業促進を図ってまいったところでございます。その結果、河床の切り下げを残して本川河道の拡幅工事は概成しており、現在、支川の改修に力を注いでおります。
 議員ご指摘のように、流域の人々が川に親しめる河川整備を進めることが重要であると考えております。このため、富田川では歴史的な堤防である彦五郎堤防で水辺の拠点整備を進めており、本年度で完成いたします。
 さらに、その一つといたしまして、北郡地内で洪水に対する安全性を高めるとともに、潤いのある水辺の拠点整備を考えておりまして、中辺路町と協議中であり、県としても実現に向け積極的に対応していきたいと考えております。
 なお、ふちの復活については、そこで遊ぶ子供たちの安全の確保、水質、ふちの維持等を考える必要があり、これらの諸条件を満たすところを検討してまいりたいと思ってございます。
 第二点目の富田川右支川の馬川の改修については、ここ数年用地買収が難航したことにより本年度は予算減額となってございますが、難航している部分を残し河道拡幅工事を実施する予定でございます。今後とも、用地の解決と工事の促進に向け、地元の方々の協力を得ながら一層努力してまいりたいと考えておるところです。
 次に、国道三百七十一号及び県道に関してでございます。
 国道三百七十一号の交通不能区間のうち中辺路町と龍神村の間については、現在、中辺路工区、龍神四工区の二カ所でバイパス工事を進めているところでございます。
 一方、大塔村と古座川町の間については、待避所等の設置を行っておりますが、並行路線として林道木守平井線が開通しており、また周辺では林道将軍川線の整備が計画されているため、これの完成により一定の交通機能を果たせるものと考えてございます。
 有効な道路整備を行うためには、国道、県道、市町村道と農道、林道等を組み合わせながら道路網を形成していくことが必要であり、その観点から効果的な投資に努力しているところでございます。
 なお、高速道路の御坊─南部間が事業化され、また沿線の市町村並びに関係者の方々のご協力のもとに既に地元説明会が開始され、早期完成に明るい展望が開けつつありますので、近い将来、串本、古座、古座川方面からの車は、国道四十二号を利用するほか、林道将軍川線を通り、市鹿野から田辺へ出て、南部から高速道路を利用する流れも多くなるものと考えております。したがいまして、この間の道路整備を促進することが必要と考えており、検討を進めているところであります。
 また、林道将軍川線は国道三百七十一号に近接した付近を通る計画になっておりますので、三百七十一号との接続については、大塔村、古座川町とも十分協議しながら検討を進めてまいりたいと考えているところです。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 町田議員にお答えをいたします。
 まず、ふるさと林道緊急整備事業については、地域の活性化、生活の利便性の向上を目指し、現在、二路線について整備促進をしているところでございます。
 きのくにふるさと林道については、現在の林道将軍川線を改修するもので、日置川町市鹿野と古座川町添野川を結ぶ延長約十九キロメートルの計画で、本年度既に予備設計に入り、平成九年度をめどにその両端部分を合わせ約七キロメートルを整備することとなってございます。残り十二キロメートルの中間部分については、平成十年以降、ふるさと林道次期対策事業などにより、完成に向け鋭意取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また紀南縦貫林道については、那智勝浦町小匠から古座川町小森川に至る計画と中辺路町野中地内の国道三百十一号から林道広見川線に至る計画となってございます。本年度既に一部着工しており、平成九年度までには両端合わせ約十一キロメートルを整備することとしてございます。
 次に、野生鳥獣と人間生活の共生のご質問でございます。
 シカ、イノシシ、猿などによる被害は、主な生息地の紀南地方で多く発生してございます。ことしは、記録的な猛暑と渇水により、天然林の中でも特に実のなる木が不作となったため、野生鳥獣がえさを求めて里山に姿を見せ、例年になく農林作物に多くの被害を与えたものでないかと考えてございます。
 ご質問の野生鳥獣と人間生活とが共存できる方策でございますが、林業経営としての人工林と、すぐれた自然景観を保ち、鳥獣の生息環境となる天然林とをバランスのとれた状態に配置していくことが重要と考えてございます。
 現在、広葉樹を主体とする天然林は十三万ヘクタールございますが、単に放置するのではなく、広葉樹林整備特別対策事業などで伐採跡地へ広葉樹を植栽するとともに、既存木の育成施業も実施しているところでございます。今後、天然林の保存に十分配慮するとともに、こうした事業や生活環境保全林の整備事業においても、クヌギ、カシ、ナラ類などの実のなる樹木や鳥獣の生活環境に役立つ樹木の選定に考慮し、野生鳥獣と人間生活との共存を目指して森林整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、今後の森林政策についてでございます。
 森林は、木材の生産、水資源の確保、災害の防止など、大切な働きを持つ上、すぐれた自然景観やさまざまな森林文化をはぐくむなど、県民生活にとっては欠かすことができないものでございます。
 このような役割を持つ森林を将来にわたり守り育てていくために、林道、作業道の開設、機械化の推進、間伐などの施業、林業従事者確保のための就業環境の改善、さらには森林の持つ公益的機能の充実などを柱とした林業施策に取り組んでございます。
 一方、県民の自然志向の高まりの中で、これらにもこたえるため、環境の保全、保健文化休養機能の高い多様な森林の造成、保護などをより一層推進し、今後とも調和のとれた森林、林業の育成に努めてまいりたいと存じます。
 また、次代を担う子供たちを対象とした森林体験、あるいは森林・林業教室などについても積極的に実施し、森林、林業の重要性を広く県民に理解していただけるよう取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) 以上で、町田亘君の質問が終了いたしました。
○議長(平越孝哉君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(平越孝哉君) 次に、議題となった全案件のうち、議案第百四十二号平成五年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
  ──────────────────
○議長(平越孝哉君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(平越孝哉君) 次に、お諮りいたします。十二月十三日及び十四日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、十二月十三日及び十四日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(平越孝哉君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
  〔職員朗読〕
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  総務委員会 第一委員会室  
  厚生委員会 第二委員会室  
  経済警察委員会  第三委員会室  
  農林水産委員会  第四委員会室  
  建設委員会 第五委員会室  
  文教委員会 第六委員会室  
  ───────────────────
○議長(平越孝哉君) 次会は、十二月十五日再開いたします。
○議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十五分散会

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