平成6年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(浜本 収議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 45番浜本 収君。
  〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 四点、質問をいたします。
 その一つは、二級河川・田並川の全面改修と部分改修についてであります。ローカル版でありますから、そういった発想で質問をいたします。
 先日私は、今無人駅になっている田並の駅におり、駅周辺の木立から時々飛び立つ小鳥のさえずりを聞きながら、田並川下流から上流まで地区の方々と歩きながら、この川の現状を見る機会を得ました。
 田並上地区の川の右手に才助の滝の石塔が刻まれ、その説明では「田並才助谷の奥、林道の終点からほど近くにこの滝があります。雄の滝、雌の滝と並んでいる二つの滝の間には小さな森があって、一畳敷きぐらいの板間を持ったお堂があり、傍らのコケむした石の塔には『荒行の場』の文字が見られます。昔は修行者が荒行をしたところであったのでしょうか。深山幽谷、夏なお涼しい名勝地であります。水豊富な上流であります」──こんな石塔に見入っていると、つい目的である田並川の現状調査を忘れがちにもなったが、その夜予定されている田並上地区での田並川改修のための懇談会に備え、川の決壊場所、生えるだけ生えている川の中の高い草、堆積土砂のため流れがはかばかしくいかないところ、もう少し手を入れたらいいのになと思われる幾つかの場所、護岸の低いところ、道すがらところどころに立っておる「河川愛護」の標識に、晩秋とも重なって何か物悲しさすら覚える県二級河川・田並川を素人の目で見終えた私は、区長さんを初め二十数余名の地区の方々と夜、懇談会を行ったが、その席上出された少しばかりの意見や様子を紹介いたしたいと思います。
 「みんなが参加している河川愛護の会で川に生えた草を刈るのに区から二十五万円を出し、刈り取った草を区民が焼いたりもするが、県から三万五千円のジュース代をいただいて作業後のどを潤したりもする。県の川には違いないが、区の河川でもあるから川の手入れ、草刈りなどは全部区民の奉仕で行っておりますよ」、また「草を刈る日雇い賃ぐらいはちょっと出してくれてもいいのにな」と、遠慮がちに話する方々もおられました。また、「以前、下流で土砂が堆積していたので県土木にお願いをしたところ、最初の年は百メートルばかりしゅんせつをしていただいたが、翌年は三十メートル、そしてだんだんしてくれなくなった。今ごろは何にもしてくれません。最初土砂を取り除いてくれたところは、下流のせいか今は土砂でいっぱいになっている。土砂をとってほしいと申し出たら、地元で残土処分をするところを探してくれないかと言われたが、それも思うようにはいかず、土砂はたまる一方です」といった素朴な意見が出される中で、私は九一年度災害当時の写真数十枚を見せてもらいながらその当時の状況説明を受けたのでありますが、以下、十一月二十八日、串本土木事務所長と串本町に提出された陳情書を紹介し、土木部長の見解をただします。
 「陳情書(前文省略) 私たちの住む串本町田並上地区は、主として農業を営んでおりますが、大雨が降るたびに田並川の増水はんらんにより長年にわたり田畑及び住宅に被害をもたらし、特に最近はまた、高齢者の多いこの地区では大変不安を持ちながらの日々を送っております。最近強く求められている田並川全般にわたる改修はもとより、特に大きな被害の箇所については早急に対応を考えていただきたく、先般、県土木及び関係者の方々のご出席をお願いもし、現地におきまして状況説明を申し上げ、改善方を求めてまいりましたが、長年にわたる私たちの念願をお聞きいただきたく、今般、関係地区住民の連署をもってお願いする次第であります。 串本土木事務所長殿 串本町田並上区長以下二十余名」。
 紀伊半島の片隅に流れる延長四千メートル、幅五メートルの田並川。河口あたりから百メートルばかりは川らしいが、全体として川であって川でない二級河川の田並川。しかも、この地・田並地区は、ご承知のように故小野真次先生の出生の地であります。また、仮谷知事の出身地・和深地区と至近の距離にある串本町の一部であります。
 ここで私は、かつて白浜の町長をさせていただいたころの河川改修事業、白浜の安久川改修について少しだけ紹介いたしたいと思います。
 白浜駅付近を上流に持つ白浜町の安久川は、総延長約三キロの中小河川であったが、沿線地区住民は来る年も来る年も、台風時や災害時には河川のはんらんと、加えて海からの高潮に悩まされ続けてきたが、昭和五十一年からその改修事業が県の努力で公共事業として採択され、既に十八年の歳月をここに経、またこの間約三十億の継続事業費が投入され、ようやくその完成を迎えようとしております。そういった息の長い河川改修ではあっても、県のたゆまざる努力によって平成七年度、白浜空港の開港と相まって現実にその完成を迎えようとしているのであります。
 そのような視点から、放置されているこの田並川の全面改修と部分改修をぜひとも実現されるよう、私もまた陳情書に連署した思いで質問をした次第であります。
 二つ目は、原子力発電について質問をいたします。
 一つ。国は、次期の全国総合開発計画を策定するため現在の第四次全国総合開発計画のチェック作業に入っていると聞いているが、当然のことながら、県としても国の動向に重大な関心と注意を払って研究検討されていることと思います。そこで、国のエネルギー政策、とりわけ原子力発電所についての考え方と見通しを説明されたいのであります。
 二つ目。現在、県内には海南火力発電所と御坊火力発電所が立地操業し、県内の総発電量は百五十五億八千四百万キロワットアワーで、一方、県内の消費電力量は六十六億五千百万キロワットアワーであり、発電量の約六〇%は県外に送られております。この移出分については国から電力移出県等交付金として毎年多額の交付金が交付されているが、この制度ができてから県に交付された交付金の総額はいかほどか、また、その使途は県の方針としては産業振興とりわけ企業誘致のために充てていると聞いているが、これまでの実績と今後の方針を伺うものであります。
 三つ目。現在、県内には二カ所の火力発電所に続き、さらに御坊市と和歌山市に発電所立地が計画されようとしているが、県の政策の基本である第四次長計では「国が、電源三法等の諸施策により配慮している状況から、県としては、適地性・安全性・地元の同意という三原則を堅持し、立地地域を総合的に整備し、住民の福祉と地域振興の立場から、原子力発電所等の電源立地を促進する」と書いていたが、それを受けての第二次及び第三次中期実施計画では、立地促進を消し、今後とも適地性、安全性、地元の同意という三原則を堅持し、地域振興の立場で「対応する」としているが、このことは、当面、平成八年までには推進しないと理解していいのか、この際、確認しておくものであります。
 また、先ほど述べたように、現在二カ所の発電所から多量の電力を県外に移出しているが、さらに二カ所建設をしようとしていることを想定した場合、つまりこんなにたくさんの火力発電所を建設しようとすることは、今後原子力発電所は建設しないのかな、しないのだな、そうあってほしいなと理解していいのか。
 以上、私は、過去幾たびか論争してまいりました「紀伊半島に原発は要らない」という立場から、知事、企画部長、商工労働部長にそれぞれ質問をした次第であります。答弁を求めます。
 次に、公有水面の埋め立てと用途の変更について質問をいたします。一つは串本漁港の問題であり、いま一つは串本町の有田漁港の問題であります。
 昭和五十六年八月、和歌山県知事から串本町に諮問された公有水面の埋め立ては同法第三条の規定により串本町議会の同意するところとなったが、それは、串本町串本笠嶋谷千五百五十七番地ほか三地先、面積約一万三千坪、県営串本漁港であります。また、埋め立ての用途は、一、漁港施設用地、二、漁港関連施設用地、三、漁民住宅用地であります。この埋め立てが完成して既に十一年。しかし、当初の埋め立ての用途は、当時の串本町民と漁民からの強い願望や期待にもかかわらず、その目的は実現をしておりません。特に漁民住宅用地については、後継者対策として、また土地が残れば一般町民にも分譲できるなどとして大方の合意を得てきたところでもあります。しかし現状は、建設業者が漁港修築工事用として消波ブロックの製造作業所に使用している状況であります。
 そこで、私は次の諸点について質問をいたします。
 一つ。この埋立地周辺地区、特に尾の浦地区は、北風の吹く時期には大量の砂ぼこりなどによる被害が多く、苦情が続出しているが、そういった状況を知っているのかどうか。まず、そのことが大事だと思う。──知らないのだろうな。私は現地の十二、三名の方々と一晩、このことをじっくり聞かせていただきました──また、知らない人たちはそのためにどのような改善策を考えているのかな、このことについて質問をいたします。
 二つ目。公有水面埋立法第二十九条は埋立地の用途と異なる利用の制限を規定しているが、この串本漁港の埋め立ては、先ほど述べたように完成以来既に十一カ年を経過しているが、現在この埋立地は消波ブロックの製造作業所としてある建設業者が使用している。それは一体いつから行われ、いつまで行おうとしているのか。また、公有水面埋立法では埋立地の用途と異なる利用の制限は公用または公共の用に供するときは除外されているが、この消波ブロックの製造作業所に使用するための変更は公用または公共の用に供しているものとする、そういう見解をお持ちのようでありますけれども、説明を求めます。
 三つ目。先ほど申し上げました県営有田漁港の埋め立ては、昭和六十年三月、町議会の同意のもと、面積七千二十三平方メートル、埋め立て用途は漁港施設用地であります。しかし、この埋立地もまた、その一部が消波ブロックの製造所として建設業者が──同じ建設業者でありますが──独占使用をし始めたので、漁民から漁港の利用上問題があると苦情が出され、その業者は一時他の場所に移動したが、最近また製造を開始している状況であります。漁港内漁民の安全性、効率的利用の点から問題はないのか、お尋ねをいたします。
 四つ目。公有水面の埋め立ては、その所期の目的をいかに果たしたかということと、また変更をせざるを得ない場合は、法律のいかんにかかわらず、広く関係機関、町あるいは町議会の同意、そしてしかるべき大方の住民の合意、納得を求めるべきものであると私は思う。漁民住宅用地、特に後継者対策の立場からも、こういった目的を果たせるよう努力すべしと思うが、その見解を求めます。
 次に、教育全般の問題について質問をいたします。
 最近私が聞いた教育現場の二、三の事例をまず紹介いたします。
 台風のため学校は休みとなったが──台風ですから、休校になるのは当然であります──その休日の振りかえ授業を確保するために、ある学校ではこの十二月二十三日──天皇の誕生日であります──に授業を行うとか。また高校の場合、修学旅行は授業時間に入らないが、リゾート博の見学は授業に組み入れられたとのこと。修学旅行は授業にならない。リゾート博の見学は授業。球技大会、レクリエーション大会等は結構だが、その実施前に二時間授業を行うとのこと。
 私は、今挙げた二、三の例について一々ここで説明を求めようとは思わないが、こういった事例は、一部では歓迎する向きもあるやに聞いているけれども、私はそうは思わない。そんな指導や風潮は褒められたことなのだろうか。私は、こういった行政指導のあり方に疑問を感じるからであります。お答え願いたいのであります。
 二つ目。文部省は、明春四月から現行の月一回の学校週五日制から月二回の学校週五日制実施を決定したが、現行の学習指導要領は学校週六日制を基準につくられており、平成四年九月から実施されている学校週五日制月一回実施により詰め込み教育が進んでおることは事実であります。週六日を前提につくられた指導要領のもとでは、休業分を平日の授業へ上乗せしたり、ゆとりの時間や学校行事を減らしたり、宿題が多くなったり、休日以外はかえって窮屈になる傾向さえ出ております。本来、学校週五日制は子供たちにゆとりを与えることを目的としているにもかかわらず、現実は逆の作用を果たしつつあります。
 したがって、現行指導要領の見直しは、来年四月から行われる週五日制月二回の実施にとっては決定的に重要な要件でなければなりません。五日制月二回実施と矛盾する現行指導要領の見直しについての確かな方針の樹立と実行を文部省に強く求めることは、けだし当然の理であろうと私は思います。
 先日七日に行われた本問題についての鶴田議員の質問に対し、教育長は「学校週五日制の月二回実施については現行の学習指導要領で対応できるものと受けとめてございます」と答弁されたが、教育長は現場の状況を知らな過ぎるのではないかと私は思います。教育長が直接現場の校長さんや職員に聞くと、教育長が言うような答弁になってくる。私が聞くと──「あいつは、ちょっと違ったとこを聞いているからな」という解釈もあると思いますけれども、教員組合やそうでないところ──私の教え子たちがもう今校長ないし教頭さんにたくさんなっておりますから、そういう人たちに聞いてみると、「そんなこと幾ら言われても、やっぱり土曜日の四時間を別なところで埋め合わせをせなならん。現実にそうしているんや。だから、先生たちにそれを、こうせえ、ああせえと言うのは大変しんどいで。しかし、それはやっておる。授業時間全体の割り振りから言うと当然そうしなきゃならん」と、私が聞いた範囲の先生たちは皆そう申します。
 ということは、私が聞いてそれに答えた先生方は、わざとわしにうそを言うているのかな。あるいは、教育長には「それはもう今ので結構でございます」とうまいこと言うているのかな。そういう辺が私にはわからないから、あえてその見解をもう一度聞きたいと思います。
 三つ目。既に県下二十六の自治体では新学習指導要領の撤回、見直しの決議が採択されているが、こういった世論──あえて「世論」と申し上げます──についての教育長の見解を求めます。
 四つ目。十二月八日、衆議院文教委員会でも取り上げられた愛知県の中学二年生のいじめ自殺の問題は、あす十三日、閣僚会議でも取り上げられるとのことだが、これについても七日の質問に対し教育長は、教育庁内にプロジェクトチームを組織し幅広く検討していくとの答弁を行ったが、本県におけるいじめの発生件数の傾向はどうなのか、また今後取り組まれるであろうプロジェクトチーム編成に向かう基本的な考え方を、この際、開陳されたいのであります。
 最後になりますが、全く私的なことを話すことをお許し願いたいと思います。それは、私が小学校三年生のときのことであります。
 小倉の詰め襟を着た平田先生が、きょうの国語の授業は予定を変えると言って、北原白秋の「からたちの花」の詩を黒板に書いて、その歌を教えてくれました。「からたちの花が咲いたよ。 白い白い花が咲いたよ。 からたちのとげはいたいよ。 青い青い針のとげだよ」──日ごろ音楽は教えないこの先生がこの歌を教えてくれたことを、私は今も思い出します。そして、村にたった一軒この花を植えている高山寺という別荘の庭を教えてくれたので、私たちはその日の放課後、飛んで行ってその花を見に行ったことを今も思い出します。
 「からたちも秋はみのるよ。 まろいまろい金のたまだよ。 からたちのそばで泣いたよ。 みんなみんなやさしかつたよ。」──少年の心に刻まれたこの白秋の詩は、始業式や卒業式のときにはいつも末席に座っていた平田先生とともに思い出されるのであります。そして、五十三歳になって初めて僻地の校長先生になってそこでやめられたこの先生は、しかしながら、私と十四名の同級生にとってはすばらしい先生でありました。こういった小さな学校での授業はだれにも公表されないけれど、幼い児童の心をそれなりにとらえたのであります。
 人はだれしも、先生の授業を通じて感動を覚えたり、うれしかったり、励まされたりもした経験があるはずであります。しかし、余りがつがつした規制の枠の中からは自由やゆとりが失われがちであり、また自然との触れ合いや遊び、ゆとりが失われつつある教育の現状を思うとき、我々はいま一度立ちどまって教育のあり方を再検討しなければならないと思います。最初に挙げた事例等ともあわせて、所見を求めます。
 以上で、終わります。ありがとうございます。
○議長(平越孝哉君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 原子力発電と長期計画の関係でございますけれども、中期実施計画は、県の長期総合計画を実効あるものにするために、計画をめぐる情勢の変化、また計画の進捗状況を的確に把握しながら適切な進行管理を行うために三年ごとに行っているものでございます。
 電源立地については、私はかねてから申し上げておりますように、適地性、安全性、地元の同意という三原則に基づき地域振興の立場から対応しているわけでございまして、今後もこの方針を堅持してまいる所存でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 浜本議員にお答えいたします。
 田並川の改修についてでございます。
 田並川の改修状況については、河口から町道橋・宮前橋までの間一・四キロメートルを局部改良事業により昭和四十一年度に概成させたところでございます。(「昔やな」と呼ぶ者あり)さらにその後、災害復旧工事等により護岸の整備、下流の河道内堆積土砂の除去など、部分的な整備を進めてきたところでございます。今後、河道等の適正な管理に努めるとともに、近年の水害等の浸水状況や河川の現況等を十分把握して、全体的な改修について検討してまいりたいと考えております。
 また部分改修についても、現在の河川の状況からすると、河道内に堆積している土砂の排除が重要と考えておりますので、土砂の堆積状況を踏まえながら検討してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 浜本議員にお答えいたします。
 国の原子力発電所についての考え方と見通しについてでございます。
 我が国のエネルギー政策とりわけ原子力発電所についての考え方と見通しについてでございますが、資源エネルギー庁によると次のとおりとされてございます。
 エネルギー政策をめぐる課題は、一、我が国のエネルギー供給構造の脆弱性からのエネルギーの安定供給確保、二、国民生活の豊かさ、経済全体の活力向上の観点からのエネルギー供給の効率化、三、エネルギー消費と密接に関連する地球環境問題への対応といった三つの要請を同時に達成することとされてございます。
 原子力発電については、すぐれた燃料供給及び価格の安定性、経済性におけるすぐれた長期安定性、CO2等の環境負荷が少ないという環境特性等に着目し、べース供給力の中核を担う電源として位置づけ、安全性に万全を期しつつ着実に開発を推進することとされています。
 次に、原子力発電の見通しについては、平成六年六月の電気事業審議会需給部会の中間報告によると、平成四年度の発電設備容量三千四百四十二万キロワット、全体の一九%を、平成二十二年度では発電設備容量七千万キロワット、全体の二五%にすることが目標とされてございます。
 以上が、国の考え方と見通しでございます。
 次に、火力発電所の現状と原子力発電所建設についてでございます。
 これまで答弁しておりますとおり、電源立地については、今後とも地元の意向を尊重しつつ、適地性、安全性、地元の同意という三原則を堅持し、地域振興の立場で対応してまいります。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 商工労働部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 電力移出県等交付金についてお答えします。
 電力移出県等交付金については、発電用施設周辺地域の企業導入、産業近代化のために昭和五十六年に制度化され、平成五年度までに二十九億五千万円が県に交付されてございます。制度化当初は本県の産業構造の変革期で本格的に企業誘致に取り組み始めたころであり、企業誘致の受け皿づくりとして県及び関係市町村が数多く工業団地を造成し、企業への貸付事業を行うなど、貴重な財源として本県の産業振興と雇用の確保に貢献してまいりました。
 実績としては、県下十一カ所の工業団地に対して助成し、この用地には十三社の誘致企業が進出し、約九百三十人の新規雇用とおよそ四百二十億円の工業出荷額を創出し、また貸し付けとしては、交付金のうち八億五千万円を原資にこれまでに四十一社の企業に対し四十八億五千万円の貸し付けを行い、それぞれの地域の活性化に非常に役立っているものと考えてございます。今後とも、当交付金を企業誘致を中心とした産業振興に活用してまいりたいと存じます。
 とりわけ企業誘致については、付加価値の高い電気機械、精密機械等の加工組み立て型産業や情報産業等の先端技術産業の導入を図り、経済基盤の安定と産業構造の多角化、雇用の創出を目指してまいりますが、その受け皿としての工業団地の造成は、本県においては平地が少ないため他府県より造成に費用がかさみ、土地単価も高くなる傾向にあります。そのため、工業団地を少しでも安くするために交付金の導入は不可欠であり、今後も貴重な財源として効率的に使用していく考えでございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 浜本議員にお答えをいたします。
 ご質問の串本漁港の埋立地については、漁港施設や漁民住宅用地などとして造成したものでございますが、その具体的な利用がなされるまでの間、公共事業としての漁港工事の経済性等を考慮し、ブロック製作場所として漁港管理条例に基づき建設業者に使用の許可を与えたものでございます。許可に際しては地区住民や周辺環境等に十分配慮するよう指導してございますが、今後、お話の点も踏まえ、より一層指導強化をしてまいります。
 次に埋立地の用途の件でございますが、公有水面埋立法に基づき用途以外の利用については制限されており、現時点では目的外利用について考えてございません。しかしながら、今回の件については、漁港工事という公共性にかんがみ、具体的利用がなされるまでの間、ブロック製作場所として昭和六十年から漁港管理条例に基づきその都度許可を与えてございまして、現在の工事目的が達成されるまで使用させることとしてございます。
 次に、串本町の有田漁港の漁港施設用地として造成した埋立地については、地元の漁業協同組合と調整を行い、漁業活動に支障のない範囲において県条例に基づき許可を与えてございまして、現在、ブロック製作場所としてその一部を使用させてございます。今後とも、使用に当たっては漁業活動に支障を来さないよう使用者に対して一層指導してまいる所存でございます。
 次に、漁港区域内の公有水面の埋め立てについての考え方でございますが、県としては、町や漁業関係者等、地元の意向も十分踏まえ、埋立地の有効利用を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題、五点についてお答えいたします。
 教育行政指導のあり方とかかわって振りかえ授業等についてでございますが、児童生徒の学習を保障し、豊かな人間性と確かな学力を身につけさせるためには、何よりも授業を大切にしなければならないと考えます。そのため、全国水準の授業日数を確保するとともに、一時間一時間の授業を大切にするよう強く指導してまいりました。また、単に授業日数を確保するだけでなく、学校行事を初め多様な教育活動を行い、豊かな体験や人間的な触れ合いを通じて生きて働く学力を身につけさせるよう指導してまいりました。各学校では、創意工夫を凝らし、授業日数の確保と魅力ある授業づくりに取り組んでいるところであり、球技大会の日の授業や振りかえ授業を行うことについては、それぞれの学校が主体的に決定しているところでございます。
 次に学習指導要領の見直しについてでありますが、現行の学習指導要領は、生涯学習社会を展望し、学校週五日制の導入をも視野に入れ、改訂されたものでございます。月二回の実施については、月一回の定着状況や月二回の調査研究協力校の取り組みなどを踏まえ、慎重に検討してきたところでございます。これらの学校では、子供たちの学習負担に配慮しつつ、休業となる第二、第四土曜日の授業の取り扱いについてさまざまな研究を行ってまいりました。その結果、学校行事の精選などの教育課程の工夫によって月二回の実施が可能であるだけでなく、新しい学力観に立った教育を推進する契機となったことが報告されております。
 ご指摘の各自治体における決議は、住民の方々の意見を反映したものと受けとめてございます。今後、月三回以上の導入に当たっては、学習指導要領の見直しについて都道府県教育長協議会などを通して要望してまいりたいと考えます。
 次にいじめの発生件数についてでございますが、平成五年度全国では約二万一千件、本県では百六十四件となっており、ここ数年、数的には減少の傾向にございます。しかし、このたびの愛知県での中学生の自殺とその遺書を見ましたとき、その背景には、親子関係、友人関係、そして地域社会とのかかわり、とりわけ学校の対応など、さまざまな課題が投げかけられております。
 本県では、三年前から「三つの忍耐」の一つとして「開放に耐える」ことを挙げ、開かれた学校づくりを重視し、家庭、地域と一体となった教育を推進するよう指導してきたところであります。今回のプロジェクトチームの編成に当たっては、学校や行政の関係者だけでなく、専門的指導者や家庭、地域社会の代表者等からも広く意見を求め、登校拒否の問題とともに、多面的な角度から一層効果的な方策と指導のあり方について検討してまいりたいと考えます。
 この検討結果については、命にかかわる問題であることから、実施できるものから順次積極的に施策を講じてまいります。さしあたっては、冬休みを控え、いじめの問題について全教職員で討議するとともに、ホームルームで話し合うなど、各学校で適切な取り組みを進めるよう指導してまいります。
 また、先ほど議員から小学校時代の恩師との心温まる出会いについてご披瀝いただきましたが、いじめ等をなくする上においても、こうした感動ある授業や心の通い合う教育こそが基本であると考えます。子供たちにとって今最も必要なものは、授業に感動し、みずからカラタチの花を確かめたくなるような教育であり、現在進めている教育改革の目指すところも、教員の意識改革と創造的な努力に基づく感動ある教育であります。
 今後とも、教師と子供が、子供たち同士が、互いに思いやり共感し合う教育の実現に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 45番浜本 収君。
○浜本 収君 土木部長の答弁中、河口から一・四キロの局部改良は昭和四十一年という答弁がありましたが、だれか横から「昔やな」という私語がございました。まさに昭和四十一年でありますから、二十八年前ですか、(「知事さん若かった」と呼ぶ者あり)──その昔であります。また、その後、災害復旧工事等により護岸の整備、堆積土砂の除去など部分的な整備を行ってきたと答弁が続けられましたが、繰り返し申し上げますように、局部改良は二十八年前。その後、部分的な整備を行ったということであります。ですから、現状は川であって川でないといった──大変口汚い表現ではございますが、私はそこを歩いてみて実感としてそう感じたのであります。川であって川でないなと。五メートルの幅といいますけれども、三メートルのところもあるし、草がたくさん生えて、その上で、野球はできないけど飛び回ることができるような、そんな川であります。副知事なんかは、特にそれを見ておいてほしいと思う。百聞は一見にしかず。今後の現地調査なり串本土木の皆さん方の努力に期待し、要望といたします。
 次に、公有水面の埋め立ての問題であります。
 総面積四・五ヘクタール、その区分として漁港施設用地約二・八ヘクタール、漁港関連施設用地約一・二ヘクタール、漁民住宅用地約〇・五ヘクタールと三つの用途を指定し、その面積をそれぞれ区分するといった厳密な形で串本町議会は、知事からの諮問を受けてこれを可決したのであります。こういった厳密な用途目的がありながらも、いつの間にかブロックの製造作業所になっておる。いろいろの説明はされておっても、それは余りにも身勝手過ぎるのではないかと私は思います。今、仮にこの埋立地に、つまり四・五ヘクタールに建設業者が消波ブロック製造作業所をつくるなどと言って埋め立ての同意を議会に求めたとしたら、どうなるでありましょうか。一発に否決される。また、仮谷知事がそういうことを諮問する道理はない。
 当時、漁業組合は、先ほど述べた三つの用途、中でも漁民の住宅用地、土地が残れば一般町民にも分譲することがあるのですよというチラシを町内全戸に配布した。きょうはその紙を持ってくるのを忘れましたが、当時の状況といいますのは、自然破壊とかいろんなことが議論をされる、そういう段階でありました。だから、この埋め立てはどうしてもしたいんだということで、各戸にそのビラを配布して、これは後継者対策の住宅用地も確保しているんですよ、余ったところはまだ町民にも分譲することがあるんですよと、そういう発想で大方の同意を得た。漁業組合全体としてそういう運動を強力にやったということを私は聞いてございます。
 そういう中で厳密に三つの区分をされたその土地が、行ってみるとそこには大きな作業所がつくられておる。しかもそれは、動鳴気漁港とかよその漁港の工事をするためにブロックが必要だということでやっておる。公共事業だから必要性はあるんだと言っておりますけれども、それであの業者は、四・五ヘクタールの土地を自分の土地のように振る舞っておる。そして、「あの消波ブロックは大分もうかるの違うか」と、こういうささやきがあちらこちらで行われておるといった状況であります。
 だから、埋め立てが所期の目的を貫徹していくということでないならば、この埋め立てというのは一体どういうことになるのか。県の所有物ではあっても──いつまでそれが行われていくのか。大変嘆かわしい状況だと、私は埋め立ての諮問の状況から見てそう思います。
 これは私の感想にとめておきたいと思います。もしそうじゃないということであれば、また反論を願いたいと思います。
 三つ目。先日来、テレビ、マスコミで大きく取り上げられているいじめ自殺について、与謝野文部大臣──最近は大臣がたくさんかわるので、与謝野ってどこの人かなと思ったら、やっぱりある有名な方の孫さんだそうですが──は、八日の衆議院の文教委員会で「学校の対応に問題がある」と言及したと言われております。また、一般的には学校や家庭に問題があるとした発言や指摘が支配的でありますが、それは問題の一面だけからのとらえ方ではないだろうかと思います。上から下に向かって「反省をせよ」とか説教を幾ら繰り返してみても問題の解決にはならないと私は思う。
 では一体、この国の教育行政に責任を持つ文部省は、どのような観点からこの問題をとらえ、また教育行政にメスを入れようとしているのか。何ら明らかにされていないのが実情であります。十三日に閣僚会議がされても、結論なんてとても出るものではない。「これは大事なことや」と村山さんが言う程度だと思います。
 学歴社会の構造、試験地獄、塾通いをしなければ打ちかつことができない、塾は悪いと幾ら言っても──このごろはそういう議論はされていませんけれども──塾へ通って学力をつけて大学に受からなかったらあかんのやという親たちの願い。そういう縦の社会構造や教育のあり方にメスを入れなければ、問題の指摘を幾らしてもそれはだめだと思う。そういう上での反省や説教を幾ら繰り返しても、本質的な解決に迫ることはできない。教育制度、教育条件の面からも、また直接教育に従事する人々、親たちの教育要求など、現在の教育の全体的な仕組み是正など、多面的なとらえ方からこれを考察しなければならないと私は思います。
 浜本収──宣伝をする意味ではありません──が、ここでこんなことを言っても、だれも「うん、そうなや」とうなずいてくれてはおりません。しかし、私が今申し上げたようなことを、ニュアンスは違いますが、科学技術庁長官・田中真紀子が発言しております。九日の晩にテレビを見ておりまして、十チャンネルをひねったら、たまたまバーッと勢いのえらいおばさん──と言ったら失礼ですか──が、「文部省の指導体制がなってないじゃないか」と、彼女はそう言っている。私はそうだと思います。それで、鉛筆を用意してそれを書いて、そのことを私の意見のようにしてきょうここで言うてやろうかなと思ったんやけれども、書くいとまがなくて正確にそのことを伝えることができないのが残念でありますけれども、この国の文部行政、文部省の体質に問題があるんだという指摘を、彼女は閣僚の一人でありながらしている。そのとおりだと、私は思いました。
 そういうことを含めて、先ほどから申し上げた教育制度とか今の教育の全体系、あり方といった方向からでないと、いわゆる学校の教師の、あるいは親たちのと、そんなことばっかり幾ら言うてみても問題の解決にはならんということをこの際特に申し上げて、以上、要望やら意見といたします。
 終わります。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜本収君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) この際、暫時休憩いたします。
  午後零時八分休憩
  ──────────────────

このページの先頭へ